説明

パッシベーション及びポリイミドにより包囲されたコンタクト及びその製造方法

半導体装置(10)は、ボンディングパッド(28)と最終相互接続層(16)との間にコンタクトを有し、そのコンタクトは、最終相互接続層(16)とボンディングパッドとの間にバリアメタル(26)を含む。パッシベーション層(18)及びポリイミド層(22)の両方により、最終相互接続層(16)とボンディングパッド(28)とが分離される。パッシベーション層(18)は、最終相互接続層(16)と接するように第一の開口(20)を形成すべくパターン化される。また、ポリイミド層(22)も、パッシベーション(18)を貫通する第一の開口(20)よりも内側にあって、それゆえにより小さな第二の開口(24)を残存させるようにパターン化される。次に、バリア層(22)が最終相互接続層(16)と接して堆積されて、ポリイミド層(22)により境界を形成する。次に、バリア(26)と接してボンディングパッド(28)が形成されると、その後、ボンディングパッド(28)に対してワイヤボンド(30)が形成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、集積回路に係り、より詳しくは、パッシベーション層及びポリイミド層により包囲されたコンタクトに関する。
【背景技術】
【0002】
高出力集積回路用ボンディングパッドのためのコンタクトは、一般に、アルミニウム製のインターフェースを有する。アルミニウムは、相互接続の最終層に用いられるのみならず、アルミニウム製のボンディングパッドにボンディングされる金製のワイヤと共にボンディングパッド金属としても用いられる。より高温における耐久性を高めるため、ボンディングパッドに金を用いる場合もある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
金のボンディングパッドは、ワイヤボンドを全く必要としないテープ自動ボンディング(TAB)に用いられる金バンプと類似している。しかしながら、125℃を超える連続接合操作温度などの高温下において、この手法では、寿命に限界があった。エンジン制御などの用途では、より長い寿命に亘って、より高い温度に対し耐久性があることが望まれる。高温下では、金が最終的にアルミニウム中に拡散する。そして、それにより、金が拡散した領域のアルミニウムは脆弱化する。これにより、拡散領域に亀裂が入り、不具合が生じる虞がある。チタンタングステン(TiW)、窒化チタンタングステン(TiWN)、クロム、及びプラチナ等の数多くのバリアメタルが提案されてきた。いずれも全般的には有効ではあるものの、依然として、より高い温度にはバリア寿命に限界がある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
従って、相互接続層と上層のボンディングパッド金属との間には、コストに悪影響を与えることなく、或いは、プロセスを過度に複雑化させることなく、耐久性が向上するコンタクトが必要とされている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0005】
本発明の前述した目的、より詳細な目的、より具体的な目的、並びに本発明の利点は、当業者であれば、以下の図面を参照すれば、後述する好適な実施形態の詳細な説明から容易に理解できるであろう。
【0006】
一態様において、半導体装置は、最終相互接続層とボンディングパッド金属との間にコンタクトを有し、そのコンタクトは、ボンディングパッドと最終相互接続層との間にバリアメタルを含む。パッシベーション層及びポリイミド層の両方により、最終相互接続層とボンディングパッドとが分離される。パッシベーション層は、最終相互接続層と接するように第一のコンタクト開口を形成すべくパターン化される。また、ポリイミド層も、パッシベーションを貫通する第一のコンタクト開口よりも内側にあって、それゆえにより小さな第二の開口を残存させるようにパターン化される。次に、バリア層が最終相互接続層と接して堆積されて、ポリイミド層により境界を形成する。次に、バリアと接してボンディングパッド金属が形成されると、その後、ボンディングパッド金属に対してワイヤボンドが形成される。これは、図面及び以下の説明を参照すれば、より良好に理解される。
【0007】
図1に示される半導体装置構造10は、能動回路領域12と、コンタクト領域14と、能動回路領域12及びコンタクト領域14を覆うアルミニウム層16と、アルミニウム層16を覆うパッシベーション層18とを有している。この実施例において、簡潔に示された半導体装置構造10は、上部にボンディングパッドを載置する必要のある完成した集積回路である。アルミニウム層16は、集積回路の最終相互接続層であり、一般には、アルミニウムであることが好ましいが、別の金属であってもよい。図1に示すように、アルミニウム層16は連続的である。しかしながら、アルミニウム層16は、相互接続層としての機能を実現するため、図示しない領域においてパターン化される。この実施例のアルミニウム層16は、約0.6ミクロンであることが好ましいが、別の厚みであってもよい。
【0008】
能動回路領域12は、トランジスタ及び他の回路素子が形成される集積回路の一部であり、トランジスタ及び他の回路素子用の相互接続を備えている。これは、一般に、トランジスタの所定部分の形成に用いられるシリコン基板、トランジスタ構成要素及び相互接続として用いられる1以上のポリシリコン層、並びに、1又は複数のポリシリコン層上において必要な相互接続及び電力接続を提供する相互接続金属層などによって実現される。最終相互接続層、即ちこの実施例におけるアルミニウム層16は、相互接続積層体のうちの最も高い位置にある。他の機能が存在していてもよい。静電気放電(ESD)保護回路をコンタクト領域に配置してもよい。また、ボール用ボンディングパッドの直下ではないコンタクト領域に、能動回路が存在していてもよい。パッシベーション層18は、約1.0ミクロンの厚さを有するプラズマ酸化膜/窒化膜であることが好ましいが、他の厚みを有していてもよく、また別の適切な誘電体材料から形成されてもよい。従って、コンタクト領域は、ボンディングパッド用として最終金属層へのコンタクトが形成される領域である。
【0009】
図2は、コンタクト領域14上のパッシベーション層18に開口20を残存させるように、パッシベーション層18のパターンエッチングを実施した後の半導体装置構造10を示す。開口20は、15ミクロン×21ミクロンであることが好ましいが、他の寸法であってもよい。
【0010】
図3は、硬化前の厚みが約8ミクロンであるポリイミド層22をスピンコーティングにより堆積させた後の半導体装置構造10を示す。
図4は、開口20内に開口24を形成するようにポリイミド層22をパターン化した後の半導体装置構造10を示す。開口24は、アルミニウム層16において、12ミクロン×18ミクロンであることが好ましい。開口24はかなりの勾配を有し、45度の勾配を有していてもよい。一方で、開口24は、垂直線から10度だけ勾配していてもよい。開口24は、各側面につき、約2ミクロンのポリイミドにより開口20から分離されている。
【0011】
図5は、ポリイミド層22上及び開口24内のアルミニウム層16上にチタンタングステン(TiW)層26を堆積し、TiW層26上に金層28を堆積して、金層28上にワイヤボンドを堆積した後の半導体装置構造10を示す。TiW層26の厚みは、0.35ミクロンであることが好ましい。金層28の厚みは、約9ミクロンであることが好ましいが、別の厚みであってもよい。金層28は、一般に、まず金のシードメタル薄膜をスパッタリングして金/TiWシード層を設け、金/TiWシード層上の厚いフォトレジストをパターン化した後、金/TiWシード層のフォトレジスト被覆の無い部分にのみ9ミクロンの金を電気めっきすることによって、形成される。フォトレジスト及び金/TiWシード金属薄膜において電気めっきされた厚い金層の下以外の部分も化学的に剥がされる。そして、パターン化及び分離化され、アルミニウム相互接続層において所望の箇所とのコンタクトを有する金のボンディングパッドを残存させる。金層28は、実質的に共形であるため、ポリイミド層22の外形に従う。金層28からなるボンディングパッドは、金層28及びポリイミド層22の平坦部上に設けられ、図4に示すように、能動回路領域12上に設けてもよい。よって、開口24内の金層28及びTiW層26は、少なくとも1ミクロンのポリイミドによってパッシベーション層18のサイドウォールから分離される。
【0012】
パッシベーション層18の側壁と金層との間の分離を提供するポリイミドは、高温用途において、アルミニウム層16と金層28との間のコンタクトの耐久性を大幅に異ならせることが既に知られている。発明者らは、TiWバリアがパッシベーション層18の側壁に沿って設けられている場合、高温時にこの位置においてかなりの速さでTiWバリアを通ってアルミニウム中に金が拡散することを見出した。この位置でこうした高速の拡散が生じる原因は不明である。1つの理論としては、アルミニウムを露出させるようにポリイミドがエッチングされると、一部にパッシベーションの下方にまで延びるアルミニウムのアンダーカットができ、これによりバリアメタルによるパッシベーションの段差被覆(ステップカバレッジ)がより困難になるとの考えがある。別の理論としては、3つの異なる剛性材料が三等分される側壁の角部の応力点において、TiW層があまり良好なバリアにならないとの考えがある。ポリイミドの利用といった本発明の手法は、パッシベーション上での機械的な応力の緩和を何からのかたちで提供するであろう。いずれにせよ、パッシベーション層の側壁における性能の低いバリアメタルの問題は、パッシベーションの側壁をポリイミドによりTiWから分離することによりかなり改善される。本発明の手法の成果としては、大幅に改善されたコンタクトの耐久性である。
【0013】
用いられるポリイミドは、上記の寸法でパターン化されるか、おそらくはより小さくパターン化することができる。この目的のために、写真現像型ポリイミドを用いてもよい。写真現像型ポリイミドの別の利点としては、ポリイミドをパターン化するためにフォトレジスを堆積するステップが不要であることがある。実際は、写真現像型ポリイミドは、フォトレジスに類似しているものの、ポリイミドの通常の使用のためパターン化後にも残存させられるといったフォトレジストに関する利点を有している。更に、ポリイミドは、ポリアミド酸の含有量が少なく、好ましくは、ポリアミド酸をほとんど含有していない。一部のポリイミドを重合させると酸が残留する。そして、それが、高湿雰囲気下では、腐食性物質として作用する。有効であるそのようなポリイミドの1つが、PI2771との商品名で、ヒタチ・デュポン社から市販されている。
【0014】
当業者であれば、説明目的のために選択された本明細書に記載の実施形態について種々の他の変形例や変更例を想到し得るであろう。例えば、開示されていない厚みについても有効である。更に、用いられた材料には特別な利点があるものの、他の材料であってもまた有効である。本発明の用途は、ワイヤボンディングであったが、TABボンディング等の他の用途にも適用可能である。そのような変更例及び変形例は、本発明の思想から逸脱しない範囲内で、以下の請求項の正当な解釈のみによって評価される発明の範囲内に含まれることを意図している。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の一実施形態に係るプロセスのある段階における半導体装置の断面図。
【図2】図1に示す段階の後に続く段階における半導体装置の断面図。
【図3】図2に示す段階の後に続く段階における半導体装置の断面図。
【図4】図3に示す段階の後に続く段階における半導体装置の断面図。
【図5】図4に示す段階の後に続く段階における半導体装置の断面図。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
能動回路領域と、
コンタクト領域と、
前記能動回路及び前記コンタクト領域上に設けられた最終相互接続層と、
前記最終相互接続層上に設けられ、前記パッシベーション層の側壁によって境界が形成される第一の開口を有するパッシベーション層と、
前記パッシベーション上に設けられ、前記第二の開口を前記パッシベーション層の側壁から分離させるように、前記第一の開口内に第二の開口を有するポリイミド層と、
前記ポリイミド層上に設けられ、前記第二の開口内で前記最終相互接続層と接するバリアメタル層と、
前記バリアメタル上に設けられたボンディングパッド金属と
を備える半導体装置。
【請求項2】
請求項1記載の半導体装置において、
前記ポリイミド層が写真現像型ポリイミドを含む半導体装置。
【請求項3】
請求項2記載の半導体装置において、
前記パッシベーション層が窒化物を含み、前記バリアメタル層がチタンタングステンを含み、前記ボンディングパッド金属が金を含み、前記最終相互接続層がアルミニウムを含む半導体装置。
【請求項4】
請求項1記載の半導体装置において、
前記パッシベーション層が窒化物を含み、前記バリアメタル層がチタンタングステンを含み、前記ボンディングパッド金属が金を含み、前記最終相互接続層がアルミニウムを含む半導体装置。
【請求項5】
請求項1記載の半導体装置において、
前記パッシベーション層の側壁が、少なくとも1ミクロンのポリイミドにより前記ボンド金属から分離されている半導体装置。
【請求項6】
請求項1に記載の半導体装置は、更に
前記能動回路領域を覆う前記ボンディングパッド金属上のワイヤボンドを含む半導体装置。
【請求項7】
請求項6記載の半導体装置において、
前記相互接続層がアルミニウムを含み、前記バリア層がチタンタングステンを含み、前記ボンディングパッド金属が金を含む半導体装置。
【請求項8】
半導体装置の製造方法であって、
能動回路領域を設けるステップと、
コンタクト領域を設けるステップと、
前記能動回路及び前記コンタクト領域上に最終相互接続層を形成するステップと、
前記最終相互接続層上にパッシベーション層を堆積させるステップと、
前記パッシベーション層に第一の開口をエッチングするステップであって、前記第一の開口は、前記パッシベーション層の側壁により境界が形成されるステップと、
前記パッシベーション層上にポリイミド層を堆積させるステップと、
前記ポリイミド層内に第二の開口をエッチングするステップであって、前記第二の開口は、前記ポリイミド層により前記パッシベーション層の側壁から分離させるように前記第一の開口内に位置しているステップと、
前記ポリイミド層上に、前記第二の開口内で前記最終相互接続層と接するバリアメタル層を堆積させるステップと、
前記バリアメタル上にボンディングパッド金属を堆積させるステップと
を含む方法。
【請求項9】
請求項8に記載の方法は、更に、
前記能動回路領域を覆う前記ボンディングパッド金属上にワイヤボンドを形成するステップを含む方法。
【請求項10】
請求項9記載の方法において、
前記バリアメタル層を堆積させるステップは、更に、前記バリア金属層がチタンタングステンを含むことを特徴とし、
前記ボンディングパッド金属を堆積させるステップは、更に、前記ボンディングパッド金属が金を含むことを特徴とし、
最終相互接続層を堆積させるステップは、更に、前記最終相互接続層がアルミニウムを含むことを特徴としている方法。
【請求項11】
請求項8記載の方法において、
前記ポリイミド層を堆積させるステップは、更に、前記ポリイミド層が写真現像型ポリイミドを含むことを特徴としている方法。
【請求項12】
請求項11記載の方法において、
前記パッシベーション層を堆積させるステップは、更に、前記パッシベーション層が窒化物を含むことを特徴とし、
前記バリアメタル層を堆積させるステップは、更に、前記バリア金属層がチタンタングステンを含むことを特徴とし、
前記ボンディングパッド金属を堆積させるステップは、更に、前記ボンディングパッド金属が金を含むことを特徴とし、
最終相互接続層を堆積させるステップは、更に、前記最終相互接続層がアルミニウムを含むことを特徴としている方法。
【請求項13】
請求項8記載の方法において、
前記パッシベーション層を堆積させるステップは、更に、前記パッシベーション層が窒化物を含むことを特徴とし、
前記バリアメタル層を堆積させるステップは、更に、前記バリア金属層がチタンタングステンを含むことを特徴とし、
前記ボンディングパッド金属を堆積させるステップは、更に、前記ボンディングパッド金属が金を含むことを特徴とし、
最終相互接続層を堆積させるステップは、更に、前記最終相互接続層がアルミニウムを含むことを特徴としている方法。
【請求項14】
請求項8記載の方法において、
前記ポリイミド層をエッチングするステップは、更に、前記パッシベーション層の側壁から測定した厚みが少なくとも1ミクロンのポリイミドを残存させることを特徴としている方法。
【請求項15】
能動回路領域と、
コンタクト領域と、
前記能動回路及び前記コンタクト領域上に設けられ、アルミニウムを含む最終相互接続層と、
前記最終相互接続層上に設けられ、前記パッシベーション層の側壁によって境界が形成される第一の開口を有するパッシベーション層と、
前記パッシベーション層上に設けられ、前記パッシベーション層の側撃から分離させるように、前記第一の開口内部に第二の開口を有するポリイミド層と、
前記ポリイミド層上に設けられ、前記第二の開口内で前記最終相互接続層と接するチタンタングステンを含むバリアメタル層と、
前記バリアメタル上に設けられて金を含むボンディングパッド金属と
を備える半導体装置。
【請求項16】
請求項15記載の半導体装置において、
前記ポリイミド層が写真現像型ポリイミドを含む半導体装置。
【請求項17】
請求項16記載の半導体装置において、
ポリイミド層がポリアミド酸を含有しない半導体装置。
【請求項18】
請求項17記載の半導体装置において、
前記パッシベーション層が窒化物を含む半導体装置。
【請求項19】
請求項18記載の半導体装置において、
前記パッシベーション層の側壁が、少なくとも1ミクロンのポリイミドにより前記ボンド金属から分離されている半導体装置。
【請求項20】
請求項19記載の半導体装置は、更に、
前記能動回路領域を覆う前記ボンディングパッド金属上のワイヤボンドを含む半導体装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2009−538537(P2009−538537A)
【公表日】平成21年11月5日(2009.11.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−512193(P2009−512193)
【出願日】平成19年3月30日(2007.3.30)
【国際出願番号】PCT/US2007/065622
【国際公開番号】WO2007/140049
【国際公開日】平成19年12月6日(2007.12.6)
【出願人】(504199127)フリースケール セミコンダクター インコーポレイテッド (806)
【Fターム(参考)】