説明

ブラウンガスと資源燃料の燃費支援ハイブリッド・フューエルシステムとその制御システム

【課題】走行する車輌内部でブラウンガス発生にともなう電力を如何に確保し、かつ、大容量蓄電装置と高効率ガスジェネレーターの開発が必須であり、これらの要素を高い次元で成立させる事が求められると共に、水素を安全に扱う技術も要求される。
【解決手段】バッテリーの蓄電能力に限りがあるなかにおいて、走行する車輛の発生する電力を一部蓄電するとともに、発電電力をそのままブラウンガスに変換し内燃機関に投入すれば、車輌の発電装置で発生する電力を全て利用する事が可能で、かつ水素を安全に扱うシステムを車輌に組込む事によって、このシステムを実現する事ができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ブラウンガスによって内燃機関に二酸化炭素の排出削減及び排出量ゼロと低燃費をもたらすブラウンガスと資源燃料の燃費支援ハイブリッド・フューエルシステムとその制御に関するものである。
【背景技術】
【0002】
車載の内燃機関によって発電する電力を無駄なく蓄電する事や、その発電によって随時ブラウンガスに変換する事により、低燃費、二酸化炭素の排出ゼロ及び削減させる事に寄与するブラウンガスと既存内燃機関との広範囲に及ぶ制御を含む燃費支援ハイブリッド・フューエルシステムである。ブラウンガスを対象とした内燃機関は特許文献1に記載されたものがある。
【0003】
この特許文献1に記載の従来のブラウンガスによる内燃機関はプラズマにより水を熱分解しその水蒸気とわずかなブラウンガスを利用して、ロータリーエンジンやガスタービンを稼動する事と、該ブラウンガスとエマルジョンの混合を内燃機関に供給するものである。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
【特許文献1】特開平10-266900。しかし特許文献1に記載の従来の内燃機関はプラズマによる熱分解によってブラウンガスを発生させるため、多くの水蒸気が発生し、燃焼ガスとしては不適当であり、かつ電圧、電流の使用量が多く、非効率的である。また、ブラウンガス発生に必要な電力の確保及び蓄電、高効率ガスジェネレーターなどの技術的問題の解決がなされていない。
【0005】
車載の内燃機関に必要なブラウンガスを供給する為には、充分な発電装置、大容量蓄電装置、高効率のガスジェネレーター及び広範な制御システムが必要である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は高効率のガスジェネレーターを中心に大量の電気を発生する発電装置、大容量の蓄電装置及び広範な走行状態をカバーする制御コンピューターとを備えた事を特徴とする。
【0007】
車載の内燃機関によって駆動される発電装置の発電量を常に効率良くブラウンガスへと変換し、内燃機関に混合または直接投入されると同時に、制御コンピューターにより資源燃料の低減制御するシステムである
【0008】
ブラウンガスを高効率で発生するガスジェネレーターには常にブラウンガス発生に必要な電解の為の水を供給する水タンクが配管によって接続されている事を特徴としている。
【0009】
ガスジェネレーターと大容量蓄電装置との間の配線上には電源装置が接続されており、制御システムによってガスジェネレーターに適切な電圧と電流を供給する事を特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、車載の内燃機関によって駆動する発電装置の発電量をブラウンガスに効率的に変換する事によって、低燃費や排出ガスの改善及び資源燃料の消費削減や、しいては地球温暖化防止および地球環境の改善に貢献する事ができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明実施の形態に係るブラウンガスと資源燃料の複合使用及びその制御を図面に基づいて説明する。図1は本発明を示す該略構成図であり、図2は配管、配線及びその制御範囲を示す該略図である。又、図3はそれぞれ走行パターンのフローチャート図となっている。
【実施例】
【0012】
図1に示すように、内燃機関2の回転力にともない、発電装置3よって発電がなされる。発電された電力は充電回路ES1を通じ大容量蓄電装置6に一時貯えられるか、又はそのまま電流供給回路ES2を経て効率良くガスジェネレーター8によってブラウンガスに変換され、制御コンピューター5の制御のもとガス供給管MH2を通じて内燃機関2に供給される。
【0013】
電流供給回路ES2には直流電源装置6が装備されており、水補給配管MH1にはガスジェネレーターの為の水タンクがそれぞれ備えられている。
【0014】
制御コンピューター5の制御は制御用センサー(不表示)からの情報に基づきC1〜C6の制御回路によって順次制御される。
【0015】
車載内燃機関2はその走行状況とブラウンガス発生量、蓄電残量に基づき、制御回路C1〜C6を経由して、燃料ポンプ4を通じて適正な資源燃料の吐出量0%〜100%の範囲で制御コンピューター5により制御される。
【0016】
車載内燃機関2によって駆動される発電装置3はその発電量を制御コンピューター5が制御回路C2を経由して把握し、制御回路C1を通して燃料ポンプ4から内燃機関2へ適切な資源燃料の供給を行う。
【0017】
大容量蓄電装置6は充電回路ES1上にあり、制御回路C5を経由してその蓄電残量を把握し、コントロール回路C1を通じて燃料ポンプ4を制御して資源燃料の吐出量を適切に判断しその供給を行う。
【0018】
ガスジェネレーター8は電流供給回路ES2の配線上にあり、水供給管MH1に水タンク9と接続されている。制御回路C4を経由して制御コンピューター5の制御により、そのブラウンガスの発生量と、燃料ポンプ4により資源燃料の吐出量を常に制御している。
【0019】
ガスジェネレーター8には水供給管MH1を通じて水タンク9が接続され、制御コンピューター5によってその水残量が監視され、運転者へ情報が提供される。
【0020】
大容量蓄電装置6とガスジェネレーター8との間の電流供給回路ES2上に直流電源装置7が配置され、ガスジェネレーター8に必要な電圧・電流を提供する制御はガスジェネレーター8内部で自動制御される。
【0021】
図3における走行パターンは、フローチャート1の通りであり、その概略は加速時S1-2や上り坂時S1-6において、通常巡行時のガソリン量に加えて、ブラウンガスを必要量内燃機関2に投入することで、資源燃料を増やす事なく必要な力を得る事を特徴としている。
【産業上の利用可能性】
【0022】
本発明はブラウンガス発生装置を利用して、車載の内燃機関で使用する資源燃料の軽減や二酸化炭素の削減及び排ガスの改善をする事が可能で、ひいては地球温暖化防止及び地球環境改善に大きく寄与する事ができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の実施に係るブラウンガスと内燃機関システムを示す 概略構成図である。(実施例1)
【図2】本発明の実施に係るブラウンガスと内燃機関システムの配管 及び回路を示す概略構成図である。(実施例2)
【図3】本発明の実施に係るブラウンガスと内燃機関システムによる 走行パターンの順序を示すフローチャート1である。(実施例3)
【符号の説明】
【0024】
1 車輌本体
2 内燃機関
3 発電装置
4 燃料ポンプ
5 制御コンピューター
6 大容量蓄電装置
7 直流電源装置
8 ガスジェネレーター
9 水タンク
ES1 充電回路
ES2 電流供給回路
ES3 アース回路
ES4 アース回路
MH1 水補給配管
MH2 ガス供給管

【特許請求の範囲】
【請求項1】
このシステムは車輌及び一般の内燃機関によって駆動される発電装置の発生電力を無駄なく蓄電する大容量蓄電装置と、蓄電された電力又は発生電力によって水素・酸素混成ガス(以下総称して“ブラウンガス”とする)を発生させるブラウンガス発生装置(以下“ガスジェネレーター”とする)と、従来の車輌の内燃機関に使用されるガソリン・軽油・エタノール・重油等の燃料(以下総称して“資源燃料”とする)又は資源燃料を内燃機関に供給する燃量ポンプと、これに伴う資源燃料の吐出量・ブラウンガスの吐出量及び車輌の運転に関わる制御を司る制御コンピューターを持つことを特徴とするハイブリッド・フューエルシステムである。
【請求項2】
車輛内燃機関の資源燃料の使用量を増やす事がない為、炭酸ガスの排出量削減や、無害な排気を実現出来るブラウンガスと資源燃料のハイブリッド・フューエルシステムであり、下り坂、ブレーキ時、通常走行時に、随時、内燃機関駆動の発電装置で発生する電力により、ガスジェネレーターでブラウンガスを発生させながら、これをインレットマニホールド及びシリンダー内に資源燃料と混合投入又は直接投入すると同時に、制御コンピューターにより資源燃料及びブラウンガスの量を適正に増減する制御を行う事で、通常の走行、加速時において、大幅に燃費の改善を計る事ができる請求項1記載のブラウンガスと資源燃料の燃費支援ハイブリッド・フューエルシステムである。
【請求項3】
ブラウンガスを発生させるガスジェネレーターは水補給配管によって接続される水タンクを有する請求項1〜2記載のブラウンガスと資源燃料の燃費支援ハイブリッド・フューエルシステムである。
【請求項4】
ブラウンガスを発生させるガスジェネレーターと大容量蓄電装置との間に電源装置を有し、ガスジェネレーターに適正な電圧・電流を供給する請求項1〜2記載のブラウンガスと資源燃料の燃費支援ハイブリッド・フューエルシステムである。
【請求項5】
内燃機関の状況と発電装置の発電量と大容量蓄電装置の蓄電残量とガスジェネレーターの温度状態と水タンクの水残量とを制御コンピューターは適正に制御し、内燃機関の各種状態に適切に対応する事で低い燃費消費を抑制させるブラウンガスと内燃機関の制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2008−51065(P2008−51065A)
【公開日】平成20年3月6日(2008.3.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−230630(P2006−230630)
【出願日】平成18年8月28日(2006.8.28)
【出願人】(593160529)応用電機株式会社 (11)
【Fターム(参考)】