説明

位相ロック回路

【課題】位相ロック回路において、電圧制御発振回路や分周回路の性能が設計時よりばらついた場合であっても、電圧制御発振回路が出力する高速クロックを分周回路で良好に分周できるようにして、不良品を低減する。
【解決手段】第1の分周回路4に加えて、この分周回路4よりも動作速度の遅い第2の分周回路5を備える。前記2つの分周回路4、5で分周されたクロックの周波数同士を周波数比較回路6で比較し、第2の分周回路5の分周クロックの周波数よりも第1の分周回路4の分周クロックの周波数の方が速い場合には、VCO発振抑制回路7が電圧制御発振回路3出力クロックFoutの発振周波数を抑制する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
デジタル回路向けの高速クロックを生成する位相ロック回路において、確実にクロックの位相をロックさせて更なる高速クロックを生成するものに関する。
【背景技術】
【0002】
システムLSIにおいて、搭載しているデジタル回路は高速に演算を行う必要があり、そのために、高速クロックをデジタル回路へ入力することが要求される。このとき、システムLSI外部から高速クロックを入力することは困難であるため、従来では、通常、システムLSI内に位相ロック回路を搭載し、システムLSI外部から低速の参照クロックを入力し、位相ロック回路によって参照クロックから高速クロック信号を生成している。
【0003】
従来の位相ロック回路を図7に示す。同図において、位相ロック回路は、位相比較回路1、ループフィルタ回路2、電圧制御発振回路(VCO)3、分周回路4で構成される。位相比較回路1は、2つの入力信号の位相差を比較し、位相差に応じた信号をループフィルタ回路2へ出力する。前記ループフィルタ回路2は、位相差信号をアナログ電圧信号へ変換して、電圧制御発振回路3へそのアナログ電圧を出力する。電圧制御発振回路3は、入力されたアナログ電圧に応じて高速クロックを生成して出力する。分周回路4は、高速クロックを予め定められた分周比でクロック分周して低速クロックを出力する。このとき、システムLSI外部から入力された参照クロックFinと分周回路4の出力クロックFoutとを位相比較回路1へ入力することによって、分周回路4の分周比率だけ高速になった高速クロックが電圧制御発振回路3から得られる。
【0004】
ここで、位相ロック回路が正常に動作するための必要条件は、電圧制御発振回路3から生成された高速クロックを分周回路4が分周できることである。高速クロックを分周回路4が分周できないと、分周回路4から位相比較回路1へ入力されるクロック周波数が小さくなり、位相ロック回路の負帰還制御によって電圧制御発振回路3の発振周波数を更に大きくするような制御が働く。そのため、正常なロック状態に移行できずに、異常な高速クロックを出力してしまう。特に、位相ロック回路の立ち上げ時など、安定して高速クロックを出す前の過渡状態時には、電圧制御発振回路3が最大発振クロックを出す可能性もあり、最大発振クロック発生時も分周回路4は正常に分周する必要がある。しかし、近年はクロック周波数が益々増大する傾向にあるため、全ての条件で分周回路4が正常に分周することの技術的難易度が大きくなってきている。
【0005】
そこで、従来では、図8に示すように、ループフィルタ回路2と電圧制御発振回路3との間にリミッタ回路10を挿入し、そのリミット値を予め定められた法則に従って制御するリミット値制御回路11を備え、このリミット値制御回路11により、電圧制御発振回路3に入力されるアナログ電圧を制限して、電圧制御発振回路3の発振範囲を、分周回路4が分周できる範囲に制限していた(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平9−153797号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、図8に示した前記従来の位相ロック回路では、電圧制御発振回路3の発振周波数範囲をリミッタ回路10により予め定められた法則で制限するために、もし電圧制御発振回路3が設計時より高速に発振するように製造されてしまった場合、又は、分周回路4が設計時より低速にしか動作できないように製造されてしまった場合には、対応できない。そのため、製造時に回路特性が大きくばらついた場合には不良品が発生する可能性があり、その結果として、製造コスト増となってしまう。
【0007】
また、回路特性のばらつきに強い設計にしようとすると、リミッタ回路10のリミット値を低速発振側に設定して、電圧制御発振回路3の発振範囲を高速発振しないようにする必要があるが、これでは、高速クロックの生成が困難になってしまう欠点が生じる。
【0008】
本発明は、前記問題を解決するものであり、その目的は、位相ロック回路において、確実に位相をロックさせて不良品を低減して、製造コストの低減を図り、更には、製造時に回路特性が良い製品での電圧制御発振回路の発振範囲を制限しないようにして、出力クロックの更なる高速化を実現することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記目的を達成するため、本発明では、電圧制御発振回路の出力クロックを分周回路で分周できなくなってきた際に、初めて、電圧制御発振回路の出力クロックの発振周波数を抑制することとする。
【0010】
具体的に、請求項1記載の発明の位相ロック回路は、2つの入力クロックの位相差を検出して位相差信号を出力する位相比較回路と、前記位相比較回路の位相差信号をアナログ電圧に変換して出力するループフィルタ回路と、前記ループフィルタのアナログ電圧信号をクロックに変換して出力する電圧制御発振回路と、前記電圧制御発振回路から出力されたクロックの周波数を分周する第1の分周回路とを備え、第1の分周回路の出力クロックと参照クロックとが前記位相比較回路に前記2つの入力クロックとして入力され、前記電圧制御発振回路の出力クロックが外部出力される位相ロック回路において、前記電圧制御発振回路から出力されたクロックの周波数を前記第1の分周回路よりも遅い動作速度で分周する第2の分周回路と、前記第1の分周回路及び第2の分周回路からのクロックの周波数同士を比較する周波数比較回路と、前記周波数比較回路の比較結果を受け、前記第2の分周回路の出力クロックよりも前記第1の分周回路の出力クロックの方が周波数が速いとき、前記電圧制御発振回路の発振周波数を抑制するVCO発振抑制手段とを備えたことを特徴とする。
【0011】
請求項2記載の発明は、前記請求項1記載の位相ロック回路において、前記第1の分周回路は、第1の電源と第2の電源の間に挿入され、前記第1の電源と前記第2の電源との電圧差の振幅で動作し、前記第2の分周回路は、前記第1の電源と第2の電源との間に、電圧発生回路と分周回路とが直列に挿入されて構成されることを特徴とする。
【0012】
請求項3記載の発明は、前記請求項2記載の位相ロック回路において、前記電圧発生回路は、ダイオードであることを特徴とする。
【0013】
請求項4記載の発明は、前記請求項2記載の位相ロック回路において、前記電圧発生回路は、抵抗であることを特徴とする。
【0014】
請求項5記載の発明は、前記請求項2記載の位相ロック回路において、前記電圧発生回路は、電流源であることを特徴とする。
【0015】
請求項6記載の発明は、前記請求項1記載の位相ロック回路において、前記第2の分周回路は、前記第1の分周回路よりも分周回路を構成するトランジスタの閾値電圧が高いことを特徴とする。
【0016】
請求項7記載の発明は、前記請求項1記載の位相ロック回路において、前記第2の分周回路は、前記第1の分周回路よりも分周回路を構成するトランジスタのチャネル幅サイズが小さいことを特徴とする。
【0017】
請求項8記載の発明は、前記請求項1記載の位相ロック回路において、前記周波数比較回路は、前記第1の分周回路の出力クロックのエッジの数をカウントする第1のカウンタ回路と、前記第2の分周回路の出力クロックのエッジの数をカウントする第2のカウンタ回路と、前記第1及び第2のカウンタ回路のカウント値同士を比較するデジタル比較回路とを備えることを特徴とする。
【0018】
請求項9記載の発明は、前記請求項1記載の位相ロック回路において、前記電圧制御発振回路は、ループ状に縦続された複数のインバータで構成されたインバータリング発振回路と、前記ループフィルタのアナログ電圧信号に応じた電流を発生して出力する可変電流源回路と、第3の電源及び第4の電源とを備え、前記第3の電源と第4の電源との間に前記インバータリング発振回路と前記可変電流源回路とが挿入され、前記インバータリング発振回路の前記インバータは、N型トランジスタとP型トランジスタとを備え、前記N型トランジスタのゲート端子と前記P型トランジスタのゲート端子とが接続され、前記N型トランジスタのドレイン端子と前記P型トランジスタのドレイン端子とが接続されて構成され、更に、前記VCO発振抑制手段は、相補的にオンする第1のスイッチ及び第2のスイッチを備え、前記インバータリング発振回路の前記インバータのN型トランジスタの基板端子とそのN型トランジスタのソース端子との間に前記第1のスイッチが挿入され、前記N型トランジスタの基板端子と第4の電源との間に前記第2のスイッチが挿入され、前記第1のスイッチ及び前記第2のスイッチが前記周波数比較回路の比較結果によって制御されることを特徴とする。
【0019】
請求項10記載の発明は、前記請求項1記載の位相ロック回路において、前記電圧制御発振回路は、ループ状に縦続された複数のインバータで構成されたインバータリング発振回路と、前記ループフィルタのアナログ電圧信号に応じた電流を発生して出力する可変電流源回路と、第3の電源及び第4の電源とを備え、前記第3の電源と第4の電源との間に前記インバータリング発振回路と前記可変電流源回路とが挿入され、前記インバータリング発振回路の前記インバータは、N型トランジスタとP型トランジスタとを備え、前記N型トランジスタのゲート端子と前記P型トランジスタのゲート端子とが接続され、前記N型トランジスタのドレイン端子と前記P型トランジスタのドレイン端子とが接続されて構成され、更に、前記VCO発振抑制手段は、相補的にオンする第1のスイッチ及び第2のスイッチを備え、前記インバータリング発振回路の前記インバータのP型トランジスタの基板端子とそのP型トランジスタのソース端子との間に前記第1のスイッチが挿入され、前記P型トランジスタの基板端子と第3の電源との間に前記第2のスイッチが挿入され、前記第1のスイッチ及び前記第2のスイッチが前記周波数比較回路の比較結果によって制御されることを特徴とする。
【0020】
以上により、請求項1〜10記載の発明では、第2の分周回路は第1の分周回路より動作速度が遅いので、この第2の分周回路が動作している限り第1の分周回路の動作が保証される。この特性を利用することにより、第2の分周回路が動作しているときには、電圧制御発振回路の発振周波数を制限しなくても、位相ロック回路が安定して動作することが可能となり、高速クロックの出力が実現できる。また、第2の分周回路が動作しないときには、電圧制御発振回路の発振周波数を制限することによって位相ロック回路の安定動作を保持して、製造不良品となることが回避できる。
【0021】
また、請求項2記載の発明では、第2の分周回路の電源電圧を第1の分周回路の電源電圧よりも小さくすることにより、第2の分周回路の動作速度を第1の分周回路よりも遅くすることができるので、この特性を利用するように、第2の分周回路に電圧発生回路を接続して、電圧発生回路の電圧分だけ第2の分周回路の電源電圧を小さくして、その第2の分周回路の動作速度を遅くする。
【0022】
更に、請求項3〜5記載の発明では、第2の分周回路の電源電圧を小さくするために、ダイオード、抵抗又は電流源の端子間電圧が使用される。
【0023】
加えて、請求項6記載の発明では、トランジスタの閾値電圧が高いと、トランジスタの電流能力が低下して、動作速度が遅くなる特性を利用することにより、第2の分周回路の動作速度を第1の分周回路の動作速度よりも遅くする。
【0024】
更に加えて、請求項7記載の発明では、トランジスタの電流能力はトランジスタのチャネル幅に比例して向上するので、第2の分周回路を構成するトランジスタのチャネル幅を小さくすることにより、第2の分周回路の動作速度を第1の分周回路の動作速度よりも遅くする。
【0025】
また、請求項8記載の発明では、第1及び第2の分周回路から出力されるクロックのエッジの数同士を計数することにより、第2の分周回路の動作、非動作が判定できる。
【0026】
更に、請求項9及び10記載の発明では、トランジスタは基板電圧によって閾値電圧を変更することにより動作速度を変更でき、例えば、P型トランジスタでは基板電圧をソース電圧よりも高くすることにより動作速度を遅くでき、N型トランジスタでは基板電圧をソース電圧よりも低くすることにより動作速度を遅くできるので、VCO発振抑制手段の第1のスイッチと第2のスイッチとを相補的にオンさせることによって基板電圧を変更して、インバータリング発振回路の発振周波数を変更することができる。
【発明の効果】
【0027】
以上説明したように、請求項1〜10記載の発明の位相ロック回路によれば、確実に位相をロックさせて不良品を低減して製造コストを低減できると共に、製造時に回路特性が良い製品において電圧制御発振回路の発振範囲を制限しなくできて、出力クロックの更なる高速化を実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0029】
(第1の実施形態)
図1は本実施形態における位相ロック回路の回路図を示す。
【0030】
同図において、位相ロック回路は、位相比較回路1、ループフィルタ回路2、電圧制御発振回路3、第1の分周回路4からなる位相ロックループの構成に加えて、第2の分周回路5、周波数比較回路6、VCO発振抑制回路(VCO発振抑制手段)7により構成され、参照クロックFinが入力され、出力クロックFoutが出力される。また、第2の分周回路5は、第1の分周回路4よりも動作速度が少し遅い分周回路である。
【0031】
電圧制御発振回路3の出力クロックFoutは、第1の分周回路4と第2の分周回路5との2つの分周回路でクロック分周される。そして、2つの分周回路4、5の分周クロックは、周波数比較回路6に入力され、2つの分周回路4、5の分周クロック周波数同士が比較される。ここで、第1の分周回路4が十分な動作マージンをもって出力クロックFoutを分周しているときには、動作速度が遅い第2の分周回路5も出力クロックFoutを分周することが可能である。このとき、周波数比較回路6は、2つの分周回路4、5の分周クロック周波数が同じであることを検出し、VCO発振抑制回路7に対して、電圧制御発振回路3の発振周波数を抑制しないように制御信号を送る。そして、VCO発振抑制回路7は、前記制御信号に基づいて電圧制御発振回路3の発振周波数を抑制しない。
【0032】
以上より、第1の分周回路4は確実に動作するので、位相ロック回路は確実に位相をロックさせて所望のクロックFoutを出力する。また、電圧制御発振回路3の発振周波数を抑制していないので、高速なクロックFoutを出力することも可能である。
【0033】
これに対し、第1の分周回路4が出力クロックFoutを分周するときの動作マージンが少ない場合には、第1の分周回路4よりも動作速度が遅い第2の分周回路5は、出力クロックFoutを分周することができなくなり、第2の分周回路5の分周クロック周波数は本来の周波数よりも遅くなるか、又はクロックが停止してしまう。このとき、周波数比較回路6は、第2の分周回路5の分周クロックの周波数よりも第1の分周回路4の分周クロックの周波数の方が速いことを検出し、VCO発振抑制回路7に対して、電圧制御発振回路3の発振周波数を抑制するように制御信号を出力する。そして、VCO発振抑制回路7は、前記受けた制御信号にも基づいて、電圧制御発振回路3の発振周波数を抑制して、出力クロックFoutの周波数が大きくならないように作用する。
【0034】
以上より、第1の分周回路4は動作マージンを減らすことなく確実に動作するので、位相ロック回路は確実に位相をロックさせて所望のクロックFoutを出力することが可能になる。
【0035】
尚、第2の分周回路5及び周波数比較回路6は、常時動作している必要はなく、位相ロック回路の立ち上げ時や、電源電圧変動や温度変動などの動作環境の変化時にのみ動作させることが可能である。これにより、第2の分周回路5や周波数比較回路6の追加による消費電流の増加の抑制を図ることも可能である。
【0036】
(第2の実施形態)
図2は本実施形態における位相ロック回路の回路図を示す。
【0037】
本実施形態では、電圧制御発振回路3を、N型トランジスタ(可変電流源回路)Tn0と、3段のインバータリング発振回路20とにより構成する。このN型トランジスタTn0と3段のインバータリング発振回路20とは直列に接続され、この直列回路が所定電圧VDDの電源端子(第3の電源)と接地電位VSSの電源端子(第4の電源)との間に挿入される。第2の分周回路5は、第1の分周回路4と同じ構成の分周回路5aと、電圧発生回路8とにより構成する。周波数比較回路6は、第1及び第2のカウンタ回路15a、15bと、デジタル比較回路16と、フリップフロップ回路9とにより構成する。VCO発振抑制回路7は、第1のスイッチsw1と、第2のスイッチsw2と、インバータinvとにより構成される。
【0038】
前記電圧制御発振回路3は、ループフィルタ回路2からのアナログ電圧信号VCOinをN型トランジスタTn0のゲート端子で受ける。N型トランジスタTn0は、ゲート端子の電圧が大きくなるほどドレイン電流を増大させる。3段のインバータリング発振回路20は、複数(同図では3個)のインバータIN1〜IN3がその出力側を次段の入力側に接続して3段目の出力側を1段目の入力側に戻したループ状に縦続接続されて成っている。これ等のインバータIN1〜IN3は1個のN型トランジスタと1個のP型トランジスタとから成り、合計3個のN型トランジスタTn1〜Tnと合計3個のP型トランジスタTp1〜Tp3を備える。各インバータIN1〜IN3を構成する1個のN型トランジスタと1個のP型トランジスタにおいては、それ等のゲート端子同士が接続されると共に、そのN型トランジスタのドレイン端子とそのP型トランジスタのドレイン端子とが接続されている。
【0039】
前記3段のインバータリング発振回路20は、負端を前記N型トランジスタTn0のドレイン端子と接続しており、N型トランジスタTn0のドレイン電流に比例して出力クロックFoutの発振周波数が大きくなる。従って、ループフィルタ回路2からのアナログ電圧信号VCOinに比例して出力クロックFoutの発振周波数が大きくなる電圧制御発振回路3を実現する。
【0040】
第2の分周回路5は、電圧制御発振回路3からの出力クロックFoutを第1の分周回路4と同じ分周回路5aで受ける。このとき、この分周回路5aが動作する電源電圧が第1の分周回路4の電源電圧と同じであれば、分周回路5aの動作速度は第1の分周回路4と同じになる。従って、第2の分周回路5では、所定電圧VDDの電源端子(第1の電源)と接地電位VSSの電源端子(第2の電源)との間に、電圧発生回路8と分周回路5aとを直列に挿入し、電圧発生回路8の端子間電圧だけ分周回路5aの電源電圧を下げることによって、この分周回路5aの動作速度を下げる特性を実現する。尚、図2では、第1の分周回路4の電圧印加関係については図示していないが、前記所定電圧VDDの電源端子と接地電位VSSの電源端子との間に分周回路4のみが挿入されて、その電位差(VDD−VSS)の振幅で第1の分周回路4が動作するように配置される。
【0041】
周波数比較回路6は、第1及び第2のカウンタ回路15a、15bによって、第1の分周回路4と第2の分周回路5各々の分周クロックのクロック数をその立上り又は立下りのエッジの数によってカウントする。そして、デジタル比較回路16により前記2つのカウンタ回路15a、15bのカウント値同士の大小比較を行う。その結果は、フリップフロップ回路9に保存され、VCO発振抑制回路7に出力される。
【0042】
VCO発振抑制回路7は、電圧制御発振回路3内の3段のインバータリング発振回路20を構成するN型トランジスタTn1〜Tn3の基板端子を制御する。このVCO発振抑制回路7は、第1のスイッチsw1と第2のスイッチsw2を有する。前記第1のスイッチsw1は、3段のインバータリング発振回路20のN型トランジスタTn1〜Tn3の基板端子と、それ等のN型トランジスタTn1〜Tn3のソース端子との間に配置される。一方、前記第2のスイッチsw2は、前記3段のインバータリング発振回路20のN型トランジスタTn1〜Tn3の基板端子と、接地電位VSSの電源端子(第4の電源)との間に配置される。そして、この2つのスイッチsw1、sw2が相補的に制御できるように、インバータinvが第1のスイッチsw1のゲート端子に接続されていて、この両スイッチsw1、sw2には前記周波数比較回路6のフリップフロップ回路9からの出力信号が与えられる。前記第1のスイッチsw1のオン時と第2のスイッチsw2のオン時との各々の入力電圧に対する出力周波数の特性を図3に示す。第1のスイッチsw1がオンしているときには、インバータリング発振回路20のN型トランジスタのソース端子と基板端子は同電位となる。一方、第2のスイッチsw2がオンしているときはインバータリング発振回路のN型トランジスタTn1〜Tn3の基板端子はそれ等のソース端子より低い電位となる。このとき、インバータリング発振回路20のN型トランジスタTn1〜Tn3は負の基板バイアス状態となり、それ等のN型トランジスタTn1〜Tn3の駆動電流能力が小さくなる。従って、図3に示すように、第1のスイッチsw1がオンしているときよりも第2のスイッチsw2がオンしているときの方が、アナログ電圧信号VCOinに対する出力クロックFoutが小さくなる。従って、第1のスイッチsw1がオンしているときは、電圧制御発振回路3の発振周波数を抑制せず、第2のスイッチsw2がオンしているときは、電圧制御発振回路3の発振周波数を抑制する状態にすることが可能となる。
【0043】
ここで、第1の分周回路4が十分な動作マージンをもって出力クロックFoutを分周しているときは、周波数比較回路6の2つのカウンタ回路15a、15bのカウント値は同じになり、デジタル比較回路16は同じカウント値であることを検出する。そして、フリップフロップ回路9にLow信号を書き込み、VCO発振抑制回路7にLowレベルの制御信号を出力する。このとき、VCO発振抑制回路7の第1のスイッチsw1はオンし、第2のスイッチsw2はオフするので、電圧制御発振回路3の発振周波数を抑制しない。
【0044】
以上より、第1の分周回路4は確実に動作するので、位相ロック回路は確実に位相をロックさせて所望のクロックFoutを出力する。また、電圧制御発振回路3の発振周波数を抑制していないので、高速なクロックFoutを出力することが可能である。
【0045】
一方、第1の分周回路4が出力クロックFoutを分周するときの動作マージンが少ない場合、第1の分周回路4よりも動作速度が遅い第2の分周回路5は、出力クロックFoutを分周することが出来なくなり、第2の分周回路5の分周クロック周波数は本来の周波数よりも遅くなるか、又はクロックが停止してしまう。このとき、周波数比較回路6は、第1の分周回路4に接続される第1のカウンタ回路15aの方がカウント値が大きくなる。デジタル比較回路16はこれを検出し、フリップフロップ回路9にHigh信号を書き込み、VCO発振抑制回路7にHighレベルの制御信号を出力する。このとき、VCO発振抑制回路7の第1のスイッチsw1はオフし、第2のスイッチsw2はオンされるので、電圧制御発振回路3の発振周波数を抑制して、出力クロックFoutの周波数が大きくならないように作用する。
【0046】
以上より、第1の分周回路4は、動作マージンを減らすことなく確実に動作するので、位相ロック回路は確実に位相をロックさせて所望のクロックFoutを出力することが可能になる。
【0047】
尚、第2の分周回路5及び周波数比較回路6は、常時動作している必要はなく、位相ロック回路の立ち上げ時や、電源電圧変動や温度変動などの動作環境の変化時にのみ動作させることが可能である。これにより、第2の分周回路5や周波数比較回路6の追加による消費電流の増加の抑制を図ることも可能である。
【0048】
(第3の実施形態)
図4は、本発明の第3実施形態における位相ロック回路の回路図を示す。
【0049】
同図の位相ロック回路では、2の分周回路5を、第1の分周回路4と同じ構成の分周回路5aと、ダイオード(電圧発生回路)23とにより構成する。分周回路の動作速度は電源電圧が小さくなると遅くなるので、第2の分周回路5の動作速度の抑制をダイオード23の端子間電圧によって分周回路5aの電源電圧を小さくすることにより実現する。位相ロック回路としての動作方法や効果に関しては、第2の実施形態の場合と同じであるので、その説明は省略する。
【0050】
尚、本実施形態では、電圧発生回路としてダイオード23の端子間電圧を使用しているが、ダイオード23の代わりに、抵抗を挿入してその抵抗の端子間電圧を使用したり、又はダイオード23の代わりに、電流源を使用して、その電流源の端子間電圧を使用しても、同様の効果を得ることが可能である。
【0051】
(第4の実施形態)
図5は本実施形態における位相ロック回路の回路図を示す。
【0052】
同図の位相ロック回路では、第2の分周回路5を、第1の分周回路4と同じ分周回路5aで構成し、更に、第2の分周回路5の分周回路5aを構成するトランジスタの閾値電圧が第1の分周回路4を構成するトランジスタの閾値電圧よりも高い閾値電圧のトランジスタで構成することによって実現する。トランジスタの閾値電圧が高いと、トランジスタの飽和電流が小さくなるので、動作速度が遅くなる。従って、第2の分周回路5は第1の分周回路4より動作速度が遅くなる。位相ロック回路としての動作方法や効果に関しては、第2の実施形態の場合と同じであるので、その説明は省略する。
【0053】
尚、本実施形態では、第2の分周回路5をその構成トランジスタの閾値電圧が第1の分周回路4の構成トランジスタの閾値電圧よりも高いもので構成したが、閾値電圧を高くする代わりに、トランジスタのチャネル幅サイズを小さくして、トランジスタの飽和電流を小さくすることによっても、同様の効果を得ることが可能である。
【0054】
(第5の実施形態)
図6は本実施形態における位相ロック回路の回路図を示す。
【0055】
同図の位相ロック回路では、電圧制御発振回路3は、N型トランジスタ(可変電流源回路)Tn0と、2つのP型トランジスタTpc1、Tpc2によるカレントミラー回路25と、3段のインバータリング発振回路20とにより構成される。前記N型トランジスタ(可変電流源回路)Tn0が流す電流をカレントミラーしたカレントミラー回路25の出力側のP型トランジスタTpc2(可変電流源回路と同等)と、3段のインバータリング発振回路20とは直列に接続され、この直列回路が所定電圧VDDの電源端子(第3の電源)と接地電位VSSの電源端子(第4の電源)との間に挿入される。第2の分周回路5は、第1の分周回路4と同じ構成の分周回路5aと、電圧発生回路8とにより構成される。周波数比較回路6は、第1及び第2の2つのカウンタ回路15a、15bと、デジタル比較回路16と、フリップフロップ回路9とにより構成される。VCO発振抑制回路7は、第1のスイッチsw1と、第2のスイッチsw2と、インバータinvとにより構成される。
【0056】
電圧制御発振回路3は、ループフィルタ回路2からのアナログ電圧信号VCOinをN型トランジスタTn0のゲート端子で受ける。N型トランジスタTn0は、ゲート端子の電圧が大きくなるほどドレイン電流を増大させる。3段のインバータリング発振回路20は、複数(同図では3個)のインバータIN1〜IN3がその出力側を次段の入力側に接続して3段目の出力側を1段目の入力側に戻したループ状に縦続接続されて成っている。これ等のインバータIN1〜IN3は1個のN型トランジスタと1個のP型トランジスタとから成り、合計3個のN型トランジスタTn1〜Tnと合計3個のP型トランジスタTp1〜Tp3を備える。各インバータIN1〜IN3を構成する1個のN型トランジスタと1個のP型トランジスタにおいては、それ等のゲート端子同士が接続されると共に、そのN型トランジスタのドレイン端子とそのP型トランジスタのドレイン端子とが接続されている。
【0057】
前記3段のインバータリング発振回路20は、正端を前記カレントミラー回路25の出力側のP型トランジスタTpc2のドレイン端子と接続しており、N型トランジスタTn0のドレイン電流に比例してカレントミラー回路25から供給される電流量が増大して、発振周波数が大きくなる。従って、ループフィルタ回路2からのアナログ電圧信号VCOinに比例して出力クロックFoutの発振周波数が大きくなる電圧制御発振回路3が実現される。
【0058】
第2の分周回路5は、電圧制御発振回路3の出力クロックFoutを第1の分周回路4と同じ構成の分周回路5aで受ける。このとき、この分周回路5aが動作する電源電圧が第1の分周回路4の電源電圧と同じであれば、分周回路5aの動作速度は第1の分周回路4と同じになる。従って、第2の分周回路5では、所定電圧VDDの電源端子(第1の電源)と接地電位VSSの電源端子(第2の電源)との間に、電圧発生回路8と分周回路5aとを直列に挿入し、電圧発生回路8の端子間電圧だけ分周回路5aの電源電圧を下げることによって、この分周回路5aの動作速度を下げる特性を実現する。尚、図2では、第1の分周回路4の電圧印加関係については図示していないが、前記所定電圧VDDの電源端子と接地電位VSSの電源端子との間に分周回路4のみが挿入されて、その電位差(VDD−VSS)の振幅で第1の分周回路4が動作するように配置される。
【0059】
周波数比較回路6は、2つのカウンタ回路15a、15bにより、第1の分周回路4と第2の分周回路5の各々の分周クロックのクロック数をカウントする。そして、デジタル比較回路16で2つのカウンタ回路15a、15bのカウント値同士の大小比較を行う。その結果は、フリップフロップ回路9に保存され、VCO発振抑制回路7に出力される。
【0060】
VCO発振抑制回路7は、電圧制御発振回路3内の3段のインバータリング発振回路20を構成するP型トランジスタTp1〜Tp3の基板端子を制御する。このVCO発振抑制回路7は、第1のスイッチsw1と第2のスイッチsw2とを有する。前記第1のスイッチsw1は、3段のインバータリング発振回路20のP型トランジスタTp1〜Tp3の基板端子と、それ等のP型トランジスタTp1〜Tp3のソース端子との間に配置される。一方、前記第2のスイッチsw2は、前記3段のインバータリング発振回路20のP型トランジスタTp1〜Tp3の基板端子と、所定電位VDDの電源端子(第3の電源)との間に配置される。そして、この2つのスイッチsw1、sw2が相補的に制御できるように、インバータinvが第2のスイッチsw2のゲート端子に接続されていて、この両スイッチsw1、sw2には前記周波数比較回路6のフリップフロップ回路9からの出力信号が与えられる。前記第1のスイッチsw1のオン時と前記第2のスイッチsw2のオン時との各々の入力電圧に対する出力周波数の特性は、前記実施形態2と同じように、図3の特性となる。第1のスイッチsw1がオンしているときは、インバータリング発振回路20のP型トランジスタTp1〜Tp3のソース端子と基板端子は同電位となる。一方、第2のスイッチsw2がオンしているときは、インバータリング発振回路20のP型トランジスタTp1〜Tp3の基板端子はソース端子よりも高い電位となる。このとき、インバータリング発振回路20のP型トランジスタTp1〜Tp3は負の基板バイアス状態となり、これ等のP型トランジスタTp1〜Tp3の駆動電流能力は小さくなる。従って、図3に示すように、第1のスイッチsw1がオンしているときよりも第2のスイッチsw2がオンしているときの方が、アナログ電圧信号VCOinに対する出力クロックFoutは小さくなる。従って、第1のスイッチsw1がオンしているときは、電圧制御発振回路3の発振周波数を抑制せず、第2のスイッチsw2がオンしているときには、電圧制御発振回路3の発振周波数を抑制する状態にすることが可能となる。
【0061】
ここで、第1の分周回路4が十分な動作マージンをもって電圧制御発振回路3の出力クロックFoutを分周しているときには、周波数比較回路6の2つのカウンタ回路15a、15bのカウント値は同じになり、デジタル比較回路16は同じカウント値であることを検出する。そして、フリップフロップ回路9にLow信号を書き込み、VCO発振抑制回路7にLowレベルの制御信号を出力する。このとき、VCO発振抑制回路7の第1のスイッチsw1はオンし、第2のスイッチsw2はオフされるので、電圧制御発振回路3の発振周波数を抑制されない。
【0062】
以上より、第1の分周回路4が確実に動作するので、位相ロック回路は確実に位相をロックさせて所望のクロックFoutを電圧制御発振回路3から出力する。また、電圧制御発振回路3の発振周波数を抑制していないので、高速なクロックFoutを出力することも可能である。
【0063】
一方、第1の分周回路4が電圧制御発振回路3の出力クロックFoutを分周するときの動作マージンが少ない場合には、第1の分周回路4よりも動作速度が遅い第2の分周回路5は、電圧制御発振回路3の出力クロックFoutを分周することが出来なくなり、第2の分周回路5の分周クロック周波数は本来の周波数よりも遅くなるか、又はクロックが停止してしまう。このとき、周波数比較回路6は、第1の分周回路4に接続される第1のカウンタ回路15aの方がカウント値が大きくなる。デジタル比較回路16はこれを検出し、フリップフロップ回路9にHigh信号を書き込み、VCO発振抑制回路7にHighレベルの制御信号を出力する。このとき、VCO発振抑制回路7の第1のスイッチsw1はオフし、第2のスイッチsw2はオンされるので、電圧制御発振回路3の発振周波数を抑制して出力クロックFoutの周波数が大きくならないように作用する。
【0064】
以上より、第1の分周回路4は動作マージンを減らすことなく確実に動作するので、位相ロック回路は確実に位相をロックさせて所望のクロックFoutを出力することが可能になる。
【0065】
尚、第2の分周回路5及び周波数比較回路6は、常時動作している必要はなく、位相ロック回路の立ち上げ時や、電源電圧変動や温度変動などの動作環境の変化時にのみ動作させることが可能である。これにより、第2の分周回路5や周波数比較回路6の追加による消費電流の増加の抑制を図ることも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0066】
以上説明したように、本発明の位相ロック回路は、確実な位相ロック特性を有するので、システムLSIのクロック発生回路として有用であり、また、製造時の回路特性の仕上がりによって、高速クロック製品と低速クロック製品に分けて、不良品をなくす等の用途にも応用できる。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】本発明の第1の実施形態の位相ロック回路の構成を示す図である。
【図2】本発明の第2の実施形態の位相ロック回路の構成を示す図である。
【図3】同位相ロック回路に備える電圧制御発振回路の入力電圧−出力周波数特性を示す図である。
【図4】本発明の第3の実施形態の位相ロック回路の構成を示す図である。
【図5】本発明の第4の実施形態の位相ロック回路の構成を示す図である。
【図6】本発明の第5の実施形態の位相ロック回路の構成を示す図である。
【図7】従来の位相ロック回路を示す図である。
【図8】従来の他の位相ロック回路を示す図である。
【符号の説明】
【0068】
1 位相比較回路
2 ループフィルタ回路
3 電圧制御発振回路
4 第1の分周回路
5 第2の分周回路
5a 分周回路
6 周波数比較回路
7 VCO発振抑制回路(VCO発振抑制手段)
8 電圧発生回路
9 フリップフロップ回路
10 電圧リミッタ回路
11 リミット制御抑制回路
15a 第1のカウンタ回路
15b 第2のカウンタ回路
16 デジタル比較回路
20 インバータリング発振回路
23 ダイオード
25 カレントミラー回路
Tn0 N型トランジスタ(可変電流源回路)
Tn1〜Tn3 N型トランジスタ
Tp1〜Tp3 P型トランジスタ
Fin 参照クロック
Fout 出力クロック
inv インバータ
sw1 第1のスイッチ
sw2 第2のスイッチ
VDD 第1及び第3の電源
VSS 第2及び第4の電源

【特許請求の範囲】
【請求項1】
2つの入力クロックの位相差を検出して位相差信号を出力する位相比較回路と、
前記位相比較回路の位相差信号をアナログ電圧に変換して出力するループフィルタ回路と、
前記ループフィルタのアナログ電圧信号をクロックに変換して出力する電圧制御発振回路と、
前記電圧制御発振回路から出力されたクロックの周波数を分周する第1の分周回路とを備え、
第1の分周回路の出力クロックと参照クロックとが前記位相比較回路に前記2つの入力クロックとして入力され、前記電圧制御発振回路の出力クロックが外部出力される位相ロック回路において、
前記電圧制御発振回路から出力されたクロックの周波数を前記第1の分周回路よりも遅い動作速度で分周する第2の分周回路と、
前記第1の分周回路及び第2の分周回路からのクロックの周波数同士を比較する周波数比較回路と、
前記周波数比較回路の比較結果を受け、前記第2の分周回路の出力クロックよりも前記第1の分周回路の出力クロックの方が周波数が速いとき、前記電圧制御発振回路の発振周波数を抑制するVCO発振抑制手段とを備えた
ことを特徴とする位相ロック回路。
【請求項2】
前記請求項1記載の位相ロック回路において、
前記第1の分周回路は、第1の電源と第2の電源の間に挿入され、前記第1の電源と前記第2の電源との電圧差の振幅で動作し、
前記第2の分周回路は、前記第1の電源と第2の電源との間に、電圧発生回路と分周回路とが直列に挿入されて構成される
ことを特徴とする位相ロック回路。
【請求項3】
前記請求項2記載の位相ロック回路において、
前記電圧発生回路は、ダイオードである
ことを特徴とする位相ロック回路。
【請求項4】
前記請求項2記載の位相ロック回路において、
前記電圧発生回路は、抵抗である
ことを特徴とする位相ロック回路。
【請求項5】
前記請求項2記載の位相ロック回路において、
前記電圧発生回路は、電流源である
ことを特徴とする位相ロック回路。
【請求項6】
前記請求項1記載の位相ロック回路において、
前記第2の分周回路は、前記第1の分周回路よりも分周回路を構成するトランジスタの閾値電圧が高い
ことを特徴とする位相ロック回路。
【請求項7】
前記請求項1記載の位相ロック回路において、
前記第2の分周回路は、前記第1の分周回路よりも分周回路を構成するトランジスタのチャネル幅サイズが小さい
ことを特徴とする位相ロック回路。
【請求項8】
前記請求項1記載の位相ロック回路において、
前記周波数比較回路は、
前記第1の分周回路の出力クロックのエッジの数をカウントする第1のカウンタ回路と、
前記第2の分周回路の出力クロックのエッジの数をカウントする第2のカウンタ回路と、
前記第1及び第2のカウンタ回路のカウント値同士を比較するデジタル比較回路とを備える
ことを特徴とする位相ロック回路。
【請求項9】
前記請求項1記載の位相ロック回路において、
前記電圧制御発振回路は、
ループ状に縦続された複数のインバータで構成されたインバータリング発振回路と、
前記ループフィルタのアナログ電圧信号に応じた電流を発生して出力する可変電流源回路と、
第3の電源と第4の電源との間に前記インバータリング発振回路と前記可変電流源回路とが挿入され、
前記インバータリング発振回路の前記インバータは、N型トランジスタとP型トランジスタとを備え、前記N型トランジスタのゲート端子と前記P型トランジスタのゲート端子とが接続され、前記N型トランジスタのドレイン端子と前記P型トランジスタのドレイン端子とが接続されて構成され、更に、
前記VCO発振抑制手段は、相補的にオンする第1のスイッチ及び第2のスイッチを備え、前記インバータリング発振回路の前記インバータのN型トランジスタの基板端子とそのN型トランジスタのソース端子との間に前記第1のスイッチが挿入され、前記N型トランジスタの基板端子と第4の電源との間に前記第2のスイッチが挿入され、前記第1のスイッチ及び前記第2のスイッチが前記周波数比較回路の比較結果によって制御される
ことを特徴とする位相ロック回路。
【請求項10】
前記請求項1記載の位相ロック回路において、
前記電圧制御発振回路は、
ループ状に縦続された複数のインバータで構成されたインバータリング発振回路と、
前記ループフィルタのアナログ電圧信号に応じた電流を発生して出力する可変電流源回路と、
第3の電源と第4の電源との間に前記インバータリング発振回路と前記可変電流源回路とが挿入され、
前記インバータリング発振回路の前記インバータは、N型トランジスタとP型トランジスタとを備え、前記N型トランジスタのゲート端子と前記P型トランジスタのゲート端子とが接続され、前記N型トランジスタのドレイン端子と前記P型トランジスタのドレイン端子とが接続されて構成され、更に、
前記VCO発振抑制手段は、相補的にオンする第1のスイッチ及び第2のスイッチを備え、前記インバータリング発振回路の前記インバータのP型トランジスタの基板端子とそのP型トランジスタのソース端子との間に前記第1のスイッチが挿入され、前記P型トランジスタの基板端子と第3の電源との間に前記第2のスイッチが挿入され、前記第1のスイッチ及び前記第2のスイッチが前記周波数比較回路の比較結果によって制御される
ことを特徴とする位相ロック回路。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−306557(P2008−306557A)
【公開日】平成20年12月18日(2008.12.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−152848(P2007−152848)
【出願日】平成19年6月8日(2007.6.8)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】