説明

フォトレジスト素子を形成する方法

ホットメルトフォトレジスト混合物を調製する工程、光画像形成性ホットメルト組成物を、スロットダイコーティングシステムを使用してフィルム基板に適用する工程、ホットメルトを十分に冷却して流動を防ぐ工程、及び保護カバーフィルムを、部分的に冷却された組成物の反対側の表面に適用し、それによってフォトレジスト素子を形成する工程を含む、フォトレジスト素子を形成する方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スロットダイコーティングシステムを使用してフォトレジスト素子を形成する方法に関する。本発明は、又、フォトレジスト素子を使用して作製される複合物品に関する。
【背景技術】
【0002】
光画像形成性コーティング(一般的にフォトレジストとして知られている)は、現在、広く半導体及び微細機械加工用途で使用されている。そのような用途においては、光画像形成は、基板上の感光性コーティングを、パターン化放射線に露光し、それによってコーティングにおける溶解性変化を誘発して、露光又は非露光領域が、適当な現像液組成物での処理により選択的に除去できるようにして行われる。光画像形成性コーティング、即ちフォトレジストは、放射線への曝露が現像液での溶解性をそれぞれに増加又は減少するポジ又はネガ型のいずれであってもよい。
【0003】
超小型電子用途において有用な最も一般的な光画像形成性コーティングは、フィルム形成樹脂、光活性化合物、及び溶剤を含む液体組成物である。これらの組成物は、液体形態で直接に基板に適用され、次いで基板上にコーティングを形成するために乾燥することができ、或いはこれらは、複合フィルムのコーティングされた側が、熱及び圧力の作用下で基板と接触する場合に、光画像形成性コーティングが基板に接着し、次いで、ポリマーフィルムが、基板上に感光層を残して除去されるように、ポリマーフィルム上に液体フォトレジストの実質的に乾燥したコーティングを含む複合フィルムへと最初に形成することができる。説明したタイプの光画像形成性複合フィルムは、一般的に、当該技術分野においては、乾燥フィルムフォトレジスト又はフォトレジスト素子と称される。用語「フォトレジスト素子」とは、基板ポリマーフィルム又はフォイルと保護ポリマーカバーシートとの間に適用される光画像形成性組成物である。用途によって、そのような乾燥フィルムフォトレジスト(又はフォトレジスト素子)は、特に、更に高い処理量、コーティングの均一性、及び低コストの適用方法を与える厚いフィルムに関して液体フォトレジストを超える利点を与える場合がある。乾燥フィルムフォトレジストは、コーティングされた基板が不規則形状(丸くない)で、基板が液体フォトレジスト中に存在する溶剤と相溶性ではない場合又は基板が、技術的若しくは経済的理由で、溶剤を除去するのに必要な時間及び温度の条件下で焼成することができない場合に特に有用である。一般的に、乾燥フィルムフォトレジスト組成物は、幾つかの従来のコーティング技法の1つを使用して第1基板上にコーティングされる液体光画像形成性組成物で作製されている。液体光画像形成性組成物中の溶剤の実質的な部分は、加熱又はその他の適当な加工処理により除去されて第1基板上に乾燥フォトレジスト層を形成する。この方法は、一般的に、100μm以下の単一コーティング厚さに限定される。その後、乾燥フィルムフォトレジストは画像化され、この第1基板上で又は第2基板上に転写された後に従来の加工処理により現像される。次いで、これらの画像化された乾燥フィルムは、従来のストリッピング又はフォトレジスト除去処理(この場合は、このフォトレジスト層は一時的なフォトレジストである)によりその基板から除去されるか又は硬化されて、最終使用用途(この場合は、このフォトレジスト層は永久フォトレジストである)の一部となることができる。
【0004】
異なる光画像形成性組成物に関して多数の提案が従来技術において成されてきた。これらの配合物の多くはエポキシ化合物を含む。例えば、米国特許第5264325号を参照のこと。その特許では、フォトレジスト材料は、コーティング方法、例えば、或る程度のレオロジー特性を必要とする、スピンコーティング又はダイコーティングにより適用できるように配合されなければならないことを更に教示している。更に、この組成物は、フィルムの厚さを通して光開始剤を光分解するために露光放射線の十分な透過を与える特性を有さなければならず、粒状物質又は不具合を事実上含まない無傷のコーティングを事実上生成しなければならない。このフォトレジストは、顕著な劣化、又は接着性の損失なしに、はんだ又はインク抵抗性又は強靭性などの適用に耐える適当な物理的及び化学的性質を有さねばならない。フォトレジストがその他の目的、例えば、エッチングフォトレジスト等に使用される場合は、その他の特性が必要とされる可能性がある。
【0005】
その他にも、多数の米国特許及びその他の文献が乾燥フィルムフォトレジストの調製及び使用を教示している。これらの文献としては、米国特許第3496982号、第3526504号、第3547730号、第4193797号、第4193799号、第4260675号、第4624912号、第5077174号、及び第6204456号が挙げられる。文献のほとんどは、種々のコーティング方法を使用して、有機溶剤中の感光性組成物の溶液をコーティングすることによりフォトレジスト素子を調製している。米国特許第6060215号は、ポリエチレンテレフタレート基板フィルム上での感光性樹脂組成物の溶液スロットダイコーティングを明白に記載しており、この方法は、多数の現代のフォトレジスト素子の調製で普及している。
【0006】
スピンコーティングに適した、上で開示された組成物を基にしたネガ型フォトレジストは、MicroChem Corp.、Newton、MA、USAにより販売されており、産業的に、特にMEMSデバイスの製造において使用されている。例えば、MicroChemにより一般的に提供される製品、「SU−8 50」は、1000〜3000rpmでスピンコーティングして、30〜100ミクロンの範囲の厚さのフィルムを生成することができ、露光及び現像後に、100ミクロンを超えるフィルム厚さで10:1を超えるアスペクト比を有する画像を生成することができる。よりハイソリッド化又はよりローソリッド化したものは、1ミクロン未満まで及び200ミクロンより上まで、単一コーティング方法により得ることのできるフィルム厚さの範囲を拡大する。溶液のキャスティングは、1〜2mm以上の厚さのフィルムを得ることができる。米国特許第4882245号は、マイラー(Mylar)フィルム等の担体媒体上にコーティングした場合の乾燥フィルムフォトレジストとしてそのような材料の用途を記載している。米国特許出願第10/945334号及びKieningerらの論文(Proceedings μTAS 2004、Malmo、363頁(2004年))は、その他の同様の乾燥フィルム材料を記載している。米国特許出願公開第2004/0233261号は、マイラーディスク上に組成物の液体溶液をスピンコーティングし、続いて構造化シリコンウエハ上へ積層することによるマイラー上のSU−8素子の調製を記載している。
【0007】
米国特許第4882245号及び第4940651号は、8つの平均エポキシド官能性を有する88%までエポキシ化されたビスフェノールAホルムアルデヒドノボラック樹脂及び可塑剤として役立つ反応性希釈剤と、カチオン性光開始剤との混合物からなる、プリント基板で使用するための光画像形成性カチオン重合性組成物を開示している。開示されている反応性希釈剤は、単官能性又は二官能性脂環式エポキシドであり、好ましくは、10〜35重量%の固形分であった。又、永久層としてのこれらの配合物の使用も開示されていて、この層は基板から除去されずに、例えば、プリント基板上の誘電体層等の構造の一部となる。そのような配合物は、又、感光性素子を形成するために使用することができる。
【0008】
米国特許第5026624号、第5278010号、及び第5304457号は、10〜80重量%の、ビスフェノールAとエピクロロヒドリンとの縮合生成物、20〜90重量%のエポキシ化ビスフェノールAホルムアルデヒドノボラック樹脂、及び35〜50重量%の、テトラブロモビスフェノールAのグルシジルエーテルと、100重量部当たり0.1〜15部のカチオン性光開始剤との混合物からなる、はんだマスクとしての使用に適した光画像形成性カチオン重合性難燃剤組成物を開示している。カーテンコーティング、ロールコーティング、及び巻き線ロッドコーティングがコーティング方法として使用されている。この組成物は、又、乾燥フィルムフォトレジストの中に作ることもできる。
【0009】
種々の基板上への感光性組成物のその他のコーティング方法が記載されている。例えば、Chenの米国特許第4323637号は、印刷版にとって有用な感光性素子の製造のための押出し方法を記載している。ここでは、100%固体の弾性ブロックコポリマー組成物がスクリュー押出機で熱溶融され、冷却したメルトの自立シートを生成するためにシートダイを通して、冷却されたキャスティングホイール上に押出される。次いで、これは基板フィルム及び保護カバーシートフィルムとの間に差し込まれ、プラテンプレス又はカレンダーロールでホットプレスされ、約0.012〜約6mmの厚さの感光性層を形成する。同様に、Gossの米国特許第5735983号は、ニップなしの様式で、フレキソ印刷版のための自己積層を達成するために、移動する担体上への光硬化性ポリマーの押出しを記載している。ここでは、成分はスクリュー押出機で溶融され、シートダイに一定量が送られ、次いで、移動する担体ウェブ上に自己積層される。冷却後、1つ又は複数の研磨工程が、ポリマーシートの均一な厚さを確実にするために使用される。0.5〜7.5mmの厚さを得ることができる。これらの2つの事例では、感光性又は光硬化性組成物は、最初に自立シートで押出され、次いで、基板フィルムに適用され、押出されたフィルム表面の品質は、許容される品質表面を得るために更に加工処理できるので重要ではない。更に、Bentleyの米国特許第5720820号は、コーティングするための物品へフィルムを運ぶために空気流を使用する、断続的なフィルムをスロットダイコーティングするための装置を記載している。
【0010】
Nakamuraの米国特許第5633042号は、ガラス繊維布上に、硬化剤を含む感温性エポキシメルトをスロットダイコーティングし、コーティングをガラス繊維布中に更に溶融することにより電気絶縁材料として使用するためのプレプレッグ部品を形成する方法を記載している。2つの成分は、別々にろ過され且つ計量され、素早く混合され、次いで、特定の温度、平均滞留時間及び低剪断条件下でコーティングされることが必要である。コーティングされたフィルム表面の品質は重要ではなく、温かいプレプレッグ材料は、2つのプレート又は圧縮ローラー間で実際に押圧され、平坦で平滑な表面を得る。
【0011】
Enlowの一連の米国特許(第6254712号、第6336988号、第6547912号、及び第6773804号)は、自動車コーティング、外装側線、及び光学的に透明なポリマーフィルム等での使用のための保護及び装飾フィルムのための無欠陥素子を製造するために光学的に透明なコーティングを形成するための無溶剤押出しダイコーティングを記載している。やはり一軸スクリュー押出機が、メルトを押出しダイに供給するために使用され、移動する可撓性担体シート上にキャストされるフィルムを形成する。これらのブレンドされたフルオロポリマー/アクリルポリマーフィルムは非常に温度安定性であり、全く感光性成分を含まない。一般的な厚さは、約25〜75μm(0.025〜0.075mm)の範囲である。
【0012】
フォトレジスト素子は文献に相当頻繁に記載されているが、これらはそれぞれ問題を持っている。そのような問題の1つは、Mimuraの米国特許第6368722号に記載されているように、基板フィルムに対するコーティングされたフィルムの接着性である。従って、Mimura特許及びTaylorの米国特許第6001532号等に記載されているように、基板フィルムを均一にコーティングすることができるようにするために、異なる化学組成物の剥離層で基板フィルムを予備コーティングし、次いで、感光性コーティングからカバーシート及び基板フィルムを簡単に除去することが多くの場合必要である。Enlowの米国特許第6254712号は、ポリマー材料を、高度に透明な、本質的に無傷の薄いフィルム層に押出すことの困難性を記載し、押出し技法は、速いライン速度で且つ低コストで高い光学的品質のフィルムを製造するのにうまく適合できていないことに言及している。
【0013】
感光性コーティングを適用するためのその他の広く使用されている方法はスロットダイコーティングであり、液体キャスト溶液が感光性素子に対して上述のようにコーティングされるか、100%固体のホットメルト組成物が、移動する基板上に直接スロットダイコーティングされる。後者の方法は、水分透過性おむつライナー(米国特許出願公開第2002/0019187号)、ディスプレイ用途のための複数層拡散フィルム(米国特許第6636363号)、接着テープ(米国特許第5738939号)、及び研磨ベルト(米国特許第5565011号)等の多種多様な物をコーティングするために広く使用されている。
【0014】
スロットコーティングは、接着剤産業の主力方法である。スロットコーティング方法では、コーティング液体の供給のために接続されているスロットダイは、コーティングウェブ又は単純にウェブとして当該技術分野で知られている移動する基板の近傍に配置される。コーティング液体はダイを通して基板上に堆積され、ウェブ上に連続した均一な薄い液体コーティングを生成する。ホットメルトスロットダイ被覆方法は、光硬化性エポキシ組成物を含む広範囲の基板上に接着剤をコーティングするために広く使用されている。そのような例証的用途の1つは、Follettの米国特許第5565011号で示されていて、光硬化性ホットメルトコーティング性感圧接着剤組成物のコーティング形成層がPETフィルム上にスロットダイコーティングされる。次いで、コーティング形成層は、普通は加工処理問題を示す積層を介して適当な裏打ち材料に適用される。次いで、コーティング形成層は、研磨ベルト等の研磨物品の製造において使用される。好ましい組成物は、エポキシ含有材料、ポリエステル成分及び光開始剤の有効量を含む。組成物は光硬化性であるが、乾燥フィルムフォトレジスト組成物にとって必要とされる範囲まで光画像形成性ではない点に留意されるべきである。又、そのような接着剤フィルムのコーティング品質は、フォトレジスト素子にとって必要とされる水準にはない。
【0015】
これらの多数の文献は、乾燥フィルム材料を調製するための種々のフォトレジスト配合物及び方法を教示しているが、現代的な乾燥フィルム配合物を調製するための良好な方法に対する要求がなお存在する。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明は、それらの現代的な乾燥フィルム用途のための乾燥フィルム材料を調製するための多目的、低コスト方法を用意することによりその要求に対する解決策を提供する。本発明は、溶液キャスト又は押出しコーティング技法の代替である、ホットメルトスロットダイ被覆方法を提供する。厚さが僅か数ミクロン〜数mmを超える均一なフィルムが、単体の装置を使用して、コーティング速度及びコーティング比率を変えるだけでこの方法で調製することができる。本発明技法の使用は、高価な溶剤を回避し、VOCの放出を生まず、溶剤キャスティングに関連する相互汚染を回避する利点を提供する。本発明による方法は、ライン速度の増加、製造プロセスにおける工程の除去、コーティング厚さの変化における高い汎用性、及びコーティング方法に対する全体的なコスト削減の更なる利点を有する。
【0017】
(発明の概要)
本発明は、フォトレジスト素子の調製及びそれらのフォトレジスト素子を使用して作製される乾燥フィルムフォトレジストの複合物品に関する。そのような物品は、紫外線(UV)、X線又は電子ビームリソグラフィーで加工処理することのできる、電子部品、微小電気機械システム(MEMS)部品、微小機械部品、微細流体部品、バイオMEMS部品、マイクロ総合分析システム(μ−TAS)部品、医学デバイス、マイクロ光学又は導波管部品、マイクロ反応器部品、導電性層、リソグラフィー電鋳成形(LIGA)部品、マイクロ射出成形及びマイクロエンボス加工のためのディスプレイ、型及びスタンプ、高品位印刷用途のためのスクリーン又は型板、MEMS及びICパッケージ部品(不動態化又は応力/緩衝膜、ダイ接着剤及び非流動アンダーフィル等)、ウエハレベルパッケージ(ウエハ結合、チップ積層、三次元インターコネクト等)、集積受動部品及びプリント配線板(高密度インターコネクト、はんだマスク、中間層等)の製造にとって有用である。適当な電子部品用途としては、誘電体層、絶縁層、ウエハ結合層及び光伝導性波長回路が挙げられる。光学的用途としては、光学インターコネクト、導波管、光学スイッチ、スペーサー、光学ディスプレイ、可撓性OLED、バックプレーン、光学用拡散体若しくは反射体素子又は保護コーティング、LED又はOLED部品を挙げることができる。その他の使用としては、その他の光画像形成性層のための樹脂又はポリマー基板として、或いはナノインプリントリソグラフィー若しくは広い面積のディスプレイ用途等のパターン化された構造のためのUV又はホットエンボス加工のためのフィルムとして並びに生化学分析のためのアレイの分離、分析及び調製のための構造の構築及び生物学的材料のための細胞成長プラットホームの構築におけるフィルムとしての使用が挙げられる。なおその他の適当な用途としては、例えば微細流体又は光学デバイスで使用される埋め込みチャンネル及び空気連絡構造の加工における、或いはインクジェットのヘッドの貯蔵部、流体チャンネル又はノズル層のためのカバーシートとしての使用が挙げられてもよい。
【0018】
従って、本発明の1つの態様は、(1)ホットメルトフォトレジスト組成物を調製する工程、(2)ホットメルトフォトレジスト組成物を、スロットダイコーティングシステムを使用して基板に適用する工程、(3)ホットメルトを十分に冷却して流動を防ぐ工程、及び(4)保護カバーシートを部分的に冷却された組成物の反対側の表面に適用し、それによってフォトレジスト素子を形成する工程を含む、フォトレジスト素子を形成する方法に関する。
【0019】
本発明のなおその他の態様は、上記工程により形成されるフォトレジスト素子を使用して、更に、(1)任意選択的に、フォトレジスト素子から基板フィルム又は保護カバーシートを除去し、基板又はカバーシート又は両方に結合したフォトレジスト素子の層を残す加工工程、(2)任意選択的に、フォトレジスト素子の層を第2基板に積層する加工工程、(3)任意選択的に、第2基板上のフォトレジスト素子の積層された層からフィルム基板を除去する加工工程、(4)フォトレジスト素子層を化学線で画像状に照射する加工工程、(5)フォトレジスト素子層から既に除去されてない場合は、フィルム基板、第2基板又は保護カバーシートの少なくとも1つを除去する加工工程、(6)加熱することによりフォトレジスト素子の層の照射された範囲を架橋する加工工程、(6)任意選択的に、現像溶液でフォトレジスト素子の層において画像を現像し、それによってフォトレジスト素子層にレリーフ画像を形成するか、又は更なるフォトレジスト素子を用いて工程(1)からのプロセスを繰り返す加工工程、及び(7)任意選択的に、現像されたレリーフ画像を加熱することにより硬化する加工工程、を含む、永久フォトレジストパターンを形成する方法に関する。
【0020】
(発明の詳細な説明)
(光画像形成性コーティング組成物の説明)
本明細書及び特許請求の範囲において使用される「無溶剤」という用語は、5重量%未満の溶剤、好ましくは1重量%の溶剤、最も好ましくは本質的に溶剤又は揮発性成分を含まない組成物を意味する。
【0021】
本発明の光画像形成性コーティング組成物は、(A)少なくとも1つの多官能性樹脂、及び(B)少なくとも1つの光酸発生剤又はその他の熱安定性感光性材料を含む。
【0022】
適用可能な多官能性樹脂としては、ビニルエーテル、シリコーン、ポリウレタン、ホルマール、アセタール、t−ブチルエステル、t−ブトキシカルボニルエステル等の広範囲の反応性材料が挙げられる。1つの好ましい実施形態においては、多官能性樹脂は、完全に若しくは部分的にエポキシ化されたノボラック樹脂若しくは脂環式樹脂又はこれらの混合物である。更に好ましくは、多官能性樹脂(A)は、約150〜500g/当量のエポキシド当量重量を有する完全に又は部分的にエポキシ化された多官能性ノボラック又は脂環式樹脂である。最も好ましくは、多官能性樹脂は、約195〜230g/当量のエポキシド当量重量を有するエポキシ化8官能性ビスフェノールAノボラック樹脂である。又、最も好ましい多官能性樹脂は、2つ以上の多官能性樹脂の混合物である。その他の好ましい多官能性樹脂は以下の実施例で説明される。
【0023】
本明細書で使用される「多官能性」という用語は、組成物が化学線に露光された場合及び任意選択的に、その後に加熱された場合に形成される酸又は塩基又はその他の感光性材料と反応性である2つ以上の化学部分を有する任意の樹脂材料を意味する。光で発生した酸又は塩基により開始されるそのような反応としては、反応性種が、組成物それ自体におけるその他の成分と反応性であるか又はこれらの多官能性樹脂自体における異なる反応性部分間で反応性である広範囲の系が挙げられる。
【0024】
ビスフェノールAノボラックエポキシ樹脂は、本発明での使用に特に適していて、ビスフェノールAノボラック樹脂とエピクロロヒドリンを反応させることにより得ることができる。4000〜7000の範囲の重量平均分子量を有する樹脂は特に好ましい。Resolution Performance Products、Houston、Texasにより作製されたEpicoat(登録商標)157(エポキシドの当量当たり180〜230g樹脂のエポキシド当量重量(g樹脂/当量又はg/等量)及び80〜90℃の軟化点)等は、本発明での使用に適したビスフェノールAノボラックエポキシ樹脂の好ましい例として挙げられる。使用に適した更なるエポキシ樹脂の例は、Nippon Kayaku Co.、Ltd.of Tokyo、Japanから入手できるNC−3000H樹脂及びNER−7604樹脂である。これらの任意選択のエポキシ樹脂は、樹脂Aの50重量%を超える量で使用することができる。フェノール−ノボラックエポキシ樹脂、トリスフェノールメタンエポキシ樹脂等はその他の代替的エポキシ樹脂の例として挙げられる。多官能性樹脂は組成物に更なる特性、例えば難燃性等を与えるために使用することができ、Dow Chemical社のDER 542等のエポキシ化テトラブロモビスフェノールAホルムアルデヒドノボラック樹脂又はポリマーリン誘導体を挙げることもできる。
【0025】
様々な多官能性脂環式エポキシ樹脂は、又、単独で又は上記の樹脂との組合せで使用することができる。これらとしては、特にDow Chemical社からERL 4221Eとして又はHuntsmann社からAraddite CY 179として入手できる3,4−エポキシシクロヘキシル3’−4’−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、Dow Chemical社からERL 4299として入手できるビス(3,4−エポキシシクロヘキシル)アジペート、ジシクロペンタジエンジエポキシド、4−ビニルシクロヘキセンジエポキシド及びリモネンジエポキシド等の樹脂が挙げられる。これらの中では、3,4−エポキシシクロヘキシル3’−4’−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、ビス(3,4−エポキシシクロヘキシル)アジペート及びジシクロペンタジエンジエポキシドが好ましい脂環式エポキシ樹脂である。
【0026】
活性光線、例えば紫外線等により照射された場合にプロトン酸を発生する化合物は、本発明で使用される光酸発生剤(B)として好ましい。芳香族ヨードニウム錯塩及び芳香族スルホニウム錯塩が例として挙げられる。ジ−(t−ブチルフェニル)ヨードニウムトリフレート、ジフェニルヨードニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロホスフェート、ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート、ジ(4−ノニルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロホスフェート、[4−(オクチルオキシ)フェニル]フェニルヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート等は、使用することのできる芳香族ヨードニウム錯塩の具体例として挙げられる。更に、トリフェニルスルホニウムトリフレート、トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロホスフェート、トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、トリフェニルスルホニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、4,4’−ビス[ジフェニルスルホニウム]ジフェニルスルフィド、ビス−ヘキサフルオロホスフェート、4,4’−ビス[ジ(β−ヒドロキシエトキシ)フェニルスルホニウム]ジフェニルスルフィドビス−ヘキサフルオロアンチモネート、4,4’−ビス[ジ(β−ヒドロキシエトキシ)(フェニルスルホニウム)ジフェニルスルフィド−ビスヘキサフルオロホスフェート、7−[ジ(p−トリル)スルホニウム]−2−イソプロピルチオキサントンヘキサフルオロホスフェート、7−[ジ(p−トリル)スルホニオ−2−イソプロピルチオキサントンヘキサフルオロアンチモネート、7−[ジ(p−トリル)スルホニウム]−2−イソプロピルテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、フェニルカルボニル−4’−ジフェニルスルホニウムジフェニルスルフィドヘキサフルオロホスフェート、フェニルカルボニル−4’−ジフェニルスルホニウムジフェニルスルフィドヘキサフルオロアンチモネート、4−t−ブチルフェニルカルボニル−4’−ジフェニルスルホニウムジフェニルスルフィドヘキサフルオロホスフェート、4−t−ブチルフェニルカルボニル−4’−ジフェニルスルホニウムジフェニルスルフィドヘキサフルオロアンチモネート、4−t−ブチルフェニルカルボニル−4’−ジフェニルスルホニウムジフェニルスルフィドテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、ジフェニル[4−(フェニルチオ)フェニル]スルホニウムヘキサフルオロアンチモネート等は、使用することのできる芳香族スルホニウム錯塩の具体例として挙げることができる。或る種のフェロセン化合物、例えば、Ciba Specialty Chemicals社のIrgacure 261製品等が使用することができる。光開始剤(B)は単独で又は2つ以上の化合物の混合物として使用することができる。プロピレンカーボネート等の担体溶剤における溶液としての光開始剤(B)が同様に使用することができる。
【0027】
好ましい開始剤というものは存在しないが、最も頻繁に使用される光開始剤は、式1として以下で示される構造を有するトリアリールスルホニウム塩若しくはトリアリールスルホニウム塩の混合物、又は式2として以下で示される構造を有するジアリールヨードニウム塩(ここで、Arは同じアリール基又はアリール基の混合物を表すことができる)からなる光酸発生剤である。トリアルキルスルホニウム若しくはジアルキルヨードニウム又は混合アルキルアリール塩も使用することができる。最も普通に使用されるものは、ヘキサフルオロホスフェート又はヘキサフルオロアンチモネート塩であるが、その他の強酸塩、例えば、テトラ(ペルフルオロフェニル)ホウ酸又はトリス(トリフルオロメチルスルホニウム)メチド等も利用できる。そのような材料は、プロピレンカーボネートに溶解した式1の化合物の混合物の、それぞれに、PF及びSbF塩の約50%溶液からなる、CYRACURE(登録商標)カチオン系光開始剤UVI−6990又はUVI−6976の商標名でDow Chemical社から;CPI−100P又はCPI−101A(プロピレンカーボネートに溶解した式1の、それぞれに本質的に純粋なPF及びSbF塩の約50%溶液からなる)、及びCPI−110A(100%固体SbF塩)の商標名でSan Apro社から;Irgacure 125(プロピレンカーボネートに溶解した式2の本質的に純粋な固体PF塩からなる)の商標名でCiba Specialty Chemicals社から;並びにOPPI(式2の本質的に純粋な固体SbF塩からなる)の名称でHampford Researchから市販されている。更に、式2の本質的に純粋な固体PF塩も、Hampford ResearchからOPPI−PFの名称で入手できる。その他のものとしては、それぞれに、K−1及びRhodosil 2074の商標名で、San Apro社又はRhodia Electronics Catalysisから市販されているテトラ(ペルフルオロフェニル)ボレート塩が挙げられる。最も好ましい光開始剤は、任意の添加される溶剤を含まないそれらの塩である。
【0028】
式1:
【化1】

【0029】
式2:
Ar−I−Ar X
【0030】
使用することができる多官能性樹脂(A)の量は、好ましくは、成分(A)及び(B)の合計重量の約99.9重量%〜約85重量%であり、更に好ましくは、それらの2つの成分の約99重量%〜約90重量%、最も好ましくは、約98重量%〜約93重量%である。(B)が溶液として使用される場合は、(B)は活性含有量のみの重量で計算される。
【0031】
使用することができる光酸発生剤化合物又はその他の熱安定性感光性材料(B)の量は、好ましくは、成分(A)及び(B)の合計重量を基準にして、約0.1重量%〜約15重量%である。(A)及び(B)の合計重量を基準にして、約1重量%〜約10重量%の(B)を使用することが更に好ましく、最も好ましくは、約1重量%〜約7重量%を使用することである。
【0032】
成分(A)及び(B)に加えて、組成物は、次の添加材料の1つ又は複数を任意選択的に含んでもよい:(C)1つ又は複数の非官能性又は非反応性多官能性樹脂;(D)1つ又は複数の反応性モノマー;(E)1つ又は複数の光増感剤;(F)1つ又は複数の接着促進剤;(G)染料、顔料及び蛍光物質を含む1つ又は複数の光吸収化合物;(H)1つ又は複数の表面平滑剤。成分(A)〜(H)を含めて更に、組成物は、流動調節剤、熱可塑性及び熱硬化性有機ポリマー及び樹脂、並びに有機及び無機充填剤材料を含むがこれらに限定されない更なる材料を任意選択的に更に含んでもよい。
【0033】
任意選択的に、或る実施形態では、組成物において非官能性又は非反応性樹脂(C)を使用することが有益かもしれない。成分(C)に適用される「非官能性又は非反応性樹脂」という用語は、組成物が化学線に露光される場合及び/又は任意選択的にその後に加熱される場合に成分(A)と反応しない樹脂、ポリマー又はオリゴマーを意味する。その化学構造によって、任意選択の樹脂(C)は、光画像形成性コーティングのリソグラフコントラストの調整、フォトレジストフィルムの光吸収度の変更、或いはコーティングの強靭性若しくは伸び又はこれらとその他の物理的特性の組合せの改良のために使用することができる。これらは、特に、アクリレート及びメタクリレート樹脂、アクリレート及びメタクリレートホモポリマー及びコポリマー、メタクリレートモノマー、例えば、ペンタエリスリトールテトラ−メタクリレート及びジペンタエリスリトールペンタ−及びヘキサ−メタクリレート等、メタクリレートオリゴマー、例えば、ウレタンメタクリレート等、ポリエステルポリメタクリレート等を含んでもよい。ポリエーテルスルホン、ポリスチレン、ポリカーボネート等は、添加することができる熱可塑性樹脂のその他の例として挙げられる。使用に適した任意選択の樹脂のなお更なる例としては、熱可塑性ポリエステル樹脂、例えば、ポリエチレンテレフタレートアジペート、ポリブチレンテレフタレートセバケート等、熱可塑性ポリアミド樹脂、例えば、Creanova社のVersamelt等、熱可塑性ポリビニルエーテル、例えば、BASF社のLutonal A等、ポリオールポリプロピレングリコール又は変性大豆、トウゴマ及びリンシードの油、ノボラック樹脂、例えば、Resolution Performance Products社のEpon 828等、可塑剤、例えば、DuPont Dow社製のENGAGE(登録商標)等、Borden Chemical社のシロキサン変性フェノールノボラック樹脂SD−788A、Kraton Polymers社のKraton G及びChisso社のSILAPLANEのような応力変性剤、Kraton Polymers社の分枝オレフィンポリマーL−1203並びにNippon Soda社の水素化ポリブタジエンGI−1000、2000、及び3000等の粘着付与剤、テトラブロモビスフェノールAノボラック又はリン含有ポリマー及びCreanova社のVersamelt 732等の相互侵入網目ポリマー等の難燃剤が挙げられる。使用される成分(C)の量は、好ましくは、成分(A)及び(C)を一緒にした重量の約0.1重量%〜約70重量%とすることができる。
【0034】
任意選択的に、或る実施形態では、本発明による組成物において反応性モノマー化合物(D)を使用することが有益かもしれない。グリシジル又はビニルエーテルは、使用することのできる反応性モノマー(D)の例である。2つ以上の官能性基を有する化合物が好ましく、ジエチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールテトラグリシジルエーテル、ジエチレングリコールジビニルエーテル、トリエチレングリコールジビニルエーテル、シクヘキサンジメチロールビニルエーテル等が例として挙げられる。グリシジルエーテルは単独で又は2つ以上の混合物として使用することができる。脂肪族及び芳香族単官能性及び/又は多官能性オキセタン化合物は、本発明で使用することのできる任意選択の反応性モノマー(D)の別のグループである。使用することのできる脂肪族又は芳香族オキセタン反応性モノマーの具体例としては、3−エチル−3−ヒドロキシメチルオキセタン、3−エチル−3−フェノキシメチルオキセタン、キシレンジオキセタン、ビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル等が挙げられる。これらの単官能性及び/又は多官能性オキセタン化合物は、単独で又は2つ以上の混合物として使用することができる。脂環式エポキシ化合物は、又本発明で反応性モノマー(D)として使用することができ、3,4−エポキシシクロヘキシルメチルメタクリレート及び3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3’,4’−エポキシシクロヘキサンカルボキシレートが例として挙げられてもよい。使用する場合、使用される(D)の量は、好ましくは、反応性成分(A)、(D)及び(F)の合計量の0.1重量%〜約10重量%とすることができる。
【0035】
任意選択的に、組成物において光増感剤化合物(E)を含むことが有用なことがあり、その結果更なる紫外線が吸収され、吸収されたエネルギーがカチオン光重合開始剤に転移される。従って、露光のための処理時間が減少する。アントラセン、N−アルキルカルバゾール、及びチオキサントン化合物は、本発明で使用することのできる光増感剤の例である。9位及び10位にアルコキシ基を有するアントラセン化合物(9,10−ジアルコキシアントラセン)は、好ましい光増感剤(E)である。メトキシ基、エトキシ基、及びプロポキシ基等のC〜Cアルコキシ基は、好ましいアルコキシ基として挙げられる。9,10−ジアルコキシアントラセンは、又、置換基を有することができる。フッ素原子、塩素原子、臭素原子、及びヨウ素原子等のハロゲン原子、メチル基、エチル基、及びプロピル基等のC〜Cアルキル基、スルホン酸基、スルホネートエステル基、カルボン酸アルキルエステル基等が置換基の例として挙げられる。メチル、エチル、及びプロピル等のC〜Cアルキルは、スルホン酸アルキルエステル基及びカルボン酸アルキルエステル基のアルキル部分の例として与えられる。これらの置換基の置換位置は、好ましくは、アントラセン環系の2位置である。9,10−ジメトキシアントラセン、9,10−ジエトキシアントラセン、9,10−ジプロポキシアントラセン、9,10−ジメトキシ−2−エチルアントラセン、9,10−ジエトキシ−2−エチルアントラセン、9,10−ジプロポキシ−2−エチルアントラセン、9,10−ジメトキシ−2−クロロアントラセン、9,10−ジメトキシアントラセン−2−スルホン酸、9,10−ジメトキシアントラセン−2−スルホン酸メチルエステル、9,10−ジエトキシアントラセン−2−スルホン酸メチルエステル、9,10−ジメトキシアントラセン−2−カルボン酸、9,10−ジメトキシアントラセン−2−カルボン酸メチルエステル等は、本発明で使用することのできる9,10−ジアルコキシアントラセンの具体例として挙げることができる。本発明において有用なN−アルキルカルバゾール化合物の例としては、N−エチルカルバゾール、N−エチル−3−ホルミル−カルバゾール、1,4,5,8,9−ペンタメチル−カルバゾール、N−エチル−3,6−ジベンゾイル−9−エチルカルバゾール、及び9,9’−ジエチル−3,3’−ビカルバゾールが挙げられる。本発明において有用なチオキサントン化合物の例は、2−イソプロピル−チオキサントン及び1−クロロ−2−プロポキシ−チオキサントンである。使用する場合、光増感剤化合物(E)は、好ましくは単独で又は2つ以上の混合物で、成分(B)の約0.1重量%〜約10重量%の量で使用することができる。
【0036】
或る実施形態では、基板と乾燥フィルムレジストコーティングとの間により強力な結合を創り出すために組成物に任意選択の接着促進材料を添加することが有用かもしれない。本発明で使用することのできる任意選択の接着促進化合物(F)の例としては、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グルシドキシプロピルトリエトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、3−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン等が挙げられる。使用する場合は、これらの化合物は、好ましくは、組成物の合計固形分の約0.1重量%〜約5重量%の量で使用することができる。
【0037】
任意選択的に、或る実施形態では、化学線を吸収し、光画像形成性フィルムに色を与え、化学線への曝露により色を変化し又はリン光若しくはレーザー発光を与える光吸収化合物(G)を含むことが有用かもしれない。光吸収化合物は、画像の先端の画像化材料が画像の底部の画像化材料よりも広いような逆先細の形状を有するレリーフ画像断面をより良く与えるために使用することができる。着色化合物は、コーティングされ、画像化されるコーティングの容易な視覚化のために使用することができる。色調変化化合物は、コーティングの露光領域及び非露光領域間を区別するための手段を与える。蛍光物質は、コーティングの画像化部分でフィルムを選択的にリン発光させるための手段を与える。レーザー発光化合物は、フィルムを固体状態レーザー発光源にするための手段を与える。2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン及び2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン等のベンゾフェノン化合物、フェニルサリチレート及び4−t−ブチルフェニルサリチレート等のサリチル酸化合物、エチル−2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリレート、及び2’−エチルヘキシル−2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリレート等のフェニルアクリレート化合物、2−(2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、及び2−(3−t−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)−5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾール等のベンゾトリアゾール化合物、4−メチル−7−ジエチルアミノ−1−ベンゾピラン−2−オン等のクマリン化合物、ジエチルチオキサントン等のチオキサントン化合物、スチルベン化合物、ナフタル酸化合物、アゾ染料は、本発明で使用することのできる光吸収化合物(G)の具体例として挙げられる。フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、ヨウ素グリーン、ビクトリアブルー、クリスタルバイオレット、酸化チタン、カーボンブラック、ナフタレンブラック等は、着色剤又は顔料の例として挙げられる。Matsui Shikiso Chemical社のPhotopia及びChromacolor Intl.Ltd.社のChromacolor等の色調可変化合物、スピロインダン等のホトクロミック化合物、メチルバイオレット、ブロモフェノールブルー及びブロモクレゾールグリーン等の酸−塩基指示薬又は当業者に知られている種々の蛍光物質、Rhodamine G6、Coumarin 500、DCM(4−(ジシアノメチレン)−2−メチル−6−(4−ジメチルアミノスチリル)−4H−ピラン))、Kiton Red 620、Pyrromethene 580等のレーザー染料は、単独又は混合物として本発明で使用することのできるその他の光吸収化合物(G)の具体例として挙げられる。顔料又は蛍光物質が使用される場合は、サイズが50ナノメートル未満の粒子を含むナノ粒子組成物を使用することが特に有用である。使用する場合、これらの光吸収化合物は、好ましくは、組成物の全固形分の約0.1重量%〜約30重量%の量で使用することができる。
【0038】
適当な表面平滑剤(H)としては、FC430又はFC4430(3M社)等のフルオロ脂肪族エステル、PolyFox PF−636及びPF−5620(Omnova Solutions社)等のヒドロキシル末端化フッ素化ポリエーテル、FluorN−561及び562(Cytonix社)等のフッ素化エチレングリコールポリマー、Baysilone 3739等のシリコーン、Modaflow(Surface Specialties社)等のアクリルポリマー平滑剤等が挙げられる。使用する場合、これらの表面平滑剤(H)は、好ましくは、組成物の全固形分の約0.001重量%〜約1重量%で存在することができる。
【0039】
更に任意選択の粒状又は繊維状有機又は無機充填剤、例えば、特に、無定形シリカ、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化亜鉛、インジウムスズ酸化物、タルク、粘土、硫酸バリウム、チタン酸バリウム、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム、モンモリロナイト粘土、雲母粉末、蛍光体粉末、窒化アルミニウム等の高誘電定数材料の粉末、ポリテトラフルオロエチレン粒子等の低誘電定数材料、炭素又は銀粒子等の導電性材料、熱伝導性材料、難燃剤、フルオロポリマー粉末等の有機充填剤、架橋ポリスチレン粉末、カーボンナノチューブ、金、銀、銅、ニッケル、スズ等の金属及び金属合金、磁気金属若しくは金属合金又はこれらの酸化物等が本発明で使用することができ、使用する場合は、充填剤の含有量は、好ましくは、組成物の約0.1重量%〜80重量%とすることができる。50ナノメートル未満のサイズの粒子を含む上記で名前を挙げた充填剤のナノ粒子組成物が特に有用である。これらの小さな粒子は光の散乱が少なく、従って、大きな粒子に比べて、得られる光画像形成性組成物のより優れた解像能力をもたらす。
【0040】
必要に応じて、種々のその他の任意選択の材料、例えば架橋剤等が本発明で更に使用することができる。架橋剤としては、例えば、メトキシ化メラミン、ブトキシ化メラミン、及びアルコキシ化グリコウリル化合物を挙げることができる。Cytec Inductries、West Patterson、New JerseyのCymel(登録商標)303は、適当なメトキシ化メラミン化合物の具体例である。Cytec Inductries、West Patterson、New JerseyのPowderlink(登録商標)1174は、アルコキシ化グリコウリル化合物の具体例である。これらの添加剤等が使用される場合は、本発明の組成物におけるこれらの一般的な含有量は、好ましくは、それぞれ、0.05重量%〜3重量%であるが、これは、用途対象との関連で必要に応じて増加し又は減少することができる。
【0041】
事実上、反応性樹脂及び感光性成分を含む任意の光画像形成性組成物は、組成物を溶融し、それをスロットダイまで移送し、ダイを通して流動し、ダイリップを出るのに必要な時間の量に対するホットメルトコーティング条件に対して安定である限り、本発明方法で使用することができる。本発明方法で利用することのできる光画像形成性組成物の具体例としては、米国特許第4193797号、第4193799号、第4624912号、第4882245号、第5077174号、第6204456号、第6239049号、第6794451号、及び米国特許出願公開第2005−0260522号に記載されているものが挙げられるがこれらに限定されない。十分な熱安定性を持たないので本発明方法で使用することのできない組成物の例は、米国特許第3469982号、第4247616号、第6060215号、第6462107号、第6495309号、及び第6716568号に記載されている。
【0042】
本発明のコーティング組成物は、成分(A)及び(B)及び任意選択の成分(C)〜(H)及び必要に応じて、その他の任意選択の成分、例えば、有機又は無機充填剤及びその他の添加剤を、任意の順番で、好ましくは、上述の量又は比率で一緒にし、混合物中のいずれの成分の分解温度より下の温度で液体メルト状態まで組成物を加熱しながら、均一に混合し、分散させること等により調製することができる。或いは又、本発明のコーティング組成物は、成分(A)及び(B)及び任意選択の成分(C)〜(H)を、好ましくは、上述の量又は比率で一緒にし、適当な溶剤、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、ペンタノン、シクロペンタノン、酢酸エチル又はジオキソラン等の適当な溶剤中で均一に混合し、次いで、本質的に溶剤なしのメルトが得られるまで加熱しながら、溶剤を混合物からストリッピング又は蒸留することにより調製することができる。任意選択的に、熱的に安定性の低い成分は、取って置いて、全体の混合処理の最終近くで添加することができる。混合は、パドルミキサー又は撹拌機で撹拌しながら加熱した化学反応器又は混合容器で、又は配合技術では既知の同様な装置で行うことができ、或いは一軸又は二軸スクリュー押出機の加熱バレルの領域内で行うことができる。次いで、溶剤溶液又は液状メルトは高効率濾過に掛けられ、コーティング混合物から10μmを超えるサイズの汚染物質を除去する。組成物は未だ熱い内に直ちに使用することができ、又は後日に使用するために包装することもできれば貯蔵することもできる。
【0043】
乾燥フィルムフォトレジストの複合物品は少なくとも2つの層を含む。第1層は、有機ポリマーフィルム又は金属フォイル或いは両者の組合せを含む可撓性フィルムであり、一般的に、担体シート、ウェブ又はウェブ材料として当該技術分野では知られている。任意選択的に、ウェブ材料は、光画像形成性又は非光画像形成性樹脂フィルムの単一層又は複数層を有する複合構造とすることができる。第2層は、上述の光画像形成性コーティング組成物の乾燥された又は実質的に乾燥されたコーティングである。任意選択的に、その他の層は、改良された湿潤又は脱湿潤特徴を与えるために設計されたウェブ材料上の薄いコーティングとして又は乾燥されたフォトレジストコーティング上に置かれる保護カバーフィルムとして存在することができる。
【0044】
使用することができるウェブ材料は、液体配合物で湿潤可能な表面を与える;コーティングが基板フィルムに粘着するようにコーティングとの十分な接着性を与える;任意選択的に、フォトレジストコーティングが、複合フィルムが基板に積層され、ウェブが除去される場合にウェブに接着しないように低い十分な接着性を与える;且つその製造中及びその後の使用中の複合物品に十分な寸法安定性を与える、それらのフィルム又はフォイルである。使用に適したウェブ材料の例としては、Dupont−Teijin Filmsから入手できるマイラー(Mylar)(登録商標)ポリエステル等のポリエステルフィルム、Dupontから入手できるKapton(登録商標)ポリイミド等のポリイミドフィルム、銅張りしたポリイミドフィルム、銅、アルミニウム、ニッケル、真鍮、又はステンレススチールフォイル等が挙げられるがこれらに限定されない。その他の使用可能なウェブ材料としては、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)及びポリカーボネート(Lexan)フィルム、真鍮、チタン、タンタル、ニッケル、クロム、タングステン及びモリブデンフォイル等が挙げられる。好ましくは、担体シートは、その低価格によりマイラーA等の配向ポリエチレンテレフタレート(PET)ポリエステルシートである。担体シートの厚さは10μm〜150μm厚であることができるが、好ましくは、20〜50μmの厚さがその後のコーティング及び積層操作のために最も良く機能する。
【0045】
任意選択的に、保護カバーフィルムは、フォトレジスト層と接触して置かれてもよい。適当な保護カバーフィルムは、ウェブ材料からフォトレジストコーティングを引き離すことなく乾燥フィルムフォトレジストから除去することができるように、フォトレジストコーティングに対して低い接着性を有するが、使用又は貯蔵中にフィルムから分離しないように十分に高い接着性を有さなければならない。保護カバーフィルムの使用は、乾燥フィルムフォトレジストが貯蔵及びその後の使用のためにロールに巻かれる場合に好ましい。使用に適したカバーシートフィルムとしては、ポリエステル、ポリイミド、ポリエチレン、ポリプロピレン、フルオロポリマー、及びシリコーン又はフルオロポリマー又はこれらのコーティングを有するポリエステルで作製されたフィルムが挙げられる。カバーシートは、好ましくは、10〜25μm厚のPETである。
【0046】
光画像形成性コーティング層は、ホットメルト接着剤フィルムを適用するのに普通に使用される方法を使用して溶融状態でウェブ材料に適用される。使用に適したこの方法は、コーティングされるフィルムの幅と長さの両方を横切るコーティングの厚さを制御する手段及び無傷のフィルム表面を提供する。最も好ましい配置は、溶融樹脂を含むための加熱されたポリマー押出機又は加熱された貯蔵部、計量ポンプ、熱い樹脂を制御しながら広げるための加熱された分配マニホールド及び加熱されたコーティングモジュールを含む集積機械装置のシステムであって、それらのそれぞれが、同一又は異なる温度で加熱することができ、そこにおいてウェブ材料はストックロールから巻き戻されて、コーティングモジュールを通り過ぎて連結したシステムを連続的に通過し、次いで、その後の使用のために貯蔵することのできるロール形式で乾燥フィルムフォトレジストを与えるためにロールに再度巻き取られる、集積機械装置のシステムを使用することである。或いは又、コーティングされた素子は、代わりに、巻き取りロールを過ぎて供給することができ、その後の使用のために貯蔵することもできるシートに切断することができる。連結したシステムは、乾燥フィルムフォトレジストのロールを形成する前に保護カバーシートを適用するためのモジュールを更に含んでもよく、フォトレジストコーティングの厚さを監視し、乾燥されたフォトレジストの表面の欠陥を検出するのに使用される測定装置を更に含んでもよい。最も好ましいコーティングモジュールは、一般的にスロットダイコーターと言われ、高さが1mm未満〜2mm以下、幅が数cmから150cmを超える範囲のスロット寸法を有するコーティングヘッドにおいて開口する高精密機械加工されたスロットからなる。次いで、ウェブは数mmのこのスロット内を通過し、樹脂は、分配マニホールドで制御された速度でウェブ上に連続して放出される。コーティングの厚さはウェブの速度と樹脂供給速度の組合せで簡単に制御される。
【0047】
感光性素子の製造は、上述のホットメルトを使用して、或いはMay Coating Technologies、St.Paul、MNから入手できるもの等のホットメルトプロセッサーで、又は一軸若しくは二軸スクリューポリマー押出機で、冷たい固体樹脂を溶融することにより更に正確に遂行される。揮発性物質及び望ましくない粒状物質は加工処理前にメルトから除去されることが好ましい。次いで、メルトは、メルトプロセッサー又は押出機から、制御された温度及び計量ポンプによる供給速度条件下でスロットダイマニホールドの入口へ供給され、次いで、マニホールドを通り、コーティングリップを通って、移動するウェブ上に供給される。好ましくは、フィルターが計量ポンプとマニホールドの入口との間で使用される。コーティングダイ中の及びダイリップでのメルトの温度はメルト及び樹脂の組成の粘弾特性によって変動する。温度は、樹脂が流動するには十分に高いが、組成物を劣化させる程には高くないものでなければならない。一般的な指標として、温度は、典型的には、90℃〜150℃を超える範囲であることができ、ウェブは、5ft/分のように遅く、又は200ft/分を超えて移動させることができる。担体シート(ウェブ)は、上述の可撓性、耐熱性、非弾性、自立性フィルム又はフォイルである。
【0048】
コーティング中、ウェブは、メルトの出口ビーズがウェブ上に直接コーティングされるようにダイリップに極めて近い近傍(2mm未満の隙間)に置かれる。ウェブは、複合フィルムに構造的完全性を与えるコーティングドラムの表面にしっかりと保持される。スロットダイコーティングされた組成物は、ウェブをコーティングドラム上に通しながらコーティングを部分的に硬化するために、担体シート上で、制御された条件下で直ちに冷却される。1つ又は複数の冷却した又は温めた「チル」ロールは、制御された温度降下を達成するために担体シートに接触させて使用することができる。次いで、保護カバーシートは、両者の間に滑らかで均一なシールを与えるために、好ましくは、なお僅かに温かい内に又は徐々に加熱しながら、ウェブをニップローラーに通しながらコーティングの一番上の表面に適用される。次いで、複合素子は巻き取りロール上に巻き取られる。好ましくは、コーティング工程全体は、静電気の制御下にあるクリーンルームの条件下(クラス10又はクラス100)で行われ、担体フィルム及びカバーシート材料は共に、コーティング前に任意の付着した粒状物質を取り除かれる。
【0049】
スロットダイは任意の標準的設計であることができるが、「コートハンガー」型デザインは、ダイを横切るメルトの分配を更に均一に制御し、それによってコーティングの厚さプロファイルを制御するのに好ましい。その他の分配配置は当業者に知られているように使用することができる。ダイの長さは、作製される複合物の幅に依存する。1mm以下の厚さを有するコーティングのためには、ダイを横切る実質的に一定のスロット幅が好ましい。ダイリップはきめ細かく又は滑らかであることができるが、滑らかさが大いに好ましい。最も好ましくは、リップは、コーティングの変動及び欠陥を最小限にするために高度に研磨されるべきである。リップ表面は、コーティング、例えば、電気メッキ、窒化、又はその他の堆積技法で処理して、ダイ表面の滑らかさを改良し、耐腐食性を与え又はリップ全体の流動特性を改良することができる。ダイ及びリップにはステンレス又は工具等級のスチールを使用することが好ましい。
【0050】
1つの実施形態では、乾燥フィルムフォトレジストは、初めにフォトレジスト層から保護カバーシートを引き剥がすか、又は適所にそれを残して、ウェブ基盤材料が、本明細書に記載される方法を使用してその後に画像状に加工処理することができる基板となるように使用される。その他の実施形態では、乾燥フィルムフォトレジストは、初めにフォトレジスト層から保護カバーシートを引き剥がし、フォトレジスト側を基板と接触させて基板上に乾燥フィルムを置き、フォトレジストを、積層デバイスを使用して熱及び圧力の適用により基板に積層し、次いで基盤のウェブフィルムをフォトレジストから引き剥がすことにより使用される。なお第3の実施形態では、基盤のウェブ層は初めに除去され、乾燥フィルムは基板と接触して置かれ、熱及び圧力の適用により基板に積層され、残存カバーシートは適所に残される。これらの操作は、本明細書に記載される方法を使用してその後に画像状に加工処理することができる基板上にフォトレジスト層を形成することとなる。或いは、ウェブ基盤材料は基板として使用することができ、本明細書に記載される方法を使用して保護カバー層を除去し又は除去せずに画像状に加工処理することができる。カバーシートが適所に残される場合は、通常はカバーシートである2枚のフィルムのより薄いフィルムを通して複合物を露光することが好ましい。
【0051】
更に、2つ以上の複数層は同じウェブ基盤の基板上にコーティングすることができる。これらの追加層は、基板の同じ側でも反対の側でも存在できる。これらが基板の同じ側に存在する場合は、これらは、主コーティングローラーの周りに配置した順次コーティングヘッドの使用により第1層と同時にコーティングすることができる。これらが同じ側に存在する場合は、これらは、一般的に、異なる材料の特性を有する同一又は異なる組成の異なる材料である。この実施形態では、カバーシートは適用される最後の被覆の一番上に適用される。複数層は、又、ウェブの反対側にコーティングすることもできる。この場合は、第2フィルムは、第2コーティングローラー上に位置する第2コーティングヘッドで第1層に対してウェブ基盤の反対側にコーティングされなければならず、複合物のコーティングされた側は、そこで初めて第2コーティングローラーと接触して、新たなコーティング層がウェブ基盤の裏側に適用される。カバーシートは、カバーシートが第2コーティングローラーと接触し、適用される組成物とは接触しないように第2コーティングの適用前に適用されることが好ましい。或いは、好ましくは、適用されるカバーシートを有する第1層のコーティングされた複合物の巻き取りロールは、基盤が、複合物又はその上のカバーシートのコーティングされた側がコーティングローラーと接触し、新たなコーティング層が元のウェブ基盤の裏側に適用されるように装着されることを条件に、第2作業のためのウェブ基盤となるために置くことができる。2つのコーティングがウェブの反対側に存在する場合は、これらは一般的に同じ組成物であるが、異なる組成物は使用可能である。追加層は必要に応じて更に適用することができる。
【0052】
固体フォトレジストコーティングは、不透明及び透明領域のパターンを含むフォトマスクを通して、中若しくは高圧水銀ランプの近紫外放射線又はシンクロトロンのX線照射又はその他の照射源を有する露光工具を使用して光画像化することができる。密着、近接、又は投射焼付けが使用することができる。或いは、コーティングは電子ビーム放射線又はその他のタイプの化学線で露光することができる。露光に続いて、露光後焼成(post−exposure−bake)を、コーティングの露光領域における触媒重合反応を促進するために、必要に応じて行うことができる。一般的に、焼成は、60℃で1分間の短い間から、95℃で10分又は15分の長い間で、ホットプレート上で行われる。カバーシートが露光中に適所に残される場合は、好ましくは、この露光後焼成(PEB)処理前に除去される。焼成後に、任意選択の緩和工程が、露光されたレジスト範囲内の内部応力の減少を助けるために使用することができる。或いは、基板は、段階的に又は制御された温度降下で室温までゆっくりと戻して冷却することができる。
【0053】
PEB後に、コーティングは、次いで、可溶性領域を溶解し去るために、又、現像液の溶剤の強度によって、一般的に、より薄いフィルムに対しては2〜5分、厚さが1mmに近い厚いフィルムに対しては60分以上長く有機溶剤又は水性アルカリ塩基現像液に浸漬される。撹拌、穏やかな運動、超音波又はメガソニックが、又、現像処理の速度及び完了を手助けするために使用することができる。色調がネガ型又はポジ型であることができる現像された画像は、好ましくは、洗浄溶剤又は脱イオン水の適用で洗浄され、残留現像液が除去される。残留現像液の除去は、残留現像液が基板上で乾燥される場合にレリーフ画像中に堆積物を形成する溶解したフォトレジスト成分を残留現像液が含む可能性があるので必要である場合がある。任意選択的に、現像後に、後焼成又は硬化は、ネガ型レジストの架橋タイプに対して重合反応を高い転換度まで進めることにより材料を更に完全に硬化するために、得られた画像について行うことができる。
【0054】
任意選択的に、現像液は、霧化噴霧ノズル又は微細シャワーヘッド型噴霧ノズルを使用して噴霧により適用することができる。画像を現像するなおその他の方法は、現像される基板が回転工具ヘッド上に置かれ、次いで、全体の基板領域上で立った状態の層又はパドルを形成するのに十分な現像液の量が基板上に分配され、一定期間立っていることが可能なパドル方法としてフォトレジスト分野では知られている方法を使用して現像液を適用することを含む。この後、基板は、費やされた現像液を除去するために回転させながら加速され、次いで、回転が停止するまで減速される。このシーケンスは、透明なレリーフ画像が得られるまで繰り返され、2〜4つの溶剤パドルが形成される方法を使用するのが普通である。
【0055】
適当な有機現像液溶剤としては、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、γ−ブチロラクトン、アセトン、シクロペンタノン、2−ペンタノン、3−ペンタノン、ジアセトンアルコール、テトラヒドロフルフリルアルコール、プロピレンカーボネート、N−メチルピロリドン、及びエチルラクテートが挙げられるがこれらに限定されない。現像液溶剤は、単独又は混合物として使用することができる。プロピレングリコールメチルエーテルアセテートは、非露光フォトレジスト成分に対するその良好な溶解性、低毒性及び相対的に低コストの故に特に好ましい。
【0056】
適当なアルカリ現像液としては、水酸化テトラメチルアンモニウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸若しくはケイ酸ナトリウム若しくはカリウム、又はその他の類似のアルカリ物質の水溶液が挙げられる。
【0057】
適当な洗浄溶剤としては、上述の任意の現像液溶剤並びにメタノール、エタノール、イソプロパノール、及びn−ブチルアセテート等が挙げられる。洗浄溶剤は素早く乾燥するのが好ましく、これに関してはアセトン、メタノール、エタノール、及びイソプロパノールが特に好ましい。水性ベースの現像液が使用される場合は、最も一般的な洗浄溶剤は脱イオン水である。
【0058】
本発明による無溶剤メルト組成物又はこの冷却固化物は、乾燥フィルムフォトレジストの製造における使用が意図されるが、又、組成物を適当な溶剤に溶解して液体フォトレジストを調製するために使用することができる。従来の液体フォトレジストとして使用される場合は、本発明のフォトレジスト組成物は、所望のコーティング厚さを達成するために基板を一定の回転速度に加速し、回転速度を一定に保ちながら、液体フォトレジストを基板上に分配することからなるスピンコーティングにより基板に適用することができる。スピンコーティングは、最終のコーティングの厚さを制御するために種々の回転速度で行うことができる。或いは、フォトレジスト組成物は、その他のコーティング方法、例えば、浸漬又は噴霧コーティング、ローラーコーティング、噴霧コーティング、スクリーンコーティング又はスロットダイコーティング等を使用して基板に適用することができる。コーティング後に、乾燥焼成が溶剤を蒸発させるために行われる。乾燥焼成条件は、フォトレジストの非粘着フィルムを形成するために選択される。或いは、乾燥焼成は、対流式オーブンで行うことができる。次いで、フォトレジストは上述のように露光され、現像される。更に、液体フォトレジスト配合物は、例えば、基盤ウェブ材料の上にスロットダイコーティングされて、本発明により調製されるものと同じ組成物のフォトレジス素子を形成することができる。
【0059】
種々の従来の基板材料は、本発明の乾燥フィルムフォトレジスト組成物を使用して加工処理することができる。適当な基板としては、ケイ素、二酸化ケイ素、窒化ケイ素、アルミナ、ガラス、石英、溶融シリカ、セラッミク、ガラス−セラミック、ヒ化ガリウム、リン化インジウム、銅、アルミニウム、ニッケル、鉄、スチール、ステンレススチール、銅−ケイ素合金、インジウム−スズ酸化物コーティングガラス、ポリイミド及びポリエステル等の有機フィルム、並びに本発明の乾燥フィルム層を含めた前以て画像化された乾燥フィルム層、並びに金属、半導体、及び絶縁材料等のパターン化した領域を有する任意の基板が挙げられるがこれらに限定されない。基板の特別の前処理は、本発明の操作にとっては必要ない。任意選択的に、焼成工程を、吸水された水分を除去するために基板について実施することができ、又は酸素プラズマ処理を、フォトレジストコーティングを適用する前に表面から残留有機種を除去するために実施することができる。金属フォイルが基盤ウェブ材料として使用される場合は、一般的に、感光性層が本明細書に記載される方法を使用してその後に画像状に加工処理される場合の基板となる。
【0060】
本発明によるフォトレジスト組成物は、その溶剤キャスト物と事実上等しい優れた画像化及び接着特徴を有する。
【0061】
本発明による組成物の、積層され、画像化され、任意選択的に硬化された生成物は、液体光画像形成性組成物が使用されているほとんどの用途で使用することができる。液体フォトレジストの置換えとしての本発明の乾燥フィルムフォトレジストの使用での唯一の制限は、製造品が、意図される使用に適した様式で乾燥フィルムフォトレジストを基板に貼るのに必要な熱及び圧力の積層条件に供することができ、得られる構造の特性が意図された使用の要求に合致する基板を含まねばならないことである。これらのコーティングされた基板は、基板上の露光表面を処理するために従来の加工処理(例えば、エッチング、メッキ等)に供することができる。ウェブ基盤材料が基板として使用される場合は、次いで、Aguirregabiria、Proceedings μTAS 2004、Malmo、363頁(2004年)に記載されているように、自立ポリマー構造は、加工処理後にウェブフィルムからの容易な除去により簡単に得ることができる。
【0062】
幾つかの米国特許は、電気的プリント基板、オフセット印刷版及びその他の銅張りしたラミネートを作るための乾燥フィルムフォトレジストの使用を教示している。これらは、米国特許第3469982号、第4193799号、第4576902号、第4624912号及び第5043221号を含む。米国特許第3708296号は、ケミカルミリングのための酸及びアルカリ抵抗画像の作製、スクリーンなしリソグラフィー、印刷版、型板作製、プリント回路用微細画像、熱硬化小胞画像(themoset vesicular image)、情報記憶用微細画像、紙の装飾、ガラス及び金属パッケージ及び光硬化コーティングにおける乾燥フィルムフォトレジストの使用を教示している。本発明の、積層され、画像化され、硬化された生成物は、これらの文献に開示されている乾燥フィルムフォトレジストの代わりに使用することができる。
【0063】
その他の例として、本発明による特定の組成物の、積層され、画像化され、任意選択的に硬化された生成物は、米国特許第6544902号で教示されているような、半導体ウエハ及び単体化デバイス上に保護コーティングを形成するのに関わる電子パッケージ用途でのSU−8樹脂含有液体フォトレジストの代わりに使用することができる。
【0064】
更なる例では、本発明による組成物の、積層され、画像化され、任意選択的に硬化された生成物は、米国特許出願第2003/0059344号で開示されているような、生物学的インクを印刷するための高密度面積アレイ印刷版の製造において又は米国特許第6652878号及び第6670129号で開示されているような、細胞トランスフェクション板及びトランスフェクション装置の製造において使用される反応性イオンエッチングマスクを形成するためのSU−8樹脂含有液体フォトレジストの代わりに使用することができる。生物学用途の分野の更なる例として、本発明による組成物は、米国特許第6576478号及び第6682942号で教示されているような、生体分子活性の平行な、in−vitroスクリーニングのためのデバイスで複数の微小流体チャンネルを作り上げるために使用することができる。
【0065】
MEMSの分野では、本発明による組成物の、積層され、画像化され、任意選択的に硬化された生成物は、米国特許第6506989号で教示されているような、微小出力スイッチングデバイス;米国特許第6624730号で教示されているような、マイクロリレーデバイスにおける絶縁層;米国特許第6663615号で教示されているような、薬剤送達デバイス及びセンサー;米国特許第6582890号に記載されているような、複数層レリーフ構造;並びに米国特許第6674350号に記載されているような、電磁アクチュエータの製造のためのSU−8樹脂含有液体フォトレジストの代わりに使用することができる。更に、そしてセンサーの分野では、組成物は、例えば、米国特許第6506313号で教示されているような、超小型光ファイバー圧力トランスデューサの製造及び米国特許第6219140号で教示されているような、原子間力顕微鏡(AFM)での用途のためのカンチレバーチップの製造で使用することができる。
【0066】
本発明による組成物の、積層され、画像化され、任意選択的に硬化された生成物が、SU−8樹脂含有液体フォトレジストの代わりに使用することができる、インクジェットプリンターカートリッジの印刷ヘッド部品の製造における液体SU−8樹脂含有フォトレジストの有用性については多数の開示が存在している。包括的ではないが、インクジェットプリントヘッドの分野での用途を示す例の例示的一群としては、米国特許第5859655号、第6193359号、第5969736号、第6062681号、第6419346号、第6447102号、第6305790号、及び第6375313号の教示が挙げられる。
【0067】
同様に、米国特許出願公開第2005−0260522号のSU−8樹脂含有液体フォトレジスト配合物に対して言及されている有用な用途の実質的に全ては、本発明の同様のSU−8樹脂含有複合素子で同様に調製することができる。
【0068】
本発明は以下の実施例及び比較例により更に詳細に説明される。別途明記されていない限り全ての部及び%は重量によるものであり、全ての温度は摂氏である。
【実施例】
【0069】
乾燥フィルムフォトレジストコーティング組成物を形成する方法
(実施例1)
ホットメルト加工処理を使用して乾燥フィルムコーティング組成物の形成
乾燥フィルムフォトレジストコーティング組成物を、以下で示される表1の成分を組み合わせて作った。
【0070】
【表1】

【0071】
磁気撹拌機を備え、加熱テープで包まれた250mlのビーカーを、磁気撹拌機ホットプレート上に置いた。これに反応性モノマーD及び接着促進剤Fを添加した。これを約100℃まで加熱し、次いで、NC−3000H樹脂Aを、90〜100℃の温度を維持しながら15分掛けて分割添加し、溶融するまで撹拌した。温度を120〜125℃まで上昇し、SU−8樹脂Aを分割添加し、混合物を、完全に溶融するまで30分間加熱し、十分に混合した。これにPAG Bを125〜135℃で添加した。これを、温度降下につれて粘度を測定しながら4時間掛けてゆっくりと冷却した。以下の粘度が測定された:
【表2】

【0072】
125℃まで再加熱後、メルトをアルミニウムフォイル上に素早く注いだ。冷却直後樹脂はフォイルから除去され、ポリエチレン袋で貯蔵した。
【0073】
(実施例2〜6)
乾燥フィルムフォトレジスト組成物を、表2で示される成分を組み合わせて作った。
【0074】
【表3】

【0075】
実施例2〜6のために、磁気撹拌機を備え、加熱テープで包まれた250mlのビーカーを、磁気撹拌機ホットプレート上に置いた。これに、樹脂A、反応性モノマーD及び接着促進剤Fを添加した。これを、90〜100℃まで加熱して完全に溶融し、十分に混合した。PAG B及び増感剤Eを一緒に混合し、樹脂メルトに添加し、5分間撹拌した。次いで、メルトをガラスジャーに注入し、冷却した。
【0076】
(実施例7〜9)
乾燥フィルムフォトレジスト組成物を、表3で示される成分を組み合わせて作った。
【0077】
【表4】

【0078】
PAG Bを除く全ての成分を容量1リットルの樹脂ケトルに計り入れた。ケトルに、機械撹拌機、温度計、添加ポート、真空ポート及び加熱マントルを装着した。次いで、混合物を、撹拌なしで、全体の混合物が溶融して粘度が撹拌可能なまでに十分に低下するまで加熱した。次いで、混合物を80〜105℃の範囲の温度で、数分間〜数時間撹拌し、成分の完全な混合を行った。次いで、PAG Bを添加し、撹拌を15分間再開し、均質な溶液を得た。次いで、混合物を真空下に置き、溶解した気体及び封入された泡を除去した。適度に「脱気」したら、装置を素早くマントルから外し、溶融フォトレジストを適当な容器に素早く注入した。
【0079】
(実施例10〜15)
乾燥フィルムフォトレジスト組成物を、表4で示される成分を組み合わせて作った。
【0080】
【表5】

【0081】
PAG Bを除く全ての成分を容量2リットルの樹脂ケトルに計り入れた。ケトルに、機械撹拌機、温度計、添加ポート、真空ポート及び加熱マントルを装着した。次いで、混合物を、撹拌なしで、全体の混合物が溶融して粘度が撹拌可能なまでに十分に低下するまで、約80℃で加熱した。次いで、混合物を80〜100℃の範囲の温度で、約30rpmで5〜15分間撹拌し、成分の完全な混合を行った。次いで、混合物を減圧真空下、100〜120℃でゆっくりと置き、約10torrの真空が得られるまで、溶解した気体及び封入された泡を除去した。適度に「脱気」したら、真空を解放し、次いで、PAG Bを添加し、撹拌を15分間再開し、均質溶液を得た。次いで、溶融混合物を、30〜60分間、約10torrの真空下に素早く置き、更なる溶解した気体及び封入された泡を除去した。適度に「脱気」したら、装置を素早くマントルから外し、溶融フォトレジストを平らなPET又はポリイミドシート上に素早く注ぎ、冷却した。冷えたら、樹脂を断片に破砕し、適当な容器に移した。
【0082】
(予測例1〜9)
乾燥フィルムフォトレジスト組成物を、表5で示される成分を組み合わせて作る。
【0083】
【表6】

【0084】
予測例1〜9は、上記実施例7〜9と同じ様式で調製されるべきものであり、フォトレジスト成分は、全く溶剤なしで一緒に混合され、溶融され、感光性成分PAG Aは、樹脂メルトが初めに脱気されるまで保留される。そのような100%固体フォトレジストブレンドを収集し、その後、本明細書の教示どおりにコーティングする。
【0085】
(実施例16〜18)
規模を拡大した乾燥フィルムフォトレジスト組成物を、表6で示される成分を組み合わせて作った。
【0086】
【表7】

【0087】
実施例16〜18の樹脂ブレンドを、次のとおり別々に調製した。実施例16では、PAG Bを除く全ての成分を30リットルガラス樹脂ケトルに計り入れた。ケトルに、機械撹拌機、温度計、添加ポート、真空ポート及び加熱マントルを装着した。次いで、混合物を、撹拌なしで、全体の混合物が溶融して粘度が撹拌可能なまでに十分に低下するまで、約80℃で加熱した。次いで、混合物を80〜100℃の範囲の温度で、約30rpmで5〜15分間撹拌し、成分の完全な混合を行った。実施例17では、PAG B及び増感剤Eを除く全ての成分を予備混合し、溶融し、次いで、適当な容器に貯蔵した。この実施例では、その後、溶融するまで容器を、90〜100℃で再加熱し、次いで、19.055Kgを30リットルのガラス樹脂ケトルに注入し加熱した。実施例18では、PAG Bを除く全ての成分を2等分して添加し、全体の混合物が溶融又は溶解するまで撹拌なしで、約80℃で加熱し、次いで、均質になるまで撹拌し、注ぎ出して、50Kgの一緒になった溶液を得た。一緒になった溶液を精密ろ過し、次いで、30リットルのガラス樹脂ケトルに戻し、溶剤を減圧真空下でストリップした。
【0088】
次いで、混合物を100〜120℃で減圧真空下にゆっくりと置き、約10torrの真空が得られるまで、任意の残留溶剤並びに溶解した気体及び封入された泡を除去した。これは、100%固体メルト混合物を生成した。適度に「脱気」したら、真空を解放し、適用できる場合にはPAG B及び増感剤Eを添加し、撹拌を15分間再開し、均質溶液を得た。次いで、メルト混合物を、30〜60分間、約10torrの真空下に素早く置き、更なる溶解した気体及び封入された泡を除去した。適度に「脱気」したら、ケトルを、窒素ガスを使用して大気圧まで戻し、溶融フォトレジストを底の抜き取りバルブから適当な容器の中に排出した。PAGが、プロピレンカーボネート等の高沸点担体溶剤を含んでいる場合は、高沸点溶剤はこの方法では除去されず、得られた溶融混合物は残留担体溶剤を含んでいた。
【0089】
(実施例19)
化学反応器又は混合容器を使用して乾燥フィルムフォトレジストコーティング組成物の形成
乾燥フィルムフォトレジスト組成物を、表7で示される成分を組み合わせて作った。
【0090】
【表8】

【0091】
316Lステンレススチールで作製された、3つのブレードプロペラ型かき混ぜ機を備えた直接駆動撹拌機を備えた350リットルジャケット付混合容器を組成物の調製に使用した。混合機に反応性モノマーDを導入し、これを120℃で循環する加熱油を使用して90〜100℃に加熱し、60〜100rpmで混合した。80rpmで撹拌しながら、90〜100℃に温度を維持して、NC−3000H樹脂Aを、分割して15分掛けて添加した。加熱油の温度を135℃まで上げた。次に、80rpmで撹拌しながら、90〜105℃に温度を維持して、SU−8樹脂Aを分割添加し、30分間撹拌して透明なメルトを得た。次いで、温度を120℃まで上げ、次いで、増感剤E及びPAG Bを添加して均質な混合物を得た。得られたメルトを大気圧で、20rpmでゆっくりと混合して混合物の脱気を行った。
【0092】
(比較例)
(比較例1〜4)
乾燥フィルムフォトレジスト組成物を、表8で示される成分を組み合わせて作った。
【0093】
【表9】

【0094】
PAG Bを除く全ての成分を容量1リットル又は2リットルの樹脂ケトルに計り入れた。ケトルに、機械撹拌機、温度計、添加ポート、真空ポート及び加熱マントルを装着した。次いで、混合物を、撹拌なしで、全体の混合物が溶融して、粘度が撹拌可能なまでに十分に低下するまで、約80℃で加熱した。次いで、混合物を80〜100℃の範囲の温度で、約30rpmで5〜15分間撹拌し、成分の完全な混合を行った。次いで、混合物を、100〜120℃で減圧真空下にゆっくりと置き、約10torrの真空が得られるまで、溶解した気体及び封入された泡を除去した。適度に「脱気」したら、真空を解放し、次いで、PAG Bを添加し、撹拌を15分間再開し、均質溶液を得た。次いで、溶融混合物を、30〜60分間、約10torrの真空下に素早く置き、更なる溶解した気体及び封入された泡を除去した。適度に「脱気」したら、装置を素早くマントルから外し、溶融フォトレジストを適当な容器に素早く注入した。
【0095】
フォトレジスト素子の調製
(実施例20及び21)
産業用スロットコーティング装置を使用してフォトレジスト素子の調製
実施例7及び8により調製した乾燥フィルムフォトレジストコーティング組成物を、標準スロット型を使用するMay Coating Technologies、St.Paul、MN、Model DCM 150実験室スロットコーティング装置でコーティングした。この実験室装置は、加熱されたスロットダイを供給する加熱された容積移送式ポンプに直接結合した500ml加熱メルト貯蔵部を含んでいた。スロットダイを、約1mmのオフセットで、硬質シリコーンコーティングロールに対してウェブ基板をコーティングするために設定する。コーティング組成物を90℃で予備加熱し、貯蔵部、ポンプ及びマニホールドを88℃に加熱した。ウェブ基板は幅9″の50μm厚のマイラーAであり、カバーシートは幅9″の25μm厚のマイラーAであり、コーティングローラーの下流の冷却ローラーの裏側に適用された。ウェブ上のコーティングの厚さは、スロットコーティングヘッドを通過するコーティング組成物のポンプ輸送速度及び基板フィルムの供給速度を変動させて調整した。初期コーティングを、88℃のスロット温度、8.0cc/分の流量及び10ft/分のコーティング速度で得た。スロット温度を100℃まで上げると、厚さのより薄いより良好なコーティングが得られ、流量を165cc/分まで上げると、コーティング厚さは約250μmまで増加した。このようにして、表9で以下に示されるようなコーティング厚さの範囲を有するフォトレジスト素子を製造した。
【0096】
【表10】

【0097】
(実施例22〜32)
産業用スロットコーティング装置を使用してフォトレジスト素子の調製
実施例10〜15により調製した乾燥フィルムフォトレジストコーティング組成物を、実施例20及び21と同じMay Coating Technologies、St.Paul、MN、Model DCM 150実験室スロットコーティング装置で被覆した。ウェブ基板は、幅9″の50μm厚のマイラーAであり、カバーシートは、幅9″の25μm厚のマイラーA又は言及されているポリエチレンであり、コーティングローラーの下流の30〜35℃に加熱された冷却ローラーの裏側に適用され、直ぐにニップローラーに適用された。全ての組成物を、窒素下で、18μmの無水ステンレススチール直列フィルターに90℃のホットメルトを通過させて、一晩中75℃に混合物を保持して予備ろ過し、次いで、混合物を脱気のために再び一晩中75℃で放置した。各コーティング組成物をオーブンで、90℃で予備加熱し、貯蔵部及びポンプを88℃まで加熱した。スロットヘッドを95℃に加熱した。ウェブ上のコーティングの厚さは、スロットコーティングヘッドを通過するコーティング組成物のポンプ輸送速度を流量6.9cc/分〜175cc/分に、そして基板フィルムの供給速度を5ft/分〜20ft/分に変動させて調整した。このようにして、表10で以下に示されるようなコーティング厚さの範囲、基板及びカバーシートを有するフォトレジスト素子を製造した。
【0098】
【表11】

【0099】
(予測例10〜18)
乾燥フィルムフォトレジストコーティング組成物を、表10で示される成分を組み合わせて作る。
予測例1〜9により調製される乾燥フィルムフォトレジストコーティング組成物は、実施例22〜32と同じ実験室ホットメルトスロットダイコーティング装置でコーティングされるべきである。これらの組成物の全ては、期待どおりに、許容されるフォトレジスト素子を与えた。
【0100】
(実施例33〜35)
産業用スロットコーティング装置を使用してフォトレジスト素子の調製
実施例16〜18により調製した乾燥フィルムフォトレジストコーティング組成物を、コートハンガー型ダイを有するMay Coating Technologies、St.Paul、MN、Model CLS 500の生産規模のスロットコーティング装置でコーティングした。ウェブ基板は、幅13〜14″の36〜50μm厚のマイラーAであり、カバーシートは幅13〜14″の19〜25μm厚のマイラーAであり、コーティング位置の下流の24″硬質シリコーンゴムコーティングドラムの裏側に適用され、直ぐにニップローラーに適用された。メルトを、40μm直列スクリーンフィルターを有する6’加熱トランスファーラインでダイ入口に結合された1ガル(gal)のMay Coating Technologies Model 10Pホットメルトプロセッサーによりダイに導入した。コーティング組成物を、一晩中オーブンで85〜90℃で予備加熱し、必要に応じてメルトプロセッサー中に注入した。以下で言及するとおりにプロセッサー及びトランスファーラインを90℃に加熱し、スロットダイ及びリップを95℃〜100℃に加熱した。ウェブ上のコーティングの厚さは、スロットコーティングヘッドを通過するコーティング組成物のポンプ輸送速度を流量6.9cc/分〜175cc/分に、そして基板フィルムの供給速度を10ft/分〜65ft/分に変動させて調整した。このようにして、表11で以下に示されるようなコーティング厚さの範囲、基板及びカバーシートを有するフォトレジスト素子を製造した。
【0101】
【表12】

【0102】
比較フォトレジスト素子例
(比較例5〜8)
実施例31〜41と同じ実験室ホットメルトスロットダイコーティング装置でコーティングされるべき、比較例1〜4により調製された乾燥フィルムフォトレジストコーティング組成物。これらの組成物は全て、許容されるフォトレジスト素子を与えることに失敗した。比較例5は良好な品質のフィルムを与えたが、感光性成分を全く含んでいなかったので感光性ではなかった。比較例6及び7は共に、これらがコーティングされる前にゲル化し、従って、素子は得られなかった。比較例8はこの方法でコーティングされたが、もろく、相当な亀裂及び剥離を示した。
【0103】
フォトレジスト素子の積層及びリソグラフ加工処理
(実施例36)
シリコンウエハ基板への乾燥フィルムフォトレジストの積層
約4インチ×4インチ平方の50μm厚フォトレジスト素子31を、鋏又はカミソリの刃を使用してロールから切り取った。保護ポリエチレンカバーシートをクリーンルーム域で除去し、乾燥フィルムフォトレジストを、100mm直径のシリコンウエハ基板の表面上に向けてコーティングされた側を置いた。次いで、乾燥フィルムフォトレジストを、PETフィルム上でそっと抑えながらウエハに軽く付着させた。基板の縁の外に広がる過剰の積層物を、カミソリの刃又はエグザクト(Exacto)ナイフを使用して取り除いた。次いで、ウエハを未コーティングのPETフィルムの2枚のシートの間に置き、積層組立品を形成した。Dupont Riston(登録商標)積層装置を、所望の操作パラメーター:30〜55psiの空気圧、70〜85℃の先端及び底部ローラー温度、及び0.3〜1.0m/分のローラー速度に設定した。積層組立品を積層装置に通して最後の積層を行った。積層組立品を周囲空気で2分間冷却した。この後、未コーティング保護PETシートを除去し、基板上にフォトレジストのコーティングを残して複合ウェブPET層を基板から剥がした。全ての言及された積層条件は本質的に同様な結果を与えた。
【0104】
(実施例37)
積層された乾燥フィルムフォトレジストのリソグラフ画像化
実施例36のフォトレジストの積層されたコーティングを有する100mmシリコンウエハを、AB−M Inc.の、Micro Chem Corpにより設計された可変密度フォトリソグラフィーマスクを使用して真空接触で画像状に露光した。露光システムは360nmの高域光フィルターを組み込んでいる。露光照射量は60mJ/cm〜240mJ/cmの範囲であり、AB−M Inc.Intensity Meterを使用して365nmで測定した。露光したウエハを、Brewer Science CEEのホットプレートで、95℃で3〜4分間焼成した。95℃の焼成に続いて、画像化ウエハを最少2分間冷却した。画像を、40rpmで、磁気撹拌機で撹拌しながら露光したウエハをプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)を含む容器の中に浸漬することからなる浸漬現像プロセスを使用して現像した。典型的な現像時間は6〜9分であった。現像したウエハを、次に、第2の清潔なPGMEA浴に浸漬して任意の溶解したフォトレジストを除去し、次いで、イソプロピルアルコールをウエハ上に注いで現像液を洗浄し去った。次いで、ウエハを、ろ過した窒素ガス流で乾燥した。この方法は、7ミクロンの外観の解像度を有する、ウエハ上のマスクのネガ型レリーフ画像をもたらした。
【0105】
(実施例38)
ニッケルメッキ
実施例37の画像化ウエハを硫酸ニッケル浴に入れ、フォトレジストの開放領域を、当該技術分野において知られている標準的手順を使用するそのような方法によりニッケルメッキする。
【0106】
(実施例39)
シリコンウエハ基板への乾燥フィルムフォトレジストの積層
約4インチ×4インチ平方の50μm厚フォトレジスト素子31を、鋏又はカミソリの刃を使用してロールから切り取った。基盤の基板フィルムをクリーンルーム域で除去し、乾燥フィルムフォトレジストを、100mm直径のシリコンウエハ基板の表面上に向けてコーティングされた側を置いた。次いで、乾燥フィルムフォトレジストを、PETカバーシート上でそっと抑えながらウエハに軽く付着させた。基板の縁の外に広がる過剰の積層物を、カミソリの刃又はエグザクトナイフを使用して取り除いた。次いで、ウエハを未コーティングのPETフィルムの2枚のシートの間に置き、積層組立品を形成した。Dupont Riston(登録商標)積層装置を、所望の操作パラメーター:30〜55psiの空気圧、70〜85℃の先端及び底部ローラー温度、及び0.3〜1.0m/分のローラー速度に設定した。積層組立品を積層装置に通して最後の積層を行った。積層組立品を周囲空気で2分間冷却した。この後、未コーティング保護PETシートを除去したが、複合PETカバーシート層は、基板上のフォトレジスト上の適所に残った。
【0107】
(実施例40)
複合物が真空ラミネーターで画像化基板に積層され、複合フィルムが画像化基板上に絶縁保護コーティングを形成する以外は、実施例39の方法を実施した。
【0108】
(実施例41)
複合物が、プラテン加圧下で真空ラミネーターで画像化基板に積層され、複合フィルムが基板の全ての陥凹部を充填し、次いで、前記基板上に平坦化したコーティングを形成した以外は、実施例39の方法を実施した。
【0109】
(実施例42)
複合物が画像化基板に積層され、複合フィルムが画像化基板の隆起部分上にキャップ又はカバーを形成した以外は、実施例39の方法を実施した。
【0110】
(実施例43〜46)
積層された乾燥フィルムフォトレジストのリソグラフ画像化
実施例39〜42のフォトレジストのコーティングで積層された基板を、AB−M Inc.の、Micro Chem Corpにより設計された可変密度フォトリソグラフィーマスクを使用して真空接触で、カバーシートPETフィルムを通して画像状に露光した。露光システムは360nmの高域光フィルターを組み込んでいる。露光照射量は60mJ/cm〜240mJ/cmの範囲であり、AB−M Inc.Intensity Meterを使用して365nmで測定した。露光したウエハを、Brewer Science CEEのホットプレートで、95℃で3〜4分間焼成した。95℃の焼成に続いて、画像化ウエハを最少2分間冷却した。画像を、40rpmで、磁気撹拌機で撹拌しながら露光したウエハをプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)を含む容器の中に浸漬することからなる浸漬現像プロセスを使用して現像した。典型的な現像時間は6〜9分であった。現像したウエハを、次に、第2の清潔なPGMEA浴に浸漬して任意の溶解したフォトレジストを除去し、次いで、イソプロピルアルコールをウエハ上に注いで現像液を洗浄し去った。次いで、ウエハを、ろ過した窒素ガス流で乾燥した。この方法は、10ミクロンの外観の解像度を有する、ウエハ上のマスクのネガ型レリーフ画像をもたらした。
【0111】
(予測例19〜25)
基板は、ガラス、石英、GaAs化合物半導体材料、硬化SU−8ポリマー、銅フォイル、銅張りしたFR−4複合プリント基板、及びKapton上に銅張りした可撓性フィルムを含むべきである実施例39の方法。
【0112】
(実施例47)
積層された乾燥フィルムフォトレジストのリソグラフ画像化
約4インチx4インチ平方の50μm厚フォトレジスト素子31を、鋏を使用してロールから切り取った。基盤のPET基板フィルム及びPETカバーシート層を適所に残し、より厚い基盤の基板フィルムを基板として使用した。フォトレジスト素子の切り取った部分を、AB−M Inc.の、Micro Chem Corpにより設計された可変密度フォトリソグラフィーマスクを使用して真空接触で、カバーシートPETフィルムを通して画像状に露光した。露光システムは360nmの高域光フィルターを組み込んでいる。露光照射量は60mJ/cm〜240mJ/cmの範囲であり、AB−M Inc.Intensity Meterを使用して365nmで測定した。露光後にカバーシートを除去した。次いで、露光した複合シートを、Brewer Science CEEのホットプレートで、95℃で3〜4分間焼成した。95℃の焼成に続いて、画像化複合シートを最少2分間冷却した。画像を、40rpmで、磁気撹拌機で撹拌しながら露光された複合シートをプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)を含む容器の中に浸漬することからなる浸漬現像プロセスを使用して現像した。典型的な現像時間は6〜9分であった。現像した複合シートを、次に、第2の清潔なPGMEA浴に浸漬して任意の溶解したフォトレジストを除去し、次いで、イソプロピルアルコールをウエハ上に注いで現像液を洗浄し去った。次いで、画像化複合シートを、ろ過した窒素ガス流で乾燥した。この方法は、10ミクロンの外観の解像度を有する、PET複合フィルム上のマスクのネガ型レリーフ画像をもたらした。必要に応じて、硬化したフォトレジスト部分は、PETフィルムを引き剥がすことにより基板フィルムから除去できた。
【0113】
本発明は、本発明の特定の実施形態を参照して上で説明されたが、多数の変化、変更、及び変形は、本明細書に開示された発明の概念から逸脱することなく行なうことができることは明らかである。従って、添付の特許請求の範囲の精神及び広い範囲内に入る全てのそのような変化、変更、及び変形を包含することが意図される。本明細書で引用された全ての特許出願、特許、及び刊行物はその全体を本明細書の記載の一部とする。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(i)ホットメルトフォトレジスト組成物を調製する工程、
(ii)前記フォトレジスト組成物を、スロットダイコーティングシステムを使用してフィルム基板に適用する工程、
(iii)前記ホットメルトを十分に冷却して流動を防ぐ工程、
(iv)保護カバーフィルムを部分的に冷却された前記組成物の反対側の表面に適用し、それによってフォトレジスト素子を形成する工程
を含むフォトレジスト素子を形成する方法。
【請求項2】
前記形成されたフォトレジスト素子が、加温カレンダーロールにより押圧され、厚さ、厚さの均一性又はコーティングの品質を調整又は改良する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ホットメルトフォトレジスト組成物が、
(i)光発生触媒又は反応性種の存在下において、それ自体で又は添加された作用剤と反応できる少なくとも1つの多官能性樹脂(A)、
(ii)化学線への曝露により前記樹脂(A)の重合又は構造変性を開始する、少なくとも1つの熱安定性感光性材料(B)
を含み、前記フォトレジスト組成物が溶剤を含まない、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記多官能性樹脂(A)が、完全に又は部分的にエポキシ化された多官能性ノボラック又は脂環式樹脂である、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記多官能性樹脂(A)が、約150〜500g/当量のエポキシド当量重量を有する、完全に又は部分的にエポキシ化された多官能性ノボラック又は脂環式樹脂である、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記ノボラック樹脂(A)が、約195〜230g/当量のエポキシド当量重量を有するエポキシ化多官能性ビスフェノールAノボラック樹脂である、請求項4に記載の方法。
【請求項7】
前記ノボラック樹脂(A)が、約195〜230g/当量のエポキシド当量重量を有する、完全にエポキシ化された8官能性ビスフェノールAノボラック樹脂である、請求項4に記載の方法。
【請求項8】
前記多官能性樹脂(A)が、エポキシ化アクリル樹脂又はアクリル化エポキシ樹脂又は樹脂の混合物、t−BOC若しくはt−ブチルエステル官能性樹脂又はアセタール官能性樹脂等である、請求項3に記載の方法。
【請求項9】
前記感光性材料(B)が、熱安定性光酸又は光塩基発生剤である、請求項3に記載の方法。
【請求項10】
前記感光性材料(B)が、光酸若しくは光塩基発生剤又はその他の熱安定性PAG若しくはPBGのトリアリール、トリアルキル若しくは混合アリールアルキルスルホニウム又はジアリール、ジアルキル若しくは混合アリールアルキルヨードニウム塩である、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記光発生酸が、ヘキサフルオロホスフェート(PF)、ヘキサフルオロアンチモネート(SbF)、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート([CB)、又はトリス(トリフルオロメチルスルホニル)メチド酸である、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
前記組成物が5%未満の溶剤を含む、請求項3に記載の方法。
【請求項13】
前記組成物が、成分(A)及び(C)の合計重量の約0.1重量%〜約70重量%の量で少なくとも1つの非官能性又は非反応性樹脂(C)を更に含む、請求項3に記載の方法。
【請求項14】
前記組成物が、反応性成分(A)、(D)及び(F)の合計重量の0重量%〜約10重量%の量で少なくとも1つの反応性モノマー(D)を更に含む、請求項3に記載の方法。
【請求項15】
前記組成物が、成分(B)の約0.1重量%〜約10重量%の量で少なくとも1つの増感剤(E)を含む、請求項3に記載の方法。
【請求項16】
前記組成物が、反応性成分(A)、(D)及び(F)の合計重量の0.1重量%〜約10重量%の量で少なくとも1つの接着促進剤(F)を更に含む、請求項3に記載の方法。
【請求項17】
前記組成物が、前記組成物の全重量を基準にして、約0.1重量%〜約10重量%の量で少なくとも1つの光吸収化合物(G)を更に含む、請求項3に記載の方法。
【請求項18】
前記組成物が、前記組成物の約0.001重量%〜約1重量%の量で少なくとも1つの表面平滑剤(H)を更に含む、請求項3に記載の方法。
【請求項19】
前記組成物が、前記組成物の0.1重量%〜約80重量%の量で、粒状又は繊維状有機又は無機充填剤の少なくとも1種を更に含む、請求項3に記載の方法。
【請求項20】
前記充填剤が、50nm未満の平均粒径を有するナノ粒状固体又は固体の混合物からなる、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記フィルム基板が、ポリエステルフィルム、ポリイミドフィルム、金属フォイル又はポリマーフィルムに結合した金属フォイルからなる複合材料からなる群より選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項22】
前記フィルム基板が、ポリエチレンテレフタレート(PET)又はポリエチレンナフタレート(PEN)ポリエステルフィルムである、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記フィルム基板が、銅フォイル、アルミニウムフォイル、ステンレススチールフォイル、ニッケルフォイル、真鍮フォイル又はタンタルフォイルである、請求項21に記載の方法。
【請求項24】
前記フィルム基板が、銅張りポリイミド(PI)又はポリベンゾオキサゾール(PBO)可撓性基板である、請求項21に記載の方法。
【請求項25】
前記フィルム基板が、溶解性、感光性又は物理的特性が異なり得る、感光性であっても無くてもよく、既にパターン化及び/又は硬化されていてもいなくてもよい、同一又は異なるコーティング組成物の既にコーティングされているフィルムを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項26】
前記保護カバーフィルムがポリエステルフィルムである、請求項1に記載の方法。
【請求項27】
前記スロットダイコーティングシステムが標準設計のものである、請求項1に記載の方法。
【請求項28】
前記スロットダイコーティングシステムがコートハンガー型のものである、請求項1に記載の方法。
【請求項29】
(i)請求項1に従って作製されるフォトレジスト素子を用意する加工工程、
(ii)前記フォトレジスト素子から前記保護コーティングを除去し、フィルム基板に結合した前記フォトレジストの層を残す加工工程、
(iii)前記フォトレジスト層を第2基板に積層する加工工程、
(iv)前記第2基板上の前記積層されたフォトレジストの層から前記フィルム基板を除去する加工工程、
(v)前記コーティングされた第2基板上の前記フォトレジスト層を化学線で画像状に照射する加工工程、
(vi)必要に応じて、加熱することにより前記フォトレジスト層の照射された範囲を架橋するかさもなければ照射された範囲の溶解性を変化させる加工工程、
(vii)水性塩基又は有機溶剤現像媒体を用いて、前記フォトレジスト層において画像を現像し、それによって乾燥フィルムフォトレジスト層にレリーフ画像を形成する加工工程、及び
(viii)任意選択的に、現像されたレリーフ画像を加熱することにより硬化する加工工程
を含む永久フォトレジストパターンを形成する方法。
【請求項30】
(i)請求項1に従って作製されるフォトレジスト素子を用意する加工工程、
(ii)前記フォトレジスト素子から前記ポリマーフィルム基板を除去し、前記フィルム基板に結合した前記フォトレジストの層を残す加工工程、
(iii)前記フォトレジスト層を第2基板に積層する加工工程、
(iv)前記コーティングされた第2基板上の前記フォトレジスト層を、前記保護カバーシートを通して化学線で画像状に照射する加工工程、
(v)前記第2基板上の前記積層され露光されたフォトレジスト層から前記保護カバーシートを除去する加工工程、
(vi)必要に応じて、加熱することにより前記フォトレジスト層の照射された範囲を架橋するかさもなければ照射された範囲の溶解性を変化させる加工工程、
(vii)水性塩基又は有機溶剤現像媒体を用いて、前記乾燥フィルム層において画像を現像し、それによって前記フォトレジスト層にレリーフ画像を形成する加工工程、及び
(viii)任意選択的に、現像されたレリーフ画像を加熱することにより硬化する加工工程
を含む永久フォトレジストパターンを形成する方法。
【請求項31】
前記第2基板からの除去により得られる、請求項29又は30に従って作製される前記乾燥フィルムフォトレジストの硬化画像生成物。
【請求項32】
(i)請求項1に従って作製されるフォトレジスト素子を用意する加工工程、
(ii)前記フォトレジスト素子から前記保護コーティングを除去し、前記ポリマー基板フィルム又はフォイル基板に結合した前記フォトレジストの層を残す加工工程、
(iii)前記コーティングされた第2基板上の前記フォトレジスト層を化学線で画像状に照射する加工工程、
(iv)必要に応じて、加熱することにより前記フォトレジスト層の照射された範囲を架橋するかさもなければ照射された範囲の溶解性を変化させる加工工程、
(v)水性塩基又は有機溶剤現像媒体を用いて、前記フォトレジスト素子層において画像を現像し、それによって前記フォトレジスト層にレリーフ画像を形成する加工工程、
(vi)任意選択的に、現像されたレリーフ画像を加熱することにより硬化する加工工程、及び
(vii)任意選択的に、硬化物を前記基板フィルム又はフォイルから除去する加工工程
を含む永久フォトレジストパターンを形成する方法。
【請求項33】
(i)請求項1に従って作製されるフォトレジスト素子を用意する加工工程、
(ii)前記フォトレジスト層を、前記ポリマーフィルム基板又はポリマーカバーシートを通して化学線で画像状に照射する加工工程、
(iii)前記フォトレジスト素子から前記ポリマー基板フィルム又は前記保護コーティングを除去し、前記残存ポリマー基板フィルム、カバーシートフィルム又はフォイル基板に結合した前記フォトレジストの層を残す加工工程、
(iv)必要に応じて、加熱することにより前記フォトレジスト層の照射された範囲を架橋するかさもなければ照射された範囲の溶解性を変化させる加工工程、
(v)水性塩基又は有機溶剤現像媒体を用いて前記フォトレジスト層において画像を現像し、それによって前記フォトレジスト層にレリーフ画像を形成する加工工程、
(vi)任意選択的に、現像されたレリーフ画像を加熱することにより硬化する加工工程、及び
(vii)任意選択的に、硬化物を前記基板フィルム又はフォイルから除去する加工工程
を含む永久フォトレジストパターンを形成する方法。
【請求項34】
フォトレジスト層が、前記基板フィルム又はフォイルの両側にコーティングされ、順次に又は同時に画像状に照射される、請求項29、30、32及び33のいずれか一項に記載の方法。
【請求項35】
前記化学線が、紫外線、X線又は電子ビームである、請求項29、30、32又は33に記載のフォトレジストパターンを形成する方法。
【請求項36】
(i)前記硬化物が前記基板から除去されず、
(ii)レリーフ画像が、前記基板のカバーされた範囲を保護するエッチングマスクとして使用され、前記露光された範囲が適当なエッチング溶液でエッチングされ、
(iii)任意選択的に、前記レリーフ画像が、選択的にエッチングされた基板から剥がされるかさもなければ除去される、
請求項29、30、32又は33に記載のフォトレジストパターンを使用する方法。
【請求項37】
(i)前記硬化物が前記基板から除去されず、
(ii)前記レリーフ画像が、前記露光された範囲を適当な金属化方法により金属化することを可能にするメッキ用マスクとして使用され、
(iii)任意選択的に、前記レリーフ画像が、選択的にエッチングされた基板から剥がされるかさもなければ除去される、
請求項29、30、32又は33に記載のフォトレジストパターンを使用する方法。
【請求項38】
前記金属化方法が電解金属メッキである、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
前記金属化方法が無電解金属メッキである、請求項37に記載の方法。
【請求項40】
前記金属化方法が、金属含有ペーストの適用である、請求項37に記載の方法。
【請求項41】
電子部品、微小電気機械システム(MEMS)部品、微小機械部品、微細流体部品、バイオMEMS部品、アレイ構造体、分離及び分析プラットホーム、細胞成長プラットホーム、マイクロ総合分析システム(μ−TAS)部品、医学デバイス、皮膚パッチ、装着可能又は移植可能な部品、マイクロ光学又は導波管部品、光インターコネクト、導波管、光スイッチ、光学ディスプレイ、バックプレーン、光学用拡散体若しくは反射体素子又は保護コーティング、LED又はOLED部品、マイクロ反応器部品、導電性層、リソグラフィー・電鋳・成形(LIGA)部品、マイクロ射出成形及びマイクロエンボス加工用ディスプレイ、型及びスタンプ、高品位印刷用途のためのスクリーン又は型板、MEMS及びICパッケージ部品、キャビティー、壁/ダム、カバー蓋、ICパッケージ、不動態化又は応力/緩衝膜、ダイ接着剤及び非流動アンダーフィラー、ウエハレベルパッケージ、ウエハ結合、チップ積層、三次元インターコネクト、集積受動デバイス及びプリント配線板、高密度インターコネクト、はんだマスク、中間層の製造において使用される場合の、請求項29、30、32又は33に記載の方法により作製される硬化画像生成物。

【公表番号】特表2008−541175(P2008−541175A)
【公表日】平成20年11月20日(2008.11.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−511386(P2008−511386)
【出願日】平成18年5月12日(2006.5.12)
【国際出願番号】PCT/US2006/018361
【国際公開番号】WO2006/124552
【国際公開日】平成18年11月23日(2006.11.23)
【出願人】(506230068)マイクロケム コーポレイション (13)
【Fターム(参考)】