パターン測定方法及びコンピュータプログラム
【課題】本発明は、プロセス変動に依らず、高精度な測定,検査条件の設定を可能とする測定,検査条件設定方法、及びコンピュータプログラムの提供を目的とする。
【解決手段】上記目的を達成するための一態様として、異なる製造条件にて形成された複数のパターンについて、荷電粒子線装置を用いた測定を行い、当該複数のパターンの基準寸法と、当該測定結果との差異、或いはばらつきが相対的に小さくなる測定条件を選択する測定条件設定方法、及びコンピュータプログラムを提案する。複数パターンの基準寸法は、原子間力顕微鏡(Atomic Force Microscope:AFM)によって、上記複数のパターンを測定することによって得るようにしても良いし、半導体パターンの設計データにシミュレーションを施すことによって得られるパターンの断面形状等に基づいて求めるようにしても良い。
【解決手段】上記目的を達成するための一態様として、異なる製造条件にて形成された複数のパターンについて、荷電粒子線装置を用いた測定を行い、当該複数のパターンの基準寸法と、当該測定結果との差異、或いはばらつきが相対的に小さくなる測定条件を選択する測定条件設定方法、及びコンピュータプログラムを提案する。複数パターンの基準寸法は、原子間力顕微鏡(Atomic Force Microscope:AFM)によって、上記複数のパターンを測定することによって得るようにしても良いし、半導体パターンの設計データにシミュレーションを施すことによって得られるパターンの断面形状等に基づいて求めるようにしても良い。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、試料の測定,検査を行う荷電粒子線装置に係り、特に試料の測定、或いは検査の条件を適性に設定するパターン測定方法及びコンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
半導体デバイスを構成する微小パターンの測定や検査に用いられる走査型電子顕微鏡は、デバイスの製造プロセスの変動で起きるパターン形状の変化を捉え、良品と不良品の判別をする指針となる測定結果を出力する。特に、寸法測定機能付きの走査型電子顕微鏡や、参照画像と試料画像を比較して欠陥を検出する欠陥検査機能付きの走査型電子顕微鏡は、レシピと呼ばれる処理条件が登録されたプログラムに基づいて、測定或いは検査を自動実行する。
【0003】
上述のような、試料の測定や検査を実行する走査型電子顕微鏡に設定される測定,検査条件には、種々の変動要因に依らず、安定した測定結果,検査結果の出力が望まれる。特許文献1には、荷電ビームの焦点ずれによって測定精度を低下させないために、焦点距離を変えて取得した複数の二次電子波形を記憶し、パターン寸法を算出するためのスライスレベルを変えながら、記憶させた波形に順次測定を実施し、測定した寸法のばらつきが最小となるようなスライスレベルを決定し、波形解析条件の最適化を行う手法が説明されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平5−60540号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一方、走査電子顕微鏡等の測定,検査の対象の1種である半導体デバイスは、種々の要因で発生するプロセス変動によって、パターン形状が変化する可能性がある。このようなプロセス変動の発生によって、プロセス変動発生前は適切であった測定,検査条件が、不適切なものとなる可能性がある。特許文献1には、プロセス変動に応じた測定,検査条件の設定について何も言及されていない。
【0006】
以下に、プロセス変動に依らず、高精度な測定,検査条件の設定を目的とするパターン測定方法及びコンピュータプログラムについて、説明する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するための一態様として、異なる製造条件にて形成された複数のパターンについて、荷電粒子線装置を用いた測定を行い、当該複数のパターンの基準寸法と、当該測定結果との差異、或いはばらつきが相対的に小さくなる測定条件を選択するパターン測定方法及びコンピュータプログラムを提案する。複数パターンの基準寸法は、原子間力顕微鏡(Atomic Force Microscope:AFM)によって、上記複数のパターンを測定することによって得るようにしても良いし、半導体パターンの設計データにシミュレーションを施すことによって得られるパターンの断面形状等に基づいて求めるようにしても良い。
【0008】
また、上記目的を達成する他の態様として、荷電粒子線画像内で画像認識を行うためのテンプレートを設定する際に、異なる製造条件にて形成された複数のパターンについて、画像を形成し、当該複数の画像について、複数のテンプレートを用いて画像認識を行い、所定の条件を満たすテンプレートを、画像認識用のテンプレートとして設定するパターン測定方法及びコンピュータプログラムを提案する。
【発明の効果】
【0009】
上記構成によれば、プロセス変動に依らず、高精度な測定,検査条件の設定が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】走査電子顕微鏡の概略構成図。
【図2】プロセス変動によって生じるパターン幅の変形例を説明する図。
【図3】プロセス変動によって生じるパターン形状の変形例を説明する図。
【図4】寸法測定機能付きの走査型電子顕微鏡による測定処理の概要を説明する図。
【図5】テンプレートによるパターン認識の概要を説明する図。
【図6】プロセス変動によって生じるパターン形状の変化を説明する図。
【図7】プロセス変動があっても変形が生じないパターンを例示する図。
【図8】プロセス変動によって、テンプレート形状と実際に撮像されたパターンの形状との間に乖離が生じた例を説明する図。
【図9】光学式露光装置のフォーカス条件を変化させて形成した複数のパターンに対し、異なる計測条件でSEMによる測定を実行することによって、適正な計測条件を見出す工程を説明するフローチャート。
【図10】異なる計測条件の組み合わせ毎に測定値を表示した表示画面例を説明する図。
【図11】直線近似法の概略説明図。
【図12】光学式露光装置のエネルギー条件を変化させて形成した複数のパターン例を説明する図。
【図13】2種類のテンプレートを例示する図。
【図14】複数のテンプレートから、適正なテンプレートを選択する工程を説明するフローチャート。
【図15】異なる製造条件にて形成されたパターンに対し、テンプレートによって画像認識を行ったときの評価値の変化を説明する図。
【図16】異なる製造条件にて形成されたパターンに対し、テンプレートによって画像認識を行ったときの評価値について、第1候補と第2候補の差分の変化を説明する図。
【図17】GUI画面の一例を説明する図。
【図18】図17の条件設定用GUI画面上で設定された条件に基づいて、差分のばらつきや平均を演算した結果を表示する表示画面の一例を説明する図。
【図19】複数のSEM及びAFMを含む計測システムの概略説明図。
【図20】露光シミュレーションによって求められたパターン寸法と、実測値との差分を演算する工程を説明するフローチャート。
【図21】ばらつき演算等に基づく計測条件設定工程を説明するブロック図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
CD−SEM(Critical Dimension-Scanning Electron Microscope)の計測処理条件は、半導体プロセスの変動によるパターン形状の変化に依らず、適正な測定結果を出力するように設定される必要がある。しかしながら、プロセス変動を鑑みた測定条件の設定は困難であり、条件の設定はオペレータの経験と勘に基づいて行われてきた。CD−SEMは通常、レシピと呼ばれる動作条件プログラムによって、自動的に測定処理を実行する装置であるが、このようなレシピは、上述のように半導体の製造プロセスの変化によって、パターンの形状が変化することを見込んで設定しないと、意図しない部分の測定値が出力されてしまう可能性がある。
【0012】
計測処理の代表的な例として、線状のパターンを測定する際、二次電子画像の断面信号波形を求め、その信号波形のスライスレベルと呼ばれる高さをパターンのエッジとし、左右のエッジの距離を測る手法がある。スライスレベルを適正に決定しないと、意図しない部分の測定を行うことになり、適正な測定結果を得ることができない。
【0013】
以下に、プロセス変動に依らず、高精度に測定,検査を行うための条件を設定する方法、及び装置を図面を用いて説明する。
【0014】
以下に説明する実施例の主な課題は二つ挙げられるが、いずれもデバイスの製造プロセスの変動で起きるパターン形状の変化に対応するための計測処理の条件決定に関するものである。尚、第一の課題、及び、第二の課題に共通する計測処理条件は、電子顕微鏡の撮像条件(電子顕微鏡の加速電圧,プローブ電流,電磁コイル電流値,検出部位の明るさやコントラスト調整条件,撮像倍率,電子線の走査速度,画像生成時のスキャン枚数等)である。
【実施例1】
【0015】
本実施例は、プロセス変動があっても、適正な測定結果を得ることを、技術課題とするものであり、より具体的には、プロセス変動が発生したとしても、高い測定精度を維持する測定条件を設定する手法、及び装置に関するものである。
【0016】
図1は、寸法測定機能付きの走査型電子顕微鏡(CD−SEM)の概要構成図である。走査型電子顕微鏡を用いたパターンの寸法を計測では、表面にパターンが形成された試料に、あらかじめ設定された撮像条件で収束させた電子線を照射して走査し、収束させた電子線の照射により試料から発生する2次電子を検出し、当該2次電子等に基づいて、プロファイル波形を形成する。電子源1から引出電極2によって引き出され、図示しない加速電極によって加速された電子ビーム3は、集束レンズの一形態であるコンデンサレンズ4によって、絞られた後に、走査偏向器5により、真空チャンバ7内に配置された試料9上を一次元的、或いは二次元的に走査される。電子ビーム3は試料台8に内蔵された電極に印加された負電圧により減速されると共に、対物レンズ6のレンズ作用によって集束されて試料9上に照射される。
【0017】
電子ビーム3が試料9に照射されると、当該照射個所から二次電子、及び後方散乱電子のような電子10が放出される。放出された電子10は、試料に印加される負電圧に基づく加速作用によって、電子源方向に加速され、変換電極12に衝突し、二次電子11を生じさせる。変換電極12から放出された二次電子11は、検出器13によって捕捉され、捕捉された二次電子量によって、検出器13の出力Iが変化する。この出力Iに応じて図示しない表示装置の輝度が変化する。例えば二次元像を形成する場合には、走査偏向器5への偏向信号と、検出器13の出力Iとの同期をとることで、走査領域の画像を形成する。
【0018】
なお、図1の例では試料から放出された電子を変換電極にて一端変換して検出する例について説明しているが、無論このような構成に限られることはなく、例えば加速された電子の軌道上に、電子倍像管や検出器の検出面を配置するような構成とすることも可能である。
【0019】
制御装置14は、走査電子顕微鏡の各構成を制御すると共に、検出された電子に基づいて画像を形成する機能や、ラインプロファイルと呼ばれる検出電子の強度分布に基づいて、試料上に形成されたパターンのパターン幅を測定する機能を備えている。ラインプロファイルは、取得した画像の断面信号波形を加算平均処理し、波形の移動平均をとることによって平滑化処理を波形に適用する。移動平均をする範囲は通常、ピクセルで定義される。形成されたラインプロファイルと、設定されたスライスレベルに基づいて、パターンのエッジを決定し、左右のエッジの距離を計算することによって寸法値を出力する。
【0020】
以下に説明する実施例では、測定装置の一態様として、走査電子顕微鏡を例にとって説明するが、これに限られることはなく、例えばヘリウムイオンや液体金属イオンビームを試料に照射する集束イオンビーム装置等、他の荷電粒子線装置を含む測定装置への適用が可能である。
【0021】
図4に例示するように、スライスレベルは、エッジ付近のプロファイルのピーク部分の最大値と最小値をそれぞれ100%(Max l)と0%(Max r)とし、パーセンテージの設定によって、エッジを定義する高さ(スライスレベルl,r)決める。寸法測定の上で必要となる計測処理条件は、平滑化時の移動平均領域とスライスレベルの値の2項目である。
【0022】
プロセス変動でおこるパターン形状の変化は、その後の工程に影響し、結果的にはデバイスの電気特性を左右するため、プロセス変動による不良品を測定結果に基づいて判別する必要がある。図2及び図3に、線状のパターンの形状変化例を示す。プロセス変動によって、図2に例示するような線幅の変化だけではなく、図3に例示するように側壁形状や高さの変化がおきる場合がある。通常パターンと下地の接している領域を検査する必要があり、図3に例示するような形状変化があった場合であっても、測定を希望する部位の寸法が同じであるならば、走査型電子顕微鏡の寸法結果は同じ寸法値を出力することが望ましい。
【0023】
しかしながら、走査型電子顕微鏡の2次電子放出効率は入射電子線と試料表面の角度に左右されるため、寸法算出に使われる二次電子信号の波形形状に変化を及ぼす。したがって、デバイスの性能に関わらない形状変化には左右されないように、適切な計測処理条件を決定することが課題である。
【0024】
そこで、本実施例では、ウェーハ面内で製作条件を変え、プロセス変動を再現した試料を使い、プロセス変動によって起こりうるパターン形状変化時でも適切な計測処理を可能とする条件を見出す手法を提案する。サンプルの例としては、露光条件を変化させたFEMウェーハである。FEMとは、Focus Energy Matrixと呼ばれる処理の略で、通常、露光装置の最適なパラメータを見出すために使用されるサンプルである。ウェーハ面内でフォトレジストパターンの露光条件を変化させているため、形状が異なるパターンがウェーハ面内に用意するこができる。適切な寸法測定条件を決定させる際に、適切な部位の測定をしているかの確認は、AFM(Atomic Force Microscope)を用いて断面形状情報を求め、当該断面形状情報から得られるパターンの寸法値と、走査型電子顕微鏡の寸法測定結果を照らし合わせることで行う。
【0025】
上記手法によれば、半導体製造プロセス制御のために必要な寸法測定を、製造プロセスが変動によってパターン形状が変化した際でも適切に取得することができる。本実施例によれば、検査を開始する前段階から最適なレシピを準備することができ、不要な誤測定や、エラーを防ぐことが可能となる。
【0026】
図19は、データ管理装置1901を中心として、複数のSEMが接続されたシステムを例示している。特に本実施例の場合、SEM1902は主に半導体露光プロセスに用いられるフォトマスクやレチクルのパターンの測定や検査を行うためのものであり、SEM1903は主に、上記フォトマスク等を用いた露光によって半導体ウェーハ上に転写されたパターンを測定,検査するためのものである。SEM1902とSEM1903は、電子顕微鏡としての基本構造に大きな違いはないものの、それぞれ半導体ウェーハとフォトマスクの大きさの違いや、帯電に対する耐性の違いに対応した構成となっている。
【0027】
各SEM1902,SEM1903にはそれぞれの制御装置1904,14が接続され、SEMに必要な制御が行われる。各SEMでは、電子源より放出される電子ビームが複数段のレンズにて集束されると共に、集束された電子ビームは走査偏向器によって、試料上を一次元的、或いは二次元的に走査される。
【0028】
電子ビームの走査によって試料より放出される二次電子(Secondary Electron:SE)或いは後方散乱電子(Backscattered Electron:BSE)は、検出器により検出され、前記走査偏向器の走査に同期して、フレームメモリ等の記憶媒体に記憶される。また、走査偏向器による走査は任意の大きさ,位置、及び方向について可能であり、後述する画像を形成するための走査やエッジ部分への選択的走査を可能にしている。
【0029】
以上のような制御等は、各SEMの制御装置1904,14にて行われ、電子ビームの走査の結果、得られた画像や信号は、通信回線1906,1907を介してデータ管理装置1901に送られる。なお、本例では、SEMを制御する制御装置と、SEMによって得られた信号に基づいて測定を行うデータ管理装置を別体のものとして、説明しているが、これに限られることはなく、データ管理装置にて装置の制御と測定処理を一括して行うようにしても良いし、各制御装置にて、SEMの制御と測定処理を併せて行うようにしても良い。
【0030】
また、上記データ管理装置或いは制御装置等のコンピュータには、測定処理を実行するためのプログラムが記憶されており、当該プログラムに従って測定、或いは演算が行われる。当該プログラムは、コンピュータにて読み取り可能な記録媒体に記憶されている。更にデザインデータ管理装置には、半導体製造工程に用いられるフォトマスク(以下単にマスクと称することもある)やウェーハの設計データが記憶されている。この設計データは例えばGDSフォーマットやOASISフォーマットなどで表現されており、所定の形式にて記憶されている。なお、設計データは、設計データを表示するソフトウェアがそのフォーマット形式を表示でき、図形データとして取り扱うことができれば、その種類は問わない。また、データ管理装置とは別に設けられた記憶媒体にデザインデータを記憶させておいても良い。
【0031】
また、データ管理装置1901には、シミュレータ1908が接続されている。シミュレータ1908には、外部の記憶媒体、或いはデータ管理装置1901に記憶された設計データと、半導体製造プロセス条件等に基づいて、パターンレイアウトを作成するプログラムと、それを実行する演算装置が内蔵されており、当該シミュレーション後のレイアウトデータを、データ管理装置に伝送可能に構成されている。なお、本実施例では、シミュレーションをシミュレータ1908内にて行う例について説明するが、これに限られることはなく、例えばデータ管理装置1908内にて、上記プログラムを実行することにより、シミュレーションを行うようにしても良い。
【0032】
また、データ管理装置1901は、SEMの動作を制御するプログラム(レシピ)を、半導体の設計データに基づいて作成する機能が備えられており、レシピ設定部としても機能する。具体的には、設計データ,パターンの輪郭線データ、或いはシミュレーションが施された設計データ上で所望の測定点,オートフォーカス,オートスティグマ,アドレッシング点等のSEMにとって必要な処理を行うための位置等を設定し、当該設定に基づいて、SEMの試料ステージや偏向器等を自動制御するためのプログラムを作成する。すなわち、データ管理装置1901や制御装置14は測定条件設定装置として機能する。
【0033】
また、データ管理装置1901は、半導体デバイスの設計データが登録されたデータベースを記憶、或いは外部の記憶媒体に記憶された設計データにアクセス可能に構成されており、任意の設定に応じてデータベースより必要なデータが読み出すように構成されている。
【0034】
更にデータ管理装置1901には、AFM(Atomic Force Microscope)1909が接続されている。AFMは探針と試料表面間に働く原子間力を検出して画像化する装置であり、探針の変化をカンチレバー1911の変位として捉えることで、試料表面形状を評価する装置である。AFM1901で得られた形状情報から、試料の特定部位(例えば、ラインパターンと下地と接している部位)間の寸法値を取得し、当該寸法値情報を、制御装置1910を介して、データ管理装置1901、或いは制御装置1905に伝送する。なお、このような基準寸法値を測定する装置は、AFMに限らず、STM(Scanning Tunneling Microscope)等の他のSPM(Scanning Probe Microscope)装置であっても良い。
【0035】
本実施例では、プロセス変動に伴うスライスレベルと、測定したい部位(例えば、ラインパターンと下地と接している部位)とのずれの影響を抑制し得る測定パラメータの決定手法について説明する。本実施例では、図9に例示するように、ウェーハの露光条件のうち、フォーカスを5段階に変化させ、当該露光条件の変化を、プロセス変動と見立てた例を説明する。図9の例では、光学式露光装置のフォーカス条件を5段階に変化させて、パターンの露光を行っており、この5段階を、F1,F2,F3,F4,F5と呼ぶ。
【0036】
本実施例では、平滑化の移動平均領域3,11,19,27とスライスレベル10,30,50,70,90の最良な組み合わせを決定することを目的とする。測定に使用する装置である走査型電子顕微鏡とAFMでは、倍率のずれがないことを前提とする。
【0037】
図9に決定処理の流れを示す。まず、F1からF5の2次電子画像を走査型電子顕微鏡で取得し、図10に示す20種類の移動平均領域とスライスレベルの組み合わせ条件aからtで寸法値を算出する。次に、AFMで同じF1からF5の箇所の断面形状を求め、検査対象となる部位の寸法を計測する。一つの組み合わせ条件において、F1からF5の走査型電子顕微鏡とAFM間の差分を求める。差分の平均値が零に最も近く(或いは差分の加算値が最小)、また、差分のばらつきが最小の組み合わせ条件を適切な計測処理条件として決定する。また、平均値やばらつきに所定のしきい値を設定しておき、当該しきい値を下回った、あるいはしきい値以下の組み合わせを選択するようにしても良い。
【0038】
本実施例では2つのパラメータのみを取り扱ったが、撮像条件や断面波形を求める前処理である、加算平均処理条件等も含めて、様々な組み合わせで最適条件を見極めることが可能である。効果として、設定できる条件がたくさんある中、プロセス変動が生じる前に最適値を設定できることで、誤った不良判定を下す危険性を事前に防ぐことができる。さらに、組み合わせ内容を豊富にすることにより、検査したいパターン部位の変化を的確に寸法として出力するだけでなく、検査に見合った再現性で寸法結果を出力する条件を見出せることも期待できる。
【0039】
断面波形を処理する方式として、スライスレベルを使用する手法を例としてあげたが、直線近似法等を手法でも幾つかの条件設定が必要とされる。
【0040】
図11は直線近似法の概略を説明する図である。直線近似法では、断面信号波形のエッジ箇所において最大の傾斜部位31の接線と、ベースライン34の交点をパターンエッジとして認識する。最大の傾斜部位の決定は、信号波形の微分したプロファイルで事前に決めたスライスレベルを超える最大値を使用する。また、ベースラインは、エッジの外側領域32の平均値を求めることによって求められるが、その平均値を算出するために使われる領域を決定する必要がある。この決定にも上述のような製造条件を変化させたときに得られる複数の基準寸法値との比較に基づく、最適条件の決定法を適用することができる。効果として、設定できる条件がたくさんある中、プロセス変動が生じる前に最適値を設定できることで、誤った不良判定を下す危険性を事前に防ぐことができる。さらに、組み合わせ内容を豊富にすることにより、検査したいパターン部位の変化を的確に寸法として出力するだけでなく、検査に見合った再現性で寸法結果を出力する条件を見出せることも期待できる。
【0041】
フォーカスのみならず、エネルギーを変化させて面内全域でプロセス変動を再現したパターン形成をすることも可能である。さらに、露光条件のみならず、エッチング条件を変化させたウェーハを何枚か用いて、エッチング工程のプロセス変動を再現することも可能である。
【0042】
このように、露光条件だけでなく、その他のプロセス条件に基づいて、或いは複数の製造条件を含めて、測定条件を決定することによって、種々のプロセス変動要因に対応した測定装置の条件設定が可能となる。
【0043】
なお、考慮すべきプロセス変動要因が多い程、測定条件設定作業が複雑化するため、効率化する手法として以下の2つの手法が考えられる。まず、(a)画像だけ電子顕微鏡で取得し、画像をオフライン測定システムに入力して繰り返し作業をさせることが考えられる。更に、(b)実験計画法や田口メソッド等の手法で効率よく条件設定をすることにより、全組み合わせを網羅する必要を最小限に留めることが考えられる。特に(a)に関しての効果として、画像を何度も同じ箇所で取得すると、電子顕微鏡ではカーボン系のコンタミネーションが付着することで、二次電子画像に変化を及ぼしてしまう。このような誤差要因を除くためには、同じ画像を用いて、各種条件の評価を行うことが望ましい。
【0044】
図17は、CD−SEMによって取得した画像を用いて、測定条件を設定するためのGUI(Graphical User Interface)画面の一例を説明する図である。この場合、基準となるデータは事前に取得しておき、GUI画面上にて、マニュアル設定する。
【0045】
操作者は、制御装置14、或いはデータ管理装置1901に内蔵された記憶媒体、或いはこれら装置がネットワーク経由でアクセス可能な外部の記憶媒体に記憶された画像データから任意のデータを選択するために、画像フォルダ参照ボタン43を選択することによってGUI画面上に現れる複数の画像フォルダの中から任意の画像を表示させる。複数の選択肢の中から選択された画像フォルダは、画像フォルダ名表示部42に表示される。更に操作者は、測定個所設定画面45にて測定処理を実行する領域を設定する。基準データ入力部44にはAFM等によって予め取得した寸法データを表示させる。この場合、予め記憶媒体に記憶された情報を読み出すようにしても良いし、取得データをマニュアル入力するようにしても良い。また、条件入力ウィンドウ46に、平滑化処理条件やスライスレベル条件を入力し、実行キー47を押すことによって、平均値やばらつきの演算を実行する。ばらつきは、一般的なばらつきの演算法の適用が可能である。なお、複数の平滑化条件やスライスレベルを、カンマで分けて条件入力ウィンドウ46に設定可能とすることによって、平滑化処理とスライスレベルの各種組み合わせの評価が可能となる。なお、演算はデータ管理装置1901で行うようにしても良いし、制御装置14にて行うようにしても良い。また、外部の演算装置にて演算を行うようにしても良い。
【0046】
図18は、図17の条件設定用GUI画面上で設定された条件に基づいて、差分のばらつきや平均を演算した結果を表示する表示画面の一例を説明する図である。このように各差分データと平均値、及びばらつきを表示することによって、操作者は予想されるプロセス変動との比較に基づいて、測定条件を設定することが可能となる。
【0047】
本実施例では、AFMのような走査プローブ顕微鏡による測定結果を基準寸法値として条件の決定を行ったが、その他のパターン断面観察手法を用いても良い。例えば、断面を透過型電子顕微鏡(Transmission Electron Microscope)や、走査型電子顕微鏡で観察することによって、断面寸法を測定するようにしても良いし、X線を用いた断面評価法を適用するようにしても良い。さらに、シミュレーションによって予測される断面形状のみを使用することも可能である。特にシミュレーションを使用する効果として、様々なプロセス変動を再現し、断面形状のみならず、寸法測定機能付きの走査型電子顕微鏡で測定可能な表面画像も作成すれば、サンプル作成が不要となり、より効率が良い条件決定が可能となる。
【0048】
図20は、半導体デバイスの設計データのシミュレーションに基づいて、各測定条件における基準寸法値とSEMによる実測値との差異を算出する工程を説明するフローチャートである。図20に例示するような工程を、複数の露光条件(パターンの製造条件)ごとに行い、製造条件ごとの差分のばらつきを算出する。図21は、演算装置等で行われるばらつき演算等に基づく計測条件設定工程を説明するブロック図である。例えばスライスレベル等を変化させた複数の計測条件ごとに、複数の製造条件で取得された複数のパターンの寸法値を取得し、当該複数の寸法値と、シミュレーションによって得られたシミュレーション値の差分をばらつき演算部にて演算する。計測条件決定部では、ばらつき演算部の演算結果に基づいて、平均値がゼロに近い、及び/又は差分のばらつきが最小となるような計測条件を決定する。レシピ設定部では、このようにして決定された計測条件をレシピとして登録する。
【0049】
本実施例では、製造シミュレーションを、シミュレータ1908で行う例を説明したが、これに限られることはなく、データ管理装置1901,制御装置14、或いは外部の演算装置にて、シミュレーション用のプログラムを実行することで、シミュレーションを行うようにしても良い。
【0050】
本実施例では、寸法測定機能付きの走査型電子顕微鏡と、AFM等の基準となる断面形状を取得する装置間で倍率のずれがないことを前提として説明をした。しかしながら、AFM等の量産ラインでは使用されずに、実験のための観察に用いられる汎用的な装置の場合、倍率校正が高精度に保たれていない場合が考えられる。このようなケースに対処するために、以下の2つの手法を提案する。
【0051】
ひとつは、同じような線上パターンが密集しているサンプルを用いて、パターン間の間隔寸法を装置間で比較することにより、倍率誤差を事前にもとめておくことが考えられる。例えばラインパターンとスペースが交互に配列されるパターンの場合、そのピッチを比較対象とする。この倍率誤差を求めておくことによって、装置をデータ取得直前に校正すること、もしくは、データ取得後出力値を適切に補正することができる。
【0052】
もうひとつの手法は、F1からF5のパターンの絶対値ではなく、F1からF5の平均値からの差分を総置間の比較データとして使用である。この場合、F1からF5に対して取得した電子顕微鏡の寸法を、それらの平均値からの差分を求める。また、AFMのデータも、同様に平均値からの差分を求める。電子顕微鏡とAFM間で、各パターンに対して差分データの比較をし、2つの装置間の違いが最小となるような条件を見出す。これにより、絶対値に多少の誤差が生じていたとしても、プロセス変動が起きたときのパターン形状の変化量を実際よりも大きく、もしくは実際よりも小さく出力してしまう危険性を除外できる。
【実施例2】
【0053】
プロセス変動に伴ってパターンの見え方が変化すると、計測位置を定めるための画像認識処理が失敗し、自動計測処理が失敗する場合がある。計測位置を定めるための処理に必要なのは、図5に示すように、レシピに登録されているテンプレート(画像認識用画像)と呼ばれる画像情報である。情報には計測する箇所502とテンプレート間の位置関係も含まれている。自動計測時の画像認識処理では、ステージが計測箇所のおおよその位置へ移動し、計測箇所を近辺の画像を取り込む。
【0054】
そして、テンプレートと最も相関性が高い箇所501を画像認識処理で検出(パターンマッチング)し、より細かなステージ位置調整することによって、計測箇所の正確な位置を定める。相関性の比較は、画像内全域で算出される相関性評価値と呼ばれる値を使い、図5の左下図の場合、十字のパターン504の方が丸いパターン505よりもテンプレートとの相関値が高く、かつ、レシピに設定されている評価値の合格基準値よりも高ければ、画像506のように正確な位置決めが行われ、測定部位の高倍率画像307を取得することができ、計測位置が正常に定められる。画像認識処理で必要となる条件は、画像認識に使用するテンプレートと相関評価時における合格基準値の2項目である。
【0055】
プロセス変動は、画像認識処理時の検出対象とするパターン形状に変化を起こし、あらかじめ登録しているテンプレートとの相関性が低くなる危険性がある。図6及び図7に露光条件を変化させた場合のパターン形状の変化例を示す。パターン19〜21は、同じパターンであり、露光条件が異なるパターンを示している。また、図7に示すパターン22〜24も同じパターンであり、露光条件が異なるパターンを示している。パターン19とパターン22は同じ露光条件にて形成されている。同様にパターン20とパターン23,パターン21とパターン24もそれぞれ同じ露光条件にて作成されている。
【0056】
プロセス変動によって、パターン形状に依存して変化の度合いが異なることがあり、図7に例示するパターンは、図6に例示するパターンと比較すると、同様の露光条件の変化であるにも関わらず、形状変化の度合いがとても小さい。レシピ作成時には、極力プロセス変動が起こり難いパターンを画像認識処理に使用することが重要である。
【0057】
テンプレートと撮像した画像との相関値の合格基準を適切に設定することも重要である。図8に例示する画像には、丸い形と十字の形をしたパターン25がある。一方、テンプレートは十字である。プロセス変動によって、十字のパターンが丸まってしまった場合、その際の相関値がレシピに設定した合格基準以上ではないためにパターン認識が失敗に終わってしまう可能性がある。さらにプロセス変動が進んで、十字がさらに丸くなってしまった場合、相関値があまりにも低すぎ、通常は第二候補である丸いパターンの相関値が高くなり、誤認識されてしまう危険性がある。したがって、合格基準値の設定が適切に行われていないと、「パターンが存在するのにエラーとなってしまう」、もしくは、「別のパターンを認識する」と言った問題が発生する。パターンの形状変化によって画像認識処理が失敗しないように、適切なパターンの選定と合格基準値を決定することが課題である。
【0058】
本実施例では、プロセス変動に伴ってパターン形状の変化した時でも、正確にパターン認識をさせるためのパターン認識条件と相関評価値の合格基準値の設定手法について説明する。図12は、ウェーハの露光条件のうち、エネルギー37を5段階に変化させて、露光を行うことによって、ウェーハ35内の複数のチップ36のそれぞれに、異なる露光条件にてパターン形成を行った例を説明する図である。この5段階を、E1,E2,E3,E4,E5と呼ぶ。本実施例では、図13に示すように、パターン候補として、十字とひし形の形をしたパターンを用いる。決定処理で実施する画像認識処理では、誤認識が発生していないことを前提とする。
【0059】
図14は、テンプレートに関する計測条件を設定する工程を説明するフローチャートである。まず、各種テンプレート候補を登録したレシピを個別に作成する。登録するのは、プロセスが正常な時の条件に相当するウェーハ内の箇所で行う。本実施例の場合、十字のテンプレートはレシピA、ひし形のテンプレートはレシピBとしている。各レシピを実行し、画像認識時のE1からE5で取得した画像内全域で算出される相関性評価値の内、第一候補と第二候補の箇所で算出された結果を記録する。記録結果を図15に例示する。本例では、レシピAの評価結果38とレシピBの評価結果39を算出する例を説明しているが、これに限られることはなく、3つ以上の候補の評価に基づいて、テンプレート決定をすることも可能である。
【0060】
以上のようにして求められた第一候補と第二候補の差分を求める。図16はその差分の算出結果を例示している。図16では、レシピAの差分の算出結果40とレシピBの差分の算出結果41を例示している。
【0061】
この算出結果に基づいて、差分の平均値(或いは加算値)が一番大きいパターン候補を適切なテンプレートとして選択する。併せて差分のばらつきが小さいパターン候補を適切なテンプレートとして決定するようにしても良い。なお、差分の平均値について、所定のしきい値を設定しておき、当該しきい値を越えたものをテンプレートとして選択するようにしても良い。
【0062】
また、合格基準値の設定は、図15に示すように、E1からE5のうち、一番小さな第一候補の値と一番大きな第二候補の値の間に決定する。
【0063】
合格基準値を設定する上で、第一と第二候補の差分が最も小さい条件で、繰り返し評価を行い、第一候補値の最小値と、第二候補値の最大値との間に合格基準値を設定すると、さらにレシピ実行間の像質の変化を考慮した決定を下すことが可能である。
【0064】
本実施例では2つのパラメータのみを取り扱ったが、撮像条件や断面波形を求める前処理である、加算平均処理条件等も含めて、様々な組み合わせで最適条件を見極めることが可能である。また、エネルギーのみならず、フォーカスを変化させて面内全域でプロセス変動を再現したパターン形成をすることも可能である。さらに露光条件のみならず、エッチング条件を変化させたウェーハを何枚か用いて、エッチング工程のプロセス変動を再現することも可能である。このように、露光条件だけでなく、その他のプロセス要因時の再現を行えた条件決定する効果として、より適切な条件の設定を可能とする。
【0065】
本実施例では、特殊なサンプルを使用したが、このように条件を変更させたサンプルを使用するのではなく、検査対象として評価された試料の画像を蓄積して、同様の評価をして、レシピ内容の改善を図ることもできる。この方式の効果として、使用したサンプルでは予測できなかったようなプロセス変動が起きた場合にも、即時にレシピの修正が可能となり、エラーが起きるレシピの修正を効率よくできる。
【0066】
本実施例では、サンプルを作成し、撮像することによってプロセス変化が起こったような二次電子画像を用意したが、実施例1のように、シミュレーション画像を用いることによって、サンプル作成が不要となり、より多くのプロセス変動の再現が可能となる。
【符号の説明】
【0067】
1 電子源
2 引出電極
3 電子ビーム
4 コンデンサレンズ
5 走査偏向器
6 対物レンズ
7 真空チャンバ
8 試料台
9 試料
10 電子
11 二次電子
12 変換電極
13 検出器
14 制御装置
【技術分野】
【0001】
本発明は、試料の測定,検査を行う荷電粒子線装置に係り、特に試料の測定、或いは検査の条件を適性に設定するパターン測定方法及びコンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
半導体デバイスを構成する微小パターンの測定や検査に用いられる走査型電子顕微鏡は、デバイスの製造プロセスの変動で起きるパターン形状の変化を捉え、良品と不良品の判別をする指針となる測定結果を出力する。特に、寸法測定機能付きの走査型電子顕微鏡や、参照画像と試料画像を比較して欠陥を検出する欠陥検査機能付きの走査型電子顕微鏡は、レシピと呼ばれる処理条件が登録されたプログラムに基づいて、測定或いは検査を自動実行する。
【0003】
上述のような、試料の測定や検査を実行する走査型電子顕微鏡に設定される測定,検査条件には、種々の変動要因に依らず、安定した測定結果,検査結果の出力が望まれる。特許文献1には、荷電ビームの焦点ずれによって測定精度を低下させないために、焦点距離を変えて取得した複数の二次電子波形を記憶し、パターン寸法を算出するためのスライスレベルを変えながら、記憶させた波形に順次測定を実施し、測定した寸法のばらつきが最小となるようなスライスレベルを決定し、波形解析条件の最適化を行う手法が説明されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平5−60540号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一方、走査電子顕微鏡等の測定,検査の対象の1種である半導体デバイスは、種々の要因で発生するプロセス変動によって、パターン形状が変化する可能性がある。このようなプロセス変動の発生によって、プロセス変動発生前は適切であった測定,検査条件が、不適切なものとなる可能性がある。特許文献1には、プロセス変動に応じた測定,検査条件の設定について何も言及されていない。
【0006】
以下に、プロセス変動に依らず、高精度な測定,検査条件の設定を目的とするパターン測定方法及びコンピュータプログラムについて、説明する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するための一態様として、異なる製造条件にて形成された複数のパターンについて、荷電粒子線装置を用いた測定を行い、当該複数のパターンの基準寸法と、当該測定結果との差異、或いはばらつきが相対的に小さくなる測定条件を選択するパターン測定方法及びコンピュータプログラムを提案する。複数パターンの基準寸法は、原子間力顕微鏡(Atomic Force Microscope:AFM)によって、上記複数のパターンを測定することによって得るようにしても良いし、半導体パターンの設計データにシミュレーションを施すことによって得られるパターンの断面形状等に基づいて求めるようにしても良い。
【0008】
また、上記目的を達成する他の態様として、荷電粒子線画像内で画像認識を行うためのテンプレートを設定する際に、異なる製造条件にて形成された複数のパターンについて、画像を形成し、当該複数の画像について、複数のテンプレートを用いて画像認識を行い、所定の条件を満たすテンプレートを、画像認識用のテンプレートとして設定するパターン測定方法及びコンピュータプログラムを提案する。
【発明の効果】
【0009】
上記構成によれば、プロセス変動に依らず、高精度な測定,検査条件の設定が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】走査電子顕微鏡の概略構成図。
【図2】プロセス変動によって生じるパターン幅の変形例を説明する図。
【図3】プロセス変動によって生じるパターン形状の変形例を説明する図。
【図4】寸法測定機能付きの走査型電子顕微鏡による測定処理の概要を説明する図。
【図5】テンプレートによるパターン認識の概要を説明する図。
【図6】プロセス変動によって生じるパターン形状の変化を説明する図。
【図7】プロセス変動があっても変形が生じないパターンを例示する図。
【図8】プロセス変動によって、テンプレート形状と実際に撮像されたパターンの形状との間に乖離が生じた例を説明する図。
【図9】光学式露光装置のフォーカス条件を変化させて形成した複数のパターンに対し、異なる計測条件でSEMによる測定を実行することによって、適正な計測条件を見出す工程を説明するフローチャート。
【図10】異なる計測条件の組み合わせ毎に測定値を表示した表示画面例を説明する図。
【図11】直線近似法の概略説明図。
【図12】光学式露光装置のエネルギー条件を変化させて形成した複数のパターン例を説明する図。
【図13】2種類のテンプレートを例示する図。
【図14】複数のテンプレートから、適正なテンプレートを選択する工程を説明するフローチャート。
【図15】異なる製造条件にて形成されたパターンに対し、テンプレートによって画像認識を行ったときの評価値の変化を説明する図。
【図16】異なる製造条件にて形成されたパターンに対し、テンプレートによって画像認識を行ったときの評価値について、第1候補と第2候補の差分の変化を説明する図。
【図17】GUI画面の一例を説明する図。
【図18】図17の条件設定用GUI画面上で設定された条件に基づいて、差分のばらつきや平均を演算した結果を表示する表示画面の一例を説明する図。
【図19】複数のSEM及びAFMを含む計測システムの概略説明図。
【図20】露光シミュレーションによって求められたパターン寸法と、実測値との差分を演算する工程を説明するフローチャート。
【図21】ばらつき演算等に基づく計測条件設定工程を説明するブロック図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
CD−SEM(Critical Dimension-Scanning Electron Microscope)の計測処理条件は、半導体プロセスの変動によるパターン形状の変化に依らず、適正な測定結果を出力するように設定される必要がある。しかしながら、プロセス変動を鑑みた測定条件の設定は困難であり、条件の設定はオペレータの経験と勘に基づいて行われてきた。CD−SEMは通常、レシピと呼ばれる動作条件プログラムによって、自動的に測定処理を実行する装置であるが、このようなレシピは、上述のように半導体の製造プロセスの変化によって、パターンの形状が変化することを見込んで設定しないと、意図しない部分の測定値が出力されてしまう可能性がある。
【0012】
計測処理の代表的な例として、線状のパターンを測定する際、二次電子画像の断面信号波形を求め、その信号波形のスライスレベルと呼ばれる高さをパターンのエッジとし、左右のエッジの距離を測る手法がある。スライスレベルを適正に決定しないと、意図しない部分の測定を行うことになり、適正な測定結果を得ることができない。
【0013】
以下に、プロセス変動に依らず、高精度に測定,検査を行うための条件を設定する方法、及び装置を図面を用いて説明する。
【0014】
以下に説明する実施例の主な課題は二つ挙げられるが、いずれもデバイスの製造プロセスの変動で起きるパターン形状の変化に対応するための計測処理の条件決定に関するものである。尚、第一の課題、及び、第二の課題に共通する計測処理条件は、電子顕微鏡の撮像条件(電子顕微鏡の加速電圧,プローブ電流,電磁コイル電流値,検出部位の明るさやコントラスト調整条件,撮像倍率,電子線の走査速度,画像生成時のスキャン枚数等)である。
【実施例1】
【0015】
本実施例は、プロセス変動があっても、適正な測定結果を得ることを、技術課題とするものであり、より具体的には、プロセス変動が発生したとしても、高い測定精度を維持する測定条件を設定する手法、及び装置に関するものである。
【0016】
図1は、寸法測定機能付きの走査型電子顕微鏡(CD−SEM)の概要構成図である。走査型電子顕微鏡を用いたパターンの寸法を計測では、表面にパターンが形成された試料に、あらかじめ設定された撮像条件で収束させた電子線を照射して走査し、収束させた電子線の照射により試料から発生する2次電子を検出し、当該2次電子等に基づいて、プロファイル波形を形成する。電子源1から引出電極2によって引き出され、図示しない加速電極によって加速された電子ビーム3は、集束レンズの一形態であるコンデンサレンズ4によって、絞られた後に、走査偏向器5により、真空チャンバ7内に配置された試料9上を一次元的、或いは二次元的に走査される。電子ビーム3は試料台8に内蔵された電極に印加された負電圧により減速されると共に、対物レンズ6のレンズ作用によって集束されて試料9上に照射される。
【0017】
電子ビーム3が試料9に照射されると、当該照射個所から二次電子、及び後方散乱電子のような電子10が放出される。放出された電子10は、試料に印加される負電圧に基づく加速作用によって、電子源方向に加速され、変換電極12に衝突し、二次電子11を生じさせる。変換電極12から放出された二次電子11は、検出器13によって捕捉され、捕捉された二次電子量によって、検出器13の出力Iが変化する。この出力Iに応じて図示しない表示装置の輝度が変化する。例えば二次元像を形成する場合には、走査偏向器5への偏向信号と、検出器13の出力Iとの同期をとることで、走査領域の画像を形成する。
【0018】
なお、図1の例では試料から放出された電子を変換電極にて一端変換して検出する例について説明しているが、無論このような構成に限られることはなく、例えば加速された電子の軌道上に、電子倍像管や検出器の検出面を配置するような構成とすることも可能である。
【0019】
制御装置14は、走査電子顕微鏡の各構成を制御すると共に、検出された電子に基づいて画像を形成する機能や、ラインプロファイルと呼ばれる検出電子の強度分布に基づいて、試料上に形成されたパターンのパターン幅を測定する機能を備えている。ラインプロファイルは、取得した画像の断面信号波形を加算平均処理し、波形の移動平均をとることによって平滑化処理を波形に適用する。移動平均をする範囲は通常、ピクセルで定義される。形成されたラインプロファイルと、設定されたスライスレベルに基づいて、パターンのエッジを決定し、左右のエッジの距離を計算することによって寸法値を出力する。
【0020】
以下に説明する実施例では、測定装置の一態様として、走査電子顕微鏡を例にとって説明するが、これに限られることはなく、例えばヘリウムイオンや液体金属イオンビームを試料に照射する集束イオンビーム装置等、他の荷電粒子線装置を含む測定装置への適用が可能である。
【0021】
図4に例示するように、スライスレベルは、エッジ付近のプロファイルのピーク部分の最大値と最小値をそれぞれ100%(Max l)と0%(Max r)とし、パーセンテージの設定によって、エッジを定義する高さ(スライスレベルl,r)決める。寸法測定の上で必要となる計測処理条件は、平滑化時の移動平均領域とスライスレベルの値の2項目である。
【0022】
プロセス変動でおこるパターン形状の変化は、その後の工程に影響し、結果的にはデバイスの電気特性を左右するため、プロセス変動による不良品を測定結果に基づいて判別する必要がある。図2及び図3に、線状のパターンの形状変化例を示す。プロセス変動によって、図2に例示するような線幅の変化だけではなく、図3に例示するように側壁形状や高さの変化がおきる場合がある。通常パターンと下地の接している領域を検査する必要があり、図3に例示するような形状変化があった場合であっても、測定を希望する部位の寸法が同じであるならば、走査型電子顕微鏡の寸法結果は同じ寸法値を出力することが望ましい。
【0023】
しかしながら、走査型電子顕微鏡の2次電子放出効率は入射電子線と試料表面の角度に左右されるため、寸法算出に使われる二次電子信号の波形形状に変化を及ぼす。したがって、デバイスの性能に関わらない形状変化には左右されないように、適切な計測処理条件を決定することが課題である。
【0024】
そこで、本実施例では、ウェーハ面内で製作条件を変え、プロセス変動を再現した試料を使い、プロセス変動によって起こりうるパターン形状変化時でも適切な計測処理を可能とする条件を見出す手法を提案する。サンプルの例としては、露光条件を変化させたFEMウェーハである。FEMとは、Focus Energy Matrixと呼ばれる処理の略で、通常、露光装置の最適なパラメータを見出すために使用されるサンプルである。ウェーハ面内でフォトレジストパターンの露光条件を変化させているため、形状が異なるパターンがウェーハ面内に用意するこができる。適切な寸法測定条件を決定させる際に、適切な部位の測定をしているかの確認は、AFM(Atomic Force Microscope)を用いて断面形状情報を求め、当該断面形状情報から得られるパターンの寸法値と、走査型電子顕微鏡の寸法測定結果を照らし合わせることで行う。
【0025】
上記手法によれば、半導体製造プロセス制御のために必要な寸法測定を、製造プロセスが変動によってパターン形状が変化した際でも適切に取得することができる。本実施例によれば、検査を開始する前段階から最適なレシピを準備することができ、不要な誤測定や、エラーを防ぐことが可能となる。
【0026】
図19は、データ管理装置1901を中心として、複数のSEMが接続されたシステムを例示している。特に本実施例の場合、SEM1902は主に半導体露光プロセスに用いられるフォトマスクやレチクルのパターンの測定や検査を行うためのものであり、SEM1903は主に、上記フォトマスク等を用いた露光によって半導体ウェーハ上に転写されたパターンを測定,検査するためのものである。SEM1902とSEM1903は、電子顕微鏡としての基本構造に大きな違いはないものの、それぞれ半導体ウェーハとフォトマスクの大きさの違いや、帯電に対する耐性の違いに対応した構成となっている。
【0027】
各SEM1902,SEM1903にはそれぞれの制御装置1904,14が接続され、SEMに必要な制御が行われる。各SEMでは、電子源より放出される電子ビームが複数段のレンズにて集束されると共に、集束された電子ビームは走査偏向器によって、試料上を一次元的、或いは二次元的に走査される。
【0028】
電子ビームの走査によって試料より放出される二次電子(Secondary Electron:SE)或いは後方散乱電子(Backscattered Electron:BSE)は、検出器により検出され、前記走査偏向器の走査に同期して、フレームメモリ等の記憶媒体に記憶される。また、走査偏向器による走査は任意の大きさ,位置、及び方向について可能であり、後述する画像を形成するための走査やエッジ部分への選択的走査を可能にしている。
【0029】
以上のような制御等は、各SEMの制御装置1904,14にて行われ、電子ビームの走査の結果、得られた画像や信号は、通信回線1906,1907を介してデータ管理装置1901に送られる。なお、本例では、SEMを制御する制御装置と、SEMによって得られた信号に基づいて測定を行うデータ管理装置を別体のものとして、説明しているが、これに限られることはなく、データ管理装置にて装置の制御と測定処理を一括して行うようにしても良いし、各制御装置にて、SEMの制御と測定処理を併せて行うようにしても良い。
【0030】
また、上記データ管理装置或いは制御装置等のコンピュータには、測定処理を実行するためのプログラムが記憶されており、当該プログラムに従って測定、或いは演算が行われる。当該プログラムは、コンピュータにて読み取り可能な記録媒体に記憶されている。更にデザインデータ管理装置には、半導体製造工程に用いられるフォトマスク(以下単にマスクと称することもある)やウェーハの設計データが記憶されている。この設計データは例えばGDSフォーマットやOASISフォーマットなどで表現されており、所定の形式にて記憶されている。なお、設計データは、設計データを表示するソフトウェアがそのフォーマット形式を表示でき、図形データとして取り扱うことができれば、その種類は問わない。また、データ管理装置とは別に設けられた記憶媒体にデザインデータを記憶させておいても良い。
【0031】
また、データ管理装置1901には、シミュレータ1908が接続されている。シミュレータ1908には、外部の記憶媒体、或いはデータ管理装置1901に記憶された設計データと、半導体製造プロセス条件等に基づいて、パターンレイアウトを作成するプログラムと、それを実行する演算装置が内蔵されており、当該シミュレーション後のレイアウトデータを、データ管理装置に伝送可能に構成されている。なお、本実施例では、シミュレーションをシミュレータ1908内にて行う例について説明するが、これに限られることはなく、例えばデータ管理装置1908内にて、上記プログラムを実行することにより、シミュレーションを行うようにしても良い。
【0032】
また、データ管理装置1901は、SEMの動作を制御するプログラム(レシピ)を、半導体の設計データに基づいて作成する機能が備えられており、レシピ設定部としても機能する。具体的には、設計データ,パターンの輪郭線データ、或いはシミュレーションが施された設計データ上で所望の測定点,オートフォーカス,オートスティグマ,アドレッシング点等のSEMにとって必要な処理を行うための位置等を設定し、当該設定に基づいて、SEMの試料ステージや偏向器等を自動制御するためのプログラムを作成する。すなわち、データ管理装置1901や制御装置14は測定条件設定装置として機能する。
【0033】
また、データ管理装置1901は、半導体デバイスの設計データが登録されたデータベースを記憶、或いは外部の記憶媒体に記憶された設計データにアクセス可能に構成されており、任意の設定に応じてデータベースより必要なデータが読み出すように構成されている。
【0034】
更にデータ管理装置1901には、AFM(Atomic Force Microscope)1909が接続されている。AFMは探針と試料表面間に働く原子間力を検出して画像化する装置であり、探針の変化をカンチレバー1911の変位として捉えることで、試料表面形状を評価する装置である。AFM1901で得られた形状情報から、試料の特定部位(例えば、ラインパターンと下地と接している部位)間の寸法値を取得し、当該寸法値情報を、制御装置1910を介して、データ管理装置1901、或いは制御装置1905に伝送する。なお、このような基準寸法値を測定する装置は、AFMに限らず、STM(Scanning Tunneling Microscope)等の他のSPM(Scanning Probe Microscope)装置であっても良い。
【0035】
本実施例では、プロセス変動に伴うスライスレベルと、測定したい部位(例えば、ラインパターンと下地と接している部位)とのずれの影響を抑制し得る測定パラメータの決定手法について説明する。本実施例では、図9に例示するように、ウェーハの露光条件のうち、フォーカスを5段階に変化させ、当該露光条件の変化を、プロセス変動と見立てた例を説明する。図9の例では、光学式露光装置のフォーカス条件を5段階に変化させて、パターンの露光を行っており、この5段階を、F1,F2,F3,F4,F5と呼ぶ。
【0036】
本実施例では、平滑化の移動平均領域3,11,19,27とスライスレベル10,30,50,70,90の最良な組み合わせを決定することを目的とする。測定に使用する装置である走査型電子顕微鏡とAFMでは、倍率のずれがないことを前提とする。
【0037】
図9に決定処理の流れを示す。まず、F1からF5の2次電子画像を走査型電子顕微鏡で取得し、図10に示す20種類の移動平均領域とスライスレベルの組み合わせ条件aからtで寸法値を算出する。次に、AFMで同じF1からF5の箇所の断面形状を求め、検査対象となる部位の寸法を計測する。一つの組み合わせ条件において、F1からF5の走査型電子顕微鏡とAFM間の差分を求める。差分の平均値が零に最も近く(或いは差分の加算値が最小)、また、差分のばらつきが最小の組み合わせ条件を適切な計測処理条件として決定する。また、平均値やばらつきに所定のしきい値を設定しておき、当該しきい値を下回った、あるいはしきい値以下の組み合わせを選択するようにしても良い。
【0038】
本実施例では2つのパラメータのみを取り扱ったが、撮像条件や断面波形を求める前処理である、加算平均処理条件等も含めて、様々な組み合わせで最適条件を見極めることが可能である。効果として、設定できる条件がたくさんある中、プロセス変動が生じる前に最適値を設定できることで、誤った不良判定を下す危険性を事前に防ぐことができる。さらに、組み合わせ内容を豊富にすることにより、検査したいパターン部位の変化を的確に寸法として出力するだけでなく、検査に見合った再現性で寸法結果を出力する条件を見出せることも期待できる。
【0039】
断面波形を処理する方式として、スライスレベルを使用する手法を例としてあげたが、直線近似法等を手法でも幾つかの条件設定が必要とされる。
【0040】
図11は直線近似法の概略を説明する図である。直線近似法では、断面信号波形のエッジ箇所において最大の傾斜部位31の接線と、ベースライン34の交点をパターンエッジとして認識する。最大の傾斜部位の決定は、信号波形の微分したプロファイルで事前に決めたスライスレベルを超える最大値を使用する。また、ベースラインは、エッジの外側領域32の平均値を求めることによって求められるが、その平均値を算出するために使われる領域を決定する必要がある。この決定にも上述のような製造条件を変化させたときに得られる複数の基準寸法値との比較に基づく、最適条件の決定法を適用することができる。効果として、設定できる条件がたくさんある中、プロセス変動が生じる前に最適値を設定できることで、誤った不良判定を下す危険性を事前に防ぐことができる。さらに、組み合わせ内容を豊富にすることにより、検査したいパターン部位の変化を的確に寸法として出力するだけでなく、検査に見合った再現性で寸法結果を出力する条件を見出せることも期待できる。
【0041】
フォーカスのみならず、エネルギーを変化させて面内全域でプロセス変動を再現したパターン形成をすることも可能である。さらに、露光条件のみならず、エッチング条件を変化させたウェーハを何枚か用いて、エッチング工程のプロセス変動を再現することも可能である。
【0042】
このように、露光条件だけでなく、その他のプロセス条件に基づいて、或いは複数の製造条件を含めて、測定条件を決定することによって、種々のプロセス変動要因に対応した測定装置の条件設定が可能となる。
【0043】
なお、考慮すべきプロセス変動要因が多い程、測定条件設定作業が複雑化するため、効率化する手法として以下の2つの手法が考えられる。まず、(a)画像だけ電子顕微鏡で取得し、画像をオフライン測定システムに入力して繰り返し作業をさせることが考えられる。更に、(b)実験計画法や田口メソッド等の手法で効率よく条件設定をすることにより、全組み合わせを網羅する必要を最小限に留めることが考えられる。特に(a)に関しての効果として、画像を何度も同じ箇所で取得すると、電子顕微鏡ではカーボン系のコンタミネーションが付着することで、二次電子画像に変化を及ぼしてしまう。このような誤差要因を除くためには、同じ画像を用いて、各種条件の評価を行うことが望ましい。
【0044】
図17は、CD−SEMによって取得した画像を用いて、測定条件を設定するためのGUI(Graphical User Interface)画面の一例を説明する図である。この場合、基準となるデータは事前に取得しておき、GUI画面上にて、マニュアル設定する。
【0045】
操作者は、制御装置14、或いはデータ管理装置1901に内蔵された記憶媒体、或いはこれら装置がネットワーク経由でアクセス可能な外部の記憶媒体に記憶された画像データから任意のデータを選択するために、画像フォルダ参照ボタン43を選択することによってGUI画面上に現れる複数の画像フォルダの中から任意の画像を表示させる。複数の選択肢の中から選択された画像フォルダは、画像フォルダ名表示部42に表示される。更に操作者は、測定個所設定画面45にて測定処理を実行する領域を設定する。基準データ入力部44にはAFM等によって予め取得した寸法データを表示させる。この場合、予め記憶媒体に記憶された情報を読み出すようにしても良いし、取得データをマニュアル入力するようにしても良い。また、条件入力ウィンドウ46に、平滑化処理条件やスライスレベル条件を入力し、実行キー47を押すことによって、平均値やばらつきの演算を実行する。ばらつきは、一般的なばらつきの演算法の適用が可能である。なお、複数の平滑化条件やスライスレベルを、カンマで分けて条件入力ウィンドウ46に設定可能とすることによって、平滑化処理とスライスレベルの各種組み合わせの評価が可能となる。なお、演算はデータ管理装置1901で行うようにしても良いし、制御装置14にて行うようにしても良い。また、外部の演算装置にて演算を行うようにしても良い。
【0046】
図18は、図17の条件設定用GUI画面上で設定された条件に基づいて、差分のばらつきや平均を演算した結果を表示する表示画面の一例を説明する図である。このように各差分データと平均値、及びばらつきを表示することによって、操作者は予想されるプロセス変動との比較に基づいて、測定条件を設定することが可能となる。
【0047】
本実施例では、AFMのような走査プローブ顕微鏡による測定結果を基準寸法値として条件の決定を行ったが、その他のパターン断面観察手法を用いても良い。例えば、断面を透過型電子顕微鏡(Transmission Electron Microscope)や、走査型電子顕微鏡で観察することによって、断面寸法を測定するようにしても良いし、X線を用いた断面評価法を適用するようにしても良い。さらに、シミュレーションによって予測される断面形状のみを使用することも可能である。特にシミュレーションを使用する効果として、様々なプロセス変動を再現し、断面形状のみならず、寸法測定機能付きの走査型電子顕微鏡で測定可能な表面画像も作成すれば、サンプル作成が不要となり、より効率が良い条件決定が可能となる。
【0048】
図20は、半導体デバイスの設計データのシミュレーションに基づいて、各測定条件における基準寸法値とSEMによる実測値との差異を算出する工程を説明するフローチャートである。図20に例示するような工程を、複数の露光条件(パターンの製造条件)ごとに行い、製造条件ごとの差分のばらつきを算出する。図21は、演算装置等で行われるばらつき演算等に基づく計測条件設定工程を説明するブロック図である。例えばスライスレベル等を変化させた複数の計測条件ごとに、複数の製造条件で取得された複数のパターンの寸法値を取得し、当該複数の寸法値と、シミュレーションによって得られたシミュレーション値の差分をばらつき演算部にて演算する。計測条件決定部では、ばらつき演算部の演算結果に基づいて、平均値がゼロに近い、及び/又は差分のばらつきが最小となるような計測条件を決定する。レシピ設定部では、このようにして決定された計測条件をレシピとして登録する。
【0049】
本実施例では、製造シミュレーションを、シミュレータ1908で行う例を説明したが、これに限られることはなく、データ管理装置1901,制御装置14、或いは外部の演算装置にて、シミュレーション用のプログラムを実行することで、シミュレーションを行うようにしても良い。
【0050】
本実施例では、寸法測定機能付きの走査型電子顕微鏡と、AFM等の基準となる断面形状を取得する装置間で倍率のずれがないことを前提として説明をした。しかしながら、AFM等の量産ラインでは使用されずに、実験のための観察に用いられる汎用的な装置の場合、倍率校正が高精度に保たれていない場合が考えられる。このようなケースに対処するために、以下の2つの手法を提案する。
【0051】
ひとつは、同じような線上パターンが密集しているサンプルを用いて、パターン間の間隔寸法を装置間で比較することにより、倍率誤差を事前にもとめておくことが考えられる。例えばラインパターンとスペースが交互に配列されるパターンの場合、そのピッチを比較対象とする。この倍率誤差を求めておくことによって、装置をデータ取得直前に校正すること、もしくは、データ取得後出力値を適切に補正することができる。
【0052】
もうひとつの手法は、F1からF5のパターンの絶対値ではなく、F1からF5の平均値からの差分を総置間の比較データとして使用である。この場合、F1からF5に対して取得した電子顕微鏡の寸法を、それらの平均値からの差分を求める。また、AFMのデータも、同様に平均値からの差分を求める。電子顕微鏡とAFM間で、各パターンに対して差分データの比較をし、2つの装置間の違いが最小となるような条件を見出す。これにより、絶対値に多少の誤差が生じていたとしても、プロセス変動が起きたときのパターン形状の変化量を実際よりも大きく、もしくは実際よりも小さく出力してしまう危険性を除外できる。
【実施例2】
【0053】
プロセス変動に伴ってパターンの見え方が変化すると、計測位置を定めるための画像認識処理が失敗し、自動計測処理が失敗する場合がある。計測位置を定めるための処理に必要なのは、図5に示すように、レシピに登録されているテンプレート(画像認識用画像)と呼ばれる画像情報である。情報には計測する箇所502とテンプレート間の位置関係も含まれている。自動計測時の画像認識処理では、ステージが計測箇所のおおよその位置へ移動し、計測箇所を近辺の画像を取り込む。
【0054】
そして、テンプレートと最も相関性が高い箇所501を画像認識処理で検出(パターンマッチング)し、より細かなステージ位置調整することによって、計測箇所の正確な位置を定める。相関性の比較は、画像内全域で算出される相関性評価値と呼ばれる値を使い、図5の左下図の場合、十字のパターン504の方が丸いパターン505よりもテンプレートとの相関値が高く、かつ、レシピに設定されている評価値の合格基準値よりも高ければ、画像506のように正確な位置決めが行われ、測定部位の高倍率画像307を取得することができ、計測位置が正常に定められる。画像認識処理で必要となる条件は、画像認識に使用するテンプレートと相関評価時における合格基準値の2項目である。
【0055】
プロセス変動は、画像認識処理時の検出対象とするパターン形状に変化を起こし、あらかじめ登録しているテンプレートとの相関性が低くなる危険性がある。図6及び図7に露光条件を変化させた場合のパターン形状の変化例を示す。パターン19〜21は、同じパターンであり、露光条件が異なるパターンを示している。また、図7に示すパターン22〜24も同じパターンであり、露光条件が異なるパターンを示している。パターン19とパターン22は同じ露光条件にて形成されている。同様にパターン20とパターン23,パターン21とパターン24もそれぞれ同じ露光条件にて作成されている。
【0056】
プロセス変動によって、パターン形状に依存して変化の度合いが異なることがあり、図7に例示するパターンは、図6に例示するパターンと比較すると、同様の露光条件の変化であるにも関わらず、形状変化の度合いがとても小さい。レシピ作成時には、極力プロセス変動が起こり難いパターンを画像認識処理に使用することが重要である。
【0057】
テンプレートと撮像した画像との相関値の合格基準を適切に設定することも重要である。図8に例示する画像には、丸い形と十字の形をしたパターン25がある。一方、テンプレートは十字である。プロセス変動によって、十字のパターンが丸まってしまった場合、その際の相関値がレシピに設定した合格基準以上ではないためにパターン認識が失敗に終わってしまう可能性がある。さらにプロセス変動が進んで、十字がさらに丸くなってしまった場合、相関値があまりにも低すぎ、通常は第二候補である丸いパターンの相関値が高くなり、誤認識されてしまう危険性がある。したがって、合格基準値の設定が適切に行われていないと、「パターンが存在するのにエラーとなってしまう」、もしくは、「別のパターンを認識する」と言った問題が発生する。パターンの形状変化によって画像認識処理が失敗しないように、適切なパターンの選定と合格基準値を決定することが課題である。
【0058】
本実施例では、プロセス変動に伴ってパターン形状の変化した時でも、正確にパターン認識をさせるためのパターン認識条件と相関評価値の合格基準値の設定手法について説明する。図12は、ウェーハの露光条件のうち、エネルギー37を5段階に変化させて、露光を行うことによって、ウェーハ35内の複数のチップ36のそれぞれに、異なる露光条件にてパターン形成を行った例を説明する図である。この5段階を、E1,E2,E3,E4,E5と呼ぶ。本実施例では、図13に示すように、パターン候補として、十字とひし形の形をしたパターンを用いる。決定処理で実施する画像認識処理では、誤認識が発生していないことを前提とする。
【0059】
図14は、テンプレートに関する計測条件を設定する工程を説明するフローチャートである。まず、各種テンプレート候補を登録したレシピを個別に作成する。登録するのは、プロセスが正常な時の条件に相当するウェーハ内の箇所で行う。本実施例の場合、十字のテンプレートはレシピA、ひし形のテンプレートはレシピBとしている。各レシピを実行し、画像認識時のE1からE5で取得した画像内全域で算出される相関性評価値の内、第一候補と第二候補の箇所で算出された結果を記録する。記録結果を図15に例示する。本例では、レシピAの評価結果38とレシピBの評価結果39を算出する例を説明しているが、これに限られることはなく、3つ以上の候補の評価に基づいて、テンプレート決定をすることも可能である。
【0060】
以上のようにして求められた第一候補と第二候補の差分を求める。図16はその差分の算出結果を例示している。図16では、レシピAの差分の算出結果40とレシピBの差分の算出結果41を例示している。
【0061】
この算出結果に基づいて、差分の平均値(或いは加算値)が一番大きいパターン候補を適切なテンプレートとして選択する。併せて差分のばらつきが小さいパターン候補を適切なテンプレートとして決定するようにしても良い。なお、差分の平均値について、所定のしきい値を設定しておき、当該しきい値を越えたものをテンプレートとして選択するようにしても良い。
【0062】
また、合格基準値の設定は、図15に示すように、E1からE5のうち、一番小さな第一候補の値と一番大きな第二候補の値の間に決定する。
【0063】
合格基準値を設定する上で、第一と第二候補の差分が最も小さい条件で、繰り返し評価を行い、第一候補値の最小値と、第二候補値の最大値との間に合格基準値を設定すると、さらにレシピ実行間の像質の変化を考慮した決定を下すことが可能である。
【0064】
本実施例では2つのパラメータのみを取り扱ったが、撮像条件や断面波形を求める前処理である、加算平均処理条件等も含めて、様々な組み合わせで最適条件を見極めることが可能である。また、エネルギーのみならず、フォーカスを変化させて面内全域でプロセス変動を再現したパターン形成をすることも可能である。さらに露光条件のみならず、エッチング条件を変化させたウェーハを何枚か用いて、エッチング工程のプロセス変動を再現することも可能である。このように、露光条件だけでなく、その他のプロセス要因時の再現を行えた条件決定する効果として、より適切な条件の設定を可能とする。
【0065】
本実施例では、特殊なサンプルを使用したが、このように条件を変更させたサンプルを使用するのではなく、検査対象として評価された試料の画像を蓄積して、同様の評価をして、レシピ内容の改善を図ることもできる。この方式の効果として、使用したサンプルでは予測できなかったようなプロセス変動が起きた場合にも、即時にレシピの修正が可能となり、エラーが起きるレシピの修正を効率よくできる。
【0066】
本実施例では、サンプルを作成し、撮像することによってプロセス変化が起こったような二次電子画像を用意したが、実施例1のように、シミュレーション画像を用いることによって、サンプル作成が不要となり、より多くのプロセス変動の再現が可能となる。
【符号の説明】
【0067】
1 電子源
2 引出電極
3 電子ビーム
4 コンデンサレンズ
5 走査偏向器
6 対物レンズ
7 真空チャンバ
8 試料台
9 試料
10 電子
11 二次電子
12 変換電極
13 検出器
14 制御装置
【特許請求の範囲】
【請求項1】
荷電粒子ビームを試料に照射することによって、試料より放出される荷電粒子を検出し、当該荷電粒子の検出に基づいて、前記試料上に形成されたパターンを測定するパターン測定方法において、
異なる製造条件にて形成された複数のパターンに対し、前記荷電粒子ビームを走査して、異なる測定条件毎に前記複数のパターンの測定値を求め、当該異なる測定条件にて取得された複数の測定値と、予め取得された異なる製造条件にて形成されたパターンの基準寸法値との複数の差分を算出し、前記製造条件毎の当該複数の差分の平均値、或いは当該複数の差分の加算値が、最小或いは所定のしきい値以下となる測定条件を選択することを特徴とするパターン測定方法。
【請求項2】
請求項1において、
前記製造条件は、前記パターンを露光する露光装置の露光条件であることを特徴とするパターン測定方法。
【請求項3】
請求項1において、
前記基準寸法値は、前記異なる製造条件にて形成されたパターンを走査プローブ顕微鏡によって測定することによって得られるものであることを特徴とするパターン測定方法。
【請求項4】
請求項1において、
前記基準寸法値は、前記異なる製造条件に基づくシミュレーションによって得られるものであることを特徴とするパターン測定方法。
【請求項5】
請求項1において、
前記当該複数の差分の平均値、或いは加算値、及び前記複数の差分のばらつきに基づいて、前記測定条件を選択することを特徴とするパターン測定方法。
【請求項6】
荷電粒子ビームの走査によって得られた画像上で、画像認識用画像とのパターンマッチングに基づいて計測位置を特定するパターン測定方法において、
異なる製造条件にて形成されるパターンの画像を、異なる製造条件毎に複数形成し、当該複数の画像に対し、複数の異なる画像認識用画像を用いて複数の相関値を求め、相関値が最も高い個所と2番目に高い個所の相関値の差分を算出し、当該画像認識用画像毎の差分の平均値或いは加算値が相対的に大きい、或いは所定値を越える画像認識用画像を、前記パターンマッチング用の画像として選択することを特徴とするパターン測定方法。
【請求項7】
請求項6において、
前記製造条件は、前記パターンを露光する露光装置の露光条件であることを特徴とするパターン測定方法。
【請求項8】
請求項6において、
前記異なる製造条件にて形成されるパターンの画像は、前記異なる製造条件に基づくシミュレーションによって得られるものであることを特徴とするパターン測定方法。
【請求項9】
請求項6において、
前記複数の差分の平均値或いは加算値、及び前記複数の差分のばらつきに基づいて、画像認識用画像を選択することを特徴とするパターン測定方法。
【請求項10】
荷電粒子ビームを試料に照射することによって、試料より放出される荷電粒子を検出し、当該荷電粒子の検出に基づいて、前記試料上に形成されたパターンを測定する測定装置の測定条件を、コンピュータに設定させるコンピュータプログラムにおいて、
当該プログラムは、前記コンピュータに、異なる製造条件にて形成された複数のパターンについて、異なる測定条件毎に複数の測定値を求めさせ、当該異なる測定条件にて取得された複数の測定値と、予め取得された異なる製造条件にて形成されたパターンの基準寸法値との複数の差分を算出させ、前記製造条件毎の当該複数の差分の平均値、或いは複数の差分の加算値が最小、或いは所定のしきい値以下となる測定条件を選択させることを特徴とするコンピュータプログラム。
【請求項11】
請求項10において、
前記製造条件は、前記パターンを露光する露光装置の露光条件であることを特徴とするコンピュータプログラム。
【請求項12】
請求項10において、
前記基準寸法値は、前記異なる製造条件にて形成されたパターンを走査プローブ顕微鏡によって測定することによって得られるものであることを特徴とするコンピュータプログラム。
【請求項13】
請求項10において、
前記基準寸法値は、前記異なる製造条件に基づくシミュレーションによって得られるものであることを特徴とするコンピュータプログラム。
【請求項14】
請求項10において、
前記プログラムは、コンピュータに、前記複数の差分の平均値、或いは加算値、及び前記複数の差分のばらつきに基づいて、前記測定条件を選択させることを特徴とするコンピュータプログラム。
【請求項15】
請求項10において、
前記コンピュータを含むことを特徴とする測定条件設定装置。
【請求項16】
荷電粒子ビームを試料に照射することによって、試料より放出される荷電粒子を検出し、当該荷電粒子の検出に基づいて、前記試料上に形成されたパターンを測定する測定装置の測定条件を、コンピュータに設定させるコンピュータプログラムにおいて、
当該プログラムは、前記コンピュータに、異なる製造条件にて形成される複数のパターン画像について、複数の異なる画像認識用画像を用いて複数の相関値を求めさせ、相関値が最も高い個所と2番目に高い個所の相関値の差分を算出させ、当該画像認識用画像毎の差分の平均値或いは加算値が相対的に大きい、或いは所定値を越える画像認識用画像を、前記パターンマッチング用の画像として選択させることを特徴とするコンピュータプログラム。
【請求項17】
請求項16において、
前記製造条件は、前記パターンを露光する露光装置の露光条件であることを特徴とするコンピュータプログラム。
【請求項18】
請求項16において、
前記異なる製造条件にて形成されるパターンの画像は、前記異なる製造条件に基づくシミュレーションによって得られるものであることを特徴とするコンピュータプログラム。
【請求項19】
請求項16において、
前記プログラムは、前記コンピュータに、前記複数の差分の平均値或いは加算値、及び前記複数の差分のばらつきに基づいて、画像認識用画像を選択させることを特徴とするコンピュータプログラム。
【請求項20】
請求項16において、
前記コンピュータを含むことを特徴とする測定条件設定装置。
【請求項1】
荷電粒子ビームを試料に照射することによって、試料より放出される荷電粒子を検出し、当該荷電粒子の検出に基づいて、前記試料上に形成されたパターンを測定するパターン測定方法において、
異なる製造条件にて形成された複数のパターンに対し、前記荷電粒子ビームを走査して、異なる測定条件毎に前記複数のパターンの測定値を求め、当該異なる測定条件にて取得された複数の測定値と、予め取得された異なる製造条件にて形成されたパターンの基準寸法値との複数の差分を算出し、前記製造条件毎の当該複数の差分の平均値、或いは当該複数の差分の加算値が、最小或いは所定のしきい値以下となる測定条件を選択することを特徴とするパターン測定方法。
【請求項2】
請求項1において、
前記製造条件は、前記パターンを露光する露光装置の露光条件であることを特徴とするパターン測定方法。
【請求項3】
請求項1において、
前記基準寸法値は、前記異なる製造条件にて形成されたパターンを走査プローブ顕微鏡によって測定することによって得られるものであることを特徴とするパターン測定方法。
【請求項4】
請求項1において、
前記基準寸法値は、前記異なる製造条件に基づくシミュレーションによって得られるものであることを特徴とするパターン測定方法。
【請求項5】
請求項1において、
前記当該複数の差分の平均値、或いは加算値、及び前記複数の差分のばらつきに基づいて、前記測定条件を選択することを特徴とするパターン測定方法。
【請求項6】
荷電粒子ビームの走査によって得られた画像上で、画像認識用画像とのパターンマッチングに基づいて計測位置を特定するパターン測定方法において、
異なる製造条件にて形成されるパターンの画像を、異なる製造条件毎に複数形成し、当該複数の画像に対し、複数の異なる画像認識用画像を用いて複数の相関値を求め、相関値が最も高い個所と2番目に高い個所の相関値の差分を算出し、当該画像認識用画像毎の差分の平均値或いは加算値が相対的に大きい、或いは所定値を越える画像認識用画像を、前記パターンマッチング用の画像として選択することを特徴とするパターン測定方法。
【請求項7】
請求項6において、
前記製造条件は、前記パターンを露光する露光装置の露光条件であることを特徴とするパターン測定方法。
【請求項8】
請求項6において、
前記異なる製造条件にて形成されるパターンの画像は、前記異なる製造条件に基づくシミュレーションによって得られるものであることを特徴とするパターン測定方法。
【請求項9】
請求項6において、
前記複数の差分の平均値或いは加算値、及び前記複数の差分のばらつきに基づいて、画像認識用画像を選択することを特徴とするパターン測定方法。
【請求項10】
荷電粒子ビームを試料に照射することによって、試料より放出される荷電粒子を検出し、当該荷電粒子の検出に基づいて、前記試料上に形成されたパターンを測定する測定装置の測定条件を、コンピュータに設定させるコンピュータプログラムにおいて、
当該プログラムは、前記コンピュータに、異なる製造条件にて形成された複数のパターンについて、異なる測定条件毎に複数の測定値を求めさせ、当該異なる測定条件にて取得された複数の測定値と、予め取得された異なる製造条件にて形成されたパターンの基準寸法値との複数の差分を算出させ、前記製造条件毎の当該複数の差分の平均値、或いは複数の差分の加算値が最小、或いは所定のしきい値以下となる測定条件を選択させることを特徴とするコンピュータプログラム。
【請求項11】
請求項10において、
前記製造条件は、前記パターンを露光する露光装置の露光条件であることを特徴とするコンピュータプログラム。
【請求項12】
請求項10において、
前記基準寸法値は、前記異なる製造条件にて形成されたパターンを走査プローブ顕微鏡によって測定することによって得られるものであることを特徴とするコンピュータプログラム。
【請求項13】
請求項10において、
前記基準寸法値は、前記異なる製造条件に基づくシミュレーションによって得られるものであることを特徴とするコンピュータプログラム。
【請求項14】
請求項10において、
前記プログラムは、コンピュータに、前記複数の差分の平均値、或いは加算値、及び前記複数の差分のばらつきに基づいて、前記測定条件を選択させることを特徴とするコンピュータプログラム。
【請求項15】
請求項10において、
前記コンピュータを含むことを特徴とする測定条件設定装置。
【請求項16】
荷電粒子ビームを試料に照射することによって、試料より放出される荷電粒子を検出し、当該荷電粒子の検出に基づいて、前記試料上に形成されたパターンを測定する測定装置の測定条件を、コンピュータに設定させるコンピュータプログラムにおいて、
当該プログラムは、前記コンピュータに、異なる製造条件にて形成される複数のパターン画像について、複数の異なる画像認識用画像を用いて複数の相関値を求めさせ、相関値が最も高い個所と2番目に高い個所の相関値の差分を算出させ、当該画像認識用画像毎の差分の平均値或いは加算値が相対的に大きい、或いは所定値を越える画像認識用画像を、前記パターンマッチング用の画像として選択させることを特徴とするコンピュータプログラム。
【請求項17】
請求項16において、
前記製造条件は、前記パターンを露光する露光装置の露光条件であることを特徴とするコンピュータプログラム。
【請求項18】
請求項16において、
前記異なる製造条件にて形成されるパターンの画像は、前記異なる製造条件に基づくシミュレーションによって得られるものであることを特徴とするコンピュータプログラム。
【請求項19】
請求項16において、
前記プログラムは、前記コンピュータに、前記複数の差分の平均値或いは加算値、及び前記複数の差分のばらつきに基づいて、画像認識用画像を選択させることを特徴とするコンピュータプログラム。
【請求項20】
請求項16において、
前記コンピュータを含むことを特徴とする測定条件設定装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【公開番号】特開2011−179819(P2011−179819A)
【公開日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−41232(P2010−41232)
【出願日】平成22年2月26日(2010.2.26)
【出願人】(501387839)株式会社日立ハイテクノロジーズ (4,325)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年2月26日(2010.2.26)
【出願人】(501387839)株式会社日立ハイテクノロジーズ (4,325)
【Fターム(参考)】
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