説明

充電制御システム

【課題】充電直後に電動車両を走行させる際のバッテリ温度を適切に制御して、電動車両の航続距離を伸ばす。
【解決手段】バッテリ制御装置203によりバッテリ105のSOCを検出し、検出したSOCに基づいて、統合制御装置201により、略一定の電流でバッテリ105を充電する第1充電モードと、略一定の電圧でバッテリ105を充電する第2充電モードとを切り替える。このとき、第2充電モードではバッテリ温度制御装置204により急速冷却制御を行い、第2充電モードにおける冷却装置106の冷却能力が第1充電モードにおける冷却能力よりも高くなるように冷却装置106を制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電動車両に搭載され、外部電源から車載バッテリへの充電電流を制御する電動車両用の充電制御システムに関する。
【背景技術】
【0002】
外部電源から電力を供給可能な電動車両の駆動源には一般に電動モータが使われており、それを駆動するための車載バッテリを電動車両は備えている。車載バッテリは充放電時に発熱し、バッテリ温度が上昇する。しかし、外気温度や運転状況によってはバッテリの発熱量よりも放熱量が大きくなり、バッテリ温度が下降することもある。
【0003】
一般に、バッテリは極低温時や高温時に充放電を行うと劣化してしまうため、充放電に適切なバッテリ温度範囲(充放電許容バッテリ温度範囲)が予め定められている。車載バッテリの充放電時には、そのバッテリ温度が設定された充放電許容バッテリ温度範囲内になるように制御する必要がある。こうしたバッテリ温度の制御方法として、冷却装置や加熱装置を用いて行うものが知られている(特許文献1、2参照)。特許文献1には、充電終了直後、放電時のバッテリ劣化が最も小さくなるバッテリ温度(放電理想バッテリ温度)となるように、充電電流と冷却および加熱装置の出力を制御する手法が開示されている。また、特許文献2には、充電時において、バッテリの定格容量に対する充電されている容量の比率を示す充電深度(SOC:State Of Charge)に応じて目標のバッテリ温度を設定し、バッテリ温度が目標のバッテリ温度となるように冷却および加熱装置の出力を制御する手法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−117727号公報
【特許文献2】特開2007−330008号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に開示される技術では、充電終了時にバッテリを放電バッテリ理想温度にするため、充電終了直後においては制限なくバッテリから放電を開始することができる。しかし、電動車両の走行開始に伴うバッテリの放電電流によって生じる発熱により、走行開始直後に冷却装置を作動させる場合がある。その結果、電動モータの駆動に利用できるエネルギーが減ってしまい、電動車両の航続距離が短くなるという問題が生じる。
【0006】
一方、特許文献2に開示される技術では、バッテリの劣化が最小となる温度をSOCによって設定し、設定した温度となるように冷却および加熱装置を制御する。しかし、充電終了後においてバッテリ温度が低いとは限らず、充電直後に電動車両が走行を開始した場合、バッテリ電力を用いた冷却がすぐに必要になる場合が考えられる。このような場合、冷却装置を作動させることで電動モータの駆動に利用できるエネルギーが減ってしまうため、電動車両の航続距離が短くなるという問題が生じる。
【0007】
本発明は、上記のような事情を鑑みて為された発明であり、充電終了直後に電動車両を走行させる際のバッテリ温度を適切に制御して、電動車両の航続距離を伸ばすことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明による充電制御システムは、電動車両に搭載され、外部電源による車載バッテリの充電を制御する電動車両用の充電制御システムであって、車載バッテリのSOCを検出するSOC検出手段と、車載バッテリのバッテリ温度を検出するバッテリ温度検出手段と、バッテリ温度検出手段により検出されたバッテリ温度に基づいて、所定の冷却能力で車載バッテリを冷却する冷却装置と、所定の加熱能力で車載バッテリを加熱する加熱装置とを制御するバッテリ温度制御手段と、外部電源により車載バッテリを充電する際の充電電流および充電電圧を制御する充電制御手段とを備え、充電制御手段は、SOC検出手段により検出されたSOCに基づいて、充電電流を略一定に制御する第1充電モードと、充電電圧を略一定に制御する第2充電モードとを切り替え、バッテリ温度制御手段は、第2充電モードにおける冷却能力および/または加熱能力が、第1充電モードにおける冷却能力および/または加熱能力よりも高くなるように、冷却装置および加熱装置のいずれか少なくとも一方を制御するものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、充電終了直後に電動車両を走行させる際のバッテリ温度を適切に制御して、電動車両の航続距離を伸ばすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明に係る充電制御システムを搭載した電動車両の概略構成図である。
【図2】第一実施形態に係る充電制御システムの構成図である。
【図3】第一実施形態に係る充電制御システムの制御フローチャートである。
【図4】第一実施形態に係る充電制御システムのバッテリ温度制御充電モードにおける処理を示すフローチャートである。
【図5】第一実施形態に係る充電制御システムの第1充電モードにおける処理を示すフローチャートである。
【図6】第一実施形態に係る充電制御システムのバッテリ温度制御における処理を示すフローチャートである。
【図7】第一実施形態に係る充電制御システムの第2充電モードにおける処理を示すフローチャートである。
【図8】第一実施形態に係る充電制御システムにおけるSOC、充電電流、充電電圧およびバッテリ温度の変化の様子の一例を示すグラフである。
【図9】第二実施形態に係る充電制御システムの第2充電モードにおける処理を示すフローチャートである。
【図10】第二実施形態に係る充電制御システムにおける外気温度とオフセット温度の関係の一例を示すグラフである。
【図11】第二実施形態に係る充電制御システムにおける外気温度とオフセット温度の関係の他の一例を示すグラフである。
【図12】第二実施形態に係る充電制御システムにおけるバッテリ温度の変化の一例を示すグラフである。
【図13】第三実施形態に係る充電制御システムの構成図である。
【図14】第三実施形態に係る充電制御システムにおける外気温度、予測負荷およびオフセット温度の関係の一例を示すグラフである。
【図15】第四実施形態に係る充電制御システムにおける外気温度、予測負荷およびバッテリ温度変化率の関係の一例を示すグラフである。
【図16】第四実施形態に係る充電制御システムにおけるバッテリ温度変化率とオフセット温度の関係の一例を示すグラフである。
【図17】第五実施形態に係る充電制御システムの制御フローチャートである。
【図18】第五実施形態に係る充電制御システムの通常充電モードにおける処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1は、本発明に係る充電制御システムを搭載した電動車両101の構成の概略を示す図である。電動車両101は、駆動輪102に駆動力を出力する走行用のモータ103と、モータ103の駆動力を制御するインバータ104と、インバータ104を介してモータ103に電力を供給するバッテリ105と、バッテリ105を冷却するための冷却装置106と、バッテリ105を加熱するための加熱装置107と、外部電源109から供給される電力を変換してバッテリ105を充電する充電器108と、バッテリ105の温度を測定するバッテリ温度センサ110と、外気温度を測定する外気温度センサ111と、ヘッドライトやパワーステアリングなどの補機112と、これらを制御するための統合制御装置201とを備える。
【0012】
インバータ104は、6個の半導体スイッチング素子を有するインバータ回路として構成されている。これらの半導体スイッチング素子のスイッチングにより、インバータ104はバッテリ105から供給される直流電力を三相交流電力に変換した後に、モータ103の三相コイルに電力を供給する。
【0013】
モータ103には、その回転数を測定するための図示しない回転センサが取り付けられている。この回転センサにより測定されたモータ103の回転数はインバータ104に出力され、インバータ104における各半導体スイッチング素子のスイッチング制御などに利用される。
【0014】
バッテリ105は、充放電可能な2次電池であればどのようなものでも良い。たとえば、ニッケル水素電池やリチウムイオン電池などをバッテリ105として使用することが考えられる。
【0015】
バッテリ105を冷却するための冷却装置106は、その冷却能力を可変にすることのできるものであればどのようなものでも良い。たとえば、電動ファンを備えた空冷または水冷方式の冷却装置、電動ヒートポンプを備えたエアコン、ペルチェ素子等の熱電変換素子などを冷却装置106として用いることが考えられる。あるいは、冷却能力の異なる2種類またはそれ以上の冷却装置106を切り替えて用いてもよい。同様に、バッテリ105を加熱するための加熱装置107は、その加熱能力を可変にすることのできるものであればどのようなものでも良い。たとえば、上記のエアコンや熱電変換素子に加えて、電熱線、電熱線にファンを取り付けたものなどを加熱装置107において用いることが考えられる。あるいは、加熱能力の異なる2種類またはそれ以上の加熱装置107を切り替えて用いてもよい。
【0016】
なお、冷却装置106および加熱装置107は、その冷却能力と加熱能力を消費電力に応じて変化させることができるようにするため、上記のように電力を利用して動作するものを用いることが好ましい。しかし、冷却能力と加熱能力をそれぞれ変化させることができるものであれば、電力以外のエネルギーを利用して動作するものとしてもよい。
【0017】
バッテリ105には、バッテリ105の温度を測定するためのバッテリ温度センサ110と、外気温度を測定するための外気温度センサ111とが取り付けられている。これらの温度を測定するセンサとしては、たとえば熱電対やサーミスタなどを用いることができる。
【0018】
次に、本発明に係る充電制御システムを第一実施形態から第五実施形態に分けて、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0019】
−第一実施形態−
図2は、本発明の第一実施形態に係る充電制御システムの構成を示す図である。この充電制御システムは、統合制御装置201と、インバータ104およびモータ103を制御するためのモータ制御装置202と、バッテリ105を制御するためのバッテリ制御装置203と、冷却装置106および加熱装置107を制御するためのバッテリ温度制御装置204と、補機112を制御するための補機制御装置205と、充電器108を制御するための充電器制御装置206とを有する。これらの各制御装置は、電動車両101内に設けられた通信ネットワーク、たとえばCAN(Controller Area Network)を介して相互に接続されている。
【0020】
図2の充電制御システムにおいて、インバータ104、冷却装置106、加熱装置107、補機112および充電器108は、それぞれバッテリ105と接続されている。これにより、バッテリ105からの電力がインバータ104、冷却装置106、加熱装置107および補機112へ供給される。また、充電器108により変換された外部電源109からの電力がバッテリ105へ供給され、バッテリ105が充電される。
【0021】
統合制御装置201は、他の各制御装置との間でそれぞれ所定の情報を必要に応じて入出力することにより、各制御装置を統合して制御を行う。
【0022】
モータ制御装置202は、統合制御装置201から出力されるトルク指令値や、前述の回転センサによって測定されたモータ103の回転数等の情報を基に、インバータ104に対する電流指令値の算出などを行う。インバータ104は、モータ制御装置202によって算出された電流指令値およびバッテリ105の電圧を基に、各半導体スイッチング素子のスイッチングを制御する。
【0023】
バッテリ制御装置203は、バッテリ105のSOCを周知の方法により検出し、その検出結果を統合制御装置201へ送信する。
【0024】
バッテリ温度制御装置204は、図1のバッテリ温度センサ110を用いて、バッテリ105の温度すなわちバッテリ温度を検出すると共に、図1の外気温度センサ111を用いて外気温度を検出する。バッテリ温度制御装置204において検出されたバッテリ温度および外気温度は、冷却装置106および加熱装置107の制御に用いられると共に、バッテリ温度制御装置204から統合制御装置201へ出力される。
【0025】
補機制御装置205は、統合制御装置201からの指令に基づいて補機112を制御する。
【0026】
充電器制御装置206は、外部電源109から供給される電力を所望の電圧および電流に変換するように充電器108に指令を与えることにより、充電器108からバッテリ105への充電電圧および充電電流を制御する。
【0027】
なお、モータ制御装置202、バッテリ制御装置203、バッテリ温度制御装置204、補機制御装置205および充電器制御装置206は、各々の制御対象とそれぞれ一体化されていてもよい。すなわち、モータ制御装置202はインバータ104と、バッテリ制御装置203はバッテリ105と、バッテリ温度制御装置204は冷却装置106や加熱装置107と、補機制御装置205は補機112と、充電器制御装置206は充電器108とそれぞれ一体化された構成とすることができる。あるいは、これらを別個の構成としてもよい。
【0028】
次に、本発明の第一実施形態に係る充電制御システムの動作、特に外部電源109を用いての充電時の動作について、図3〜8を用いて説明する。
【0029】
電動車両101が外部電源109と接続されると、統合制御装置201において、図3に示す制御フローチャートが実行される。ステップS301において、統合制御装置201は、バッテリ温度制御充電モードを実施する。ここでは、図4のフローチャートに示す処理が実行される。
【0030】
バッテリ温度制御充電モードにおいて、統合制御装置201は、図4に示すように、ステップS401の第1充電モードと、ステップS402の第2充電モードとを順次実行する。ステップS401の第1充電モードは、略一定の電流でバッテリ105を充電する定電流モードである。一方、ステップS402の第2充電モードは、略一定の電圧でバッテリ105を充電する定電圧モードである。
【0031】
初めに、ステップS401の第1充電モードにおける処理を説明する。図5は、第1充電モードにおける処理を示すフローチャートである。
【0032】
ステップS501では、バッテリ制御装置203により、バッテリ105のSOCを検出する。ここでは、統合制御装置201からバッテリ制御装置203に対してSOCの検出指令を出力する。この指令に応じて、バッテリ制御装置203によりバッテリ105のSOCが検出され、検出結果が統合制御装置201へ送信される。
【0033】
ステップS502では、統合制御装置201により、ステップS501で検出したSOCを予め設定されたSOCの目標値(SOC_target)と比較する。その結果、SOCがSOC_target以下の場合はステップS503へ進む。一方、SOCがSOC_targetよりも大きい場合は、図5に示す第1充電モードを終了し、第2充電モードへ移行する。なお、SOC_targetの値は、たとえば本充電制御システムの出荷時に設定される一定の値としてもよい。あるいは、充電開始前または充電中に本充電制御システムの操作者が任意の値を設定できるようにしてもよい。
【0034】
ステップS503では、統合制御装置201により、ステップS501で検出したSOCを予め設定されたSOCのしきい値(SOC_th)と比較する。その結果、SOCがSOC_th以下の場合はステップS504へ進む。一方、SOCがSOC_thよりも大きい場合は、図5に示す第1充電モードを終了し、第2充電モードへ移行する。なお、SOC_thの値は、バッテリ105の特性に応じて設定されることが好ましい。このSOC_thの値は、前述のSOC_targetより大きくても小さくてもよい。あるいは、SOC_targetとSOC_thを同じ値としてもよい。
【0035】
ステップS504では、バッテリ温度制御装置204を駆動してバッテリ温度制御を行う。ここでは、統合制御装置201からバッテリ温度制御装置204に対して、バッテリ温度制御装置204を駆動するための指令を出力する。この指令に応じてバッテリ温度制御装置204が駆動され、冷却装置106と加熱装置107を用いたバッテリ105の温度制御がバッテリ温度制御装置204により行われる。なお、ステップS504におけるバッテリ温度制御の内容については、後で図6のフローチャートにより詳しく説明する。
【0036】
ステップS505では、充電器108により、バッテリ105に対して充電電力を印加する。ここでは、統合制御装置201から充電器制御装置206に対して、定電流モードによる充電を行うための指令を出力する。この指令に応じて、充電器制御装置206は、バッテリ105に流れる充電電流が所定の最大充電電流I_maxとなるように充電器108を制御し、バッテリ105を充電する。なお、最大充電電流I_maxは、バッテリ105の特性に基づいて決定されることが好ましい。
【0037】
ステップS505を実行したらステップS501へ戻り、再びバッテリ制御装置203によりバッテリ105のSOCの検出を行う。以上説明したような処理が実行されることにより、SOC>SOC_targetまたはSOC>SOC_thの関係を満たすまでの間、第1充電モードによるバッテリ105の充電が行われる。
【0038】
次に、ステップS504においてバッテリ温度制御装置204により行われるバッテリ温度制御について説明する。図6は、バッテリ温度制御における処理を示すフローチャートである。
【0039】
ステップS601において、バッテリ温度制御装置204は、バッテリ温度Tすなわちバッテリ105の温度を検出する。ここでは、図1のバッテリ温度センサ110を用いてバッテリ温度Tを検出する。
【0040】
ステップS602において、バッテリ温度制御装置204は、ステップS601で検出したバッテリ温度Tを予め設定された充放電許容バッテリ温度の下限値T_minと比較する。その結果、バッテリ温度TがT_minより小さい場合はステップS603へ進み、ステップS603において加熱装置107を駆動させて通常加熱を行う。これによりバッテリ105が加熱装置107によって加熱され、バッテリ温度Tが上昇する。ステップS603を実行したらステップS601へ戻り、再びバッテリ温度Tを検出する。このようにして、バッテリ温度TがT_min以上となるまでの間、加熱装置107を用いてバッテリ105を加熱する。一方、ステップS602においてバッテリ温度TがT_min以上である場合は、ステップS604へ進む。
【0041】
ステップS604において、バッテリ温度制御装置204は、ステップS601で検出したバッテリ温度Tを予め設定された充放電許容バッテリ温度の上限値T_maxと比較する。その結果、バッテリ温度TがT_maxより大きい場合はステップS605へ進み、ステップS605において冷却装置106を駆動させて通常冷却を行う。これによりバッテリ105が冷却装置106によって冷却され、バッテリ温度Tが下降する。ステップS605を実行したらステップS601へ戻り、再びバッテリ温度Tを検出する。このようにして、バッテリ温度TがT_max以下となるまでの間、冷却装置106を用いてバッテリ105を冷却する。一方、ステップS604においてバッテリ温度TがT_max以下である場合は、図6に示すバッテリ温度制御を終了する。
【0042】
なお、以上説明した充放電許容バッテリ温度の下限値T_minおよび上限値T_maxは、バッテリ105の特性に基づいて決定されることが好ましい。たとえば、バッテリ105の製造メーカ等がバッテリ105の劣化を考慮して、必要な充放電性能を維持できるような充放電許容バッテリ温度の下限値T_minおよび上限値T_maxを予め設定しておき、これをバッテリ温度制御装置204において用いることができる。
【0043】
以上説明したようなバッテリ温度制御が、統合制御装置201からの指令に応じてバッテリ温度制御装置204により行われる。その結果、バッテリ105の温度を表すバッテリ温度TがT_min≦T≦T_maxの関係を満たすように、冷却装置106や加熱装置107がバッテリ温度制御装置204によって制御される。
【0044】
次に、図4のステップS402の第2充電モードにおける処理を説明する。図7は、第2充電モードにおける処理を示すフローチャートである。なお、図7のフローチャートでは、先に説明した図5、6と同じ内容の処理ステップに対しては同一のステップ番号を付与している。
【0045】
ステップS501、S502では、バッテリ制御装置203と統合制御装置201により、それぞれ図5で説明したのと同様の処理を行う。すなわち、バッテリ制御装置203によりバッテリ105のSOCを検出し、検出したSOCを統合制御装置201により前述のSOC_targetと比較する。その結果、SOCがSOC_target以下の場合はステップS601へ進む。一方、SOCがSOC_targetよりも大きい場合は、図7に示す第2充電モードを終了し、バッテリ105の充電を完了する。
【0046】
ステップS601では、バッテリ温度制御装置204により、バッテリ温度Tを検出する。ここでは、統合制御装置201からバッテリ温度制御装置204に対してバッテリ温度Tを検出させるための指令を出力する。この指令に応じて、バッテリ温度制御装置204は、図6で説明したのと同様にバッテリ温度Tを検出する。
【0047】
ステップS701では、バッテリ温度制御装置204により、ステップS601で検出したバッテリ温度Tを前述の充放電許容バッテリ温度下限値T_minと比較する。その結果、バッテリ温度TがT_minより小さい場合はステップS505へ進む。一方、バッテリ温度TがT_min以上である場合はステップS702へ進む。
【0048】
ステップS702では、バッテリ温度制御装置204により、冷却装置106を駆動させて急速冷却制御を行う。このとき、冷却装置106が図6のステップS605における通常冷却の場合よりも高い冷却能力を発揮できるように、冷却装置106の出力を通常冷却時よりも上昇させる。たとえば、前述のように冷却装置106の冷却能力をその消費電力に応じて変化させることができる場合は、通常冷却の場合よりも高い消費電力となるように冷却装置106を動作させる。このようにして、バッテリ温度TがT_minに急速に接近するように冷却装置106を制御する。ステップS702において急速冷却制御を行ったら、ステップS505へ進む。
【0049】
なお、急速冷却制御時に冷却装置106は、予め設定された最大出力等の一定の出力で動作してもよい。あるいは、バッテリ温度T とT_minとの差が大きいほど出力を上げ、より高い冷却能力を発揮するようにしてもよい。通常冷却の場合よりも高い冷却能力である限り、どのような形態で冷却装置106を駆動させてもよい。
【0050】
ステップS505では、充電器108により、バッテリ105に対して充電電力を印加する。ここでは、統合制御装置201から充電器制御装置206に対して、充電を行うための指令を出力する。なお、図5の場合とは異なり、定電圧モードによる充電を充電器制御装置206に対して指示する。この指令に応じて、充電器制御装置206は、バッテリ105に印加される充電電圧が所定の充電電圧Vとなるように充電器108を制御し、バッテリ105を充電する。なお、充電電圧Vは、バッテリ105の特性に基づいて決定されることが好ましい。
【0051】
ステップS505を実行したらステップS501へ戻り、再びバッテリ制御装置203によりバッテリ105のSOCの検出を行う。以上説明したような処理が実行されることにより、SOC>SOC_targetとなるまでの間、バッテリ温度TがT_minとなるように冷却装置106によってバッテリ105が急速冷却され、第2充電モードによるバッテリ105の充電が行われる。
【0052】
以上説明した図3〜7の各制御フローチャートに基づき充電制御システムを用いてバッテリ105を充電したときのSOC、充電電流、充電電圧およびバッテリ温度の変化の様子の一例を図8のグラフに示す。
【0053】
図8の上図は、充電経過時間tに応じてSOCが増加している様子を示している。なお、ここではSOC_th<SOC_targetである場合の例を示している。SOC=SOC_th となるときの充電経過時間をt_thとすると、図8上図に示すように、t<t_thのときには第1充電モード、t≧t_thのときには第2充電モードでバッテリ105がそれぞれ充電される。また、SOC≧SOC_targetとなったときにバッテリ105の充電が終了する。
【0054】
図8の中図は、充電電流および充電電圧の変化の様子を示している。この図に示すように、第1充電モードでは充電電流が変化せず、略一定の値(I_max)となっている。また第2充電モードでは充電電圧が変化せず、略一定の値(V)となっている。
【0055】
図8の下図は、バッテリ温度Tの変化の様子を示している。この図に示すように、第1充電モードにおいてバッテリ温度Tは徐々に上昇している。この間、バッテリ温度制御装置204が行う前述のバッテリ温度制御により、Tmin<T<Tmaxが満たされるように加熱装置107および冷却装置106が制御される。一方、第2充電モードにおいてバッテリ温度Tは急速に低下している。この間、バッテリ温度制御装置204が行う前述の急速冷却制御により、T=T_minとなるように冷却装置106が制御され、バッテリ105が積極的に冷却される。
【0056】
以上説明した第一実施形態によれば、次の(1)、(2)のような作用効果を奏する。
【0057】
(1)バッテリ制御装置203によりバッテリ105のSOCを検出し(図5ステップS501)、検出したSOCに基づいて、統合制御装置201により第1充電モードと第2充電モードとを切り替える(図4ステップS401、S402)。このとき、第2充電モードではバッテリ温度制御装置204により急速冷却制御を行い、第2充電モードにおける冷却装置106の冷却能力が第1充電モードにおける冷却能力よりも高くなるように冷却装置106を制御する(図7ステップS702)。このようにしたので、第2充電モードで充電を行っているときに、バッテリ温度Tを目標とする温度に急速に近づけることができる。その結果、充電終了直後に電動車両101を走行させる際のバッテリ105の温度を適切に制御して、電動車両101の航続距離を伸ばすことができる。
【0058】
(2)第2充電モードにおいて、バッテリ温度制御装置204は、バッテリ温度Tを所定の充放電許容バッテリ温度下限値T_minと比較し(図7ステップS701)、その比較結果に基づいてステップS702の処理を実行する。これにより、バッテリ温度Tが充放電許容バッテリ温度下限値T_minと一致するように冷却装置106を制御する。このようにしたので、充電終了後に電動車両101が走行してバッテリ温度Tが上昇しても冷却装置106を極力使用しないようにすることができる。その結果、冷却装置106による電力消費を抑えて、電動車両101の航続距離をさらに伸ばすことができる。
【0059】
なお、以上説明した第一実施形態によれば、図7のステップS701、702で説明したように、T<T_minである場合は冷却装置106を駆動させず、T≧T_minである場合に冷却装置106を駆動させて急速冷却制御を行い、バッテリ105を急速に冷却するようにした。しかし、バッテリ105の過冷却を防止するため、T≧T_min+α(αは0より大きい任意の値)のときに冷却装置106を駆動させて急速冷却制御を行うようにしてもよい。
【0060】
また、以上説明した第一実施形態では、T<T_minである場合は冷却装置106と加熱装置107のいずれも駆動させない例を説明したが、T<T_minである場合に加熱装置107を駆動させてもよい。この場合、図6のステップS603と同様の通常加熱を加熱装置107において行ってもよい。あるいは、通常加熱の場合よりも高い加熱能力を発揮できるように、その出力を通常加熱時よりも上昇させて動作する急速加熱制御を加熱装置107において行ってもよい。このようにすれば、より確実にバッテリ温度を充放電許容バッテリ温度下限値T_minと一致させることができる。さらにこのとき、バッテリ105の過加熱を防止するため、T<T_min−β(βは0より大きい任意の値)のときに加熱装置107を駆動させるようにしてもよい。
【0061】
−第二実施形態−
次に本発明の第二実施形態に係る充電制御システムについて説明する。本実施形態が前述の第一実施形態と異なるのは、図4のステップS402の第2充電モードにおいて、バッテリ温度Tが充放電許容バッテリ温度下限値T_minではなく、外気温度T_outを考慮した目標バッテリ温度T_targetとなるように制御を行う点である。なお、目標バッテリ温度T_targetは、外気温度T_outによって決まるオフセット温度delta_TをT_minに加えることで求められる。
【0062】
図9は、本発明の第二実施形態に係る充電制御システムにおいて、図7のフローチャートの処理に代えて行われる第2充電モードにおける処理を示すフローチャートである。なお、図9のフローチャートでも図7と同様に、図5、6と同じ内容の処理ステップに対しては同一のステップ番号を付与している。さらに、図7と同じ内容の処理ステップに対しても同一のステップ番号を付与している。
【0063】
ステップS501、S502およびS601では、バッテリ制御装置203、統合制御装置201およびバッテリ温度制御装置204により、それぞれ図5、7で説明したのと同様の処理を行う。すなわち、バッテリ制御装置203によりバッテリ105のSOCを検出し、検出したSOCを統合制御装置201により前述のSOC_targetと比較する。そして、SOCがSOC_target以下の場合は、バッテリ温度制御装置204によりバッテリ温度Tを検出する。一方、SOCがSOC_targetよりも大きい場合は、図9に示す第2充電モードを終了し、バッテリ105の充電を完了する。
【0064】
ステップS901では、バッテリ温度制御装置204により、外気温度T_outを検出する。ここでは、図1の外気温度センサ111を用いて外気温度T_outを検出する。このとき、統合制御装置201からバッテリ温度制御装置204に対して外気温度T_outを検出させるための指令を出力する。この指令に応じて、バッテリ温度制御装置204は外気温度センサ111を用いて外気温度T_outを検出する。検出された外気温度T_outは、バッテリ温度制御装置204から統合制御装置201へ出力される。
【0065】
ステップS902では、統合制御装置201により、ステップS901で検出した外気温度T_outに基づいて、目標バッテリ温度T_targetを算出する。ここでは、外気温度T_outに基づいて、後で説明するようにしてオフセット温度delta_Tを決定し、これを充放電許容バッテリ温度の下限値T_minに加えることにより、目標バッテリ温度T_targetを算出する。算出された目標バッテリ温度T_targetは、統合制御装置201からバッテリ温度制御装置204へ出力される。
【0066】
ステップS903では、バッテリ温度制御装置204により、ステップS601で検出したバッテリ温度TをステップS902で算出した目標バッテリ温度T_targetと比較する。その結果、バッテリ温度TがT_targetより小さい場合はステップS904へ進む。一方、バッテリ温度TがT_target以上である場合はステップS702へ進む。
【0067】
ステップS702では、バッテリ温度制御装置204により、図7で説明したのと同様に、冷却装置106を駆動させて急速冷却制御を行う。これにより、バッテリ温度Tが目標バッテリ温度T_targetに急速に接近するように冷却装置106を制御する。ステップS702において急速冷却制御を行ったら、ステップS904へ進む。
【0068】
ステップS904では、バッテリ温度制御装置204により、ステップS601で検出したバッテリ温度TをステップS902で算出した目標バッテリ温度T_targetと比較する。その結果、バッテリ温度TがT_targetより大きい場合はステップS505へ進む。一方、バッテリ温度TがT_target以下である場合はステップS905へ進む。
【0069】
ステップS905では、バッテリ温度制御装置204により、加熱装置107を駆動させて急速加熱制御を行う。このとき、加熱装置107が図6のステップS603における通常加熱の場合よりも高い加熱能力を発揮できるように、バッテリ温度制御装置204は加熱装置107の出力を通常加熱時よりも上昇させる。たとえば、前述のように加熱装置107の加熱能力をその消費電力に応じて変化させることができる場合は、通常加熱の場合よりも高い消費電力となるように加熱装置107を動作させる。このようにして、バッテリ温度Tが目標バッテリ温度T_targetに急速に接近するように加熱装置107を制御する。ステップS905において急速加熱制御を行ったら、ステップS505へ進む。
【0070】
ステップS505では、充電器108により、バッテリ105に対して充電電力を印加する。ここでは図7の場合と同様に、統合制御装置201から充電器制御装置206に対して、定電圧モードによる充電を行うための指令を出力する。この指令に応じて、充電器制御装置206は充電器108を制御し、バッテリ105を充電する。
【0071】
ステップS505を実行したらステップS501へ戻り、再びバッテリ制御装置203によりバッテリ105のSOCの検出を行う。以上説明したような処理が実行されることで、SOC>SOC_targetとなるまでの間、冷却装置106と加熱装置107によりバッテリ温度TがT_targetとなるようにバッテリ105が急速冷却または急速加熱され、第2充電モードによるバッテリ105の充電が行われる。
【0072】
ここで、ステップS902において外気温度T_outに基づいてオフセット温度delta_Tを決定する方法を述べる。図10は、外気温度T_outとオフセット温度delta_Tの関係の一例を示すグラフである。図10において、横軸は外気温度T_outを表し、縦軸はオフセット温度delta_Tを表している。
【0073】
図10に示すように、外気温度T_outが大きくなるに従って小さくなり、その最大値(上限値)が充放電許容バッテリ温度の上限値T_maxから下限値T_minを減じた値であるT_max−T_min、最小値(下限値)が0となるようなオフセット温度delta_Tの設定値がバッテリ温度制御装置204において予め記憶されている。この設定値に基づいて、ステップS902で検出した外気温度T_outに応じたオフセット温度delta_Tが決定される。すなわち、最大値T_max−T_minから最小値0の間でオフセット温度delta_Tが決定される。
【0074】
または、図11に示すような外気温度T_outとオフセット温度delta_Tの関係に基づいて、外気温度T_outに応じたオフセット温度delta_Tを決定してもよい。図11の例では、外気温度T_outが充放電許容バッテリ温度の下限値T_min以上のときにオフセット温度delta_Tが0となるように設定されている。以上説明した図10、11の各例以外にも、様々な外気温度T_outとオフセット温度delta_Tの関係を利用して、検出された外気温度T_outに応じたオフセット温度delta_Tを決定することができる。
【0075】
なお、図10、11に示した外気温度T_outとオフセット温度delta_Tの関係において、充放電許容バッテリ温度の下限値T_minおよび上限値T_maxは、前述の第一実施形態で説明したのと同様に、バッテリ105の特性に基づいて決定されることが好ましい。すなわち、バッテリ105の劣化等を考慮して、充放電許容バッテリ温度の下限値T_minおよび上限値T_maxを予め設定しておくことができる。
【0076】
以上説明した図9の制御フローチャートに基づき充電制御システムを用いてバッテリ105を充電したときのバッテリ温度の変化の様子の一例を図12のグラフに示す。
【0077】
図12に示すように、第1充電モードにおいてバッテリ温度Tは、図8上図の例と同様にして上昇している。一方、第2充電モードにおいてバッテリ温度Tは、充放電許容バッテリ温度の下限値T_minよりもオフセット温度delta_Tだけ大きい目標バッテリ温度T_targetまで急速に低下している。この間、バッテリ温度制御装置204が急速冷却制御または急速過熱制御を行うことにより、T=T_targetとなるように冷却装置106または加熱装置107が制御され、バッテリ105が積極的に冷却または加熱される。
【0078】
以上説明した第二実施形態によれば、前述の第一実施形態による(1)の作用効果に加えて、さらに次の(3)〜(7)のような作用効果を奏する。
【0079】
(3)第2充電モードにおいて、バッテリ温度制御装置204により外気温度T_outを検出し(図9ステップS901)、検出した外気温度T_outに基づいて、統合制御装置201により目標バッテリ温度T_targetを算出する(図9ステップS902)。そして、バッテリ温度制御装置204により、算出した目標バッテリ温度T_targetとバッテリ温度Tとを比較し(図9ステップS903、S904)、その比較結果に基づいて、冷却装置106を用いた急速冷却制御と加熱装置107を用いた急速加熱制御を行う(図9ステップS702、S905)。このようにしたので、充電終了直後のバッテリ温度Tを外気温度T_outに応じて適切に制御することができる。
【0080】
(4)ステップS902において、統合制御装置201は、外気温度T_outに基づいてオフセット温度delta_Tを決定し、そのオフセット温度delta_Tを充放電許容バッテリ温度下限値T_minに加えることにより、目標バッテリ温度T_targetを算出するようにした。これにより、外気温度T_outに応じて最適な目標バッテリ温度T_targetを容易かつ確実に算出することができる。
【0081】
(5)ステップS902において、統合制御装置201は、所定の充放電許容バッテリ温度上限値T_maxから充放電許容バッテリ温度下限値T_minを減じた値T_max−T_minをオフセット温度delta_Tの最大値とし、0をオフセット温度delta_Tの最小値として、この最大値から最小値の間でオフセット温度delta_Tを決定するようにした。これにより、適切な範囲でオフセット温度delta_Tを決定することができる。
【0082】
(6)充放電許容バッテリ温度の上限値T_maxおよび下限値T_minは、バッテリ105の劣化を考慮して予め設定することができる。統合制御装置201は、これらを用いてステップS902の処理を行うことで、バッテリ105を充電する際に最適なオフセット温度delta_Tを決定することができる。
【0083】
(7)ステップS902において、統合制御装置201は、図10、11に示したような外気温度T_outとオフセット温度delta_Tの関係に基づいて、外気温度T_outが高いほどオフセット温度delta_Tを小さくする。これにより、外気温度T_outが高いほど、より小さな値の目標バッテリ温度T_targetを算出結果として得ることができる。こうして得られた目標バッテリ温度T_targetに基づいてバッテリ温度Tを制御するようにしたので、充電終了後に電動車両101が走行してバッテリ温度Tが変動したときに、冷却装置106や加熱装置107を極力使用しないようにすることができる。すなわち、外気温度T_outが低い場合においては、充電終了直後に電動車両101を走行させてもバッテリ温度Tがあまり上昇しないと考えられるため、目標バッテリ温度T_targetを高くして余分な冷却を防止する。一方、外気温度T_outが高い場合においては、目標バッテリ温度T_targetを低くすることで、電動車両101の走行中に冷却装置106が駆動されてバッテリ105の電力が消費されるのを効果的に抑えることができる。その結果、電動車両101の航続距離をさらに伸ばすことができる。
【0084】
−第三実施形態−
次に本発明の第三実施形態に係る充電制御システムについて説明する。本実施形態が前述の第二実施形態と異なるのは、図9のステップS902において、バッテリ105の予測負荷と外気温度T_outによってオフセット温度delta_Tを決定し、目標バッテリ温度T_targetを算出する点である。
【0085】
図13は、本発明の第三実施形態に係る充電制御システムの構成を示す図である。この充電制御システムは図2のものと比べて、車両周辺情報取得装置1301および情報通信装置1302を備える点と、バッテリ105の予測負荷、外気温度T_outおよびオフセット温度delta_Tの関係を表したLUT(Look Up Table)1303を統合制御装置201内に有する点とが異なる。
【0086】
車両周辺情報取得装置1301は、電動車両101の周辺の道路状況に関する情報を車両周辺情報として取得する装置である。たとえば、電動車両101の現在位置およびその付近における道路の渋滞情報や高低差情報などを、車両周辺情報として取得する。こうした車両周辺情報取得装置1301は、たとえばナビゲーション装置などによって実現することができる。
【0087】
情報通信装置1302は、バッテリ105の予測負荷を求めるために必要な情報を外部から受信するための装置である。たとえば、充電器108に接続された外部電源109から、その設置場所に関する情報を情報通信装置1302において受信する。
【0088】
統合制御装置201は、図9のステップS902において、車両周辺情報取得装置1301により取得された車両周辺情報および情報通信装置1302により受信された情報に基づいて、バッテリ105の予測負荷を推定する。ここでは、たとえば次のようにして、バッテリ105の予測負荷の大小を推定することができる。
【0089】
(a)渋滞情報から予測負荷を求める場合
車両周辺情報取得装置1301において、前述のように電動車両101の現在位置およびその付近における道路の渋滞情報を車両周辺情報として取得した場合、その渋滞情報から予測負荷の大小を推定することができる。たとえば、電動車両101がこれから走行する予定の道路が渋滞しているか否かを渋滞情報に基づいて判断する。その結果、当該道路が渋滞していれば、電動車両101はその道路を徐行すると予想されるため、バッテリ105の予測負荷が小さいものと推定する。これと反対に、当該道路が渋滞していなければ、バッテリ105の予測負荷が大きいものと推定する。
【0090】
(b)高低差情報から予測負荷を求める場合
車両周辺情報取得装置1301において、前述のように電動車両101の現在位置およびその付近における道路の高低差情報を車両周辺情報として取得した場合、その高低差情報から予測負荷の大小を推定することができる。たとえば、電動車両101がこれから走行する予定の道路の高低差を高低差情報に基づいて算出する。その結果、高低差が所定値未満であればバッテリ105の予測負荷が小さいものと推定し、所定値以上であればバッテリ105の予測負荷が大きいものと推定する。
【0091】
(c)外部電源109の設置場所から予測負荷を求める場合
情報通信装置1302により外部電源109の設置場所に関する情報を受信した場合、その情報から予測負荷を推定することができる。たとえば、取得した情報から求められた外部電源109の設置場所が自宅や一般道沿いの充電施設である場合、バッテリ105の予測負荷が小さいものと推定する。一方、外部電源109の設置場所が高速道路のサービスエリアやパーキングエリアである場合、バッテリ105の予測負荷が大きいものと推定する。
【0092】
なお、以上説明した(a)、(b)および(c)の各推定方法はあくまで一例であり、他にも様々な方法でバッテリ105の予測負荷を推定することができる。また、複数種類の方法を組み合わせてバッテリ105の予測負荷を推定してもよい。さらに、上記の各例では予測負荷が大小いずれに該当するかを推定することとしたが、3種類以上の予測負荷の中からいずれに該当するかを推定してもよい。あるいは、予測負荷の度合いを数値化して求めてもよい。
【0093】
以上説明したような方法によりバッテリ105の予測負荷を推定したら、次に統合制御装置201は、その予測負荷およびステップS901で検出した外気温度T_outに基づいて、オフセット温度delta_Tを決定する。ここでは、推定された予測負荷の大きさと外気温度T_outに対応するオフセット温度delta_TをLUT1303から検索し、その検索結果に基づいてオフセット温度delta_Tを決定する。
【0094】
図14は、外気温度T_out、予測負荷およびオフセット温度delta_Tの関係の一例を示すグラフである。図14において、横軸は外気温度T_outを表し、縦軸はオフセット温度delta_Tを表している。また、破線で示すグラフは予測負荷が小さいときの外気温度T_outとオフセット温度delta_Tの関係を表し、実線で示すグラフは予測負荷が大きいときの外気温度T_outとオフセット温度delta_Tの関係を表している。こうした関係を統合制御装置201内にLUT1303として予め記憶しておくことで、これを用いてオフセット温度delta_Tを決定することができる。
【0095】
以上説明した第三実施形態によれば、前述の第一実施形態による(1)の作用効果と、第二実施形態による(3)、(5)および(6)の各作用効果に加えて、さらに次の(8)、(9)のような作用効果を奏する。
【0096】
(8)統合制御装置201は、ステップS902においてバッテリ105の予測負荷を推定し、推定した予測負荷および外気温度T_outに基づいてオフセット温度delta_Tを決定し、そのオフセット温度delta_Tを充放電許容バッテリ温度下限値T_minに加えることにより、目標バッテリ温度T_targetを算出するようにした。これにより、バッテリ105の予測負荷および外気温度T_outに応じて最適な目標バッテリ温度T_targetを容易かつ確実に算出することができる。
【0097】
(9)ステップS902において、統合制御装置201は、図14に示したような外気温度T_out、予測負荷およびオフセット温度delta_Tの関係に基づいて、外気温度T_outが高いほど、また予測負荷が大きいほど、オフセット温度delta_Tを小さくする。これにより、外気温度T_outが高く予測負荷が大きいほど、より小さな値の目標バッテリ温度T_targetを算出結果として得ることができる。こうして得られた目標バッテリ温度T_targetに基づいてバッテリ温度Tを制御するようにしたので、充電終了後に電動車両101が走行し、そのときの外気温度やバッテリ105の負荷に応じてバッテリ温度Tが変動しても、冷却装置106や加熱装置107を極力使用しないようにすることができる。すなわち、外気温度T_outが低く、かつバッテリ105の負荷が小さいと、充電終了直後に電動車両101を走行させてもバッテリ温度Tが低下していく場合が生じる。このような場合、目標バッテリ温度T_targetを高くすることで、電動車両101の走行中に加熱装置107が駆動されてバッテリ105の電力が消費されるのを効果的に抑えることができる。したがって、電動車両101の航続距離をさらに伸ばすことができる。
【0098】
−第四実施形態−
次に本発明の第四実施形態に係る充電制御システムについて説明する。本実施形態が前述の第三実施形態と異なるのは、図9のステップS902において、バッテリ105の予測負荷と外気温度T_outに基づいてバッテリ温度変化率を求め、そのバッテリ温度変化率に応じてオフセット温度delta_Tを決定する点である。ここでいうバッテリ温度変化率とは、与えられた外気温度T_outの条件下でバッテリ105に負荷を与えた際のバッテリ温度変化の傾きである。
【0099】
図15は、外気温度T_out、予測負荷およびバッテリ温度変化率の関係の一例を示すグラフである。図15において、横軸は外気温度T_outを表し、縦軸はバッテリ温度変化率を表している。また、破線で示すグラフは予測負荷が小さいときの外気温度T_outとバッテリ温度変化率の関係を表し、実線で示すグラフは予測負荷が大きいときの外気温度T_outとバッテリ温度変化率の関係を表している。図15に示すように、同じ外気温度T_outにおいては、予測負荷が大きいほどバッテリ温度変化率が大きくなることが分かる。こうした関係を統合制御装置201内にLUT1303として予め記憶しておくことで、これを用いてバッテリ温度変化率を求めることができる。
【0100】
以上説明したような外気温度T_out、予測負荷およびバッテリ温度変化率の関係に基づいてバッテリ温度変化率を求めたら、次に統合制御装置201は、そのバッテリ温度変化率に基づいて、オフセット温度delta_Tを決定する。ここでは、求められたバッテリ温度変化率の大きさに対応するオフセット温度delta_TをLUT1303から検索し、その検索結果に基づいてオフセット温度delta_Tを決定する。
【0101】
図16は、バッテリ温度変化率とオフセット温度の関係の一例を示すグラフである。図16において、横軸はバッテリ温度変化率を表し、縦軸はオフセット温度delta_Tを表している。図16に示すように、バッテリ温度変化率が大きくなるにつれてオフセット温度delta_Tが小さくなり、バッテリ温度変化率が0のときにdelta_T=(T_max-T_min)/2となることが分かる。こうした関係を統合制御装置201内にLUT1303として予め記憶しておくことで、これを用いてオフセット温度delta_Tを決定することができる。
【0102】
以上説明した第四実施形態によれば、前述の第一実施形態による(1)の作用効果と、第二実施形態による(3)および(6)の各作用効果に加えて、さらに次の(10)〜(12)のような作用効果を奏する。
【0103】
(10)統合制御装置201は、ステップS902においてバッテリ105の予測負荷を推定し、推定した予測負荷および外気温度T_outに基づいてバッテリ温度変化率を求め、そのバッテリ温度変化率に基づいてオフセット温度delta_Tを決定し、そのオフセット温度delta_Tを充放電許容バッテリ温度下限値T_minに加えることにより、目標バッテリ温度T_targetを算出するようにした。これにより、外気温度T_outの条件下でバッテリ105に負荷を与えた際のバッテリ温度変化の傾きを考慮して、バッテリ105の予測負荷および外気温度T_outに応じた最適な目標バッテリ温度T_targetを容易かつ確実に算出することができる。
【0104】
(11)ステップS902において、統合制御装置201は、図16に示すように、充放電許容バッテリ温度の上限値T_maxと下限値T_minの中間値である(T_max-T_min)/2をバッテリ温度変化率が0であるときのオフセット温度delta_Tとして、バッテリ温度変化率が正の値であるときはオフセット温度delta_Tがこれよりも小さく、バッテリ温度変化率が負の値であるときはオフセット温度delta_Tがこれよりも大きくなるように、オフセット温度delta_Tを決定するようにした。これにより、適切な範囲でオフセット温度delta_Tを決定することができる。
【0105】
(12)ステップS902において、統合制御装置201は、図15に示したような外気温度T_out、予測負荷およびバッテリ温度変化率の関係に基づいて、外気温度T_outが高いほど、また予測負荷が大きいほど、バッテリ温度変化率を大きくする。これにより、外気温度T_outが高く予測負荷が大きいほど、より大きな値のバッテリ温度変化率を算出結果として得ることができる。こうして得られたバッテリ温度変化率に基づいて目標バッテリ温度T_targetを算出し、バッテリ温度Tを制御するようにしたので、第三実施形態で説明したのと同様に、充電終了後に電動車両101が走行し、そのときの外気温度やバッテリ105の負荷に応じてバッテリ温度Tが変動しても、冷却装置106や加熱装置107を極力使用しないようにすることができる。したがって、電動車両101の航続距離をさらに伸ばすことができる。
【0106】
−第五実施形態−
次に本発明の第四実施形態に係る充電制御システムについて説明する。本実施形態が前述の第一〜第四実施形態と異なるのは、統合制御装置201において、図3に示す制御フローチャートに代えて図17に示す制御フローチャートを実行する点である。
【0107】
電動車両101が外部電源109と接続されると、統合制御装置201において、図17に示す制御フローチャートが実行される。ステップS1501において、統合制御装置201は、充電終了直後に電動車両101が走行を開始するか否かを判定する。充電終了直後に走行開始する場合はステップS301へ進み、しない場合はステップS1502へ進む。
【0108】
ステップS1501の判定は、たとえば本充電制御システムの操作者による操作の結果に応じて行うことができる。すなわち、操作者からの指示情報を取得し、これに基づいて操作者が電動車両101に対して充電終了直後の走行開始を指示したか否かを判断することにより、ステップS1501を肯定または否定判定する。
【0109】
また、前述の第三または第四実施形態において説明したように、本充電制御システムが車両周辺情報取得装置1301と情報通信装置1302を有している場合、これらによって得られた情報に基づいてステップS1501の判定を行ってもよい。たとえば、車両周辺情報取得装置1301により、充電開始時の電動車両101の位置情報を車両周辺情報として取得し、これに基づいて電動車両101が充電開始時に高速道路のサービスエリアやパーキングエリア内にいるか否かを判断する。その結果、電動車両101が高速道路のサービスエリアやパーキングエリア内にいる場合はステップS1501を肯定判定し、それ以外の場所にいる場合はステップS1501を否定判定する。
【0110】
あるいは、情報通信装置1302により外部電源109の設置場所に関する情報を受信し、これに基づいて外部電源109が高速道路のサービスエリアやパーキングエリアに設置されているか否かを判断する。その結果、外部電源109が高速道路のサービスエリアやパーキングエリアに設置されている場合はステップS1501を肯定判定し、それ以外の場所に設置されている場合はステップS1501を否定判定する。
【0111】
なお、電動車両101が充電終了直後に走行を開始する可能性が高いと考えられる場所であれば、判定対象とする電動車両101の位置や外部電源109の設置場所は、上記のように高速道路のサービスエリアやパーキングエリアに限定されない。たとえば、自宅以外の場所に設置されている充電施設を全て判定対象としてステップS1501の判定を行ってもよい。
【0112】
以上説明した例以外にも様々な方法を用いてステップS1501の判定を行うことができる。たとえば、電動車両101に搭載されたナビゲーション装置において目的地までの経路が設定されており、その経路の途中で充電が開始された場合はステップS1501を肯定判定してもよい。
【0113】
ステップS1501を肯定判定した場合、統合制御装置201はステップS301において、他の実施形態と同様に図4のフローチャートに示すバッテリ温度制御充電モードを実施する。これにより、ステップS401の第1充電モードと、ステップS402の第2充電モードとを順次実行する。
【0114】
一方、ステップS1501を否定判定した場合、統合制御装置201はステップS1502において、通常充電モードを実施する。ここでは、図18のフローチャートに示す処理が実行される。
【0115】
ステップS501、S502では、バッテリ制御装置203と統合制御装置201により、それぞれ図5、7および9で説明したのと同様の処理を行う。すなわち、バッテリ制御装置203によりバッテリ105のSOCを検出し、検出したSOCを統合制御装置201によりSOC_targetと比較する。その結果、SOCがSOC_target以下の場合はステップS505へ進み、SOC_targetより大きい場合は図18に示す通常充電モードを終了してバッテリ105の充電を完了する。
【0116】
ステップS505では、充電器108により、バッテリ105に対して充電電力を印加する。ここでは、統合制御装置201から充電器制御装置206に対して、充電を行うための指令を出力する。このとき、SOC<SOC_thであれば定電流モードによる充電を行い、SOC≧SOC_thであれば定電圧モードによる充電を行うことが好ましい。すなわち、SOCがSOC_th未満のときは、バッテリ105に流れる充電電流が最大充電電流I_maxとなるように充電器108を制御してバッテリ105を充電し、SOCがSOC_th以上のときは、バッテリ105に印加される充電電圧が所定の充電電圧Vとなるように充電器108を制御してバッテリ105を充電する。
【0117】
ステップS505を実行したらステップS501へ戻り、再びバッテリ105のSOCの検出を行う。以上説明したような処理が実行されることにより、SOC>SOC_targetとなるまでの間、通常充電モードによるバッテリ105の充電が行われる。
【0118】
以上説明した第五実施形態によれば、前述の各実施形態による(1)〜(12)の作用効果に加えて、さらに次の(13)、(14)のような作用効果を奏する。
【0119】
(13)統合制御装置201は、バッテリ105の充電終了直後に電動車両101が走行を開始するか否かを判定する(図17ステップS1501)。充電終了直後に走行開始すると判定された場合、ステップS301において図4のバッテリ温度制御充電モードを実施する。このときはバッテリ温度制御装置204により、バッテリ105の充電中に冷却装置106と加熱装置107を制御して、バッテリ105を冷却および加熱する。一方、充電終了直後に走行開始しないと判定された場合、ステップS1502において図18の通常充電モードを実施する。このときはバッテリ温度制御装置204を動作させず、バッテリ105の充電中に冷却装置106によるバッテリ105の冷却および加熱装置107によるバッテリ105の加熱のいずれも行わないようにした。このようにして、充電直後に電動車両101を走行させない場合はバッテリ105の温度制御を行わないようにしたので、冷却や加熱に要する無駄な電力消費を防ぐことができる。
【0120】
(14)統合制御装置201は、操作者からの指示情報、車両周辺情報取得装置1301による電動車両101の位置情報、および情報通信装置1302による外部電源109の設置場所に関する情報のいずれか少なくとも一つを取得することができる。こうして取得された情報に基づいて、統合制御装置201はステップS1501において、バッテリ105の充電終了直後に電動車両101が走行を開始するか否かを判定することができる。このようにすれば、充電終了直後に電動車両101が走行を開始するか否かを確実に判定することができる。
【0121】
なお、以上説明した各実施形態において、冷却装置106と加熱装置107のいずれか一方のみを使用して、冷却制御と急速冷却制御、または加熱制御と急速加熱制御のいずれか一方の組み合わせのみを行うこととしてもよい。その場合も前述の各実施形態と同様に、第2充電モードにおける冷却装置106の冷却能力または加熱装置107の加熱能力が、第1充電モードにおける冷却能力または加熱能力よりも高くなるように、バッテリ温度制御装置204によって冷却装置106または加熱装置107を制御するようにする。
【0122】
以上の説明はあくまで一例であり、本発明は上記の各実施形態の構成に何ら限定されるものではない。
【符号の説明】
【0123】
101 電動車両
102 駆動輪
103 モータ
104 インバータ
105 バッテリ
106 冷却装置
107 加熱装置
108 充電器
109 外部電源
110 バッテリ温度センサ
111 外気温度センサ
112 補機
201 統合制御装置
202 モータ制御装置
203 バッテリ制御装置
204 バッテリ温度制御装置
205 補機制御装置
206 充電器制御装置
1301 車両周辺情報取得装置
1302 情報通信装置
1303 ルックアップテーブル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電動車両に搭載され、外部電源による車載バッテリの充電を制御する電動車両用の充電制御システムであって、
前記車載バッテリのSOCを検出するSOC検出手段と、
前記車載バッテリのバッテリ温度を検出するバッテリ温度検出手段と、
前記バッテリ温度検出手段により検出されたバッテリ温度に基づいて、所定の冷却能力で前記車載バッテリを冷却する冷却装置と、所定の加熱能力で前記車載バッテリを加熱する加熱装置とを制御するバッテリ温度制御手段と、
前記外部電源により前記車載バッテリを充電する際の充電電流および充電電圧を制御する充電制御手段とを備え、
前記充電制御手段は、前記SOC検出手段により検出されたSOCに基づいて、前記充電電流を略一定に制御する第1充電モードと、前記充電電圧を略一定に制御する第2充電モードとを切り替え、
前記バッテリ温度制御手段は、前記第2充電モードにおける前記冷却能力および/または前記加熱能力が、前記第1充電モードにおける前記冷却能力および/または前記加熱能力よりも高くなるように、前記冷却装置および前記加熱装置のいずれか少なくとも一方を制御することを特徴とする充電制御システム。
【請求項2】
請求項1記載の充電制御システムにおいて、
前記バッテリ温度制御手段は、前記第2充電モードにおいて、前記バッテリ温度が所定の充放電許容バッテリ温度下限値と一致するように、前記冷却装置および前記加熱装置のいずれか少なくとも一方を制御することを特徴とする充電制御システム。
【請求項3】
請求項1記載の充電制御システムにおいて、
外気温度を検出する外気温度検出手段と、
前記外気温度検出手段により検出された外気温度に基づいて目標バッテリ温度を算出する目標バッテリ温度算出手段とをさらに備え、
前記バッテリ温度制御手段は、前記第2充電モードにおいて、前記バッテリ温度が前記目標バッテリ温度と一致するように、前記冷却装置および前記加熱装置のいずれか少なくとも一方を制御することを特徴とする充電制御システム。
【請求項4】
請求項3記載の充電制御システムにおいて、
前記目標バッテリ温度算出手段は、前記外気温度に基づいてオフセット温度を決定し、該オフセット温度を所定の充放電許容バッテリ温度下限値に加えることにより、前記目標バッテリ温度を算出することを特徴とする充電制御システム。
【請求項5】
請求項4記載の充電制御システムにおいて、
前記目標バッテリ温度算出手段は、所定の充放電許容バッテリ温度上限値から前記充放電許容バッテリ温度下限値を減じた値を前記オフセット温度の最大値とし、0を前記オフセット温度の最小値として、前記最大値から前記最小値の間で前記オフセット温度を決定することを特徴とする充電制御システム。
【請求項6】
請求項5記載の充電制御システムにおいて、
前記充放電許容バッテリ温度上限値および前記充放電許容バッテリ温度下限値は、前記車載バッテリの劣化を考慮して予め設定されることを特徴とする充電制御システム。
【請求項7】
請求項4〜6いずれか一項記載の充電制御システムにおいて、
前記目標バッテリ温度算出手段は、前記外気温度が高いほど、前記オフセット温度を小さくすることを特徴とする充電制御システム。
【請求項8】
請求項3記載の充電制御システムにおいて、
前記車載バッテリの予測負荷を推定する予測負荷推定手段をさらに備え、
前記目標バッテリ温度算出手段は、前記予測負荷および前記外気温度に基づいてオフセット温度を決定し、該オフセット温度を所定の充放電許容バッテリ温度下限値に加えることにより、前記目標バッテリ温度を算出することを特徴とする充電制御システム。
【請求項9】
請求項8記載の充電制御システムにおいて、
前記目標バッテリ温度算出手段は、所定の充放電許容バッテリ温度上限値から前記充放電許容バッテリ温度下限値を減じた値を前記オフセット温度の最大値とし、0を前記オフセット温度の最小値として、前記最大値から前記最小値の間で前記オフセット温度を決定することを特徴とする充電制御システム。
【請求項10】
請求項9記載の充電制御システムにおいて、
前記充放電許容バッテリ温度上限値および前記充放電許容バッテリ温度下限値は、前記車載バッテリの劣化を考慮して決定されることを特徴とする充電制御システム。
【請求項11】
請求項8〜10いずれか一項記載の充電制御システムにおいて、
前記目標バッテリ温度算出手段は、前記外気温度が高く、前記予測負荷が大きいほど、前記オフセット温度を小さくすることを特徴とする充電制御システム。
【請求項12】
請求項3記載の充電制御システムにおいて、
前記車載バッテリの予測負荷を推定する予測負荷推定手段をさらに備え、
前記目標バッテリ温度算出手段は、前記予測負荷および前記外気温度に基づいて前記車載バッテリのバッテリ温度変化率を求め、該バッテリ温度変化率に基づいてオフセット温度を決定し、該オフセット温度を所定の充放電許容バッテリ温度下限値に加えることにより、前記目標バッテリ温度を算出することを特徴とする充電制御システム。
【請求項13】
請求項12記載の充電制御システムにおいて、
前記目標バッテリ温度算出手段は、所定の充放電許容バッテリ温度上限値と前記充放電許容バッテリ温度下限値との中間値を前記バッテリ温度変化率が0であるときの前記オフセット温度として、前記バッテリ温度変化率が正の値であるときは前記オフセット温度が前記中間値よりも小さく、前記バッテリ温度変化率が負の値であるときは前記オフセット温度が前記中間値よりも大きくなるように、前記オフセット温度を決定することを特徴とする充電制御システム。
【請求項14】
請求項13記載の充電制御システムにおいて、
前記充放電許容バッテリ温度上限値および前記充放電許容バッテリ温度下限値は、前記車載バッテリの劣化を考慮して予め設定されることを特徴とする充電制御システム。
【請求項15】
請求項12〜14いずれか一項記載の充電制御システムにおいて、
前記目標バッテリ温度算出手段は、前記外気温度が高く、前記予測負荷が大きいほど、前記バッテリ温度変化率を大きくすることを特徴とする充電制御システム。
【請求項16】
請求項1〜15いずれか一項記載の充電制御システムにおいて、
前記車載バッテリの充電終了直後に前記電動車両が走行を開始するか否かを判定する充電終了直後走行判定手段をさらに備え、
前記バッテリ温度制御手段は、
前記充電終了直後走行判定手段により前記車載バッテリの充電終了直後に前記電動車両が走行を開始すると判定された場合には、前記車載バッテリの充電中に前記冷却装置および/または前記加熱装置を制御して前記車載バッテリを冷却および/または加熱し、
前記充電終了直後走行判定手段により前記車載バッテリの充電終了直後に前記電動車両が走行を開始しないと判定された場合には、前記車載バッテリの充電中に前記冷却装置による前記車載バッテリの冷却および前記加熱装置による前記車載バッテリの加熱のいずれも行わないことを特徴とする充電制御システム。
【請求項17】
請求項16記載の充電制御システムにおいて、
操作者からの指示情報、前記電動車両の位置情報、および前記外部電源の設置場所に関する情報のいずれか少なくとも一つを取得する情報取得手段をさらに備え、
前記充電終了直後走行判定手段は、前記情報取得手段により取得された情報に基づいて、前記車載バッテリの充電終了直後に前記電動車両が走行を開始するか否かを判定することを特徴とする充電制御システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2012−16078(P2012−16078A)
【公開日】平成24年1月19日(2012.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−147415(P2010−147415)
【出願日】平成22年6月29日(2010.6.29)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】