説明

ポリヒドロキシアルキルアルキレンジアミン類のN,N’−ジアルキル誘導体

【課題】 特定構造のアルキレンジアミン類、その新しい製造法、及びそれを含有する組成物の提供。
【解決手段】 水素と遷移金属触媒の存在下でN−(ポリヒドロキシアルキル)アルキルアミンと、ジニトリル、ジアルデヒド又はそのアセタール若しくはヘミアセタールを反応させて、N,N’−ジアルキル−N,N’−ビス(ポリヒドロキシアルキル)アルキレンジアミン類を製造する。該化合物は乳化剤、湿潤剤、発泡剤、レオロジー調整剤、分散剤などとして、洗剤、コーティング配合物、インク配合物、農業用配合物などに使用される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、N,N’−ジアルキル−N,N’−ビス(ポリヒドロキシアルキル)アルキレンジアミン類、その新しい製造法、及び水ベース系において表面張力を低下させるためのその使用に関する。
【背景技術】
【0002】
表面張力の低下は使用中の基材の濡れの向上を意味するため、水の表面張力を低下させる能力は、水ベース配合物の応用において非常に重要である。十分な濡れを必要とする水ベース組成物の例には、コーティング、インク、接着剤、平版印刷用の湿し水、洗浄用組成物、金属加工用流体、農業用配合物、電子機器洗浄用組成物、半導体処理用組成物、パーソナルケア製品、コンクリート混合物、繊維加工用配合物、並びに油田生産物、油及びガス回収用途がある。水ベース系における表面張力の低下は、界面活性剤を添加することによって一般に達成され、系の表面被覆率の向上、欠陥の減少及びより均一な分布をもたらす。系が静止している場合には平衡表面張力(EST)が重要であり、動的表面張力(DST)は、高速適用条件下で表面張力を低下させかつ濡れを与える界面活性剤の能力の尺度を提供する。
【0003】
低使用レベルで低表面張力を達成する界面活性剤の能力、発泡性能に作用する能力、並びに効率的な乳化及び可溶化を提供する能力すべてが、当技術分野において十分認識されているように非常に産業的に重要である。一部の用途では、平衡表面張力の低下効率が重要であるが、他の用途では、平衡表面張力と動的表面張力両方の低下が必要な場合がある。
【0004】
界面活性剤の発泡特性もまた、界面活性剤が適している用途を規定するのに役立つ場合があるため重要である。例えば、泡は、浮遊選鉱、洗浄及びパーソナルケアのような用途に望ましい場合がある。もう一方で、コーティング、グラフィックアート、及び接着剤用途においては、泡は、適用を複雑にして欠陥の形成をもたらす場合があるため望ましくない。このように、発泡特性は、重要な性能パラメータであることがしばしばである。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
界面活性剤が使用される広く様々な用途、及び結果として生じる性能要件の変化によって、これら様々な性能の要求に適合した対応する多数の界面活性剤に関するニーズ、及びそれらを製造するための好適な方法に関するニーズが生じている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
1つの態様においては、本発明は、構造(I)、即ち、
【化1】

による少なくとも1つの化合物であって、式中、xが1〜12の整数であり;R1及びR2がそれぞれ独立して1−オクチル又は1−ブチルであり;並びにR3及びR4が、水素、α−D−グルコピラノシル、β−D−グルコピラノシル、及びβ−D−ガラクトピラノシルからなる群より独立して選択される、少なくとも1つの化合物を含む組成物である。
【0007】
別の態様においては、本発明は、上記構造(I)による化合物であって、式中、xが2〜6の整数であり;R1がメチル又はエチルであり;R2が1−ヘキシル又は1−オクチルであり;並びにR3及びR4の両方がHである、化合物を含む組成物である。
【0008】
さらに別の態様においては、本発明は、上記構造(I)による化合物であって、式中、xが2〜6の整数であり;R1が(CH22OCH3又は(CH23OCH3であり;R2が1−ヘキシル又は1−オクチルであり;並びにR3及びR4の両方がHである、化合物を含む組成物である。
【0009】
さらに別の態様においては、本発明は、上記構造(I)による化合物であって、式中、xが1〜12の整数であり;R1及びR2が、C3−C30の直鎖アルキル、環状アルキル、分枝アルキル、アルケニル、アリール、アルキルアリール、アルコキシアルキル、及びジアルキルアミノアルキルからなる群より独立して選択され;並びにR3及びR4が、水素、α−D−グルコピラノシル、β−D−グルコピラノシル、及びβ−D−ガラクトピラノシルからなる群より独立して選択される、化合物を作製する方法である。この方法は、N−(ポリヒドロキシアルキル)アルキルアミンと、ジニトリル、ジアルデヒド又はそのアセタール若しくはヘミアセタールを接触させることを含む。この接触は、水素及び遷移金属触媒の存在下で行われる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
[N,N’−ジアルキル−N,N’−ビス(ポリヒドロキシアルキル)アルキレンジアミン類]
本発明による組成物は、以下の構造(I)、即ち、
【化2】

による少なくとも1つのN,N’−ジアルキル−N,N’−ビス(ポリヒドロキシアルキル)アルキレンジアミンを含む。
【0011】
構造(I)において、xは1〜12、典型的には2〜4の整数であり、R1及びR2は、C3−C30の直鎖アルキル、環状アルキル、分枝アルキル、アルケニル、アリール、アルキルアリール、アルコキシアルキル、及びジアルキルアミノアルキルからなる群より独立して選択され、並びにR3及びR4は、水素、α−D−グルコピラノシル、β−D−グルコピラノシル、及びβ−D−ガラクトピラノシルからなる群より独立して選択される。
【0012】
任意の種々のポリヒドロキシアルキル基を本発明による化合物に組み入れることができるが、それらは、最も典型的には、還元糖、例えば、グルコースの開鎖形態から得られる。それゆえ、説明を簡単にするため、これらの化合物は、下に記載されるように、N−(1−デオキシグルシチル)アルキルアミンとグリオキサールの反応に、遷移金属触媒と水素を用いた還元を組み合わせて得られるようなグルコース誘導体として本明細書で例示される。したがって、本発明によって作製される例示的なグルコース誘導化合物は、以下の構造、即ち、
【化3】

を有し、式中、R1、R2及びxは構造(I)に関して上で規定された通りであり、R3及びR4は両方とも水素である。
【0013】
グリオキサール又は別のジアルデヒドが反応するN−(ポリヒドロキシアルキル)アルキルアミンは、ポリヒドロキシアルキル化合物、例えば、グルコース又は他の好適な単糖若しくは二糖を所望のアミンで還元アミノ化することにより調製することができる。これを行う1つの方法は、米国特許第5,449,770号の実施例1において示されており、そこでは、グルコースをR1−NH2(式中、R1は、例えば、メチルであることができる)と反応させて、以下の構造、即ち、
【化4】

によるN−(ポリヒドロキシアルキル)アルキルアミン(式中、R3はHである)を与えている。
【0014】
1の代わりにR2及びR3の代わりにR4を有する対応する化合物を同様に作製することができる。一般に、本発明によるN,N’−ジアルキル−N,N’−ビス(ポリヒドロキシアルキル)アルキレンジアミン類を作製するのに有用なN−(ポリヒドロキシアルキル)アルキルアミン類のポリヒドロキシアルキル基は、グルコース、フルクトース、マルトース、ラクトース、ガラクトース、マンノース、及びキシロースからなる還元糖の群の任意のものから得ることができる。典型的には、還元糖はアルドースであるが、ケトースも使用することができ、単糖と二糖の両方を使用することができ、二糖の好都合な供給源には、高デキストロースコーンシロップ、高フルクトースコーンシロップ、及び高マルトースコーンシロップがある。他の有用なポリヒドロキシアルキル基は、グリセルアルデヒドから得ることができる。1つの実施態様においては、ポリヒドロキシアルキル基はグルコースから得ることができ、即ち、この基は1−デオキシグルシチルである。
【0015】
還元糖又は他のポリヒドロキシアルキル基前駆体が反応するアルキルアミンは、以下の式で表すことができる。
【化5】

【0016】
基Rは、3〜約30個の炭素原子、典型的には約4〜約18個の炭素原子、より典型的には約4〜約14個の炭素原子を有する、直鎖、環状又は分枝のアルキル、アルコキシアルキル、ジアルキルアミノアルキル、アルケニル、アリール又はアルキルアリール基であることができる。第一アミンの例には、プロピルアミン、イソプロピルアミン、n−ブチルアミン、イソブチルアミン、n−ペンチルアミン、イソペンチルアミン、シクロペンチルアミン、n−ヘキシルアミン、シクロヘキシルアミン、n−ヘプチルアミン、n−オクチルアミン、2−エチルヘキシルアミン、イソオクチルアミン、n−デシルアミン、n−ドデシルアミン、3−メトキシプロピルアミン、3−エトキシプロピルアミン、3−n−プロポキシプロピルアミン、3−イソプロポキシプロピルアミン、3−n−ヘキシルオキシプロピルアミン、3−イソヘキシルオキシプロピルアミン、3−[(2−エチル)ヘキシルオキシ]プロピルアミン、3−イソデシルオキシプロピルアミン、3−イソトリデシルオキシプロピルアミン、3−ドデシルオキシプロピルアミン、3−イソドデシルオキシプロピルアミン、3−テトラデシルオキシプロピルアミン、混合オクチルオキシ−デシルオキシプロピルアミン類(ウィスコンシン州、ミルトンのTomah Products社から入手できるTomah PA−1214)、混合テトラデシルオキシ−ドデシルオキシプロピルアミン類(Tomah PA−1816)、混合ドデシルオキシ−テトラデシルオキシプロピルアミン類(Tomah PA−1618)、混合ドデシルオキシ−ペンタデシルオキシプロピルアミン類(Tomah PA−19)、混合オクタデシルオキシ−ヘキサデシルオキシプロピルアミン類(Tomah PA−2220)、3−ジメチルアミノプロピルアミン、3−ジエチルアミノプロピルアミン、3−ジ−n−ヘキシルプロピルアミン、ステアリルアミン、及び天然源から得られるアミン(例えば、ココアルキルアミン、オレイルアミン及び牛脂アミン)の混合物があるがそれらに限定されない。より好ましいアミンは、ブチルアミン、n−ヘキシルアミン、n−オクチルアミン、及びデシルアミンである。本明細書において用いられる場合には、「N−(1−デオキシグルシチル)アルキルアミン」及び「N−(ポリヒドロキシアルキル)アルキルアミン」という用語で用いられる「アルキルアミン」の意味は、単純アルキルアミンと置換アルキルアミンの両方を含み、その限定的でない例はこの段落の前の部分に記載されている。
【0017】
化合物(I)の結合基(CH2xは、x=1からx=12まで変化することができる。1つの特に好適な結合基は2−炭素単位(x=2)である。これは、所望のN−(ポリヒドロキシアルキル)アルキルアミン(類)をグリオキサールと反応させることによって最も典型的に得られるが、後で記載するように機能的等価物を使用することもできる。3−炭素結合基は、所望のN−(ポリヒドロキシアルキル)アルキルアミン(類)をマロンアルデヒドと反応させることによって得ることができ、一方、所望のN−(ポリヒドロキシアルキル)アルキルアミン(類)を2,5−ジメトキシテトラヒドロフランと反応させることによって、4−炭素結合基(x=4)を有する化合物(I)が得られる。
【0018】
本発明の例示的な化合物(I)は、N,N’−ジブチル−N,N’−ビス(1−デオキシグルシチル)−1,2−ジアミノエタン;N,N’−ジヘキシル−N,N’−ビス(1−デオキシグルシチル)−1,2−ジアミノエタン;N,N’−ジオクチル−N,N’−ビス(1−デオキシグルシチル)−1,2−ジアミノエタン;及びN−ブチル−N’−オクチル−N,N’−ビス(1−デオキシグルシチル)−1,2−ジアミノエタンである。本発明による他の例示的な界面活性剤は、化合物(I)の混合物、例えば、N,N’−ジブチル−N,N’−ビス(1−デオキシグルシチル)−1,2−ジアミノエタン;N,N’−ジオクチル−N,N’−ビス(1−デオキシグルシチル)−1,2−ジアミノエタン;及びN−ブチル−N’−オクチル−N,N’−ビス(1−デオキシグルシチル)−1,2−ジアミノエタンの混合物、特には、これらのそれぞれおよそ1:1:2のモル混合物である。このような混合物は、次に記載される方法により、等モル量のN−オクチル−D−グルカミンとN−ブチル−D−グルカミンをグリオキサールと反応させることによって調製することができる。
【0019】
[N,N’−ジアルキル−N,N’−ビス(ポリヒドロキシアルキル)アルキレンジアミン類の調製]
1つの例示的な調製手順においては、本発明による化合物は、典型的には溶媒の存在下において、好都合な反応速度を与えるほど十分高くかつ多量の副産物の形成を防ぐほど十分低い温度でN−(ポリヒドロキシアルキル)アルキルアミンをジアルデヒドと反応させることによって調製することができる。反応温度は、約50℃〜約175℃、典型的には約50℃〜約150℃の範囲、より典型的には約60℃〜約125℃の範囲であることができる。最適条件は、反応器の構成、用いられる溶媒、及び他の変量に左右される。N−(ポリヒドロキシアルキル)アルキルアミン類は、Shumateらの米国特許第5,449,770号明細書に記載されるような手順によって調製することができる。
【0020】
対応する化合物(I)を形成するためのN−(ポリヒドロキシアルキル)アルキルアミン(類)とジアルデヒドの結合には、触媒と水素の存在が必要である。触媒は、典型的には鉄、コバルト、ニッケル、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、イリジウム又は白金からなる群より選択される金属である。典型的には、触媒は、ルテニウム、ロジウム、パラジウム又は白金からなる群より選択され、より典型的にはパラジウム又は白金のいずれかである。生産性を最大にするため、触媒は担体上に典型的に分散される。このような担体は、有機物、例えば、カーボン又は無機物であることができる。無機物のクラスの担体の例には、アルミナ、シリカ、チタニア、マグネシア、ジルコニア、及びアルミノケイ酸塩がある。触媒のための好ましい担体はカーボンである。
【0021】
水素圧は、約250psig〜1500psig、典型的には約500psig〜約1250psig、より典型的には約750psig〜約1100psigの範囲であることができる。この反応には種々の溶媒を使用することができる。好適な溶媒及び溶媒混合物の例には、メタノール、エタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、水/メタノール、水/エタノール、及びこれらの混合物があるがそれらに限定されない。最も好ましい溶媒の組み合わせは水/メタノールである。
【0022】
ジアルデヒドの機能的等価物、例えば、ビス(ジメチルアセタール)化合物又はジニトリルを使用することもできる。したがって、例えば、グリオキサールビス(ジメチルアセタール)(又は他のアセタール、例えば、ジエチルなど)又は対応するヘミアセタール、又はシアンによって2−炭素結合基を与えることができ、一方、マロンアルデヒド、対応するビス(ジメチルアセタール)又はマロノニトリルによって3−炭素結合を与えることができる。
【0023】
[界面活性剤性能]
構造(I)による化合物の性能特性は、ペンダントポリヒドロキシアルキル基の構造の適切な改質、ジアミン鎖の長さx、並びにジアミン上の置換基R1及びR2の選択によって特定の適用に関して最適化することができる。これら因子間の相互作用は複雑であるため、特定の適用に関するこれら変量の最適な組み合わせを見出すのに一定の日常的実験が必要とされる場合がある。これらの化合物は、乳化剤又は洗剤、湿潤剤、発泡剤、消泡剤、レオロジー調整剤又は結合性増粘剤、分散剤などとして有用な場合がある。したがって、これらは、例えば、コーティング、インク、接着剤、農業用配合物、湿し水、フォトレジスト剥離剤/現像剤、メソポーラス材料の型取り剤、石けん、シャンプー、他の洗浄用組成物などの用途、及びセメント混合配合物において使用を見出すことができる。これらの化合物はまた、油田用途、例えば、油回収、破壊プロセス、刺激プロセス、掘削作業、及びセメンチング作業の向上、並びに種々の湿式処理織物操作、例えば、繊維の染色、繊維精練、及びキヤー精錬において使用を見出すことができる。
【0024】
本明細書で用いられる「水ベース」、「水媒介」、「水性」又は「水性媒体」という用語は、典型的には少なくとも10wt%、より典型的には50wt%、最も典型的には95wt%の水を含む溶媒又は液体分散媒体を意味する。この媒体は本質的には水のみでもよい。
【0025】
[N,N’−ジアルキル−N,N’−ビス(ポリヒドロキシアルキル)アルキレンジアミン類の使用]
本発明は、上で開示した構造(I)による界面活性剤の有効量を含む水性組成物であって、優れた濡れを与える組成物をさらに提供する。有機種及び/又は無機種を含有する場合のある水ベース組成物において十分な濡れを与えるのに適した有効量は、配合物の合計質量に基づいて、0.001wt%〜45wt%、典型的には0.005wt%〜25wt%、最も典型的には0.01wt%〜10wt%の範囲であることができる。最も有利な量は、系における泡及び濡れの寄与種に応じて用途ごとに変化する。本発明による構造(I)の化合物の限定的でない使用例を次に概説する。
【0026】
本発明の界面活性剤を含む典型的な水ベースのコーティング配合物は、水性媒体中に30〜80%の固形分で以下の成分を含むことができる。
【0027】
【表1】

【0028】
本発明の界面活性剤を含む典型的な水ベースのインク組成物は、水性媒体中に20〜60%の固形分で以下の成分を含むことができる。
【0029】
【表2】

【0030】
本発明の界面活性剤を含む典型的な水ベースの農業用組成物は、水性媒体中に以下の成分を0.01〜80%で含むことができる。
【0031】
【表3】

【0032】
本発明の界面活性剤を含む平版印刷用の典型的な湿し水組成物は、以下の成分を含むことができる。
【0033】
【表4】

【0034】
本発明の界面活性剤を含む典型的な硬質表面洗浄剤は、以下の成分を含むことができる。
【0035】
【表5】

【0036】
本発明の界面活性剤を含む典型的な水ベースのフォトレジスト現像剤又は電子機器洗浄用組成物は、以下の成分を含むことができる。
【0037】
【表6】

【0038】
本発明の界面活性剤を含む典型的な金属加工用流体は、以下の成分を含むことができる。
【0039】
【表7】

【0040】
パーソナルケア製品、家庭用及び産業用/公共施設用洗浄の市場の製品において、多くの異なる界面活性剤含有配合物が使用される。本発明による界面活性剤を、これらの任意の配合物に使用して1つ又は複数の利益を提供することができ、界面活性剤の具体的な使用はその構造に依存している。これらの市場で使用される典型的な配合物は、Louis Ho Tan Taiの書籍、Formulating Detergents and personal Care Products:A Complete Guide to Product Development(イリノイ州、シャンペーン:AOCS Press、2000)及び当業者に公知の他の書籍、文献、製品処方集などに記載されている。幾つかの代表的な配合物例が、本発明において例示として記載される。例えば、家庭用自動食器洗浄又は産業用及び公共施設用食器洗浄に使用されるすすぎ補助剤は、以下に記載される成分を有することができる。
【0041】
【表8】

【0042】
【表9】

【0043】
【表10】

【0044】
【表11】

【0045】
【表12】

【0046】
【表13】

【0047】
【表14】

【0048】
【表15】

【0049】
[セメント混合配合物]
セメント混合物は、幾つかのタイプ、例えば、超可塑性、可塑性、加速性、硬化遅延性、空気連行性、耐水性、腐食抑制性、及び他のタイプのうち任意のものであることができる。このような混合物は、コンクリート、モルタルなどのようなセメント系製品の加工性、沈降特性及び最終特性(強度、不浸透性、耐久性、及び霜/凍結防止塩耐性など)を制御するのに使用される。混合物は、水溶液として通常提供され、配合中のある時点でセメント系に加えることができる。本発明の界面活性剤は、このような系で使用されると、濡れ、泡制御、流動性及び平滑性、水分の低減、腐食抑制、高イオン強度耐性、適合性、及び他の利点を提供することができる。
【0050】
【表16】

【0051】
本発明は、以下の例によりさらに例示されるが、これらは、本発明の方法及び組成物を例示するためのものであって、限定するものではない。
【実施例】
【0052】
例1〜7は、触媒の存在下、高温高圧の水素で、1−デオキシ−1−(アルキルアミノ)−D−グルシトール又は1−デオキシ−1−(アルキルアミノ)−D−グルシトール類の混合物とグリオキサールをカップリングすることにより、本発明による化合物を調製する1つの特に好適な方法を例示する。この変換反応は以下の式で表される。
【化6】

例示のため、N,N’−ジオクチル−N,N’−ビス(1−デオキシグルシチル)エチレンジアミンの調製が用いられる。
【0053】
[例1〜7]
1−デオキシ−1−(オクチルアミノ)−D−グルシトール2.93g(0.01モル)、40%グリオキサール水溶液0.70g(0.00483モル;0.966当量)、5%パラジウム担持カーボン0.14g(乾燥質量ベース)及びメタノール30gを、100mlのパールステンレス鋼反応器に充填した。反応器を閉じ、窒素と水素でパージし、水素で約600psigに加圧した。混合物を攪拌(1000rpm)しながら125℃に加熱し、水素で1000psigに加圧した。この温度で反応を維持し、水素の供給を調節して圧力を1000psigに維持した。12時間後、混合物を室温まで冷却し、内部0.5μ焼結金属元素により濾過して反応器から生成物を回収した。トリメチルシリル化後、ガスクロマトグラフィ(GC)及びガスクロマトグラフィ/質量分析(GC−MS)を用いた生成物の分析により、それは、85%のN,N’−ジオクチル−N,N’−ビス(1−デオキシグルシチル)−エチレンジアミン、6%のN−オクチル−N−(2−ヒドロキシエチル)−1−デオキシグルシチルアミン、2%の未変化1−デオキシ−1−(オクチルアミノ)−D−グルシトール、及び少量の副産物からなることが示された。さらにN,N’−ビス(1−デオキシグルシチル)アルキレンジアミン類を調製し、上記と同様の手順によって特性調査した。調製したN,N’−ビス(1−デオキシグルシチル)アルキレンジアミン類の一部とその名称を表1に示す。
【0054】
[例8]
本例は、本発明の別の態様、α−D−グルコース以外の糖を使用して1−デオキシグルシチル以外の炭水化物基を有する界面活性剤を調製する能力を例示する。
【0055】
例1〜7の手順に従ったが、先に使用した1−デオキシ−1−(アミノアルキル)グルシトールの代わりに1−デオキシ−1−(アミノオクチル)−D−マルチトール4.55g(0.01モル)を用いた。結果として得られるジェミニ界面活性剤が高分子量であるため、トリメチルシリル化後のGC又はGC−MSによる分析はうまくいかなかった。しかしながら、MALD/I MSによる分析により、所望のN,N’−ジオクチル−N,N’−ビス(デオキシマルチトール)−エチレンジアミンは、より少量のN−オクチル−N−(2−ヒドロキシエチル)−1−デオキシマルチトールとともに形成したことが示された。
【0056】
【表17】

【0057】
表1の注釈:
a)この生成物は例1の手順に従って作製したが、結合反応においてはアミン成分として1−デオキシ−1−(ブチルアミノ)−D−グルシトールと1−デオキシ−1−(オクチルアミノ)−D−グルシトールの等モル混合物を使用した。生成物は、モル比ベースで、N,N’−ジブチル−N,N’−ビス(1−デオキシグルシチル)エチレンジアミン、N,N’−ジオクチル−N,N’−ビス(1−デオキシグルシチル)エチレンジアミン、及びN−ブチル−N’−オクチル−N,N’−ビス(1−デオキシグルシチル)エチレンジアミンがそれぞれおよそ1:1:2の混合物からなっていた。3つのジアミン混合物は分離しなかったが、調製したときに特性調査し試験した。
【0058】
[例9〜13]
これらの例は、本発明の別の態様、結合基としてジニトリルを使用して本発明のジェミニ界面活性剤を調製する能力を例示する。この変換反応は以下の式で表される。
【化7】

【0059】
1−デオキシ−1−(メチルアミノ)−D−グルシトール8.19g(0.042モル;2.1当量)、アジポニトリル2.16g(0.02モル;1.0当量)、5%パラジウム担持カーボン0.52g(乾燥質量ベース)及び2−プロパノール40mlを、100mlのパールステンレス鋼反応器に充填した。反応器を閉じ、窒素と水素でパージし、水素で約600psigに加圧した。混合物を攪拌(1000rpm)しながら150℃に加熱し、水素で1250psigに加圧した。この温度で反応を維持し、水素の供給を調節して圧力を1250psigに維持した。5時間後、混合物を室温まで冷却し、内部0.5μm焼結金属元素により濾過して反応器から生成物を回収した。トリメチルシリル化後、GC及びGC−MSを用いた生成物の分析により、それは、62%のN,N’−ジメチル−N,N’−ビス(1−デオキシグルシチル)ヘキサメチレンジアミン、2%のN−メチル−N−(5−シアノペンチル)−1−デオキシグルシチルアミン、29%の未変化1−デオキシ−1−(オクチルアミノ)−D−グルシトール、及び少量の副産物からなることが示された。さらにN,N’−ジアルキル−N,N’−ビス(1−デオキシグルシチル)アルキレンジアミン類を調製し、上記と同様の手順によって特性調査した。調製したN,N’−ジアルキル−N,N’−ビス(1−デオキシグルシチル)アルキレンジアミン類の一部とその名称を表2に示す。
【0060】
【表18】

【0061】
[例14〜40]
白金のウィルヘルミ・プレートを有するKruss K−12表面張力計を用いて、定温循環浴により温度を25±1℃に維持して平衡表面張力を測定した。報告される結果は、10分間で10回測定した測定値の平均(標準偏差が0.01mN/m未満)である。多くの例において、溶液が平衡に達するのに数時間を要した。この平衡表面張力データを、本発明による化合物のモノアミン類似体(即ち、N−アルキルグルカミン類)の平衡表面張力データとともに表3に示す。
【0062】
【表19】

【0063】
低い平衡表面張力値の実用的な利点には、配合物の表面張力を低下させる(その濡れ特性を向上させる)のに必要とされる界面活性剤がより少なく、エマルジョンを安定化させるのに必要とされる界面活性剤がより少ないということがある。表3に示すように、本発明による化合物は低い平衡表面張力値を示し、これによって所与の表面を濡らす配合物の能力を向上させることができる。
【0064】
[例21〜27]
本発明の界面活性剤はまた、動的表面張力を効果的に低下させる。本発明の界面活性剤の蒸留水及び脱イオン水における溶液を調製した。それらの動的表面張力は、Langmuir 1986,2,428−432で記載されている最大泡圧法を用いて測定した。これらのデータを表4に与える。これらのデータは、高表面生成率による平衡に近い条件(0.1気泡/秒)又は動的条件(10気泡/秒)での界面活性剤性能に関する情報を与える。実用的な意味において、高表面生成率は、噴霧若しくはローラー適用コーティングのような迅速なプロセス、高速印刷操作、又は農業用製品若しくは洗浄剤の迅速な適用に関連している。
【0065】
【表20】

【0066】
表4のデータは、本発明による界面活性剤化合物によって、幅広い動的表面張力の低下値を得ることができることを示している。そうして、強い(低気泡速度での例24〜26)及び中程度から低い(例22)表面張力の低下を得ることができる。配合物と湿潤化される基材の適用形態(産業用コーティングのブラシ適用、産業用洗浄剤の噴霧適用、接着剤のローラー適用)に応じて、これらの界面活性剤により与えられる表面張力の低下値の範囲は、幾つかの商業的に有用な用途をカバーする。
【0067】
[例28〜34]
表3の界面活性剤の発泡特性を、0.01wt%及び0.1wt%の界面活性剤水溶液についてロスマイルス泡試験(Am.Soc.For Testing Materials,Method D1173−53,ペンシルバニア州,フィラデルフィア,1953)を若干変更したものを用いて評価した。本発明の界面活性剤並びにモノアミン類似体の泡データを表5に示す。
【0068】
【表21】

【0069】
本発明による化合物のモノアミン類似体について、疎水性長さの増加とともに、初期の泡高さが低下するか又は変化しないことを観察した(例28、30及び32)。対照的に、本発明の化合物は、アルキル鎖長さの増加とともに、初期の泡高さと泡安定性が向上することを示した(例29、31、33、及び34)。このように、アミンに結合したアルキル基に依存して、ある範囲の泡性能を得ることができる。コーティング、インク及び接着剤のような用途では、少ない泡又は速やかに消える泡が必要とされるが、他の用途、例えば、洗浄、パーソナルケア、又は浮遊選鉱では、制御された量の泡が存在して持続することが必要とされる。それゆえ、本発明の界面活性剤は、広範囲の用途に関して有用であることができる。
【0070】
[例35]
幾つかのN,N’−ジアルキル−N,N’−ビス(1−デオキシグルシチル)エチレンジアミン類の水溶解度を比較して以下の結果を得た。
【0071】
【表22】

【0072】
化合物の比はモルベースである。1は可溶性であり3は混合物であるが、2の極端な不溶性は、混合物3の溶解性が低いことを主張する。対照実験(4)は、1と2の1:1モル混合物の水における溶解度を評価した。この混合物は、3と同じ数のブチル基とオクチル基を有していたが、N−ブチル−N’−オクチル−N,N’−ビス(1−デオキシグルシチル)エチレンジアミンを全く含有せず、水における溶解度がはるかに低かった。62wt%で溶解が困難であり(85〜90℃で1時間以上の後にのみ)、より高濃度では不溶性であり、一方で、組成物3は、約0.25wt%まで可溶性であり(示されず)、約0.25〜0.5wt%で乳白色の外観を与え、その後、90wt%を超えるレベルに対して可溶性であった。このような配合物の高い溶解度は、その濃縮溶液を扱うことができるため有用な場合があるが、他の高度に可溶性の組成物(100%DBDGEDA)よりも高い界面活性効率を有することが予測される。このように、約5〜15wt%の組成物1を必要とする配合物は、同じ結果を達成するのに、約1wt%又はおそらくそれ以下の組成物3を必要とするのみであることができる。
【0073】
同様の溶解度挙動が生じ得る他の組成物もまた、より短いアルキル基とより長い(任意選択で官能基化された)アルキル基の混合物を組み込むことができる。具体例を以下の構造及び表に示す。R1及びR2が異なる長さL1とL2(及び/又は異なる組成、例えば、官能基含量が異なる)である界面活性剤を使用する組成物は、2つのL1基、2つのL2基、及び1つのL1基と1つのL2基をそれぞれおよそ1:1:2の比で含有する化合物を有する混合物を組み込むことができる。例えば、上記組成物3では、L1がブチル、L2がオクチルである。このように、これらは、1:1:2混合物を形成するように分布した等モル量のL1とL2を全体として有することができ、それゆえ、複合L1/L2生成物の量は混合物の50モル%を構成する。このような混合物は、等モル量のL1基とL2基を含有する反応混合物を用いることによって典型的に得られる。しかしながら、L1又はL2のいずれかがより多い反応混合物を使用することもでき、結果として、その成分の比率がより高く、L1とL2を1つずつ含有する分子が50モル%未満である組成物が得られる。このような混合組成物も同様に本発明に従って意図され、例えば、10モル%よりも多く50モル%よりも少ない複合L1/L2分子、より典型的には25モル%よりも多く50モル%よりも少ない複合L1/L2分子を含有することができる。
【化8】

【0074】
【表23】

【0075】
[例36〜41]
動的表面張力、平衡表面張力及び泡は、界面活性剤の洗浄能力に影響を与えるが、他の因子も同様に洗浄性能に影響を与える。したがって、界面活性剤の洗浄能力を決定するための1つの優れた方法は、基材に汚れを適用し、所定の界面活性剤と幾つかの基準の界面活性剤でこの基材を洗浄して、汚れ除去の割合の観点で相対的な洗浄効率を比較することである。このような試験を行うための1つの方法は、ASTM D4488−95,「Standard Guide for Testing Cleaning Performance of Products Intended for Use on Resilient Flooring and Washable Walls」に記載されている。微粒子及び油性汚染/ビニルタイル試験法に従ってこの方法を行い、洗浄性能は、洗浄前後の白色ビニル組成物タイルの平均反射率値(5つの指示値/タイル)を読み取ることによって評価した(表6)。反射率値が高くなるにつれて、界面活性剤の洗浄能力が良くなる。
【0076】
本発明による界面活性剤の洗浄性能を、2つの基準の界面活性剤、Neodol 23−6.5(テキサス州、ヒューストンのShell Chemicalから入手できる)及びAG 6202(イリノイ州、マクックのAkzo Nobelから入手できる)、それぞれアルコールエトキシレート及びアルキルポリグルコシド界面活性剤の洗浄性能と並べて比較した。界面活性剤なしでのスポンジ研磨の作用を示すため、ブランク試料(界面活性剤なし)との比較も行った。
【0077】
【表24】

【0078】
表6に示すように、本発明のすべての界面活性剤は、基準のアルキルポリグルコシドAG 6202よりも高い汚れ除去%により優れた洗浄性能を示し、本発明の幾つかの界面活性剤は、基準製品Neodol 23−6.5の洗浄性能を上回った。
【0079】
本発明による界面活性剤は、乳化剤、湿潤剤、発泡剤、消泡剤、レオロジー調整剤又は結合性増粘剤、分散剤などとして、特には洗剤として相当な有用性を見出すことができる。したがって、これらの化合物は、コーティング、インク、接着剤、農業用配合物、湿し水、フォトレジスト剥離剤/現像剤、メソポーラス材料の型取り剤、石けん、シャンプー、硬質表面洗浄、他の洗浄組成物などの用途、及びセメント混合配合物において有用である。これらの化合物はまた、油田用途、例えば、油回収、破壊プロセス、刺激プロセス、掘削作業、及びセメンチング作業の向上、並びに種々の湿式処理織物操作、例えば、繊維の染色、繊維精練、及びキヤー精錬において使用を見出すであろう。
【0080】
本発明は、具体的な実施態様を参照して本明細書で例示されかつ説明されるが、特許請求の範囲は、これらの示された詳細に限定されるものではない。むしろ、これらの詳細において種々の変更が当業者によりなされることが期待され、これらの変更は、依然として特許請求の範囲の趣旨及び範囲内にあることができ、特許請求の範囲は、それに応じて解釈されるものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
構造(I)、即ち、
【化1】

による少なくとも1つの化合物であって、式中、xが1〜12の整数であり;R1及びR2がそれぞれ独立して1−オクチル又は1−ブチルであり;並びにR3及びR4が、水素、α−D−グルコピラノシル、β−D−グルコピラノシル、及びβ−D−ガラクトピラノシルからなる群より独立して選択される、少なくとも1つの化合物を含む組成物。
【請求項2】
前記R1及びR2の両方が1−オクチルである、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記R1が1−オクチルであり、前記R2が1−ブチルである、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
前記少なくとも1つの化合物が、
(a)前記R1が1−ブチルであり、前記R2が1−オクチルである第1化合物と;
(b)前記R1及びR2の両方が1−オクチルである第2化合物と;
を含み、前記組成物が、
(c)前記R1及びR2の両方が1−ブチルである構造(I)による第3化合物
をさらに含み、該第2、第3及び第1化合物がそれぞれ約1:1:2のモル比である、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
前記xが2〜4の整数である、請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
前記少なくとも1つの化合物が、N,N’−ジオクチル−N,N’−ビス(1−デオキシグルシチル)−1,2−ジアミノエタンである、請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
前記少なくとも1つの化合物が、N−ブチル−N’−オクチル−N,N’−ビス(1−デオキシグルシチル)−1,2−ジアミノエタンである、請求項1に記載の組成物。
【請求項8】
構造(I)、即ち、
【化2】

による少なくとも1つの化合物であって、式中、xが2〜6の整数であり;R1がメチル又はエチルであり;R2が1−ヘキシル又は1−オクチルであり;並びにR3及びR4の両方がHである、少なくとも1つの化合物を含む組成物。
【請求項9】
構造(I)、即ち、
【化3】

による少なくとも1つの化合物であって、式中、xが2〜6の整数であり;R1が(CH22OCH3又は(CH23OCH3であり;R2が1−ヘキシル又は1−オクチルであり;並びにR3及びR4の両方がHである、少なくとも1つの化合物を含む組成物。
【請求項10】
構造(I)、即ち、
【化4】

(式中、xが1〜12の整数であり;R1及びR2が、C3−C30の直鎖アルキル、環状アルキル、分枝アルキル、アルケニル、アリール、アルキルアリール、アルコキシアルキル、及びジアルキルアミノアルキルからなる群より独立して選択され;並びにR3及びR4が、水素、α−D−グルコピラノシル、β−D−グルコピラノシル、及びβ−D−ガラクトピラノシルからなる群より独立して選択される)による化合物を作製する方法であって、
N−(ポリヒドロキシアルキル)アルキルアミンと、ジニトリル、ジアルデヒド又はそのアセタール若しくはヘミアセタールを接触させることを含み、この接触が、水素及び遷移金属触媒の存在下で行われる、上記化合物を作製する方法。
【請求項11】
前記ジアルデヒド又はそのアセタール若しくはヘミアセタールがジアルデヒドである、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記R1及びR2がそれぞれ独立して1−オクチル又は1−ブチルである、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
前記R1及びR2の両方が1−オクチルである、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記R1が1−オクチルであり、前記R2が1−ブチルである、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
前記xが2〜4の整数である、請求項10に記載の方法。
【請求項16】
前記xが2であり、前記R3及びR4の両方が水素である、請求項12に記載の方法。
【請求項17】
前記化合物が、N,N’−ジブチル−N,N’−ビス(1−デオキシグルシチル)−1,2−ジアミノエタンである、請求項10に記載の方法。
【請求項18】
前記化合物が、N,N’−ジオクチル−N,N’−ビス(1−デオキシグルシチル)−1,2−ジアミノエタンである、請求項10に記載の方法。
【請求項19】
前記化合物が、N−ブチル−N’−オクチル−N,N’−ビス(1−デオキシグルシチル)−1,2−ジアミノエタンである、請求項10に記載の方法。
【請求項20】
前記化合物が、N,N’−ジヘキシル−N,N’−ビス(1−デオキシグルシチル)−1,2−ジアミノエタンである、請求項10に記載の方法。
【請求項21】
前記触媒が、鉄、コバルト、ニッケル、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、イリジウム及び白金からなる群より選択される、請求項10に記載の方法。
【請求項22】
前記触媒が、ルテニウム、ロジウム、パラジウム及び白金からなる群より選択される、請求項10に記載の方法。
【請求項23】
前記触媒が、パラジウム又は白金である、請求項10に記載の方法。
【請求項24】
前記触媒が、カーボン上に担持される、請求項10に記載の方法。
【請求項25】
前記接触が、約50℃〜約175℃の温度で実施される、請求項10に記載の方法。
【請求項26】
前記接触が、溶媒の存在下で実施される、請求項10に記載の方法。
【請求項27】
前記溶媒が、メタノール、エタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、水/メタノール混合物、水/エタノール混合物、又はこれらの任意の組み合わせを含む、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記溶媒が、水/メタノール混合物を含む、請求項26に記載の方法。
【請求項29】
水と、合計で0.1〜99wt%の、N,N’−ジアルキル−N,N’−ビス(ポリヒドロキシアルキル)アルキレンジアミン類以外のアニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、溶媒、及びアルカリ金属水酸化物からなる群より選択された1つ又は複数の成分とを含む硬質表面洗浄用配合物において、0.001〜25wt%の請求項1の組成物を該配合物中に含んでなる、上記硬質表面洗浄用配合物の改良物。
【請求項30】
5〜99.9wt%の水媒介性、水分散性又は水溶性樹脂と、合計で0.01〜10wt%の、N,N’−ジアルキル−N,N’−ビス(ポリヒドロキシアルキル)アルキレンジアミン類以外の界面活性剤、湿潤剤、流動剤、及び平滑剤からなる群より選択された1つ又は複数の他の添加剤とを含むコーティング配合物において、0.001〜5wt%の請求項1の組成物を該配合物中に含んでなる、上記コーティング配合物の改良物。
【請求項31】
1〜50wt%の顔料と、5〜99.9wt%の水媒介性、水分散性又は水溶性樹脂と、0.01〜10wt%のN,N’−ジアルキル−N,N’−ビス(ポリヒドロキシアルキル)アルキレンジアミン以外の界面活性剤又は湿潤剤と、合計で0.01〜10wt%の、加工助剤、消泡剤及び可溶化剤からなる群より選択された1つ又は複数の他の添加剤とを含むインク配合物において、0.001〜5wt%の請求項1の組成物を該配合物中に含んでなる、上記インク配合物の改良物。
【請求項32】
0.1〜50wt%の農薬又は植物成長改質剤と、0.01〜10wt%のN,N’−ジアルキル−N,N’−ビス(ポリヒドロキシアルキル)アルキレンジアミン以外の界面活性剤又は湿潤剤とを含む農業用配合物において、0.001〜5wt%の請求項1の組成物を該配合物中に含んでなる、上記農業用配合物の改良物。
【請求項33】
0.05〜10wt%の水溶性膜形成巨大分子と、1〜25wt%の水溶性のアルコール、グリコール又はポリオールと、0.01〜20wt%の水溶性の酸又はその塩と、30〜98.939wt%の水とを含む平版印刷用の湿し水配合物において、0.001〜5wt%の請求項1の組成物を該配合物中に含んでなる、上記平版印刷用の湿し水配合物の改良物。
【請求項34】
0.1〜3wt%のテトラメチルアンモニウムヒドロキシドと、92.5〜99.9wt%の水とを含むフォトレジスト現像剤配合物において、0.001〜5wt%の請求項1の組成物を該配合物中に含んでなる、上記フォトレジスト現像剤配合物の改良物。
【請求項35】
2.5〜10wt%の乳化剤と、10〜25wt%のアルカノールアミンと、2〜10wt%の有機一塩基酸と、1〜5wt%の殺生物剤と、40〜84.499wt%の水とを含む合成金属加工用流体配合物において、0.001〜5wt%の請求項1の組成物を該配合物中に含んでなる、上記合成金属加工用流体配合物の改良物。
【請求項36】
水と、5〜20wt%のキレート剤とを含むすすぎ補助剤配合物において、0.001〜45wt%の請求項1の組成物を該配合物中に含んでなる、上記すすぎ補助剤配合物の改良物。
【請求項37】
0.1〜50wt%の1つ又は複数の洗剤界面活性剤と、25〜60wt%のビルダー又はコビルダーとを含む粉末洗濯用洗剤配合物において、0.001〜15wt%の請求項1の組成物を該配合物中に含んでなる、上記粉末洗濯用洗剤配合物の改良物。
【請求項38】
0.1〜65wt%の1つ又は複数の洗剤界面活性剤と、3〜36wt%のビルダー又はコビルダーと、合計で0.1〜5wt%の、芳香剤及び染料からなる群より選択された1つ又は複数の他の添加剤と、合計で1〜75wt%の、水及び他の溶媒からなる群より選択された1つ又は複数の他の添加剤とを含む水性液体洗濯用洗剤配合物において、0.001〜30wt%の請求項1の組成物を該配合物中に含んでなる、上記水性液体洗濯用洗剤配合物の改良物。
【請求項39】
0.1〜42wt%の1つ又は複数の洗剤界面活性剤と、25〜60wt%のビルダー又はコビルダーと、0.5〜5wt%の再汚染防止補助剤とを含む非水性洗濯用洗剤配合物において、0.001〜30wt%の請求項1の組成物を該配合物中に含んでなる、上記非水性洗濯用洗剤配合物の改良物。
【請求項40】
水と、0.01〜2wt%の再汚染防止補助剤とを含む産業用及び公共施設用洗濯用洗剤配合物において、0.001〜20wt%の請求項1の組成物を該配合物中に含んでなる、上記産業用及び公共施設用洗濯用洗剤配合物の改良物。
【請求項41】
水と、0.1〜30wt%のアニオン性界面活性剤とを含むシャンプー又は液体ボディウォッシュ配合物において、0.001〜5wt%の請求項1の組成物を該配合物中に含んでなる、上記シャンプー又は液体ボディウォッシュ配合物の改良物。
【請求項42】
水と、0.1〜10wt%のN,N’−ジアルキル−N,N’−ビス(ポリヒドロキシアルキル)アルキレンジアミン以外の非イオン性界面活性剤とを含むヘアコンディショナー配合物において、0.001〜10wt%の請求項1の組成物を該配合物中に含んでなる、上記ヘアコンディショナー配合物の改良物。
【請求項43】
水と、1〜30wt%の日焼け止め剤とを含む水性日焼け止め配合物において、0.001〜30wt%の請求項1の組成物を該配合物中に含んでなる、上記水性日焼け止め配合物の改良物。
【請求項44】
40〜75wt%の水と、合計で0.1〜20wt%の、1つ又は複数の可溶化剤、ポリマー、オリゴマー又は機能性添加剤とを含むセメント混合配合物において、0.001〜5wt%の請求項1の組成物を該配合物中に含んでなる、上記セメント混合配合物の改良物。

【公開番号】特開2006−83365(P2006−83365A)
【公開日】平成18年3月30日(2006.3.30)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2005−208385(P2005−208385)
【出願日】平成17年7月19日(2005.7.19)
【出願人】(591035368)エア プロダクツ アンド ケミカルズ インコーポレイテッド (452)
【氏名又は名称原語表記】AIR PRODUCTS AND CHEMICALS INCORPORATED
【Fターム(参考)】