説明

光源装置、露光装置および画像形成装置

【課題】光源装置の生産性を向上し、製造コストを低減させる。
【解決手段】半導体レーザ130と、半導体レーザ130からのレーザ光を光束に変換するカップリングレンズ140と、半導体レーザ130を保持するレーザホルダ110と、カップリングレンズ140を保持し、レーザホルダ110に対し離間した状態で光硬化性樹脂119により位置決め固定されたレンズホルダ120とを有する光源装置である。レンズホルダ120は、カップリングレンズ140のレーザ光の出射側の面を支持している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光源装置ならびにこの光源装置を利用した露光装置および画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、電子写真方式の画像形成装置としてのレーザプリンタやデジタル複写機において、露光装置は、印刷すべき画像のデータに対応してレーザ光線により感光体を走査し、感光体上に静電潜像を形成している。
このような走査を行う露光装置においては、光源として半導体レーザを使用するのが一般的である。半導体レーザから出射される光は拡散光であるため、半導体レーザの前方(本明細書において、光軸方向における下流側をいう)には、拡散光を平行な光束に変換するためのカップリングレンズ(コリメートレンズ)が設けられている。
【0003】
良好な画像を形成するためには、感光体の露光面においてレーザ光を小さな点に収斂させなければならない。このために、半導体レーザとカップリングレンズの間の光軸方向の距離は、数μm〜数百μmの単位で厳密に位置決めをする必要がある。詳しくは、カップリングレンズによる焦点合わせは、カップリングレンズの出射側の面と半導体レーザの距離が重要であるので、半導体レーザとカップリングレンズの出射側の面との光軸方向における距離を特に厳密に決める必要がある。
【0004】
従来のカップリングレンズの位置決め・固定方法としては、特許文献1に開示されたように、カップリングレンズの入射面側にレンズ支持部材を取り付け、このレンズ支持部材を移動させることで光軸に垂直な方向の位置調整を行っているものがある。
【0005】
【特許文献1】特開2004−163463号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、カップリングレンズは、製造誤差により個々の寸法・形状が微妙に異なる。そのため、カップリングレンズの入射面をレンズ支持部材に当てて取り付けた後、レンズ支持部材の位置調整を行った場合、カップリングレンズの出射面と半導体レンズとの距離を厳密に調節するためにレンズの厚みの誤差の分の調整も行わなければならず、生産性が低下するという問題がある。
【0007】
また、本出願人らは、生産性の向上および生産コストの低下を目的として、半導体レーザを保持する第1のホルダに対し、カップリングレンズを位置決め・固定する新たな手法を検討している。この手法は、カップリングレンズを第2のホルダに固定し、この第2のホルダを第1のホルダに対し離間して保持・位置合わせする。そして、位置合わせが終わった状態で光硬化性樹脂により第1のホルダと第2のホルダを接着する、というものである。
【0008】
このような構成を採用して光源装置を製造する場合、カップリングレンズと半導体レーザの距離だけでなく、カップリングレンズの向きや、光軸に直交する上下左右の位置をロボットハンドで調整する。そのため、カップリングレンズの厚みに誤差があると、第2のホルダ材を保持・位置決めする調整に時間がかかる。また、レンズの厚みの誤差が大きいと、場合によっては調整しきれないこともある。つまり、感光体上に正しく焦点を結べないおそれがある。一方、この調整を可能にしまたはこの調整量を小さくするために、カップリングレンズと第2のホルダを寸法の違いごとに複数グループに分けて管理し、カップリングレンズと第2のホルダの組合せを選択することで誤差が小さくなるように調整する方法もあるが、生産性の悪化は避けられない。
【0009】
本発明は、以上のような背景に鑑みてなされたものであり、カップリングレンズを半導体レーザに対し位置決め・固定する場合において、生産性を向上し、また、製造コストを抑えることが可能な光源装置ならびにこの光源装置を用いた露光装置および画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記した課題を解決するため、本発明の光源装置は、レーザ光を発光する発光素子と、前記発光素子からのレーザ光を光束に変換するカップリングレンズと、前記発光素子を保持する第1のホルダと、前記カップリングレンズを保持し、前記第1のホルダに対し離間した状態で接着剤により位置決め固定された第2のホルダとを有する光源装置であって、前記第2のホルダは、前記カップリングレンズの前記レーザ光の出射側の面を支持していることを特徴とする。
【0011】
このような光源装置によると、第2のホルダはカップリングレンズの出射側の面を支持しているので、第2のホルダを保持して発光素子に対するカップリングレンズの位置決めを行った場合、カップリングレンズの出射側の面の位置は、カップリングレンズの厚みの影響を受けない。したがって、発光素子に対するカップリングレンズの位置決めが容易となり、生産性の向上、生産コストの低下を図ることができる。
【0012】
また、このような光源装置を利用した露光装置は、感光体上に光を走査させて静電潜像を形成するための露光装置であって、光源装置と、前記光源装置から出射されたレーザ光を絞るシリンドリカルレンズと、前記シリンドリカルレンズを通過したレーザ光を反射して、主走査方向に偏向および走査させる偏向器と、前記偏向器により偏向および走査されたレーザ光を前記感光体に結像させる走査レンズとを備えて構成できる。
【0013】
さらに、このような露光装置を利用した画像形成装置は、記録シート上に画像を形成する画像形成装置であって、露光装置と、前記露光装置によりレーザ光が走査されて静電潜像が形成される感光体と、前記感光体に現像剤を供給する現像手段と、前記現像剤で形成された像を前記記録シート上に転写する転写手段とを備えて構成できる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、光源装置の生産性を向上し、生産コストの低下を図ることができる。また、この光源装置を用いた露光装置および画像形成装置の生産性を向上し、生産コストの低下を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
<レーザプリンタの全体構成>
次に、本発明の実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。
参照する図面において、図1は、本発明の実施形態に係るレーザプリンタの側断面図であり、図2は、スキャナ部の平面図である。
図1に示すように、レーザプリンタ1は、本体ケーシング2内に用紙3を給紙するためのフィーダ部4や、給紙された用紙3に画像を形成するための画像形成部5などを備えている。
【0016】
<フィーダ部の構成>
フィーダ部4は、本体ケーシング2内の底部に着脱可能に装着される給紙トレイ6と、給紙トレイ6内に設けられた用紙押圧板7を備えている。また、フィーダ部4は、給紙トレイ6の一端側端部の上方に設けられる給紙ローラ8および給紙パット9と、給紙ローラ8に対し用紙3の搬送方向の下流側に設けられる紙粉取りローラ10,11を備えている。さらに、フィーダ部4は、紙粉取りローラ10,11に対して下流側に設けられるレジストローラ12を備えている。
【0017】
そして、このように構成されるフィーダ部4では、給紙トレイ6内の用紙3が、用紙押圧板7によって給紙ローラ8側に寄せられ、この給紙ローラ8および給紙パット9で送り出されて各種ローラ10〜12を通った後一枚ずつ画像形成部5に搬送されるようになっている。
【0018】
<画像形成部の構成>
画像形成部5は、スキャナ部16、プロセスカートリッジ17、定着部18などを備えている。
【0019】
<スキャナ部の概略構成>
スキャナ部16は、本体ケーシング2内の上部に設けられ、図2に示すように、光源装置100、シリンドリカルレンズ25、ポリゴンミラー19、fθレンズ20、反射鏡22を備えている。シリンドリカルレンズ25は、ポリゴンミラー19の面倒れを補正するために、光源装置100からのレーザ光を副走査方向に絞って、ポリゴンミラー19に入射させる。ポリゴンミラー19は、六角形の各辺の部分に鏡が形成されたもので、それ自身回転されつつ、シリンドリカルレンズ25を通過したレーザ光を反射することで、主走査方向にレーザ光を偏向および走査する。fθレンズ20は、ポリゴンミラー19により等角速度で走査されたレーザ光を、等速度で走査するように変換しつつ、感光ドラム27の表面にレーザ光を結像させる。
【0020】
また、スキャナ部16は、反射鏡22で下方に向けられたレーザ光を感光ドラム27へ向けるべく、図1に示すように補正レンズ21、反射鏡23,24を備えている。これらの各部材は、ケース101に適宜取り付けられている。
光源装置100の構成の詳細については、後述する。
【0021】
<プロセスカートリッジの構成>
プロセスカートリッジ17は、スキャナ部16の下方に配設され、本体ケーシング2に対して着脱自在に装着される構造となっている。そして、このプロセスカートリッジ17の外枠を構成する中空の筐体51内には、現像カートリッジ28、感光ドラム27、スコロトロン型帯電器29および転写ローラ30が主に設けられている。
【0022】
現像カートリッジ28は、筐体51に対して着脱自在に装着されており、現像ローラ31、層厚規制ブレード32、供給ローラ33およびトナーホッパ34を備えている。そして、トナーホッパ34内に貯留されているトナーは、供給ローラ33の矢印方向(反時計方向)への回転により、現像ローラ31に供給され、このとき、供給ローラ33と現像ローラ31との間で正に摩擦帯電される。現像ローラ31上に供給されたトナーは、現像ローラ31の矢印方向(反時計方向)への回転に伴なって、層厚規制ブレード32と現像ローラ31との間に進入し、一定厚さの薄層として現像ローラ31上に担持される。
【0023】
感光ドラム27は、筐体51に、矢印方向(時計方向)へ回転可能に支持されている。この感光ドラム27は、ドラム本体が接地されるとともに、その表面部分が正帯電性の感光層により形成されている。
【0024】
スコロトロン型帯電器29は、感光ドラム27の上方に、感光ドラム27に接触しないように、所定間隔を隔てて対向配置されている。このスコロトロン型帯電器29は、タングステンなどの帯電用ワイヤからコロナ放電を発生させる正帯電用のスコロトロン型の帯電器であり、感光ドラム27の表面を一様に正極性に帯電させるように構成されている。
【0025】
転写ローラ30は、感光ドラム27の下方において、この感光ドラム27に対向して接触するように配置され、筐体51に、矢印方向(反時計方向)へ回転可能に支持されている。この転写ローラ30は、金属製のローラ軸に、導電性のゴム材料が被覆されて構成されている。この転写ローラ30には、転写時に、定電流制御によって転写バイアスが印加される。
【0026】
そして、感光ドラム27の表面は、スコロトロン型帯電器29により一様に正帯電された後、スキャナ部16からのレーザ光の高速走査により露光される。これにより、露光された部分の電位が下がって、画像データに基づく静電潜像が形成される。ここで、「静電潜像」とは、一様に正帯電されている感光ドラム27の表面のうち、レーザ光によって露光されて電位が下がっている露光部分をいう。次いで、現像ローラ31の回転により、現像ローラ31上に担持されているトナーが、感光ドラム27に対向して接触する時に、感光ドラム27の表面上に形成される静電潜像に供給される。そして、トナーは、感光ドラム27の表面上で選択的に担持されることによって可視像化され、これによって反転現像によりトナー像が形成される。
【0027】
その後、感光ドラム27と転写ローラ30とは、用紙3を両者間で挟持して搬送するように回転駆動され、感光ドラム27と転写ローラ30との間を用紙3が搬送されることにより、感光ドラム27の表面に担持されているトナー像が用紙3上に転写される。
【0028】
<定着部の構成>
定着部18は、プロセスカートリッジ17の下流側に配設され、加熱ローラ41、加熱ローラ41と対向して配置され加熱ローラ41を押圧する加圧ローラ42、および、これら加熱ローラ41および加圧ローラ42の下流側に設けられる1対の搬送ローラ43を備えている。そして、このように構成される定着部18では、用紙3上に転写されたトナーを、用紙3が加熱ローラ41と加圧ローラ42との間を通過する間に熱定着させ、その後、その用紙3を搬送ローラ43によって、排紙パス44に搬送するようにしている。なお、排紙パス44に送られた用紙3は、排紙ローラ45によって排紙トレイ46上に排紙されるか、あるいは、排紙ローラ45の逆回転およびフラッパ49の切替によって装置内に戻されて、複数の反転搬送ローラ50で画像形成部5の上流側に反転状態で再供給されて両面印刷がなされるようになっている。
【0029】
<光源装置の構成>
図3は、光源装置の分解斜視図であり、図4は、光源装置の外観斜視図である。また、図5は、レンズホルダを入射面側から見た図であり、図6は、レンズホルダとカップリングレンズを分解した状態の断面図(a)と、組み立てた状態の断面図(b)と、カップリングレンズをその入射面側でレンズホルダに固定した参考図(c)である。
【0030】
図3に示すように、光源装置100は、第1のホルダであるレーザホルダ110に発光素子の一例としての半導体レーザ130が固定され、第2のホルダであるレンズホルダ120に、カップリングレンズ140が固定されている。そして、レンズホルダ120は、図4に示すように、レーザホルダ110に対して接着剤の一例である光硬化性樹脂119により接着されて固定される。
【0031】
図3に示すように、カップリングレンズ140は、樹脂またはガラスなどからなる凸レンズであり、半導体レーザ130から出射されるレーザ光を集束させて光束に変換するものである。カップリングレンズ140は、出射面141に凸曲面を有し、入射面145が平面となっている(図6(a)参照)。出射面141の縁部には、光軸に垂直な平面部142が形成されている。この平面部142は、後述するようにレンズホルダ120に当接してレンズホルダ120との光軸方向の位置決めをする面となる。
【0032】
レーザホルダ110およびレンズホルダ120は、共にアルミニウム合金からなる板材を板金加工してなる部材である。このように、レーザホルダ110とレンズホルダ120とは、熱膨張率が等しい材質で構成されているのが望ましく、例えば、同種の金属からなることが望ましい。これにより、周囲の温度変化があった場合でも、レーザホルダ110とレンズホルダ120の光硬化性樹脂119による接着が外れることがない。また、レーザホルダ110とレンズホルダ120は、板金で構成することにより極めて低コストで製造することができる。それでありながら、後述するレンズホルダ120の固定方法により、半導体レーザ130とカップリングレンズ140の位置関係は高精度に位置決めすることができる。
【0033】
レーザホルダ110は、半導体レーザ130が固定されるレーザ保持壁111と、レーザ保持壁111の下端から前方に延びた底壁112と、底壁112の左右両端から上に延びた右側壁113および左側壁114とを備えてなる。
【0034】
レーザ保持壁111には、貫通孔111a(図6(a)参照)が形成され、この貫通孔111aに半導体レーザ130が圧入などにより固定される。
【0035】
底壁112には、取付孔112aが形成され、前記したスキャナ部16のケース101にネジ止めにより固定が可能となっている。
【0036】
右側壁113および左側壁114のそれぞれの上端には、レンズホルダ120が挿入される取付溝115が形成されている。取付溝115の前後方向の幅は、レンズホルダ120の板厚よりも広く形成されている。このため、レンズホルダ120は、光硬化性樹脂119で固定される前に、取付溝115の幅内で、その位置を調整するため移動可能となっている。また、レンズホルダ120は、レーザホルダ110に対し、光硬化性樹脂119を介して離間した状態で位置決め固定されている。
【0037】
レンズホルダ120は、右側壁113および左側壁114の外側の面同士の距離に対応した幅(左右方向の大きさ)を有している。レンズホルダ120の左右両端は、下側の面が端部から所定範囲で水平に延びて接着部121となっている。接着部121は、レーザホルダ110の取付溝115の底面と平行に形成されることで、光硬化性樹脂119による接着が良好となる。
【0038】
レンズホルダ120は、図5および図6(a)に示すように、レーザ光の入射面側に、カップリングレンズ140を配置する凹部123が形成されている。
凹部123は、図6(a)に示すように、レーザ光の入射面側に近い浅い段部として形成された取付面部123aと、底部123bとを有する。
取付面部123aは、図6(b)に示すように、カップリングレンズ140の平面部142と当接して、カップリングレンズ140をその光軸方向において位置決めする部分となる。
底部123bには、中央に、レーザ光の幅(レーザ光の光軸に直交する断面の大きさで、ここでは、特に図5の上下方向の幅)を絞る略長方形の絞り(アパーチャ)122が形成されている。すなわち、絞り122は、レンズホルダ120に一体に形成されている。絞り122は、図5における左右方向に長手方向が向いている。この長手方向は、本実施形態の場合、レーザ光の走査方向に沿っており主走査方向という。そして、この主走査方向に直交する方向、つまり、図5における上下方向は、副走査方向という。
【0039】
凹部123は、図5に示すように、入射面側から見た輪郭がカップリングレンズ140の外径(図5において二点鎖線で示す)よりも一回り大きく形成されている。凹部123の輪郭は、カップリングレンズ140の外径に沿った円形ではなく、図5における右端およびこの右端から120度ずれた位置の3箇所で内側に突出して、3つのレンズ保持凸部124を形成している。また、凹部123の輪郭は、図5における上端および下端、つまり副走査方向の2箇所で外側に突出して、接着剤保持部125を形成している。
【0040】
レンズ保持凸部124は、内側に突出した先端の3点が、カップリングレンズ140の外径の円と接するように配置され、これにより、カップリングレンズ140をレンズホルダ120の平面位置において一定の位置に位置決めするようになっている。
【0041】
接着剤保持部125は、カップリングレンズ140をレンズホルダ120に固定する際に光硬化性樹脂などの接着剤を配置する部分である。接着剤保持部125は、小さな凹み形状として形成されることで、接着剤がその表面張力により収まりやすいようになっている。また、接着剤保持部125は、凹部123のうち、副走査方向に配置されているので、レーザ光から遠くなっている。そのため、接着剤はレーザ光と干渉しにくく、このような接着剤保持部125の配置はカップリングレンズ140を小型化するのに貢献できる。
【0042】
以上のような構成の光源装置100を組み立てる際には、まず、レーザホルダ110に半導体レーザ130を圧入などにより固定する。一方、レンズホルダ120の取付面部123aにカップリングレンズ140の平面部142が当たるようにして位置決めし、光硬化性樹脂129でこれらを互いに接着する。
そして、レーザホルダ110の取付溝115に光硬化性樹脂119を塗布する。次に、レンズホルダ120を、図示しないロボットハンドで挟持し、半導体レーザ130を発光させ、カップリングレンズ140を通過したレーザ光の焦点を確認しながら、取付溝115内でカップリングレンズ140(レンズホルダ120)の位置調整をする。
位置調整が終了した後、レーザホルダ110を静止させたまま、紫外線を光硬化性樹脂119に照射することで光硬化性樹脂119を硬化させる。光硬化性樹脂119がほぼ完全に硬化すれば、光源装置100の組立が完了する。
【0043】
このような光源装置100によれば、カップリングレンズ140は、レーザ光の出射面側に光軸と交差する面である平面部142を有し、この平面部142でレンズホルダ120の入射面側と位置決めされているので、カップリングレンズ140の厚みの誤差が大きくても、半導体レーザ130に対するカップリングレンズ140の出射面側の位置は影響を受けない。例えば図6(b)に示すように、半導体レーザ130の発光部131からカップリングレンズ140の出射面141側の位置(便宜的に出射側に最も突出した位置で示す)までの距離d1は、カップリングレンズ140の厚みにより影響を受けない。これに対し、図6(c)に示すように、カップリングレンズ140の入射面145側をレンズホルダ220に当てて光軸方向の位置決めをした場合には、半導体レーザ130の発光部131からカップリングレンズ140の出射面141側の位置までの距離d2は、カップリングレンズ140の厚みの影響を受ける。
【0044】
カップリングレンズ140によるレーザ光の収束は、入射面145側の面での屈折よりも、出射面141側の面での屈折の方が影響が大きく、そのため、本実施形態のように、出射面141側の位置がレンズの厚みの影響を受けないことで、レーザ光の焦点を合わせやすくなる。すなわち、レンズホルダ120の位置・向きをロボットハンドで調整する際に、調整量が小さくなるため、調整時間が短くてすむ。したがって、光源装置100の生産性を向上させることができる。
【0045】
また、調整量が小さくなることにより、カップリングレンズ140の厚みのばらつきが大きくても、取付溝115の間内で十分にレンズホルダ120を正しい位置に位置決めできる。そのため、カップリングレンズ140の厚みやレンズホルダ120の取付面部123aの位置ごとに、これらの部品を寸法に応じて段階的にグループ分けして管理し、良好な組み合わせを作る必要が無くなり、生産性が向上する。
【0046】
さらに、カップリングレンズ140の出射面側に絞り122を配置したことから、ほぼ平行な光束に集束されたレーザ光を絞り122で絞っているので、絞り122を通過した光束の幅は、レンズホルダ120の半導体レーザ130からの距離にかかわらず一定になる。このことを、従来の例と比較して説明する。
【0047】
図6(c)に示すように、カップリングレンズ140の入射面側に絞り222があった場合、絞り222を通過したレーザ光は、未だ広がっており、カップリングレンズ140の出射面側を通過して初めてほぼ平行光となる。そのため、距離d2がカップリングレンズ140の厚みの影響を受けるこの形態では、カップリングレンズ140の厚みおよび絞り222の位置の誤差により、カップリングレンズ140を通過した後の光束の幅がばらつきやすい。これに対し、上述した本実施形態(図6(b))では、平行光になった後に絞り122でレーザ光を絞っているので、光束の幅はばらつかない。
【0048】
また、図6(b)に示すように、本実施形態の光源装置100では、レンズホルダ120の入射面側にカップリングレンズ140を配置し、カップリングレンズ140の入射側の縁部において光硬化性樹脂129でレンズホルダ120に接着している。一方、図6(c)に示すように、参考例の光源装置200では、レンズホルダ220の出射面側において、光硬化性樹脂229を配置している。これらの図を見て分かるように、本実施形態の光源装置100では、光硬化性樹脂129が若干レーザ光の方にはみ出てきても、カップリングレンズ140の入射面側では、レーザ光があまり広がっていないため、レーザ光とはみ出した接着剤とが干渉しにくい。そのため、光源装置100の不良を防止し、また、カップリングレンズ140の小型化に貢献することができる。
【0049】
以上のように、本実施形態の光源装置100およびこれを利用したスキャナ部16およびレーザプリンタ1によれば、生産性が向上し、その結果生産コストを低減することができる。
【0050】
次に、上述の実施形態に係る光源装置の一部を変えた変形例および参考例を示す。
図7(a)から(c)は、絞りの縁部の形状を変えた変形例に係る図である。
図7(a)に示すように、第1変形例に係る光源装置300は、レンズホルダ320の絞り322の周辺部が、全体として出射面側に突出していて、カップリングレンズ140に対向する対向面323が漏斗状となっている。すなわち、絞り322の少なくともレーザ光に当たる縁部はレーザ光の光軸に垂直な面に対して傾斜している。そのため、この対向面323に当たったレーザ光は、半導体レーザ130の発光部131に向かっては反射せず、発光部131から大きくずれた位置へ向かって反射する。
半導体レーザ130は、通常、出力を一定にするためのフィードバック制御を行っており、そのため、発光部131の近傍に、出力のセンサが設けられている。そのため、絞り322の縁部で反射した光が発光部131に戻ると、出力が不安定になるおそれがある。しかし、この第1変形例によれば、絞り322のレーザ光が当たる縁部で反射した光は、発光部131に戻らないので、このような問題が解消される。
【0051】
図7(b)に示す第2変形例においては、レンズホルダ420の絞り422の入射側の縁部に面取り423が形成されている。このように、小さな面取り423であっても、レーザ光が当たる範囲に、レーザ光の光軸に直交する面に対し傾斜するように形成されていれば、この面取り423で反射した光が発光部131に戻らず、半導体レーザ130の出力が安定する。
【0052】
また、図7(c)に示す第3変形例のように、レンズホルダ520に形成する絞り522の内周自体をレーザ光の光軸に沿った向きにするのではなく、テーパ状に形成してもよい。この場合においても、第1変形例および第2変形例と同様に、絞り522の内周で反射した光が発光部131に戻らず、半導体レーザ130の出力が安定する。
【0053】
図8は、図6(c)の参考例のレンズホルダを出射面側から見た図である。
図8に示すように、図6(c)のようにカップリングレンズ140の入射側の面をレンズホルダ220に当接させて支持させた場合においても、上述した接着剤保持部125と同様の構成の接着剤保持部225を形成することで、同様の効果を得ることが可能である。
すなわち、カップリングレンズ140が嵌る凹部223の輪郭において、外側に突出した接着剤保持部225を、副走査方向の位置に設けたことで、レーザ光と光硬化性樹脂229が干渉しにくくなり、光源装置200の不良を防止し、また、カップリングレンズ140の小型化を図ることができる。
【0054】
また、レンズホルダ220におけるカップリングレンズ140の入射面を支持する支持部位は、図6(c)および図8に示すように、カップリングレンズ140の外縁よりも副走査方向へ突出する2つの突出部230を有している。そして、支持部位の突出部230以外の部位は、カップリングレンズ140の外縁よりもカップリングレンズ140の径方向における内側に位置している。突出部230が、カップリングレンズ140の外縁よりも突出している構成であるので、カップリングレンズ140をレンズホルダ220に位置決めするときに、カップリングレンズ140がガタつくことなく、支持部位に確実に支持される。
【0055】
以上に本発明の実施形態について説明したが、本発明は、前記した実施形態に限定されることなく、適宜変形して実施することができる。
【0056】
例えば、図9に示す光源装置600のように入射側と出射側の双方を凸曲面としたカップリングレンズ640を採用しても構わない。
【0057】
前記した実施形態においては、レンズホルダ120(カップリングレンズ140)の位置および向きの調整に、ロボットハンドを用いたが、ゴニオメータにレンズホルダ120を保持させ、手動でレンズホルダ120の位置および向きを調整してもよい。この場合においても、本発明により調整量が少なくなることで、同様の効果を得ることができる。
【0058】
前記実施形態では、画像形成装置の一例としてレーザプリンタ1を例示したが、本発明はこれに限定されず、その他の画像形成装置、例えば複写機や複合機などに本発明を適用してもよい。
前記実施形態では、転写手段の一例として転写ローラ30を採用したが、本発明はこれに限定されず、例えば非接触型のものを採用してもよい。
前記実施形態では、記録シートの一例として、厚紙、はがき、薄紙などの用紙3を例示したが、本発明はこれに限定されず、例えばOHPシートであってもよい。
前記各実施形態では、現像剤の一例としてトナー、現像手段の一例として現像カートリッジ28、偏向器の一例としてポリゴンミラー19、走査レンズの一例としてfθレンズ20、露光装置の一例としてスキャナ部16、感光体の一例として感光ドラム27を採用したが、本発明はこれに限定されるものではない。すなわち、本発明の趣旨を逸脱しない限り、材料や構造を適宜変更可能であることはいうまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】本発明の実施形態に係るレーザプリンタの側断面図である。
【図2】スキャナ部の平面図である。
【図3】光源装置の分解斜視図である。
【図4】光源装置の外観斜視図である。
【図5】レンズホルダを入射面側から見た図である。
【図6】レンズホルダとカップリングレンズを分解した状態の断面図(a)と、組み立てた状態の断面図(b)と、カップリングレンズをその入射面側でレンズホルダに固定した参考図(c)である。
【図7】(a)から(c)は、絞りの縁部の形状を変えた変形例に係る図である。
【図8】図6(c)の参考例のレンズホルダを出射面側から見た図である。
【図9】カップリングレンズの入射面および出射面の双方を凸曲面にした変形例を示す図である。
【符号の説明】
【0060】
1 レーザプリンタ
3 用紙
5 画像形成部
16 スキャナ部
17 プロセスカートリッジ
18 定着部
27 感光ドラム
28 現像カートリッジ
30 転写ローラ
31 現像ローラ
41 加熱ローラ
42 加圧ローラ
100 光源装置
110 レーザホルダ
111 レーザ保持壁
115 取付溝
119 光硬化性樹脂
120 レンズホルダ
123a 取付面部
125 接着剤保持部
129 光硬化性樹脂
130 半導体レーザ
140 カップリングレンズ
141 出射面
142 平面部
145 入射面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーザ光を発光する発光素子と、
前記発光素子からのレーザ光を光束に変換するカップリングレンズと、
前記発光素子を保持する第1のホルダと、
前記カップリングレンズを保持し、前記第1のホルダに対し離間した状態で接着剤により位置決め固定された第2のホルダとを有する光源装置であって、
前記第2のホルダは、前記カップリングレンズの前記レーザ光の出射側の面を支持していることを特徴とする光源装置。
【請求項2】
前記カップリングレンズの前記出射側の面は凸曲面を有してなることを特徴とする請求項1に記載の光源装置。
【請求項3】
前記カップリングレンズの前記出射側の面は、縁部に、光軸に交差する平面部が形成されていることを特徴とする請求項2に記載の光源装置。
【請求項4】
前記第2のホルダは、前記カップリングレンズの出射側に、前記カップリングレンズから出射する前記光束の幅を規定する絞りが一体に形成されていることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の光源装置。
【請求項5】
前記第1のホルダと、前記第2のホルダとは、熱膨張率が等しい材質で構成されていることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の光源装置。
【請求項6】
前記第1のホルダと、前記第2のホルダとは、同種の金属により構成されていることを特徴とする請求項5に記載の光源装置。
【請求項7】
前記カップリングレンズは、前記レーザ光の入射側の縁部において接着剤により前記第2のホルダに固定されていることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の光源装置。
【請求項8】
前記絞りの、少なくとも前記レーザ光が当たる縁部は、前記レーザ光の光軸に垂直な面に対して傾斜していることを特徴とする請求項4に記載の光源装置。
【請求項9】
前記カップリングレンズは、前記レーザ光の出射側および入射側の双方が凸曲面により構成されていることを特徴とする請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の光源装置。
【請求項10】
前記接着剤は、光硬化性樹脂であることを特徴とする請求項1から請求項9のいずれか1項に記載の光源装置。
【請求項11】
感光体上に光を走査させて静電潜像を形成するための露光装置であって、
請求項1から請求項10のいずれか1項に記載の光源装置と、
前記光源装置から出射されたレーザ光を絞るシリンドリカルレンズと、
前記シリンドリカルレンズを通過したレーザ光を反射して、主走査方向に偏向および走査させる偏向器と、
前記偏向器により偏向および走査されたレーザ光を前記感光体に結像させる走査レンズとを備えたことを特徴とする露光装置。
【請求項12】
記録シート上に画像を形成する画像形成装置であって、
請求項11に記載の露光装置と、
前記露光装置によりレーザ光が走査されて静電潜像が形成される感光体と、
前記感光体に現像剤を供給する現像手段と、
前記現像剤で形成された像を前記記録シート上に転写する転写手段とを備えたことを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2008−300591(P2008−300591A)
【公開日】平成20年12月11日(2008.12.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−144525(P2007−144525)
【出願日】平成19年5月31日(2007.5.31)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】