レジスト組成物及びパターン形成法
【解決手段】酸の作用により分解するアセタール保護基で保護されたヒドロキシ基を有する繰り返し単位を含有する高分子化合物と、スルホン酸を発生するオニウム塩型光酸発生剤と、カルボン酸を発生するオニウム塩型光酸発生剤とを含有するレジスト組成物。
【効果】酸の作用により分解するアセタール保護基で保護されたヒドロキシ基をアセタール保護した繰り返し単位を含む高分子化合物と、高エネルギー線でスルホン酸を発生する化合物及びカルボン酸を発生する化合物を含むレジスト膜は、有機溶剤による現像におけるポジネガ反転の画像形成において、未露光部分の溶解性が高く、露光部分の溶解性が低く溶解コントラストが高い特徴と、ナノエッジラフネスを低減する特徴を有し、このことにより微細なホールパターンを寸法制御よくかつ高感度で形成することを可能とする。
【効果】酸の作用により分解するアセタール保護基で保護されたヒドロキシ基をアセタール保護した繰り返し単位を含む高分子化合物と、高エネルギー線でスルホン酸を発生する化合物及びカルボン酸を発生する化合物を含むレジスト膜は、有機溶剤による現像におけるポジネガ反転の画像形成において、未露光部分の溶解性が高く、露光部分の溶解性が低く溶解コントラストが高い特徴と、ナノエッジラフネスを低減する特徴を有し、このことにより微細なホールパターンを寸法制御よくかつ高感度で形成することを可能とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レジスト組成物、特には露光後、酸と熱によって脱保護反応を行い、特定の有機溶剤による現像によって未露光部分が溶解し、露光部分が溶解しないネガティブトーンを形成するために用いるレジスト組成物、及びこれを用いたパターン形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、LSIの高集積化と高速度化に伴い、パターンルールの微細化が求められている中、現在汎用技術として用いられている光露光では、光源の波長に由来する本質的な解像度の限界に近づきつつある。レジストパターン形成の際に使用する露光光として、1980年代には水銀灯のg線(436nm)又はi線(365nm)を光源とする光露光が広く用いられた。更なる微細化のための手段として、露光波長を短波長化する方法が有効とされ、1990年代の64Mビット(加工寸法が0.25μm以下)DRAM(ダイナミック・ランダム・アクセス・メモリー)以降の量産プロセスには、露光光源としてi線(365nm)に代わって短波長のKrFエキシマレーザー(248nm)が利用された。しかし、更に微細な加工技術(加工寸法が0.2μm以下)を必要とする集積度256M及び1G以上のDRAMの製造には、より短波長の光源が必要とされ、10年ほど前からArFエキシマレーザー(193nm)を用いたフォトリソグラフィーが本格的に検討されてきた。当初ArFリソグラフィーは180nmノードのデバイス作製から適用されるはずであったが、KrFリソグラフィーは130nmノードデバイス量産まで延命され、ArFリソグラフィーの本格適用は90nmノードからであった。更に、NAを0.9にまで高めたレンズと組み合わせて65nmノードデバイスの検討が行われている。次の45nmノードデバイスには露光波長の短波長化が推し進められ、波長157nmのF2リソグラフィーが候補に挙がった。しかし、投影レンズに高価なCaF2単結晶を大量に用いることによるスキャナーのコストアップ、ソフトペリクルの耐久性が極めて低いためのハードペリクル導入に伴う光学系の変更、レジスト膜のエッチング耐性低下等の種々問題により、F2リソグラフィーの開発が中止され、ArF液浸リソグラフィーが導入された。
【0003】
ArF液浸リソグラフィーにおいては、投影レンズとウエハーの間に屈折率1.44の水がパーシャルフィル方式によって挿入される。これによって高速スキャンが可能となり、NA1.3級のレンズによって45nmノードデバイスの量産が行われている。
【0004】
32nmノードのリソグラフィー技術としては、波長13.5nmの極端紫外線(EUV)リソグラフィーが候補に挙げられている。EUVリソグラフィーの問題点としてはレーザーの高出力化、レジスト膜の高感度化、高解像度化、低エッジラフネス(LER、LWR)化、無欠陥MoSi積層マスク、反射ミラーの低収差化等が挙げられ、克服すべき問題が山積している。
【0005】
32nmノードのもう一つの候補の高屈折率液浸リソグラフィーは、高屈折率レンズ候補であるLUAGの透過率が低いことと、液体の屈折率が目標の1.8に届かなかったことによって開発が中止された。
【0006】
ここで最近注目を浴びているのは、1回目の露光と現像でパターンを形成し、2回目の露光で1回目のパターンの丁度間にパターンを形成するダブルパターニングプロセスである。ダブルパターニングの方法としては多くのプロセスが提案されている。例えば、1回目の露光と現像でラインとスペースが1:3の間隔のレジストパターンを形成し、ドライエッチングで下層のハードマスクを加工し、その上にハードマスクをもう1層敷いて1回目の露光のスペース部分にレジスト膜の露光と現像でラインパターンを形成してハードマスクをドライエッチングで加工し、初めのパターンのピッチの半分のラインアンドスペースパターンを形成する方法である。また、1回目の露光と現像でスペースとラインが1:3の間隔のレジストパターンを形成し、下層のハードマスクをドライエッチングで加工し、その上にレジスト膜を塗布してハードマスクが残っている部分に2回目のスペースパターンを露光し、ハードマスクをドライエッチングで加工する。いずれも2回のドライエッチングでハードマスクを加工する。
【0007】
ラインパターンに比べてホールパターンは微細化が困難である。従来法で細かなホールを形成するために、ポジ型レジスト膜にホールパターンマスクを組み合わせてアンダー露光で形成しようとすると、露光マージンが極めて狭くなってしまう。そこで、大きなサイズのホールを形成し、サーマルフローやRELACSTM法等で現像後のホールをシュリンクする方法が提案されている。しかしながら、現像後のパターンサイズとシュリンク後のサイズの差が大きく、シュリンク量が大きいほど制御精度が低下する問題がある。また、ホールシュリンク法ではホールのサイズは縮小可能であるがピッチを狭くすることはできない。
【0008】
ポジ型レジスト膜を用いてダイポール照明によりX方向のラインパターンを形成し、レジストパターンを硬化させ、その上にもう一度レジスト組成物を塗布し、ダイポール照明でY方向のラインパターンを露光し、格子状ラインパターンの隙間よりホールパターンを形成する方法(非特許文献1:Proc. SPIE Vol. 5377, p.255 (2004))が提案されている。高コントラストなダイポール照明によるX、Yラインを組み合わせることによって広いマージンでホールパターンを形成できるが、上下に組み合わされたラインパターンを寸法精度高くエッチングすることは難しい。X方向ラインのレベンソン型位相シフトマスクとY方向ラインのレベンソン型位相シフトマスクを組み合わせてネガ型レジスト膜を露光してホールパターンを形成する方法が提案されている(非特許文献2:IEEE IEDM Tech. Digest 61 (1996))。但し、架橋型ネガ型レジスト膜においては、超微細ホールの限界解像度がブリッジマージンで決まるために、解像力がポジ型レジスト膜に比べて低い欠点がある。
【0009】
X方向のラインとY方向のラインの2回露光を組み合わせて露光し、これを画像反転によってネガパターンにすることによって形成されるホールパターンは、高コントラストなラインパターンの光を用いることによって形成が可能であるために、従来の方法よりもより狭ピッチでかつ微細なホールを開口できる。
【0010】
非特許文献3(Proc. SPIE Vol. 7274, p.72740N (2009))では、以下3つの方法による画像反転によるホールパターンの作製が報告されている。
【0011】
即ち、ポジ型レジスト組成物のX、Yラインのダブルダイポールの2回露光によりドットパターンを作製し、この上にLPCVDでSiO2膜を形成し、O2−RIEでドットをホールに反転させる方法、加熱によってアルカリ可溶で溶剤不溶になる特性のレジスト組成物を用いて同じ方法でドットパターンを形成し、この上にフェノール系のオーバーコート膜を塗布してアルカリ現像によって画像反転させてホールパターンを形成する方法、ポジ型レジスト組成物を用いてダブルダイポール露光をし、有機溶剤現像による画像反転によってホールを形成する方法である。
【0012】
ここで、有機溶剤現像によるネガパターンの作製は古くから用いられている手法である。環化ゴム系のレジスト組成物はキシレン等のアルケンを現像液として用いており、ポリ−tert−ブトキシカルボニルオキシスチレンベースの初期の化学増幅型レジスト組成物はアニソールを現像液としてネガパターンを得ていた。
【0013】
近年、有機溶剤現像が再び脚光を浴びている。ポジティブトーンでは達成できない非常に微細なホールパターンをネガティブトーンの露光で解像するために、解像性の高いポジ型レジスト組成物を用いた有機溶剤現像でネガパターンを形成するのである。更に、アルカリ現像と有機溶剤現像の2回の現像を組み合わせることにより、2倍の解像力を得る検討も進められている。
【0014】
有機溶剤によるネガティブトーン現像用のArFレジスト組成物としては、従来型のポジ型ArFレジスト組成物を用いることができ、特許文献1〜6(特開2008−281974号公報、特開2008−281975号公報、特開2008−281980号公報、特開2009−53657号公報、特開2009−25707号公報、特開2009−25723号公報)にパターン形成方法が示されている。
【0015】
上記特許文献において、ヒドロキシアダマンタンメタクリレートやノルボルナンラクトンメタクリレート、あるいはカルボキシル基、スルホ基、フェノール基、チオール基等の酸性基を酸不安定基で置換したメタクリレート等を共重合した高分子化合物をベース樹脂する有機溶剤現像用レジスト組成物及びこれを用いたパターン形成方法が提案されている。
【0016】
有機溶剤現像プロセスにおいて、レジスト膜上に保護膜を適用するパターン形成方法としては、特許文献7(特開2008−309878号公報)に公開されている。
有機溶剤現像プロセスにおいて、レジスト組成物としてスピンコート後のレジスト膜表面に配向して撥水性を向上させる添加剤を用いて、トップコートを用いないパターン形成方法としては、特許文献8(特開2008−309879号公報)に示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0017】
【特許文献1】特開2008−281974号公報
【特許文献2】特開2008−281975号公報
【特許文献3】特開2008−281980号公報
【特許文献4】特開2009−53657号公報
【特許文献5】特開2009−25707号公報
【特許文献6】特開2009−25723号公報
【特許文献7】特開2008−309878号公報
【特許文献8】特開2008−309879号公報
【特許文献9】特表2004−531749号公報
【特許文献10】特開2004−2252号公報
【特許文献11】特開2005−352466号公報
【特許文献12】特開2006−257078号公報
【非特許文献】
【0018】
【非特許文献1】Proc. SPIE Vol. 5377, p.255 (2004)
【非特許文献2】IEEE IEDM Tech. Digest 61 (1996)
【非特許文献3】Proc. SPIE Vol. 7274, p.72740N (2009)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
脱保護反応によって酸性のカルボキシル基等が生成し、アルカリ現像液に溶解するポジ型レジストシステムに比べると、有機溶剤現像の溶解コントラストは低い。アルカリ現像液の場合、未露光部と露光部のアルカリ溶解速度の割合は1,000倍以上の違いがあるが、有機溶剤現像の場合10倍程度の違いしかない。前述の特許文献1〜6には、従来型のアルカリ水溶液現像型のレジスト材料が記載されているが、有機溶剤現像における溶解コントラスト差を大きくするための新規な材料開発が望まれている。
【0020】
ネガティブ現像でホールを形成しようとする場合、ホールの外側は光が当たっており、酸が過剰に発生している。酸がホールの内側に拡散してくるとホールが開口しなくなるため、酸拡散の制御も重要である。
酸拡散性制御のためには光酸発生剤(PAG)の構造が決定的に重要であり、発生酸の十分な酸性とバルキネスを兼ね備え、かつ安定な光酸発生剤の開発により、ある程度目的は達成された。
しかしながら、先端リソグラフィーにおいてはパターン寸法が酸の拡散長に近づくため、これまで以上に酸拡散制御性能を高める必要がある。
【0021】
光照射により発生した酸を捕捉するクエンチャー成分を添加することが更なる酸拡散の抑制に有効であり、クエンチャーとしては一級、二級、三級のアミン類に代表される塩基性の含窒素有機化合物が広く用いられている。しかし、これらの含窒素有機化合物はレジスト膜内での偏在やレジスト膜表層からの揮発(ケミカルフレア)によるダーク(遮光部が広いエリア)・ブライト(露光部が広いエリア)寸法差を引き起こし、また、表面難溶化等の形状不良の原因となる。
【0022】
その他のクエンチャーの例としてオニウム塩型のクエンチャーを挙げることができる。例えば、特許第3912767号公報には、α位がフッ素で置換されたアルカンスルホン酸を発生する化合物とフッ素化されていないアルカンスルホン酸オニウム塩を併用することにより疎密依存性、特にラインアンドスペースの疎密依存性の小さいレジスト材料が提案されている。この効果の詳細については記載がないが、露光により生じたフッ素含有スルホン酸がフッ素化されていないアルカンスルホン酸オニウム塩と反応することにより、フッ素化されてないアルカンスルホン酸とフッ素含有スルホン酸オニウムに塩交換され、強酸(フッ素含有スルホン酸)が弱酸(フッ素化されていないアルカンスルホン酸)に置き換わることに依存すると推定される。即ち、フッ素化されていないアルカンスルホン酸のオニウム塩は露光により発生した強酸に対してクエンチャー(酸失活剤)として機能すると考えられる。同様の提案は特開2009−244859号公報にも記載されている。また、特開2009−244859号公報においては特定の構造のアルカンスルホン酸オニウム塩が提案されており、パターン形状等が優れていることが報告されている。
また、これら弱酸オニウム塩クエンチャーは一般に不揮発性であるため、上記ケミカルフレアの懸念が無く、パターンの矩形性を良好にする効果が期待できる。また本発明で用いられるヒドロキシ基をアセタール保護基で保護した繰り返し単位を含む樹脂と併用することで、良好なナノエッジラフネスを維持しながら矩形性が改善でき、相補的にリソグラフィー性能を向上させることができる。
【0023】
本発明は上記事情に鑑みなされたもので、有機溶剤現像において溶解コントラストが大きく、かつナノエッジラフネス及びパターン矩形性を良好にするレジスト組成物及びホールパターンを形成するための格子状のパターンが配置されたマスクを用いてポジネガ反転によってホールパターンを形成するパターン形成方法を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0024】
本発明者らは上記目的を達成するため、鋭意検討を重ねた結果、酸不安定基で置換されたヒドロキシ基を有する繰り返し単位を有するポリマーと、高エネルギー線によってスルホン酸を発生する化合物、イミド酸を発生する化合物又はメチド酸を発生する化合物を少なくとも1種含み、更にカルボン酸を発生する化合物を含むレジスト膜を用い、有機溶剤現像における溶解コントラスト向上と、ポジネガ反転によって得られたホールパターンのナノエッジラフネスが低減することを見出した。
【0025】
従って、本発明は、下記のレジスト組成物及びパターン形成法を提供する。
〔1〕
(A)下記一般式(1)で示される酸不安定基で置換されたヒドロキシ基を有する繰り返し単位(a)を有する高分子化合物と、
(B)下記一般式(2)で示されるスルホン酸を発生するオニウム塩型光酸発生剤、下記一般式(3)で示されるイミド酸を発生するオニウム塩型光酸発生剤又は下記一般式(4)で示されるメチド酸を発生するオニウム塩型光酸発生剤の少なくとも1種とを含有し、更に(C)下記一般式(5)で示されるカルボン酸を発生するオニウム塩型光酸発生剤を含有するレジスト組成物であって、(B)及び(C)のオニウム塩のカチオンが、下記一般式(6)で示されるスルホニウムカチオン又は下記一般式(7)で示されるヨードニウムカチオンであることを特徴とするレジスト組成物。
【化1】
(式中、R1は水素原子又はメチル基を示す。R2は炭素数1〜16の直鎖状、分岐状又は環状の2〜5価の脂肪族炭化水素基であり、エーテル基又はエステル基を有していてもよい。R0は酸不安定基を示す。0<a≦1.0を満たす数である。mは1〜4の整数を示す。)
【化2】
(式中、R200は直鎖状、分岐状もしくは環状の炭素数1〜28のアルキル基、炭素数6〜28のアリール基、又は炭素数7〜28のアラルキル基を示し、これらの基に含まれるメチレン基の一部が、エーテル基、エステル基、カルボニル基、アミド基、カーボネート基又はカルバメート基で置換されてもよく、また、これらの基の水素原子の一部又は全部がハロゲン原子、ヒドロキシ基、カルボキシル基、アミノ基、シアノ基、ニトロ基及びスルホン酸エステルから選ばれる1つ以上の基で置換されてもよい。R210、R211はそれぞれ置換基を有してもよい炭素数1〜8の直鎖状又は分岐状のフルオロアルキル基、又は、R210、R211が互いに結合して環を形成し、この場合R210、R211はそれぞれ炭素数1〜8のフルオロアルキレン基を示す。R220、R221、R222はそれぞれ置換基を有してもよい炭素数1〜8の直鎖状又は分岐状のフルオロアルキル基、又は、R220、R221が互いに結合して環を形成し、この場合R220、R221はそれぞれ炭素数1〜8のフルオロアルキレン基を示す。)
【化3】
(式中、R300は直鎖状、分岐状もしくは環状の炭素数1〜25のアルキル基、炭素数2〜25のアルケニル基、炭素数6〜25のアリール基、又は炭素数7〜25のアラルキル基を示し、これらの基に含まれるメチレン基の一部が、エーテル基、エステル基又はカルボニル基で置換されてもよく、また、これらの基の水素原子の一部又は全部がハロゲン原子、ヒドロキシ基、カルボキシル基、アミノ基、シアノ基、ニトロ基及びスルホン酸エステルから選ばれる1つ以上の基で置換されてもよい。)
【化4】
(式中、R101、R102及びR103はそれぞれ独立に直鎖状もしくは環状の炭素数1〜20のアルキル基、炭素数2〜20のアルケニル基、炭素数6〜20のアリール基、又は炭素数7〜20のアラルキル基を示し、これらの基のメチレン基の一部がエーテル基、エステル基又はカルボニル基で置換されてもよく、また、これらの基の水素原子の一部又は全部がハロゲン原子、ヒドロキシ基、カルボキシル基、アミノ基及びシアノ基から選ばれる1つ以上の基で置換されてもよい。また、R101、R102及びR103のうち2つが相互に結合して式中の硫黄原子と共に環を形成してもよい。R104及びR105はそれぞれ独立に直鎖状もしくは環状の炭素数1〜20のアルキル基、炭素数2〜20のアルケニル基、炭素数6〜20のアリール基、又は炭素数7〜20のアラルキル基を示し、これらの基のメチレン基の一部がエーテル基、エステル基又はカルボニル基で置換されてもよく、また、これらの基の水素原子の一部又は全部がハロゲン原子、ヒドロキシ基、カルボキシル基、アミノ基及びシアノ基から選ばれる1つ以上の基で置換されてもよい。)
〔2〕
酸不安定基で置換されたヒドロキシ基を有する繰り返し単位を有する高分子化合物(A)が、下記一般式(1−1)又は(1−2)で示されるアセタール保護基で保護されたヒドロキシ基を有する繰り返し単位(a1)又は(a2)を含有することを特徴とする〔1〕に記載のレジスト組成物。
【化5】
(式中、R1は水素原子又はメチル基を示す。R3及びR4はそれぞれ独立に水素原子、又は炭素数1〜10の直鎖状、分岐状もしくは環状の1価炭化水素基を示す。R5はヘテロ原子を含んでもよい直鎖状、分岐状又は環状の炭素数1〜16の1価炭化水素基を示す。a1、a2は0<a1≦1.0、0<a2≦1.0、0<a1+a2≦1.0を満たす数である。nは1〜3の整数を示す。)
〔3〕
光酸発生剤(B)が下記一般式(8)で示されるスルホン酸を発生することを特徴とする〔1〕又は〔2〕に記載のレジスト組成物。
【化6】
(式中、R201は直鎖状、分岐状もしくは環状の炭素数1〜23のアルキル基、炭素数6〜23のアリール基、又は炭素数7〜23のアラルキル基を示し、これらの基に含まれるメチレン基の一部が、エーテル基、エステル基又はカルボニル基で置換されてもよく、また、これらの基の水素原子の一部又は全部がハロゲン原子、ヒドロキシ基、カルボキシル基、アミノ基、シアノ基、ニトロ基及びスルホン酸エステルから選ばれる1つ以上の基で置換されてもよい。但し、R201はパーフルオロアルキル基ではない。)
〔4〕
光酸発生剤(B)が下記一般式(9)で示されるスルホン酸を発生することを特徴とする〔1〕又は〔2〕に記載のレジスト組成物。
【化7】
(式中、R202は直鎖状、分岐状もしくは環状の炭素数1〜23のアルキル基、炭素数6〜23のアリール基、又は炭素数7〜23のアラルキル基を示し、これらの基に含まれるメチレン基の一部が、エーテル基、エステル基又はカルボニル基で置換されてもよく、また、これらの基の水素原子の一部又は全部がハロゲン原子、ヒドロキシ基、カルボキシル基、アミノ基及びシアノ基から選ばれる1つ以上の基で置換されてもよい。但し、R202はパーフルオロアルキル基ではない。)
〔5〕
光酸発生剤(B)が下記一般式(10)で示されるスルホン酸を発生することを特徴とする〔1〕又は〔2〕に記載のレジスト組成物。
【化8】
(式中、R203は置換もしくは非置換の炭素数1〜20の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、又は置換もしくは非置換の炭素数6〜14のアリール基を示す。但し、R203はパーフルオロアルキル基ではない。)
〔6〕
光酸発生剤(B)が下記一般式(11)で示されるスルホン酸を発生することを特徴とする〔1〕又は〔2〕に記載のレジスト組成物。
【化9】
(式中、R204は直鎖状、分岐状もしくは環状の炭素数1〜23のアルキル基、炭素数6〜23のアリール基、又は炭素数7〜23のアラルキル基を示し、これらの基に含まれるメチレン基の一部が、エーテル基、エステル基又はカルボニル基で置換されてもよく、また、これらの基の水素原子の一部又は全部がハロゲン原子、ヒドロキシ基、カルボキシル基、アミノ基及びシアノ基から選ばれる1つ以上の基で置換されてもよい。但し、R204はパーフルオロアルキル基ではない。)
〔7〕
光酸発生剤(B)が下記一般式(12)で示されるスルホン酸を発生することを特徴とする〔1〕又は〔2〕に記載のレジスト組成物。
【化10】
(式中、R205は置換もしくは非置換の炭素数1〜20の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、又は置換もしくは非置換の炭素数6〜14のアリール基を示す。但し、R205はパーフルオロアルキル基ではない。nは1〜3の整数を示す。)
〔8〕
(A)成分の高分子化合物が、更に下記一般式(14)で示されるカルボキシル基が酸不安定基で置換された繰り返し単位(b)、及び/又はヒドロキシ基、シアノ基、カルボニル基、エステル基、エーテル基、ラクトン環、カルボキシル基、カルボン酸無水物基から選ばれる密着性基を有する繰り返し単位(c)を含有することを特徴とする〔1〕〜〔7〕のいずれかに記載のレジスト組成物。
【化11】
(式中、R6は水素原子又はメチル基を示す。R7は酸不安定基を示す。Yは単結合又は−C(=O)−O−R8−であり、R8は炭素数1〜10の直鎖状、分岐状又は環状のアルキレン基で、エーテル基又はエステル基を有していてもよく、又はナフチレン基である。bは0<b<1.0の範囲である。)
〔9〕
(A)成分の高分子化合物が、一般式(1)で示される酸不安定基で置換されたヒドロキシ基を有する繰り返し単位(a)を有し、かつ下記一般式(d1)〜(d3)で示されるスルホニウム塩である繰り返し単位から選ばれる1種以上の繰り返し単位を含有する高分子化合物であり、(C)一般式(5)で示されるカルボン酸を発生するオニウム塩型光酸発生剤を含有することを特徴とする〔1〕〜〔8〕のいずれかに記載のレジスト組成物。
【化12】
(式中、R20、R24及びR28は水素原子又はメチル基を示す。R21は単結合、フェニレン基、−O−R33−、又は−C(=O)−Y−R33−を示す。Yは酸素原子又はNHを示す。R33は炭素数1〜6の直鎖状、分岐状又は環状のアルキレン基、アルケニレン基又はフェニレン基を示し、カルボニル基(−CO−)、エステル基(−COO−)、エーテル基(−O−)又はヒドロキシ基を含んでいてもよい。R22、R23、R25、R26、R27、R29、R30及びR31はそれぞれ独立に炭素数1〜12の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基を示し、カルボニル基、エステル基又はエーテル基を含んでいてもよく、又は炭素数6〜12のアリール基、炭素数7〜20のアラルキル基又はチオフェニル基を示す。Z0は単結合、メチレン基、エチレン基、フェニレン基、フッ素化されたフェニレン基、−O−R32−、又は−C(=O)−Z1−R32−を示す。Z1は酸素原子又はNHを示す。R32は炭素数1〜6の直鎖状、分岐状又は環状のアルキレン基、アルケニレン基又はフェニレン基を示し、カルボニル基、エステル基、エーテル基又はヒドロキシ基を含んでいてもよい。M-は非求核性対向イオンを示す。d1、d2及びd3は、それぞれ0≦d1≦0.3、0≦d2≦0.3、0≦d3≦0.3を満たす数であり、0<d1+d2+d3≦0.3である。)
〔10〕
基板上に〔1〕〜〔9〕のいずれかに記載のレジスト組成物を用いてレジスト膜を形成し、高エネルギー線でレジスト膜を露光し、加熱処理後に有機溶剤からなる現像液を用いて未露光部を溶解させ、露光部が溶解しないネガ型パターンを得ることを特徴とするレジストパターン形成方法。
〔11〕
現像液が、2−オクタノン、2−ノナノン、2−ヘプタノン、3−ヘプタノン、4−ヘプタノン、2−ヘキサノン、3−ヘキサノン、ジイソブチルケトン、2−メチルシクロヘキサノン、3−メチルシクロヘキサノン、4−メチルシクロヘキサノン、アセトフェノン、2’−メチルアセトフェノン、4’−メチルアセトフェノン、酢酸プロピル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、酢酸アミル、酢酸ブテニル、酢酸イソアミル、酢酸フェニル、蟻酸プロピル、蟻酸ブチル、蟻酸イソブチル、蟻酸アミル、蟻酸イソアミル、吉草酸メチル、ペンテン酸メチル、クロトン酸メチル、クロトン酸エチル、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸プロピル、乳酸ブチル、乳酸イソブチル、乳酸アミル、乳酸イソアミル、2−ヒドロキシイソ酪酸メチル、2−ヒドロキシイソ酪酸エチル、安息香酸メチル、安息香酸エチル、酢酸ベンジル、フェニル酢酸メチル、蟻酸ベンジル、蟻酸フェニルエチル、3−フェニルプロピオン酸メチル、プロピオン酸ベンジル、フェニル酢酸エチル、酢酸2−フェニルエチルから選ばれる1種以上であることを特徴とする〔10〕に記載のパターン形成方法。
〔12〕
高エネルギー線による露光が、波長193nmのArFエキシマレーザーによる液浸リソグラフィー、波長13.5nmのEUVリソグラフィー、又は電子線リソグラフィーであることを特徴とする〔10〕又は〔11〕に記載のレジスト組成物及びパターン形成方法。
〔13〕
波長193nmのArFエキシマレーザーによる液浸リソグラフィーにおいて、ドットのパターンが配置されたハーフトーン位相シフトマスクを用い、ドット部分に現像後のホールパターンを形成することを特徴とする〔11〕又は〔12〕に記載のパターン形成方法。
〔14〕
ハーフトーン位相シフトマスクを用い、交差する2つのラインの2回の露光を行い、ラインの交点に現像後のホールパターンを形成することを特徴とする〔11〕又は〔12〕に記載のパターン形成方法。
〔15〕
ハーフトーン位相シフトマスクを用いて、格子状のシフター格子の交点に現像後のホールパターンを形成することを特徴とする〔11〕又は〔12〕に記載のパターン形成方法。
〔16〕
ハーフトーン位相シフトマスクが透過率3〜15%のハーフトーン位相シフトマスクであることを特徴とする〔13〕、〔14〕又は〔15〕に記載のパターン形成方法。
〔17〕
ハーフピッチ以下のライン幅による格子状の第1のシフターと、第1のシフター上に第1のシフターの線幅よりもウエハー上の寸法で2〜30nm太い第2のシフターが配列された位相シフトマスクを用いて、太いシフターが配列されたところだけにホールパターンを形成することを特徴とする〔15〕又は〔16〕に記載のパターン形成方法。
〔18〕
ハーフピッチ以下のライン幅による格子状の第1のシフターと、第1のシフター上に第1のシフターの線幅よりもウエハー上の寸法で2〜100nm太いドットパターンの第2のシフターが配列された位相シフトマスクを用いて、太いシフターが配列されたところだけにホールパターンを形成することを特徴とする〔13〕〜〔16〕のいずれかに記載のパターン形成方法。
〔19〕
基板上に〔1〕〜〔9〕のいずれかに記載のレジスト組成物を用いてレジスト膜を形成し、更に保護膜を形成して高エネルギー線でレジスト膜を露光し、加熱処理後に有機溶剤からなる現像液を用いて保護膜と未露光部を溶解させ、露光部が溶解しないネガ型パターンを得ることを特徴とするレジストパターン形成方法。
〔20〕
保護膜形成用組成物として、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノール残基を有する繰り返し単位を含む高分子化合物及びアミン化合物又はアミン塩を、あるいは1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノール残基を有する繰り返し単位に更にアミノ基又はアミン塩を有する繰り返し単位を共重合した高分子化合物を、炭素数4以上のアルコール系溶剤、炭素数8〜12のエーテル系溶剤又はこれらの混合溶剤に溶解させた組成物を用いることを特徴とする〔19〕記載のパターン形成方法。
【発明の効果】
【0026】
本発明の酸不安定基で置換されたヒドロキシ基を有する繰り返し単位を有するポリマーと、高エネルギー線によってスルホン酸を発生する化合物、イミド酸を発生する化合物又はメチド酸を発生する化合物を少なくとも1種含み、更にカルボン酸を発生する化合物を含むレジスト膜は、有機溶剤による現像におけるポジネガ反転の画像形成において、未露光部分の溶解性が高く、露光部分の溶解性が低く、溶解コントラストが高い特徴と、ナノエッジラフネスを低減する特徴を有し、このことにより微細なホールパターンを寸法制御よくかつ高感度で形成することを可能とする。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明のレジストパターン形成方法を示す説明図であり、(A)は基板上にレジスト膜を形成した状態の断面図、(B)はレジスト膜を露光した状態の断面図、(C)は有機溶剤で現像した状態の断面図である。
【図2】波長193nmのArFエキシマレーザーを用いたNA1.3レンズ、ダイポール照明、6%ハーフトーン位相シフトマスク、s偏光でのピッチ90nm、ラインサイズ45nmのX方向ラインの光学像を示す。
【図3】同Y方向ラインの光学像を示す。
【図4】図3のY方向ラインと図2のX方向ラインの光学像を重ねたコントラストイメージを示す。
【図5】格子状のパターンが配されたマスクを示す。
【図6】NA1.3レンズ、クロスポール照明、6%ハーフトーン位相シフトマスク、Azimuthally偏光照明でのピッチ90nm、幅30nmの格子状ラインパターンの光学像である。
【図7】NA1.3レンズ、クロスポール照明、6%ハーフトーン位相シフトマスク、Azimuthally偏光照明でのピッチ90nm、一辺の幅が60nmの正四角形のドットパターンが配置されたマスクである。
【図8】同マスクにおける光学像コントラストである。
【図9】ピッチ90nmで、20nmラインの格子状パターン上に、ドットを形成したい部分に十字の太い交差ラインを配置したマスクを示す。
【図10】図9のマスクにおける光学像のコントラストイメージを示す。
【図11】ピッチ90nmで、15nmラインの格子状パターン上に、ドットを形成したい部分に太いドットを配置したマスクを示す。
【図12】図11のマスクにおける光学像のコントラストイメージを示す。
【図13】格子状パターンが配列されていないマスクを示す。
【図14】図13のマスクにおける光学像のコントラストイメージを示す。
【図15】実施例1−1における露光量と膜厚との関係を示すグラフである。
【図16】比較例1−1における露光量と膜厚との関係を示すグラフである。
【図17】比較例1−2における露光量と膜厚との関係を示すグラフである。
【図18】ArF露光パターニング評価(2)で用いた格子状マスクを示す。
【図19】ArF露光パターニング評価(3)で用いた格子状の上にドットが配置されたパターンのマスクを示す。
【図20】ArF露光パターニング評価(4)で用いた格子状の上に太い格子が配置されたパターンのマスクを示す。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本発明のレジスト組成物は、酸不安定基で置換されたヒドロキシ基を有する繰り返し単位として下記一般式(1)で示される繰り返し単位(a)を有する高分子化合物(A)を含有する。
【化13】
(式中、R1は水素原子又はメチル基を示す。R2は炭素数1〜16の直鎖状、分岐状又は環状の2〜5価の脂肪族炭化水素基であり、エーテル基又はエステル基を有していてもよい。R0は酸不安定基を示す。0<a≦1.0を満たす数である。mは1〜4の整数を示す。)
【0029】
高分子化合物(A)のより好ましい形態は、酸の作用により分解するアセタール保護基で保護されたヒドロキシ基を有する繰り返し単位として、下記一般式(1−1)で示される繰り返し単位(a1)又は下記一般式(1−2)で示される繰り返し単位(a2)の少なくとも1種を有する。
【化14】
(式中、R1は水素原子又はメチル基を示す。R3及びR4はそれぞれ独立に水素原子、又は炭素数1〜10の直鎖状、分岐状もしくは環状の1価炭化水素基を示す。R5はヘテロ原子を含んでもよい直鎖状、分岐状又は環状の炭素数1〜16の1価炭化水素基を示す。a1、a2は0<a1≦1.0、0<a2≦1.0、0<a1+a2≦1.0を満たす数である。nは1〜3の整数を示す。)
【0030】
R3、R4の炭素数1〜10の直鎖状、分岐状又は環状の1価炭化水素基として、具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、tert−アミル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、2−エチルヘキシル基、n−オクチル基、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロペンチルメチル基、シクロヘキシルエチル基等のアルキル基等を例示できる。
【0031】
R5の炭素数1〜16の直鎖状、分岐状又は環状の1価炭化水素基として、具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、tert−アミル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、2−エチルヘキシル基、シクロペンチルメチル基、シクロペンチルエチル基、シクロペンチルブチル基、シクロヘキシルメチル基、シクロヘキシルエチル基、シクロヘキシルブチル基、ノルボルニル基、オキサノルボルニル基、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカニル基、アダマンチル基等のアルキル基等を例示できる。
また、R5が含んでもよいヘテロ原子としては、酸素原子、窒素原子、硫黄原子、フッ素原子等が挙げられる。
【0032】
nは1〜3の整数を示すが、nは1又は2であることが好ましく、2であることがより好ましい。nが3の場合は、当該化合物自体が高分子量化し、蒸留での精製が困難となる場合がある。
【0033】
上記式(1−1)で示される繰り返し単位(a1)として、具体的には下記のものを例示できるが、これらに限定されない。なお、下記式中R1は上記と同じである。また、Meはメチル基を示す。
【0034】
【化15】
【0035】
【化16】
【0036】
【化17】
【0037】
【化18】
【0038】
【化19】
【0039】
【化20】
【0040】
【化21】
【0041】
上記式(1−2)で示される繰り返し単位(a2)として、具体的には下記のものを例示できるが、これらに限定されない。なお、下記式中R1は上記と同じである。また、Meはメチル基を示す。
【0042】
【化22】
【0043】
【化23】
【0044】
【化24】
【0045】
高分子化合物(A)は、上記一般式(1−1)、(1−2)で示される繰り返し単位(a1)、(a2)に加えて、下記に示す酸不安定基で置換されたヒドロキシ基を有する繰り返し単位(a3)も含有することができる。繰り返し単位(a3)は単独で用いてもよいし、繰り返し単位(a1)、(a2)の少なくとも1種と共重合することもできる。
繰り返し単位(a3)を配合する場合の含有率は0<a3<1.0であるが、好ましくはa1+a2の50モル%以下、特に20モル%以下が好ましい。
なお、下記式中R1は上記と同じである。また、Meはメチル基を示す。
【0046】
【化25】
【0047】
【化26】
【0048】
高分子化合物(A)は、上記式(1)で示される繰り返し単位(a)に加えて、下記一般式(14)で示されるカルボキシル基が酸不安定基で置換された繰り返し単位(b)も含有することができる。
【化27】
(式中、R6は水素原子又はメチル基を示す。R7は酸不安定基を示す。Yは単結合又は−C(=O)−O−R8−であり、R8は炭素数1〜10の直鎖状、分岐状又は環状のアルキレン基で、エーテル基又はエステル基を有していてもよく、又はナフチレン基である。bは0≦b<1.0の範囲である。)
【0049】
ここで、繰り返し単位(b)を得るためのモノマーMbは、下記式で示される。
【化28】
(式中、R6、R7、Yは上記の通りである。)
モノマーMbのYを変えた構造は、具体的には下記に例示することができる。なお、下記式中、R6、R7は前述の通りである。
【0050】
【化29】
【0051】
一般式(1)中のR0及び一般式(14)中のR7で示される酸不安定基は種々選定されるが、特に下記式(AL−10)示されるアセタール基、下記式(AL−11)で示される三級アルキル基、炭素数4〜20で示されるオキソアルキル基等が挙げられる。
【化30】
【0052】
式(AL−10)において、R53は炭素数1〜40、特に1〜20の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基等の1価炭化水素基であり、酸素、硫黄、窒素、フッ素等のヘテロ原子を含んでもよい。R51、R52は水素原子、又は炭素数1〜20の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基等の1価炭化水素基であり、酸素、硫黄、窒素、フッ素等のヘテロ原子を含んでもよい。R51とR52、R51とR53、又はR52とR53はそれぞれ結合してこれらが結合する炭素原子又は炭素原子と酸素原子と共に炭素数3〜20、好ましくは4〜16の環、特に脂環を形成してもよい。
R54、R55、R56はそれぞれ炭素数1〜20の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基等の1価炭化水素基であり、酸素、硫黄、窒素、フッ素等のヘテロ原子を含んでもよい。あるいはR54とR55、R54とR56、又はR55とR56はそれぞれ結合してこれらが結合する炭素原子と共に炭素数3〜20、好ましくは4〜16の環、特に脂環を形成してもよい。
【0053】
前記式(AL−10)で示されるアセタール基を(AL−10)−1〜(AL−10)−34に例示する。
【化31】
【0054】
【化32】
【0055】
また、酸不安定基として、下記一般式(AL−10a)あるいは(AL−10b)で示される基が挙げられ、該酸不安定基によってベース樹脂が分子間あるいは分子内架橋されていてもよい。
【化33】
【0056】
上記式中、R61、R62は水素原子、又は炭素数1〜8の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基を示す。又は、R61とR62は互いに結合してこれらが結合する炭素原子と共に環を形成してもよく、環を形成する場合にはR61、R62は炭素数1〜8の直鎖状又は分岐状のアルキレン基を示す。R63は炭素数1〜10の直鎖状、分岐状又は環状のアルキレン基、b5、d5は0又は1〜10の整数、好ましくは0又は1〜5の整数、c5は1〜7の整数である。Aは、(c5+1)価の炭素数1〜50の脂肪族もしくは脂環式飽和炭化水素基、芳香族炭化水素基又はヘテロ環基を示し、これらの基は酸素、硫黄、窒素等のヘテロ原子を介在してもよく、又はその炭素原子に結合する水素原子の一部が水酸基、カルボキシル基、カルボニル基又はフッ素原子によって置換されていてもよい。Bは−CO−O−、−NHCO−O−又は−NHCONH−を示す。
【0057】
この場合、好ましくはAは2〜4価の炭素数1〜20の直鎖状、分岐状又は環状のアルキレン基、アルカントリイル基、アルカンテトライル基、又は炭素数6〜30のアリーレン基であり、これらの基は酸素、硫黄、窒素等のヘテロ原子を介在していてもよく、またその炭素原子に結合する水素原子の一部が水酸基、カルボキシル基、アシル基又はハロゲン原子によって置換されていてもよい。また、c5は好ましくは1〜3の整数である。
【0058】
一般式(AL−10a)、(AL−10b)で示される架橋型アセタール基は、具体的には下記式(AL−10)−35〜(AL−10)−42のものが挙げられる。
【化34】
【0059】
次に、前記式(AL−11)で示される三級アルキル基としては、tert−ブチル基、トリエチルカルビル基、1−エチルノルボニル基、1−メチルシクロヘキシル基、1−エチルシクロペンチル基、tert−アミル基等、あるいは下記一般式(AL−11)−1〜(AL−11)−16で示される基を挙げることができる。
【化35】
【0060】
上記式中、R64は同一又は異種の炭素数1〜8の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、又は炭素数7〜20のアラルキル基を示す。R65、R67は水素原子、又は炭素数1〜20の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基を示す。R66は炭素数6〜20のアリール基、又は炭素数7〜20のアラルキル基を示す。2つのR64は結合してこれらが結合する炭素原子と共に脂環を形成してもよい。
【0061】
更に、酸不安定基として、下記一般式(AL−11)−17、(AL−11)−18に示す基が挙げられ、2価以上のアルキレン基、又はアリーレン基であるR68を含む該酸不安定基によってベース樹脂が分子内あるいは分子間架橋されていてもよい。式(AL−11)−17、(AL−11)−18のR64は前述と同様、R68は単結合、炭素数1〜20の直鎖状、分岐状又は環状のアルキレン基、又はアリーレン基を示し、酸素原子や硫黄原子、窒素原子等のヘテロ原子を含んでいてもよい。b6は0又は1〜3の整数である。
【化36】
【0062】
なお、上述したR64、R65、R66、R67は酸素、窒素、硫黄等のヘテロ原子を有していてもよく、具体的には下記式(AL−12)−1〜(AL−12)−7に示すことができる。
【化37】
【0063】
特に、上記式(AL−11)の酸不安定基としては、下記一般式(AL−11)−19に示されるエキソ体構造を有するものが好ましい。
【化38】
(式中、R69は炭素数1〜8の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、又は炭素数6〜20の置換されていてもよいアリール基を示す。R70〜R75及びR78、R79はそれぞれ独立に水素原子又は炭素数1〜15のヘテロ原子を含んでもよいアルキル基等の1価炭化水素基を示し、R76、R77は水素原子又は炭素数1〜15のヘテロ原子を含んでもよいアルキル基等の1価炭化水素基を示す。R70とR71、R72とR74、R72とR75、R73とR75、R73とR79、R74とR78、R76とR77、又はR77とR78は互いに結合してこれらが結合する炭素原子と共に環(特に脂環)を形成してもよく、その場合には環の形成に関与するものは炭素数1〜15のヘテロ原子を含んでもよいアルキレン基等の2価炭化水素基を示す。またR70とR79、R76とR79、又はR72とR74は隣接する炭素に結合するもの同士で何も介さずに結合し、二重結合を形成してもよい。また、本式により、鏡像体も表す。)
【0064】
ここで、式(AL−11)−19に示すエキソ体構造を有する下記繰り返し単位
【化39】
を得るためのエステル体のモノマーとしては、特開2000−327633号公報に示されている。具体的には下記に示すものを挙げることができるが、これらに限定されることはない。なお、RAは水素原子又はメチル基である。
【0065】
【化40】
【0066】
更に、上記式(AL−11)の酸不安定基としては、下記一般式(AL−11)−20に示されるフランジイル基、テトラヒドロフランジイル基又はオキサノルボルナンジイル基を有する酸不安定基を挙げることができる。
【化41】
(式中、R80、R81はそれぞれ独立に炭素数1〜10の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基等の1価炭化水素基を示す。R80、R81は互いに結合してこれらが結合する炭素原子と共に炭素数3〜20の脂肪族炭化水素環を形成してもよい。R82はフランジイル基、テトラヒドロフランジイル基又はオキサノルボルナンジイル基から選ばれる2価の基を示す。R83は水素原子又はヘテロ原子を含んでもよい炭素数1〜10の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基等の1価炭化水素基を示す。)
【0067】
フランジイル基、テトラヒドロフランジイル基又はオキサノルボルナンジイル基を有する酸不安定基で置換された繰り返し単位
【化42】
を得るためのモノマーとしては、下記に例示される。なお、RAは上記の通りである。また、下記式中Meはメチル基、Acはアセチル基を示す。
【0068】
【化43】
【0069】
【化44】
【0070】
一般式(14)中の繰り返し単位(b)のカルボキシル基が置換された酸不安定基R7としては、式(AL−11)で示される三級エステル基、特には環状構造を有する三級エステル基を好ましく用いることができる。最も好ましい三級エステル基としては、式(AL−11)−1〜(AL−11)−16、(AL−11)−19に示される。
【0071】
高分子化合物(A)は、上記式(1)で示される繰り返し単位(a)に加えて、ヒドロキシ基、シアノ基、カルボニル基、エステル基、エーテル基、ラクトン環、カルボキシル基、カルボン酸無水物基から選ばれる密着性基を有する繰り返し単位(c)を含有することが好ましく、特にラクトン環を有する繰り返し単位を含有することが好ましい。
【0072】
繰り返し単位(c)を得るためのモノマーとしては、具体的に下記に挙げることができる。
【化45】
【0073】
【化46】
【0074】
【化47】
【0075】
【化48】
【0076】
【化49】
【0077】
【化50】
【0078】
【化51】
【0079】
【化52】
【0080】
【化53】
【0081】
【化54】
【0082】
【化55】
【0083】
高分子化合物(A)は、更に、下記一般式(d1)〜(d3)で示されるスルホニウム塩である繰り返し単位から選ばれる1種以上の繰り返し単位を含有してもよい。
【化56】
(式中、R20、R24及びR28は水素原子又はメチル基を示す。R21は単結合、フェニレン基、−O−R33−、又は−C(=O)−Y−R33−を示す。Yは酸素原子又はNHを示す。R33は炭素数1〜6の直鎖状、分岐状又は環状のアルキレン基、アルケニレン基又はフェニレン基を示し、カルボニル基(−CO−)、エステル基(−COO−)、エーテル基(−O−)又はヒドロキシ基を含んでいてもよい。R22、R23、R25、R26、R27、R29、R30及びR31はそれぞれ独立に炭素数1〜12の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基を示し、カルボニル基、エステル基又はエーテル基を含んでいてもよく、又は炭素数6〜12のアリール基、炭素数7〜20のアラルキル基又はチオフェニル基を示す。Z0は単結合、メチレン基、エチレン基、フェニレン基、フッ素化されたフェニレン基、−O−R32−、又は−C(=O)−Z1−R32−を示す。Z1は酸素原子又はNHを示す。R32は炭素数1〜6の直鎖状、分岐状又は環状のアルキレン基、アルケニレン基又はフェニレン基を示し、カルボニル基、エステル基、エーテル基又はヒドロキシ基を含んでいてもよい。M-は非求核性対向イオンを示す。d1、d2及びd3は、それぞれ0≦d1≦0.3、0≦d2≦0.3、0≦d3≦0.3を満たす数であり、0≦d1+d2+d3≦0.3である。)
【0084】
高分子化合物(A)において、繰り返し単位(a1)+(a2)+(a3)=(a)とすると、高分子化合物(A)における上記繰り返し単位(a)、(b)、(c)、(d1)、(d2)及び(d3)の含有率は、
0<a≦1.0、0≦b<1.0、0≦c<1.0、0≦d1≦0.3、0≦d2≦0.3、0≦d3≦0.3、但し、0≦d1+d2+d3≦0.3、
好ましくは
0<a<1.0、0≦b<1.0、0<c<1.0、0≦d1<0.2、0≦d2<0.2、0≦d3<0.2、但し、0≦d1+d2+d3<0.2、
より好ましくは
0<a≦0.8、0≦b≦0.8、0<c≦0.8、0≦d1<0.15、0≦d2<0.15、0≦d3<0.15、但し、0≦d1+d2+d3<0.15
の範囲である。但し、a+b+c+d1+d2+d3=1である。
【0085】
ここで、例えばa+b=1とは、繰り返し単位(a)及び(b)を含む高分子化合物において、繰り返し単位(a)及び(b)の合計量が全繰り返し単位の合計量中100モル%であることを示し、a+b<1とは、繰り返し単位(a)及び(b)の合計量が全繰り返し単位の合計量中100モル%未満で繰り返し単位(a)及び(b)以外に他の繰り返し単位(c)及び/又は(d1)等を有していることを示す。
【0086】
本発明のパターン形成方法に用いられるレジスト組成物のベース樹脂となる高分子化合物は、溶剤としてテトラヒドロフランを用いたゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によるポリスチレン換算重量平均分子量が1,000〜500,000、特に2,000〜30,000であることが好ましい。重量平均分子量が小さすぎると有機溶剤現像時に膜減りを生じ易くなり、大きすぎると有機溶剤への溶解性が低下し、パターン形成後に裾引き現象が生じ易くなる。
【0087】
更に、本発明のパターン形成方法に用いられるレジスト組成物のベース樹脂となる高分子化合物においては、分子量分布(Mw/Mn)が広い場合は低分子量や高分子量のポリマーが存在するために露光後、パターン上に異物が見られたり、パターンの形状が悪化したりするおそれがある。それ故、パターンルールが微細化するに従ってこのような分子量、分子量分布の影響が大きくなり易いことから、微細なパターン寸法に好適に用いられるレジスト組成物を得るには、使用する多成分共重合体の分子量分布は1.0〜2.0、特に1.0〜1.5と狭分散であることが好ましい。
また、組成比率や分子量分布や分子量が異なる2つ以上のポリマーをブレンドしたり、酸不安定基で置換されたヒドロキシ基を含まないポリマーとブレンドすることも可能である。
【0088】
上記高分子化合物(A)を合成するには、1つの方法としては、繰り返し単位(a)、及び必要に応じて繰り返し単位(b)、(c)、(d1)、(d2)及び/又は(d3)を得るための不飽和結合を有するモノマーを有機溶剤中、ラジカル開始剤を加えて加熱重合を行う方法があり、これにより高分子化合物を得ることができる。重合時に使用する有機溶剤としては、トルエン、ベンゼン、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジオキサン等が例示できる。重合開始剤としては、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、ジメチル−2,2−アゾビス(2−メチルプロピオネート)、ベンゾイルパーオキシド、ラウロイルパーオキシド等が例示できる。反応温度は、好ましくは50〜80℃である。反応時間は、好ましくは2〜100時間、より好ましくは5〜20時間である。酸不安定基は、モノマーに導入されたものをそのまま用いてもよいし、重合後保護化又は部分保護化してもよい。
【0089】
本発明のレジスト組成物は、紫外線、遠紫外線、極端紫外線、電子線、X線、エキシマレーザー、γ線、又はシンクロトロン放射線等の高エネルギー線に感応し、下記一般式(2)で示されるスルホン酸を発生するオニウム塩型光酸発生剤、下記一般式(3)で示されるイミド酸を発生するオニウム塩型光酸発生剤又は下記一般式(4)で示されるメチド酸を発生するオニウム塩型光酸発生剤の少なくとも1種(B)を含有する。
【化57】
(式中、R200は直鎖状、分岐状もしくは環状の炭素数1〜28のアルキル基、炭素数6〜28のアリール基、又は炭素数7〜28のアラルキル基を示し、これらの基に含まれるメチレン基の一部が、エーテル基、エステル基、カルボニル基、アミド基、カーボネート基又はカルバメート基で置換されてもよく、また、これらの基の水素原子の一部又は全部がハロゲン原子、ヒドロキシ基、カルボキシル基、アミノ基、シアノ基、ニトロ基及びスルホン酸エステルから選ばれる1つ以上の基で置換されてもよい。R210、R211はそれぞれ置換基を有してもよい炭素数1〜8の直鎖状又は分岐状のフルオロアルキル基、又は、R210、R211が互いに結合して環を形成し、この場合R210、R211はそれぞれ炭素数1〜8のフルオロアルキレン基を示す。R220、R221、R222はそれぞれ置換基を有してもよい炭素数1〜8の直鎖状又は分岐状のフルオロアルキル基、又は、R220、R221が互いに結合して環を形成し、この場合R220、R221はそれぞれ炭素数1〜8のフルオロアルキレン基を示す。)
【0090】
具体的なスルホン酸の例としては、トリフルオロメタンスルホン酸、ペンタフルオロエタンスルホン酸、ノナフルオロブタンスルホン酸、ドデカフルオロヘキサンスルホン酸、ヘプタデカフルオロオクタンスルホン酸等のパーフルオロアルキルスルホン酸や、1,1−ジフルオロ−2−ナフチル−エタンスルホン酸、1,1,2,2−テトラフルオロ−2−(ノルボルナン−2−イル)エタンスルホン酸等のアルキルスルホン酸やアラルキルスルホン酸の水素原子の一部がフッ素置換された構造のもの等が挙げられる。
【0091】
中でも、好ましいスルホン酸を発生するオニウム塩型光酸発生剤は、下記一般式(8)で示される構造のスルホン酸を発生するもの、即ちパーフルオロアルキルスルホン酸ではないスルホン酸である。
【化58】
(式中、R201は直鎖状、分岐状もしくは環状の炭素数1〜23のアルキル基、炭素数6〜23のアリール基、又は炭素数7〜23のアラルキル基を示し、これらの基に含まれるメチレン基の一部が、エーテル基、エステル基又はカルボニル基で置換されてもよく、また、これらの基の水素原子の一部又は全部がハロゲン原子、ヒドロキシ基、カルボキシル基、アミノ基、シアノ基、ニトロ基及びスルホン酸エステルから選ばれる1つ以上の基で置換されてもよい。但し、R201はパーフルオロアルキル基ではない。)
【0092】
パーフルオロアルカンスルホン酸を発生する光酸発生剤は、ArF化学増幅型レジスト組成物用途に広く使われているが、中でもパーフルオロオクタンスルホン酸あるいはその誘導体は、その頭文字をとりPFOSとして知られており、C−F結合に由来する安定性(非分解性)や疎水性、親油性に由来する生態濃縮性、蓄積性が問題となっている。このようなPFOSに関する問題に対して、上記式(8)で示されるフッ素の置換率を下げた部分フッ素置換アルカンスルホン酸は有効である。具体的なスルホン酸の例としては、1,1−ジフルオロ−2−ナフチル−エタンスルホン酸、1,1,2,2−テトラフルオロ−2−(ノルボルナン−2−イル)エタンスルホン酸、1,1,2,2−テトラフルオロ−2−(テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン−8−イル)エタンスルホン酸等が挙げられる。
【0093】
部分フッ素置換アルカンスルホン酸を発生する酸発生剤は、既に公開されている例もあり、例えば、特許文献9:特表2004−531749号公報には、α,α−ジフルオロアルケンと硫黄化合物によりα,α−ジフルオロアルキルスルホン酸塩を開発し、露光によりこのスルホン酸を発生する光酸発生剤、具体的にはジ(4−tert−ブチルフェニル)ヨードニウム1,1−ジフルオロ−1−スルホネート−2−(1−ナフチル)エチレンを含有するレジスト材料や、特許文献10:特開2004−2252号公報、特許文献11:特開2005−352466号公報、特許文献12:特開2006−257078号公報等にも部分フッ素化アルカンスルホン酸を発生する光酸発生剤を用いたレジスト材料が公開されている。
【0094】
また、より好ましいスルホン酸を発生するオニウム塩型光酸発生剤は、下記一般式(9)又は(10)で示されるエステル基を含む構造である。
【化59】
(式中、R202は直鎖状、分岐状もしくは環状の炭素数1〜23のアルキル基、炭素数6〜23のアリール基、又は炭素数7〜23のアラルキル基を示し、これらの基に含まれるメチレン基の一部が、エーテル基、エステル基又はカルボニル基で置換されてもよく、また、これらの基の水素原子の一部又は全部がハロゲン原子、ヒドロキシ基、カルボキシル基、アミノ基及びシアノ基から選ばれる1つ以上の基で置換されてもよい。但し、R202はパーフルオロアルキル基ではない。)
【化60】
(式中、R203は置換もしくは非置換の炭素数1〜20の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、又は置換もしくは非置換の炭素数6〜14のアリール基を示す。但し、R203はパーフルオロアルキル基ではない。)
【0095】
ここで、上記式(9)においてR202で示されるアルキル基又はアリール基として、具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、sec−プロピル基、シクロプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、iso−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、シクロペンチル基、n−ヘキシル基、シクロヘキシル基、n−オクチル基、n−デシル基、n−ドデシル基、1−アダマンチル基、2−アダマンチル基、ビシクロ[2.2.1]ヘプテン−2−イル基、フェニル基、4−メトキシフェニル基、4−tert−ブチルフェニル基、4−ビフェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、10−アントラニル基、2−フラニル基等が挙げられる。
【0096】
また、置換基を有するアルキル基又はアリール基としては、2−カルボキシエチル基、2−(メトキシカルボニル)エチル基、2−(シクロヘキシルオキシカルボニル)エチル基、2−(1−アダマンチルメチルオキシカルボニル)エチル基、2−カルボキシシクロヘキシル基、2−(メトキシカルボニル)シクロヘキシル基、2−(シクロヘキシルオキシカルボニル)シクロヘキシル基、2−(1−アダマンチルメチルオキシカルボニル)シクロヘキシル基、4−オキソシクロヘキシル基、4−オキソ−1−アダマンチル基、2−カルボキシフェニル基、2−カルボキシナフチル基等が挙げられる。
【0097】
これらの中でも、tert−ブチル基、シクロヘキシル基、1−アダマンチル基、フェニル基、4−tert−ブチルフェニル基、4−メトキシフェニル基、4−ビフェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基等が好ましく、tert−ブチル基、シクロヘキシル基、フェニル基、4−tert−ブチルフェニル基等が好ましい。
【0098】
上記式(9)で示されるスルホン酸のより具体的な例を下記に示す。
【化61】
【0099】
【化62】
【0100】
上記式(10)において、R203で示される置換もしくは非置換の炭素数1〜20の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基として、具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、sec−プロピル基、シクロプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、iso−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、シクロペンチル基、n−ヘキシル基、シクロヘキシル基、n−オクチル基、n−デシル基、n−ドデシル基、1−アダマンチル基、2−アダマンチル基、1−アダマンチルメチル基、1−(3−ヒドロキシメチル)アダマンチルメチル基、4−オキソ−1−アダマンチル基、1−(ヘキサヒドロ−2−オキソ−3,5−メタノ−2H−シクロペンタ[b]フラン−6−イル基、1−(3−ヒドロキシ)アダマンチルメチル基等が挙げられる。
【0101】
また、R203で示される置換もしくは非置換の炭素数6〜14のアリール基として、具体的には、フェニル基、4−ビフェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、10−アントラニル基、2−フラニル基、メトキシフェニル基、4−tert−ブチルフェニル基2−カルボキシフェニル基、2−カルボキシナフチル基等が挙げられる。
【0102】
上記式(10)で示されるスルホン酸のより具体的な例を下記に示す。
【化63】
【0103】
更に、スルホン酸を発生するオニウム塩型光酸発生剤(B)が、下記一般式(11)又は(12)で示されるスルホ基のα位がフッ素化置換されていないスルホン酸でもよい。
【化64】
(式中、R204は直鎖状、分岐状もしくは環状の炭素数1〜23のアルキル基、炭素数6〜23のアリール基、又は炭素数7〜23のアラルキル基を示し、これらの基に含まれるメチレン基の一部が、エーテル基、エステル基又はカルボニル基で置換されてもよく、また、これらの基の水素原子の一部又は全部がハロゲン原子、ヒドロキシ基、カルボキシル基、アミノ基及びシアノ基から選ばれる1つ以上の基で置換されてもよい。但し、R204はパーフルオロアルキル基ではない。)
【化65】
(式中、R205は置換もしくは非置換の炭素数1〜20の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、又は置換もしくは非置換の炭素数6〜14のアリール基を示す。但し、R205はパーフルオロアルキル基ではない。nは1〜3の整数を示す。)
【0104】
上記式(11)において、R204で示される置換もしくは非置換の炭素数1〜20の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基として、具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、sec−プロピル基、シクロプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、iso−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、シクロペンチル基、n−ヘキシル基、シクロヘキシル基、n−オクチル基、n−デシル基、n−ドデシル基、1−アダマンチル基、2−アダマンチル基、1−アダマンチルメチル基、1−(3−ヒドロキシメチル)アダマンチルメチル基、4−オキソ−1−アダマンチル基、1−(ヘキサヒドロ−2−オキソ−3,5−メタノ−2H−シクロペンタ[b]フラン−6−イル基、1−(3−ヒドロキシ)アダマンチルメチル基等が挙げられる。
【0105】
また、R204で示される置換もしくは非置換の炭素数6〜14のアリール基として、具体的には、フェニル基、4−ビフェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、10−アントラニル基、2−フラニル基、メトキシフェニル基、4−tert−ブチルフェニル基2−カルボキシフェニル基、2−カルボキシナフチル基等が挙げられる。
【0106】
上記式(11)で示されるスルホン酸のより具体的な例を下記に示す。
【化66】
【0107】
上記式(12)において、R205で示される置換もしくは非置換の炭素数1〜20の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基として、具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、sec−プロピル基、シクロプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、iso−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、シクロペンチル基、n−ヘキシル基、シクロヘキシル基、n−オクチル基、n−デシル基、n−ドデシル基、1−アダマンチル基、2−アダマンチル基、1−アダマンチルメチル基、1−(3−ヒドロキシメチル)アダマンチルメチル基、4−オキソ−1−アダマンチル基、1−(ヘキサヒドロ−2−オキソ−3,5−メタノ−2H−シクロペンタ[b]フラン−6−イル基、1−(3−ヒドロキシ)アダマンチルメチル基等が挙げられる。
【0108】
また、R205で示される置換もしくは非置換の炭素数6〜14のアリール基として、具体的には、フェニル基、4−ビフェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、10−アントラニル基、2−フラニル基、メトキシフェニル基、4−tert−ブチルフェニル基2−カルボキシフェニル基、2−カルボキシナフチル基等が挙げられる。
【0109】
上記式(12)で示されるスルホン酸のより具体的な例を下記に示す。
【化67】
【0110】
光酸発生剤(B)は、下記一般式(3)で示されるイミド酸を発生するオニウム塩型光酸発生剤でもよい。
【化68】
(式中、R210、R211はそれぞれ置換基を有してもよい炭素数1〜8の直鎖状又は分岐状のフルオロアルキル基、又は、R210、R211が互いに結合して環を形成し、この場合R210、R211はそれぞれ炭素数1〜8のフルオロアルキレン基を示す。)
【0111】
より好適に用いられる上記一般式(3)で示されるイミド酸の具体例を示す。
【化69】
【0112】
光酸発生剤(B)は、下記一般式(4)で示されるメチド酸を発生するオニウム塩型光酸発生剤でもよい。
【化70】
(式中、R220、R221、R222はそれぞれ置換基を有してもよい炭素数1〜8の直鎖状又は分岐状のフルオロアルキル基、又は、R220、R221が互いに結合して環を形成し、この場合R220、R221はそれぞれ炭素数1〜8のフルオロアルキレン基を示す。)
【0113】
より好適に用いられる上記一般式(4)で示されるメチド酸の具体例を示す。
【化71】
【0114】
上記式(2)で示されるスルホン酸を発生するオニウム塩型光酸発生剤(B)は、スルホニウム塩又はヨードニウム塩である。上記スルホニウム塩又はヨードニウム塩を構成するカチオンは、下記一般式(6)で示されるスルホニウムカチオン又は下記一般式(7)で示されるヨードニウムカチオンである。
【化72】
(式中、R101、R102及びR103はそれぞれ独立に直鎖状もしくは環状の炭素数1〜20のアルキル基、炭素数2〜20のアルケニル基、炭素数6〜20のアリール基、又は炭素数7〜20のアラルキル基を示し、これらの基のメチレン基の一部がエーテル基、エステル基又はカルボニル基で置換されてもよく、また、これらの基の水素原子の一部又は全部がハロゲン原子、ヒドロキシ基、カルボキシル基、アミノ基及びシアノ基から選ばれる1つ以上の基で置換されてもよい。また、R101、R102及びR103のうち2つが相互に結合して式中の硫黄原子と共に炭素数4〜8、特に4〜6の環を形成してもよい。R104及びR105はそれぞれ独立に直鎖状もしくは環状の炭素数1〜20のアルキル基、炭素数2〜20のアルケニル基、炭素数6〜20のアリール基、又は炭素数7〜20のアラルキル基を示し、これらの基のメチレン基の一部がエーテル基、エステル基又はカルボニル基で置換されてもよく、また、これらの基の水素原子の一部又は全部がハロゲン原子、ヒドロキシ基、カルボキシル基、アミノ基及びシアノ基から選ばれる1つ以上の基で置換されてもよい。)
【0115】
上記式(6)で示されるスルホニウムカチオンの具体的に示すと、トリフェニルスルホニウム、4−ヒドロキシフェニルジフェニルスルホニウム、4−tert−ブチルフェニルジフェニルスルホニウム、4−tert−ブトキシフェニルジフェニルスルホニウム、トリス(4−tert−ブチルフェニル)スルホニウム、ビス(4−ヒドロキシフェニル)フェニルスルホニウム、トリス(4−ヒドロキシフェニル)スルホニウム、(4−tert−ブトキシフェニル)ジフェニルスルホニウム、ビス(4−tert−ブトキシフェニル)フェニルスルホニウム、トリス(4−tert−ブトキシフェニル)スルホニウム、(3−tert−ブトキシフェニル)ジフェニルスルホニウム、ビス(3−tert−ブトキシフェニル)フェニルスルホニウム、トリス(3−tert−ブトキシフェニル)スルホニウム、(3,4−ジtert−ブトキシフェニル)ジフェニルスルホニウム、ビス(3,4−ジtert−ブトキシフェニル)フェニルスルホニウム、トリス(3,4−ジtert−ブトキシフェニル)スルホニウム、ジフェニル(4−チオフェノキシフェニル)スルホニウム、(4−tert−ブトキシカルボニルメチルオキシフェニル)ジフェニルスルホニウム、トリス(4−tert−ブトキシカルボニルメチルオキシフェニル)スルホニウム、(4−tert−ブトキシフェニル)ビス(4−ジメチルアミノフェニル)スルホニウム、トリス(4−ジメチルアミノフェニル)スルホニウム、2−ナフチルジフェニルスルホニウム、ジメチル−2−ナフチルスルホニウム、4−ヒドロキシフェニルジメチルスルホニウム、4−メトキシフェニルジメチルスルホニウム、トリメチルスルホニウム、2−オキソシクロヘキシルシクロヘキシルメチルスルホニウム、トリナフチルスルホニウム、トリベンジルスルホニウム、ジフェニルメチルスルホニウム、ジメチルフェニルスルホニウム、2−オキソ−2−フェニルエチルチアシクロペンタニウム、ジフェニル2−チエニルスルホニウム、4−n−ブトキシナフチル−1−チアシクロペンタニウム、2−n−ブトキシナフチル−1−チアシクロペンタニウム、4−メトキシナフチル−1−チアシクロペンタニウム、2−メトキシナフチル−1−チアシクロペンタニウム等が挙げられる。より好ましくは、トリフェニルスルホニウム、4−tert−ブチルフェニルジフェニルスルホニウム、4−tert−ブトキシフェニルジフェニルスルホニウム、トリス(4−tert−ブチルフェニル)スルホニウム、(4−tert−ブトキシカルボニルメチルオキシフェニル)ジフェニルスルホニウム等が挙げられる。
【0116】
上記式(7)で示されるヨードニウムカチオンの具体的に示すと、ビス(4−メチルフェニル)ヨードニウム、ビス(4−エチルフェニル)ヨードニウム、ビス(4−tert−ブチルフェニル)ヨードニウム、ビス(4−(1,1−ジメチルプロピル)フェニル)ヨードニウム、4−メトキシフェニルフェニルヨードニウム、4−tert−ブトキシフェニルフェニルヨードニウム、4−アクリロイルオキシフェニルフェニルヨードニウム、4−メタクリロイルオキシフェニルフェニルヨードニウム等が挙げられる。中でも、ビス(4−tert−ブチルフェニル)ヨードニウムが好ましく用いられる。
【0117】
好ましいオニウム塩の組み合わせとして、トリフェニルスルホニウム、4−tert−ブチルフェニルジフェニルスルホニウム、4−tert−ブトキシフェニルジフェニルスルホニウム、トリス(4−tert−ブチルフェニル)スルホニウム、ビス(4−tert−ブチルフェニル)ヨードニウムから選ばれるカチオン、及び2−アダマンタンカルボニルオキシ−1,1,3,3,3−ペンタフルオロプロパンスルホネート、2−シクロヘキサンカルボニルオキシ−1,1,3,3,3−ペンタフルオロプロパンスルホネート、2−アダマンタンカルボニルオキシエタンスルホネートから選ばれるアニオンからなる組み合わせが挙げられる。
【0118】
本発明に係るオニウム塩型光酸発生剤(B)を合成する方法の例として、上記式(8)で示されるスルホン酸を発生する光酸発生剤の合成方法について述べる。
中井らにより1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノールを出発原料として開発された1,1,3,3,3−ペンタフルオロプロペン−2−イルベンゾエート(Tetrahedron. Lett., Vol.29, 4119(1988))に代表される1,1,3,3,3−ペンタフルオロプロペン−2−イル脂肪族カルボン酸エステルあるいは芳香族カルボン酸エステルを亜硫酸水素ナトリウムあるいは亜硫酸ナトリウムとアゾビスイソブチロニトリルや過酸化ベンゾイル等のラジカル開始剤存在下、溶剤として水あるいはアルコール及びその混合物中で反応させることにより対応するスルホン酸塩の合成を行うことができる(R.B.Wagner et al., Synthetic Organic Chemistry p.813−814, John Wiley & Sons, Inc.(1965)参照)。更にいえば、上記方法で得たスルホン酸塩を水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリを用いて加水分解又はアルコールと塩基を用いて加溶媒分解した後に、適宜、脂肪族カルボン酸ハライドや脂肪族カルボン酸無水物、芳香族カルボン酸ハライドや芳香族カルボン酸無水物等で反応させることにより、当初有していたカルボン酸エステル構造とは異なるカルボン酸エステル構造を有するスルホン酸塩を得ることができる。
【0119】
このスルホン酸塩をスルホニウム塩、ヨードニウム塩とするには公知の方法で行うことができ、イミドスルホネート、オキシムスルホネートとするには上述のスルホン酸塩を公知の方法でスルホニルハライド、スルホン酸無水物とし、対応するヒドロキシイミド、オキシムと反応させることで合成することができる。
【0120】
上記式(8)、(9)、(10)、(11)及び(12)で示されるスルホン酸は、分子内にエステル部位を有するため、嵩の低いアシル基から嵩の高いアシル基、ベンゾイル基、ナフトイル基、アントラニル基等の導入が容易であり、分子設計の幅を大きく持つことができる。また、これらスルホン酸を発生する光酸発生剤はデバイス作製工程での塗布、露光前焼成、露光、現像の工程に問題なく使用できる。更にはArF液浸露光の際の水への溶出も抑えることができるのみならず、ウエハー上に残る水の影響も少なく、欠陥も抑えることができる。
【0121】
本発明のレジスト組成物における光酸発生剤(B)の添加量は、レジスト組成物中のベースポリマー(本発明の樹脂成分(A)及び必要に応じてその他の樹脂成分)100質量部に対して、好ましくは0.1〜20質量部、より好ましくは0.1〜10質量部である。光酸発生剤(B)が多すぎる場合には、解像性の劣化や、現像/レジスト膜剥離時の異物の問題が起きる可能性がある。一方、光酸発生剤(B)が少なすぎる場合には、脱保護反応が進行せず解像性が劣化する可能性がある。上記光酸発生剤(B)は、単独でも2種以上混合して用いることもできる。更に、露光波長における透過率が低い光酸発生剤を用い、その添加量を調整することでレジスト膜中の透過率を制御することもできる。
【0122】
本発明のレジスト組成物は、上記高分子化合物(A)と、上記オニウム塩型光酸発生剤(B)に加えて、下記一般式(5)で示されるカルボン酸を発生するオニウム塩型光酸発生剤(C)を含有する。
【化73】
(式中、R300は直鎖状、分岐状もしくは環状の炭素数1〜25のアルキル基、炭素数2〜25のアルケニル基、炭素数6〜25のアリール基、又は炭素数7〜25のアラルキル基を示し、これらの基に含まれるメチレン基の一部が、エーテル基、エステル基又はカルボニル基で置換されてもよく、また、これらの基の水素原子の一部又は全部がハロゲン原子、ヒドロキシ基、カルボキシル基、アミノ基、シアノ基、ニトロ基及びスルホン酸エステルから選ばれる1つ以上の基で置換されてもよい。)
【0123】
上記式(5)で示されるカルボン酸のアニオンの具体例としては、ギ酸アニオン、酢酸アニオン、プロピオン酸アニオン、酪酸アニオン、イソ酪酸アニオン、吉草酸アニオン、イソ吉草酸アニオン、ピバル酸アニオン、ヘキサン酸アニオン、オクタン酸アニオン、シクロヘキシル酢酸アニオン、ラウリン酸アニオン、ミリスチン酸アニオン、パルミチン酸アニオン、ステアリン酸アニオン、フェニル酢酸アニオン、ジフェニル酢酸アニオン、フェノキシ酢酸アニオン、マンデル酸アニオン、ベンゾイルギ酸アニオン、ケイヒ酸アニオン、ジヒドロケイヒ酸アニオン、メチル安息香酸アニオン、アントラセンカルボン酸アニオン、ヒドロキシ酢酸アニオン、乳酸アニオン、メトキシ酢酸アニオン、2−(2−メトキシエトキシ)酢酸アニオン、2−(2−(2−メトキシエトキシ)エトキシ)酢酸アニオン、ジフェノール酸アニオン、モノクロロ酢酸アニオン、ジクロロ酢酸アニオン、トリクロロ酢酸アニオン、トリフルオロ酢酸アニオン、ペンタフルオロプロピオン酸アニオン、ヘプタフルオロ酪酸アニオン、コール酸アニオン等が挙げられる。また、コハク酸、酒石酸、グルタル酸、ピメリン酸、セバシン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸、シクロヘキセンジカルボン酸等のジカルボン酸のモノアニオンも挙げられる。
【0124】
特に好ましいカルボン酸アニオンの例として、下記のものが挙げられるが、これらに限定されない。
【化74】
【0125】
【化75】
【0126】
上記オニウム塩型光酸発生剤(C)は、スルホニウム塩又はヨードニウム塩である。上記スルホニウム塩又はヨードニウム塩を構成するカチオンは、上記式(6)で示されるスルホニウムカチオン又は上記式(7)で示されるヨードニウムカチオンである。これらカチオンの具体例としては、上述したものと同様のものが挙げられる。
【0127】
好ましいオニウム塩の組み合わせとして、カチオンにはトリフェニルスルホニウム、4−tert−ブチルフェニルジフェニルスルホニウム、4−tert−ブトキシフェニルジフェニルスルホニウム、トリス(4−tert−ブチルフェニル)スルホニウム、ビス(4−tert−ブチルフェニル)ヨードニウムが挙げられ、アニオンには、1−アダマンタンカルボキシレート、4−tert−ブチルベンゾエート等が挙げられる。
【0128】
上記オニウム塩型光酸発生剤(C)の合成法は特に制限されるものではないが、公知のアニオン交換法により合成できる。カルボキシレートは前駆体オニウム塩化物、臭化物とのアニオン交換が定量的に進みにくいことから、イオン交換樹脂を用いてオニウムヒドロキシドとした後にアニオン交換を行うか、銀イオンや鉛イオンを用いて系中に存在する塩化物イオン、臭化物イオンを銀塩、鉛塩として沈殿除去することで合成できる。
【0129】
上記の構造を有するオニウム塩型光酸発生剤(C)をオニウム塩型光酸発生剤(B)と併用した場合、光酸発生剤(B)が発生する強い酸であるスルホン酸が、弱い酸の塩である光酸発生剤(C)との塩交換反応を起こし、強い酸の塩と弱い酸が発生する。この弱い酸(カルボン酸)は樹脂の脱保護反応を起こす能力が乏しいため、結果的にアセタール保護基に特有の過度な脱保護反応を抑制する。特に、本発明が提案する構造のアセタール保護基で保護されたヒドロキシ基を有する高分子化合物(A)との組み合わせにおいて、適度な脱保護抑制能を示し、解像性を維持しながら、微少露光量域の溶解、即ち、ハーフトーン位相シフトマスク使用時の表面荒れやサイドローブ耐性を改善することもできる。
【0130】
本発明のレジスト組成物における光酸発生剤(C)の添加量は、レジスト組成物中のベースポリマー100質量部に対して、好ましくは0.1〜20質量部、より好ましくは0.1〜10質量部である。光酸発生剤(C)が多すぎる場合には、解像性の劣化や、現像/レジスト膜剥離時の異物の問題が起きる可能性がある。一方、光酸発生剤(C)が少なすぎる場合には、酸拡散制御能力が著しく低下し、解像性劣化を招くことがある。上記光酸発生剤(C)は、単独でも2種以上混合して用いることもできる。
【0131】
また、本発明のレジスト組成物には、酸により分解し、酸を発生する化合物(酸増殖化合物)を添加してもよい。これらの化合物としては、J. Photopolym. Sci. and Tech., 8. 43−44, 45−46 (1995)及びJ. Photopolym. Sci. and Tech., 9. 29−30 (1996)に記載されているものが挙げられる。
【0132】
酸増殖化合物の例としては、tert−ブチル−2−メチル−2−トシロキシメチルアセトアセテート、2−フェニル−2−(2−トシロキシエチル)−1,3−ジオキソラン等が挙げられるが、これらに限定されない。公知の光酸発生剤の中で安定性、特に熱安定性に劣る化合物は酸増殖化合物的な性質を示す場合が多い。
【0133】
本発明のレジスト組成物における酸増殖化合物の添加量は、レジスト組成物中のベースポリマー100質量部に対して、好ましくは2質量部以下、より好ましくは1質量部以下である。添加量が多すぎる場合は拡散の制御が難しく解像性の劣化、パターン形状の劣化が起こる。
【0134】
本発明のレジスト組成物は、上記(A)、(B)及び(C)成分に加え、(D)有機溶剤、必要に応じ、(E)塩基性化合物、(F)界面活性剤等を含有することができる。本発明のレジスト組成物は、必要に応じて更に溶解制御剤、アセチレンアルコール類等その他の成分を含有することができる。
【0135】
(D)有機溶剤の具体例としては、特開2008−111103号公報の段落[0144]〜[0145]に記載のシクロヘキサノン、メチル−2−n−アミルケトン等のケトン類、3−メトキシブタノール、3−メチル−3−メトキシブタノール、1−メトキシ−2−プロパノール、1−エトキシ−2−プロパノール等のアルコール類、プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル等のエーテル類、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、乳酸エチル、ピルビン酸エチル、酢酸ブチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、酢酸tert−ブチル、プロピオン酸tert−ブチル、プロピレングリコールモノtert−ブチルエーテルアセテート等のエステル類、γ−ブチロラクトン等のラクトン類等及びこれらの混合溶剤が挙げられる。
【0136】
有機溶剤の配合量は、ベースポリマー100質量部に対し100〜10,000質量部、特に300〜8,000質量部とすることが好ましい。
【0137】
(E)塩基性化合物としては、特開2008−111103号公報の段落[0146]〜[0164]に記載の1級、2級、3級のアミン化合物、特にはヒドロキシ基、エーテル基、エステル基、ラクトン環、シアノ基、スルホン酸エステル基を有するアミン化合物あるいは特許第3790649号公報記載のカルバメート基を有する化合物を挙げることができる。
【0138】
塩基性化合物の配合量は、ベースポリマー100質量部に対し0.0001〜30質量部、特に0.001〜20質量部とすることが好ましい。
【0139】
(F)界面活性剤としては、特開2008−111103号公報の段落[0165]〜[0166]に記載されたもの等を挙げることができる。溶解制御剤としては、特開2008−122932号公報の段落[0155]〜[0178]、アセチレンアルコール類としては、段落[0179]〜[0182]に記載のものを用いることができる。これらの成分の添加量は、本発明の効果を妨げない範囲で任意とすることができる。
【0140】
また、スピンコート後のレジスト表面の撥水性を向上させるための高分子化合物を添加することもできる。この添加剤は、トップコートを用いない液浸リソグラフィーに用いることができる。このような添加剤としては、特開2007−297590号公報、特開2008−111103号公報、特開2008−122932号公報、特開2009−98638号公報、特開2009−276363号公報に開示されているような、特定構造の1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノール残基を有する高分子化合物が挙げられる。レジスト組成物に添加される撥水性向上剤は、有機溶剤からなる現像液に溶解する必要がある。上述の特定の1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノール残基を有する高分子化合物は、現像液への溶解性が良好である。撥水性向上剤として、アミノ基やアミン塩を繰り返し単位として共重合した高分子化合物は、露光後加熱処理(ポストエクスポージャーベーク:以下PEBと記す。)中の酸の蒸発を防いで現像後のホールパターンの開口不良を防止する効果が高い。アミノ基を共重合した撥水性の高分子化合物を添加するレジスト組成物としては、特開2009−31767号公報に、スルホン酸アミン塩の共重合品は特開2008−107443号公報に、カルボン酸アミン塩の共重合品は特開2008−239918号公報に記載されているものを用いることができる。撥水性向上剤を添加する場合、その添加量は、レジスト組成物のベースポリマー100質量部に対して0.1〜20質量部、好ましくは0.5〜10質量部である。
【0141】
本発明のレジストパターン形成方法の説明図を図1に示す。この場合、図1(A)に示したように、本発明においては基板10上に形成した被加工層20に直接又は中間介在層30を介してレジスト組成物を基板上に塗布してレジスト膜40を形成する。レジスト膜の厚さは、10〜1,000nm、特に20〜500nmであることが好ましい。このレジスト膜は、露光前に加熱(プリベーク)されるが、この条件としては60〜180℃、特に70〜150℃で10〜300秒間、特に15〜200秒間行うことが好ましい。
【0142】
なお、基板10としては、シリコン基板が一般的に用いられる。被加工層20としては、SiO2、SiN、SiON、SiOC、p−Si、α−Si、TiN、WSi、BPSG、SOG、Cr、CrO、CrON、MoSi、低誘電膜及びそのエッチングストッパー膜が挙げられる。中間介在層30としては、SiO2、SiN、SiON、p−Si等のハードマスク、カーボン膜による下層膜と珪素含有中間膜、有機反射防止膜等が挙げられる。
【0143】
次いで、図1(B)に示すように露光50を行う。ここで、露光光としては波長140〜250nmの高エネルギー線、波長13.5nmのEUV等が挙げられるが、中でもArFエキシマレーザーによる193nmの露光光が最も好ましく用いられる。露光は大気中や窒素気流中のドライ雰囲気で行ってもよいし、水中の液浸露光であってもよい。ArF液浸リソグラフィーにおいては液浸溶剤として純水、又はアルカン等の屈折率が1以上で露光波長に高透明の液体が用いられる。液浸リソグラフィーでは、プリベーク後のレジスト膜と投影レンズの間に、純水やその他の液体を挿入する。これによってNAが1.0以上のレンズ設計が可能となり、より微細なパターン形成が可能になる。
【0144】
液浸リソグラフィーはArFリソグラフィーを45nmノードまで延命させるための重要な技術である。液浸露光の場合は、レジスト膜上に残った水滴残りを除去するために露光後の純水リンス(ポストソーク)を行ってもよいし、レジスト膜からの溶出物を防ぎ、膜表面の滑水性を上げるために、プリベーク後のレジスト膜上に保護膜を形成してもよい。
【0145】
液浸リソグラフィーに用いられるレジスト保護膜形成用組成物としては、例えば、水に不溶でアルカリ現像液に溶解する1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノール残基を有する繰り返し単位を含む高分子化合物をベース樹脂とし、これを炭素数4以上のアルコール系溶剤、炭素数8〜12のエーテル系溶剤又はこれらの混合溶剤に溶解させたものが好ましい。保護膜は有機溶剤を含む現像液に溶解する必要があるが、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノール残基を有する繰り返し単位を含む高分子化合物は上記有機溶剤を含む現像液に溶解する。特に、特開2007−25634号公報、特開2008−3569号公報、特開2008−81716号公報、特開2008−111089号公報に開示された1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノール残基を有する保護膜形成用組成物から形成された保護膜の有機溶剤現像液に対する溶解性は高い。
【0146】
上記保護膜形成用組成物に、アミン化合物もしくはアミン塩を配合すること、又は上記1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノール残基を有する繰り返し単位に更にアミノ基もしくはアミン塩を有する繰り返し単位を共重合した高分子化合物をベース樹脂として用いることは、レジスト膜の露光部から発生した酸の未露光部分への拡散を制御し、ホールの開口不良を防止する効果が高い。アミン化合物を添加した保護膜形成用組成物としては特開2008−3569号公報記載のもの、アミノ基又はアミン塩を共重合した保護膜形成用組成物としては特開2007−316448号公報記載のものを用いることができる。アミン化合物、アミン塩としては、上記レジスト組成物添加用の塩基性化合物として詳述したものの中から選定することができる。アミン化合物、アミン塩の配合量は、ベースポリマー100質量部に対して0.01〜10質量部、特に0.02〜8質量部が好ましい。
【0147】
レジスト膜形成後に、純水リンス(ポストソーク)を行うことによって、レジスト膜表面からの酸発生剤等の抽出あるいはパーティクルの洗い流しを行ってもよいし、露光後に膜上に残った水を取り除くためのリンス(ポストソーク)を行ってもよい。PEB中に露光部から蒸発した酸が未露光部に付着し、未露光部分の表面の保護基を脱保護させると、現像後のホールの表面がブリッジして閉塞する可能性がある。特に、ネガティブ現像におけるホールの外側は、光が照射されて酸が発生している。PEB中にホールの外側の酸が蒸発し、ホールの内側に付着するとホールが開口しないことがある。酸の蒸発を防いでホールの開口不良を防ぐために保護膜を適用することは効果的である。更に、アミン化合物又はアミン塩を添加した保護膜は、酸の蒸発を効果的に防ぐことができる。
【0148】
一方、カルボキシル基やスルホ基等を含む酸化合物を添加した組成物、あるいはカルボキシル基やスルホ基を有するモノマーを共重合したポリマーをベースポリマーとして含む組成物を用いて形成された保護膜を用いた場合は、ホールの未開口現象が起きることがあり、このような保護膜を用いることは好ましくない。
【0149】
このように、保護膜形成用組成物としては、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノール残基を有する繰り返し単位を含む高分子化合物及びアミン化合物又はアミン塩を、あるいは1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノール残基を有する繰り返し単位に更にアミノ基又はアミン塩を有する繰り返し単位を共重合した高分子化合物を、炭素数4以上のアルコール系溶剤、炭素数8〜12のエーテル系溶剤又はこれらの混合溶剤に溶解させた組成物を用いることが好ましい。
【0150】
上記炭素数4以上のアルコール系溶剤としては、1−ブチルアルコール、2−ブチルアルコール、イソブチルアルコール、tert−ブチルアルコール、1−ペンタノール、2−ペンタノール、3−ペンタノール、tert−アミルアルコール、ネオペンチルアルコール、2−メチル−1−ブタノール、3−メチル−1−ブタノール、3−メチル−3−ペンタノール、シクロペンタノール、1−ヘキサノール、2−ヘキサノール、3−ヘキサノール、2,3−ジメチル−2−ブタノール、3,3−ジメチル−1−ブタノール、3,3−ジメチル−2−ブタノール、2−エチル−1−ブタノール、2−メチル−1−ペンタノール、2−メチル−2−ペンタノール、2−メチル−3−ペンタノール、3−メチル−1−ペンタノール、3−メチル−2−ペンタノール、3−メチル−3−ペンタノール、4−メチル−1−ペンタノール、4−メチル−2−ペンタノール、4−メチル−3−ペンタノール、シクロヘキサノール、1−オクタノール等が挙げられる。
【0151】
炭素数8〜12のエーテル系溶剤としては、ジ−n−ブチルエーテル、ジイソブチルエーテル、ジ−sec−ブチルエーテル、ジ−n−ペンチルエーテル、ジイソペンチルエーテル、ジ−sec−ペンチルエーテル、ジ−tert−アミルエーテル、ジ−n−ヘキシルエーテル等が挙げられる。
【0152】
露光における露光量は、1〜200mJ/cm2程度、特に10〜100mJ/cm2程度とすることが好ましい。次に、ホットプレート上で60〜150℃で1〜5分間、好ましくは80〜120℃で1〜3分間PEBを施す。
【0153】
更に、図1(C)に示されるように、有機溶剤からなる現像液を用い、0.1〜3分間、好ましくは0.5〜2分間、浸漬(dip)法、パドル(puddle)法、スプレー(spray)法等の常法により現像することにより未露光部分が溶解するネガティブパターンが基板上に形成される。
【0154】
上記有機溶剤としては、2−オクタノン、2−ノナノン、2−ヘプタノン、3−ヘプタノン、4−ヘプタノン、2−ヘキサノン、3−ヘキサノン、ジイソブチルケトン、2−メチルシクロヘキサノン、3−メチルシクロヘキサノン、4−メチルシクロヘキサノン、アセトフェノン、2’−メチルアセトフェノン、4’−メチルアセトフェノン等のケトン類、酢酸プロピル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、酢酸アミル、酢酸ブテニル、酢酸イソアミル、酢酸フェニル、蟻酸プロピル、蟻酸ブチル、蟻酸イソブチル、蟻酸アミル、蟻酸イソアミル、吉草酸メチル、ペンテン酸メチル、クロトン酸メチル、クロトン酸エチル、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸プロピル、乳酸ブチル、乳酸イソブチル、乳酸アミル、乳酸イソアミル、2−ヒドロキシイソ酪酸メチル、2−ヒドロキシイソ酪酸エチル、安息香酸メチル、安息香酸エチル、酢酸ベンジル、フェニル酢酸メチル、蟻酸ベンジル、蟻酸フェニルエチル、3−フェニルプロピオン酸メチル、プロピオン酸ベンジル、フェニル酢酸エチル、酢酸2−フェニルエチル等のエステル類等を好ましく用いることができる。これらの有機溶剤は、1種単独で又は2種以上を混合して使用することができる。
【0155】
現像の終了時には、リンスを行う。リンス液としては、現像液と混溶し、レジスト膜を溶解させない溶剤が好ましい。このような溶剤としては、炭素数3〜10のアルコール、炭素数8〜12のエーテル化合物、炭素数6〜12のアルカン、アルケン、アルキン、芳香族系の溶剤が好ましく用いられる。
【0156】
具体的には、炭素数6〜12のアルカンとしては、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、ウンデカン、ドデカン、メチルシクロペンタン、ジメチルシクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、ジメチルシクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタン、シクロノナン等が挙げられる。炭素数6〜12のアルケンとしては、ヘキセン、ヘプテン、オクテン、シクロヘキセン、メチルシクロヘキセン、ジメチルシクロヘキセン、シクロヘプテン、シクロオクテン等が挙げられる。炭素数6〜12のアルキンとしては、ヘキシン、ヘプチン、オクチン等が挙げられる。炭素数3〜10のアルコールとしては、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、1−ブチルアルコール、2−ブチルアルコール、イソブチルアルコール、tert−ブチルアルコール、1−ペンタノール、2−ペンタノール、3−ペンタノール、tert−アミルアルコール、ネオペンチルアルコール、2−メチル−1−ブタノール、3−メチル−1−ブタノール、3−メチル−3−ペンタノール、シクロペンタノール、1−ヘキサノール、2−ヘキサノール、3−ヘキサノール、2,3−ジメチル−2−ブタノール、3,3−ジメチル−1−ブタノール、3,3−ジメチル−2−ブタノール、2−エチル−1−ブタノール、2−メチル−1−ペンタノール、2−メチル−2−ペンタノール、2−メチル−3−ペンタノール、3−メチル−1−ペンタノール、3−メチル−2−ペンタノール、3−メチル−3−ペンタノール、4−メチル−1−ペンタノール、4−メチル−2−ペンタノール、4−メチル−3−ペンタノール、シクロヘキサノール、1−オクタノール等が挙げられる。炭素数8〜12のエーテル化合物としては、ジ−n−ブチルエーテル、ジイソブチルエーテル、ジ−sec−ブチルエーテル、ジ−n−ペンチルエーテル、ジイソペンチルエーテル、ジ−sec−ペンチルエーテル、ジ−tert−アミルエーテル、ジ−n−ヘキシルエーテル等が挙げられる。これらの溶剤は1種単独で又は2種以上を混合して使用することができる。これらの溶剤に加えて、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、イソプロピルベンゼン、tert−ブチルベンゼン、メシチレン等の芳香族系の溶剤を用いることもできる。
【0157】
ネガティブトーン現像によってホールパターンを形成する場合、X、Y方向の2回のラインパターンのダイポール照明による露光を行うことが最もコントラストが高い光を用いることができる。ダイポール照明に併せてs偏光照明を加えると、更にコントラストを上げることができる。
【0158】
ここで、本発明においては、ハーフトーン位相シフトマスクを用い、格子状のシフター格子の交点に現像後のホールパターンを形成することが好ましく、格子状パターンが透過率3〜15%のハーフトーン位相シフトマスクであることが好ましい。この場合、ハーフピッチ以下のライン幅による格子状の第1のシフターと、第1のシフター上に第1のシフターの線幅よりもウエハー上の寸法で2〜30nm太い第2のシフターが配列された位相シフトマスクを用い、太いシフターが配列されたところだけにホールパターンを形成すること、あるいはハーフピッチ以下のライン幅による格子状の第1のシフターと、第1のシフター上に第1のシフターの線幅よりもウエハー上の寸法で2〜100nm太いドットパターンの第2のシフターが配列された位相シフトマスクを用い、太いシフターが配列されたところだけにホールパターンを形成することが好ましい。
【0159】
以下、更に詳述する。
図2は、波長193nmのArFエキシマレーザーを用いたNA1.3レンズ、ダイポール照明、6%ハーフトーン位相シフトマスク、s偏光でのピッチ90nm、ラインサイズ45nmのX方向ラインの光学像を示す。また、図3は、波長193nmのArFエキシマレーザーを用いたNA1.3レンズ、ダイポール照明、6%ハーフトーン位相シフトマスク、s偏光でのピッチ90nm、ラインサイズ45nmのY方向ラインの光学像を示す。色が濃い方が遮光部分、白い方が光の強い領域であり、白と黒のコントラスト差がはっきりしており、特に強い遮光部分が存在することが示されている。図4は、Y方向ラインにX方向ラインの光学像を重ねたコントラストイメージである。XとYのラインの組み合わせで格子状のイメージができ上がるように思われるがそうではなく、光の弱い黒い部分のパターンは円形である。円形のサイズが大きい場合は菱形形状で隣のパターンとつながり易いが、円のサイズが小さいほど円形度合いが向上し、強く遮光された小さな円が存在することが示されている。
【0160】
2回のダイポール照明と偏光照明とを組み合わせた露光によってX、Y方向のラインを描画した場合は、確かに高コントラストであるが、2回の露光とその間のマスクの交換によってスループットが大幅に低下する欠点がある。そこで、格子状のパターンのマスクを用いてX、Y方向のそれぞれのダイポール照明で2回露光する方法が提案されている(非特許文献1参照)。これだとマスクの交換が必要なく連続した2回の露光で済むため、スループットがやや向上する。しかしながら、高価な液浸スキャナーを使っての2回の露光は、スループットの低下とコストアップに繋がり、2回の露光のアライメントの位置ずれによって穴の位置が本来の場所からずれるという問題を有している。
【0161】
ここで、格子状のパターンのマスクを使って、X、Yの偏光照明とクロスポール照明を組み合わせれば、1回の露光でホールパターンを形成することができ、かなりのスループットの向上が見込まれ、2回露光によるアライメントずれの問題は回避される。このようなマスクと照明を用いれば、実用的なコストで40nmクラスのホールパターンを形成することが可能になる。
【0162】
図5に示される格子状のパターンが配されたマスクでは、格子の交点が強く遮光され、図6に示されるように非常に遮光性の高い黒点が現れる。図6は、NA1.3レンズ、クロスポール照明、6%ハーフトーン位相シフトマスク、Azimuthally偏光照明でのピッチ90nm、幅30nmの格子状ラインパターンの光学像である。このようなパターンのマスクを用いて露光を行い、ポジネガ反転を伴う有機溶剤による現像を行うことによって微細なホールパターンを形成することができる。
【0163】
図7に示されるNA1.3レンズ、クロスポール照明、6%ハーフトーン位相シフトマスク、Azimuthally偏光照明でのピッチ90nm、一辺の幅が60nmの正四角形のドットパターンが配置されたマスクにおける光学像コントラストを、図8に示す。この場合、図6に比べて強い遮光部分の円の面積が小さくなり、格子状パターンのマスクに比べてコントラストが低いことが分かる。
【0164】
ピッチや位置がランダムに配列された微細なホールパターンの形成は困難である。密集パターンのコントラストは、ダイポール、クロスポール等の斜入射照明に位相シフトマスクと偏光を組み合わせた超解像技術によって向上させることができるが、孤立パターンのコントラストはそれほど向上しない。
【0165】
密集の繰り返しパターンに対して超解像技術を用いた場合、孤立パターンとの粗密(プロキシミティー)バイアスが問題になる。強い超解像技術を使えば使うほど密集パターンの解像力が向上するが、孤立パターンの解像力は変わらないために、粗密バイアスが拡大する。微細化に伴うホールパターンにおける粗密バイアスの増加は深刻な問題である。粗密バイアスを抑えるために、一般的にはマスクパターンの寸法にバイアスを付けることが行われている。粗密バイアスはレジスト組成物の特性、即ち、溶解コントラストや酸拡散によっても変わるために、レジスト組成物の種類毎にマスクの粗密バイアスが変化する。レジスト組成物の種類毎に粗密バイアスを変えたマスクを用いることになり、マスク製作の負担が増している。
【0166】
そこで、強い超解像照明で密集ホールパターンのみを解像させ、パターンの上に1回目のポジ型レジストパターンを溶解させないアルコール溶剤のネガ型レジスト膜を塗布し、不必要なホール部分を露光、現像することによって閉塞させて密集パターンと孤立パターンの両方を作製する方法(Pack and unpack;PAU法)が提案されている(Proc. SPIE Vol. 5753 p.171 (2005))。この方法の問題点は、1回目の露光と2回目の露光の位置ずれが挙げられ、この点については文献の著者も指摘している。また、2回目の現像で塞がれないホールパターンは2回現像されることになり、これによる寸法変化も問題として挙げられる。
【0167】
ランダムピッチのホールパターンをポジネガ反転の有機溶剤現像で形成するためには、格子状のパターンが全面に配列され、ホールを形成する場所だけに格子の幅を太くしたマスクを用いる。
【0168】
ピッチ90nmで、20nmラインの格子状パターン上に、図9に示すようにドットを形成したい部分に十字の太い交差ラインを配置する。色の黒い部分がハーフトーンのシフター部分である。孤立性の所ほど太いライン(図9では幅40nm)、密集部分では幅30nmのラインが配置されている。密集パターンよりも孤立パターンの方が光の強度が弱くなるために、太いラインが用いられる。密集パターンの端の部分も光の強度がやや低下するために、密集部分の中心よりもやや幅広の32nmのラインが宛われている。
【0169】
図9のマスクを用いて得られた光学像のコントラストイメージを図10に示す。黒い遮光部分にポジネガ反転によってホールが形成される。ホールが形成されるべき場所以外にも黒点が見られるが、黒点のサイズは小さいために、実際には殆ど転写されない。不必要な部分の格子ラインの幅を狭くしたりする等の更なる最適化によって、不必要なホールの転写を防止することが可能である。
【0170】
同じく格子状のパターンを全面に配列し、ホールを形成する場所だけに太いドットを配置したマスクを用いることもできる。ピッチ90nmで、15nmラインの格子状パターン上に、図11に示すようにドットを形成したい部分に太いドットを配置する。色の黒い部分がハーフトーンのシフター部分である。孤立性の所ほど大きなドット(図11では一辺90nm)、密集部分では一辺55nmの四角状のドットが配置されている。ドットの形状は正四角形でも、長方形、菱形、5角形、6角形、7角形、8角形以上の多角形、円形でも構わない。図11のマスクを用いて得られた光学像のコントラストイメージを図12に示す。図10に比べてもほぼ同等の黒い遮光部分が存在し、ポジネガ反転によってホールが形成されることが示されている。
【0171】
図13に示されるような格子状パターンが配列されていないマスクを用いた場合、図14に示されるように黒い遮光部分は現れない。この場合はホールの形成が困難であるか、もし形成できたとしても光学像のコントラストが低いために、マスク寸法のばらつきがホールの寸法のばらつきに大きく反映する結果となる。
【実施例】
【0172】
以下、合成例、実施例及び比較例を示して本発明を具体的に説明するが、本発明は下記実施例等に制限されるものではない。なお、下記例において、重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)は、溶剤としてテトラヒドロフラン(THF)を用いたポリスチレン換算でのゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によって測定した。また、下記例において、Meはメチル基を示す。
【0173】
[合成例]
レジスト組成物に用いる高分子化合物として、各々のモノマーを組み合わせてテトラヒドロフラン溶剤下で共重合反応を行い、メタノールに晶出し、更にヘキサンで洗浄を繰り返した後に単離、乾燥して、以下に示す組成の高分子化合物(ポリマー1〜16及び比較ポリマー1,2)を得た。得られた高分子化合物の組成は1H−NMRにより確認した。
【0174】
ポリマー1
a=0.50、b=0.50
分子量(Mw)=8,310
分散度(Mw/Mn)=1.73
【化76】
【0175】
ポリマー2
a=0.50、b=0.50
分子量(Mw)=7,700
分散度(Mw/Mn)=1.80
【化77】
【0176】
ポリマー3
a=0.50、b=0.10、c=0.40
分子量(Mw)=7,900
分散度(Mw/Mn)=1.78
【化78】
【0177】
ポリマー4
a=0.50、b=0.10、c=0.40
分子量(Mw)=8,700
分散度(Mw/Mn)=2.20
【化79】
【0178】
ポリマー5
a=0.50、b=0.10、c=0.35、d=0.05
分子量(Mw)=8,550
分散度(Mw/Mn)=1.90
【化80】
【0179】
ポリマー6
a=0.50、b=0.10、c=0.20、d=0.20
分子量(Mw)=7,630
分散度(Mw/Mn)=1.75
【化81】
【0180】
ポリマー7
a=0.50、b=0.10、c=0.40
分子量(Mw)=6,900
分散度(Mw/Mn)=1.73
【化82】
【0181】
ポリマー8
a=0.50、b=0.05、c=0.45
分子量(Mw)=7,800
分散度(Mw/Mn)=1.80
【化83】
【0182】
ポリマー9
a=0.50、b=0.10、c=0.40
分子量(Mw)=8,120
分散度(Mw/Mn)=1.75
【化84】
【0183】
ポリマー10
a=0.50、b=0.50
分子量(Mw)=8,400
分散度(Mw/Mn)=1.74
【化85】
【0184】
ポリマー11
a=0.50、b=0.50
分子量(Mw)=8,400
分散度(Mw/Mn)=1.74
【化86】
【0185】
ポリマー12
a=0.50、b=0.50
分子量(Mw)=8,350
分散度(Mw/Mn)=1.73
【化87】
【0186】
ポリマー13
a=0.30、b=0.20、c=0.50
分子量(Mw)=8,500
分散度(Mw/Mn)=1.70
【化88】
【0187】
ポリマー14
a=0.40、b=0.10、c=0.50
分子量(Mw)=8,200
分散度(Mw/Mn)=1.64
【化89】
【0188】
ポリマー15
a=0.10、b=0.50、c=0.40
分子量(Mw)=8,200
分散度(Mw/Mn)=1.65
【化90】
【0189】
ポリマー16
a=0.40、b=0.10、c=0.45、d=0.05
分子量(Mw)=7,400
分散度(Mw/Mn)=1.71
【化91】
【0190】
比較ポリマー1
a=0.40、b=0.20、c=0.40
分子量(Mw)=7,000
分散度(Mw/Mn)=1.72
【化92】
【0191】
比較ポリマー2
a=0.50、b=0.10、c=0.40
分子量(Mw)=8,200
分散度(Mw/Mn)=1.80
【化93】
【0192】
レジスト組成物及び保護膜形成用組成物の調製
上記高分子化合物(ポリマー1〜16、比較ポリマー1,2)を用いて、下記表1,2に示す組成で溶解させた溶液及び下記表3に示す組成の保護膜形成用組成物溶液を0.2μmのテフロン(登録商標)フィルターで濾過した溶液を調製した。
【0193】
表中の各組成は次の通りである。
酸発生剤(B):PAG−1〜10(下記構造式参照)
【化94】
【0194】
オニウム塩(C):Salt−1〜6(下記構造式参照)
【化95】
【0195】
撥水性ポリマー1
分子量(Mw)=8,900
分散度(Mw/Mn)=1.76
【化96】
【0196】
撥水性ポリマー2
分子量(Mw)=8,600
分散度(Mw/Mn)=1.99
【化97】
【0197】
撥水性ポリマー3
分子量(Mw)=8,700
分散度(Mw/Mn)=1.71
【化98】
【0198】
撥水性ポリマー4
分子量(Mw)=8,100
分散度(Mw/Mn)=1.81
【化99】
【0199】
塩基性化合物:Quencher−1(下記構造式参照)
【化100】
【0200】
有機溶剤:PGMEA(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート)
γBL(γ−ブチロラクトン)
【0201】
また、表3中の保護膜ポリマー1〜6の構造は次の通りである。
保護膜ポリマー1
分子量(Mw)=8,800
分散度(Mw/Mn)=1.69
【化101】
【0202】
保護膜ポリマー2
分子量(Mw)=7,700
分散度(Mw/Mn)=1.77
【化102】
【0203】
保護膜ポリマー3
分子量(Mw)=9,800
分散度(Mw/Mn)=1.98
【化103】
【0204】
保護膜ポリマー4
分子量(Mw)=8,100
分散度(Mw/Mn)=1.81
【化104】
【0205】
保護膜ポリマー5
分子量(Mw)=9,700
分散度(Mw/Mn)=1.77
【化105】
【0206】
保護膜ポリマー6
分子量(Mw)=9,400
分散度(Mw/Mn)=2.04
【化106】
【0207】
[実施例1−1、比較例1−1、1−2]
ArF露光パターニング評価(1)
下記表1に示す組成で調製したレジスト組成物を、シリコンウエハーに日産化学工業(株)製反射防止膜を80nmの膜厚で作製した基板上にスピンコーティングし、ホットプレートを用いて100℃で60秒間ベークし、レジスト膜の厚みを100nmにした。
これをArFエキシマレーザースキャナー((株)ニコン製、NSR−307E、NA0.85、σ0.73)で0.2mJ/cm2ステップで露光量を変化させながらオープンフレーム露光を行った。露光後100℃で60秒間ベーク(PEB)し、表1に示す現像液(有機溶剤)で60秒間パドル現像を行った後、表1に示すリンス液(有機溶剤)を用いて500rpmでリンスし、その後、2,000rpmでスピンドライし、100℃で60秒間ベークしてリンス液を蒸発させた。PEBまでを前述と同じプロセスを行い、2.38質量%のテトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)水溶液での現像を行った。PEB後の膜厚、有機溶剤現像後の膜厚、TMAH水溶液現像後の膜厚を測定し、露光量と膜厚の関係(コントラストカーブ)を求めた。結果を図15〜17に示す。
【0208】
【表1】
【0209】
[実施例2−1〜2−29、比較例2−1〜2−6]
ArF露光パターニング評価(2)
下記表2に示す組成で調製したレジスト組成物を、シリコンウエハーに信越化学工業(株)製スピンオンカーボン膜ODL−101(カーボンの含有量が80質量%)を180nm、その上に珪素含有スピンオンハードマスクSHB−A940(珪素の含有量が43質量%)を35nmの膜厚で成膜したトライレイヤープロセス用の基板上にスピンコーティングし、ホットプレートを用いて100℃で60秒間ベークし、レジスト膜の厚みを100nmにした。その上に表3に示す保護膜形成用組成物TC−1をスピンコーティングし、90℃で60秒間ベークし、保護膜の厚みを50nmにした。実施例2−25〜2−29、比較例2−2〜2−4では保護膜の形成を行わなかった。
これをArFエキシマレーザー液浸スキャナー((株)ニコン製、NSR−610C、NA1.30、σ0.98/0.78、クロスポール開口20度、Azimuthally偏光照明、6%ハーフトーン位相シフトマスク、ウエハー上寸法がピッチ90nm、ライン幅30nmの図18に示されるレイアウトの格子状マスク)を用いて露光量を変化させながら露光を行い、露光後表4に示される温度で60秒間ベーク(PEB)し、現像ノズルから酢酸ブチルを3秒間30rpmで回転させながら吐出させ、その後静止パドル現像を17秒間行い、4−メチル−2−ペンタノールでリンス後スピンドライし、100℃で20秒間ベークしてリンス溶剤を蒸発させた。
溶剤現像のイメージ反転されたホールパターン50箇所の寸法を(株)日立ハイテクノロジーズ製TDSEM(S−9380)で測定し、3σの寸法バラツキを求めた。結果を表4に示す。
【0210】
【表2】
【0211】
【表3】
【0212】
【表4】
【0213】
[実施例3−1、3−2、比較例3−1]
ArF露光パターニング評価(3)
上記表2に示す組成で調製したレジスト組成物(レジスト2−15、2−16、比較レジスト2−4)を、シリコンウエハーに信越化学工業(株)製スピンオンカーボン膜ODL−50(カーボンの含有量が80質量%)を200nm、その上に珪素含有スピンオンハードマスクSHB−A940(珪素の含有量が43質量%)を35nmの膜厚で成膜したトライレイヤープロセス用の基板上にスピンコーティングし、ホットプレートを用いて100℃で60秒間ベークし、レジスト膜の厚みを100nmにした。その上に表3に示す保護膜形成用組成物TC−1をスピンコーティングし、90℃で60秒間ベークし、保護膜の厚みを50nmにした。
これをArFエキシマレーザー液浸スキャナー((株)ニコン製、NSR−610C、NA1.30、σ0.98/0.78、クロスポール開口20度、Azimuthally偏光照明、6%ハーフトーン位相シフトマスク、ウエハー上寸法がピッチ90nm、ライン幅15nmの図19に示されるレイアウトの格子状の上にドットが配置されたパターンのマスク)を用いて露光量とフォーカス位置を変化させながら露光を行い、露光後表5に示される温度で60秒間ベーク(PEB)し、現像ノズルから酢酸ブチルを3秒間30rpmで回転させながら吐出させ、その後静止パドル現像を27秒間行い、ジイソアミルエーテルでリンス後スピンドライし、100℃で20秒間ベークしてリンス溶剤を蒸発させた。
溶剤現像のイメージ反転されたホールパターン50箇所の寸法を(株)日立ハイテクノロジーズ製TDSEM(S−9380)で測定し、3σの寸法バラツキを求めた。結果を表5に示す。
【0214】
【表5】
【0215】
[実施例4−1、4−2、比較例4−1]
ArF露光パターニング評価(4)
上記表2に示す組成で調製したレジスト組成物(レジスト2−15、2−16、比較レジスト2−4)を、シリコンウエハーに信越化学工業(株)製スピンオンカーボン膜ODL−101(カーボンの含有量が80質量%)を180nm、その上に珪素含有スピンオンハードマスクSHB−A940(珪素の含有量が43質量%)を35nmの膜厚で成膜したトライレイヤープロセス用の基板上にスピンコーティングし、ホットプレートを用いて100℃で60秒間ベークし、レジスト膜の厚みを100nmにした。
これをArFエキシマレーザー液浸スキャナー((株)ニコン製、NSR−610C、NA1.30、σ0.98/0.78、クロスポール開口20度、Azimuthally偏光照明、6%ハーフトーン位相シフトマスク、ウエハー上寸法がピッチ90nmの図20に示されるレイアウトの格子状の上に太い格子が配置されたパターンのマスク)を用いて露光量を変化させながら露光を行い、露光後表6に示される温度で60秒間ベーク(PEB)し、現像ノズルから酢酸ブチルを3秒間30rpmで回転させながら吐出させ、その後静止パドル現像を27秒間行い、ジイソアミルエーテルでリンス後スピンドライし、100℃で20秒間ベークしてリンス溶剤を蒸発させた。
溶剤現像のイメージ反転されたホールパターンのマスク上A位置とB位置のホールの寸法を(株)日立ハイテクノロジーズ製TDSEM(S−9380)で測定した。結果を表6に示す。
【0216】
【表6】
【0217】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は、例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
【符号の説明】
【0218】
10 基板
20 被加工層
30 中間介在層
40 レジスト膜
50 露光
【技術分野】
【0001】
本発明は、レジスト組成物、特には露光後、酸と熱によって脱保護反応を行い、特定の有機溶剤による現像によって未露光部分が溶解し、露光部分が溶解しないネガティブトーンを形成するために用いるレジスト組成物、及びこれを用いたパターン形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、LSIの高集積化と高速度化に伴い、パターンルールの微細化が求められている中、現在汎用技術として用いられている光露光では、光源の波長に由来する本質的な解像度の限界に近づきつつある。レジストパターン形成の際に使用する露光光として、1980年代には水銀灯のg線(436nm)又はi線(365nm)を光源とする光露光が広く用いられた。更なる微細化のための手段として、露光波長を短波長化する方法が有効とされ、1990年代の64Mビット(加工寸法が0.25μm以下)DRAM(ダイナミック・ランダム・アクセス・メモリー)以降の量産プロセスには、露光光源としてi線(365nm)に代わって短波長のKrFエキシマレーザー(248nm)が利用された。しかし、更に微細な加工技術(加工寸法が0.2μm以下)を必要とする集積度256M及び1G以上のDRAMの製造には、より短波長の光源が必要とされ、10年ほど前からArFエキシマレーザー(193nm)を用いたフォトリソグラフィーが本格的に検討されてきた。当初ArFリソグラフィーは180nmノードのデバイス作製から適用されるはずであったが、KrFリソグラフィーは130nmノードデバイス量産まで延命され、ArFリソグラフィーの本格適用は90nmノードからであった。更に、NAを0.9にまで高めたレンズと組み合わせて65nmノードデバイスの検討が行われている。次の45nmノードデバイスには露光波長の短波長化が推し進められ、波長157nmのF2リソグラフィーが候補に挙がった。しかし、投影レンズに高価なCaF2単結晶を大量に用いることによるスキャナーのコストアップ、ソフトペリクルの耐久性が極めて低いためのハードペリクル導入に伴う光学系の変更、レジスト膜のエッチング耐性低下等の種々問題により、F2リソグラフィーの開発が中止され、ArF液浸リソグラフィーが導入された。
【0003】
ArF液浸リソグラフィーにおいては、投影レンズとウエハーの間に屈折率1.44の水がパーシャルフィル方式によって挿入される。これによって高速スキャンが可能となり、NA1.3級のレンズによって45nmノードデバイスの量産が行われている。
【0004】
32nmノードのリソグラフィー技術としては、波長13.5nmの極端紫外線(EUV)リソグラフィーが候補に挙げられている。EUVリソグラフィーの問題点としてはレーザーの高出力化、レジスト膜の高感度化、高解像度化、低エッジラフネス(LER、LWR)化、無欠陥MoSi積層マスク、反射ミラーの低収差化等が挙げられ、克服すべき問題が山積している。
【0005】
32nmノードのもう一つの候補の高屈折率液浸リソグラフィーは、高屈折率レンズ候補であるLUAGの透過率が低いことと、液体の屈折率が目標の1.8に届かなかったことによって開発が中止された。
【0006】
ここで最近注目を浴びているのは、1回目の露光と現像でパターンを形成し、2回目の露光で1回目のパターンの丁度間にパターンを形成するダブルパターニングプロセスである。ダブルパターニングの方法としては多くのプロセスが提案されている。例えば、1回目の露光と現像でラインとスペースが1:3の間隔のレジストパターンを形成し、ドライエッチングで下層のハードマスクを加工し、その上にハードマスクをもう1層敷いて1回目の露光のスペース部分にレジスト膜の露光と現像でラインパターンを形成してハードマスクをドライエッチングで加工し、初めのパターンのピッチの半分のラインアンドスペースパターンを形成する方法である。また、1回目の露光と現像でスペースとラインが1:3の間隔のレジストパターンを形成し、下層のハードマスクをドライエッチングで加工し、その上にレジスト膜を塗布してハードマスクが残っている部分に2回目のスペースパターンを露光し、ハードマスクをドライエッチングで加工する。いずれも2回のドライエッチングでハードマスクを加工する。
【0007】
ラインパターンに比べてホールパターンは微細化が困難である。従来法で細かなホールを形成するために、ポジ型レジスト膜にホールパターンマスクを組み合わせてアンダー露光で形成しようとすると、露光マージンが極めて狭くなってしまう。そこで、大きなサイズのホールを形成し、サーマルフローやRELACSTM法等で現像後のホールをシュリンクする方法が提案されている。しかしながら、現像後のパターンサイズとシュリンク後のサイズの差が大きく、シュリンク量が大きいほど制御精度が低下する問題がある。また、ホールシュリンク法ではホールのサイズは縮小可能であるがピッチを狭くすることはできない。
【0008】
ポジ型レジスト膜を用いてダイポール照明によりX方向のラインパターンを形成し、レジストパターンを硬化させ、その上にもう一度レジスト組成物を塗布し、ダイポール照明でY方向のラインパターンを露光し、格子状ラインパターンの隙間よりホールパターンを形成する方法(非特許文献1:Proc. SPIE Vol. 5377, p.255 (2004))が提案されている。高コントラストなダイポール照明によるX、Yラインを組み合わせることによって広いマージンでホールパターンを形成できるが、上下に組み合わされたラインパターンを寸法精度高くエッチングすることは難しい。X方向ラインのレベンソン型位相シフトマスクとY方向ラインのレベンソン型位相シフトマスクを組み合わせてネガ型レジスト膜を露光してホールパターンを形成する方法が提案されている(非特許文献2:IEEE IEDM Tech. Digest 61 (1996))。但し、架橋型ネガ型レジスト膜においては、超微細ホールの限界解像度がブリッジマージンで決まるために、解像力がポジ型レジスト膜に比べて低い欠点がある。
【0009】
X方向のラインとY方向のラインの2回露光を組み合わせて露光し、これを画像反転によってネガパターンにすることによって形成されるホールパターンは、高コントラストなラインパターンの光を用いることによって形成が可能であるために、従来の方法よりもより狭ピッチでかつ微細なホールを開口できる。
【0010】
非特許文献3(Proc. SPIE Vol. 7274, p.72740N (2009))では、以下3つの方法による画像反転によるホールパターンの作製が報告されている。
【0011】
即ち、ポジ型レジスト組成物のX、Yラインのダブルダイポールの2回露光によりドットパターンを作製し、この上にLPCVDでSiO2膜を形成し、O2−RIEでドットをホールに反転させる方法、加熱によってアルカリ可溶で溶剤不溶になる特性のレジスト組成物を用いて同じ方法でドットパターンを形成し、この上にフェノール系のオーバーコート膜を塗布してアルカリ現像によって画像反転させてホールパターンを形成する方法、ポジ型レジスト組成物を用いてダブルダイポール露光をし、有機溶剤現像による画像反転によってホールを形成する方法である。
【0012】
ここで、有機溶剤現像によるネガパターンの作製は古くから用いられている手法である。環化ゴム系のレジスト組成物はキシレン等のアルケンを現像液として用いており、ポリ−tert−ブトキシカルボニルオキシスチレンベースの初期の化学増幅型レジスト組成物はアニソールを現像液としてネガパターンを得ていた。
【0013】
近年、有機溶剤現像が再び脚光を浴びている。ポジティブトーンでは達成できない非常に微細なホールパターンをネガティブトーンの露光で解像するために、解像性の高いポジ型レジスト組成物を用いた有機溶剤現像でネガパターンを形成するのである。更に、アルカリ現像と有機溶剤現像の2回の現像を組み合わせることにより、2倍の解像力を得る検討も進められている。
【0014】
有機溶剤によるネガティブトーン現像用のArFレジスト組成物としては、従来型のポジ型ArFレジスト組成物を用いることができ、特許文献1〜6(特開2008−281974号公報、特開2008−281975号公報、特開2008−281980号公報、特開2009−53657号公報、特開2009−25707号公報、特開2009−25723号公報)にパターン形成方法が示されている。
【0015】
上記特許文献において、ヒドロキシアダマンタンメタクリレートやノルボルナンラクトンメタクリレート、あるいはカルボキシル基、スルホ基、フェノール基、チオール基等の酸性基を酸不安定基で置換したメタクリレート等を共重合した高分子化合物をベース樹脂する有機溶剤現像用レジスト組成物及びこれを用いたパターン形成方法が提案されている。
【0016】
有機溶剤現像プロセスにおいて、レジスト膜上に保護膜を適用するパターン形成方法としては、特許文献7(特開2008−309878号公報)に公開されている。
有機溶剤現像プロセスにおいて、レジスト組成物としてスピンコート後のレジスト膜表面に配向して撥水性を向上させる添加剤を用いて、トップコートを用いないパターン形成方法としては、特許文献8(特開2008−309879号公報)に示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0017】
【特許文献1】特開2008−281974号公報
【特許文献2】特開2008−281975号公報
【特許文献3】特開2008−281980号公報
【特許文献4】特開2009−53657号公報
【特許文献5】特開2009−25707号公報
【特許文献6】特開2009−25723号公報
【特許文献7】特開2008−309878号公報
【特許文献8】特開2008−309879号公報
【特許文献9】特表2004−531749号公報
【特許文献10】特開2004−2252号公報
【特許文献11】特開2005−352466号公報
【特許文献12】特開2006−257078号公報
【非特許文献】
【0018】
【非特許文献1】Proc. SPIE Vol. 5377, p.255 (2004)
【非特許文献2】IEEE IEDM Tech. Digest 61 (1996)
【非特許文献3】Proc. SPIE Vol. 7274, p.72740N (2009)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
脱保護反応によって酸性のカルボキシル基等が生成し、アルカリ現像液に溶解するポジ型レジストシステムに比べると、有機溶剤現像の溶解コントラストは低い。アルカリ現像液の場合、未露光部と露光部のアルカリ溶解速度の割合は1,000倍以上の違いがあるが、有機溶剤現像の場合10倍程度の違いしかない。前述の特許文献1〜6には、従来型のアルカリ水溶液現像型のレジスト材料が記載されているが、有機溶剤現像における溶解コントラスト差を大きくするための新規な材料開発が望まれている。
【0020】
ネガティブ現像でホールを形成しようとする場合、ホールの外側は光が当たっており、酸が過剰に発生している。酸がホールの内側に拡散してくるとホールが開口しなくなるため、酸拡散の制御も重要である。
酸拡散性制御のためには光酸発生剤(PAG)の構造が決定的に重要であり、発生酸の十分な酸性とバルキネスを兼ね備え、かつ安定な光酸発生剤の開発により、ある程度目的は達成された。
しかしながら、先端リソグラフィーにおいてはパターン寸法が酸の拡散長に近づくため、これまで以上に酸拡散制御性能を高める必要がある。
【0021】
光照射により発生した酸を捕捉するクエンチャー成分を添加することが更なる酸拡散の抑制に有効であり、クエンチャーとしては一級、二級、三級のアミン類に代表される塩基性の含窒素有機化合物が広く用いられている。しかし、これらの含窒素有機化合物はレジスト膜内での偏在やレジスト膜表層からの揮発(ケミカルフレア)によるダーク(遮光部が広いエリア)・ブライト(露光部が広いエリア)寸法差を引き起こし、また、表面難溶化等の形状不良の原因となる。
【0022】
その他のクエンチャーの例としてオニウム塩型のクエンチャーを挙げることができる。例えば、特許第3912767号公報には、α位がフッ素で置換されたアルカンスルホン酸を発生する化合物とフッ素化されていないアルカンスルホン酸オニウム塩を併用することにより疎密依存性、特にラインアンドスペースの疎密依存性の小さいレジスト材料が提案されている。この効果の詳細については記載がないが、露光により生じたフッ素含有スルホン酸がフッ素化されていないアルカンスルホン酸オニウム塩と反応することにより、フッ素化されてないアルカンスルホン酸とフッ素含有スルホン酸オニウムに塩交換され、強酸(フッ素含有スルホン酸)が弱酸(フッ素化されていないアルカンスルホン酸)に置き換わることに依存すると推定される。即ち、フッ素化されていないアルカンスルホン酸のオニウム塩は露光により発生した強酸に対してクエンチャー(酸失活剤)として機能すると考えられる。同様の提案は特開2009−244859号公報にも記載されている。また、特開2009−244859号公報においては特定の構造のアルカンスルホン酸オニウム塩が提案されており、パターン形状等が優れていることが報告されている。
また、これら弱酸オニウム塩クエンチャーは一般に不揮発性であるため、上記ケミカルフレアの懸念が無く、パターンの矩形性を良好にする効果が期待できる。また本発明で用いられるヒドロキシ基をアセタール保護基で保護した繰り返し単位を含む樹脂と併用することで、良好なナノエッジラフネスを維持しながら矩形性が改善でき、相補的にリソグラフィー性能を向上させることができる。
【0023】
本発明は上記事情に鑑みなされたもので、有機溶剤現像において溶解コントラストが大きく、かつナノエッジラフネス及びパターン矩形性を良好にするレジスト組成物及びホールパターンを形成するための格子状のパターンが配置されたマスクを用いてポジネガ反転によってホールパターンを形成するパターン形成方法を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0024】
本発明者らは上記目的を達成するため、鋭意検討を重ねた結果、酸不安定基で置換されたヒドロキシ基を有する繰り返し単位を有するポリマーと、高エネルギー線によってスルホン酸を発生する化合物、イミド酸を発生する化合物又はメチド酸を発生する化合物を少なくとも1種含み、更にカルボン酸を発生する化合物を含むレジスト膜を用い、有機溶剤現像における溶解コントラスト向上と、ポジネガ反転によって得られたホールパターンのナノエッジラフネスが低減することを見出した。
【0025】
従って、本発明は、下記のレジスト組成物及びパターン形成法を提供する。
〔1〕
(A)下記一般式(1)で示される酸不安定基で置換されたヒドロキシ基を有する繰り返し単位(a)を有する高分子化合物と、
(B)下記一般式(2)で示されるスルホン酸を発生するオニウム塩型光酸発生剤、下記一般式(3)で示されるイミド酸を発生するオニウム塩型光酸発生剤又は下記一般式(4)で示されるメチド酸を発生するオニウム塩型光酸発生剤の少なくとも1種とを含有し、更に(C)下記一般式(5)で示されるカルボン酸を発生するオニウム塩型光酸発生剤を含有するレジスト組成物であって、(B)及び(C)のオニウム塩のカチオンが、下記一般式(6)で示されるスルホニウムカチオン又は下記一般式(7)で示されるヨードニウムカチオンであることを特徴とするレジスト組成物。
【化1】
(式中、R1は水素原子又はメチル基を示す。R2は炭素数1〜16の直鎖状、分岐状又は環状の2〜5価の脂肪族炭化水素基であり、エーテル基又はエステル基を有していてもよい。R0は酸不安定基を示す。0<a≦1.0を満たす数である。mは1〜4の整数を示す。)
【化2】
(式中、R200は直鎖状、分岐状もしくは環状の炭素数1〜28のアルキル基、炭素数6〜28のアリール基、又は炭素数7〜28のアラルキル基を示し、これらの基に含まれるメチレン基の一部が、エーテル基、エステル基、カルボニル基、アミド基、カーボネート基又はカルバメート基で置換されてもよく、また、これらの基の水素原子の一部又は全部がハロゲン原子、ヒドロキシ基、カルボキシル基、アミノ基、シアノ基、ニトロ基及びスルホン酸エステルから選ばれる1つ以上の基で置換されてもよい。R210、R211はそれぞれ置換基を有してもよい炭素数1〜8の直鎖状又は分岐状のフルオロアルキル基、又は、R210、R211が互いに結合して環を形成し、この場合R210、R211はそれぞれ炭素数1〜8のフルオロアルキレン基を示す。R220、R221、R222はそれぞれ置換基を有してもよい炭素数1〜8の直鎖状又は分岐状のフルオロアルキル基、又は、R220、R221が互いに結合して環を形成し、この場合R220、R221はそれぞれ炭素数1〜8のフルオロアルキレン基を示す。)
【化3】
(式中、R300は直鎖状、分岐状もしくは環状の炭素数1〜25のアルキル基、炭素数2〜25のアルケニル基、炭素数6〜25のアリール基、又は炭素数7〜25のアラルキル基を示し、これらの基に含まれるメチレン基の一部が、エーテル基、エステル基又はカルボニル基で置換されてもよく、また、これらの基の水素原子の一部又は全部がハロゲン原子、ヒドロキシ基、カルボキシル基、アミノ基、シアノ基、ニトロ基及びスルホン酸エステルから選ばれる1つ以上の基で置換されてもよい。)
【化4】
(式中、R101、R102及びR103はそれぞれ独立に直鎖状もしくは環状の炭素数1〜20のアルキル基、炭素数2〜20のアルケニル基、炭素数6〜20のアリール基、又は炭素数7〜20のアラルキル基を示し、これらの基のメチレン基の一部がエーテル基、エステル基又はカルボニル基で置換されてもよく、また、これらの基の水素原子の一部又は全部がハロゲン原子、ヒドロキシ基、カルボキシル基、アミノ基及びシアノ基から選ばれる1つ以上の基で置換されてもよい。また、R101、R102及びR103のうち2つが相互に結合して式中の硫黄原子と共に環を形成してもよい。R104及びR105はそれぞれ独立に直鎖状もしくは環状の炭素数1〜20のアルキル基、炭素数2〜20のアルケニル基、炭素数6〜20のアリール基、又は炭素数7〜20のアラルキル基を示し、これらの基のメチレン基の一部がエーテル基、エステル基又はカルボニル基で置換されてもよく、また、これらの基の水素原子の一部又は全部がハロゲン原子、ヒドロキシ基、カルボキシル基、アミノ基及びシアノ基から選ばれる1つ以上の基で置換されてもよい。)
〔2〕
酸不安定基で置換されたヒドロキシ基を有する繰り返し単位を有する高分子化合物(A)が、下記一般式(1−1)又は(1−2)で示されるアセタール保護基で保護されたヒドロキシ基を有する繰り返し単位(a1)又は(a2)を含有することを特徴とする〔1〕に記載のレジスト組成物。
【化5】
(式中、R1は水素原子又はメチル基を示す。R3及びR4はそれぞれ独立に水素原子、又は炭素数1〜10の直鎖状、分岐状もしくは環状の1価炭化水素基を示す。R5はヘテロ原子を含んでもよい直鎖状、分岐状又は環状の炭素数1〜16の1価炭化水素基を示す。a1、a2は0<a1≦1.0、0<a2≦1.0、0<a1+a2≦1.0を満たす数である。nは1〜3の整数を示す。)
〔3〕
光酸発生剤(B)が下記一般式(8)で示されるスルホン酸を発生することを特徴とする〔1〕又は〔2〕に記載のレジスト組成物。
【化6】
(式中、R201は直鎖状、分岐状もしくは環状の炭素数1〜23のアルキル基、炭素数6〜23のアリール基、又は炭素数7〜23のアラルキル基を示し、これらの基に含まれるメチレン基の一部が、エーテル基、エステル基又はカルボニル基で置換されてもよく、また、これらの基の水素原子の一部又は全部がハロゲン原子、ヒドロキシ基、カルボキシル基、アミノ基、シアノ基、ニトロ基及びスルホン酸エステルから選ばれる1つ以上の基で置換されてもよい。但し、R201はパーフルオロアルキル基ではない。)
〔4〕
光酸発生剤(B)が下記一般式(9)で示されるスルホン酸を発生することを特徴とする〔1〕又は〔2〕に記載のレジスト組成物。
【化7】
(式中、R202は直鎖状、分岐状もしくは環状の炭素数1〜23のアルキル基、炭素数6〜23のアリール基、又は炭素数7〜23のアラルキル基を示し、これらの基に含まれるメチレン基の一部が、エーテル基、エステル基又はカルボニル基で置換されてもよく、また、これらの基の水素原子の一部又は全部がハロゲン原子、ヒドロキシ基、カルボキシル基、アミノ基及びシアノ基から選ばれる1つ以上の基で置換されてもよい。但し、R202はパーフルオロアルキル基ではない。)
〔5〕
光酸発生剤(B)が下記一般式(10)で示されるスルホン酸を発生することを特徴とする〔1〕又は〔2〕に記載のレジスト組成物。
【化8】
(式中、R203は置換もしくは非置換の炭素数1〜20の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、又は置換もしくは非置換の炭素数6〜14のアリール基を示す。但し、R203はパーフルオロアルキル基ではない。)
〔6〕
光酸発生剤(B)が下記一般式(11)で示されるスルホン酸を発生することを特徴とする〔1〕又は〔2〕に記載のレジスト組成物。
【化9】
(式中、R204は直鎖状、分岐状もしくは環状の炭素数1〜23のアルキル基、炭素数6〜23のアリール基、又は炭素数7〜23のアラルキル基を示し、これらの基に含まれるメチレン基の一部が、エーテル基、エステル基又はカルボニル基で置換されてもよく、また、これらの基の水素原子の一部又は全部がハロゲン原子、ヒドロキシ基、カルボキシル基、アミノ基及びシアノ基から選ばれる1つ以上の基で置換されてもよい。但し、R204はパーフルオロアルキル基ではない。)
〔7〕
光酸発生剤(B)が下記一般式(12)で示されるスルホン酸を発生することを特徴とする〔1〕又は〔2〕に記載のレジスト組成物。
【化10】
(式中、R205は置換もしくは非置換の炭素数1〜20の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、又は置換もしくは非置換の炭素数6〜14のアリール基を示す。但し、R205はパーフルオロアルキル基ではない。nは1〜3の整数を示す。)
〔8〕
(A)成分の高分子化合物が、更に下記一般式(14)で示されるカルボキシル基が酸不安定基で置換された繰り返し単位(b)、及び/又はヒドロキシ基、シアノ基、カルボニル基、エステル基、エーテル基、ラクトン環、カルボキシル基、カルボン酸無水物基から選ばれる密着性基を有する繰り返し単位(c)を含有することを特徴とする〔1〕〜〔7〕のいずれかに記載のレジスト組成物。
【化11】
(式中、R6は水素原子又はメチル基を示す。R7は酸不安定基を示す。Yは単結合又は−C(=O)−O−R8−であり、R8は炭素数1〜10の直鎖状、分岐状又は環状のアルキレン基で、エーテル基又はエステル基を有していてもよく、又はナフチレン基である。bは0<b<1.0の範囲である。)
〔9〕
(A)成分の高分子化合物が、一般式(1)で示される酸不安定基で置換されたヒドロキシ基を有する繰り返し単位(a)を有し、かつ下記一般式(d1)〜(d3)で示されるスルホニウム塩である繰り返し単位から選ばれる1種以上の繰り返し単位を含有する高分子化合物であり、(C)一般式(5)で示されるカルボン酸を発生するオニウム塩型光酸発生剤を含有することを特徴とする〔1〕〜〔8〕のいずれかに記載のレジスト組成物。
【化12】
(式中、R20、R24及びR28は水素原子又はメチル基を示す。R21は単結合、フェニレン基、−O−R33−、又は−C(=O)−Y−R33−を示す。Yは酸素原子又はNHを示す。R33は炭素数1〜6の直鎖状、分岐状又は環状のアルキレン基、アルケニレン基又はフェニレン基を示し、カルボニル基(−CO−)、エステル基(−COO−)、エーテル基(−O−)又はヒドロキシ基を含んでいてもよい。R22、R23、R25、R26、R27、R29、R30及びR31はそれぞれ独立に炭素数1〜12の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基を示し、カルボニル基、エステル基又はエーテル基を含んでいてもよく、又は炭素数6〜12のアリール基、炭素数7〜20のアラルキル基又はチオフェニル基を示す。Z0は単結合、メチレン基、エチレン基、フェニレン基、フッ素化されたフェニレン基、−O−R32−、又は−C(=O)−Z1−R32−を示す。Z1は酸素原子又はNHを示す。R32は炭素数1〜6の直鎖状、分岐状又は環状のアルキレン基、アルケニレン基又はフェニレン基を示し、カルボニル基、エステル基、エーテル基又はヒドロキシ基を含んでいてもよい。M-は非求核性対向イオンを示す。d1、d2及びd3は、それぞれ0≦d1≦0.3、0≦d2≦0.3、0≦d3≦0.3を満たす数であり、0<d1+d2+d3≦0.3である。)
〔10〕
基板上に〔1〕〜〔9〕のいずれかに記載のレジスト組成物を用いてレジスト膜を形成し、高エネルギー線でレジスト膜を露光し、加熱処理後に有機溶剤からなる現像液を用いて未露光部を溶解させ、露光部が溶解しないネガ型パターンを得ることを特徴とするレジストパターン形成方法。
〔11〕
現像液が、2−オクタノン、2−ノナノン、2−ヘプタノン、3−ヘプタノン、4−ヘプタノン、2−ヘキサノン、3−ヘキサノン、ジイソブチルケトン、2−メチルシクロヘキサノン、3−メチルシクロヘキサノン、4−メチルシクロヘキサノン、アセトフェノン、2’−メチルアセトフェノン、4’−メチルアセトフェノン、酢酸プロピル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、酢酸アミル、酢酸ブテニル、酢酸イソアミル、酢酸フェニル、蟻酸プロピル、蟻酸ブチル、蟻酸イソブチル、蟻酸アミル、蟻酸イソアミル、吉草酸メチル、ペンテン酸メチル、クロトン酸メチル、クロトン酸エチル、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸プロピル、乳酸ブチル、乳酸イソブチル、乳酸アミル、乳酸イソアミル、2−ヒドロキシイソ酪酸メチル、2−ヒドロキシイソ酪酸エチル、安息香酸メチル、安息香酸エチル、酢酸ベンジル、フェニル酢酸メチル、蟻酸ベンジル、蟻酸フェニルエチル、3−フェニルプロピオン酸メチル、プロピオン酸ベンジル、フェニル酢酸エチル、酢酸2−フェニルエチルから選ばれる1種以上であることを特徴とする〔10〕に記載のパターン形成方法。
〔12〕
高エネルギー線による露光が、波長193nmのArFエキシマレーザーによる液浸リソグラフィー、波長13.5nmのEUVリソグラフィー、又は電子線リソグラフィーであることを特徴とする〔10〕又は〔11〕に記載のレジスト組成物及びパターン形成方法。
〔13〕
波長193nmのArFエキシマレーザーによる液浸リソグラフィーにおいて、ドットのパターンが配置されたハーフトーン位相シフトマスクを用い、ドット部分に現像後のホールパターンを形成することを特徴とする〔11〕又は〔12〕に記載のパターン形成方法。
〔14〕
ハーフトーン位相シフトマスクを用い、交差する2つのラインの2回の露光を行い、ラインの交点に現像後のホールパターンを形成することを特徴とする〔11〕又は〔12〕に記載のパターン形成方法。
〔15〕
ハーフトーン位相シフトマスクを用いて、格子状のシフター格子の交点に現像後のホールパターンを形成することを特徴とする〔11〕又は〔12〕に記載のパターン形成方法。
〔16〕
ハーフトーン位相シフトマスクが透過率3〜15%のハーフトーン位相シフトマスクであることを特徴とする〔13〕、〔14〕又は〔15〕に記載のパターン形成方法。
〔17〕
ハーフピッチ以下のライン幅による格子状の第1のシフターと、第1のシフター上に第1のシフターの線幅よりもウエハー上の寸法で2〜30nm太い第2のシフターが配列された位相シフトマスクを用いて、太いシフターが配列されたところだけにホールパターンを形成することを特徴とする〔15〕又は〔16〕に記載のパターン形成方法。
〔18〕
ハーフピッチ以下のライン幅による格子状の第1のシフターと、第1のシフター上に第1のシフターの線幅よりもウエハー上の寸法で2〜100nm太いドットパターンの第2のシフターが配列された位相シフトマスクを用いて、太いシフターが配列されたところだけにホールパターンを形成することを特徴とする〔13〕〜〔16〕のいずれかに記載のパターン形成方法。
〔19〕
基板上に〔1〕〜〔9〕のいずれかに記載のレジスト組成物を用いてレジスト膜を形成し、更に保護膜を形成して高エネルギー線でレジスト膜を露光し、加熱処理後に有機溶剤からなる現像液を用いて保護膜と未露光部を溶解させ、露光部が溶解しないネガ型パターンを得ることを特徴とするレジストパターン形成方法。
〔20〕
保護膜形成用組成物として、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノール残基を有する繰り返し単位を含む高分子化合物及びアミン化合物又はアミン塩を、あるいは1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノール残基を有する繰り返し単位に更にアミノ基又はアミン塩を有する繰り返し単位を共重合した高分子化合物を、炭素数4以上のアルコール系溶剤、炭素数8〜12のエーテル系溶剤又はこれらの混合溶剤に溶解させた組成物を用いることを特徴とする〔19〕記載のパターン形成方法。
【発明の効果】
【0026】
本発明の酸不安定基で置換されたヒドロキシ基を有する繰り返し単位を有するポリマーと、高エネルギー線によってスルホン酸を発生する化合物、イミド酸を発生する化合物又はメチド酸を発生する化合物を少なくとも1種含み、更にカルボン酸を発生する化合物を含むレジスト膜は、有機溶剤による現像におけるポジネガ反転の画像形成において、未露光部分の溶解性が高く、露光部分の溶解性が低く、溶解コントラストが高い特徴と、ナノエッジラフネスを低減する特徴を有し、このことにより微細なホールパターンを寸法制御よくかつ高感度で形成することを可能とする。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明のレジストパターン形成方法を示す説明図であり、(A)は基板上にレジスト膜を形成した状態の断面図、(B)はレジスト膜を露光した状態の断面図、(C)は有機溶剤で現像した状態の断面図である。
【図2】波長193nmのArFエキシマレーザーを用いたNA1.3レンズ、ダイポール照明、6%ハーフトーン位相シフトマスク、s偏光でのピッチ90nm、ラインサイズ45nmのX方向ラインの光学像を示す。
【図3】同Y方向ラインの光学像を示す。
【図4】図3のY方向ラインと図2のX方向ラインの光学像を重ねたコントラストイメージを示す。
【図5】格子状のパターンが配されたマスクを示す。
【図6】NA1.3レンズ、クロスポール照明、6%ハーフトーン位相シフトマスク、Azimuthally偏光照明でのピッチ90nm、幅30nmの格子状ラインパターンの光学像である。
【図7】NA1.3レンズ、クロスポール照明、6%ハーフトーン位相シフトマスク、Azimuthally偏光照明でのピッチ90nm、一辺の幅が60nmの正四角形のドットパターンが配置されたマスクである。
【図8】同マスクにおける光学像コントラストである。
【図9】ピッチ90nmで、20nmラインの格子状パターン上に、ドットを形成したい部分に十字の太い交差ラインを配置したマスクを示す。
【図10】図9のマスクにおける光学像のコントラストイメージを示す。
【図11】ピッチ90nmで、15nmラインの格子状パターン上に、ドットを形成したい部分に太いドットを配置したマスクを示す。
【図12】図11のマスクにおける光学像のコントラストイメージを示す。
【図13】格子状パターンが配列されていないマスクを示す。
【図14】図13のマスクにおける光学像のコントラストイメージを示す。
【図15】実施例1−1における露光量と膜厚との関係を示すグラフである。
【図16】比較例1−1における露光量と膜厚との関係を示すグラフである。
【図17】比較例1−2における露光量と膜厚との関係を示すグラフである。
【図18】ArF露光パターニング評価(2)で用いた格子状マスクを示す。
【図19】ArF露光パターニング評価(3)で用いた格子状の上にドットが配置されたパターンのマスクを示す。
【図20】ArF露光パターニング評価(4)で用いた格子状の上に太い格子が配置されたパターンのマスクを示す。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本発明のレジスト組成物は、酸不安定基で置換されたヒドロキシ基を有する繰り返し単位として下記一般式(1)で示される繰り返し単位(a)を有する高分子化合物(A)を含有する。
【化13】
(式中、R1は水素原子又はメチル基を示す。R2は炭素数1〜16の直鎖状、分岐状又は環状の2〜5価の脂肪族炭化水素基であり、エーテル基又はエステル基を有していてもよい。R0は酸不安定基を示す。0<a≦1.0を満たす数である。mは1〜4の整数を示す。)
【0029】
高分子化合物(A)のより好ましい形態は、酸の作用により分解するアセタール保護基で保護されたヒドロキシ基を有する繰り返し単位として、下記一般式(1−1)で示される繰り返し単位(a1)又は下記一般式(1−2)で示される繰り返し単位(a2)の少なくとも1種を有する。
【化14】
(式中、R1は水素原子又はメチル基を示す。R3及びR4はそれぞれ独立に水素原子、又は炭素数1〜10の直鎖状、分岐状もしくは環状の1価炭化水素基を示す。R5はヘテロ原子を含んでもよい直鎖状、分岐状又は環状の炭素数1〜16の1価炭化水素基を示す。a1、a2は0<a1≦1.0、0<a2≦1.0、0<a1+a2≦1.0を満たす数である。nは1〜3の整数を示す。)
【0030】
R3、R4の炭素数1〜10の直鎖状、分岐状又は環状の1価炭化水素基として、具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、tert−アミル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、2−エチルヘキシル基、n−オクチル基、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロペンチルメチル基、シクロヘキシルエチル基等のアルキル基等を例示できる。
【0031】
R5の炭素数1〜16の直鎖状、分岐状又は環状の1価炭化水素基として、具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、tert−アミル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、2−エチルヘキシル基、シクロペンチルメチル基、シクロペンチルエチル基、シクロペンチルブチル基、シクロヘキシルメチル基、シクロヘキシルエチル基、シクロヘキシルブチル基、ノルボルニル基、オキサノルボルニル基、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカニル基、アダマンチル基等のアルキル基等を例示できる。
また、R5が含んでもよいヘテロ原子としては、酸素原子、窒素原子、硫黄原子、フッ素原子等が挙げられる。
【0032】
nは1〜3の整数を示すが、nは1又は2であることが好ましく、2であることがより好ましい。nが3の場合は、当該化合物自体が高分子量化し、蒸留での精製が困難となる場合がある。
【0033】
上記式(1−1)で示される繰り返し単位(a1)として、具体的には下記のものを例示できるが、これらに限定されない。なお、下記式中R1は上記と同じである。また、Meはメチル基を示す。
【0034】
【化15】
【0035】
【化16】
【0036】
【化17】
【0037】
【化18】
【0038】
【化19】
【0039】
【化20】
【0040】
【化21】
【0041】
上記式(1−2)で示される繰り返し単位(a2)として、具体的には下記のものを例示できるが、これらに限定されない。なお、下記式中R1は上記と同じである。また、Meはメチル基を示す。
【0042】
【化22】
【0043】
【化23】
【0044】
【化24】
【0045】
高分子化合物(A)は、上記一般式(1−1)、(1−2)で示される繰り返し単位(a1)、(a2)に加えて、下記に示す酸不安定基で置換されたヒドロキシ基を有する繰り返し単位(a3)も含有することができる。繰り返し単位(a3)は単独で用いてもよいし、繰り返し単位(a1)、(a2)の少なくとも1種と共重合することもできる。
繰り返し単位(a3)を配合する場合の含有率は0<a3<1.0であるが、好ましくはa1+a2の50モル%以下、特に20モル%以下が好ましい。
なお、下記式中R1は上記と同じである。また、Meはメチル基を示す。
【0046】
【化25】
【0047】
【化26】
【0048】
高分子化合物(A)は、上記式(1)で示される繰り返し単位(a)に加えて、下記一般式(14)で示されるカルボキシル基が酸不安定基で置換された繰り返し単位(b)も含有することができる。
【化27】
(式中、R6は水素原子又はメチル基を示す。R7は酸不安定基を示す。Yは単結合又は−C(=O)−O−R8−であり、R8は炭素数1〜10の直鎖状、分岐状又は環状のアルキレン基で、エーテル基又はエステル基を有していてもよく、又はナフチレン基である。bは0≦b<1.0の範囲である。)
【0049】
ここで、繰り返し単位(b)を得るためのモノマーMbは、下記式で示される。
【化28】
(式中、R6、R7、Yは上記の通りである。)
モノマーMbのYを変えた構造は、具体的には下記に例示することができる。なお、下記式中、R6、R7は前述の通りである。
【0050】
【化29】
【0051】
一般式(1)中のR0及び一般式(14)中のR7で示される酸不安定基は種々選定されるが、特に下記式(AL−10)示されるアセタール基、下記式(AL−11)で示される三級アルキル基、炭素数4〜20で示されるオキソアルキル基等が挙げられる。
【化30】
【0052】
式(AL−10)において、R53は炭素数1〜40、特に1〜20の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基等の1価炭化水素基であり、酸素、硫黄、窒素、フッ素等のヘテロ原子を含んでもよい。R51、R52は水素原子、又は炭素数1〜20の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基等の1価炭化水素基であり、酸素、硫黄、窒素、フッ素等のヘテロ原子を含んでもよい。R51とR52、R51とR53、又はR52とR53はそれぞれ結合してこれらが結合する炭素原子又は炭素原子と酸素原子と共に炭素数3〜20、好ましくは4〜16の環、特に脂環を形成してもよい。
R54、R55、R56はそれぞれ炭素数1〜20の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基等の1価炭化水素基であり、酸素、硫黄、窒素、フッ素等のヘテロ原子を含んでもよい。あるいはR54とR55、R54とR56、又はR55とR56はそれぞれ結合してこれらが結合する炭素原子と共に炭素数3〜20、好ましくは4〜16の環、特に脂環を形成してもよい。
【0053】
前記式(AL−10)で示されるアセタール基を(AL−10)−1〜(AL−10)−34に例示する。
【化31】
【0054】
【化32】
【0055】
また、酸不安定基として、下記一般式(AL−10a)あるいは(AL−10b)で示される基が挙げられ、該酸不安定基によってベース樹脂が分子間あるいは分子内架橋されていてもよい。
【化33】
【0056】
上記式中、R61、R62は水素原子、又は炭素数1〜8の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基を示す。又は、R61とR62は互いに結合してこれらが結合する炭素原子と共に環を形成してもよく、環を形成する場合にはR61、R62は炭素数1〜8の直鎖状又は分岐状のアルキレン基を示す。R63は炭素数1〜10の直鎖状、分岐状又は環状のアルキレン基、b5、d5は0又は1〜10の整数、好ましくは0又は1〜5の整数、c5は1〜7の整数である。Aは、(c5+1)価の炭素数1〜50の脂肪族もしくは脂環式飽和炭化水素基、芳香族炭化水素基又はヘテロ環基を示し、これらの基は酸素、硫黄、窒素等のヘテロ原子を介在してもよく、又はその炭素原子に結合する水素原子の一部が水酸基、カルボキシル基、カルボニル基又はフッ素原子によって置換されていてもよい。Bは−CO−O−、−NHCO−O−又は−NHCONH−を示す。
【0057】
この場合、好ましくはAは2〜4価の炭素数1〜20の直鎖状、分岐状又は環状のアルキレン基、アルカントリイル基、アルカンテトライル基、又は炭素数6〜30のアリーレン基であり、これらの基は酸素、硫黄、窒素等のヘテロ原子を介在していてもよく、またその炭素原子に結合する水素原子の一部が水酸基、カルボキシル基、アシル基又はハロゲン原子によって置換されていてもよい。また、c5は好ましくは1〜3の整数である。
【0058】
一般式(AL−10a)、(AL−10b)で示される架橋型アセタール基は、具体的には下記式(AL−10)−35〜(AL−10)−42のものが挙げられる。
【化34】
【0059】
次に、前記式(AL−11)で示される三級アルキル基としては、tert−ブチル基、トリエチルカルビル基、1−エチルノルボニル基、1−メチルシクロヘキシル基、1−エチルシクロペンチル基、tert−アミル基等、あるいは下記一般式(AL−11)−1〜(AL−11)−16で示される基を挙げることができる。
【化35】
【0060】
上記式中、R64は同一又は異種の炭素数1〜8の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、又は炭素数7〜20のアラルキル基を示す。R65、R67は水素原子、又は炭素数1〜20の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基を示す。R66は炭素数6〜20のアリール基、又は炭素数7〜20のアラルキル基を示す。2つのR64は結合してこれらが結合する炭素原子と共に脂環を形成してもよい。
【0061】
更に、酸不安定基として、下記一般式(AL−11)−17、(AL−11)−18に示す基が挙げられ、2価以上のアルキレン基、又はアリーレン基であるR68を含む該酸不安定基によってベース樹脂が分子内あるいは分子間架橋されていてもよい。式(AL−11)−17、(AL−11)−18のR64は前述と同様、R68は単結合、炭素数1〜20の直鎖状、分岐状又は環状のアルキレン基、又はアリーレン基を示し、酸素原子や硫黄原子、窒素原子等のヘテロ原子を含んでいてもよい。b6は0又は1〜3の整数である。
【化36】
【0062】
なお、上述したR64、R65、R66、R67は酸素、窒素、硫黄等のヘテロ原子を有していてもよく、具体的には下記式(AL−12)−1〜(AL−12)−7に示すことができる。
【化37】
【0063】
特に、上記式(AL−11)の酸不安定基としては、下記一般式(AL−11)−19に示されるエキソ体構造を有するものが好ましい。
【化38】
(式中、R69は炭素数1〜8の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、又は炭素数6〜20の置換されていてもよいアリール基を示す。R70〜R75及びR78、R79はそれぞれ独立に水素原子又は炭素数1〜15のヘテロ原子を含んでもよいアルキル基等の1価炭化水素基を示し、R76、R77は水素原子又は炭素数1〜15のヘテロ原子を含んでもよいアルキル基等の1価炭化水素基を示す。R70とR71、R72とR74、R72とR75、R73とR75、R73とR79、R74とR78、R76とR77、又はR77とR78は互いに結合してこれらが結合する炭素原子と共に環(特に脂環)を形成してもよく、その場合には環の形成に関与するものは炭素数1〜15のヘテロ原子を含んでもよいアルキレン基等の2価炭化水素基を示す。またR70とR79、R76とR79、又はR72とR74は隣接する炭素に結合するもの同士で何も介さずに結合し、二重結合を形成してもよい。また、本式により、鏡像体も表す。)
【0064】
ここで、式(AL−11)−19に示すエキソ体構造を有する下記繰り返し単位
【化39】
を得るためのエステル体のモノマーとしては、特開2000−327633号公報に示されている。具体的には下記に示すものを挙げることができるが、これらに限定されることはない。なお、RAは水素原子又はメチル基である。
【0065】
【化40】
【0066】
更に、上記式(AL−11)の酸不安定基としては、下記一般式(AL−11)−20に示されるフランジイル基、テトラヒドロフランジイル基又はオキサノルボルナンジイル基を有する酸不安定基を挙げることができる。
【化41】
(式中、R80、R81はそれぞれ独立に炭素数1〜10の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基等の1価炭化水素基を示す。R80、R81は互いに結合してこれらが結合する炭素原子と共に炭素数3〜20の脂肪族炭化水素環を形成してもよい。R82はフランジイル基、テトラヒドロフランジイル基又はオキサノルボルナンジイル基から選ばれる2価の基を示す。R83は水素原子又はヘテロ原子を含んでもよい炭素数1〜10の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基等の1価炭化水素基を示す。)
【0067】
フランジイル基、テトラヒドロフランジイル基又はオキサノルボルナンジイル基を有する酸不安定基で置換された繰り返し単位
【化42】
を得るためのモノマーとしては、下記に例示される。なお、RAは上記の通りである。また、下記式中Meはメチル基、Acはアセチル基を示す。
【0068】
【化43】
【0069】
【化44】
【0070】
一般式(14)中の繰り返し単位(b)のカルボキシル基が置換された酸不安定基R7としては、式(AL−11)で示される三級エステル基、特には環状構造を有する三級エステル基を好ましく用いることができる。最も好ましい三級エステル基としては、式(AL−11)−1〜(AL−11)−16、(AL−11)−19に示される。
【0071】
高分子化合物(A)は、上記式(1)で示される繰り返し単位(a)に加えて、ヒドロキシ基、シアノ基、カルボニル基、エステル基、エーテル基、ラクトン環、カルボキシル基、カルボン酸無水物基から選ばれる密着性基を有する繰り返し単位(c)を含有することが好ましく、特にラクトン環を有する繰り返し単位を含有することが好ましい。
【0072】
繰り返し単位(c)を得るためのモノマーとしては、具体的に下記に挙げることができる。
【化45】
【0073】
【化46】
【0074】
【化47】
【0075】
【化48】
【0076】
【化49】
【0077】
【化50】
【0078】
【化51】
【0079】
【化52】
【0080】
【化53】
【0081】
【化54】
【0082】
【化55】
【0083】
高分子化合物(A)は、更に、下記一般式(d1)〜(d3)で示されるスルホニウム塩である繰り返し単位から選ばれる1種以上の繰り返し単位を含有してもよい。
【化56】
(式中、R20、R24及びR28は水素原子又はメチル基を示す。R21は単結合、フェニレン基、−O−R33−、又は−C(=O)−Y−R33−を示す。Yは酸素原子又はNHを示す。R33は炭素数1〜6の直鎖状、分岐状又は環状のアルキレン基、アルケニレン基又はフェニレン基を示し、カルボニル基(−CO−)、エステル基(−COO−)、エーテル基(−O−)又はヒドロキシ基を含んでいてもよい。R22、R23、R25、R26、R27、R29、R30及びR31はそれぞれ独立に炭素数1〜12の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基を示し、カルボニル基、エステル基又はエーテル基を含んでいてもよく、又は炭素数6〜12のアリール基、炭素数7〜20のアラルキル基又はチオフェニル基を示す。Z0は単結合、メチレン基、エチレン基、フェニレン基、フッ素化されたフェニレン基、−O−R32−、又は−C(=O)−Z1−R32−を示す。Z1は酸素原子又はNHを示す。R32は炭素数1〜6の直鎖状、分岐状又は環状のアルキレン基、アルケニレン基又はフェニレン基を示し、カルボニル基、エステル基、エーテル基又はヒドロキシ基を含んでいてもよい。M-は非求核性対向イオンを示す。d1、d2及びd3は、それぞれ0≦d1≦0.3、0≦d2≦0.3、0≦d3≦0.3を満たす数であり、0≦d1+d2+d3≦0.3である。)
【0084】
高分子化合物(A)において、繰り返し単位(a1)+(a2)+(a3)=(a)とすると、高分子化合物(A)における上記繰り返し単位(a)、(b)、(c)、(d1)、(d2)及び(d3)の含有率は、
0<a≦1.0、0≦b<1.0、0≦c<1.0、0≦d1≦0.3、0≦d2≦0.3、0≦d3≦0.3、但し、0≦d1+d2+d3≦0.3、
好ましくは
0<a<1.0、0≦b<1.0、0<c<1.0、0≦d1<0.2、0≦d2<0.2、0≦d3<0.2、但し、0≦d1+d2+d3<0.2、
より好ましくは
0<a≦0.8、0≦b≦0.8、0<c≦0.8、0≦d1<0.15、0≦d2<0.15、0≦d3<0.15、但し、0≦d1+d2+d3<0.15
の範囲である。但し、a+b+c+d1+d2+d3=1である。
【0085】
ここで、例えばa+b=1とは、繰り返し単位(a)及び(b)を含む高分子化合物において、繰り返し単位(a)及び(b)の合計量が全繰り返し単位の合計量中100モル%であることを示し、a+b<1とは、繰り返し単位(a)及び(b)の合計量が全繰り返し単位の合計量中100モル%未満で繰り返し単位(a)及び(b)以外に他の繰り返し単位(c)及び/又は(d1)等を有していることを示す。
【0086】
本発明のパターン形成方法に用いられるレジスト組成物のベース樹脂となる高分子化合物は、溶剤としてテトラヒドロフランを用いたゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によるポリスチレン換算重量平均分子量が1,000〜500,000、特に2,000〜30,000であることが好ましい。重量平均分子量が小さすぎると有機溶剤現像時に膜減りを生じ易くなり、大きすぎると有機溶剤への溶解性が低下し、パターン形成後に裾引き現象が生じ易くなる。
【0087】
更に、本発明のパターン形成方法に用いられるレジスト組成物のベース樹脂となる高分子化合物においては、分子量分布(Mw/Mn)が広い場合は低分子量や高分子量のポリマーが存在するために露光後、パターン上に異物が見られたり、パターンの形状が悪化したりするおそれがある。それ故、パターンルールが微細化するに従ってこのような分子量、分子量分布の影響が大きくなり易いことから、微細なパターン寸法に好適に用いられるレジスト組成物を得るには、使用する多成分共重合体の分子量分布は1.0〜2.0、特に1.0〜1.5と狭分散であることが好ましい。
また、組成比率や分子量分布や分子量が異なる2つ以上のポリマーをブレンドしたり、酸不安定基で置換されたヒドロキシ基を含まないポリマーとブレンドすることも可能である。
【0088】
上記高分子化合物(A)を合成するには、1つの方法としては、繰り返し単位(a)、及び必要に応じて繰り返し単位(b)、(c)、(d1)、(d2)及び/又は(d3)を得るための不飽和結合を有するモノマーを有機溶剤中、ラジカル開始剤を加えて加熱重合を行う方法があり、これにより高分子化合物を得ることができる。重合時に使用する有機溶剤としては、トルエン、ベンゼン、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジオキサン等が例示できる。重合開始剤としては、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、ジメチル−2,2−アゾビス(2−メチルプロピオネート)、ベンゾイルパーオキシド、ラウロイルパーオキシド等が例示できる。反応温度は、好ましくは50〜80℃である。反応時間は、好ましくは2〜100時間、より好ましくは5〜20時間である。酸不安定基は、モノマーに導入されたものをそのまま用いてもよいし、重合後保護化又は部分保護化してもよい。
【0089】
本発明のレジスト組成物は、紫外線、遠紫外線、極端紫外線、電子線、X線、エキシマレーザー、γ線、又はシンクロトロン放射線等の高エネルギー線に感応し、下記一般式(2)で示されるスルホン酸を発生するオニウム塩型光酸発生剤、下記一般式(3)で示されるイミド酸を発生するオニウム塩型光酸発生剤又は下記一般式(4)で示されるメチド酸を発生するオニウム塩型光酸発生剤の少なくとも1種(B)を含有する。
【化57】
(式中、R200は直鎖状、分岐状もしくは環状の炭素数1〜28のアルキル基、炭素数6〜28のアリール基、又は炭素数7〜28のアラルキル基を示し、これらの基に含まれるメチレン基の一部が、エーテル基、エステル基、カルボニル基、アミド基、カーボネート基又はカルバメート基で置換されてもよく、また、これらの基の水素原子の一部又は全部がハロゲン原子、ヒドロキシ基、カルボキシル基、アミノ基、シアノ基、ニトロ基及びスルホン酸エステルから選ばれる1つ以上の基で置換されてもよい。R210、R211はそれぞれ置換基を有してもよい炭素数1〜8の直鎖状又は分岐状のフルオロアルキル基、又は、R210、R211が互いに結合して環を形成し、この場合R210、R211はそれぞれ炭素数1〜8のフルオロアルキレン基を示す。R220、R221、R222はそれぞれ置換基を有してもよい炭素数1〜8の直鎖状又は分岐状のフルオロアルキル基、又は、R220、R221が互いに結合して環を形成し、この場合R220、R221はそれぞれ炭素数1〜8のフルオロアルキレン基を示す。)
【0090】
具体的なスルホン酸の例としては、トリフルオロメタンスルホン酸、ペンタフルオロエタンスルホン酸、ノナフルオロブタンスルホン酸、ドデカフルオロヘキサンスルホン酸、ヘプタデカフルオロオクタンスルホン酸等のパーフルオロアルキルスルホン酸や、1,1−ジフルオロ−2−ナフチル−エタンスルホン酸、1,1,2,2−テトラフルオロ−2−(ノルボルナン−2−イル)エタンスルホン酸等のアルキルスルホン酸やアラルキルスルホン酸の水素原子の一部がフッ素置換された構造のもの等が挙げられる。
【0091】
中でも、好ましいスルホン酸を発生するオニウム塩型光酸発生剤は、下記一般式(8)で示される構造のスルホン酸を発生するもの、即ちパーフルオロアルキルスルホン酸ではないスルホン酸である。
【化58】
(式中、R201は直鎖状、分岐状もしくは環状の炭素数1〜23のアルキル基、炭素数6〜23のアリール基、又は炭素数7〜23のアラルキル基を示し、これらの基に含まれるメチレン基の一部が、エーテル基、エステル基又はカルボニル基で置換されてもよく、また、これらの基の水素原子の一部又は全部がハロゲン原子、ヒドロキシ基、カルボキシル基、アミノ基、シアノ基、ニトロ基及びスルホン酸エステルから選ばれる1つ以上の基で置換されてもよい。但し、R201はパーフルオロアルキル基ではない。)
【0092】
パーフルオロアルカンスルホン酸を発生する光酸発生剤は、ArF化学増幅型レジスト組成物用途に広く使われているが、中でもパーフルオロオクタンスルホン酸あるいはその誘導体は、その頭文字をとりPFOSとして知られており、C−F結合に由来する安定性(非分解性)や疎水性、親油性に由来する生態濃縮性、蓄積性が問題となっている。このようなPFOSに関する問題に対して、上記式(8)で示されるフッ素の置換率を下げた部分フッ素置換アルカンスルホン酸は有効である。具体的なスルホン酸の例としては、1,1−ジフルオロ−2−ナフチル−エタンスルホン酸、1,1,2,2−テトラフルオロ−2−(ノルボルナン−2−イル)エタンスルホン酸、1,1,2,2−テトラフルオロ−2−(テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン−8−イル)エタンスルホン酸等が挙げられる。
【0093】
部分フッ素置換アルカンスルホン酸を発生する酸発生剤は、既に公開されている例もあり、例えば、特許文献9:特表2004−531749号公報には、α,α−ジフルオロアルケンと硫黄化合物によりα,α−ジフルオロアルキルスルホン酸塩を開発し、露光によりこのスルホン酸を発生する光酸発生剤、具体的にはジ(4−tert−ブチルフェニル)ヨードニウム1,1−ジフルオロ−1−スルホネート−2−(1−ナフチル)エチレンを含有するレジスト材料や、特許文献10:特開2004−2252号公報、特許文献11:特開2005−352466号公報、特許文献12:特開2006−257078号公報等にも部分フッ素化アルカンスルホン酸を発生する光酸発生剤を用いたレジスト材料が公開されている。
【0094】
また、より好ましいスルホン酸を発生するオニウム塩型光酸発生剤は、下記一般式(9)又は(10)で示されるエステル基を含む構造である。
【化59】
(式中、R202は直鎖状、分岐状もしくは環状の炭素数1〜23のアルキル基、炭素数6〜23のアリール基、又は炭素数7〜23のアラルキル基を示し、これらの基に含まれるメチレン基の一部が、エーテル基、エステル基又はカルボニル基で置換されてもよく、また、これらの基の水素原子の一部又は全部がハロゲン原子、ヒドロキシ基、カルボキシル基、アミノ基及びシアノ基から選ばれる1つ以上の基で置換されてもよい。但し、R202はパーフルオロアルキル基ではない。)
【化60】
(式中、R203は置換もしくは非置換の炭素数1〜20の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、又は置換もしくは非置換の炭素数6〜14のアリール基を示す。但し、R203はパーフルオロアルキル基ではない。)
【0095】
ここで、上記式(9)においてR202で示されるアルキル基又はアリール基として、具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、sec−プロピル基、シクロプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、iso−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、シクロペンチル基、n−ヘキシル基、シクロヘキシル基、n−オクチル基、n−デシル基、n−ドデシル基、1−アダマンチル基、2−アダマンチル基、ビシクロ[2.2.1]ヘプテン−2−イル基、フェニル基、4−メトキシフェニル基、4−tert−ブチルフェニル基、4−ビフェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、10−アントラニル基、2−フラニル基等が挙げられる。
【0096】
また、置換基を有するアルキル基又はアリール基としては、2−カルボキシエチル基、2−(メトキシカルボニル)エチル基、2−(シクロヘキシルオキシカルボニル)エチル基、2−(1−アダマンチルメチルオキシカルボニル)エチル基、2−カルボキシシクロヘキシル基、2−(メトキシカルボニル)シクロヘキシル基、2−(シクロヘキシルオキシカルボニル)シクロヘキシル基、2−(1−アダマンチルメチルオキシカルボニル)シクロヘキシル基、4−オキソシクロヘキシル基、4−オキソ−1−アダマンチル基、2−カルボキシフェニル基、2−カルボキシナフチル基等が挙げられる。
【0097】
これらの中でも、tert−ブチル基、シクロヘキシル基、1−アダマンチル基、フェニル基、4−tert−ブチルフェニル基、4−メトキシフェニル基、4−ビフェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基等が好ましく、tert−ブチル基、シクロヘキシル基、フェニル基、4−tert−ブチルフェニル基等が好ましい。
【0098】
上記式(9)で示されるスルホン酸のより具体的な例を下記に示す。
【化61】
【0099】
【化62】
【0100】
上記式(10)において、R203で示される置換もしくは非置換の炭素数1〜20の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基として、具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、sec−プロピル基、シクロプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、iso−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、シクロペンチル基、n−ヘキシル基、シクロヘキシル基、n−オクチル基、n−デシル基、n−ドデシル基、1−アダマンチル基、2−アダマンチル基、1−アダマンチルメチル基、1−(3−ヒドロキシメチル)アダマンチルメチル基、4−オキソ−1−アダマンチル基、1−(ヘキサヒドロ−2−オキソ−3,5−メタノ−2H−シクロペンタ[b]フラン−6−イル基、1−(3−ヒドロキシ)アダマンチルメチル基等が挙げられる。
【0101】
また、R203で示される置換もしくは非置換の炭素数6〜14のアリール基として、具体的には、フェニル基、4−ビフェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、10−アントラニル基、2−フラニル基、メトキシフェニル基、4−tert−ブチルフェニル基2−カルボキシフェニル基、2−カルボキシナフチル基等が挙げられる。
【0102】
上記式(10)で示されるスルホン酸のより具体的な例を下記に示す。
【化63】
【0103】
更に、スルホン酸を発生するオニウム塩型光酸発生剤(B)が、下記一般式(11)又は(12)で示されるスルホ基のα位がフッ素化置換されていないスルホン酸でもよい。
【化64】
(式中、R204は直鎖状、分岐状もしくは環状の炭素数1〜23のアルキル基、炭素数6〜23のアリール基、又は炭素数7〜23のアラルキル基を示し、これらの基に含まれるメチレン基の一部が、エーテル基、エステル基又はカルボニル基で置換されてもよく、また、これらの基の水素原子の一部又は全部がハロゲン原子、ヒドロキシ基、カルボキシル基、アミノ基及びシアノ基から選ばれる1つ以上の基で置換されてもよい。但し、R204はパーフルオロアルキル基ではない。)
【化65】
(式中、R205は置換もしくは非置換の炭素数1〜20の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、又は置換もしくは非置換の炭素数6〜14のアリール基を示す。但し、R205はパーフルオロアルキル基ではない。nは1〜3の整数を示す。)
【0104】
上記式(11)において、R204で示される置換もしくは非置換の炭素数1〜20の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基として、具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、sec−プロピル基、シクロプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、iso−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、シクロペンチル基、n−ヘキシル基、シクロヘキシル基、n−オクチル基、n−デシル基、n−ドデシル基、1−アダマンチル基、2−アダマンチル基、1−アダマンチルメチル基、1−(3−ヒドロキシメチル)アダマンチルメチル基、4−オキソ−1−アダマンチル基、1−(ヘキサヒドロ−2−オキソ−3,5−メタノ−2H−シクロペンタ[b]フラン−6−イル基、1−(3−ヒドロキシ)アダマンチルメチル基等が挙げられる。
【0105】
また、R204で示される置換もしくは非置換の炭素数6〜14のアリール基として、具体的には、フェニル基、4−ビフェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、10−アントラニル基、2−フラニル基、メトキシフェニル基、4−tert−ブチルフェニル基2−カルボキシフェニル基、2−カルボキシナフチル基等が挙げられる。
【0106】
上記式(11)で示されるスルホン酸のより具体的な例を下記に示す。
【化66】
【0107】
上記式(12)において、R205で示される置換もしくは非置換の炭素数1〜20の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基として、具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、sec−プロピル基、シクロプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、iso−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、シクロペンチル基、n−ヘキシル基、シクロヘキシル基、n−オクチル基、n−デシル基、n−ドデシル基、1−アダマンチル基、2−アダマンチル基、1−アダマンチルメチル基、1−(3−ヒドロキシメチル)アダマンチルメチル基、4−オキソ−1−アダマンチル基、1−(ヘキサヒドロ−2−オキソ−3,5−メタノ−2H−シクロペンタ[b]フラン−6−イル基、1−(3−ヒドロキシ)アダマンチルメチル基等が挙げられる。
【0108】
また、R205で示される置換もしくは非置換の炭素数6〜14のアリール基として、具体的には、フェニル基、4−ビフェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、10−アントラニル基、2−フラニル基、メトキシフェニル基、4−tert−ブチルフェニル基2−カルボキシフェニル基、2−カルボキシナフチル基等が挙げられる。
【0109】
上記式(12)で示されるスルホン酸のより具体的な例を下記に示す。
【化67】
【0110】
光酸発生剤(B)は、下記一般式(3)で示されるイミド酸を発生するオニウム塩型光酸発生剤でもよい。
【化68】
(式中、R210、R211はそれぞれ置換基を有してもよい炭素数1〜8の直鎖状又は分岐状のフルオロアルキル基、又は、R210、R211が互いに結合して環を形成し、この場合R210、R211はそれぞれ炭素数1〜8のフルオロアルキレン基を示す。)
【0111】
より好適に用いられる上記一般式(3)で示されるイミド酸の具体例を示す。
【化69】
【0112】
光酸発生剤(B)は、下記一般式(4)で示されるメチド酸を発生するオニウム塩型光酸発生剤でもよい。
【化70】
(式中、R220、R221、R222はそれぞれ置換基を有してもよい炭素数1〜8の直鎖状又は分岐状のフルオロアルキル基、又は、R220、R221が互いに結合して環を形成し、この場合R220、R221はそれぞれ炭素数1〜8のフルオロアルキレン基を示す。)
【0113】
より好適に用いられる上記一般式(4)で示されるメチド酸の具体例を示す。
【化71】
【0114】
上記式(2)で示されるスルホン酸を発生するオニウム塩型光酸発生剤(B)は、スルホニウム塩又はヨードニウム塩である。上記スルホニウム塩又はヨードニウム塩を構成するカチオンは、下記一般式(6)で示されるスルホニウムカチオン又は下記一般式(7)で示されるヨードニウムカチオンである。
【化72】
(式中、R101、R102及びR103はそれぞれ独立に直鎖状もしくは環状の炭素数1〜20のアルキル基、炭素数2〜20のアルケニル基、炭素数6〜20のアリール基、又は炭素数7〜20のアラルキル基を示し、これらの基のメチレン基の一部がエーテル基、エステル基又はカルボニル基で置換されてもよく、また、これらの基の水素原子の一部又は全部がハロゲン原子、ヒドロキシ基、カルボキシル基、アミノ基及びシアノ基から選ばれる1つ以上の基で置換されてもよい。また、R101、R102及びR103のうち2つが相互に結合して式中の硫黄原子と共に炭素数4〜8、特に4〜6の環を形成してもよい。R104及びR105はそれぞれ独立に直鎖状もしくは環状の炭素数1〜20のアルキル基、炭素数2〜20のアルケニル基、炭素数6〜20のアリール基、又は炭素数7〜20のアラルキル基を示し、これらの基のメチレン基の一部がエーテル基、エステル基又はカルボニル基で置換されてもよく、また、これらの基の水素原子の一部又は全部がハロゲン原子、ヒドロキシ基、カルボキシル基、アミノ基及びシアノ基から選ばれる1つ以上の基で置換されてもよい。)
【0115】
上記式(6)で示されるスルホニウムカチオンの具体的に示すと、トリフェニルスルホニウム、4−ヒドロキシフェニルジフェニルスルホニウム、4−tert−ブチルフェニルジフェニルスルホニウム、4−tert−ブトキシフェニルジフェニルスルホニウム、トリス(4−tert−ブチルフェニル)スルホニウム、ビス(4−ヒドロキシフェニル)フェニルスルホニウム、トリス(4−ヒドロキシフェニル)スルホニウム、(4−tert−ブトキシフェニル)ジフェニルスルホニウム、ビス(4−tert−ブトキシフェニル)フェニルスルホニウム、トリス(4−tert−ブトキシフェニル)スルホニウム、(3−tert−ブトキシフェニル)ジフェニルスルホニウム、ビス(3−tert−ブトキシフェニル)フェニルスルホニウム、トリス(3−tert−ブトキシフェニル)スルホニウム、(3,4−ジtert−ブトキシフェニル)ジフェニルスルホニウム、ビス(3,4−ジtert−ブトキシフェニル)フェニルスルホニウム、トリス(3,4−ジtert−ブトキシフェニル)スルホニウム、ジフェニル(4−チオフェノキシフェニル)スルホニウム、(4−tert−ブトキシカルボニルメチルオキシフェニル)ジフェニルスルホニウム、トリス(4−tert−ブトキシカルボニルメチルオキシフェニル)スルホニウム、(4−tert−ブトキシフェニル)ビス(4−ジメチルアミノフェニル)スルホニウム、トリス(4−ジメチルアミノフェニル)スルホニウム、2−ナフチルジフェニルスルホニウム、ジメチル−2−ナフチルスルホニウム、4−ヒドロキシフェニルジメチルスルホニウム、4−メトキシフェニルジメチルスルホニウム、トリメチルスルホニウム、2−オキソシクロヘキシルシクロヘキシルメチルスルホニウム、トリナフチルスルホニウム、トリベンジルスルホニウム、ジフェニルメチルスルホニウム、ジメチルフェニルスルホニウム、2−オキソ−2−フェニルエチルチアシクロペンタニウム、ジフェニル2−チエニルスルホニウム、4−n−ブトキシナフチル−1−チアシクロペンタニウム、2−n−ブトキシナフチル−1−チアシクロペンタニウム、4−メトキシナフチル−1−チアシクロペンタニウム、2−メトキシナフチル−1−チアシクロペンタニウム等が挙げられる。より好ましくは、トリフェニルスルホニウム、4−tert−ブチルフェニルジフェニルスルホニウム、4−tert−ブトキシフェニルジフェニルスルホニウム、トリス(4−tert−ブチルフェニル)スルホニウム、(4−tert−ブトキシカルボニルメチルオキシフェニル)ジフェニルスルホニウム等が挙げられる。
【0116】
上記式(7)で示されるヨードニウムカチオンの具体的に示すと、ビス(4−メチルフェニル)ヨードニウム、ビス(4−エチルフェニル)ヨードニウム、ビス(4−tert−ブチルフェニル)ヨードニウム、ビス(4−(1,1−ジメチルプロピル)フェニル)ヨードニウム、4−メトキシフェニルフェニルヨードニウム、4−tert−ブトキシフェニルフェニルヨードニウム、4−アクリロイルオキシフェニルフェニルヨードニウム、4−メタクリロイルオキシフェニルフェニルヨードニウム等が挙げられる。中でも、ビス(4−tert−ブチルフェニル)ヨードニウムが好ましく用いられる。
【0117】
好ましいオニウム塩の組み合わせとして、トリフェニルスルホニウム、4−tert−ブチルフェニルジフェニルスルホニウム、4−tert−ブトキシフェニルジフェニルスルホニウム、トリス(4−tert−ブチルフェニル)スルホニウム、ビス(4−tert−ブチルフェニル)ヨードニウムから選ばれるカチオン、及び2−アダマンタンカルボニルオキシ−1,1,3,3,3−ペンタフルオロプロパンスルホネート、2−シクロヘキサンカルボニルオキシ−1,1,3,3,3−ペンタフルオロプロパンスルホネート、2−アダマンタンカルボニルオキシエタンスルホネートから選ばれるアニオンからなる組み合わせが挙げられる。
【0118】
本発明に係るオニウム塩型光酸発生剤(B)を合成する方法の例として、上記式(8)で示されるスルホン酸を発生する光酸発生剤の合成方法について述べる。
中井らにより1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノールを出発原料として開発された1,1,3,3,3−ペンタフルオロプロペン−2−イルベンゾエート(Tetrahedron. Lett., Vol.29, 4119(1988))に代表される1,1,3,3,3−ペンタフルオロプロペン−2−イル脂肪族カルボン酸エステルあるいは芳香族カルボン酸エステルを亜硫酸水素ナトリウムあるいは亜硫酸ナトリウムとアゾビスイソブチロニトリルや過酸化ベンゾイル等のラジカル開始剤存在下、溶剤として水あるいはアルコール及びその混合物中で反応させることにより対応するスルホン酸塩の合成を行うことができる(R.B.Wagner et al., Synthetic Organic Chemistry p.813−814, John Wiley & Sons, Inc.(1965)参照)。更にいえば、上記方法で得たスルホン酸塩を水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリを用いて加水分解又はアルコールと塩基を用いて加溶媒分解した後に、適宜、脂肪族カルボン酸ハライドや脂肪族カルボン酸無水物、芳香族カルボン酸ハライドや芳香族カルボン酸無水物等で反応させることにより、当初有していたカルボン酸エステル構造とは異なるカルボン酸エステル構造を有するスルホン酸塩を得ることができる。
【0119】
このスルホン酸塩をスルホニウム塩、ヨードニウム塩とするには公知の方法で行うことができ、イミドスルホネート、オキシムスルホネートとするには上述のスルホン酸塩を公知の方法でスルホニルハライド、スルホン酸無水物とし、対応するヒドロキシイミド、オキシムと反応させることで合成することができる。
【0120】
上記式(8)、(9)、(10)、(11)及び(12)で示されるスルホン酸は、分子内にエステル部位を有するため、嵩の低いアシル基から嵩の高いアシル基、ベンゾイル基、ナフトイル基、アントラニル基等の導入が容易であり、分子設計の幅を大きく持つことができる。また、これらスルホン酸を発生する光酸発生剤はデバイス作製工程での塗布、露光前焼成、露光、現像の工程に問題なく使用できる。更にはArF液浸露光の際の水への溶出も抑えることができるのみならず、ウエハー上に残る水の影響も少なく、欠陥も抑えることができる。
【0121】
本発明のレジスト組成物における光酸発生剤(B)の添加量は、レジスト組成物中のベースポリマー(本発明の樹脂成分(A)及び必要に応じてその他の樹脂成分)100質量部に対して、好ましくは0.1〜20質量部、より好ましくは0.1〜10質量部である。光酸発生剤(B)が多すぎる場合には、解像性の劣化や、現像/レジスト膜剥離時の異物の問題が起きる可能性がある。一方、光酸発生剤(B)が少なすぎる場合には、脱保護反応が進行せず解像性が劣化する可能性がある。上記光酸発生剤(B)は、単独でも2種以上混合して用いることもできる。更に、露光波長における透過率が低い光酸発生剤を用い、その添加量を調整することでレジスト膜中の透過率を制御することもできる。
【0122】
本発明のレジスト組成物は、上記高分子化合物(A)と、上記オニウム塩型光酸発生剤(B)に加えて、下記一般式(5)で示されるカルボン酸を発生するオニウム塩型光酸発生剤(C)を含有する。
【化73】
(式中、R300は直鎖状、分岐状もしくは環状の炭素数1〜25のアルキル基、炭素数2〜25のアルケニル基、炭素数6〜25のアリール基、又は炭素数7〜25のアラルキル基を示し、これらの基に含まれるメチレン基の一部が、エーテル基、エステル基又はカルボニル基で置換されてもよく、また、これらの基の水素原子の一部又は全部がハロゲン原子、ヒドロキシ基、カルボキシル基、アミノ基、シアノ基、ニトロ基及びスルホン酸エステルから選ばれる1つ以上の基で置換されてもよい。)
【0123】
上記式(5)で示されるカルボン酸のアニオンの具体例としては、ギ酸アニオン、酢酸アニオン、プロピオン酸アニオン、酪酸アニオン、イソ酪酸アニオン、吉草酸アニオン、イソ吉草酸アニオン、ピバル酸アニオン、ヘキサン酸アニオン、オクタン酸アニオン、シクロヘキシル酢酸アニオン、ラウリン酸アニオン、ミリスチン酸アニオン、パルミチン酸アニオン、ステアリン酸アニオン、フェニル酢酸アニオン、ジフェニル酢酸アニオン、フェノキシ酢酸アニオン、マンデル酸アニオン、ベンゾイルギ酸アニオン、ケイヒ酸アニオン、ジヒドロケイヒ酸アニオン、メチル安息香酸アニオン、アントラセンカルボン酸アニオン、ヒドロキシ酢酸アニオン、乳酸アニオン、メトキシ酢酸アニオン、2−(2−メトキシエトキシ)酢酸アニオン、2−(2−(2−メトキシエトキシ)エトキシ)酢酸アニオン、ジフェノール酸アニオン、モノクロロ酢酸アニオン、ジクロロ酢酸アニオン、トリクロロ酢酸アニオン、トリフルオロ酢酸アニオン、ペンタフルオロプロピオン酸アニオン、ヘプタフルオロ酪酸アニオン、コール酸アニオン等が挙げられる。また、コハク酸、酒石酸、グルタル酸、ピメリン酸、セバシン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸、シクロヘキセンジカルボン酸等のジカルボン酸のモノアニオンも挙げられる。
【0124】
特に好ましいカルボン酸アニオンの例として、下記のものが挙げられるが、これらに限定されない。
【化74】
【0125】
【化75】
【0126】
上記オニウム塩型光酸発生剤(C)は、スルホニウム塩又はヨードニウム塩である。上記スルホニウム塩又はヨードニウム塩を構成するカチオンは、上記式(6)で示されるスルホニウムカチオン又は上記式(7)で示されるヨードニウムカチオンである。これらカチオンの具体例としては、上述したものと同様のものが挙げられる。
【0127】
好ましいオニウム塩の組み合わせとして、カチオンにはトリフェニルスルホニウム、4−tert−ブチルフェニルジフェニルスルホニウム、4−tert−ブトキシフェニルジフェニルスルホニウム、トリス(4−tert−ブチルフェニル)スルホニウム、ビス(4−tert−ブチルフェニル)ヨードニウムが挙げられ、アニオンには、1−アダマンタンカルボキシレート、4−tert−ブチルベンゾエート等が挙げられる。
【0128】
上記オニウム塩型光酸発生剤(C)の合成法は特に制限されるものではないが、公知のアニオン交換法により合成できる。カルボキシレートは前駆体オニウム塩化物、臭化物とのアニオン交換が定量的に進みにくいことから、イオン交換樹脂を用いてオニウムヒドロキシドとした後にアニオン交換を行うか、銀イオンや鉛イオンを用いて系中に存在する塩化物イオン、臭化物イオンを銀塩、鉛塩として沈殿除去することで合成できる。
【0129】
上記の構造を有するオニウム塩型光酸発生剤(C)をオニウム塩型光酸発生剤(B)と併用した場合、光酸発生剤(B)が発生する強い酸であるスルホン酸が、弱い酸の塩である光酸発生剤(C)との塩交換反応を起こし、強い酸の塩と弱い酸が発生する。この弱い酸(カルボン酸)は樹脂の脱保護反応を起こす能力が乏しいため、結果的にアセタール保護基に特有の過度な脱保護反応を抑制する。特に、本発明が提案する構造のアセタール保護基で保護されたヒドロキシ基を有する高分子化合物(A)との組み合わせにおいて、適度な脱保護抑制能を示し、解像性を維持しながら、微少露光量域の溶解、即ち、ハーフトーン位相シフトマスク使用時の表面荒れやサイドローブ耐性を改善することもできる。
【0130】
本発明のレジスト組成物における光酸発生剤(C)の添加量は、レジスト組成物中のベースポリマー100質量部に対して、好ましくは0.1〜20質量部、より好ましくは0.1〜10質量部である。光酸発生剤(C)が多すぎる場合には、解像性の劣化や、現像/レジスト膜剥離時の異物の問題が起きる可能性がある。一方、光酸発生剤(C)が少なすぎる場合には、酸拡散制御能力が著しく低下し、解像性劣化を招くことがある。上記光酸発生剤(C)は、単独でも2種以上混合して用いることもできる。
【0131】
また、本発明のレジスト組成物には、酸により分解し、酸を発生する化合物(酸増殖化合物)を添加してもよい。これらの化合物としては、J. Photopolym. Sci. and Tech., 8. 43−44, 45−46 (1995)及びJ. Photopolym. Sci. and Tech., 9. 29−30 (1996)に記載されているものが挙げられる。
【0132】
酸増殖化合物の例としては、tert−ブチル−2−メチル−2−トシロキシメチルアセトアセテート、2−フェニル−2−(2−トシロキシエチル)−1,3−ジオキソラン等が挙げられるが、これらに限定されない。公知の光酸発生剤の中で安定性、特に熱安定性に劣る化合物は酸増殖化合物的な性質を示す場合が多い。
【0133】
本発明のレジスト組成物における酸増殖化合物の添加量は、レジスト組成物中のベースポリマー100質量部に対して、好ましくは2質量部以下、より好ましくは1質量部以下である。添加量が多すぎる場合は拡散の制御が難しく解像性の劣化、パターン形状の劣化が起こる。
【0134】
本発明のレジスト組成物は、上記(A)、(B)及び(C)成分に加え、(D)有機溶剤、必要に応じ、(E)塩基性化合物、(F)界面活性剤等を含有することができる。本発明のレジスト組成物は、必要に応じて更に溶解制御剤、アセチレンアルコール類等その他の成分を含有することができる。
【0135】
(D)有機溶剤の具体例としては、特開2008−111103号公報の段落[0144]〜[0145]に記載のシクロヘキサノン、メチル−2−n−アミルケトン等のケトン類、3−メトキシブタノール、3−メチル−3−メトキシブタノール、1−メトキシ−2−プロパノール、1−エトキシ−2−プロパノール等のアルコール類、プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル等のエーテル類、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、乳酸エチル、ピルビン酸エチル、酢酸ブチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、酢酸tert−ブチル、プロピオン酸tert−ブチル、プロピレングリコールモノtert−ブチルエーテルアセテート等のエステル類、γ−ブチロラクトン等のラクトン類等及びこれらの混合溶剤が挙げられる。
【0136】
有機溶剤の配合量は、ベースポリマー100質量部に対し100〜10,000質量部、特に300〜8,000質量部とすることが好ましい。
【0137】
(E)塩基性化合物としては、特開2008−111103号公報の段落[0146]〜[0164]に記載の1級、2級、3級のアミン化合物、特にはヒドロキシ基、エーテル基、エステル基、ラクトン環、シアノ基、スルホン酸エステル基を有するアミン化合物あるいは特許第3790649号公報記載のカルバメート基を有する化合物を挙げることができる。
【0138】
塩基性化合物の配合量は、ベースポリマー100質量部に対し0.0001〜30質量部、特に0.001〜20質量部とすることが好ましい。
【0139】
(F)界面活性剤としては、特開2008−111103号公報の段落[0165]〜[0166]に記載されたもの等を挙げることができる。溶解制御剤としては、特開2008−122932号公報の段落[0155]〜[0178]、アセチレンアルコール類としては、段落[0179]〜[0182]に記載のものを用いることができる。これらの成分の添加量は、本発明の効果を妨げない範囲で任意とすることができる。
【0140】
また、スピンコート後のレジスト表面の撥水性を向上させるための高分子化合物を添加することもできる。この添加剤は、トップコートを用いない液浸リソグラフィーに用いることができる。このような添加剤としては、特開2007−297590号公報、特開2008−111103号公報、特開2008−122932号公報、特開2009−98638号公報、特開2009−276363号公報に開示されているような、特定構造の1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノール残基を有する高分子化合物が挙げられる。レジスト組成物に添加される撥水性向上剤は、有機溶剤からなる現像液に溶解する必要がある。上述の特定の1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノール残基を有する高分子化合物は、現像液への溶解性が良好である。撥水性向上剤として、アミノ基やアミン塩を繰り返し単位として共重合した高分子化合物は、露光後加熱処理(ポストエクスポージャーベーク:以下PEBと記す。)中の酸の蒸発を防いで現像後のホールパターンの開口不良を防止する効果が高い。アミノ基を共重合した撥水性の高分子化合物を添加するレジスト組成物としては、特開2009−31767号公報に、スルホン酸アミン塩の共重合品は特開2008−107443号公報に、カルボン酸アミン塩の共重合品は特開2008−239918号公報に記載されているものを用いることができる。撥水性向上剤を添加する場合、その添加量は、レジスト組成物のベースポリマー100質量部に対して0.1〜20質量部、好ましくは0.5〜10質量部である。
【0141】
本発明のレジストパターン形成方法の説明図を図1に示す。この場合、図1(A)に示したように、本発明においては基板10上に形成した被加工層20に直接又は中間介在層30を介してレジスト組成物を基板上に塗布してレジスト膜40を形成する。レジスト膜の厚さは、10〜1,000nm、特に20〜500nmであることが好ましい。このレジスト膜は、露光前に加熱(プリベーク)されるが、この条件としては60〜180℃、特に70〜150℃で10〜300秒間、特に15〜200秒間行うことが好ましい。
【0142】
なお、基板10としては、シリコン基板が一般的に用いられる。被加工層20としては、SiO2、SiN、SiON、SiOC、p−Si、α−Si、TiN、WSi、BPSG、SOG、Cr、CrO、CrON、MoSi、低誘電膜及びそのエッチングストッパー膜が挙げられる。中間介在層30としては、SiO2、SiN、SiON、p−Si等のハードマスク、カーボン膜による下層膜と珪素含有中間膜、有機反射防止膜等が挙げられる。
【0143】
次いで、図1(B)に示すように露光50を行う。ここで、露光光としては波長140〜250nmの高エネルギー線、波長13.5nmのEUV等が挙げられるが、中でもArFエキシマレーザーによる193nmの露光光が最も好ましく用いられる。露光は大気中や窒素気流中のドライ雰囲気で行ってもよいし、水中の液浸露光であってもよい。ArF液浸リソグラフィーにおいては液浸溶剤として純水、又はアルカン等の屈折率が1以上で露光波長に高透明の液体が用いられる。液浸リソグラフィーでは、プリベーク後のレジスト膜と投影レンズの間に、純水やその他の液体を挿入する。これによってNAが1.0以上のレンズ設計が可能となり、より微細なパターン形成が可能になる。
【0144】
液浸リソグラフィーはArFリソグラフィーを45nmノードまで延命させるための重要な技術である。液浸露光の場合は、レジスト膜上に残った水滴残りを除去するために露光後の純水リンス(ポストソーク)を行ってもよいし、レジスト膜からの溶出物を防ぎ、膜表面の滑水性を上げるために、プリベーク後のレジスト膜上に保護膜を形成してもよい。
【0145】
液浸リソグラフィーに用いられるレジスト保護膜形成用組成物としては、例えば、水に不溶でアルカリ現像液に溶解する1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノール残基を有する繰り返し単位を含む高分子化合物をベース樹脂とし、これを炭素数4以上のアルコール系溶剤、炭素数8〜12のエーテル系溶剤又はこれらの混合溶剤に溶解させたものが好ましい。保護膜は有機溶剤を含む現像液に溶解する必要があるが、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノール残基を有する繰り返し単位を含む高分子化合物は上記有機溶剤を含む現像液に溶解する。特に、特開2007−25634号公報、特開2008−3569号公報、特開2008−81716号公報、特開2008−111089号公報に開示された1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノール残基を有する保護膜形成用組成物から形成された保護膜の有機溶剤現像液に対する溶解性は高い。
【0146】
上記保護膜形成用組成物に、アミン化合物もしくはアミン塩を配合すること、又は上記1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノール残基を有する繰り返し単位に更にアミノ基もしくはアミン塩を有する繰り返し単位を共重合した高分子化合物をベース樹脂として用いることは、レジスト膜の露光部から発生した酸の未露光部分への拡散を制御し、ホールの開口不良を防止する効果が高い。アミン化合物を添加した保護膜形成用組成物としては特開2008−3569号公報記載のもの、アミノ基又はアミン塩を共重合した保護膜形成用組成物としては特開2007−316448号公報記載のものを用いることができる。アミン化合物、アミン塩としては、上記レジスト組成物添加用の塩基性化合物として詳述したものの中から選定することができる。アミン化合物、アミン塩の配合量は、ベースポリマー100質量部に対して0.01〜10質量部、特に0.02〜8質量部が好ましい。
【0147】
レジスト膜形成後に、純水リンス(ポストソーク)を行うことによって、レジスト膜表面からの酸発生剤等の抽出あるいはパーティクルの洗い流しを行ってもよいし、露光後に膜上に残った水を取り除くためのリンス(ポストソーク)を行ってもよい。PEB中に露光部から蒸発した酸が未露光部に付着し、未露光部分の表面の保護基を脱保護させると、現像後のホールの表面がブリッジして閉塞する可能性がある。特に、ネガティブ現像におけるホールの外側は、光が照射されて酸が発生している。PEB中にホールの外側の酸が蒸発し、ホールの内側に付着するとホールが開口しないことがある。酸の蒸発を防いでホールの開口不良を防ぐために保護膜を適用することは効果的である。更に、アミン化合物又はアミン塩を添加した保護膜は、酸の蒸発を効果的に防ぐことができる。
【0148】
一方、カルボキシル基やスルホ基等を含む酸化合物を添加した組成物、あるいはカルボキシル基やスルホ基を有するモノマーを共重合したポリマーをベースポリマーとして含む組成物を用いて形成された保護膜を用いた場合は、ホールの未開口現象が起きることがあり、このような保護膜を用いることは好ましくない。
【0149】
このように、保護膜形成用組成物としては、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノール残基を有する繰り返し単位を含む高分子化合物及びアミン化合物又はアミン塩を、あるいは1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノール残基を有する繰り返し単位に更にアミノ基又はアミン塩を有する繰り返し単位を共重合した高分子化合物を、炭素数4以上のアルコール系溶剤、炭素数8〜12のエーテル系溶剤又はこれらの混合溶剤に溶解させた組成物を用いることが好ましい。
【0150】
上記炭素数4以上のアルコール系溶剤としては、1−ブチルアルコール、2−ブチルアルコール、イソブチルアルコール、tert−ブチルアルコール、1−ペンタノール、2−ペンタノール、3−ペンタノール、tert−アミルアルコール、ネオペンチルアルコール、2−メチル−1−ブタノール、3−メチル−1−ブタノール、3−メチル−3−ペンタノール、シクロペンタノール、1−ヘキサノール、2−ヘキサノール、3−ヘキサノール、2,3−ジメチル−2−ブタノール、3,3−ジメチル−1−ブタノール、3,3−ジメチル−2−ブタノール、2−エチル−1−ブタノール、2−メチル−1−ペンタノール、2−メチル−2−ペンタノール、2−メチル−3−ペンタノール、3−メチル−1−ペンタノール、3−メチル−2−ペンタノール、3−メチル−3−ペンタノール、4−メチル−1−ペンタノール、4−メチル−2−ペンタノール、4−メチル−3−ペンタノール、シクロヘキサノール、1−オクタノール等が挙げられる。
【0151】
炭素数8〜12のエーテル系溶剤としては、ジ−n−ブチルエーテル、ジイソブチルエーテル、ジ−sec−ブチルエーテル、ジ−n−ペンチルエーテル、ジイソペンチルエーテル、ジ−sec−ペンチルエーテル、ジ−tert−アミルエーテル、ジ−n−ヘキシルエーテル等が挙げられる。
【0152】
露光における露光量は、1〜200mJ/cm2程度、特に10〜100mJ/cm2程度とすることが好ましい。次に、ホットプレート上で60〜150℃で1〜5分間、好ましくは80〜120℃で1〜3分間PEBを施す。
【0153】
更に、図1(C)に示されるように、有機溶剤からなる現像液を用い、0.1〜3分間、好ましくは0.5〜2分間、浸漬(dip)法、パドル(puddle)法、スプレー(spray)法等の常法により現像することにより未露光部分が溶解するネガティブパターンが基板上に形成される。
【0154】
上記有機溶剤としては、2−オクタノン、2−ノナノン、2−ヘプタノン、3−ヘプタノン、4−ヘプタノン、2−ヘキサノン、3−ヘキサノン、ジイソブチルケトン、2−メチルシクロヘキサノン、3−メチルシクロヘキサノン、4−メチルシクロヘキサノン、アセトフェノン、2’−メチルアセトフェノン、4’−メチルアセトフェノン等のケトン類、酢酸プロピル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、酢酸アミル、酢酸ブテニル、酢酸イソアミル、酢酸フェニル、蟻酸プロピル、蟻酸ブチル、蟻酸イソブチル、蟻酸アミル、蟻酸イソアミル、吉草酸メチル、ペンテン酸メチル、クロトン酸メチル、クロトン酸エチル、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸プロピル、乳酸ブチル、乳酸イソブチル、乳酸アミル、乳酸イソアミル、2−ヒドロキシイソ酪酸メチル、2−ヒドロキシイソ酪酸エチル、安息香酸メチル、安息香酸エチル、酢酸ベンジル、フェニル酢酸メチル、蟻酸ベンジル、蟻酸フェニルエチル、3−フェニルプロピオン酸メチル、プロピオン酸ベンジル、フェニル酢酸エチル、酢酸2−フェニルエチル等のエステル類等を好ましく用いることができる。これらの有機溶剤は、1種単独で又は2種以上を混合して使用することができる。
【0155】
現像の終了時には、リンスを行う。リンス液としては、現像液と混溶し、レジスト膜を溶解させない溶剤が好ましい。このような溶剤としては、炭素数3〜10のアルコール、炭素数8〜12のエーテル化合物、炭素数6〜12のアルカン、アルケン、アルキン、芳香族系の溶剤が好ましく用いられる。
【0156】
具体的には、炭素数6〜12のアルカンとしては、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、ウンデカン、ドデカン、メチルシクロペンタン、ジメチルシクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、ジメチルシクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタン、シクロノナン等が挙げられる。炭素数6〜12のアルケンとしては、ヘキセン、ヘプテン、オクテン、シクロヘキセン、メチルシクロヘキセン、ジメチルシクロヘキセン、シクロヘプテン、シクロオクテン等が挙げられる。炭素数6〜12のアルキンとしては、ヘキシン、ヘプチン、オクチン等が挙げられる。炭素数3〜10のアルコールとしては、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、1−ブチルアルコール、2−ブチルアルコール、イソブチルアルコール、tert−ブチルアルコール、1−ペンタノール、2−ペンタノール、3−ペンタノール、tert−アミルアルコール、ネオペンチルアルコール、2−メチル−1−ブタノール、3−メチル−1−ブタノール、3−メチル−3−ペンタノール、シクロペンタノール、1−ヘキサノール、2−ヘキサノール、3−ヘキサノール、2,3−ジメチル−2−ブタノール、3,3−ジメチル−1−ブタノール、3,3−ジメチル−2−ブタノール、2−エチル−1−ブタノール、2−メチル−1−ペンタノール、2−メチル−2−ペンタノール、2−メチル−3−ペンタノール、3−メチル−1−ペンタノール、3−メチル−2−ペンタノール、3−メチル−3−ペンタノール、4−メチル−1−ペンタノール、4−メチル−2−ペンタノール、4−メチル−3−ペンタノール、シクロヘキサノール、1−オクタノール等が挙げられる。炭素数8〜12のエーテル化合物としては、ジ−n−ブチルエーテル、ジイソブチルエーテル、ジ−sec−ブチルエーテル、ジ−n−ペンチルエーテル、ジイソペンチルエーテル、ジ−sec−ペンチルエーテル、ジ−tert−アミルエーテル、ジ−n−ヘキシルエーテル等が挙げられる。これらの溶剤は1種単独で又は2種以上を混合して使用することができる。これらの溶剤に加えて、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、イソプロピルベンゼン、tert−ブチルベンゼン、メシチレン等の芳香族系の溶剤を用いることもできる。
【0157】
ネガティブトーン現像によってホールパターンを形成する場合、X、Y方向の2回のラインパターンのダイポール照明による露光を行うことが最もコントラストが高い光を用いることができる。ダイポール照明に併せてs偏光照明を加えると、更にコントラストを上げることができる。
【0158】
ここで、本発明においては、ハーフトーン位相シフトマスクを用い、格子状のシフター格子の交点に現像後のホールパターンを形成することが好ましく、格子状パターンが透過率3〜15%のハーフトーン位相シフトマスクであることが好ましい。この場合、ハーフピッチ以下のライン幅による格子状の第1のシフターと、第1のシフター上に第1のシフターの線幅よりもウエハー上の寸法で2〜30nm太い第2のシフターが配列された位相シフトマスクを用い、太いシフターが配列されたところだけにホールパターンを形成すること、あるいはハーフピッチ以下のライン幅による格子状の第1のシフターと、第1のシフター上に第1のシフターの線幅よりもウエハー上の寸法で2〜100nm太いドットパターンの第2のシフターが配列された位相シフトマスクを用い、太いシフターが配列されたところだけにホールパターンを形成することが好ましい。
【0159】
以下、更に詳述する。
図2は、波長193nmのArFエキシマレーザーを用いたNA1.3レンズ、ダイポール照明、6%ハーフトーン位相シフトマスク、s偏光でのピッチ90nm、ラインサイズ45nmのX方向ラインの光学像を示す。また、図3は、波長193nmのArFエキシマレーザーを用いたNA1.3レンズ、ダイポール照明、6%ハーフトーン位相シフトマスク、s偏光でのピッチ90nm、ラインサイズ45nmのY方向ラインの光学像を示す。色が濃い方が遮光部分、白い方が光の強い領域であり、白と黒のコントラスト差がはっきりしており、特に強い遮光部分が存在することが示されている。図4は、Y方向ラインにX方向ラインの光学像を重ねたコントラストイメージである。XとYのラインの組み合わせで格子状のイメージができ上がるように思われるがそうではなく、光の弱い黒い部分のパターンは円形である。円形のサイズが大きい場合は菱形形状で隣のパターンとつながり易いが、円のサイズが小さいほど円形度合いが向上し、強く遮光された小さな円が存在することが示されている。
【0160】
2回のダイポール照明と偏光照明とを組み合わせた露光によってX、Y方向のラインを描画した場合は、確かに高コントラストであるが、2回の露光とその間のマスクの交換によってスループットが大幅に低下する欠点がある。そこで、格子状のパターンのマスクを用いてX、Y方向のそれぞれのダイポール照明で2回露光する方法が提案されている(非特許文献1参照)。これだとマスクの交換が必要なく連続した2回の露光で済むため、スループットがやや向上する。しかしながら、高価な液浸スキャナーを使っての2回の露光は、スループットの低下とコストアップに繋がり、2回の露光のアライメントの位置ずれによって穴の位置が本来の場所からずれるという問題を有している。
【0161】
ここで、格子状のパターンのマスクを使って、X、Yの偏光照明とクロスポール照明を組み合わせれば、1回の露光でホールパターンを形成することができ、かなりのスループットの向上が見込まれ、2回露光によるアライメントずれの問題は回避される。このようなマスクと照明を用いれば、実用的なコストで40nmクラスのホールパターンを形成することが可能になる。
【0162】
図5に示される格子状のパターンが配されたマスクでは、格子の交点が強く遮光され、図6に示されるように非常に遮光性の高い黒点が現れる。図6は、NA1.3レンズ、クロスポール照明、6%ハーフトーン位相シフトマスク、Azimuthally偏光照明でのピッチ90nm、幅30nmの格子状ラインパターンの光学像である。このようなパターンのマスクを用いて露光を行い、ポジネガ反転を伴う有機溶剤による現像を行うことによって微細なホールパターンを形成することができる。
【0163】
図7に示されるNA1.3レンズ、クロスポール照明、6%ハーフトーン位相シフトマスク、Azimuthally偏光照明でのピッチ90nm、一辺の幅が60nmの正四角形のドットパターンが配置されたマスクにおける光学像コントラストを、図8に示す。この場合、図6に比べて強い遮光部分の円の面積が小さくなり、格子状パターンのマスクに比べてコントラストが低いことが分かる。
【0164】
ピッチや位置がランダムに配列された微細なホールパターンの形成は困難である。密集パターンのコントラストは、ダイポール、クロスポール等の斜入射照明に位相シフトマスクと偏光を組み合わせた超解像技術によって向上させることができるが、孤立パターンのコントラストはそれほど向上しない。
【0165】
密集の繰り返しパターンに対して超解像技術を用いた場合、孤立パターンとの粗密(プロキシミティー)バイアスが問題になる。強い超解像技術を使えば使うほど密集パターンの解像力が向上するが、孤立パターンの解像力は変わらないために、粗密バイアスが拡大する。微細化に伴うホールパターンにおける粗密バイアスの増加は深刻な問題である。粗密バイアスを抑えるために、一般的にはマスクパターンの寸法にバイアスを付けることが行われている。粗密バイアスはレジスト組成物の特性、即ち、溶解コントラストや酸拡散によっても変わるために、レジスト組成物の種類毎にマスクの粗密バイアスが変化する。レジスト組成物の種類毎に粗密バイアスを変えたマスクを用いることになり、マスク製作の負担が増している。
【0166】
そこで、強い超解像照明で密集ホールパターンのみを解像させ、パターンの上に1回目のポジ型レジストパターンを溶解させないアルコール溶剤のネガ型レジスト膜を塗布し、不必要なホール部分を露光、現像することによって閉塞させて密集パターンと孤立パターンの両方を作製する方法(Pack and unpack;PAU法)が提案されている(Proc. SPIE Vol. 5753 p.171 (2005))。この方法の問題点は、1回目の露光と2回目の露光の位置ずれが挙げられ、この点については文献の著者も指摘している。また、2回目の現像で塞がれないホールパターンは2回現像されることになり、これによる寸法変化も問題として挙げられる。
【0167】
ランダムピッチのホールパターンをポジネガ反転の有機溶剤現像で形成するためには、格子状のパターンが全面に配列され、ホールを形成する場所だけに格子の幅を太くしたマスクを用いる。
【0168】
ピッチ90nmで、20nmラインの格子状パターン上に、図9に示すようにドットを形成したい部分に十字の太い交差ラインを配置する。色の黒い部分がハーフトーンのシフター部分である。孤立性の所ほど太いライン(図9では幅40nm)、密集部分では幅30nmのラインが配置されている。密集パターンよりも孤立パターンの方が光の強度が弱くなるために、太いラインが用いられる。密集パターンの端の部分も光の強度がやや低下するために、密集部分の中心よりもやや幅広の32nmのラインが宛われている。
【0169】
図9のマスクを用いて得られた光学像のコントラストイメージを図10に示す。黒い遮光部分にポジネガ反転によってホールが形成される。ホールが形成されるべき場所以外にも黒点が見られるが、黒点のサイズは小さいために、実際には殆ど転写されない。不必要な部分の格子ラインの幅を狭くしたりする等の更なる最適化によって、不必要なホールの転写を防止することが可能である。
【0170】
同じく格子状のパターンを全面に配列し、ホールを形成する場所だけに太いドットを配置したマスクを用いることもできる。ピッチ90nmで、15nmラインの格子状パターン上に、図11に示すようにドットを形成したい部分に太いドットを配置する。色の黒い部分がハーフトーンのシフター部分である。孤立性の所ほど大きなドット(図11では一辺90nm)、密集部分では一辺55nmの四角状のドットが配置されている。ドットの形状は正四角形でも、長方形、菱形、5角形、6角形、7角形、8角形以上の多角形、円形でも構わない。図11のマスクを用いて得られた光学像のコントラストイメージを図12に示す。図10に比べてもほぼ同等の黒い遮光部分が存在し、ポジネガ反転によってホールが形成されることが示されている。
【0171】
図13に示されるような格子状パターンが配列されていないマスクを用いた場合、図14に示されるように黒い遮光部分は現れない。この場合はホールの形成が困難であるか、もし形成できたとしても光学像のコントラストが低いために、マスク寸法のばらつきがホールの寸法のばらつきに大きく反映する結果となる。
【実施例】
【0172】
以下、合成例、実施例及び比較例を示して本発明を具体的に説明するが、本発明は下記実施例等に制限されるものではない。なお、下記例において、重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)は、溶剤としてテトラヒドロフラン(THF)を用いたポリスチレン換算でのゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によって測定した。また、下記例において、Meはメチル基を示す。
【0173】
[合成例]
レジスト組成物に用いる高分子化合物として、各々のモノマーを組み合わせてテトラヒドロフラン溶剤下で共重合反応を行い、メタノールに晶出し、更にヘキサンで洗浄を繰り返した後に単離、乾燥して、以下に示す組成の高分子化合物(ポリマー1〜16及び比較ポリマー1,2)を得た。得られた高分子化合物の組成は1H−NMRにより確認した。
【0174】
ポリマー1
a=0.50、b=0.50
分子量(Mw)=8,310
分散度(Mw/Mn)=1.73
【化76】
【0175】
ポリマー2
a=0.50、b=0.50
分子量(Mw)=7,700
分散度(Mw/Mn)=1.80
【化77】
【0176】
ポリマー3
a=0.50、b=0.10、c=0.40
分子量(Mw)=7,900
分散度(Mw/Mn)=1.78
【化78】
【0177】
ポリマー4
a=0.50、b=0.10、c=0.40
分子量(Mw)=8,700
分散度(Mw/Mn)=2.20
【化79】
【0178】
ポリマー5
a=0.50、b=0.10、c=0.35、d=0.05
分子量(Mw)=8,550
分散度(Mw/Mn)=1.90
【化80】
【0179】
ポリマー6
a=0.50、b=0.10、c=0.20、d=0.20
分子量(Mw)=7,630
分散度(Mw/Mn)=1.75
【化81】
【0180】
ポリマー7
a=0.50、b=0.10、c=0.40
分子量(Mw)=6,900
分散度(Mw/Mn)=1.73
【化82】
【0181】
ポリマー8
a=0.50、b=0.05、c=0.45
分子量(Mw)=7,800
分散度(Mw/Mn)=1.80
【化83】
【0182】
ポリマー9
a=0.50、b=0.10、c=0.40
分子量(Mw)=8,120
分散度(Mw/Mn)=1.75
【化84】
【0183】
ポリマー10
a=0.50、b=0.50
分子量(Mw)=8,400
分散度(Mw/Mn)=1.74
【化85】
【0184】
ポリマー11
a=0.50、b=0.50
分子量(Mw)=8,400
分散度(Mw/Mn)=1.74
【化86】
【0185】
ポリマー12
a=0.50、b=0.50
分子量(Mw)=8,350
分散度(Mw/Mn)=1.73
【化87】
【0186】
ポリマー13
a=0.30、b=0.20、c=0.50
分子量(Mw)=8,500
分散度(Mw/Mn)=1.70
【化88】
【0187】
ポリマー14
a=0.40、b=0.10、c=0.50
分子量(Mw)=8,200
分散度(Mw/Mn)=1.64
【化89】
【0188】
ポリマー15
a=0.10、b=0.50、c=0.40
分子量(Mw)=8,200
分散度(Mw/Mn)=1.65
【化90】
【0189】
ポリマー16
a=0.40、b=0.10、c=0.45、d=0.05
分子量(Mw)=7,400
分散度(Mw/Mn)=1.71
【化91】
【0190】
比較ポリマー1
a=0.40、b=0.20、c=0.40
分子量(Mw)=7,000
分散度(Mw/Mn)=1.72
【化92】
【0191】
比較ポリマー2
a=0.50、b=0.10、c=0.40
分子量(Mw)=8,200
分散度(Mw/Mn)=1.80
【化93】
【0192】
レジスト組成物及び保護膜形成用組成物の調製
上記高分子化合物(ポリマー1〜16、比較ポリマー1,2)を用いて、下記表1,2に示す組成で溶解させた溶液及び下記表3に示す組成の保護膜形成用組成物溶液を0.2μmのテフロン(登録商標)フィルターで濾過した溶液を調製した。
【0193】
表中の各組成は次の通りである。
酸発生剤(B):PAG−1〜10(下記構造式参照)
【化94】
【0194】
オニウム塩(C):Salt−1〜6(下記構造式参照)
【化95】
【0195】
撥水性ポリマー1
分子量(Mw)=8,900
分散度(Mw/Mn)=1.76
【化96】
【0196】
撥水性ポリマー2
分子量(Mw)=8,600
分散度(Mw/Mn)=1.99
【化97】
【0197】
撥水性ポリマー3
分子量(Mw)=8,700
分散度(Mw/Mn)=1.71
【化98】
【0198】
撥水性ポリマー4
分子量(Mw)=8,100
分散度(Mw/Mn)=1.81
【化99】
【0199】
塩基性化合物:Quencher−1(下記構造式参照)
【化100】
【0200】
有機溶剤:PGMEA(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート)
γBL(γ−ブチロラクトン)
【0201】
また、表3中の保護膜ポリマー1〜6の構造は次の通りである。
保護膜ポリマー1
分子量(Mw)=8,800
分散度(Mw/Mn)=1.69
【化101】
【0202】
保護膜ポリマー2
分子量(Mw)=7,700
分散度(Mw/Mn)=1.77
【化102】
【0203】
保護膜ポリマー3
分子量(Mw)=9,800
分散度(Mw/Mn)=1.98
【化103】
【0204】
保護膜ポリマー4
分子量(Mw)=8,100
分散度(Mw/Mn)=1.81
【化104】
【0205】
保護膜ポリマー5
分子量(Mw)=9,700
分散度(Mw/Mn)=1.77
【化105】
【0206】
保護膜ポリマー6
分子量(Mw)=9,400
分散度(Mw/Mn)=2.04
【化106】
【0207】
[実施例1−1、比較例1−1、1−2]
ArF露光パターニング評価(1)
下記表1に示す組成で調製したレジスト組成物を、シリコンウエハーに日産化学工業(株)製反射防止膜を80nmの膜厚で作製した基板上にスピンコーティングし、ホットプレートを用いて100℃で60秒間ベークし、レジスト膜の厚みを100nmにした。
これをArFエキシマレーザースキャナー((株)ニコン製、NSR−307E、NA0.85、σ0.73)で0.2mJ/cm2ステップで露光量を変化させながらオープンフレーム露光を行った。露光後100℃で60秒間ベーク(PEB)し、表1に示す現像液(有機溶剤)で60秒間パドル現像を行った後、表1に示すリンス液(有機溶剤)を用いて500rpmでリンスし、その後、2,000rpmでスピンドライし、100℃で60秒間ベークしてリンス液を蒸発させた。PEBまでを前述と同じプロセスを行い、2.38質量%のテトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)水溶液での現像を行った。PEB後の膜厚、有機溶剤現像後の膜厚、TMAH水溶液現像後の膜厚を測定し、露光量と膜厚の関係(コントラストカーブ)を求めた。結果を図15〜17に示す。
【0208】
【表1】
【0209】
[実施例2−1〜2−29、比較例2−1〜2−6]
ArF露光パターニング評価(2)
下記表2に示す組成で調製したレジスト組成物を、シリコンウエハーに信越化学工業(株)製スピンオンカーボン膜ODL−101(カーボンの含有量が80質量%)を180nm、その上に珪素含有スピンオンハードマスクSHB−A940(珪素の含有量が43質量%)を35nmの膜厚で成膜したトライレイヤープロセス用の基板上にスピンコーティングし、ホットプレートを用いて100℃で60秒間ベークし、レジスト膜の厚みを100nmにした。その上に表3に示す保護膜形成用組成物TC−1をスピンコーティングし、90℃で60秒間ベークし、保護膜の厚みを50nmにした。実施例2−25〜2−29、比較例2−2〜2−4では保護膜の形成を行わなかった。
これをArFエキシマレーザー液浸スキャナー((株)ニコン製、NSR−610C、NA1.30、σ0.98/0.78、クロスポール開口20度、Azimuthally偏光照明、6%ハーフトーン位相シフトマスク、ウエハー上寸法がピッチ90nm、ライン幅30nmの図18に示されるレイアウトの格子状マスク)を用いて露光量を変化させながら露光を行い、露光後表4に示される温度で60秒間ベーク(PEB)し、現像ノズルから酢酸ブチルを3秒間30rpmで回転させながら吐出させ、その後静止パドル現像を17秒間行い、4−メチル−2−ペンタノールでリンス後スピンドライし、100℃で20秒間ベークしてリンス溶剤を蒸発させた。
溶剤現像のイメージ反転されたホールパターン50箇所の寸法を(株)日立ハイテクノロジーズ製TDSEM(S−9380)で測定し、3σの寸法バラツキを求めた。結果を表4に示す。
【0210】
【表2】
【0211】
【表3】
【0212】
【表4】
【0213】
[実施例3−1、3−2、比較例3−1]
ArF露光パターニング評価(3)
上記表2に示す組成で調製したレジスト組成物(レジスト2−15、2−16、比較レジスト2−4)を、シリコンウエハーに信越化学工業(株)製スピンオンカーボン膜ODL−50(カーボンの含有量が80質量%)を200nm、その上に珪素含有スピンオンハードマスクSHB−A940(珪素の含有量が43質量%)を35nmの膜厚で成膜したトライレイヤープロセス用の基板上にスピンコーティングし、ホットプレートを用いて100℃で60秒間ベークし、レジスト膜の厚みを100nmにした。その上に表3に示す保護膜形成用組成物TC−1をスピンコーティングし、90℃で60秒間ベークし、保護膜の厚みを50nmにした。
これをArFエキシマレーザー液浸スキャナー((株)ニコン製、NSR−610C、NA1.30、σ0.98/0.78、クロスポール開口20度、Azimuthally偏光照明、6%ハーフトーン位相シフトマスク、ウエハー上寸法がピッチ90nm、ライン幅15nmの図19に示されるレイアウトの格子状の上にドットが配置されたパターンのマスク)を用いて露光量とフォーカス位置を変化させながら露光を行い、露光後表5に示される温度で60秒間ベーク(PEB)し、現像ノズルから酢酸ブチルを3秒間30rpmで回転させながら吐出させ、その後静止パドル現像を27秒間行い、ジイソアミルエーテルでリンス後スピンドライし、100℃で20秒間ベークしてリンス溶剤を蒸発させた。
溶剤現像のイメージ反転されたホールパターン50箇所の寸法を(株)日立ハイテクノロジーズ製TDSEM(S−9380)で測定し、3σの寸法バラツキを求めた。結果を表5に示す。
【0214】
【表5】
【0215】
[実施例4−1、4−2、比較例4−1]
ArF露光パターニング評価(4)
上記表2に示す組成で調製したレジスト組成物(レジスト2−15、2−16、比較レジスト2−4)を、シリコンウエハーに信越化学工業(株)製スピンオンカーボン膜ODL−101(カーボンの含有量が80質量%)を180nm、その上に珪素含有スピンオンハードマスクSHB−A940(珪素の含有量が43質量%)を35nmの膜厚で成膜したトライレイヤープロセス用の基板上にスピンコーティングし、ホットプレートを用いて100℃で60秒間ベークし、レジスト膜の厚みを100nmにした。
これをArFエキシマレーザー液浸スキャナー((株)ニコン製、NSR−610C、NA1.30、σ0.98/0.78、クロスポール開口20度、Azimuthally偏光照明、6%ハーフトーン位相シフトマスク、ウエハー上寸法がピッチ90nmの図20に示されるレイアウトの格子状の上に太い格子が配置されたパターンのマスク)を用いて露光量を変化させながら露光を行い、露光後表6に示される温度で60秒間ベーク(PEB)し、現像ノズルから酢酸ブチルを3秒間30rpmで回転させながら吐出させ、その後静止パドル現像を27秒間行い、ジイソアミルエーテルでリンス後スピンドライし、100℃で20秒間ベークしてリンス溶剤を蒸発させた。
溶剤現像のイメージ反転されたホールパターンのマスク上A位置とB位置のホールの寸法を(株)日立ハイテクノロジーズ製TDSEM(S−9380)で測定した。結果を表6に示す。
【0216】
【表6】
【0217】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は、例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
【符号の説明】
【0218】
10 基板
20 被加工層
30 中間介在層
40 レジスト膜
50 露光
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)下記一般式(1)で示される酸不安定基で置換されたヒドロキシ基を有する繰り返し単位(a)を有する高分子化合物と、
(B)下記一般式(2)で示されるスルホン酸を発生するオニウム塩型光酸発生剤、下記一般式(3)で示されるイミド酸を発生するオニウム塩型光酸発生剤又は下記一般式(4)で示されるメチド酸を発生するオニウム塩型光酸発生剤の少なくとも1種とを含有し、更に(C)下記一般式(5)で示されるカルボン酸を発生するオニウム塩型光酸発生剤を含有するレジスト組成物であって、(B)及び(C)のオニウム塩のカチオンが、下記一般式(6)で示されるスルホニウムカチオン又は下記一般式(7)で示されるヨードニウムカチオンであることを特徴とするレジスト組成物。
【化1】
(式中、R1は水素原子又はメチル基を示す。R2は炭素数1〜16の直鎖状、分岐状又は環状の2〜5価の脂肪族炭化水素基であり、エーテル基又はエステル基を有していてもよい。R0は酸不安定基を示す。0<a≦1.0を満たす数である。mは1〜4の整数を示す。)
【化2】
(式中、R200は直鎖状、分岐状もしくは環状の炭素数1〜28のアルキル基、炭素数6〜28のアリール基、又は炭素数7〜28のアラルキル基を示し、これらの基に含まれるメチレン基の一部が、エーテル基、エステル基、カルボニル基、アミド基、カーボネート基又はカルバメート基で置換されてもよく、また、これらの基の水素原子の一部又は全部がハロゲン原子、ヒドロキシ基、カルボキシル基、アミノ基、シアノ基、ニトロ基及びスルホン酸エステルから選ばれる1つ以上の基で置換されてもよい。R210、R211はそれぞれ置換基を有してもよい炭素数1〜8の直鎖状又は分岐状のフルオロアルキル基、又は、R210、R211が互いに結合して環を形成し、この場合R210、R211はそれぞれ炭素数1〜8のフルオロアルキレン基を示す。R220、R221、R222はそれぞれ置換基を有してもよい炭素数1〜8の直鎖状又は分岐状のフルオロアルキル基、又は、R220、R221が互いに結合して環を形成し、この場合R220、R221はそれぞれ炭素数1〜8のフルオロアルキレン基を示す。)
【化3】
(式中、R300は直鎖状、分岐状もしくは環状の炭素数1〜25のアルキル基、炭素数2〜25のアルケニル基、炭素数6〜25のアリール基、又は炭素数7〜25のアラルキル基を示し、これらの基に含まれるメチレン基の一部が、エーテル基、エステル基又はカルボニル基で置換されてもよく、また、これらの基の水素原子の一部又は全部がハロゲン原子、ヒドロキシ基、カルボキシル基、アミノ基、シアノ基、ニトロ基及びスルホン酸エステルから選ばれる1つ以上の基で置換されてもよい。)
【化4】
(式中、R101、R102及びR103はそれぞれ独立に直鎖状もしくは環状の炭素数1〜20のアルキル基、炭素数2〜20のアルケニル基、炭素数6〜20のアリール基、又は炭素数7〜20のアラルキル基を示し、これらの基のメチレン基の一部がエーテル基、エステル基又はカルボニル基で置換されてもよく、また、これらの基の水素原子の一部又は全部がハロゲン原子、ヒドロキシ基、カルボキシル基、アミノ基及びシアノ基から選ばれる1つ以上の基で置換されてもよい。また、R101、R102及びR103のうち2つが相互に結合して式中の硫黄原子と共に環を形成してもよい。R104及びR105はそれぞれ独立に直鎖状もしくは環状の炭素数1〜20のアルキル基、炭素数2〜20のアルケニル基、炭素数6〜20のアリール基、又は炭素数7〜20のアラルキル基を示し、これらの基のメチレン基の一部がエーテル基、エステル基又はカルボニル基で置換されてもよく、また、これらの基の水素原子の一部又は全部がハロゲン原子、ヒドロキシ基、カルボキシル基、アミノ基及びシアノ基から選ばれる1つ以上の基で置換されてもよい。)
【請求項2】
酸不安定基で置換されたヒドロキシ基を有する繰り返し単位を有する高分子化合物(A)が、下記一般式(1−1)又は(1−2)で示されるアセタール保護基で保護されたヒドロキシ基を有する繰り返し単位(a1)又は(a2)を含有することを特徴とする請求項1に記載のレジスト組成物。
【化5】
(式中、R1は水素原子又はメチル基を示す。R3及びR4はそれぞれ独立に水素原子、又は炭素数1〜10の直鎖状、分岐状もしくは環状の1価炭化水素基を示す。R5はヘテロ原子を含んでもよい直鎖状、分岐状又は環状の炭素数1〜16の1価炭化水素基を示す。a1、a2は0<a1≦1.0、0<a2≦1.0、0<a1+a2≦1.0を満たす数である。nは1〜3の整数を示す。)
【請求項3】
光酸発生剤(B)が下記一般式(8)で示されるスルホン酸を発生することを特徴とする請求項1又は2に記載のレジスト組成物。
【化6】
(式中、R201は直鎖状、分岐状もしくは環状の炭素数1〜23のアルキル基、炭素数6〜23のアリール基、又は炭素数7〜23のアラルキル基を示し、これらの基に含まれるメチレン基の一部が、エーテル基、エステル基又はカルボニル基で置換されてもよく、また、これらの基の水素原子の一部又は全部がハロゲン原子、ヒドロキシ基、カルボキシル基、アミノ基、シアノ基、ニトロ基及びスルホン酸エステルから選ばれる1つ以上の基で置換されてもよい。但し、R201はパーフルオロアルキル基ではない。)
【請求項4】
光酸発生剤(B)が下記一般式(9)で示されるスルホン酸を発生することを特徴とする請求項1又は2に記載のレジスト組成物。
【化7】
(式中、R202は直鎖状、分岐状もしくは環状の炭素数1〜23のアルキル基、炭素数6〜23のアリール基、又は炭素数7〜23のアラルキル基を示し、これらの基に含まれるメチレン基の一部が、エーテル基、エステル基又はカルボニル基で置換されてもよく、また、これらの基の水素原子の一部又は全部がハロゲン原子、ヒドロキシ基、カルボキシル基、アミノ基及びシアノ基から選ばれる1つ以上の基で置換されてもよい。但し、R202はパーフルオロアルキル基ではない。)
【請求項5】
光酸発生剤(B)が下記一般式(10)で示されるスルホン酸を発生することを特徴とする請求項1又は2に記載のレジスト組成物。
【化8】
(式中、R203は置換もしくは非置換の炭素数1〜20の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、又は置換もしくは非置換の炭素数6〜14のアリール基を示す。但し、R203はパーフルオロアルキル基ではない。)
【請求項6】
光酸発生剤(B)が下記一般式(11)で示されるスルホン酸を発生することを特徴とする請求項1又は2に記載のレジスト組成物。
【化9】
(式中、R204は直鎖状、分岐状もしくは環状の炭素数1〜23のアルキル基、炭素数6〜23のアリール基、又は炭素数7〜23のアラルキル基を示し、これらの基に含まれるメチレン基の一部が、エーテル基、エステル基又はカルボニル基で置換されてもよく、また、これらの基の水素原子の一部又は全部がハロゲン原子、ヒドロキシ基、カルボキシル基、アミノ基及びシアノ基から選ばれる1つ以上の基で置換されてもよい。但し、R204はパーフルオロアルキル基ではない。)
【請求項7】
光酸発生剤(B)が下記一般式(12)で示されるスルホン酸を発生することを特徴とする請求項1又は2に記載のレジスト組成物。
【化10】
(式中、R205は置換もしくは非置換の炭素数1〜20の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、又は置換もしくは非置換の炭素数6〜14のアリール基を示す。但し、R205はパーフルオロアルキル基ではない。nは1〜3の整数を示す。)
【請求項8】
(A)成分の高分子化合物が、更に下記一般式(14)で示されるカルボキシル基が酸不安定基で置換された繰り返し単位(b)、及び/又はヒドロキシ基、シアノ基、カルボニル基、エステル基、エーテル基、ラクトン環、カルボキシル基、カルボン酸無水物基から選ばれる密着性基を有する繰り返し単位(c)を含有することを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載のレジスト組成物。
【化11】
(式中、R6は水素原子又はメチル基を示す。R7は酸不安定基を示す。Yは単結合又は−C(=O)−O−R8−であり、R8は炭素数1〜10の直鎖状、分岐状又は環状のアルキレン基で、エーテル基又はエステル基を有していてもよく、又はナフチレン基である。bは0<b<1.0の範囲である。)
【請求項9】
(A)成分の高分子化合物が、一般式(1)で示される酸不安定基で置換されたヒドロキシ基を有する繰り返し単位(a)を有し、かつ下記一般式(d1)〜(d3)で示されるスルホニウム塩である繰り返し単位から選ばれる1種以上の繰り返し単位を含有する高分子化合物であり、(C)一般式(5)で示されるカルボン酸を発生するオニウム塩型光酸発生剤を含有することを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項に記載のレジスト組成物。
【化12】
(式中、R20、R24及びR28は水素原子又はメチル基を示す。R21は単結合、フェニレン基、−O−R33−、又は−C(=O)−Y−R33−を示す。Yは酸素原子又はNHを示す。R33は炭素数1〜6の直鎖状、分岐状又は環状のアルキレン基、アルケニレン基又はフェニレン基を示し、カルボニル基(−CO−)、エステル基(−COO−)、エーテル基(−O−)又はヒドロキシ基を含んでいてもよい。R22、R23、R25、R26、R27、R29、R30及びR31はそれぞれ独立に炭素数1〜12の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基を示し、カルボニル基、エステル基又はエーテル基を含んでいてもよく、又は炭素数6〜12のアリール基、炭素数7〜20のアラルキル基又はチオフェニル基を示す。Z0は単結合、メチレン基、エチレン基、フェニレン基、フッ素化されたフェニレン基、−O−R32−、又は−C(=O)−Z1−R32−を示す。Z1は酸素原子又はNHを示す。R32は炭素数1〜6の直鎖状、分岐状又は環状のアルキレン基、アルケニレン基又はフェニレン基を示し、カルボニル基、エステル基、エーテル基又はヒドロキシ基を含んでいてもよい。M-は非求核性対向イオンを示す。d1、d2及びd3は、それぞれ0≦d1≦0.3、0≦d2≦0.3、0≦d3≦0.3を満たす数であり、0<d1+d2+d3≦0.3である。)
【請求項10】
基板上に請求項1乃至9のいずれか1項に記載のレジスト組成物を用いてレジスト膜を形成し、高エネルギー線でレジスト膜を露光し、加熱処理後に有機溶剤からなる現像液を用いて未露光部を溶解させ、露光部が溶解しないネガ型パターンを得ることを特徴とするレジストパターン形成方法。
【請求項11】
現像液が、2−オクタノン、2−ノナノン、2−ヘプタノン、3−ヘプタノン、4−ヘプタノン、2−ヘキサノン、3−ヘキサノン、ジイソブチルケトン、2−メチルシクロヘキサノン、3−メチルシクロヘキサノン、4−メチルシクロヘキサノン、アセトフェノン、2’−メチルアセトフェノン、4’−メチルアセトフェノン、酢酸プロピル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、酢酸アミル、酢酸ブテニル、酢酸イソアミル、酢酸フェニル、蟻酸プロピル、蟻酸ブチル、蟻酸イソブチル、蟻酸アミル、蟻酸イソアミル、吉草酸メチル、ペンテン酸メチル、クロトン酸メチル、クロトン酸エチル、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸プロピル、乳酸ブチル、乳酸イソブチル、乳酸アミル、乳酸イソアミル、2−ヒドロキシイソ酪酸メチル、2−ヒドロキシイソ酪酸エチル、安息香酸メチル、安息香酸エチル、酢酸ベンジル、フェニル酢酸メチル、蟻酸ベンジル、蟻酸フェニルエチル、3−フェニルプロピオン酸メチル、プロピオン酸ベンジル、フェニル酢酸エチル、酢酸2−フェニルエチルから選ばれる1種以上であることを特徴とする請求項10に記載のパターン形成方法。
【請求項12】
高エネルギー線による露光が、波長193nmのArFエキシマレーザーによる液浸リソグラフィー、波長13.5nmのEUVリソグラフィー、又は電子線リソグラフィーであることを特徴とする請求項10又は11に記載のレジスト組成物及びパターン形成方法。
【請求項13】
波長193nmのArFエキシマレーザーによる液浸リソグラフィーにおいて、ドットのパターンが配置されたハーフトーン位相シフトマスクを用い、ドット部分に現像後のホールパターンを形成することを特徴とする請求項11又は12に記載のパターン形成方法。
【請求項14】
ハーフトーン位相シフトマスクを用い、交差する2つのラインの2回の露光を行い、ラインの交点に現像後のホールパターンを形成することを特徴とする請求項11又は12に記載のパターン形成方法。
【請求項15】
ハーフトーン位相シフトマスクを用いて、格子状のシフター格子の交点に現像後のホールパターンを形成することを特徴とする請求項11又は12に記載のパターン形成方法。
【請求項16】
ハーフトーン位相シフトマスクが透過率3〜15%のハーフトーン位相シフトマスクであることを特徴とする請求項13、14又は15に記載のパターン形成方法。
【請求項17】
ハーフピッチ以下のライン幅による格子状の第1のシフターと、第1のシフター上に第1のシフターの線幅よりもウエハー上の寸法で2〜30nm太い第2のシフターが配列された位相シフトマスクを用いて、太いシフターが配列されたところだけにホールパターンを形成することを特徴とする請求項15又は16に記載のパターン形成方法。
【請求項18】
ハーフピッチ以下のライン幅による格子状の第1のシフターと、第1のシフター上に第1のシフターの線幅よりもウエハー上の寸法で2〜100nm太いドットパターンの第2のシフターが配列された位相シフトマスクを用いて、太いシフターが配列されたところだけにホールパターンを形成することを特徴とする請求項13乃至16のいずれか1項に記載のパターン形成方法。
【請求項19】
基板上に請求項1乃至9のいずれか1項に記載のレジスト組成物を用いてレジスト膜を形成し、更に保護膜を形成して高エネルギー線でレジスト膜を露光し、加熱処理後に有機溶剤からなる現像液を用いて保護膜と未露光部を溶解させ、露光部が溶解しないネガ型パターンを得ることを特徴とするレジストパターン形成方法。
【請求項20】
保護膜形成用組成物として、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノール残基を有する繰り返し単位を含む高分子化合物及びアミン化合物又はアミン塩を、あるいは1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノール残基を有する繰り返し単位に更にアミノ基又はアミン塩を有する繰り返し単位を共重合した高分子化合物を、炭素数4以上のアルコール系溶剤、炭素数8〜12のエーテル系溶剤又はこれらの混合溶剤に溶解させた組成物を用いることを特徴とする請求項19記載のパターン形成方法。
【請求項1】
(A)下記一般式(1)で示される酸不安定基で置換されたヒドロキシ基を有する繰り返し単位(a)を有する高分子化合物と、
(B)下記一般式(2)で示されるスルホン酸を発生するオニウム塩型光酸発生剤、下記一般式(3)で示されるイミド酸を発生するオニウム塩型光酸発生剤又は下記一般式(4)で示されるメチド酸を発生するオニウム塩型光酸発生剤の少なくとも1種とを含有し、更に(C)下記一般式(5)で示されるカルボン酸を発生するオニウム塩型光酸発生剤を含有するレジスト組成物であって、(B)及び(C)のオニウム塩のカチオンが、下記一般式(6)で示されるスルホニウムカチオン又は下記一般式(7)で示されるヨードニウムカチオンであることを特徴とするレジスト組成物。
【化1】
(式中、R1は水素原子又はメチル基を示す。R2は炭素数1〜16の直鎖状、分岐状又は環状の2〜5価の脂肪族炭化水素基であり、エーテル基又はエステル基を有していてもよい。R0は酸不安定基を示す。0<a≦1.0を満たす数である。mは1〜4の整数を示す。)
【化2】
(式中、R200は直鎖状、分岐状もしくは環状の炭素数1〜28のアルキル基、炭素数6〜28のアリール基、又は炭素数7〜28のアラルキル基を示し、これらの基に含まれるメチレン基の一部が、エーテル基、エステル基、カルボニル基、アミド基、カーボネート基又はカルバメート基で置換されてもよく、また、これらの基の水素原子の一部又は全部がハロゲン原子、ヒドロキシ基、カルボキシル基、アミノ基、シアノ基、ニトロ基及びスルホン酸エステルから選ばれる1つ以上の基で置換されてもよい。R210、R211はそれぞれ置換基を有してもよい炭素数1〜8の直鎖状又は分岐状のフルオロアルキル基、又は、R210、R211が互いに結合して環を形成し、この場合R210、R211はそれぞれ炭素数1〜8のフルオロアルキレン基を示す。R220、R221、R222はそれぞれ置換基を有してもよい炭素数1〜8の直鎖状又は分岐状のフルオロアルキル基、又は、R220、R221が互いに結合して環を形成し、この場合R220、R221はそれぞれ炭素数1〜8のフルオロアルキレン基を示す。)
【化3】
(式中、R300は直鎖状、分岐状もしくは環状の炭素数1〜25のアルキル基、炭素数2〜25のアルケニル基、炭素数6〜25のアリール基、又は炭素数7〜25のアラルキル基を示し、これらの基に含まれるメチレン基の一部が、エーテル基、エステル基又はカルボニル基で置換されてもよく、また、これらの基の水素原子の一部又は全部がハロゲン原子、ヒドロキシ基、カルボキシル基、アミノ基、シアノ基、ニトロ基及びスルホン酸エステルから選ばれる1つ以上の基で置換されてもよい。)
【化4】
(式中、R101、R102及びR103はそれぞれ独立に直鎖状もしくは環状の炭素数1〜20のアルキル基、炭素数2〜20のアルケニル基、炭素数6〜20のアリール基、又は炭素数7〜20のアラルキル基を示し、これらの基のメチレン基の一部がエーテル基、エステル基又はカルボニル基で置換されてもよく、また、これらの基の水素原子の一部又は全部がハロゲン原子、ヒドロキシ基、カルボキシル基、アミノ基及びシアノ基から選ばれる1つ以上の基で置換されてもよい。また、R101、R102及びR103のうち2つが相互に結合して式中の硫黄原子と共に環を形成してもよい。R104及びR105はそれぞれ独立に直鎖状もしくは環状の炭素数1〜20のアルキル基、炭素数2〜20のアルケニル基、炭素数6〜20のアリール基、又は炭素数7〜20のアラルキル基を示し、これらの基のメチレン基の一部がエーテル基、エステル基又はカルボニル基で置換されてもよく、また、これらの基の水素原子の一部又は全部がハロゲン原子、ヒドロキシ基、カルボキシル基、アミノ基及びシアノ基から選ばれる1つ以上の基で置換されてもよい。)
【請求項2】
酸不安定基で置換されたヒドロキシ基を有する繰り返し単位を有する高分子化合物(A)が、下記一般式(1−1)又は(1−2)で示されるアセタール保護基で保護されたヒドロキシ基を有する繰り返し単位(a1)又は(a2)を含有することを特徴とする請求項1に記載のレジスト組成物。
【化5】
(式中、R1は水素原子又はメチル基を示す。R3及びR4はそれぞれ独立に水素原子、又は炭素数1〜10の直鎖状、分岐状もしくは環状の1価炭化水素基を示す。R5はヘテロ原子を含んでもよい直鎖状、分岐状又は環状の炭素数1〜16の1価炭化水素基を示す。a1、a2は0<a1≦1.0、0<a2≦1.0、0<a1+a2≦1.0を満たす数である。nは1〜3の整数を示す。)
【請求項3】
光酸発生剤(B)が下記一般式(8)で示されるスルホン酸を発生することを特徴とする請求項1又は2に記載のレジスト組成物。
【化6】
(式中、R201は直鎖状、分岐状もしくは環状の炭素数1〜23のアルキル基、炭素数6〜23のアリール基、又は炭素数7〜23のアラルキル基を示し、これらの基に含まれるメチレン基の一部が、エーテル基、エステル基又はカルボニル基で置換されてもよく、また、これらの基の水素原子の一部又は全部がハロゲン原子、ヒドロキシ基、カルボキシル基、アミノ基、シアノ基、ニトロ基及びスルホン酸エステルから選ばれる1つ以上の基で置換されてもよい。但し、R201はパーフルオロアルキル基ではない。)
【請求項4】
光酸発生剤(B)が下記一般式(9)で示されるスルホン酸を発生することを特徴とする請求項1又は2に記載のレジスト組成物。
【化7】
(式中、R202は直鎖状、分岐状もしくは環状の炭素数1〜23のアルキル基、炭素数6〜23のアリール基、又は炭素数7〜23のアラルキル基を示し、これらの基に含まれるメチレン基の一部が、エーテル基、エステル基又はカルボニル基で置換されてもよく、また、これらの基の水素原子の一部又は全部がハロゲン原子、ヒドロキシ基、カルボキシル基、アミノ基及びシアノ基から選ばれる1つ以上の基で置換されてもよい。但し、R202はパーフルオロアルキル基ではない。)
【請求項5】
光酸発生剤(B)が下記一般式(10)で示されるスルホン酸を発生することを特徴とする請求項1又は2に記載のレジスト組成物。
【化8】
(式中、R203は置換もしくは非置換の炭素数1〜20の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、又は置換もしくは非置換の炭素数6〜14のアリール基を示す。但し、R203はパーフルオロアルキル基ではない。)
【請求項6】
光酸発生剤(B)が下記一般式(11)で示されるスルホン酸を発生することを特徴とする請求項1又は2に記載のレジスト組成物。
【化9】
(式中、R204は直鎖状、分岐状もしくは環状の炭素数1〜23のアルキル基、炭素数6〜23のアリール基、又は炭素数7〜23のアラルキル基を示し、これらの基に含まれるメチレン基の一部が、エーテル基、エステル基又はカルボニル基で置換されてもよく、また、これらの基の水素原子の一部又は全部がハロゲン原子、ヒドロキシ基、カルボキシル基、アミノ基及びシアノ基から選ばれる1つ以上の基で置換されてもよい。但し、R204はパーフルオロアルキル基ではない。)
【請求項7】
光酸発生剤(B)が下記一般式(12)で示されるスルホン酸を発生することを特徴とする請求項1又は2に記載のレジスト組成物。
【化10】
(式中、R205は置換もしくは非置換の炭素数1〜20の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、又は置換もしくは非置換の炭素数6〜14のアリール基を示す。但し、R205はパーフルオロアルキル基ではない。nは1〜3の整数を示す。)
【請求項8】
(A)成分の高分子化合物が、更に下記一般式(14)で示されるカルボキシル基が酸不安定基で置換された繰り返し単位(b)、及び/又はヒドロキシ基、シアノ基、カルボニル基、エステル基、エーテル基、ラクトン環、カルボキシル基、カルボン酸無水物基から選ばれる密着性基を有する繰り返し単位(c)を含有することを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載のレジスト組成物。
【化11】
(式中、R6は水素原子又はメチル基を示す。R7は酸不安定基を示す。Yは単結合又は−C(=O)−O−R8−であり、R8は炭素数1〜10の直鎖状、分岐状又は環状のアルキレン基で、エーテル基又はエステル基を有していてもよく、又はナフチレン基である。bは0<b<1.0の範囲である。)
【請求項9】
(A)成分の高分子化合物が、一般式(1)で示される酸不安定基で置換されたヒドロキシ基を有する繰り返し単位(a)を有し、かつ下記一般式(d1)〜(d3)で示されるスルホニウム塩である繰り返し単位から選ばれる1種以上の繰り返し単位を含有する高分子化合物であり、(C)一般式(5)で示されるカルボン酸を発生するオニウム塩型光酸発生剤を含有することを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項に記載のレジスト組成物。
【化12】
(式中、R20、R24及びR28は水素原子又はメチル基を示す。R21は単結合、フェニレン基、−O−R33−、又は−C(=O)−Y−R33−を示す。Yは酸素原子又はNHを示す。R33は炭素数1〜6の直鎖状、分岐状又は環状のアルキレン基、アルケニレン基又はフェニレン基を示し、カルボニル基(−CO−)、エステル基(−COO−)、エーテル基(−O−)又はヒドロキシ基を含んでいてもよい。R22、R23、R25、R26、R27、R29、R30及びR31はそれぞれ独立に炭素数1〜12の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基を示し、カルボニル基、エステル基又はエーテル基を含んでいてもよく、又は炭素数6〜12のアリール基、炭素数7〜20のアラルキル基又はチオフェニル基を示す。Z0は単結合、メチレン基、エチレン基、フェニレン基、フッ素化されたフェニレン基、−O−R32−、又は−C(=O)−Z1−R32−を示す。Z1は酸素原子又はNHを示す。R32は炭素数1〜6の直鎖状、分岐状又は環状のアルキレン基、アルケニレン基又はフェニレン基を示し、カルボニル基、エステル基、エーテル基又はヒドロキシ基を含んでいてもよい。M-は非求核性対向イオンを示す。d1、d2及びd3は、それぞれ0≦d1≦0.3、0≦d2≦0.3、0≦d3≦0.3を満たす数であり、0<d1+d2+d3≦0.3である。)
【請求項10】
基板上に請求項1乃至9のいずれか1項に記載のレジスト組成物を用いてレジスト膜を形成し、高エネルギー線でレジスト膜を露光し、加熱処理後に有機溶剤からなる現像液を用いて未露光部を溶解させ、露光部が溶解しないネガ型パターンを得ることを特徴とするレジストパターン形成方法。
【請求項11】
現像液が、2−オクタノン、2−ノナノン、2−ヘプタノン、3−ヘプタノン、4−ヘプタノン、2−ヘキサノン、3−ヘキサノン、ジイソブチルケトン、2−メチルシクロヘキサノン、3−メチルシクロヘキサノン、4−メチルシクロヘキサノン、アセトフェノン、2’−メチルアセトフェノン、4’−メチルアセトフェノン、酢酸プロピル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、酢酸アミル、酢酸ブテニル、酢酸イソアミル、酢酸フェニル、蟻酸プロピル、蟻酸ブチル、蟻酸イソブチル、蟻酸アミル、蟻酸イソアミル、吉草酸メチル、ペンテン酸メチル、クロトン酸メチル、クロトン酸エチル、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸プロピル、乳酸ブチル、乳酸イソブチル、乳酸アミル、乳酸イソアミル、2−ヒドロキシイソ酪酸メチル、2−ヒドロキシイソ酪酸エチル、安息香酸メチル、安息香酸エチル、酢酸ベンジル、フェニル酢酸メチル、蟻酸ベンジル、蟻酸フェニルエチル、3−フェニルプロピオン酸メチル、プロピオン酸ベンジル、フェニル酢酸エチル、酢酸2−フェニルエチルから選ばれる1種以上であることを特徴とする請求項10に記載のパターン形成方法。
【請求項12】
高エネルギー線による露光が、波長193nmのArFエキシマレーザーによる液浸リソグラフィー、波長13.5nmのEUVリソグラフィー、又は電子線リソグラフィーであることを特徴とする請求項10又は11に記載のレジスト組成物及びパターン形成方法。
【請求項13】
波長193nmのArFエキシマレーザーによる液浸リソグラフィーにおいて、ドットのパターンが配置されたハーフトーン位相シフトマスクを用い、ドット部分に現像後のホールパターンを形成することを特徴とする請求項11又は12に記載のパターン形成方法。
【請求項14】
ハーフトーン位相シフトマスクを用い、交差する2つのラインの2回の露光を行い、ラインの交点に現像後のホールパターンを形成することを特徴とする請求項11又は12に記載のパターン形成方法。
【請求項15】
ハーフトーン位相シフトマスクを用いて、格子状のシフター格子の交点に現像後のホールパターンを形成することを特徴とする請求項11又は12に記載のパターン形成方法。
【請求項16】
ハーフトーン位相シフトマスクが透過率3〜15%のハーフトーン位相シフトマスクであることを特徴とする請求項13、14又は15に記載のパターン形成方法。
【請求項17】
ハーフピッチ以下のライン幅による格子状の第1のシフターと、第1のシフター上に第1のシフターの線幅よりもウエハー上の寸法で2〜30nm太い第2のシフターが配列された位相シフトマスクを用いて、太いシフターが配列されたところだけにホールパターンを形成することを特徴とする請求項15又は16に記載のパターン形成方法。
【請求項18】
ハーフピッチ以下のライン幅による格子状の第1のシフターと、第1のシフター上に第1のシフターの線幅よりもウエハー上の寸法で2〜100nm太いドットパターンの第2のシフターが配列された位相シフトマスクを用いて、太いシフターが配列されたところだけにホールパターンを形成することを特徴とする請求項13乃至16のいずれか1項に記載のパターン形成方法。
【請求項19】
基板上に請求項1乃至9のいずれか1項に記載のレジスト組成物を用いてレジスト膜を形成し、更に保護膜を形成して高エネルギー線でレジスト膜を露光し、加熱処理後に有機溶剤からなる現像液を用いて保護膜と未露光部を溶解させ、露光部が溶解しないネガ型パターンを得ることを特徴とするレジストパターン形成方法。
【請求項20】
保護膜形成用組成物として、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノール残基を有する繰り返し単位を含む高分子化合物及びアミン化合物又はアミン塩を、あるいは1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノール残基を有する繰り返し単位に更にアミノ基又はアミン塩を有する繰り返し単位を共重合した高分子化合物を、炭素数4以上のアルコール系溶剤、炭素数8〜12のエーテル系溶剤又はこれらの混合溶剤に溶解させた組成物を用いることを特徴とする請求項19記載のパターン形成方法。
【図1】
【図9】
【図11】
【図13】
【図18】
【図19】
【図20】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図10】
【図12】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図9】
【図11】
【図13】
【図18】
【図19】
【図20】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図10】
【図12】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公開番号】特開2013−76974(P2013−76974A)
【公開日】平成25年4月25日(2013.4.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−105705(P2012−105705)
【出願日】平成24年5月7日(2012.5.7)
【出願人】(000002060)信越化学工業株式会社 (3,361)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年4月25日(2013.4.25)
【国際特許分類】
【出願日】平成24年5月7日(2012.5.7)
【出願人】(000002060)信越化学工業株式会社 (3,361)
【Fターム(参考)】
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