説明

マイクロ流路洗浄方法

【課題】マイクロ流路の洗浄方法において、マイクロ流路の洗浄品質を向上させる。
【解決手段】分岐路210B、210EF、210Wが設けられたマイクロ流路110に対し、分岐路210B、210EF、210Wの壁面210Bt、210EFt、210Wtに液残りを生じさせないように洗浄液Sを通して、上記分岐路210B、210EF、210Wの壁面210Bt、210EFt、210Wtを洗浄する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はマイクロ流路洗浄方法に関し、詳しくは、分岐路が設けられたマイクロ流路を洗浄するマイクロ流路洗浄方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、ガラス板等を積層した基板の間に極めて微小な幅と深さ(例えば、幅100μm、深さ15μm)のマイクロ流路が形成されたマイクロ流路基板を使用した電気泳動装置や化学処理装置が知られている(特許文献1)。
【0003】
上記電気泳動装置は、上記マイクロ流路へ試薬、サンプル、緩衝液等を含む試料液が導入され、このマイクロ流路に導入された試料液に高電圧(泳動電圧)を印加し電気泳動させ上記サンプル中の測定対象物質を分離して、この分離された、例えば、たんぱく質や核酸等をマイクロ流路中の検出点で検出するものである。
【0004】
また、上記化学処理装置は、原材料となる各種液体をマイクロ流路へ導入し化学処理を施して微粒子を生成するものである。
【0005】
上記のような装置では、マイクロ流路が形成された1つのマイクロ流路基板を、繰り返して測定に使用するため、上記測定対象物質の検出や微粒子の生成が完了した後、マイクロ流路に洗浄液を通してその流路を洗浄し上記マイクロ流路基板を再利用する方式も知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2004−243308号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
細長いガラス管中に形成されるマイクロ流路は1方向に延びる直線状の流路となるが、マイクロ流路基板に形成されるマイクロ流路には、分岐された流路からなる2次元構造を有するものがある。このように、流路が分岐される分岐路が設けられたマイクロ流路へ洗浄液を通して洗浄するときには、分岐路の壁面に液残りが生じることがある。このように液残りが生じたときには、洗浄液が分岐路中の特定の壁面上に残存してしまい、洗浄後もこの特定の壁面上に異物が付着したまま残ってしまうことがある。
【0008】
上記洗浄後の壁面への異物の残存は、上記電気泳動装置や化学処理装置で使用されるマイクロ流路基板のマイクロ流路を洗浄する場合に限らず、分岐路を有するマイクロ流路を洗浄するときに一般に生じる問題である。
【0009】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、マイクロ流路の洗浄品質を向上させることができるマイクロ流路の洗浄方法を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明のマイクロ流路洗浄方法は、流路が分岐される分岐路が1つ以上設けられたマイクロ流路に洗浄液を通してこのマイクロ流路の壁面を洗浄するマイクロ流路洗浄方法であって、分岐路の壁面に液残りを生じさせないように洗浄液を分岐路に通してその分岐路の壁面を洗浄することを特徴とするものである。
【0011】
前記マイクロ流路洗浄方法において、マイクロ流路中の分岐路に連通する特定の流路への洗浄液の注入と、この特定の流路からの洗浄液の吸引とを行って、分岐路の壁面に液残りを生じさせないように前記分岐路に対して洗浄液を通す方向を変更してその分岐路の壁面を洗浄することもできる。
【0012】
前記マイクロ流路洗浄方法において、分岐路を間に挟んでこの分岐路に連通する互に異なる流路について洗浄液の注入または洗浄液の吸引を、前記互いに異なる流路毎に1回以上行って、分岐路の壁面に液残りを生じさせないようにこの分岐路に対し洗浄液を通す方向を変更してその分岐路の壁面を洗浄することもできる。
【0013】
前記分岐路は、T字状に分岐されたものとすることができる。
【0014】
前記マイクロ流路は、臨床分析装置に使用されるマイクロチップに形成されたものとし、かつ、試薬およびサンプルが導入されるものとすることができる。
【0015】
なお、「前記分岐路の壁面に液残りを生じさせないように前記洗浄液を前記分岐路へ通す」とは、分岐路を構成する全ての壁面上で洗浄液が流動するように、分岐路へ洗浄液を通すことを意味するものである。
【発明の効果】
【0016】
本発明のマイクロ流路洗浄方法によれば、マイクロ流路に設けられた分岐路の壁面に液残りを生じさせないように、洗浄液を上記分岐路へ通してこの分岐路の壁面を洗浄するようにしたので、マイクロ流路の洗浄品質を向上させることができる。
【0017】
すなわち、分岐路へ洗浄液を通して洗浄するときに、分岐路の壁面に液残りを生じさせないようにこの分岐路を構成する全ての壁面上で洗浄液を流動させるようにし、すなわち、上記洗浄中に、分岐路を構成する特定の壁面上に試料液や洗浄液等が残存し続けることのないようにして、上記分岐路中の壁面上に付着した異物を洗浄液中に溶かしたり、上記異物を壁面上から移動させる力を付与したりすることができるので、上記異物を壁面上からより確実に除去することができ、マイクロ流路の洗浄品質を向上させることができる。
【0018】
また、マイクロ流路中の分岐路に連通する1つの流路への洗浄液の注入と、この1つの流路からの洗浄液の吸引とを行って、分岐路に対して洗浄液を通す方向を変更すれば、より確実に、分岐路を構成する全ての壁面上で洗浄液を流動させるように洗浄液を通すことができ、マイクロ流路の洗浄品質をより確実に向上させることができる。
【0019】
また、分岐路を間に挟んでこの分岐路に連通する互に異なる流路について洗浄液の注入または洗浄液の吸引を互に異なる各流路毎に1回以上行って、上記分岐路に対して洗浄液を通す方向を変更すれば、より確実に、分岐路を構成する全ての壁面上で洗浄液が流動するように洗浄液を通すことができ、マイクロ流路の洗浄品質をより確実に向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明のマイクロ流路洗浄方法を適用するマイクロ流路を有するマイクロチップの一例を示す図、図1Aはマイクロチップの表面側から見た斜視図、図1Bは裏面側から見た斜視図
【図2】図1のマイクロチップのマイクロ流路基板に形成されたマイクロ流路の一例を示す平面図
【図3】マイクロ流路を洗浄する比較例を示す図
【図4】マイクロ流路洗浄方法を適用してマイクロ流路を洗浄する第1実施例の様子を示す図、図4Aは上記支流路から洗浄液を吸引する様子を示す図、図4Bは上記支流路へ洗浄液を注入する様子を示す図
【図5】マイクロ流路洗浄方法を適用してマイクロ流路を洗浄する第2実施例の様子を示す図、図5Aは支流路から洗浄液を吸引する様子を示す図、図5Bは上記支流路とは異なる支流路から洗浄液を吸引する様子を示す図
【図6】本発明の臨床分析装置の外観を示す斜視図
【図7】図6の臨床分析装置の測定部に、マイクロチップ100を配置した状態を示す拡大斜視図
【図8】保管部および測定部を模式的に示す臨床分析装置の要部概略構成図
【図9】臨床分析装置の薬品洗浄ステーションの要部を示す拡大斜視図
【図10】ウェルの洗浄およびウェルに負圧をかけたときの様子を示す拡大断面図
【図11】臨床分析装置の脱着ステーションでマイクロチップを交換する様子を示す部分拡大斜視図、図11Aは脱着ステーションでマイクロチップが待機している様子を示す図、図11Bは脱着ステーションからマイクロチップが送出される様子を示す図
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明のマイクロ流路洗浄方法について説明する。図1は本発明のマイクロ流路洗浄方法を適用するマイクロ流路を有するマイクロチップの一例を示す。図1Aはマイクロチップの表面側から見た斜視図、図1Bは裏面側から見た斜視図をそれぞれ示す。図2は上記マイクロチップに形成されたマイクロ流路の一例を示す平面図である。
【0022】
図示のマイクロ流路洗浄方法を適用するマイクロチップ100は、後述する臨床分析装置に使用される(例えば肝臓癌マーカーの検出に使用される)ものであり、流路が分岐される分岐路が1つ以上設けられたものである。
【0023】
マイクロチップ100は、合成樹脂等で成形されたカバー部101と、カバー部101の裏面の凹所100bの中央部に配された、例えば略矩形形状を成すガラス板(透明な板状部材)からなるマイクロ流路基板102とから構成されている。
【0024】
上記マイクロ流路基板102は、2枚のガラス板から構成されており(後述の図10参照)、一方のガラス板に形成されたマイクロ流路110(キャピラリーともいうが、以下、単に流路110という場合がある)が上記2枚のガラス板の間に挟まるように、2枚のガラス板を互いに貼り合わせて1枚の基板として形成されている。2枚のガラス板は、両方共に透明であってもよいし、後述する光学測定を行うときに光を通す片方だけ透明であってもよい。
【0025】
マイクロチップ100の表面すなわち主面100aには、図1Aに示すように、マイクロ流路基板102に形成された流路110に位置合わせして、例えば、内径1.2mmの穴を有する複数の筒状突起すなわちウェル106が形成されている。ウェル106の穴であるウェル穴107は、前述の2枚のガラス板のうち1枚を貫通して流路110に達している。
【0026】
従って、このウェル106に試薬およびサンプル等を含む試料液を滴下すると、この試料液が流路110に導かれるようになっている。なお、マイクロ流路基板102はガラス製の他、合成樹脂製であってもよい。
【0027】
次に、図2を参照して、上記流路110について説明する。図2は、マイクロ流路基板102に形成された流路110の一例を示す平面図である。この流路110は、例えば、幅100μm、深さ15μmの寸法で、エッチングやフォトリソグラフィー等の微細加工技術により形成されている。なお、マイクロチップ100には、この流路110を、例えば2セット独立して形成するようにしてもよい。
【0028】
流路110は、図2において、横長に一直線に延びる主流路110aと、この主流路110aに対し直角に分岐された短距離延びる支流路110b〜110f、および110ef等から構成されている。主流路110aの両端、支流路110b〜110fの末端には、前述のウェル穴107が位置している。なお、これらのウェル穴107を以後ウェル穴107A〜Gとして識別する。なお、ウェル穴107A〜Gを総括してウェル穴107という。
【0029】
主流路110aの左端(図2中の左側)がウェル穴107Aと連通し、主流路110aの右端(図2中の右側)がウェル穴107Gと連通している。
【0030】
支流路110b、110c、110dは、各分岐路210B,210C、210Dにおいて上記主流路110aから分岐された流路であり、この主流路110aの一方側(図2において上側)へ、T字を上下逆転させた形状に分岐されている。上記支流路110b、110c、110dは、間隔をおいてウェル穴107Aの側から主流路110aに沿って順次形成されている。また、各支流路110b、110c、110dの端部は、ウェル穴107B、C、Dとそれぞれ連通している。
【0031】
また、支流路110efは、分岐路210EFにおいて上記主流路110aから分岐された流路であり、主流路110aの他方側(図2において下側)へT字状に分岐されている。この支流路110efは支流路110b、110cの間に形成されている。支流路110efの先端部にはさらに分岐路210Wが設けられている。この分岐路210Wから上記主流路110aに沿って分岐路210Wを間に挟んで両側へ伸びる支流路110e、110fそれぞれが形成されており各支流路110e、110fの端部はそれぞれウェル穴107E、Fと連通している。
【0032】
なお、上記分岐路210B,210C、210D、210EF、210Wをまとめて分岐路210ともいう。
【0033】
なお、図2に示すように、流路110中の試料液Hに含まれる上記サンプル中の測定対象物質が、光学系を有する検出装置6によって検出される。
【0034】
上記流路110中に収容された試料液H中の測定対象物質は、外部から光を受けると励起されて蛍光を発するように処理されており、この蛍光の検出により試料液H中の測定対象物質を検出することができる。
【0035】
ここで、上記マイクロ流路基板102に形成されたマイクロ流路110の洗浄について説明する。なお、上記マイクロ流路110を洗浄する本願発明のマイクロ流路洗浄方法は、後述する臨床分析装置の洗浄ステーションにおけるマイクロ流路の洗浄に適用できるものである。
<比較例>
【0036】
はじめに、マイクロ流路基板102のマイクロ流路110を洗浄する比較例について図2および図3を参照して説明する。この比較例は、マイクロ流路110を洗浄する際に、分岐路の壁面に液残りが生じてしまい洗浄品質の向上が得られないものである。図3は上記マイクロ流路基板102に形成されたマイクロ流路110の一部分を示す一部拡大平面図である。
【0037】
まずはじめに、図2に示すように試料液Hが満たされたマイクロ流路110に連通するウェル穴107B以外の、ウェル穴107Aおよびウェル穴107C〜Gそれぞれを洗浄液Sで満たす。
【0038】
次に、ウェル穴107Bを吸引口とし、マイクロ流路110に収容された試料液Hや各ウェル穴107A、107C〜Gに満たされた洗浄液Sを上記ウェル穴107Bから吸引する。
【0039】
図3に示すように、上記ウェル穴107Bからの吸引により、マイクロ流路110中の液体は流動軌跡M01に沿って流動する。この流動軌跡M01に沿って流れる洗浄液Sによって、マイクロ流路110中の流路の壁面が洗浄される。しかしながら、分岐路210Bの壁面210Bt、分岐路210EFの壁面210EFt、および分岐路210Wの壁面210Wtにおいて、各壁面の両側から流動してきた洗浄液Sが各分岐路において各壁面から遠ざかる方向へ流動するので、これらの壁面210Bt、壁面210EFt、壁面210Wt上に位置する試料液H等は殆ど流動することなくこれらの壁面上の領域に液残りが生じる。
【0040】
すなわち、壁面210Btの両側から分岐路210Bへ流れ込む洗浄液Sはこの分岐路210Bから流路110bを通ってウェル穴107Bの方へ流動するが、壁面210Bt上の領域に液残りが生じるため上記壁面210Bt上の異物(壁面210Btに付着した汚れ等)を溶かしたり移動させたりする働きが少ない、あるいは、そのような作用が生じないので上記異物は壁面210Bt上に留まる。
【0041】
また、壁面210EFtの両側の流路110aおよび110efから分岐路210EFへ流れ込む洗浄液Sは、流路110aを通って分岐路210Bの方へ流動するが、上記と同様に、壁面210EFt上の領域に液残りが生じるため上記壁面210EFt上の異物(壁面210EFtに付着した汚れ等)を溶かしたり移動させたりする働きが少ない、あるいは、そのような作用が生じないので上記異物は壁面210EFt上に留まる。
【0042】
さらに、壁面210Wtの両側のウェル穴107E,107Fから流路110e、110fを通って分岐路210Wへ流れ込む洗浄液Sは、流路110efを通って分岐路210EFの方へ流動するが、上記と同様に壁面210Wt上の領域に液残りが生じるため上記壁面210Wt上の異物(壁面210Wtに付着した汚れ等)を溶かしたり移動させたりする働きが少ない、あるいは、そのような作用が生じないので上記異物は壁面210Wt上に留まる。
【0043】
したがって、上記壁面210Bt、壁面210EFt、壁面210Wt上に付着した汚れ等を取り除くことができない。
<第1実施例>
【0044】
以下、マイクロ流路基板102のマイクロ流路110を洗浄する際に、分岐路の壁面に液残りを生じさせることなく洗浄する本願発明のマイクロ流路洗浄方法の洗浄の第1実施例について図2および図4A、Bを参照して説明する。図4A、Bは上記マイクロ流路基板102に形成されたマイクロ流路110の一部分を示す一部拡大平面図である。図4Aは上記支流路から洗浄液を吸引する様子を示す図、図4Bは上記支流路へ洗浄液を注入する様子を示す図である。
【0045】
なお、上記マイクロ流路洗浄方法は途中の工程までは上記洗浄品質の向上が得られない比較例の場合と同様である。
【0046】
上記比較例と同様に、図2に示すように試料液Hが満たされたマイクロ流路110に連通する、ウェル穴107B以外の、ウェル穴107Aおよびウェル穴107C〜Gそれぞれを洗浄液Sで満たす。
【0047】
次に、ウェル穴107Bを吸引口とし、マイクロ流路110に収容された液試料H、および上記ウェル穴107A、およびウェル穴107C〜Gそれぞれに満たされた洗浄液Sを上記ウェル穴107Bから吸引する。すなわち、マイクロ流路110中の分岐路210Bおよび210W等に連通する1つの流路110bから上記液試料Hや洗浄液Sを吸引する。
【0048】
上記比較例の場合と同様に(図4Aに示すように)、ウェル穴107Bからの吸引により、マイクロ流路110中の液体は流動軌跡M11に沿って流動する。この流動軌跡M11は上記比較例の流動軌跡M01と同様である。したがって、壁面210Bt、壁面210EFt、壁面210Wt上に位置する試料液H等は殆ど流動することなくこれらの壁面上の領域に液残りが生じる。したがって、ここまでの工程では、上記壁面210Bt、壁面210EFt、壁面210Wt上に付着した汚れを取り除くことはできない。
【0049】
次に、図4Bに示すように、上記ウェル穴107Bを洗浄液Sの注入口とし、ウェル穴107Bから分岐路210Bを通して洗浄液Sを流路110bおよび他のマイクロ流路中へ注入する。すなわち、マイクロ流路110中の分岐路210Bおよび210W等に連通する上記1つの流路110bへ洗浄液Sを注入する。
【0050】
上記洗浄液Sの注入により、マイクロ流路中を洗浄液Sが流動軌跡M12に沿って流動する。すなわち上記洗浄液S等を吸引する場合に対してマイクロ流路中を通る液体の流動方向を逆転させる。これにより、上記吸引時に試料液H等が残存していた壁面210Bt、壁面210EFt、壁面210Wt上には洗浄液Sが浴びせられる状態(洗浄液が流動する状態)となるので上記壁面上の異物(各壁面上に付着した汚れ等)を溶かしたり壁面から物理的に移動させたりする洗浄作用が生じ上記異物は各壁面上から取り除かれる。
【0051】
したがって、上記壁面210Bt、壁面210EFt、壁面210Wtを他の壁面と同様に洗浄することができ、上記壁面210Bt、壁面210EFt、壁面210Wtそれぞれに付着した汚れを除去することができる。
【0052】
すなわち、この第1実施例は、マイクロ流路110中の分岐路210B、210EF、210Wに連通する特定の流路110bへの洗浄液Sの注入と、この特定の流路110bからの洗浄液Sの吸引とを行って、分岐路210B、210EF、210Wに対して洗浄液Sを通す方向を変更するものである。上記分岐路に対して洗浄液Sを通す方向を変更することにより、この分岐路の壁面の洗浄品質を向上させることができる。
【0053】
なお、上記のように、1つの流路から洗浄液の吸引と注入を行う場合に限らず、2つ以上の特定の流路について洗浄液の吸引を同時に行うとともに、上記2つ以上の特定の流路について洗浄液の注入を同時行って、上記マイクロ流路110を洗浄するようにしてもよい。
<第2実施例>
【0054】
次に、本願発明のマイクロ流路洗浄方法の第2実施例について図5Aおよび図5Bを参照して説明する。図5A,5Bは、上記マイクロ流路基板102に形成されたマイクロ流路110の一部分を示す一部拡大平面図である。図5Aはウェル穴107Bから洗浄液を吸引する様子を示す図、図5Bはウェル穴107Fから洗浄液を吸引する様子を示す図である。
【0055】
まずはじめに、上記第1の実施例と同様に、試料液Hが満たされたマイクロ流路110に連通する、ウェル穴107B以外の、ウェル穴107Aおよびウェル穴107C〜Gそれぞれを洗浄液Sで満し、このウェル穴107Bから試料液Hや洗浄液S等を吸引する。ここで、ウェル穴107Bからの吸引により、マイクロ流路110中の液体は流動軌跡M21に沿って流動する。この流動軌跡M21は上記流動軌跡M01や流動軌跡M11と同様である。したがって、壁面210Bt、壁面210EFt、壁面210Wt上に位置する試料液H等は殆ど流動することなくこれらの壁面上の領域に液残りが生じる。したがって、ここまでの工程では、上記壁面210Bt、壁面210EFt、壁面210Wt上に付着した汚れを取り除くことはできない。
【0056】
次に、図5Bに示すように、洗浄液Sの吸引口をウェル穴107Fに変更し、ウェル穴107F以外の、ウェル穴107A〜E、ウェル穴107Gそれぞれを洗浄液Sで満し、このウェル穴107Fから洗浄液S等を吸引する。
【0057】
上記ウェル穴107Fからの洗浄液S等の吸引により、マイクロ流路中の洗浄液Sを流動軌跡M22に沿って流動させる。これにより、上記洗浄液Sをウェル穴107Bから吸引したときに試料液Hが残存していた壁面210Bt、壁面210EFt、壁面210Wt上には、この壁面に沿って洗浄液Sが流動する状態となるので上記異物(各壁面上に付着した汚れ等)を溶かしたり壁面から物理的に移動させたり(押し流したり)する洗浄作用が生じ上記異物は各壁面上から取り除かれる。
【0058】
したがって、上記壁面210Bt、壁面210EFt、壁面210Wtを他の壁面と同様に洗浄することができ、上記壁面210Bt、壁面210EFt、壁面210Wtそれぞれに付着した汚れを除去することができる。
【0059】
すなわち、第2実施例は、分岐路210B、210EF、210Wを間に挟んでこれらの分岐路に連通する互に異なる流路である流路110b、110fについて洗浄液Sの注入または洗浄液Sの吸引を各流路110b、110f毎に行って、分岐路210B、210EF、210Wに対して洗浄液Sを通す方向を変更するものである。上記分岐路に対して洗浄液Sを通す方向を変更することにより、この分岐路の壁面の洗浄品質を向上させることができる。
【0060】
ここで、上記第2実施例のように、分岐路を間に挟んでこれらの分岐路に連通する互に異なる流路である2つの流路のうちの1方の流路から洗浄液を吸引した後、他方の流路から洗浄液を吸引して、上記分岐路に対して洗浄液を通す方向を変更するようにする場合に限らず、分岐路を間に挟んでこれらの分岐路に連通する互に異なる流路である2つの流路のうちの1方の流路から洗浄液を吸引した後、他方の流路から洗浄液を注入して、上記分岐路に対して洗浄液を通す方向を変更して分岐路を洗浄するようにしてもよい。
【0061】
また、分岐路を間に挟んでこれらの分岐路に連通する互に異なる流路である2つの流路のうちの1方の流路から洗浄液を注入した後、他方の流路から洗浄液を吸引して、上記分岐路に対して洗浄液を通す方向を変更して分岐路を洗浄するようにしてもよい。
【0062】
さらに、分岐路を間に挟んでこれらの分岐路に連通する互に異なる流路である2つの流路のうちの1方の流路から洗浄液を注入した後、他方の流路から洗浄液を注入して、上記分岐路に対して洗浄液を通す方向を変更して分岐路を洗浄するようにしてもよい。
【0063】
なお、上記洗浄液の注入は1つの流路へ洗浄液を注入する場合に限らず、2つ以上の流路へ洗浄液を注入する場合であってもよい。また、上記洗浄液の吸引は1つの流路から洗浄液を吸引する場合に限らず、2つ以上の流路から洗浄液を吸引する場合であってもよい。
【0064】
上記実施例において分岐路はT字状に分岐されたものとしたが、分岐路はT字状に分岐されたものに限らず、Y字状等どのように分岐されたものであっても本願発明のマイクロ流路洗浄方法を適用することができる。
<臨床分析装置>
【0065】
以下、本発明のマイクロ流路洗浄方法を適用した臨床分析装置の一例について説明する。すなわち、マイクロ流路が、臨床分析装置に使用されるマイクロチップに形成されたものであり、試薬およびサンプルが導入されるものである場合について図6〜図11を参照して説明する。図6は上記臨床分析装置の外観を示す斜視図である。
【0066】
図6に示すように、装置1は、筐体2と、この筐体2に配置された保管部8と、この保管部8の近傍に並設された測定部10と、保管部8と測定部10の間を往復移動する分注機構部12とを有する。また、筐体2に開閉可能に設けられたカバー4、5は、それぞれ測定部10、保管部8を覆うためのものである。これらのカバー4、5は、試料の検出中と洗浄動作中は開けることができないようになっている。
【0067】
保管部8には、円形の試薬庫8aおよびサンプル保持部8bがある。サンプル保持部8bは、試薬庫8aの周囲を取り巻くように配置された環状部材14を有する。なお、試薬庫8aおよびサンプル保持部8bは回動するが、回動させるためのモータ等の動力源については、図示を省略する。この環状部材14には、サンプルの容器3bが保管される複数の切欠14aが所定の間隔で形成されている。なお、保管部8は、図示しない冷蔵装置により内部が冷却されている。
【0068】
また、筐体2の上面2aには、例えば液晶等の表示パネル16が設けられている。この表示パネル16には、試験の名称が表示され、サンプルごとに測定内容(測定項目)を選択できるようになっている。また、表示パネル16の近傍にはプリンタ18が配置され、検出ステーション46での検出結果がプリントアウトされるようになっている。筐体2の外側且つ保管部8の近傍には、2つの平行6面体形状の洗浄水容器20、廃液容器22が取り付けられている。洗浄水容器20は、マイクロチップ100等を洗浄する洗浄水を収容するためのものであり、廃液容器22は全ての廃液を収容するためのものである。
【0069】
分注機構部12は、移動体12aと、この移動体12aに取付けられたプローブ12bを有する。
【0070】
次に、図6を再び参照するとともに、図7〜11を参照して測定部10について詳細に説明する。図7は、測定部10に、マイクロチップ100を配置した状態を示す拡大斜視図である。また、図8は、保管部8および測定部10等の構成を模式的に示した装置1の要部概略構成図である。
【0071】
測定部10には、マイクロチップ100を移動させるための搬送機構部として図示しない動力源と、この動力源により反時計回りに回転駆動される回転テーブル40が配置されている。上記回転方向は、反時計回りの一方向だけであり、逆回転はしないようになっている。
【0072】
上記回転テーブル40には所定のピッチで8個の基台部が配置されており、この基台部上にマイクロチップ100が配置される。この回転テーブル40を上方から見ると、図7に示すように、所定のピッチ(ピッチ角度)で8個の凹所42aが形成されており、この凹所42a内に上記基台部が収容されている。したがって、マイクロチップ100が凹所42a内に配置されるときには、この凹所42aに対応して配置されている基台部上にマイクロチップ100が載置される。
【0073】
また、筐体2の側には、上記と同様の所定のピッチ(ピッチ角度)で8個のステーション42、44,46,48,50,52,54,56が配置されている。したがって、各ステーション42〜56に対応するようにマイクロチップ100が1個ずつ配置されるようになっている。
【0074】
測定の工程が開始される最初のステーションは、分注機構部12のプローブ12bが移動して試料等がマイクロチップ100に分注される分注ステーション42である。これは、第1段階の工程を行う部分である。
【0075】
残りのステーションである、導入ステーション44、検出ステーション46、洗浄ステーション47、マイクロチップ100を脱着する脱着ステーション56がこの順に反時計回りに並ぶように配置されている。なお、本実施形態において洗浄ステーション47は、4つの部分すなわち薬品洗浄ステーション48、水洗浄ステーション50、52、残液吸引ステーション54から構成されている。これらの4つの洗浄ステーション48、50、52,54では、それぞれ薬品洗浄工程、第1水洗浄工程、第2水洗浄工程、および残液吸引工程がなされる。なお、図8中に符号13で示すユーザーインターフェース部は、いわゆる操作パネルである。
【0076】
カバー部材44b、46b、52bは、回転テーブル40に対し接近し或いは離隔するように開閉可能に筐体2側に取付けられている。従って、回転テーブル40のみが回転移動し、カバー部材44b、46b、52bが、回転テーブル40と平行な平面内で回転移動することはない。
【0077】
次に、図7、8を参照して、各ステーション42、44、46、47(48、50、52、54)、56についてさらに説明する。
【0078】
回転テーブル40は、上記のようにその円周に沿って8個のステーションに等分に割当てられているため、各ステーション42〜56で作業するのは同じ時間、例えば200秒となる。従って、200秒経過すると、回転テーブル40は回動して次工程に移動するので、1回転すなわち200X8=1600秒で1サイクルが終了し、1番目のマイクロチップ100の測定が完了する。その後は、200秒ごとに、後続のマイクロチップ100の測定が順次完了する。
【0079】
上記分注ステーション42に対応する位置にマイクロチップ100が配置されると、前述の分注機構部12の移動体12aが、このマイクロチップ100上へ移動して、プローブ12bから所定のウェル106にサンプル等が滴下される。この作業が、試薬やサンプルを必要とする全てのウェル106について反復される(第1段階の工程)。
【0080】
導入ステーション44には、カバー部材44bが開閉可能に配置されている。カバー部材44bには、この導入ステーション44に対してマイクロチップ100が配置されたときにマイクロチップ100の所定のウェル106に連通させるチューブ44cが取り付けられている。加圧気体はこのチューブ44cを通って、図2に記載の所定のウェルC、Dに供給される(第2段階の工程)。
【0081】
検出ステーション46にもカバー部材46bが取付けられている。カバー部材46bの下面には、電気泳動のための電圧を発生する電極(図示せず)が突設されている。これらの電極は、前述の電圧を印加するためのウェルA、F、Gに対応して配置されている。
【0082】
検出ステーション46の測光部58は、前述の検出装置6(図2参照)を内蔵している。この検出ステーション46では、電極に泳動電圧が印加されて試料の電気泳動がなされる(第3段階の工程)。上記電気泳動の際には、試料の種類に応じて、低温、例えば試料液の温度を10°Cに保持した状態で電気泳動が行われる。
【0083】
電圧が印加されるウェル106が切替えられる工程(第4段階の工程)では、試料液の温度が上記10°Cに維持された状態で引き続き電気泳動が継続された後、測定対象物の測定が行われる工程(第5段階の工程)が実行される。
【0084】
次に、上記本願発明のマイクロ流路洗浄方法を適用した洗浄ステーション47について詳細に説明する。
【0085】
洗浄ステーション47は、前述の如く、4つの工程を行う4つのステーション48、50、52、54から構成されている。薬品洗浄ステーション48は、例えばNaOH(水酸化ナトリウム)等の洗浄液を用いて、使用済みのマイクロチップ100の流路110を洗浄する工程である。薬品洗浄ステーション48は、上記試料等で汚染されているウェル106に対し、洗浄液を吐出したり吸引したりして洗浄するようになっている。この際、洗浄液は、例えば、300g/cmの負圧で流路110から吸引される。
【0086】
図9は、薬品洗浄ステーション48の要部を示す拡大斜視図である。この薬品ステーションでは上記本願発明のマイクロ流路洗浄方法を適用した上記と同様のマイクロ流路の洗浄が実施される。
【0087】
プローブ48p、48qは、マイクロチップ100のマイクロ流路基板102中の各流路110に対応して洗浄液を注入したり吸引したりするようになっており、矢印60で示す方向に直線的に移動可能である。この移動は、モータ48cおよびこのモータ48cにより駆動されるねじ軸48dを用いて行われる(図7参照)。すなわちマイクロチップ100を支持する部材48eがねじ軸48dと係合しており、このねじ軸48dの回転によって、マイクロチップ100は回転テーブル40の半径方向に往復移動可能になっている。
【0088】
なお、図9中、プローブ48p、48qは、先端部のみを示してあるが、実際は、仮想線で示すように延長しているか、或いはチューブが取付けられている。符号15、17で示すのは、それぞれ洗浄液容器、プローブ洗浄槽である。洗浄液容器15には洗浄液が収容されており、その洗浄液はプローブ48p、48qを介して洗浄液容器がウェル106に供給される。
【0089】
プローブ48p、48qの先端部は、洗浄時にウェル106に挿入されるので、その度にプローブ48p、48qの先端部はプローブ洗浄槽17で洗浄される。シール板65は、ウェル106に対応した位置に設けられたシリンジポンプ(図示は省略)と連通する開口65aを有し、上記シリンジポンプから供給される空気圧によって、マイクロ流路110からウェル106を通して洗浄液等を押し出す。
【0090】
特定のウェル106に対し、プローブ48pから洗浄液を注入し、また他の特定のウェル106では、前述の大きさの負圧すなわち300g/cmで洗浄液等を吸引する。このときの洗浄の態様について、図10を併せて参照して説明する。
【0091】
図10はウェル106の洗浄およびウェル106に負圧をかけたときの概念を示す拡大断面図である。ウェル106にプローブ48pが挿入され、洗浄液62がウェル106から溢れないように、洗浄液62を吐出している状態や吸引している状態が示されている。
【0092】
また、隣のウェル106では、シール部材64と、このシール部材64をウェル106に対し押圧するシール板65とによってウェル106が封止されるとともに負圧により吸引されている状態が示されている。
【0093】
このようにプローブ48p、48qが移動しながら、ウェル106および流路110内の試料液や洗浄液62が吸引されたり、ウェル106および流路110から試料液や洗浄液62が注入されたりして、上記本願発明のマイクロ流路洗浄方法を適用したマイクロ流路の洗浄が実施されるので、流路110は十分に洗浄される。従って、洗浄度は非常に高い。なお、図10中の符号102で示す部分が上述のマイクロ流路基板102に対応している。
【0094】
薬品洗浄工程後に、水洗浄ステーション50において、ウェル106に対して、前述と同様の方式で水の吐出や吸引が行われる。
【0095】
この水洗浄ステーション50においても上記本願発明のマイクロ流路洗浄方法を適用した上記と同様のマイクロ流路の洗浄が実施される。ただし、この水洗浄ステーション50でのマイクロ流路の洗浄に使用される洗浄液は水である。
【0096】
さらに、次の工程の水洗浄ステーション52においては、例えば、10Kg/cmの水圧で流路110内の薬品を水により押し出すことが行われる。このとき押し出される側のウェル106は大気開放されており、押し出された廃液は廃液容器22に収容される。
【0097】
この水洗浄ステーション52においても上記本願発明のマイクロ流路洗浄方法を適用したマイクロ流路の洗浄を実施することができる。この水洗浄ステーション52でのマイクロ流路の洗浄に使用される洗浄液も水である。
【0098】
次に、残液吸引ステーション54において、ウェル106の残液が吸引される。この作業は負圧源に接続されたプローブ54p(図7)がウェル106内に挿入されて行われる。
【0099】
次に、洗浄されたマイクロチップ100は、チップを脱着する脱着ステーション56に送られる。この脱着ステーション56では、繰返し使用されて寿命とみなされる所定の回数、例えば10〜200回に達したマイクロチップ100を取出して、新たなマイクロチップ100が回転テーブル40に装填される。この脱着ステーション56は、マイクロチップ100の交換時のみ機能し通常測定時は機能しない。
【0100】
図11は、脱着ステーション56でマイクロチップ100を交換する状態を示す部分拡大斜視図である。図11Aは脱着ステーションでマイクロチップが待機している様子を示す図、図11Bは脱着ステーションからマイクロチップが送出される様子を示す図である。
【0101】
この脱着ステーション56では、例えば、筐体2に、回転テーブル40の凹所56aに対応して開口56cが形成されている。この開口56cは、開放された状態でもよいし、適切な蓋(図示せず)で開閉可能に閉鎖してもよい。
【0102】
マイクロチップ100はこの開口56cから、アクセスして寿命に達したマイクロチップ100を取外し、新たなマイクロチップ100を装填することができる。マイクロチップ100の寿命を判定するには、例えば、マイクロチップ100に取付けられた無線タグ(記録部)101により、使用された回数が自動的に記録され、所定の回数に達したときに、前述の表示パネル16に、交換を指示する表示がなされるようにすることができる。また、その際、適切な音響信号によって操作者に知らせてもよい。使用回数のカウントや無線タグ101への使用回数の記録は、例えば、装置1の背面側に設けた制御部11(図8)で管理することができる。なお、無線タグ101は、マイクロチップ100に貼着、埋め込み等の種々の態様により任意の位置に取付けることができる。
【0103】
なお、本実施形態では、マイクロチップ100を周回させているが、各ステーションを周回させることも可能である。また、洗浄ステーション47を異なる工程を行う複数の洗浄ステーションに分割しているが、洗浄ステーションを1箇所とし、そこで複数の洗浄工程を行わせることも可能である。また、上記実施形態では、試薬およびサンプルを加圧してウェル内に導入した場合について示したが、加圧する代わりに反対側のウェルから吸引して導入することも可能である。このように加圧あるいは吸引を各々単独で行ってもよいし、加圧と吸引を併用して同時に行ってもよい。
【符号の説明】
【0104】
210B、210EF、210W 分岐路
110 マイクロ流路
210Bt、210EFt、210Wt 壁面
S 洗浄液
【図1A】

【図1B】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
流路が分岐される分岐路が1つ以上設けられたマイクロ流路に洗浄液を通して該マイクロ流路の壁面を洗浄するマイクロ流路洗浄方法であって
前記分岐路の壁面に液残りを生じさせないように前記洗浄液を前記分岐路へ通して該分岐路の壁面を洗浄することを特徴とするマイクロ流路洗浄方法。
【請求項2】
前記マイクロ流路中の前記分岐路に連通する特定の流路への洗浄液の注入と、該特定の流路からの洗浄液の吸引とを行って、前記分岐路に対して洗浄液を通す方向を変更することを特徴とする請求項1記載のマイクロ流路洗浄方法。
【請求項3】
前記分岐路を間に挟んで該分岐路に連通する互に異なる流路について、洗浄液の注入または洗浄液の吸引を各流路毎に1回以上行って、前記分岐路に対して洗浄液を通す方向を変更することを特徴とする請求項1または2記載のマイクロ流路洗浄方法。
【請求項4】
前記分岐路が、T字状に分岐されたものであることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項記載のマイクロ流路洗浄方法。
【請求項5】
前記マイクロ流路が、臨床分析装置に使用されるマイクロチップに形成されたものであり、試薬およびサンプルが導入されるものであることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項記載のマイクロ流路洗浄方法。

【図2】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5A】
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【図5B】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11A】
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【図11B】
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【公表番号】特表2010−523942(P2010−523942A)
【公表日】平成22年7月15日(2010.7.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−501253(P2010−501253)
【出願日】平成20年3月28日(2008.3.28)
【国際出願番号】PCT/US2008/058624
【国際公開番号】WO2008/121803
【国際公開日】平成20年10月9日(2008.10.9)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【出願人】(000252300)和光純薬工業株式会社 (105)
【Fターム(参考)】