説明

モータ駆動自動車

【課題】モータの回転子の絶対回転角を示す絶対角信号に異常が生じた場合であってもモータを始動することが可能であり、さらに、始動後において高精度な制御を行い十分な動力性能を得ることが可能なモータ駆動自動車を提供することを目的とする。
【解決手段】モータと、レゾルバと、R/Dコンバータと、R/Dコンバータの出力に基づいてモータを制御するモータ制御装置と、を備えるモータ駆動自動車であって、R/Dコンバータは、相対角信号と、基準信号と、絶対角信号と、を出力し、モータ制御装置は、絶対角信号の異常を検知する異常検知手段と、基準信号および前記相対角信号が正常か否かを判断する判断手段と、を有し、異常検知手段により絶対角信号の異常が検知され、かつ、判断手段により基準信号および相対角信号が正常と判断された場合にモータの制御を開始することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モータの回転情報を出力するレゾルバと、レゾルバにより出力された回転情報をディジタル変換するR/Dコンバータと、R/Dコンバータの出力に基づいてモータを制御するモータ制御装置とを備えるモータ駆動自動車に関する。
【背景技術】
【0002】
モータによって駆動される電気自動車が広く用いられている。一般に、電気自動車には、モータを制御するモータ制御装置、およびモータの回転情報を出力するレゾルバ、およびモータを制御するための信号を回転情報に基づいて生成し出力するR/Dコンバータ(レゾルバデジタルコンバータ)が備えられる。モータ制御装置は、R/Dコンバータから出力される信号に基づいてモータの制御を行う。
【0003】
R/Dコンバータからは、回転子の絶対回転角を示す絶対角信号、回転子の回転角度位置が基準回転角度位置となるごとにパルス信号として出力される基準信号、および回転子の回転方向および回転速度を示す相対角信号が出力される。
【0004】
回転子が停止している状態から回転を開始させる場合、モータ制御装置は、絶対角信号に基づいて回転子の絶対回転角を取得する。そして、回転を開始するために十分なトルクを回転子が発生するための磁界を絶対回転角に基づいて発生させる。この処理は、回転子の周りに複数設けられた界磁巻線のそれぞれに流す電流を、絶対回転角に基づいて制御することによって行われる。
【0005】
回転子が回転を開始するとR/Dコンバータからは相対角信号が出力される。そして、回転子の回転角度位置が基準回転角度位置に達すると、R/Dコンバータからは基準信号が出力される。モータ制御装置は、基準信号および相対角信号に基づいて、基準信号が立ち上がった時から回転子が回転した角度を示す相対回転角を求める。モータ制御装置は、基準回転角と相対回転角とに基づいて回転子の絶対回転角を求め、その絶対回転角に基づいて複数の界磁巻線から回転磁界を発生させる。
【0006】
【特許文献1】特開2001−112282号公報
【特許文献2】特開2000−192829号公報
【特許文献3】特開2002−325493号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
R/Dコンバータは、内部の電気回路の異常により、出力される絶対角信号の値が異常となることがある。このような場合、従来の技術ではモータの回転を開始することが困難である。
【0008】
特許文献1には、回転子の磁極位置を示すセンサ信号に異常が生じた場合に、モータの界磁巻線に現れる電圧またはモータの界磁巻線に流れる電流に基づいて回転子の磁極位置を検出し、その磁極位置に基づいて回転子の制御を行うセンサレス駆動について記載されている。しかし、センサレス駆動では、検出される磁極位置の精度が低下するおそれがあり、十分な動力性能が得られない可能性がある。
【0009】
特許文献2には、エンジンのクランク軸とモータのロータが同軸上に連結されたハイブリッド車両において、モータのロータ角を検出するレゾルバの異常等でモータの回転角位置が不明な場合、予め学習しておいたクランク角とロータ角の位相変位、およびエンジンのクランク角センサの検出結果に基づいてモータ制御を行うものについて記載されている。しかし、モータの回転状態に基づいた検出結果ではなく、エンジンの回転状態によって間接的に取得された検出結果に基づいてモータ制御を行っているため、検出結果に含まれる誤差が大きくなるおそれある。
【0010】
本発明は、このような課題に対してなされたものである。すなわち、モータの回転子の絶対回転角を示す絶対角信号に異常が生じた場合であってもモータを始動することが可能であり、さらに、始動後において高精度な制御を行い十分な動力性能を得ることが可能なモータ駆動自動車を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、モータと、前記モータの回転情報を出力するレゾルバと、前記レゾルバにより出力された前記回転情報をディジタル変換するR/Dコンバータと、前記R/Dコンバータの出力に基づいて前記モータを制御するモータ制御装置と、を備えるモータ駆動自動車であって、前記R/Dコンバータは、相対角信号と、基準信号と、絶対角信号と、を出力し、前記モータ制御装置は、前記絶対角信号の異常を検知する異常検知手段と、前記基準信号および前記相対角信号が正常か否かを判断する判断手段と、を有し、前記異常検知手段により前記絶対角信号の異常が検知され、かつ、前記判断手段により前記基準信号および前記相対角信号が正常と判断された場合に、前記基準信号および前記相対角信号に基づいて前記モータの制御を開始することを特徴とする。
【0012】
また、本発明に係るモータ駆動自動車においては、前記モータ駆動自動車は、前記モータとの間でトルクの授受を行うエンジンを備え、前記モータと前記エンジンの少なくとも一方の動力により車輪を駆動して走行するハイブリッド車両であり、前記モータ制御装置は、前記異常検知手段により前記絶対角信号の異常が検知された場合に、前記判断手段は、前記モータ以外の動力により前記モータの回転子を回転させている際に出力される前記基準信号および前記相対角信号が正常か否かを判断することが好適である。
【0013】
また、本発明に係るモータ駆動自動車においては、発電機と、プラネタリギアユニットと、を備え、前記エンジンは前記プラネタリギアユニットのキャリアに、前記発電機は前記プラネタリギアユニットのサンギアに、前記モータは前記プラネタリギアユニットのリングギアに、それぞれ取り付けられ、前記モータ制御装置は、前記異常検知手段により絶対角信号の異常が検知された場合に、前記エンジンの動力により前記モータを回転させることが好適である。
【0014】
また、本発明に係るモータ駆動自動車においては、前記モータとは別の第2モータと、プラネタリギアユニットと、を備え、前記モータは発電を行うモータジェネレータであり、前記エンジンは前記プラネタリギアユニットのキャリアに、前記モータは前記プラネタリギアユニットのサンギアに、前記第2モータは前記プラネタリギアユニットのリングギアに、それぞれ取り付けられ、前記モータ制御装置は、前記異常検知手段により絶対角信号の異常が検知された場合に、前記第2モータの動力により前記モータを回転させることが好適である。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、モータの回転子の絶対回転角を示す絶対角信号に異常が生じた場合でも、基準信号および相対角信号が正常であれば、モータ制御を開始することができる。そして、モータ制御を開始した後においては、基準信号および相対角信号に基づくモータ制御を行うことができる。これによって、特許文献1、特許文献2等に記載されている技術に比して、精度の高いモータ制御を行うことができると共に、十分な動力性能を得ることが可能なモータ駆動自動車を実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
図1に本発明の実施形態に係る電気自動車駆動システム100の構成を示す。電気自動車駆動システム100は、フロントモータ10、前輪トルク伝達部18、前輪20、回転検出部22、リアモータ32、電力回路34、後輪トルク伝達部36、後輪38、回転検出部40、制御部42および操作部44を備えて構成される。電気自動車駆動システム100は、フロントモータ10によって前輪20を駆動し、リアモータ32によって後輪38を駆動するものである。
【0017】
図2にフロントモータ10の断面図を示す。この断面図は、モータシャフト16の延伸方向に垂直な断面でフロントモータ10を切断したものである。フロントモータ10は、筐体12、回転子14、モータシャフト16、界磁巻線U,V,およびWを備える。筐体12は、モータシャフト16を中心軸とした略円筒形状を有する。回転子14は、回転子本体RB、永久磁石Mgを備える。回転子本体RBは非磁性材料によって略円柱状に形成される。回転子本体RBには、中心軸方向に凸のV字を描く永久磁石Mgの対が、回転子本体RB断面の外周円の同心円上に所定の間隔を以て配置される。隣接する永久磁石Mgの対は、互いに極性が異なる磁極を形成する。図2では、8対の永久磁石Mgが配置された例を示し、図中の符号NおよびSは磁極位置およびその極性を示す。ただし、基準となるN極の磁極についてはN0を以て示す。また、回転子14の中心軸にはモータシャフト16が取り付けられる。
【0018】
なお、ここでは8対の永久磁石Mgを設け、各対がV字形状を形成する回転子14について採り上げたが、回転子の構成はこのようなものに限られず、フロントモータ10に要求される性能に応じた構成を適用することができる。例えば、永久磁石を回転子の表面に配置したものを適用してもよい。また、永久磁石を用いない、かご型回転子を適用してもよい。
【0019】
回転子14の絶対回転角φは、回転子14の中心軸および基準の磁極N0を含み、回転子14の中心軸を一辺とする面Sφが、筐体12の中心軸を含み筐体12に固定して定義された基準面S0となす角φとして定義される。
【0020】
界磁巻線U,V,およびWは、120°の角度を隔てて筐体12の内側の壁面に取り付けられる。ここでは、界磁巻線Uを基準面S0上に取り付ける。このような構成によれば、界磁巻線U,V,およびWに電力回路34から3相交流電流を流すことによって筐体12内部に回転磁界を発生させることができる。
【0021】
なお、界磁巻線の数はフロントモータ10に要求される性能に応じて任意に決定することができる。この場合、各界磁巻線に流す電流の位相を界磁巻線の数および配置に応じて決定することで回転磁界を発生させる。
【0022】
回転子14は、筐体12内部に発生した回転磁界に応じてトルクを発生して回転し、そのトルクをモータシャフト16を介して前輪トルク伝達部18に与える。前輪トルク伝達部18はモータシャフト16から与えられたトルクを前輪20に伝え前輪20を駆動する。
【0023】
回転検出部22はフロントモータ10に取り付けられる。回転検出部22は、レゾルバ24、基準信号検知器28、およびR/Dコンバータ30を備えて構成される。
【0024】
レゾルバ24は、回転子14の絶対回転角φを求めるための励磁信号H、リファレンス信号CおよびSをR/Dコンバータ30に出力する。レゾルバ24としては、回転子14が停止している状態においても励磁信号H、リファレンス信号CおよびSを出力するものを適用する。
【0025】
図3にレゾルバ24の構成例を示す。レゾルバ24は、励磁信号発生部24−1、モータシャフト16に取り付けられたレゾルバロータ26、レゾルバロータ26の周りに所定の位置関係を以て配置された励磁用信号巻線24−2、ならびに2つの検知用信号巻線24−3および24−4を備えて構成される。レゾルバロータ26は、磁性体で形成され、モータシャフト16に関して回転非対称な形状を有する。励磁信号発生部24−1は、励磁用信号巻線24−2に正弦波電圧を印加し磁界を発生させる。また、励磁用信号巻線24−2に印加する電圧と同位相の正弦波信号である励磁信号HをR/Dコンバータ30に出力する。
【0026】
レゾルバロータ26は、モータシャフト16が回転すると共に回転する。励磁用信号巻線24−2が発生した磁界の強度はレゾルバロータ26が回転すると共に変化を受ける。検知用信号巻線24−3および24−4は変化を受けた磁界に基づいた信号を発生し、それぞれリファレンス信号CおよびSとしてR/Dコンバータ30に出力する。
【0027】
レゾルバロータ26の断面形状を楕円形状とし、励磁用信号巻線24−2、検知用信号巻線24−3および24−4をレゾルバロータ26の周りに90°の間隔を以て配置した場合について説明する。この場合、励磁用信号巻線24−2に正弦波電圧V0を印加すると、検知用信号巻線24−3および24−4には、それぞれ、レゾルバロータ26の回転角度位置θの三角関数で変調された電圧V1および電圧V2が現れる。したがって、励磁用信号巻線24−2に印加する電圧、検知用信号巻線24−3に現れる電圧V1、および検知用信号巻線24−4に現れる電圧V2による演算に基づいて、レゾルバロータ26の回転角度位置θ、すなわち、回転子14の絶対回転角φを求めることができる。
【0028】
基準信号検知器28は、回転子14が回転している状態において、回転子14の回転角度位置が基準回転角度位置に達するごとに単発パルス波形の基準信号ZをR/Dコンバータ30に出力する。
【0029】
R/Dコンバータ30は、基準信号Zの波形を調整し制御部42に出力する。また、リファレンス信号CおよびSをパルス信号に変換し、それぞれ、A相パルス信号およびB相パルス信号としてR/Dコンバータ30に出力する。A相パルス信号およびB相パルス信号は回転子14が1回転するごとに所定の数のパルス波形を示す。また、A相パルス信号とB相パルス信号との間には所定の位相差が設けられる。R/Dコンバータ30は、さらに、絶対回転角φを示す絶対角信号CSを、励磁信号H、リファレンス信号CおよびSに基づく演算により生成し、制御部42に出力する。
【0030】
リアモータ32は、電力回路34から出力される電力に基づいてトルクを発生して回転し、そのトルクを後輪トルク伝達部36に与える。後輪トルク伝達部36はリアモータ32から与えられたトルクを後輪38に伝え後輪38を駆動する。回転検出部40は、リアモータ32に取り付けられ、リアモータ32の回転状態を示す信号を制御部42に出力する。
【0031】
リアモータ32および回転検出部40としては、それぞれ、フロントモータ10および回転検出部22と同一の構成および機能を有するものを適用することができる。
【0032】
制御部42は、回転検出部22および40から出力される信号に基づいて電力回路34を制御する。電力回路34は、制御部42の制御に基づいて、フロントモータ10およびリアモータ32に電力を供給する。電力回路34は、電池、電圧を調整する昇降圧コンバータ回路、交流電力を直流電力に変換し直流電力を交流電力に変換するインバータ回路等によって構成することができる。
【0033】
操作部44は、イグニッションキー、アクセルペダル、ブレーキペダル等を含む。操作部44は、車両の走行状態を制御するための操作情報を運転者の操作に従って生成し、制御部42に出力する。
【0034】
電気自動車駆動システム100が車両を駆動する動作について図4のフローチャートを参照しつつ説明する。制御部42は、操作部44から車両の走行を開始する旨の操作情報を取得すると、絶対角信号CSの値が異常であるか否かを判定する(S101)。ここで、絶対角信号CSの値が異常であるとは、絶対角信号CSの値が制御部42が検知できない値であること、または、検知できる値であってもそれが示す絶対回転角φの値が設計で定められた範囲外であることをいう。この判定は、例えば、絶対角信号CSの大きさが十分であるか否か、絶対角信号CSが示す絶対回転角φが所定の範囲内にあるか否か等に基づいて行うことができる。
【0035】
制御部42は、絶対角信号CSの値が異常でないと判定したときは、回転子14を回転させるための磁界が界磁巻線U,V、およびWから発せられるよう、絶対角信号CSが示す絶対回転角φに基づいて電力回路34を制御する(S102)。例えば、回転子14が図2に示される状態にあるときは、界磁巻線Uの回転子14に近い側の端にS極が現れるよう界磁巻線Uから磁界を発生させることにより、磁極N0が界磁巻線Uに引きつけられる方向、すなわち時計回りに回転子14を回転させることができる。
【0036】
ステップS102によって回転子14は回転を開始し、前輪トルク伝達部18にトルクを与える。前輪トルク伝達部18は、回転子14から与えられたトルクを前輪20に伝達し、車両は走行を開始する。また、基準信号検知器28が正常であり、A相パルス信号およびB相パルス信号を求める構成部が正常である場合には、回転子14の回転によって基準信号Z、A相パルス信号およびB相パルス信号が回転検出部22から出力される。制御部42はステップS104の処理に移行する。
【0037】
一方、制御部42は、絶対角信号CSの値が異常であると判定したときは、車両を走行させるための電力がリアモータ32に出力されるよう電力回路34を制御する(S103)。電力回路34の制御は、リアモータ32に取り付けられた回転検出部40から出力される信号に基づいて行う。リアモータ32は、これによって回転を開始し後輪トルク伝達部36にトルクを与える。後輪トルク伝達部36は、リアモータ32から与えられたトルクを後輪38に伝達する。車両は走行を開始し後輪38と共に前輪20が回転する。前輪20は前輪トルク伝達部18にトルクを与え、フロントモータ10の回転子14は、前輪トルク伝達部18からトルクを取得して回転する。基準信号検知器28が正常であり、A相パルス信号およびB相パルス信号を求める構成部が正常である場合には、回転子14の回転によって基準信号Z、A相パルス信号およびB相パルス信号が回転検出部22から出力される。制御部42はステップS104の処理に移行する。
【0038】
制御部42は、基準信号Z、A相パルス信号およびB相パルス信号のそれぞれの値が正常であるか否かを判定する(S104)。ここで、基準信号Z、A相パルス信号およびB相パルス信号のそれぞれの値が正常であるとは、これらの信号の値が制御部42が検知できる値であることをいう。この判定は、例えば、基準信号Z、A相パルス信号およびB相パルス信号の値が、それぞれ所定の範囲内にあるか否かに基づいて行うことができる。制御部42は、これらの信号の値が正常である場合には、後述の通常制御に移行する(S105)。一方、これらの信号のうちいずれかの値が異常である場合には処理を終了する。
【0039】
ステップS101〜S105に従う処理においては、絶対角信号CSの値が異常でないときは、絶対角信号CSに基づいてフロントモータ10の回転を開始することにより車両を走行させる。そして、基準信号Z、A相パルス信号およびB相パルス信号の値が正常である場合には制御部42は通常制御を実行する。一方、絶対角信号CSの値が異常であるときは、リアモータ32の回転を開始することにより車両を走行させる。そして、車両の走行に伴って前輪20を回転させることにより回転子14を回転させる。このとき、回転子14の回転によって出力された基準信号Z、A相パルス信号およびB相パルス信号の値が正常である場合には制御部42は通常制御を実行する。
【0040】
このような処理によれば、絶対角信号CSに異常が生じた場合であっても、制御部42に通常制御を実行させることができる。通常制御は、後述のように、絶対角信号CSを必要としない制御である。したがって、通常制御に移行した後は、絶対角信号CSの値が異常であるか否かに関わらず車両の走行制御を行うことができ、十分な動力性能を得ることができる。
【0041】
通常制御において制御部42は、A相パルス信号およびB相パルス信号に基づいて回転子14の回転速度を求め、回転速度が所定の閾値VTh未満であるか否かを判定する。
【0042】
制御部42は回転速度が閾値VTh未満であるときはPWM制御(Pulse Wide Modulation)を行う。ここで、PWM制御とは、界磁巻線U,V、およびWに矩形波電流を流し、各界磁巻線に流れる矩形波電流のデューティ比を変化させることによりフロントモータ10に与える電力を調整する制御をいう。矩形波電流の周期は回転子14の回転周期より短いものとする。
【0043】
制御部42は、A相パルス信号およびB相パルス信号を計数することにより、基準絶対回転角φ0を基準とした回転子14の相対回転角Δを求める。そして、基準信号Zが立ち上がるごとに相対回転角Δを零とし、絶対回転角φをφ=φ0+Δとして求める。また、制御部42は、操作部44が出力する操作情報に基づいて、回転子14に発生させるトルク等を示す目標回転状態を決定する。そして、回転子14を目標回転状態とする回転磁界を発生させるための電流が界磁巻線U,V,およびWに流れるよう、求められた絶対回転角φに基づいて電力回路34を制御する。これによって、回転子14の絶対回転角φに応じた適切な回転磁界を発生させ、回転子14の回転状態を制御することができる。
【0044】
一方、制御部42は、回転速度が閾値VTh以上であるときは矩形制御を行う。ここで、矩形制御とは、界磁巻線U,V、およびWに基本波成分の位相が互いに120°異なる3相の矩形波電流を流し、各界磁巻線に流れる矩形波電流の波高値を変化させることによりモータに与える電力を調整する制御をいう。図2のように界磁巻線を3つ用いたモータの場合には、矩形波電流の周期を回転子14の回転周期と同期させる。より一般的には、モータに設ける界磁巻線の数に応じて各界磁巻線に流すべき矩形波電流の周期を決定する。
【0045】
制御部42は、操作部44が出力する操作情報に基づいて回転子14の目標回転状態を決定する。そして、回転子14の回転に同期し、回転子14を目標回転状態とする回転磁界を発生させるための電流が界磁巻線U,V,およびWに流れるよう、電力回路34を制御する。具体的には、基準信号Zのタイミングに同期した3相の矩形波電流が界磁巻線U,V、およびWに流れるよう電力回路34を制御し、回転子14の回転に同期した回転磁界を発生させる。これによって、回転子14の回転に応じた適切な回転磁界を発生させ、回転子14の回転状態を制御することができる。
【0046】
また、制御部42は、通常制御においては、フロントモータ10に対する制御の他、操作情報および車両の走行状態に応じて、電力回路34の制御を介してリアモータ32の制御を行う。これによって、急な上り坂の走行、急加速等を可能とする。
【0047】
なお、ここでは、回転検出部22に異常がある場合に車両の駆動を続行することが可能な構成について説明した。このような構成の他、リアモータ32に取り付けた回転検出部40に異常がある場合に車両の駆動を続行することが可能な構成とすることもできる。この場合、リアモータ32に取り付けられる回転検出部40を、フロントモータ10に取り付けられる回転検出部22と同一のものとする。そして、ステップS101〜S105においてフロントモータ10に対して行われている処理と同様の処理をリアモータ32に対して行い、リアモータ32に対して行われている処理と同様の処理をフロントモータ10に対して行う。すなわち、リアモータ32に取り付けられた回転検出部40から出力される絶対角信号CSの値が異常であるときは、フロントモータ10の回転を開始することにより車両を走行させ、車両の走行によってリアモータ32を回転させ、通常制御に移行させる処理を実行する。
【0048】
また、ここでは、フロントモータ10およびリアモータ32を備える電気自動車駆動システム100について説明した。このような電気自動車駆動システム100の他、フロントモータ10またはリアモータ32に加えて、車輪に取り付けられたインホイールモータを備える電気自動車駆動システムを構成することもできる。この場合、フロントモータ10またはリアモータ32に取り付けられた回転検出部から出力される絶対角信号CSの値が異常であるときは、インホイールモータの回転を開始することにより車両を走行させ、車両の走行によってフロントモータ10またはリアモータ32を回転させ、通常制御に移行させる処理を実行すればよい。
【0049】
次に、本発明の実施形態に係るパラレルハイブリッド車両駆動システム102について説明する。図5にパラレルハイブリッド車両駆動システム102の構成を示す。パラレルハイブリッド車両駆動システム102は、モータジェネレータ46、回転検出部22、電力回路34、エンジン48、スタータモータ50、トルク伝達部52、車輪54、制御部42および操作部44を備えて構成される。図1の電気自動車駆動システム100と同一の構成部については同一の符号を付してその説明を省略する。パラレルハイブリッド車両駆動システム102は、車両の走行に対するモータジェネレータ46の駆動力の寄与およびエンジン48の駆動力の寄与を、エネルギー効率に基づいて決定するものである。
【0050】
モータジェネレータ46には、図1のフロントモータ10と同一のものを適用する。すなわち、モータジェネレータ46は図2に示される構成を有し、筐体12、回転子14、モータシャフト16、界磁巻線U,V,およびWを備える。モータジェネレータ46は、動力源として動作するときはトルク伝達部52にトルクを与える。また、発電機として動作するときはトルク伝達部52からトルクを取得し、それによって発生した電力を電力回路34に出力する。モータジェネレータ46には回転検出部22が取り付けられる。
【0051】
電力回路34は、制御部42の制御に従い、モータジェネレータ46に電力を供給し、モータジェネレータ46から取得した電力を回収し充電する。
【0052】
エンジン48は、制御部42の制御に従い、トルク伝達部52またはスタータモータ50から取得したトルクによって始動し、稼働している状態においてトルク伝達部52にトルクを与える。
【0053】
トルク伝達部52は、モータジェネレータ46、エンジン48、および車輪54の相互間で授受されるトルクを伝達する。
【0054】
パラレルハイブリッド車両駆動システム102が車両を駆動する動作について図6のフローチャートを参照しつつ説明する。制御部42は、操作部44から車両の走行を開始する旨の操作情報を取得すると、絶対角信号CSの値が異常であるか否かを判定する(S201)。
【0055】
制御部42は、絶対角信号CSの値が異常でないと判定したときは、回転子14を回転させる磁界が界磁巻線U,V、およびWから発せられるよう、絶対角信号CSが示す絶対回転角φに基づいて電力回路34を制御する(S202)。
【0056】
ステップS202によって回転子14は回転を開始し、トルク伝達部52にトルクを与える。トルク伝達部52は、回転子14から与えられたトルクを車輪54に伝達し、車両は走行を開始する。また、基準信号検知器28が正常であり、A相パルス信号およびB相パルス信号を求める構成部が正常である場合には、回転子14の回転によって基準信号Z、A相パルス信号およびB相パルス信号が回転検出部22から出力される。制御部42はステップS204の処理に移行する。
【0057】
一方、制御部42は、絶対角信号CSの値が異常であると判定したときは、スタータモータ50を回転させることによってエンジン48を始動する(S203)。エンジン48はトルク伝達部52にトルクを与える。トルク伝達部52は、エンジン48から与えられたトルクを車輪54およびモータジェネレータ46の回転子14に伝達する。これによって車両が走行すると共に、回転子14はトルク伝達部52からトルクを取得して回転する。基準信号検知器28が正常であり、A相パルス信号およびB相パルス信号を求める構成部が正常である場合には、回転子14の回転によって基準信号Z、A相パルス信号およびB相パルス信号が回転検出部22から出力される。制御部42はステップS204の処理に移行する。
【0058】
制御部42は、基準信号Z、A相パルス信号およびB相パルス信号のそれぞれの値が正常であるか否かを判定する(S204)。そして、これらの信号の値が正常である場合には、通常制御に移行する(S205)。一方、これらの信号のうちいずれかの値が異常である場合には処理を終了する。
【0059】
ステップS201〜S205に従う処理においては、絶対角信号CSの値が正常であるときは、絶対角信号CSに基づいてモータジェネレータ46の回転を開始することにより車両を走行させる。そして、基準信号Z、A相パルス信号およびB相パルス信号のそれぞれの値が正常である場合には制御部42は通常制御を実行する。一方、絶対角信号CSの値が異常であるときは、エンジン48を始動することにより車両を走行させると共に、トルク伝達部52を介してモータジェネレータ46の回転子14を回転させる。このとき、回転子14の回転によって出力された基準信号Z、A相パルス信号およびB相パルス信号のそれぞれの値が正常である場合には制御部42に通常制御を実行させる。
【0060】
このような処理によれば、絶対角信号CSに異常が生じた場合であっても、制御部42に通常制御を実行させることができる。通常制御に移行した後は、絶対角信号CSの値が異常であるか否かに関わらず車両の走行制御を行うことができ、十分な動力性能を得ることができる。
【0061】
通常制御において制御部42は、操作部44が出力する操作情報および回転子14の回転速度に基づいて、モータジェネレータ46に対するPWM制御または矩形制御を行う。また、操作部44が出力する操作情報に基づいて、エンジン48の始動、停止、回転速度の制御等の回転状態の制御を行う。
【0062】
車両の走行に対するモータジェネレータ46の駆動力の寄与およびエンジン48の駆動力の寄与は、エネルギー効率が最も高くなるよう決定される。例えば、車両を急加速させるときは、モータジェネレータ46およびエンジン48の両者によって車両が加速されるよう、モータジェネレータ46およびエンジン48を制御する。また、車両を減速するときは、モータジェネレータ46が発電した電力が電力回路34に回収されるよう、モータジェネレータ46を制御し回生制動を行う。
【0063】
次に、本発明の実施形態に係るシリーズパラレルハイブリッド車両駆動システム104(以下、S/Pハイブリッド車両駆動システム104とする。)について説明する。図7にS/Pハイブリッド車両駆動システム104の構成を示す。S/Pハイブリッド車両駆動システム104は、第1モータジェネレータ56、第2モータジェネレータ58、回転検出部22,40、電力回路34、エンジン48、プラネタリギアユニット60、トランスミッションギア62(TMGと表記)、車輪54、制御部42および操作部44を備えて構成される。S/Pハイブリッド車両駆動システム104は、第2モータジェネレータ58またはエンジン48によって車両を駆動し、第1モータジェネレータ56によってエンジン48の回転制御およびエネルギーの回収を行うものである。図5のパラレルハイブリッド車両駆動システム102と同一の構成部については同一の符号を付してその説明を省略する。
【0064】
第2モータジェネレータ58には、図1のフロントモータ10と同一のものを適用する。第1モータジェネレータ56についても、図1のフロントモータ10と同一のものを適用することができる。また、第1モータジェネレータ56には回転検出部40が取り付けられ、第2モータジェネレータ58には回転検出部22が取り付けられる。
【0065】
プラネタリギアユニット60のサンギアには第1モータジェネレータ56が取り付けられ、リングギアには第2モータジェネレータ58が取り付けられる。また、プラネタリギアユニット60のキャリアにはエンジン48が取り付けられる。さらに、第2モータジェネレータ58のモータシャフト16にはトランスミッションギア62が取り付けられる。トランスミッションギア62には車輪54が取り付けられる。
【0066】
第1モータジェネレータ56は、動力源として動作するときはプラネタリギアユニット60にトルクを与える。また、発電機として動作するときはプラネタリギアユニット60からトルクを取得し、それによって発生した電力を電力回路34に出力する。
【0067】
第2モータジェネレータ58は、動力源として動作するときはプラネタリギアユニット60およびトランスミッションギア62にトルクを与える。また、発電機として動作するときはプラネタリギアユニット60またはトランスミッションギア62からトルクを取得し、それによって発生した電力を電力回路34に出力する。
【0068】
電力回路34は、制御部42の制御に従い、第1モータジェネレータ56または第2モータジェネレータ58に電力を供給し、第1モータジェネレータ56または第2モータジェネレータ58から取得した電力を回収し充電する。
【0069】
エンジン48は、制御部42の制御に従い、プラネタリギアユニット60から取得したトルクによって始動し、稼働している状態においてプラネタリギアユニット60にトルクを与える。
【0070】
プラネタリギアユニット60は、第1モータジェネレータ56、第2モータジェネレータ58およびエンジン48の相互間で授受されるトルクを伝達する。
【0071】
トランスミッションギア62は、第2モータジェネレータ58のモータシャフト16のトルクを車輪54に伝え、車輪54のトルクを第2モータジェネレータ58のモータシャフト16に伝える。
【0072】
S/Pハイブリッド車両駆動システム104が車両を駆動する動作について説明する。制御部42が実行する処理は、パラレルハイブリッド車両駆動システム102における処理と同様であるため、ここでは図6のフローチャートを援用する。
【0073】
制御部42は、操作部44から車両の走行を開始する旨の操作情報を取得すると、絶対角信号CSの値が異常であるか否かを判定する(S201)。
【0074】
制御部42は、絶対角信号CSの値が異常でないと判定したときは、第2モータジェネレータ58の回転子14を回転させる磁界が界磁巻線U,V、およびWから発せられるよう、絶対角信号CSが示す絶対回転角φに基づいて電力回路34を制御する(S202)。
【0075】
ステップS202によって第2モータジェネレータ58の回転子14は回転を開始し、トランスミッションギア62は、モータシャフト16から与えられたトルクを車輪54に伝達し、車両は走行を開始する。これと共にエンジン48および第1モータジェネレータ56は、プラネタリギアユニット60からトルクを取得して回転する。また、基準信号検知器28が正常であり、A相パルス信号およびB相パルス信号を求める構成部が正常である場合には、第2モータジェネレータ58の回転子14の回転によって基準信号Z、A相パルス信号およびB相パルス信号が回転検出部22から出力される。
【0076】
一方、制御部42は、絶対角信号CSの値が異常であると判定したときは、第1モータジェネレータ56を回転させることによってエンジン48を始動する(S203)。始動したエンジン48はプラネタリギアユニット60にトルクを与える。プラネタリギアユニット60は、エンジン48から与えられたトルクを第1モータジェネレータ56および第2モータジェネレータ58に伝達し、これによって第2モータジェネレータ58の回転子14が回転する。また、トランスミッションギア62は、モータシャフト16から与えられたトルクを車輪54に伝達し、車両は走行を開始する。基準信号検知器28が正常であり、A相パルス信号およびB相パルス信号を求める構成部が正常である場合には、第2モータジェネレータ58の回転子14の回転によって基準信号Z、A相パルス信号およびB相パルス信号が回転検出部22から出力される。
【0077】
制御部42は、基準信号Z、A相パルス信号およびB相パルス信号のそれぞれの値が正常であるか否かを判定する(S204)。そして、これらの信号の値が正常である場合には、通常制御に移行する(S205)。一方、これらの信号のうちいずれかの値が異常である場合には処理を終了する。
【0078】
このような処理によれば、絶対角信号CSに異常が生じた場合であっても、制御部42に通常制御を実行させることができる。通常制御に移行した後は、絶対角信号CSの値が異常であるか否かに関わらず第2モータジェネレータ58に対する制御を行うことができ、十分な動力性能を得ることができる。
【0079】
通常制御において制御部42は、操作部44が出力する操作情報および第2モータジェネレータ58の回転子14の回転速度に基づいて、第2モータジェネレータ58に対するPWM制御または矩形制御を行う。また、操作部44が出力する操作情報に基づいて、第1モータジェネレータ56の制御、エンジン48の始動、停止、回転速度の調整等の制御を行う。
【0080】
車両の走行に対する第2モータジェネレータ58の駆動力の寄与、車両の走行に対するエンジン48の駆動力の寄与、第1モータジェネレータ56に発電させる電力、および第2モータジェネレータ58に発電させる電力は、エネルギー効率が最も高くなるよう決定される。例えば、車両を急加速させるときは、第2モータジェネレータ58およびエンジン48の両者によって車両が加速されるよう、第1モータジェネレータ56、第2モータジェネレータ58およびエンジン48を制御する。また、車両を減速するときは、第1モータジェネレータ56または第2モータジェネレータ58が発電した電力が電力回路34に回収されるよう、第1モータジェネレータ56または第2モータジェネレータ58を制御し回生制動を行う。
【0081】
なお、ここでは、回転検出部22に異常がある場合に車両の駆動を続行することが可能な構成について説明した。このような構成の他、第1モータジェネレータ56に取り付けられた回転検出部40に異常がある場合に車両の駆動を続行することが可能な構成とすることもできる。この場合、第1モータジェネレータ56には、図1のフロントモータ10と同一のものを適用する。また、第1モータジェネレータ56に取り付ける回転検出部40は、図1の回転検出部22と同一のものとする。さらに、エンジン48には始動用のスタータモータを取り付ける。そして、第1モータジェネレータ56に取り付けられた回転検出部40から出力される絶対角信号CSが異常であるときは、スタータモータまたは第2モータジェネレータ58を回転させることにより第1モータジェネレータ56を回転させ、第1モータジェネレータの制御を続行すればよい。
【0082】
上記では、絶対角信号CSが異常である場合において車両の駆動を続行することが可能なシステムについて説明した。本発明の実施形態に係るシステムでは、絶対角信号CS、基準信号Z、若しくはA相パルス信号およびB相パルス信号が異常である旨が判定された場合に、その旨をユーザ、保守点検を行う者等に画像表示、ランプの点灯等によって報知する装置を設け、これらの信号のうちいずれかが異常である旨が判定された場合にその旨を報知する構成としてもよい。また、保守点検の際の便宜のため、異常状態を記憶させるダイアグ記憶装置を設け、異常状態を示す情報を記憶させる構成としてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0083】
【図1】電気自動車駆動システムの構成を示す図である。
【図2】フロントモータの断面図である。
【図3】レゾルバの構成例を示す図である。
【図4】電気自動車駆動システムが車両を駆動する動作を示すフローチャートである。
【図5】パラレルハイブリッド車両駆動システムの構成を示す図である。
【図6】パラレルハイブリッド車両駆動システムが車両を駆動する動作を示すフローチャートである。
【図7】シリーズパラレルハイブリッド車両駆動システムの構成を示す図である。
【符号の説明】
【0084】
10 フロントモータ、12 筐体、14 回転子、16 モータシャフト、18 前輪トルク伝達部、20 前輪、22,40 回転検出部、24 レゾルバ、24−1 励磁信号発生部、24−2 励磁用信号巻線、24−3,24−4 検知用信号巻線、26 レゾルバロータ、28 基準信号検知器、30 R/Dコンバータ、32 リアモータ、34 電力回路、36 後輪トルク伝達部、38 後輪、42 制御部、44 操作部、46 モータジェネレータ、48 エンジン、50 スタータモータ、52 トルク伝達部、54 車輪、56 第1モータジェネレータ、58 第2モータジェネレータ、60 プラネタリギアユニット、62 トランスミッションギア、100 電気自動車駆動システム、102 パラレルハイブリッド車両駆動システム、104 シリーズパラレルハイブリッド車両駆動システム、N0 基準となるN極の磁極、RB 回転子本体、Mg 永久磁石、U,V,W 界磁巻線。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
モータと、
前記モータの回転情報を出力するレゾルバと、
前記レゾルバにより出力された前記回転情報をディジタル変換するR/Dコンバータと、
前記R/Dコンバータの出力に基づいて前記モータを制御するモータ制御装置と、
を備えるモータ駆動自動車であって、
前記R/Dコンバータは、相対角信号と、基準信号と、絶対角信号と、を出力し、
前記モータ制御装置は、
前記絶対角信号の異常を検知する異常検知手段と、
前記基準信号および前記相対角信号が正常か否かを判断する判断手段と、
を有し、
前記異常検知手段により前記絶対角信号の異常が検知され、かつ、前記判断手段により前記基準信号および前記相対角信号が正常と判断された場合に、前記基準信号および前記相対角信号に基づいて前記モータの制御を開始することを特徴とするモータ駆動自動車。
【請求項2】
請求項1に記載のモータ駆動自動車であって、
前記モータ駆動自動車は、
前記モータとの間でトルクの授受を行うエンジンを備え、
前記モータと前記エンジンの少なくとも一方の動力により車輪を駆動して走行するハイブリッド車両であり、
前記モータ制御装置は、
前記異常検知手段により前記絶対角信号の異常が検知された場合に、
前記判断手段は、
前記モータ以外の動力により前記モータの回転子を回転させている際に出力される前記基準信号および前記相対角信号が正常か否かを判断することを特徴とするモータ駆動自動車。
【請求項3】
請求項2に記載のモータ駆動自動車において、
発電機と、プラネタリギアユニットと、を備え、
前記エンジンは前記プラネタリギアユニットのキャリアに、前記発電機は前記プラネタリギアユニットのサンギアに、前記モータは前記プラネタリギアユニットのリングギアに、それぞれ取り付けられ、
前記モータ制御装置は、
前記異常検知手段により絶対角信号の異常が検知された場合に、前記エンジンの動力により前記モータを回転させることを特徴とするモータ駆動自動車。
【請求項4】
請求項2に記載のモータ駆動自動車において、
前記モータとは別の第2モータと、
プラネタリギアユニットと、
を備え、
前記モータは発電を行うモータジェネレータであり、
前記エンジンは前記プラネタリギアユニットのキャリアに、前記モータは前記プラネタリギアユニットのサンギアに、前記第2モータは前記プラネタリギアユニットのリングギアに、それぞれ取り付けられ、
前記モータ制御装置は、
前記異常検知手段により絶対角信号の異常が検知された場合に、前記第2モータの動力により前記モータを回転させることを特徴とするモータ駆動自動車。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−295186(P2008−295186A)
【公開日】平成20年12月4日(2008.12.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−137576(P2007−137576)
【出願日】平成19年5月24日(2007.5.24)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】