説明

パイプ成形装置及びパイプ成形方法

【課題】熱可塑性樹脂を母材とするパイプの成形
【解決手段】
パイプ成形装置20は、加熱されることによって膨張する棒状の内型22と、内型22の外周を覆う筒状の外型24と、内型22を加熱する加熱装置26とを備えている。かかるパイプ成形装置20では、シート状の成形基材10を、棒状の内型22の外周に巻いて筒状の外型24の内部に収容する。そして、内型22を加熱し、内型22の外径を大きくする。これにより、内型22の外周面と外型24の内周面との間で成形基材10を加熱するとともに加圧して、成形基材10を外型24の内周面に沿った形状に成形することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プラスチック製のパイプを製造するパイプ成形装置及びパイプ成形方法に関する。
【背景技術】
【0002】
プラスチック製のパイプ(例えば、ゴルフシャフトや釣竿など)には、繊維強化プラスチック(FRP:Fiber Reinforced Plastics)によって成形されたものがある。例えば、特開2002−240158号公報(特許文献1)には、プラスチック製のパイプや釣竿の製造方法について、内圧成形法なる成形方法が開示されている。この方法は、流体噴射孔を表面に備えた中空構造のマンドレル上に伸縮性のチューブを介して所望のプリプレグシートを巻き付ける。次に、これを成形金型内にセットしてマンドレルの流体噴射孔から流体をチューブ内に噴射して、プリプレグシートを成形金型の内壁に押圧する。さらに、プリプレグシートの樹脂を硬化させてシャフトを成形する。成形後、シャフトからマンドレルを抜き取る。かかるプリプレグシートには、繊維に熱硬化性樹脂を含浸させてある。また、プリプレグシートを複数枚積層する場合などでは、層間に結着材として熱可塑性樹脂が用いられる場合もある。
【0003】
また、特開2008−100444号公報(特許文献2)には、樹脂パイプを任意の三次元形状に曲げ加工できるとともに、内面形状を維持でき、さらに外観の良好な曲げパイプを効率良く製造できる樹脂パイプの成形方法が開示されている。なお、同公報には、所定温度に加熱すると所定の三次元形状になる形状記憶樹脂又は形状記憶合金を使用したマンドレルを用いることが開示されている。形状記憶樹脂として、耐熱性を有するポリエステル,ポリウレタン,スチレン・ブタジエン,ポリノルボルネン,トランスポリイソプレンが開示されている。また、形状記憶合金として、Ni-Ti系合金、Cu系合金、Fe系合金が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−240158号公報
【特許文献2】特開2008−100444号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明者は、連続繊維で強化された熱可塑性樹脂を用いてパイプを成形する方法を考えている。特許文献1に開示された技術は、熱硬化性樹脂を対象とした既存技術であり、そのままでは熱可塑性樹脂の成形に応用できない。また、特許文献2に開示された技術は、既に作られた樹脂パイプを曲げる曲げ加工に関する技術に過ぎず、樹脂材料を用いてパイプを成形する方法ではない。また、熱可塑性樹脂を用いた成形方法としては、射出成形法が知られている。射出成形法では、熱可塑性樹脂を加熱し、溶融させ、混錬し、成形型内に射出している。この場合、混錬工程、射出工程を有するため、強化繊維として連続繊維を用いることができない。熱可塑性樹脂を用いてパイプを成形することは、かかる射出成形によって実現できるが、強化繊維として連続繊維を用いることや、強化繊維の方向を揃えて成形することは、射出成形では実現できない。
【0006】
そこで、熱可塑性樹脂を用いてプラスチック製のパイプを成形する方法について、強化繊維として連続繊維を用いることや、強化繊維の方向を揃えて成形することが可能な新規な成形方法及び当該成形方法を具現化する成形装置を提案する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係るパイプ成形方法は、熱可塑性樹脂を母材樹脂とするシート状の成形基材を、加熱されることによって膨張する棒状の内型の外周に巻く工程;シート状の成形基材が巻かれた内型を筒状の外型の内部に収容する工程;及び、内型を加熱し、内型の外周面と外型の内周面との間で成形基材を加熱するとともに加圧して、成形基材を外型の内周面に沿った形状に成形する工程;を備えている。
【0008】
また、本発明に係るパイプ成形装置は、加熱されることによって膨張する棒状の内型;内型の外周を覆う筒状の外型;及び、内型を加熱する加熱装置;を備えているとよい。
【0009】
このパイプ成形装置では、内型は、加熱されることによって膨張する膨張体(例えば、シリコンラバー)に、軸方向に電熱線(例えば、ニクロム線)が通されていてもよい。この場合、加熱装置は、電熱線に通電する通電装置を備えているとよい。
【0010】
また、内型は、金属製の芯材と、前記芯材の外周に装着され、加熱されることによって膨張する膨張体(例えば、シリコンラバー)とを備えていてもよい。この場合、加熱装置は、芯材に高周波電流を通電する通電装置を備えているとよい。
【0011】
また、内型は、所定温度以上に加熱された際に外径が大きくなる形状記憶合金で構成された部位を有していてもよい。この場合、加熱装置は、内型に高周波電流を通電する通電装置を備えているとよい。また、内型は、金属製の芯材と、芯材に装着されており、所定温度以上に加熱された際に外径が大きくなる筒状の形状記憶合金からなる外輪部材とを備えていてもよい。この場合、加熱装置は、芯材に高周波電流を通電する通電装置を備えているとよい。
【0012】
また、内型は、所定温度以上に加熱された際に溶ける低融点合金材料の芯材を備えていてもよい。この場合、加熱装置は、芯材に高周波電流を通電する通電装置を備えているとよい。また、この場合、外型は、芯材の外周を覆う外装体と、軸方向の両端を覆う栓体とを備えていてもよい。また、高周波電流を通電する通電装置は、外型の外周回りに捲回されたコイルと、当該コイルに高周波電流を通電する高周波電源とを備えていてもよい。
【0013】
また、外型は、周方向に分割可能な割型で形成されていてもよい。この場合、当該外型を外側から締め付ける締付部材を備えていてもよい。また、外型を支持する支持部材と、外型と支持部材との間に介在した絶縁材と、外型に通電することによって外型を加熱する第2通電装置とを備えていてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の一実施形態に係るパイプ成形装置を示す図。
【図2】本発明の一実施形態に係るパイプ成形装置を示す断面図。
【図3】シート状の成形基材の一例を示す図。
【図4】本発明の他の実施形態に係るパイプ成形装置を示す図。
【図5】本発明の他の実施形態に係るパイプ成形装置を示す断面図。
【図6】本発明の他の実施形態に係るパイプ成形装置を示す図。
【図7】本発明の他の実施形態に係るパイプ成形装置を示す断面図。
【図8】本発明の他の実施形態に係るパイプ成形装置に通電された状態を示す図。
【図9】本発明の他の実施形態に係るパイプ成形装置を示す図。
【図10】本発明の他の実施形態に係るパイプ成形装置を示す断面図。
【図11】本発明の他の実施形態に係るパイプ成形装置を示す図。
【図12】本発明の他の実施形態に係るパイプ成形装置を示す断面図。
【図13】本発明の他の実施形態に係るパイプ成形装置を示す図。
【図14】本発明の他の実施形態に係るパイプ成形装置を示す断面図。
【図15】本発明の他の実施形態に係るパイプ成形装置を示す図。
【図16】本発明の他の実施形態に係るパイプ成形装置を示す断面図。
【図17】本発明の他の実施形態に係るパイプ成形装置を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の一実施形態に係るパイプ成形方法及びパイプ成形装置を説明する。なお、異なる実施形態でも、同じ作用を奏する部材又は部位には、適宜に同じ符号を付して説明する。
【0016】
このパイプ成形方法は、図1及び図2に示すように、シート状の成形基材10を、棒状の内型22の外周に巻いて筒状の外型24の内部に収容する。そして、内型22を加熱し、内型22の外径を大きくする。これにより、内型22の外周面と外型24の内周面との間で成形基材10を加熱するとともに加圧して、成形基材10を外型24の内周面に沿った形状に成形する。かかるパイプ成形方法を具現化するパイプ成形装置20は、例えば、図1に示すように、加熱されることによって膨張する棒状の内型22と、内型22の外周を覆う筒状の外型24と、内型22を加熱する加熱装置26とを備えているとよい。
【0017】
ここで、シート状の成形基材10には、熱可塑性樹脂を母材樹脂とするシート状の基材を用いることができる。例えば、図3に示すように、一方向に強化繊維5を引き揃えたシート材4に、熱可塑性樹脂からなる不織布6を重ねたシート状の成形基材10を用いることができる。図2に示す形態では、シート状の成形基材10は、各層において強化繊維5の方向が異なるように強化繊維5の方向を変えて、複数のシート材4を重ねている。さらに、強化繊維5を引き揃えたシート材4と不織布6とがスティッチングを施して一体化されていてもよい。かかるシート状の成形基材10は、例えば、特許3947560号公報に開示されている。
【0018】
なお、同公報に開示されているシート状の成形基材は、熱可塑性樹脂が不織布として存在している。このため、かかるシート状の成形基材10は、所要の柔軟性を有しており、棒状の内型22の外周面に沿って巻くことができる。本実施形態では、シート状の成形基材10は、同公報に開示されているシート状の成形基材に限定されない。本実施形態では、シート状の成形基材10は、強化繊維の有無、また、強化繊維を有する場合でも、強化繊維の長さや方向について特に限定されない。
【0019】
シート状の成形基材10は、図2に示すように、棒状の内型22に巻かれて、筒状の外型24の内部に収容される。外型24は、内型22の外周を覆う筒形状の部材である。外型24は所要の耐熱性、耐圧性を有しており、外型24の内周面にはパイプの外周面を成形するのに所要の形状を有している。なお、図示は省略するが、外型24は、軸方向に沿って分割可能な割型で形成してもよい。例えば、周方向に2つに割った断面半円形の割型としてもよい。外型24を分割可能な割型で形成することによって、シート状の成形基材10が外周面に巻かれた内型22が容易に収容でき、また成形品の脱型が容易になる。
【0020】
また、図16に示すように、外型24を周方向に分割可能な割型で形成し、当該外型を外側から締め付ける締付部材を備えていてもよい。締付部材として、例えば、外型24の外周面に巻かれて、当該外型24を締め付けるベルト32を用いてもよい。図16に示す形態では、外型24は周方向に3分割されている。この場合、図16に示すように、シート状の成形基材10が外周面に巻かれた内型22を当該外型24の内部に収容した状態で、外型24の外周面にベルト32を巻き、当該ベルト32によって外型24を締め付けてもよい。これにより、外型24からもシート状の成形基材10に圧力を付与することができる。なお、外型24を外側から締め付ける締付部材は、上述したベルト32に限らない。
【0021】
また、シート状の成形基材10が巻かれる内型22は、加熱されることによって膨張する構造を有しているとよい。かかる内型22は種々の形態にて実現できる。また内型22を加熱する加熱装置26の構成は、内型22の構成に応じて適当な構成を採用するとよい。
【0022】
以下、内型22について種々の形態を例示する。
【0023】
≪第1実施形態≫
図4は、第1実施形態に係る内型22Aを備えたパイプ成形装置20Aの使用状態を図示している。図5は、かかるパイプ成形装置20Aの使用状態を示す断面図である。
【0024】
例えば、図4及び図5に示す内型22Aは、加熱されることによって膨張する膨張体42に、軸方向に電熱線44が通されている。この実施形態では、膨張体42として、円柱形状のシリコンラバー42が用いられており、電熱線44としてニクロム線が用いられている。この実施形態では、円柱形状のシリコンラバー42は、具体的には、金属製の芯材46に、円筒形状のシリコンラバー42が装着されている。シリコンラバー42は、径方向に所要の厚さを有している。ニクロム線44は、シリコンラバー42に複数本軸方向に沿って挿通されている。この実施形態では、複数本のニクロム線44をシリコンラバー42の周方向に所要の間隔を開けて挿通させている。かかるシリコンラバー42は、例えば、成形基材にニクロム線を埋め込んだ状態で、シリコンラバー42を成形するとよい。内型22は、シート状の成形基材10に含まれる熱可塑性樹脂を溶融させる程度に加熱される。このため、シリコンラバー42は所要の耐熱性を有しているとよい。
【0025】
この場合、加熱装置は、ニクロム線44に通電する通電装置26Aを備えているとよい。通電装置26Aとしては、例えば、直流電源や交流電源を用いることができる。なお、図4に示す例では、直流電源が用いられている。通電装置26Aは、発熱効率等を勘案して適当な装置を採用するとよい。この内型22Aは、通電装置26Aによってニクロム線44に通電されると、ニクロム線44が発熱し、ニクロム線44が挿通された円筒形状のシリコンラバー42が加熱されるとともに膨張する。これにより、内型22Aが加熱され、内型22Aの外径が大きくなる。シリコンラバー42の径方向の厚さは、かかるシリコンラバー42の膨張の程度を考慮して適切な厚さに設定するとよい。
【0026】
このように、円柱形状のシリコンラバー42に軸方向にニクロム線44が通された内型22Aは、通電装置26Aによってニクロム線44に通電され、ニクロム線44を発熱させると、円柱形状のシリコンラバー42が熱膨張する。このように、ニクロム線44に通電されることによって、内型22Aが加熱され、内型22Aの外径が大きくなる。これにより、内型22Aの外周面と外型24の内周面との間で成形基材10が加熱されるとともに加圧されて、成形基材10が外型24の内周面に沿った形状に成形される。
【0027】
このパイプ成形装置20Aによれば、図4及び図5に示すように、内型22Aの外周面にシート状の成形基材10を巻き、当該シート状の成形基材10が巻かれた内型22Aを筒状の外型24の内部に収容する。そして、内型22Aのニクロム線44に通電することによって、内型22Aを加熱するとともに内型22を膨張させて、内型22Aの外周面と外型24の内周面との間でシート状の成形基材10を加熱するとともに加圧する。これによって、シート状の成形基材10を外型24の内周面に沿った形状に成形することができる。また、成形後、内型22Aの温度が低くなって内型22Aの外径が小さくなると、内型22Aは成形品から離型される。この実施形態では、内型22Aの外周面がシリコンラバー42で構成されているので、成形品に引っ付き難く、離型も容易である。
【0028】
かかるパイプ成形装置20Aにおいて、内型22Aは、ニクロム線44が軸方向に沿って挿通された、円筒形状のシリコンラバー42を、金属製の芯材46に装着した形態を例示した。内型22Aは、かかる形態に限定されない。内型22Aは、中実の円柱形状のシリコンラバーに、ニクロム線を軸方向に挿通させた形態でもよい。また、ニクロム線44に通電する電流は、直流電流を例示したが、交流電流でもよい。なお、加熱されることによって膨張する膨張体42としてシリコンラバーを例示したが、かかる膨張体42はシリコンラバーに限定されない。また、電熱線44としてニクロム線を例示したが、電熱線は通電されることによって発熱し、また所要の耐熱性を有する線材であればよく、ニクロム線に限定されない。
【0029】
≪第2実施形態≫
次に、内型22について他の形態を例示する。図6は、第2実施形態に係る内型22Bを備えたパイプ成形装置20Bの使用状態を図示している。図7は、かかるパイプ成形装置20Bの使用状態を示す断面図である。
【0030】
第2実施形態に係る内型22Bは、図6及び図7に示すように、金属製の芯材62と、芯材62に巻かれた膨張体64(この実施形態では、シリコンラバー)とを備えている。この場合、加熱装置は、芯材62に高周波電流を通電する通電装置26Bを含んでいるとよい。ここでは、高周波電流として、例えば、周波数が10kHz以上の高周波電流を流すとよい。なお、高周波電流の周波数はさらに高くてもよく、100kHz以上の高周波電流を流してもよい。
【0031】
図8は、内型22Bの芯材62に高周波電流を流した状態を示している。高周波電流は、図8に示すように、その特性として、その多くが芯材62の表皮部分62a(表面からある深さの層)を流れる。高周波電流が流れる表皮部分62aの深さδ(cm)は、理論的には、数式1によって求められる。同式中、δ(cm)は、全電流の73%の電流が流れる表面からの層の深さである。ρ(μΩ-cm)は、芯材62に用いられる金属の固有抵抗値である。f(Hz)は周波数であり、μは比透磁率である。そして、当該表皮部分62aで生じる熱量Qは、理論的には、数式2によって求められる。同式中において、R(Ω)は、当該表皮部分62aの抵抗値を示している。また、i(A)は当該表皮部分62aを流れる電流値を示している。また、t(s)は高周波電流が流れた時間を示している。
【0032】
【数1】

【0033】
【数2】

【0034】
この場合、数式1からも分かるように、通電装置26Bによって、内型22Bの芯材62に流される高周波電流の周波数fが高くなればなるほど、δが小さくなり、高周波電流の多くが流れる表皮部分62aが浅くなる。このため、内型22Bは、芯材62の表皮部分62aが発熱し易くなる。
【0035】
この実施形態では、芯材62には、鋼材(この実施形態では、SUS430)が用いられている。SUS430の固有抵抗ρ(μΩ-cm)は、約60〜70(μΩ-cm)であり、SUS430の比透磁率は約20である。また、高周波電流として、10kHz以上の高周波電流が流れる。このため、高周波電流の約63%が流れる表皮部分62aの深さδは、約0.09cm以下になる。この際、高周波電流の周波数を高くすればするほど、高周波電流の多くが流れる表皮部分62aは浅くなり、芯材62の表皮で発熱し易くなる。このように高周波電流の作用によって、図8に示すように、内型22Bの芯材62の表皮部分62aが発熱する。この際、高周波電流を通電すると、表皮部分62aは急速に発熱する。高周波電流を流す時間は、シート状の成形基材10中の熱可塑性樹脂を十分に溶融させ、成形できるように適当に調整するとよい。
【0036】
なお、芯材62に用いられる一般的な金属材料は、例えば、工具鋼として用いられるSKS、SKD、SKT、SKHや、特殊用途鋼に用いられるSUSやSUHなどでもよい。これらの固有抵抗ρ(μΩ-cm)は、約8〜120(μΩ-cm)であり、また、比透磁率は、約300〜1である。通電装置26Bは、高周波電流として、周波数が10kHz以上の高周波電流を芯材62に流すことができる。この場合、金型材料の固有抵抗ρ(μΩ-cm)や比透磁率に比べて、高周波電流の周波数があまりに高いので、上記の数式1からも分かるように、高周波電流の多くが流れる表皮部分62aの深さδは、概ね芯材62に流される高周波電流の周波数によって決まる。10kHz以上の高周波電流を芯材62に流すと、一般的な金型に用いられる材料であれば、高周波電流の多くが流れる表皮部分62aの深さδは約0.009cm以下にできる。
【0037】
このパイプ成形装置20Bによれば、図6及び図7に示すように、内型22Bの外周面にシート状の成形基材10を巻き、当該シート状の成形基材10が巻かれた内型22Bを筒状の外型24の内部に収容する。そして、内型22Bの芯材62に高周波電流を通電することによって芯材62を発熱させる。芯材62が発熱すると、芯材62の周囲に装着されたシリコンラバー64が熱膨張する。これにより、内型22Bの外周面と外型24の内周面との間でシート状の成形基材10を加熱するとともに加圧することができ、シート状の成形基材10を外型24の内周面に沿った形状に成形することができる。また、図8に示すように、高周波電流は、芯材62の表皮部分62aに流れて、表皮部分62aを中心に発熱させるので発熱効率が良く、より短い時間での成形が可能になる。また、この実施形態では、芯材62の表皮部分62aが発熱するので、冷却に要する時間を短くできる。また、この実施形態では、成形後、内型22Bの温度が低くなって内型22Bの外径が小さくなると、内型22Bは成形品から離型される。この実施形態では、内型22Bの外周面がシリコンラバー64で構成されているので、成形品に引っ付き難く、離型も容易である。
【0038】
また、図17に示すように、外型24を支持する支持部材52と、外型24と支持部材52との間に介在した絶縁材54と、外型24に通電することによって外型24を加熱する第2通電装置26Bとを備えていてもよい。この実施形態では、外型24は、内型22Bに通電する通電装置26Bに並列的に接続されており、内型22Bに印加される交流電圧が外型24に印加されている。これにより、外型24を加熱することができる。
【0039】
なお、外型に通電する第2通電装置は、内型に通電する通電装置とは、別の装置で構成してもよい。また、外型に通電する第2通電装置と、内型に通電する通電装置とで、外型と内型に印加する電圧を調整することによって、外型と内型との間で短絡が生じるのを防止できる。また、この場合、シート状の成形基材の強化繊維に導電性を有する繊維(例えば、炭素繊維)が用いられている場合に、外型と内型との間で、当該強化繊維に電気が通り、強化繊維が発熱する。これにより、強化繊維の周りで、熱可塑性樹脂の粘度が低下し、強化繊維に対して熱可塑性樹脂が含浸し易くなる。
【0040】
≪第3実施形態≫
次に、内型22について、さらに他の形態を例示する。図9は、第3実施形態に係る内型22Cを備えたパイプ成形装置20Cの使用状態を図示している。図10は、かかるパイプ成形装置20Cの使用状態を示す断面図である。
【0041】
図9及び図10に示す形態では、内型22Cは、所定温度以上に加熱された際に外径が大きくなる形状記憶合金からなる。この場合、加熱装置は、内型22Cに高周波電流を通電する通電装置26Cを備えているとよい。かかる内型22Cは、所定温度以上に加熱された際に外径が大きくなるように構成するとよい。かかる内型22Cには、例えば、ニッケル−チタン系の合金(Ni−Ti系)又は鉄系の形状記憶合金がある。これらの形状記憶合金には、例えば、市販されている形状記憶合金から変形が生じる温度条件や変形量などの条件が適当な形状記憶合金を用いることができる。かかる形状記憶合金は、例えば、大同特殊鋼株式会社、住友金属工業株式会社、株式会社古河テクノマテリアル、株式会社栗本鉄工所などによって提供されている。また、上記の他、かかる樹脂成形に用いることができる形状記憶合金としては、例えば、Ti−Ni−Zr合金、Ti−Ta合金、Ti−32Ta合金、Ti−27Ta−5Al合金などがある。形状記憶合金は、所定温度以上に加熱されると形状が回復し、記憶処理が施された元の形状に戻る性質を有している。従って、内型22Cに用いられる形状記憶合金としては、樹脂の成型温度に応じた所定の温度で変態する形状記憶合金を選択するとよい。また、内型22Cに用いられる形状記憶合金は、所定温度以上で所要の膨張が得られるように形状の記憶処理が施されているとよい。
【0042】
この場合、内型22Cは、シート状の成形基材10に含まれる熱可塑性樹脂を溶融させる程度に加熱され、当該加熱工程中に内型22Cの外径が大きくなるとよい。また、内型22Cは、シート状の成形基材10の内側に所要の圧力を生じさせるとよい。このため、内型22Cを所定温度に加熱した際に、内型22Cの外径が数%大きくなる程度の変形でもよい。この場合、例えば、シート状の成形基材10に含まれる熱可塑性樹脂の融点よりも30℃〜50℃高い温度(成型温度)に内型22Cを加熱するとよい。例えば、シート状の成形基材10に含まれる熱可塑性樹脂がナイロン6である場合には融点が225℃程度であり、255℃〜275℃程度に内型22Cを加熱するとよい。また、シート状の成形基材10に含まれる熱可塑性樹脂がポリプロピレンである場合には、融点が170℃程度であり、200℃〜220℃程度に内型22Cを加熱するとよい。この際、内型22Cに用いる形状記憶合金を選択する際に、成型する熱可塑性樹脂の成型温度を考慮して、適当な温度で逆変態する形状記憶合金を選択するとよい。例えば、内型22Cに用いられる形状記憶合金が逆変態する温度は、樹脂の成型温度の範囲内、或いは、樹脂の成型温度よりも低くてもよい。また、成型する熱可塑性樹脂を十分に溶融させてから内圧を掛けたい場合には、形状記憶合金が逆変態する温度は、樹脂の成型温度よりも高くてもよい。また、外型24は、かかる内型22Cの膨張に対して変形しないように、所要の剛性を備えているとよい。
【0043】
このパイプ成形装置20Cによれば、図9及び図10に示すように、内型22Cの外周面にシート状の成形基材10を巻き、当該シート状の成形基材10が巻かれた内型22Cを筒状の外型24の内部に収容する。そして、内型22Cに通電することによって、内型22Cを加熱するとともに内型22Cを膨張させて、内型22Cの外周面と外型24の内周面との間でシート状の成形基材10を加熱するとともに加圧する。これによって、シート状の成形基材10を外型24の内周面に沿った形状に成形することができる。なお、内型22Cの外周面とシート状の成形基材10との間に、内型22Cの外周面が成形品に引っ付くのを防止するための離型処理を施してもよい。例えば、内型22Cの外周面とシート状の成形基材10との間に、成形品が引っ付くのを防止するフィルムを介在させてもよい。また、成型後は、形状記憶合金が逆変態する温度よりも低い温度に冷却してから成形品を脱径するとよい。この際、外型24は、周方向において分割が可能な割型(図16参照)とし、外型24を分割して脱型するとよい。また離型時に、内型22Cの外径を収縮させる治具を用い、内型22Cを収縮させて脱型してもよい。
【0044】
≪第4実施形態≫
さらに他の形態を例示する。図11は、第4実施形態に係る内型22Dを備えたパイプ成形装置20Dの使用状態を図示している。図12は、かかるパイプ成形装置20Dの使用状態を示す断面図である。
【0045】
この内型22Dは、図11に示すように、金属製の芯材82に、筒状の形状記憶合金からなる外輪部材84を装着している。かかる外輪部材84は、所定温度以上に加熱された際に外径が大きくなる形状記憶合金からなる。この場合、加熱装置は、芯材82に高周波電流を通電する通電装置26Dを備えているとよい。また、外型24は、かかる内型22Dの膨張に対して変形しないように、所要の剛性を備えているとよい。このように内型は、少なくとも一部において、所定温度以上に加熱された際に外径が大きくなる形状記憶合金からなる部位を有し、加熱装置は、内型の形状記憶合金からなる部位を加熱する装置でもよい。
【0046】
このパイプ成形装置20Dによれば、図11及び図12に示すように、内型22Dの外周面(この実施形態では、外輪部材84の外周面)にシート状の成形基材10を巻き、当該シート状の成形基材10が巻かれた内型22Dを筒状の外型24の内部に収容する。そして、内型22Dの芯材82に高周波電流を通電する。内型22Dの芯材82に高周波電流を通電すると、芯材82の表皮部分82aを中心として芯材82が発熱する。この実施形態では、芯材82が発熱すると、形状記憶合金からなる外輪部材84が加熱されるとともに外輪部材84の外径が大きくなる。これにより、外輪部材84の外周面と外型24の内周面との間で、シート状の成形基材10が加熱されるとともに加圧される。これによって、シート状の成形基材10を外型24の内周面に沿った形状に成形することができる。
【0047】
このように、内型22Dは、図11に示すように、所定温度以上に加熱された際に外径が大きくなる筒状の形状記憶合金で構成された外輪部材84が、金属製の芯材82の外周面に装着されている。この内型22Dは、芯材82に高周波電流を通電することによって、外輪部材84を加熱するとともに、外輪部材84を膨張させることができる。これによって、外輪部材84の外周面と外型24の内周面との間で、シート状の成形基材10を加熱するとともに加圧することができ、シート状の成形基材10を外型24の内周面に沿った形状に成形することができる。なお、外輪部材84の外周面とシート状の成形基材10の間に、外輪部材84の外周面が成形品に引っ付くのを防止するための離型処理を施してもよい。例えば、外輪部材84の外周面とシート状の成形基材10の間に、外輪部材84の外周面が成形品に引っ付くのを防止するフィルムを介在させてもよい。
【0048】
≪第5実施形態≫
さらに他の形態を例示する。図13は、第5実施形態に係る内型22Eを備えたパイプ成形装置20Eの使用状態を図示している。図14は、かかるパイプ成形装置20Eの使用状態を示す断面図である。また、図15は、かかるパイプ成形装置20Eの変形例を示している。
【0049】
内型22Eは、図13及び図14に示すように、所定温度以上に加熱された際に溶ける低融点金属材料からなる芯材102を備えている。この実施形態では、芯材102は、シート状の成形基材10に含まれる熱可塑性樹脂の溶融温度よりも低い温度で溶融する低融点金属材料が用いられている。かかる低融点金属材料は、所定温度以上に加熱された際に溶けて膨張する。かかる低融点の金属材料としては、例えば、ビスマス(Bi)(MP=約281℃(554K))、錫(Sn)(MP=約232℃(505K))、亜鉛(Zn)(MP=約419℃(692K))などが挙げられる。ここで、MPは、融点(melting point)を示している。
【0050】
また、低融点金属材料は、合金でもよい。例えば、Sn(錫)、Bi(ビスマス)、Pb(鉛)、Cd(カドニウム)、In(インジウム)、Zn(亜鉛)などの共晶合金を用いることができる。例えば、ビスマス−アンチモン合金(Bi-Sb合金)、ビスマス−リチウム合金(Bi-Li合金)、亜鉛−錫合金(Zn-Sn合金)、鉛−錫合金(Pb-Sn合金)などがある。全率固溶型のビスマス−アンチモン合金(Bi-Sb合金)の融点は、ビスマスとアンチモンの組成比に応じて、Biの融点(約281℃)から連続的に変化する。また、Biが0.5〜1質量%のビスマス−リチウム合金(Bi-Li合金)は、融点は約243℃である。また、亜鉛−錫合金(Zn-Sn合金)は、亜鉛と錫の濃度に応じて融点が調整される。当該合金の融点は、組成比に応じて約198℃から232℃まで、変化させることができる。また、鉛−錫合金(Pb-Sn合金)の融点は、共晶型合金で、融点は183℃〜232℃である。
【0051】
かかる低融点金属材料は、例えば、融点や、固体−液体の体積膨張率等を勘案して適当な金属材料を用いるとよい。また、芯材102に用いるのに適当な低融点金属材料として、成型する熱可塑性樹脂の融点又は成型温度に応じて、適当な温度で溶ける低融点金属材料を選択するとよい。例えば、熱可塑性樹脂の融点よりも高く、熱可塑性樹脂の成型温度よりも低い融点を有する低融点金属材料を選択してもよい。この場合、シート状の成形基材10内で熱可塑性樹脂が溶融した後で、低融点金属材料が溶けてシート状の成形基材10が内側から加圧される。この場合、熱可塑性樹脂が強化繊維に含浸し易くなる。また、熱可塑性樹脂の融点よりも低い融点を有する低融点金属材料を選択してもよい。この場合、内型22Eに用いられた低融点金属材料が熱可塑性樹脂よりも先に溶ける。その後、さらに熱可塑性樹脂の成型温度まで加熱する。この場合、内型22Eに用いられた低融点金属材料が熱可塑性樹脂よりも先に溶けるので、シート状の成形基材10が内側から加圧され、その状態で、熱可塑性樹脂の成型温度まで加熱される。このように、内型22Eに用いられた低融点金属材料は、所望の成形加工が行われるように、成形するシート状の成形基材10に含まれる熱可塑性樹脂に対して所要の融点を有する低融点金属材料を選択するとよい。
【0052】
また、この実施形態では、加熱装置26は、芯材102に高周波電流を通電する通電装置26Eを備えている。この実施形態では、外型24の外周回りに捲回されたコイル112を備えており、通電装置26Eは、当該コイル112に高周波電流を通電することによって、芯材102に誘導電流を生じさせている。また、この実施形態では、コイル112と外型24とを、外型24の軸方向に沿って相対的に移動させる移動機構114を備えている。当該移動機構114は、コイル112を外型24に対して移動させる機構でもよいし、外型24をコイル112に対して移動させる機構でもよい。
【0053】
この実施形態では、コイル112に高周波電流を通電することによって、低融点金属からなる内型22Eの芯材102に誘導電流が生じる。かかる誘導電流によって、芯材102が発熱する。この際、芯材102は、シート状の成形基材10に含まれる熱可塑性樹脂の溶融温度よりも低い温度で溶融する低融点の金属材料を用いるとよい。かかる芯材102は、溶融すると体積が大きくなる。図13の例では、外型24の軸方向の両側端部を除く、中間部分でコイル112を移動させ、当該中間部分で、低融点金属からなる芯材102を溶融させるとよい。外型24の軸方向の両側端部を除く、中間部分で芯材102を溶融させることができ、当該中間部分で芯材102の体積が大きくなる。外型24は、芯材102の体積が大きくなった場合に、変形しないように所要の剛性を備えているとよい。このパイプ成形装置20Eは、溶融した芯材102と外型24の内周面との間で、シート状の成形基材10を加熱するとともに加圧することができる。これによって、シート状の成形基材10を外型24の内周面に沿った形状に成形することができる。この場合、外型24の軸方向の両側端部を除く中間部分において、シート状の成形基材10を成形することができる。この場合、成形品は両側端部を切断して取り除くとよい。
【0054】
また、内型22Eがかかる低融点金属からなる芯材102を備えている場合には、図15に示すように、外型24は、芯材102の外周を覆う外装体122と、軸方向の両端を覆う栓体124とを備えていてもよい。この場合、芯材102の軸方向の両側端部が、栓体124で覆われているので、芯材102を全体として溶融させることができる。この場合、シート状の成形基材10を全体として成形できる。
【0055】
以上、内型22について種々の形態を説明した。パイプ成形装置20は、図1に示すように、加熱されることによって膨張する棒状の内型22と、内型22の外周を覆う筒状の外型24と、内型22を加熱する加熱装置26とを備えている。かかるパイプ成形装置20では、図1及び図2に示すように、シート状の成形基材10を、棒状の内型22の外周に巻いて筒状の外型24の内部に収容する。そして、内型22を加熱し、内型22の外径を大きくする。これにより、内型22の外周面と外型24の内周面との間で成形基材10を加熱するとともに加圧して、成形基材10を外型24の内周面に沿った形状に成形することができる。かかるパイプ成形装置では、シート状の成形基材10には、強化繊維として連続繊維を用いることができる。また、強化繊維を所定の方向に揃えた状態で、内型22と外型24の間に配置することができる。このため、強化繊維が所定の方向に揃った熱可塑性樹脂を母材とするパイプを成形することができる。このように、このパイプ成形装置20は、強化繊維として連続繊維を所定の方向に揃えた、熱可塑性樹脂を母材とするパイプを成形するのに、好適に用いることができる。
【0056】
以上、本発明の実施形態に係るパイプ成形装置を種々説明したが、本発明に係るパイプ成形装置は、上述した実施形態に限定されない。
【0057】
内型は、上述したように種々の形態を採用することができる。また、加熱装置は、上述したように、内型の構造に応じて適当な加熱装置を採用するとよい。例えば、シリコンラバーにニクロム線を挿通した形態では、ニクロム線に通電することによって、ニクロム線を発熱させることができる。この場合、加熱装置は、直流電源を用いてもよいし、交流電源を用いてもよい。また、内型を加熱する構造として、金属に高周波電流を通電させる構造を備えている場合、高周波電流は、金属に直接通電してもよいし、電磁誘導の作用で誘導電流を金属に生じさせてもよい。内型の材料、外型の材料などは、上述した材料に限定されず、上述したパイプ成形装置の機能を奏するように、適宜に適当な材料を選択するとよい。また、パイプ成形装置には、内型の加熱のために通電されるが、この場合、パイプ成形装置は適当な部位に絶縁体を介在させて配置するとよい。これにより、パイプ成形装置からの漏電を防止できる。
【符号の説明】
【0058】
10 シート状の成形基材
20、20A、20B、20C、20D、20E パイプ成形装置
22、22A、22B、22C、22D、22E 内型
24 外型
26、26A、26B、26C、26D、26E 加熱装置(通電装置)
42 シリコンラバー(膨張体)
44 ニクロム線(電熱線)
46 芯材
62 芯材
62a 表皮部分
64 シリコンラバー(膨張体)
82 芯材
82a 表皮部分
84 外輪部材
102 芯材
112 コイル
114 移動機構
122 外装体
124 栓体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
加熱されることによって膨張する棒状の内型;
前記内型の外周を覆う筒状の外型;
及び、前記内型を加熱する加熱装置;を備えた、パイプ成形装置。
【請求項2】
前記内型は、加熱されることによって膨張する膨張体に、軸方向に電熱線が通されており、
前記加熱装置は、前記電熱線に通電する通電装置を含む、請求項1に記載されたパイプ成形装置。
【請求項3】
前記内型は、金属製の芯材と、前記芯材の外周に装着され、加熱されることによって膨張する膨張体とを備え、
前記加熱装置は、前記芯材に高周波電流を通電する通電装置を備えた、請求項1に記載されたパイプ成形装置。
【請求項4】
前記内型は、所定温度以上に加熱された際に外径が大きくなる形状記憶合金からなる部位を有し、
前記加熱装置は、前記内型の形状記憶合金からなる部位を加熱する、請求項1に記載されたパイプ成形装置。
【請求項5】
前記内型は、金属製の芯材と、前記芯材に装着されており、所定温度以上に加熱された際に外径が大きくなる筒状の形状記憶合金からなる外輪部材とを備え、
前記加熱装置は、前記芯材に高周波電流を通電する通電装置を備えた、請求項1に記載されたパイプ成形装置。
【請求項6】
前記内型は、所定温度以上に加熱された際に溶ける低融点金属材料からなる芯材を備え、
前記加熱装置は、前記芯材に高周波電流を通電する通電装置を備えた、請求項1に記載されたパイプ成形装置。
【請求項7】
前記外型は、前記芯材の外周を覆う外装体と、軸方向の両端を覆う栓体とを備えている、請求項6に記載されたパイプ成形装置。
【請求項8】
前記通電装置は、外型の外周回りに捲回されたコイルと、当該コイルに高周波電流を通電する高周波電源とを備えた、請求項3から7までの何れか一項に記載されたパイプ成形装置。
【請求項9】
前記外型は、周方向に分割可能な割型で形成されており、
当該外型を外側から締め付ける締付部材を備えた、請求項1から8までの何れか一項に記載されたパイプ成形装置。
【請求項10】
前記外型を支持する支持部材と、
前記外型と支持部材との間に介在した絶縁材と、
前記外型に通電することによって外型を加熱する第2通電装置と
を備えた、請求項1から9までの何れか一項に記載されたに記載されたパイプ成形装置。
【請求項11】
熱可塑性樹脂を母材樹脂とするシート状の成形基材を、加熱されることによって膨張する棒状の内型の外周に巻く工程;
シート状の成形基材が巻かれた内型を筒状の外型の内部に収容する工程;
及び、内型を加熱し、内型の外周面と外型の内周面との間で成形基材を加熱するとともに加圧して、成形基材を外型の内周面に沿った形状に成形する工程;を備えたパイプ成形方法。
【請求項12】
前記シート状の成形基材として、一方向に強化繊維を引き揃えたシート材に、熱可塑性樹脂からなる不織布を重ねたシート状の成形基材を用いる、請求項11に記載のパイプ成形方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2011−62818(P2011−62818A)
【公開日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−212843(P2009−212843)
【出願日】平成21年9月15日(2009.9.15)
【出願人】(503027931)学校法人同志社 (346)
【出願人】(510053617)
【Fターム(参考)】