説明

レニン−アンジオテンシン−アルドステロン系阻害剤及びリポ酸化合物を含有する組成物、並びに、レニン−アンジオテンシン−アルドステロン系に関連した疾患の治療のためのそれらの使用

【課題】レニン−アンジオテンシン−アルドステロン系(RAAS)に関連した疾患の治療用組成物及び治療方法を提供する。
【解決手段】レニン−アンジオテンシン−アルドステロン系に関連した疾患を治療するのに有益な組成物が提供される。該組成物は、レニン−アンジオテンシン−アルドステロン系阻害剤及びリポ酸化合物、並びに他の治療用薬剤を含有し、そして、患者の高血圧症、脳卒中、代謝症候群、又は他のレニン−アンジオテンシン−アルドステロン系に関連した疾患を治療するのに有益である。該組成物はまた、患者の血管拡張を改善し、タンパク尿を低減し、且つインシュリン耐性を軽減するのにも有益である。医薬組成物及び該組成物を使用した治療法がさらに提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願に対するクロスリファレンス
本願は、参照によりその完全な開示内容が本願明細書に組み込まれている、2008年12月1日に出願された米国仮出願番号No.61/118724号の利益を請求するものである。
【0002】
本発明の分野
本発明は、レニン−アンジオテンシン−アルドステロン系(RAAS)に関連した疾患の治療用組成物及び治療方法に関する。特に、本発明は、高血圧症、真性糖尿病、真性糖尿病に関連した標的器官損傷、アテローム性動脈硬化症、冠動脈性心疾患、狭心症(アンギナ)、脳卒中、腎機能障害、レイノー病、代謝症候群、肥満、耐糖能異常障害、及び脂質異常症のようなRAASに関連した疾患の治療に有益である、RAAS阻害剤及びリポ酸化合物を含有する組成物に関する。さらに本発明は、血管拡張を改善し、タンパク尿を低減し、且つインシュリン耐性を軽減するための、そのような治療を必要とする患者に対する、RAAS阻害剤及びリポ酸化合物を含有する組成物の使用に関する。
【背景技術】
【0003】
本発明の背景
米国及びその他の国においては、高血圧症、脳卒中、及びレニン−アンジオテンシン−アルドステロン系(RAAS)に関連したその他の疾患が、全世界の数百万人の人々に対して大きな困難と経済的損失を引き起こす、高い罹患率及び死亡率の主要な原因となっている。世界の6億人に近い人々が高血圧症に侵されており、そのうち5千万人の人々が米国に居住していると推定されている。さらには、高血圧症だけでも、2007年の米国単独で、664億ドルの年間支出を生じると見積もられている。
【0004】
高血圧症及び他のRAASに関連した疾患に関する大きな困難及び経済的損失にもかかわらず、これら疾患の原因はしばしば多階乗的であるために、これら疾患の適切且つ適当な治療は、多数の人々にとって未だとらえどころがないままである。例えば、炎症前機構は、高血圧症及び糖尿病のような多くのRAASに関連した疾患の特徴であると考えられているが、しかしながら、それら炎症の発見は、肥満の患者数が世界的に増加していることにより、しばしば深刻化されている。他の例として、最近10年以上も蔓延しているRAASに関連した疾患である代謝症候群はしばしば、異常な糖レベル、血圧、及び脂質代謝のような多くの要素を包含している(非特許文献1、2)。さらに、代謝症候群の多くの要素を示す人々は、他のRAASに関連した疾患を患う相当の危険性があり、脳卒中の危険性が2ないし4倍に増加し、末期腎不全の危険性が2ないし3倍に増加し、そして心筋梗塞の危険性が3ないし4倍に増加することがまた観察されている(非特許文献1)。さらには、多くのRAASに関連した疾患の原因と酸化的ストレス及び炎症との間には関係があるという最近の証拠が示されている。
【0005】
しかしながら最近、且つ、酸化的ストレス及び炎症がRAASに関連した疾患の進行及び病理学において重要な役割を果たすという証拠量が増加するにもかかわらず、RAASに関連した疾患の治療のための好ましい薬剤として、アンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害剤及びアンジオテンシンII受容体遮断剤(ARB)が注目され続けている。ACEは10個のアミノ酸であるアンジオテンシンIからC末端のヒスチジン−ロイシンジペプチドを切断して、アンジオテンシンIIを生じさせ、これがその後、アンジオテンシンII受容体に結合することにより種々の生理学的反応を媒介することを可能にする、ということが何年もの間既知である。例えば、血圧を高めそして高血圧症を引き起こし得るアンジオテンシンIIの一般的な血管収縮作用の他に、アンジオテンシンIIの生理学的作用はまた、心室肥大及び鬱血性心不全を引き起こし得る心臓の心室リモデリング;血管中の遊離ラジカル発生の増加;血液量増加及び血圧上昇をその後引き起こす、アルドステロンを放出するための副腎皮質の刺激;及び、腎臓に作用して水分保持を増加させるバソプレシン(抗利尿ホルモンADHとしても既知である)を放出するための下垂体後葉の刺激を包含する。さらに、アンジオテンシンIIはまた、炎症、並びにアテローム班の発現及び進行に対して多くの影響を与えることと関連があるとされている(非特許文献3、4、5)。
【0006】
これら広範な影響の観点において、RAASは従って、高血圧症、真性糖尿病、糖尿病に関連した標的器官損傷、アテローム性動脈硬化症、冠動脈性心疾患、狭心症、脳卒中、腎機能障害、レイノー病、代謝症候群、肥満、耐糖能異常障害、及び脂質異常症を包含する多くの疾患の病因である広く見られている。この点に関し、最近の証拠が、脂肪組織内でのRAASの活性化が、耐糖能、高血圧、及び肥満の間の関係を表し得るということを示唆している(非特許文献6)。従って、且つアンジオテンシンIIが、これら疾患において観察される多くの症状を媒介すると考えられるために、受容体に結合するアンジオテンシンIIの性能を遮断するか、或いはACE活性を阻害することが、従って、これら疾患の治療のために大きな治療上の可能性を有している。実際に、ACE阻害剤は現在、高い血圧(高血圧症)の治療のために認可されており、そしてまた、標的器官損傷、収縮心不全、急性冠症候群を伴う糖尿病の治療のために、及びその後の心臓発作の治療のために広く処方されている。これら病態におけるACE阻害剤の使用は、それらの血圧低下効果とは無関係にそれらが臨床転機を改善することを示しているために、治療基準に合致していることが必要であると考えられる。しかしながら、これら種々の疾患の治療のためのACE阻害剤、又はARBの処方は、未だ、これら疾患の全部ではないが多くを伴う根本的な酸化的ストレス及び炎症を大きく無視している。そのため、RAASに関連した疾患と診断された人々は、根本的な炎症及び酸化的ストレスを治療するためのさらなる薬剤に頼らなければならない。
【0007】
現在、多数の抗炎症剤及び抗酸化剤が市販されているか、或いは自然分泌しており、そして患者の酸化的ストレス又は炎症の数量を低下し得ている。植物及び動物において、1種のそのような薬剤はαリポ酸である。αリポ酸はまたチオクト酸として既知であり、植物及びヒトを含む動物により合成される自然分泌される8炭素脂肪酸であり、身体において幾つかの重要な機能を補助している。αリポ酸は、通常は酸化されたジスルフィド形態で見られるが、チオール形態に還元され得る2個の硫黄原子を含有している。この特徴によって、αリポ酸のリポミド形態のようなαリポ酸形態が、幾つかの重要な酵素のための補因子、並びに潜在的な抗酸化剤として機能し得る。潜在的な抗酸化剤として、αリポ酸は、ヒドロキシルラジカル、一重項酸素、ペルオキシ亜硝酸、及び次亜塩素酸を包含する種々の遊離ラジカル及び酸化剤を捕捉し得る。これら遊離ラジカルが多くの慢性疾患の病態生理学に関連していると見られるため、αリポ酸の薬物療法効果は抗酸化特性に大きく依存する。しかしながら、その抗酸化特性の他に、αリポ酸はまた、潜在的な抗炎症剤でもある。αリポ酸は、炎症応答において中心的な役割を果たすIKK/NF−kBシグナルの活性化を阻害する。さらには、最近の報告が、αリポ酸が少なくとも部分的にその抗炎症効果に依存して、アテローム性動脈硬化症の進行を阻害したことを示している(非特許文献7)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】LakkaHM,Laaksonen DE,Lakka TA,Niskanen LK,Kumposalo E,Salonen JT.The metabolic syndrome and total and cardiovascular disease mortality in middle−aged men.JAMA 2002;288(21):2709−2716
【非特許文献2】Scott M.Grundy,PhD,Chair,James I.Cleeman MD,Co−Chair,Stephan R.Daniels MD,PhD,Karen A.Donato MS,RD,Robert H.Eckel MD,Barry A.Franklin PhD,David J.Gordon MD,PhD,MPH,Ronald M.Krauss MD,Peter J.Savage MD,Sidney C.Smith Jr MD,John A.Spertus MD,and Fernando Costa MD.Diagnosis and Management of the Metabolic Syndrome.An American Heart Association/National Heart,Lung,and Blood Institute Scientific Statement.Circulation 2005;112;2735
【非特許文献3】Rajagopalan S,Harrison DG.Reversing endothelial dysfunction with angiotensin−converting enzyme inhibitors.A new trend? Circulation 1996;94:240−243
【非特許文献4】Stannard AK,Khan S,Graham A,Owen JS,Allen SP.Inability of plasma high−density lipoproteins to inhibit cell adhesion molecule expression in human coronary artery endothelial cells.Atherosclerosis 2001;154:31−38
【非特許文献5】Libby P,Geng YJ,Aikawa M,他 Macrophages and atherosclerotic plaque stability.Curr Opin Lipidol 1996;7:330−335
【非特許文献6】Grundy SM.Inflammation,hypertension,and the metabolic syndrome.JAMA.2003;290(22):3000−3002
【非特許文献7】Zhang W,Bird KE,McMillen TS,LeBoeuf RC,Hagen TM,Frei B.Dietary α−Lipoic Acid Supplementation Inhibits Atherosclerotic Lesion Dvelopment in Apolipoprotein E−Deficient and Apolipoprotein E/Low−Density Lipoprotein Receptor−Deficient Mice.Circulation.2008;117:421−428
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ある健康的な利点は、外因的なαリポ酸の投与によるものであるが、αリポ酸は、未だ、今のところ完全に実現されるその根本的な健康的な利点の他の部分のための健康補助食品としてしか広く認められ続けていない。さらには、リポ酸化合物に関連した最大の効果が得られるような組成物が配合されるように、そしてRAASに関連した疾患を治療するのに使用され得るように、αリポ酸の構造をどのように変えるかは未知のままである。実際に最近まで、最小限の毒性で、多くのRAASに関連した疾患、及びそれらの根本的な原因を標的にすることによる、リポ酸の有利な特性、及びACE阻害剤又はARBの有利な特性が、種々の多機能的な治療効果を示し得る1つの組成物中で組み合わされ得るように、十分なリポ酸化合物がACE阻害剤又はARBと組み合わされ得ていない。
【0010】
従って、リポ酸化合物と、ACE阻害剤又はARBのようなRAASの阻害剤との組み合わせ多組成物が、RAASの作用に関連した種々の疾患、とりわけ根本的な原因がしばしば多階乗的であるものの治療において非常に望ましく、且つ潜在的に非常に有利である。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の概要
従って、アンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害剤又はアンジオテンシンII受容体遮断剤(ARB)のようなレニン−アンジオテンシン−アルドステロン系(RAAS)の阻害剤、及びRAASに関連した疾患を治療する方法に使用され得るリポ酸化合物を含有する組成物を提供することが本発明の目的である。
【0012】
本発明の目的はまた、高血圧症、真性糖尿病、真性糖尿病に関連した標的器官損傷、アテローム性動脈硬化症、冠動脈性心疾患、狭心症、脳卒中、腎機能障害、レイノー病(Reynaud’s disease)、代謝症候群、肥満、耐糖能異常障害、及び脂質異常症のような、RAASに関連した疾患の治療法であって、前記RAASに関連した疾患を治療するように、本発明の組成物の有効量を、治療を必要とする患者に投与する、治療法を提供することである。
【0013】
本発明の他の目的は、患者の血管拡張を改善するように、本発明の組成物の有効量を、治療を必要とする患者に投与する、流量依存性拡張のような血管拡張を改善する方法を提供することである。
【0014】
本発明のさらなる目的は、本発明の組成物の有効量を投与することにより、尿アルブミン量を低下させるか、又は血清クレアチニンに対する尿アルブミンの割合を低下させて、それにより患者のタンパク尿を軽減させ得る、患者のタンパク尿を軽減する方法を提供することである。
【0015】
本発明のさらなる目的は、インシュリン受容体感度を増大させることによる、インシュリン耐性を軽減する方法であって、本発明の組成物の有効量を、治療を必要とする患者に投与して、患者のインシュリン耐性を軽減する方法を提供することである。
【0016】
これらの且つ他の目的は、RAAS阻害剤及びリポ酸化合物を含有する組成物を包含する本発明によって、提供される。本発明の好ましい態様において、RAAS阻害剤、並びに、下記式(I):


(式中、
mは、1又は2の整数であり;及び
nは、1ないし5の整数である)
及び式(II):


(式中、
pは、1又は2の整数であり;
qは、1ないし5の整数であり;
は、H、メチル基、NO、及びアセチル基から成る群より選択され;及び
は、H、メチル基、及び第三ブチル基から成る群より選択される)
から成る群より選択されるリポ酸化合物又は又はそれらの医薬的に許容され得る塩或いは溶媒和物
を含有する組成物が提供される。
【0017】
本発明の他の好ましい態様において、式(I)で表されるリポ酸化合物中のmが2である組成物が提供される。他の態様において、式(I)で表されるリポ酸化合物中のnが2ないし5の整数である本発明の組成物が提供される。
【0018】
本発明のさらに他の好ましい態様において、RAAS阻害剤並びに前記式(I)及び(II)で表されるリポ酸化合物を含有する組成物であって、前記RAAS阻害剤が、アンジオテンシン変換酵素(ACE)又はアンジオテンシンII受容体遮断剤(ARB)のいずれかである、組成物が提供される。多数のACE阻害剤が、ベナゼプリル、カプトプリル、シラザプリル、エナラプリル、エナラプリラート、フォシノプリル、リシノプリル、モエキシプリル、ペリンドプリル、キナプリル、ラミプリル、トランドラプリル、及びゾフェノプリルを包含するがこれらに限定されない本発明の組成物に従い、使用され得る。同様に、多数のARBがまた、カンデサルタン、エプロサルタン、イルベサルタン、テルミサルタン、バルサルタン、ロサルタン、及びオルメサルタンを包含するがこれらに限定されない本発明の組成物に従い使用され得る。これらACE阻害剤及びARBの各々は、RAASに関連した疾患を治療するのに有益な組成物を製造するために、本発明のリポ酸化合物と効果的に組み合わされ得る。
【0019】
本発明のさらに他の好ましい態様において、RAASに関連した疾患を治療するのに有益である1種以上のさらなる薬剤をさらに含有する、RAAS阻害剤並びに前記式(I)及び(II)で表されるリポ酸化合物を含有する組成物が提供される。一のさらに好ましい態様において、アトルバスタチン、フルバスタチン、ロバスタチン、メバスタチン、ピタバスタチン、プラバスタチン、ロスバスタチン、及びシンバスタチンのようなスタチンをさらに含有する本発明の組成物が提供される。他の態様において、抗炎症剤、脂肪酸吸収阻害剤、又はそれらの組み合わせをさらに含有する本発明の組成物が提供される。
【0020】
さらには、本発明は、本発明の組成物が、医薬的に許容され得るビヒクル、キャリヤー、又は賦形剤をさらに含有するか、或いは徐放性製剤である、医薬組成物を提供する。
【0021】
本願明細書に開示される本発明の目的及び範囲内において、これら態様及び他の代替及び改変は、本願の明細書、図面、及び限定されない実施例の研究において当業者にとってたやすく明らかとなるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】図1は、治療前の(治療前(プレトリートメント))、及びキナプリルの40mg/日を用いた治療後(Qui)の、或いはキナプリルの40mg/日とαリポ酸の600mg/日との組み合わせを用いた治療後(Qui/ALA)の、糖尿病の高血圧患者から得られた尿試料の尿アルブミン量、及びクレアチニンに対する尿アルブミンの割合を示すグラフである。
【図2】図2は、治療前の(治療前(プレトリートメント))、及びキナプリルの40mg/日を用いた治療後の(Qui)、或いはキナプリルの40mg/日とαリポ酸の600mg/日との組み合わせを用いた治療後の(Qui/ALA)、糖尿病の高血圧患者に観察された流量依存性拡張の量を示すグラフである。
【図3】図3は、治療前の(治療前(プレトリートメント))、及びキナプリルの40mg/日を用いた治療後の(Qui)、或いはキナプリルの40mg/日とαリポ酸の600mg/日との組み合わせを用いた治療後の(Qui/ALA)、糖尿病の高血圧症患者に観察された、インシュリン耐性の評価の恒常性モデル(HOMA−IR)から得られたインシュリン耐性指数を示すグラフである。
【図4】図4は、代謝症候群と診断され、且つ、キナプリルの20mg/日、αリポ酸の300mg/日、又はキナプリルの20mg/日とαリポ酸の300mg/日との組み合わせを用いて治療した患者の炎症分子PAI−1の血中濃度を示すグラフである。
【図5】図5は、代謝症候群と診断され、且つ、プラセボ、キナプリルの20mg/日、αリポ酸の300mg/日、又はキナプリルの20mg/日とαリポ酸の300mg/日との組み合わせを用いて治療した患者の炎症分子VCAM−1の血中濃度を示すグラフである。
【図6】図6は、代謝症候群と診断され、且つ、プラセボ、又はキナプリルの20mg/日とαリポ酸の300mg/日との組み合わせを用いて治療した患者に観察された内皮拡張の量を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
好ましい態様の詳細な記載
本発明に従うと、レニン−アンジオテンシン−アルドステロン系(RAAS)に関連した疾患を治療するための組成物及び方法が提供される。特に、本発明は、RAAS阻害剤及びリポ酸化合物を含有する組成物が提供され、代謝症候群のようなRAASに関連した疾患を治療するのに有益である。さらには、これら組成物は、血管拡張を改善し、タンパク尿を軽減し、そしてインシュリン耐性を軽減するのにも、そのような治療を必要とする患者にとってまた有益である。幾つかの態様において、化合物は、徐放性製剤中のように医薬組成物の一部として投与され、それによって患者のRAASに関連した疾患を治療し得る。
【0024】
本発明の好ましい態様の一において、本発明において有益な組成物は、RAAS阻害剤、並びに、下記式(I):


(式中、
mは、1又は2の整数であり;及び
nは、1ないし5の整数である)
及び式(II):


(式中、
pは、1又は2の整数であり;
qは、1ないし5の整数であり;
は、H、メチル基、NO、及びアセチル基から成る群より選択され;及び
は、H、メチル基、及び第三ブチル基から成る群より選択される)
から成る群より選択されるリポ酸化合物を含有する。
【0025】
本願明細書に使用される用語“リポ酸化合物”とは、上記一般式(I)又は式(II)を有する化合物を意味する。これら化合物は、αリポ酸(即ち、上記式(I)中のmが1であり、且つnが1である場合)及びジヒドロリポ酸(即ち、上記式(II)中のR及びRが双方とも水素原子(H)であり、pが1であり、そしてqが1である場合)の双方、並びに、それぞれ、式(I)及び(II)により示されるリポ酸の他の酸化形態及び還元形態を包含する。例えば、式(I)で表されるリポ酸化合物のある態様において、mは1又は2であり得るので、五員環構造が与えられ得、及び/又は、nは1ないし5の整数であり得るので、式(I)で表される化合物中のアルキル鎖長は、1、2、3又は4つの付加的な炭素原子の分、増加し得る。他の例として、式(II)で表される化合物のリポ酸化合物のある例において、pは1又は2であり得るか、又はnは1ないし5の整数であり得るので、式(II)で表される化合物中のアルキル鎖長は、1、2、3又は4つの付加的な炭素原子の分、増加し得る。さらには、式(II)で表される化合物のある態様において、Rが変化するので、結果として生じる式(II)で表されるリポ酸化合物は、1又は2個の水素原子(H)、メチル基(−CH)−NO基、又はアセチル基(−COCH)を包含し得るか、又はRが変化するので、結果として生じる式(II)で表されるリポ酸化合物は、1又は2個の水素原子、メチル基、又は第三ブチル基を包含する。
【0026】
さらに、式(I)及び(II)で表されるリポ酸化合物に関して、m、n、p、q、R、及びRは、互いに独立であることが注目される。例えば、式(I)で表されるリポ酸化合物のある態様において、pが1であり、qが2であり、各々のRがHであり、そして各々のRがCHであるリポ酸化合物が提供され得る。
【0027】
本発明の一の好ましい態様において、下記式(III):


により示される、mが1であり、そしてnが3である式(I)で表されるリポ酸化合物が提供される。
【0028】
本発明の他の好ましい態様において、下記式(IV):


で示される、mが2であり、そしてnが1である式(I)で表されるリポ酸化合物が提供される。
【0029】
本発明のさらに他の好ましい態様において、下記式(V):


により示される、mが2であり、そしてnが4である式(I)で表されるリポ酸化合物が提供される。
【0030】
本発明のさらにまた他の好ましい態様において、下記式(VI):


により示される、pが2であり、qが1であり、両R基がHであり、そして両R基がHである式(II)で表されるリポ酸化合物が提供される。
【0031】
本発明の他の好ましい態様において、下記式(VII):


により示される、pが1であり、qが1であり、両R基がアセチル基であり、そして両R基がHである式(II)で表されるリポ酸化合物が提供される。
【0032】
本発明の他の態様において、下記式(VIII):


により示される、pが2であり、qが1であり、両R基がNO基であり、そして両R基がHである式(II)で表されるリポ酸化合物が提供される。
【0033】
本発明の他の態様において、下記式(IX):


により示される、pが2であり、qが1であり、両R基がNO基であり、一方のR基がHであり、且つ他方のR基が第三ブチル基である式(II)で表されるリポ酸化合物が提供される。
【0034】
本発明のさらなる態様において、下記式(X):


により示される、pが1であり、qが1であり、両R基がメチル基であり、一方のR基がHであり、且つ他方のR基がメチル基である式(II)で表されるリポ酸化合物が提供される。
【0035】
本発明のさらに他の態様において、下記式(XI):


により示される、pが1であり、qが1であり、両R基がNO基であり、そして両R基がメチル基である式(II)で表されるリポ酸化合物が提供される。
【0036】
式(I)及び(II)で表されるリポ酸化合物の幾つかの態様において、リポ酸化合物は、上記式(III)又は(IV)中の()により示される立体異性炭素原子、及び下記に与えられる化学構造を包含する。また、本願明細書に開示されるリポ酸化合物の幾つかの態様において、化合物は、L−、D−、及びD,L−異性体を包含する。

【0037】
さらには、上記指摘した、本願明細書に包含されるリポ酸化合物は、1つ以上の付加的な部分が核構造に組み込まれている式に関連して記載される。これら態様において、本発明のリポ酸化合物についての参照は、化合物の1つ以上の部分の立体異性体を包含し得る。そのような立体異性体は、リポ酸化合物の幾つかの態様の代表であるが、しかしながら、本願明細書に開示される式及び式についての参照は、示されるリポ酸化合物の全ての活性立体異性体を包含することを意図している。さらには、本願明細書に開示される主題事項のリポ酸化合物は、幾つかの態様において、上記指摘されたものの他に1つ以上のさらなる不斉炭素原子を包含し得、そしてラセミ体且つ光学活性形態で存在し得る。これら他の形態の全ては、本発明の範囲内にあるものと考慮される。そして、本発明のリポ酸化合物は、立体異性形態で存在し得、そして得られた生成物は従って、異性体の混合物であり得る。
【0038】
本発明に従うと、本願明細書に記載されるリポ酸化合物の全ては、当業者により認識されるような、医薬的に許容され得る塩又は溶媒和物の形態で提供され得る。塩は、適切な酸及び/又は適切な塩基を用いて形成され得る。本発明のリポ酸化合物との塩を形成し得る適切な酸は、トリフルオロ酢酸(TFA)、塩酸(HCl)、臭化水素酸、過塩素酸、硝酸、チオシアン酸、硫酸、リン酸酢酸、プロピオン酸、グリコール酸、乳酸、ピルビン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、マレイン酸、フマル酸、アントラニル酸、ケイ皮酸、ナフタレンスルホン酸、スルファニル酸等のような無機酸を包含する。本発明のリポ酸化合物との塩を形成し得る適切な塩基は、水酸化ナトリウム、水酸化アンモニウム、水酸化カリウム等のような無機塩基;並びに、モノ−、ジ−及びトリ−アルキル及びアリールアミン(例えば、トリエチルアミン、ジイソプロピルアミン、メチルアミン、ジメチルアミン等)、及び所望により置換されたエタノールアミン(例えば、エタノールアミン、ジエタノールアミン等)のような有機塩基を包含する。
【0039】
本願明細書において用いられる、用語“溶媒和物”とは、溶質、例えば本発明のリポ酸化合物又はその医薬的に許容され得る塩の1つ以上の分子と、溶媒の1つ以上の分子とにより形成される錯体又は凝集体を意味する。そのような溶媒和物は、典型的に、実質的に固定した溶質と溶媒のモル比を有する結晶固体である。代表的な溶媒は、水、メタノール、エタノール、イソプロパノール、酢酸等を包含するが、これらに限定されない。溶媒が水である場合、形成される溶媒和物は、水和物である。また、用語“医薬的に許容され得る塩又はその溶媒和物”とは、塩、及び本リポ酸化合物の医薬的に許容され得る塩の溶媒和物のような溶媒和物の全ての置換体を包含するものとする。
【0040】
本発明の組成物のさらに他の態様において、そしてさらに下記するように、本願明細書に記載される組成物及び医薬的に許容され得るビヒクル、キャリヤー又は賦形剤を含有する医薬組成物が提供される。例えば、経口投与のための組成物の固体製剤は、コーンスターチ、ゼラチン、ラクトース、アカシア、ショ糖、微結晶セルロース、カオリン、マンニトール、リン酸ジカルシウム、炭酸カルシウム、塩化ナトリウム、又はアルギン酸のような適するキャリヤー又は賦形剤を含有し得る。使用され得る崩壊剤は、微結晶セルロース、コーンスターチ、ナトリウムスターチグリコレート、及びアルギン酸を包含するが、これらに限定されない。使用され得るタブレットバインダーは、アカシア、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ポリビニルピロリドン(ポビドン(POVIDONE)(登録商標))、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ショ糖、スターチ、及びエチルセルロースを包含する。使用され得る滑剤は、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、シリコーン溶液、タルク、ワックス、オイル、及びコロイダルシリカを包含する。さらには、固体製剤は被覆され得ないか、或いはそれらは、崩壊及び胃腸管の吸収を遅らせ、そしてそれによって、より長時間の間持続した/延長した作用を与えるために、既知の技術によって被覆され得る。例えば、持続性/延長性放出の製剤を得るために、モノステアリン酸グリセリル又はジステアリン酸グリセリルが使用され得る。徐放性製剤を配合するための多数の技術は当業者に既知であり、参照により本願明細書に組み込まれている下記参照文献:米国特許第4891223号;6004582号;5397574号;5419917号;5458005号;5458887号;5458888号;5472708号;6106862号;6103263号;6099862号;6099859号;6096340号;6077541号;5916595号;5837379号;5834023号;5885616号;5456921号;5603956号;5512297号;5399362号;5399359号;5399358号;5725883号;5773025号;6110498号;5952004号;5912013号;5897876号;5824638号;5464633号;5422123号;及び4839177号;並びに国際公開第98/47491号に記載の技術を含め本発明に従い使用され得る。
【0041】
一の好ましい態様において、ポリ無水物をベースとした技術を利用した本発明の組成物の徐放性製剤が提供される。当業者により認識されるように、ポリ無水物は、その生分解特性及び生体適合特性のため、薬品投与のための別のポリマー種である。幾つかの態様において、ポリ無水物をベースとした製剤の放出速度は、ポリマー構造中に変化を組み込むことにより数倍も変わり得る。そして、本願明細書に記載される組成物の徐放性製剤の幾つかの態様において、徐放性製剤を与えるために用いられるポリマーは、ポリ[1,3−ビス(p−カルボキシフェノキシ)プロパン、ポリ[1,3−ビス(p−カルボキシフェノキシ)ヘキサン−コ−セバシン酸無水物]、ポリ[1,3−ビス(p−カルボキシフェノキシ)メタン−コ−セバシン酸無水物]、及びポリ(フマル酸無水物)より選択される。ポリ無水物をベースとした製剤の他に、幾つかの態様において、さらに下記するように、徐放性製剤を与えるために、キトサンをベースとしたコントロール放出技術が使用され得る。
【0042】
さらには、経口投与のための化合物の液体製剤は、水中で又は他の水性ビヒクル中で調製され得、そして、メチルセルロース、アルギネート、トラガカント、ペクチン、ケルギン(kelgin)、カラギーナン、アカシア、ポリビニルピロリドンのような種々の懸濁剤を含有し得、及び、本組成物の有効成分と一緒に、湿潤剤、甘味剤、及び着色剤及び芳香剤を含有する溶液、エマルジョン、シロップ、及びエリキシルを含有し得る。
【0043】
治療される患者の肺への吸入のために、慣用の方法によって、種々の液体及び粉末製剤がまた調製され得る。例えば、組成物は、適した噴射剤、例えば、ジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、ジクロロテトラフルオロエタン、二酸化炭素又は他の適したガスの使用とともに、加圧されたパック又は噴霧器から発射されるエアゾールスプレーの形態で慣用的に提供され得る。例えば、吸入器(inhaler)又は吸入器(insufflator)用のゼラチンのカプセル及びカートリッジは、本組成物と、ラクトース又はスターチのような適した粉末ベースとの粉末混合物を含有して配合され得る。
【0044】
本組成物の注射製剤は、植物油、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、乳酸エチル、炭酸エチル、ミリスチル酸イソプロピル、エタノール、ポリオール(グリセロール、プロピレングリコール、液体ポリエチレングリコール)等のような種々のキャリヤーを含有し得る。静脈注射のため、組成物の水溶性バージョンが滴下法により投与され得、それにより、本発明の医薬組成物及び生理学的に許容され得る賦形剤を含有する製剤が点滴される。生理学的に許容され得る賦形剤は、例えば、5%デキストロース、0.9%食塩水、リンガー液又は他の適した賦形剤を含有し得る。筋肉内用製剤、例えば本化合物の適した可溶性塩形態の無菌製剤が、注射用水である、0.9%食塩水、又は5%グルコース溶液のような医薬賦形剤中に溶解され、そして投与され得る。水性ベースの懸濁液として、又は長鎖脂肪酸のエステル(例えば、オレイン酸エスエル)のような医薬的に許容され得るオイルベースとして、本化合物の適した不溶性形態が調製され、そして投与され得る。
【0045】
上記製剤の他に、本発明の組成物はまた、カカオ脂又は他のグリセリドのような慣用の坐薬ベースを包含する、坐薬又は停留浣腸のような直腸用組成物として配合され得る。さらには、本組成物はまた、本組成物を、適したポリマー材又は疎水性材と(例えば、許容し得るオイル中のエマルジョンとして)、又はイオン交換樹脂と組み合わせることにより、貯蔵用製剤として、又は難溶性誘導体として、例えば難溶性塩として、配合され得る。
【0046】
本発明の幾つかの態様において、本発明の化合物は、ナノ粒子中に配合され得る。本発明の目的内のナノ粒子は、単一の分子水準にある粒子、並びに微視的特性を示す粒子の凝集体のものを包含すると意味される。興味ある組成物を配合するナノ粒子を使用しそして作成する方法は、当業者に既知であり、且つ、参照により本願明細書に組み込まれている下記参照文献:米国特許第6395253号、6387329号、6383500号、6361944号、6350515号、6333051号、6323989号、6316029号、6312731号、6306610号、6288040号、62722262号、6268222号、6265546号、6262129号、6262032号、6248724号、6217912号、6217901号、6217864号、6214560号、6187559号、6180415号、6159445号、6149868号、6121005号、6086881号、6007845号、6002817号、5985353号、5981467号、5962566号、5925564号、5904936号、5856435号、5792751号、5789375号、5770580号、5756264号、5705585号、5702727号、及び5686113号に見出され得る。
【0047】
ナノ粒子はしばしば、10nmないし1μmの寸法範囲にある固体のコロイド粒子であるとみなされ、活性化合物又は活性剤(例えば、リポ酸化合物又はRAAS阻害剤)が溶解され、封入され、カプセル化され、又は吸収されるか、或いは外部接触部分に付着して、動力学的安定性及び固い形態を与える巨大分子集合体から構成され得る。本発明の幾つかの態様において、生体高分子をベースとしたナノ粒子製剤が、本願明細書に開示される主題事項の組成物の効果的な投与のために使用される。幾つかの態様において、キトサン/ポリグルロネートナノ粒子、ポリ(D,L−乳酸)/酢酸エチルをベースとしたナノ粒子、PLGA−、PLGA:ポロキサマー−、又はPLGA:ポロキサミン/ジクロロメタンで媒介されたナノ粒子、ポリエチレングリコール化されたポリマーミセル、又はアルブミンのナノ粒子を使用した製剤が提供され得る。当業者により認知されているように、組成物ビヒクルとしてのナノ粒子の製剤は、本方法に使用される生体高分子の種類に依存する。
【0048】
本発明の一の好ましい態様において、キトサン/ポリグルロネートの組み合わせから誘導されるナノ粒子製剤が提供され得る。キトサンは、グルコサミン及びN−アセチルグルコサミン残基から成る天然に存在する多糖類であり、甲殻類の甲殻から通常得られるキチンの部分的脱アセチル化により誘導され得る。キトサンは、生体適合性があり、低毒性であり、低免疫原性であり、そして酵素により分解し得ると知られている。この点において、本発明のナノ粒子製剤は、まずは、適した緩衝液中でグルタミン酸キトサンを溶解し、そして同様に、硫酸ナトリウム緩衝液中にポリグルロネートを溶解することにより、調製され得る。溶液はその後、マイクロフィルターを通して濾過され、そしてその後、キトサン溶液を、等量のポリグルロネート溶液に添加し、そしてその後、室温にて粒子をインキュベートすることによって、ナノ粒子製剤が調製され得る。この点において、ナノ粒子中へ本発明の組成物を配合するために、極性溶媒中の所望の量の本組成物を、ポリグルロネート溶液にまず添加され得、そしてその後、混合物がキトサン溶液と組み合わされ得る。得られたナノ粒子はその後、使用或いはさらなる解析前に室温にてインキュベートされ得る(例えば、HOffman AS,The origins and evolution of “controlled” drug delivery systems,Journal of Controlled Release,132(2008),153−163)。
【0049】
本発明の組成物の幾つかの態様において、本組成物中に包含されるRAAS阻害剤は、アンジオテンシン変換酵素阻害剤及びアンジオテンシンII受容体遮断剤から成る群より選択される。アンジオテンシン変換酵素(ACE)は、不活性デカペプチドであるアンジオテンシンIのカルボキシ末端のヒスチジン−ロイシンジペプチドの切断を触媒して、アンジオテンシンIIを形成し、そしてブラジキナーゼ(bradykinase)の失活に関与する、ペプチジルカルボキシペプチダーゼである。そのジペプチドは、アンジオテンシンIのカルボキシ末端から切断され、そしてアンジオテンシンIIが形成され、アンジオテンシンIIは、その後、さらに下述するように、RAASとのその後の種々の生理学的応答を媒介する、アンジオテンシン受容体AT及びATに結合し、そして活性化することによって、種々の応答を媒介し得る。また、本願明細書において使用される用語“RAAS阻害剤”とは、RAAS内のアンジオテンシンIIの活性を低下し得る薬剤とされる。用語“RAAS阻害剤”とは従って、アンジオテンシンIIへのアンジオテンシンIの転換を阻害し得る薬剤、例えばACE阻害剤、並びに、アンジオテンシンIIとその受容体との結合を遮断し、そしてそれにより受容体の活性を低下させ得る薬剤、例えば、アンジオテンシンII受容体拮抗剤である、AT受容体拮抗剤、又はサルタンとして言及され得るアンジオテンシンII受容体遮断剤を包含する。多数のACE阻害剤及びARBが当業者に既知であり、そして本発明の組成物に従い使用され得る。幾つかの使用において、RAAS阻害剤は、ベナゼプリル、カプトプリル、シラザプリル、エナラプリル、エナラプリラート、フォシノプリル、リシノプリル、モエキシプリル、ペリンドプリル、キナプリル、ラミプリル、トランドラプリル、及びゾフェノプリルから成る群より選択されるACE阻害剤である。他の態様において、RAAS阻害剤は、カンデサルタン、エプロサルタン、イルベサルタン、テルミサルタン、バルサルタン、ロサルタン、及びオルメサルタンから成る群より選択されるARB阻害剤である。
【0050】
RAAS阻害剤及び式(I)又は(II)で表されるリポ酸化合物を含有する本願明細書に開示される組成物の幾つかの態様において、本組成物は、RAASに関連した疾患を治療するのに使用できる1種以上の他の薬剤をさらに含有し得る。例えば、本発明のある態様において、スタチンが、RAAS阻害剤及び式(I)又は(II)で表されるリポ酸化合物を組み合わされて、本発明の組成物が製造される。HMG−CoA還元酵素を阻害し、そしてそれにより、コレステロール合成を低下させ、且つ、患者の血流からのLDLの掃去を向上させる低密度リポタンパク質(LDL)受容体の合成を高め得る薬剤として、種々のスタチン(即ち、HMG−CoA還元酵素阻害剤)が当業者に既知である。本願明細書に記載される組成物のある態様において、RAAS阻害剤並びに式(I)又は(II)で表されるリポ酸化合物と組み合わされるスタチンは、アトルバスタチン、フルバスタチン、ロバスタチン、メバスタチン、ピタバスタチン、プラバスタチン、ロスバスタチン、及びシンバスタチンより選択され得る。これらスタチンの各々は、本発明の組成物と組み合わされ得、そしてRAASに関連した疾患を治療するのに使用できる。
【0051】
本組成物のある態様において、抗炎症剤をさらに含有する本発明のRAAS阻害剤及びリポ酸化合物を含有する組成物が提供される。本発明の組成物に従い使用され得る抗炎症剤の例は、アスピリン、ジクロフェナク、インドメタシン、スリンダク、ケトプロフェン、フルルビプロフェン、イブプロフェン、ナプロキセン、ピロキシカム、テノキシカム、トルメチン、ケトロラック、オキサプロシン、メフェナム酸、フェノプロフェン、ナムブメトン(レラフェン)、アセトアミノフェンのような標準的な非ステロイド系抗炎症剤(NSAIDS)及びそれらの組み合わせ;ニメスリド、フロスリド、セレコキシブ、ロフェコキシブ、パレコキシブナトリウム、バルデコキシブ、エトリコキシブ、エトドラク、メロキシカムのようなCOX−2阻害剤、及びこれらの組み合わせ;ヒドロコルチゾン、コルチゾン、プレドニゾン、プレドニゾロン、メチルプレドニゾロン、メプレドニゾン、トリアムシノロン、パラメタゾン、フルプレニゾロン、ベータメタゾン、デキサメタゾン、フルドロコルチゾン、デソキシコルチコステロン、ラパマイシンのようなグルココルチコイド;又はこれら薬剤以外のもの又は類似体又はそれらの組み合わせを包含するが、これらに限定されない。
【0052】
本組成物の他の態様において、エゼチミブ、硫酸化多糖類、オレイルアルコール、又はレシチンのような、脂肪酸吸収阻害剤が、本発明の組成物とさらに組み合わされ得る。脂肪酸吸収阻害剤はまた、RAASに関連した疾患を治療するのに使用できるさらなる組成物が提供され得るように、抗炎症剤又はスタチンのような1種以上のさらなる薬剤とも組み合わされて、RAAS阻害剤、リポ酸化合物、及び1種以上のさらなる薬剤を含有する本発明の組成物が製造され得る。
【0053】
さらに本発明の組成物に関し、リポ酸化合物又は本発明の組成物に含有される薬剤の各々は、それら化合物又は薬剤の誘導体をさらに含有するものと考えられる。本発明に従うαリポ酸化合物の誘導体の例は、上記式(I)及び(II)に包含されるが、本組成物はまた、RAAS阻害剤の誘導体、スタチンの誘導体、抗炎症剤の誘導体、脂肪酸吸収阻害剤の誘導体、及びそれらの組み合わせを包含する、本発明の薬剤及びリポ酸化合物の誘導体をさらに包含し得ることが留意される。本願明細書において使用される用語“誘導体”とは、親化合物と構造上類似の、及び親化合物から誘導され得る化学化合物の化学的又は生物学的に変性された型を意味する。親化合物が出発材料となって、“誘導体”を生成するが、“類似体”を生成するための出発材料として親化合物が必ずしも必要とされないという点で、“誘導体”は“類似体”とは相違する。従って、誘導体は、本化合物の化学的又は物理学的特性とは相違していても、又はしていなくともよい。例えば、誘導体は、より親水性であり得るか、又は本化合物と比較して反応性を変化し得る。この点について、誘導化(即ち、変性)は、分子内の1つ以上の部分の置換(即ち、官能基の変化)を包含し得る。例えば、水素原子が、フッ素原子又は塩素原子のようなハロゲンにより置換され得るか、或いは他の例として、ヒドロキシル基(−OH)が、カルボン酸部分(−COOH)に置換され得る。
【0054】
本願明細書において使用される用語“誘導体”とはまた、本化合物の複合体及びプロドラッグ(即ち、生理学的条件下で元の化合物に変化し得る、化学的に変性された誘導体)を包含する。例えば、プロドラッグは、有効成分の不活性形態であり得る。生理学的条件下、プロドラッグは、化合物の活性形態に変化され得る。プロドラッグは例えば、アシル基により(アシルプロドラッグ)又はカルバメート基により(カルバメートプロドラッグ)、1つ又は2つの水素原子を窒素原子に置換することにより、形成され得る。プロドラッグに関するさらなる情報は、例えば、参照により本願明細書に組み込まれている、Fleisher他,Advanced Drug Delivery Reviews 19(1996)115:Design of Prodrugs,H.Bundgaard(編集),Elsevier,1985;又は、H.Bundgaard,Drugs of the Future 16(1991)443に見出される。
【0055】
本発明に従うと、本願明細書で開示される組成物を使用した、RAASに関連した疾患を治療する方法がまた提供される。一の好ましい態様において、RAAS阻害剤及び式(I)又は(II)で表されるリポ酸化合物、又は医薬的に許容され得る塩又はその溶媒和物を含有する本発明の組成物の有効量を患者に投与して、それによって、患者のRAASに関連した疾患を治療することからなる、RAASに関連した疾患を治療する方法が提供される。
【0056】
本願明細書に使用される用語“治療”又は“治療する”とは、予防的治療及び治療的治療を包含するが、これらに限定されない、RAASに関連した疾患の如何なる治療にも関する。また、用語“治療”又は“治療する”とは、RAASに関連した疾患、又はRAASに関連した疾患の発現を予防すること、RAASに関連した疾患の進行を阻害すること、RAASに関連した疾患のさらなる発現を停止又は抑制すること;RAASに関連した疾患の重傷度を軽減すること;RAASに関連した疾患に関する症状を改善又は除くこと;及びRAASに関連した疾患又はRAASに関連した疾患に関する1つ以上の症状の退行を引き起こすこと、を含むが、これらに限定されない。
【0057】
本願明細書において使用される用語“レニン−アンジオテンシン−アルドステロン系に関連した疾患”又は“RAASに関連した疾患”とは、レニン−アンジオテンシン−アルドステロン系の作用により、少なくとも部分的に引き起こされる、又は悪化される疾患を意味する。本願明細書に記載されるように、アンジオテンシンIIは、RAASの作用の中心的な媒介物であり、血圧の上昇及び高血圧を引き起こし得る血管収縮;心室肥大及び鬱血性心不全を引き起こし得る、心臓の心室リモデリング;血管内の遊離ラジカル発生の増加;アルドステロンを放出し、その後、血液量を増加させ、そしてそれによって血圧を高め得る副腎皮質の刺激;腎臓に作用して水分保持を高めるバソプレシン(抗利尿ホルモンADHとしても既知である)を放出する下垂体後葉の刺激;罹患した患者の炎症を引き起こし得る、炎症及び種々の炎症遺伝子の発現の増加;内皮機能不全;及び血管プラーク発現を包含する、患者への種々の影響を媒介する。アンジオテンシンIIの作用の他に、RAASの活性化がまた、例えば、反応性酸素種の発現;活性化及び血管壁に対する単球の付着;動脈硬化性の“フォーム セル(foam cell)”を生成する、単球への変性された低密度リポタンパク質の吸収の増加;及び酸化窒素の内皮合成の低下に関連している。RAASの、特にアンジオテンシンIIのこれら広い範囲の影響が与えられると、RAASは従って、高血圧症、糖尿病、糖尿病に関連した標的器官損傷、アテローム性動脈硬化症、冠動脈性心疾患、狭心症、脳卒中、腎機能障害、レイノー病、代謝症候群、肥満、耐糖能異常障害、及び脂質異常症を含むがこれらに限定されない種々の疾患に影響している。例えば、参照により本願明細書に組み込まれているFerrario CM,Role of Angiotensin II in Cardiovascular Disease:Therapeutic Implications of More Than a Century of Reserch,J Renin Angiotensin Aldosterone Syst,2006;7:3−14を参照されたし。また、ある態様において、RAASに関連した疾患は、高血圧症、糖尿病、糖尿病に関連した標的器官損傷、アテローム性動脈硬化症、冠動脈性心疾患、狭心症、脳卒中、腎機能障害、レイノー病、代謝症候群、肥満、耐糖能異常障害、及び脂質異常症より選択される。
【0058】
本願明細書で開示される治療用組成物の投与のため、マウス動物モデルに投与された投与量に基づいたヒト投与量を推定する慣用の方法は、マウス投与量をヒト投与量に転換するための転換係数:kg当りのヒト投与量=kg当りのマウス投与量×12を使用して行われ得る(Freireich他,(1966)Cancer Chemother Rep.50:219−244)。この方法は、体重は問題無く、ある代謝機能及び排出機能と良好な相互関係を達成するために、薬物は体表面積メートル四方当りのミリグラムで与えられ得る。さらには、体表面積は、Freireich他(Freireich他,(1966)Cancer Chemother Rep.50:219−244)により記載されるように、成人及び子供並びに異なった動物種における薬物投与のための共通の分母として使用され得る。簡潔には、mg/m投与量は、いかなる種におけるmg/kg投与量に、適したkm係数を乗じたものである。ヒト成人において、100mg/kgは、100mg/kg×37kg/m=3700mg/mに等しい。
【0059】
本発明の方法に従う治療用組成物を投与する方法は、浸透性投与、非経口投与(血管内投与、筋肉内投与、静脈内投与を含む)、経口投与、口腔投与、直腸投与、皮下投与、腹腔内投与、吸入、気管内導入、外科的移植、経費投与、局所注射、及び超高速注射/衝撃を包含するがこれらに限定されない。適当な場合、連続的な点滴が標的部位での薬物蓄積を高め得る(米国特許第6180082号を参照のこと)。
【0060】
投与の経路に関し、本発明の化合物は一般的に、所望の応答を達成するのに有効な量で投与される。また、本願明細書で使用される用語“有効量”とは、測定し得る生物学的応答(例えば、血圧低下)を生じるのに十分な治療用組成物(例えば、RAAS阻害剤、式(I)又は(II)で表されるリポ酸化合物、及び医薬的に許容し得るビヒクル、キャリヤー、又は賦形剤を含有する化合物)の量に関する。本発明の治療用組成物中の有効成分の実際の投与量は、特定の患者及び/又は用途のための所望の治療応答を達成するのに有効な有効化合物(群)の量を投与するために、変化し得る。もちろん、どの特定の場合における有効量も、治療用組成物、製剤、投与経路、他の薬剤又は治療との組み合わせ、治療条件の重要度、及び物理学的条件及び治療される患者のこれまでの医療経歴を包含する種々の要因に依存する。好ましくは、最少の投与量が投与され、そして、最少の有効量に対する用量制限毒性がなければ、その投与量は増加する。治療的に有効量の決定及び調整、並びに、いつどのようにそのような調整を行うかの評価は、当業者に既知である。
【0061】
本願明細書において開示されるRAASに関連した疾患を治療する方法のある態様において、リポ酸化合物及びRAAS阻害剤は、下記表1に提供されるような投与量範囲で、組成物中で組み合わされ得る。例えば、幾つかの態様において、本発明の組成物が、300mgのリポ酸化合物及び20mgのキナプリル;300mgのリポ酸化合物及び20mgのリシノプリル;300mgのリポ酸化合物及び20mgのフォシノプリル;600mgのリポ酸化合物及び5mgのラミプリル;或いは600mgのリポ酸化合物及び10mgのリシノプリルを含有する場合、該組成物は、患者に対して1日1回投与され得る。スタチンが本発明の組成物中に含有される場合、スタチンの投与量範囲は、例えば、1日当りおよそ1mgないしおよそ100mgであり得る。抗炎症剤又は脂肪酸吸収阻害剤が本発明の組成物中に含有される場合、それら薬剤の投与量範囲は、それら特定の薬剤のために一般的に使用される投与量範囲を包含し得る。もちろん、所望の生物学的応答を達成するため、上記投与量のさらなる他の投与量が使用され得、そして型通りの実験を使用して医薬の当業者により確認され得る。

【0062】
配合及び投与量に関するさらなる助言については、各々が参照により本願明細書に組み込まれている、米国特許第5326902号及び第5234933号;PCT国際公開第WO93/25521号;Berkow他,(1997)The Merck Manual of Medical Information,Home 編集 Merck Research Laboratories,Whitehouse Station,New Jersey;Goodman他,(2006)Goodman&Gilman’s the Pharmacological Basis of Therapeutics,11th 編集 McGraw−Hill Health Professions Division,New York;Ebadi.(1998)CRC Desk Reference of Clinical Pharmacology.CRC Press,Boca Raton,Florida;Katzung,(2007)Basic&Clinical Pharmacology,10th 編集 Lange Medical Books/McGraw−Hill MedicalPub.Division,New York;Remington他,(1990)Remington’sPharmaceutical Sciences,18th 編集 Mack Pub.Co.,Easton,Pennsylvania;Speight他,(1997)Avery’s Drug Treatment:A Guide to the Properties,Choice,Therapeutic Use and Economic Value of Drugs in Disease Management,4th 編集 Adis International,Auckland/Philadelphia;and Duch,他(1998)Toxicol.Lett.100−101:255−263を参照されたし。
【0063】
RAASに関連した疾患を治療する本願明細書に開示される方法のある態様において、本発明の組成物を患者に投与することは、患者の血管壁の内皮機能を高める。当業者に認識されているように、内皮は、全ての血管の内腔を裏張りしている内皮細胞の単一層である。一般的に、これら細胞は、全ての組織と循環血液との間の保護的な生体適合性のある障壁として機能し、そしてまた、組織及び血液への又はそれらからの巨大分子及び血液ガスの二方向通路を促進する選択的篩としても機能する。実際に、内皮の戦略的な位置によって、血流力及び血液伝播性シグナルの変化を感知し、そして多数の自己分泌及び周囲分泌物質を放出することにより応答することが可能となる。これら生物活性因子の均衡のとれた放出は、血管の恒常性を促進する。しかしながら、多くのRAASに関連した疾患に生じるもののような内皮細胞の機能障害は、この均衡を乱し、そしてそれにより、血管壁を、血管収縮、白血球付着、血小板活性化、有糸分裂誘発、後酸化(pro−oxidation)、血栓症、凝固障害、血管炎症、及びプラーク発現にかかりやすくする。しかしながら、本願明細書に開示されるのは、本発明の組成物の有効量が患者に投与されることにより、患者の内皮機能を高め、そしてそうでなければ内皮障害を引き起こし得る有害な事象を潜在的に回避し得ることを示すデータである。
【0064】
当業者に既知の種々の方法が、患者の血管の内皮機能を評価するのに使用され得る。例えば、ある態様において、血管内皮機能は、上腕動脈内の流量依存性拡張を評価するために超音波を使用する非侵襲的な、上腕動脈反応性試験(BART)技術を使用して評価され得る。簡潔には、その試験は、腕の上腕動脈の内皮を刺激して酸化窒素を放出させ、その後、動脈の血管拡張を引き起こさせる。生じた血管拡張はその後、測定され、そして内皮機能のマーカーとして定量され得る。
【0065】
本願明細書において開示される治療方法の他の態様において、本発明の組成物を患者に投与することは、患者の炎症分子の血中濃度を低下させる。本願明細書で記載したように、高血圧症のようなRAASに関連した疾患は、患者の酸化的ストレス及び炎症の量と密接に関連しているという最近の証拠が示されている。にもかかわらず、本発明の組成物を、RAASに関連した疾患に罹患した患者に投与することにより、患者の炎症分子の血中濃度が有利に低下することが発見された。ある態様において、本発明の組成物の投与は、患者の、炎症分子であるプラスミノーゲンアクチベーター阻害剤−1(PAI−1)、血管細胞付着分子−1(VCAM−1)、レプチン、及び/又はアディポネクチンの量を低下させる。
【0066】
当業者に既知の種々の方法が、患者の炎症分子の血中濃度の低下を決定するために使用され得る。例えば、ある態様において、患者の炎症分子の発現量は、当業者に既知のいずれのRNA同定アッセイを用いても、患者から得られた生体試料(例えば、組織試料、尿試料、唾液試料、血液試料、血清試料、血漿試料、又はそれらの副画分)中の炎症分子(例えば、PAI−1、VCAM−1、レプチン、又はアディポネクチン)をコードする遺伝子のmRNAに対して探査することにより決定され得る。簡潔には、RNAは、試料から抽出され得、cDNAに増幅され、転換され、標識され、そして基質、例えばアレイ、又はマイクロアレイに固定された、或いはリアルタイムPCR(例えばバイオラッドラボラトリーズ(Bio−Rad Laboratories),ヘルキュール(Hercules),カリフォルニア,USAから入手可能であるような、定量的リアルタイムPCR)により定量された既知RNAのハイブリダイゼーションプローブのような、既知の配列のプローブとハイブリダイズされ得る。試料の核酸分子が結合するプローブは既知であるため、試料中の分子が同定され得る。この点に関し、炎症性遺伝子によりコードされるmRNAの1つ以上のためのDNAプローブが、基質に固定され得、そして本発明に従う方法の実施用に提供される。
【0067】
試料中の炎症分子の量を決定することに関し、質量分析及び/又はイムノアッセイ装置及び方法が、試料中の炎症分子を測定するために使用され得るが、他の方法もまた使用され得、それは当業者に良く知られている。例えば、その全体的に参照により本願明細書に組み込まれている、米国特許第6143576号;6113855号;6019944号;5985579号;5947124号;5939272号;5922615号;5885527号;5851776号;5824799号;5679526号;5525524号;及び5480792号を参照されたい。イムノアッセイ装置及び方法は、興味対象の検体の存在又は量に関連するシグナルを生じさせるため、種々のサンドイッチ的、競合的、又は非競合的アッセイフォーマットで、標識された分子を使用し得る。従って、バイオセンサー及び光学的イムノアッセイのようなある方法及び装置が、標識された分子を必要とすることなく、検体の存在又は量を決定するために使用され得る。例えば、全体的に参照により本願明細書に組み込まれている、米国特許第5631171号;及び5955377号を参照されたい。
【0068】
例えば、酵素免疫測定法(ELISA)、放射免疫測定(RIAs)、競合的結合アッセイ等のような、どの適するイムノアッセイをも使用し得る。炎症分子に対する抗体の特異的な免疫学的結合は、直接的に又は間接的に決定され得る。直接的な標識は、抗体に結合した、蛍光性の又は発光性のタグ、金属、染料、放射性ヌクレオチド等を含有する。間接的な標識は、アルカリフォスファターゼ、西洋ワサビペルオキシダーゼ等のような、当業者に良く知られた種々の酵素を含有する。
【0069】
炎症分子に対して特異的な固定化された抗体又はその断片の使用がまた、本発明により考慮される。抗体は、磁性の又はクロマトグラフィーのマトリックス粒子のような種々の固形支持体上に、アッセイプレート(マイクロタイターウェルのような)の表面上に、固形の基質材(プラスチック、ナイロン、紙のような)の断片上等に、固定化され得る。アッセイ用断片は、固体支持体上にアレイ中の抗体又は多数の抗体を被覆することにより調製され得る。この断片は、その後、試験用の生体試料中に浸漬され得、そしてその後、洗浄、及び例えば着色されたスポットのような測定し得るシグナルを生じる検出段階を通して速やかに処理され得る。
【0070】
患者の炎症分子の存在及び/又は定量を行うために、質量分析法(MS)が単独で、又は他の方法(例えばイムノアッセイ)と組み合わせて、使用され得る。本発明に従い使用され得るMS法の例は、液体クロマトグラフィー−質量分析法(LC−MS);例えば直接スポットMALDI−TOF又は液体クロマトグラフィーMALDI−TOF質量分析法のようなマトリックス支援レーザー脱離/イオン化飛行時間型MS分析法(MALDI−TOF−MS);例えば液体クロマトグラフィー(LC)ESI−MSのようなエレクトロスプレーイオン化MS法;及び表面促進レーザー脱離/イオン化飛行時間型MS分析法(SELDI−TOF−MS)を包含するがこれらに限定されない。これらの種のMS分析の各々は、例えば、3連四重極質量分析計のような商業上入手可能な分光計を用いて行われ得る。生体試料中の炎症分子のようなペプチドの存在及び量を検出するためのMS分析を使用する方法は、当業者に既知である。さらなる手引きのため、参照により本願明細書に組み込まれている、米国特許第6925389号;6989100号;及び6890763号を参照されたい。
【0071】
本願明細書に記載される治療方法のさらにまた別の態様において、本発明の組成物の有効量を患者に投与することは、患者の低密度リポタンパク質(LDL)の酸化量を低下させる。最近の研究が示されているところによれば、RAASに関連した疾患を患う多数の患者に観察されるもののような患者の血管系中の多量の反応性酸素種が、その後の炎症プロセスを開始し、そして動脈壁に対して初期損傷を引き起こす酸化LDL(ox−LDL)のような、タンパク質の酸化の増加を生じる(32)。この損傷の機構はまだ確立されておらず、超酸化物のような酸素により誘導される遊離ラジカルによる酸化窒素(NO)の失活を包含し得る一方で(33)、これら患者に見られる炎症応答は、炎症プロセスを調節し、且つフォーム細胞形成を促進し得る、VCAM及び腫瘍壊死因子−α(TNF−α;34−36)のような、種々の炎症分子の遺伝子発現に影響することが観察されている。ox−LDLの増加に伴うNO量の減少は、アテローム性動脈硬化症のプロセスの免疫刺激物として機能する(37)。しかしながら、RAASに関連した疾患に罹患する患者に対して本発明の組成物を投与することにより、患者のLDL酸化量が有意に減少したことを示すデータが、本願明細書に開示される。
【0072】
LDL量を測定する種々の方法は当業者に既知であり、そして本発明に従い使用され得る。例えば、ある態様において、LDL酸化の量は、患者から血漿試料を得、超遠心分離によりLDLを単離し、そしてその後にCuSOを含有する標準的アッセイを用いてox−LDLへとLDLを酸化することにより、測定され得る(52)。LDLが酸化する感受性を示す酸化の時間のずれは、そのため、患者に生じるLDL酸化の量を確認し得るように、分光光度計を使用して測定され得る。
【0073】
本発明の特定の態様において、患者の代謝症候群に関連した疾患を治療する方法がさらに提供される。一の好ましい態様において、アンジオテンシンII阻害剤及び式(I)及び(II)で表されるリポ酸化合物を含有する本発明の組成物の有効量を患者に投与して、それにより代謝症候群に関連した疾患を治療することから成る、代謝症候群に関連した疾患を治療する方法が提供される。
【0074】
上記のとおり、代謝症候群は、代謝症候群の過半数の特性が、腹部肥満、脂質異常症、血圧上昇、インシュリン耐性(即ち、耐糖能異常)、並びに血栓後状態及び炎症後状態を包含するRAASにより媒介され得るため、RAASに関連した疾患であると考えられ得る。しかしながら、代謝症候群の治療を必要としている患者に本発明の組成物を投与することにより、本発明の組成物は、代謝症候群の診断を下す要素の多くを有効に治療し得ることが見出された。また、本願明細書に開示される代謝症候群に関連した疾患を治療する方法の幾つかの態様において、代謝症候群に関連した疾患は、肥満、高血圧症、耐糖能異常、及び脂質異常症から成る群より選択される。代謝症候群を治療する方法が、必要とする患者に施される場合、該患者は、好ましくは、標的とされる特定の代謝症候群に関連した疾患を治療するのに有効な組成物量を投与される。上記指摘したように、どの特定患者に対する有効量も、該患者の状況に基づき変化し、そしてそのような量は、当業者によってたやすく決定される。代謝症候群に関するさらなる手引きについては、例えば、参照により本願明細書に組み込まれている、Executive Summary of the Third Report of the National Cholesterol Education Program(NCEP)Expert Panel on Detection,Evaluation,and Treatment of High Blood Cholesterol in Adults(Adult Treatment Panel III).JAMA 2001;285:2486−2497;the criteria for metabolic syndrome established by the World Health Organization;及びGrundy SM.JAMA.2003;290(22):3000−3002を参照されたい。
【0075】
本発明の他の特定の態様において、治療を必要とする患者に対し、患者の血管拡張を改善するのに有効な、本発明に従う組成物の量を投与することによって、血管拡張を改善する方法が提供される。幾つかの態様において、血管拡張は、観察される血管拡張の量が、特定の血管を通過する血流量に関連する、流量依存性拡張である。上記した超音波技術を包含する、患者の血管拡張の拡張を測定する種々の方法が、本発明に従い使用され得る。また、血管拡張を改善するために本発明に従い患者に投与される治療用組成物の有効量は、患者の状態及び達成される所望の結果に依存して変化するが、所定の研究を使用してたやすく決定され得る。
【0076】
本発明のさらに別の特定の態様において、患者のタンパク尿の所望の軽減を達成するのに有効な量の本発明の組成物を、治療を必要としている患者に投与することから成る、患者のタンパク尿を軽減する方法が提供される。当業者により認識されているように、タンパク尿(即ち、尿アルブミンのような、血清タンパク質の過剰量)の定性及び定量は、糖尿病及び高血圧のような、RAASに関連した疾患における腎臓機能を評価するための効果的なツールである。本発明の組成物を患者に投与することにより、該組成物が、患者の尿アルブミン量のみならず、患者の血清クレチニンに対する尿アルブミンの割合をも有効に低下させ得ることが見出された。また、本願明細書に開示されるタンパク尿を軽減する方法の幾つかの態様において、タンパク尿の軽減は、尿アルブミン量を低下させることにより、血清クレアチニンに対する尿アルブミンの割合を低下させることにより、又はその双方により、達成される。幾つかの態様において、タンパク尿は、患者において、およそ10%、およそ20%、およそ25%、およそ30%、およそ35%、およそ40%、およそ45%、およそ50%、およそ55%、およそ60%、およそ65%、およそ70%、およそ75%、およそ80%、およそ90%、又はおよそ99%を軽減させる。幾つかの態様において、タンパク尿の軽減は、およそ25%ないしおよそ75%である。また、特定の患者のタンパク尿を所望の量まで軽減させるのに必要とされる組成物の有効量は、患者の状態に基づき変化し得、そして当業者によりたやすく決定され得る。
【0077】
本発明のさらにまた別の好ましい態様において、本発明の組成物の有効量を患者に投与し、それによりインシュリン耐性を軽減することから成る、患者のインシュリン耐性を軽減する方法が提供される。いかなる特定の理論により結び付けることを望むことなく、インシュリン耐性は、多くのRAASに関連した疾患において重要な役割を果たし得、そしてさらに特に、糖尿病性細小血管症の発現を実際に誘発し得るII型糖尿病を患う患者に観察される高血糖状態に重要な役割を果たすことが知られている(20)。さらには、インシュリン耐性は、心疾患の発症に重要な役割を果たしていると考えられており(23,24)、そして糖尿病患者の最も一般的な死因である。しかし、RAASに関連した疾患を患う患者に対して、本発明の組成物を投与することにより、それら患者の全体的なインシュリン耐性の拡張が有意に改善される一方で、インシュリン受容体の感受性をも改善することが見出された。また、幾つかの態様において、インシュリン耐性を軽減することは、インシュリン受容体の感受性を高めることから成る。幾つかの態様において、インシュリン耐性は、患者において、およそ10%、およそ20%、およそ25%、およそ30%、およそ35%、およそ40%、およそ45%、およそ50%、およそ55%、およそ60%、およそ65%、およそ70%、およそ75%、およそ80%、およそ90%、又はおよそ99%を軽減させる。幾つかの態様において、インシュリン耐性の軽減は、およそ25%ないしおよそ75%である。また、特定の患者のインシュリン耐性を所望の量まで低下させるのに必要とされる組成物の有効量は、患者の状態に基づき変化し、そして当業者によりたやすく決定され得る。
【0078】
与えられた患者のインシュリン耐性の拡張は、正常血糖−高インシュリン血クランプ(クランプ−IR)により評価された指標と比較したインシュリン耐性の代用指標を使用した、当業者に既知の種々の方法、例えば、空腹時血漿インシュリン(25)、インシュリン耐性の恒常性モデル評価(HOMA)(HOMA−IR)(26)、及び空腹時のグルコースとインシュリンの比により測定され得る。実際に、HOMA−IRは、糖尿病及び糖尿病でない患者の双方のインシュリン耐性の有益な代用指標であり、その対数変換が該指標をより正確にすることが確立されている(28−30)。従って、HOMA−IRを包含する前述の方法の各々が、与えられた患者のインシュリン耐性の正確な評価を提供するために、本発明に従い使用され得る。
【0079】
本願明細書に記載される種々の治療方法に関し、本願明細書において開示される方法のある態様は定性評価を要求するのみであるが(例えば、患者の炎症遺伝子の発現の有無)、他の方法の態様は、定量評価を要求する(例えば、患者のタンパク尿の軽減量、又はインシュリン耐性の軽減量)。そのような定量評価は、例えば、当業者により理解されるように、上記方法の一を使用して行われ得る。
【0080】
当業者はまた、患者の特定の特徴(例えば、タンパク尿)の量の低下を測定することが統計的な改正であることを理解するであろう。例えば、患者のタンパク尿の量の軽減は、タンパク尿の対照量と比較され得、そして対照量よりも少ないか又は等しいタンパク尿の量は、統計的有意性の水準により証明されるようにタンパク尿の量の軽減の指標となり得る。統計的有意性はしばしば、2つ又はそれ以上の母集団を比較し、そして信頼区間及び/又はp値を決定することにより決定される。例えば、参照により全体的本願明細書に組み込まれているDowdy及びWearden,Statistics for Research,John Wiley & Sons,New York,1983を参照されたい。本発明の主題事項の好ましい信頼区間は、90%、95%、97.5%、98%、99%、99.5%、99.9%及び99.99%である一方で、好ましいp値は、0.1、0.05、0.025、0.02、0.01、0.005、0.001、及び0.0001である。
【0081】
本発明の組成物は、RAAS阻害剤の有益な特性と、式(I)及び(II)に関する本願明細書に記載のリポ酸化合物のそれとを包含するよう設計される。また、本願明細書に開示される組成物は、潜在的な抗酸化剤、抗炎症化合物として、及びミトコンドリア保護剤として有益であると信じられる。結局、本願明細書に開示される化合物は、アンジオテンシンII活性の低減又はリポ酸の有益な特性が示される、多数のRAASに関連した疾患の治療に使用できる、ということが従って考えられる。
【0082】
例えば、本組成物は、糖尿病の治療に特に使用できるということが考えられる。この点について、本発明の組成物は、酸化的ストレスを低減し、インシュリンのシグナル伝達を改善し、反応性酸素及び窒素種の過剰生成から引き起こされる糖尿病性合併症を治療し、そして、高血糖、高インシュリン血症、脂質異常症及び酸化的ストレスの血漿マーカーの年齢依存性発現を抑制するのに使用できる、ということが考えられる。さらには、本組成物は、糖尿病において生じる代謝機能不全のかなりの部分を占めると仮定されるミトコンドリア減退を抑制するのに使用できることがまた考えられる。
【0083】
別例として、本組成物は、高血圧症、心筋梗塞、脳卒中、アテローム性動脈硬化症、及び糖尿病のような、種々のRAASに関連した疾患に付随する標的器官損傷を治療するのに使用できることがまた、考えられる。この点について、本化合物は、例えば、内皮依存性血管弛緩を改善し、付着分子及びケモカインを低減し、血中トリグリセリドを低減し、そして炎症遺伝子発現を低減することにより、内皮機能不全を改善し得ると考えられる。さらには、本組成物は、例えば、その後の顕性タンパク尿及び腎不全への微量アルブミン尿の進行を低下させるか又は抑制することにより、腎機能を改善し、及び/又は糖尿病及び高血圧症における腎機能の悪化を遅延させることが考えられる。
【0084】
本発明のさらなる用途において、本願明細書に記載されるリポ酸化合物は、該リポ酸化合物がさらにNO基を有する組成物の態様において存在することが考えられる。この点について、血管拡張のために内皮に利用できるNO分子を作り出し、それによって、患者に起き得る冠動脈狭心症を脱却又は回避することにより、アンギナを治療するのに使用できるものと考えられる。
【0085】
本願明細書において使用される用語“患者”とは、ヒトと動物の患者の双方を包含する。従って、動物用の治療用途が、本願明細書に開示される主題事項に従い提供される。また、本願明細書に開示される主題事項は、ヒトのような哺乳類、並びにシベリアトラのような絶滅危惧される重要な哺乳類;ヒトによる消費のために農場で飼育される動物のような経済的重要性の哺乳類;及び/又はペットとして又は動物園で保有される動物のようなヒトに対し社会的重要性のある動物の治療を提供する。そのような動物例は、ネコ及びイヌのような肉食動物;ブタ(pig)、ブタ(hog)、及びイノシシを包含するイノシシ属;畜牛、ウシ、ヒツジ、キリン、ジカ、ヤギ、野牛及びラクダ;及びウマのような反芻動物及び/又は有蹄動物を包含するが、これらに限定されない。ヒトに対して経済的に重要であるため、絶滅危惧される及び/又は動物園で保有される種類の鳥類、並びに、家禽、より特に飼育用家禽、即ちシチメンチョウ、ニワトリ、アヒル、ガチョウ、ホロホロチョウ等のような家禽を包含する鳥類の治療がまた提供される。従って、飼育用ブタ、反芻動物、有蹄動物、ウマ(競走馬含む)、家禽等を包含するがこれらに限定されない家畜の治療がまた提供される。
【0086】
本願明細書に記載される主題事項の態様は、改変を受け、そして本発明の目的範囲内の他の改変された態様は、本願明細書に提供される情報の研究後に当業者に明らかとなるであろう。本願明細書で提供される情報、及び特に記載される実施態様の詳細が、理解の明確さのためにまずは提供され、そして限定される必要のないことがそこから理解されるべきである。
【0087】
さらには、本願で使用される用語は、当業者により良く理解されるものと信じられる一方で、定義は、本願明細書に開示される主題事項の説明を促進するために記載される。定義されない限り、本願明細書で使用される全ての技術的及び科学的用語は、本発明が属する分野の当業者により一般的に理解されるのと同様の意味を有する。本願明細書に記載されるのと類似の又は同等のいかなる方法、装置及び材料も、本願明細書に開示される主題事項の実施又は試験において使用され得、そして代表的方法及び材料は上記記載されている。
【0088】
さらには、特許請求の範囲を包含する本願で用いられる場合、長期にわたる特許法の慣習に従うと、用語“a”、“an”及び“the”は、“1又はそれ以上”を意味する。従って例えば、“アンジオテンシン変換酵素”とは、そのような複数の酵素を包含する。また、指摘されない限り、本願明細書及び特許請求の範囲で使用される成分量を表す全ての数字、反応条件のような特性は、用語“およそ”によって全ての場合に改変されるものと理解されるべきである。反対に、指摘されない限り、本願明細書及び特許請求の範囲に記載の数値パラメータは、本発明により得られることが求められる所望の特性に依存して変化し得る近似値である。
【0089】
本願明細書において使用される用語“およそ”とは、物質の量、質量、時間、容量、濃度又はパーセンテージに関する場合には、特定した量から、ある態様では±20%、ある態様では±10%、ある態様では±5%、ある態様では±1%、ある態様では±0.5%、及びある態様では±0.1%の変動を包含すると意味され、そのような変動は、開示される方法を実施するのに適切である。
【実施例】
【0090】
実施例
以下、本発明の好ましい態様の局面を例示する実施例を与える。実施例に開示される技術は発明の実施において良く機能することが本発明者により見出された技術を表すことが、当業者により認められるべきであり、それにより、その実施のための好ましい様式を構成するものとみなされ得る。しかしながら、本願明細書の開示の観点において、当業者であれば、本発明の精神及び目的から逸脱することなく、開示される特定の態様において多くの変更を為し、そして同様の結果を得ることを認めるべきである。
【0091】
実施例1:高血圧症に対する組み合わせ治療の実験的計画及び効果
レニン−アンジオテンシン−アルドステロン系に関連した疾患の治療のための、RAAS阻害剤及びリポ酸化合物の共投与についての効果を評価するために、II型糖尿病及び高血圧症歴(本研究の目的のために選抜された時点で、薬物療法中であるか、又は収縮期血圧が140mmHgを超えるものとして定義される)のある18歳以上の男性及び女性を、キナプリル、アンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害剤、及びαリポ酸を用いた交差研究に際して、無作為に登録した。被験者が下記のいずれか:冠動脈疾患又は鬱血性心不全の治療歴;登録前12月の間における降圧剤の使用;過去の低血糖治療、現在の降圧治療、7.0%を超えるヘモグロビンAC;2.0mg/dLを超える血清クレアチニン;肝障害;又は悪性腫瘍を有する場合には、その被験者を除外した。本研究の目的の1つは、血圧を低下させる効果のACE阻害剤依存性の抗炎症効果を測定することであるため、治療を必要とする高血圧症を有する被験者は本研究から除外した。登録時点での脂肪低下治療(例えば、スタチン治療)中の被験者は、本研究全体を変えることなく治療を続けた。承諾書面を全ての被験者から得た。
【0092】
登録時点で全ての被験者を評価した。被験者は栄養カンセリングを受け、そして、体重及び週毎のカロリー計算を記録した。本研究全体を通し、カウンセリングのために栄養士が利用され得た。被験者が絶食しているのと同期間の治療の前後において、血液試料を採取した。
登録後に、キナプリル(40mg/日)グループ、又は8週間にキナプリル(40mg/日)とαリポ酸(600mg/日,ジャロー フォーミュラ(Jarrow Formula),ロサンゼルス,カリフォルニア)の両方を投与したグループのいずれかに、二重盲の交差様式に、被験者を無作為選抜した。治療の最初の8週間の後は、4週間の洗い出し期間であった。被験者はその後、交差様式にて交互に薬理学的治療を受けた。研究終了まで割り当てを隠ぺいし続けた。服薬順守を決定するため、治療期間の終了において錠剤数をカウントした(13)。被験者に対し、治療の最初の2日間の間、完全投与量の半分の自己投与にするよう助言し、その後、毎朝同じ時間に完全な投与量を与えた。全研究期間は22週間であった。
【0093】
最初の2週間の後、血圧を再チェックし、血清クレアチニン及びカリウムを測定するために血液を採取した。オムロン(Omron)血圧計を用いて、およそ5分間の間、少なくとも3つのそれぞれの測定部位にて血圧をチェックした。
全部で40人の被験者(男性18人及び女性22人)を本研究において登録し、そして続いて全部で28人の被験者により22週間の全期間の研究を完了した。経過観察は100%完了した。下記表2に基本特性を示す。全研究集団のうち、12人の被験者(30%)を、抗血圧治療にあてた。

【0094】
研究中、キナプリル単独を受けたグループと、キナプリル及びαリポ酸を受けたグループに、同様の咳の発生が観察された(キナプリルグループ:14%;キナプリル及びαリポ酸グループ:13%)。研究全体を通して、血管性浮腫は認められなかった。キナプリルグループ中の被験者40人のうちの1人において、血清カリウム又は血清クレチニンが20%以上上昇した。また、経過観察期間後に、キナプリルグループと、キナプリル及びαリポ酸グループの最大血圧及び最小血圧の有意な低下があった(表3)。いずれのグループにおいても、研究中に低血圧症(即ち、最大血圧が100mmHg未満)を経験した被験者はいなかった。さらには、本研究の治療前期間から、及び2つの治療群の間で、グリコシル化血色素ヘモグロビン(Hgb)の有意な変化はなかった。

【0095】
実施例2:タンパク尿に対する組み合わせ治療の効果
II型糖尿病及び高血圧症を患う被験者のタンパク尿に対するキナプリルとαリポ酸の共投与の効果を決定するために、実施例1に記載される被験者の各々により、各々の治療群についての研究期間の開始時及び終了時に、24時間尿採集された。それぞれの尿試料の最終において、尿を迅速に解析し、そして標準的な化学的解析(Quest Laboratory,スクラントン,ペンシルベニア)によりタンパク解析を行った。
尿試料の解析において、キナプリルを投与した被験者及びキナプリル及びαリポ酸を組み合わせて投与した被験者において、治療結果のとおり、クレチニンに対する尿アルブミンの割合が有意に低減したことが観察された(図1)。さらには、キナプリル及びαリポ酸の組み合わせが、クレアチニンに対する尿アルブミンの割合を、キナプリル単独よりもさらに41%も低減させることが観察され、該組み合わせが、糖尿病及び高血圧症の腎機能の悪化を遅延させるのに有意な正の効果を有することを示している。
【0096】
実施例3:内皮機能に対する組み合わせ治療の効果
II型糖尿病及び高血圧症を患う被験者の内皮機能に対するキナプリル及びαリポ酸の共投与の効果を決定するため、超音波を使用して上腕動脈の内皮依存型の流量依存性拡張(FMD)を評価する、非侵襲性の上腕動脈反応性試験(BART)を使用することにより、実施例1に記載の被験者の各々について、評価を実施した。簡単に言うと、上腕動脈を画像化するために、被験者を仰臥位にするとともに腕を快適な位置にする。その後、血圧バンドを前腕に置き、その後に基準の安静画像を得た。縦断面にある肘前窩上で上腕動脈を画像化し、そして内腔と血管壁との間に明確な前内膜界面及び後内膜界面を有するセグメントを、2Dグレースケール画像化のために選択した。動脈試料容量平均値から得られたパルス状ドップラー速度シグナルの時間平均値を求めることにより、血流速度を見積もった。血圧バンドをその後、50mmHg以上の最大血圧まで膨らませて、5分間、動脈流を閉塞した。血圧バンドを弛緩させた後、血圧バンド収縮前30秒から収縮後2分まで、動脈の縦方向画像を連続して記録した。直ちに血圧バンドを外してパルス状ドップラー速度シグナルを得、そして血圧バンド収縮後15秒以内に、充血速度を評価した。15分後、ニトログリセリン0.4mgを舌下投与し、そして繰り返し画像を得て、内皮非依存性血管拡張を決定した。
【0097】
内腔−内膜界面が近い壁(前壁)及び遠い壁(後壁)の両方で視覚化される縦断面から、上腕動脈の直径を測定した。解析画像を選択したら、直径測定のための境界を、電子キャリパー(Medical Imaging Application Vascular Tools,Coralville,IA)を用いて手動で同定し、そして、血管部位に沿って決定した少なくとも3つの異なる直径の測定値から、平均直径を決定した。画像取得中に心電図(ECG)ゲーティングを用いることにより、心周期と同時に、上腕動脈直径を測定した。基準直径のパーセンテージとしての刺激後直径の変化として、FMDを普通に測定した。確立された手引きに従い、基準直径、絶対的変化、及び直径のパーセンテージ変化を測定及び報告した(44)。
【0098】
結果の解析によると、被験者をキナプリル単独を用いて治療した場合、基準と比較して、24週間での上腕動脈の流量依存性拡張の59%の有意な増加があり(治療前:3.86±0.55パーセント;キナプリル:6.02±0.80パーセント、p<0.005 キナプリルグループ対治療前グループ)、このことは、内皮機能を改善の傾向を示唆している(図2)。さらには、被験者に対しキナプリルとαリポ酸を共投与した場合、8週間の期間の治療の終了時において、内皮機能の43%のさらなる実質的な増加があった(p<0.001 対基準及びキナプリル単独)。この後者の発見は、キナプリルとαリポ酸との組み合わせが、第一段階高血圧症を有する糖尿病被験者のインシュリン受容体感受性の改善に相加的効果を有することが示している(図2)。
【0099】
実施例4:抗炎症分子の血中濃度に対する組み合わせ治療の効果
II型糖尿病及び高血圧症を有する被験者の炎症分子の血中濃度に対するキナプリル及びαリポ酸の共投与の効果を決定するために、実施例1に記載の被験者の各々から血清試料を得、そして遠心分離し、そして−80℃にて保存した。その後各々の試料の一定量を引き出し、そして血清アディポネクチン及びレプチンについて酵素免疫測定法(EIA;Cayman Chemical,Ann Arbor,ミシガン)を、良く確立されたプロトコール(45)に従い、3つの各々の試料について行った。血清の全50μLを解析のために使用した。血清アディポネクチン及びレプチンの全量を、420nmの光学密度にてプレートリーダーにて決定した。キナプリル又はその代謝産物による障害は、アッセイのいずれにおいても見られなかった。
【0100】
結果の解析によると、高血圧症を患う糖尿病被験者に対し、キナプリル及びαリポ酸の共投与は、治療前からほぼ70%、レプチンの血中濃度を低下させ、そしてレプチンの血中濃度もまた、キナプリル単独を与えた被験者グループにおいて有意に低下したことが決定された(表4)。キナプリル或いはキナプリル及びαリポ酸を用いた治療はまた、治療前よりもアディポネクチンの血中濃度を有意に上昇させた。これら発見は、リポ酸の添加が、炎症のマーカーに対して相加的且つ有利な効果を有することを示している。

【0101】
実施例5:インシュリン耐性に対する組み合わせ治療の効果
いかなる特定の理論により結び付けなくとも、インシュリン耐性は、2型糖尿病被験者の高血糖に重要な役割を果たし得、そして糖尿病性細小血管症の発現を実際に誘発し得ると考えられている(20)。実際に、血糖管理を達成し、且つこれら合併症を防止するために、チアゾリジンジオン及びビグアニドのような、インシュリン耐性を改善する幾つかの経口性血糖降下薬が開発され、そして現在、臨床的に使用されている(21、22)。さらには、インシュリン耐性は、心疾患の発症機序に重要な役割を果たし(23、24)、糖尿病被験者の最も一般的な死因である。それ故、高血圧症を患う個々の糖尿病被験者のインシュリン耐性を簡単に且つ正確に評価するため、実施例1に記載の被験者に対して臨床的及び疫学的評価を行った。研究者達は、正常血糖−高インシュリン血クランプ(クランプ−IR)により評価された指数と比較して、インシュリン耐性の簡単な代用指標、例えば、空腹時血漿インシュリン(25)、インシュリン耐性の恒常性モデル評価(HOMA)(HOMA−IR)(26)、及び空腹時のグルコースとインシュリンの比(27)を研究した。さらには、HOMA−IRが、糖尿病及び糖尿病でない被験者の双方のインシュリン耐性の有益な代用指標であり、その対数変換が該指標をより正確にすることが確立されている(28−30)。従って、II型糖尿病及び高血圧を患う被験者のインシュリン耐性に対するキナプリル及びαリポ酸の共投与の効果を決定するため、良く確立されたプロトコールに従い、インシュリン耐性のHOMA−IRを確立した。
【0102】
HOMA−IR評価からの結果の解析によれば、キナプリル単独の治療群においては、血中HOMA−IRの治療前基準から40%の優位な低下があった(治療前:3.01±0.33U/mL;キナプリル:1.83±0.25U/mL、p<0.005 キナプリル対治療前)。さらには、被験者がキナプリルとαリポ酸治療群である場合には、治療期間の終了時におけるキナプリル単独のグループと比較して統計的に有意であった(キナプリルとαリポ酸グループ:1.26±0.14U/mL、p<0.005 キナプリルとαリポ酸グループ対治療前及びキナプリルグループ、図3)。従って、これら発見は、キナプリルとαリポ酸の共投与が、計算により(31)決定されたHOMA−IR指数をほぼ70%低下することを可能にした(図3)。さらには、治療前からのHOMA−IRの著しい低下、及びキナプリル単独を投与されたグループとの有意な相違により証明されるように、組み合わせ治療は、インシュリン受容体感受性を改善するだけでなく、インシュリン耐性を全面的に低下させることを示す結果が得られた。
【0103】
実施例6:低密度リポタンパク質酸化に対する組み合わせ治療の効果
最近の研究により、血管系中の多数の反応性酸素種が、酸化された低密度リポタンパク質(ox−LDL)を包含するタンパク質の酸化の増加を生じさせ、そのことが炎症過程を開始させ、そして動脈壁に対する内膜損傷を引き起こすことが示されている(32)。しかし、それにもかかわらず、この損傷の機構は明確に確立されるべきであり、超酸化物のような酸素により誘導される遊離ラジカルによる酸化窒素(NO)の失活を包含し得る一方で(33)、この炎症応答は、またフォーム細胞形成を促進する血管細胞付着分子及び腫瘍壊死因子−α(34−36)のような、調節分子の遺伝子発現に影響することが明らかである。この点について、ox−LDLの増加に伴うNO量の減少は、アテローム性動脈硬化症のプロセスの免疫刺激物として機能し得(37)、そして実際に、最近の研究が、ox−LDLが自己抗体の形成により免疫学的応答を刺激し、それが内皮に対するさらなる損傷及びアテロ−ム性動脈硬化症のプロセスの促進を生じることが、暗示されている(38、39)。この抗体応答は、個人に見られるアテローム性動脈硬化症の拡張のマーカーを表し得る。また、ox−LDL量に対するキナプリルとαリポ酸の共投与の効果を決定するために、且つ、II型糖尿病及び高血圧症を患う被験者に生じる潜在的な炎症応答についての洞察を得るために、実施例1に記載の特定被験者(即ち、キナプリルとαリポ酸に換えたキナプリルの被験者)から血漿試料を採取且つ単離し、そして4℃にて39000rpmの超遠心分離によりLDLを単離した。LDLをその後、CuSOを使用した試験管内アッセイにより、ox−LDLに酸化した(52)。酸化に対するLDLの感受性を示す時間のずれを、280nmの分光光度計を使用して測定した(42)。数値を3回測定した。
【0104】
経時解析を使用すると、これら実験から得られた解析によれば、キナプリルとαリポ酸の共投与、並びにキナプリル単独の投与が、キナプリル群の治療前から23%の増加(治療前からp<0.005)、及びキナプリルとαリポ酸群の治療前から44%の増加(治療前からp<0.005、キナプリルからp=0.041)をもって、被験者のLDL酸化の時間のずれが増加したことが観察された(表5)。これら発見は従って、キナプリルとαリポ酸の共投与が、血管系内での有意な抗酸化効果を有していることを示している。

【0105】
実施例7:代謝症候群を患う被験者に対する組み合わせ治療の効果
代謝症候群を患う被験者に対するキナプリル及びαリポ酸の共投与の効果を決定するために、代謝症候群を患う被験者、代謝症候群及び若年性冠動脈疾患の家族歴を有する被験者を、研究において同定及び登録した。研究において、被験者を以下の治療群:プラセボ;キナプリル(20mg/日)、αリポ酸(300mg/日)、又はキナプリル(20mg/日)とαリポ酸(300mg/日)に、二重盲に無作為選抜した。12週間の期間、別々の錠剤で治療薬を投与し、そして被験者を6週間及び12週間治療した。これらの期間で血液を採取し、そして、酵素免疫測定法(ELISA)を用いて可溶性PAI−1及びVCAM−1の血中濃度を測定した。さらには、上記の高解像度超音波技術を用いた、上腕動脈の流量依存性拡張(FMD)により、各々の被験者の内皮機能を決定した。
【0106】
この研究からの結果の解析によると、キナプリル(20mg/日)とαリポ酸(300mg/日)の共投与が、被験者の炎症マーカーであるPAI−1及びVCAM−1の血中濃度を低下させたことが観察された(それぞれ、図4及び図5)。特に、治療の4週間後に、血中PAI−1濃度(ng/dL)が、キナプリル、リポ酸、及びキナプリル/リポ酸治療群において、それぞれ、22%、21%、及び40%減少した(図4参照;基準からp<0.01;キナプリル又はリポ酸からp<0.01)。さらには、キナプリルとαリポ酸との共投与がまた、被験者の内皮機能を著しく改善した(図6;()0週目の基準からp<0.01)。併せると、これら結果は、従って、代謝症候群、及び冠動脈疾患の家族歴を有する被験者の炎症の程度及び内皮機能を有意に改善したことを示している。
【0107】
実施例8−脳卒中に対する組み合わせ治療の効果
脳卒中に対するαリポ酸及びACE阻害剤であるカプトプリルの共投与の効果を評価するために、通常のSDラットを、生理的食塩水の単独、又はαリポ酸5mgをカプトプリル0.5mgと組み合わせた組成物の特定量を用いて、まずは前処理した。試験グループの前記動物を、1mg/kg体重の組成物を与えた第一グループ、及び5mg/kg体重の組成物を与えた第二グループの、2つの独立したサブグループに分けた。その後、ラットの大脳動脈の閉塞によって、全てのグループに急性脳梗塞を引き起こした。閉塞後、各々のラットの脳梗塞の寸法を、リン画像定量(phosphoimaging quantification)により評価した。実験中、血圧を各々のラットの尾に記録した。
【0108】
これら実験結果の解析によると、αリポ酸とカプトプリルの共投与は、脳組織損傷を効果的に軽減したことが観察された。特に、αリポ酸とカプトプリルの共投与は、ラットの血圧に有意に影響することなく、1mg/kg及び5mg/kgの投与量で梗塞の容量を有意に減少した(表6)。また、前述の結果は、従って、αリポ酸及びカプトプリルの有効量を含有する組成物の共投与が、脳卒中を治療する方法において効果的に使用され得ることを示している。

【0109】
本明細書全体を通して、種々の参照文献が言及された。全てのその参照文献は、参照により本願明細書に組み込まれており、下記リストに記載される参照文献を包含する。

参照文献
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本発明の種々の詳細は、本願明細書に開示される主題事項の目的から逸脱することなく変えることができる。さらには、前述の記載は、例示目的のためのみであり、限定目的ではない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
レニン−アンジオテンシン−アルドステロン系阻害剤、並びに、下記式(I):


(式中、
mは、1又は2の整数であり;及び
nは、1ないし5の整数である)
及び式(II):


(式中、
pは、1又は2の整数であり;
qは、1ないし5の整数であり;
は、H、メチル基、NO、及びアセチル基から成る群より選択され;及び
は、H、メチル基、及び第三ブチル基から成る群より選択される)
から成る群より選択されるリポ酸化合物又は又はそれらの医薬的に許容され得る塩或いは溶媒和物
を含有する組成物。
【請求項2】
mは2である、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
nは、2ないし5の整数である、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
前記レニン−アンジオテンシン−アルドステロン系阻害剤は、アンジオテンシン変換酵素阻害剤及びアンジオテンシンII受容体遮断剤から成る群より選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
前記レニン−アンジオテンシン−アルドステロン系阻害剤は、ベナゼプリル、カプトプリル、シラザプリル、エナラプリル、エナラプリラート、フォシノプリル、リシノプリル、モエキシプリル、ペリンドプリル、キナプリル、ラミプリル、トランドラプリル、及びゾフェノプリルから成る群より選択されるアンジオテンシン変換酵素阻害剤である、請求項4に記載の組成物。
【請求項6】
前記レニン−アンジオテンシン−アルドステロン系阻害剤は、カンデサルタン、エプロサルタン、イルベサルタン、テルミサルタン、バルサルタン、ロサルタン、及びオルメサルタンから成る群より選択されるアンジオテンシンII受容体遮断剤である、請求項4に記載の組成物。
【請求項7】
スタチンをさらに含有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項8】
前記スタチンは、アトルバスタチン、フルバスタチン、ロバスタチン、メバスタチン、ピタバスタチン、プラバスタチン、ロスバスタチン、及びシンバスタチンから成る群より選択される、請求項7に記載の組成物。
【請求項9】
抗炎症剤、脂肪酸吸収阻害剤、又はそれらの組み合わせをさらに含有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項10】
医薬的に許容され得るビヒクル、キャリヤー、又は賦形剤をさらに含有することを特徴とする、請求項1に記載の組成物。
【請求項11】
前記組成物は、徐放性製剤である、請求項1に記載の組成物。
【請求項12】
レニン−アンジオテンシン−アルドステロン系阻害剤、スタチン、並びに、下記式(I):


(式中、
mは、1又は2の整数であり;及び
nは、1ないし5の整数である)
及び式(II):


(式中、
pは、1又は2の整数であり;
qは、1ないし5の整数であり;
は、H、メチル基、NO、及びアセチル基から成る群より選択され;及び
は、H、メチル基、及び第三ブチル基から成る群より選択される)
から成る群より選択されるリポ酸化合物又は又はそれらの医薬的に許容され得る塩或いは溶媒和物
を含有する組成物。
【請求項13】
前記レニン−アンジオテンシン−アルドステロン系阻害剤は、アンジオテンシン変換酵素阻害剤及びアンジオテンシンII受容体遮断剤から成る群より選択される、請求項12に記載の組成物。
【請求項14】
前記レニン−アンジオテンシン−アルドステロン系阻害剤は、ベナゼプリル、カプトプリル、シラザプリル、エナラプリル、エナラプリラート、フォシノプリル、リシノプリル、モエキシプリル、ペリンドプリル、キナプリル、ラミプリル、トランドラプリル、及びゾフェノプリルから成る群より選択されるアンジオテンシン変換酵素阻害剤である、請求項13に記載の組成物。
【請求項15】
前記レニン−アンジオテンシン−アルドステロン系阻害剤は、カンデサルタン、エプロサルタン、イルベサルタン、テルミサルタン、バルサルタン、ロサルタン、及びオルメサルタンから成る群より選択されるアンジオテンシンII受容体遮断剤である、請求項13に記載の組成物。
【請求項16】
前記スタチンは、アトルバスタチン、フルバスタチン、ロバスタチン、メバスタチン、ピタバスタチン、プラバスタチン、ロスバスタチン、及びシンバスタチンから成る群より選択される、請求項12に記載の組成物。
【請求項17】
抗炎症剤、脂肪酸吸収阻害剤、又はそれらの組み合わせをさらに含有する、請求項12に記載の組成物。
【請求項18】
医薬的に許容され得るビヒクル、キャリヤー、又は賦形剤をさらに含有することを特徴とする、請求項12に記載の組成物。
【請求項19】
前記組成物は、徐放性製剤である、請求項12に記載の組成物。
【請求項20】
レニン−アンジオテンシン−アルドステロン系に関連した疾患の治療方法であって、前記治療を必要とする患者に対して、レニン−アンジオテンシン−アルドステロン系阻害剤、並びに、下記式(I):


(式中、
mは、1又は2の整数であり;及び
nは、1ないし5の整数である)
及び式(II):


(式中、
pは、1又は2の整数であり;
qは、1ないし5の整数であり;
は、H、メチル基、NO、及びアセチル基から成る群より選択され;及び
は、H、メチル基、及び第三ブチル基から成る群より選択される)
から成る群より選択されるリポ酸化合物又は又はそれらの医薬的に許容され得る塩或いは溶媒和物を含有する組成物の有効量を、投与することから成る、前記治療方法。
【請求項21】
前記レニン−アンジオテンシン−アルドステロン系阻害剤は、アンジオテンシン変換酵素阻害剤及びアンジオテンシンII受容体遮断剤から成る群より選択される、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記レニン−アンジオテンシン−アルドステロン系阻害剤は、ベナゼプリル、カプトプリル、シラザプリル、エナラプリル、エナラプリラート、フォシノプリル、リシノプリル、モエキシプリル、ペリンドプリル、キナプリル、ラミプリル、トランドラプリル、及びゾフェノプリルから成る群より選択されるアンジオテンシン変換酵素阻害剤である、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記レニン−アンジオテンシン−アルドステロン系阻害剤は、カンデサルタン、エプロサルタン、イルベサルタン、テルミサルタン、バルサルタン、ロサルタン、及びオルメサルタンから成る群より選択されるアンジオテンシンII受容体遮断剤である、請求項21に記載の方法。
【請求項24】
前記組成物はスタチンをさらに含有する、請求項20に記載の方法。
【請求項25】
前記スタチンは、アトルバスタチン、フルバスタチン、ロバスタチン、メバスタチン、ピタバスタチン、プラバスタチン、ロスバスタチン、及びシンバスタチンから成る群より選択される、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
抗炎症剤、脂肪酸吸収阻害剤、又はそれらの組み合わせをさらに含有する、請求項20に記載の方法。
【請求項27】
前記レニン−アンジオテンシン−アルドステロン系に関連した疾患は、高血圧症、真性糖尿病、真性糖尿病に関連した標的器官損傷、アテローム性動脈硬化症、冠動脈性心疾患、狭心症(アンギナ)、脳卒中、腎機能障害、レイノー病、代謝症候群、肥満、耐糖能異常障害、及び脂質異常症から成る群より選択される、請求項20に記載の方法。
【請求項28】
前記組成物を患者に投与することが、前記患者の血管の内皮機能を向上させる、請求項20に記載の方法。
【請求項29】
前記組成物を患者に投与することが、前記患者の炎症分子の濃度を低下させる、請求項20に記載の方法。
【請求項30】
前記炎症分子は、PAI−1、VCAM−1、レプチン、及びアディポネクチンから成る群より選択される、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記組成物を患者に投与することが、前記患者の低密度リポタンパク質の酸化の量を低下させる、請求項20に記載の方法。
【請求項32】
前記患者は哺乳類である、請求項20に記載の方法。
【請求項33】
前記哺乳類はヒトである、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
血管拡張の改善方法であって、前記方法を必要とする患者に対し、請求項1に記載の組成物の有効量を投与することから成る、前記方法。
【請求項35】
前記血管拡張は、流量依存性拡張である、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
タンパク尿の軽減方法であって、前記方法を必要とする患者に対し、請求項1に記載の組成物の有効量を投与することから成る、前記方法。
【請求項37】
前記タンパク尿は、患者においておよそ25%ないしおよそ75%だけを軽減させる、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
前記タンパク尿の軽減は、尿アルブミン量を低下させるか、血清クレアチニンに対する尿アルブミンの割合を低下させるか、或いは、尿アルブミン量及び血清クレアチニンに対する尿アルブミンの割合の双方を低下させることにより達成される、請求項36に記載の方法。
【請求項39】
インシュリン耐性の軽減方法であって、前記方法を必要とする患者に対し、請求項1に記載の組成物の有効量を投与することから成る、前記方法。
【請求項40】
前記インシュリン耐性は、およそ25%ないしおよそ75%だけ軽減させる、請求項39に記載の方法。
【請求項41】
患者のインシュリン受容体感受性を向上させる、請求項39に記載の方法。
【請求項42】
代謝症候群に関連した疾患の治療方法であって、前記方法を必要とする患者に対し、請求項1に記載の組成物の有効量を投与することから成る、前記方法。
【請求項43】
前記代謝症候群に関連した疾患は、肥満、高血圧症、耐糖能異常障害、及び脂質異常症から成る群より選択される、請求項42に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2012−510511(P2012−510511A)
【公表日】平成24年5月10日(2012.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−539496(P2011−539496)
【出願日】平成21年11月23日(2009.11.23)
【国際出願番号】PCT/US2009/006247
【国際公開番号】WO2010/065069
【国際公開日】平成22年6月10日(2010.6.10)
【出願人】(511133462)インヴアスク セラピューテイックス インコーポレイテッド (2)
【Fターム(参考)】