説明

レーザ加工装置

【課題】穴径や穴の深さが異なる複数種の穴を一括して高精度に形成させることができるレーザ加工装置を提供する。
【解決手段】ゾーンプレートアレイ5は、集光点における光強度と焦点距離との少なくとも一方が相互に異なる複数種のゾーンプレートを備え、レーザ光源4から放射されたレーザ光を前記ゾーンプレートで集光させ、搬送装置3で搬送される被加工基板2に穴開け加工を施す。ゾーンプレートの遮光部分(遮光輪帯)は、マスクを用いた金属蒸着によって形成できるから、複数種のゾーンプレートを高い光学的精度で形成することが容易で、径や深さの異なる複数種の穴を、高い精度で一括して開けることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レーザ光を被加工基板に照射して穴開け加工するレーザ加工装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、レーザ加工装置として、マイクロレンズアレイを使用してレーザビームを複数に分岐させて被加工基板に集光させることにより、多数の穴開けを一括して行うマイクロレンズ方式のレーザ加工装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第4199820号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、マイクロレンズアレイを形成する方法として、マイクロレンズ成形型に、紫外線硬化型の未硬化の透明樹脂を介してガラス基板を接着し、その後、紫外線を照射して前記透明樹脂を硬化させることによって、前記透明樹脂で光学面を成形させるフォトポリマー法と呼ばれる方法がある。
しかし、このようにして形成されるマイクロレンズアレイでは、集光点における光強度や焦点距離が異なる光学面をもつ複数種のマイクロレンズを同時に高精度に形成させることが難しく、マイクロレンズアレイを用いて、穴径や穴の深さが異なる複数種の穴を一括して高精度に形成させることは難しかった。
【0005】
そこで、本発明は、このような問題点に対処し、穴径や穴の深さが異なる複数種の穴を一括して高精度に形成させることができるレーザ加工装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明によるレーザ加工装置は、レーザ光を被加工基板に照射して穴開け加工するレーザ加工装置であって、前記被加工基板を一定方向に向けて搬送する搬送手段と、レーザ光を放射するレーザ光源と、前記レーザ光源から放射されたレーザ光を回折させて集光するゾーンプレートを、前記搬送手段による前記被加工基板の搬送方向と直交する方向に、前記被加工基板の穴開け位置に対応させて複数並設してなり、かつ、集光点における光強度と焦点距離との少なくとも一方が相互に異なる複数種のゾーンプレートを備えた、少なくとも1列のゾーンプレートアレイと、前記被加工基板の基準パターンを撮像する撮像手段と、前記ゾーンプレートアレイを前記被加工基板の搬送方向と直交する方向に変位させる変位手段と、前記撮像手段で撮像された画像に基づいて前記変位手段を駆動制御して、前記被加工基板の搬送方向と直交する方向における前記被加工基板と前記ゾーンプレートアレイとの相対位置を合わせる制御手段と、を備えたものである。
【0007】
このような構成により、搬送中の被加工基板の基準パターンを撮像し、この撮像画像に基づいてゾーンプレートアレイを被加工基板の搬送方向と直交する方向に変位させ、ゾーンプレートアレイ(ゾーンプレート)と被加工基板(穴開け位置)との位置合わせを行い、位置合わせが行われたゾーンプレートアレイ(ゾーンプレート)に対してレーザ光源からレーザ光を放射させ、レーザ光をゾーンプレートアレイの各ゾーンプレートで回折させて集光して被加工基板の穴開け位置に照射し、被加工基板に穴を開ける加工が行われる。
前記ゾーンプレートアレイは、集光点における光強度と焦点距離との少なくとも一方が相互に異なる複数種のゾーンプレートを備えるから、穴径と穴の深さとの少なくとも一方が異なる複数種の穴が一括して形成される。
【0008】
また、前記ゾーンプレートアレイは、前記ゾーンプレートのピッチを前記被加工基板における穴開け位置のピッチのn倍(nは2以上の整数)とし、かつ、前記ゾーンプレートの位置が相互に異なる複数のゾーンプレートアレイを含み、該複数のゾーンプレートアレイを、前記被加工基板の搬送方向に沿って並べ、穴開け加工を複数回に分けて行うようにした。
【0009】
これにより、被加工基板における穴開け位置のピッチのn倍(nは2以上の整数)のピッチでゾーンプレートを並べた複数のゾーンプレートアレイが、被加工基板の搬送方向に沿って並べられ、被加工基板を搬送しながら複数のゾーンプレートアレイそれぞれを用いた穴開け加工が順次行われる。
【0010】
また、前記ゾーンプレートアレイは、ゾーンプレートのピッチが前記被加工基板における穴開け位置のピッチのn倍(nは2以上の整数)に設定され、前記ゾーンプレートアレイの前記被加工基板の搬送方向の位置と前記搬送方向と直交する方向の位置との少なくとも一方を変えて、穴開け加工を複数回に分けて行うようにした。
【0011】
これにより、被加工基板における穴開け位置のピッチのn倍(nは2以上の整数)のピッチでゾーンプレートを並べたゾーンプレートアレイを用いた穴開け加工を、ゾーンプレートアレイの基板搬送方向の位置と基板搬送方向と直交する方向の位置との少なくとも一方を変えて複数回行わせる。
【0012】
また、前記ゾーンプレートアレイは、透明基板の表面に遮光膜を形成して構成され、かつ、前記透明基板を露出させた開口窓を有し、前記開口窓に前記ゾーンプレートの遮光部分と一体的にアライメントマークが形成され、前記撮像手段は、前記開口窓を介して前記基準パターンと前記アライメントマークとを同時に撮像するようにした。
【0013】
これにより、撮像手段は、ゾーンプレートの遮光部分と一体的にゾーンプレートアレイの開口窓に形成されたアライメントマークと、被加工基板の基準パターンとを同時に撮像し、アライメントマークと基準パターンとを撮像した画像に基づいて、被加工基板の搬送方向と直交する方向におけるゾーンプレートアレイと被加工基板との相対位置のずれを検出し、ゾーンプレートアレイを被加工基板の搬送方向と直交する方向に変位させることで、ゾーンプレートアレイ(ゾーンプレート)と被加工基板(穴開け位置)との位置合わせを行う。
【発明の効果】
【0014】
請求項1に係る発明によれば、ゾーンプレートアレイを、被加工基板の搬送方向に直交する方向に変位させて、ゾーンプレートアレイの各ゾーンプレートと、被加工基板の穴開け位置との位置合わせを行うので、被加工基板が蛇行しながら搬送されても、所望の位置に穴開け加工を施すことができる。また、ゾーンプレートアレイは、集光点における光強度と焦点距離との少なくとも一方が相互に異なる複数種のゾーンプレートを備えるから、穴径や穴の深さが異なる複数種の穴を一括して形成でき、また、ゾーンプレートは、マスクを用いて形成される遮光膜によって光学特性(集光点における光強度、焦点距離)を設定できるので、複数種のゾーンプレートを同一のアレイ上に高い光学的精度で設けることが容易である。
【0015】
また、請求項2に係る発明によれば、ゾーンプレートのピッチを穴開け位置のピッチのn倍(nは2以上の整数)に設定した複数のゾーンプレートアレイを組み合わせて用いることで、穴開け位置のピッチよりもゾーンプレートの径を大きくでき、広い領域のレーザ光を集光させて、効率良く穴開け加工を行える。
【0016】
また、請求項3に係る発明によれば、1個のゾーンプレートアレイの位置をずらして複数回にわたる穴開け加工を行わせるので、使用するゾーンプレートアレイの数が少なく、かつ、穴開け位置のピッチよりもゾーンプレートの径を大きくして、広い領域のレーザ光を集光させることができ、効率良く穴開け加工を行える。
【0017】
また、請求項4に係る発明によれば、ゾーンプレートアレイの開口窓に形成されたアライメントマークと、被加工基板の基準パターンとを同時に撮像することで、被加工基板の搬送方向と直交する方向における被加工基板の位置ずれを精度良く検出でき、また、前記アライメントマークがゾーンプレートの遮光部分と一体的に形成されることで、ゾーンプレートとアライメントマークとの相対位置を高精度に設定でき、これによって前記位置ずれの検出精度を更に向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明に係るレーザ加工装置の第1実施形態における装置構成を示す側面図である。
【図2】前記第1実施形態におけるゾーンプレートアレイのゾーンプレートと被加工基板の穴開け位置との相関を示す斜視図である。
【図3】前記第1実施形態におけるゾーンプレートアレイの構造を示す図であり、(a)は上面図、(b)は断面図である。
【図4】前記第1実施形態におけるゾーンプレートアレイの開口窓及びアライメントマークを示す上面図である。
【図5】前記第1実施形態におけるゾーンプレートアレイの開口窓及びアライメントマークを示す部分拡大上面図である。
【図6】前記第1実施形態における制御ユニットの構成を示すブロック図である。
【図7】前記第1実施形態におけるゾーンプレートアレイのアライメントマークと被加工基板の基準パターンとの相関を示す上面図である。
【図8】前記第1実施形態におけるゾーンプレートアレイのアライメントマークと被加工基板の基準パターンとが所期位置で重なった状態を示す部分拡大上面図である。
【図9】前記第1実施形態におけるゾーンプレートアレイのアライメントマークに対して被加工基板の基準パターンの位置がずれた状態を示す部分拡大上面図である。
【図10】前記第1実施形態におけるゾーンプレートアレイのアライメントマークと被加工基板の基準パターンとに基づくレーザ放射タイミングの検出処理を説明するための上面図である。
【図11】ゾーンプレートアレイを複数備えて穴開け加工を行う第2実施形態におけるゾーンプレートアレイの構成を示す図であり、(a)は被加工基板における穴開け位置を示す上面図、(b)は第1のゾーンプレートアレイを示す上面図、(c)は第2のゾーンプレートアレイを示す上面図である。
【図12】前記第2実施形態におけるレーザ加工装置の構成を示す側面図である。
【図13】前記第2実施形態におけるゾーンプレートアレイの別の構成例を示す図であり、(a)は被加工基板における穴開け位置を示す上面図、(b)は第1のゾーンプレートアレイを示す上面図、(c)は第2のゾーンプレートアレイを示す上面図、(d)は第3のゾーンプレートアレイを示す上面図である。
【図14】ゾーンプレートアレイを変位させて複数回の穴開け加工を行う第3実施形態におけるゾーンプレートアレイの位置変化を示す図であり、(a)はゾーンプレートアレイの基準位置SPを示す上面図、(b)はゾーンプレートアレイを基板搬送方向Aにずらした状態を示す上面図、(c)はゾーンプレートアレイを基板搬送方向Aに直交する方向にずらした状態を示す上面図、(d)はゾーンプレートアレイを基板搬送方向A及び基板搬送方向Aに直交する方向にずらした状態を示す上面図である。
【図15】前記第3実施形態における被加工基板の搬送経路を示す上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態を添付図面に基づいて詳細に説明する。
図1は本発明によるレーザ加工装置の実施形態を示す概要図である。このレーザ加工装置1は、後述する基準パターンが表面に形成された被加工基板2を搬送しながら、レーザ光による穴開けを行う装置であり、搬送装置(搬送手段)3と、レーザ光源4と、ゾーンプレートアレイ5と、撮像装置(撮像手段)6と、アライメント装置(変位手段)7と、制御ユニット(制御手段)8とを備える。
【0020】
前記被加工基板2は、例えば、逐次積層法により一層ずつ層を積み上げ、前記レーザ加工装置1によるレーザ加工によって微小径(例えば、直径30〜100μm程度)の層間接続ビア(穴)を形成するビルドアップ基板であり、ガラスエポキシ基板などを用いる。
【0021】
前記搬送装置3は、上面に被加工基板2を載置して一定方向(図1に示すA方向)に一定速度で搬送するものであり、上面に気体を噴出する多数の噴出孔と気体を吸引する多数の吸引孔とを有した複数の単位ステージ31〜33を、被加工基板2の搬送方向に沿って並設してある。
前記複数の単位ステージ31〜33は、気体の噴出と吸引とのバランスによって被加工基板2を所定量だけ浮かせた状態で、搬送ローラ34により被加工基板2の搬送方向の両端縁部を支持して搬送する。
【0022】
前記レーザ光源4は、前記搬送装置3で搬送される被加工基板2の上方に設けられ、例えば、YAG第3高調波レーザ(波長:355nm)を用いる。
上記レーザ光源4から放射されたレーザ光41は、ホモジナイザー42によって横断面内の強度分布が均一化された後、コンデンサーレンズ43によって平行光となって、ゾーンプレートアレイ5に照射される。
【0023】
前記ゾーンプレートアレイ5は、レーザ光源4から放射され、コンデンサーレンズ43によって平行光に変換されたレーザ光を、複数のゾーンプレートそれぞれで集光させるものであり、図2に示すように、前記搬送装置3による前記被加工基板2の搬送方向Aと直交する方向での穴開け位置MVに対応させて複数のゾーンプレート51を並設した少なくとも1列のゾーンプレート群を含んで構成され、距離Hを隔ててゾーンプレートアレイ5と被加工基板2とが平行に対向するようになっている。
【0024】
図2に示す例では、前記ゾーンプレートアレイ5は、縦横に3行・3列に並ぶ9個のゾーンプレート51を備え、これらに同時にレーザ光が照射され、前記被加工基板2に対して9個の穴(層間接続ビア)が同時に開けられるようになっている。
但し、ゾーンプレートアレイ5におけるゾーンプレート51の数・配置を、図2に示したものに限定するものではなく、穴開け位置及び1ショットで穴開けを行う穴数に応じて、ゾーンプレートアレイ5におけるゾーンプレート51の配置・数は適宜設定され、少なくとも基板搬送方向Aに直交する方向に複数のゾーンプレート51を並べた少なくとも1列のゾーンプレート群を備えるものであればよい。
【0025】
前記ゾーンプレート51は、回折によって光を集光させる光学素子(回折光学素子)であり、図3に示すように、光が通るリング状の透過部分(図3の白抜きの部分:間隔輪帯)と光が通らないリング状の遮光部分(図3の黒の塗り潰し部分:遮光輪帯、物質輪帯)とを同心円上に交互に並べたものであり、前記リングの形状は、使用するレーザ光の波長、加工する穴の径や深さ、ゾーンプレート51と被加工基板2との距離Hなどに応じて決定される。
本実施形態では、径や深さが異なる複数種の穴を一括して加工するために、前記ゾーンプレートアレイ5は、集光点における光強度と焦点距離との少なくとも一方が相互に異なる複数種のゾーンプレート51を備えており、穴開け位置毎の径・深さの要求に応じて前記複数種のゾーンプレート51を配置している。
【0026】
ゾーンプレート51における集光点における光強度は、同心円に並べられる遮光部分(遮光輪帯)の数の二乗に略比例し、集光点における光強度を異ならせることで、開けられる穴の深さを異なることができる。また、ゾーンプレート51における焦点距離は、レーザ光源4の波長に対する遮光部分(遮光輪帯)の径によって決定され、焦点距離が異なるゾーンプレート51間では、加工される穴の径が異なることになる。
尚、図2では、遮光部分(遮光輪帯)の径・数が異なる複数種のゾーンプレート51を図示する一方、後述する図4,7,10,11,13,14では、ゾーンプレート51の図示を簡略化し、ゾーンプレート51を1種類に記載したが、図2と同様に、ゾーンプレートアレイ5は複数種のゾーンプレート51を備えているものとする。
【0027】
前記ゾーンプレート51の遮光部分は、図3(b)に示すように、透明基板51aの表面に反射膜(遮光膜)51bを積層させて形成され、例えば、前記YAG第3高調波レーザを用いる本実施形態では、合成石英基板を前記透明基板51aとして用い、この合成石英基板の表面にアルミニウム製の反射膜51bを形成し、遮光部分を形成している。
前記反射膜51bは、例えば、レーザ光を透過させる部分をマスクで覆った透明基板51aに、蒸着によって金属(例えばアルミニウム)を付着させて形成される。
【0028】
また、図4に示すように、前記ゾーンプレートアレイ5の基板搬送方向Aの手前側の端部には、基板搬送方向Aに直交する方向に細長い開口窓52が設けられており、前記開口窓52は、ゾーンプレート51における光が通るリング状の部分と同様に、開口窓52の形成領域をマスク領域として反射膜51bを付着させずに、透明基板51aを露出させることで形成される。
前記開口窓52の長手方向の中央付近には、前記アライメント装置7を用いたゾーンプレートアレイ5と被加工基板2との位置合わせ処理において、ゾーンプレートアレイ5に対する被加工基板2の基板搬送方向Aと直交する方向での位置ずれを検出するためのアライメントマーク53が形成されている。
【0029】
前記アライメントマーク53は、図4,図5に示すように、前記反射膜51bで形成される3本の細線53a〜53cで構成され、被加工基板2の基板搬送方向Aを上下方向として見た場合に「N」の形になるように形成される。
即ち、細線53a及び細線53bは、基板搬送方向Aと平行に形成され、かつ、細線53aと細線53bとの間隔は、開口窓52の基板搬送方向での幅Wに略等しくなるように形成され、前記細線53cは、細線53aの基板搬送方向A手前側の端部と、細線53bの基板搬送方向A奥側の端部とを結ぶように形成される。
【0030】
上記のように、ゾーンプレートアレイ5における各ゾーンプレート51(透過部分及び遮光部分),開口窓52及びアライメントマーク53は、これらの形状に合わせて形成されるマスクを用いて透明基板51aに反射膜51bを蒸着することで形成され、ゾーンプレート51の遮光部分、及び、アライメントマーク53は、同じ反射材料によって一体的に形成される。
【0031】
前記撮像装置6は、前記ゾーンプレートアレイ5(開口窓52)を挟んで被加工基板2と対向する位置に設けられている。
前記撮像装置6は、基板搬送方向Aに直交する方向に沿って複数の受光素子6aを一直線状に並べたラインセンサ(ラインCCD)であり、図4に点線で示すように、各受光素子6aの光軸が、前記開口窓52の基板搬送方向Aでの幅Wの略中央部を通るように配置され、更に、受光素子6aの並び方向の長さLPHが、前記アライメントマーク53の基板搬送方向Aに直交する方向での全幅WZよりも長く、基板搬送方向Aに直交する方向に平行な1次元でアライメントマーク53の全体が前記撮像装置6で撮像されるようになっている。
【0032】
更に、詳細には、撮像装置6における受光素子6aの並びは、アライメントマーク53の各細線53a〜53cの基板搬送方向Aでの中央位置を横切るように設定され、常時、各細線53a〜53cの基板搬送方向Aにおける中央位置からの反射光を受光し、アライメントマーク53からの反射光を受光しない受光素子6aは、被加工基板2の表面からの反射光を受光するように構成されている。
【0033】
前記撮像装置6は、撮像領域を照明するための照明光源61と、該照明光源61から放射される光を屈折させて前記開口窓52を介して下方の被加工基板2に照射させるためのハーフミラー62とを含み、前記アライメントマーク53からの反射光及び被加工基板2からの反射光は、前記ハーフミラー62を透過して各受光素子6aに受光される。
前記アライメント装置7は、ゾーンプレートアレイ5を基板搬送方向Aに直交する方向に変位させる装置であり、例えば、ゾーンプレートアレイ5を基板搬送方向Aに直交する方向に変位させるステージ及びモータを備えている。
【0034】
前記制御ユニット8は、前記撮像装置6の撮像信号を入力し、また、前記搬送装置3,レーザ光源4,アライメント装置7に駆動制御信号を出力する。
図6は、前記制御ユニット8の構成を示すブロック図であり、画像処理部81と、メモリ82と、演算部83と、搬送装置駆動コントローラ84と、アライメント装置駆動コントローラ85と、レーザ光源駆動コントローラ86と、制御部87と、を備えている。
【0035】
ここで、画像処理部81は、撮像装置64により撮像された一次元画像をリアルタイム処理することで、撮像装置6の複数の受光素子6aの並び方向における輝度変化を検出して、被加工基板2に設定される後述の基準パターンとゾーンプレートアレイ5のアライメントマーク53との重なりの様子を検知するものである。
また、メモリ82は、各種演算データや基準値などを記憶する。
更に、演算部83は、画像処理部81での処理結果から、被加工基板2側の基準パターンとゾーンプレートアレイ5のアライメントマーク53との間の位置ずれ量などを演算するものである。
【0036】
そして、搬送装置駆動コントローラ84は、被加工基板2が一定速度で搬送されるように、所定周期のパルスにより搬送装置3の駆動を制御するものである。
また、アライメント装置駆動コントローラ85は、被加工基板2側の基準パターンと、ゾーンプレートアレイ5のアライメントマーク53との間の位置ずれ量に基づいてアライメント装置7を駆動して、ゾーンプレートアレイ5を基板搬送方向Aと直交する方向に変位させ、前記ずれ量の解消を図る。
更に、レーザ光源駆動コントローラ86は、レーザ光源4の点灯及び消灯を制御するものである。
そして、制御部27は、上記各構成要素が適切に動作するように全体を統合して制御するものである。
【0037】
上記構成の制御ユニット8では、撮像装置6により同時に撮像された、被加工基板2側の基準パターン及びゾーンプレートアレイ5のアライメントマーク53の一次元画像をリアルタイム処理して、基板搬送方向Aと直交する方向への被加工基板2の位置ずれを検出し、該位置ずれ量に基づいてアライメント装置7を駆動して、ゾーンプレートアレイ5を基板搬送方向Aに直交する方向に変位させ、被加工基板2とゾーンプレートアレイ5とを基板搬送方向Aに直交する方向において位置合わせする。
【0038】
更に、前記制御ユニット8では、前記被加工基板2側の基準パターン及びゾーンプレートアレイ5のアライメントマーク53の一次元画像からレーザ放射タイミングを検出し、レーザ放射タイミングにおいてレーザ光源2を点灯して、レーザ光をゾーンプレートアレイ5に照射させるように制御する。
【0039】
ここで、前記制御ユニット8によるアライメント装置7の駆動制御を詳細に説明する。
図7に示すように、基板搬送方向Aに直交する方向におけるゾーンプレートアレイ5と被加工基板2との相対位置が正規の位置であるときに、前記アライメントマーク53の細線53aと細線53bとで挟まれる領域の中間を通り、前記細線53cの中間を横切るように設定された、基板搬送方向Aに沿って延設される細長い線状の基準パターン21が、被加工基板2に形成されている。
前記基準パターン21は、配線パターンを兼ねるものであっても良いし、塗料などで描かれた細線であってもよいが、被加工基板2の表面よりも反射率が高いことが好ましい。
【0040】
基板搬送方向Aに直交する方向におけるゾーンプレートアレイ5と被加工基板2との相対位置が正規位置の場合、図8に示すように、基準パターン21が、細線53cの中間を横切ることで、撮像装置6の各受光素子6aは、アライメントマーク53からの反射光のみを受光する状態に近似する受光状態となる。
即ち、細線53aからの反射光を受光する受光素子6aと、細線53bからの反射光を受光する受光素子6aとで受光強度が高くなり、かつ、これらの受光素子6aの略中間に位置する受光素子6aでも受光強度が高くなり、3点で受光強度が高くなる。
【0041】
これに対し、基板搬送方向Aに直交する方向におけるゾーンプレートアレイ5と被加工基板2との相対位置が正規位置からずれると、図9に示すように、細線53cの中間と基準パターン21とが重ならなくなることで、アライメントマーク53からの反射光を受光する受光素子6a以外の受光素子6aが、基準パターン21からの反射光を受光することになって、基準パターン21からの反射光を受光した受光素子の位置によって、ずれ方向及びずれ量が検出される。
【0042】
即ち、位置ずれがない場合に、3点で高い受光強度を検出するのに対し、位置ずれが発生すると、4点で高い受光強度を検出することになり、細線53cからの反射光を受光する受光素子6aと、基準パターン21からの反射光を受光した受光素子6aとの位置の違いが、アライメントマーク53に対する基準パターン21の位置ずれ、引いては、基板搬送方向Aに直交する方向におけるゾーンプレートアレイ5に対する被加工基板2の位置ずれを示すことになる。
【0043】
尚、被加工基板2が基板搬送方向Aに直交する方向に最大に位置ずれしても、基準パターン21が細線53a,53bで挟まれる領域内を外れないように、アライメントマーク53の大きさ及び搬送精度が設定されているものとする。
また、基準パターン21は、基板搬送方向Aに沿って断続的に設けられてもよく、また、前記撮像装置6によって、基準パターン21の一方の側縁の位置(反射光量がステップ的に変化する位置)を検出する構成とすることができ、係る構成の場合、基準パターン21は細線状である必要はなく、例えば、線53aと細線53bとの間隔の半分以上の幅を有するようにものであってもよい。
【0044】
基板搬送方向Aに直交する方向におけるゾーンプレートアレイ5と被加工基板2との相対位置のずれ方向及びずれ量が検出されると、前記制御ユニット8は、前記ずれが解消されるように、ずれ方向及びずれ量に応じて前記アライメント装置7を駆動するフィードバック制御を行う。
上記のアライメント装置7のフィードバック制御は、被加工基板2の搬送中に繰り返し実行され、基板搬送方向Aに直交する方向におけるゾーンプレートアレイ5と被加工基板2との相対位置のずれが逐次修正されるようになっている。
【0045】
また、図10に示すように、基板搬送方向Aに直交する方向に長い線状の照射タイミング用基準パターン22を検出することで、レーザ光源4の放射タイミングを検出するようになっていて、以下では、前記放射タイミングの検出処理を詳述する。
前記基準パターン22は、基準パターン21に直交する細線パターンであり、被加工基板2の搬送速度において、照射インターバルに相当する距離LDだけ基板搬送方向Aに離れて複数設けられている。
【0046】
前記基準パターン22が撮像装置6の受光素子ラインに重なると、所定強度を超える反射光を受光する受光素子6aの数がステップ的に増えることで、撮像装置6が基準パターン22を撮像したことが検出される。
【0047】
ここで、撮像装置6の受光素子ラインから、ゾーンプレートアレイ5のゾーンプレート51群の基準位置αまでの距離LZが既知で、また、前記基準パターン22から被加工基板2において1ショットで同時に穴開けを行う領域の基準位置βまでの距離LHが既知で、基準パターン22を検出した時点から、被加工基板2がLZ−LHの距離LTだけ搬送された時点で、前記ゾーンプレートアレイ5側の基準位置αと被加工基板2側の基準位置βとが重なり、この時点でレーザ光を放射させて穴開けを行えば、基準位置βに基づき予め決められている位置に穴を開けることができる。
【0048】
前記被加工基板2は、一定速度で搬送されるから、撮像装置6が基準パターン22を撮像した時点から、前記距離LTだけ被加工基板2が搬送される時間だけ後の時点が、レーザ光の放射タイミングとなり、制御ユニット8は、前記放射タイミングを検出すると、その時点で、レーザ光源4からのレーザ放射を行わせる。
尚、前記基準パターン22は、前記基準パターン21と同様に、配線パターンを兼ねるものであっても良いし、塗料などで描かれたものであってもよいが、被加工基板2の表面よりも反射率が高いことが好ましい。
【0049】
また、基準パターン22を設ける間隔を、照射インターバルに相当する距離LDのn分の1(nは2以上の整数)として、基準パターン22をn回検出する毎に1回の割合でレーザ照射を行わせることができる。
また、基準パターン21,22は、基板搬送方向Aに直交する方向での被加工基板2の幅の中央付近に設ける必要はなく、被加工基板2の側縁付近に設けてもよく、更に、基準パターン21と基準パターン22とを、相互に交差することなく個別に設けるようにしても良い。
【0050】
上記実施形態によると、前記ゾーンプレート51のピッチ精度は、反射膜(遮光膜)51bの形成に用いるマスクの精度によって決まるため、複数のマイクロレンズを並設するマイクロレンズアレイを用いる場合に比べて、ゾーンプレートアレイ5を用いる構成では、穴開け位置のピッチ精度が高くなる。
また、穴開け加工に伴って被加工基板2から反応生成物が発生しても、ゾーンプレートアレイ5の反射膜(遮光膜)51bが設けられる面を、レーザ光源4側に向けて設置すれば、ゾーンプレートアレイ5の被加工基板2と対向する面は平らとなり、凸凹がないことで反応生成物が付着し難く、また、付着した反応生成物を容易に洗浄できる。
【0051】
また、ゾーンプレートアレイ5の反射膜(遮光膜)51bが設けられる面を、被加工基板2に対向させる配置とした場合であっても、反射膜(遮光膜)51bの厚さは、例えば0.2ミクロン程度の薄いものであるため、マイクロレンズアレイに比べて凸凹が大幅に小さく、マイクロレンズアレイに比べて反応生成物が付着し難く、また、付着した反応生成物を容易に洗浄できる。
更に、ゾーンプレート51の光を通さないリング状の部分に反応生成物が付着しても、集光性能に影響を及ぼさない。
【0052】
また、ゾーンプレートアレイ5の反射膜(遮光膜)51bの向きを、レーザ光源4側・被加工基板2側のいずれに設定した場合も、ゾーンプレート51の光が通るリング状の部分に反応生成物が付着する可能性があるが、係る付着物による集光性能への影響は、光を屈折させるマイクロレンズに比べて小さい。
従って、ゾーンプレートアレイ5を用いる本実施形態のレーザ加工装置1では、マイクロレンズアレイを用いるレーザ加工装置に比べて、反応生成物による加工性能・加工精度の低下を抑制することができる。
【0053】
また、本実施形態では、ゾーンプレートアレイ5が、集光点における光強度と焦点距離との少なくとも一方が相互に異なる複数種のゾーンプレート51を備えるから、径と深さとの少なくとも一方が異なる複数種の穴を一括して開けることができ、更に、前記複数種のゾーンプレート51における集光点での光強度や焦点距離は、ゾーンプレート51を構成するリング状の遮光部分(遮光輪帯)によって決定され、前記遮光部分(遮光輪帯)は、マスクを用いた金属蒸着によって形成されるから、前記複数種のゾーンプレート51を高い光学的精度で形成することが容易で、径や深さの異なる複数種の穴を、高い精度で一括して開けることができる。
【0054】
また、前記被加工基板2を前記搬送装置3で搬送させながら、被加工基板2にレーザ光で穴開け加工する場合に、搬送中の被加工基板2が蛇行すると、基板搬送方向Aに直交する方向におけるゾーンプレートアレイ5と被加工基板2との相対位置がずれ、これによって、穴開けの位置がずれてしまう。
これに対し、本実施形態では、前記相対位置のずれを検出して、ゾーンプレートアレイ5の基板搬送方向Aに直交する方向における位置を、搬送中の被加工基板2に合わせるように変位させるので、被加工基板2の蛇行に伴う穴開け位置のずれを抑制できる。
また、被加工基板2が穴開け加工位置の直前にまで搬送された時点で相対位置のずれを検出し、検出された位置ずれに対応する位置修正を実行するから、穴開け時における位置ずれを充分に小さくすることができる。
【0055】
更に、上記実施形態によると、ゾーンプレートアレイ5に設けたアライメントマーク53と、被加工基板2側の基準パターン21とを同時に撮像し、アライメントマーク53と基準パターン21とのずれを検出するので、ゾーンプレートアレイ5と被加工基板2との相対位置のずれを精度良く検出できる。即ち、アライメントマーク53と基準パターン21とを同時に撮像すれば、アライメントマーク53からの反射光を受光している受光素子6aを基準に、基準パターン21からの反射光を受光した受光素子6aを判断するため、撮像装置6の受光素子6aのラインが基板搬送方向Aに直交する方向にずれても、被加工基板2の位置ずれの検出精度を維持できる。
尚、アライメントマーク53と基準パターン21との基板搬送方向Aに直交する方向における位置をずらし、アライメントマーク53と基準パターン21とが重なることなく、撮像装置6の受光素子ラインで同時に撮像されるよう構成することができる。
【0056】
ところで、ゾーンプレート51の径を大きくしてより広い範囲のレーザ光を集光させれば、効率良く穴開けを行わせることができるが、ピッチの狭い複数の穴を1度のレーザ照射で開けようとすると、穴開けピッチに制限されてゾーンプレート51の径を小さくする必要が生じ、効率の良く穴開け加工を行わせることができない。
【0057】
そこで、以下に示す第2実施形態では、相互に隣接する一群の穴を複数回に分けて加工することで、ゾーンプレート51の径を穴開けピッチよりも大きくできるようにする。
図11は、第2実施形態で用いるゾーンプレートアレイ5と、被加工基板2の穴開け位置とを示す。
【0058】
ここでは、図11(a)に示すように、7×6の42個の穴を開ける場合を例とし、縦横方向における穴開け位置のピッチは全てPMVに設定されているものとする。
この場合、1度のレーザ照射で全ての穴を開けようとすると、ゾーンプレート51の径を前記穴ピッチPMV以下に設定することになる。
これに対し、図11に示す例では、前記42個の穴を2回に分けて開ける構成とし、各回の穴開け加工で用いるゾーンプレートアレイ5として、図11(b),(c)に示す2種類のゾーンプレートアレイ5a,5bを用意する。
【0059】
図11(b)に示した第1ゾーンプレートアレイ5aは、図11(a)における左上隅の穴HSを基点とする縦横に1個置きの穴、及び、前記基準穴HSの右斜め下の穴HSOを基点とする縦横に1個置きの穴に対応して、21個のゾーンプレート51を配置したものである。
また、図11(c)に示した第2ゾーンプレートアレイ5bは、前記穴HSの右隣の穴HSRを基点とする縦横に1個置きの穴、及び、前記穴HSの下に隣接する穴HSLを基点とする縦横に1個置きの穴に対応して、21個のゾーンプレート51を配置したものである。
【0060】
従って、各ゾーンプレートアレイ5a,5bは相互に異なる穴開け位置に対応し、かつ、縦横方向に直線的に並ぶゾーンプレート51間のピッチは、穴ピッチPMVの2倍に設定され、また、ゾーンプレート51の径は、穴ピッチPMVよりも大きく穴ピッチPMV×21/2以下に設定される。
【0061】
上記の2種類のゾーンプレートアレイ5a,5bを用いて穴開けを行わせる場合、図12に示すように、レーザ光源4,ゾーンプレートアレイ5,撮像装置6及びアライメント装置7などからなる穴開けユニット101を、基板搬送方向に沿って2個101a,101b並設し、一方の穴開けユニット101aには第1ゾーンプレートアレイ5aを装着させ、他方の穴開けユニット101bには第2ゾーンプレートアレイ5bを装着させる。
そして、先に穴開けユニット101bによって21個の穴開けが行われた領域が、穴開けユニット101aの加工領域に達すると再度の21個の穴開け加工を施し、穴開けユニット101bで開けられた穴の間に、穴開けユニット101aによって更に穴を開けて、図11(a)に示したような穴ピッチPMVの42個の穴を開ける。
【0062】
上記では、穴開け位置の異なる2種類のゾーンプレートアレイ5a,5bを用意し、これらを2個の穴開けユニット101a,101bにそれぞれ装着させたが、例えば、図13に示すように、図11(c)に示したゾーンプレートアレイ5bによって開けられる穴を、2つのゾーンプレートアレイ5-1b,5-2bを用いて2回に分けて穴開けさせるようにし、3種類のゾーンプレートアレイ5a,5-1b,5-2bをそれぞれ装着する3個の穴開けユニット101を、基板搬送方向Aに沿って並設させることができる。
【0063】
前記ゾーンプレートアレイ5-1bは、前記穴HSの右隣の穴HSRを基点とする縦横に1個置きの穴に対応して、12個のゾーンプレート51を配置したものであり、ゾーンプレートアレイ5-2bは、前記穴HSの下に隣接する穴HSLを基点とする縦横に1個置きの穴に対応して、9個のゾーンプレート51を配置したものであり、いずれも、縦横方向に直線的に並ぶゾーンプレート51間のピッチは、穴ピッチPMVの2倍に設定される。
【0064】
上記図11及び図13に示した例では、縦横方向に直線的に並ぶゾーンプレート51間のピッチを、穴ピッチPMVの2倍に設定したが、3倍,4倍などに設定することが可能であり、縦横方向に直線的に並ぶゾーンプレート51間のピッチは、穴ピッチPMVのn倍(nは2以上の整数)に設定できる。
【0065】
上記のように、被加工基板2に開ける相互に隣接する穴を、複数回に分けて加工することで、穴のピッチPMVよりも大きなピッチでゾーンプレート51を並べたゾーンプレートアレイ5を用いて穴開け加工を行わせることができる。
そして、ゾーンプレートアレイ5におけるゾーンプレート51のピッチを大きくできれば、ゾーンプレート51の径を大きくして、より広い領域に照射されたレーザ光を集光させることができ、ゾーンプレート51のピッチが狭い(径が小さい)場合に比べて、レーザ強度を相対的に弱めても同等の穴開け加工を施すことができ、効率良く穴開け加工を行える。
【0066】
上記では、相互にゾーンプレート51の配置が異なる複数のゾーンプレートアレイ5と、これら複数のゾーンプレートアレイ5それぞれが装着される複数の穴開けユニット101とを設けることで、穴のピッチPMVよりも大きなピッチでゾーンプレート51を設けることができるようにした。
しかし、1個のゾーンプレートアレイ5による穴開け加工を、ゾーンプレートアレイ5と被加工基板2との相対位置を、基板搬送方向Aと基板搬送方向Aに直交する方向との少なくとも一方にずらして複数回行わせることによっても、穴のピッチPMVよりも大きなピッチでゾーンプレート51を設けることができ、係る構成とした第3実施形態を図14に示す。
【0067】
図14に示す例は、縦横に6個×6個=36個の穴を被加工基板2に開ける例であって、ゾーンプレートアレイ5としては、穴ピッチPMVの2倍のピッチで、縦横に3個×3個=9個のゾーンプレート51を並べたものを1個だけ用いる。
また、前記アライメント装置7が、基板搬送方向Aに直交する方向にゾーンプレートアレイ5を変位させると共に、基板搬送方向Aにもゾーンプレートアレイ5を変位させることが可能な所謂XYテーブルで構成されるものとし、更に、図15に示すように、所定回数(所定回数≧2回)に分けた穴開け加工が完了するまでは、1回の穴開け加工が終わる毎に、被加工基板2をレーザ加工装置1の上流側に戻して再度レーザ加工装置1に送り込むようにし、所定回数の穴開け加工が完了した被加工基板2については次工程に送り、入れ替わりに穴開け加工が1回も行われていない被加工基板2を新たにレーザ加工装置1に送り込むようにする。
【0068】
そして、例えば、最初の穴開け加工時には、図14(a)に示すように、基板搬送方向A及び基板搬送方向Aに直交する方向での基準位置SPにゾーンプレートアレイ5を位置合わせして、前記基準位置SPに対応する位置に被加工基板2が搬送された時点で、穴開け加工を行わせる。
この1回目の穴開け加工では、前記基準位置SPに最も近い位置の穴HSを基点として、穴ピッチPMVの2倍のピッチで縦横に3個×3個=9個の穴が開けられる。
【0069】
1回目の穴開け加工が終わった被加工基板2を、ゾーンプレートアレイ5の上流側に循環させ、2回目の穴開け加工を行わせるが、2回目においては、例えば図14(b)に示すように、ゾーンプレートアレイ5を前記基準位置よりも基板搬送方向Aの上流側に向けて穴ピッチPMVだけずらして配置し、穴開け加工を行わせる。
尚、2回目以降においても、被加工基板2が1回目と同じ位置まで搬送された時点でレーザ光放射を行わせるものとする。
この2回目の穴開け加工でも9個の穴が開けられるが、1回目に開けられた穴に対して、基板搬送方向Aの上流側に向けて穴ピッチPMVだけずれた位置に穴が開けられることで、2回目の穴開け加工が終了した時点では、基板搬送方向Aに沿って穴ピッチPMVで穴が6個並ぶ列が、基板搬送方向Aに直交する方向に穴ピッチPMVの2倍の間隔で3列並ぶことになる。
【0070】
2回目の穴開け加工が終わった被加工基板2を、ゾーンプレートアレイ5の上流側に再度循環させ、3回目の穴開け加工を行わせるが、3回目においては、例えば図14(c)に示すように、ゾーンプレートアレイ5を前記基準位置よりも基板搬送方向Aの直交する方向に基準位置SPから遠ざかるように穴ピッチPMVだけずらして配置し、穴開け加工を行わせる。
この3回目の穴開け加工でも9個の穴が開けられるが、この9個の穴は、2回目までに開けられた穴に対して、基板搬送方向Aの直交する方向に穴ピッチPMVだけずれた位置に開けられることになる。
【0071】
3回目の穴開け加工が終わった被加工基板2を、ゾーンプレートアレイ5の上流側に再度循環させ、4回目の穴開け加工を行わせるが、4回目においては、例えば図14(d)に示すように、ゾーンプレートアレイ5を前記基準位置よりも基板搬送方向Aの直交する方向に基準位置SPから遠ざかるように穴ピッチPMVだけずらして配置し、更に、ゾーンプレートアレイ5を前記基準位置SPよりも基板搬送方向Aの上流側に向けて穴ピッチPMVだけずらして配置し、穴開け加工を行わせる。
【0072】
この4回目の穴開け加工で開けられる9個の穴は、3回目に開けられた穴に対して、基板搬送方向Aの上流側に向けて穴ピッチPMVだけずれた位置に開けられることになるから、3回目及び4回目で開けられる穴は、基板搬送方向Aに沿って穴ピッチPMVで穴が6個並ぶ列が、基板搬送方向Aに直交する方向に穴ピッチPMVの2倍の間隔で3列並ぶことになり、かつ、これらの3例の穴群は、1回目及び2回目で開けられた穴に対して、基板搬送方向Aに直交する方向に穴ピッチPMVだけずれている。
【0073】
従って、4回目の穴開け加工が終了した時点では、穴ピッチPMVで縦横に6個×6個=36個が並ぶ穴が開けられていることになる。
このように、ゾーンプレートアレイ5の位置を基板搬送方向A及び基板搬送方向Aに直交する方向にずらして複数回の穴開け加工を行わせることによっても、穴ピッチPMVの2倍以上のピッチでゾーンプレート51を並べたゾーンプレートアレイ5を用いて、穴ピッチPMVの穴を加工することができる。
【0074】
尚、図14に示すように、ゾーンプレートアレイ5の位置をずらしながら穴開けを行わせる場合における、位置ずらしの順は、前述の(a)→(b)→(c)→(d)に限定されず、任意の順で4回の穴開け加工を行わせることができる。
また、ゾーンプレートアレイ5の位置を基板搬送方向A及び基板搬送方向Aに直交する方向にずらして複数回の穴開け加工を行わせる構成において、穴の数・配置は図14に示したものに限定されない。
【0075】
また、例えば、図14(a)の配置での穴開け加工と、図14(b)の配置での穴開け加工との組み合わせ、又は、図14(c)の配置での穴開け加工と、図14(d)の配置での穴開け加工との組み合わせによって、計18個の穴を開ける構成とすることができ、ゾーンプレートアレイ5の位置をずらす方向は、基板搬送方向A及び/又は基板搬送方向Aに直交する方向であればよい。
また、ゾーンプレートアレイ5の基板搬送方向Aでの位置をずらす代わりに、レーザ光の放射タイミングを、穴開け位置をずらす分だけ早めたり遅らせたりすることで、基板搬送方向Aにおける穴開け位置をずらすことができる。
【0076】
更に、ゾーンプレートアレイ5の位置をずらして行われる複数回の穴開け加工と、ゾーンプレート51の配置が相互に異なるゾーンプレートアレイ5それぞれによる穴開け加工を組み合わせて行わせることができる。
また、アライメントマーク53の形状をN型に限定するものではなく、例えば、基板搬送方向Aに沿った1本乃至2本以上の細線で構成してもよく、また、撮像装置6が2次元画像を撮像する構成であってもよい。
また、被加工基板2に、基板搬送方向Aに沿って透明部分が存在する場合には、前記透明部分に基準パターンを形成し、撮像装置6と照明光源61とを、ゾーンプレートアレイ5の開口窓52及び被加工基板2の透明部分を挟んで対向配置させることが可能である。
【符号の説明】
【0077】
1…レーザ加工装置
2…被加工基板
3…搬送装置(搬送手段)
4…レーザ光源
5…ゾーンプレートアレイ
6…撮像装置(撮像手段)
7…アライメント装置(変位手段)
8…制御ユニット(制御手段)
21,22…基準パターン
31〜33…単位ステージ
34…搬送ローラ
41…レーザ光
42…ホモジナイザー
43…コンデンサーレンズ
51…ゾーンプレート
52…開口窓
53…アライメントマーク
61…照明光源
62…ハーフミラー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーザ光を被加工基板に照射して穴開け加工するレーザ加工装置であって、
前記被加工基板を一定方向に向けて搬送する搬送手段と、
レーザ光を放射するレーザ光源と、
前記レーザ光源から放射されたレーザ光を回折させて集光するゾーンプレートを、前記搬送手段による前記被加工基板の搬送方向と直交する方向に、前記被加工基板の穴開け位置に対応させて複数並設してなり、かつ、集光点における光強度と焦点距離との少なくとも一方が相互に異なる複数種のゾーンプレートを備えた、少なくとも1列のゾーンプレートアレイと、
前記被加工基板の基準パターンを撮像する撮像手段と、
前記ゾーンプレートアレイを前記被加工基板の搬送方向と直交する方向に変位させる変位手段と、
前記撮像手段で撮像された画像に基づいて前記変位手段を駆動制御して、前記被加工基板の搬送方向と直交する方向における前記被加工基板と前記ゾーンプレートアレイとの相対位置を合わせる制御手段と、
を備えたレーザ加工装置。
【請求項2】
前記ゾーンプレートアレイは、前記ゾーンプレートのピッチを前記被加工基板における穴開け位置のピッチのn倍(nは2以上の整数)とし、かつ、前記ゾーンプレートの位置が相互に異なる複数のゾーンプレートアレイを含み、該複数のゾーンプレートアレイを、前記被加工基板の搬送方向に沿って並べ、穴開け加工を複数回に分けて行うことを特徴とする請求項1記載のレーザ加工装置。
【請求項3】
前記ゾーンプレートアレイは、ゾーンプレートのピッチが前記被加工基板における穴開け位置のピッチのn倍(nは2以上の整数)に設定され、
前記ゾーンプレートアレイの前記被加工基板の搬送方向の位置と前記搬送方向と直交する方向の位置との少なくとも一方を変えて、穴開け加工を複数回に分けて行うことを特徴とする請求項1記載のレーザ加工装置。
【請求項4】
前記ゾーンプレートアレイは、透明基板の表面に遮光膜を形成して構成され、かつ、前記透明基板を露出させた開口窓を有し、前記開口窓に前記ゾーンプレートの遮光部分と一体的にアライメントマークが形成され、
前記撮像手段は、前記開口窓を介して前記基準パターンと前記アライメントマークとを同時に撮像することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載のレーザ加工装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate


【公開番号】特開2011−161454(P2011−161454A)
【公開日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−23853(P2010−23853)
【出願日】平成22年2月5日(2010.2.5)
【出願人】(500171707)株式会社ブイ・テクノロジー (283)
【Fターム(参考)】