説明

作業車

【課題】運転部に前部運転座席と別の座席を前後に併置しながら、ロプスの取付構造を工夫して、簡単な構造で車体フレーム全体の強度向上を図る。
【解決手段】 前部運転座席13と後部座席設置用空間Sとが前後に併置された運転部5を備え、運転部5の床面よりも高い位置で後方側に配設された後部フレーム2Bと、後部フレーム2Bよりも前方側で運転部の床面を支持するように配設された前部フレーム2Aとで車体フレーム2を構成し、運転部5を覆うロプス30の左右の前部支柱31を前部フレーム2Aに固定するとともに、ロプス30の左右の後部支柱34を後部座席設置用空間Sよりも後方側で後部フレーム2Bに固定してある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車体フレーム上にロプスで覆われた運転部を備える作業車に関する。
【背景技術】
【0002】
上記のように、運転部をロプスで覆う構造の作業車においては、資材等の運搬用途の他、人員の運搬にも多用されることがあり、そのような種々の目的で使用し易くしたものとしては、従来では下記[1]に記載の構造のものが知られている。
[1] 運転部では、運転座席の後側に別の座席を設置可能に構成し、車体フレームの後部にダンプ可能な荷台を搭載し、この荷台と運転部との間を仕切る仕切部材をダンプ荷台に備え、運転部を覆うロプスは車体フレームの前部側に固定して設けたもの(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】米国特許明細書 第6,994,388号(FIG.2A,2B.FIG.3A,3B参照)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の特許文献1に記載のもののように、仕切部材の取付位置となるダンプ荷台の前端位置を、車体フレーム上で前後に位置変更可能に構成することで、運転座席の後方側に後部座席を現出させたり、折り畳み格納したりすることができるので、この点では有用なものである。
しかしながら、この従来構造のものでは、ロプスの後部支柱が、ダンプ荷台を搭載する後部フレームよりも前方側の運転部の床面付近で車体フレームに固定されているので、後部支柱の上下方向長さが長くなって、後部支柱自体の剛性が低減される傾向にある。
また、車体フレームとロプスとの結合体を考えた場合に、車体フレームとロプスとの接続箇所が前部フレーム側にのみ集中しているので、前部フレーム側では車体フレームとロプスとの結合体による強度が高められているが、後部フレーム側ではそのようなロプスの強度を利用した補強構造がなく、前後輪の間に位置する車体フレーム全体としてみた場合の強度向上を期待し得るものではない。
【0005】
本発明の目的は、運転部に前部運転座席と別の座席を前後に併置しながら、ロプスの取付構造を工夫して、簡単な構造で車体フレーム全体の強度向上を図る点にある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
〔解決手段1〕
上記課題を解決するために講じた本発明における作業車の技術手段は、請求項1に記載のように、車体フレーム上に前部運転座席と後部座席設置用空間とが前後に併置された運転部を設けるとともに、この運転部の床面よりも高い位置で後方側に配設された後部フレームと、その後部フレームよりも前方側で前記運転部の床面を支持するように配設された前部フレームとで前記車体フレームを構成し、
前記運転部を覆うロプスを備え、このロプスの左右の前部支柱を前記前部フレームに固定するとともに、前記ロプスの左右の後部支柱を前記後部座席設置用空間よりも後方側で前記後部フレームに固定してある、という点である。
【0007】
〔作用及び効果〕
上記のように、解決手段1にかかる本発明の作業車では、前部運転座席と後部座席設置用空間とが前後に併置された運転部を覆うロプスを備えるにあたり、このロプスの左右の前部支柱を、後部フレームよりも前方側で運転部の床面を支持する前部フレームに固定している。そして、前記ロプスの左右の後部支柱は、後部座席設置用空間よりも後方側で運転部の床面よりも高い位置に配設された後部フレームに固定してある。
したがって、ロプスの左右の後部支柱は、運転部の床面を支持する前部フレームに連結される場合に比べて、後部支柱の必要長さを短縮することができる。
また、ロプスは、その前端側における左右の前部支柱が前部フレームに固定され、前記後部支柱は、後部座席設置用空間よりも後方側で後部フレームに固定してあるので、車体フレームとロプスとの結合体によって構成される範囲が、前輪と後輪との間における車体フレームの広範囲にわたって存在することになる。つまり、車体フレームとロプスとの結合体として強度を増大した車体構成部材が前輪と後輪との間の広範囲に存在することで、走行車体全体の強度向上を図ることができる。
【0008】
上記のように、高い位置にある後部フレームとの連結によって、後部支柱そのものの必要長さを短縮して座屈等に対する高強度を確保するとともに、車体フレームとロプスとの結合体として強度を増大した部材の存在範囲が前輪と後輪との間の広範囲にあって走行車体全体の強度向上を図るので、特別な補強部材の付加などによらず、車体フレームとロプスとの組付け方を工夫した構造的には簡素な改良によって車体強度を増大し得る利点がある。
【0009】
〔解決手段2〕
本発明の作業車における第2の解決手段は、請求項2の記載のように、ロプスは、前部支柱と後部支柱との前後方向での中間に備えた左右一対の中間支柱を、前部運転座席の後部横外側に位置させて、その下部を車体フレームに固定したものである点に特徴がある。
【0010】
〔作用及び効果〕
上記のように、解決手段2にかかる本発明の作業車では、前記解決手段1にかかる発明と同等な作用効果の他に、次の作用効果をも奏する。
すなわち、運転部として、前部運転座席と後部座席設置用空間とが前後に併置された前後方向長さの長い運転部を構成したものでありながら、その運転部を覆うロプスの前後方向での中間に、ロプスと車体フレームとを連結する中間支柱を備えたので、このロプス全体の強度向上を良好に図り得る利点がある。
【0011】
〔解決手段3〕
本発明の作業車における第3の解決手段は、請求項3の記載のように、左右の中間支柱同士に亘って横フレームを備え、前記横フレームに前部運転座席のシートバックを支持させてある点に特徴がある。
【0012】
〔作用及び効果〕
上記のように、解決手段3にかかる本発明の作業車では、前記解決手段2にかかる発明と同等な作用効果の他に、次の作用効果をも奏する。
すなわち、前部運転座席の横外側に位置する中間支柱同士を横フレームで繋ぐことによって、ロプスと車体フレームとを連結してロプス全体の強度を向上させるための中間支柱が、左右方向でもその強度を向上され、ロプス全体の強度をさらに向上し得る。
そして、その強度向上に有効に作用する中間支柱と横フレームを前部運転座席のシートバック取付部材としても利用できるので、運転座席構成部材にも兼用して、より一層部品点数の削減による構造の簡素化、及び低コスト化を図ることができる。
【0013】
〔解決手段4〕
本発明の作業車における第4の解決手段は、請求項4の記載のように、運転部には、後部座席設置用空間の後ろ側に位置する後方移動位置と、その前方の前部運転座席近くに移動した前方移動位置とに位置変更可能に構成された仕切部材が設けられている点に特徴がある。
【0014】
〔作用及び効果〕
上記のように、解決手段4にかかる本発明の作業車では、前記解決手段1〜3にかかる発明と同等な作用効果の他に、次の作用効果をも奏する。
すなわち、運転部に設けられる仕切部材を移動させて、運転部内に前部運転座席と後部座席とのそれぞれに搭座するための空間を形成した状態と、運転部内に運転座席に搭座するための空間のみを形成して後部座席設置用空間は仕切部材の外に位置させた状態とに簡単に切換ることができる。
また、仕切部材は運転部に設けられるものであるため、その幅や高さも運転部との寸法関係によって設定することができる。したがって、たとえば従来のようにダンプ荷台の前端に取り付けた場合のように、荷台の動作し得る範囲に幅や高さが制限されるなどの不具合がない。
【0015】
〔解決手段5〕
本発明の作業車における第5の解決手段は、請求項5の記載のように、仕切部材に、後部座席設置用空間に備えた後部座席のシートバックを支持させてある点に特徴がある。
【0016】
〔作用及び効果〕
上記のように、解決手段5にかかる本発明の作業車では、前記解決手段4にかかる発明と同等な作用効果の他に、次の作用効果をも奏する。
すなわち、仕切部材を後部座席のシートバック取付部材として利用することにより、後部座席として姿勢変更が必要な部分を着座シートのみによって構成することができる。したがって、姿勢変更対象の後部座席部分を小型化し、姿勢変更操作の簡素化を図ることができるとともに、シートバック部分は姿勢変更させる必要がないので、後部座席の折り畳み状態への姿勢変更状態における格納用空間の占有面積も、着座シート部分のみを格納できる程度の少ないもので済み、運転部内空間の有効利用を図ることができる。
【0017】
〔解決手段6〕
本発明の作業車における第6の解決手段は、請求項6の記載のように、後部座席設置用空間に配置される後部座席は、その後部着座シートが前部の左右軸心周りで前側に揺動した第1姿勢と、前記左右軸心周りで後側に倒伏した第2姿勢とに姿勢変更可能に構成してあり、仕切部材は、後方移動位置での下端部が、前記第2姿勢での後部着座シートの後部上端部に接当するように位置設定してある点に特徴がある。
【0018】
〔作用及び効果〕
上記のように、解決手段6にかかる本発明の作業車では、前記解決手段4または5にかかる発明と同等な作用効果の他に、次の作用効果をも奏する。
すなわち、仕切部材を第2姿勢にある後部着座シートの後部上端部に接当させて、後部着座シートの格納状態を維持するストッパーとして利用することができ、特別なストッパー部材の使用を省いて部品点数の削減や構造の簡素化を図り得たものである。
【0019】
〔解決手段7〕
本発明の作業車における第7の解決手段は、請求項7の記載のように、仕切部材は、前方移動位置で中間支柱に対して弾性付勢して固定可能に、かつ後方移動位置では後部支柱に対して弾性付勢して固定可能に構成してある点に特徴がある。
【0020】
〔作用及び効果〕
上記のように、解決手段7にかかる本発明の作業車では、前記解決手段4〜6にかかる発明と同等な作用効果の他に、次の作用効果をも奏する。
すなわち、位置移動自在な仕切部材が、位置固定されている中間支柱、もしくは後部支柱に対して、弾性付勢して固定されるので、何れの位置に固定された状態でも、ガタツキなく安定的に位置固定させられる。
したがって、仕切部材のガタツキによる騒音の発生を回避し得る利点がある。
【0021】
〔解決手段8〕
本発明の作業車における第8の解決手段は、請求項8の記載のように、ロプスは、その上部位置に、仕切部材を前方及び後方移動位置の間で前後に移動案内する左右のレール部材を備え、前記レール部材の前後方向での中間部に、そのレール部材に対して前記仕切部材を着脱するための切り欠き部を形成してある点に特徴がある。
【0022】
〔作用及び効果〕
上記のように、解決手段8にかかる本発明の作業車では、前記解決手段4〜7にかかる発明と同等な作用効果の他に、次の作用効果をも奏する。
すなわち、仕切部材を前方及び後方移動位置の間で前後に移動案内する左右のレール部材を備えたことにより、仕切部材の位置変更を、レールにガイドさせたスライド操作で容易に行い易い。また、レール部材に対して仕切部材を着脱するための切り欠き部を形成してあることにより、仕切部材の着脱操作も容易に行いやすい。
それでいて、レール部材に形成される切り欠き部は、レール部材の前後方向での中間部であるため、中間支柱に近い位置、もしくは後部支柱に近い位置で使用される仕切部材が、その使用中に前記切り欠き部から外れてしまう虞なく使用することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
[作業車の全体構成]
本発明にかかる作業車の実施の形態の一例を図面の記載に基づいて説明する。
図1は、前後二列に着座可能な座席が存在する使用形態での作業車の全体側面図であり、図2は、前側一列にのみ着座可能な座席が存在する使用形態での作業車の全体側面図である。図3は、図1における使用形態での作業車の全体平面図である。
図1〜図3に示すように、車体1は、車体フレーム2の前部に支持された操向可能な左右の前輪3と、車体フレーム2の後部に支持された操向不能な左右の後輪4とを備えて、4輪走行式の四輪駆動車に構成されている。
【0024】
車体1の前後中間部に、図1に示す前部運転座席13及び後部座席14に乗員が着座可能な二列座席仕様(四人又は五人乗り用)と、図2に示す前部運転座席13に乗員が着座可能な一列座席仕様(二人乗り用)とに使用形態を変更可能な運転部5が備えられている。
運転部5の後方には、後述する延長状態と短縮状態とに状態変更可能でダンプ可能な荷台40を備えた後部積載部6が配備されており、運転部5と後部積載部6との間には、運転部5と後部積載部6との間を仕切る(運転部5の後壁を構成する)仕切部材90が配設されている。
上記の後部座席14は、展開して着座可能である使用姿勢状態と、後方側を持ち上げて折り畳まれることにより着座不能である非使用姿勢とに姿勢変更可能に構成されたものであり、このような後部座席14を配備するための運転部5における後方側の空間が、本発明でいう後部座席設置用空間Sである。
【0025】
車体フレーム2の後部下部に、作業車の駆動力源となるエンジンEが装備されており、このエンジンEの後部にミッションケース8が連結されている。ミッションケース8には静油圧式無段変速装置(図示せず)が装備されており、ミッションケース8の左右両側部には、左右の後輪4が連動連結されている。これにより、エンジンEからの動力がミッションケース8を介して静油圧式無段変速装置に伝達され、静油圧式無段変速装置により無段に変速された動力により左右の後輪4が回転駆動するように構成されている。
【0026】
ミッションケース8から前方に前輪駆動軸9が延出されており、この前輪駆動軸9に、前輪デフ装置(図示せず)を介して左右の前輪3が連動連結されている。これにより、エンジンEからの動力が静油圧式無段変速装置及びミッションケース8を介して前輪デフ装置に伝達されて左右の前輪3が回転駆動するように構成されている。
【0027】
[車体構造]
車体1は、前記前輪3及び後輪4に支持された車体フレーム2に対して、運転部5を覆うロプス30を取り付けて構成される車体コア部200を備えている。
この車体コア部200は、図4乃至図6に示すように、メインフレーム20を主材として構成される第1コア部材201と、その第1コア部材201に対して一体的に組み付けられる第2コア部材202と、前記ロプス30によって構成される第3コア部材203とで構成されている。そして、前記第1コア部材201と第2コア部材202との組み合わせで前記車体フレーム2が構成されている。
【0028】
前記第1コア部材201は、図6に示すように、前後に長い角パイプ状の左右のメインフレーム20と、各種機器取付用のブラケット類とから構成してある。
前記メインフレーム20は、車体前方側で車体前後方向に沿って位置する左右一対のメインフレーム前部20aと、そのメインフレーム前部20aの後端側から上方へ立ち上がるメインフレーム立ち上がり部20bと、さらにそのメインフレーム立ち上がり部20bの上端から後方へ延出されたメインフレーム後部20cとで、側面視で略クランク状に屈曲形成されている。
前記メインフレーム立ち上がり部20bは、前記メインフレーム前部20aの後端部から上方へ立ち上がる後部座席支持フレーム25によって構成され、その後部座席支持フレーム25の上部から後方側へ延出された荷台支持フレーム26によって前記メインフレーム後部20cが構成されている。
【0029】
前記第2コア部材202は、図6に示すように、操縦ハンドル12及び左右の前輪3を支持する前輪支持フレーム21と、前部運転座席13が設けられる前部運転座席構成フレーム22と、後部座席14が設けられる後部座席構成フレーム23とを備えているとともに、前部運転座席13の前方側で運転部5の床面を構成する前部デッキ板28と、後部座席14の前方側で運転部5の床面を構成する後部デッキ板29とを備えて構成されている。
【0030】
前記前輪支持フレーム21は、左右両端部の上部にロプス30の前部支柱受け部21aを備え、左右方向の両端部における前方側に設けたサスペンションバネ受け部を介して前輪3を独立懸架状態で支持する前輪支持部21bを備え、かつ、左右方向中央部における上部側に左右の前輪3を操向操作する操縦ハンドル12のハンドル支持部21cを備えている。
【0031】
前記前部運転座席構成フレーム22は、前部運転座席13の前部着座シート13aを支持するように、左右のメインフレーム20のそれぞれの上側で門形に形成されたシート支え部22aと、これよりも左右方向での両端側寄り箇所で前記前輪支持フレーム21の後部における両側から上方に向けて延出された乗降用の手摺り兼用のパイプフレーム22bと、さらに前記前輪支持フレーム21の後方側で、前部運転座席13の背部側における両側から上方向きに延出された角パイプ状の支持フレーム22cとで構成されている。
【0032】
前記後部座席構成フレーム23は、前記メインフレーム立ち上がり部20bによって構成される後部座席支持フレーム25、及び荷台支持フレーム26の前端部とともに、後部座席14を支持するものであり、後部座席14の後部着座シート14aの前縁側を支持する前縁側支持フレーム23aと、後部着座シート14aの後縁側を支持する後縁側支持フレーム23bとで構成されている。また、前記前縁側支持フレーム23a及び後縁側支持フレーム23bは、左右のメインフレーム前部20a及び左右のメインフレーム後部20cに亘って連結した枠状の丸パイプ製の左右の側部フレーム27により下方側を支えられている。
【0033】
車体1の前部にはフロントカバー10が装着されており、このフロントカバー10は、車体1の前部に位置する前輪支持フレーム21を上方から覆う上部カバー10aと、車体1の前部を前方及び側方から覆う下部カバー10bとを備えて構成されている。フロントカバー10の後部には、運転部5の前面側を覆う操作パネル11が装着されており、この操作パネル11の左側部から左右の前輪3を操向操作する操縦ハンドル12が延出されている。
前記前部運転座席構成フレーム22は、ボックス状の前部座席支持パネル24で覆われており、この前部座席支持パネル24に前部運転座席13が固定されている。前部運転座席13は、前部座席支持パネル24の前部に固定された前部着座シート13aと、後述するロプス30の中間支柱32の間を繋ぐ補強フレーム32cに固定されたシートバック13bとを備えて構成されている。
【0034】
前記前部運転座席構成フレーム22の前側におけるメインフレーム前部20aの上面側には、前部デッキ板28が固定されており、これにより、運転部5の前部の床面が形成されている。また、前記後部座席構成フレーム23及び後部座席支持フレーム25の前側におけるメインフレーム前部20aの上面側には、後部デッキ板29が固定されており、これにより、運転部5の後部の床面が形成されている。
【0035】
前記後部座席構成フレーム23及び後部座席支持フレーム25の上部には、後部座席14が装着されている。後部座席14は、後部座席支持フレーム25の上端部に前後揺動可能に支持された後部着座シート14aと、後述する仕切部材90の前面側に固定されたシートバック14bとを備えて構成されている。
【0036】
上記のように構成したことにより、車体フレーム2は、メインフレーム20を主材とする前記第1コア部材201と、そのメインフレーム20の上側に搭載して一体的に組み付けられる前記第2コア部材202との組み合わせで構成されている。
また、この車体フレーム2は、前記メインフレーム20の長手方向で、その前部側に位置するメインフレーム前部20aと、前記メインフレーム立ち上がり部20bと、前記第2コア部材202との組み合わせで構成された前部フレーム2A部分と、前記荷台支持フレーム26として用いられるメインフレーム後部20cによって構成された後部フレーム2B部分とを備えている。
【0037】
[ロプス関係]
上記のように構成された車体フレーム2に対して、次のようにロプス30が装着され、車体コア部200を構成する。
ロプス30は、図5、及び図7に示すように、前部支柱31と、中間支柱32と、左右の後部支柱34とを備えて、6柱式に構成されている。前輪支持フレーム21の上部における左右両側部に左右の前部支柱受け部21aが固定されており、この左右の前部支柱受け部21aに亘って、丸パイプ材により形成された前部支柱31が固定されている。また、前記前部運転座席構成フレーム22の左右の支持フレーム22cの上部に亘って、丸パイプ材により形成された中間支柱32が固定されている。
【0038】
前部支柱31の上部における左右両側部には、左右の第1ブラケット31aが固着されており、中間支柱32の上部における左右両側部には、前向きの左右の第2ブラケット32aが固着されている。左右の第1ブラケット31aと左右の第2ブラケット32aとに亘って、丸パイプ材により形成された左右の上部前部フレーム33が締め付け固定されている。左右の中間支柱32の縦フレーム部分32bの下部に亘って、補強フレーム32c(横フレームに相当)が固定されており、この補強フレーム32cは、後部座席14に着座した乗員用の手摺として機能する。
補強フレーム32cには、取付ブラケット32dが固定されており、この取付ブラケット32dの前側に、前部運転座席13のシートバック13bが締め付け固定されている(図20参照)。
【0039】
上部後部フレーム35は、丸パイプ材により形成されており、この上部後部フレーム35の前部が、下向きの左右の第3ブラケット33aに着脱可能に締め付け固定されている。左右の第3ブラケット33aは、中間支柱32の上部における左右両側部に固着されている。
【0040】
左の荷台支持フレーム26の左側面から左側方及び上方に、丸パイプ材により形成された左の後部支柱34が着脱可能に延出されており、右の荷台支持フレーム26の右側面から右側方及び上方に、丸パイプ材により形成された右の後部支柱34が着脱可能に延出されている。上部後部フレーム35の後部における左右両側部には、下向きの第4ブラケット35aが固定されており、この左右の第4ブラケット35aに左右の後部支柱34の上端部が着脱可能に締め付け固定されている。
【0041】
左右の後部支柱34の下部には、横軸心x周りで起伏揺動自在な肘掛け部材34aを装着してあり、図20に実線で示すように、倒伏姿勢にして肘掛けとして使用し得る状態と、同図中に仮想線に示すように起立させた格納状態とに切換自在に構成してある。
【0042】
後部支柱34及び上部後部フレーム35は、着脱可能に取り付けられているので左右の後部支柱34を左右の荷台支持フレーム26から取り外し、上部後部フレーム35を中間支柱32から取り外すことで、6柱式のロプス30を、4柱式のロプスに変更して使用することができる。
また、図7に示すように、このロプス30は、前記前部支柱31、中間支柱32、後部支柱34、上部前部フレーム33、上部後部フレーム35、のそれぞれが組み付け分解可能に構成してあり、前記上部後部フレーム35は左右方向でも二分割されていて、中間継ぎ手35cにより脱着自在に構成してある。
【0043】
[荷台の構造]
図8〜図12に基づいて荷台40の構造について説明する。
図8は、後述する延長状態での荷台40付近の側面図であり、図9は、後述する短縮状態での荷台40付近の側面図である。図10は、後述する延長状態での荷台40の底面図(荷台40を下側から見た図)であり、図11は、荷台40の背面図であり、図12は、後述する延長状態での荷台40前部の側面図である。
【0044】
図13は、前部底部42及び前部側壁45の連結構造を説明する詳細図であり、図13(a)が前部底部42及び前部側壁45の連結部の平面図であり、図13(b)が前部底部42及び前部側壁45の連結部の横断平面図である。図14は、前壁部46の連結構造を説明する詳細図であり、図14(a)が前壁部46の連結部の正面図であり、図14(b)が前壁部46の連結部の平面図である。
【0045】
図15は、第1ロック装置70付近の構造を示す縦断側面図(内側から見た図)であり、図15(a)が第1ロック装置70のロック状態での縦断側面図であり、図15(b)が第1ロック装置70のロック解除状態での縦断側面図である。図16は、第2ロック装置80付近の構造を示す詳細図であり、図16(a)が延長状態での荷台40の第2ロック装置80付近の縦断側面図であり、図16(b)が短縮状態での荷台40の第2ロック装置80付近の平面図である。
【0046】
図8及び図9に示すように、荷台40は、積載物を積載する後部底部41と、積載物を積載する前部底部42と、荷台40の後面を形成する後壁部43と、荷台40後部の側面を形成する左右の後部側壁部44と、荷台40前部の側面を形成する左右の前部側壁部45と、荷台40の前面を形成する前壁部46とを備えて構成されている。これにより、荷台40が、図8に示す荷台40の前部(前壁部46,前部側壁部45,前部底部42)が前方に移動し荷台40の全長が長くなった延長状態(第1状態)と、図9に示す荷台40の前部(前壁部46,前部側壁部45,前部底部42)が後方に移動し荷台40の全長が短くなった短縮状態(第2状態)とに状態切換可能に構成されている。
【0047】
図8,図10及び図11に示すように、後部底部41は、後部デッキ板41aの下面側に複数のフレームを固着して構成されており、後部デッキ板41aの上面側には、積載物を積載する凹凸のないフラットなデッキ面が形成されている。後部デッキ板41aの下面側における左右両側部には、前後に長い左右の荷台後部フレーム41bが固着されており、この左右の荷台後部フレーム41bの後部に、縦平板状のヒンジ50が固着されている。
【0048】
荷台支持フレーム26の後部における上部には、ブラケット51が固着されており、このブラケット51に、荷台後部フレーム41bのヒンジ50がヒンジピン52を介して左右向きの軸心P1周りに揺動自在に支持されている。
【0049】
後部底部41の前端部における左右中央部には、左右一対のロッド側ブラケット53が固着されている。左右の荷台支持フレーム26に亘って丸パイプ材により形成された支持フレーム26aが固着されており、この支持フレーム26aの左右中央部に、左右一対のチューブ側ブラケット26bが固着されている(図3参照)。
【0050】
支持フレーム26aの左右両側部には、左右の後部支持フレーム26cが連結されており、この左右の後部支持フレーム26cの前部は、下方及び前方に延出されて左右のメインフレーム20等に連結されている。
【0051】
左右の荷台支持フレーム26の前端部における上面側には、ゴム又は樹脂製の前部支持部材16が固定されている。延長状態での荷台40を下降させると、後述する荷台前部フレーム42bが前部支持部材16に支持されて、延長状態での荷台40の前部が荷台支持フレーム26に支持される。左右の荷台支持フレーム26の前後中央部における上面側には、ゴム又は樹脂製の後部支持部材17が固定されており、延長状態及び短縮状態での荷台40を下降させると、荷台後部フレーム41bが後部支持部材17に支持されて、延長状態での荷台40の前後中央部及び短縮状態での荷台40の前部が荷台支持フレーム26に支持される。
【0052】
左右の荷台支持フレーム26の前部における上面側には、座席支持部材18が固定されており、この座席支持部材18により、後述する倒伏姿勢での後部着座シート14aの後部が支持される。前部及び後部支持部材16,17の上端の高さは同じ高さに設定されており、座席支持部材18の上端の高さは、前部及び後部支持部材16,17の上端の高さより低く設定されている。これにより、座席支持部材18の上面側と荷台前部フレーム42bとの間には所定の隙間が形成されている。
【0053】
ロッド側ブラケット53とチューブ側ブラケット26bとに亘って荷台40を昇降する油圧式の昇降シリンダ15が装着されている。昇降シリンダ15は、複動式のシリンダで構成されており、ピストンロッド側及びピストンヘッド側が油圧配管を介して図示しない操作バルブに接続されている。これにより、運転部5に設けた荷台昇降レバー又は荷台昇降スイッチ(図示せず)を操作することでピストンヘッド側に操作バルブからの圧油を供給すると、昇降シリンダ15が伸長し荷台40が上昇する。逆に、運転部5に設けた荷台昇降レバー又は荷台昇降スイッチを操作することでピストンロッド側に操作バルブからの圧油を供給すると、昇降シリンダ15が短縮し荷台40が下降する。
【0054】
左右の後部側壁部44は、角パイプ状の荷台前部支柱44aと角パイプ状の荷台後部支柱44cとに亘って、曲げ成形された後部側部パネル44bを固着して構成されている。左右の後部側壁部44は、後部デッキ板41aの左右両側端部における上面側に固定されている。
【0055】
後部底部41の後端部には、左右のブラケット54が締め付け固定されており、ブラケット54の後端部には、後壁部43が左右向きの軸心P2周りに揺動開閉可能に支持されている。
【0056】
後壁部43の左右両側部における上部には、開閉レバー55が前後向きの軸心周りに揺動自在に支持されており、後部側壁部44の荷台後部支柱44cの上部には、開閉レバー55のロック部55aに係合する金具56が固定されている。開閉レバー55と後壁部43とに亘って弾性バネ57が装備されており、この弾性バネ57により開閉レバー55のロック部55aが金具56に係合する側に付勢されている。弾性バネ57の付勢力に抗して開閉レバー55の操作部55bを揺動操作することで、後壁部43を上開き式に後方に揺動開閉できる。
【0057】
後部側壁部44の荷台後部支柱44cには、フック58が固着されており、後壁部43の側面には、ワイヤ59の一端部が左右向きの軸心周りで回動可能に支持されている。これにより、ワイヤ59の他端部をフック58に引っ掛けた状態で後壁部43を後方に揺動させると、ワイヤ59により後壁部43の下方への揺動範囲が規制されて、後壁部43の面と後部デッキ板41aのデッキ面が面一になった状態が維持されるように構成されている。逆に、ワイヤ59の他端部をフック58から取り外した状態で後壁部43を後方に揺動させると、後壁部43が下方に垂下した状態になる。
【0058】
前部底部42は、前部デッキ板42aの下面側に複数のフレームを固着して構成されており、前部デッキ板42aの上面側には、後部デッキ板41aと面一の積載物を積載する凹凸のないフラットなデッキ面が形成されている。前部デッキ板42aの下面側における左右両側部には、前後に長い左右の荷台前部フレーム42bが固着されている。左右の荷台前部フレーム42bは、左右の荷台後部フレーム41bと左右方向で同じ位置に配設されており、左右の荷台前部フレーム42bの下面の高さは、左右の荷台後部フレーム41bの下面の高さと同じ高さに設定されている。
【0059】
図10,図12及び図13に示すように、後部底部41の前部における左右両側端部には、縦平板状の左右のブラケット61が締め付け固定されており、前部底部42の後部における左右両側端部には、縦平板状のブラケット62が固定されている。前部底部42の左右のブラケット62は、ピン63により皿バネ64を介して後部底部41側のブラケット61に左右向きの軸心a周りに回動自在に支持されている。これにより、前部底部42が後部底部41の前端部に左右向きの軸心a周りに上下揺動自在に支持されている。
【0060】
前部デッキ板42aの後端部における下面側には、左右に長い帯板状の板状部材65が固定されており、左右の前部側壁部45の下面側には、前後に長い帯板状の板状部材45dが固定されている。これにより、前部底部42を起立させた状態から、前部底部42を左右向きの軸心a周りに前方へ揺動させる場合において、板状部材65が後部デッキ板41aの前部下面側に接当し、前部デッキ板42aの左右両側部が左右の板状部材45dの上面側に接当する。そして、前部デッキ板42aの上面が後部デッキ板41aの上面と面一になった状態で位置決めされる。
【0061】
この場合、前部デッキ板42aの後端と後部デッキ板41aの前端との間の隙間が板状部材65により塞がれて、前部デッキ板42aと前部側壁部45との間の隙間が板状部材45dにより塞がれることになる。これにより、これらの隙間から積載物がこぼれることを防止できる。
【0062】
前部側壁部45は、角パイプ状の前部支柱45aと縦平板状の後部フレーム45cとに亘って、曲げ成形された前部側部パネル45bを固着して構成されており、前部側壁部45の後部フレーム45cの後面側には、上下のブラケット66が固定されている。後部側壁部44における荷台前部支柱44aの前面側には、上端部及び下端部が内側に折り曲げ成形されたフレーム67が固定されている。フレーム67には、後部フレーム45cに固定された上下のブラケット66がピン68により上下向きの軸心b周りに回動自在に支持されている。これにより、前部側壁部45が後部側壁部44の前端部に上下向きの軸心b周りに左右揺動自在に支持されている。
【0063】
図12及び図14に示すように、前壁部46は、左右の縦平板状の側部フレーム46aに亘って、曲げ成形された前部パネル46bを固着して構成されており、側部フレーム46aの下端部は、前部パネル46bより長く下方に延出されている。
【0064】
前部デッキ板42aの前端部には、縦断面形状がL字状のフレーム42cが固着されており、このフレーム42cの左右両側端部に、横断面形状がL字状のブラケット69が固定されている。ブラケット69には左右向きのピン69aが固着されており、このピン69aに側部フレーム46aの下端部が左右向きの軸心c周りに回動自在に支持されている。これにより、前壁部46が前部底部42の前端部に左右向きの軸心c周りに前後揺動自在に支持されている。
【0065】
図14及び図15に示すように、前壁部46の左右両側部における上部には、前壁部46を左右の前部側壁部45に固定する第1ロック装置70が装備されている。第1ロック装置70は、ブラケット71と、操作具72と、弾性バネ73とを備えて構成されている。ブラケット71は、正面視で下向きに開口したコ字状に形成されており、前壁部46の前部パネル46bに固着されている。ブラケット71には、左右向きの貫通穴が形成されており、この貫通穴に、操作具72が内嵌される。
【0066】
前部側壁部45の前部支柱45aの上部には、左右向きのロック穴45Aが形成されており、操作具72の先端部がロック穴45Aに入り込むように構成されている。これにより、操作具72の先端部とロック穴45Aとの係合により前壁部46の左右両側部における上部が左右の前部側壁部45に支持される。
【0067】
操作具72には棒状の位置決め部材72aが固定されており、この位置決め部材72aとブラケット71とに亘って操作具72を横外側に付勢する弾性バネ73が装着されている。ブラケット71の上面側には、前側に開口した穴部71aが形成されており、弾性バネ73の付勢力に抗して操作具72の操作部72bを内側に引き操作して、操作具72の操作部72bを上方に揺動させてブラケット71の穴部71bに位置決め部材72aを係合させることで、操作具72が内側に引き操作された状態(第1ロック装置70のロック解除状態)を保持できる。
【0068】
操作具72の先端部を前部支柱45aのロック穴45Aに位置決めし、位置決め部材72aがブラケット71の穴部71bに係合した状態から、操作具72の操作部72bを下方に揺動させると、弾性バネ73の付勢力により操作具72の先端部が前部支柱45aのロック穴45Aに入り込んで、前壁部46の左右両側部における上部が左右の前部側壁部45に支持される(第1ロック装置70のロック状態)。
【0069】
第1ロック装置70の下側には、位置決め機構74が装備されている。位置決め機構74は、前部支柱45aの前面側に固定された板状部材75と、前壁部46の側部フレーム46aに固定された係合片76とを備えて構成されている。板状部材75には樹脂製の係入部材75aが嵌め込み装着されており、この係入部材75aには、係合片76に係合する穴部が形成されている。
【0070】
前壁部46が左右向きの軸心c周りで後方に倒伏した状態から、前壁部46を上方に揺動させて起立させると、前壁部46側に固定された係合片76が前部側壁部45側に固定された係入部材75aの穴部に入り込んで、前壁部46と前部側壁部45が左右方向で位置決めされる。この場合、係入片76の先端部には、傾斜部76aが形成されているので、この傾斜部76aに案内された係合片76の先端部が無理なく係入部材75aの穴部に入り込む。
【0071】
また、前壁部46の側部フレーム46aの前端が係入部材75aの後面側に接当して、前壁部46と前部側壁部45が前後方向で位置決めされる。これにより、操作具72の前端部の位置と前部支柱45aのロック穴45Aの位置を正確に位置決めできる。
【0072】
例えば荷台40に積載物を積載して、前部側壁部45の前部を上下向きの軸心b周りに横外側に揺動させる力が作用した場合であっても、この横外側に揺動させる力を板状部材75と係合片76との係合により支えることができる。また、例えば荷台40に積載物を積載して、前壁部46の上部を左右向きの軸心c周りに前方に揺動させる力が作用した場合であっても、この前方に揺動させる力を側部フレーム46aの前端と係入部材75aの後面側との接当により支えることができる。これにより、位置決め部材74を前壁部46と前部側壁部45との連結補強部材として兼用することができ、荷台40の強度を向上できる。
【0073】
図12及び図13に示すように、後部側壁部44の後部側部パネル44bの前部上部には左右向きの貫通穴が形成されており、この貫通穴に樹脂製のボス部材77が嵌め込み装着されている。ボス部材77には左右向きのロック穴77Aが形成されており、このロック穴77Aの内径は、第1ロック装置70の操作具72の先端を無理なく内嵌できる寸法に設定されている。ボス部材77(ロック穴77A)の位置は、前壁部46と共に前部底部42を起立させた状態で、第1ロック装置70をロック状態に操作すると、操作具72の先端部がロック穴77Aに入り込んで、前壁部46と共に前部底部42が略直立に起立する位置に設定されている。
【0074】
これにより、荷台40の延長状態で、前壁部46を左右の前部側壁部45に固定する第1ロック装置70を、荷台40の短縮状態(前壁部46と共に前部底部42を起立させた状態)で、前壁部46及び前部底部42を後部側壁部44側に固定するロック装置として兼用することができる。
【0075】
図10及び図12に示すように、前部デッキ板42aの左右両側部における下面側には、前部底部42を後方に起立させて前部側壁部45を機体内側に折り畳んだ状態で、前部側壁部45の内側端部を前部底部42側に固定する第2ロック装置80が装備されている。
【0076】
図16(a)に示すように、第2ロック装置80は、ブラケット81と、支軸82と、揺動アーム84と、弾性バネ85とを備えて構成されている。前部デッキ板42aの下面側には、ブラケット81が固着されている。ブラケット81には、左右向きの左右の貫通穴が形成されており、この貫通穴に支軸82が内嵌されている。ブラケット81には、上下向きの取付穴が形成されており、この取付穴に、ゴム又は樹脂製のクッション部材83が嵌め込み装着されている。
【0077】
支軸82の右側端部には、平板状の揺動アーム84が支軸82の左右向きの軸心周りで揺動自在に支持されている。前部デッキ板42aと揺動アーム84とに亘って支軸82に外嵌された弾性バネ85が取り付けており、この弾性バネ85により、揺動アーム84が支軸82の軸心周りで図16(a)の紙面反時計回りに付勢されている。
【0078】
前部側壁部45における前部支柱45aの上部には、前後向きのロックピン78が固着されている(図15参照)。揺動アーム84の下部には、前部支柱45aのロックピン78に係合する係合部84aと、前部支柱45aのロックピン78を案内する後方上方に傾斜した案内部84bと、揺動アーム84から内側に折り曲げ成形された操作部84cとが形成されている。揺動アーム84の上部には、前部デッキ板45aに接当して揺動アーム84の揺動範囲を規制する接当部84dが形成されている。
【0079】
接当部84dは、弾性バネ85の付勢力により前部デッキ板45aの下面側に接当するので、揺動アーム84は、図16(a)に示す状態から、支軸82の軸心周りで図16(a)の紙面時計回りの方向に揺動可能となる。
【0080】
図16(b)に示すように、前部底部42を後方に起立させた状態で前部側壁部45を機体内側に折り畳むと、前部側壁部45のロックピン78が揺動アーム84の案内部84bに接当して、揺動アーム84が支軸82の左右向きの軸心周りで上方に揺動する。そして、前部側壁部45のロックピン78が更に後方に移動すると、弾性バネ85の付勢力により揺動アーム84が支軸82の左右向きの軸心周りで下方に揺動し、揺動アーム84の係合部84aが前部側壁部45のロックピン78に係合する(第2ロック装置80のロック状態)。
【0081】
この場合、前部側壁部45の前部支柱45aは、クッション部材83に接当するので、前部支柱45aは、クッション部材83と揺動アーム84の係合部84aとの間に前後方向から隙間無く挟まれた状態になる。これにより、前部底部42を後方に起立させて前部側壁部45を機体内側に折り畳んだ状態で、前部側壁部45の内側端部がガタつくことを防止できる。
【0082】
従って、前部底部42を後方に起立させた状態で、前部側壁部45を機体内側に折り畳むことで、第2ロック装置80により自動的に前部側壁部45の内側端部を前部デッキ45aに固定できる。これにより、荷台40の状態切換を簡易迅速に行うことができ、荷台40の状態切換作業の作業性を向上できる。
【0083】
一方、前部底部42を後方に起立させて前部側壁部45を機体内側に折り畳んだ状態で、揺動アーム84の操作部84cを弾性バネ85の付勢力に抗して上方に持ち上げると、係合部84aのロックピン78への係合が解除され、前部側壁部45の後方への揺動が可能になる(第2ロック装置80のロック解除状態)。前部側壁部45を後方へ揺動させて、揺動アーム84の操作部84cから手を離すと、揺動アーム84の接当部84dが前部デッキ板42aに接当して、揺動アーム84の位置が元の状態(図16(a)の状態)に位置決めされる。
【0084】
[荷台長さの変更]
図17に基づいて荷台40の延長状態と短縮状態との切換状況について説明する。
図17は、荷台40の切換状態を示す概略斜視図であり、図17(a)が延長状態での荷台40の概略斜視図であり、図17(b)が延長状態と短縮状態との間の中間状態での荷台40の概略斜視図であり、図17(c)が短縮状態での荷台40の概略斜視図である。
【0085】
図17(a)及び(b)に示すように、左右の第1ロック装置70をロック解除状態に操作し、前壁部46を左右向きの軸心c周りに後方へ揺動させて、前壁部46を前部底部42側に折り畳む。そして、前壁部46と共に前部底部42を左右向きの軸心a周りに後方へ揺動させて起立させ、後部側壁部44のボス部材77に形成されたロック穴77Aに第1ロック装置70の位置を合わせて、第1ロック装置70をロック状態に操作する。これにより、前壁部46と共に前部底部42を左右の後部側壁部44に固定できる。
【0086】
次に、図17(b)及び(c)に示すように、左右の前部側壁部45を上下向きの軸心b周りに後方(内側)へ揺動させて、左右の前部側壁部45を、起立した前部底部42側に折り畳む。そうすると、左右の前部側壁部45のロックピン78が前部底部42の左右の第2ロック装置80に係合する。これにより、起立した前部底部42に左右の前部側壁部45を固定できる。
【0087】
図17(c)に示すように、上述した手順で、前壁部46、前部底部42、及び左右の前部側壁部45を折り畳むことで、荷台40の前後長さ(荷台40の全長)が延長された延長状態から、荷台40の長さ(荷台40の全長)が短縮した短縮状態に、荷台40の状態を切り換えることができる。この場合、第1及び第2ロック装置70,80により、特定の工具等を用いなくても、簡易迅速に荷台40の状態を切り換えることができ、荷台40の状態切換作業の作業性を向上できる。
【0088】
また、荷台40の延長状態において、荷台40の内面側に位置する前部底部42のデッキ面、前壁部46の内面(後面)、及び前部側壁部45の内面が、荷台40の短縮状態では、荷台40の外側に露出しない状態になる。これにより、荷台40に積載物を積載することにより傷ついた前部底部42のデッキ面、前壁部46の内面(後面)、及び前部側壁部45の内面が、荷台40の短縮状態で荷台40の外側に露出して荷台40の見栄えが悪くなることを防止できる。
【0089】
また、荷台40の短縮状態では、後部底部41のデッキ面、左右の後部側壁部44の内面、後壁部43の内面(前面)、及び前部底部42のデッキ面(後面)によって囲まれた部分に積載物が積載される。これにより、積載物を積載することによる荷台40の外面側の破損を防止できる。
【0090】
図17(b)及び(c)に示すように、左右の前部側壁部45を起立した前部底部42に固定した状態から、左右の第2ロック装置80をロック解除状態に操作し、左右の前部側壁部45を上下向きの軸心b周りに前方(外側)へ揺動させる。この場合、前部側壁部45側のブラケット66が、後部側壁部44側のフレーム67に接当して、前部側壁部45が前後向きになった状態で位置決めされる。
【0091】
次に、図17(a)及び(b)に示すように、左右の第1ロック装置70をロック解除状態に操作し、前壁部46と共に前部底部42を左右向きの軸心a周りに後方(下方)へ揺動させる。この場合、前部底部42の板状部材65が後部デッキ板41aの前部下面側に接当し、前部デッキ板42aの左右両側部が左右の板状部材45dの上面側に接当して、前部デッキ板42aの上面が後部デッキ板41aの上面と略面一になった状態で位置決めされる。
【0092】
そして、前壁部46を左右向きの軸心c周りに前方(上方)へ揺動させて、左右の第1ロック装置70をロック状態に操作する。この場合、位置決め機構74により、前壁部46と前部側壁部45が前後方向及び左右方向で位置決めされると共に、操作具72の先端部の位置と前部側壁部45のロック穴45Aの位置が位置決めされる。これにより、前部底部42、前壁部46、及び左右の前部側壁部45を固定できる。
【0093】
図17(a)に示すように、上述した手順で、左右の前部側壁部45、前壁部46、及び前部底部42を展開することで、荷台40の長さ(荷台40の全長)が短縮した短縮状態から、荷台40の前後長さ(荷台40の全長)が延長された延長状態に、荷台40の状態を切り換えることができる。この場合、第1及び第2ロック装置70,80により、特定の工具等を用いなくても、簡易迅速に荷台40の状態を切り換えることができ、荷台40の状態切換作業の作業性を向上できる。
【0094】
[仕切部材の説明]
図18〜図25に基づいて運転部5と後部積載部6との間に配設された仕切部材90の構造について説明する。
図18は、ロプス30と仕切部材90との組み付け分解状態を示す説明図であり、図19は仕切部材90付近の背面図、図20は仕切部材90付近の側面図、図21は仕切部材90上部の支持構造と、仕切部材90の固定構造を説明する上下方向の縦断背面図、図22は仕切部材90付近の水平方向断面図、図23乃至図25は仕切部材90の固定構造を示し、図23は側面図、図24及び図25は水平方向断面図である。
【0095】
図18〜図20に示すように、運転部5の後部には、運転部5と後部積載部6との間を仕切る(運転部5の後壁を構成する)仕切部材90が設けられており、この仕切部材90は、荷台40の短縮状態で後方に移動した後方移動位置(図20の実線の位置)と、荷台40の延長状態で前方に移動した前方移動位置(図20の2点鎖線の位置)とに位置変更可能に構成されている。
【0096】
図18及び図19に示すように、仕切部材90は、フレーム部材91と、網状部材92と、左右の上部支軸93とを備えて構成されている。フレーム部材91は、左右の縦フレーム91aと、左右の縦フレーム91aの上部とに亘って固定された上部フレーム91bと、左右の縦フレーム91aの下部に亘って固定された下部フレーム91cとを備えて構成されている。これにより、左右の縦フレーム91aと上部フレーム91bと下部フレーム91cとに囲まれた左右に長い背面視で長方形状の開口部が形成される。
【0097】
仕切部材90の左右方向の幅W1は、左右の後部支柱34の内側の幅W2より狭く設定されており、仕切部材90の左右方向の幅W1は、後述する左右のレール部材96の内面の幅と所定の隙間を開けた寸法に設定されている。これにより、仕切部材90により運転部5と後部積載部6との間を広範囲で覆いながら、仕切部材90の支持構造を簡素化できる。
【0098】
網状部材92は、帯板材により枠状に形成された枠状フレーム92bに、例えば金網、樹脂網又はパンチングメタル等の複数の通気穴を設けたネット92aを装着して構成されている。網状部材92は、枠状フレーム92bをフレーム部材91の後方から着脱可能に締め付け固定することで、フレーム部材91に固定されている。左右の縦フレーム91aの上端部には、左右向きの左右の上部支軸93が同心状に固定されている。
【0099】
下部フレーム91cの前面側には、後部座席14のシートバック14bが締め付け固定されており、後部座席14のシートバック14bが仕切部材90と共に移動するように構成されている。
【0100】
図18、及び図20乃至図22に示すように、上部後部フレーム35の左右の前後フレーム部分35bの内側には、前後に長い左右のレール部材96が固定されている。左右のレール部材96は、背面視での縦断面形状が横外側に開口したコ字状に形成されており、左右の前後フレーム部分35bに固定されている。
左右のレール部材96の内側の面には、前後に長いガイド穴部96Aが形成されており、このガイド穴部96Aの穴幅は、上部支軸93の外径より少し大きい寸法に設定されている。
【0101】
仕切部材90の左右の上部支軸93は、左右のレール部材96の左右のガイド穴部96Aに内嵌されており、ガイド穴部96に内嵌された状態での上部支軸93の先端部に脱落防止用のワッシャ97が装着されている。これにより、仕切部材90の上部が、左右のレール部材96の左右のガイド穴部96Aに沿って前後にスライド移動可能に支持されている。
【0102】
前記ガイド穴部96Aの前後スライド移動方向の中間位置には、上方側に開口する抜け穴部96B(図20参照)が形成されている。この抜け穴部96Bは、ガイド穴部96A内を摺動する上部支軸93を取り出し可能な大きさに形成されており、図18に示すように、仕切部材90の全体を持ち上げてロプス30に対して脱着することを可能にするための切り欠き部を構成するものである。
【0103】
仕切部材90には、この仕切部材90を前方移動位置と後方移動位置とのそれぞれの位置で位置固定するための、前部位置固定機構94と後部位置固定機構95とが設けられている。
【0104】
前部位置固定機構94は、仕切部材90が前方移動位置にあり、後部座席14を使用しない一列座席仕様で用いる場合に、仕切部材90が前部運転座席13の後方近くに位置する状態で中間支柱32に固定するためのものであり、図20乃至図24に示すように、仕切部材90側に固定されたゴム製の帯状部分を有したフック部材94aと、そのフック部材94aに対して係脱自在なロッド94b部分を中間支柱32に設けることによって構成してある。これにより、仕切部材90が前部運転座席13の近くに位置する状態で、前記フック部材94aの帯状部分を引き延ばしながら、先端側の爪部94cをロッド94bに係合させることで、仕切部材90を中間支柱32側へ弾性的に押しつけ付勢した状態で固定するように構成してある。
【0105】
上記の前部位置固定機構94は、仕切部材90の上部側で中間支柱32に係合されるように構成したものであり、仕切部材90の下端側では、仕切部材90を中間支柱32に対して弾性的に押しつけ付勢するものではないが、仕切部材90の下端側は次のようにして前後方向位置を規制されている。
すなわち、図23に示すように、後部着座シート14aの後部側を持ち上げた起立姿勢にして、その後部着座シート14の前端側を後述するロック機構100により、倒伏しないように固定する。このようにすると、仕切部材90の下端側は補強フレーム32cと後部着座シート14aとの間に挟み込まれた状態に位置し、その前後方向でのガタツキを抑制されることになる。
そして、さらに仕切部材90の下端側は、後述する後部位置固定機構95としてのゴム製の帯状部材95aに形成した長穴95bを利用して、帯状部材95aを少し引き延ばしながら前記長穴95bを後部着座シート14aの後部側上端部14cに付設してある係合片14dに係合させてある。これにより、仕切部材90の下端側は、中間支柱32の後部近くでロック姿勢に固定された後部着座シート14aに対して弾性的に前後位置移動を抑制するように連結されている。
上記のように、ゴム製の帯状部材95aは、後部位置固定機構95の構成部材であるとともに、後部着座シート14aやそのロック機構100との協働により、仕切部材90の下端側を、仕切部材90が前方側に位置している状態で位置規制するための手段としても機能している。
【0106】
後部位置固定機構95は、仕切部材90が後方移動位置にあり、後部座席14を使用状態とした二列座席仕様で用いる場合に、仕切部材90が後部支柱34の近くに位置する状態で後部支柱34に固定するためのものであり、図22及び図25に示すように構成されている。
この後部位置固定機構95は、仕切部材90の上下両端側と前記後部支柱34の上部及び下部との間に設けてある。
このうち、下部側の後部位置固定機構95では、図25(a)に示すように、仕切部材90側の下部に固定されたゴム製の帯状部材95aと、その帯状部材95aに形成された長穴95bに対して係脱自在なピン95cを後部支柱34の下部に設けることによって構成してあり、仕切部材90が運転部5の後方側に位置する状態で、前記帯状部材95aを引き延ばしながらピン95cを長穴95bに係入せることで固定するように構成してある。
また、上部側の後部位置固定機構95は、図25(b)に示すように、仕切部材90側の上部に固定された前記ゴム製の帯状部分を有したフック部材94aと、そのフック部材94aの帯状部分に形成された長穴95bに対して係脱自在なピン95cを後部支柱34の上部に設けることによって構成してあり、仕切部材90が運転部5の後方側に位置する状態で、前記フック部材94aを引き延ばしながら長穴95bを上部のピン95cに係入させることで固定するように構成してある。
上記のように、前記ゴム製の帯状部分を有したフック部材94aは、前部位置固定機構94の構成部材であるとともに、後部位置固定機構95の上部側における構成部材としての役割をも兼ねている。
【0107】
[後部座席の姿勢変更]
図20及び図22に示すように、後部座席14の後部着座シート14aは、その前縁側の下部の左右向きの軸心P3周りで前後及び上下揺動可能に支持されていて、後部着座シート14aが、前端縁側が下方に、かつ後端縁側が上方に位置する状態となるように前方に揺動した起立姿勢と、前記後部着座シート14aが後方に揺動して後部着座シート14aの上面が上向きとなる着座可能姿勢とに姿勢変更可能に構成されている。
【0108】
後部座席支持フレーム25の上部前側には、ブラケット36が固定されている。ブラケット36には、後部着座シート14aの前方下部に固定された支持ブラケット37が左右向きの軸心P3周りで揺動自在に支持されている。支持ブラケット37には、左右向きの穴部37aが形成されている。
【0109】
これにより、シートバック14bを仕切部材90と共に前方に移動させて、後部着座シート14aを起立姿勢に姿勢変更することで、延長状態での荷台40の前側に作業者が着座できない非使用状態で位置した第1姿勢に、後部座席14の姿勢を姿勢変更できる。
また、後部着座シート14aを後方側に揺動させた姿勢に姿勢変更し、シートバック14bを仕切部材90と共に後方に移動させることで、短縮状態での荷台40の前側に作業者が着座できる使用状態で位置した第2姿勢に、後部座席14の姿勢を姿勢変更できる。
【0110】
ブラケット36の下部には、後部着座シート14aの前方への揺動範囲を規制する位置決め接当部36aが形成されている。ブラケット36の先端部には、前部ロック機構100が装着されている。
【0111】
前部ロック機構100は、操作部101と、ピン102とを備えて構成されている。前部ロック機構100の操作部101を横外側に引き操作すると支持ブラケット37の穴部37aに係入するピン102が横外側に移動するように構成されている。
【0112】
操作部101を横外側に引き操作した状態で、操作部101を正回転させることで、操作部101が横外側に操作されてピン102が横外側に移動した状態を保持でき、操作部101を横外側に引き操作した状態で、操作部101を逆回転させることで、前部ロック機構100に内蔵された弾性バネ(図示せず)の付勢力によりピン102が内側に出るように構成されている。
【0113】
これにより、前部ロック機構100の操作部101が横外側に引き操作された状態で、後部着座シート14aを前方に揺動させると、支持ブラケット37の下端部がブラケット36の位置決め接当部36aに接当して、後部着座シート14aが最も前方に揺動した位置で位置決めされる。この状態で、前部ロック機構100の操作部101を逆回転させて前部ロック機構100のピン102を支持ブラケット37の穴部37aに入り込ませることで、最も前方に揺動した位置での後部着座シート14aの起立姿勢を保持できる。
【0114】
後部着座シート14aが起立姿勢で保持された状態で、前部ロック機構100の操作部101を横外側に引き操作すると、ピン102の穴部37aへの係合が解除されて、後部着座シート14aの起立姿勢での保持が解除される。そして、後部着座シート14aを後方に倒すことで、後部着座シート14aを倒伏姿勢に姿勢変更できる。この場合、前部ロック機構100の操作部101を引き操作した状態で正回転させることで、次回の後部着座シート14aの姿勢変更作業に備えて予め前部ロック機構100のピン102が横外側に引っ張られた状態を現出しておくことができる。
【0115】
図8及び図20に示すように、後部着座シート14aを起立姿勢で保持できるように構成することで、起立姿勢での後部着座シート14aの後部と、ダンプする延長状態での荷台40の先端部との間に所定の隙間を確保することができると共に、起立姿勢での後部着座シート14aの上部前部と、前方移動位置での仕切部材90との間に所定の隙間を確保することができる。これにより、起立姿勢での後部着座シート14aと延長状態での荷台40との干渉を防止できると共に、起立姿勢での後部着座シート14aと前方移動位置での仕切部材90との干渉を防止できる。
【0116】
図20に示すように、前記仕切部材90の下端部は、運転部5の後方側に位置させた後部座席14の使用姿勢で、後部座席14の後部着座シート14aの後部側上端部14cに対して、その直上位置に存在し、後部着座シート14aの起立側への揺動を規制できるように位置設定されている。
つまり、この仕切部材90の下端部による当たり構造が、後部着座シート14aの起立側への揺動を規制する後部ロック機構110としての役割を果たしている。
【0117】
上記のように前部ロック機構100及び後部ロック機構110を構成することで、後部着座シート14aの姿勢変更を簡易迅速に行うことができるとともに、前部ロック機構100及び後部ロック機構110により上向き使用姿勢及び起立姿勢で後部着座シート14aを確実に固定できる。
【0118】
[後部座席設置用空間の形態変更]
図1,図2,図20,図22に基づいて仕切部材90の位置変更による後部座席設置用空間Sの形態変更状況について説明する。
図1に示す状態は、荷台40が短縮状態に切り換えられ、後部着座シート14aが着座可能姿勢に姿勢変更され、仕切部材90が後方移動位置に位置する状態であり、この状態が、前部運転席13及び後部座席14の両方に搭乗可能な二列仕様状態である。
【0119】
この場合、仕切部材90の上部及び下部は後部位置固定機構95によって後部支柱34に固定されている。この状態では、後部着座シート14aの後端側上端部14cは、仕切部材90の下端部と対向する位置にあり、その起立側への揺動が規制されている。
【0120】
次に、前記図1に示す二列座席仕様(四人又は五人乗り仕様)から図2に示す一列座席仕様(二人乗り仕様)に切り換えるには次のように操作する。
【0121】
まず、前記後部位置固定機構95による係合を解除して、仕切部材90をレール部材96のガイド穴部96Aに沿って前方にスライド移動させて、仕切部材90を前方移動位置に位置変更する。
次に、仕切部材90の左右両側の上部に設けてある前部位置固定機構94としてのフック部材94aを、中間支柱32の上部側に連設して固定用ロッド94bに係合させて仕切部材90を中間支柱32に対して固定する。
【0122】
その後、仕切部材90の下端部による揺動規制が解除された後部着座シート14aを起立姿勢に姿勢変更し、荷台40を延長状態に切り換えて、前記起立姿勢に姿勢変更した後部着座シート14aの上端側に後部位置固定機構95としての帯状部材95aを連結して、図1に示す二列座席仕様(四人又は五人乗り仕様)から図2に示す一列座席仕様(二人乗り仕様)に、運転部5の仕様を変更する。
【0123】
この一列座席仕様(二人乗り仕様)から、再び図1に示す二列座席仕様(四人又は五人乗り仕様)に戻すには、上記とは逆に、荷台40が延長状態に切り換えられ、後部着座シート14aが起立姿勢に姿勢変更され、仕切部材90が前方移動位置に位置変更された状態から、荷台40を短縮状態に切り換えて、後部着座シート14aを倒伏姿勢に姿勢変更する。
そして、仕切部材90の前部位置固定機構94としてのフック部材94aと、中間支柱32側の固定用ロッド94bとの係合を解除し、さらに起立姿勢に姿勢変更されている後部着座シート14aの上端側に連結した帯状部材95aの係合も解除して、仕切部材90を後方に移動可能な状態にする。
【0124】
仕切部材90の上部支軸93をレール部材96のガイド穴部96Aに沿って後方にスライド移動させ、仕切部材90が後方移動位置に達した状態で、後部位置固定機構95により、仕切部材90を後部支柱34に固定する。この状態では、後部着座シート14aの後端縁側は仕切部材90の下端部と対向する位置にあって、その起立姿勢側への揺動が規制された状態となっている。
このようにして、図2に示す一列座席仕様(二人乗り仕様)から、図1に示す二列座席仕様(四人又は五人乗り仕様)に、運転部5の仕様を変更する。
【0125】
また、荷台40を短縮状態に切り換えた状態で、後部着座シート14aを起立姿勢に姿勢変更すると、後部着座シート14aの下側に位置するエンジンE等の上方が開放されるように構成されているので、この状態を現出することで、エンジンE等のメンテナンスを容易に行うことができ、作業車のメンテナンス作業の作業性を向上できる。この場合、荷台40をダンプさせると、エンジンE、ミッションケース8等の上方が更に広い範囲で開放されることになるので、荷台40をダンプさせることで、エンジンE、ミッションケース8等のメンテナンスを更に容易に行うことができる。
【0126】
[発明の実施の第1別形態]
前述の「発明を実施するための最良の形態」においては、前壁部46と共に前部底部42を後側に起立させて折り畳んだ後に、左右の前部側壁部45を後側に折り畳むように構成した例を示したが、前壁部46、前部底部42、及び左右の前部側壁部45を折り畳む順番として異なる順番を採用してもよく、例えば左右の前部側壁部45を後側に折り畳んだ後に、前壁部46と共に前部底部42を後側に起立させて折り畳むように構成してもよい。
【0127】
前述の「発明を実施するための最良の形態」においては、前壁部46、前部底部42、及び左右の前部側壁部45を後側に折り畳むことにより、荷台40の延長状態と短縮状態を現出可能に構成した例を示したが、図26に示すような荷台40の構造を採用してもよい。図26は、この別実施形態における荷台40の概略斜視図である。
【0128】
図26(a)に示すように、荷台40は、前部荷台40Fと後部荷台40Rとを備えて構成されており、前部底部42、左右の前部側壁部45、及び前壁部46はそれぞれ固定されている。後部荷台40Rの前端部に、前部荷台40Fの後端下部が左右向きの軸心d周りで揺動自在に支持されている。
【0129】
これにより、前部荷台40Fが後部荷台40Rに左右向きの軸心d周りで一体で揺動自在に支持されて、図26(a)の実線で示す前部荷台40Fが一体で前方に揺動し荷台40の全長が長くなった延長状態と、図26(a)の2点鎖線で示す荷台40が一体で後方上方に揺動し荷台40の全長が短くなった短縮状態とに状態切換可能に構成されている。なお、前部荷台40Fと後部荷台40Rとに亘って、延長状態及び短縮状態での前部荷台40Fを後部荷台40R側に固定するロック装置(図示せず)が設けられている。
【0130】
図26(b)に示すように、荷台40は、前部荷台40Fと後部荷台40Rとを備えて構成されており、前部底部42、左右の前部側壁部45、及び前壁部46はそれぞれ固定されている。前部荷台40Fは、後部荷台40Rに、図示しないスライド機構(例えばスライドレール、スライドガイド等)を介して後部荷台40Rの壁面に沿って前後にスライド移動可能に支持されている。
【0131】
これにより、前部荷台40Fが後部荷台40Rに一体でスライド移動可能に支持されて、図26(b)の実線で示す前部荷台40Fが一体で前方にスライド移動し荷台40の全長が長くなった延長状態と、図26(b)の2点鎖線で示す後部荷台40Rが一体で後方にスライド移動し荷台40の全長が短くなった短縮状態とに状態切換可能に構成されている。なお、前部荷台40Fと後部荷台40Rとに亘って、延長状態及び短縮状態での前部荷台40Fを後部荷台40R側に固定するロック装置(図示せず)が設けられている。
【0132】
また、図示しないが、折り畳み構造やスライド構造を採用せずに、荷台40を一体的に構成して(荷台40の全長を伸縮できないように構成して)、この一体的に構成した荷台40を荷台支持フレーム26に一体でスライド移動可能に支持し、荷台40を荷台支持フレーム26に対して一体で前後にスライド移動させることで、荷台40の前壁部46及び前部底部42が前後に移動するように構成してもよい。
【0133】
[発明の実施の第2別形態]
前述の「発明を実施するための最良の形態」、及び「発明の実施の第1別形態」においては、仕切部材90をレール部材96に沿ってスライド移動させることで、仕切部材90を前方移動位置と後方移動位置とに位置変更可能に構成した例を示したが、仕切部材90を前方移動位置と後方移動位置とに位置変更可能な構成として異なる構成を採用してもよい。具体的には、例えば前方及び後方移動位置での仕切部材90を、ロプス30に着脱可能に取り付けて、前方又は後方移動位置の一方でロプス30に固定した仕切部材90を取り外して、この取り外した仕切部材90を前方又は後方移動位置の他方でロプス30に固定する着脱式の仕切部材90を採用してもよい。
【0134】
[発明の実施の第3別形態]
前述の「発明を実施するための最良の形態」、「発明の実施の第1別形態」、及び「発明の実施の第2別形態」においては、前方及び後方移動位置での仕切部材90をロプス30に固定するように構成した例を示したが、前方及び後方移動位置での仕切部材90を車体側に固定する構成として異なる構成を採用してもよく、例えば車体フレーム2、前部座席支持パネル24、後部デッキ板29等に、前方及び後方移動位置での仕切部材90を固定するように構成してよく、車体フレーム2、前部座席支持パネル24、後部デッキ板29等からロプス30とは別のフレーム部材(図示せず)を延出し、このフレーム部材に、前方及び後方移動位置での仕切部材90を固定するように構成してもよい。
【0135】
また、前方及び後方移動位置のうちの一方の位置での仕切部材90をロプス30に固定し、前方及び後方移動位置のうちの他方の位置での仕切部材90を車体フレーム2、前部座席支持パネル24、後部デッキ板29等に固定するように構成してもよい。
【0136】
[発明の実施の第4別形態]
前述の「発明を実施するための最良の形態」、「発明の実施の第1別形態」、「発明の実施の第2別形態」、及び「発明の実施の第3別形態」においては、車体1の後部にダンプ可能な荷台40を備えた作業車を例に示したが、車体1の後部に荷台40を固定したダンプ不能な作業車(図示せず)においても同様に適用できる。
【0137】
前述の「発明を実施するための最良の形態」、「発明の実施の第1別形態」、「発明の実施の第2別形態」、及び「発明の実施の第3別形態」においては、煽り部材(後壁部43、後部側壁部44、前部側壁部45、前壁部46)を備えた荷台40を例に示したが、煽り部材の高さが異なる荷台(図示せず)や、煽り部材を備えていないフラットデッキの荷台(図示せず)においても同様に適用できる。また、天井部材を備えたバン仕様の荷台(図示せず)においても同様に適用できる。
【0138】
[発明の実施の第5別形態]
前部位置固定機構94や後部位置固定機構95は、前述の「発明を実施するための最良の形態」で説明したような、弾性的に付勢して止め付けるための手段として、ゴム製の帯状部材を用いた構造のものに限らず、例えば、コイルスプリングを用いたり、伸縮力のある合成樹脂製材料からなる帯状部材を用いるなど、適宜の構造を採用すればよい。
また、フック部材94aと固定用ロッド94bとの位置関係、及び帯状部材95aとピン95cとの位置関係等は、仕切部材90と中間支柱32との間、もしくは後部支柱34との間で、前記「発明を実施するための最良の形態」で説明した場合とは逆の関係に設けてもよい。
【0139】
[発明の実施の第6別形態]
仕切部材90の前方移動位置、及び後方移動位置での位置固定は、前述の「発明を実施するための最良の形態」で説明したような、前部位置固定機構94や後部位置固定機構95として示した構造のものに限らず、例えば、仕切部材90に止めピンを装着し、各支柱、あるいはその他の機体固定部側に係止孔を設けて、ピンの抜き差しで係脱する構造を採用するなど、任意の構造を採用することができる。
また、前部位置固定機構94や後部位置固定機構95として示した構造のものを用いるにあたっても、仕切部材90の上下両端側に設けたものに限らず、上端側のみ、あるいは下端側のみ、さらには上下方向での中間位置に設けるなどの、取付位置の選択も自由である。
【0140】
[発明の実施の第7別形態]
前述の「発明を実施するための最良の形態」、「発明の実施の第1別形態」では、荷台40の長さを変更して、一列座席仕様か二列座席仕様に変更する構造のものを例示したが、これに限らず、例えば、二列座席仕様では荷台6が全くない状態とし、一列座席仕様で前部運転座席13の後方側に荷台40に相当する空間が形成される状態となるようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0141】
【図1】二列座席仕様での作業車の全体側面図
【図2】一列座席仕様での作業車の全体側面図
【図3】二列座席仕様での作業車の全体平面図
【図4】車体コア部を示す斜視図
【図5】車体フレームとロプスとを分離した状態示す斜視図
【図6】第1コア部材と第2コア部材とを分離した状態を示す斜視図
【図7】ロプスの分解状態を示す斜視図
【図8】延長状態での荷台付近の側面図
【図9】短縮状態での荷台付近の側面図
【図10】延長状態での荷台の底面図
【図11】荷台の背面図
【図12】延長状態での荷台の側面図
【図13】前部底部及び前部側壁の連結構造を説明する詳細図
【図14】前壁部の連結構造を説明する詳細図
【図15】第1ロック装置付近の構造を示す縦断側面図
【図16】第2ロック装置付近の構造を示す詳細図
【図17】荷台の切換状態を示す概略斜視図
【図18】ロプスと仕切部材との分離状態を示す斜視図
【図19】仕切部材付近の背面図
【図20】仕切部材付近の側面図
【図21】仕切部材上部の支持構造を説明する縦断背面図
【図22】仕切部材付近の横断平面図
【図23】仕切部材の前部位置固定機構を示す側面図
【図24】仕切部材の前部位置固定機構を示す水平方向断面図
【図25】仕切部材の後部位置固定機構を示す水平方向断面図
【図26】発明の実施の第1別形態における荷台の概略斜視図
【符号の説明】
【0142】
1 車体
2 車体フレーム
2A 前部フレーム
2B 後部フレーム
5 運転部
13 前部運転座席
14 後部座席
14a 後部着座シート
20 メインフレーム
21 前輪支持フレーム
22 前部運転席構成フレーム
23 後部座席構成フレーム
30 ロプス(固定部材)
31 前部支柱
32 中間支柱
34 後部支柱
40 荷台
90 仕切部材
96 レール部材
200 車体コア部
201 第1コア部材
202 第2コア部材
203 第3コア部材
S 後部座席設置用空間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体フレーム上に前部運転座席と後部座席設置用空間とが前後に併置された運転部を設けるとともに、この運転部の床面よりも高い位置で後方側に配設された後部フレームと、その後部フレームよりも前方側で前記運転部の床面を支持するように配設された前部フレームとで前記車体フレームを構成し、
前記運転部を覆うロプスを備え、このロプスの左右の前部支柱を前記前部フレームに固定するとともに、前記ロプスの左右の後部支柱を前記後部座席設置用空間よりも後方側で前記後部フレームに固定してある作業車。
【請求項2】
ロプスは、前部支柱と後部支柱との前後方向での中間に備えた左右一対の中間支柱を、前部運転座席の後部横外側に位置させて、その下部を車体フレームに固定してある請求項1記載の作業車。
【請求項3】
左右の中間支柱同士に亘って横フレームを備え、前記横フレームに前部運転座席のシートバックを支持させてある請求項2記載の作業車。
【請求項4】
運転部には、後部座席設置用空間の後ろ側に位置する後方移動位置と、その前方の前部運転座席近くに移動した前方移動位置とに位置変更可能に構成された仕切部材を設けてある請求項1、2、又は3記載の作業車。
【請求項5】
仕切部材に、後部座席設置用空間に備えた後部座席のシートバックを支持させてある請求項4記載の作業車。
【請求項6】
後部座席設置用空間に配置される後部座席は、その後部着座シートが前部の左右軸心周りで前側に揺動した第1姿勢と、前記左右軸心周りで後側に倒伏した第2姿勢とに姿勢変更可能に構成してあり、
仕切部材は、後方移動位置での下端部が、前記第2姿勢での後部着座シートの後部上端部に接当するように位置設定してある請求項4又は5記載の作業車。
【請求項7】
仕切部材は、前方移動位置で中間支柱に対して弾性付勢して固定可能に、かつ後方移動位置では後部支柱に対して弾性付勢して固定可能に構成してある請求項4、5、又は6記載の作業車。
【請求項8】
ロプスは、その上部位置に、仕切部材を前方及び後方移動位置の間で前後に移動案内する左右のレール部材を備え、
前記レール部材の前後方向での中間部に、そのレール部材に対して前記仕切部材を着脱するための切り欠き部を形成してある請求項4〜7のいずれか一項記載の作業車。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【公開番号】特開2010−30365(P2010−30365A)
【公開日】平成22年2月12日(2010.2.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−192673(P2008−192673)
【出願日】平成20年7月25日(2008.7.25)
【出願人】(000001052)株式会社クボタ (4,415)
【Fターム(参考)】