説明

保管庫装置及び保管庫付き搬送システム

【課題】例えば半導体素子製造用の各種基板を収容する荷を搬送する搬送車との間で、荷の出入庫が夫々行われる複数の保管庫が組み合わされてなる保管庫セットが軌道に沿って敷設される保管庫装置において、比較的簡単な構成を採用しつつ、効率良く荷を出入庫することを可能ならしめると共に、稼働率を高く維持する。
【解決手段】保管庫装置に備えられる保管庫10は夫々、荷3を水平一方向及び鉛直方向に往復移動可能な駆動手段11,13,14と、該駆動手段により移動される荷を収容又は載置可能な棚部分を、鉛直方向に複数段に渡って段毎に水平一方向に一又は複数有する棚15とを備える。保管庫装置は、少なくとも複数の保管庫のうち一又は複数の保管庫からなるグループ毎に出入庫を制御すると共に相互に補完制御可能に夫々構成されている複数のコントローラを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば半導体素子製造用の各種基板を収容するFOUP(Front Opening Unified Pod)等の荷を、軌道上で搬送する搬送システムにおいて、軌道に隣接した位置で荷を一時的に保管するストッカ等の保管庫、このような保管庫を複数組み合わせてなる保管庫セット、特にこのような保管庫セットが軌道に沿って敷設される保管庫装置、及びこのような保管庫装置を具備してなる保管庫付き搬送システムの技術分野に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の保管庫は、例えばビークル等の搬送車が走行する軌道に隣接して敷設され、保管庫内には、搬送車により搬送される荷を多数個保管するように多数の棚部分が設けられる。更に、このような保管庫内と搬送車との間における荷の受け渡し或いは出し入れ(即ち、出入庫)を行うための“ポート”と指定の棚部分との間における荷の搬送(即ち、保管庫内搬送)を行うための、スタッカロボット、スタッカクレーン等と称される保管庫内搬送装置が設けられる。特にスタッカロボット等により、縦横無尽に広がる多数の棚部分を含む保管庫内における搬送が可能とされており、例えば数十個から数百個といった多数個の荷の出入庫及び保管が可能とされており、数トンから十数トン級の重さの大型保管庫も実用化されている(特許文献1及び2参照)。
【0003】
【特許文献1】特開2006−049454号公報
【特許文献2】特開2003−182815号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した特許文献1及び2記載の大型保管庫によれば、スタッカロボット等の保管庫内搬送装置は、制御及び構造が基本的に複雑高度であり、高コストである。しかも、その制御についても、高い処理能力を有する制御装置を用いての、複雑高度且つ高コストの制御が要求される。
【0005】
このような大型保管庫に対して、本願出願人により、半導体製造に用いられる一般的な保管庫における約1割程の少数の棚部分しか備えていない小型保管庫が提案されている。このような小型保管庫は、棚部分が少ないために比較的安価に提供されるが、この小型保管庫一台の制御について、上述した制御装置を用いるのは、高コストである。そこで、1台の制御装置で複数台のストッカを制御しようとするが、このような制御装置が故障又は異状になると、例えば全てのスタッカロボットによる出入庫動作が不可能となり、搬送システムの少なくとも一部が停止状態になってしまうという技術的問題点がある。
【0006】
本発明は、例えば上述した問題点に鑑みなされたものであり、比較的簡単な構成を採用しつつ、効率良く荷を出入庫することを可能ならしめると共に、信頼性を上げて、稼働率を高く維持することが可能な保管庫、このような保管庫を複数組み合わせてなる保管庫セット、特にこのような保管庫セットが軌道に沿って敷設される保管庫装置、及びこのような保管庫装置を具備してなる保管庫付き搬送システムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の保管庫装置は上記課題を解決するために、軌道上で荷を搬送する搬送車との間で前記荷の出入庫が夫々行われる複数の保管庫が組み合わされてなる保管庫セットが前記軌道に沿って敷設される保管庫装置であって前記複数の保管庫は夫々、前記荷を水平一方向に往復移動可能であると共に鉛直方向に往復移動可能な駆動手段と、該駆動手段により移動される荷を収容又は載置可能な棚部分を、前記鉛直方向に複数段に渡って段毎に前記水平一方向に一又は複数有する棚とを備え、当該保管庫装置は、少なくとも前記複数の保管庫のうち一又は複数の保管庫からなるグループ毎に前記出入庫を制御すると共に相互に補完制御可能に夫々構成されている複数のコントローラを備える。
【0008】
本発明の保管庫装置によれば、入庫時には、荷が、例えば、搬送車から保管庫セットを構成する個々の保管庫の出入庫用のポートへ移載されると、この荷は、例えば鉛直駆動部及び水平駆動部を備える駆動手段によって所望の棚部分へと移動される。即ち、保管庫内搬送される。出庫時には、荷が駆動手段によって、所望の棚部分から保管庫内搬送される。その後、保管庫セットのポートへ荷が移動されると、搬送車への移載が行われる。
【0009】
本発明では特に、棚は、棚部分を、鉛直方向に複数段に渡って段毎に水平一方向に一又は複数有し、駆動手段は、このような棚に対応して、荷を水平一方向に往復移動可能であると共に鉛直方向に往復移動可能である。従って、鉛直方向及び水平一方向という二軸運動によって、出入庫用のポート(又は他の棚部分)から、複数存在する棚部分のうち所望の棚部分へと、荷を保管庫内搬送可能となる。或いは、鉛直方向及び水平一方向という二軸運動によって、複数存在する棚部分のうち所望の棚部分から出入庫用のポート(又は他の棚部分)へと、荷を保管庫内搬送可能となる。
【0010】
個々の保管庫について言えば、例えば、棚は、鉛直方向にm(但し、mは2以上の自然数)段、水平一方向にn(但し、nは1以上の自然数)列、且つこれに垂直である残る水平一方向(以下単に「厚み方向」と称する)には1列のみといった具合に、薄い平板形状となるように、全体の骨格が構成される。
【0011】
しかるに本発明によれば、当該保管庫装置には複数のコントローラが備えられており、各コントローラは、一又は複数の保管庫からなるグループ毎に荷の出入庫を制御する。具体的に、各コントローラは、例えば個々の保管庫における駆動手段に内蔵されたシーケンサに対して、所定の搬送車との間で所定の時期に所定の数の荷を出庫又は入庫する旨の指示信号を送信する。この指示信号を受信したシーケンサにより、駆動手段が制御され、所定の搬送車との間で指示信号に基づく出入庫が行われる。このように、各コントローラは、個々の保管庫における搬送車との間での出入庫を、グループ毎に制御することで、例えばグループ毎に荷の在庫状況を管理したり、棚の状態(即ち、荷が載置されているか否か)を管理する。具体的に、例えば統合管理システムは、出庫すべき荷の識別番号、及び荷が載置されている保管庫の出入口を示す指示信号を、該保管庫を備えるコントローラに送信する。この指示信号を受信したコントローラは、駆動手段を制御して、IDを有する荷を、載置されている棚から出入口まで搬送する。
【0012】
そして特に、各コントローラは、通常時にはこのような分散制御を行いつつ、故障又は異状時に相互に補完制御可能に構成されている。ここに「補完制御」とは、複数のコントローラのうち一のコントローラが動作不能となった場合にも、他のコントローラが、この一のコントローラが制御することが想定されているグループまでをも、制御する意味である。言い換えれば、他のコントローラが一のコントローラを補完して、制御するという意味である。従って、例えば、一のコントローラが、故障や異状等によりダウンした場合、制御ラインを切り替えるなどの比較的簡単な制御切替によって、そのダウンしたコントローラが制御していたグループの制御を、他の正常なコントローラにより行うようにすれば、搬送システムの稼働率の低下は、最小限に或いはそれに近いレベルに抑えられることになる。尚、補完制御は、本来の制御と完全同一な制御や管理であってもよい。或いは、故障したコントローラの修理をするまでの暫定的な制御として、本来の制御と比べて処理時間、制御内容等が多少劣る制御であってもよい。
【0013】
例えば、複数のコントローラは夫々、予め一対をなしており、一のコントローラの故障或いは異状時等に、この一のコントローラと対をなす他のコントローラが、この一のコントローラに代わって補完制御を行うように構成してもよい。或いは、例えば、複数のコントローラは夫々、予め複数個の郡に分類されており、一のコントローラの故障或いは異状時等に、この一のコントローラと同一郡に分類される一又は複数のコントローラの中の他のコントローラが、この一のコントローラに代わって補完制御を行うように構成してもよい。或いは、一のコントローラの故障或いは異状時等に、残されたコントローラのうちで補完制御に適した状況或いは状態にあるものが選択されて、この選択されたコントローラが、この一のコントローラに代わって補完制御を行うように構成してもよい。
【0014】
従って、複数のコントローラの個々は、一のコントローラの故障時等に補完制御可能な分だけ処理能力を、予め余分に持っていれば、当該保管庫装置における補完制御を実行可能となる。これは、グループ毎に複数のコントローラを冗長的に設ける場合と比べて、処理能力を効率的に活用する観点からして、或いは経済的な見地からして、格段に有利である。
【0015】
加えて、本発明によれば、工場内に敷設された軌道に沿った方向における各種装置等間の隙間に合わせた数だけ保管庫を組み合わせることが可能となり、実用上極めて便利である。言い換えれば、軌道に沿って敷設される装置等間の隙間が大きい設計でも、小さい設計でも、本発明の保管庫セットを利用すれば、十二分に許容範囲となり得る。しかも、個々の保管庫内における保管庫内搬送は、上述の如く厚み方向には薄く広がる、即ち複数段に渡って且つ各段に複数ある棚部分を有する棚に対する、二軸方向の運動によって、極めて効率的に行われる。尚、保管庫セットを構成する複数の保管庫について、例えば装置を挟む二つの隙間に、離れて配置された複数の保管庫であってもよい。
【0016】
以上のように、搬送車の軌道に沿った比較的小さい隙間にも或いは比較的大きな隙間にも、所望数の保管庫を組み合わせた状態にて保管庫セットを配置できる。特に、複数のコントローラを用いて分散制御を行うと共に補完制御可能とすることによって、保管庫セットが含まれる保管庫装置或いは搬送システム全体の稼働率を高く維持しつつ、ハードウエア資源の効率的利用を図ると共に経済性を向上させることも可能となる。
【0017】
本発明の保管庫装置の一態様では、前記複数のコントローラによる制御経路を補完制御用に切り替える切替手段を更に備える。
【0018】
この態様によれば、例えば各コントローラとその制御対象となる駆動手段とは、有線若しくは無線である制御ケーブル或いは制御ラインなどの制御経路により結ばれている。故障時等には、ケーブル或いはラインを切り替える切替スイッチなどの切替手段によって、複数のコントローラによる制御経路が補完制御用に切り替えられる。よって、一つのコントローラが動作不能になった場合にも、切替手段によって、極めて迅速にして補完制御を開始できるので、保管庫装置或いは搬送システム全体の稼働率を高める上で非常に有利となる。尚、切替手段は、例えば試行運転時や緊急時等に、システム管理者により手動で切り替えられてもよい。
【0019】
この態様では、前記複数のコントローラのうち一のコントローラの故障又は異常が検出されると、前記切替手段は、前記複数のコントローラのうち他のコントローラにより前記一のコントローラの補完制御を行うように切り替えられてもよい。
【0020】
このように構成すれば、例えば、コントローラ相互による故障又は異状のモニタリングや、個々のコントローラの故障等をモニタリングする専用のモニタリング手段によって、複数のコントローラのうち一のコントローラの故障等が検出される。このように故障等が検出されると、切替手段によって、複数のコントローラのうち他のコントローラにより、この故障等に係る一のコントローラの補完制御が行われる。よって、一つのコントローラが動作不能になった場合にも、切替手段による補完制御を、極めて迅速にして開始することも可能となり、保管庫装置或いは搬送システム全体の稼働率を高める上で、より一層有利となる。
【0021】
尚、故障等を検知したユーザ或いはオペレータによって、手動又は半手動により、補完制御への切替操作が行われるように構成してもよい。
【0022】
本発明の保管庫装置の他の態様では、前記駆動手段は、前記荷をその底側から支持可能な第1載置面を有する載置部と、前記載置部を水平一方向に往復移動可能な水平駆動部と、前記載置部を鉛直方向に往復移動可能な鉛直駆動部とを備え、前記棚は、前記棚部分として、前記段毎に、前記水平駆動部により到達可能な水平位置に一又は複数設けられると共に、前記第1載置面との間で前記荷を相互に移載可能に夫々構成されている第2載置面を有する。
【0023】
この態様によれば、駆動手段の動作は、薄型の保管庫内において水平一方向及び鉛直方向に往復移動する二軸運動であるので、その制御はスタッカロボット等を制御する場合と比較して遥かに簡単である。このような駆動手段により、入庫時には、例えば、搬送車から出入庫用のポートとして機能する第2載置面上に荷が移載される。続いて、ポートとして機能する第2載置面上に移載された荷は、2軸方向に移動可能な載置部の第1載置面に載置される。例えば、第1及び第2載置面は、荷の底面における相異なる部分(典型的には、中央寄り部分と周辺寄り部分)を支持するように構成されており、どちらか一方で荷を支持することが可能である。載置部が、ポートとして機能する第2載置面が存在する鉛直位置且つ水平位置に移動された際に、ポートとして機能する第2載置面に代わって、第1載置面で支持することで、第2載置面から第1載置面への移載が行われる。典型的には、鉛直駆動部により第1載置面が第2載置面より高くなるまで移動されることで、荷は、第1載置面によって支持されることとなる。これにより、入庫時における保管庫内搬送が開始される。ここでは、鉛直駆動部及び水平駆動部による簡単な2軸動作によって、棚におけるいずれの第2載置面にも迅速に保管庫内搬送が可能である。
【0024】
続いて、載置部が、保管に使用しようとする第2載置面が存在する鉛直位置且つ水平位置に移動された際には、第1載置面に代わって、第2載置面で支持することで、第1載置面から第2載置面への移載が行われる。典型的には、鉛直駆動部により第1載置面が第2載置面より低くなるまで移動されることで、荷は、第2載置面によって支持されることとなる。これにより、入庫時における保管庫内搬送が終了され、棚での保管が開始される。
【0025】
他方、出庫時には、載置部が、出庫しようとする荷が載置されている第2載置面が存在する鉛直位置且つ水平位置に移動される。続いて、第2載置面に代わって、第1載置面で支持することで、第2載置面から第1載置面への移載が行われる。典型的には、鉛直駆動部により第1載置面が第2載置面より高くなるまで移動されることで、荷は、第1載置面によって支持されることとなる。これにより、出庫時における保管庫内搬送が開始される。続いて、載置部が、ポートとして機能する第2載置面が存在する鉛直位置且つ水平位置に移動される。ここでは、鉛直駆動部及び水平駆動部による簡単な2軸動作によって、いずれの第2載置面からでも迅速に保管庫内搬送が可能である。
【0026】
続いて、第1載置面に代わってポートとして機能する第2載置面で支持することで、第1載置面からポートとして機能する第2載置面への移載が行われる。典型的には、鉛直駆動部により第1載置面が第2載置面より低くなるまで移動されることで、荷は、第2載置面によって支持されることとなる。これにより出庫時における保管庫内搬送が終了され、ポートから搬送車への移載が可能な状態となる。
【0027】
その後、既に出入庫用のポートに対面する軌道上位置にて待機していた又は次にこの位置に到着する搬送車によって、このポートから搬送車への移載が行われる。
【0028】
以上の結果、駆動手段により2軸方向に動く載置部という比較的簡単な構成及び簡単な制御によって、保管庫内搬送を実行できる。しかも、搬送車及びポート間で移載を行っている最中に、駆動手段による保管庫内搬送も可能となるので、保管庫内における搬送効率についても飛躍的に向上される。
【0029】
本発明の保管庫付き搬送システムは上記課題を解決するために、上述した本発明に係る保管庫装置(但し、その各種態様を含む)と、前記軌道と、前記搬送車とを備える。
【0030】
本発明の保管庫付き搬送システムによれば、上述した本発明に係る保管庫装置を有するので、複数のコントローラを用いて分散制御を行うと共に補完制御可能とすることによって、保管庫装置或いは搬送システム全体の稼働率を高く維持しつつ、ハードウエア資源の効率的利用を図ると共に経済性を向上させることも可能となる。
【0031】
本発明の作用及び他の利得は次に説明する実施するための最良の形態から明らかにされる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
以下、本発明の実施形態について図を参照しつつ説明する。
<第1実施形態>
【0033】
先ず、第1実施形態に係る保管庫の構成について図1から図3を参照して説明する。ここに図1は、第1実施形態に係る保管庫を備える搬送システムの外観を示す斜視図であり、図2は、図1の保管庫の内部構造を模式的に示す断面図であり、図3は、第1実施形態に係る第1及び第2載置面の、荷に対する係合状態を示す断面図である。
【0034】
図1において、搬送システム100は、レール1、搬送車2、ストッカ10、及びコントローラ20を備える。搬送システム100は、搬送車2を駆動して、レール1上でFOUP3の搬送を行う。レール1は、本発明に係る「軌道」の一例として、搬送車2が走行するための軌道の役割を果たす。
【0035】
搬送車2は、例えばリニアモータにより駆動されるOHT(Overhead Hoist Transport)(天井走行車)であり、ストッカ10や図示しない製造装置、OHTバッファ、大型ストッカ等に、FOUP3を搬送する。搬送車2は、内部に、鉛直方向に移動するホイスト2aを有している。
【0036】
ホイスト2aは、搬送時に、搬送されるFOUP3のフランジ4を、例えば挟持機構により保持する。ホイスト2aは、搬送車2の本体に備えられた、例えば巻き取りベルト及び巻き出しベルト等の昇降機構により、レール1の下方にて鉛直方向に昇降可能に構成されている。ホイスト2aは、ストッカ10との間でFOUP3の出庫又は入庫を行う際に、ストッカ10の出入庫用のポートの上方位置まで移動し、更にポートまで下降した位置にて、フランジ4を保持又は解放する。この下降した位置では、FOUP3の底面が後述の第2載置面(即ちポートの床面)に接触する。
【0037】
図1及び図2に示すように、FOUP3は、本発明に係る「荷」の一例として、ストッカ10内で、搬送車2に対する出入庫、及び保管位置の調整等のために搬送(即ち保管内搬送)される。
【0038】
図3に示すように、FOUP3は、底面に、凹部5及び凹部6を有している。凹部5は、後述の棚15に設けられた凸部16に対応するサイズに形成されている。一方、凹部6は、後述の載置部11に設けられた凸部12に対応するサイズに形成されている。
【0039】
再び図1において、コントローラ20は、例えば半導体素子製造の工程スケジュールに基づいて、搬送車2及びストッカ10に対して、FOUP3の搬送及び出入庫(保管庫内搬送を含む)を指示する。この指示に応答して、搬送車2及びストッカ10が駆動され、搬送車2に搬送されるFOUP3に各種処理が施されることで、半導体素子が製造される。
(保管庫単体)
【0040】
ストッカ10は、本発明に係る「保管庫」の一例として、レール1に隣接して敷設され、FOUP3を複数保管する。
【0041】
図2において、ストッカ10は、載置部11、水平駆動部13、及び鉛直駆動部14から構成される保管庫内搬送装置19、並びに複数の棚15を備える。保管庫内搬送装置19は、本発明に係る「駆動手段」の一例として、不図示のロボットコントローラを備える。ロボットコントローラは、コントローラ20からの指示に応答して、保管庫内搬送装置19の各部を駆動することで、複数の棚15の間でFOUP3を移載する。この移載により、FOUP3が複数の棚15のうち特定の棚(即ち、保管用棚)に載置されることで、FOUP3がストッカ10内に保管される。或いは、後に詳述するように、出入庫用のポートとして機能する棚15まで移載される。
【0042】
載置部11は、複数の棚15の間でFOUP3を移載するために、水平駆動部13により水平一方向に、且つ鉛直駆動部14により鉛直方向に移動される。載置部11は、上面に第1載置面11aを有している。第1載置面11aは、移載時に、FOUP3の底面に接触し、FOUP3をその底側から支持する。第1載置面11aには、支持部材として、凸部12が形成されている。図3(b)に示すように、凸部12は、FOUP3の凹部6に対応するサイズに形成されており、移載時に、この凹部6に係合される。
【0043】
再び図2において、水平駆動部13は、例えば図示しないモータにより、水平一方向に延びる水平ガイド17上で、駆動される。水平駆動部13は、載置部11と連結されており、載置部11を水平ガイド17に沿って、水平一方向D1に往復移動させる。
【0044】
鉛直駆動部14は、例えば図示しないモータにより、鉛直方向に延びる鉛直ガイド18上で、駆動される。鉛直駆動部14には、水平ガイド17の中央部が固定されている。鉛直駆動部14は、この水平ガイド17を鉛直ガイド18に沿って、鉛直方向D2に往復移動させる。この往復移動時に、載置部11は、水平ガイド17の中央部に位置する。このように、載置部11は、水平駆動部13及び鉛直駆動部14により、鉛直方向及び水平一方向の2軸方向に移動される。
【0045】
複数の棚15は、鉛直方向に7段、水平一方向に2列、且つ厚み方向に1列として、合計14個の棚から構成されており、これら14個の棚15の間を載置部11が移動することで、FOUP3の移載が行われる。各棚15は、上面に第2載置面15aを有しており、この第2載置面15aに、FOUP3が載置される。第2載置面15aには、支持部材として、凸部16が形成されている。図3(a)に示すように、凸部16は、FOUP3の凹部5に対応するサイズに形成されており、載置(保管)時に、この凹部5に係合される。
【0046】
再び図2において、14個の棚15のうち1つの棚(言い換えれば、これが有する第2載置面15a)は、搬送車2との間でFOUP3を受け渡しするための、出入庫用のポートとして機能する。ポートに設定される棚15は、最上段に存在する2つの棚のうち一方の棚(図2では、二点鎖線で示されるエリアP1に位置する棚)であり、この上方及び側方に位置するストッカ本体10aは、FOUP3が出入庫可能に開放されている。
【0047】
尚、ポートに設定される棚15だけでなく、この棚15に加えて、エリアP1に移動される載置部11を、ポートとして機能させてもよいし、この載置部11のみを、ポートとして機能させてもよい。この場合、エリアP1に棚15を設置せずに、FOUP3を載置していない載置部11がエリアP1に配置されると、FOUP3が搬送車2から直接入庫される。又は、FOUP3を載置している載置部11がエリアP1に配置されると、FOUP3が搬送車2に直接出庫される。
【0048】
ストッカ10の配置について、ポートに設定される棚15が、レール1の下方に配置される。具体的に、載置部11が移動される水平一方向の方位が、レール1の方位に対して直角に交わる。
【0049】
次に、本実施形態に係る第1及び第2載置面の形体について図4(a)を参照して説明する。ここに図4(a)は、本実施形態に係る載置部の水平一方向への動作状態を示す、平面図である。図4(a)は、具体的には、図2におけるA1−A1断面に相当しており、ストッカ10の最上段に設置される、2列の棚15(第2載置面15a)を示している。
【0050】
図4(a)に示すように、ストッカ10の上面側から視て、第2載置面15aは、馬蹄のようにU字形に形成され、第1載置面11aは、そのU字形の中央を埋める島のように四角形に形成されている。従って、第1及び第2載置面11a,15aは、相互に相補の平面形状を有している。このような第1及び第2載置面11a,15aの間で、FOUP3の移載が行われる。
【0051】
尚、図3及び図4(a)に示した例では、平面的に見て、第1載置面11aの方が、第2載置面15aの内側に位置しており、外径が小さい。しかしながら、逆に、第1載置面11aの方が、第2載置面15aの外側に位置しており、外径が大きくなるように両者は、構成されてもよい。この場合、図4(a)に示される第1及び第2載置面の形体の変形例として、図4(b)に示すように、例えばストッカ30の上面側から視て、第1載置面31aが馬蹄のようにU字形に形成され、第2載置面35aが、そのU字形の中央を埋める島のように四角形に形成されている。このように、上下左右に移動される第1載置面31aを大きくした方が、FOUP3を載置部31に載せての保管庫内搬送の際における安定性が増し、FOUP3の落下防止やガタツキ防止に役立つ。
(保管庫内搬送動作)
【0052】
次に、本実施形態に係る保管庫内の荷の移載、即ち保管庫内搬送の動作について、引き続き図2から図4を参照して説明する。
【0053】
図2及び図4において、搬送車2により入庫され、エリアP1の第2載置面15aに載置されているFOUP3を、同段のもう1つの第2載置面15a(図2及び図4では、エリアP2で示される)に移載する。この場合に、先ず、エリアP3の第2載置面15aへのFOUP3の移載を終えた載置部11(図2では、破線で示される)が、エリアP1の第2載置面15aの直下に移動される。この際、載置部11が、水平駆動部13により水平ガイド17の略中央に移動された後、鉛直駆動部14により鉛直ガイド18に沿って所定の鉛直位置に移動される。この所定の鉛直位置は、エリアP1の第2載置面15aよりも下方である。この後、所定の鉛直位置にある載置部11が、水平駆動部13により水平ガイド17に沿って所定の水平位置(図2では、実線で示される)に移動される。図3(a)に示すように、この所定の水平位置は、FOUP3の凹部6の鉛直下方向に、載置部11の凸部12が存在する位置である。
【0054】
所定の鉛直位置且つ水平位置に移動された載置部11は、鉛直駆動部14により上昇される。この上昇により、第1載置面11aが第2載置部15aの中央を通過して、図3(b)に示すように、第2載置面15aよりも高くなる。この時、エリアP1における凹部5及び凸部16の係合が外れ、第2載置面15aに代わって、第1載置面11aでFOUP3が支持されると共に、載置部11の凸部12及びFOUP3の凹部6が相互に係合されることで、FOUP3が第2載置面15aから第1載置面11aへ移載される。
【0055】
FOUP3が移載された載置部11は、エリアP2の第2載置面15aの直上に移動される。この際、載置部11が、水平駆動部13により水平一方向の所定の水平位置に移動される。この所定の水平位置は、エリアP2の第2載置面15aの凸部16の鉛直上方向に、FOUP3の凹部5が存在する位置である。所定の水平位置に移動された載置部11は、鉛直駆動部14により下降される。この下降により、第1載置面11aがエリアP2の第2載置部15aの中央を通過して、図3(a)に示すように、第2載置面15aよりも低くなる。この時、エリアP2における凸部12及び凹部6の係合が外れ、第1載置面11aに代わって、第2載置面15aでFOUP3が支持されると共に、FOUP3の凹部5及び第2載置面15aの凸部16が相互に係合されることで、FOUP3が第1載置面11aから、エリアP2の第2載置面15aへ移載される。これにより、ポートに設定されるエリアP1から、エリアP2へのFOUP3の移載動作が完了される。尚、この移載工程を逆の順序で行えば、エリアP2からエリアP1への移載動作となる。従って、上述のポートを介する移載動作は、搬送車2及びストッカ10の間でのFOUP3の出入庫動作でもある。
【0056】
このように、本実施形態のストッカ10によれば、鉛直方向及び水平一方向に広がりを持ち、厚み方向については、FOUP3の一個分の厚みに水平駆動部13及び鉛直駆動部14に必要なスペースを含めて、極めて薄く構成される。このため、レール1に沿った比較的小さい隙間にも、配置可能である。また、2軸方向に移動する載置部11が、ポート及び搬送車2の間の出入庫時に不要であり、その出入庫作業の妨げとならないので、簡単な構成により効率良くFOUP3を出入庫すること或いは効率良く保管庫内搬送することが可能である。
【0057】
次に、保管庫の配置について図5を参照して説明する。ここに図5は、第1実施形態に係る保管庫の実用上の配置状態を示す平面図である。
【0058】
図5に示すように、保管庫は、例えば半導体製造工場等の工場内で、軌道に沿って設置された製造装置等の装置間の隙間に、配置される。ストッカ10の厚み方向の寸法は、製造装置9間の隙間に対応するように、設計されている。製造装置9間には、メンテナンス用のスペースS1が設けられている。このスペースS1に、ストッカ10を挿入することで、メンテナンス時を除いて無駄なスペースとも呼べるスペースS1を有効活用する。複数の製造装置9、及びこれら製造装置9間に配置されるストッカ10は、レール1に対して、載置部が移動される水平一方向が直角に交わるように、配置される。
【0059】
尚、図5に示されるストッカ10は、単体で配置されるが、製造装置間の隙間に合せて、複数のストッカを組み合わせてなるストッカセットで配置されてもよい。
<第2実施形態>
【0060】
次に、本発明の第2実施形態として、第1実施形態に係る保管庫を複数組み合わせてなる保管庫セットについて図6を参照して説明する。ここに図6は、本実施形態に係る保管庫セットを備える搬送システムの外観を示す、図1と同趣旨の斜視図である。尚、図6に示される搬送システムにおいて、図1に示される搬送システム100と同等に構成される要素について、同一の番号を付し、その説明を省略する。
【0061】
図6において、搬送システム500は、レール1、搬送車2、及び複数のストッカセット10xを備える。搬送システム500は、図1に示される搬送システム100と同様に、図示しないコントローラにより、搬送車2を駆動して、レール1上でFOUP3の搬送を行う。
【0062】
ストッカセット10xは、6つのストッカ10からなる。各ストッカ10は、図1に示されるストッカ10と同様にして、図示しない載置部を含む保管庫内搬送装置19、及び複数の棚15を備える。保管庫内搬送装置19は、載置部を水平一方向且つ鉛直方向の2軸方向に移動することで、複数の棚15の間でFOUP3を移載する。複数の棚15のうち最上段に位置する一方の棚15(図10では、FOUP3が載置されている棚)は、出入庫用のポートとして機能する。
【0063】
ストッカセット10xを構成する6つのストッカ10は、出入庫用ポートの棚15が、レール1の下方に、且つレール1に沿って一列に並ぶように、配列される。また、各ストッカ10は、載置部が移動される水平一方向の方位が、レール1の方位に対して直角に交わるように、配列される。
(保管庫セットの出入庫動作)
【0064】
第2実施形態に係るストッカセット10x及び搬送車2の間の出入庫の動作について簡単に説明する。
【0065】
図6において、ストッカセット10xの6つのストッカ10が夫々、相異なるFOUP3を保管する場合に、ストッカセット10xに対応するレール1の狭いエリアと、各FOUP3の搬送先とを、搬送車2が往復することで、相異なる6種類のFOUP3の出入庫が可能である。また、この場合に、レール1の上流側に配置される第1ストッカ10に入庫を終えたばかりの搬送車2により、第1ストッカ10より下流側に配置される第2ストッカ10のFOUP3が出庫できる。更に、このストッカセット10xに対して、複数の搬送車2が走行される場合に、6つのストッカ10で同時に、6種類のFOUP2の出入庫作業が可能である。
【0066】
このように、第2実施形態によれば、レール1に沿った比較的小さい隙間にも或いは比較的大きな隙間にも、ストッカ10の数を調整したストッカセット10xが適宜配置されると共に、ポートがレール1に沿って一列に並ぶように、ストッカセット10xを構成する複数のストッカ10が配列される。このため、レール1上を走行する搬送車2により、いずれのポートに対しても、出入庫作業が可能となり、移載効率が顕著に向上する。
<第3実施形態>
【0067】
次に、本発明の第3実施形態として、第1実施形態に係る保管庫、及び第2実施形態に係る保管庫セットを含んでなる保管庫装置を備える搬送システムについて図7を参照して説明する。ここに図7は、第3実施形態に係る搬送システムの構成を示す機能ブロック図である。
【0068】
図7において、搬送システム600は、複数のコントローラ20、MCS(Material Control System)21、OHVC22、及びグループ情報データベース(DB)23を備えており、これらの各部が、有線或いは無線の制御ラインにより、相互に接続されている。搬送システム600では、レール1に沿って敷設される複数のストッカ10等が、制御単位として、複数のグループG1,G2,…に分割されている。図7に示すように、グループG1は、5つのストッカ10が組み合わされてなるストッカセット10xからなる。グループG2は、3つの製造装置9の間に配置される2つのストッカ10からなる。これらストッカ10は夫々、駆動手段を備えている。これらのグループG1,G2‥は夫々、複数のコントローラ20の制御対象であり、少なくとも1つのコントローラ20に割り当てられている。
【0069】
複数のコントローラ20は夫々、割り当てられたグループに対して出入庫の制御、在庫管理、及び棚状態の管理等を行う。典型的に、各コントローラ20は、割り当てられたグループ内のストッカ10と、有線或いは無線の制御ラインで接続されている。具体的に、グループG1が割り当てられた第1コントローラ20aは、5つのストッカ10の各保管庫内搬送装置19と接続されている。グループG2が割り当てられた第2コントローラ20bは、2つのストッカ10の各保管庫内搬送装置19と接続されている。
【0070】
特に本実施形態では、複数のコントローラ20は、いずれかのコントローラに故障又は異常が発生した場合に、故障又は異常が発生したコントローラに代わって、補完制御を行う。補完制御を行うコントローラの組み合わせについて、グループG1を制御する第1コントローラ20a、及びグループG2を制御する第2コントロール20bが、一対をなしている。この場合に、第1コントローラ20aの故障或いは異常時に、第1コントローラ20aが停止状態にされ、第1コントローラ20aの代わりに、第2コントローラ20bがグループG2と併せてグループG1を制御する。
【0071】
MCS21は、異常検出部21a、及び制御経路切替部21bを備え、搬送システム600の各部を統括的に制御する。異常検出部21aは、各グループに1つのモニタリング部24を備える。モニタリング部24は、レール1に沿って設置されており、半導体素子製造の工程スケジュールに基づいて搬送されるFOUP3を、モニタリングする。このモニタリングの結果に基づいて、異常検出部21aは、コントローラ20の故障又は異常を検出する。
【0072】
制御経路切替部21bは、本発明に係る「切替手段」の一例として、異常検出部21aの検出結果に基づいて、複数の切り替えスイッチ25を制御することで、制御ラインを補完制御用に切り替える。複数の切り替えスイッチ25は、1つのコントローラ20とこの1つのコントローラ20に制御されるグループとを接続する制御ライン上に設置されるスイッチ(例えば、切り替えスイッチ25a,25b)、及び補完制御時に組み合わせられる複数のコントローラ20に制御されるグループ間を接続する制御ライン上に設置されるスイッチ(例えば、切り替えスイッチ25ab)からなる。
【0073】
具体的に、異常検出部21aにより、第1コントローラ20aの故障又は異常が検出された場合に、制御経路切替部21bは、第1コントローラ20aとグループG1との間に設置される切り替えスイッチ25aをオフにすると共に、第1及び第2コントローラ20a,20bに制御される2つのグループG1,G2の間の切り替えスイッチ25abをオンにする。これら切り替えスイッチ25a,25abの制御により、制御経路切替部21bは、第1コントローラ20aからグループG1への接続を断ち、第2コントローラ20をグループG1に接続する。この接続により、初期設定される制御ラインを、補完制御用の制御ラインに切り替え、第1コントローラ20aの対になる第2コントローラ20bにより、第1コントローラ20aの補完制御が行われる。
【0074】
OHVC22は、搬送車2を制御して、ストッカ10又は製造装置9との間でFOUP3の出入庫を行う。
【0075】
グループ情報DB23は、各グループを構成するストッカ10、及び各グループを制御するコントローラ20の情報、並びに補完制御で組み合わせられるコントローラ20の情報等を格納している。これらの情報に基づいて、制御経路切替部21bにより、切り替えスイッチ25の制御が行われる。
(補完制御処理)
【0076】
次に、第3実施形態に係る搬送システムの補完制御の処理について図8を参照して説明する。ここで図8は、第3実施形態に係る搬送システムの補完制御の処理を示すフローチャートである。
【0077】
図8において、先ず、MCS21により、初期設定として、レール1に沿って敷設される複数のストッカ10及び製造装置9が、グループG1,G2,‥に分割されると共に、分割されたグループG1,G2,‥が、制御単位として複数のコントローラ20a,20b,‥に割り当てられる。また、複数のコントローラ20の間で、補完制御の組み合わせが設定される(ステップS101)。この設定は、補完制御処理の前提として或いは搬送システムに対して固定的に設定されていてもよいし、本実施形態のように、処理の機会毎の初期設定として適宜に或いは可変に設定されてもよい。これらの情報は、全てグループ情報DB23に格納される。この初期設定の後、実際の搬送システム600の動作としてFOUP3の搬送が開始されると、異常検出部21aにより、モニタリングが開始される(ステップS102)。
【0078】
モニタリングが開始されると、このモニタリングの結果に基づいて、いずれかのコントローラ20の故障又は異常が検出されたか否かが判定される(ステップS103)。この判定の結果、どのコントローラ20についても故障又は異常が検出されない場合に(ステップS103:NO)、全ての搬送が終了したか否かが判定される(ステップS106)。
【0079】
一方、第1コントローラ20aの異常が検出された場合に(ステップS103:YES)、MCS21により、グループ情報DB23から、第1コントローラ20aに割り当てられたグループ(即ち、グループG1)の情報、及び補完制御で組み合わせられる対のコントローラ(即ち、第2コントローラ20b)の情報が取得される(ステップS104)。すると、これらの情報に基づいて、制御経路切替部21bにより、制御ラインが切り替えられることで、初期設定では第1コントローラ20aに接続されるグループG1が、第2コントローラ20bに接続される(ステップS105)。この接続により、第1コントローラ20aの補完制御が行われる。
【0080】
この後、搬送が全て終了したか否かが確認され(ステップS106)、未だ終了しない場合に(ステップS106:NO)、再びコントローラ20の故障又は異常が判定される(ステップS103)。一方、全ての搬送が終了した場合に、モニタリングが終了され(ステップS107)、一連の補完制御処理が終了される。
【0081】
このように、複数のコントローラ20を用いて、グループ単位で分散制御を行うと共に、補完制御を可能とするので、ストッカセット10x或いは搬送システム600全体の稼働率を高く維持しつつ、ハードウエア資源の効率的利用を図ると共に経済性を向上させることができる。
【0082】
本発明は、上述した実施形態に限られるものではなく、請求の範囲及び明細書全体から読み取れる発明の要旨或いは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う保管庫、このような保管庫を複数組み合わせてなる保管庫セット、特にこのような保管庫セットが軌道に沿って敷設される保管庫装置、及びこのような保管庫装置を具備してなる保管庫付き搬送システムもまた本発明の技術的範囲に含まれるものである。例えば上述した実施形態において、移載時に、FOUPを底側から支持するような構成を例にとって説明したが、当該保管庫に対して、FOUPの頂部に設けられたフランジを支持又は保持するような構成を採用してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0083】
【図1】第1実施形態に係る保管庫を備える搬送システムの外観を示す斜視図である。
【図2】第1実施形態に係る保管庫の内部構造を示す断面図である。
【図3】第1実施形態に係る第1及び第2載置面の係合状態を示す断面図である。
【図4】実施形態に係る載置部の水平一方向への動作状態を示す平面図である。
【図5】第1実施形態に係る保管庫の実用上の配置状態を示す平面図である。
【図6】第2実施形態に係る保管庫セットを備える搬送システムの外観を示す斜視図である。
【図7】第3実施形態に係る搬送システムの構成を示す機能ブロック図である。
【図8】第3実施形態に係る搬送システムの補完制御の処理を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0084】
1…レール、2…搬送車(天井走行車)、3…FOUP(荷)、10…ストッカ(保管庫)、10x…ストッカセット、11…載置部(支持部)、13…水平駆動部、14…鉛直駆動部、15…棚、20…コントローラ、21a…異常検出部、21b…制御経路切替部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
軌道上で荷を搬送する搬送車との間で前記荷の出入庫が夫々行われる複数の保管庫が組み合わされてなる保管庫セットが前記軌道に沿って敷設される保管庫装置であって前記複数の保管庫は夫々、
前記荷を水平一方向に往復移動可能であると共に鉛直方向に往復移動可能な駆動手段と、
該駆動手段により移動される荷を収容又は載置可能な棚部分を、前記鉛直方向に複数段に渡って段毎に前記水平一方向に一又は複数有する棚と
を備え、
当該保管庫装置は、少なくとも前記複数の保管庫のうち一又は複数の保管庫からなるグループ毎に前記出入庫を制御すると共に相互に補完制御可能に夫々構成されている複数のコントローラを備える
ことを特徴とする保管庫装置。
【請求項2】
前記複数のコントローラによる制御経路を補完制御用に切り替える切替手段を更に備えることを特徴とする請求項1に記載の保管庫装置。
【請求項3】
前記複数のコントローラのうち一のコントローラの故障又は異常が検出されると、前記切替手段は、前記複数のコントローラのうち他のコントローラにより前記一のコントローラの補完制御を行うように切り替えられることを特徴とする請求項2に記載の保管庫装置。
【請求項4】
前記駆動手段は、
前記荷をその底側から支持可能な第1載置面を有する載置部と、
前記載置部を水平一方向に往復移動可能な水平駆動部と、
前記載置部を鉛直方向に往復移動可能な鉛直駆動部と
を備え、
前記棚は、前記棚部分として、前記段毎に、前記水平駆動部により到達可能な水平位置に一又は複数設けられると共に、前記第1載置面との間で前記荷を相互に移載可能に夫々構成されている第2載置面を有する
ことを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の保管庫装置。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか一項に記載の保管庫装置と、
前記軌道と、
前記搬送車と
を備えることを特徴とする保管庫付き搬送システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−227415(P2009−227415A)
【公開日】平成21年10月8日(2009.10.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−75430(P2008−75430)
【出願日】平成20年3月24日(2008.3.24)
【出願人】(302059274)アシスト テクノロジーズ ジャパン株式会社 (146)
【Fターム(参考)】