光伝送路及び光伝送路の製造方法
【課題】 低コストで信頼性の高い光伝送路を実現することを課題とする。
【解決手段】 光伝送路は、光導波路挿入穴を有するコネクタ本体、コアおよび前記コアの外周に設けられ前記コアよりも小さい屈折率を有するクラッドを備える光導波路、前記光導波路のコア端面に接する第1の透明部材、前記光導波路挿入穴の穴底面と接する第2の透明部材を有し、前記第2の透明部材と前記光導波路挿入穴の穴底面との接触面積は、前記コアと前記第1の透明部材との接触面積より大きい。
【解決手段】 光伝送路は、光導波路挿入穴を有するコネクタ本体、コアおよび前記コアの外周に設けられ前記コアよりも小さい屈折率を有するクラッドを備える光導波路、前記光導波路のコア端面に接する第1の透明部材、前記光導波路挿入穴の穴底面と接する第2の透明部材を有し、前記第2の透明部材と前記光導波路挿入穴の穴底面との接触面積は、前記コアと前記第1の透明部材との接触面積より大きい。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光伝送路と、光伝送路の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、サーバー、ハイエンドコンピュータ(HPC)等の分野では、マルチCPU化による性能の向上により、CPUと外部インターフェースの間を通信するI/O機能の伝送容量が飛躍的に増大している。一方で、従来の電気信号による高速伝送には、クロストークの発生や配線密度の観点から限界がある。そこで、光電変換素子を配置して光信号で高速I/Oを実現する技術(光インターコネクト技術)が検討されている。
【0003】
サーバーやハイエンドコンピュータで使用される光伝送路の数は膨大であり、用いられる光モジュールの数も多大となる。そのため、光インターコネクト用モジュールは長距離光通信用モジュールと比較して低コストであることが求められる。光インターコネクタでは、一般に発光素子としてVCSEL(Vertical Cavity Semiconductor Emission Laser)アレイ、受光素子としてPD(Photo Diode)アレイを用いた多チャンネルのパラレル光接続技術が採用されているが、多チャンネル光コネクタに対しても、低コスト化の要望は高まっている。また、多チャンネル光コネクタでは、伝送容量の拡大に伴って現在主流の12chから24ch、さらには48chへとチャネル数の拡大が要求されている。
【0004】
従来の光ファイバ用コネクタとして、MT(Mechanical Transferable)コネクタが知られている。MTコネクタは、光ファイバをMTフェルールに挿入し軸合わせをして光路を直線に維持し、光ファイバの端面を研磨処理することで実現される。しかしながら、研磨の工程では研磨機を使用し、複数の研磨シートの交換を必要とするため、時間とコストが増大する。そのため、研磨不要の多チャンネル光コネクタの開発が切望されている。
【0005】
無研磨で光ファイバを実装する技術として、光コネクタを透明材料のフェルールで構成し、フェルールに形成された垂直な壁面にカットした光ファイバの端面を押し当てて実装する技術が知られている(たとえば、特許文献1参照)。光ファイバは、ファイバーカッターを用いてカットされる。透明な壁面に押し当てられた光ファイバから出るビームは凹面鏡で光路を90度曲げられる。
【0006】
無研磨実装技術の別の例として、フェルールの前面にファイバ光学プレート(FOP)を接着固定しておき、光ファイバの接続端を端面が未研磨のままフェルールに挿入し、未研磨の光ファイバ端面をFOPに押し当てて接続する技術が知られている(たとえば、特許文献2参照)。この方法で用いられているFOPは、多数本の光ファイバを束ねて引き伸ばしたものを薄くスライスした光学部品である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2009−258510号公報
【特許文献2】特許第3364638号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従来の無研磨の光ファイバを用いた光コネクタは、いずれもカットしたファイバの端面を壁面に押し当てるという構成である。従来の技術を用いて実際に量産工程で無研磨の光コネクタを製造しようとすると、以下の課題が生じる。
【0009】
まず、フェルール製造、アセンブリ時に混入する集塵の影響がある。図1(A)に示すように、カットした無研磨の光ファイバ113をフェルール121に挿入する際に、100μmオーダーの集塵(ダスト)105が挿入穴122に混入する可能性がある。図1(B)に示すように、光ファイバ113がFOP130に押し当てられてコア111の端面にダスト105が付着した場合、コア111を通過する光がダスト105で散乱し、損失の要因となる。ダスト105は常に混入するわけではないが、完全に除去するのは困難であり、複数のチャネルのうちの一つでもコア111にダスト105が付着した場合、そのチャネルに光損失が発生し、光コネクタ全体が不良品となる。その結果、製造歩留まりが低下する。この問題は、光コネクタのチャネル数が増えるほど顕著になる。
【0010】
次に、無研磨コネクタでダストの影響を排除しようとすると、アセンブリ工程をクリーンルーム環境で行なうなどの対策が必要となる。一方、現在主流となっているMTコネクタでは、フェルール挿入後に光ファイバ先端を研磨するので、ダストの影響は問題とならず、クリーンルームは不用である。したがて、無研磨コネクタの場合、多大な設備投資を要し、研磨を行うMTコネクタ等に比べて費用面で不利になる。無研磨コネクタの場合、研磨コネクタと同じ環境で製造できなければ、低コスト化を実現することは難しい。
【0011】
そこで、低コストで信頼性の高い光伝送路を実現することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
第1の観点では、光伝送路は、
光導波路挿入穴を有するコネクタ本体と、
コアと、前記コアの外周に設けられ、前記コアよりも小さい屈折率を有するクラッドを備える光導波路と、
前記光導波路のコア端面に接する第1の透明部材と、
前記光導波路挿入穴の穴底面と接する第2の透明部材とを有し、
前記第2の透明部材と前記光導波路挿入穴の穴底面との接触面積は、前記コアと前記第1の透明部材との接触面積より大きい。
【0013】
第2の観点では、光伝送路の製造方法を提供する。光伝送路の製造方法は、
コアと、前記コアの外周に設けられ前記コアよりも小さい屈折率を有するクラッドと、前記光導波路のコア端面に接する透明部材を備える光導波路をコネクタの光導波路挿入穴に挿入し、
前記光導波路を前記コネクタの前記光導波路挿入穴の穴低面に押し込む。
【発明の効果】
【0014】
低コストで信頼性の高い光伝送路を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】課題を説明するための図である。
【図2】実施例で用いられるコネクタ本体の図である。
【図3】実施例の光伝送路の構成を示す図である。
【図4】光伝送路に用いられる透明部材の変形例を示す図である。
【図5】光導波路と透明部材の作用を説明するための図である。
【図6】透明部材の屈折率とフレネル反射による過剰損失の関係を示すグラフである。
【図7】実施例の光伝送路を有する光コネクタの組立例を示す図である。
【図8】コネクタ本体の変形例1を示す図である。
【図9】変形例1のコネクタ本体を用いたときの光伝送路を示す図である。
【図10】変形例1のコネクタ本体を用いたときの組立例を示す図である。
【図11】コネクタ本体の変形例2を示す図である。
【図12】変形例2のコネクタ本体を用いたときの組立例を示す図である。
【図13】コネクタ本体の変形例3を示す図である。
【図14】変形例3のコネクタ本体を用いたときの光伝送路を示す図である。
【図15】コネクタ本体の変形例4を示す図である。
【図16A】透明部材を備えた光導波路の製造工程図である。
【図16B】透明部材を備えた光導波路の製造工程図である。
【図16C】透明部材を備えた光導波路の製造工程図である。
【図16D】透明部材を備えた光導波路の製造工程図である。
【図16E】透明部材を備えた光導波路の製造工程図である。
【図17】実施例の光伝送路の効果を示す図である。
【図18】実施例の光伝送路を適用した光モジュールを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
実施例では、コア及びコアの外周を覆うクラッドを備える光導波路を、コネクタ本体に挿入して光伝送路を構成する。光導波路の挿入方向の先端には、コア端面を覆う透明部材が設けられている。透明部材は、コア端面を覆う側の第1の透明部材部分と、光導波路がコネクタ本体のコネクタ挿入穴に挿入されたときに穴底面と接触する側の第2の透明部材部分を含む。光導波路のコア端面は、穴底面と第2の透明部材部分との接触面から所定距離だけ挿入方向に後退した位置にある。コア端面と穴底面の間に透明部材を挿入することにより、孔底面の接触面での信号光の光径を、コア端面での光径(コア径)よりも大きくなるようにする。これにより、接触面にダストが混入した場合でも、散乱による光損失への影響を相対的に低減することができる。
【0017】
図2は、実施例で用いられるコネクタ本体(あるいはコネクタフェルール)20の概略図である。図2(A)は斜視図、図2(B)は光の伝送方向に沿った側面図である。コネクタ本体20は、光導波路(図2では不図示)を保持するゴムブーツ(図7参照)を受け取るゴムブーツ用スリット26と、ゴムブーツ用スリット26につながるテーパー部27と、テーパー部27から延びる光導波路用スリット(挿入穴)21を有する。テーパー部27は、ゴムブーツ用スリット26から挿入される光導波路を光導波路用スリット21へと案内しやすい断面形状を有する。光導波路用スリット21の突き当たりは、スリット底面22となっている。
【0018】
コネクタ本体20のゴムブーツ用スリット26と反対側の先端部28には、キャビティ23が形成されている。キャビティ23内には、光導波路用スリット21のスリット底面22と対向する位置(接触面31の裏側)に、マイクロレンズ24が配置されている。コネクタ本体20に光導波路(図3参照)が実装されて光コネクタを構成する場合、光コネクタは、同じ種類の光コネクタと対向して接続されることが多い。したがって、マイクロレンズ24は相手側コネクタと接触しないようにキャビティ23内に配置されている。
【0019】
コネクタ本体20の少なくともスリット底面22からマイクロレンズ24までの領域を含む先端部分28のうち光路となる部分は、光透過性の材料で形成される。実施例では、コネクタ本体20全体を光透過性の材料で射出成型により形成する。光透過性の材料としては、たとえばPEI(ポリエーテルイミド)、PC(ポリカーボネート)、COP(シクロオレフィンポリマー)などの熱可塑性樹脂や、あるいはエポキシ等の熱硬化性樹脂が望ましい。このとき、マイクロレンズ24は、コネクタ本体20と同じ光透過性の材料を用いて一体的に形成されてもよい。
【0020】
コネクタ本体20の相手側コネクタとの接続面29には、位置決めピン25が配置されている。位置決めピン25は、コネクタ本体20と一体成型することができる。この例ではコネクタ本体20に位置決めピン25が設けられているが、相手側コネクタと嵌合できる構成であればどのようなものであってもよい。たとえば、別の形状の突起であってもよいし、位置決め孔あるいは窪みであってもよい。
【0021】
図3は、実施例の光伝送路1Aの構成を示す図である。光伝送路1Aは、光導波路用スリット21を有するコネクタ本体20と、光導波路用スリット21に収容される光導波路10と、光導波路10の挿入方向の先端でコア端面を覆う透明部材15aを有する。光導波路10は、中心軸領域に設けられたコア11と、コア11の外周に設けられコア11よりも小さい屈折率を有するクラッド12を備える。透明部材15aの挿入方向の先端面は光導波路用スリット21のスリット底面22に当接して、コネクタ本体20と接触する。この当接面を接触面31と称する。
【0022】
信号光が、光導波路10の挿入方向と同じ方向で伝搬する場合を考える。この場合、コア11の挿入方向先端側の端面は光出射面となる。全反射を繰り返しながらコア11を伝搬した光は、コア11の端面から透明部材15a中に入射する。透明部材15aには光閉じ込め部材が設けられていないので、コア11の端面を出射した光は光径を広げながら透明部材15aを伝搬する。透明部材15aの屈折率は、フレネル反射による過剰損失との関係から、できるだけコア11の屈折率及びマイクロレンズ24の屈折率に近い方が望ましい。これについては、図5及び図6を参照して後述する。
【0023】
図3の例では、透明部材15aは、光導波路10のクラッド12と同じ材料で連続して形成されている。したがって、透明部材15aの屈折率はコア11の屈折率よりもわずかに(たとえば1〜3%程度)小さくなる。
【0024】
コネクタ本体20の先端のキャビティ23内のマイクロレンズ24は、コア11を出た光を集光、またはコリメートする。光コネクタの接続相手側の部材が光導波路10と同じ導波路構成を有する場合は、マイクロレンズ24はコリメートレンズとして形成される。
【0025】
図4は、光伝送路1Aに用いられる透明部材15の変形例を示す。図4で用いられる透明部材15bは、光導波路10のクラッド12と一体形成されるのではなく、別部材で形成され、光導波路10のコア端面を覆って接合されている。透明部材15bは、好ましくはコア11とほぼ同じ屈性率を有する材料で形成され、たとえばコア11と同じ材料で形成される。
【0026】
ここで、コア11の端面を「覆って」とは、コア11の端面を透明部材15bが直接覆う場合だけではなく、コア11の端面と透明部材15bの間に他の透明部材が介在する場合も含む。たとえば、図3のようなクラッドと一体に形成されてコア端面を覆う第1透明部材15aに、図4のような第2透明部材15bを融着接続等により接合する場合も、コア11の端面を「覆って」配置されるものとする。すなわち、コア11の端面が、透明部材15bの先端側とコネクタ本体20との接触面31と異なる位置にある場合をすべて含む。この場合も、透明部材15b及び間に介在する他の透明部材の屈折率は、コア11(及びマイクロレンズ24)の屈折率と同等、または過剰損失を生じさせない所定の範囲内に設定される。
【0027】
図5は、光導波路10と透明部材15(透明部材15a及び15bを「透明部材15」と総称する)の作用を説明するための図である。クラッド12で覆われたコア11を伝搬した光は、コア11を出射し、透明部材15中を伝搬する。透明部材15が光コネクタ本体20に当接する接触面31での光径は、コア径よりも大きくなっている。その結果、たとえ接触面31のコア端面に対応する領域内にダスト5が混入していたとしても、その散乱の影響は相対的に小さく、全体としての損失を抑制することができる。径が広がった光は上述のようにマイクロレンズ24で集光またはコリメートされる。光伝送路が受信側の伝送路である場合も同様の効果が得られる。この場合、信号光はコア11に入射するようにマイクロレンズ24で集光されるが、接触面31での光径はコア11の端面での光径よりも大きいので、仮にダスト5が混入していたとしても、ダスト5による散乱の影響を相対的に小さくした状態でコア11に光を案内することができる。
【0028】
図6は、透明部材15の屈折率とフレネル反射による過剰損失との関係を示すグラフである。フレネル反射は屈折率が不連続となる界面で生じる反射であり、過剰損失の原因となる。フレネル反射を避けるためには、コア11、透明部材15、及びマイクロレンズ24(及びレンズと一体的に形成されるコア本体20の先端部28の光透過性の材料)の屈折率の差分は、できるだけ小さい方が望ましい。
【0029】
図6では、波長850nmの光に対するコア11の屈折率を1.5、マイクロレンズ24(及びコネクタ本体先端部28の透明材料)の屈折率を1.5としたときに、透明部材15の屈折率を変化させて、コア11−透明部材15−マイクロレンズ24(及びこれと一体形成される先端部28)の間で生じる過剰損失(dB)を測定したものである。グラフからわかるように、透明部材15の屈折率は、反射による損失の影響を無視できるように1.2〜1.85、好ましくは1.3〜1.75である。より好ましい構成は、透明部材15の屈折率がコア11の屈折率と同等に設定される構成である。
【0030】
たとえば、図4の構成で透明部材15bを、コア11と同じ材料あるいはコア11の屈折率とほぼ同じ屈折率を有する材料で形成してコア11の端面に融着接続した場合は、過剰損失はほとんど生じない。このように、フレネル反射による過剰損失を考慮して、透明部材15の屈折率を、透明部材15とコア11の屈折率の差がコア11の屈折率の20%以内となる範囲、より好ましくは15%以内の範囲、さらに好ましくはコア11の屈折率とほぼ等しくなるように設定する。
【0031】
図7は、図3または図4の光伝送路を有する光コネクタ30の組立例を示す図である。図7(A)に示すように、複数のコア11と、コア11の外周を被覆するクラッド12とを有する光導波路10の挿入方向(矢印の方向)の先端に、コア11の端面を覆って透明部材15が設けられている。透明部材15及び光導波路10の先端部に接着剤(不図示)を塗布し、ゴムブーツ18で光導波路10を挟んで、光導波路10の先端側を光導波路用スリット21内に挿入する。
【0032】
図7(B)に示すように、光導波路10がコネクタ本体20に完全に挿入されると、透明部材15が光導波路用スリット21の底面22に押し当てられ、コネクタ本体20との接触面31を構成する。この状態で、熱または紫外線(UV)を照射して接着剤を硬化させて、光導波路10をコネクタ本体20に固定する。図7の例では、複数のコア11に対向する位置に、複数のマイクロレンズ24が配置されている。各コア11から出射した光は、光径を広げながら透明部材15を伝搬し、対応するマイクロレンズ24でコリメートされて、接続相手側(不図示)の導波路へ伝搬される。
【0033】
図8は、コネクタ本体の変形例1を示す図である。図8(A)は斜視図、図8(B)は側面図、図8(C)は上面図である。変形例1のコネクタ本体40は、光導波路用スリット41の底面42近傍に、コネクタ本体40の外部に接続する空気溝48を有する。図8の例では、空気溝48はスリット底面42において、光導波路用スリット41と連通してこれと直交する方向に延びている。
【0034】
空気溝48は、光導波路用スリット41の幅Wよりも小さい幅にわたって形成されている。空気溝48の両側の壁部49は、光導波路10が挿入されたときに、透明部材15を含む光導波路10の先端部が空気溝48内にめくり上がらないように抑止する。これにより、光導波路用スリット21に挿入された光導波路10のコア11は、キャビティ43内に配置されている複数のマイクロレンズ24の配列に対して、正しく位置決めされる。
【0035】
図9は、図8のコネクタ本体40を用いた場合の光伝送路1Bを示す図である。光伝送路1Bは、図3または図4の光伝送路1Aと同様に、コネクタ本体40の光導波路用スリット41に挿入される光導波路10と、光導波路10の挿入方向の先端部に設けられた透明部材15と、透明部材15がコネクタ本体40のスリット底面42と当接する接触面31とを有する。光導波路10は、コア11と、コア11の外周を被覆するクラッド12を含み、透明部材15の屈折率はコア11の屈折率とほぼ同じか、または屈折率差がコア11の屈折率の20%以内となるように設定されている。
【0036】
透明部材15及び光導波路10の先端部は、空気溝48内に位置する。図8を参照して説明したように、空気溝48の両側の壁部49の存在により、透明部材15を含む光導波路10の先端は、マイクロレンズ24に対して正しく位置決めされている。これにより、コア11を出射した光は、接触面31での光径がコア11の出射面での光径よりも大きくなる。光径が広がった光はマイクロレンズ44に入射し、コリメートされる。
【0037】
図10は、図8のコネクタ本体40を用いたときの組立例を示す図である。図10(A)において、コネクタ本体40の光導波路用スリット41内に、あらかじめ接着剤を流し込んでおく。コネクタ本体40に外部とつながる空気溝48が形成されているので、接着剤の流動が良くなる。この構成では、透明部材15や光導波路10の側に接着剤を塗布する必要がない。したがって、組立工程が容易になり、工程時間を短縮できる。
【0038】
図11は、コネクタ本体の変形例2を示す。図11(A)は斜視図、図11(B)は側面図である。変形例2のコネクタ本体50は、一部分が取り外し可能に構成されている。コネクタ本体50は、光導波路10の挿入側である基部50Aと、挿入方向の先端側である先端部50Bとを有し、基部50Aと先端部50Bとは、位置決めピン55によって連結可能に構成されている。基部50Aには、光導波路用スリット51と、光導波路用スリット51から直交する方向に延びる空気溝58と、ピン孔59aが形成されている。先端部50Bは、基部50Aと連結する連結面52を有し、連結面52と反対側の面に、キャビティ53とマイクロレンズ54の配列が形成されている。また、基部50Aのピン孔59aと対応する位置にピン孔59bが形成されている。
【0039】
図12(A)及び図12(B)は、コネクタ本体50の組立例を示す図である。位置決めピン55を、基部50Aのピン孔59aと先端部50Bのピン孔59bに挿入することによって、一体に連結することができる。連結することによって、先端部50Bの連結面52は、基部50Aの光導波路用スリット51の開口に当接して、スリット底面52となる。
【0040】
コネクタ本体50を2つのパーツに分離可能とすることによって、先端部50Bを交換可能とすることができる。コネクタ本体50のうち、先端部50Bは精度の劣化が問題となるマイクロレンズ24の配列を含む。マイクロレンズ24のいずれかのレンズ機能が劣化した場合にコネクタ本体50全部を交換するのではなく、先端部50Bのみを交換することにより、安価かつ容易にコネクタ品質を維持することができる。
【0041】
また、LSIチップ間やボード間の接続変更などにより接続相手先のコネクタが変わった場合でも、先端部50Bのみを異なるレンズ設計のものと交換することによって、臨機応変に対処することができる。また、射出成型する際の金型の製造が容易になる。
【0042】
図13は、コネクタ本体の変形例3を示す。図13(A)は斜視図、図13(B)は側面図、図13(C)は上面図である。変形例3のコネクタ本体60は、2段に配置された光導波路用スリット61−1、61−2(「光導波路用スリット61」と総称する)を有する。ゴムブーツ用スリット66から、2つのテーバー部67−1、67−2が延び、それぞれに対応して光導波路用スリット61−1、61−2が形成されている。空気溝68は光導波路用スリット61−1、61−2の双方と連通して、外気とつながっている。光導波路用スリット61−1、61−2の付き当たりはスリット底面62−1、62−2である。
【0043】
コネクタ本体60のキャビティ63内には、光導波路用スリット61−1、61−2に対応して、マイクロレンズの配列64−1、64−2を含むマイクロレンズアレイ64Aが設けられている。光導波路用のスリット61を多段に形成することで、より多くのチャネルで信号を伝達することができる。スリットの段数は2段に限らず、3段、4段等、コネクタ本体60のサイズ(高さ又は厚さ)に応じて、任意の段数にすることができる。
【0044】
図14は、図13のコネクタ本体60を用いたときの光伝送路1Cを示す図である。光伝送路1Cは、複数の光導波路用スリット61−1、61−2が形成されたコネクタ本体60と、光導波路用スリット61−1、61−2の各々に挿入された光導波路10と、光導波路10のコア11の端面を覆う透明部材15を有し、透明部材15の挿入方向の先端面がスリット底面62でコネクタ本体60に当接し、接触面31となる。コア11の端面は、コネクタ本体の60の先端部からみて接触面31よりも後退した位置にある。
【0045】
この構成により、組み立て工程で各段の光導波路用スリット61−1、61−2にダスト(不図示)が混入した場合でも、透明部材15を介した光径の拡大により、散乱の影響を無視できる程度に小さく押さえることができる。また、チャネルの数が多くなった場合でも、どのチャネルにおいてもダストの影響を抑制することができるので、散乱抑制効果はチャネル数が多くなるほど大きくなる。
【0046】
図15は、コネクタ本体の変形例4を示す。図15(A)は斜視図、図15(B)は側面図である。変形例4のコネクタ本体70は、階段状の光導波路用スリット71Sを有する。階段状の光導波路用スリット71Sは、導波路アレイ80を受け取る階段状の挿入開口部75と、階段状の挿入開口部75からコネクタ本体70の先端方向へ延びる複数の光導波路用スリット71−1、71−2(「光導波路用スリット71」と総称する)を含む。光導波路用スリット71−1、71−2の長さは、階段状の挿入開口部75の形状に応じて異なる長さに形成されている。コネクタ本体70は、光導波路10の挿入方向先端側にキャビティ73を有し、キャビティ73内にマイクロレンズアレイ74Aを有する。
【0047】
光導波路用スリット71−1、71−2の各々は、挿入方向に沿った主壁面の一方が平坦であり、他方がテーパー状に形成されている。スリット形状を片側テーパーとすることで、導波路アレイ80を構成する複数の光導波路10が挿入しやすくなる。また、ゴムブーツの有無やその形状など、光導波路10側の構成にかかわりなくコネクタ本体70を用いることができる。さらに、光導波路用スリット71内への接着剤の導入が容易になる。
【0048】
なお、各光導波路10の挿入側先端に透明部材15が設けられていること、透明部材15がスリット底面72−1、72−2に押し当てられて接触面を形成すること、接触面に対応する位置にマイクロレンズ74−1、74−2が配置されていることは、変形例1〜3と同様である。
【0049】
図16A〜図16Eは、一実施例による透明部材付きの光導波路の作製工程図である。まず、図16Aに示すように、図示しない基板上に下部クラッド層91を配置する。下部クラッド層91は、たとえば高分子材料のラミネートフィルム91である。高分子材料として、エポキシ、ポリカーボネート、シロキサン樹脂、ポリイミド、アクリル等、適切な材料を選択することができるが、コアの屈折率よりも小さい屈折率を有する材料を選択する必要がある。高分子材料の屈折率は、置換基の導入量を制御することにより制御することができ、この例では、屈折率1.55のエポキシ樹脂を用いた。下部クラッド層91の厚さは特に限定されないが、例えば5〜30μm程度であり、この実施例では、25μmのものを使用した。
【0050】
次に、図16Bに示すように、下部クラッド層91上にコア層92を形成する。コア層92は、下部クラッド層91よりも大きな屈折率を有する光透過層であり、この例では、感光性の高分子材料でコア層92を形成する。具体的には、下部クラッド層91上に液状の感光性高分子材料をスピンコート等により塗布する方法や、感光性樹脂フィルムを貼り合わせる方法がある。コア層92の高分子材料として、たとえばエポキシ樹脂、アクリル樹脂、シロキサン樹脂、ポリイミド樹脂等を用いることができる。この例では、屈折率1.58のエポキシの熱硬化性樹脂フィルムを所定の圧力条件で真空ラミネートしてコア層92を形成した。コア層92の厚さは、特に限定されないが、例えば20〜50μmであり、この実施例では50μmとした。
【0051】
次に、図16Cに示すように、所定の開口パターンのフォトマスクを介してコア層92を露光し現像プロセスを経ることによって、下部クラッド層91に所定の間隔で配置されたコア11を形成する。この例では、コア11のピッチ(中心間距離)が250μm、コア11の断面が50×50μmとなるようにパターニングされる。また、下部クラッド層91の長軸方向の両端に、コア11のパターンが形成されていないラミネート領域94が設けられる。
【0052】
次に、図16Dに示すように、下部クラッド層91及びコア11の全面を覆って上部クラッド層93を形成して積層体を形成する。上部クラッド層93は、たとえば、下部クラッド層91と同じ材料で、スピンコート等で塗布する方法や、樹脂フィルムを張り合わせた後に、光、熱などにより硬化させる方法がある。この例では、上部クラッド層93の厚さは、例えば25μmであり、上部クラッド層93を圧着により張り合わせた後に、200℃でベークして硬化させる。
【0053】
最後に、図16Eに示すように、ダイシングによりラミネート領域94の適切な個所でカットする。カット位置は、コア層11の長軸方向の端部から所定の距離だけ離れた位置である。これにより、光導波路10のコア11の端面が透明部材15で覆われた伝送路部材が完成する。この例では、コア11の端面からカット面までの長軸方向の長さは、例えば100〜500μmである。もっとも、透明部材15の光軸方向の長さは、隣接するチャネル(コア11)と干渉することなしに光径を拡大することのできる範囲であれば任意の長さに設定することができる。
【0054】
このようにして作製した透明部材15付きの光導波路10を、透明部材15が先端となるようにして、コネクタ本体の光導波路用スリットに挿入する。透明部材15をスリット底面に当接させて接触面とすることで、上述した光伝送路1A、1B、1Cを無研磨で作製することができる。なお、図16の例では、透明部材15をクラッド12と同じ材料で一体的に形成したが、クラッド12と一体形成しない場合は、図16Dのラミネート構造体をコア11の端面が露出するようにカットし、カットした端面に別途作製した透明部材15を融着接続することで透明部材15付きの光導波路10を作製することができる。あるいは複数の光ファイバをアレイ状態に配列して接合した光導波路を用意し、光導波路のコア端面に、透明部材15を融着接続してもよい。透明部材15を接合する場合、透明部材15は、コア11と同等の屈折率を有する材料で形成するのが望ましい。
【0055】
図17は、上述した光伝送路の効果を示す図である。図17(A)は、光導波路10のコア11を出射した光の広がりと、レンズ面24によるコリメートを示す模式図である。透明部材15は、その端面が光コネクタ本体(あるいはフェルール)に押し当てられて接触面31を形成する。接触面31での光径は、コア11の出射面での光径よりも大きくなっているので、たとえ接触面31の光径の中にダスト5が付着したとしても、その散乱の影響を小さくすることができる。この模式図は、光伝送路の過剰損失測定のためのモデルであり、波長850nmの光に対するコア11の屈折率を1.58、コア11の端面の径もしくは一辺の長さを50μm、透明部材15の屈折率を1.58、光進行方向の長さを300μmとした。
【0056】
図17(B)は、上述した光伝送路の損失低減効果を示すグラフである。グラフの横軸は、ダストサイズ(mm)、縦軸はフレネル反射による過剰損失(dB)である。黒色のひし形でプロットされているのが、図17(A)のモデルによる実施例の過剰損失である。上記構成の光伝送路に種々のサイズのダストを導入して過剰損失を測定した。比較例として、同じコアサイズで、先端に透明部材15が設けられていない光導波路を用意し、図1の従来例のようにコア端面が直接スリット底面と接触する構造の光伝送路を作製した。従来構造の光伝送路の過剰損失は、白色の四角形でプロットされている。
【0057】
グラフから明らかなように、従来構造では、ダストサイズがコア径の1/4を超えると過剰損失の影響が無視できなくなり、ダストサイズがコア径の1/3を超えると過剰損失が急速に増大してチャネルとして使用できなくなる。これに対し、実施例の構成では、コア径の1/3程度のダストが混入した場合でも、過剰損失の影響を安定して抑制することができる。
【0058】
図18は、上述した光伝送路を用いた光モジュール200の一例を表す。図18(A)は上面図、図18(B)は光伝送方向に沿った断面図である。光モジュール200は、たとえばサーバシステムで、各サーバブレードをバックプレーンへ接続するときに用いられる。光モジュール200は、接続にボード201上に、電気コネクタ220、フレキシブル電気回路基板(FPC)202上に配置された光電変換素子204、202、光コネクタ230、光コネクタ230と光電変換素子204、202とを接続する光導波路210を含む。
【0059】
光導波路210は、たとえばポリマー光導波路であり、図3または図4のようにコア端面が透明部材で覆われた光導波路である。光導波路の先端は光コネクタ230の図示しない挿入穴の穴底面と接触しており、コア端面は接触面よりもFPC202側に後退している。光コネクタ230は、上述したコネクタ本体の構成の任意の構成を採用する。
【0060】
FPC202は、少なくとも上面に導体がパターニングされており、受光素子206、発光素子204の少なくともどちらか1つがフェイスダウン実装されている。受光素子206、発光素子204のフェイスダウン実装はフリップチップボンダーなどの一般的な電気素子実装方法で実現可能である。また発光素子204としてVCSEL(Vertical Cavity Semiconductor Emission Laser)アレイ、受光素子206としてPD(Photo Diode)アレイが利用できる。FPC202上には、発光素子204を駆動するための駆動用IC203、受光素子206からの電流を電圧に変換するためのTIA(TransImpedance Amplifier)205などが実装されていてもよい。
【0061】
FPC202は、ポリイミド等の薄くて高周波で電気信号の損失の少なく、かつ透明な材料が用いられる。FPC202の下側には透明材料で構成される図示しないレンズシートが接着層を介して貼り付けられている。レンズシートの下側には受光素子206へと入射する光、又は発光素子204から出力する光を結合するための光導波路210が貼り付けられている。光導波路210には、光路を90度曲げるためのミラー(不図示)が形成されている。
【0062】
このような光モジュールを用いることで損失の少ない高速伝送路を構成することができる。
【0063】
以上のように、実施例の構成及び方法によれば、研磨工程やクリーンルーム環境を必要とせずに、低コストで信頼性の高い光伝送路を作製することができる。また、光伝送路を用いた光モジュールは、損失を低減した高速光伝送に適している。
【0064】
以上の説明に対し、以下の付記を提示する。
(付記1)
光導波路挿入穴を有するコネクタ本体と、
コアと、前記コアの外周に設けられ、前記コアよりも小さい屈折率を有するクラッドを備える光導波路と、
前記光導波路のコア端面に接する第1の透明部材と、
前記光導波路挿入穴の穴底面と接する第2の透明部材とを有し、
前記第2の透明部材と前記光導波路挿入穴の穴底面との接触面積が、前記コアと前記第1の透明部材との接触面積より大きいことを特徴とする光伝送路。
(付記2)
前記コア端面から出射された光の光径は、前記第2の透明部材と前記光導波路挿入穴の穴底面との接触面において、コア径よりも広がっていることを特徴とする付記1に記載の光伝送路。
(付記3)
前記第2の透明部材と前記光導波路挿入穴の穴底面との接触面と前記コアと前記第1の透明部材との接触面が前記光導波路の光伝送方向の異なる位置にあることを特徴とする付記1または2に記載の光伝送路。
(付記4)
前記光導波路挿入穴の穴底は光透過部材で形成され、前記第2の透明部材端面と前記光導波路挿入穴の穴底面の接触面の裏側にレンズを有し、前記コア端面からの出射光を集光またはコリメートすることを特徴とする付記1〜3のいずれか1に記載の光伝送路。
(付記5)
前記第1透明部材の屈折率が、前記コアの屈折率に略等しいことを特徴とする付記1〜4のいずれか1に記載の光伝送路。
(付記6)
前記第1の透明部材と、前記第2の透明部材が同じ材料であることを特徴とする付記1〜5のいずれか1に記載の光伝送路。
(付記7)
前記コアと前記第1および第2の透明部材が同じ材料であることを特徴とする付記6に記載の光伝送路。
(付記8)
前記コネクタ本体は、前記光導波路挿入穴と連通して外気と通じる空気溝を有し、
前記空気溝の前記光導波路挿入穴の幅方向に沿った寸法は、前記光導波路挿入穴の幅よりも小さいことを特徴とする付記1〜7のいずれか1に記載の光伝送路。
(付記9)
前記コネクタ本体は、前記光導波路が挿入される側の基部と、挿入方向先端側の先端部とが分離可能に構成され、前記先端部の背面が、前記光導波路挿入穴の前記穴底面を構成することを特徴とする付記1〜7のいずれか1に記載の光伝送路。
(付記10)
前記コネクタ本体は、複数の前記光導波路挿入穴を含み、
前記複数の光導波路挿入穴の各々が、前記空気溝に連通することを特徴とする付記8に記載の光伝送路。
(付記11)
前記コネクタ本体は、複数の前記光導波路を挿入する階段状の挿入開口部と、前記挿入開口部から挿入方向先端側に向かって延びる複数の前記光導波路挿入穴とを有し、
前記各光導波路挿入穴の一方の主壁面は、光導波路挿入方向と平行であり、他方の主壁面はテーパー形状を有することを特徴とする付記1〜7のいずれか1に記載の光伝送路。
(付記12)
付記1〜11のいずれか1に記載の光伝送路と、
前記光伝送路に接続される光電変換素子と
を含む光モジュール。
(付記13)
コアと、前記コアの外周に設けられ前記コアよりも小さい屈折率を有するクラッドと、前記光導波路のコア端面に接する透明部材を備える光導波路をコネクタの光導波路挿入穴に挿入し、
前記光導波路を前記コネクタの前記光導波路挿入穴の穴低面側に押し込むことを特徴とする光伝送路の製造方法。
(付記14)
前記光導波路は、
基材上方にクラッド部分の一部を形成するための下部クラッド層を形成し、
前記下部クラッド上にコア部分を形成するための感光性組成物層を形成し、
前記感光性組成物層を露光、現像して光導波路のコア形状に加工し、
前記コア層の露出面を覆うように、前記下部クラッド層及びコア層の上に上部クラッド層を圧着、加熱処理して光導波路を形成し、
前記コアからコアの光伝送方向端部より所定の距離離れた位置で前記光導波路を切断して製造されることを特徴とする付記13に記載の光伝送路の製造方法。
(付記15)
前記光導波路を前記コネクタの光導波路挿入穴に挿入する前に、前記コネクタの光導波路挿入穴に硬化後に透明となる接着剤を注入することを特徴とする付記13または14に記載の光伝送路の製造方法。
【産業上の利用可能性】
【0065】
光インターコネクトを含む光伝送の分野に利用可能である。一例として、サーバーやハイエンドコンピュータシステムの高速伝送路に適用することができる。
【符号の説明】
【0066】
1A、1B、1C 光伝送路
10 光導波路
11 コア
12 クラッド
15、15a、15b 透明部材
20、40、50、60、70 コネクタ本体
21、41、51、61、71 光導波路用スリット(光導波路挿入穴)
22、42、52、62−1、62−2、72−1、72−2 スリット底面
23、43、53、63、73 キャビティ
24、34、44、54、64−1、64−2、74−1、74−2 マイクロレンズ
30 光コネクタ
31 接触面
64A、74A マイクロレンズアレイ
80 導波路アレイ
200 光モジュール
【技術分野】
【0001】
本発明は、光伝送路と、光伝送路の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、サーバー、ハイエンドコンピュータ(HPC)等の分野では、マルチCPU化による性能の向上により、CPUと外部インターフェースの間を通信するI/O機能の伝送容量が飛躍的に増大している。一方で、従来の電気信号による高速伝送には、クロストークの発生や配線密度の観点から限界がある。そこで、光電変換素子を配置して光信号で高速I/Oを実現する技術(光インターコネクト技術)が検討されている。
【0003】
サーバーやハイエンドコンピュータで使用される光伝送路の数は膨大であり、用いられる光モジュールの数も多大となる。そのため、光インターコネクト用モジュールは長距離光通信用モジュールと比較して低コストであることが求められる。光インターコネクタでは、一般に発光素子としてVCSEL(Vertical Cavity Semiconductor Emission Laser)アレイ、受光素子としてPD(Photo Diode)アレイを用いた多チャンネルのパラレル光接続技術が採用されているが、多チャンネル光コネクタに対しても、低コスト化の要望は高まっている。また、多チャンネル光コネクタでは、伝送容量の拡大に伴って現在主流の12chから24ch、さらには48chへとチャネル数の拡大が要求されている。
【0004】
従来の光ファイバ用コネクタとして、MT(Mechanical Transferable)コネクタが知られている。MTコネクタは、光ファイバをMTフェルールに挿入し軸合わせをして光路を直線に維持し、光ファイバの端面を研磨処理することで実現される。しかしながら、研磨の工程では研磨機を使用し、複数の研磨シートの交換を必要とするため、時間とコストが増大する。そのため、研磨不要の多チャンネル光コネクタの開発が切望されている。
【0005】
無研磨で光ファイバを実装する技術として、光コネクタを透明材料のフェルールで構成し、フェルールに形成された垂直な壁面にカットした光ファイバの端面を押し当てて実装する技術が知られている(たとえば、特許文献1参照)。光ファイバは、ファイバーカッターを用いてカットされる。透明な壁面に押し当てられた光ファイバから出るビームは凹面鏡で光路を90度曲げられる。
【0006】
無研磨実装技術の別の例として、フェルールの前面にファイバ光学プレート(FOP)を接着固定しておき、光ファイバの接続端を端面が未研磨のままフェルールに挿入し、未研磨の光ファイバ端面をFOPに押し当てて接続する技術が知られている(たとえば、特許文献2参照)。この方法で用いられているFOPは、多数本の光ファイバを束ねて引き伸ばしたものを薄くスライスした光学部品である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2009−258510号公報
【特許文献2】特許第3364638号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従来の無研磨の光ファイバを用いた光コネクタは、いずれもカットしたファイバの端面を壁面に押し当てるという構成である。従来の技術を用いて実際に量産工程で無研磨の光コネクタを製造しようとすると、以下の課題が生じる。
【0009】
まず、フェルール製造、アセンブリ時に混入する集塵の影響がある。図1(A)に示すように、カットした無研磨の光ファイバ113をフェルール121に挿入する際に、100μmオーダーの集塵(ダスト)105が挿入穴122に混入する可能性がある。図1(B)に示すように、光ファイバ113がFOP130に押し当てられてコア111の端面にダスト105が付着した場合、コア111を通過する光がダスト105で散乱し、損失の要因となる。ダスト105は常に混入するわけではないが、完全に除去するのは困難であり、複数のチャネルのうちの一つでもコア111にダスト105が付着した場合、そのチャネルに光損失が発生し、光コネクタ全体が不良品となる。その結果、製造歩留まりが低下する。この問題は、光コネクタのチャネル数が増えるほど顕著になる。
【0010】
次に、無研磨コネクタでダストの影響を排除しようとすると、アセンブリ工程をクリーンルーム環境で行なうなどの対策が必要となる。一方、現在主流となっているMTコネクタでは、フェルール挿入後に光ファイバ先端を研磨するので、ダストの影響は問題とならず、クリーンルームは不用である。したがて、無研磨コネクタの場合、多大な設備投資を要し、研磨を行うMTコネクタ等に比べて費用面で不利になる。無研磨コネクタの場合、研磨コネクタと同じ環境で製造できなければ、低コスト化を実現することは難しい。
【0011】
そこで、低コストで信頼性の高い光伝送路を実現することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
第1の観点では、光伝送路は、
光導波路挿入穴を有するコネクタ本体と、
コアと、前記コアの外周に設けられ、前記コアよりも小さい屈折率を有するクラッドを備える光導波路と、
前記光導波路のコア端面に接する第1の透明部材と、
前記光導波路挿入穴の穴底面と接する第2の透明部材とを有し、
前記第2の透明部材と前記光導波路挿入穴の穴底面との接触面積は、前記コアと前記第1の透明部材との接触面積より大きい。
【0013】
第2の観点では、光伝送路の製造方法を提供する。光伝送路の製造方法は、
コアと、前記コアの外周に設けられ前記コアよりも小さい屈折率を有するクラッドと、前記光導波路のコア端面に接する透明部材を備える光導波路をコネクタの光導波路挿入穴に挿入し、
前記光導波路を前記コネクタの前記光導波路挿入穴の穴低面に押し込む。
【発明の効果】
【0014】
低コストで信頼性の高い光伝送路を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】課題を説明するための図である。
【図2】実施例で用いられるコネクタ本体の図である。
【図3】実施例の光伝送路の構成を示す図である。
【図4】光伝送路に用いられる透明部材の変形例を示す図である。
【図5】光導波路と透明部材の作用を説明するための図である。
【図6】透明部材の屈折率とフレネル反射による過剰損失の関係を示すグラフである。
【図7】実施例の光伝送路を有する光コネクタの組立例を示す図である。
【図8】コネクタ本体の変形例1を示す図である。
【図9】変形例1のコネクタ本体を用いたときの光伝送路を示す図である。
【図10】変形例1のコネクタ本体を用いたときの組立例を示す図である。
【図11】コネクタ本体の変形例2を示す図である。
【図12】変形例2のコネクタ本体を用いたときの組立例を示す図である。
【図13】コネクタ本体の変形例3を示す図である。
【図14】変形例3のコネクタ本体を用いたときの光伝送路を示す図である。
【図15】コネクタ本体の変形例4を示す図である。
【図16A】透明部材を備えた光導波路の製造工程図である。
【図16B】透明部材を備えた光導波路の製造工程図である。
【図16C】透明部材を備えた光導波路の製造工程図である。
【図16D】透明部材を備えた光導波路の製造工程図である。
【図16E】透明部材を備えた光導波路の製造工程図である。
【図17】実施例の光伝送路の効果を示す図である。
【図18】実施例の光伝送路を適用した光モジュールを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
実施例では、コア及びコアの外周を覆うクラッドを備える光導波路を、コネクタ本体に挿入して光伝送路を構成する。光導波路の挿入方向の先端には、コア端面を覆う透明部材が設けられている。透明部材は、コア端面を覆う側の第1の透明部材部分と、光導波路がコネクタ本体のコネクタ挿入穴に挿入されたときに穴底面と接触する側の第2の透明部材部分を含む。光導波路のコア端面は、穴底面と第2の透明部材部分との接触面から所定距離だけ挿入方向に後退した位置にある。コア端面と穴底面の間に透明部材を挿入することにより、孔底面の接触面での信号光の光径を、コア端面での光径(コア径)よりも大きくなるようにする。これにより、接触面にダストが混入した場合でも、散乱による光損失への影響を相対的に低減することができる。
【0017】
図2は、実施例で用いられるコネクタ本体(あるいはコネクタフェルール)20の概略図である。図2(A)は斜視図、図2(B)は光の伝送方向に沿った側面図である。コネクタ本体20は、光導波路(図2では不図示)を保持するゴムブーツ(図7参照)を受け取るゴムブーツ用スリット26と、ゴムブーツ用スリット26につながるテーパー部27と、テーパー部27から延びる光導波路用スリット(挿入穴)21を有する。テーパー部27は、ゴムブーツ用スリット26から挿入される光導波路を光導波路用スリット21へと案内しやすい断面形状を有する。光導波路用スリット21の突き当たりは、スリット底面22となっている。
【0018】
コネクタ本体20のゴムブーツ用スリット26と反対側の先端部28には、キャビティ23が形成されている。キャビティ23内には、光導波路用スリット21のスリット底面22と対向する位置(接触面31の裏側)に、マイクロレンズ24が配置されている。コネクタ本体20に光導波路(図3参照)が実装されて光コネクタを構成する場合、光コネクタは、同じ種類の光コネクタと対向して接続されることが多い。したがって、マイクロレンズ24は相手側コネクタと接触しないようにキャビティ23内に配置されている。
【0019】
コネクタ本体20の少なくともスリット底面22からマイクロレンズ24までの領域を含む先端部分28のうち光路となる部分は、光透過性の材料で形成される。実施例では、コネクタ本体20全体を光透過性の材料で射出成型により形成する。光透過性の材料としては、たとえばPEI(ポリエーテルイミド)、PC(ポリカーボネート)、COP(シクロオレフィンポリマー)などの熱可塑性樹脂や、あるいはエポキシ等の熱硬化性樹脂が望ましい。このとき、マイクロレンズ24は、コネクタ本体20と同じ光透過性の材料を用いて一体的に形成されてもよい。
【0020】
コネクタ本体20の相手側コネクタとの接続面29には、位置決めピン25が配置されている。位置決めピン25は、コネクタ本体20と一体成型することができる。この例ではコネクタ本体20に位置決めピン25が設けられているが、相手側コネクタと嵌合できる構成であればどのようなものであってもよい。たとえば、別の形状の突起であってもよいし、位置決め孔あるいは窪みであってもよい。
【0021】
図3は、実施例の光伝送路1Aの構成を示す図である。光伝送路1Aは、光導波路用スリット21を有するコネクタ本体20と、光導波路用スリット21に収容される光導波路10と、光導波路10の挿入方向の先端でコア端面を覆う透明部材15aを有する。光導波路10は、中心軸領域に設けられたコア11と、コア11の外周に設けられコア11よりも小さい屈折率を有するクラッド12を備える。透明部材15aの挿入方向の先端面は光導波路用スリット21のスリット底面22に当接して、コネクタ本体20と接触する。この当接面を接触面31と称する。
【0022】
信号光が、光導波路10の挿入方向と同じ方向で伝搬する場合を考える。この場合、コア11の挿入方向先端側の端面は光出射面となる。全反射を繰り返しながらコア11を伝搬した光は、コア11の端面から透明部材15a中に入射する。透明部材15aには光閉じ込め部材が設けられていないので、コア11の端面を出射した光は光径を広げながら透明部材15aを伝搬する。透明部材15aの屈折率は、フレネル反射による過剰損失との関係から、できるだけコア11の屈折率及びマイクロレンズ24の屈折率に近い方が望ましい。これについては、図5及び図6を参照して後述する。
【0023】
図3の例では、透明部材15aは、光導波路10のクラッド12と同じ材料で連続して形成されている。したがって、透明部材15aの屈折率はコア11の屈折率よりもわずかに(たとえば1〜3%程度)小さくなる。
【0024】
コネクタ本体20の先端のキャビティ23内のマイクロレンズ24は、コア11を出た光を集光、またはコリメートする。光コネクタの接続相手側の部材が光導波路10と同じ導波路構成を有する場合は、マイクロレンズ24はコリメートレンズとして形成される。
【0025】
図4は、光伝送路1Aに用いられる透明部材15の変形例を示す。図4で用いられる透明部材15bは、光導波路10のクラッド12と一体形成されるのではなく、別部材で形成され、光導波路10のコア端面を覆って接合されている。透明部材15bは、好ましくはコア11とほぼ同じ屈性率を有する材料で形成され、たとえばコア11と同じ材料で形成される。
【0026】
ここで、コア11の端面を「覆って」とは、コア11の端面を透明部材15bが直接覆う場合だけではなく、コア11の端面と透明部材15bの間に他の透明部材が介在する場合も含む。たとえば、図3のようなクラッドと一体に形成されてコア端面を覆う第1透明部材15aに、図4のような第2透明部材15bを融着接続等により接合する場合も、コア11の端面を「覆って」配置されるものとする。すなわち、コア11の端面が、透明部材15bの先端側とコネクタ本体20との接触面31と異なる位置にある場合をすべて含む。この場合も、透明部材15b及び間に介在する他の透明部材の屈折率は、コア11(及びマイクロレンズ24)の屈折率と同等、または過剰損失を生じさせない所定の範囲内に設定される。
【0027】
図5は、光導波路10と透明部材15(透明部材15a及び15bを「透明部材15」と総称する)の作用を説明するための図である。クラッド12で覆われたコア11を伝搬した光は、コア11を出射し、透明部材15中を伝搬する。透明部材15が光コネクタ本体20に当接する接触面31での光径は、コア径よりも大きくなっている。その結果、たとえ接触面31のコア端面に対応する領域内にダスト5が混入していたとしても、その散乱の影響は相対的に小さく、全体としての損失を抑制することができる。径が広がった光は上述のようにマイクロレンズ24で集光またはコリメートされる。光伝送路が受信側の伝送路である場合も同様の効果が得られる。この場合、信号光はコア11に入射するようにマイクロレンズ24で集光されるが、接触面31での光径はコア11の端面での光径よりも大きいので、仮にダスト5が混入していたとしても、ダスト5による散乱の影響を相対的に小さくした状態でコア11に光を案内することができる。
【0028】
図6は、透明部材15の屈折率とフレネル反射による過剰損失との関係を示すグラフである。フレネル反射は屈折率が不連続となる界面で生じる反射であり、過剰損失の原因となる。フレネル反射を避けるためには、コア11、透明部材15、及びマイクロレンズ24(及びレンズと一体的に形成されるコア本体20の先端部28の光透過性の材料)の屈折率の差分は、できるだけ小さい方が望ましい。
【0029】
図6では、波長850nmの光に対するコア11の屈折率を1.5、マイクロレンズ24(及びコネクタ本体先端部28の透明材料)の屈折率を1.5としたときに、透明部材15の屈折率を変化させて、コア11−透明部材15−マイクロレンズ24(及びこれと一体形成される先端部28)の間で生じる過剰損失(dB)を測定したものである。グラフからわかるように、透明部材15の屈折率は、反射による損失の影響を無視できるように1.2〜1.85、好ましくは1.3〜1.75である。より好ましい構成は、透明部材15の屈折率がコア11の屈折率と同等に設定される構成である。
【0030】
たとえば、図4の構成で透明部材15bを、コア11と同じ材料あるいはコア11の屈折率とほぼ同じ屈折率を有する材料で形成してコア11の端面に融着接続した場合は、過剰損失はほとんど生じない。このように、フレネル反射による過剰損失を考慮して、透明部材15の屈折率を、透明部材15とコア11の屈折率の差がコア11の屈折率の20%以内となる範囲、より好ましくは15%以内の範囲、さらに好ましくはコア11の屈折率とほぼ等しくなるように設定する。
【0031】
図7は、図3または図4の光伝送路を有する光コネクタ30の組立例を示す図である。図7(A)に示すように、複数のコア11と、コア11の外周を被覆するクラッド12とを有する光導波路10の挿入方向(矢印の方向)の先端に、コア11の端面を覆って透明部材15が設けられている。透明部材15及び光導波路10の先端部に接着剤(不図示)を塗布し、ゴムブーツ18で光導波路10を挟んで、光導波路10の先端側を光導波路用スリット21内に挿入する。
【0032】
図7(B)に示すように、光導波路10がコネクタ本体20に完全に挿入されると、透明部材15が光導波路用スリット21の底面22に押し当てられ、コネクタ本体20との接触面31を構成する。この状態で、熱または紫外線(UV)を照射して接着剤を硬化させて、光導波路10をコネクタ本体20に固定する。図7の例では、複数のコア11に対向する位置に、複数のマイクロレンズ24が配置されている。各コア11から出射した光は、光径を広げながら透明部材15を伝搬し、対応するマイクロレンズ24でコリメートされて、接続相手側(不図示)の導波路へ伝搬される。
【0033】
図8は、コネクタ本体の変形例1を示す図である。図8(A)は斜視図、図8(B)は側面図、図8(C)は上面図である。変形例1のコネクタ本体40は、光導波路用スリット41の底面42近傍に、コネクタ本体40の外部に接続する空気溝48を有する。図8の例では、空気溝48はスリット底面42において、光導波路用スリット41と連通してこれと直交する方向に延びている。
【0034】
空気溝48は、光導波路用スリット41の幅Wよりも小さい幅にわたって形成されている。空気溝48の両側の壁部49は、光導波路10が挿入されたときに、透明部材15を含む光導波路10の先端部が空気溝48内にめくり上がらないように抑止する。これにより、光導波路用スリット21に挿入された光導波路10のコア11は、キャビティ43内に配置されている複数のマイクロレンズ24の配列に対して、正しく位置決めされる。
【0035】
図9は、図8のコネクタ本体40を用いた場合の光伝送路1Bを示す図である。光伝送路1Bは、図3または図4の光伝送路1Aと同様に、コネクタ本体40の光導波路用スリット41に挿入される光導波路10と、光導波路10の挿入方向の先端部に設けられた透明部材15と、透明部材15がコネクタ本体40のスリット底面42と当接する接触面31とを有する。光導波路10は、コア11と、コア11の外周を被覆するクラッド12を含み、透明部材15の屈折率はコア11の屈折率とほぼ同じか、または屈折率差がコア11の屈折率の20%以内となるように設定されている。
【0036】
透明部材15及び光導波路10の先端部は、空気溝48内に位置する。図8を参照して説明したように、空気溝48の両側の壁部49の存在により、透明部材15を含む光導波路10の先端は、マイクロレンズ24に対して正しく位置決めされている。これにより、コア11を出射した光は、接触面31での光径がコア11の出射面での光径よりも大きくなる。光径が広がった光はマイクロレンズ44に入射し、コリメートされる。
【0037】
図10は、図8のコネクタ本体40を用いたときの組立例を示す図である。図10(A)において、コネクタ本体40の光導波路用スリット41内に、あらかじめ接着剤を流し込んでおく。コネクタ本体40に外部とつながる空気溝48が形成されているので、接着剤の流動が良くなる。この構成では、透明部材15や光導波路10の側に接着剤を塗布する必要がない。したがって、組立工程が容易になり、工程時間を短縮できる。
【0038】
図11は、コネクタ本体の変形例2を示す。図11(A)は斜視図、図11(B)は側面図である。変形例2のコネクタ本体50は、一部分が取り外し可能に構成されている。コネクタ本体50は、光導波路10の挿入側である基部50Aと、挿入方向の先端側である先端部50Bとを有し、基部50Aと先端部50Bとは、位置決めピン55によって連結可能に構成されている。基部50Aには、光導波路用スリット51と、光導波路用スリット51から直交する方向に延びる空気溝58と、ピン孔59aが形成されている。先端部50Bは、基部50Aと連結する連結面52を有し、連結面52と反対側の面に、キャビティ53とマイクロレンズ54の配列が形成されている。また、基部50Aのピン孔59aと対応する位置にピン孔59bが形成されている。
【0039】
図12(A)及び図12(B)は、コネクタ本体50の組立例を示す図である。位置決めピン55を、基部50Aのピン孔59aと先端部50Bのピン孔59bに挿入することによって、一体に連結することができる。連結することによって、先端部50Bの連結面52は、基部50Aの光導波路用スリット51の開口に当接して、スリット底面52となる。
【0040】
コネクタ本体50を2つのパーツに分離可能とすることによって、先端部50Bを交換可能とすることができる。コネクタ本体50のうち、先端部50Bは精度の劣化が問題となるマイクロレンズ24の配列を含む。マイクロレンズ24のいずれかのレンズ機能が劣化した場合にコネクタ本体50全部を交換するのではなく、先端部50Bのみを交換することにより、安価かつ容易にコネクタ品質を維持することができる。
【0041】
また、LSIチップ間やボード間の接続変更などにより接続相手先のコネクタが変わった場合でも、先端部50Bのみを異なるレンズ設計のものと交換することによって、臨機応変に対処することができる。また、射出成型する際の金型の製造が容易になる。
【0042】
図13は、コネクタ本体の変形例3を示す。図13(A)は斜視図、図13(B)は側面図、図13(C)は上面図である。変形例3のコネクタ本体60は、2段に配置された光導波路用スリット61−1、61−2(「光導波路用スリット61」と総称する)を有する。ゴムブーツ用スリット66から、2つのテーバー部67−1、67−2が延び、それぞれに対応して光導波路用スリット61−1、61−2が形成されている。空気溝68は光導波路用スリット61−1、61−2の双方と連通して、外気とつながっている。光導波路用スリット61−1、61−2の付き当たりはスリット底面62−1、62−2である。
【0043】
コネクタ本体60のキャビティ63内には、光導波路用スリット61−1、61−2に対応して、マイクロレンズの配列64−1、64−2を含むマイクロレンズアレイ64Aが設けられている。光導波路用のスリット61を多段に形成することで、より多くのチャネルで信号を伝達することができる。スリットの段数は2段に限らず、3段、4段等、コネクタ本体60のサイズ(高さ又は厚さ)に応じて、任意の段数にすることができる。
【0044】
図14は、図13のコネクタ本体60を用いたときの光伝送路1Cを示す図である。光伝送路1Cは、複数の光導波路用スリット61−1、61−2が形成されたコネクタ本体60と、光導波路用スリット61−1、61−2の各々に挿入された光導波路10と、光導波路10のコア11の端面を覆う透明部材15を有し、透明部材15の挿入方向の先端面がスリット底面62でコネクタ本体60に当接し、接触面31となる。コア11の端面は、コネクタ本体の60の先端部からみて接触面31よりも後退した位置にある。
【0045】
この構成により、組み立て工程で各段の光導波路用スリット61−1、61−2にダスト(不図示)が混入した場合でも、透明部材15を介した光径の拡大により、散乱の影響を無視できる程度に小さく押さえることができる。また、チャネルの数が多くなった場合でも、どのチャネルにおいてもダストの影響を抑制することができるので、散乱抑制効果はチャネル数が多くなるほど大きくなる。
【0046】
図15は、コネクタ本体の変形例4を示す。図15(A)は斜視図、図15(B)は側面図である。変形例4のコネクタ本体70は、階段状の光導波路用スリット71Sを有する。階段状の光導波路用スリット71Sは、導波路アレイ80を受け取る階段状の挿入開口部75と、階段状の挿入開口部75からコネクタ本体70の先端方向へ延びる複数の光導波路用スリット71−1、71−2(「光導波路用スリット71」と総称する)を含む。光導波路用スリット71−1、71−2の長さは、階段状の挿入開口部75の形状に応じて異なる長さに形成されている。コネクタ本体70は、光導波路10の挿入方向先端側にキャビティ73を有し、キャビティ73内にマイクロレンズアレイ74Aを有する。
【0047】
光導波路用スリット71−1、71−2の各々は、挿入方向に沿った主壁面の一方が平坦であり、他方がテーパー状に形成されている。スリット形状を片側テーパーとすることで、導波路アレイ80を構成する複数の光導波路10が挿入しやすくなる。また、ゴムブーツの有無やその形状など、光導波路10側の構成にかかわりなくコネクタ本体70を用いることができる。さらに、光導波路用スリット71内への接着剤の導入が容易になる。
【0048】
なお、各光導波路10の挿入側先端に透明部材15が設けられていること、透明部材15がスリット底面72−1、72−2に押し当てられて接触面を形成すること、接触面に対応する位置にマイクロレンズ74−1、74−2が配置されていることは、変形例1〜3と同様である。
【0049】
図16A〜図16Eは、一実施例による透明部材付きの光導波路の作製工程図である。まず、図16Aに示すように、図示しない基板上に下部クラッド層91を配置する。下部クラッド層91は、たとえば高分子材料のラミネートフィルム91である。高分子材料として、エポキシ、ポリカーボネート、シロキサン樹脂、ポリイミド、アクリル等、適切な材料を選択することができるが、コアの屈折率よりも小さい屈折率を有する材料を選択する必要がある。高分子材料の屈折率は、置換基の導入量を制御することにより制御することができ、この例では、屈折率1.55のエポキシ樹脂を用いた。下部クラッド層91の厚さは特に限定されないが、例えば5〜30μm程度であり、この実施例では、25μmのものを使用した。
【0050】
次に、図16Bに示すように、下部クラッド層91上にコア層92を形成する。コア層92は、下部クラッド層91よりも大きな屈折率を有する光透過層であり、この例では、感光性の高分子材料でコア層92を形成する。具体的には、下部クラッド層91上に液状の感光性高分子材料をスピンコート等により塗布する方法や、感光性樹脂フィルムを貼り合わせる方法がある。コア層92の高分子材料として、たとえばエポキシ樹脂、アクリル樹脂、シロキサン樹脂、ポリイミド樹脂等を用いることができる。この例では、屈折率1.58のエポキシの熱硬化性樹脂フィルムを所定の圧力条件で真空ラミネートしてコア層92を形成した。コア層92の厚さは、特に限定されないが、例えば20〜50μmであり、この実施例では50μmとした。
【0051】
次に、図16Cに示すように、所定の開口パターンのフォトマスクを介してコア層92を露光し現像プロセスを経ることによって、下部クラッド層91に所定の間隔で配置されたコア11を形成する。この例では、コア11のピッチ(中心間距離)が250μm、コア11の断面が50×50μmとなるようにパターニングされる。また、下部クラッド層91の長軸方向の両端に、コア11のパターンが形成されていないラミネート領域94が設けられる。
【0052】
次に、図16Dに示すように、下部クラッド層91及びコア11の全面を覆って上部クラッド層93を形成して積層体を形成する。上部クラッド層93は、たとえば、下部クラッド層91と同じ材料で、スピンコート等で塗布する方法や、樹脂フィルムを張り合わせた後に、光、熱などにより硬化させる方法がある。この例では、上部クラッド層93の厚さは、例えば25μmであり、上部クラッド層93を圧着により張り合わせた後に、200℃でベークして硬化させる。
【0053】
最後に、図16Eに示すように、ダイシングによりラミネート領域94の適切な個所でカットする。カット位置は、コア層11の長軸方向の端部から所定の距離だけ離れた位置である。これにより、光導波路10のコア11の端面が透明部材15で覆われた伝送路部材が完成する。この例では、コア11の端面からカット面までの長軸方向の長さは、例えば100〜500μmである。もっとも、透明部材15の光軸方向の長さは、隣接するチャネル(コア11)と干渉することなしに光径を拡大することのできる範囲であれば任意の長さに設定することができる。
【0054】
このようにして作製した透明部材15付きの光導波路10を、透明部材15が先端となるようにして、コネクタ本体の光導波路用スリットに挿入する。透明部材15をスリット底面に当接させて接触面とすることで、上述した光伝送路1A、1B、1Cを無研磨で作製することができる。なお、図16の例では、透明部材15をクラッド12と同じ材料で一体的に形成したが、クラッド12と一体形成しない場合は、図16Dのラミネート構造体をコア11の端面が露出するようにカットし、カットした端面に別途作製した透明部材15を融着接続することで透明部材15付きの光導波路10を作製することができる。あるいは複数の光ファイバをアレイ状態に配列して接合した光導波路を用意し、光導波路のコア端面に、透明部材15を融着接続してもよい。透明部材15を接合する場合、透明部材15は、コア11と同等の屈折率を有する材料で形成するのが望ましい。
【0055】
図17は、上述した光伝送路の効果を示す図である。図17(A)は、光導波路10のコア11を出射した光の広がりと、レンズ面24によるコリメートを示す模式図である。透明部材15は、その端面が光コネクタ本体(あるいはフェルール)に押し当てられて接触面31を形成する。接触面31での光径は、コア11の出射面での光径よりも大きくなっているので、たとえ接触面31の光径の中にダスト5が付着したとしても、その散乱の影響を小さくすることができる。この模式図は、光伝送路の過剰損失測定のためのモデルであり、波長850nmの光に対するコア11の屈折率を1.58、コア11の端面の径もしくは一辺の長さを50μm、透明部材15の屈折率を1.58、光進行方向の長さを300μmとした。
【0056】
図17(B)は、上述した光伝送路の損失低減効果を示すグラフである。グラフの横軸は、ダストサイズ(mm)、縦軸はフレネル反射による過剰損失(dB)である。黒色のひし形でプロットされているのが、図17(A)のモデルによる実施例の過剰損失である。上記構成の光伝送路に種々のサイズのダストを導入して過剰損失を測定した。比較例として、同じコアサイズで、先端に透明部材15が設けられていない光導波路を用意し、図1の従来例のようにコア端面が直接スリット底面と接触する構造の光伝送路を作製した。従来構造の光伝送路の過剰損失は、白色の四角形でプロットされている。
【0057】
グラフから明らかなように、従来構造では、ダストサイズがコア径の1/4を超えると過剰損失の影響が無視できなくなり、ダストサイズがコア径の1/3を超えると過剰損失が急速に増大してチャネルとして使用できなくなる。これに対し、実施例の構成では、コア径の1/3程度のダストが混入した場合でも、過剰損失の影響を安定して抑制することができる。
【0058】
図18は、上述した光伝送路を用いた光モジュール200の一例を表す。図18(A)は上面図、図18(B)は光伝送方向に沿った断面図である。光モジュール200は、たとえばサーバシステムで、各サーバブレードをバックプレーンへ接続するときに用いられる。光モジュール200は、接続にボード201上に、電気コネクタ220、フレキシブル電気回路基板(FPC)202上に配置された光電変換素子204、202、光コネクタ230、光コネクタ230と光電変換素子204、202とを接続する光導波路210を含む。
【0059】
光導波路210は、たとえばポリマー光導波路であり、図3または図4のようにコア端面が透明部材で覆われた光導波路である。光導波路の先端は光コネクタ230の図示しない挿入穴の穴底面と接触しており、コア端面は接触面よりもFPC202側に後退している。光コネクタ230は、上述したコネクタ本体の構成の任意の構成を採用する。
【0060】
FPC202は、少なくとも上面に導体がパターニングされており、受光素子206、発光素子204の少なくともどちらか1つがフェイスダウン実装されている。受光素子206、発光素子204のフェイスダウン実装はフリップチップボンダーなどの一般的な電気素子実装方法で実現可能である。また発光素子204としてVCSEL(Vertical Cavity Semiconductor Emission Laser)アレイ、受光素子206としてPD(Photo Diode)アレイが利用できる。FPC202上には、発光素子204を駆動するための駆動用IC203、受光素子206からの電流を電圧に変換するためのTIA(TransImpedance Amplifier)205などが実装されていてもよい。
【0061】
FPC202は、ポリイミド等の薄くて高周波で電気信号の損失の少なく、かつ透明な材料が用いられる。FPC202の下側には透明材料で構成される図示しないレンズシートが接着層を介して貼り付けられている。レンズシートの下側には受光素子206へと入射する光、又は発光素子204から出力する光を結合するための光導波路210が貼り付けられている。光導波路210には、光路を90度曲げるためのミラー(不図示)が形成されている。
【0062】
このような光モジュールを用いることで損失の少ない高速伝送路を構成することができる。
【0063】
以上のように、実施例の構成及び方法によれば、研磨工程やクリーンルーム環境を必要とせずに、低コストで信頼性の高い光伝送路を作製することができる。また、光伝送路を用いた光モジュールは、損失を低減した高速光伝送に適している。
【0064】
以上の説明に対し、以下の付記を提示する。
(付記1)
光導波路挿入穴を有するコネクタ本体と、
コアと、前記コアの外周に設けられ、前記コアよりも小さい屈折率を有するクラッドを備える光導波路と、
前記光導波路のコア端面に接する第1の透明部材と、
前記光導波路挿入穴の穴底面と接する第2の透明部材とを有し、
前記第2の透明部材と前記光導波路挿入穴の穴底面との接触面積が、前記コアと前記第1の透明部材との接触面積より大きいことを特徴とする光伝送路。
(付記2)
前記コア端面から出射された光の光径は、前記第2の透明部材と前記光導波路挿入穴の穴底面との接触面において、コア径よりも広がっていることを特徴とする付記1に記載の光伝送路。
(付記3)
前記第2の透明部材と前記光導波路挿入穴の穴底面との接触面と前記コアと前記第1の透明部材との接触面が前記光導波路の光伝送方向の異なる位置にあることを特徴とする付記1または2に記載の光伝送路。
(付記4)
前記光導波路挿入穴の穴底は光透過部材で形成され、前記第2の透明部材端面と前記光導波路挿入穴の穴底面の接触面の裏側にレンズを有し、前記コア端面からの出射光を集光またはコリメートすることを特徴とする付記1〜3のいずれか1に記載の光伝送路。
(付記5)
前記第1透明部材の屈折率が、前記コアの屈折率に略等しいことを特徴とする付記1〜4のいずれか1に記載の光伝送路。
(付記6)
前記第1の透明部材と、前記第2の透明部材が同じ材料であることを特徴とする付記1〜5のいずれか1に記載の光伝送路。
(付記7)
前記コアと前記第1および第2の透明部材が同じ材料であることを特徴とする付記6に記載の光伝送路。
(付記8)
前記コネクタ本体は、前記光導波路挿入穴と連通して外気と通じる空気溝を有し、
前記空気溝の前記光導波路挿入穴の幅方向に沿った寸法は、前記光導波路挿入穴の幅よりも小さいことを特徴とする付記1〜7のいずれか1に記載の光伝送路。
(付記9)
前記コネクタ本体は、前記光導波路が挿入される側の基部と、挿入方向先端側の先端部とが分離可能に構成され、前記先端部の背面が、前記光導波路挿入穴の前記穴底面を構成することを特徴とする付記1〜7のいずれか1に記載の光伝送路。
(付記10)
前記コネクタ本体は、複数の前記光導波路挿入穴を含み、
前記複数の光導波路挿入穴の各々が、前記空気溝に連通することを特徴とする付記8に記載の光伝送路。
(付記11)
前記コネクタ本体は、複数の前記光導波路を挿入する階段状の挿入開口部と、前記挿入開口部から挿入方向先端側に向かって延びる複数の前記光導波路挿入穴とを有し、
前記各光導波路挿入穴の一方の主壁面は、光導波路挿入方向と平行であり、他方の主壁面はテーパー形状を有することを特徴とする付記1〜7のいずれか1に記載の光伝送路。
(付記12)
付記1〜11のいずれか1に記載の光伝送路と、
前記光伝送路に接続される光電変換素子と
を含む光モジュール。
(付記13)
コアと、前記コアの外周に設けられ前記コアよりも小さい屈折率を有するクラッドと、前記光導波路のコア端面に接する透明部材を備える光導波路をコネクタの光導波路挿入穴に挿入し、
前記光導波路を前記コネクタの前記光導波路挿入穴の穴低面側に押し込むことを特徴とする光伝送路の製造方法。
(付記14)
前記光導波路は、
基材上方にクラッド部分の一部を形成するための下部クラッド層を形成し、
前記下部クラッド上にコア部分を形成するための感光性組成物層を形成し、
前記感光性組成物層を露光、現像して光導波路のコア形状に加工し、
前記コア層の露出面を覆うように、前記下部クラッド層及びコア層の上に上部クラッド層を圧着、加熱処理して光導波路を形成し、
前記コアからコアの光伝送方向端部より所定の距離離れた位置で前記光導波路を切断して製造されることを特徴とする付記13に記載の光伝送路の製造方法。
(付記15)
前記光導波路を前記コネクタの光導波路挿入穴に挿入する前に、前記コネクタの光導波路挿入穴に硬化後に透明となる接着剤を注入することを特徴とする付記13または14に記載の光伝送路の製造方法。
【産業上の利用可能性】
【0065】
光インターコネクトを含む光伝送の分野に利用可能である。一例として、サーバーやハイエンドコンピュータシステムの高速伝送路に適用することができる。
【符号の説明】
【0066】
1A、1B、1C 光伝送路
10 光導波路
11 コア
12 クラッド
15、15a、15b 透明部材
20、40、50、60、70 コネクタ本体
21、41、51、61、71 光導波路用スリット(光導波路挿入穴)
22、42、52、62−1、62−2、72−1、72−2 スリット底面
23、43、53、63、73 キャビティ
24、34、44、54、64−1、64−2、74−1、74−2 マイクロレンズ
30 光コネクタ
31 接触面
64A、74A マイクロレンズアレイ
80 導波路アレイ
200 光モジュール
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光導波路挿入穴を有するコネクタ本体と、
コアと、前記コアの外周に設けられ、前記コアよりも小さい屈折率を有するクラッドを備える光導波路と、
前記光導波路のコア端面に接する第1の透明部材と、
前記光導波路挿入穴の穴底面と接する第2の透明部材とを有し、
前記第2の透明部材と前記光導波路挿入穴の穴底面との接触面積が、前記コアと前記第1の透明部材との接触面積より大きいことを特徴とする光伝送路。
【請求項2】
前記コア端面から出射された光の光径は、前記第2の透明部材と前記光導波路挿入穴の穴底面との接触面において、コア径よりも広がっていることを特徴とする請求項1に記載の光伝送路。
【請求項3】
前記第2の透明部材と前記光導波路挿入穴の穴底面との接触面と前記コアと前記第1の透明部材との接触面が前記光導波路の光伝送方向の異なる位置にあることを特徴とする請求項1または2に記載の光伝送路。
【請求項4】
前記光導波路挿入穴の穴底は光透過部材で形成され、前記第2の透明部材端面と前記光導波路挿入穴の穴底面の接触面の裏側にレンズを有し、前記コア端面からの出射光を集光またはコリメートすることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の光伝送路。
【請求項5】
前記第1透明部材の屈折率が、前記コアの屈折率に略等しいことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の光伝送路。
【請求項6】
前記第1の透明部材と、前記第2の透明部材が同じ材料であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の光伝送路。
【請求項7】
前記コアと前記第1および第2の透明部材が同じ材料であることを特徴とする請求項6に記載の光伝送路。
【請求項8】
コアと、前記コアの外周に設けられ前記コアよりも小さい屈折率を有するクラッドと、前記光導波路のコア端面に接する透明部材を備える光導波路をコネクタの光導波路挿入穴に挿入し、
前記光導波路を前記コネクタの前記光導波路挿入穴の穴低面側に押し込むことを特徴とする光伝送路の製造方法。
【請求項9】
前記光導波路は、
基材上方にクラッド部分の一部を形成するための下部クラッド層を形成し、
前記下部クラッド上にコア部分を形成するための感光性組成物層を形成し、
前記感光性組成物層を露光、現像して光導波路のコア形状に加工し、
前記コア層の露出面を覆うように、前記下部クラッド層及びコア層の上に上部クラッド層を圧着、加熱処理して光導波路を形成し、
前記コアからコアの光伝送方向端部より所定の距離離れた位置で前記光導波路を切断して製造されることを特徴とする請求項8に記載の光伝送路の製造方法。
【請求項10】
前記光導波路を前記コネクタの光導波路挿入穴に挿入する前に、前記コネクタの光導波路挿入穴に硬化後に透明となる接着剤を注入することを特徴とする請求項8または9に記載の光伝送路の製造方法。
【請求項1】
光導波路挿入穴を有するコネクタ本体と、
コアと、前記コアの外周に設けられ、前記コアよりも小さい屈折率を有するクラッドを備える光導波路と、
前記光導波路のコア端面に接する第1の透明部材と、
前記光導波路挿入穴の穴底面と接する第2の透明部材とを有し、
前記第2の透明部材と前記光導波路挿入穴の穴底面との接触面積が、前記コアと前記第1の透明部材との接触面積より大きいことを特徴とする光伝送路。
【請求項2】
前記コア端面から出射された光の光径は、前記第2の透明部材と前記光導波路挿入穴の穴底面との接触面において、コア径よりも広がっていることを特徴とする請求項1に記載の光伝送路。
【請求項3】
前記第2の透明部材と前記光導波路挿入穴の穴底面との接触面と前記コアと前記第1の透明部材との接触面が前記光導波路の光伝送方向の異なる位置にあることを特徴とする請求項1または2に記載の光伝送路。
【請求項4】
前記光導波路挿入穴の穴底は光透過部材で形成され、前記第2の透明部材端面と前記光導波路挿入穴の穴底面の接触面の裏側にレンズを有し、前記コア端面からの出射光を集光またはコリメートすることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の光伝送路。
【請求項5】
前記第1透明部材の屈折率が、前記コアの屈折率に略等しいことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の光伝送路。
【請求項6】
前記第1の透明部材と、前記第2の透明部材が同じ材料であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の光伝送路。
【請求項7】
前記コアと前記第1および第2の透明部材が同じ材料であることを特徴とする請求項6に記載の光伝送路。
【請求項8】
コアと、前記コアの外周に設けられ前記コアよりも小さい屈折率を有するクラッドと、前記光導波路のコア端面に接する透明部材を備える光導波路をコネクタの光導波路挿入穴に挿入し、
前記光導波路を前記コネクタの前記光導波路挿入穴の穴低面側に押し込むことを特徴とする光伝送路の製造方法。
【請求項9】
前記光導波路は、
基材上方にクラッド部分の一部を形成するための下部クラッド層を形成し、
前記下部クラッド上にコア部分を形成するための感光性組成物層を形成し、
前記感光性組成物層を露光、現像して光導波路のコア形状に加工し、
前記コア層の露出面を覆うように、前記下部クラッド層及びコア層の上に上部クラッド層を圧着、加熱処理して光導波路を形成し、
前記コアからコアの光伝送方向端部より所定の距離離れた位置で前記光導波路を切断して製造されることを特徴とする請求項8に記載の光伝送路の製造方法。
【請求項10】
前記光導波路を前記コネクタの光導波路挿入穴に挿入する前に、前記コネクタの光導波路挿入穴に硬化後に透明となる接着剤を注入することを特徴とする請求項8または9に記載の光伝送路の製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16A】
【図16B】
【図16C】
【図16D】
【図16E】
【図18】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16A】
【図16B】
【図16C】
【図16D】
【図16E】
【図18】
【図17】
【公開番号】特開2013−20027(P2013−20027A)
【公開日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−152282(P2011−152282)
【出願日】平成23年7月8日(2011.7.8)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年7月8日(2011.7.8)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】
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