説明

三次元画像表示方法及び三次元画像表示装置

【課題】装置の小型化が容易であり、かつ、カラーブレーキング現象の緩和されたマルチプロジェクション型の三次元画像表示方法及び三次元画像表示装置を提供する。
【解決手段】フィールドシーケンシャル駆動される複数の二次元画像表示素子からの光線群に対して特定の表示方向を与えて観察者の瞳に同時に入射させる。観察者の網膜には水平方向に並んだ観察可能範囲が制限された複数の二次元画像の短冊状画像が結像される。この複数の短冊状画像のうち水平方向に隣接する2つの短冊状画像同士の色度は、互いに異なり、かつ、その色度はサブフィールド単位で(a)、(b)、(c)に示すように切り替わる。この結果、各サブフィールドで同色の短冊状画像が並ぶ場合に比べて、網膜上の画像のカラーブレーキング現象を緩和することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は三次元画像表示方法及び三次元画像表示装置に係り、特にインテグラルフォトグラフィ(Integral Photography:IP)の原理に基づいて、二次元画像を構成する画素からの光を指向性をもたせて異なる方向に投射し、これらの指向性光線同士の交点として三次元の空間像を再生表示する三次元画像表示方法及び三次元画像表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
リップマン(M.G Lippman)が1908年に提案したインテグラルフォトグラフィ(IP)の原理に基づき、実物表面からの光線と同等な光線を空間に再現することにより、自然な三次元画像を再生する三次元ディスプレイの研究開発が盛んに行われている。
【0003】
また、現在実用化されている電子デバイスの情報量不足を補うため、垂直方向の立体情報を水平方向に割り振ることにより、水平方向の立体視に特化した三次元ディスプレイの実現方法が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
また、液晶ディスプレイのカラーフィルタの配列の工夫により、情報量不足の改善を行う技術も開示されている(例えば、特許文献2を参照)。
【0005】
【特許文献1】特許第3576521号公報
【特許文献2】特開2004−40722号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかるに、特許文献1に開示された三次元画像表示装置の構成は、プロジェクタ用の表示デバイスを多数個用いたマルチプロジェクションの構成であるため、実用化には装置の小型化を図ることが重要になる。このため、表示デバイスとしては、1チップでフルカラー画像が表示可能な高速応答の表示デバイスの使用が有望である。その際、赤(R)、緑(G)、青(B)の三原色の残像が目の網膜上で重ならずに虹のようなノイズとして観察されるカラーブレーキング現象(カラーブレークアップ現象あるいは色割れともいう)が生じ易いという課題がある。
【0007】
一方、特許文献2に開示された三次元画像表示装置は、直視型の液晶ディスプレイを使用しているため小型化し易い反面、情報量を増やすことが容易でないという課題がある。
【0008】
本発明は以上の点に鑑みなされたもので、装置の小型化が容易であり、かつ、カラーブレーキング現象の緩和されたマルチプロジェクション型の三次元画像表示方法及び三次元画像表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を達成するため、第1の発明の三次元画像表示方法は、1フレームを複数に分割したサブフィールド単位で、水平方向及び斜め垂直方向に二次元的に配置された複数の二次元画像表示素子をそれぞれフィールドシーケンシャル駆動して、水平方向及び斜め垂直方向に二次元的に配置され、かつ、少なくとも斜め垂直方向に隣接する2つの二次元画像が異なる色度で配置された二次元画像群を生成する第1のステップと、二次元画像群を構成する各二次元画像からの光を、偏心した複数の結像光学系により指向性を持たせて異なる方向に投射して水平方向及び垂直方向に拡大された拡大像を同一領域に形成する第2のステップと、拡大像から発散する光線群に対して、水平方向に対しては準平行光線であり、かつ、垂直方向に対しては拡散光線となる特定の表示方向を与え、その表示方向が与えられた光線群が空間に形成する交点に三次元画像を表示させる第3のステップと、表示方向が与えられた光線群を観察者の瞳に同時に入射させて、観察者の網膜に水平方向に並んだ観察可能範囲が制限された複数の二次元画像の部分的視差画像を結像させる第4のステップとを含み、複数の二次元画像の部分的視差画像のうち水平方向に隣接する2つの部分的視差画像同士を、互いに色度が異なり、かつ、その色度が前記サブフィールド単位で切り替わる部分的視差画像とすることを特徴とする。
【0010】
また、上記の目的を達成するため、第2の発明の三次元画像表示方法は、上記の第1の発明における第1のステップを、水平方向及び斜め垂直方向に二次元的に配置された複数の二次元画像表示素子のうち、斜め垂直方向に隣接する2つの二次元画像表示素子に対して、互いに色度が異なるN色の原色(Nは3以上の自然数)のうちの互いに異なる原色の二次元画像を表示させ、かつ、二次元画像の原色を、1フレームを1/Nk(kは1以上の自然数)に分割したサブフィールド単位で巡回的に切り替えるフィールドシーケンシャル駆動を複数の二次元画像表示素子に対して行うことにより、少なくとも斜め垂直方向に隣接する2つの二次元画像は異なる原色の二次元画像が配置された二次元画像群を生成することを特徴とする。
【0011】
また、上記の目的を達成するため、第3の発明の三次元画像表示装置は、互いに異なる複数の色度の照明光を出射する複数の光源と、水平方向及び斜め垂直方向に二次元的に配置された複数の二次元画像表示素子と、二次元画像表示素子に対して1フレームを複数に分割したサブフィールド単位で複数の光源のうち選択した一の光源からの照明光を照射すると共に、少なくとも斜め垂直方向に隣接する2つの二次元画像表示素子に対しては、異なる色度の照明光を照射し、かつ、照明光と同じ色度の画像信号を二次元画像表示素子に供給するフィールドシーケンシャル駆動を行い、水平方向及び斜め垂直方向に二次元的に配置され、かつ、少なくとも斜め垂直方向に隣接する2つの二次元画像が異なる色度で配置された二次元画像群を複数の二次元画像表示素子により生成させる同期制御手段と、二次元画像群を構成する各二次元画像からの光を、指向性を持たせて異なる方向に投射して水平方向及び垂直方向に拡大された拡大像を同一領域に形成する偏心した複数の結像光学系と、拡大像から発散する光線群に対して、水平方向に対しては準平行光線であり、かつ、垂直方向に対しては拡散光線となる特定の表示方向を与えた光線群を生成して観察者の瞳に同時に入射させると共に、その表示方向が与えられた光線群が空間に形成する交点に三次元画像を表示させる光学系とを有し、観察者の網膜に水平方向に並んだ観察可能範囲が制限された複数の二次元画像の部分的視差画像を結像させ、水平方向に隣接する2つの部分的視差画像同士を、互いに色度が異なり、かつ、その色度が前記サブフィールド単位で切り替わる部分的視差画像とすることを特徴とする。
【0012】
また、上記の目的を達成するため、第4の発明の三次元画像表示装置は、上記の同期制御手段を、水平方向及び斜め垂直方向に二次元的に配置された複数の二次元画像表示素子のうち、斜め垂直方向に隣接する2つの二次元画像表示素子に対して、互いに色度が異なるN色の原色(Nは3以上の自然数)のうちの互いに異なる原色の二次元画像を表示させ、かつ、二次元画像の原色を、1フレームを1/Nk(kは1以上の自然数)に分割したサブフィールド単位で巡回的に切り替えるフィールドシーケンシャル駆動を複数の二次元画像表示素子に対して行うことにより、少なくとも斜め垂直方向に隣接する2つの二次元画像は異なる原色の二次元画像が配置された二次元画像群を生成する構成としたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、観察者の網膜上における複数の二次元画像の部分的視差画像のうち水平方向に隣接する2つの部分的視差画像同士を互いに色度の異なる部分的視差画像とすることにより、小型化が容易であり、かつ、部分的視差画像の合成画像のカラーブレーキング現象が緩和された三次元画像表示装置を実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
次に、本発明の最良の実施形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
【0015】
図1は、本発明になる三次元画像表示装置の一実施の形態の概略構成図、図2(a)、(b)は、図1の要部の一例の概略斜視図、各部の正面図を示す。図1に示す実施の形態は、マルチプロジェクション型の三次元画像表示装置の構成を示す。本実施の形態の三次元画像表示装置100は、図1に示すように、照明光源である発光ダイオード(LED)を用いた3つのLED光源1R、1B、1Gと、m台(mは2以上の自然数、ここでは5以上)のプロジェクタ21〜2mと、フレネル・レンチスクリーン3と、ホストPC(パーソナルコンピュータ)8とから構成されており、二次元画像を構成する画素からの光を指向性をもたせて異なる方向に投射し、これらの指向性光線同士の交点として三次元画像を形成する装置である。なお、図1には、m台のプロジェクタのうち所定方向に並ぶ5台のプロジェクタ21〜25のみ図示してある。
【0016】
LED光源1R、1B、1Gとフレネル・レンチスクリーン3とは、複数台のプロジェクタ21〜2mに共通である。3つのLED光源は、赤色光Rを出射する第1のLED光源1Rと、青色光Bを出射する第2のLED光源1Bと、緑色光Gを出射する第3のLED光源1Gとからなる。プロジェクタ21〜2mは、照明用レンズ41〜4mと、二次元画像表示素子51〜5mと、図示しない駆動回路を介して二次元画像表示素子51〜5mに接続された画像生成PC(パーソナルコンピュータ)61〜6mと、投射レンズ71〜7mと、図示しない開口とよりなる。なお、LED光源の替わりにレーザー光源を用いてもよい。二次元画像表示素子5は、生成した二次元画像をフィールドシーケンシャル駆動により高速表示を行う表示素子である。
【0017】
また、ホストPC8はローカル・エリア・ネットワーク(LAN)を介して画像生成PC61〜6mに接続されており、このホストPC8の制御の下に、画像生成PC61〜6mのそれぞれは互いにゲンロックされた同期信号を出力してLED光源1R、1B、1Gを制御する。これにより、プロジェクタ21〜2mは、LED光源1R、1B、1Gから出射された原色光R、B、Gのうち一の原色光が、後述するサブフィールド単位で互いに同期して予め定められた順序で巡回的に切替入射される。
【0018】
本実施の形態の要部であるプロジェクタを構成する二次元画像表示素子51〜5mと、投射レンズ71〜7mと、図示を省略した開口とは、複数台のプロジェクタにおいて、図2(a)の概略斜視図及び図2(b)の正面図に示すようにアレイ状に並ぶような空間的配置とされている。すなわち、図2(a)、(b)に示すように、複数台のプロジェクタ21〜2mの各二次元画像表示素子5(51〜5m)は、水平方向及び斜め垂直方向に二次元的に配置されて全体として二次元画像表示素子アレイ10を構成している。また、複数台のプロジェクタ21〜2mの各投射レンズ7(71〜7m)も、水平方向及び斜め垂直方向に全体として二次元的に配置されたレンズアレイ12を構成している。更に、複数台のプロジェクタ21〜2mの各開口9も、水平方向及び斜め垂直方向に全体として二次元的に配置された開口アレイ14を構成している。
【0019】
また、図2(a)に示すように、開口アレイ14がフレネル・レンチスクリーン3に対向するように配置されている。なお、図2(a)において、18は共通像面、19は光軸である。フレネル・レンチスクリーン3は、フレネルレンズである共有レンズ16と、垂直方向拡散板として機能するレンチキュラーシート17とからなる。
【0020】
図3は、レンチキュラーシート17の一例の概略斜視図を示す。同図に示すように、レンチキュラーシート17は、短焦点のシリンドリカルレンズ(円筒レンズ)17aが、基板17b上、垂直方向に多数配列された構成とされている。なお、垂直方向拡散板は、レンチキュラーシート17に限定されるものではなく、例えば、光の回折現象を利用したホログラフィックスクリーン(回折光学素子)も使用可能である。
【0021】
二次元画像表示素子アレイ10は、各プロジェクタ21〜2の各二次元画像表示素子5が図2(b)に示すように互いに斜めにずらして二次元配置された構成である。従って、二次元画像表示素子アレイ10を構成する複数の二次元画像表示素子5のうち、隣接する二次元画像表示素子5は異なるプロジェクタの二次元画像表示素子である。また、レンズアレイ12は、二次元画像表示素子5に対応した位置に設けられた各プロジェクタ21〜2の投射レンズ7が、図2(b)に示すように互いに斜めにずらして二次元配置された構成である。従って、レンズアレイ12を構成する複数の投射レンズ7のうち、隣接する投射レンズ7は異なるプロジェクタの投射レンズである。また、開口アレイ14は、図1では図示を省略したが、複数の投射レンズ7に対応した位置に設けられた各プロジェクタ21〜2の複数の開口9が、図2(b)に示すように互いに斜めにずらして二次元配置された構成である。また、共有レンズ16とレンチキュラーシート17と共通像面18とはほぼ一体化されて配置されている。
【0022】
図4は、本実施の形態の三次元画像表示装置の基本構成を示す上面図であり、図5は、その側面図である。図4、図5中、図1、図2と同一構成部分には同一符号を付してある。図4(a)及び図5(a)はアレイ光学系全体の光軸19上に二次元画像表示素子5がある場合の光線状態を示しており、図4(b)及び図5(b)は光軸19から外れた位置に二次元画像表示素子5がある場合の光線状態を示している。
【0023】
これらの図において、斜線で示した領域は二次元画像表示素子5に表示された画像からの光線が存在する領域を表している。また、この領域の境界付近の実線で示す光線は、個々の開口9を通過する代表的な3本の光線を示している。すなわち、開口9の中心を通過する1本の主光線(principal ray)と、開口9の縁を通過する2本の外縁光線(marginal ray)である。
【0024】
これらの主光線(principal ray)と外縁光線(marginal ray)の光路が示すように、二次元画像表示素子5から発せられた発散光線は、共有レンズ16付近の共通像面18で収束する。すなわち、二次元画像表示素子5と共有レンズ16がほぼ結像関係にある。このことは、共有レンズ16が結像に寄与しないことを意味する。ただし、共有レンズ16で結像した後に再び発散する光線群により形成される三次元画像には、共有レンズ16の寄与が存在する。
【0025】
また、本実施の形態では、図4又は図5が示すように、二次元画像表示素子11の中心軸(図示なし)に対して、個々の投射レンズ7の光軸(一点破線で図示あり)と個々の開口9の光軸(一点破線で図示あり)がシフトしている。そして、これらの個々の光学系の絞り中心を通過する光線が共有レンズ16の中心を通過する構成となっている。従って、三次元表示に必要な画像の表示方向は、共有レンズ16で与えられるのではなく、偏心をもつ個々の光学系により最初から与えられているのである。この偏心した光学系についてより詳しく説明するために、図6を参照しながら説明する。
【0026】
図6は、偏心をもつ投射光学系アレイの実施形態を示す図である。同図中、図2〜図5と同一構成部分には同一符号を付してある。また、図6において、直交する2本の直線は、水平方向を表す水平軸21、それに垂直な方向を表す垂直軸22である。なお、水平方向とは、表示画像の観察者の二つの目を結ぶ方向に平行な方向である。図6に示すように、画像発生源である二次元画像表示素子5(黒四角で示す)は、水平軸21に射影した位置が、垂直軸22方向で互いに一致しないように、配置されている。また、個々の投射レンズ7及び開口9が、異なる偏心量で水平方向及び垂直方向にシフトされている。
【0027】
複数の二次元画像表示素子5に表示された二次元画像の各画素からの光は、投射レンズ7によりフレネル・レンチスクリーン3に投射される。つまり、二次元画像表示素子5とフレネル・レンチスクリーン3とが結像関係にある。
【0028】
各々の二次元画像表示素子5からの画像をフレネル・レンチスクリーン3に投射する投射レンズ7は、フレネル・レンチスクリーン3上の同一領域に投射するために、レンズシフトを行う。すなわち、投射レンズ7の光軸を二次元画像表示素子5の中心軸に対して偏心させることにより、投射方向をシフトさせ、フレネル・スクリーン3上で各々の二次元画像表示素子5の拡大像が重なるようにする。
【0029】
このフレネル・レンチスクリーン3におけるフレネルレンズ面の焦点面は投射レンズ7付近にあるため、投影面で主光線が平行、すなわちテレセントリックになるように屈折される。また、図2(a)に示すように、共有レンズ16とレンチキュラーシート17とからなるフレネル・レンチスクリーン3は、共通像面18の共有レンズ16に近接させて配置したレンチキュラーシート17により垂直方向にのみ拡散を行う。図3に示したように、レンチキュラーシート17は、短焦点で狭間隔のシリンドリカルレンズ17aが水平方向に多数配置されており、光線を垂直方向(図1の紙面に垂直な方向)に拡散する。
【0030】
図7は、フレネル・レンチスクリーンにおけるレンチキュラー面の作用を示す図で、(a)は1画素の例、(b)は4画素の例である。図7において、フレネル・レンチスクリーン3から射出される縦長の四角錐は、図示しない二次元画像表示素子5の1つの画素がこのスクリーン上で拡大像として結像し、その後、その拡大像からの光線が垂直方向に拡散される様子を示している。φyはレンチキュラーによる拡散角を示している。φxは水平方向拡散角であり、これはレンチキュラーの作用ではなく、このスクリーンに投影する投射レンズ7の絞り径で規定されるFナンバーで決まる。もちろん、レンチキュラーのような屈折光学素子以外に、ホログラフィックスクリーンのような回折光学素子を使用することも可能である。
【0031】
図7に示すように、フレネル・レンチスクリーン3により、開口9を像側から眺めたときの像である射出瞳が垂直方向にのみ拡大され、図6のように二次元的に配置された二次元画像表示素子アレイ10に共通の表示角度範囲を発生させることができる。
【0032】
さて、図1に戻ると、フレネル・レンチスクリーン3上に投影された二次元画像表示素子5の拡大像からの指向性を持った光は、フレネル・レンチスクリーン3により水平方向拡散角φxの広がりをもつ光線として、フレネル・レンチスクリーン3の手前の空間で交差することにより、例えば、破線の正方形で示す立方体の空間像31や破線の円で示す球形の空間像32を形成する。これらの光線の一部は、眼球34に入射する。
【0033】
眼球34に入射する光線は、フレネル・レンチスクリーン3から射出される水平方向拡散角φxで主光線が平行(テレセントリック)な光線の一部である。すなわち、観察者は1つの二次元画像表示素子5によるフレネル・レンチスクリーン3上の拡大像の全体像を観察することはできず、二次元画像の部分的視差画像のみを観察する。しかし、複数の二次元画像表示素子5からの光が同時に観察者の眼球34に入射するため、結果として一方向からの投影画像全体が観察者に知覚されることとなる。
【0034】
図8は、肉眼観察時の網膜上の像の一例を示す図である。図8(a)は、観察者が立方体の空間像31と球の空間像32をある観察位置で見たときの網膜上の像である。そして、図8(a)に示す網膜像は、二次元画像の部分的視差画像が合成されたものであり、実際には図8(b)に示すように観察可能範囲が制限された二次元画像の部分的視差画像である短冊状の画像が複数接続されたものである。
【0035】
この短冊状の画像の例を図9(a)〜(f)に示す。これらは、図1における複数の二次元画像表示素子5のうち、1台の二次元画像表示素子5のみに画像を表示させたときに肉眼観察される像を示すものである。図9(a)においては、球の空間像32の左部分の画像が表示されている。このとき、観察位置を水平方向に移動すると、図9(b)に示すように球の空間像32の中央部分の画像を肉眼観察することができる。更に観察位置を水平方向に移動していくと、図9(c)に示す球の空間像32の右端、図9(d)に示す立方体の空間像31の左端、図9(e)に示す立方体の空間像31の中央付近、図9(f)に示す立方体の空間像31の右端の投影画像を順次、肉眼観察することができる。
【0036】
また、観察位置を固定して、二次元画像表示素子5を1台ずつ順次点灯させていった場合においても、図9(a)〜(f)とほぼ同様な画像を肉眼観察することができる。勿論、異なる二次元画像表示素子5には各々異なる方向から投影した画像が表示されているため、肉眼観察される短冊画像としては、厳密には図9(a)〜(f)とは視差量だけ異なっている。
【0037】
本実施の形態は、後述するように、この投影画像を構成する短冊状の部分画像において、隣り合う2つの部分画像同士を互いに異なる色度(色相)となるように3つのLED光源1R、1B、1G及び画像生成PC6を制御することを特徴とする。
【0038】
次に、本実施の形態の動作について具体的に説明する。図1において、同期駆動回路により、3つのLED光源1R、1B、1Gは、互いに同期して、三原色光である赤色光R、青色光B、緑色光Gをm台のプロジェクタ21〜2に出射する。このとき、プロジェクタ21〜2のうち、第1のグループを構成するn1台のプロジェクタと、第2のグループを構成するn2台のプロジェクタと、第3のグループを構成するn3台(ただし、n1+n2+n3=m)のプロジェクタとに、互いに異なる3原色光を入射し、かつ、1フレームを例えば、3つに等分割して得られたサブフィールド毎に、上記の各グループのプロジェクタに入射する3原色光を同期して切り替える。
【0039】
例えば、m台のプロジェクタ21〜2のうちの垂直方向に並ぶ5台のプロジェクタ21、22、23、24、25の入射光の変化を図10(a)、(b)、(c)、(d)、(e)に模式的に示す。ここで、プロジェクタ21と24は、第1のグループのプロジェクタ群中のプロジェクタ、プロジェクタ22と25は、第2のグループのプロジェクタ群中のプロジェクタ、プロジェクタ23は、第3のグループのプロジェクタ群中のプロジェクタであるものとする。
【0040】
図10において、ある1サブフィールドでは、第1のLED光源1Rは赤色光Rをプロジェクタ22及び25に出射し、第2のLED光源1Bは青色光Bをプロジェクタ23に出射し、第3のLED光源1Gは緑色光Gをプロジェクタ21及び24に出射する。
【0041】
続く1サブフィールドでは、第1のLED光源1Rは赤色光Rをプロジェクタ23に出射し、第2のLED光源1Bは青色光Bをプロジェクタ21及び24に出射し、第3のLED光源1Gは緑色光Gをプロジェクタ22及び25に出射する。更に、続く1サブフィールドでは、第1のLED光源1Rは赤色光Rをプロジェクタ21及び24に出射し、第2のLED光源1Bは青色光Bをプロジェクタ22及び25に出射し、第3のLED光源1Gは緑色光Gをプロジェクタ2に出射する。
【0042】
以下、同様に、3つのLED光源1R、1B、1Gは、予め割り当てられた順序に従い、m台のプロジェクタ21〜2に対して、各グループ間で互いに重複しないように、サブフィールド単位で巡回的に切り替えて出射する。
【0043】
3つのLED光源1R、1B、1Gから出射された赤色光R、青色光B、緑色光Gは、m台のプロジェクタ21〜2内の照明用レンズを介して高速応答する二次元画像表示素子5を照明する。各二次元画像表示素子5は、図示しない駆動回路を介して画像生成PC6に接続されており、面順次駆動により、照射された原色光と同一の原色のサブフレームの画像を表示させる。この画像出力に同期した同期信号は、照明光源用の駆動回路(図示なし)に入力され、LED光源1R、1B、1Gを高速に駆動する。
【0044】
ここで、図11A、図11B、図11Cは、プロジェクタが25台(m=25)の例の投射レンズ71〜725と開口91〜925とをフレネル・レンチスクリーン3側から見た正面図において、サブフィールドにおける照射原色光R、B、Gを四角で囲んで模式的に示す。
【0045】
図11A、図11B、図11Cに示すように、プロジェクタ21〜225の各二次元画像表示素子51〜525、投射レンズ71〜725、開口91〜925は、左端の一番上から斜め右下方向に1番目から5番目までのプロジェクタ21〜25の各二次元画像表示素子51〜55、投射レンズ71〜75、開口91〜95が順番に配置されている。続く左端から2番目の水平方向の位置の一番上から斜め右下方向に6番目から10番目までのプロジェクタ26〜210の各二次元画像表示素子56〜510、投射レンズ76〜710、開口96〜910が順番に配置され、以下同様に5台ずつプロジェクタが全部で25台アレイ状に配置されている。
【0046】
このアレイ配置において、図10に示したように三原色光がサブフィールド毎に切替照射される25台のプロジェクタ21〜225の各二次元画像表示素子から出射した赤色光R、青色光B、緑色光Gの各画像は、ある1サブフィールドでは図11Aに示すように上下に隣接する開口では互いに異なる色度の原色光の画像が照射される。続く1サブフィールドでは図11Bに示すように、上下に隣接する開口では互いに異なり、かつ、直前のサブフィールドとは異なる色度の原色光の画像が照射される。更に続く1サブフィールドでは図11Cに示すように上下に隣接する開口では互いに異なり、かつ、直前のサブフィールドとは異なる色度の原色光の画像が照射される。以下、同様の動作がサブフィールド単位で、かつ、1フレーム(=3サブフィールド)周期で巡回的に繰り返される。
【0047】
このような配置の25台のプロジェクタ内の開口91〜925から出射した光は、図1のフレネル・レンチスクリーン3に照射されて垂直方向にのみ拡大される。これにより、フレネル・レンチスクリーン3から図7(b)に示すような複数の縦長四角錐が、図1の観測者の眼球34に同時に入射した際に知覚される網膜像は、あるサブフィールドにおける短冊状の画像の色度(色相)が図12(a)に示すように、左からRGBRGBRGBRGの順に並び、次のサブフィールドでは図12(b)に示すように左からGBRGBRGBRGBの順に並び、次のサブフィールドでは図12(c)に示すようにBRGBRGBRGBRの順に並ぶ。観測者の眼球34に同時に入射した際に知覚される網膜像は、図12(a)〜(c)に示すように、異なる色度の短冊状画像が並び、観測者にはそれら短冊状画像が積分合成されて全体としてカラー画像として認識される。
【0048】
この結果、各サブフィールドで同色の短冊状画像が並ぶ場合(すなわち、RRRRRRRRRRR、GGGGGGGGGGG,BBBBBBBBBBB)に比べて、水平方向に隣接する2つの短冊状画像同士が、互いに色度が異なるため、短冊状画像の合成として得られる眼底像のカラーブレーキング現象を緩和することができる。
【0049】
このように、本実施の形態によれば、単板式の液晶表示素子を二次元画像表示素子5として多数用いたマルチプロジェクション型の三次元画像表示装置において、フィールドシーケンシャル駆動による高速表示が可能な表示デバイスである二次元画像表示素子5に対して、単色光源の点滅サイクルの位相を互いにずらしながら照明すると共に、複数の二次元画像表示素子5からの光線群に対して特定の表示方向を与えた光線群として観察者の瞳に同時に入射する。
【0050】
これにより、本実施の形態によれば、観察者の網膜上に水平方向に並んだ観察可能範囲が制限された複数の二次元画像の部分的視差画像を結像させ、複数の二次元画像の部分的視差画像のうち水平方向に隣接する部分的視差画像同士を、サブフィールド単位で切り替わる互いに色度の異なる部分的視差画像とすることができるため、それら部分的視差画像の合成として得られる眼底像のカラーブレーキング現象(色割れ現象)を緩和することができる。これにより、本実施の形態によれば、装置の小型化が容易にでき、かつ、カラーブレーキング現象の低減されたマルチプロジェクション型の三次元画像表示装置を実現することができる。
【0051】
なお、本発明は以上の実施の形態に限定されるものではなく、例えば、m台のプロジェクタ21〜2に対して、互いに重複しないように、サブフィールド単位で巡回的に切り替えて図13A〜図13Cに模式的に示すように、照射するようにしてもよい。ここで、図13A、図13B、図13Cは、プロジェクタが36台(m=36)の例の投射レンズ71〜736と開口91〜936とをフレネル・レンチスクリーン3側から見た正面図において、サブフィールドにおける照射原色光R、B、Gを四角で囲んで模式的に示す。すなわち、三原色光がサブフィールド毎に切替照射される36台のプロジェクタ21〜236の各二次元画像表示素子から出射した赤色光R、青色光B、緑色光Gの各画像は、ある1サブフィールドでは図13Aで示すように照射され、続く1サブフィールドでは図13Bで示すように照射され、続く1サブフィールドでは図13Cで示すように照射される。以下、同様の動作がサブフィールド単位で、かつ、1フレーム(=3サブフィールド)周期で巡回的に繰り返される。
【0052】
すなわち、図13A〜図13Cに示す例では、水平方向に並ぶ6つの異なるプロジェクタの開口には同一原色光で、かつ、斜め垂直方向に並ぶ6つの異なるプロジェクタの開口のうち隣接する2つの開口には異なる原色光を照射し、サブフィールド毎にその原色光を切り替えるものである。
【0053】
ところで、本発明の三次元画像表示方法は、三次元表示のコンテンツ(情報の内容)として、水平方向に関しては物体を様々な角度から平行投影法により撮影した画像を使用する。従来の多眼式による表示方法では水平・垂直ともに透視投影法で撮影した画像がしばしば使用されるが、本発明の実施には適さない。これは、本発明の三次元画像表示方法が、物体(被写体あるいはCG技術におけるオブジェクト)の発する光線を特定の視点から標本化した画像(視点画像)として表現するのではなく、物体の光線を角度単位で標本化することにより光線空間を再現するために準平行光線が必要となるからである。
【0054】
なお、「準平行光線」という意味は、偏心した投射光学系の開口絞り中心を通る光線、すなわち主光線(principal ray)同士が平行(テレセントリック)な状態であることに加え、主光線(principal ray)の周りの外縁光線(marginal ray)についても発散角が小さいということである。発散角が小さいことは、共有レンズ16とレンチキュラーシート17からなるフレネル・レンチスクリーン3から離れた奥行き位置に空間像を形成する際に重要である。
【0055】
このような発散角の小さなテレセントリック光線(準平行光線)を空間に投射させて、これらの光線の交点を空間の異なる奥行き範囲に形成することにより、三次元画像を表現することができる。
【0056】
以上、詳述したように本実施の形態によれば、偏心をもつマルチプロジェクション光学系とフレネルレンズで構成する多重アフォーカル光学系に近接させて共通像面を配置して空間に多数の光線を投射して空間像を形成させるものである。
【0057】
また、本実施の形態によれば、従来の高密度指向性表示方式による三次元画像表示装置がシンプルかつコンパクトな光学系で具現化できるようになると共に、広視域化と大画面化の両立が容易になる。更に、本実施の形態によれば、良好な収差特性をもち網膜像の不連続性が知覚されない自然な三次元映像を現在実用化されている表示デバイスを用いて実現することが可能になる。
【0058】
なお、本発明は以上の実施の形態に限定されるものではなく、例えば1サブフレームは、1/3フレームに限定されるものではなく、1/3k(kは1以上の自然数)であればよい。
【0059】
また、上記の実施の形態では、便宜上、RGBの3原色として説明したが、原色数は3に限定されるものではなく、原色数が4以上のいわゆる多原色表示においても好適に実施可能である。すなわち、色度の異なる4以上の光源(LED光源やレーザー光源)を用いたり、あるいは1個の白色光源と4色以上のカラーホイールを使用したりすることにより、色再現範囲を拡大し、より自然な色度の三次元映像を色割れなく表示できるようになる。
【0060】
また、二次元画像表示素子5としては、反射型液晶表示素子を用いることができる。この反射型液晶表示素子には、高い解像度を有する反射型液晶表示素子であるLCOS(Liquid Crystal On Silicon)を使用することが好ましい。特に、本出願人が製造、販売するLCOSであるD−ILA(登録商標)のうち、解像度が4096×2160画素のものを用いると、大画面で高解像度の三次元画像表示装置を好適に実現することができる。
【0061】
勿論、反射型液晶表示素子の替わりに、HTPS(High Temperature Poly-Silicon:高温ポリシリコンTFT液晶)に代表される透過型液晶あるいはDLP(Digital Light Processing:登録商標)などの他のマイクロディスプレイデバイス(Micro Display Device:MD)を用いることも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】本発明の三次元画像表示装置の一実施の形態の概略構成図である。
【図2】図1の要部の一例の概略斜視図、各部の正面図である。
【図3】図1中のフレネル・レンチスクリーンの要部のレンチキュラーシートの一例の概略斜視図である。
【図4】本発明の三次元画像表示装置の基本構成を示す上面図である。
【図5】本発明の三次元画像表示装置の基本構成を示す側面図である。
【図6】偏心をもつ投射光学系アレイの実施形態を示す図である。
【図7】フレネル・レンチスクリーンにおけるレンチキュラー面の作用を示す図である。
【図8】肉眼観察時の網膜上の像の一例を示す図(その1)である。
【図9】肉眼観察時の網膜上の像の一例を示す図(その2)である。
【図10】図1中の5台のプロジェクタ5台のプロジェクタの入射光の変化の一実施の形態を模式的に示す図である。
【図11A】プロジェクタが25台の例の投射レンズと開口とをフレネル・レンチスクリーン側から見た正面図において、サブフィールドにおける照射原色光を模式的に示す図(その1)である。
【図11B】プロジェクタが25台の例の投射レンズと開口とをフレネル・レンチスクリーン側から見た正面図において、サブフィールドにおける照射原色光を模式的に示す図(その2)である。
【図11C】プロジェクタが25台の例の投射レンズと開口とをフレネル・レンチスクリーン側から見た正面図において、サブフィールドにおける照射原色光を模式的に示す図(その3)である。
【図12】フレネル・レンチスクリーンから出射した光が、観測者の眼球に同時に入射した際に知覚される、各サブフィールドにおける短冊状の画像の色度(色相)の一例を示す図である。
【図13A】プロジェクタが36台の例の投射レンズと開口とをフレネル・レンチスクリーン側から見た正面図において、ある1サブフィールドにおける照射原色光を模式的に示す図(その1)である。
【図13B】プロジェクタが36台の例の投射レンズと開口とをフレネル・レンチスクリーン側から見た正面図において、次の1サブフィールドにおける照射原色光を模式的に示す図(その2)である。
【図13C】プロジェクタが36台の例の投射レンズと開口とをフレネル・レンチスクリーン側から見た正面図において、サブフィールドにおける照射原色光を模式的に示す図(その3)である。
【符号の説明】
【0063】
1R、1B、1G LED光源
1〜2m プロジェクタ
3 フレネル・レンチスクリーン
5、51〜5m 二次元画像表示素子
6 画像生成PC(パーソナルコンピュータ)
7、71〜7m 投射レンズ
8 ホストPC(パーソナルコンピュータ)
9 開口
10 二次元画像表示素子アレイ
12 レンズアレイ
14 開口アレイ
16 共有レンズ
17 レンチキュラーシート
18 共通像面
19 光軸
31 立方体の空間像
32 球体の空間像
34 眼球
100 三次元画像表示装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1フレームを複数に分割したサブフィールド単位で、水平方向及び斜め垂直方向に二次元的に配置された複数の二次元画像表示素子をそれぞれフィールドシーケンシャル駆動して、前記水平方向及び斜め垂直方向に二次元的に配置され、かつ、少なくとも前記斜め垂直方向に隣接する2つの二次元画像が異なる色度で配置された二次元画像群を生成する第1のステップと、
前記二次元画像群を構成する各二次元画像からの光を、偏心した複数の結像光学系により指向性を持たせて異なる方向に投射して水平方向及び垂直方向に拡大された拡大像を同一領域に形成する第2のステップと、
前記拡大像から発散する光線群に対して、前記水平方向に対しては準平行光線であり、かつ、前記垂直方向に対しては拡散光線となる特定の表示方向を与え、その表示方向が与えられた前記光線群が空間に形成する交点に三次元画像を表示させる第3のステップと、
前記表示方向が与えられた前記光線群を観察者の瞳に同時に入射させて、前記観察者の網膜に水平方向に並んだ観察可能範囲が制限された複数の二次元画像の部分的視差画像を結像させる第4のステップと
を含み、前記複数の二次元画像の部分的視差画像のうち水平方向に隣接する2つの部分的視差画像同士を、互いに色度が異なり、かつ、その色度が前記サブフィールド単位で切り替わる部分的視差画像とすることを特徴とする三次元画像表示方法。
【請求項2】
前記第1のステップは、水平方向及び斜め垂直方向に二次元的に配置された前記複数の二次元画像表示素子のうち、前記斜め垂直方向に隣接する2つの二次元画像表示素子に対して、互いに色度が異なるN色の原色(Nは3以上の自然数)のうちの互いに異なる原色の二次元画像を表示させ、かつ、前記二次元画像の原色を、1フレームを1/Nk(kは1以上の自然数)に分割したサブフィールド単位で巡回的に切り替えるフィールドシーケンシャル駆動を前記複数の二次元画像表示素子に対して行うことにより、少なくとも前記斜め垂直方向に隣接する2つの二次元画像は異なる原色の二次元画像が配置された二次元画像群を生成することを特徴とする請求項1記載の三次元画像表示方法。
【請求項3】
互いに異なる複数の色度の照明光を出射する複数の光源と、
水平方向及び斜め垂直方向に二次元的に配置された複数の二次元画像表示素子と、
前記二次元画像表示素子に対して1フレームを複数に分割したサブフィールド単位で前記複数の光源のうち選択した一の光源からの照明光を照射すると共に、少なくとも前記斜め垂直方向に隣接する2つの前記二次元画像表示素子に対しては、異なる色度の照明光を照射し、かつ、照明光と同じ色度の画像信号を前記二次元画像表示素子に供給するフィールドシーケンシャル駆動を行い、前記水平方向及び斜め垂直方向に二次元的に配置され、かつ、少なくとも前記斜め垂直方向に隣接する2つの二次元画像が異なる色度で配置された二次元画像群を前記複数の二次元画像表示素子により生成させる同期制御手段と、
前記二次元画像群を構成する各二次元画像からの光を、指向性を持たせて異なる方向に投射して水平方向及び垂直方向に拡大された拡大像を同一領域に形成する偏心した複数の結像光学系と、
前記拡大像から発散する光線群に対して、前記水平方向に対しては準平行光線であり、かつ、前記垂直方向に対しては拡散光線となる特定の表示方向を与えた光線群を生成して観察者の瞳に同時に入射させると共に、その表示方向が与えられた前記光線群が空間に形成する交点に三次元画像を表示させる光学系と
を有し、前記観察者の網膜に水平方向に並んだ観察可能範囲が制限された複数の二次元画像の部分的視差画像を結像させ、水平方向に隣接する2つの前記部分的視差画像同士を、互いに色度が異なり、かつ、その色度が前記サブフィールド単位で切り替わる部分的視差画像とすることを特徴とする三次元画像表示装置。
【請求項4】
前記同期制御手段は、
水平方向及び斜め垂直方向に二次元的に配置された前記複数の二次元画像表示素子のうち、前記斜め垂直方向に隣接する2つの二次元画像表示素子に対して、互いに色度が異なるN色の原色(Nは3以上の自然数)のうちの互いに異なる原色の二次元画像を表示させ、かつ、前記二次元画像の原色を、1フレームを1/Nk(kは1以上の自然数)に分割したサブフィールド単位で巡回的に切り替えるフィールドシーケンシャル駆動を前記複数の二次元画像表示素子に対して行うことにより、少なくとも前記斜め垂直方向に隣接する2つの二次元画像は異なる原色の二次元画像が配置された二次元画像群を生成することを特徴とする請求項3記載の三次元画像表示装置。

【図1】
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【図3】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11A】
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【図11B】
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【図11C】
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【図12】
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【図13A】
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【図13B】
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【図13C】
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【図2】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−20037(P2010−20037A)
【公開日】平成22年1月28日(2010.1.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−179737(P2008−179737)
【出願日】平成20年7月10日(2008.7.10)
【出願人】(000004329)日本ビクター株式会社 (3,896)
【Fターム(参考)】