位置検出システム
【課題】 工場ラインの段取替や改装工事やシステムの改変等、即ち建物における配置変更や設計変更を行う際に、無線IDタグリーダの再設置を必要としないシステムや方法等を提供すること。
【解決手段】 自身が設置された位置を示す位置IDを有する複数の無線IDタグを予め施設内の床などに設置し、無線IDタグリーダを移動体と共に移動するように構成する。無線IDタグリーダから読み出された位置IDは、移動体と共に移動する無線送信手段によって、当該移動体に対応する移動体IDと共に無線通信により他の装置に送信される。送信された位置ID及び移動体IDは、無線受信手段によって受信され、記憶手段に対応づけて記憶される。
【解決手段】 自身が設置された位置を示す位置IDを有する複数の無線IDタグを予め施設内の床などに設置し、無線IDタグリーダを移動体と共に移動するように構成する。無線IDタグリーダから読み出された位置IDは、移動体と共に移動する無線送信手段によって、当該移動体に対応する移動体IDと共に無線通信により他の装置に送信される。送信された位置ID及び移動体IDは、無線受信手段によって受信され、記憶手段に対応づけて記憶される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動体の位置を検出するシステムや方法等に適用されて有効な技術に関する。
【背景技術】
【0002】
RFID(Radio Frequency ID)タグ等の無線IDタグを用いることによって、移動体の位置を検出するシステムが従来から提供されている。移動体とは、例えば移動する人間や動物や物などである。
【0003】
このようなシステムの具体例としては、所定の場所に複数の無線IDタグリーダを配置し、無線IDタグが取り付けられた移動体の位置を検出するシステムがある(特許文献1参照)。このような従来のシステムでは、無線IDタグリーダが移動体に取り付けられた無線IDタグを読み取ることにより、係る移動体が、この無線IDタグリーダが設置された位置に存在することが検出される。即ち、従来のこのようなシステムでは、無線IDタグリーダが固定的に壁などに設置されることにより、移動体の位置が検出されていた。
【特許文献1】特開2004−312289号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来のように無線IDタグリーダを固定的に建物内(壁や床)に設置する場合、工場ラインの段取替、改装工事などの度に、無線IDタグリーダの再設置をする必要があった。このような再設置には、多くの手間と費用が必要となり問題となっていた。
【0005】
そこで本発明はこれらの問題を解決し、工場ラインの段取替や改装工事やシステムの改変等、即ち建物における配置変更や設計変更を行う際に、無線IDタグリーダの再設置を必要としないシステムや方法等を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第一の態様は、位置検出システムであって、複数の無線IDタグ,無線IDタグリーダ,無線送信手段,無線受信手段,及び記憶手段を含む。無線IDタグは、所定の位置に固定的に設置される。また、無線IDタグは、当該設置された位置を示す位置IDを有する。
【0007】
無線IDタグリーダは、移動体と共に移動する。例えば、無線IDタグリーダは、移動体に着装されても良いし、移動体に帯同されても良いし、移動体に添付されても良い。また、無線IDタグリーダは、無線IDタグから位置IDを読み出す。
【0008】
無線送信手段は、移動体と共に移動する。無線送信手段は、無線IDタグリーダと同様に、移動体に着装されても良いし、移動体に帯同されても良いし、移動体に添付されても良い。無線送信手段は、無線IDタグリーダと一体に構成されても良いし、別々の装置として構成されても良い。また、無線送信手段は、無線IDタグリーダから位置IDを受け取る。そして、無線送信手段は、この位置ID及び当該移動体に対応する移動体IDを無線通信により他の装置に送信する。この移動体IDは、無線IDタグリーダに記憶され、無線IDタグリーダから位置IDと共に無線送信手段に渡されても良い。また、移動体IDは、無線送信手段に記憶されても良い。また、移動体IDは、無線IDタグリーダ及び無線送信手段以外の他の装置に記憶されても良い。この場合、無線送信手段は、前記無線
通信をする際に移動体IDを読み出しても良い。
【0009】
無線受信手段は、無線送信手段から無線通信により位置ID及び移動体IDを受信する。そして、記憶手段は、無線受信手段によって受信された位置ID及び移動体IDを対応づけて記憶する。
【0010】
従来のシステムにおいては、無線IDタグリーダが固定的に設置され、移動体には無線IDタグが付与されていた。これに対し、本発明の第一の態様におけるシステムでは、無線IDタグが固定的に設置され、移動体と共に無線IDタグリーダが移動する。一般的に無線IDタグリーダに比べて無線IDタグは安価である。このため、無線IDタグリーダは、最低限必要な箇所に低密度に設置されることが多い。これに対し、安価である無線IDタグは、当初は不要と考えられる場所にまで、且つ高密度に、予め設置しておくことができる。このため、建物において配置変更や設計変更などがなされた場合であっても、予め設置されている無線IDタグのみによって柔軟に対応することが可能となる。
【0011】
即ち、無線IDタグリーダが低密度に設置されている場合には、一つの無線IDタグリーダの果たす役割が大きいため、配置変更によって各無線IDタグリーダが機能しなくなることの無いように、配置変更を検討する必要が生じる。また、もともと位置検出システムが不要であると考えられていた場所には、予め無線IDタグリーダを設置しておくことはコスト的に困難である。従って、このような場所に新たに位置検出システムを設ける場合には、それに伴って新たな無線IDタグリーダを設置する必要が生じる。これに対し、コストが安い無線IDタグは予め高密度に設置しておく事が可能である。このため、そのうちのいくつかが配置変更によって機能しなくなったとしても、近隣の他の無線IDタグによって機能をカバーすることができる。また、もともと位置検出システムが不要であると考えられていた場所にも、予め無線IDタグを設置しておくことも可能であり、このような場所に新たに位置検出システムを導入することも容易となる。
【0012】
本発明の第二の態様は、位置検出システムであって、複数の無線IDタグ,無線IDタグリーダ,無線送信手段,無線送受信手段,無線受信手段,及び記憶手段を含む。本発明の第二の態様における無線IDタグ,無線IDタグリーダ,記憶手段は、本発明の第一の態様における無線IDタグ,無線IDタグリーダ,記憶手段と同様に構成される。このため、本発明の第二の態様における無線IDタグ,無線IDタグリーダ,記憶手段についての説明は省く。
【0013】
本発明の第二の態様における無線送信手段は、位置ID及び移動体IDを第一の無線通信により他の装置に送信する点で、第一の態様における無線送信手段と異なる。
【0014】
無線送受信手段は、移動体と共に移動する。無線送受信手段は、移動体に装着されても良いし、移動体に帯同されても良いし、移動体に添付されても良い。無線送受信手段は、無線送信手段とは一体には構成されない。無線送受信手段は、無線送信手段から第一の無線通信により送信された位置ID及び移動体IDを受信する。また、無線送受信手段は、前回受信された位置IDと今回受信された位置IDとが同じか否か判断する。そして、無線送受信手段は、前回受信された位置IDと今回受信された位置IDとが異なる場合に、当該位置ID(即ち今回受信された位置ID)及び移動体IDを第二の無線通信により他の装置に送信する。なお、上記説明では、移動体IDは無線IDタグリーダ又は無線送信手段に記憶されているが、移動体IDは無線送受信手段に記憶されても良い。この場合、無線送信手段は位置IDのみを送信し、無線送受信手段は位置IDのみを第一の無線通信により送信手段から受信する。
【0015】
本発明の第二の態様における無線受信手段は、無線送受信手段から第二の無線通信によ
り位置ID及び移動体IDを受信する点で、本発明の第一の態様における無線受信手段と異なる。第一の無線通信と第二の無線通信とは、異なる通信方法により実装されても良いし、同じ通信方法により実装されても良い。
【0016】
本発明の第二の態様によれば、無線送信手段から送信されるデータ(位置ID,移動体ID)は、直接無線受信手段へ送信されるのではなく、無線送受信手段を介して送信される。また、無線送信手段及び無線送受信手段は同一の移動体と共に移動するため、無線送信手段と無線送受信手段との間の通信距離は、無線送信手段と無線受信手段との間の距離に比べて短い。従って、本発明の第二の態様における無線送信手段は、本発明の第一の態様における無線送受信手段に比べて短い通信距離を担保できれば良い。このため、無線送信手段における消費電力が少なく済む。また、第一の無線通信は、通信距離の短い安価な実装方法で実現することが可能となる。
【0017】
また、本発明の第二の態様によれば、無線送受信手段が、位置IDが変化した場合にのみ、無線受信手段に対する第二の無線通信による通信を行う。このため、通信回数を削減することが可能となり、無線受信手段や記憶手段における処理の負荷を軽減することが可能となる。
【0018】
また、本発明の第二の態様によっても、本発明の第一の態様と同様の効果を奏することができる。
【0019】
本発明の第一の態様及び第二の態様は、移動体と共に移動し、移動体の移動により生じる振動に基づいて発電を行い、無線IDタグリーダ及び無線送信手段に電力を供給する振動発電装置をさらに含むように構成されても良い。この場合、無線IDタグリーダ及び無線送信手段は、振動発電装置から供給される電力によって動作するように構成されても良い。
【0020】
このように構成されることにより、無線IDタグリーダ及び無線送信手段は、振動発電装置以外の他の装置から電力を供給される必要なく動作することができる。従って、このように構成された位置検出システムでは、移動体と共に移動する無線IDタグリーダ及び無線送信手段に対し、当該システム外から電力を供給する必要が無い。従って、無線IDタグリーダ及び無線送信手段を半永久的に動作させることが可能となる。
【0021】
また、本発明の第一の態様及び第二の態様における移動体は、上記したように、人間であっても良い。この場合、本発明の第一の態様及び第二の態様は、人間の履物の部分のうち人間の体重による荷重がかかる部分に設けられた圧力発電装置をさらに含むように構成されても良い。このとき、圧力発電装置は、履物が接地した際に生じる荷重により発電を行い、無線IDタグリーダ及び無線送信手段に電力を供給する。また、このように構成された場合、無線IDタグリーダ及び無線送信手段は、振動発電装置から供給される電力によって動作する。
【0022】
このように構成された場合も、無線IDタグリーダ及び無線送信手段は、振動発電装置以外の他の装置から電力を供給される必要なく動作することができる。従って、このように構成された位置検出システムでは、移動体と共に移動する無線IDタグリーダ及び無線送信手段に対し、当該システム外から電力を供給する必要が無い。従って、無線IDタグリーダ及び無線送信手段を半永久的に動作させることが可能となる。
【0023】
本発明の第一の態様及び第二の態様が適用される場所には、移動体が入場を許可される許可エリアと、移動体が入場を許可されない禁止エリアとが設けられても良い。この場合、本発明の第一の態様及び第二の態様は、許可エリアと禁止エリアとのいずれかを示す許
否IDと位置IDと移動体IDとが対応づけられたテーブルを記憶するテーブル記憶手段を含むように構成されても良い。さらにこの場合、本発明の第一の態様及び第二の態様は、判断手段及び出力装置をさらに含むように構成されても良い。判断手段は、無線受信手段によって受信された位置ID及び移動体IDに対応する許否IDを記憶手段から取得し、この許否IDの内容に基づいて出力内容を判断する。そして、出力装置は、判断手段による判断結果に従って出力を行う。出力装置は、例えば表示装置,音声出力装置,発光装置などを用いて構成されても良い。また、例えば、許否IDが許可エリアであることを示す場合、出力装置は、入場を促すメッセージを表示・発声するように構成されても良い。また、例えば、許否IDが禁止エリアであることを示す場合、出力装置は、入場を禁止する旨のメッセージを表示・発声するように構成されても良いし、警告音を発するように構成されても良いし、発光することにより警告を促すように構成されても良い。
【0024】
本発明の第三の態様は、人間の足に着装される履物であって、振動発電装置,IDタグリーダ,及び送信手段を含む。振動発電装置は、着装された人間の動作により生じる振動によって発電を行う。無線IDタグリーダは、振動発電装置により発電された電力によって動作する。そして、無線IDタグリーダは、無線IDタグから位置IDを読み出す。この無線IDタグは、所定の位置に固定的に設置され、当該設置された位置を示す位置IDを有する。送信手段は、振動発電装置により発電された電力によって動作する。そして、送信手段は、無線IDタグリーダによって読み出された位置IDを他の装置に送信する。
【0025】
本発明の第三の態様である履物は、上記した本発明の第一の態様及び第二の態様に適用することができる。また、本発明の第三の態様である履物は、無線IDタグリーダ及び送信手段が振動発電装置による電力によって動作するため、外部から電力を供給することなく半永久的に動作させることが可能となる。
【0026】
本発明の第四の態様は、人間の足に着装される履物であって、圧力発電装置,IDタグリーダ,及び送信手段を含む。圧力発電装置は、人間の体重による荷重がかかる部分に設けられ、荷重により発電を行う。無線IDタグリーダは、圧力発電装置により発電された電力によって動作する。そして、無線IDタグリーダは、無線IDタグから位置IDを読み出す。この無線IDタグは、所定の位置に固定的に設置され、当該設置された位置を示す位置IDを有する。送信手段は、圧力発電装置により発電された電力によって動作する。そして、送信手段は、無線IDタグリーダによって読み出された位置IDを他の装置に送信する。
【0027】
本発明の第四の態様である履物は、上記した本発明の第一の態様及び第二の態様に適用することができる。また、本発明の第四の態様である履物は、無線IDタグリーダ及び送信手段が圧力発電装置による電力によって動作するため、外部から電力を供給することなく半永久的に動作させることが可能となる。
【発明の効果】
【0028】
本発明によれば、建物において配置変更や設計変更などがなされた場合であっても、無線IDタグリーダの再設置を行う必要はなく、予め設置されている無線IDタグのみによって柔軟に対応することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
[第一実施形態]
以下、位置検出システム1の第一実施形態である位置検出システム1aについて説明する。
【0030】
〔システム構成〕
図1は、位置検出システム1aのシステム構成例を示す図である。位置検出システム1aは、履物2,無線IDタグ3,無線受信部4,ネットワーク5,及びサーバ6aを含む。以下、各構成要素について説明する。
【0031】
図2は、履物2の具体的な構成例を示す図である。履物2は、振動発電装置21,無線IDタグリーダ22,及び無線送信部23を含む。履物2は、振動発電装置21,無線IDタグリーダ22,及び無線送信部23を備えることが可能であれば、靴,サンダル,スリッパなど、どのような形態の履物を用いて構成されても良い。
【0032】
振動発電装置21は、履物2が人間によって着用されることにより生じる振動のエネルギを電気エネルギに変換する。即ち、振動発電装置21は、人間が歩行する際に生じる振動を利用することにより発電を行う。振動発電装置21は、例えば以下の論文に記載された技術を適用することにより実現することができる。
滝井大輔,中野公彦,斉藤俊,松永全央 “円弧状レールを用いた小型振動発電機の設計” 日本機械学会2003年度年次大会講演論文集Vol.5,No.03−1,2003−8,pp.283−284.
【0033】
振動発電装置21は、発電した電力を無線IDタグリーダ22や無線送信部23へ供給する。
【0034】
無線IDタグリーダ22は、振動発電装置21から供給される電力によって動作する。無線IDタグリーダ22は、床面又は床下に設けられた無線IDタグ3(詳細は後述する)からデータ(位置ID)を読み出す。無線IDタグリーダ22は、例えばRFIDタグリーダを用いて構成されても良い。無線IDタグリーダ22は、無線IDタグ3から読み出した位置IDを無線送信部23へ渡す。また、無線IDタグリーダ22は、個別の移動体IDを不図示の記憶装置に記憶する。移動体IDは、各履物2に重複しないように割り当てられたIDである。この移動体IDにより、履物2を一意に識別することが可能となる。なお、移動体IDは、履物2に対してではなく、履物2を使用するユーザに対して割り当てられたIDであっても良い。そして、無線IDタグリーダ22は、無線IDタグ3から読み出した位置IDと共に、この移動体IDを無線送信部23へ渡す。
【0035】
無線送信部23は、振動発電装置21から供給される電力によって動作する。無線送信部23は、無線IDタグリーダ22から受け取ったデータ(位置ID及び移動体ID)を、無線受信部4に対し送信する。無線送信部23と無線受信部4との間では、無線通信によりデータの送受信が行われる。無線送信部23は、例えばBluetooth(登録商標)や無線LANやHomeRF(Home Radio Frequency)等の技術を適用することにより実現されても良い。
【0036】
振動発電装置21,無線IDタグリーダ22,及び無線送信部23は、履物2の底部に設けられても良い。特に無線IDタグリーダ22は、無線IDタグ3との距離が短くなるように設置される必要があるため、履物2の底部に設けられることが望ましい。ただし、実現可能であれば、振動発電装置21や無線IDタグリーダ22や無線送信部23のそれぞれは、履物2のどのような部分に設けられても良く、設置場所は限定される必要はない。
【0037】
無線IDタグ3は、人間が履物2を履いて歩行する床に、例えば埋め込まれることによって設けられる。無線IDタグ3は、自身が設けられた位置に応じたデータである位置IDを有する。図3は、無線IDタグ3が設けられた床の例を示す図である。床には複数の無線IDタグ3が設けられている。そして、各無線IDタグ3は、位置IDとして、例えば横軸の座標を示す1〜nの整数と、縦軸の座標を示すアルファベットの文字列とを有す
る。この場合は、整数とアルファベットの文字列とで位置が示される。この場合、アルファベットの文字列は複数の文字によって表現される文字列であっても良い。また、例えばフロア(階数)をさらに示すように構成されても良いし、区画を示すように構成されても良いし、建物そのものを示すように構成されても良い。即ち、無線IDタグ3が有する位置IDは、位置を示すことが可能なデータであれば、どのようなフォーマットで設定されても良い。
【0038】
無線受信部4は、履物2の無線送信部23から送信されるデータ(位置ID及び移動体ID)を受信する。無線受信部4は、無線送信部23と無線通信可能に構成される。無線受信部4は、例えば上記のような無線通信技術、即ち例えばBluetooth(登録商標)や無線LANやHomeRF等の技術を適用することにより実現されても良い。無線受信部4は、例えば天井や壁などの施設に設けられる。
【0039】
また、無線受信部4は、ネットワークインタフェースを有し、ネットワーク5に接続可能に構成される。無線受信部4は、受信されたデータを、ネットワーク5を介してサーバ6aへ送信する。また、一つの位置検出システム1aに複数の無線受信部4が備えられても良い。
【0040】
ネットワーク5は、少なくとも無線受信部4とサーバ6aとを通信可能に結ぶネットワークである。有線のネットワーク(例えば有線LAN)を用いて構成されても良いし、無線のネットワーク(例えば無線LAN)を用いて構成されても良い。
【0041】
サーバ6aは、パーソナルコンピュータやワークステーション等の情報処理装置を用いて構成される。サーバ6aは、ネットワークインタフェースを有し、ネットワーク5に接続可能に構成される。図4は、サーバ6aの機能ブロック例を示す図である。サーバ6aは、送受信部61及び記憶部62を含む。
【0042】
送受信部61は、ネットワーク5に接続するためのネットワークインタフェースである。サーバ6aは、送受信部61を介してネットワーク5にデータを送信し、ネットワーク5からデータを受信する。
【0043】
記憶部62は、揮発性記憶装置又は不揮発性記憶装置を用いて構成される。記憶部62は、送受信部61を介して受信された位置IDと移動体IDとを対応づけて記憶する。図5は、記憶部62が記憶するテーブルの例を示す図である。記憶部62は、例えば、図5に示されるように、位置IDと移動体IDの組を一つのレコードとして記憶しても良い。この場合、記憶部62は、それぞれのレコードに対しシリアル番号をさらに対応づけて記憶しても良い。記憶部62が記憶可能なレコードの数は、特に制限される必要はなく、設計者によって自由に設定されて良い。従って、図5にあるように三つのレコードに限定される必要はない。
【0044】
〔システムフロー〕
図6は、位置検出システム1aにおける処理の流れを示すフローチャートである。以下、位置検出システム1aにおける処理の流れについて説明する。まず、履物2に含まれる無線IDタグリーダ22が、無線IDタグ3から位置IDを読み出す(S1)。次に、履物2に含まれる無線送信部23は、無線IDタグリーダ22が読み出した位置IDと、この履物2に対応する移動体IDとを無線受信部4へ送信する(S2)。無線受信部4は、位置ID及び移動体IDを受信すると、ネットワーク5を介して、受信された位置ID及び移動体IDをサーバ6aへ送信する(S3)。そして、サーバ6aは、無線受信部4から受信した位置ID及び移動体IDを組として、記憶部62に記憶する(S4)。
【0045】
〔作用/効果〕
位置検出システム1aによれば、従来のように無線IDタグリーダを施設内(例えば床)に設置しておくのではなく、無線IDタグを設置しておくことにより、各移動体の位置をサーバ6aに蓄積することが可能となる。この場合、無線IDタグリーダ22と異なって無線IDタグ3は安価であるため、高密度に予め設置しておくことが可能である。また、同様の理由により、最初は位置検出システム1aを設置する予定の無かった場所にも、予め無線IDタグ3を設置しておくことが可能である。従って、施設内の配置変更や設計変更などが生じた際にも、予め設置された無線IDタグ3を用いることによって、位置検出システム1aを柔軟に設計変更することが可能となる。このため、位置検出システム1aでは、無線IDタグリーダ22の配置変更などを必要とせず、配置変更や設計変更などにより生じるコストを抑えることができる。
【0046】
また、位置検出システム1aにおいて使用される履物2は、振動発電装置21を含む。そして、無線IDタグリーダ22や無線送信部23は、この振動発電装置21によって発電された電力により動作する。このため、履物2の動作において他律電源に頼る必要が無く、半永久的に動作させることが可能となる。
【0047】
〔変形例〕
履物2は、振動発電装置21ではなく、圧力発電装置を備える事によって、無線IDタグリーダ22や無線送信部23に対し電力を供給するように構成されても良い。圧力発電装置は、人間の体重による荷重がかかる部分に設けられ、荷重により発電を行う。人間の体重による荷重がかかる部分とは、例えば履物2の踵の底の部分や、つま先の底の部分などに該当する。
【0048】
[第二実施形態]
次に、位置検出システム1の第二実施形態である位置検出システム1bについて説明する。
【0049】
〔システム構成〕
図7は、位置検出システム1bのシステム構成例を示す図である。位置検出システム1bは、履物2,無線IDタグ3,無線受信部4,ネットワーク5,サーバ6a,及び無線送受信装置7を含む。以下、位置検出システム1bについて、位置検出システム1aと異なる点について説明する。
【0050】
位置検出システム1bは、無線送受信装置7を含む点で、位置検出システム1aと大きく異なる。無線送受信装置7は、例えば携帯電話機やPHS(Personal Handyphone System)や、通信機能を有するPDA(Personal Digital Assistant)等を用いて構成される。無線送受信装置7は、履物2を着用するユーザによって帯同される。無線送受信装置7は、履物2に含まれる無線送信部23から位置ID及び移動体IDを受信し、受信されたデータを無線受信部4へ送信する。無線送受信装置7と無線送信部23とが行う通信方法と、無線送受信装置7と無線受信部4とが行う通信方法とは、同じであっても良いし異なっても良い。例えば、無線送受信装置7と無線送信部23とはBluetooth(登録商標)によって通信を行い、無線送受信装置7と無線受信部4とは無線LANによって通信を行うように構成されても良い。また、例えば、無線送受信装置7と無線送信部23とはBluetooth(登録商標)によって通信を行い、無線送受信装置7と無線受信部4もBluetooth(登録商標)によって通信を行うように構成されても良い。
【0051】
無線送受信装置7は、無線送信部23から位置ID及び移動体IDを受信すると、この位置ID及び移動体IDを無線受信部4に対し送信すべきか否か判断する。例えば、無線送受信装置7は、無線送信部23から受信された位置IDを毎回記憶し、新たに受信され
た位置IDが記憶している位置IDと異なる場合に送信すべきと判断しても良い。また、無線送受信装置7は、無線受信部4に対し位置ID及び移動体IDを送信した場合に、送信された位置IDを記憶し、新たに受信された位置IDが記憶している位置IDと異なる場合に送信すべきと判断しても良い。
【0052】
履物2に含まれる無線送信部23と、無線受信部4とは、無線送受信装置7との通信を実現可能となるように構成される。また、位置検出システム1bの他の構成については、位置検出システム1aと同様の構成となる。
【0053】
〔システムフロー〕
図8は、位置検出システム1bにおける処理の流れを示すフローチャートである。以下、位置検出システム1bにおける処理の流れについて説明する。まず、履物2に含まれる無線IDタグリーダ22が、無線IDタグ3から位置IDを読み出す(S5)。次に、履物2に含まれる無線送信部23は、無線IDタグリーダ22が読み出した位置IDと、この履物2に対応する移動体IDとを無線送受信装置7へ送信する(S6)。無線送受信装置7は、受信された位置IDに基づいて、受信された位置ID及び移動体IDの送信処理についてその要否を判断する(S7)。そして、無線送受信装置7は、送信が必要であると判断した場合には、受信された位置ID及び移動体IDを無線受信部4へ送信する(S8)。なお、無線送受信装置7は、送信が必要でないと判断した場合は、送信を行わない。
【0054】
無線受信部4は、位置ID及び移動体IDを受信すると、ネットワーク5を介して、受信された位置ID及び移動体IDをサーバ6aへ送信する(S9)。そして、サーバ6aは、無線受信部4から受信した位置ID及び移動体IDを組として、記憶部62に記憶する(S10)。
【0055】
〔作用/効果〕
位置検出システム1bによれば、履物2に含まれる無線送信部23と無線受信部4とは直接的に通信を行うことがない。即ち、無線送信部23は無線送受信装置7と通信を行い、無線受信部4も無線送受信装置7と通信する。一般的に、無線送受信装置7の物理的な位置は、無線送信部23と無線受信部4との間となる。このため、無線送信部23は、無線受信部4と通信を行う場合に比べて、無線送受信装置7と通信を行う方が物理的な通信距離が短くて済む。このため、無線送信部23は、通信に必要な消費電力を抑えることが可能となる。また、物理的な通信距離が短くなるため、無線送信部23に適用できる通信技術の選択肢が広がり、より柔軟に設計をすることが可能となる。
【0056】
また、位置検出システム1bによれば、無線送受信装置7が、位置ID及び移動体IDの送信処理について要否を判断する。このため、無線受信部4が受信をする通信量が削減され、結果として無線受信部4,ネットワーク5,及びサーバ6aにおける通信負荷が軽減される。
【0057】
〔変形例〕
位置検出システム1bには、位置検出システム1aの変形例が適用されても良い。
【0058】
[第三実施形態]
次に、位置検出システム1の第三実施形態である位置検出システム1cについて説明する。
【0059】
〔システム構成〕
図9は、位置検出システム1cのシステム構成例を示す図である。位置検出システム1
cは、履物2,無線IDタグ3,無線受信部4,ネットワーク5,サーバ6c,及び出力装置8を含む。以下、位置検出システム1cについて、位置検出システム1cと異なる点について説明する。
【0060】
位置検出システム1cは、サーバ6aに代えてサーバ6cを含む点、及び出力装置8をさらに含む点で、位置検出システム1aと大きく異なる。
【0061】
図10は、サーバ6cの機能ブロック例を示す図である。サーバ6cは、判断部63をさらに含む点で、サーバ6aと異なる。判断部63は、送受信部61を介して受信された位置IDと移動体IDとに基づき、出力装置8への指示内容を判断する。具体的には、判断部63は、不図示の記憶装置に有する判断テーブルに従って指示内容を判断する。
【0062】
図11は、判断テーブルの例を示す図である。判断テーブルは、例えば位置IDと移動体IDと指示内容とを対応づけたレコードを複数有する。判断部63は、受信された位置ID及び移動体IDに基づいて、これに対応する指示内容を判断テーブルから取得する。そして、判断部63は、取得された指示内容を、送受信部61を介して出力装置8へ送信する。このとき、該当する指示内容が判断テーブルに無い場合は、判断部63は出力装置8への指示を行わないように構成されても良い。
【0063】
出力装置8は、CRT(Cathode Ray Tube)や液晶ディスプレイやEL(Electro-Luminescent)ディスプレイ等の表示装置や、スピーカーやサイレン等の音声出力装置や、点
滅や明滅や点灯を行う発光装置などを用いて構成される。出力装置8は、サーバ6cから受信する指示内容に従って、予め決められた出力を行う。例えば、受信された指示内容が警告1である場合には光を点灯させ、受信された指示内容が警告2である場合には、さらにユーザに注意を促すために光を点滅させると共に音声出力装置からサイレンを鳴らすように構成されても良い。このように、出力装置8は、受信された指示内容に応じて、複数の出力装置を組み合わせて出力を行うように構成されても良いし、一つの出力装置における出力方法を変化させるように構成されても良い。
【0064】
〔システムフロー〕
図12は、位置検出システム1cにおける処理の流れを示すフローチャートである。以下、位置検出システム1cにおける処理の流れについて説明する。まず、履物2に含まれる無線IDタグリーダ22が、無線IDタグ3から位置IDを読み出す(S11)。次に、履物2に含まれる無線送信部23は、無線IDタグリーダ22が読み出した位置IDと、この履物2に対応する移動体IDとを無線受信部4へ送信する(S12)。無線受信部4は、位置ID及び移動体IDを受信すると、ネットワーク5を介して、受信された位置ID及び移動体IDをサーバ6cへ送信する(S13)。そして、サーバ6cは、無線受信部4から受信した位置ID及び移動体IDを組として、記憶部62に記憶する(S14)。
【0065】
次に、サーバ6cは、受信された位置ID及び移動体IDに基づいて、判断テーブルから指示内容を取得する(S15)。サーバ6cは、指示内容が取得された場合には、取得された指示内容を出力装置8へ送信する(S16)。そして、出力装置8は、指示内容に従って出力処理を行う(S17)。
【0066】
〔作用/効果〕
位置検出システム1cによれば、履物2のユーザの位置に応じた処理が出力装置8により実行される。位置検出システム1cは、例えば以下のような場合に適用することができる。
【0067】
例えば、履物2を関係者用と客用とに分けて作成する。即ち、関係者用の履物2には関係者であることを示す移動体IDが記憶され、客用の履物2には客であることを示す移動体IDが記憶される。また、位置検出システム1cの設置される地区は、関係者は立ち入ることが許可されるが客は立ち入ることが許可されない地区、客は立ち入ることが許可されるが関係者は立ち入ることが許可されない地区、どちらも立ち入ることが許可される地区、どちらも立ち入ることが許可されない地区に分けて構成される。そして、移動体IDと、上記四つに分類された地区における位置IDと、警告内容(即ち出力装置8への指示内容)とが判断テーブルに設定される。このように構成されることにより、移動体IDの属性(関係者か客)に応じて、立ち入り禁止の地区に近づこうとした者に対し、適切な警告を行うことが可能となる。
【0068】
〔変形例〕
位置検出システム1cには、位置検出システム1aの変形例が適用されても良い。また、位置検出システム1cは、位置検出システム1bにおける無線送受信装置7がさらに含まれるように構成されても良い。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【図1】位置検出システムの第一実施例の機能ブロック例を示す図である。
【図2】履物の具体的な構成例を示す図である。
【図3】無線IDタグが設けられた床の例を示す図である。
【図4】サーバの機能ブロック例を示す図である。
【図5】記憶部が記憶するテーブルの例を示す図である。
【図6】位置検出システムの第一実施例における処理の流れを示すフローチャートである。
【図7】位置検出システムの第二実施例の機能ブロック例を示す図である。
【図8】位置検出システムの第二実施例における処理の流れを示すフローチャートである。
【図9】位置検出システムの第三実施例の機能ブロック例を示す図である。
【図10】サーバの機能ブロック例を示す図である。
【図11】判断テーブルの例を示す図である。
【図12】位置検出システムの第三実施例における処理の流れを示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0070】
1a,1b,1c 位置検出システム
2 履物
21 振動発電装置
22 無線IDタグリーダ
23 無線送信部
3 無線IDタグ
4 無線受信部
5 ネットワーク
6a,6c サーバ
61 送受信部
62 記憶部
63 判断部
7 無線送受信装置
8 出力装置
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動体の位置を検出するシステムや方法等に適用されて有効な技術に関する。
【背景技術】
【0002】
RFID(Radio Frequency ID)タグ等の無線IDタグを用いることによって、移動体の位置を検出するシステムが従来から提供されている。移動体とは、例えば移動する人間や動物や物などである。
【0003】
このようなシステムの具体例としては、所定の場所に複数の無線IDタグリーダを配置し、無線IDタグが取り付けられた移動体の位置を検出するシステムがある(特許文献1参照)。このような従来のシステムでは、無線IDタグリーダが移動体に取り付けられた無線IDタグを読み取ることにより、係る移動体が、この無線IDタグリーダが設置された位置に存在することが検出される。即ち、従来のこのようなシステムでは、無線IDタグリーダが固定的に壁などに設置されることにより、移動体の位置が検出されていた。
【特許文献1】特開2004−312289号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来のように無線IDタグリーダを固定的に建物内(壁や床)に設置する場合、工場ラインの段取替、改装工事などの度に、無線IDタグリーダの再設置をする必要があった。このような再設置には、多くの手間と費用が必要となり問題となっていた。
【0005】
そこで本発明はこれらの問題を解決し、工場ラインの段取替や改装工事やシステムの改変等、即ち建物における配置変更や設計変更を行う際に、無線IDタグリーダの再設置を必要としないシステムや方法等を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第一の態様は、位置検出システムであって、複数の無線IDタグ,無線IDタグリーダ,無線送信手段,無線受信手段,及び記憶手段を含む。無線IDタグは、所定の位置に固定的に設置される。また、無線IDタグは、当該設置された位置を示す位置IDを有する。
【0007】
無線IDタグリーダは、移動体と共に移動する。例えば、無線IDタグリーダは、移動体に着装されても良いし、移動体に帯同されても良いし、移動体に添付されても良い。また、無線IDタグリーダは、無線IDタグから位置IDを読み出す。
【0008】
無線送信手段は、移動体と共に移動する。無線送信手段は、無線IDタグリーダと同様に、移動体に着装されても良いし、移動体に帯同されても良いし、移動体に添付されても良い。無線送信手段は、無線IDタグリーダと一体に構成されても良いし、別々の装置として構成されても良い。また、無線送信手段は、無線IDタグリーダから位置IDを受け取る。そして、無線送信手段は、この位置ID及び当該移動体に対応する移動体IDを無線通信により他の装置に送信する。この移動体IDは、無線IDタグリーダに記憶され、無線IDタグリーダから位置IDと共に無線送信手段に渡されても良い。また、移動体IDは、無線送信手段に記憶されても良い。また、移動体IDは、無線IDタグリーダ及び無線送信手段以外の他の装置に記憶されても良い。この場合、無線送信手段は、前記無線
通信をする際に移動体IDを読み出しても良い。
【0009】
無線受信手段は、無線送信手段から無線通信により位置ID及び移動体IDを受信する。そして、記憶手段は、無線受信手段によって受信された位置ID及び移動体IDを対応づけて記憶する。
【0010】
従来のシステムにおいては、無線IDタグリーダが固定的に設置され、移動体には無線IDタグが付与されていた。これに対し、本発明の第一の態様におけるシステムでは、無線IDタグが固定的に設置され、移動体と共に無線IDタグリーダが移動する。一般的に無線IDタグリーダに比べて無線IDタグは安価である。このため、無線IDタグリーダは、最低限必要な箇所に低密度に設置されることが多い。これに対し、安価である無線IDタグは、当初は不要と考えられる場所にまで、且つ高密度に、予め設置しておくことができる。このため、建物において配置変更や設計変更などがなされた場合であっても、予め設置されている無線IDタグのみによって柔軟に対応することが可能となる。
【0011】
即ち、無線IDタグリーダが低密度に設置されている場合には、一つの無線IDタグリーダの果たす役割が大きいため、配置変更によって各無線IDタグリーダが機能しなくなることの無いように、配置変更を検討する必要が生じる。また、もともと位置検出システムが不要であると考えられていた場所には、予め無線IDタグリーダを設置しておくことはコスト的に困難である。従って、このような場所に新たに位置検出システムを設ける場合には、それに伴って新たな無線IDタグリーダを設置する必要が生じる。これに対し、コストが安い無線IDタグは予め高密度に設置しておく事が可能である。このため、そのうちのいくつかが配置変更によって機能しなくなったとしても、近隣の他の無線IDタグによって機能をカバーすることができる。また、もともと位置検出システムが不要であると考えられていた場所にも、予め無線IDタグを設置しておくことも可能であり、このような場所に新たに位置検出システムを導入することも容易となる。
【0012】
本発明の第二の態様は、位置検出システムであって、複数の無線IDタグ,無線IDタグリーダ,無線送信手段,無線送受信手段,無線受信手段,及び記憶手段を含む。本発明の第二の態様における無線IDタグ,無線IDタグリーダ,記憶手段は、本発明の第一の態様における無線IDタグ,無線IDタグリーダ,記憶手段と同様に構成される。このため、本発明の第二の態様における無線IDタグ,無線IDタグリーダ,記憶手段についての説明は省く。
【0013】
本発明の第二の態様における無線送信手段は、位置ID及び移動体IDを第一の無線通信により他の装置に送信する点で、第一の態様における無線送信手段と異なる。
【0014】
無線送受信手段は、移動体と共に移動する。無線送受信手段は、移動体に装着されても良いし、移動体に帯同されても良いし、移動体に添付されても良い。無線送受信手段は、無線送信手段とは一体には構成されない。無線送受信手段は、無線送信手段から第一の無線通信により送信された位置ID及び移動体IDを受信する。また、無線送受信手段は、前回受信された位置IDと今回受信された位置IDとが同じか否か判断する。そして、無線送受信手段は、前回受信された位置IDと今回受信された位置IDとが異なる場合に、当該位置ID(即ち今回受信された位置ID)及び移動体IDを第二の無線通信により他の装置に送信する。なお、上記説明では、移動体IDは無線IDタグリーダ又は無線送信手段に記憶されているが、移動体IDは無線送受信手段に記憶されても良い。この場合、無線送信手段は位置IDのみを送信し、無線送受信手段は位置IDのみを第一の無線通信により送信手段から受信する。
【0015】
本発明の第二の態様における無線受信手段は、無線送受信手段から第二の無線通信によ
り位置ID及び移動体IDを受信する点で、本発明の第一の態様における無線受信手段と異なる。第一の無線通信と第二の無線通信とは、異なる通信方法により実装されても良いし、同じ通信方法により実装されても良い。
【0016】
本発明の第二の態様によれば、無線送信手段から送信されるデータ(位置ID,移動体ID)は、直接無線受信手段へ送信されるのではなく、無線送受信手段を介して送信される。また、無線送信手段及び無線送受信手段は同一の移動体と共に移動するため、無線送信手段と無線送受信手段との間の通信距離は、無線送信手段と無線受信手段との間の距離に比べて短い。従って、本発明の第二の態様における無線送信手段は、本発明の第一の態様における無線送受信手段に比べて短い通信距離を担保できれば良い。このため、無線送信手段における消費電力が少なく済む。また、第一の無線通信は、通信距離の短い安価な実装方法で実現することが可能となる。
【0017】
また、本発明の第二の態様によれば、無線送受信手段が、位置IDが変化した場合にのみ、無線受信手段に対する第二の無線通信による通信を行う。このため、通信回数を削減することが可能となり、無線受信手段や記憶手段における処理の負荷を軽減することが可能となる。
【0018】
また、本発明の第二の態様によっても、本発明の第一の態様と同様の効果を奏することができる。
【0019】
本発明の第一の態様及び第二の態様は、移動体と共に移動し、移動体の移動により生じる振動に基づいて発電を行い、無線IDタグリーダ及び無線送信手段に電力を供給する振動発電装置をさらに含むように構成されても良い。この場合、無線IDタグリーダ及び無線送信手段は、振動発電装置から供給される電力によって動作するように構成されても良い。
【0020】
このように構成されることにより、無線IDタグリーダ及び無線送信手段は、振動発電装置以外の他の装置から電力を供給される必要なく動作することができる。従って、このように構成された位置検出システムでは、移動体と共に移動する無線IDタグリーダ及び無線送信手段に対し、当該システム外から電力を供給する必要が無い。従って、無線IDタグリーダ及び無線送信手段を半永久的に動作させることが可能となる。
【0021】
また、本発明の第一の態様及び第二の態様における移動体は、上記したように、人間であっても良い。この場合、本発明の第一の態様及び第二の態様は、人間の履物の部分のうち人間の体重による荷重がかかる部分に設けられた圧力発電装置をさらに含むように構成されても良い。このとき、圧力発電装置は、履物が接地した際に生じる荷重により発電を行い、無線IDタグリーダ及び無線送信手段に電力を供給する。また、このように構成された場合、無線IDタグリーダ及び無線送信手段は、振動発電装置から供給される電力によって動作する。
【0022】
このように構成された場合も、無線IDタグリーダ及び無線送信手段は、振動発電装置以外の他の装置から電力を供給される必要なく動作することができる。従って、このように構成された位置検出システムでは、移動体と共に移動する無線IDタグリーダ及び無線送信手段に対し、当該システム外から電力を供給する必要が無い。従って、無線IDタグリーダ及び無線送信手段を半永久的に動作させることが可能となる。
【0023】
本発明の第一の態様及び第二の態様が適用される場所には、移動体が入場を許可される許可エリアと、移動体が入場を許可されない禁止エリアとが設けられても良い。この場合、本発明の第一の態様及び第二の態様は、許可エリアと禁止エリアとのいずれかを示す許
否IDと位置IDと移動体IDとが対応づけられたテーブルを記憶するテーブル記憶手段を含むように構成されても良い。さらにこの場合、本発明の第一の態様及び第二の態様は、判断手段及び出力装置をさらに含むように構成されても良い。判断手段は、無線受信手段によって受信された位置ID及び移動体IDに対応する許否IDを記憶手段から取得し、この許否IDの内容に基づいて出力内容を判断する。そして、出力装置は、判断手段による判断結果に従って出力を行う。出力装置は、例えば表示装置,音声出力装置,発光装置などを用いて構成されても良い。また、例えば、許否IDが許可エリアであることを示す場合、出力装置は、入場を促すメッセージを表示・発声するように構成されても良い。また、例えば、許否IDが禁止エリアであることを示す場合、出力装置は、入場を禁止する旨のメッセージを表示・発声するように構成されても良いし、警告音を発するように構成されても良いし、発光することにより警告を促すように構成されても良い。
【0024】
本発明の第三の態様は、人間の足に着装される履物であって、振動発電装置,IDタグリーダ,及び送信手段を含む。振動発電装置は、着装された人間の動作により生じる振動によって発電を行う。無線IDタグリーダは、振動発電装置により発電された電力によって動作する。そして、無線IDタグリーダは、無線IDタグから位置IDを読み出す。この無線IDタグは、所定の位置に固定的に設置され、当該設置された位置を示す位置IDを有する。送信手段は、振動発電装置により発電された電力によって動作する。そして、送信手段は、無線IDタグリーダによって読み出された位置IDを他の装置に送信する。
【0025】
本発明の第三の態様である履物は、上記した本発明の第一の態様及び第二の態様に適用することができる。また、本発明の第三の態様である履物は、無線IDタグリーダ及び送信手段が振動発電装置による電力によって動作するため、外部から電力を供給することなく半永久的に動作させることが可能となる。
【0026】
本発明の第四の態様は、人間の足に着装される履物であって、圧力発電装置,IDタグリーダ,及び送信手段を含む。圧力発電装置は、人間の体重による荷重がかかる部分に設けられ、荷重により発電を行う。無線IDタグリーダは、圧力発電装置により発電された電力によって動作する。そして、無線IDタグリーダは、無線IDタグから位置IDを読み出す。この無線IDタグは、所定の位置に固定的に設置され、当該設置された位置を示す位置IDを有する。送信手段は、圧力発電装置により発電された電力によって動作する。そして、送信手段は、無線IDタグリーダによって読み出された位置IDを他の装置に送信する。
【0027】
本発明の第四の態様である履物は、上記した本発明の第一の態様及び第二の態様に適用することができる。また、本発明の第四の態様である履物は、無線IDタグリーダ及び送信手段が圧力発電装置による電力によって動作するため、外部から電力を供給することなく半永久的に動作させることが可能となる。
【発明の効果】
【0028】
本発明によれば、建物において配置変更や設計変更などがなされた場合であっても、無線IDタグリーダの再設置を行う必要はなく、予め設置されている無線IDタグのみによって柔軟に対応することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
[第一実施形態]
以下、位置検出システム1の第一実施形態である位置検出システム1aについて説明する。
【0030】
〔システム構成〕
図1は、位置検出システム1aのシステム構成例を示す図である。位置検出システム1aは、履物2,無線IDタグ3,無線受信部4,ネットワーク5,及びサーバ6aを含む。以下、各構成要素について説明する。
【0031】
図2は、履物2の具体的な構成例を示す図である。履物2は、振動発電装置21,無線IDタグリーダ22,及び無線送信部23を含む。履物2は、振動発電装置21,無線IDタグリーダ22,及び無線送信部23を備えることが可能であれば、靴,サンダル,スリッパなど、どのような形態の履物を用いて構成されても良い。
【0032】
振動発電装置21は、履物2が人間によって着用されることにより生じる振動のエネルギを電気エネルギに変換する。即ち、振動発電装置21は、人間が歩行する際に生じる振動を利用することにより発電を行う。振動発電装置21は、例えば以下の論文に記載された技術を適用することにより実現することができる。
滝井大輔,中野公彦,斉藤俊,松永全央 “円弧状レールを用いた小型振動発電機の設計” 日本機械学会2003年度年次大会講演論文集Vol.5,No.03−1,2003−8,pp.283−284.
【0033】
振動発電装置21は、発電した電力を無線IDタグリーダ22や無線送信部23へ供給する。
【0034】
無線IDタグリーダ22は、振動発電装置21から供給される電力によって動作する。無線IDタグリーダ22は、床面又は床下に設けられた無線IDタグ3(詳細は後述する)からデータ(位置ID)を読み出す。無線IDタグリーダ22は、例えばRFIDタグリーダを用いて構成されても良い。無線IDタグリーダ22は、無線IDタグ3から読み出した位置IDを無線送信部23へ渡す。また、無線IDタグリーダ22は、個別の移動体IDを不図示の記憶装置に記憶する。移動体IDは、各履物2に重複しないように割り当てられたIDである。この移動体IDにより、履物2を一意に識別することが可能となる。なお、移動体IDは、履物2に対してではなく、履物2を使用するユーザに対して割り当てられたIDであっても良い。そして、無線IDタグリーダ22は、無線IDタグ3から読み出した位置IDと共に、この移動体IDを無線送信部23へ渡す。
【0035】
無線送信部23は、振動発電装置21から供給される電力によって動作する。無線送信部23は、無線IDタグリーダ22から受け取ったデータ(位置ID及び移動体ID)を、無線受信部4に対し送信する。無線送信部23と無線受信部4との間では、無線通信によりデータの送受信が行われる。無線送信部23は、例えばBluetooth(登録商標)や無線LANやHomeRF(Home Radio Frequency)等の技術を適用することにより実現されても良い。
【0036】
振動発電装置21,無線IDタグリーダ22,及び無線送信部23は、履物2の底部に設けられても良い。特に無線IDタグリーダ22は、無線IDタグ3との距離が短くなるように設置される必要があるため、履物2の底部に設けられることが望ましい。ただし、実現可能であれば、振動発電装置21や無線IDタグリーダ22や無線送信部23のそれぞれは、履物2のどのような部分に設けられても良く、設置場所は限定される必要はない。
【0037】
無線IDタグ3は、人間が履物2を履いて歩行する床に、例えば埋め込まれることによって設けられる。無線IDタグ3は、自身が設けられた位置に応じたデータである位置IDを有する。図3は、無線IDタグ3が設けられた床の例を示す図である。床には複数の無線IDタグ3が設けられている。そして、各無線IDタグ3は、位置IDとして、例えば横軸の座標を示す1〜nの整数と、縦軸の座標を示すアルファベットの文字列とを有す
る。この場合は、整数とアルファベットの文字列とで位置が示される。この場合、アルファベットの文字列は複数の文字によって表現される文字列であっても良い。また、例えばフロア(階数)をさらに示すように構成されても良いし、区画を示すように構成されても良いし、建物そのものを示すように構成されても良い。即ち、無線IDタグ3が有する位置IDは、位置を示すことが可能なデータであれば、どのようなフォーマットで設定されても良い。
【0038】
無線受信部4は、履物2の無線送信部23から送信されるデータ(位置ID及び移動体ID)を受信する。無線受信部4は、無線送信部23と無線通信可能に構成される。無線受信部4は、例えば上記のような無線通信技術、即ち例えばBluetooth(登録商標)や無線LANやHomeRF等の技術を適用することにより実現されても良い。無線受信部4は、例えば天井や壁などの施設に設けられる。
【0039】
また、無線受信部4は、ネットワークインタフェースを有し、ネットワーク5に接続可能に構成される。無線受信部4は、受信されたデータを、ネットワーク5を介してサーバ6aへ送信する。また、一つの位置検出システム1aに複数の無線受信部4が備えられても良い。
【0040】
ネットワーク5は、少なくとも無線受信部4とサーバ6aとを通信可能に結ぶネットワークである。有線のネットワーク(例えば有線LAN)を用いて構成されても良いし、無線のネットワーク(例えば無線LAN)を用いて構成されても良い。
【0041】
サーバ6aは、パーソナルコンピュータやワークステーション等の情報処理装置を用いて構成される。サーバ6aは、ネットワークインタフェースを有し、ネットワーク5に接続可能に構成される。図4は、サーバ6aの機能ブロック例を示す図である。サーバ6aは、送受信部61及び記憶部62を含む。
【0042】
送受信部61は、ネットワーク5に接続するためのネットワークインタフェースである。サーバ6aは、送受信部61を介してネットワーク5にデータを送信し、ネットワーク5からデータを受信する。
【0043】
記憶部62は、揮発性記憶装置又は不揮発性記憶装置を用いて構成される。記憶部62は、送受信部61を介して受信された位置IDと移動体IDとを対応づけて記憶する。図5は、記憶部62が記憶するテーブルの例を示す図である。記憶部62は、例えば、図5に示されるように、位置IDと移動体IDの組を一つのレコードとして記憶しても良い。この場合、記憶部62は、それぞれのレコードに対しシリアル番号をさらに対応づけて記憶しても良い。記憶部62が記憶可能なレコードの数は、特に制限される必要はなく、設計者によって自由に設定されて良い。従って、図5にあるように三つのレコードに限定される必要はない。
【0044】
〔システムフロー〕
図6は、位置検出システム1aにおける処理の流れを示すフローチャートである。以下、位置検出システム1aにおける処理の流れについて説明する。まず、履物2に含まれる無線IDタグリーダ22が、無線IDタグ3から位置IDを読み出す(S1)。次に、履物2に含まれる無線送信部23は、無線IDタグリーダ22が読み出した位置IDと、この履物2に対応する移動体IDとを無線受信部4へ送信する(S2)。無線受信部4は、位置ID及び移動体IDを受信すると、ネットワーク5を介して、受信された位置ID及び移動体IDをサーバ6aへ送信する(S3)。そして、サーバ6aは、無線受信部4から受信した位置ID及び移動体IDを組として、記憶部62に記憶する(S4)。
【0045】
〔作用/効果〕
位置検出システム1aによれば、従来のように無線IDタグリーダを施設内(例えば床)に設置しておくのではなく、無線IDタグを設置しておくことにより、各移動体の位置をサーバ6aに蓄積することが可能となる。この場合、無線IDタグリーダ22と異なって無線IDタグ3は安価であるため、高密度に予め設置しておくことが可能である。また、同様の理由により、最初は位置検出システム1aを設置する予定の無かった場所にも、予め無線IDタグ3を設置しておくことが可能である。従って、施設内の配置変更や設計変更などが生じた際にも、予め設置された無線IDタグ3を用いることによって、位置検出システム1aを柔軟に設計変更することが可能となる。このため、位置検出システム1aでは、無線IDタグリーダ22の配置変更などを必要とせず、配置変更や設計変更などにより生じるコストを抑えることができる。
【0046】
また、位置検出システム1aにおいて使用される履物2は、振動発電装置21を含む。そして、無線IDタグリーダ22や無線送信部23は、この振動発電装置21によって発電された電力により動作する。このため、履物2の動作において他律電源に頼る必要が無く、半永久的に動作させることが可能となる。
【0047】
〔変形例〕
履物2は、振動発電装置21ではなく、圧力発電装置を備える事によって、無線IDタグリーダ22や無線送信部23に対し電力を供給するように構成されても良い。圧力発電装置は、人間の体重による荷重がかかる部分に設けられ、荷重により発電を行う。人間の体重による荷重がかかる部分とは、例えば履物2の踵の底の部分や、つま先の底の部分などに該当する。
【0048】
[第二実施形態]
次に、位置検出システム1の第二実施形態である位置検出システム1bについて説明する。
【0049】
〔システム構成〕
図7は、位置検出システム1bのシステム構成例を示す図である。位置検出システム1bは、履物2,無線IDタグ3,無線受信部4,ネットワーク5,サーバ6a,及び無線送受信装置7を含む。以下、位置検出システム1bについて、位置検出システム1aと異なる点について説明する。
【0050】
位置検出システム1bは、無線送受信装置7を含む点で、位置検出システム1aと大きく異なる。無線送受信装置7は、例えば携帯電話機やPHS(Personal Handyphone System)や、通信機能を有するPDA(Personal Digital Assistant)等を用いて構成される。無線送受信装置7は、履物2を着用するユーザによって帯同される。無線送受信装置7は、履物2に含まれる無線送信部23から位置ID及び移動体IDを受信し、受信されたデータを無線受信部4へ送信する。無線送受信装置7と無線送信部23とが行う通信方法と、無線送受信装置7と無線受信部4とが行う通信方法とは、同じであっても良いし異なっても良い。例えば、無線送受信装置7と無線送信部23とはBluetooth(登録商標)によって通信を行い、無線送受信装置7と無線受信部4とは無線LANによって通信を行うように構成されても良い。また、例えば、無線送受信装置7と無線送信部23とはBluetooth(登録商標)によって通信を行い、無線送受信装置7と無線受信部4もBluetooth(登録商標)によって通信を行うように構成されても良い。
【0051】
無線送受信装置7は、無線送信部23から位置ID及び移動体IDを受信すると、この位置ID及び移動体IDを無線受信部4に対し送信すべきか否か判断する。例えば、無線送受信装置7は、無線送信部23から受信された位置IDを毎回記憶し、新たに受信され
た位置IDが記憶している位置IDと異なる場合に送信すべきと判断しても良い。また、無線送受信装置7は、無線受信部4に対し位置ID及び移動体IDを送信した場合に、送信された位置IDを記憶し、新たに受信された位置IDが記憶している位置IDと異なる場合に送信すべきと判断しても良い。
【0052】
履物2に含まれる無線送信部23と、無線受信部4とは、無線送受信装置7との通信を実現可能となるように構成される。また、位置検出システム1bの他の構成については、位置検出システム1aと同様の構成となる。
【0053】
〔システムフロー〕
図8は、位置検出システム1bにおける処理の流れを示すフローチャートである。以下、位置検出システム1bにおける処理の流れについて説明する。まず、履物2に含まれる無線IDタグリーダ22が、無線IDタグ3から位置IDを読み出す(S5)。次に、履物2に含まれる無線送信部23は、無線IDタグリーダ22が読み出した位置IDと、この履物2に対応する移動体IDとを無線送受信装置7へ送信する(S6)。無線送受信装置7は、受信された位置IDに基づいて、受信された位置ID及び移動体IDの送信処理についてその要否を判断する(S7)。そして、無線送受信装置7は、送信が必要であると判断した場合には、受信された位置ID及び移動体IDを無線受信部4へ送信する(S8)。なお、無線送受信装置7は、送信が必要でないと判断した場合は、送信を行わない。
【0054】
無線受信部4は、位置ID及び移動体IDを受信すると、ネットワーク5を介して、受信された位置ID及び移動体IDをサーバ6aへ送信する(S9)。そして、サーバ6aは、無線受信部4から受信した位置ID及び移動体IDを組として、記憶部62に記憶する(S10)。
【0055】
〔作用/効果〕
位置検出システム1bによれば、履物2に含まれる無線送信部23と無線受信部4とは直接的に通信を行うことがない。即ち、無線送信部23は無線送受信装置7と通信を行い、無線受信部4も無線送受信装置7と通信する。一般的に、無線送受信装置7の物理的な位置は、無線送信部23と無線受信部4との間となる。このため、無線送信部23は、無線受信部4と通信を行う場合に比べて、無線送受信装置7と通信を行う方が物理的な通信距離が短くて済む。このため、無線送信部23は、通信に必要な消費電力を抑えることが可能となる。また、物理的な通信距離が短くなるため、無線送信部23に適用できる通信技術の選択肢が広がり、より柔軟に設計をすることが可能となる。
【0056】
また、位置検出システム1bによれば、無線送受信装置7が、位置ID及び移動体IDの送信処理について要否を判断する。このため、無線受信部4が受信をする通信量が削減され、結果として無線受信部4,ネットワーク5,及びサーバ6aにおける通信負荷が軽減される。
【0057】
〔変形例〕
位置検出システム1bには、位置検出システム1aの変形例が適用されても良い。
【0058】
[第三実施形態]
次に、位置検出システム1の第三実施形態である位置検出システム1cについて説明する。
【0059】
〔システム構成〕
図9は、位置検出システム1cのシステム構成例を示す図である。位置検出システム1
cは、履物2,無線IDタグ3,無線受信部4,ネットワーク5,サーバ6c,及び出力装置8を含む。以下、位置検出システム1cについて、位置検出システム1cと異なる点について説明する。
【0060】
位置検出システム1cは、サーバ6aに代えてサーバ6cを含む点、及び出力装置8をさらに含む点で、位置検出システム1aと大きく異なる。
【0061】
図10は、サーバ6cの機能ブロック例を示す図である。サーバ6cは、判断部63をさらに含む点で、サーバ6aと異なる。判断部63は、送受信部61を介して受信された位置IDと移動体IDとに基づき、出力装置8への指示内容を判断する。具体的には、判断部63は、不図示の記憶装置に有する判断テーブルに従って指示内容を判断する。
【0062】
図11は、判断テーブルの例を示す図である。判断テーブルは、例えば位置IDと移動体IDと指示内容とを対応づけたレコードを複数有する。判断部63は、受信された位置ID及び移動体IDに基づいて、これに対応する指示内容を判断テーブルから取得する。そして、判断部63は、取得された指示内容を、送受信部61を介して出力装置8へ送信する。このとき、該当する指示内容が判断テーブルに無い場合は、判断部63は出力装置8への指示を行わないように構成されても良い。
【0063】
出力装置8は、CRT(Cathode Ray Tube)や液晶ディスプレイやEL(Electro-Luminescent)ディスプレイ等の表示装置や、スピーカーやサイレン等の音声出力装置や、点
滅や明滅や点灯を行う発光装置などを用いて構成される。出力装置8は、サーバ6cから受信する指示内容に従って、予め決められた出力を行う。例えば、受信された指示内容が警告1である場合には光を点灯させ、受信された指示内容が警告2である場合には、さらにユーザに注意を促すために光を点滅させると共に音声出力装置からサイレンを鳴らすように構成されても良い。このように、出力装置8は、受信された指示内容に応じて、複数の出力装置を組み合わせて出力を行うように構成されても良いし、一つの出力装置における出力方法を変化させるように構成されても良い。
【0064】
〔システムフロー〕
図12は、位置検出システム1cにおける処理の流れを示すフローチャートである。以下、位置検出システム1cにおける処理の流れについて説明する。まず、履物2に含まれる無線IDタグリーダ22が、無線IDタグ3から位置IDを読み出す(S11)。次に、履物2に含まれる無線送信部23は、無線IDタグリーダ22が読み出した位置IDと、この履物2に対応する移動体IDとを無線受信部4へ送信する(S12)。無線受信部4は、位置ID及び移動体IDを受信すると、ネットワーク5を介して、受信された位置ID及び移動体IDをサーバ6cへ送信する(S13)。そして、サーバ6cは、無線受信部4から受信した位置ID及び移動体IDを組として、記憶部62に記憶する(S14)。
【0065】
次に、サーバ6cは、受信された位置ID及び移動体IDに基づいて、判断テーブルから指示内容を取得する(S15)。サーバ6cは、指示内容が取得された場合には、取得された指示内容を出力装置8へ送信する(S16)。そして、出力装置8は、指示内容に従って出力処理を行う(S17)。
【0066】
〔作用/効果〕
位置検出システム1cによれば、履物2のユーザの位置に応じた処理が出力装置8により実行される。位置検出システム1cは、例えば以下のような場合に適用することができる。
【0067】
例えば、履物2を関係者用と客用とに分けて作成する。即ち、関係者用の履物2には関係者であることを示す移動体IDが記憶され、客用の履物2には客であることを示す移動体IDが記憶される。また、位置検出システム1cの設置される地区は、関係者は立ち入ることが許可されるが客は立ち入ることが許可されない地区、客は立ち入ることが許可されるが関係者は立ち入ることが許可されない地区、どちらも立ち入ることが許可される地区、どちらも立ち入ることが許可されない地区に分けて構成される。そして、移動体IDと、上記四つに分類された地区における位置IDと、警告内容(即ち出力装置8への指示内容)とが判断テーブルに設定される。このように構成されることにより、移動体IDの属性(関係者か客)に応じて、立ち入り禁止の地区に近づこうとした者に対し、適切な警告を行うことが可能となる。
【0068】
〔変形例〕
位置検出システム1cには、位置検出システム1aの変形例が適用されても良い。また、位置検出システム1cは、位置検出システム1bにおける無線送受信装置7がさらに含まれるように構成されても良い。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【図1】位置検出システムの第一実施例の機能ブロック例を示す図である。
【図2】履物の具体的な構成例を示す図である。
【図3】無線IDタグが設けられた床の例を示す図である。
【図4】サーバの機能ブロック例を示す図である。
【図5】記憶部が記憶するテーブルの例を示す図である。
【図6】位置検出システムの第一実施例における処理の流れを示すフローチャートである。
【図7】位置検出システムの第二実施例の機能ブロック例を示す図である。
【図8】位置検出システムの第二実施例における処理の流れを示すフローチャートである。
【図9】位置検出システムの第三実施例の機能ブロック例を示す図である。
【図10】サーバの機能ブロック例を示す図である。
【図11】判断テーブルの例を示す図である。
【図12】位置検出システムの第三実施例における処理の流れを示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0070】
1a,1b,1c 位置検出システム
2 履物
21 振動発電装置
22 無線IDタグリーダ
23 無線送信部
3 無線IDタグ
4 無線受信部
5 ネットワーク
6a,6c サーバ
61 送受信部
62 記憶部
63 判断部
7 無線送受信装置
8 出力装置
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の位置に固定的に設置され、当該設置された位置を示す位置IDを有する複数の無線IDタグと、
移動体と共に移動し、前記無線IDタグから前記位置IDを読み出す無線IDタグリーダと、
前記移動体と共に移動し、前記無線IDタグリーダから前記位置IDを受け取り、この位置ID及び当該移動体に対応する移動体IDを無線通信により他の装置に送信する無線送信手段と、
前記無線送信手段から前記無線通信により前記位置ID及び前記移動体IDを受信する無線受信手段と、
前記無線受信手段によって受信された位置ID及び移動体IDを対応づけて記憶する記憶手段と
を含む位置検出システム。
【請求項2】
所定の位置に固定的に設置され、当該設置された位置を示す位置IDを有する複数の無線IDタグと、
移動体と共に移動し、前記無線IDタグから前記位置IDを読み出す無線IDタグリーダと、
前記移動体と共に移動し、前記無線IDタグリーダから前記位置IDを受け取り、この位置ID及び当該移動体に対応する移動体IDを第一の無線通信により他の装置に送信する無線送信手段と、
前記移動体と共に移動し、前記無線送信手段から前記第一の無線通信により前記位置ID及び移動体IDを受信し、前回受信された前記位置IDと今回受信された前記位置IDとが同じか否か判断し、異なる場合に当該位置ID及び移動体IDを第二の無線通信により他の装置に送信する無線送受信手段と、
前記無線送受信手段から前記第二の無線通信により前記位置ID及び前記移動体IDを受信する無線受信手段と、
前記無線受信手段によって受信された位置ID及び移動体IDを対応づけて記憶する記憶手段と
を含む位置検出システム。
【請求項3】
前記移動体と共に移動し、移動体の移動により生じる振動に基づいて発電を行い、前記無線IDタグリーダ及び前記無線送信手段に電力を供給する振動発電装置をさらに含み、
前記無線IDタグリーダ及び前記無線送信手段は、前記振動発電装置から供給される電力によって動作する
請求項1又は2に記載の位置検出システム。
【請求項4】
前記移動体は人間であり、
前記人間の履物の部分のうち人間の体重による荷重がかかる部分に設けられ、前記履物が接地した際に生じる前記荷重により発電を行い、前記無線IDタグリーダ及び前記無線送信手段に電力を供給する圧力発電装置をさらに含み、
前記無線IDタグリーダ及び前記無線送信手段は、前記振動発電装置から供給される電力によって動作する
請求項1又は2に記載の位置検出システム。
【請求項5】
前記移動体が入場を許可される許可エリアと、前記移動体が入場を許可されない禁止エリアと、のいずれかを示す許否IDと前記位置IDと前記移動体IDとが対応づけられたテーブルを記憶するテーブル記憶手段と、
前記無線受信手段によって受信された位置ID及び移動体IDに対応する許否IDを前
記記憶手段から取得し、この許否IDの内容に基づいて出力内容を判断する判断手段と、
前記判断手段による判断結果に従って出力を行う出力装置と
をさらに含む請求項1又は2に記載の位置検出システム。
【請求項6】
所定の位置に固定的に設置され当該設置された位置を示す位置IDを有する複数の無線IDタグと、移動体と共に移動する無線IDタグリーダ及び無線送信手段と、無線受信手段と、記憶手段とを含むシステムにおいて実行される位置検出方法であって、
前記無線IDタグリーダが、前記無線IDタグから前記位置IDを読み出すステップと、
前記無線送信手段が、前記無線IDタグリーダから前記位置IDを受け取り、この位置ID及び当該移動体に対応する移動体IDを前記無線通信により他の装置に送信するステップと、
前記無線受信手段が、前記無線送信手段から前記無線通信により前記位置ID及び前記移動体IDを受信するステップと、
前記記憶手段が、前記無線受信手段によって受信された位置ID及び移動体IDを対応づけて記憶するステップと
を含む位置検出方法。
【請求項7】
人間の足に着装される履物であって、
着装された人間の動作により生じる振動によって発電を行う振動発電装置と、
前記振動発電装置により発電された電力によって動作し、所定の位置に固定的に設置され当該設置された位置を示す位置IDを有する無線IDタグから位置IDを読み出す無線IDタグリーダと、
前記振動発電装置により発電された電力によって動作し、前記無線IDタグリーダによって読み出された前記位置IDを他の装置に送信する送信手段と
を含む履物。
【請求項8】
人間の足に着装される履物であって、
人間の体重による荷重がかかる部分に設けられ、前記荷重により発電を行う圧力発電装置と、
前記圧力発電装置により発電された電力によって動作し、所定の位置に固定的に設置され当該設置された位置を示す位置IDを有する無線IDタグから位置IDを読み出す無線IDタグリーダと、
前記圧力発電装置により発電された電力によって動作し、前記無線IDタグリーダによって読み出された前記位置IDを他の装置に送信する送信手段と
を含む履物。
【請求項1】
所定の位置に固定的に設置され、当該設置された位置を示す位置IDを有する複数の無線IDタグと、
移動体と共に移動し、前記無線IDタグから前記位置IDを読み出す無線IDタグリーダと、
前記移動体と共に移動し、前記無線IDタグリーダから前記位置IDを受け取り、この位置ID及び当該移動体に対応する移動体IDを無線通信により他の装置に送信する無線送信手段と、
前記無線送信手段から前記無線通信により前記位置ID及び前記移動体IDを受信する無線受信手段と、
前記無線受信手段によって受信された位置ID及び移動体IDを対応づけて記憶する記憶手段と
を含む位置検出システム。
【請求項2】
所定の位置に固定的に設置され、当該設置された位置を示す位置IDを有する複数の無線IDタグと、
移動体と共に移動し、前記無線IDタグから前記位置IDを読み出す無線IDタグリーダと、
前記移動体と共に移動し、前記無線IDタグリーダから前記位置IDを受け取り、この位置ID及び当該移動体に対応する移動体IDを第一の無線通信により他の装置に送信する無線送信手段と、
前記移動体と共に移動し、前記無線送信手段から前記第一の無線通信により前記位置ID及び移動体IDを受信し、前回受信された前記位置IDと今回受信された前記位置IDとが同じか否か判断し、異なる場合に当該位置ID及び移動体IDを第二の無線通信により他の装置に送信する無線送受信手段と、
前記無線送受信手段から前記第二の無線通信により前記位置ID及び前記移動体IDを受信する無線受信手段と、
前記無線受信手段によって受信された位置ID及び移動体IDを対応づけて記憶する記憶手段と
を含む位置検出システム。
【請求項3】
前記移動体と共に移動し、移動体の移動により生じる振動に基づいて発電を行い、前記無線IDタグリーダ及び前記無線送信手段に電力を供給する振動発電装置をさらに含み、
前記無線IDタグリーダ及び前記無線送信手段は、前記振動発電装置から供給される電力によって動作する
請求項1又は2に記載の位置検出システム。
【請求項4】
前記移動体は人間であり、
前記人間の履物の部分のうち人間の体重による荷重がかかる部分に設けられ、前記履物が接地した際に生じる前記荷重により発電を行い、前記無線IDタグリーダ及び前記無線送信手段に電力を供給する圧力発電装置をさらに含み、
前記無線IDタグリーダ及び前記無線送信手段は、前記振動発電装置から供給される電力によって動作する
請求項1又は2に記載の位置検出システム。
【請求項5】
前記移動体が入場を許可される許可エリアと、前記移動体が入場を許可されない禁止エリアと、のいずれかを示す許否IDと前記位置IDと前記移動体IDとが対応づけられたテーブルを記憶するテーブル記憶手段と、
前記無線受信手段によって受信された位置ID及び移動体IDに対応する許否IDを前
記記憶手段から取得し、この許否IDの内容に基づいて出力内容を判断する判断手段と、
前記判断手段による判断結果に従って出力を行う出力装置と
をさらに含む請求項1又は2に記載の位置検出システム。
【請求項6】
所定の位置に固定的に設置され当該設置された位置を示す位置IDを有する複数の無線IDタグと、移動体と共に移動する無線IDタグリーダ及び無線送信手段と、無線受信手段と、記憶手段とを含むシステムにおいて実行される位置検出方法であって、
前記無線IDタグリーダが、前記無線IDタグから前記位置IDを読み出すステップと、
前記無線送信手段が、前記無線IDタグリーダから前記位置IDを受け取り、この位置ID及び当該移動体に対応する移動体IDを前記無線通信により他の装置に送信するステップと、
前記無線受信手段が、前記無線送信手段から前記無線通信により前記位置ID及び前記移動体IDを受信するステップと、
前記記憶手段が、前記無線受信手段によって受信された位置ID及び移動体IDを対応づけて記憶するステップと
を含む位置検出方法。
【請求項7】
人間の足に着装される履物であって、
着装された人間の動作により生じる振動によって発電を行う振動発電装置と、
前記振動発電装置により発電された電力によって動作し、所定の位置に固定的に設置され当該設置された位置を示す位置IDを有する無線IDタグから位置IDを読み出す無線IDタグリーダと、
前記振動発電装置により発電された電力によって動作し、前記無線IDタグリーダによって読み出された前記位置IDを他の装置に送信する送信手段と
を含む履物。
【請求項8】
人間の足に着装される履物であって、
人間の体重による荷重がかかる部分に設けられ、前記荷重により発電を行う圧力発電装置と、
前記圧力発電装置により発電された電力によって動作し、所定の位置に固定的に設置され当該設置された位置を示す位置IDを有する無線IDタグから位置IDを読み出す無線IDタグリーダと、
前記圧力発電装置により発電された電力によって動作し、前記無線IDタグリーダによって読み出された前記位置IDを他の装置に送信する送信手段と
を含む履物。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2006−194693(P2006−194693A)
【公開日】平成18年7月27日(2006.7.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−5464(P2005−5464)
【出願日】平成17年1月12日(2005.1.12)
【出願人】(000002945)オムロン株式会社 (3,542)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年7月27日(2006.7.27)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年1月12日(2005.1.12)
【出願人】(000002945)オムロン株式会社 (3,542)
【Fターム(参考)】
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