説明

光モジュール

【課題】光モジュールの筐体を構成する放熱カバーの放熱接触面と、光サブアセンブリを構成するセラミックパッケージの背面の放熱面部とが、簡単で安価な構造で熱的に結合され、効果的に放熱することができる光モジュールを提供する。
【解決手段】光電変換素子が実装された光サブアセンブリ21」、電気信号の授受を行う電子部品群が実装されている回路基板15を、放熱カバー11により覆った光モジュールであって、少なくとも発光素子が実装される光サブアセンブリ21がセラミックパッケージ22で形成され、放熱カバー11の放熱接触面11bと直交するパッケージの背面の放熱面部25に、弾性部材17により放熱ブロック16が押圧接触され、且つ放熱ブロック16と放熱カバー11の放熱接触面とが熱結合されている

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光通信のための光サブアセンブリを備えた光モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
光通信に用いられる光モジュールは、光信号を送信する送信用光サブアセンブリ(TOSA:Transmitter Optical Sub-Assembly)、光信号を受信する受信用光サブアセンブリ(ROSA:Receiver Optical Sub-Assembly)、または、光信号を送受信する構成を持つ送受信用光サブアセンブリ等の光サブアセンブリを、多数の電子部品を実装した回路基板と共にハウジング内に搭載して構成される。この場合、送受信の双方の機能を備えるものは、一般に光トランシーバとも言われている。
【0003】
光モジュールを構成する光サブアセンブリには、光通信のための発光素子、受光素子等の光電変換素子が実装されている。これらの光電変換素子のうちで、大きな発熱を伴う素子、あるいは温度制御を必要とする素子に対しては、放熱機構が必要とされる。このための放熱機構として、例えば、特許文献1には、発熱部品の熱を放熱シートと放熱ブロックにより、金属製カバーに伝えて放熱することが開示されている。また、特許文献2には、TOSA、ROSAからの熱を伝熱シートと放熱部材を介して外装用の金属製カバーの内壁面に接触させて、放熱することが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第3922152号公報
【特許文献2】特開2007−227707号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
図12は、従来の放熱機構を模式的に示した図で、TOSA等の光サブアセンブリ101を回路基板105と共に、上部カバー102と下部カバー103からなる筐体内に搭載した例を示している。光サブアセンブリ101は、発熱部品(例えば、レーザダイオードを用いた発光素子)が実装されるパッケージ部101a、回路基板への配線のための端子部101b、光ファイバとの接続のためのスリーブ部101cからなる。端子部101bには、フレキシブル回路基板(FPC)104が接続され、リジッドな回路基板105に電気的に接続される。
【0006】
発熱部品が実装されたパッケージ部101a内の熱は、パッケージ側面と金属製の上部カバー102の放熱接触面102aまたは下部カバー103の放熱接触面103aとの間に、熱伝導性の良い伝熱シート(または、放熱シート)106aまたは106bを介在させて熱結合させることにより、放熱することができる。この場合、パッケージ部101aの放熱面と上下部カバーの放熱接触面102a,103bは平行になっている。
【0007】
しかしながら、近年、より小さくて安価な矩形状のセラミック枠を積層したセラミックパッケージの開発が進められている。このセラミックパッケージを用いた光サブアセンブリはその構造上、外部への放熱面が、信号光の送受側を前面とするとパッケージの背面側となる。このため、パッケージの放熱面が上下部カバーの放熱接触面と平行とならず、従来のように伝熱シートを介して熱結合することが難しいという問題がある。
【0008】
本発明は、上述した実情に鑑みてなされたもので、光モジュールの筐体を構成する放熱カバーの放熱接触面と、光サブアセンブリを構成するセラミックパッケージの背面の放熱面部とが、簡単で安価な構造で熱的に結合され、効果的に放熱することができる光モジュールの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明による光モジュールは、光電変換素子が実装された光サブアセンブリ、電気信号の授受を行う電子部品群が実装されている回路基板を、放熱カバーにより覆った光モジュールであって、少なくとも発光素子が実装される光サブアセンブリがセラミックパッケージで形成され、放熱カバーの放熱接触面と直交するパッケージの背面の放熱面部に、弾性部材により放熱ブロックが押圧接触され、且つ放熱ブロックと放熱カバーの放熱接触面とが熱結合されていることを特徴とする。
【0010】
また、放熱ブロックと放熱カバーの放熱接触面とは、伝熱シートまたは放熱ゲルを介して熱結合させるようにしてもよい。
なお、セラミックパッケージの背面に電子冷却器を搭載して、発熱素子の温度調節を行うようにする。また、放熱ブロックを放熱カバーの放熱接触面と直交する方向に摺動可能とすることで、製造誤差を吸収できるようにし、弾性部材は、金属板で形成されセラミックパッケージに着脱可能に係着する。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、光モジュール筐体を構成する放熱カバーの放熱接触面と光サブアセンブリを構成するセラミックパッケージの背面の放熱面部とが、互いに直交していても、放熱ブロックを介して容易に熱的に結合させることができる。この結果、セラミックパッケージ内で発生する熱を放熱カバーに効果的に伝熱させて放熱させることが可能となる。また、このための放熱ブロック、弾性部材は簡単な形状で安価な材料で形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明が適用される光モジュールの一例を示す図である。
【図2】図1の光モジュールの放熱カバー(上部カバー)を外した状態を示す図である。
【図3】本発明の特徴部分の一例を説明する図である。
【図4】本発明の特徴部分の他の例を説明する図である。
【図5】本発明の特徴部分のその他の例を説明する図である。
【図6】本発明に用いる光サブアセンブリ(TOSA)の一例を説明する図である。
【図7】図6の光サブアセンブリの外観を示す図である。
【図8】光モジュールに搭載される、TOSAとROSAの一例を示す図である。
【図9】本発明に用いる放熱ブロックと弾性部材の組付けを説明する図である。
【図10】本発明に用いる放熱ブロックの一例を説明する図である。
【図11】本発明に用いる弾性部材の一例を説明する図である。
【図12】従来技術を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図により、本発明の実施の形態を説明する。本発明による光モジュールは、例えば、図1に一例として示すような形状の光トランシーバ10に適用することができる。この光トランシーバ10は、後述する光電変換素子が実装されたTOSA、ROSAおよび電気信号の伝送・制御等を行う電子部品群が搭載された回路基板を、上部カバー(放熱カバー)11と下部カバー12により覆って構成される。
【0014】
上部カバー11および下部カバー12は、光トランシーバの筐体を兼ね、金属製とすることにより内部に搭載される発熱部品の放熱体としての機能を備える。特に、上部カバーには放熱フィン11aを設けて、放熱性能を高めるようにしている。上下部カバー11,12の前部には、ホスト装置の挿着口を塞ぐようにして取付けるためのフランジ部13を有し、また、光コネクタを装着するレセプタクル部14を備えている。上下部カバー11,12の後部には、回路基板の後端に形成された電気コネクタ部15aが突き出ていて、ホスト装置との電気接続に供される。
【0015】
図2は、図1の上部カバー11を取り外した状態の図で、光トランシーバ10の概略を示している。下部カバー12には、回路基板15が搭載され、光電変換や電気信号の授受のための電子部品群やIC19等が実装されている。下部カバー12の前部側には、光信号を送信するTOSA21および光信号を受信するROSA31が搭載され、フレキシブル回路板27,34を介して、回路基板15に電気的に接続されている。
【0016】
光トランシーバ10を構成する部品の中で、主な発熱部品としては、後述するTOSA21内に実装される発光素子(例えば、レーザダイオード)と、回路基板15上に実装されるIC19とがある。本発明においては、特に、TOSA21からの発熱を効果的に放熱するための放熱機構を提供することにあり、その概略としては、TOSA21のセラミックパッケージ(以下、単にパッケージ部という)に弾性部材17を用いて放熱ブロック16を熱的に密着させている。そして、放熱ブロック16と放熱カバーとを直接接触させるか、伝熱シートや伝熱ゲルを介して、TOSA21からの熱を放熱カバーに伝熱させる。
【0017】
図3〜5は、上述したTOSA21の放熱機構を説明する図で、部分断面で示してある。TOSA21の詳細は次の図6〜図8で説明するが、パッケージ部22にジョイントスリーブ23を介してスリーブ24を結合して構成される。この構成のTOSAでは、パッケージ部22内の熱は、パッケージ側面ではなくパッケージ背面から放熱させる構成となる。このため、放熱カバー11の内壁面(放熱接触面)11bとパッケージ背面の放熱面部25とは平行ではなく、直交する形態となる。
【0018】
本発明においては、放熱ブロック16をTOSA21のパッケージ背面の放熱面部25に弾性部材17を用いて熱的に接触させる。すなわち、TOSA21の軸方向に放熱ブロック16を配し、例えば、図3に示すように、放熱カバー11の放熱接触面11bに平行となる放熱ブロック16の上面を直接接触させる。放熱ブロック16は、後述する弾性部材17により、パッケージ背面の放熱面部25に押圧されて熱的に結合される。この構成により、パッケージ部22内で発生する熱は、放熱ブロック16と放熱カバー11の放熱接触面との接触部18により放熱カバー11に伝熱され、外部に放熱することができる。
【0019】
放熱ブロック16は、アルミニウムや銅などの金属、または窒化アルミなどのセラミック等の熱伝導性の良い材料で形成される。この放熱ブロック16と熱的に接触する放熱カバー11は、アルミニウムや銅などの金属で形成されるが、直接接触させる構成とすることにより、部品点数が少なくすることができ、部品の管理が容易で、組み立て工程の簡素化を図ることができる。しかし、放熱ブロック16と放熱カバー11の接触面が粗いと、熱接触面間に空気の層が入り熱伝導率が低下するので、面精度を管理する必要がある。また、金属面同士の接触を確保するための厳密な寸法管理が必要とされる。
【0020】
図4は、放熱ブロック16と放熱カバー11を伝熱シート18aを介して、熱的に結合する例である。伝熱シート18は、例えば、エラストマのような弾性を有するシリコーンゴムに、金属やセラミック粒子等の熱伝導性の微粒子を混入して熱伝導率を高めた弾力性を有する樹脂シートで形成される。伝熱シート18は、放熱ブロック16と放熱カバー11の放熱接触面11b間の凹凸のある空隙を埋めるように弾性変形し、上記の放熱ブロック16と放熱カバー11を直接接触させるときの難点を補ってTOSA21からの熱を放熱カバー11に良好に伝熱させることができる。ただ、放熱シートは金属材に比べて熱伝導率が低いので、厚みが厚いと放熱性が低下する。
【0021】
図5は、放熱ブロック16と放熱カバー11を伝熱ゲル18bを介して、熱的に結合する例である。伝熱ゲル18bは、半固体で柔軟性がよく、厚みを薄くすることが可能で良好な熱伝導性を確保することができる。また、構成部品の寸法公差を容易に吸収することができ、構成部品にストレスを与えないという利点がある。しかし、図3の直接接触や図4の伝熱シートと比較すると、塗布量の管理等で取り扱いが容易でなく、また、一度付与されると取り除くことが容易でなく、分解、掃除等に工数を要する。
【0022】
なお、図3〜5に示すように、TOSA21は、スリーブ24の部分を放熱カバー11と下部カバー12で保持固定し、軸方向位置に対する位置決めがされる。TOSA21は軸方向の調心が行われるので、製品ごとにパッケージ部22の位置にバラツキがあるが、放熱ブロック16はパッケージ背面を基準面として結合されるので、パッケージ部22の軸方向の位置変動に追従し、軸方向位置に関係なく取付けることができる。また、放熱ブロック16は、矢印aで示す上下方向(放熱カバーに接離する方向)に移動可能とすることにより、組付けや製造誤差を吸収して、良好な熱結合を確保することができる。
【0023】
図6〜図8は、本発明で使用されるTOSA21の一例で、複数の矩形状のセラミック枠を積層してなるパッケージ部22に、ジョイントスリーブ23を介して、光ファイバとの光結合を形成するためのスリーブ24を結合して構成される。TOSA21のパッケージ部22は、図6の破断面図で示すように、複数の矩形状セラミック枠を積層して側壁部22aを形成し、その一部は外部回路との電気接続を形成する端子部22bとされ、背面に底壁として金属板を用い放熱面部25としている。側壁部22aの上部には、補助壁22c介してジョイントスリーブ23と嵌合連結する連結部22dが設けられている。
【0024】
パッケージ部22の底壁を形成する放熱面部25には、ペルチェ素子等の電子冷却装置(TEC)26が実装され、発熱電極側が放熱面部25に接合される。TEC26の吸熱電極側には、発熱部品であるレーザダイオード(LD)等が実装され、LDの動作温度が調整制御される。なお、パッケージ部22内には、LDの他にLDの発光状態をモニタするフォトダイオード、LDからの信号光を集光して光ファイバに光結合させるための集光レンズ等が実装されている。
【0025】
ジョイントスリーブ23は、パッケージ部22とスリーブ24とを調心して連結するためのものである。パッケージ部22とは、連結部22dの筒状の嵌合部分において矢印Zで示す軸方向に対する調心が行われる。スリーブ24とは、矢印XY方向の調心で、スリーブ端の面方向の接合位置を調整することにより行われる。
【0026】
スリーブ24は、外部に光信号を送出するための光ファイバを接続するものである。このスリーブ24は、光ファイバの端部に取付けられたフェルールが挿入されるフェルール挿着孔24aを有し、短尺の光ファイバ24cが収納されたスタブ24bを備えている。そして、パッケージ部22内のLDから送出された信号光は、短尺光ファイバ24cの入力端に集光され、出力端からフェルール挿着孔24aに挿着された光ファイバに送出されて送信される。
【0027】
パッケージ部22の背面の底壁を形成する放熱面部25は、図7に示すように、矩形状でパッケージ部の背面から多少突出するように形成される。また、パッケージ部22の背面には、放熱面部25を避けた2辺のL字状の領域に、端子部22bが設けられている。この端子部22bには、図6に示すように、放熱面部25を避けるように形成された回路端子部27aを有するフレキシブル回路板27が接続され、前述した回路基板15に電気的に接続される。
【0028】
なお、図8には、ROSA31を、TOSA21と比較のため並置した状態で示してある。ROSA31は、同軸型のパッケージ部(CAN型パッケージ)32に、スリーブ33を結合して構成される。また、回路基板15との接続にはピン接続タイプの回路端子部34aを有するフレキシブル回路板34が用いられる。
【0029】
図9は、TOSA21に放熱ブロック16を組付けた状態を2方向から示した図で、放熱ブロック16は弾性部材17を用いて組付けられる。放熱ブロック16は、本体部16aが矩形状で、その一つの面がパッケージ部22の底壁側に露出する放熱面部25と熱的に接触するように組付けられる。放熱ブロック16の組付けには、U字状の弾性部材17が用いられる。弾性部材17の一方の支持アーム17aをパッケージ部22の上壁側に係着させ、他方の弾性アーム17bに形成された係合部17gを、放熱ブロック16の本体部16aの放熱面部25に接触する面と反対の面側に形成された係止溝16cに係合させる。この結果、放熱ブロック16は、弾性アーム17bにより放熱面部25に押付けられ、熱的に接触保持される。
【0030】
なお、弾性部材17は、二股状の支持アーム17aがジョイントスリーブ23を跨ぐようにしてパッケージ部22の上部側に矢印b方向から嵌めこみ、舌片17e,17fにより係着させる。次いで、他方の弾性アーム17bとパッケージ部22の放熱面部25との間に放熱ブロック16を矢印cの方向から挿入し、弾性アーム17bの弾性と係合部17gにより保持させる。放熱ブロック16は、本体部16aの下面両側に設けた一対の脚部16d,16eが下部カバー12の台部に当接させることで位置決めされる。なお、フレキシブル回路板27は、脚部16d,16eの間に形成される空間を利用して引き出され、回路基板15に接続される。
【0031】
図10は、放熱ブロック16の一例を説明する図で、図10(A)は上面側から見た図、図10(B)は下面側から見た図である。この放熱ブロック16は、熱伝導性の良い金属またはセラミック材を用い、成型、鋳造、焼結または機械加工等で形成することができる。形状としては、矩形状の本体部16aの一つの面をパッケージ部22の放熱面部25に接触する接触面16bとし、この反対側の面に弾性部材の係合凸部が係合する係止溝16cが形成される。
【0032】
本体部16aの下面側の両側には、光トランシーバの下部カバーに当接して位置決めされる一対の脚部16d,16eが一体に形成される。なお、一対の脚部16dと16eは下部カバーの形状に応じて、その長さを異ならせてもよい。本体部16aの上面16fは、放熱カバーの内壁面(放熱接触面)と平行に向き合い、直接または伝熱シート、伝熱ゲルを介して熱を伝達する伝熱面とされる。接触面16bは、放熱面部25の接触面における熱抵抗を一層低減するため、放熱シート、伝熱ゲル等の部材を適用することもできる。
【0033】
図11は、弾性部材17の一例を説明する図である。この弾性部材17は、例えば、ステンレス板のような弾性を有する金属板で形成され、所定の形状に打ち抜いた後、プレスして成形される。弾性部材17は、支持アーム17aと弾性アーム17bとを連結片17cで連結したU字状で形成される。支持アーム17aは、切り欠き17dにより二股状とされ、それぞれのアーム片に係止用の舌片17e,17fが設けられる。この支持アーム17aは、図7で説明したように、切り欠き17dの部分をTOSA21のジョイントスリーブ23に側面方向から嵌合させ、舌片17e,17fをパッケージ部22に係着させることで支持される。
【0034】
弾性アーム17bは、自由端に内側に弧状に突出させた係合部17gを有し、中間部分に舌片17hが設けられている。この弾性アーム17bは、図9に示したように、舌片17hが下側になるように配され、弾性アーム17bを外側に押し開いて、パッケージ部22の放熱面部25との間に放熱ブロック16が上方から挿入され、舌片17hにより挿入が規制される。弾性アーム17bの押し開きを解放することにより、係合部17gがパッケージ部22の係止溝16cに係合して、放熱ブロック16をパッケージ部22側に弾性的に押圧して保持する。
【0035】
また、弾性部材17は、切欠き17dとTOSA21のジョイントスリーブ23が嵌合することによって位置決めされる。TOSA21は光結合を調整する作業(調心作業)の結果、放熱面25の位置は製品ごとにバラツキがある。一方、放熱ブロック16は筐体に対して一定の位置に配置する必要があることから、TOSA21の放熱面25と放熱ブロック16の接触面16bは接触面に沿った方向に相対的に位置がずれる可能性がある。
【0036】
したがって、適切に放熱を行うためには、想定されるズレ量の分だけ、接触面16bの大きさを放熱面25より大きくしておき、上記の相対的な位置ズレが生じても接触面積が小さくならないようにすることが望ましい。また、弾性部材17の係合部17gと放熱ブロック16の係止溝16cは、上記のズレが生じても係止できるように、係止溝16cは係合部17gとの接触部分よりも大きく形成されていて、ズレを許容できるガイドとして機能できることが望ましい。
【0037】
本発明は、上述した放熱ブロック16を、図9に示すように弾性部材17によりセラミックパッケージからなるTOSA21のパッケージ背面の放熱面部25に密着させ、放熱ブロック16の脚部16d,16eを下部カバー12で支えるようにして組付ける。次いで、図3〜図5で示すように、放熱ブロック16の上面と放熱カバー11の内壁面とを直接に接触、あるいは伝熱シート18a、伝熱ゲル18bを介在させて、放熱カバー11を固定することにより、発熱部品の放熱を良好にした光モジュールとすることができる。
【符号の説明】
【0038】
10…光トランシーバ、11…上部カバー(放熱カバー)、12…下部カバー、13…フランジ部、14…レセプタクル部、15…回路基板、16…放熱ブロック、17…弾性部材、18…接触部、18a…伝熱シート、18b…伝熱ゲル、19…IC、21…光サブアセンブリ(TOSA)、22…セラミックパッケージ(パッケージ部)、23…ジョイントスリーブ、24…スリーブ、25…放熱面部、26…電子冷却装置、27…フレキシブル回路板。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光電変換素子が実装された光サブアセンブリ、電気信号の授受を行う電子部品群が実装されている回路基板を、放熱カバーにより覆った光モジュールであって、
少なくとも発光素子が実装される光サブアセンブリがセラミックパッケージで形成され、前記放熱カバーの放熱接触面と直交する前記セラミックパッケージの背面の放熱面部に、弾性部材により放熱ブロックが押圧接触され、且つ、前記放熱ブロックと前記放熱カバーの放熱接触面とが熱結合されていることを特徴とする光モジュール。
【請求項2】
前記放熱ブロックと前記放熱カバーの放熱接触面とが伝熱シートを介して熱結合されていることを特徴とする請求項1に記載の光モジュール。
【請求項3】
前記放熱ブロックと前記放熱カバーの放熱接触面とが放熱ゲルを介して熱結合されていることを特徴とする請求項1に記載の光モジュール。
【請求項4】
前記セラミックパッケージの背面に電子冷却器が搭載されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の光モジュール。
【請求項5】
前記放熱ブロックは、前記放熱カバーの放熱接触面と直交する方向に移動可能であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の光モジュール。
【請求項6】
前記弾性部材は、金属板により形成され、前記セラミックパッケージに着脱可能に係着されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の光モジュール。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2012−15488(P2012−15488A)
【公開日】平成24年1月19日(2012.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−77554(P2011−77554)
【出願日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【出願人】(000002130)住友電気工業株式会社 (12,747)
【Fターム(参考)】