説明

交通信号制御装置、到達時点情報生成装置、コンピュータプログラム及び交通信号制御方法

【課題】車両プロファイルの算出を高精度に行うことができるとともに、信号制御の精度を向上させることができる交通信号制御装置、到達時点情報生成装置、コンピュータプログラム及び交通信号制御方法を提供する。
【解決手段】旅行時間算出部45は、交差点の停止線を通過した時点と車両感知器が設置された地点を通過した時点との間の走行所要時間を旅行時間として算出する。この場合、旅行時間算出部45は、低速度で走行する車両、あるいは減速した車両の旅行時間を除外する。車両プロファイル算出部46は、車両感知器での通過車両の検出結果に基づいて、車両プロファイルを算出する。この場合、車両プロファイル算出部46は、旅行時間算出部45で算出した旅行時間(低速度で走行する車両、あるいは減速した車両に対する旅行時間を除外して算出した旅行時間)を用いて車両プロファイルを算出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、交差点に設置された信号灯器を制御する交通信号制御装置、該交通信号制御装置を構成する到達時点情報生成装置、前記交通信号制御装置及び到達時点情報生成装置を実現するためのコンピュータプログラム並びに交通信号制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
交差点に設置された信号灯器は、交差点の各流入路の流入交通量に応じて決定された信号制御パラメータにより制御されている。信号制御パラメータとしては、例えば、信号灯器の1周期の時間(例えば、青現示から次の青現示までの時間)であるサイクル長、1サイクル中の各現示が占める時間の割合であるスプリット、交差点間のサイクル開始タイミングの時間差であるオフセットなどがある。
【0003】
交差点付近の渋滞の発生を抑制し、円滑な交通を実現するためには、信号制御パラメータを最適化する必要があり、種々の技術が開発されている。例えば、交差点の上流に車両感知器を設置しておき、1秒から数秒の都度、車両感知器で検知された通過車両台数を集計する。そして、通過車両が所定の速度で走行すると仮定して、各車両が交差点の停止線に到達する時刻を予測し、各車両を到達時刻順に並べた車両グループを車両プロファイル(停止線到着プロファイル)として算出し、算出した車両プロファイルを用いて信号制御を行う技術が開示されている(非特許文献1参照)。
【非特許文献1】田島昭幸、他1名、「次世代信号制御方式の開発と実証実験」、SEIテクニカルレビュー、Vol.166、2005年3月、p51〜p55
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の例にあっては、所定の速度としてあらかじめ設定された速度や計測された速度が用いられていた。あらかじめ設定された速度では交通状況によって実際の車両の走行速度が変化した場合に対応できない可能性があった。また、計測された速度を用いる場合、信号待ち時間なども含めた、車両が交差点を通過するまでの平均的な所要時間を得る場合と同じように計測されたすべての車両の速度を平均して求めた速度が用いられていた。しかし、実際の車両の走行状況は、交差点での信号灯器に応じて、交差点手前で停止すべく減速する車両、あるいは先行車両に追従して停止する車両などが混在している。従って、すべての車両の旅行時間を平均した旅行時間に基づいて算出した車両プロファイルを用いて信号制御を行う場合、本来であれば交差点を通過させるべく信号制御を行うことができるときでも、不必要に車両を停止線で停止させてしまう事態に陥ることになり、最適な信号制御を行うことができない可能性があった。
【0005】
本発明は、斯かる事情に鑑みてなされたものであり、車両プロファイル(停止線到着プロファイル)の算出を高精度に行うことができるとともに、信号制御の精度を向上させることができる交通信号制御装置、該交通信号制御装置を構成する到達時点情報生成装置、前記交通信号制御装置及び到達時点情報生成装置を実現するためのコンピュータプログラム並びに交通信号制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1発明に係る交通信号制御装置は、交差点に設置された信号灯器を制御する交通信号制御装置において、交差点上流の所定の地点での車両の通過を検知する検知手段と、前記地点を含む所定区間を走行する複数の車両それぞれの速度を取得する速度取得手段と、該速度取得手段で取得した速度が前記所定区間で速度閾値以上である車両の該所定区間での旅行時間を算出する旅行時間算出手段と、該旅行時間算出手段で算出した旅行時間及び前記検知手段で検知した検知結果に基づいて、前記地点を通過した各車両が交差点に到達する到達時点を示す到達時点情報を生成する到達時点情報生成手段と、該到達時点情報生成手段で生成した到達時点情報に応じて信号灯器を制御する制御手段とを備えることを特徴とする。
【0007】
第2発明に係る交通信号制御装置は、交差点に設置された信号灯器を制御する交通信号制御装置において、交差点上流の所定の地点での車両の通過を検知する検知手段と、前記地点を含む所定区間を走行する複数の車両の該所定区間での旅行時間を算出する旅行時間算出手段と、該旅行時間算出手段で算出した旅行時間のうち閾値以下の旅行時間及び前記検知手段で検知した検知結果に基づいて、前記地点を通過した各車両が交差点に到達する到達時点を示す到達時点情報を生成する到達時点情報生成手段と、該到達時点情報生成手段で生成した到達時点情報に応じて信号灯器を制御する制御手段とを備えることを特徴とする。
【0008】
第3発明に係る交通信号制御装置は、第1発明及び第2発明において、前記所定区間を走行する複数の車両それぞれの異なる時点での位置情報を該車両から取得する取得手段を備え、前記旅行時間算出手段は、前記取得手段で取得した位置情報に基づいて、旅行時間を算出するように構成してあることを特徴とする。
【0009】
第4発明に係る到達時点情報生成装置は、車両が交差点に到達する到達時点を示す到達時点情報を生成する到達時点情報生成装置において、交差点上流の所定の地点での車両の通過を検知する検知手段と、前記地点を含む所定区間を走行する複数の車両それぞれの速度を取得する速度取得手段と、該速度取得手段で取得した速度が前記所定区間で速度閾値以上である車両の該所定区間での旅行時間を算出する旅行時間算出手段と、該旅行時間算出手段で算出した旅行時間及び前記検知手段で検知した検知結果に基づいて、前記地点を通過した各車両の到達時点情報を生成する到達時点情報生成手段とを備えることを特徴とする。
【0010】
第5発明に係る到達時点情報生成装置は、車両が交差点に到達する到達時点を示す到達時点情報を生成する到達時点情報生成装置において、交差点上流の所定の地点での車両の通過を検知する検知手段と、前記地点を含む所定区間を走行する複数の車両の該所定区間での旅行時間を算出する旅行時間算出手段と、該旅行時間算出手段で算出した旅行時間のうち閾値以下の旅行時間及び前記検知手段で検知した検知結果に基づいて、前記地点を通過した各車両の到達時点情報を生成する到達時点情報生成手段とを備えることを特徴とする。
【0011】
第6発明に係るコンピュータプログラムは、コンピュータに、交差点に設置された信号灯器の動作を制御させるためのコンピュータプログラムにおいて、コンピュータを、交差点上流の所定の地点を含む所定区間を走行する複数の車両それぞれの速度が該所定区間で速度閾値以上である車両の該所定区間での旅行時間を算出する旅行時間算出手段と、算出した旅行時間及び前記地点での車両の通過の検知結果に基づいて、該地点を通過した各車両が交差点に到達する到達時点を示す到達時点情報を生成する到達時点情報生成手段と、生成した到達時点情報に応じて信号灯器の動作を制御させる制御手段として機能させることを特徴とする。
【0012】
第7発明に係るコンピュータプログラムは、コンピュータに、交差点に設置された信号灯器の動作を制御させるためのコンピュータプログラムにおいて、コンピュータを、交差点上流の所定の地点を含む所定区間を走行する複数の車両の該所定区間での旅行時間を算出する旅行時間算出手段と、算出した旅行時間のうち閾値以下の旅行時間及び前記地点での車両の通過の検知結果に基づいて、該地点を通過した各車両が交差点に到達する到達時点を示す到達時点情報を生成する到達時点情報生成手段と、生成した到達時点情報に応じて信号灯器の動作を制御させる制御手段として機能させることを特徴とする。
【0013】
第8発明に係るコンピュータプログラムは、コンピュータに、車両が交差点に到達する到達時点を示す到達時点情報を生成させるためのコンピュータプログラムにおいて、コンピュータを、交差点上流の所定の地点を含む所定区間を走行する複数の車両それぞれの速度が該所定区間で速度閾値以上である車両の該所定区間での旅行時間を算出する旅行時間算出手段と、算出した旅行時間及び前記地点での車両の通過の検知結果に基づいて、該地点を通過した各車両の到達時点情報を生成する到達時点情報生成手段として機能させることを特徴とする。
【0014】
第9発明に係るコンピュータプログラムは、コンピュータに、車両が交差点に到達する到達時点を示す到達時点情報を生成させるためのコンピュータプログラムにおいて、コンピュータを、交差点上流の所定の地点を含む所定区間を走行する複数の車両の該所定区間での旅行時間を算出する旅行時間算出手段と、算出した旅行時間のうち閾値以下の旅行時間及び前記地点での車両の通過の検知結果に基づいて、該地点を通過した各車両の到達時点情報を生成する到達時点情報生成手段として機能させることを特徴とする。
【0015】
第10発明に係る交通信号制御方法は、交差点に設置された信号灯器を制御する交通信号制御方法において、交差点上流の所定の地点での車両の通過を検知し、前記地点を含む所定区間を走行する複数の車両それぞれの速度を取得し、取得した速度が前記所定区間で速度閾値以上である車両の該所定区間での旅行時間を算出し、算出した旅行時間及び検知した検知結果に基づいて、前記地点を通過した各車両が交差点に到達する到達時点を示す到達時点情報を生成し、生成した到達時点情報に応じて信号灯器を制御することを特徴とする。
【0016】
第11発明に係る交通信号制御方法は、交差点に設置された信号灯器を制御する交通信号制御方法において、交差点上流の所定の地点での車両の通過を検知し、前記地点を含む所定区間を走行する複数の車両の該所定区間での旅行時間を算出し、算出した旅行時間のうち閾値以下の旅行時間及び検知した検知結果に基づいて、前記地点を通過した各車両が交差点に到達する到達時点を示す到達時点情報を生成し、生成した到達時点情報に応じて信号灯器を制御することを特徴とする。
【0017】
第1発明、第4発明、第6発明、第8発明及び第10発明にあっては、交通信号制御装置又は到達時点情報生成装置は、交差点上流の所定の地点(例えば、通過車両を検知するための車両感知器が設置された地点)を含む所定区間(例えば、車両感知器が設置された地点と交差点の停止線との間の区間)を走行する複数の車両それぞれの速度を取得する。車両の速度は、各車両から取得してもよく、車両の速度を検出する路上装置などから取得してもよい。交通信号制御装置又は到達時点情報生成装置は、車両の速度が所定区間で速度閾値以上である車両の所定区間での旅行時間を算出する。すなわち、所定区間で速度が速度閾値より遅い車両を除外して残りの車両の旅行時間を算出する。なお、旅行時間は、所定区間の車両の走行所要時間である。これにより、速度閾値より遅い速度で走行する車両、あるいは減速して速度が速度閾値より遅くなった車両の旅行時間を除外する。
【0018】
交通信号制御装置又は到達時点情報生成装置は、算出した旅行時間及び所定の地点での通過車両の検知結果に基づいて、所定の地点を通過した各車両が交差点に到達する到達時点を示す到達時点情報(車両プロファイル)を生成する。これにより、低速度で走行する車両、あるいは減速した車両の影響による各車両の停止線到着時点の誤差を少なくし、交差点を通過することができる車両を交差点で停止させてしまうような事態を防止できる高精度な車両プロファイルを求めることができる。また、生成した到達時点情報(車両プロファイル)に応じて、信号灯器を制御することにより、例えば、青信号開始時点を早めることで、本来であれば交差点を通過できる車両を不必要に停止線で停止させることなく、最適な信号制御を行うことができる。
【0019】
第2発明、第5発明、第7発明、第9発明及び第11発明にあっては、交通信号制御装置又は到達時点情報生成装置は、交差点上流の所定の地点(例えば、通過車両を検知するための車両感知器が設置された地点)を含む所定区間(例えば、車両感知器が設置された地点と交差点の停止線との間の区間)を走行する複数の車両の所定区間での旅行時間を算出する。なお、旅行時間は、車両感知器が設置された地点と停止線との間の車両の走行所要時間であり、旅行時間の算出は、各車両から時刻とともに位置情報を取得することにより行うことができる。交通信号制御装置又は到達時点情報生成装置は、算出した旅行時間のうち閾値以下の旅行時間を算出する。これにより、旅行時間が前記閾値を超える遅い速度で走行する車両、減速した車両等の旅行時間を除外する。
【0020】
交通信号制御装置又は到達時点情報生成装置は、算出した旅行時間及び所定の地点での通過車両の検知結果に基づいて、所定の地点を通過した各車両が交差点に到達する到達時点を示す到達時点情報(車両プロファイル)を生成する。これにより、低速度で走行する車両、あるいは減速した車両による影響で各車両の停止線到着時点の誤差を少なくし、交差点を通過することができる車両を交差点で停止させてしまうような事態を防止できる高精度な車両プロファイルを求めることができる。また、生成した到達時点情報(車両プロファイル)に応じて、信号灯器を制御することにより、例えば、青信号開始時点を早めることで、本来であれば交差点を通過できる車両を不必要に停止線で停止させることなく、最適な信号制御を行うことができる。
【0021】
第3発明にあっては、所定区間を走行する複数の車両それぞれの異なる時点での位置情報を該車両から取得し、取得した位置情報に基づいて、各車両の旅行時間を算出する。例えば、車両に車載機を搭載しておき、車載機は、所定の周期で自車の位置情報を測位し、測位した位置情報と測位時刻とを関連付けて記憶しておき、交差点の流出地点に設置した光ビーコンなどの路上装置へ記憶した位置情報を送信することができる。交通信号制御装置は、光ビーコンを介して各車両の位置情報と時刻とを取得する。旅行時間は、所定区間の下流端(上記の例では停止線)を通過した時刻と所定区間の上流端(上記の例では車両感知器が設置された地点)を通過した時刻との時間差により算出することができる。これにより、各車両の旅行時間を高精度に求めることができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明にあっては、車両プロファイルの算出を高精度に行うことができるとともに、信号制御の精度を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、本発明を実施の形態を示す図面に基づいて説明する。図1は本発明に係る交通信号制御装置を用いた信号灯器の制御の概要を示す模式図である。図1に示すように、4つの流入路で構成される交差点Cに信号灯器3、…を設置してあり、各信号灯器3は、交通信号制御機4により制御するようにしてある。なお、流入路の数など交差点Cの構成は一例であって、これに限定されるものではない。以下、1つの流入路について説明するが、他の流入路についても同様である。
【0024】
交差点Cの各流出地点付近には、光ビーコン2、…を設置してある。各光ビーコン2は、車両に搭載された車載機5との間で通信機能を有し、車両が光ビーコン2との通信可能領域を通過する際に、車載機5から所定の情報を受信する。これにより、各車両が交差点Cを通過した時点で、車載機5は光ビーコン2へ所定の情報を送信する。所定の情報は、例えば、車載機5で所定の周期で測位(計測)した自車の位置(経度及び緯度等の絶対位置でもよく、予め定められた地点からの相対位置でもよい)と測位時刻とを関連付けた時系列情報(プローブデータ)である。また、これらの情報に基づいて処理された旅行時間などの加工情報等を含めることもできる。
【0025】
なお、車載機5との通信機能を有するものであれば、光ビーコン2に代えて、電波ビーコン、RFID若しくはDSRC等の狭域通信機能を有する路上装置、UHF帯若しくはVHF帯などの無線LAN等の中域通信機能、又は携帯電話、PHS、多重FM放送若しくはインターネット通信などの広域通信機能を備える通信装置であってもよい。
【0026】
交差点Cの上流側の所定地点には、車両感知器1、1を設置してある。車両感知器1は、例えば、車両を感知できる超音波式感知器、ループコイル式感知器、遠赤外線式感知器などであり、流入路の上流地点を通過する車両を検出し、検出結果(車両検出データ)を交通信号制御機4へ出力する。なお、図1の例では、車両感知器1を2つ設置しているが、車両感知器1を設置する地点は、2箇所に限定されるものではなく、隣接する交差点との距離に応じて、あるいは、途中に信号灯器を設置していない分岐道路又は交差道路があるか否かに応じて、隣接する交差点との間で車両感知器1を1つ又は3つ以上設置してもよい。
【0027】
車両感知器1、光ビーコン2、信号灯器3及び交通信号制御機4の間の通信は、有線通信でもよく、無線通信でもよい。
【0028】
図2は車載機5の構成の一例を示すブロック図である。車載機5は、全体を制御する制御部51、通信部52、測位部53、操作部54、表示部55、音声出力部56、記憶部57などを備えている。また、測位部53は、GPS531、距離センサ532、方位センサ533などを備えている。
【0029】
通信部52は、光ビーコン2との間で通信を行う狭域通信機能を備え、車載機5を搭載した車両が光ビーコン2との通信可能領域を通過する際に、半導体メモリ又はハードディスク等で構成された記憶部57に記憶された所定の情報(例えば、プローブデータなど)を光ビーコン2へ送信する。なお、通信部52に、UHF帯若しくはVHF帯などの無線LAN等の中域通信機能、又は携帯電話、PHS、多重FM放送若しくはインターネット通信などの広域通信機能を備える構成とすることもできる。
【0030】
測位部53は、車両の位置を時々刻々(例えば、0.5秒、1秒等の経過の都度、5m、10m等の移動の都度など)測位し(測位位置を求め)、測位位置と測位時刻とを関連付けた走行軌跡である時系列情報(プローブデータ)として記憶部57に記憶する。
【0031】
GPS531は、複数のGPS衛星から電波を受信し、車両の位置を測位する。なお、GPS531に加えて、DGPS(ディファレンシャルGPS)を搭載することもできる。DGPSは、予め位置が分かっている基準局から発信されるFM放送又は中波を受信し、GPS531で求めた測位位置のずれを補正することができ、車両の位置の精度を向上させることができる。
【0032】
距離センサ532は、車両が走行した走行距離を計測する。計測結果は、制御部51へ出力されるとともに記憶部57に記憶される。
【0033】
方位センサ533は、角速度センサ又は角加速度センサ(相対方位センサ)、2次元又は3次元の地磁気センサ(絶対方位センサ)などを備え、車両の走行方位を計測する。計測結果は、制御部51へ出力されるとともに記憶部57に記憶される。
【0034】
操作部54は、各種操作ボタンを備え、車両の搭乗者と車載機5とのユーザインタフェースとして機能する。例えば、操作部54は、運転者の操作により車載機5に備えられた機能の動作開始又は動作停止の操作を受け付ける。
【0035】
表示部55は、例えば、液晶表示パネルであって、車載機5で処理した処理結果などを表示する。
【0036】
音声出力部56は、車載機5で処理した処理結果などを運転者へ通知するために、通知内容を音声又は音響を出力する。
【0037】
図3は本発明に係る交通信号制御装置としての交通信号制御機4の構成の一例を示すブロック図である。交通信号制御機4は、全体の処理を制御する制御部41、通信部42、記憶部43、灯器駆動部44、旅行時間算出部45、車両プロファイル算出部46、信号制御パラメータ算出部47などを備えている。
【0038】
通信部42は、有線通信機能又は無線通信機能を備え、車両感知器1及び光ビーコン2との間で所定の情報の授受を行うことができる。例えば、通信部42は、交差点Cの上流地点を通過する各車両の検出結果を車両感知器1から取得する。また、通信部42は、交差点Cを通過する各車両の走行軌跡である時系列情報(プローブデータ)を光ビーコン2から取得する。
【0039】
記憶部43は、半導体メモリ又はハードディスク等で構成され、信号灯器3の点灯、消灯などを制御するための信号制御パラメータ、交通信号制御機4で処理した処理結果、通信部42を通じて取得した情報などを記憶する。
【0040】
信号制御パラメータは、例えば、信号灯器3の1周期の時間(例えば、青現示から次の青現示までの時間)であるサイクル長、1サイクル中の各現示が占める時間の割合であるスプリット、交差点間のサイクル開始タイミングの時間差である相対オフセット、基準交差点とのサイクル開始タイミングの時間差である絶対オフセットなどである。なお、信号制御パラメータは、後述するように車両プロファイル(停止線到着プロファイル)に応じて算出された最適な値で随時更新される。
【0041】
灯器駆動部44は、信号灯器3の各灯色に対応した半導体リレーを備えており、信号制御パラメータに基づいて、商用電源(不図示)から供給されたAC100V(あるいは、直流電圧でもよい)をオン/オフすることにより、信号灯器3の各灯色を点灯、消灯する。
【0042】
旅行時間算出部45は、交差点Cを通過する各車両に対して、交差点の停止線を通過した時点と車両感知器1が設置された地点を通過した時点との間の走行所要時間を旅行時間として算出する。旅行時間は、通信部42を介して受信した各車両のプローブデータにより各車両の走行軌跡を特定することで算出することができる。
【0043】
また、旅行時間算出部45は、旅行時間を算出する場合に、低速度で走行する車両、あるいは減速した車両の旅行時間を除外する。低速度で走行する車両、あるいは減速した車両等の不要な車両を除外するには、例えば、各車両の速度により判定する方法、あるいは、各車両の旅行時間の分布により判定する方法などがある。
【0044】
まず、車両の速度により判定する例について説明する。図4は車両の速度により不要な車両を除外する例を示す説明図である。各車両のプローブデータにより各車両の走行軌跡を特定することにより、図4に示すような、各車両の位置と速度との関係を収集することができる。なお、車両の速度は、2地点間の距離と2地点間の走行に要した時間とにより求めることができる。
【0045】
速度判定のための速度閾値をVth(例えば、20km/hなど)とする。車両感知器が設置された地点から停止線までの各車両の速度を求め、この区間において速度が速度閾値以上の車両(図4の例では、A、B、C)に対しては、旅行時間を算出する。一方、この区間で速度が速度閾値より遅くなった車両(図4の例では、D、E)は、例えば、減速したか、あるいは停止したとして、旅行時間を算出する対象から除外する。なお、速度閾値をさらに小さくすることにより、停止した車両のみを除外するようにしてもよい。
【0046】
これにより、後述するように、低速度で走行する車両、あるいは減速した車両による影響で各車両の停止線到着時点の誤差を少なくし、交差点を通過することができる車両を交差点で停止させてしまうような事態を防止できる高精度な車両プロファイルを求めることができる。
【0047】
次に、車両の旅行時間の分布により判定する例について説明する。図5は車両の旅行時間により不要な車両を除外する例を示す説明図である。図5において、横軸は旅行時間を示し、縦軸は度数(車両台数)を示す。図5(a)は旅行時間の分布のピークが1つ表れるような場合を示し、図5(b)は旅行時間の分布のピークが2つ表れるような場合を示す。なお、旅行時間の分布は一例であって、これらに限定されるものではない。
【0048】
各車両のプローブデータにより各車両の走行軌跡を特定することにより、各車両の旅行時間を求めることができ、これらを収集することで、図5に示すような旅行時間の分布を求めることができる。
【0049】
図5(a)に示すように、旅行時間の分布に1つのピークが表れる場合、予め定めた旅行時間の閾値Th1を越える旅行時間を除外し、除外した残りの旅行時間の平均値、中央値などの統計値を旅行時間とすることができる。また、全旅行時間のうち、長い方の旅行時間から所定の割合(例えば、10%、20%など)を画定する旅行時間を閾値Th1とし、この閾値Th1を越える旅行時間を除外し、除外した残りの旅行時間の平均値、中央値などの統計値を旅行時間とすることができる。
【0050】
また、図5(b)に示すように、旅行時間の分布に2つのピークが表れる場合、旅行時間が長い方のピークを有する分布を除外すべく閾値Th2を決定し、この閾値Th2を越える旅行時間を除外し、除外した残りの旅行時間の平均値、中央値などの統計値を旅行時間とすることができる。なお、図5の例で、各閾値Th1、Th2を超える旅行時間を除外することは、閾値Th1、Th2以下の旅行時間のみを用いることであり、必ずしも旅行時間を除外する手段を必要とするものではない。
【0051】
これにより、後述するように、低速度で走行する車両、あるいは減速した車両の影響による各車両の停止線到着時点の誤差を少なくし、交差点を通過することができる車両を交差点で停止させてしまうような事態を防止できる高精度な車両プロファイルを求めることができる。
【0052】
車両プロファイル算出部46は、通信部42を通じて車両感知器1から取得した各車両の検出結果に基づいて、あるいは、他の装置(不図示)から取得した上流隣接交差点における流出予測交通量(隣接交差点から交差点Cに向かって流出する交通量)などに基づいて、到達時点情報である車両プロファイル(停止線到着プロファイル)を所定の時間間隔(例えば、6秒)で算出する。
【0053】
この場合、車両プロファイル算出部46は、旅行時間算出部45で算出した旅行時間(低速度で走行する車両、あるいは減速した車両に対する旅行時間を除外して算出した旅行時間)を用いて車両プロファイルを算出する。
【0054】
図6は車両プロファイルの算出例を示す説明図である。図6に示すように、車両プロファイル(停止線到着プロファイル)は、現時点を始点として、例えば、1秒単位で集計した車両の到着状況の見積もりを示す。例えば、車両プロファイルは、交差点Cの停止線より上流側の地点B1、B2(図6の例では、車両感知器1を地点B1、B2の2箇所に設置した場合で説明する)における観測交通量、上流隣接交差点から交差点Cへ流出する流出予測交通量などに基づいて算出される。なお、観測地点の数等は一例であって、図6で示される状況に限定されるものではない。
【0055】
より具体的には、車両プロファイルは、リンク(交差点における直進車線、右折車線、左折車線などを独立してリンクとして扱う)の上流側に設置された車両感知器と上流隣接交差点から入手される予測流出交通量を用いて、現在から数分先の未来の交通量が交差点Cの停止線に到着するタイミングを流入路毎に予測するものである。
【0056】
これは、旅行時間算出部45で算出した旅行時間に基づいて、停止線到着予想時間順に車両感知器1によるデータを並べるものである。そして、1秒単位の時間ステップごとに集計を行なう。なお、車両感知器1の設置位置より上流から到着する交通量は、上流隣接交差点と交換される上流交差点の予測流出交通量情報より与えられる。車両プロファイルの算出は、車両感知器1の検出結果(観測交通量)により、推定断面交通量を算出し、推定分岐率により推定断面交通量を振り分け、進行方向別に停止線到着プロファイルを求めることにより行われ、車両感知器1が設置されていないリンクでは、上流の推定予想流出プロファイルより行われる。
【0057】
なお、上流交差点のデータが得られない場合、1サイクル前の平均断面流入交通量を需要交通量として採用することができる。また、渋滞が車両感知器位置を超えて流入交通量が測定できない場合には、過去の統計値を需要交通量とすることができる。
【0058】
信号制御パラメータ算出部47は、車両プロファイル算出部46で算出した車両プロファイルを用いて、信号制御パラメータを算出する。
【0059】
制御部41は、算出した信号制御パラメータに基づいて、制御信号を灯器駆動部44へ出力し、信号灯器の点灯、消灯を制御する。なお、制御部41は、専用のハードウエア回路で実現する構成でもよく、あるいは、CPU、RAMなどで構成しておき、予め処理手順を定めたコンピュータプログラムを実行することにより実現することもできる。
【0060】
図7は車両プロファイルによる信号制御の一例を示す説明図である。図7は車両プロファイル(停止線到着プロファイル)を示すものであり、図7(a)は従来の例を示し、図7(b)は本発明により算出した車両プロファイルの例を示す。
【0061】
図7(a)に示すように、従来の車両プロファイルの算出においては、車両感知器1が設置された地点を通過した車両が、停止線に到達するまでの間、所定の速度で走行すると仮定している。すなわち、車両感知器1が設置された地点と停止線との2地点間の旅行時間は、すべての車両の旅行時間を平均した旅行時間が用いられている。この場合、時刻taに車両グループの先頭のものが停止線に到着し、例えば、この時刻taに青信号開始を行うことになる。
【0062】
しかし、車両の中には、交差点手前で停止すべく減速する車両、あるいは先行車両に追従して停止する車両などが混在している。従って、すべての車両の旅行時間を平均した旅行時間に基づいて算出した車両プロファイルで表される停止線到着時刻よりも早いタイミングで停止線に到達する車両が存在する。例えば、先頭車両の停止線到着時刻は、図7(b)に示すように、時刻taよりも時間ΔTだけ早い時刻tbとなる。このため、図7(b)の斜線で示すように、時間ΔTの間に停止線に到着した車両は、本来であれば交差点を通過させるべく信号制御を行うことができるときでも、不必要に車両を停止線で停止させることになる。
【0063】
本発明では、低速度で走行する車両、あるいは減速した車両の旅行時間を除外して旅行時間を算出するので、図7(b)に示すように、時刻tbに車両グループの先頭のものが停止線に到着するような精度の高い車両プロファイルを算出することができる。この時刻tbに青信号開始を行うことにより、不必要に車両を停止線で停止させる事態を防止することができる。
【0064】
図8は車両プロファイルによる信号制御の他の例を示す説明図である。図8(a)に示すように、従来の車両プロファイルの算出においては、車両感知器1が設置された地点を通過した車両が、停止線に到達するまでの間、所定の速度で走行すると仮定している。すなわち、車両感知器1が設置された地点と停止線との2地点間の旅行時間は、すべての車両の旅行時間を平均した旅行時間が用いられている。この場合、時刻tcに青信号を終了させることができる。
【0065】
しかし、車両の中には、交差点手前で停止すべく減速する車両、あるいは先行車両に追従して停止する車両などが混在している。従って、すべての車両の旅行時間を平均した旅行時間に基づいて算出した車両プロファイルで表される停止線到着時刻よりも早いタイミングで停止線に到達する車両が存在する。すなわち、実際の車両の到達時間がΔTだけ早くなる。このため、図8(b)に示すように、車両が通過しない無駄な青時間(図の例ではΔT)が発生する場合、あるいは、図8(b)の斜線で示すように、車両が交差点に進入する直前で青信号が終了し、急停止が必要となる危険な状態が発生する場合がある。
【0066】
本発明では、低速度で走行する車両、あるいは減速した車両の旅行時間を除外して旅行時間を算出するので、高精度な車両プロファイルを算出することができ、例えば、時刻tdに青信号を終了させることにより、無駄な青時間の発生、あるいは、急停止が必要となる危険な状態の発生を防止することができる。
【0067】
これにより、低速度で走行する車両、あるいは減速した車両の影響による各車両の停止線到着時点の誤差を少なくし、交差点を通過することができる車両を交差点で停止させてしまうような事態を防止できる高精度な車両プロファイルを求めることができる。また、算出した車両プロファイルに応じて、信号灯器を制御することにより、例えば、青信号開始時点を早めることで、本来であれば交差点を通過できる車両を不必要に停止線で停止させることなく、最適な信号制御を行うことができる。
【0068】
次に、交通信号制御機4の動作について説明する。図9は交通信号制御機4の処理手順の一例を示すフローチャートである。図9の例は、車両プロファイルを算出する際に速度閾値を用いた判定を行う場合である。制御部41は、車両のプローブデータを受信し(S11)、受信したプローブデータに基づいて車両の走行軌跡を特定する(S12)。制御部41は、車両の速度を算出し(S13)、算出した速度が速度閾値以上であるか否かを判定する(S14)。
【0069】
速度が速度閾値以上である場合(S14でYES)、制御部41は、その車両の旅行時間を算出する(S15)。速度が速度閾値以上でない場合(S14でNO)、制御部41は、ステップS15の処理を行わずに後述のステップS16の処理を行う。
【0070】
制御部41は、十分なデータが収集されたか否かを判定し(S16)、十分なデータが収集されていない場合(S16でNO)、ステップS11以降の処理を続ける。十分なデータが収集された場合(S16でYES)、制御部41は、平均旅行時間を算出する(S17)。
【0071】
制御部41は、車両感知器1から車両検出データを取得し(S18)、流入路毎の車両プロファイル(停止線到着プロファイル)を算出する(S19)。制御部41は、算出した車両プロファイルを用いて、信号制御パラメータを算出する(S20)。
【0072】
制御部41は、処理を終了するか否かを判定し(S21)、処理を終了しない場合(S21でNO)、ステップS11以降の処理を続け、処理を終了する場合(S21でYES)、処理を終了する。
【0073】
図10は交通信号制御機4の処理手順の他の例を示すフローチャートである。図10の例は、車両プロファイルを算出する際に旅行時間の閾値を用いた判定を行う場合である。制御部41は、車両のプローブデータを受信し(S31)、受信したプローブデータに基づいて車両の走行軌跡を特定する(S32)。制御部41は、車両の旅行時間を算出する(S33)。
【0074】
制御部41は、十分なデータが収集されたか否かを判定し(S34)、十分なデータが収集されていない場合(S34でNO)、ステップS31以降の処理を続ける。十分なデータが収集された場合(S34でYES)、制御部41は、旅行時間の分布を生成し(S35)、閾値以上の旅行時間を除外する(S36)。
【0075】
制御部41は、除外後の平均旅行時間を算出し(S37)する。制御部41は、車両感知器1から車両検出データを取得し(S38)、流入路毎の車両プロファイル(停止線到着プロファイル)を算出する(S39)。制御部41は、算出した車両プロファイルを用いて、信号制御パラメータを算出する(S40)。
【0076】
制御部41は、処理を終了するか否かを判定し(S41)、処理を終了しない場合(S41でNO)、ステップS31以降の処理を続け、処理を終了する場合(S41でYES)、処理を終了する。
【0077】
以上説明したように、本発明にあっては、低速度で走行する車両、あるいは減速した車両による影響で各車両の停止線到着時点の誤差を少なくし、交差点を通過することができる車両を交差点で停止させてしまうような事態を防止できる高精度な車両プロファイルを求めることができる。また、算出した車両プロファイルに応じて、信号灯器を制御することにより、例えば、青信号開始時点を早めることで、本来であれば交差点を通過できる車両を不必要に停止線で停止させることなく、最適な信号制御を行うことができる。また、交差点を通過する車両のプローブデータを用いることにより、精度高く旅行時間を求めることができる。
【0078】
上述の実施の形態では、交通信号制御機4は、旅行時間算出部45、車両プロファイル算出部46を備える構成であったが、これに限定されるものではなく、例えば、旅行時間算出部45及び/又は車両プロファイル算出部46を別個の装置として分離し、該装置から有線又は無線により旅行時間及び/又は車両プロファイルを取得するように構成することもできる。また、上述の分離した装置を既存の交通信号制御機へ取り付け可能な構成とすることもできる。さらに、信号制御パラメータ算出部47を別個の装置として分離し、該装置で信号制御パラメータを算出して、交通信号制御機へ出力する構成でもよい。
【0079】
上述の実施の形態では、交通信号制御機4は、交差点Cに設置された信号灯器3を制御する構成であったが、これに限定されるものではなく、複数の交通信号制御機を統合したセンタ装置のような構成とし、該センタ装置で複数の交差点に設置された信号灯器を同時に制御することもできる。
【0080】
上述の実施の形態では、車両感知器1から停止線までの間の旅行時間を算出する場合に、各車両のプローブデータから車両の走行軌跡を特定し、特定した走行軌跡上の車両感知器1の位置とその通過時刻、及び停止線の位置とその通過時刻を求めることで旅行時間を算出することができる。仮に走行軌跡上で車両感知器1の位置又は停止線の位置の情報が存在しない場合には、最も近い位置とその通過時刻から、車両感知器1の位置とその通過時刻、又は停止線の位置とその通過時刻を推定することができる。従って、必ずしも、車両感知器1から停止線までの所定区間の旅行時間を直接算出することができない場合でも、他の区間の旅行時間から推定することは可能である。
【0081】
上述の実施の形態では、減速した車両、停止した車両を除外する構成であったが、これに限定されるものではなく、流入路の最高速度(規制速度の上限)を超える車両も除外することができる。これにより、さらに精度良く車両プロファイルを求めることができる。
【0082】
開示された実施の形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【図面の簡単な説明】
【0083】
【図1】本発明に係る交通信号制御装置を用いた信号灯器の制御の概要を示す模式図である。
【図2】車載機の構成の一例を示すブロック図である。
【図3】本発明に係る交通信号制御装置としての交通信号制御機の構成の一例を示すブロック図である。
【図4】車両の速度により不要な車両を除外する例を示す説明図である。
【図5】車両の旅行時間により不要な車両を除外する例を示す説明図である。
【図6】車両プロファイルの算出例を示す説明図である。
【図7】車両プロファイルによる信号制御の一例を示す説明図である。
【図8】車両プロファイルによる信号制御の他の例を示す説明図である。
【図9】交通信号制御機の処理手順の一例を示すフローチャートである。
【図10】交通信号制御機の処理手順の他の例を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0084】
1 車両感知器
2 光ビーコン
3 信号灯器
4 交通信号制御機
5 車載機
41 制御部
42 通信部
43 記憶部
44 灯器駆動部
45 旅行時間算出部
46 車両プロファイル算出部
47 信号制御パラメータ算出部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
交差点に設置された信号灯器を制御する交通信号制御装置において、
交差点上流の所定の地点での車両の通過を検知する検知手段と、
前記地点を含む所定区間を走行する複数の車両それぞれの速度を取得する速度取得手段と、
該速度取得手段で取得した速度が前記所定区間で速度閾値以上である車両の該所定区間での旅行時間を算出する旅行時間算出手段と、
該旅行時間算出手段で算出した旅行時間及び前記検知手段で検知した検知結果に基づいて、前記地点を通過した各車両が交差点に到達する到達時点を示す到達時点情報を生成する到達時点情報生成手段と、
該到達時点情報生成手段で生成した到達時点情報に応じて信号灯器を制御する制御手段と
を備えることを特徴とする交通信号制御装置。
【請求項2】
交差点に設置された信号灯器を制御する交通信号制御装置において、
交差点上流の所定の地点での車両の通過を検知する検知手段と、
前記地点を含む所定区間を走行する複数の車両の該所定区間での旅行時間を算出する旅行時間算出手段と、
該旅行時間算出手段で算出した旅行時間のうち閾値以下の旅行時間及び前記検知手段で検知した検知結果に基づいて、前記地点を通過した各車両が交差点に到達する到達時点を示す到達時点情報を生成する到達時点情報生成手段と、
該到達時点情報生成手段で生成した到達時点情報に応じて信号灯器を制御する制御手段と
を備えることを特徴とする交通信号制御装置。
【請求項3】
前記所定区間を走行する複数の車両それぞれの異なる時点での位置情報を該車両から取得する取得手段を備え、
前記旅行時間算出手段は、
前記取得手段で取得した位置情報に基づいて、旅行時間を算出するように構成してあることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の交通信号制御装置。
【請求項4】
車両が交差点に到達する到達時点を示す到達時点情報を生成する到達時点情報生成装置において、
交差点上流の所定の地点での車両の通過を検知する検知手段と、
前記地点を含む所定区間を走行する複数の車両それぞれの速度を取得する速度取得手段と、
該速度取得手段で取得した速度が前記所定区間で速度閾値以上である車両の該所定区間での旅行時間を算出する旅行時間算出手段と、
該旅行時間算出手段で算出した旅行時間及び前記検知手段で検知した検知結果に基づいて、前記地点を通過した各車両の到達時点情報を生成する到達時点情報生成手段と
を備えることを特徴とする到達時点情報生成装置。
【請求項5】
車両が交差点に到達する到達時点を示す到達時点情報を生成する到達時点情報生成装置において、
交差点上流の所定の地点での車両の通過を検知する検知手段と、
前記地点を含む所定区間を走行する複数の車両の該所定区間での旅行時間を算出する旅行時間算出手段と、
該旅行時間算出手段で算出した旅行時間のうち閾値以下の旅行時間及び前記検知手段で検知した検知結果に基づいて、前記地点を通過した各車両の到達時点情報を生成する到達時点情報生成手段と
を備えることを特徴とする到達時点情報生成装置。
【請求項6】
コンピュータに、交差点に設置された信号灯器の動作を制御させるためのコンピュータプログラムにおいて、
コンピュータを、
交差点上流の所定の地点を含む所定区間を走行する複数の車両それぞれの速度が該所定区間で速度閾値以上である車両の該所定区間での旅行時間を算出する旅行時間算出手段と、
算出した旅行時間及び前記地点での車両の通過の検知結果に基づいて、該地点を通過した各車両が交差点に到達する到達時点を示す到達時点情報を生成する到達時点情報生成手段と、
生成した到達時点情報に応じて信号灯器の動作を制御させる制御手段と
して機能させることを特徴とするコンピュータプログラム。
【請求項7】
コンピュータに、交差点に設置された信号灯器の動作を制御させるためのコンピュータプログラムにおいて、
コンピュータを、
交差点上流の所定の地点を含む所定区間を走行する複数の車両の該所定区間での旅行時間を算出する旅行時間算出手段と、
算出した旅行時間のうち閾値以下の旅行時間及び前記地点での車両の通過の検知結果に基づいて、該地点を通過した各車両が交差点に到達する到達時点を示す到達時点情報を生成する到達時点情報生成手段と、
生成した到達時点情報に応じて信号灯器の動作を制御させる制御手段と
して機能させることを特徴とするコンピュータプログラム。
【請求項8】
コンピュータに、車両が交差点に到達する到達時点を示す到達時点情報を生成させるためのコンピュータプログラムにおいて、
コンピュータを、
交差点上流の所定の地点を含む所定区間を走行する複数の車両それぞれの速度が該所定区間で速度閾値以上である車両の該所定区間での旅行時間を算出する旅行時間算出手段と、
算出した旅行時間及び前記地点での車両の通過の検知結果に基づいて、該地点を通過した各車両の到達時点情報を生成する到達時点情報生成手段と
して機能させることを特徴とするコンピュータプログラム。
【請求項9】
コンピュータに、車両が交差点に到達する到達時点を示す到達時点情報を生成させるためのコンピュータプログラムにおいて、
コンピュータを、
交差点上流の所定の地点を含む所定区間を走行する複数の車両の該所定区間での旅行時間を算出する旅行時間算出手段と、
算出した旅行時間のうち閾値以下の旅行時間及び前記地点での車両の通過の検知結果に基づいて、該地点を通過した各車両の到達時点情報を生成する到達時点情報生成手段と
して機能させることを特徴とするコンピュータプログラム。
【請求項10】
交差点に設置された信号灯器を制御する交通信号制御方法において、
交差点上流の所定の地点での車両の通過を検知し、
前記地点を含む所定区間を走行する複数の車両それぞれの速度を取得し、
取得した速度が前記所定区間で速度閾値以上である車両の該所定区間での旅行時間を算出し、
算出した旅行時間及び検知した検知結果に基づいて、前記地点を通過した各車両が交差点に到達する到達時点を示す到達時点情報を生成し、
生成した到達時点情報に応じて信号灯器を制御することを特徴とする交通信号制御方法。
【請求項11】
交差点に設置された信号灯器を制御する交通信号制御方法において、
交差点上流の所定の地点での車両の通過を検知し、
前記地点を含む所定区間を走行する複数の車両の該所定区間での旅行時間を算出し、
算出した旅行時間のうち閾値以下の旅行時間及び検知した検知結果に基づいて、前記地点を通過した各車両が交差点に到達する到達時点を示す到達時点情報を生成し、
生成した到達時点情報に応じて信号灯器を制御することを特徴とする交通信号制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2009−258920(P2009−258920A)
【公開日】平成21年11月5日(2009.11.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−106140(P2008−106140)
【出願日】平成20年4月15日(2008.4.15)
【出願人】(000002130)住友電気工業株式会社 (12,747)
【Fターム(参考)】