説明

プラズマ処理装置および薄膜の製造方法

【課題】高品質の薄膜を成膜することができるとともに、大面積の成膜に容易に対応することができるプラズマ処理装置および薄膜の製造方法を提供する。
【解決手段】被処理体4を収納する反応チャンバー1と、反応チャンバー1内に配置され、被処理体4を保持するステージ5と、反応チャンバー1内に配置され、反応チャンバー1内に高周波放電を発生させる内部アンテナ7と、反応チャンバー1内を、下部空間10aと、上部空間10bとに仕切る仕切板11と、プラズマエリア10a2に第1のガスを供給する第1のガス供給部と、プラズマ抑制エリア10a1に第2のガスを供給する第2のガス供給部とを備え、反応チャンバー1内で、プラズマ化された第1のガスと、プラズマ化が抑制された第2のガスとを接触させて分解反応を起こさせ、該分解反応に基づいて被処理体4上に薄膜を成膜する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数種のガスのうちの少なくとも一種を高周波放電によりプラズマ化して被処理体上に薄膜を形成するプラズマ処理装置および薄膜の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、微結晶シリコン薄膜は、薄膜太陽電池における長波長側の吸収層、薄膜トランジスタにおけるチャネル層などとして広く用いられている。薄膜トランジスタにおけるチャネル層として微結晶シリコン薄膜を用いた場合、アモルファスシリコン薄膜を用いた場合と比較して、高い移動度が得られることが知られている。
薄膜太陽電池、薄膜トランジスタなどのデバイスの素材となるシリコン膜を成膜する方法としては、従来、プラズマCVD(Chemical Vapor Deposition;化学気相成長)法が広く用いられている。プラズマCVD法では、シラン(SiH)ガス、ジシラン(Si)ガス等のシラン系ガスと希釈用の水素ガスとの混合ガスを高周波放電により分解して、シリコン膜を基板上に堆積させる。
【0003】
プラズマCVD法は、プラズマの生成方法の違いにより、容量結合型と誘導結合型に分類される。容量結合型プラズマCVD法では、平行平板電極間に高周波電圧を印加することにより高周波電界を発生させ、原料ガスをプラズマ化する。この方法は、成膜速度が遅く、数百Paもの高いガス圧を必要とする。このため、2次反応によるポリマーの生成や、反応チャンバー内の放電によるチャンバー壁への付着物質による汚染、電極への付着物質による汚染によって、成膜される膜の膜質が劣化するおそれがある。
【0004】
そこで、最近では、容量結合型プラズマCVD法に代わり、誘導結合型プラズマCVD法が用いられるようになってきている。誘導結合型プラズマCVD法は、高周波コイルに対して高周波電力を印加することにより、誘導結合型プラズマを発生させる。この方法は、高いプラズマ密度を得ることができるため、成膜速度を速くすることができるという特徴を有する。
【0005】
例えば特許文献1には、このような誘導結合型プラズマCVD法及びこれに用いられる誘導結合型プラズマCVD装置が開示されている。
図4は、特許文献1に開示された誘導結合型プラズマCVD装置を模式的に示す図である。図4に示すように、誘導結合型プラズマCVD装置は、反応チャンバー101と、反応チャンバー101の上部外側に配置された渦巻状の高周波コイル102とを有している。反応チャンバー101の上部には、表面に酸素を含まないシリコン膜が蒸着された石英材よりなる誘電体窓103が形成されている。反応チャンバー101内において、誘電体窓103と薄膜を形成すべき基材104との間には、反応ガスを供給するためのリング状のガス供給ノズル105が配置されている。
【0006】
次に、図4に示す誘導結合型プラズマCVD装置の動作について説明する。
真空状態に保持された反応チャンバー101内には、ガス供給ノズル105から反応ガスが供給される。また、高周波コイル102に高周波電力が印加されると、反応チャンバー101内に誘導結合型プラズマが生成する。反応チャンバー101内において生成した誘導結合型プラズマにより反応ガスがプラズマ化され、プラズマ化された反応ガスにより基材104上に薄膜が成膜される。
【0007】
ところで、非特許文献1には、シランを用いたプラズマCVD法においては、長寿命種であるSiHラジカルが主たる成膜種であることが報告されている。他方、SiHラジカル以外の分解生成物であるSiラジカル、SiHラジカル、SiHラジカル等は、原料ガスと2次反応、3次反応を起こし、高次の生成物を生成する短寿命種として知られている。これら短寿命種を排除することは、結晶性の向上に寄与する要因の一つであると考えられている。
また、非特許文献2及び非特許文献3には、水素ラジカルが微結晶シリコン薄膜の形成に影響を与えることが報告されている。
このように、高品質な微結晶シリコン薄膜を形成するためには、高次生成物やその前駆体を除去し、SiHラジカル及び水素ラジカルを増加させることが必要であることが明らかにされている。
【0008】
なお、特許文献2には、成膜室内に基盤ステージとプラズマ電極とが対向して配設された容量結合型のプラズマ処理装置において、プラズマ電極に成膜室の外部から供給されるシランガスを基板上に吹出させるシランガス貯気供給室と、プラズマ電極に成膜室の外部から供給される水素ガスを水素プラズマにして基板上に吹出させるとともに、シランガス貯気供給室から吹出されるシランガスをプラズマ化させる水素ガス供給部とを備えるプラズマ処理装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開平10−27762号公報
【特許文献2】特開2010−73970号公報
【非特許文献】
【0010】
【非特許文献1】松田彰久、「シランプラズマ中における原料ガスの解離過程」、プラズマ・核融合学会誌、社団法人プラズマ・核融合学会、2000年8月、第76巻、第8号、p.760-765
【非特許文献2】A.Matsuda、「Growth mechanism of microcrystalline silicon obtained from reactive plasmas」、Thin Solid Films、米国、Elsevier B.V.、1999年1月11日、第337巻、p.1-6
【非特許文献3】小川俊輔、野々村修一、「微結晶系薄膜太陽電池の開発動向と透明電極表面保護膜」、表面技術、社団法人表面技術協会、2008年、第59巻、第3号、p.155-160
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
従来、薄膜系シリコン太陽電池では、アモルファスシリコン層と微結晶シリコン層とが積層されたタンデム構造を採用することにより、効率的な光吸収を実現し、変換効率の向上を図ることが行われている。しかしながら、アモルファスシリコン層は光吸収率が高く、0.2〜0.3μm程度の膜厚で6〜7%程度の光変換率を達成している一方で、微結晶シリコン層は光吸収率が低く、1.5〜2μm程度の膜厚が必要であるにもかかわらず3〜5%程度の光変換効率しか得られないのが現状である。
【0012】
他方、薄膜トランジスタでは、微結晶シリコンは、アモルファスシリコンより高い応答性が得られる可能性があり、また、多結晶シリコンでは応用困難なG5以上(第5世代以降)の大型基板への応用も期待されている。
これらの用途においては、例えば結晶化度や欠陥密度のような微結晶シリコン薄膜の膜質を改善することが重要である。膜質を改善することにより、太陽電池においては光変換効率の向上に、薄膜トランジスタにおいては応答性の向上に大きく貢献することができる。
【0013】
高品質な微結晶シリコン薄膜を成膜するためには、前述の通り、水素ラジカルとSiHラジカルが必要であるといわれている。しかしながら、一般的に、シラン(SiH)と水素(H)とが同時に存在するような空間では、プラズマエネルギーを上げると、水素の解離が進行し、水素ラジカルの生成量が増加するが、同時にシランの解離も進行する。このため、成膜種であるシリル(SiH)ラジカルの生成量が相対的に減少する。逆に、シランの解離を抑制するためにプラズマエネルギーを下げると、水素の解離する割合も減少し、その結果として水素ラジカルの生成量が減少する。
このように、水素ラジカルの生成量とSiHラジカルの生成量とを同時に増加することは、相反する両立困難なことであると知られている。
【0014】
また、誘導結合型プラズマCVD法においては、これに特有のアンテナ近傍における高密度プラズマによってシランの解離が進行する。このため、SiHラジカルの生成がうまくできず、SiHラジカルの生成量よりもSiラジカル、SiHラジカル、SiHラジカルの生成量が増加する。これらSiHラジカル以外のラジカルはシランと2次反応又は3次反応をすることにより、ダイマー、トリマー等が生成され、結果として膜の欠陥密度が増加し、膜質が低下するという問題が生じる。
上記のような理由により、従来のプラズマCVD法では、膜質を向上するためにSiHラジカルの生成量と水素ラジカルの生成量の両方を増加させることは困難である。
【0015】
また、大面積の成膜に対応したCVD装置を開発する場合には、成膜が行われる反応容器を大型化するとともに、反応容器内を真空状態にした際に反応容器の天板が撓まないように天板を厚く設計する必要がある。さらに、誘導結合型プラズマCVD装置の場合に、外部アンテナ方式を採用すると、天板の厚さに比例して、外部アンテナからの高周波を反応容器内に伝達するための誘電体窓を厚くする必要がある。このため、外部アンテナ方式では、コスト面および製造面の両面で問題が生じ得る。他方、内部アンテナ方式を採用すると、これらの面で問題は生じないが、反応容器内に内部アンテナが露出しているため、成膜に際して内部アンテナに付着物が付着する。内部アンテナに付着した付着物は、内部アンテナの状態を変化させる原因となるだけでなく、膜質に影響を与えるパーティクルの発生源となる。
【0016】
本発明は、上記のような従来の課題を解決するためになされたもので、高品質の薄膜を成膜することができるとともに、大面積の成膜に容易に対応することができるプラズマ処理装置および薄膜の製造方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0017】
すなわち、本発明のプラズマ処理装置は、被処理体を収納して該被処理体上に薄膜を成膜する反応チャンバーと、前記反応チャンバー内に配置され、前記被処理体を保持するステージと、前記反応チャンバー内に配置され、前記反応チャンバー内に高周波放電を発生させる高周波プラズマ源と、前記反応チャンバー内を、前記ステージ側空間と、前記高周波プラズマ源側空間とに仕切る仕切部と、前記ステージ側空間に第1のガスを供給する第1のガス供給部と、前記ステージ側空間に第1のガスとは異なる第2のガスを供給する第2のガス供給部と、を備え、前記反応チャンバー内で、前記高周波放電によりプラズマ化された前記第1のガスと、プラズマ化が抑制された前記第2のガスとを接触させて分解反応を起こさせ、該分解反応に基づいて、前記ステージに保持された前記被処理体上に薄膜を成膜するように構成されていることを特徴とする。
【0018】
また、本発明の薄膜の製造方法は、反応チャンバー内を、被処理体に薄膜を形成する被処理体側の空間と高周波放電が行われる高周波プラズマ源側の空間とに仕切り、前記被処理体側の空間に前記高周波放電によってプラズマ化がなされるように第1のガスを供給するとともに、前記被処理体側の空間に前記プラズマ化が抑制されるように、前記第1のガスとは異なる第2のガスとを供給し、プラズマ化された前記第1のガスと、プラズマ化が抑制された前記第2のガスとを接触させて分解反応を起こさせ、該分解反応に基づいて、前記被処理体上に薄膜を成膜することを特徴とする。
【0019】
第2のガスは、例えば解離したガスが被処理体に直接作用することで成膜を行うものであり、このようなガスを高周波放電によって直接プラズマ化してしまうと、高品質の薄膜を成膜することが困難になる。例えば、シランガスの解離が進行すると、所望のSiHラジカルの生成がうまくできず、Siラジカル、SiHラジカル、SiHラジカルの生成量が増加し、結果として高品質の微結晶シリコン薄膜が形成されない。
上記本発明によれば、高周波放電により第1のガスをプラズマ化する一方、高周波放電による第2のガスのプラズマ化を抑制し、このプラズマ化が抑制された第2のガスとプラズマ化された第1のガスとの接触によって第2のガスの分解反応が起きるため、高周波放電による第2のガスの解離が早期に進行することはなく、成膜種を効率よく生成して、高品質の薄膜を成膜することができる。
【0020】
また、本発明によれば、反応チャンバー内に高周波放電を発生させる高周波プラズマ源が反応チャンバー内に配置されているため、反応チャンバーにその外部から内部に高周波を伝達するための誘電体窓を設ける必要がない。したがって、反応チャンバーを容易に大型化することができ、大面積の成膜に容易に対応することができる。
【0021】
さらに、反応チャンバー内は、仕切部により、ステージ側空間と高周波プラズマ源側空間とに仕切られており、ステージ側空間に第1のガスおよび第2のガスが供給される。このため、プラズマ化された第1のガスその他のプラズマ化されたガスが反応チャンバー内の高周波プラズマ源に直接接触することがない。これにより、高周波プラズマ源に付着した付着物によって薄膜の膜質に影響を与えるパーティクルが発生するのを防止する。したがって、高品質の薄膜を成膜することができるとともに、装置のクリーニングを容易なものとして優れたメンテナンス性を実現することができる。
なお、仕切部は、高周波プラズマ源による高周波放電がステージ側空間側に透過することができる材質であればよい。例えば、仕切部としては、その一部または全部が誘電体からなるものを用いることができる。また、仕切部は、ガスが直接プラズマ発生源に接触しないものであればよく、ステージ側空間とプラズマ発生源側空間とが連通するものであってもよい。ただし、ガスがプラズマ発生源側空間に移動するのを抑制するため、連通部分はないか、あっても小さい開口で形成するのが望ましい。
また、仕切部としては、ステージのステージ面に対面して配置された仕切板を用いることができる。第1のガスは、高周波プラズマ源による高周波放電により、ステージのステージ面に対面して配置された仕切板の板面に沿ってより均一にプラズマ化される。これにより、被処理体上に均質な薄膜を成膜することができる。
【0022】
仕切部により仕切られたステージ側空間と高周波プラズマ源側空間とは、それぞれ互いに別個独立の真空排気系により真空排気することができる。互いに別個独立の真空排気系により両空間をそれぞれ真空排気することにより、単一の真空排気系により両空間を真空排気する場合と比較して両空間を目的とする真空度に容易に調整することができる。
なお、ステージ側空間は良質な薄膜形成のために相対的に高真空排気するが、高周波プラズマ源では高真空排気は必要なく、相対的に低い真空度で排気すればよい。
また、ステージ側空間と高周波プラズマ源側空間とを単一の真空排気系により真空排気する場合には、ステージ側空間と高周波プラズマ源側空間とを連通する連通部を仕切部に設け、ステージ側空間に真空排気系を接続して両空間を真空排気することも可能である。
【0023】
前記ステージ側空間は、ステージに載置された前記被処理体が位置するプラズマ抑制エリアと、プラズマ抑制エリアと前記仕切部との間に少なくとも一部が介在するプラズマ抑制エリア外とに区画することができる。プラズマ抑制エリアでは高周波プラズマ源により発生された高周波放電によるガスのプラズマ化が抑制される一方、プラズマ抑制エリア外では前記高周波放電によるガスのプラズマ化がなされる。この場合、前記第1ガス供給部によりプラズマ抑制エリア外に第1のガスを供給し、前記第2ガス供給部によりプラズマ抑制エリアに第2のガスを供給する。これにより、プラズマ抑制エリア外において第1のガスをプラズマ化しつつ、プラズマ抑制エリアにおいて第2のガスのプラズマ化を抑制することができる。そして、プラズマ抑制エリア外の第1のガスがプラズマ抑制エリアに流入するようにプラズマ抑制エリアとプラズマ抑制エリア外とを連通させることで、プラズマ抑制エリアで、プラズマ化された第1のガスとプラズマ化が抑制された第2のガスとを接触させることができる。また、ステージに載置された被処理体がプラズマ抑制エリアに位置することにより、成膜を効果的に行うことができる。このように、区画部によりプラズマ抑制エリアを形成することにより、第2のガスのプラズマ化を効果的に抑制することができ、高品質の薄膜の成膜に必要な成膜種を効率よく生成することができる。
【0024】
なお、前記区画部は、例えば、反応チャンバー内を仕切る遮蔽板により構成することができる。遮蔽板には、プラズマ抑制エリアにプラズマ抑制エリア外の第1のガスが流入可能なように、プラズマ抑制エリア外とプラズマ抑制エリアとを連通する連通部を設けるのが望ましい。連通部は、遮蔽板に複数形成することができ、隣接する連通部の間隔を、第1のガスの平均自由行程のオーダー程度となるように設定することが望ましい。このように連通部の間隔を設定することにより、第1のガスが連通部を通過した後に十分に被処理体上に行き亘らせることができ、第2のガスと効率よく接触させることができる。
【0025】
また、前記第1ガス供給部は、前記被処理体よりも前記仕切部の近傍に第1のガスを供給するように設けられているのが望ましい。このように第1ガス供給部を設置することにより、第1ガス供給部から供給される第1のガスを早期にプラズマ化させてプラズマ処理の効率を向上することができる。
【0026】
また、前記第2ガス供給部は前記仕切部から離れて前記被処理体の近傍に第2のガスを供給するように設けられているのが望ましい。例えば第2ガス供給部に備える第2ガス吹出口を被処理体の近傍に配置するのが望ましい。このように第2ガス供給部を配置することにより、第2ガス供給部から供給される第2のガスのプラズマ化をより確実に抑制することができる。
例えば、第2のガス供給部は、第2のガスを前記プラズマ抑制エリアに向けて放出するガス放出部を有するものとし、該ガス放出部を前記区画部に形成することができる。第2のガス供給部のガス放出部を区画部に形成することにより、第2のガスのプラズマ化を確実に抑制することができる。
【0027】
また、プラズマ抑制エリア外の第1のガスをプラズマ抑制エリア内に導入するためには、種々の方法を用いることができ、例えば、反応チャンバー内の圧力差を利用した方法が挙げられる。具体的には、プラズマ抑制エリア外をプラズマ抑制エリア内に対して陽圧にする。このような圧力差を設けることにより、プラズマ抑制エリア外にある第1のガスをプラズマ抑制エリア内に容易に導入することができる。
【0028】
なお、第1のガスおよび第2のガスは、特定のガスに限定されるものではなく、被処理体上に成膜すべき薄膜の種類に応じて適宜選択することができる。例えば被処理体上に微結晶シリコン薄膜を成膜する場合、第1のガスとしては、水素ガスまたは、水素ガスと希ガスとの混合ガスが挙げられ、第2のガスとしては、モノシランガスおよびジシランガスの一方もしくは両方を含むシラン系ガス、または該シラン系ガスと、ホスフィンガスもしくはジボランガスとを含む混合ガスが挙げられる。
【発明の効果】
【0029】
以上のとおり、本発明によれば、反応チャンバー内を、被処理体に薄膜を形成する被処理体側の空間と高周波放電が行われる高周波プラズマ源側の空間とに仕切り、被処理体側の空間に高周波放電によってプラズマ化がなされるように第1のガスを供給するとともに、被処理体側の空間にプラズマ化が抑制されるように、第1のガスとは異なる第2のガスとを供給し、プラズマ化された第1のガスと、プラズマ化が抑制された第2のガスとを接触させて分解反応を起こさせ、該分解反応に基づいて、前記被処理体上に薄膜を成膜するので、高品質の薄膜を成膜することができるとともに、大面積の成膜に容易に対応することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の一実施形態のプラズマ処理装置を縦断面した概略端面図である。
【図2】同じく、(a)図は、その遮蔽板の平面構造を示す底面図であり、(b)図は、(a)図のA−A線端面図である。
【図3】同じく、複数の内部アンテナを備えた他の実施形態のプラズマ処理装置を示す概略図である。
【図4】従来の誘導結合型プラズマCVD装置を模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
(実施形態1)
本発明の一実施形態のプラズマ処理装置を図1および図2に基づいて説明する。図1は本実施形態のプラズマ処理装置を示す概略図である。図2(a)はその遮蔽板の平面構造を示す下面図であり、図2(b)は図2(a)のA−A線端面図である。
図1に示すように、本実施形態のプラズマ処理装置は、内部を真空状態に維持可能な反応チャンバー1を有している。
反応チャンバー1は、周側壁1a1及び底板1a2により構成される反応チャンバー下部本体1aと、周側壁1b1及び天板1b2により構成される反応チャンバー上部本体1bとを有している。反応チャンバー下部本体1aと反応チャンバー上部本体1bとは、例えば金属からなる遮蔽板2を介して上下に重ねられており、反応チャンバー1内が密閉されている。遮蔽板2は、その板面を水平にして反応チャンバー下部本体1aと反応チャンバー上部本体1bとの間に挟持されている。遮蔽板2は、本発明の区画部に相当する。なお、反応チャンバー下部本体1aと遮蔽板2との間には絶縁材3aが介装され、反応チャンバー上部本体1bと遮蔽板2との間には絶縁材3bが介装されており、反応チャンバー1と遮蔽板2との間が絶縁されている。
【0032】
反応チャンバー下部本体1aの周側壁1a1および底板1a2は一体に構成され、反応チャンバー上部本体1bの周側壁1b1および天板1b2も一体に構成されている。なお、周側壁1a1および底板1a2は別体に構成されて密着固定され、周側壁1b1および天板1b2も別体に構成されて密着固定されていてもよく、さらに、それぞれ互いに分離することができるようにしてもよい。周側壁1a1、1b1を高さの異なるものに変更することで、反応チャンバー1の高さを容易に変更することができる。
また、周側壁1a1の内径および外径は、それぞれ周側壁1b1の内径および外径と一致しており、外周面および内周面に段差が生じることなく周側壁1a1と周側壁1b1とが重ね合わされている。
【0033】
遮蔽板2の下側の反応チャンバー1の内部中央には、遮蔽板2に対向するように、被処理体4を保持するステージ5が配置されている。被処理体4は、例えば、半導体基板、ガラス基板などである。
ステージ5には、ステージ5にバイアス電圧を印加するためのバイアス電源6が接続されている。さらに、ステージ5上の被処理体4を加熱するための加熱用ヒーター(図示せず)が設置されている。加熱用ヒーターはステージ5に埋設してもよく、またステージ5の周囲に配置するものであってもよい。
【0034】
反応チャンバー上部本体1bの天板1b2には、反応チャンバー1内側に向けて、本発明の高周波プラズマ源に相当する内部アンテナ7が突設されている。この図では、天板1b2の中央に内部アンテナ7が設けられているが、天板1b2に間隔を置いて複数の内部アンテナ7を設けるものであってもよい。
内部アンテナ7には、反応チャンバー1外部から、マッチングボックス8を介して高周波電源9が接続されている。本実施形態のプラズマ処理装置は、外部アンテナ方式のように反応チャンバー1にその外部から内部に高周波を伝達するための誘電体窓を設ける必要がなく、反応チャンバー1を容易に大型化することができ、大面積の成膜に容易に対応することができる。
【0035】
反応チャンバー上部本体1bの内側には、反応チャンバー1内を、ステージ5側の下部空間10aと内部アンテナ7側の上部空間10bとに仕切る仕切板11が設けられている。仕切板11は、本発明の仕切部に相当する。下部空間10aは、本発明のステージ側空間に相当し、上部空間10bは、本発明の高周波プラズマ源側空間に相当する。
仕切板11は、その板面が、ステージ5のステージ面に対面し、互いに平行になるように水平に配置されている。仕切板11は、その一部または全部が誘電体からなり、上部空間10b内の内部アンテナ7により発生した電磁波を下部空間10a側に透過する。
【0036】
下部空間10aの底板1a2には、下部空間10aを高真空排気する高真空排気系12が接続されている。また、上部空間10bには、上部空間10bを低真空排気する低真空排気系13が接続されている。低真空排気系13は、高真空排気系12により排気される下部空間10aの真空度よりも相対的に低い真空度に上部空間10bを真空排気する。
なお、高真空排気系12および低真空排気系13のうち、低真空排気系13を設けずに、高真空排気系12のみにより下部空間10aと上部空間10bとを真空排気するようにしてもよい。この場合、下部空間10aを介して上部空間10bを真空排気することができるように、仕切板11に、下部空間10aと上部空間10bとを連通する連通部を形成する。
【0037】
下部空間10aは、さらに、反応チャンバー下部本体1aと反応チャンバー上部本体1bとの間に介装された遮蔽板2により上下に区画されている。下部空間10aのうち、遮蔽板2下方側の空間がプラズマ抑制エリア10a1に割り当てられ、遮蔽板2と仕切板11との間に介在する空間がプラズマ抑制エリア外となるプラズマエリア10a2に割り当てられている。遮蔽板2は、高周波が上方から下方に容易には侵入しない材質で構成されていることが望ましく、例えば金属その他の導電材で構成されていることが望ましい。
【0038】
周側壁1b1には、仕切板11の下側において、第1のガス導入口14が設けられている。第1のガス導入口14には、第1のガス供給管15を介して第1のガスを供給する第1のガス供給源16が接続されている。第1のガス導入口14、第1のガス供給管15、および第1のガス供給源16は、本発明の第1のガス供給部を構成する。
被処理体4上に微結晶シリコン薄膜を成膜する場合、第1のガスとして、例えば、水素ガスまたは、水素ガスと希ガスとの混合ガスが用いられる。
なお、図1には、第1のガス導入口14、第1のガス供給管15、および第1のガス供給源16が複数組(2組)設けられている場合を示しているが、これらは1組でも複数組でもよく、また、これらが設けられる位置関係も特定のものに限定されるものではない。
【0039】
遮蔽板2は、図2(a)及び図2(b)に示すように、上下面に貫通する複数の連通孔2aが遮蔽板2の板面方向に亘って分散配置されている。プラズマ抑制エリア10a1とプラズマエリア10a2とは、連通孔2aを介して連通している。連通孔2aは、本発明の連通部に相当する。連通孔2aは、遮蔽板2の上面から下面に向かって板面に沿った断面積が次第に増加するテーパ穴形状を有しており、上部開口2a1に比べ下部開口2a2は、開口径が約3倍になっている。
なお、連通孔2aの形状および形成位置は、図2に示すものに限定されるものではないが、連通孔2aの形状は、遮蔽板2の上面から下面に向かって板面に沿った断面積が次第に増加するテーパ孔形状であることが望ましい。これにより、プラズマエリア10a2側からプラズマ抑制エリア10a1側にガスが拡散しつつ流入することができる。また、複数の連通孔2aは、被処理体4上に均質の薄膜を形成するため、遮蔽板2の板面に亘って均等に形成されていることが望ましい。
【0040】
また、連通孔2aは、プラズマエリア10a2内の第1のガスが、プラズマ抑制エリア10a1内に流入するのに十分な大きさを有していればよく、大きく形成しすぎると、高周波の侵入を許し、プラズマ抑制エリア10a1内の第2のガスのプラズマ化を招く。また、プラズマ抑制エリア10a1からプラズマエリア10a2にガスが流入しやすくなる。隣接する連通孔2aの間隔は、真空状態でのプラズマエリア10a2内における第1のガスの平均自由行程のオーダー程度となっている。
また、高真空排気系12でプラズマ処理中も僅かに真空引きすることで、プラズマ抑制エリア10a1側をプラズマエリア10a2側よりも相対的に負圧にすることができ、プラズマエリア10a2側からプラズマ抑制エリア10a1側へのガスの流入を促すとともに、プラズマ抑制エリア10a1側からプラズマエリア10a2側へのガスの侵入を防止することができる。
【0041】
また、遮蔽板2内部には、遮蔽板2の板面方向に沿い、かつ連通孔2aを避けるようにして第2のガスが流通するガス流路2bが形成されている。ガス流路2bは、均等に複数本に分岐している。このガス流路2bには、遮蔽板2内に形成され、連通孔2aの内壁に開口する複数のガス放出路2cが連通している。1つの連通孔2aに対して、図2(a)に示すように、例えば4つのガス放出路2cが対称に連通孔2aの内壁に開口している。なお、ガス放出路2cは、必ずしも連通孔2aの内壁に開口している必要はなく、遮蔽板2の連通孔2aの間の部分でガス流路2bから分岐して遮蔽板2の下面に開口していてもよい。
なお、複数のガス放出路2cは、被処理体4上に均質の薄膜を形成するため、遮蔽板2の板面に亘って均等に形成されていることが望ましい。
【0042】
遮蔽板2の側端部には、ガス流路2bの一端が開口しており、該開口に第2のガス供給管17が接続されている。ガス供給管17には、第1のガスとは異なる第2のガスを供給する第2のガス供給源18が接続されている。ガス放出路2c、ガス流路2b、第1のガス供給管17、および第2のガス供給源18は、本発明の第2のガス供給部を構成する。また、ガス放出路2cは、本発明のガス放出部に相当する。
【0043】
被処理体4上に微結晶シリコン薄膜を成膜する場合、第2のガスとして、例えば、モノシランガスおよびジシランガスの一方または両方を含むシラン系ガスが用いられる。また、該シラン系ガスと、ホスフィンガスまたはジボランガスとを含む混合ガスを第2のガスとして用いることもできる。第2のガスにホスフィンガスを含ませることにより、リンがドープされた微結晶シリコン薄膜が成膜される。また、第2のガスにジボランガスを含ませることにより、ホウ素がドープされた微結晶シリコン薄膜が成膜される。
【0044】
なお、図1には、第2のガス供給管17および第2のガス供給源18が複数組(2組)設けられている場合を示しているが、これらは1組でも複数組でもよく、また、これらが設けられる位置関係も特定のものに限定されるものではない。
【0045】
次に、上記図1および図2(a)(b)に示すプラズマ処理装置の動作について説明する。
ステージ5上に被処理体4を載置して保持し、高真空排気系12により反応チャンバー1内の下部空間10aを高真空排気して所定の真空度の真空状態にする。これとともに、低真空排気系13により反応チャンバー1内の上部空間10bを低真空排気して下部空間10aの真空度よりも相対的に低い真空度の真空状態にする。下部空間10aおよび上部空間10bが所定の真空状態になった後、加熱用ヒーターにより、ステージ5上の被処理体4を例えば300℃前後に加熱する。また、バイアス電源6により、ステージ5に所定のバイアス電圧を印加する。ステージ5にバイアス電圧を印加することにより、プラズマ化された第1のガスがステージ5側に引き寄せられ、第2のガスとの接触効率が増加する。 高真空排気系12および低真空排気系13では、下部空間10aおよび上部空間10bがそれぞれ所定の圧力状態に維持されるようにプラズマ処理中も真空排気を継続する。
【0046】
次いで、第1のガス供給源16から、第1のガス供給管15および第1のガス導入口14を通して第1のガスをプラズマエリア10a2に供給する。プラズマエリア10a2に供給された第1のガスは、遮蔽板2に形成された連通孔2aからプラズマ抑制エリア10a1に放出される。
上記第1のガスの供給と同時期または時期をずらして、第2のガス供給源18から、第2のガス供給管17を通してガス流路2bに第2のガスを供給する。ガス流路2bに供給された第2のガスは、ガス放出路2cからプラズマ抑制エリア10a1にシャワー状に放出される。
第1のガスおよび第2のガスの供給に際しては、プラズマ抑制エリア10a1に対してプラズマエリア10a2が陽圧になるように両ガスの供給を行い、また、高真空排気系12による高真空排気を行う。
被処理体4上に微結晶シリコン薄膜を成膜する場合には、例えば、第1のガスとして水素を用い、第2のガスとして例えばシランガスまたはジシランガスを用いる。ただし、本発明としては、第1のガスおよび第2のガスが上記に限定されないことは既述したとおりである。
【0047】
上部空間10bにおける内部アンテナ7には、マッチングボックス8を介して高周波電源9により高周波電圧を印加する。反応チャンバー1内では、高周波電圧が印加された内部アンテナ7により、上部空間10bからプラズマエリア10a2に向かって高周波放電が発生する。上部空間10bと下部空間10aのプラズマエリア10a2とを仕切る仕切板11の一部または全部が誘電体からなるため、プラズマエリア10a2に高周波が及ぶ。プラズマ抑制エリア10a1では、遮蔽板2が金属で構成されているため、プラズマエリア10a2に及ぶ高周波の影響が排除される。
【0048】
プラズマエリア10a2では、内部アンテナ7による高周波放電により第1のガスがプラズマ化される。この際には、プラズマ化されたガスは、仕切板11によって内部アンテナ7に付着するのが防止される。
第1のガスは、被処理体4を保持するステージ5のステージ面に対面して配置された仕切板11の板面に沿って均一にプラズマ化され、被処理体4上に均質な薄膜を成膜する。
プラズマエリア10a2においてプラズマ化された第1のガスは、プラズマエリア10a2から連通孔2aを通してプラズマ抑制エリア10a1に次第に流入する。
【0049】
一方、第2のガスは、内部アンテナ7による高周波放電の影響を受けることなく、遮蔽板2内のガス流路2bを流れてガス放出路2cからプラズマ抑制エリア10a1に放出される。第2のガスは、プラズマ抑制エリア10a1においてプラズマ化が抑制された状態で、連通孔2aから放出される、プラズマ化された第1のガスと接触して分解反応を起こす。この結果、被処理体4上に薄膜が形成される。
具体的には、第1のガスとして水素ガスを用い、第2のガスとしてシランガスを用いる場合、内部アンテナ7によるシランガスのプラズマ化を抑制しつつ、水素ガスのプラズマ化によって生じた水素ラジカルにより、シランガスの分解反応が起きる。これにより、成膜種となるSiHラジカルへのシランガスの分解を促進するとともに、Siラジカル、SiHラジカル、SiHラジカルの生成を抑制することができる。こうして、SiHラジカルの生成量と水素ラジカルの生成量とを同時に増加させ、被処理体4上に高品質の微結晶シリコン薄膜を成膜することができる。
本発明のプラズマ処理装置により成膜された薄膜は高品質であり、これを用いて太陽電池、薄膜トランジスタなどのデバイスを形成した場合、良好な電気的特性を得ることができる。
【0050】
(実施形態2)
次に、本発明の他の実施形態のプラズマ処理装置を図3に基づいて説明する。図3は本実施形態のプラズマ処理装置を示す概略図である。なお、上記実施形態1と同様の構成については同一の符号を付して説明を省略または簡略化する。
上記実施形態1では、単一の内部アンテナ7が設けられているものについて説明したが、内部アンテナは複数設けられていてもよい。本実施形態のプラズマ処理装置は、上記実施形態1のプラズマ処理装置において、単一の内部アンテナ7に代えて、複数の内部アンテナ7a、7b、7cを有するものである。
【0051】
図3に示すように、反応チャンバー上部本体1bの天板1b2には、反応チャンバー1内側に向けて、内部アンテナ7と同様の複数の内部アンテナ7a、7b、7cが並列して突設されている。
内部アンテナ7a、7b、7cには、反応チャンバー1外部から、それぞれマッチングボックス8と同様のマッチングボックス8a、8b、8cを介して高周波電源9が接続されている。
このように、複数の内部アンテナ7a、7b、7cを設けて、これら内部アンテナ7a、7b、7cにより反応チャンバー1内に高周波放電を発生させてもよい。
【0052】
以上、本発明について上記実施形態に基づいて説明を行ったが、本発明は上記実施形態の内容に限定されるものではなく、本発明の範囲を逸脱しない限りは適宜の変更が可能である。
【符号の説明】
【0053】
1 反応チャンバー
2 遮蔽板
2a 連通孔
2b ガス流路
2c ガス放出路
4 被処理体
5 ステージ
7 内部アンテナ
7a 内部アンテナ
7b 内部アンテナ
7c 内部アンテナ
9 高周波電源
10a 下部空間
10a1 プラズマ抑制エリア
10a2 プラズマエリア
10b 上部空間
11 仕切板
12 高真空排気系
13 低真空排気系
14 第1のガス導入口
15 第1のガス供給管
16 第1のガス供給源
17 第2のガス供給管
18 第2のガス供給源

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被処理体を収納して該被処理体上に薄膜を成膜する反応チャンバーと、
前記反応チャンバー内に配置され、前記被処理体を保持するステージと、
前記反応チャンバー内に配置され、前記反応チャンバー内に高周波放電を発生させる高周波プラズマ源と、
前記反応チャンバー内を、前記ステージ側空間と、前記高周波プラズマ源側空間とに仕切る仕切部と、
前記ステージ側空間に第1のガスを供給する第1のガス供給部と、
前記ステージ側空間に第1のガスとは異なる第2のガスを供給する第2のガス供給部と、を備え、
前記反応チャンバー内で、前記高周波放電によりプラズマ化された前記第1のガスと、プラズマ化が抑制された前記第2のガスとを接触させて分解反応を起こさせ、該分解反応に基づいて、前記ステージに保持された前記被処理体上に薄膜を成膜するように構成されていることを特徴とするプラズマ処理装置。
【請求項2】
前記仕切部は、前記ステージのステージ面に対面して配置された仕切板であることを特徴とする請求項1記載のプラズマ処理装置。
【請求項3】
前記仕切部の一部または全部が誘電体からなることを特徴とする請求項1または2に記載のプラズマ処理装置。
【請求項4】
前記ステージ側空間に接続されて、該ステージ側空間を高真空排気する高真空排気系と、前記高周波プラズマ源側空間に接続されて、該高周波プラズマ源側空間を低真空排気する低真空排気系とを備えることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のプラズマ処理装置。
【請求項5】
前記ステージ側空間を、前記ステージに載置された前記被処理体が位置するプラズマ抑制エリアと、前記プラズマ抑制エリアと前記仕切部との間に少なくとも一部が介在するプラズマ抑制エリア外とに区画する区画部を備え、
前記第1のガス供給部は、前記プラズマ抑制エリア外に前記第1のガスを供給するように構成され、前記第2のガス供給部は、前記プラズマ抑制エリアに前記第2のガスを供給するように構成されており、
前記プラズマ抑制エリアと前記プラズマ抑制エリア外とは、前記プラズマ抑制エリア外の前記第1のガスが前記前記プラズマ抑制エリアに流入するように連通していることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のプラズマ処理装置。
【請求項6】
前記区画部は、前記反応チャンバー内を仕切る遮蔽板により構成されており、該遮蔽板に前記プラズマ抑制エリア外と該プラズマ抑制エリアとを連通する連通部が形成されていることを特徴とする請求項5記載のプラズマ処理装置。
【請求項7】
前記第2のガス供給部は、前記第2のガスを前記プラズマ抑制エリアに向けて放出するガス放出部を有し、該ガス放出部が前記区画部に設けられていることを特徴とする請求項5または6に記載のプラズマ処理装置。
【請求項8】
前記第1のガス供給部が、前記被処理体よりも前記仕切部の近傍に前記第1のガスを供給するように設けられ、
前記第2のガス供給部が、前記仕切部から離れて前記被処理体の近傍に前記第2のガスを供給するように設けられていることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載のプラズマ処理装置。
【請求項9】
前記第1のガスが、水素ガスまたは、水素ガスと希ガスとの混合ガスであり、
前記第2のガスが、モノシランガスおよびジシランガスの一方もしくは両方を含むシラン系ガス、または該シラン系ガスと、ホスフィンガスもしくはジボランガスとを含む混合ガスであることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載のプラズマ処理装置。
【請求項10】
反応チャンバー内を、被処理体に薄膜を形成する被処理体側の空間と高周波放電が行われる高周波プラズマ源側の空間とに仕切り、前記被処理体側の空間に前記高周波放電によってプラズマ化がなされるように第1のガスを供給するとともに、前記被処理体側の空間に前記プラズマ化が抑制されるように、前記第1のガスとは異なる第2のガスとを供給し、
プラズマ化された前記第1のガスと、プラズマ化が抑制された前記第2のガスとを接触させて分解反応を起こさせ、該分解反応に基づいて、前記被処理体上に薄膜を成膜することを特徴とする薄膜の製造方法。
【請求項11】
前記被処理体側の空間を、前記プラズマ化が抑制されるプラズマ抑制エリアと、前記プラズマ化がなされるプラズマ抑制エリア外とに区画し、
前記第2のガスを前記プラズマ抑制エリアに供給するとともに、前記第1のガスを前記プラズマ抑制エリア外に供給し、
前記プラズマ抑制エリア外でプラズマ化された前記第1のガスを前記プラズマ抑制エリアに導入して前記第2のガスと接触させることを特徴とする請求項10記載の薄膜の製造方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2013−16705(P2013−16705A)
【公開日】平成25年1月24日(2013.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−149421(P2011−149421)
【出願日】平成23年7月5日(2011.7.5)
【出願人】(000004215)株式会社日本製鋼所 (840)
【Fターム(参考)】