説明

ロボットおよびロボットシステム

【課題】 人との共同行為によってゴミを回収する目的を達成しかつ人との相互依存的および相互構成的な関係を築くことが可能なロボットおよびロボットシステムを提供することである。
【解決手段】 ゴミ箱ロボット100の制御用コンピュータ20は、本体部1の周囲に人を検出した場合には、本体回転用モータ23により人の方向に本体部1を向ける。予め記憶された複数の行為のうちいずれかをランダムに選択する。選択された行為を実行するようにディスプレイ11、音声合成装置22、スピーカ14、本体回転用モータ23および移動用モータ24を制御する。所望のゴミがゴミ収容部30内に投入された場合には、本体回転用モータ23により本体部1を人の方に向け、感謝の気持ちを本体部1の動き、スピーカ14による発話およぴディスプレイ11に表示された表情により表し、選択された行為の選択確率を増加させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゴミの回収を行うロボットおよびロボットシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ロボット関連産業の市場は大きく成長している。特に、家事、介護等の家庭および福祉分野におけるロボット市場は今後ますます拡大していくことが予想され、掃除ロボット(例えば特許文献1)のように用途に応じた機能を備えた生活支援ロボットが種々提案および開発されている。
【特許文献1】特開2003−299601号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
生活支援型のロボットとしてゴミを回収するロボットの開発も望まれる。このような生活支援ロボットの開発においては、ロボットが目的を達成する過程で人間の補助をできるだけ少なくするということが重要な課題の一つであった。すなわち、ロボットの存在価値は人の生活を便利にすることにあると考えられており、その価値を高めるための多種多様な機能を備えた自律型のロボットの開発が進められてきた。
【0004】
技術競争の激しい現代社会においては、優れた機能を有するロボットが開発されると、すぐにそれを上回る機能を有するロボットの開発が進められる。そして、さらに優れた機能を有する新たなロボットが開発された場合、人の興味はその新たなロボットに向けられ、それ以前のロボットの存在価値は薄れ廃棄される。
【0005】
上記のような技術開発サイクルは、大量生産および大量消費の現代社会においては必然的なものである。
【0006】
しかしながら、環境負荷の少ない循環型社会を構築するためには、上記のようなサイクルから脱却しなければならない。そのためには、廃棄されないロボットの開発が重要である。そこで、本発明者は、従来のロボットの問題点を次のように考えた。
【0007】
従来のロボットは、上記のように人にとって便利なものでなければならず、人とロボットとの関係は、使う者(人)と使われるもの(ロボット)であった。このような関係においては、ロボットは人からの一方的な要求に応えるためだけに存在し、人はロボットの存在価値を利便性によって評価するため、少しでも利便性に優れるロボットを求めてしまう。そのため、新しい機能を備えたロボットが開発されると、それまで使用されていた機能の劣るロボットは廃棄されてしまう。
【0008】
このような問題を解決するための方法としては、例えば、現在一般に市販されているペット型ロボットが備えるような様々な仕草を行う機能等を上記のような生活支援型ロボットにも備えることによって、人にロボットに対する愛着を持たせることが考えられる。
【0009】
しかしながら、人がペット型ロボットと関わってみると、なぜか寂しい気持ちになる。その原因の一つは、ロボットの行動があまりに自律的であり、人の存在を予定したものではないからである。その結果として、人とロボットとの社会的な繋がりを感じさせないことになる。
【0010】
もう一つは、人はロボットを社会的な存在と認識しつつも、ロボットは人を社会的な存在と認識しているわけではなく、ロボットにとって人は石ころと同様の障害物の一つにすぎない。このように、人とロボットとの関係は非対称性を有する。
【0011】
人とロボットとの共存を考えるとき、ロボットは自律すべきものという前提を再検討する必要がある。このように、人とロボットとの関係を再検討しない限り、単に生活支援型ロボットにペット型ロボットの機能を備えたとしても、人とロボットとは、使う者(人)と使われるもの(ロボット)との関係から脱することはできない。
【0012】
本発明の目的は、人との共同行為によってゴミを回収する目的を達成しかつ人との相互依存的および相互構成的な関係を築くことが可能なロボットおよびロボットシステムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
第1の発明に係るロボットは、ゴミ収容部を有する本体部と、音声出力による発話、表情の表示および本体部の動きの少なくとも1つの行為により意思を表現する表現手段と、本体部の周囲の人を検出する第1の検出手段と、第1の検出手段の検出結果を受け、表現手段を制御する制御手段とを備え、制御手段は、第1の検出手段により人が検出された場合に、表現手段によりゴミを拾うという人の行為を誘発するための行為を実行するものである。
【0014】
本発明に係るロボットにおいては、第1の検出手段により人が検出された場合に、ゴミを拾うという人の行為を誘発するための行為が表現手段により実行される。それにより、ゴミを拾うという人の行為が誘発される。
【0015】
このように、ロボットは、自らはゴミを拾うことができず、他者からの助力があって初めてゴミを回収することができる。したがって、ロボットと人との共同行為および互恵的行為の結果としてゴミを回収する目的が達成される。
【0016】
この場合、ロボットは、人の助力を得ることによりゴミを回収する機能を実現する存在として価値付けられる。同時に、人は、ロボットを助ける存在として価値付けられる。それにより、人とロボットとが相互に価値付け合いかつ存在の意味を相互に構成し合う。すなわち、人とロボットとの相互依存的および相互構成的な関係が築かれる。その結果、ロボットに対する愛着が醸成されるとともに社会的な繋がりが形成される。
【0017】
ロボットは、ゴミ収容部にゴミが投入されたことを検出する第2の検出手段をさらに備え、制御手段は、ゴミ収容部にゴミが投入されたことが第2の検出手段により検出された場合に、表現手段により人に対して応答行為を実行してもよい。
【0018】
この場合、ゴミ収容部にゴミが投入されたことが第2の検出手段により検出された場合に、表現手段により人に対して応答行為が実行される。それにより、人はゴミを拾った行為に価値を見出すことができる。
【0019】
制御手段は、表現手段によりゴミを拾うという人の行為を誘発するための行為を実行した後、ゴミ収容部にゴミが投入されたことが第2の検出手段により検出されない場合に、表現手段によりゴミを拾うという人の行為を誘発するための他の行為を選択的に実行してもよい。
【0020】
この場合、人がゴミを拾ってくれない場合に、ゴミを拾うという人の行為を誘発するための種々の行為を試行錯誤的に実行することにより、人にゴミを拾ってもらうための行為を学習することができる。それにより、ロボットは、ゴミ収納部にゴミを投入する志向的姿勢を人から確実に引き出すための行為を獲得することができる。その結果、人がロボットとの関わり合いを重ねるにつれて人とロボットとの相互依存的および相互構成的な関係が徐々に築かれ、ロボットに対する愛着が増すとともに、社会的な繋がりが強化される。
【0021】
制御手段は、ゴミを拾うという人の行為を誘発するための複数の行為と各行為の選択確率とを記憶し、複数の行為のうちいずれかをランダムに選択確率を反映して選択し、選択された行為を実行した後、ゴミ収容部にゴミが投入されたか否かに基づいて選択された行為の選択確率を更新してもよい。
【0022】
この場合、複数の行為と各行為の選択確率とが記憶される。記憶された複数の行為のいずれかが選択確率を反映してランダムに選択され、選択された行為が実行される。ゴミ収容部にゴミが投入されたか否かに基づいて選択された行為の選択確率が更新される。それにより、ロボットは人にゴミを拾ってもらうための行為を学習することができる。その結果、人がロボットとの関わり合いを重ねるにつれて人とロボットとの相互依存的および相互構成的な関係が徐々に築かれ、ロボットに対する愛着が増すとともに、社会的な繋がりが強化される。
【0023】
表現手段は、音声出力により発話を行う音声出力手段、表情を表す表示手段および本体部を動かす駆動手段の少なくとも1つを含んでもよい。
【0024】
この場合、音声出力手段による音声出力による発話、表示手段による表情の表示または駆動手段による本体部の動きにより、ロボットの意思が表現される。
【0025】
第2の発明に係るロボットシステムは、複数のロボットと、複数のロボットの各々を制御する制御手段とを備え、複数のロボットの各々は、ゴミ収容部を有する本体部と、音声出力による発話、表情の表示および本体部の動きの少なくとも1つの行為により意思を表現する表現手段と、本体部の周囲の人を検出する第1の検出手段とを備え、制御手段は、複数のロボットのいずれかの第1の検出手段により人が検出された場合に、各ロボットの表現手段の動作および/または複数のロボットの表現手段の連携した動作によりゴミを拾うという人の行為を誘発するための行為を実行するものである。
【0026】
本発明に係るロボットシステムにおいては、複数のロボットのいずれかの第1の検出手段により人が検出された場合に、各ロボットの表現手段の動作および/または複数のロボットの表現手段の連携した動作によりゴミを拾うという人の行為を誘発するための行為が実行される。それにより、ゴミを拾うという人の行為が誘発される。特に、複数のロボットの連携した動きによりゴミを拾ってあげようという人の行為が効果的に誘発される。
【0027】
このように、各ロボットは、自らはゴミを拾うことができず、他者からの助力があって初めてゴミを回収することができる。したがって、ロボットシステムと人との共同行為および互恵的行為の結果としてゴミを回収する目的が達成される。
【0028】
この場合、ロボットシステムは、人の助力を得ることによりゴミを回収する機能を実現する存在として価値付けられる。同時に、人は、ロボットシステムを助ける存在として価値付けられる。それにより、人とロボットシステムとが相互に価値付け合いかつ存在の意味を相互に構成し合う。すなわち、人とロボットシステムとの相互依存的および相互構成的な関係が築かれる。その結果、ロボットシステムに対する愛着が醸成されるとともに社会的な繋がりが形成される。
【0029】
複数のロボットの各々は、ゴミ収容部にゴミが投入されたことを検出する第2の検出手段をさらに備え、制御手段は、ゴミ収容部にゴミが投入されたことが第2の検出手段により検出された場合に、各ロボットの表現手段の動作および/または複数のロボットの表現手段の連携した動作により人に対して応答行為を実行してもよい。
【0030】
この場合、ゴミ収容部にゴミが投入されたことが第2の検出手段により検出された場合に、各ロボットの表現手段の動作および/または複数のロボットの表現手段の連携した動作により人に対して応答行為が実行される。それにより、人はゴミを拾った行為に価値を見出すことができる。
【0031】
制御手段は、ゴミを拾うという人の行為を誘発するための行為を実行した後、ゴミ収容部にゴミが投入されたことが第2の検出手段により検出されない場合に、各ロボットの表現手段の動作および/または複数のロボットの表現手段の連携した動作によりゴミを拾うという人の行為を誘発するための他の行為を選択的に実行してもよい。
【0032】
この場合、人がゴミを拾ってくれない場合に、ゴミを拾うという人の行為を誘発するための種々の行為を試行錯誤的に実行することにより、人にゴミを拾ってもらうための行為を学習することができる。それにより、ロボットシステムは、ゴミ収納部にゴミを投入する志向的姿勢を人から確実に引き出すための行為を獲得することができる。その結果、人がロボットシステムとの関わり合いを重ねるにつれて人とロボットシステムとの相互依存的および相互構成的な関係が徐々に築かれ、に対する愛着が増すとともに、社会的な繋がりが強化される。
【0033】
表現手段は、音声出力により発話を行う音声出力手段、表情を表す表示手段および本体部を動かす駆動手段の少なくとも1つを含んでもよい。
【0034】
この場合、音声出力手段による音声出力による発話、表示手段による表情の表示または駆動手段による本体部の動きにより、ロボットの意思が表現される。
【発明の効果】
【0035】
本発明によれば、人との共同行為によってゴミを回収する目的を達成しかつ人との相互依存的および相互構成的な関係を築くことが可能となる。その結果、ロボットに対する愛着が醸成されるとともに社会的な繋がりが形成される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0036】
図1は本発明の一実施の形態に係るゴミ箱ロボットの外観を示す模式図である。
【0037】
図1に示すように、ゴミ箱ロボット100は、円筒状の本体部1および円盤状の支持部2を備える。本体部1は、支持部2上に鉛直軸の周りで回転可能に設けられている。本体部1の内部がゴミ収容部30となる。
【0038】
本体部1の外周面には画像を表示するディスイプレ11が設けられている。ディスプレイ11は、例えば液晶ディスプレイである。このディスイプレ11には、顔が表示される。ゴミ箱ロボット100は、ディスイプレ11に表示される顔の表情を変化させることにより人に種々の感情を伝えることができる。
【0039】
ディスプレイ11の両側にはマイク12,13が設けられている。これらのマイク12,13によりゴミ箱ロボット100の周囲の人の音声を入力することができる。また、マイク12,13は、ステレオマイクとして機能する。マイク12,13に入力される音声の位相差に基づいて音源方向を認識することができる。
【0040】
本体部1の外周面の中央部にはスピーカ14が設けられている。ゴミ箱ロボットは、スピーカ14から音声を出力することにより人に対して発話することができる。
【0041】
本体部1の外周面の上部には、人物判別用カメラ15が設けられている。人物判別用カメラ15は、例えばCCD(電荷結合素子)カメラである。この人物判別用カメラ15は、ゴミ箱ロボット100の前方に存在する人物を撮像する。人物判別用カメラ15により得られた画像信号に基づいて顔領域探索技術によりゴミ箱ロボット100の前方における人の位置を検出することができる。
【0042】
本体部1の内周面の上端近傍には、ゴミ判別用カメラ16が設けられている。ゴミ判別用カメラ16は、例えばCCDカメラである。このゴミ判別用カメラ16は、本体部1のゴミ収容部30に投入されたゴミ等の物体を撮像する。ゴミ判別用カメラ16により得られた画像信号から画像認識技術によりゴミ収容部30に投入されたゴミの種類を判別することができる。
【0043】
本体部1の外周面の下部には、人を検出する複数の物体検出センサ19が設けられている。物体検出センサ19は、焦電型センサ、赤外線測距センサ等からなる。物体検出センサ19の出力信号に基づいてゴミ箱ロボット100の周囲における人または障害物の存在を検出することができる。
【0044】
支持部2の下面には、移動用の車輪17,18が設けられる。車輪17,18は支持部2に内蔵される後述の移動用モータ24(図2)により駆動される。ゴミ箱ロボット100は、物体検出センサ19の出力信号に基づいて障害物を回避しつつ車輪17,18により全方位に移動することができる。それにより、自律移動機構が実現される。
【0045】
また、ゴミ箱ロボット100は、支持部2に内蔵される後述の本体回転用モータ23(図2)により支持部2上の本体部1を回転させることができる。それにより、ゴミ箱ロボット100は、本体部1の動きにより感情または要求を表現することができる。
【0046】
図2は図1のゴミ箱ロボット100の制御系を示すブロック図である。
【0047】
ゴミ箱ロボット100は、制御用コンピュータ20、音声認識装置21、音声合成装置22、本体回転用モータ23および移動用モータ24を内蔵する。
【0048】
マイク12,13により得られる音声信号は、音声認識装置21に入力される。音声認識装置21は、マイク12,13により入力された音声信号に基づいて音声認識を行う。音声認識装置21の認識結果、人物判別用カメラ15により得られる画像信号、ゴミ判別用カメラ16により得られる画像信号および物体検出センサ19の出力信号は、制御用コンピュータ20に与えられる。
【0049】
制御用コンピュータ20は、CPU(中央演算処理装置)、メモリ等からなる。この制御用コンピュータ20は、音声認識装置21の認識結果、人物判別用カメラ15により得られる画像信号および物体検出センサ19の出力信号のいずれか1つまたは複数に基づいてゴミ箱ロボット100の周囲の人の位置を判別する。また、制御用コンピュータ20は、ゴミ判別用カメラ16により得られる画像信号に基づいてゴミ収容部30に投入されたゴミの種類を判別する。さらに、制御用コンピュータ20は、ディスプレイ11に顔を表示させる。また、制御用コンピュータ20は、音声合成装置22を用いて音声信号を合成し、スピーカ14から音声として出力することにより発話を行う。
【0050】
また、制御用コンピュータ20は、本体回転用モータ23および移動用モータ24を制御する。本体回転用モータ23が作動すると、図1の本体部1が支持部2に対して回転する。それにより、本体部1が首振り動作を行う。移動用モータ24が作動すると、図1の車輪17,18が回転する。また、車輪17,18は、移動用モータ24により任意の方向に向くことができる。それにより、ゴミ箱ロボット100が全方位に移動する。
【0051】
制御用コンピュータ20のメモリには制御プログラムが記憶される。この制御用コンピュータ20は、制御プログラムに従って後述の処理を実行する。
【0052】
図3は図1のゴミ箱ロボット100の動作を示すフローチャートである。ゴミ箱ロボット100は、制御用コンピュータ20のメモリに記憶された制御プログラムに従って動作する。
【0053】
ここで、制御用コンピュータ20のメモリには、ゴミ箱ロボット100の複数の行為が予め記憶されている。ゴミ箱ロボット100の行為は、本体部1の動き、スピーカ14による発話およびディスプレイ11に表示される顔の表情である。具体的には、メモリに、本体部1の複数の動きのパターン、スピーカ14による複数の発話内容およびディスプレイ11に表示される複数の表情が複数の行為として予め記憶される。複数の行為には、それぞれ選択確率が与えられている。初期状態では、複数の行為の選択確率は等しくなっている。
【0054】
また、制御用コンピュータ20は、音声認識装置21の認識結果、人物判別用カメラ15により得られる画像信号および物体検出センサ19の出力信号のいずれか1つまたは複数に基づいてゴミ箱ロボット100の周囲の人を検出するが、ここでは、物体検出センサ19の出力信号に基づいてゴミ箱ロボット100の周囲の人を検出するものとする。
【0055】
まず、ゴミ箱ロボット100の制御用コンピュータ20は、本体部1の周囲の人を物体検出センサ19により検出する(ステップS1)。このとき、例えば、本体回転用モータ23により、本体部1を左右に所定の角度回転させて周囲全体を見渡すことができるようにしてもよい。本体部1の周囲に人を検出しない場合には(ステップS2)、移動用モータ24によりゴミ箱ロボット100を移動させ(ステップS10)、ステップS1に戻る。この移動は、人のぶらぶら歩きのように方向がランダムに変化するように行われる。
【0056】
本体部1の周囲に人を検出した場合には(ステップS2)、本体回転用モータ23により人の方向に本体部1を向ける(ステップS3)。
【0057】
制御用コンピュータ20は、予め記憶された複数の行為のうちいずれかを乱数表を用いてランダムに選択する(ステップS4)。ここでは、選択確率が反映されるランダムな選択が行われるが、上記のように、初期状態では、複数の行為の選択確率が等しくなっている。
【0058】
次に、制御用コンピュータ20は、選択された行為を実行するようにディスプレイ11、音声合成装置22、スピーカ14、本体回転用モータ23および移動用モータ24を制御する(ステップS5)。
【0059】
例えば、本体回転用モータ23により本体部1を左右に回転させながら移動用モータ24により人に近づくように移動する。また、ディスプレイ11により親しみの表情を表す。さらに、スピーカ14により挨拶の言葉を発声し、ゴミを拾ってもらいたい旨の発話を行う。
【0060】
次いで、制御用コンピュータ20は、ゴミ判別用カメラ16により得られる画像に基づいて所望のゴミがゴミ収容部30内に投入されたか否かを判別する(ステップS6)。例えば、ゴミ収容部30が空き缶用である場合には、制御用コンピュータ20は、投入されたゴミが空き缶であるか否かを判別する。空き缶が投入されたか否かの判別は、制御用コンピュータ20が空き缶の向き等の各種状態に対応する形状を予め記憶し、ゴミ収容部30に投入された物体の画像と記憶された形状とのマッチングを取る等のパターン認識技術を用いることにより行うことができる。
【0061】
所望のゴミがゴミ収容部30内に投入された場合には、制御用コンピュータ20は、本体回転用モータ23により本体部1を人の方に向ける(ステップS7)。そして、制御用コンピュータ20は、感謝の気持ちを本体部1の動き、スピーカ14による発話およびディスプレイ11に表示された表情により表す(ステップS8)。
【0062】
例えば、本体回転用モータ23により本体部1を左右に回転させる。また、ディスプレイ11により喜びの表情を表す。さらに、スピーカ14によりお礼の言葉を発声する。
【0063】
その後、制御用コンピュータ20は、選択された行為の選択確率を増加させ(ステップS9)、ステップS1に戻る。
【0064】
ステップS6でゴミがゴミ収容部30内に投入されない場合には、制御用コンピュータ20は、ステップS1に戻り、ステップS1〜S6の処理を繰り返す。この場合、制御用コンピュータ20は、ステップS4において予め記憶された複数の行為のうち他の行為をランダムに選択する。
【0065】
ステップS1〜S10の処理を繰り返すことにより、制御用コンピュータ20のメモリに記憶された複数の行為の選択確率が変化する。それにより、ステップS4で高い選択確率を有する行為が選択されやすくなる。
【0066】
この場合、ゴミ収容部30に所望のゴミが投入された場合の行為の選択確率が増加するので、制御用コンピュータ20は、人に所望のゴミを投入してもらうための行為を学習により獲得する。
【0067】
本実施の形態では、ゴミを拾ってもらうためのゴミ箱ロボット100の行為を効率良く選択するために、人が所望のゴミをゴミ収容部30に投入した場合に選択した行為に報酬値を与える。そして、各行為が獲得した報酬値の大きさに応じて各行為の選択確率に重み付けを行う。複数の行為の選択確率を変化させるためにいわゆるルーレット選択法を用いることができる。ここで、ルーレット選択法の概念について説明する。
【0068】
ルーレットの円周部の領域を所望数の欄に分割し、乱数により複数の欄のいずれかを選択する。各欄の幅によりその欄の選択される確率が決まる。
【0069】
各欄に対して複数の行為のいずれかを割り当てる。初期段階では、各欄の幅を全ての行為に対して等しくすることにより、複数の行為のいずれも同じ確率(等選択確率)で選択され得る。その後、試行錯誤による経験(学習)を選択確率に反映させる。
【0070】
例えば、複数の行為のいずれかを実行することにより人が所望のゴミをゴミ収容部30に投入した場合に、ルーレットの該当する欄の幅を大きくし、人が所望のゴミをゴミ収容部30に投入しなかった場合には、ルーレットの該当する欄の幅を小さくする。それにより、複数の行為のうち、人が所望のゴミをゴミ収容部30に投入した場合に実行された行為の選択確率が高くなり、人が所望のゴミをゴミ収容部30に投入しなかった場合に実行された行為の選択確率が低くなる。
【0071】
人が所望のゴミをゴミ収容部30に投入した場合にルーレットの該当する欄の幅をどの程度広げるかは、Q−learning法と呼ばれる数理的方法を用いて決定してもよく、あるいは経験則で決定してもよい。
【0072】
上記のように、本実施の形態に係るゴミ箱ロボット100においては、本体部1の周囲に人が検出された場合に、本体部1の動き、スピーカ14による発話およびディスプレイ11による表情の表示により、ゴミを拾うという人の行為を誘発するための行為を行う。
【0073】
人はこのように主体的に動くものに対して、その心を思わず読もうとしてしまう。このような認知的な構えを、認知哲学者のDennettは「志向的姿勢(Intentional stance)」と呼んでいる。この志向的姿勢により、人は、ゴミ箱ロボット100がゴミを拾いたがっていることまたはゴミを拾ってもらいたがっていることを認知する。上記のようなゴミ箱ロボット100の行為により、人の志向的姿勢による上記の認知がもたらされ、ゴミを拾うという人の行為が誘発される。すなわち、ゴミ箱ロボット100の上記行為は、ゴミを拾うという人の行為を誘発するために行われる。
【0074】
ゴミ収容部30に所望のゴミが投入された場合には、本体部1の動き、スピーカ14による発話およびディスプレイ11による表情の表示により人に感謝の気持ちが伝えられる。それにより、人はゴミを拾った行為に価値を見出すことができる。
【0075】
このように、ゴミ箱ロボット100は、自らはゴミを拾うことができず、他者からの助力があって初めてゴミを回収することができる。したがって、ゴミ箱ロボット100と人との共同行為および互恵的行為の結果としてゴミを回収する目的が達成される。
【0076】
この場合、ゴミ箱ロボット100は、人の助力を得ることによりゴミを回収する機能を実現する存在として価値付けられる。同時に、人は、ゴミ箱ロボット100を助ける存在として価値付けられる。それにより、人とゴミ箱ロボット100とが相互に価値付け合いかつ存在の意味を相互に構成し合う。すなわち、人とゴミ箱ロボット100との相互依存的および相互構成的な関係が築かれる。その結果、ゴミ箱ロボット100に対する愛着が醸成されるとともに社会的な繋がりが形成される。
【0077】
また、制御用コンピュータ20は、記憶された複数の行為のいずれをがランダムに選択確率を反映して選択し、選択された行為を実行する。ゴミ収容部30に所望のゴミが投入されない場合には、他の行為を選択的に実行し、ゴミ収容部30に所望のゴミが投入された場合には、選択された行為の選択確率を増加させる。それにより、ゴミ箱ロボット100は、人にゴミを拾ってもらうための行為を学習することができる。その結果、人がゴミ箱ロボット100との関わり合いを重ねるにつれて人とゴミ箱ロボット100との相互依存的および相互構成的な関係が徐々に築かれ、ゴミ箱ロボット100に対する愛着が増すとともに、社会的な繋がりが強化される。
【0078】
なお、上記実施の形態では、人にゴミを拾ってもらうための行為を効率良く選択するための学習方法としてルーレット選択法を挙げて説明したが、これに限定されず、種々の学習方法を用いることができる。例えば、人にゴミを拾ってもらったことを教師信号として学習を行う方法として、一般的な遺伝的アルゴリズム、またはQ−learning法等を用いることもできる。
【0079】
このような学習方法により行為の選択確率に重み付けを行ったデータを予め取得し、このデータを乱数または優先順位と組み合わせて複数の行為のいずれかを選択することも可能である。
【0080】
また、上記実施の形態では、ゴミ箱ロボット100が人にゴミを拾ってもらうための行為として本体部1の動き、スピーカ14による発話およびディスプレイ11による表情の表示を行っているが、ゴミ箱ロボット100がゴミを拾いたがっていることまたはゴミを拾ってもらいたがっていることを人が認知することによりゴミを拾うという人の行為を誘発することにつながり得る行為であれば、本体部1の動き、スピーカ14による発話およびディスプレイ11による表情の表示のいずれか1つまたは2つを行ってもよい。例えば、スピーカ14による発話およびディスプレイ11による表情の表示のみを行ってもよい。
【0081】
さらに、上記実施の形態では、所望のゴミがゴミ収容部30内に投入された場合には、応答行為として本体部1の動き、スピーカ14による発話およびディスプレイ11による表情の表示を行っているが、本体部1の動き、スピーカ14による発話およびディスプレイ11による表情の表示のいずれか1つまたは2つにより人に感謝の気持ちが伝わる行為、喜びを表す行為またはその他の意思を表す行為を行ってもよい。
【0082】
例えば、本体回転用モータ23により本体部1を左右に回転させる行為、ディスプレイ11により喜びの表情を表す行為、およびスピーカ14によりお礼の言葉を発声する行為のいずれか1つまたは2つを行ってもよい。
【0083】
次に、本発明の他の実施の形態に係るロボットシステムについて説明する。図4は本発明の他の実施の形態に係るロボットシステムにおけるゴミ箱ロボットの構成を示すブロック図である。また、図5〜図9は本発明の他の実施の形態に係るロボットシステムの構成および動作の一例を説明するための模式図である。
【0084】
図5〜図9に示すロボットシステムは、複数のゴミ箱ロボット100a,100b,100cおよび統括制御用コンピュータ200により構成される。本例のロボットシステムは、空き缶用のゴミ箱ロボット100a、燃えるゴミ用のゴミ箱ロボット100bおよび燃えないゴミ用のゴミ箱ロボット100cにより構成される。
【0085】
図4のゴミ箱ロボット100aが図2のゴミ箱ロボット100と異なるのは、制御用コンピュータ20に接続される通信装置25をさらに備える点である。他のゴミ箱ロボット100b,100cの各々の構成は、図4のゴミ箱ロボット100aの構成と同様である。
【0086】
図5〜図9の複数のゴミ箱ロボット100a,100b,100cは、無線LAN(ローカルエリアネットワーク)により統括制御用コンピュータ20に接続されている。
【0087】
複数のゴミ箱ロボット100a,100b,100cは、統括制御用コンピュータ200の統括的な制御により連携して動作することによりゴミを回収する。なお、複数のゴミ箱ロボット100a,100b,100cのうち一または複数のゴミ箱ロボットの制御用コンピュータ20が複数のゴミ箱ロボット100a,100b,100cを統括的に制御してもよい。
【0088】
統括制御用コンピュータ200は、ゴミ箱ロボット100a,100b,100cと通信を行い、複数のゴミ箱ロボット100a,100b,100c間の相対的な配置を例えば互いに衝突しない程度の距離に保ちつつ、各ゴミ箱ロボット100a,100b,100cの姿勢例えば向きを制御する。この場合、ゴミ箱ロボット100a,100b,100cは、図1の物体検出センサ19の出力信号に基づいて互いの距離を測定する。また、複数のゴミ箱ロボット100a,100b,100cは、相互間の会話を本体部1の動き、スピーカ14による発話およびディスプレイ11に表示される顔の表情により表現する。
【0089】
ここで、図5〜図9を参照しながらロボットシステムの動作の一例について説明する。
【0090】
図5に示すように、複数のゴミ箱ロボット100a,100b,100c同士が会話を行っている。複数のゴミ箱ロボット100a,100b,100cの周囲に人がいない場合には、図6に示すように、複数のゴミ箱ロボット100a,100b,100cが会話を続けながら一体となって移動する。
【0091】
図7に示すように、複数のゴミ箱ロボット100a,100b,100cが人を見つけると、複数のゴミ箱ロボット100a,100b,100cは複数の行為のうちいずれかを選択し、選択された本体部1の動き、スピーカ14による発話およびディスプレイ11に表示される顔の表情によりゴミを拾ってもらいたい意思を表現する。この場合、複数のゴミ箱ロボット100a,100b,100cは、ゴミを拾いたいが、自らは拾えず、人の助けが必要であることを認識してもらうような行為を行う。
【0092】
図8に示すように、人が所望のゴミをゴミ箱ロボット100のゴミ収容部30に投入した場合、ゴミ箱ロボット100aは所望のゴミが投入されたか否かを判別する。本例では、ゴミ箱ロボット100aは、投入されたゴミが空き缶であるか否かを判別する。
【0093】
所望のゴミが投入された場合には、複数のゴミ箱ロボット100a,100b,100cは、本体部1の動き、スピーカ14による発話およびディスプレイ11に表示される顔の表情により感謝の気持ちを表現する。この結果、図9に示すように、人はゴミを拾った行為に価値を見出すことができる。
【0094】
上記のように、本実施の形態に係るロボットシステムにおいては、複数のゴミ箱ロボット100a,100b,100cのいずれかの周囲に人が検出された場合に、各ゴミ箱ロボット100a,100b,100cの本体部1の動き、スピーカ14による発話およびディスプレイ11による表情の表示ならびに複数のゴミ箱ロボット100a,100b,100cの連携した動きによりゴミ収納部30にゴミを投入する志向的姿勢を人から引き出すための行為が実行される。それにより、ゴミを拾ってあげようという人の行為が誘発される。特に、複数のゴミ箱ロボット100a,100b,100cの連携した動きによりゴミを拾ってあげようという人の行為が効果的に誘発される。
【0095】
ゴミ収容部300に所望のゴミが投入された場合には、各ゴミ箱ロボット100a,100b,100cの本体部1の動き、スピーカ14による発話およびディスプレイ11による表情の表示ならびに複数のゴミ箱ロボット100a,100b,100cの連携した動きにより人に感謝を伝えるための行為が実行される。それにより、人はゴミを拾った行為に価値を見出すことができる。
【0096】
このように、各ゴミ箱ロボット100a,100b,100cは、自らはゴミを拾うことができず、他者からの助力があって初めてゴミを回収することができる。したがって、ロボットシステムと人との共同行為および互恵的行為の結果としてゴミを回収する目的が達成される。
【0097】
この場合、ロボットシステムは、人の助力を得ることによりゴミを回収する機能を実現する存在として価値付けられる。同時に、人は、ロボットシステムを助ける存在として価値付けられる。それにより、人とロボットシステムとが相互に価値付け合いかつ存在の意味を相互に構成し合う。すなわち、人とロボットシステムとの相互依存的および相互構成的な関係が築かれる。その結果、ロボットシステムに対する愛着が醸成されるとともに社会的な繋がりが形成される。
【0098】
上記実施の形態では、本体部1が本体部に相当し、音声合成装置22およびスピーカ14、ディスプレイ11、または本体回転用モータ23、移動用モータ24および車輪17,18が表現手段を構成する。また、音声合成装置22およびスピーカ14が発話手段に相当し、ディスプレイ11が表示手段に相当し、本体回転用モータ23、移動用モータ24および車輪17,18が駆動手段に相当する。さらに、マイク11,12、人物判別用カメラ15または物体検出センサ19が第1の検出手段に相当し、ゴミ判別用カメラ16が第2の検出手段に相当し、制御用コンピュータ20または統括制御用コンピュータ200が制御手段に相当する。
【0099】
本実施の形態に係るゴミ箱ロボット100またはロボットシステムを人、幼稚園児、学童等が頻繁に通る公共の場所、公園、幼稚園、学校等の場所に固定的に配置することにより所期の目的を効率良く達成することができる。
【産業上の利用可能性】
【0100】
本発明は、屋内、屋外等でゴミの回収等に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0101】
【図1】本発明の一実施の形態に係るゴミ箱ロボットの外観を示す模式図である。
【図2】図1のゴミ箱ロボットの制御系を示すブロック図である。
【図3】図1のゴミ箱ロボットの動作を示すフローチャートである。
【図4】本発明の他の実施の形態に係るロボットシステムにおけるゴミ箱ロボットの構成を示すブロック図である。
【図5】本発明の他の実施の形態に係るロボットシステムの構成および動作の一例を説明するための模式図である。
【図6】本発明の他の実施の形態に係るロボットシステムの構成および動作の一例を説明するための模式図である。
【図7】本発明の他の実施の形態に係るロボットシステムの構成および動作の一例を説明するための模式図である。
【図8】本発明の他の実施の形態に係るロボットシステムの構成および動作の一例を説明するための模式図である。
【図9】本発明の他の実施の形態に係るロボットシステムの構成および動作の一例を説明するための模式図である。
【符号の説明】
【0102】
1 本体部
2 支持部
11 ディスプレイ
12,13 マイク
14 スピーカ
15 人物判別用カメラ
16 ゴミ判別用カメラ
17,18 車輪
19 物体検出センサ
20 制御用コンピュータ
21 音声認識装置
22 音声合成装置
23 本体回転用モータ
24 移動用モータ
100,100a,100b,100c ゴミ箱ロボット
200 統括制御用コンピュータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゴミ収容部を有する本体部と、
音声出力による発話、表情の表示および前記本体部の動きの少なくとも1つの行為により意思を表現する表現手段と、
前記本体部の周囲の人を検出する第1の検出手段と、
前記第1の検出手段の検出結果を受け、前記表現手段を制御する制御手段とを備え、
前記制御手段は、前記第1の検出手段により人が検出された場合に、前記表現手段によりゴミを拾うという人の行為を誘発するための行為を実行することを特徴とするロボット。
【請求項2】
前記ゴミ収容部にゴミが投入されたことを検出する第2の検出手段をさらに備え、
前記制御手段は、前記ゴミ収容部にゴミが投入されたことが前記第2の検出手段により検出された場合に、前記表現手段により人に対して応答行為を実行することを特徴とする請求項1記載のロボット。
【請求項3】
前記制御手段は、前記表現手段によりゴミを拾うという人の行為を誘発するための行為を実行した後、前記ゴミ収容部にゴミが投入されたことが前記第2の検出手段により検出されない場合に、前記表現手段によりゴミを拾うという人の行為を誘発するための他の行為を選択的に実行することを特徴する請求項2記載のロボット。
【請求項4】
前記制御手段は、ゴミを拾うという人の行為を誘発するための複数の行為と各行為の選択確率とを記憶し、前記複数の行為のうちいずれかをランダムに選択確率を反映して選択し、選択された行為を実行した後、前記ゴミ収容部にゴミが投入されたか否かに基づいて選択された行為の選択確率を更新することを特徴する請求項1〜3のいすれかに記載のロボット。
【請求項5】
前記表現手段は、音声出力により発話を行う音声出力手段、表情を表す表示手段および前記本体部を動かす駆動手段の少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のロボット。
【請求項6】
複数のロボットと、
前記複数のロボットの各々を制御する制御手段とを備え、
前記複数のロボットの各々は、
ゴミ収容部を有する本体部と、
音声出力による発話、表情の表示および前記本体部の動きの少なくとも1つの行為により意思を表現する表現手段と、
前記本体部の周囲の人を検出する第1の検出手段とを備え、
前記制御手段は、前記複数のロボットのいずれかの前記第1の検出手段により人が検出された場合に、各ロボットの前記表現手段の動作および/または前記複数のロボットの前記表現手段の連携した動作によりゴミを拾うという人の行為を誘発するための行為を実行することを特徴とするロボットシステム。
【請求項7】
前記複数のロボットの各々は、前記ゴミ収容部にゴミが投入されたことを検出する第2の検出手段をさらに備え、
前記制御手段は、前記ゴミ収容部にゴミが投入されたことが前記第2の検出手段により検出された場合に、各ロボットの前記表現手段の動作および/または前記複数のロボットの前記表現手段の連携した動作により人に対して応答行為を実行することを特徴とする請求項6記載のロボットシステム。
【請求項8】
前記制御手段は、ゴミを拾うという人の行為を誘発するための行為を実行した後、前記ゴミ収容部にゴミが投入されたことが前記第2の検出手段により検出されない場合に、各ロボットの前記表現手段の動作および/または前記複数のロボットの前記表現手段の連携した動作によりゴミを拾うという人の行為を誘発するための他の行為を選択的に実行することを特徴する請求項7記載のロボットシステム。
【請求項9】
前記表現手段は、音声出力により発話を行う音声出力手段、表情を表す表示手段および前記本体部を動かす駆動手段の少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項6〜8のいずれかに記載のロボットシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2006−102861(P2006−102861A)
【公開日】平成18年4月20日(2006.4.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−291849(P2004−291849)
【出願日】平成16年10月4日(2004.10.4)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成16年4月1日付け、平成16年度「5E5番37号」支出負担行為担当官 総務省大臣官房会計課企画官、研究テーマ「スキルの獲得・伝承を行う関係発達論的なインタフェース」に関する委託研究、産業活力再生特別措置法第30条の適用を受ける特許出願
【出願人】(393031586)株式会社国際電気通信基礎技術研究所 (905)
【Fターム(参考)】