説明

ユーザ動線生成サーバ、ユーザ動線生成方法、及びユーザ動線生成プログラム

【課題】位置情報の精度を考慮してユーザ群の移動動線を適切に生成する。
【解決手段】ユーザ動線生成サーバ10が、複数のユーザそれぞれの移動履歴を示す複数のユーザ移動履歴情報を記憶するユーザ移動履歴DB22を備え、ユーザ移動履歴DB22に記憶されている複数のユーザ移動履歴情報の中からユーザ動線の生成対象とするユーザ移動履歴情報を決定し、ユーザ動線の生成対象とするユーザ移動履歴情報それぞれに含まれている基準位置情報の精度を示す精度レベルに応じて、生成するユーザ動線の粗さを示す解像度レベルを決定し、決定した解像度レベル毎に、ユーザ移動履歴情報に含まれている基準位置情報が示す基準位置群から動線候補を生成し、生成した動線候補を分類し、分類された動線候補群毎に、解像度に応じてユーザ動線を生成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のユーザの移動履歴に基づいてユーザ群の動線を示すユーザ動線を生成するユーザ動線生成サーバ、ユーザ動線生成方法、及びユーザ動線生成プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、GPS(Global Positioning System)などによる測位機能を有する携帯電話端末などの携帯端末が普及してきており、そのような携帯端末からインターネット等の通信ネットワークを介して位置情報を収集し、携帯端末を携帯するユーザの移動状況を解析する各種のシステムが提案されている(例えば特許文献1−2,非特許文献1−2参照)。
【0003】
特許文献1には、GPSによる測位機能を有する携帯電話端末などから位置情報を収集し、その位置情報の履歴に基づいて行動目的地として考えられるトリップエンドをより正確に抽出し、公共性が高い要衝地を自動的に解するシステムが開示されている。また、特許文献2には、カーナビゲーションの付加機能として、衛星測位されて得た位置情報などからマップマッチングして得た経路情報を群別して記憶し、目的地が設定されていない場合でも記憶されている群別された経路情報を用いて、経路を予測し、予測経路上の道路交通情報を受信して、よりよい案内ができるようなシステムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−146249号公報
【特許文献2】特開2000−266562号公報
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】堀口良太,長岡亨,畑成年、“GPS携帯電話による大規模パーソンプローブ調査のためのトリップ情報抽出手法に関する研究・第33回土木計画学研究発表会(春大会)講演集”、CD−ROM、2006年6月
【非特許文献2】上坂吉則、“開曲線にも適用できる新しいフーリエ記述子”、電子情報通信学会誌文誌A Vol.J67−A No.3、PP166−173
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところが、従来のシステムでは、単に携帯端末からの位置情報に基づいて移動経路を導出しているだけであり、測位精度などに起因する位置情報の精度のばらつきが考慮されていないため、位置情報の精度によっては誤った移動経路を導出することになってしまうおそれがある。
【0007】
また、従来のシステムでは、カーナビゲーションシステムでの利用を前提とし、マップマッチングによる経路探索を行うようにしているため、道路や線路のベクトル情報が存在する範囲でしかユーザの移動経路を導出することができない。
【0008】
一方、ユーザの移動状況を示す情報の利用目的によっては、個別のユーザの移動経路は必要でなく、ユーザ群の移動動線が特に必要とされる場合も多いと考えられる。しかしながら、上記のような従来のシステムでは、位置情報の精度が考慮されておらず、マップマッチングにより道路上にマッチングした上で、群別された動線が生成されるので、得られた位置情報の精度が悪い場合や、公園、山、海、空といった道路情報にマッチングできない箇所での移動を動線として捉えることはできないという問題があった。
【0009】
本発明は、上述した問題を解消し、位置情報の精度を考慮してユーザ群の移動動線を適切に生成することができるユーザ動線生成サーバ、ユーザ動線生成方法、及びユーザ動線生成プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明のユーザ動線生成サーバは、複数のユーザの移動履歴に基づいてユーザ群の動線を示すユーザ動線を生成するユーザ動線生成サーバであって、複数のユーザそれぞれの移動履歴を示す複数のユーザ移動履歴情報を記憶するユーザ移動履歴情報記憶手段と、前記ユーザ移動履歴情報記憶手段に記憶されている複数のユーザ移動履歴情報の中からユーザ動線の生成対象とするユーザ移動履歴情報を決定する生成対象決定手段と、ユーザ動線の生成対象とするユーザ移動履歴情報それぞれに含まれている基準位置情報の精度を示す精度レベルに応じて、生成するユーザ動線の粗さを示す解像度レベルを決定する解像度レベル決定手段と、決定した解像度レベル毎に、ユーザ移動履歴情報に含まれている基準位置情報が示す基準位置群から動線候補を生成する動線候補生成手段と、生成された動線候補を分類する動線候補分類手段と、分類された動線候補群毎に、解像度に応じてユーザ動線を生成する動線生成手段とを含むことを特徴とする。
【0011】
上記のように構成したことで、位置情報の精度を考慮してユーザ群の移動動線を適切に生成することができるようになる。
【0012】
複数のユーザがそれぞれ使用する複数のユーザ端末から、当該ユーザ端末にて測位された測位位置を含む位置関連情報を受信する位置関連情報受信手段と、該位置関連情報受信手段が受信した位置関連情報に含まれている測位位置を基準位置とし、基準位置を示す基準位置情報と該当ユーザを示すユーザIDとを含むユーザ移動履歴情報を前記ユーザ移動履歴情報記憶手段に登録するユーザ移動履歴情報登録手段とを含む構成とされていてもよい。
【0013】
前記位置関連情報受信手段は、ユーザ端末から測位種別を示す測位種別情報を含む位置関連情報を受信し、前記ユーザ移動履歴情報登録手段は、前記位置関連情報受信手段が受信した位置関連情報に含まれている測位種別情報が示す測位種別に応じて測位精度を示す精度レベルを基準位置情報の精度レベルとして決定し、決定した精度レベルを含むユーザ移動履歴情報を前記ユーザ移動履歴情報記憶手段に登録する構成とされていてもよい。
【0014】
前記位置関連情報受信手段は、ユーザ端末における測位種別に応じた測位精度を示す精度レベルを示す精度レベル情報を含む位置関連情報を当該ユーザ端末から受信し、前記ユーザ移動履歴情報登録手段は、前記位置関連情報受信手段が受信した位置関連情報に含まれている精度レベル情報が示す精度レベルを含むユーザ移動履歴情報を前記ユーザ移動履歴情報記憶手段に登録する構成とされていてもよい。
【0015】
複数のユーザがそれぞれ使用する複数のユーザ端末から、当該ユーザ端末にて測位された測位位置を含む位置関連情報を受信する位置関連情報受信手段と、該位置関連情報受信手段が受信した位置関連情報に含まれている測位位置と、該当ユーザに設定されているプライバシーレベルとに基づいて、基準位置を示す基準位置情報を生成し、生成した基準位置情報と該当ユーザを示すユーザIDとを含むユーザ移動履歴情報を生成するユーザ移動履歴情報生成手段と、生成されたユーザ移動履歴情報を前記ユーザ移動履歴情報記憶手段に登録するユーザ移動履歴情報登録手段とを含む構成とされていてもよい。
【0016】
前記ユーザ移動履歴情報生成手段は、前記位置関連情報受信手段が受信した位置関連情報に含まれている測位位置から、該当ユーザに設定されているプライバシーレベルに応じて位置をずらした基準位置を示す基準位置情報を生成する構成とされていてもよい。
【0017】
前記動線生成手段は、解像度に従って、ラインの太さが異なるユーザ動線を生成する構成とされていてもよい。
【0018】
ユーザ動線を含むユーザ動線関連情報を記憶するユーザ動線関連情報記憶手段と、前記動線候補生成手段によって生成された動線候補と、前記ユーザ動線関連情報記憶手段に記憶されているユーザ動線関連情報に含まれているユーザ動線とのパターンマッチングを行うパターンマッチング手段とを含み、前記動線生成手段は、マッチするユーザ動線が存在している場合には、パターンマッチング対象となった動線候補とユーザ動線とを平均化した新たなユーザ動線を生成し、生成したユーザ動線を含むユーザ動線関連情報を前記ユーザ動線関連情報記憶手段に登録する構成とされていてもよい。
【0019】
また、本発明のユーザ動線生成方法は、複数のユーザの移動履歴に基づいてユーザ群の動線を示すユーザ動線を生成するユーザ動線生成方法であって、複数のユーザそれぞれの移動履歴を示す複数のユーザ移動履歴情報を記憶するユーザ移動履歴情報記憶手段に記憶されている複数のユーザ移動履歴情報の中からユーザ動線の生成対象とするユーザ移動履歴情報を決定する生成対象決定処理と、ユーザ動線の生成対象とするユーザ移動履歴情報それぞれに含まれている基準位置情報の精度を示す精度レベルに応じて、生成するユーザ動線の粗さを示す解像度レベルを決定する解像度レベル決定処理と、決定した解像度レベル毎に、ユーザ移動履歴情報に含まれている基準位置情報が示す基準位置群から動線候補を生成する動線候補生成処理と、生成した動線候補を分類する動線候補分類処理と、分類した動線候補群毎に、解像度に応じてユーザ動線を生成する動線生成処理とを含むことを特徴とする。
【0020】
さらに、本発明のユーザ動線生成プログラムは、複数のユーザの移動履歴に基づいてユーザ群の動線を示すユーザ動線を生成するユーザ動線生成プログラムであって、コンピュータに、複数のユーザそれぞれの移動履歴を示す複数のユーザ移動履歴情報を記憶するユーザ移動履歴情報記憶手段に記憶されている複数のユーザ移動履歴情報の中からユーザ動線の生成対象とするユーザ移動履歴情報を決定する生成対象決定処理と、ユーザ動線の生成対象とするユーザ移動履歴情報それぞれに含まれている基準位置情報の精度を示す精度レベルに応じて、生成するユーザ動線の粗さを示す解像度レベルを決定する解像度レベル決定処理と、決定した解像度レベル毎に、ユーザ移動履歴情報に含まれている基準位置情報が示す基準位置群から動線候補を生成する動線候補生成処理と、生成した動線候補を分類する動線候補分類処理と、分類した動線候補群毎に、解像度に応じてユーザ動線を生成する動線生成処理とを実行させるためのものである。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、位置情報の精度を考慮してユーザ群の移動動線を適切に生成することができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の一実施の形態におけるユーザ動線生成システムの構成例を示すブロック図である。
【図2】ユーザ移動履歴情報の例を示す説明図である。
【図3】ユーザ移動履歴情報登録処理の例を示すフローチャートである。
【図4】動線生成処理の例を示すフローチャートである。
【図5】ユーザ移動履歴情報に含まれる各基準位置情報が示すそれぞれの基準位置の例を示す説明図である。
【図6】基準位置群から抽出した各POI間を時系列で線によって繋げた状態の例を示す説明図である。
【図7】図6に示す移動経路を平滑化した状態の例を示す説明図である。
【図8】プライバシーレベルに応じて調整された基準位置群から抽出した各POI間を時系列で線によって繋げた状態の例を示す説明図である。
【図9】図8に示す移動経路を平滑化した状態の例を示す説明図である。
【図10】動線候補の例を示す説明図である。
【図11】動線候補群の例を示す説明図である。
【図12】分類された動線候補群の例を示す説明図である。
【図13】分類された動線候補群の例を示す説明図である。
【図14】分類された動線候補群の例を示す説明図である。
【図15】動線の例を示す説明図である。
【図16】動線の例を示す説明図である。
【図17】動線の例を示す説明図である。
【図18】動線関連情報の例を示す説明図である。
【図19】動線生成処理の他の例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
図1は、本発明の一実施の形態におけるユーザ動線生成システム100の構成例を示すブロック図である。
【0024】
図1に示すように、ユーザ動線生成システム100は、ユーザ動線生成サーバ10と、複数のユーザ端末31〜3N(Nは任意の正の整数)とを含む。ユーザ動線生成サーバ10と、複数のユーザ端末31〜3Nとは、無線通信回線、公衆電話回線、インターネットなどの通信ネットワークとによって接続される。
【0025】
ユーザ動線生成サーバ10は、履歴情報登録処理部11と、動線生成処理部12と、ユーザDB21と、ユーザ移動履歴DB22と、動線DB23とを含む。
【0026】
履歴情報登録処理部11は、ユーザ端末31〜3Nから後述する位置関連情報を受信したことに応じて、後述するユーザ移動履歴情報をユーザ移動履歴DB22に登録する処理などの各種の処理を実行する機能を有する。
【0027】
動線生成処理部12は、ユーザ移動履歴DB22に登録されたユーザ移動履歴情報に基づいて、動線を生成する処理などの各種の処理を実行する機能を有する。
【0028】
ユーザDB21、ユーザ移動履歴DB22、及び動線DB23は、RAM等の記憶媒体によって構成される。ユーザDB21、ユーザ移動履歴DB22、及び動線DB23は、ユーザ動線生成サーバ10の内部に設けられていても外部に設けられていてもよい。
【0029】
ユーザDB21は、ユーザ登録を行っているユーザに関するユーザ情報を記憶するDBである。「ユーザ情報」は、ユーザの氏名、ユーザID、ユーザ端末の端末ID、プライバシーレベルなどのユーザに関連する各種の情報が対応付けされた情報である。なお、本例では、ユーザ端末31〜3Nを使用する各ユーザは、ユーザ登録しているものとする。「プライバシーレベル」は、正確な測位位置を第三者に知られないよう意図的に加える誤差のレベルであって、例えば、ユーザの希望に応じて、複数段階のレベルの何れかに予め設定されているものとする。
【0030】
ユーザ移動履歴DB22は、各ユーザの移動履歴を示すユーザ移動履歴情報を記憶するDBである。「ユーザ移動履歴情報」は、例えば図2に示すように、ユーザIDと、対応する位置情報が示す位置を測位したときの日時と、その日時毎の位置情報の精度と、測位した位置に基づいて定められる基準位置を示す基準位置情報などの移動履歴に関連する各種の情報が対応付けされてユーザ毎にまとめられた情報である。図2では、ユーザ端末31を使用するユーザXのユーザ移動履歴情報が示されているものとする。「基準位置情報」は、基準緯度、基準経度、及び基準高度によって表される。なお、「基準位置情報」は、基準緯度及び基準経度によって表されるものであってもよい。
【0031】
動線DB23は、動線データと、動線データが示す動線の生成に用いられたユーザ移動履歴情報と、動線データの解像度とを含む動線関連情報が登録されるDBである。解像度については後で詳しく説明する。
【0032】
各ユーザ端末31〜3Nは、それぞれ、例えば携帯電話端末や携帯情報端末(PDA)などの情報処理装置により構成され、GPSによる測位機能などの自己位置を特定する機能と、通信ネットワークに接続するための機能とを備えているものとする。
【0033】
次に、本例のユーザ動線生成システム100の動作について説明する。
図3は、ユーザ動線生成システム100を構成するユーザ動線生成サーバ10(特に履歴情報登録処理部11)が実行するユーザ移動履歴情報登録処理の例を示すフローチャートである。ここでは、登録ユーザであるユーザXが使用するユーザ端末31からの位置関連情報を受け付けて、ユーザ移動履歴情報を登録する場合を例に説明する。
【0034】
ユーザ端末31は、ユーザXに携帯されてユーザXとともに移動するものとし、例えば定期的に自己位置を特定して位置関連情報を生成し、生成した位置関連情報を通信ネットワークを介してユーザ動線生成サーバ10に送信するものとする。「位置関連情報」は、ユーザIDと、測位した自己位置を示す自己位置情報(例えば、緯度、経度、及び高度からなる情報)と、測位方式種別と、測位した日時を示す測位日時情報とを含む。
【0035】
「測位方式種別」は、ユーザ端末31の自己位置を示す位置情報の特定方法の種別を意味し、本例では、衛星測位(GPSによる測位)、WiFi(Wireless Fidelity)測位(WiFiによる無線LAN網においてユーザ端末31と無線接続された無線基地局の設置位置を自己位置とする測位)、セル測位(無線通信網においてユーザ端末31と無線接続された無線基地局の設置位置を自己位置とする測位)の3種類の測位方式がある場合を例に説明する。
【0036】
ユーザ移動履歴情報登録処理において、ユーザ動線生成サーバ10は、登録ユーザであるユーザXが使用するユーザ端末31から位置関連情報を受信すると(ステップS101)、受信した位置関連情報に含まれている測位種別に従って精度を決定する(ステップS102)。なお、本例では3種類の測位種別に応じた3段階の測位精度があるものとしているが、衛星測位レベルを複数段階(例えば3段階)に分けて、衛星測位レベル(3段階)、セル測位レベル、WiFi測位レベルの5段階の測位精度があるものとしてもよい。すなわち、衛星測位レベルは、利用する衛星の幾何的条件(天空の開き具合)などによって精度が変わるため、幾何的条件によって段階を設けるようにしてもよい。
【0037】
本例では、精度が高いものから順番にAランク〜Cランクの3段階に区分けしているものとする。ステップS102では、ユーザ動線生成サーバ10は、測位種別が衛星測位であれば最高の精度を意味するAランク(誤差10m以内の精度を示すランク)に決定し、WiFi測位であればAランクの次に良い精度であることを示すBランク(誤差数10m程度の精度を示すランク)に決定し、セル測位であれば最低の精度を意味するCランク(誤差500m程度の精度を示すランク)に決定する。
【0038】
次に、ユーザ動線生成サーバ10は、ステップS101にて受信した位置関連情報に含まれている自己位置情報と、該当ユーザXに設定されているプライバシーレベルとに基づいて、基準位置を決定する(ステップS103)。具体的には、ステップS103にて、ユーザ動線生成サーバ10は、例えば、ユーザXに設定されているプライバシーレベルに応じた誤差範囲内の任意の位置、あるいはユーザXに設定されているプライバシーレベルに応じた誤差範囲内においてあらかじめ定められた所定方向に所定距離(例えばプライバシーレベルに応じて定められている距離)移動させた位置を基準位置に決定する処理を行う。なお、プライバシーレベルが最低レベル(例えばレベル1)である場合には、ユーザ動線生成サーバ10は、ステップS103にて、ステップS101にて受信した位置関連情報に含まれている自己位置情報が示す位置をそのまま基準位置に決定する。
【0039】
ステップS103の処理によって、ユーザ端末31にて測位された自己位置情報が示す位置をプライバシーレベルに応じてずらした位置を基準位置とすることができる。よって、各ユーザが実際に移動した経路を不確かなものにすることができ、各ユーザのプライバシーを守ることが可能となる。本例では、複数のユーザ群の移動動線を生成することが目的であるため、プライバシーレベルに応じてずらした位置を基準位置としても支障はない。
【0040】
そして、ユーザ動線生成サーバ10は、ステップS101にて受信した位置関連情報に含まれているユーザIDが示すユーザのユーザ移動履歴情報として、自己位置情報と、ステップS102にて決定した精度と、ステップS101にて受信した位置関連情報に含まれている測位日時情報が示す日時と、ステップS103にて決定した基準位置とを含むユーザ移動履歴情報を登録する(ステップS104)。
【0041】
上記のようなステップS101〜S104の処理を繰り返し実行することで、ユーザ動線生成サーバ10は、各ユーザ端末31〜3Nから位置関連情報を受信する毎に、各ユーザ毎のユーザ移動履歴情報を蓄積していく。各ユーザ移動履歴情報は、それぞれ、例えば測位日時情報が示す日時の順番に、時系列に登録される。
【0042】
なお、上記の例では、各ユーザ端末31〜3Nから位置関連情報を受信したユーザ動線生成サーバ10が、ステップS102にて精度を決定し、ステップS103にて基準位置を決定する構成としているが、位置関連情報に測位精度と基準位置(測位位置、あるいは測位位置をプライバシーレベルに応じてずらした位置)の情報を含むこととし、ユーザ動線生成サーバ10が、各ユーザ端末31〜3Nから受信した位置関連情報をそのままユーザ移動履歴情報として登録する構成としてもよい。この場合、例えば各ユーザ端末31〜3Nによって測位種別から精度を決定する処理等が実行されることとなり、ユーザ移動履歴情報登録処理は、ステップS101とステップS104とによって構成されることになる。
【0043】
また、位置関連情報に測位精度と基準位置(測位位置)の情報を含むこととし、ユーザ動線生成サーバ10が、各ユーザ端末31〜3Nから受信した位置関連情報に含まれる測位精度をそのままユーザ移動履歴情報として登録するとともに、位置関連情報に含まれる測位位置をプライバシーレベルに基づき必要に応じてずらした位置を基準位置とし、その基準位置をユーザ移動履歴情報として登録するようにしてもよい。この場合、例えば各ユーザ端末31〜3Nによって測位種別から精度を決定する処理が実行されることとなり、ユーザ移動履歴情報登録処理は、ステップS101、ステップS103およびステップS104によって構成されることになる。
【0044】
次に、ユーザ動線生成システム100を構成するユーザ動線生成サーバ10が実行する動線生成処理について説明する。図4は、ユーザ動線生成サーバ10(特に動線生成処理部12)が実行する動線生成処理の例を示すフローチャートである。
【0045】
動線生成処理において、ユーザ動線生成サーバ10は、ユーザ移動履歴DB22に登録されているユーザ移動履歴情報のうち、ここでの処理対象とするユーザ移動履歴情報を決定する(ステップS201)。ステップS201では、例えば、オペレータによって指定されたユーザのユーザ移動履歴情報、オペレータによって指定されたエリア内を通過しているユーザのユーザ移動履歴情報、オペレータによって指定された時間内に移動しているユーザのユーザ移動履歴情報などに決定するようにすればよい。なお、ユーザ移動履歴情報に対応ユーザの年齢や性別を含むこととし、年齢や性別によって処理対象とするユーザ移動履歴情報を決定するようにしてもよい。また、各ユーザそれぞれのユーザ移動履歴情報の一部(指定されたエリアや時間に合致する部分)を処理対象とするようにしてもよい。
【0046】
処理対象とするユーザ移動履歴情報を決定すると、ユーザ動線生成サーバ10は、ユーザ移動履歴DB22から処理対象とするユーザ移動履歴情報を読み出し、各ユーザ移動履歴情報に登録されている精度に応じて、生成する動線の解像度を1又は2以上決定する(ステップS202)。本例では、精度と同様に、解像度が高い方からランクA〜Cの3つのランクがあるものとする。なお、「解像度」とは、粗い動線や細かい動線といった動線の粗さ(粒度)を意味するものとする。
【0047】
ステップS202では、ユーザ動線生成サーバ10は、精度のランクに応じて解像度のランクを決定する。ユーザ動線生成サーバ10は、精度のランクが複数存在しているユーザ移動履歴情報については、例えば最も低いランクCの解像度とすることに決定する。ユーザ動線生成サーバ10は、全てのユーザ移動履歴情報について解像度を決定し、解像度別にユーザ移動履歴情報を振り分け、振り分けられたユーザ移動履歴情報が存在する解像度の動線を生成することに決定する。
【0048】
具体的には、解像度ランクAのユーザ移動履歴情報のみが存在していた場合には、生成する動線の解像度をランクAのみに決定する。また、解像度ランクAと解像度ランクBのユーザ移動履歴情報が存在していた場合には、生成する動線の解像度をランクAとランクBの2つに決定する。本例では、説明の簡単のため、生成する動線の解像度をランクAのみとしたものとする。
【0049】
次に、ユーザ動線生成サーバ10は、各ユーザ移動履歴情報毎に、それぞれ、該当するユーザ移動履歴情報に含まれる各基準位置情報が示すそれぞれの基準位置に基づいて、移動区間及び滞在区間を決定し(ステップS203)、決定した滞在区間からPOI(Point Of Interface,Point Of Interest)を抽出する(ステップS204)。このステップS203及びステップS204の処理は、公知の技術によって実行される。具体的には、例えば、このPOIを抽出する処理では、非特許文献1で述べられている手法以外に、10秒〜30秒程度間隔で取得された位置情報を、例えば、1秒毎にサンプリングし、このサンプリングされた位置情報を、10秒や30秒といった固定された時間枠で区間平均速度や区間移動距離/区間総移動距離などを用いて分析し、静止している区間、滞在している区間を発見するようにしてもよい。また、この固定された時間枠は、公園やテーマパークで過ごした時間帯をすべて滞在区間と見なすために、1時間とか2時間といった大きな時間枠を取るようにしてもよい。
【0050】
図5は、あるユーザのユーザ移動履歴情報に含まれる各基準位置情報が示すそれぞれの基準位置の例を示す説明図である。図6は、図5の基準位置群から移動区間及び滞在区間を決定し、滞在区間からPOIを抽出し、各POI間を時系列で線によって繋げた状態の例を示す説明図である。
【0051】
ステップS203〜ステップS204の処理によって、ユーザ移動履歴情報から例えば図6に示すような折線の移動経路が生成される。すなわち、ステップS203〜ステップS204の処理を繰り返し実行することによって、ユーザ動線生成サーバ10は、各ユーザ移動履歴情報毎にそれぞれ例えば図6に示すような折線の移動経路を生成する。
【0052】
次に、ユーザ動線生成サーバ10は、POI間を時系列で接続した折線の移動経路それぞれについて、折線を平滑化するための演算処理を行うことによって、動線候補をそれぞれ生成する(ステップS205)。例えば、図6に示すような折線の移動経路を平滑化して、図7に示すような滑らかな曲線の動線候補を生成する。折線を平滑化するための演算処理は、例えば、非特許文献2で述べられているP形フーリエ記述子を用いれば、低周波成分に原曲線の慨形情報が含まれるという特徴を用いることで実現できる。具体的には、時系列で接続した折線(時系列に並べられた緯度、経度情報)を複素平面上の点列とみなし、これを原曲線とする。この原曲線を一定の長さ(δ)で分割し、この分割された線分と実軸からなる角度を方位角とし、このδと方位角を用いて原曲線を表現する(P表現)。次に、P表現で近似された原曲線を、離散フーリエ変換したものが非特許文献2で述べられているP形フーリエ記述子と呼ばれるものである。このP形フーリエ記述されたものから、N次までの低域成分を用いて、逆離散フーリエ変換したものが、原曲線のN次の再生曲線と呼ばれる。なお、上記の技術を用いると、例えば図8に示すようにプライバシー保護のために位置情報に大きな誤差が挿入された場合でも、例えば図9に示すように折線を平滑化することができる。
【0053】
上記の処理を行うことによって、各ユーザのユーザ移動履歴情報から複数の動線候補が生成される。本例では、例えば、図10に、あるPOI(高田馬場駅から早稲田大学)間の15通りのユーザの位置情報履歴(プライバシー保護のために、位置情報に大きな誤差が挿入されている)を折線で表示した。さらに、図11に、これらの折線の移動経路をN次P形フーリエ記述子の次元数を3として平滑化し、動線候補が生成されたものを示す。
【0054】
次に、ユーザ動線生成サーバ10は、生成した複数の動線候補を分類する処理を行う(ステップS206)。ステップS206では、ユーザ動線生成サーバ10は、例えば、動線候補のN次のP形フーリエ記述子について、K−means法などの公知のクラスタリング処理技術を用いて分類する処理を行う。ステップS206の処理によって、図11に示すような動線候補が、例えば図12に示す第1群、図13に示す第2群、図14に示す第3群のように、複数の異なる群に分類される。
【0055】
動線候補を分類すると、ユーザ動線生成サーバ10は、分類された動線候補群毎に動線を生成する(ステップS207)。ステップS207では、ユーザ動線生成サーバ10は、例えば、動線候補群からN次のP形フーリエ記述子で平均をとることによって、動線候補群における平均的な曲線を動線として生成する。ステップS207の処理によって、例えば図12に示す第1群の動線候補群から図15に示すような動線が生成され、図13に示す第2群の動線候補群から図16に示すような動線が生成され、図14に示す第3群の動線候補群から図17に示すような動線が生成される。なお、図15〜図17には、図12〜図14の分類された動線候補も記した上で、それらから生成された動線を記している。
【0056】
また、ステップS207では、ユーザ動線生成サーバ10は、例えば、解像度に従って、ラインの太さが異なるユーザ動線を生成する。具体的には、解像度が高いほど細いラインのユーザ動線を生成し、解像度が低いほど太いラインのユーザ動線を生成する。
【0057】
そして、ユーザ動線生成サーバ10は、生成した動線を示す動線データとその動線データの解像度とを含む動線関連情報を動線DB23に登録する(ステップS208)。動線関連情報は、動線データと、その動線データを一意に特定可能な動線IDと、動線データが示す動線の生成に用いられたユーザ移動履歴情報と、動線データの解像度とを含む情報である。
【0058】
動線関連情報の例を図18に記す。図18において、移動元POI、及び移動先POIは、中心点からある半径内にある領域をPOIとしたが、多角形であってもよい。また、POI自体のDBを作成し、そのPOIのIDを外部参照するという形にしてもよい。テンプレート情報のN次P形フーリエ記述子の各要素は複素数である。図18においては、次元数3を例として挙げており、この場合、N次P形フーリエ記述子の要素数は、3×2+1=7個になる。
【0059】
上記のようにして、ユーザ動線生成サーバ10は、複数のユーザ移動履歴情報に基づいて、解像度が特定された動線を生成する処理を実行する。
【0060】
以上に説明したように、複数のユーザの移動履歴に基づいてユーザ群の動線を示すユーザ動線を生成するユーザ動線生成サーバ10が、複数のユーザそれぞれの移動履歴を示す複数のユーザ移動履歴情報を記憶するユーザ移動履歴DB22を備え、ユーザ移動履歴DB22に記憶されている複数のユーザ移動履歴情報の中からユーザ動線の生成対象とするユーザ移動履歴情報を決定し、ユーザ動線の生成対象とするユーザ移動履歴情報それぞれに含まれている基準位置情報の精度を示す精度レベルに応じて、生成するユーザ動線の粗さを示す解像度レベルを決定し、決定した解像度レベル毎に、ユーザ移動履歴情報に含まれている基準位置情報が示す基準位置群から動線候補を生成し、生成した動線候補を分類し、分類された動線候補群毎に、解像度に応じてユーザ動線を生成する構成としたので、位置情報の精度を考慮してユーザ群の移動動線を適切に生成することができるようになる。
【0061】
すなわち、ユーザ動線生成サーバ10が、ユーザ移動履歴情報それぞれに含まれている基準位置情報の精度を示す精度レベルに応じて解像度レベルを決定し、決定した解像度レベル毎に動線候補を生成して分類し、分類された動線候補群毎に、解像度に応じてユーザ動線を生成する構成としたので、マップマッチングなどによって道路上にマッチングさせることなく、測位精度などに起因する位置情報の精度のばらつきが加味されたユーザ動線を生成することができ、位置情報の精度を考慮したユーザ群の移動動線を適切に生成することができるようになる。
【0062】
また、マップマッチングなどによって道路上にマッチングさせることなくユーザ動線を生成するようにしているため、道路や線路のベクトル情報が存在しない範囲(例えば、公園やテーマパーク、山、海、空など)であってもユーザ動線を生成することが可能となる。
【0063】
また、上記のようにして、ユーザ動線生成サーバ10が、複数のユーザ移動履歴情報に基づいて、解像度に応じた動線を生成する構成としているので、通行量や交通量のより詳細かつ、低コスト、リアルタイムな把握ができるようになり、またその周期特性を把握できるようになる。よって、例えば、高齢者や幼児、障害者の行動特性の把握による安心、安全な街作りに貢献することができるようになる。さらに、高度な市場分析にも貢献することが期待できる。
【0064】
また、上述した実施の形態では、ユーザ動線生成サーバ10が、複数のユーザがそれぞれ使用する複数のユーザ端末31〜3Nから、そのユーザ端末31〜3Nにて測位された測位位置を含む位置関連情報を受信し、受信した位置関連情報に含まれている測位位置を基準位置とし、基準位置を示す基準位置情報と該当ユーザを示すユーザIDとを含むユーザ移動履歴情報をユーザ移動履歴DB22に登録する構成としているので、ユーザ端末31〜3Nより受信した位置関連情報に含まれている測位位置をそのまま基準位置を示す基準位置情報を生成して登録することができ、登録したユーザ移動履歴情報に基づいてユーザ群の移動動線を適切に生成することができるようになる。
【0065】
また、上述した実施の形態では、ユーザ動線生成サーバ10が、ユーザ端末から測位種別を示す測位種別情報を含む位置関連情報を受信し、受信した位置関連情報に含まれている測位種別情報が示す測位種別に応じて測位精度を示す精度レベルを基準位置情報の精度レベルとして決定し、決定した精度レベルを含むユーザ移動履歴情報をユーザ移動履歴DB22に登録する構成としているので、測位種別に応じて適切に決定された精度レベルをユーザ移動履歴情報に含めることが可能となる。
【0066】
また、上述した実施の形態において、ユーザ動線生成サーバ10が、ユーザ端末における測位種別に応じた測位精度を示す精度レベルを示す精度レベル情報を含む位置関連情報をそのユーザ端末から受信し、受信した位置関連情報に含まれている精度レベル情報が示す精度レベルを含むユーザ移動履歴情報をユーザ移動履歴DB22に登録する構成とした場合には、ユーザ動線生成サーバ10の処理負荷を軽減して、測位種別に応じた適切な精度レベルをユーザ移動履歴情報に含めることが可能となる。
【0067】
また、上述した実施の形態では、ユーザ動線生成サーバ10が、複数のユーザがそれぞれ使用する複数のユーザ端末31〜3Nから、ユーザ端末31〜3Nにて測位された測位位置を含む位置関連情報を受信し、受信した位置関連情報に含まれている測位位置と、該当ユーザに設定されているプライバシーレベルとに基づいて、基準位置を示す基準位置情報を生成し、生成した基準位置情報と該当ユーザを示すユーザIDとを含むユーザ移動履歴情報を生成し、生成したユーザ移動履歴情報をユーザ移動履歴DB22に登録する構成としているので、ユーザ端末31〜3Nより受信した位置関連情報に含まれている測位位置から該当ユーザに設定されているプライバシーレベルを加味した基準位置を示す基準位置情報を生成して登録することができ、登録したユーザ移動履歴情報に基づいてプライバシーレベルを加味したユーザ群の移動動線を適切に生成することができるようになる。
【0068】
また、上述した実施の形態では、ユーザ動線生成サーバ10が、受信した位置関連情報に含まれている測位位置から、該当ユーザに設定されているプライバシーレベルに応じて位置をずらした基準位置を示す基準位置情報を生成する構成としているので、ユーザが実際に移動した位置を特定し難くした基準位置とすることが可能となり、個々のユーザのプライバシーを守ることが可能となる。すなわち、ユーザの移動状況を示す情報の利用目的によっては、個別のユーザの移動経路は必要でなく、ユーザ群の移動動線が特に必要とされる場合も多いと考えられる。このような場合に、個別のユーザの移動経路を特定困難なユーザ移動履歴情報を生成して管理し、そのユーザ移動履歴情報に基づいてユーザ群の移動動線を適切に生成することが可能となるのである。
【0069】
また、上述した実施の形態では、ユーザ動線生成サーバ10が、解像度に従って、ラインの太さが異なるユーザ動線を生成する構成としているので、解像度が示す粗さに応じた適切な太さでユーザ動線を表現することが可能となる。
【0070】
なお、上述した実施の形態では、分類した動線候補群によって動線(ユーザ動線)を生成していたが、動線候補を過去に生成して保存しているユーザ動線とをパターンマッチングして、同等のユーザ動線が存在していた場合に、そのユーザ動線と平均化し動線を更新(修正)するようにしてもよい。
【0071】
図19は、上記のようなパターンマッチングによる動線の生成を行う場合の動線生成処理の例を示すフローチャートである。
【0072】
ここでの動線生成処理では、上述したステップS201〜S205の処理を実行したあと、ユーザ動線生成サーバ10は、生成した動線候補と、動線DB23に登録されている解像度が動線候補と同一の各動線(動線テンプレート)とのパターンマッチングを行う(ステップS301)。パターンマッチング対象の動線は、例えば、生成された動線候補のPOIに基づいて決定する。具体的には、例えば、生成された動線候補のPOIを動線内に所定数(あるいは所定割合)含む動線に決定するようにすればよい。
【0073】
次に、ユーザ動線生成サーバ10は、マッチする動線があると判定すると(ステップS302のY)、マッチした動線と、ステップS205にて生成された動線候補とにより動線を修正する(ステップS303)。本例では、パターンマッチング対象の動線と動線候補とをDPマッチングなどの公知のマッチング技術によって比較し、所定の閾値を下回り、かつその値が最も小さかった動線を動線候補が属すべき動線であるものと判定し、マッチする動線があると判定する。また、本例では、例えば、動線候補とマッチした動線とを所定の割合に基づいて平均を取る処理を行うことで、動線を修正する。
【0074】
ユーザ動線生成サーバ10は、マッチする動線がないと判定すると(ステップS302のY)、新規の動線テンプレートとなる可能性があるため、パターンマッチング対象の動線候補から動線を生成する(ステップS304)。
【0075】
そして、ユーザ動線生成サーバ10は、ステップS303にて修正した動線を示す動線データ、あるいはステップS304にて生成した動線を示す動線データと、その動線データの解像度とを含む動線関連情報を動線DB23に登録する(ステップS305)。
【0076】
上記のように、ユーザ動線生成サーバ10が、ユーザ動線を含むユーザ動線関連情報を記憶する動線DB23を備え、生成した動線候補と、動線DB23に記憶されているユーザ動線関連情報に含まれているユーザ動線とのパターンマッチングを行い、マッチするユーザ動線が存在している場合には、パターンマッチング対象となった動線候補とユーザ動線とを平均化した新たなユーザ動線を生成し、生成したユーザ動線を含むユーザ動線関連情報を動線DB23に登録する構成とした場合には、既存のユーザ動線を利用した簡単な処理によって動線候補からユーザ動線を生成することが可能となる。
【0077】
また、上述した実施の形態では特に言及していないが、POIとして選択しない特別エリア(位置情報によって特定する)を設けるようにしてもよい。この場合、特別エリア内については動線を作成しないようにすればよい。このように構成すれば、例えばユーザにとって立ち寄っていることが知られたくない場所(例えば歓楽街など)などを動線に入れないようにすることが可能となり、プライバシーを保護することが可能となるため、ユーザ登録が気軽にされるようになることが期待できる。
【0078】
また、上述した実施の形態では特に言及していないが、ユーザ動線生成システム100やユーザ動線生成サーバ10は、自己が備える記憶媒体に格納させた処理プログラム(ユーザ動線生成プログラム)に従って、上述した各種の処理を実行する。
【産業上の利用可能性】
【0079】
本発明によれば、位置情報の精度を考慮してユーザ群の移動動線を適切に生成するのに有用である。
【符号の説明】
【0080】
10 ユーザ動線生成サーバ
11 履歴情報登録処理部
12 動線生成処理部
21 ユーザDB
22 ユーザ移動履歴DB
23 動線DB
31〜3N ユーザ端末
100 ユーザ動線生成システム


【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のユーザの移動履歴に基づいてユーザ群の動線を示すユーザ動線を生成するユーザ動線生成サーバであって、
複数のユーザそれぞれの移動履歴を示す複数のユーザ移動履歴情報を記憶するユーザ移動履歴情報記憶手段と、
前記ユーザ移動履歴情報記憶手段に記憶されている複数のユーザ移動履歴情報の中からユーザ動線の生成対象とするユーザ移動履歴情報を決定する生成対象決定手段と、
ユーザ動線の生成対象とするユーザ移動履歴情報それぞれに含まれている基準位置情報の精度を示す精度レベルに応じて、生成するユーザ動線の粗さを示す解像度レベルを決定する解像度レベル決定手段と、
決定した解像度レベル毎に、ユーザ移動履歴情報に含まれている基準位置情報が示す基準位置群から動線候補を生成する動線候補生成手段と、
生成された動線候補を分類する動線候補分類手段と、
分類された動線候補群毎に、解像度に応じてユーザ動線を生成する動線生成手段とを含む
ことを特徴とするユーザ動線生成サーバ。
【請求項2】
複数のユーザがそれぞれ使用する複数のユーザ端末から、当該ユーザ端末にて測位された測位位置を含む位置関連情報を受信する位置関連情報受信手段と、
該位置関連情報受信手段が受信した位置関連情報に含まれている測位位置を基準位置とし、基準位置を示す基準位置情報と該当ユーザを示すユーザIDとを含むユーザ移動履歴情報を前記ユーザ移動履歴情報記憶手段に登録するユーザ移動履歴情報登録手段とを含む
請求項1記載のユーザ動線生成サーバ。
【請求項3】
前記位置関連情報受信手段は、ユーザ端末から測位種別を示す測位種別情報を含む位置関連情報を受信し、
前記ユーザ移動履歴情報登録手段は、前記位置関連情報受信手段が受信した位置関連情報に含まれている測位種別情報が示す測位種別に応じて測位精度を示す精度レベルを基準位置情報の精度レベルとして決定し、決定した精度レベルを含むユーザ移動履歴情報を前記ユーザ移動履歴情報記憶手段に登録する
請求項2記載のユーザ動線生成サーバ。
【請求項4】
前記位置関連情報受信手段は、ユーザ端末における測位種別に応じた測位精度を示す精度レベルを示す精度レベル情報を含む位置関連情報を当該ユーザ端末から受信し、
前記ユーザ移動履歴情報登録手段は、前記位置関連情報受信手段が受信した位置関連情報に含まれている精度レベル情報が示す精度レベルを含むユーザ移動履歴情報を前記ユーザ移動履歴情報記憶手段に登録する
請求項2記載のユーザ動線生成サーバ。
【請求項5】
複数のユーザがそれぞれ使用する複数のユーザ端末から、当該ユーザ端末にて測位された測位位置を含む位置関連情報を受信する位置関連情報受信手段と、
該位置関連情報受信手段が受信した位置関連情報に含まれている測位位置と、該当ユーザに設定されているプライバシーレベルとに基づいて、基準位置を示す基準位置情報を生成し、生成した基準位置情報と該当ユーザを示すユーザIDとを含むユーザ移動履歴情報を生成するユーザ移動履歴情報生成手段と、
生成されたユーザ移動履歴情報を前記ユーザ移動履歴情報記憶手段に登録するユーザ移動履歴情報登録手段とを含む
請求項1記載のユーザ動線生成サーバ。
【請求項6】
前記ユーザ移動履歴情報生成手段は、前記位置関連情報受信手段が受信した位置関連情報に含まれている測位位置から、該当ユーザに設定されているプライバシーレベルに応じて位置をずらした基準位置を示す基準位置情報を生成する
請求項5記載のユーザ動線生成サーバ。
【請求項7】
前記動線生成手段は、解像度に従って、ラインの太さが異なるユーザ動線を生成する
請求項1から請求項6のうちいずれかに記載のユーザ動線生成サーバ。
【請求項8】
ユーザ動線を含むユーザ動線関連情報を記憶するユーザ動線関連情報記憶手段と、
前記動線候補生成手段によって生成された動線候補と、前記ユーザ動線関連情報記憶手段に記憶されているユーザ動線関連情報に含まれているユーザ動線とのパターンマッチングを行うパターンマッチング手段とを含み、
前記動線生成手段は、マッチするユーザ動線が存在している場合には、パターンマッチング対象となった動線候補とユーザ動線とを平均化した新たなユーザ動線を生成し、生成したユーザ動線を含むユーザ動線関連情報を前記ユーザ動線関連情報記憶手段に登録する
請求項1から請求項7のうちいずれかに記載のユーザ動線生成サーバ。
【請求項9】
複数のユーザの移動履歴に基づいてユーザ群の動線を示すユーザ動線を生成するユーザ動線生成方法であって、
複数のユーザそれぞれの移動履歴を示す複数のユーザ移動履歴情報を記憶するユーザ移動履歴情報記憶手段に記憶されている複数のユーザ移動履歴情報の中からユーザ動線の生成対象とするユーザ移動履歴情報を決定する生成対象決定処理と、
ユーザ動線の生成対象とするユーザ移動履歴情報それぞれに含まれている基準位置情報の精度を示す精度レベルに応じて、生成するユーザ動線の粗さを示す解像度レベルを決定する解像度レベル決定処理と、
決定した解像度レベル毎に、ユーザ移動履歴情報に含まれている基準位置情報が示す基準位置群から動線候補を生成する動線候補生成処理と、
生成した動線候補を分類する動線候補分類処理と、
分類した動線候補群毎に、解像度に応じてユーザ動線を生成する動線生成処理とを含む
ことを特徴とするユーザ動線生成方法。
【請求項10】
複数のユーザの移動履歴に基づいてユーザ群の動線を示すユーザ動線を生成するユーザ動線生成プログラムであって、
コンピュータに、
複数のユーザそれぞれの移動履歴を示す複数のユーザ移動履歴情報を記憶するユーザ移動履歴情報記憶手段に記憶されている複数のユーザ移動履歴情報の中からユーザ動線の生成対象とするユーザ移動履歴情報を決定する生成対象決定処理と、
ユーザ動線の生成対象とするユーザ移動履歴情報それぞれに含まれている基準位置情報の精度を示す精度レベルに応じて、生成するユーザ動線の粗さを示す解像度レベルを決定する解像度レベル決定処理と、
決定した解像度レベル毎に、ユーザ移動履歴情報に含まれている基準位置情報が示す基準位置群から動線候補を生成する動線候補生成処理と、
生成した動線候補を分類する動線候補分類処理と、
分類した動線候補群毎に、解像度に応じてユーザ動線を生成する動線生成処理とを
実行させるためのユーザ動線生成プログラム。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2010−176228(P2010−176228A)
【公開日】平成22年8月12日(2010.8.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−15983(P2009−15983)
【出願日】平成21年1月27日(2009.1.27)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り [刊行物1] 社団法人電子情報通信学会、電子情報通信学会技術研究報告、Vol.108、No.397、平成21年1月15日発行
【出願人】(307022424)ソフトバンクテレコム株式会社 (42)
【出願人】(899000068)学校法人早稲田大学 (602)
【Fターム(参考)】