説明

光記録媒体および可視情報記録方法

【課題】コントラストが高く視認性に優れた可視情報を記録することができる光記録媒体、特に、情報記録層への情報の記録に使用するレーザー光と同じレーザー光により、コントラストが高く視認性に優れた可視情報を記録することができる光記録媒体であって、記録された画像の堅牢性に優れた光記録媒体を提供すること。
【解決手段】基板上に可視情報記録層を有する光記録媒体。前記可視情報記録層は、所定の色素を含む少なくとも2種の色素を含有する。前記光記録媒体は、レーザー光を照射して情報の記録および/または再生が可能な記録層を更に有することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光記録媒体に関し、特に、音楽データ等を記録するための記録層と記録されたデータを識別するための可視情報を記録するための可視情報記録層を有する光記録媒体に関する。更に、本発明は、前記光記録媒体への可視情報記録方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、レーザー光により一回限りの情報の記録が可能な光情報記録媒体(光ディスク)が知られている。この光ディスクとしては、追記型CD(所謂CD−R)、追記型デジタル・ヴァサタイル・ディスク(所謂DVD−R)がある。
【0003】
ところで、前記光ディスクには、音楽データ等が記録される記録面とは反対側の面に、記録面に記録した音楽データの楽曲タイトルや、記録したデータを識別するためのタイトル等の可視情報を印刷したラベルを貼付したものが知られている。このような光ディスクは、プリンター等によって円形のラベルシート上にタイトル等を予め印刷し、当該ラベルシートを光ディスクの記録面とは反対側の面に貼付することにより作製される。
【0004】
しかし、上述のようにタイトル等の所望の可視画像をレーベル面に記録した光ディスクを作製する場合には、光ディスクドライブとは別にプリンターが必要となる。従って、光ディスクドライブを用いて、ある光ディスクの記録面に記録を行った後、該光ディスクを光ディスクドライブから取り出して、別途用意したプリンターによって印刷されたラベルシートを貼付するなどといった煩雑な作業を行う必要がある。
【0005】
一方、特許文献1および2には、情報(デジタル情報)記録面と反対の面に設けたレーベル面にレーザー光によって画像を形成することが開示されている。このような方法を用いることで、プリンター等を別途用意することなく、光ディスクドライブによって光ディスクのレーベル面に所望の画像記録を行うことができる。特に、特許文献2に記載の方法のように情報(デジタル情報)の記録または再生に用いるレーザー光源と、画像記録に用いるレーザー光源とを共有することができれば、記録装置のハードウエア資源を削減することもできる。
【特許文献1】特開平11−66617号公報
【特許文献2】特開2002−203321号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1に記載の方法で使用される炭酸ガスレーザー等の高パワーのガスレーザーによって形成された可視画像はコントラストが低く視認性に劣っていた。
一方、特許文献2に記載の画像記録方法では、レーベル面に対して通常のデジタルデータ記録とは異なる軌跡でレーザー光が照射されるため、従来光ディスクの情報(デジタル情報)記録面に使用されていた色素では高コントラストの可視画像を形成することは困難であった。
また、画像表示面に用いられる色素は、保存時および曝光によって褪色しやすく、経時で徐々に画像のコントラストが低下して視認性が長期間保持することができないという課題もあった。
【0007】
かかる状況下、本発明は、コントラストが高く視認性に優れた可視情報を記録することができる光記録媒体、特に、情報記録層への情報の記録に使用するレーザー光と同じレーザー光により、コントラストが高く視認性に優れた可視情報を記録することができる光記録媒体であって、記録された画像の堅牢性に優れた光記録媒体および可視情報記録方法を提供することを目的としてなされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、上記目的を達成するために鋭意検討を重ねた結果、光記録媒体の可視情報記録層において所定の組み合わせの色素を使用することにより、コントラストが高く視認性に優れた可視情報を形成し得ること、画像の堅牢性が優れることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0009】
即ち、上記目的を達成する手段は、以下の通りである。
[1]基板上に可視情報記録層を有する光記録媒体であって、
前記可視情報記録層は、下記一般式(I)、(II)および(III)で表される色素からなる群から選ばれる少なくとも2種の色素を含有することを特徴とする光記録媒体。
【化1】

[一般式(I)中、Ra1、Ra2、Ra3、Rb1、Rb2およびRb3は、それぞれ独立に、水素原子または一価の置換基を表し、Ra2とRa3は互いに結合し、5員ないし7員の複素環を形成していてもよく、Aは、置換もしくは無置換の脂肪族基、置換もしくは無置換のアリール基、または置換もしくは無置換の複素環基を表し、nは、0、1、2または3を表し、nが2以上のとき、複数存在するRb2およびRb3は、それぞれ同じでも異なっていてもよい。]
【化2】

[一般式(II)中、Za21およびZa22は、各々独立に、酸性核を形成する原子群を表し、Ma21、Ma22およびMa23は、各々独立に、置換または無置換のメチン基を表し、Ka21は、0〜3の範囲の整数を表し、Ka21が2または3であるとき、複数存在するMa21、Ma22は、それぞれ同じでも異なっていてもよく、Qは、一価の陽イオンを表す。]
【化3】

[一般式(III)中、A1は置換もしくは無置換の複素環基、置換脂肪族基または置換もしくは無置換の炭素環基であり、B1は置換もしくは無置換の複素環基または置換もしくは無置換のアリール基である。]
[2]前記可視情報記録層は、前記一般式(I)で表される色素および前記一般式(II)で表される色素を含有する[1]に記載の光記録媒体。
[3]前記可視情報記録層は、前記一般式(II)で表される色素および前記一般式(III)で表される色素を含有する[1]に記載の光記録媒体。
[4]前記可視情報記録層は、前記一般式(I)で表される色素、前記一般式(II)で表される色素および前記一般式(III)で表される色素を含有する[1]に記載の光記録媒体。
[5]前記一般式(I)で表される色素は、下記一般式(IV)で表される色素である[1]〜[4]のいずれかに記載の光記録媒体。
【化4】

[一般式(IV)中、Ra1、Rb1、Rb2およびRb3は、それぞれ独立に、水素原子または一価の置換基を表し、Aは置換もしくは無置換の脂肪族基、置換もしくは無置換のアリール基、または置換もしくは無置換の複素環基を表し、Zは、Zと隣接する窒素原子および炭素原子と共に5員ないし7員の複素環を形成する基を表し、nは、0、1、2または3を表し、nが2以上のとき、複数存在するRb2およびRb3は、それぞれ同じでも異なっていてもよい。]
[6]前記一般式(I)で表される色素は、下記一般式(V)で表される色素である[1]〜[4]のいずれかに記載の光記録媒体。
【化5】

[一般式(V)中、Ra1、Ra4、Rb1、Rb2およびRb3は、それぞれ独立に、水素原子または一価の置換基を表し、Aは置換もしくは無置換の脂肪族基、置換もしくは無置換のアリール基、または置換もしくは無置換の複素環基を表し、nは、0、1、2または3を表し、nが2以上のとき、複数存在するRb2およびRb3は、それぞれ同じでも異なっていてもよい。]
[7]一般式(II)中、Za21が形成する酸性核は、下記一般式(A−1)〜(A−12)のいずれかで表される酸性核であり、Za22が形成する酸性核は、下記一般式(B−1)〜(B−12)のいずれかで表される酸性核である[1]〜[6]のいずれかに記載の光記録媒体。
【化6】

[一般式(A−1)〜(A−12)、(B−1)〜(B−12)中、*印は、上記酸性核がMa21またはMa23と連結する位置を表し、Ra11、Ra12、Rb11、Rb12、Rc1、Rc2、Rd1、Rd2、Re1、Re2、Rk、Rf1、Rg1、Rh1、Rj1、Rj2、Rk1、Rk2、Rk3、Rk4、Rm1、Rm2、Rm3、Rm4、Rn1およびRn2は、各々独立に、水素原子または置換基であり、Za21が形成する酸性核とZa22が形成する酸性核の主骨格が同一であるとき、複数存在する酸性核置換基は、それぞれ同じでも異なっていてもよい。]
[8]一般式(III)中、
【化7】

で表される基は、下記式(A1−1)、(A1−2)、(A1−3)、(A1−4)、(A1−5)、(A1−6)、(A1−7)、(A1−8)、(A1−9)、(A1−10)、または(A1−11)で表される基である[1]〜[7]のいずれかに記載の光記録媒体。
【化8】

[上記において、R200〜R223は、は、各々独立に、水素原子または置換基であり、R200とR201、R204とR205、R207とR208は、互いに結合して環を形成してもよく、Q1は、Q1と隣接する2つの窒素原子とともに環を形成するに必要な非金属原子群を表し、Q2は、Q2と隣接する2つの窒素原子とともに環を形成するに必要な非金属原子群を表し、Q4は、Q4と隣接する2つの窒素原子とともに環を形成するに必要な非金属原子群を表し、Q3は、Q3と隣接する2つの炭素原子とともに環を形成するに必要な非金属原子群を表す。]
[9]前記置換基は、脂肪族基、アリール基、ヘテロ環基、アシル基、アシルアミノ基、脂肪族オキシ基、アリールオキシ基、脂肪族オキシカルボニル基、カルバモイル基、脂肪族スルホニル基、アリールスルホニル基、スルファモイル基、脂肪族スルホンアミド基、アリールスルホンアミド基、アミノ基、脂肪族アミノ基、アリールアミノ基、ヘテロ環アミノ基、カルバモイルアミノ基、スルファモイルアミノ基、ヒドロキシ基またはシアノ基である[8]に記載の光記録媒体。
[10]一般式(III)中、
【化9】

で表される基は、下記(B1−1)、(B1−2)、(B1−3)、(B1−4)、(B1−5)、(B1−6)、(B1−7)、(B1−8)または(B1−9)で表される基である[1]〜[9]のいずれかに記載の光記録媒体。
【化10】

[上記において、R300〜R330は、各々独立に、水素原子または置換基であり、R300とR301、R301とR302、R302とR303、R303とR304、R305とR306、R306とR307、R307とR308、R309とR310、R310とR311、R313とR314、R319とR320、R321とR322は、互いに結合して環を形成してもよく、Q13は、Q13と隣接する2つの窒素原子とともに環を形成するに必要な非金属原子群を表し、Q14は、Q14と隣接する2つの窒素原子とともに環を形成するに必要な非金属原子群を表す。]
[11]前記置換基は、脂肪族基、アリール基、アシルオキシ基、アシルアミノ基、脂肪族オキシ基、脂肪族スルホニルオキシ基、アリールスルホニルオキシ基、脂肪族スルホンアミド基、アリールスルホンアミド基、アミノ基、脂肪族アミノ基、アリールアミノ基、脂肪族オキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、ヘテロ環オキシカルボニルアミノ基、ヒドロキシ基、シアノ基、スルホ基、カルバモイルアミノ基またはスルファモイルアミノ基である[10]に記載の光記録媒体。
[12]レーザー光を照射して情報の記録および/または再生が可能な記録層を更に有する、[1]〜[11]のいずれかに記載の光記録媒体。
[13]第一基板、前記記録層、反射層、前記可視情報記録層、および第二基板をこの順に有する、[12]に記載の光記録媒体。
[14]前記光記録媒体はディスク状である[1]〜[13]のいずれかに記載の光記録媒体。
[15][12]〜[14]のいずれかに記載の光記録媒体の前記可視情報記録層への可視情報記録方法であって、
前記可視情報を、前記記録層への情報の記録に用いるレーザー光と同じレーザー光を用いて記録することを特徴とする可視情報記録方法。
[16][14]に記載の光記録媒体の前記可視情報記録層への可視情報記録方法であって、
前記可視情報を、前記光記録媒体の半径方向に遥動し且つ略同一の軌跡に複数回照射されるレーザー光を用いて記録することを特徴とする可視情報記録方法。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、コントラストが高く視認性に優れた可視情報を記録可能な光記録媒体を提供することができる。また、前記色素の組み合わせを含む可視情報記録層は経時安定性に優れるため、保存性に優れた光記録媒体を提供することができる。更に、前記色素の組み合わせは、通常のデジタルデータ記録とは異なる新たな記録方式によって画像を形成するシステムに好適であり、前記システムにおいて、コントラストが高く鮮明で、かつ耐光性に優れた可視情報を形成することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
[光記録媒体]
本発明の光記録媒体は、基板上に可視情報記録層を有する光記録媒体であって、前記可視情報記録層に、下記一般式(I)、(II)および(III)で表される色素からなる群から選ばれる少なくとも2種の色素を含有する。
以下に、各色素の詳細を順次説明する。
【0012】
一般式(I)で表される色素
【化11】

【0013】
一般式(I)中、Ra1、Ra2、Ra3、Rb1、Rb2およびRb3は、それぞれ独立に、水素原子または一価の置換基を表す。
a1、Ra2、Ra3、Rb1、Rb2またはRb3で表される「一価の置換基」は、置換可能な基であればよく、例えば、脂肪族基、アリール基、ヘテロ環基、アシル基、アシルオキシ基、アシルアミノ基、脂肪族オキシ基、アリールオキシ基、ヘテロ環オキシ基、脂肪族オキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、ヘテロ環オキシカルボニル基、カルバモイル基、脂肪族スルホニル基、アリールスルホニル基、ヘテロ環スルホニル基、脂肪族スルホニルオキシ基、アリールスルホニルオキシ基、ヘテロ環スルホニルオキシ基、スルファモイル基、脂肪族スルホンアミド基、アリールスルホンアミド基、ヘテロ環スルホンアミド基、アミノ基、脂肪族アミノ基、アリールアミノ基、ヘテロ環アミノ基、脂肪族オキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、ヘテロ環オキシカルボニルアミノ基、脂肪族スルフィニル基、アリールスルフィニル基、脂肪族チオ基、アリールチオ基、ヒドロキシ基、シアノ基、スルホ基、カルボキシル基、脂肪族オキシアミノ基、アリールオキシアミノ基、カルバモイルアミノ基、スルファモイルアミノ基、ハロゲン原子、スルファモイルカルバモイル基、カルバモイルスルファモイル基、ジ脂肪族オキシフォスフィニル基、ジアリールオキシフォスフィニル基等を挙げることができる。これらの置換基は、他の一価の置換基で更に置換されていてもよい。
【0014】
上記のうち、Ra1、Ra2、Ra3、Rb1、Rb2、Rb3としては、本発明の効果の点から、水素原子、脂肪族基、アリール基、アシルオキシ基、アシルアミノ基、脂肪族オキシ基、脂肪族スルホニルオキシ基、アリールスルホニルオキシ基、脂肪族スルホンアミド基、アリールスルホンアミド基、アミノ基、脂肪族アミノ基、アリールアミノ基、脂肪族オキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、ヘテロ環オキシカルボニルアミノ基、ヒドロキシ基、シアノ基、スルホ基、カルバモイルアミノ基、スルファモイルアミノ基を表す場合が好ましく、水素原子、脂肪族基、アリール基、脂肪族オキシ基を表す場合がより好ましい。
また、Ra2とRa3とは互いに結合して5員ないし7員の環構造を形成していてもよい。
【0015】
さらに好ましくは、以下の通りである。
a1としては、炭素数1〜12のアルキル基が好適であり、例えば、メチル基、エチル基、(i)プロピル基、(t)ブチル基、シクロヘキシル基、2−エチルヘキシル基、ドデシル基等が挙げられる。中でも、炭素数1〜8のアルキル基が好ましく、炭素数1〜4のアルキル基は特に好ましい。
【0016】
また、Ra2としては、脂肪族基、アリール基が好ましく、Ra3としては、水素原子、脂肪族基が好ましく、水素原子がより好ましく、Ra2とRa3とが互いに結合して環構造を形成している場合が特に好ましい。環構造を形成している場合の環構造は、5員ないし7員の環が好ましく、中でも5員環がより好ましい。
【0017】
また、Rb1、Rb2、Rb3としては、水素原子、脂肪族基が好ましく、特に好ましくは、水素原子である。
【0018】
前記一般式(I)中、Aは、置換もしくは無置換の脂肪族基、置換もしくは無置換のアリール基、または置換もしくは無置換の複素環基を表す。
Aが置換基を有する場合の置換基としては、既述のRa1〜Ra3およびRb1〜Rb3で表される「一価の置換基」の項で列挙した置換基と同様の基を挙げることができる。好ましくは、ヘテロ環基、アシル基、アシルオキシ基、アシルアミノ基、脂肪族オキシ基、アリールオキシ基、ヘテロ環オキシ基、脂肪族オキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、ヘテロ環オキシカルボニル基、カルバモイル基、脂肪族スルホニル基、アリールスルホニル基、ヘテロ環スルホニル基、脂肪族スルホニルオキシ基、アリールスルホニルオキシ基、ヘテロ環スルホニルオキシ基、スルファモイル基、脂肪族スルホンアミド基、アリールスルホンアミド基、ヘテロ環スルホンアミド基、脂肪族オキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、ヘテロ環オキシカルボニルアミノ基、脂肪族スルフィニル基、アリールスルフィニル基、ヒドロキシ基、シアノ基、カルボキシル基、スルファモイルアミノ基、ハロゲン原子、スルファモイルカルバモイル基、カルバモイルスルファモイル基等である。
【0019】
無置換の脂肪族基としては、例えば、総炭素数1〜20のアルキル基、総炭素数2〜20のアルケニル基、総炭素数2〜20のアルキニル基などが好適に挙げられる。中でも、総炭素数1〜15のアルキル基が好ましく、総炭素数1〜10のアルキル基が特に好ましい。
また、置換基を有する脂肪族基としては、例えば、総炭素数2〜20の置換アルキル基、総炭素数3〜20の置換アルケニル基、総炭素数7〜20の置換アラルキル基などが好適に挙げられる。中でも、総炭素数2〜15の置換アルキル基が好ましく、総炭素数2〜10の置換アルキル基が特に好ましい。
【0020】
Aで表されるアリール基としては、無置換であっても置換されていてもよく、縮環していてもよく、例えば、フェニル基、4−メトキシフェニル基、4−ジメチルアミノ基等が挙げられる。中でも、総炭素数6〜30のアリール基が好ましく、総炭素数6〜20のアリール基がより好ましく、総炭素数6〜15のアリール基が更に好ましく、6〜12のアリール基が特に好適である。
【0021】
Aで表される複素環基としては、無置換であっても置換されていてもよく、縮環していてもよく、5員環ないし7員環の総炭素数2〜30の置換もしくは無置換の複素環基が好ましい。その中でも、前記複素環基としては、シアニン色素、オキソノール色素の技術分野で酸性核と呼ばれている複素環が好ましい。酸性核については、James編、The Theory of the Photographic Process(第4版、マクミラン社、1977年、第198頁)に記載されている。具体的には、各々、置換されてもいてもよいピラゾール−5−オン、ピラゾリジン−3,5−ジオン、イミダゾリン−5−オン、ヒダントイン、2−または4−チオヒダントイン、2−イミノオキサゾリジン−4−オン、2−オキサゾリン−5−オン、2−チオオキサゾリン−2,4−ジオン、イソローダニン、ローダニン、チオフェン−3−オン、チオフェン−3−オン−1,1−ジオキシド、インドリン−2−オン、インドリン−3−オン、2−オキソインダゾリウム、5,7−ジオキソ−6,7−ジヒドロチアゾロ〔3,2−a〕ピリミジン、3,4−ジヒドロイソキノリン−4−オン、1,3−ジオキサン−4,6−ジオン(例えばメルドラム酸など)、バルビツール酸、2−チオバルビツール酸、クマリン−2,4−ジオン、インダゾリン−2−オン、ピリド[1,2−a]ピリミジン−1,3−ジオン、ピラゾロ〔1,5−b〕キナゾロン、ピラゾロピリドン、5員または6員の炭素環(例えば、ヘキサン−1,3−ジオン、ペンタン−1,3−ジオン、インダン−1,3−ジオン)などの核が挙げられ、好ましくは、ピラゾール−5−オン、バルビツール酸、2−チオバルビツール酸、1,3−ジオキサン−4,6−ジオンである。更に、銀塩写真の技術分野で、カラーカプラーといわれる化合物の残基が好ましい。例えば、ピラゾロン類、1H−イミダゾ〔1,2−b〕ピラゾール類、1H−ピラゾロ〔5,1−C〕〔1,2,4〕トリアゾール類、1H−ピラゾロ〔1,5−b〕〔1,2,4〕トリアゾール類等が挙げられる。中でも、Aとしては、5員ないし7員の総炭素数2〜20の複素環基がより好ましい。
【0022】
上記の中でも、前記Aは下記(A−1)〜(A−14)で表される基であることが好ましい。
【化12】

【0023】
前記(A−1)〜(A−14)中、R6〜R48は、水素原子または置換基を表す。ここでの置換基は、既述の「一価の置換基」の項で挙げた基であって、置換可能な基であればよく、好ましい置換基は、脂肪族基、アリール基、ヘテロ環基、アシル基、アシルアミノ基、脂肪族オキシ基、脂肪族オキシカルボニル基、カルバモイル基、スルファモイル基、脂肪族スルホンアミド基、アリールスルホンアミド基、アミノ基、脂肪族アミノ基、ヒドロキシ基、シアノ基、スルホ基、カルボキシル基である。
【0024】
6〜R14、R15〜R17、R42〜R47における隣接する2つの基、およびR19とR20、R21とR22、R23とR24、R29とR30、R31とR32、およびR35とR36は、可能な限り互いに結合して5員環〜7員環の炭化水素環、複素環を形成してもよい。
【0025】
また、(A−9)中のQ1、(A−11)中のQ2、および(A−14)中のQ3は、各々独立に、5員環〜7員環を形成するに必要な非金属原子群を表す。
【0026】
上記のうち、本発明の効果の点から、Aが(A−10)、(A−11)、(A−14)を表す場合が好ましく、(A−11)を表す場合が特に好ましい。
【0027】
以下、Aの具体例(A1−1〜A14−25)を示す。但し、前記Aは、下記具体例に限定されるものではない。なお、下記において、*は一般式(I)中の炭素原子との結合手を示す。
【0028】
【化13】

【0029】
【化14】

【0030】
【化15】

【0031】
【化16】

【0032】
【化17】

【0033】
前記一般式(I)中、nは、0、1、2または3を表し、nが2以上のときには、複数存在するRb2およびRb3はそれぞれ、同じでも異なっていてもよい。nは、堅牢性の観点から好ましくは0、1または2であり、より好ましくは0または1であり、最も好ましくは0である。
【0034】
一般式(I)において、Ra1が結合するピラゾリン環を基本構造とする基の具体例(B10−1〜B10−8)を示す。但し、本発明は、下記具体例に限定されるものではない。なお、下記において、*は一般式(I)中の炭素原子との結合手を示す。
【0035】
【化18】

【0036】
前記一般式(I)においては、Ra1が炭素数1〜4のアルキル基であって、Ra2とRa3とが互いに結合して5〜7員環を形成し、Rb1が水素原子であって、Rb2が水素原子であって、Rb3が水素原子であって、Aが(A−10)、(A−11)、または(A−14)であって、nが0または1である場合が更に好ましく、Aが(A−11)であってnが0である場合が特に好ましい。
【0037】
前記一般式(I)で表される色素の骨格は、メチン基を中心にした対称骨格構造もしくは非対称骨格構造のいずれであってもよいが、Aで表されるアゾール環がRa1の結合するアゾール環と同一アゾール骨格構造であることが堅牢性の点で好ましい。
【0038】
前記一般式(I)で表される色素の好ましい態様は、下記一般式(IV)で表される色素である。
【化19】

【0039】
前記一般式(IV)において、Ra1、Rb1、Rb2およびRb3は、それぞれ独立に、水素原子または一価の置換基を表し、Aは置換もしくは無置換の脂肪族基、置換もしくは無置換のアリール基、または置換もしくは無置換の複素環基を表す。また、nは、0、1、2または3を表し、nが2以上のときには、複数存在するRb2およびRb3はそれぞれ、同じでも異なっていてもよい。
ここで、一般式(IV)中のRa1、Rb1、Rb2、Rb3、A、およびnは、既述の一般式(I)におけるRa1、Rb1、Rb2、Rb3、A、およびnと同義であり、好ましい態様も同様である。
【0040】
前記一般式(IV)中、Zは、Zと隣接する窒素原子および炭素原子と共に5員ないし7員の複素環を形成する基を表す。
【0041】
前記「5員ないし7員の複素環」は、一般式(IV)の2−ピラゾリン環を構成する窒素原子および炭素原子とZとで形成される複素環であり、例えば、1,2,4-トリアゾール環、イミダゾール環等の5員環、トリアジン環、ピリミジン環、1,3−ジアザシクロヘキサン環等の6員環、および1,3−ジアザシクロへプタン等の7員環が好適であり、好ましくは、1,2,4−トリアゾール環である。
【0042】
前記「5員ないし7員の複素環」は、無置換でも置換基を有していてもよく、置換基を有する場合、既述の一般式(I)におけるRa1〜Ra3等で表される「一価の置換基」の項で列挙した置換基と同様の基で置換されていてもよい。
【0043】
以下、一般式(IV)において、Ra1が結合する2−ピラゾリン環およびZを含む5員ないし7員の複素環を基本構造とする基の具体例(B11−1〜B11−19)を示す。但し、本発明は、下記具体例に限定されるものではない。なお、下記において、*は一般式(IV)中の炭素原子との結合手を表す。
【0044】
【化20】

【0045】
更には、前記一般式(IV)で表される色素化合物の中でも、特に、Ra1が炭素数1〜8のアルキル基であって、Zと隣接する窒素原子および炭素原子によって形成される複素環が5員環であって、Rb1、Rb2およびRb3が水素原子であって、nが0または1である態様が好ましく、特に好ましくは、Ra1が炭素数1〜4のアルキル基であって、Zと隣接する窒素原子および炭素原子と共に形成される複素環が1,2,4−トリアゾール環であって、Rb1、Rb2およびRb3が水素原子であって、nが0または1である態様が好ましい。
更には、堅牢性の向上効果の点で、一般式(IV)で表される色素において、Aで表されるアゾール環がRa1の結合するアゾール環と同一アゾール骨格構造であることが特に好ましい。
【0046】
前記一般式(I)で表される色素の更に好ましい態様は、下記一般式(V)で表される色素である。
【化21】

【0047】
前記一般式(V)において、Ra1、Ra4、Rb1、Rb2およびRb3は、それぞれ独立に、水素原子または一価の置換基を表し、Aは、置換もしくは無置換の脂肪族基、置換もしくは無置換のアリール基、または置換もしくは無置換の複素環基を表す。また、nは、0、1、2または3を表し、nが2以上のときには、複数存在するRb2およびRb3は、それぞれ同じでも異なっていてもよい。
ここで、一般式(V)中のRa1、Rb1、Rb2、Rb3、A、およびnは、既述の一般式(I)におけるRa1、Rb1、Rb2、Rb3、A、およびnと同義であり、好ましい態様も同様である。
【0048】
前記一般式(V)中、Ra4は、水素原子または一価の置換基を表す。
a4で表される一価の置換基は、置換可能な基であればよく、既述のRa1〜Ra3およびRb1〜Rb3で表される「一価の置換基」の項で列挙した置換基と同様の基を挙げることができる。この置換基は、無置換でも、さらに既述の一般式(I)におけるRa1〜Ra3等で表される「一価の置換基」の項に列挙した置換基で置換されていてもよい。好ましくは、脂肪族基、アリール基、またはヘテロ環基であり、より好ましくは、アルキル基またはアリール基である。
【0049】
前記Ra4で表される脂肪族基としては、無置換でも置換基を有していてもよく、アルキル基、アルケニル基などが含まれる。
無置換または置換基を有するアルキル基としては、炭素数1〜25のアルキル基が好ましく、例えば、(i)プロピル基、2−メチル−2−アセチルアミノエチル基、2−プロパノイルアミノプロピル基等が挙げられる。中でも、炭素数2〜25のアルキル基が好ましく、炭素数2〜20のアルキル基が特に好ましい。
【0050】
前記Ra4で表されるアリール基としては、無置換でも置換基を有していてもよく、炭素数6〜30のアリール基が好ましく、より好ましくは炭素数6〜20のアリール基であり、例えば、4−ブタノイルアミノフェニル基、4−ブタンスルホンアミドフェニル基、4−ニトロフェニル基等が好適に挙げられる。
【0051】
前記Ra4で表されるヘテロ環基としては、無置換でも置換基を有していてもよく、例えば、5−ピリミジル基等が挙げられる。
【0052】
更には、前記一般式(V)で表される色素化合物の中でも、特に、Ra1が炭素数1〜8のアルキル基であって、Ra4がアルキル基またはアリール基であって、Rb1が水素原子であって、Rb2が水素原子であって、Rb3が水素原子であって、nが0または1である態様が好ましく、Ra1が炭素数1〜4のアルキル基であって、Ra4が炭素数1〜20のアルキル基または炭素数6〜20のアリール基であって、Rb1、Rb2、およびRb3が水素原子であって、nが0または1である態様が更に好ましい。
更には、堅牢性の向上効果の点で、一般式(V)で表される色素において、Aで表されるアゾール環がRa1の結合するアゾール環と同一アゾール骨格構造であることが特に好ましい。
【0053】
前記一般式(I)、(IV)、(V)で表される色素が陰イオンを有する場合(Aからプロトンが外れた場合)には、これと対をなす陽イオン(対イオン)としては、特開平10−109475号公報に記載の一般式(I)、(II)、または(III)で表される化合物における陽イオン部が好適である。
【0054】
以下、前記一般式(I)、(IV)、(V)で表される色素化合物の具体例〔例示化合物M−1〜M−52、T−1〜T−52、P−1〜P−52、およびH−1〜H−30〕を示す。但し、本発明は、下記具体例に限定されるものではない。
なお、例示化合物中のAの構造式、Bの構造式の欄に示す番号は、それぞれ既述のAで表される具体例、「Ra1が結合するピラゾール環、または2−ピラゾリン環およびZを含む5員ないし7員の複素環を基本構造とする基」の具体例の番号を示す。
【0055】
【化22】

【0056】
【化23】

【0057】
【化24】

【0058】
【化25】

【0059】
【化26】

【0060】
前記一般式(I)、(IV)、(V)で表される色素は、公知の方法で合成することができる。合成方法については、特許第3707759号明細書を参照することができる。
【0061】
一般式(II)で表される色素
【化27】

【0062】
一般式(II)中、Za21およびZa22は、各々独立に、酸性核を形成する原子群を表し、Ma21、Ma22およびMa23は、各々独立に、置換または無置換のメチン基を表し、Ka21は、0〜3の範囲の整数を表し、Ka21が2または3であるとき、複数存在するMa21、Ma22は、それぞれ同じでも異なっていてもよく、Qは、一価の陽イオンを表す。
【0063】
Za21およびZa22は、各々独立に、酸性核を形成する原子群を表す。その例としては、James編、The Theory of the Photographic Process、第4版、マクミラン社、1977年、第198頁に記載されているものを挙げることができる。具体的には、各々、置換されてもいてもよいピラゾール−5−オン、ピラゾリジン−3,5−ジオン、イミダゾリン−5−オン、ヒダントイン、2または4−チオヒダントイン、2−イミノオキサゾリジン-4-オン、2−オキサゾリン−5−オン、2−チオオキサゾリン−2,4−ジオン、イソローダニン、ローダニン、チオフェン−3−オン、チオフェン−3−オン−1,1−ジオキシド、3,3−ジオキソ[1,3]オキサチオラン−5−オン、インドリン−2−オン、インドリン−3−オン、2−オキソインダゾリウム、5,7−ジオキソ−6,7-ジヒドロチアゾロ〔3,2−a〕ピリミジン、3,4−ジヒドロイソキノリン-4-オン、1,3−ジオキサン−4,6−ジオン(例えば、メルドラム酸など)、バルビツール酸、2−チオバルビツール酸、クマリン−2,4−ジオン、インダゾリン−2−オン、ピリド[1,2−a]ピリミジン−1,3−ジオン、ピラゾロ〔1,5-b〕キナゾロン、ピラゾロピリドン、5または6員の炭素環(例えば、ヘキサン−1,3−ジオン、ペンタン−1,3−ジオン、インダン−1,3−ジオン)などの核が挙げられ、好ましくは、ピラゾール−5−オン、ピラゾリジン−3,5−ジオン、バルビツール酸、2−チオバルビツール酸、1,3−ジオキサン−4,6−ジオン、または3,3−ジオキソ[1,3]オキサチオラン−5−オンを挙げることができる。
【0064】
Za21が形成する酸性核は、好ましくは、下記一般式(A−1)〜(A−12)のいずれかで表される酸性核である。
【化28】

【0065】
上記一般式中、*印は、上記酸性核がMa21と連結する位置を表し、酸性核の置換基Ra11、Ra12、Rb11、Rb12、Rc1、Rc2、Rd1、Rd2、Re1、Re2、Rf1、Rg1、Rh1、Rj1、Rj2、Rk1、Rk2、Rk3、Rk4、Rm1、Rm2、Rm3およびRm4、Rn1およびRn2は、各々独立に、水素原子または置換基である。
【0066】
また、Za22が形成する酸性核は、好ましくは、上記一般式(A−1)〜(A−12)で表される酸性核の互変異性体である下記一般式(B−1)〜(B−12)のいずれかで表される酸性核である。
【0067】
【化29】

【0068】
上記一般式中、*印は、上記酸性核がMa23と連結する位置を表し、酸性核の各置換基の定義および詳細は前述と同様である。また、Za21が形成する酸性核とZa22が形成する酸性核の主骨格が同一であるとき、複数存在する酸性核置換基はそれぞれ同一でも異なっていてもよい。
【0069】
酸性核に置換する置換基は、ハロゲン原子、アルキル基(シクロアルキル基、ビシクロアルキル基を含む)、アルケニル基(シクロアルケニル基、ビシクロアルケニル基を含む)、アルキニル基、アリール基、ヘテロ環基、シアノ基、ヒドロキシル基、ニトロ基、カルボキシル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、シリルオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、アルコキシカルボニルオキシ基、アリールオキシカルボニルオキシ基、アミノ基(アニリノ基を含む)、アシルアミノ基、アミノカルボニルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、スルファモイルアミノ基、アルキルおよびアリールスルホニルアミノ基、メルカプト基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロ環チオ基、スルファモイル基、スルホ基、アルキルおよびアリールスルフィニル基、アルキルおよびアリールスルホニル基、アシル基、アリールオキシカルボニル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、アリールおよびヘテロ環アゾ基、イミド基、ホスフィノ基、ホスフィニル基、ホスフィニルオキシ基、ホスフィニルアミノ基、またはシリル基が例として挙げられる。その中でも、炭素数1〜20の置換もしくは無置換のアルキル基、または炭素数6〜20の置換もしくは無置換のアリール基が好ましい。
酸性核は、無置換または、炭素数1〜20の置換もしくは無置換のアルキル基で置換されたもの、炭素数6〜20の置換もしくは無置換のアリール基で置換されたものが好ましい。
【0070】
Ma21、Ma22およびMa23は、各々独立に、置換または無置換のメチン基を表す。置換基として好ましくは、炭素数1〜20のアルキル基(例えば、メチル基、エチル基、イソプロピル基)、ハロゲン原子(例えば、塩素、臭素、ヨウ素、フッ素)、炭素数1〜20のアルコキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基、イソプロピル基)、炭素数6〜26のアリール基(例えば、フェニル基、2−ナフチル基)、炭素数0〜20のヘテロ環基(例えば、2−ピリジル基、3−ピリジル基)、炭素数6〜20のアリールオキシ基(例えば、フェノキシ基、1−ナフトキシ基、2−ナフトキシ基)、炭素数1〜20のアシルアミノ基(例えばアセチルアミノ基、ベンゾイルアミノ基)、炭素数1〜20のカルバモイル基(例えばN,N−ジメチルカルバモイル基)、スルホ基、ヒドロキシ基、カルボキシ基、炭素数1〜20のアルキルチオ基(例えばメチルチオ基)、シアノ基などが挙げられる。また、他のメチン基と結合して環構造を形成してもよく、Za21またはZa22で表される原子団と結合して環構造を形成してもよい。
Ma21、Ma22およびMa23は、各々独立に、好ましくは無置換またはエチル基、メチル基もしくはフェニル基で置換されたメチン基である。最も好ましくは、無置換のメチン基である。
【0071】
Ka21は、0〜3の範囲の整数を表す。Ka21が2または3を表すとき、複数存在するMa21、Ma22は、それぞれ同じでも異なっていてもよい。Ka21が0または1であるとき、Za22が形成する酸性核は、Za21が形成する酸性核の互変異性体であっても、該互変異性体とは異なる酸性核であってもよいが、Ka21が2または3であるとき、Za22が形成する酸性核は、Za21が形成する酸性核の互変異性体とは異なる酸性核であることが好ましい。Ka21は、1または2であることが好ましい。
【0072】
Qは、一価の陽イオンを表す。Qで表されるイオンには特に制限はなく、無機化合物よりなるイオンであっても、有機化合物よりなるイオンであっても構わない。Q1として表される一価の陽イオンとしては、例えばナトリウムイオン、カリウムイオンのような金属イオン、4級アンモニウムイオン、オキソニウムイオン、スルホニウムイオン、ホスホニウムイオン、セレノニウムイオン、ヨードニウムイオンなどのオニウムイオンが挙げられる。
【0073】
Qで表される陽イオンは、オニウムイオンであることが好ましく、更に好ましくは4級アンモニウムイオンである。4級アンモニウムイオンの中でも特に好ましくは、特開2000−52658号公報の一般式(I−4)で表される4,4’−ビピリジニウム陽イオンおよび特開2002−59652号公報に開示されている4,4’−ビピリジニウム陽イオンである。4,4’−ビピリジニウム陽イオンのようにジカチオン化合物の場合には、Qは1/2(ジカチオン化合物)に相当する。
【0074】
前記一般式(II)で表される色素は、好ましくは下記一般式(VI)〜一般式(XIV)で表される色素である。以下に、上記色素の詳細について説明する。
【0075】
【化30】

【0076】
【化31】

【0077】
一般式(VI)、(VII)、(VIII)、(IX)、(X)、(XI)、(XII)、(XIII)、(XIV)中、R111、R112、R113、R114、R115、R116、R117、R118、R121、R122、R123、R124、R125、R126、R127、R128、R131、R132、R133、R134、R141、R142、R143、R144、R145、R146、R147、R148、R149、R150、R151、R152、R153、R154、R155、R156、R157、R158、R159、R160、R161、R162およびR163(以上を「R」と呼ぶこともある)は、各々独立に、水素原子または置換基を表す。前記置換基は、ハロゲン原子、置換もしくは無置換のアルキル基(シクロアルキル基、ビシクロアルキル基を含む)、置換もしくは無置換のアルケニル基(シクロアルケニル基、ビシクロアルケニル基を含む)、置換もしくは無置換のアルキニル基、置換もしくは無置換のアリール基、置換もしくは無置換のヘテロ環基、シアノ基、ヒドロキシル基、ニトロ基、カルボキシル基、置換もしくは無置換のアルコキシ基、置換もしくは無置換のアリールオキシ基、置換もしくは無置換のシリルオキシ基、置換もしくは無置換のヘテロ環オキシ基、置換もしくは無置換のアシルオキシ基、置換もしくは無置換のカルバモイルオキシ基、置換もしくは無置換のアルコキシカルボニルオキシ基、置換もしくは無置換のアリールオキシカルボニルオキシ基、置換もしくは無置換のアミノ基(アニリノ基を含む)、置換もしくは無置換のアシルアミノ基、置換もしくは無置換のアミノカルボニルアミノ基、置換もしくは無置換のアルコキシカルボニルアミノ基、置換もしくは無置換のアリールオキシカルボニルアミノ基、置換もしくは無置換のスルファモイルアミノ基、置換もしくは無置換のアルキルおよびアリールスルホニルアミノ基、置換もしくは無置換のメルカプト基、置換もしくは無置換のアルキルチオ基、置換もしくは無置換のアリールチオ基、置換もしくは無置換のヘテロ環チオ基、置換もしくは無置換のスルファモイル基、スルホ基、置換もしくは無置換のアルキルおよびアリールスルフィニル基、置換もしくは無置換のアルキルおよびアリールスルホニル基、置換もしくは無置換のアシル基、置換もしくは無置換のアリールオキシカルボニル基、置換もしくは無置換のアルコキシカルボニル基、置換もしくは無置換のカルバモイル基、置換もしくは無置換のアリールおよびヘテロ環アゾ基、置換もしくは無置換のイミド基、置換もしくは無置換のホスフィノ基、置換もしくは無置換のホスフィニル基、置換もしくは無置換のホスフィニルオキシ基、置換もしくは無置換のホスフィニルアミノ基、または置換もしくは無置換のシリル基が例として挙げられる。
【0078】
更に詳しくは、Rは、ハロゲン原子(例えば、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、またはアルキル基(直鎖、分岐もしくは環状の置換もしくは無置換のアルキル基)であることができる。前記アルキル基は、アルキル基(好ましくは炭素数1〜30のアルキル基、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、t−ブチル基、n−オクチル基、エイコシル基、2−クロロエチル基、2−シアノエチル基、2―エチルヘキシル基)、シクロアルキル基(好ましくは、炭素数3〜30の置換または無置換のシクロアルキル基、例えば、シクロヘキシル基、シクロペンチル基、4−n−ドデシルシクロヘキシル基)、ビシクロアルキル基(好ましくは、炭素数5〜30の置換もしくは無置換のビシクロアルキル基、つまり、炭素数5〜30のビシクロアルカンから水素原子を一個取り去った一価の基である。例えば、ビシクロ[1,2,2]ヘプタン−2−イル、ビシクロ[2,2,2]オクタン−3−イル)、更に環構造が多いトリシクロ構造なども包含するものである。以下に説明する置換基の中のアルキル基(例えばアルキルチオ基のアルキル基)も上記概念のアルキル基を表す。
【0079】
更に、Rは、アルケニル基[直鎖、分岐もしくは環状の置換もしくは無置換のアルケニル基を表す。それらは、アルケニル基(好ましくは炭素数2〜30の置換もしくは無置換のアルケニル基、例えば、ビニル基、アリル基、プレニル基、ゲラニル基、オレイル基)、シクロアルケニル基(好ましくは、炭素数3〜30の置換もしくは無置換のシクロアルケニル基、つまり、炭素数3〜30のシクロアルケンの水素原子を一個取り去った一価の基である。例えば、2−シクロペンテン−1−イル基、2−シクロヘキセン−1−イル基)、ビシクロアルケニル基(置換もしくは無置換のビシクロアルケニル基、好ましくは、炭素数5〜30の置換もしくは無置換のビシクロアルケニル基、つまり二重結合を一個持つビシクロアルケンの水素原子を一個取り去った一価の基である。例えば、ビシクロ[2,2,1]ヘプト−2−エン−1−イル、ビシクロ[2,2,2]オクト−2−エン−4−イル)を包含するものである。]、アルキニル基(好ましくは、炭素数2〜30の置換もしくは無置換のアルキニル基、例えば、エチニル基、プロパルギル基、トリメチルシリルエチニル基)、アリール基(好ましくは炭素数6〜30の置換もしくは無置換のアリール基、例えばフェニル基、p−トリル基、ナフチル基、m−クロロフェニル基、o−ヘキサデカノイルアミノフェニル基)、ヘテロ環基(好ましくは5または6員の置換もしくは無置換の、芳香族もしくは非芳香族のヘテロ環化合物から一個の水素原子を取り除いた一価の基であり、更に好ましくは、炭素数3〜30の5もしくは6員の芳香族のヘテロ環基である。例えば、2−フリル基、2−チエニル基、2−ピリミジニル基、2−ベンゾチアゾリル基)、シアノ基、ヒドロキシル基、ニトロ基、カルボキシル基、アルコキシ基(好ましくは、炭素数1〜30の置換もしくは無置換のアルコキシ基、例えば、メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基、t−ブトキシ基、n−オクチルオキシ基、2−メトキシエトキシ基)、アリールオキシ基(好ましくは、炭素数6〜30の置換もしくは無置換のアリールオキシ基、例えば、フェノキシ基、2−メチルフェノキシ基、4−t−ブチルフェノキシ基、3−ニトロフェノキシ基、2−テトラデカノイルアミノフェノキシ基)、シリルオキシ基(好ましくは、炭素数3〜20のシリルオキシ基、例えば、トリメチルシリルオキシ基、t−ブチルジメチルシリルオキシ基)、ヘテロ環オキシ基(好ましくは、炭素数2〜30の置換もしくは無置換のヘテロ環オキシ基、1−フェニルテトラゾール−5−オキシ基、2−テトラヒドロピラニルオキシ基)、アシルオキシ基(好ましくはホルミルオキシ基、炭素数2〜30の置換もしくは無置換のアルキルカルボニルオキシ基、炭素数6〜30の置換もしくは無置換のアリールカルボニルオキシ基、例えば、ホルミルオキシ基、アセチルオキシ基、ピバロイルオキシ基、ステアロイルオキシ基、ベンゾイルオキシ基、p−メトキシフェニルカルボニルオキシ基)、カルバモイルオキシ基(好ましくは、炭素数1〜30の置換もしくは無置換のカルバモイルオキシ基、例えば、N,N−ジメチルカルバモイルオキシ基、N,N−ジエチルカルバモイルオキシ基、モルホリノカルボニルオキシ基、N,N−ジ−n−オクチルアミノカルボニルオキシ基、N−n−オクチルカルバモイルオキシ基)、アルコキシカルボニルオキシ基(好ましくは、炭素数2〜30の置換もしくは無置換アルコキシカルボニルオキシ基、例えばメトキシカルボニルオキシ基、エトキシカルボニルオキシ基、t−ブトキシカルボニルオキシ基、n−オクチルカルボニルオキシ基)、アリールオキシカルボニルオキシ基(好ましくは、炭素数7〜30の置換もしくは無置換のアリールオキシカルボニルオキシ基、例えば、フェノキシカルボニルオキシ基、p−メトキシフェノキシカルボニルオキシ基、p−n−ヘキサデシルオキシフェノキシカルボニルオキシ基)、アミノ基(好ましくは、アミノ基、炭素数1〜30の置換もしくは無置換のアルキルアミノ基、炭素数6〜30の置換もしくは無置換のアリールアミノ基、例えば、アミノ基、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、アニリノ基、N−メチル−アニリノ基、ジフェニルアミノ基)、アシルアミノ基(好ましくは、ホルミルアミノ基、炭素数1〜30の置換もしくは無置換のアルキルカルボニルアミノ基、炭素数6〜30の置換もしくは無置換のアリールカルボニルアミノ基、例えば、ホルミルアミノ基、アセチルアミノ基、ピバロイルアミノ基、ラウロイルアミノ基、ベンゾイルアミノ基、3,4,5−トリ−n−オクチルオキシフェニルカルボニルアミノ基)、アミノカルボニルアミノ基(好ましくは、炭素数1〜30の置換もしくは無置換のアミノカルボニルアミノ基、例えば、カルバモイルアミノ基、N,N−ジメチルアミノカルボニルアミノ基、N,N−ジエチルアミノカルボニルアミノ基、モルホリノカルボニルアミノ基)、アルコキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数2〜30の置換もしくは無置換アルコキシカルボニルアミノ基、例えば、メトキシカルボニルアミノ基、エトキシカルボニルアミノ基、t−ブトキシカルボニルアミノ基、n−オクタデシルオキシカルボニルアミノ基、N−メチルーメトキシカルボニルアミノ基)、アリールオキシカルボニルアミノ基(好ましくは、炭素数7〜30の置換もしくは無置換のアリールオキシカルボニルアミノ基、例えば、フェノキシカルボニルアミノ基、p-クロロフェノキシカルボニルアミノ基、m−n−オクチルオキシフェノキシカルボニルアミノ基)、スルファモイルアミノ基(好ましくは、炭素数0〜30の置換もしくは無置換のスルファモイルアミノ基、例えば、スルファモイルアミノ基、N,N−ジメチルアミノスルホニルアミノ基、N−n−オクチルアミノスルホニルアミノ基)、アルキルおよびアリールスルホニルアミノ基(好ましくは炭素数1〜30の置換もしくは無置換のアルキルスルホニルアミノ基、炭素数6〜30の置換もしくは無置換のアリールスルホニルアミノ基、例えば、メチルスルホニルアミノ基、ブチルスルホニルアミノ基、フェニルスルホニルアミノ基、2,3,5−トリクロロフェニルスルホニルアミノ基、p−メチルフェニルスルホニルアミノ基)、メルカプト基、アルキルチオ基(好ましくは、炭素数1〜30の置換もしくは無置換のアルキルチオ基、例えばメチルチオ基、エチルチオ基、n−ヘキサデシルチオ基)、アリールチオ基(好ましくは炭素数6〜30の置換もしくは無置換のアリールチオ基、例えば、フェニルチオ基、p−クロロフェニルチオ基、m−メトキシフェニルチオ基)、ヘテロ環チオ基(好ましくは炭素数2〜30の置換もしくは無置換のヘテロ環チオ基、例えば、2−ベンゾチアゾリルチオ基、1−フェニルテトラゾール−5−イルチオ基)、スルファモイル基(好ましくは炭素数0〜30の置換もしくは無置換のスルファモイル基、例えば、N−エチルスルファモイル基、N−(3−ドデシルオキシプロピル)スルファモイル基、N,N−ジメチルスルファモイル基、N−アセチルスルファモイル基、N−ベンゾイルスルファモイル基、N−(N’−フェニルカルバモイル)スルファモイル基)、スルホ基、アルキルおよびアリールスルフィニル基(好ましくは、炭素数1〜30の置換もしくは無置換のアルキルスルフィニル基、炭素数6〜30の置換もしくは無置換のアリールスルフィニル基、例えば、メチルスルフィニル基、エチルスルフィニル基、フェニルスルフィニル基、p−メチルフェニルスルフィニル基)、アルキルおよびアリールスルホニル基(好ましくは、炭素数1〜30の置換もしくは無置換のアルキルスルホニル基、炭素数6〜30の置換もしくは無置換のアリールスルホニル基、例えば、メチルスルホニル基、エチルスルホニル基、フェニルスルホニル基、p−メチルフェニルスルホニル基)、アシル基(好ましくはホルミル基、炭素数2〜30の置換もしくは無置換のアルキルカルボニル基、炭素数7〜30の置換もしくは無置換のアリールカルボニル基、炭素数4〜30の置換もしくは無置換の炭素原子でカルボニル基と結合しているヘテロ環カルボニル基、例えば、アセチル基、ピバロイル基、2−クロロアセチル基、ステアロイル基、ベンゾイル基、p−n−オクチルオキシフェニルカルボニル基、2―ピリジルカルボニル基、2―フリルカルボニル基)、アリールオキシカルボニル基(好ましくは、炭素数7〜30の置換もしくは無置換のアリールオキシカルボニル基、例えば、フェノキシカルボニル基、o−クロロフェノキシカルボニル基、m−ニトロフェノキシカルボニル基、p−t−ブチルフェノキシカルボニル基)、アルコキシカルボニル基(好ましくは、炭素数2〜30の置換もしくは無置換アルコキシカルボニル基、例えば、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、t−ブトキシカルボニル基、n−オクタデシルオキシカルボニル基)、カルバモイル基(好ましくは、炭素数1〜30の置換もしくは無置換のカルバモイル基、例えば、カルバモイル基、N−メチルカルバモイル基、N,N−ジメチルカルバモイル基、N,N−ジ−n−オクチルカルバモイル基、N−(メチルスルホニル)カルバモイル基)、アリールおよびヘテロ環アゾ基(好ましくは炭素数6〜30の置換もしくは無置換のアリールアゾ基、炭素数3〜30の置換もしくは無置換のヘテロ環アゾ基、例えば、フェニルアゾ基、p−クロロフェニルアゾ基、5−エチルチオ−1,3,4−チアジアゾール−2−イルアゾ基)、イミド基(好ましくは、N−スクシンイミド、N−フタルイミド基)、ホスフィノ基(好ましくは、炭素数2〜30の置換もしくは無置換のホスフィノ基、例えば、ジメチルホスフィノ基、ジフェニルホスフィノ基、メチルフェノキシホスフィノ基)、ホスフィニル基(好ましくは、炭素数2〜30の置換もしくは無置換のホスフィニル基、例えば、ホスフィニル基、ジオクチルオキシホスフィニル基、ジエトキシホスフィニル基)、ホスフィニルオキシ基(好ましくは、炭素数2〜30の置換もしくは無置換のホスフィニルオキシ基、例えば、ジフェノキシホスフィニルオキシ基、ジオクチルオキシホスフィニルオキシ基)、ホスフィニルアミノ基(好ましくは、炭素数2〜30の置換もしくは無置換のホスフィニルアミノ基、例えば、ジメトキシホスフィニルアミノ基、ジメチルアミノホスフィニルアミノ基)、またはシリル基(好ましくは、炭素数3〜30の置換もしくは無置換のシリル基、例えば、トリメチルシリル基、t−ブチルジメチルシリル基、フェニルジメチルシリル基)であることもできる。
【0080】
一般式(VI)〜(XIV)で表される色素は、可能な限り、Rの任意の位置でビス体等の多量体を形成しても良い。好ましくは、下記一般式(XV)で表される色素であ
る。一般式(XV)中、R145、R146、R147、R148、X1、M27、M28、M29、Ka23、Q11は前記で定義したものと同義であり、その詳細も前述の通りである。R164、R165は2価の基であって、例えば、アルキレン基(例えばエチレン基、プロピレン基、ブチレン基等)、フェニレン基(例えば、1、4フェニレン基)である。
【化32】

111、R112、R113、R114、R115、R116、R117、R118、R121、R122、R123、R124、R125、R126、R127、R128は、水素原子が最も好ましい。
131、R134、R141、R142、R143、R144は、水素原子、置換もしくは無置換のアルキル基、または置換もしくは無置換のアリール基が好ましい。その中でも、置換もしくは無置換のアリール基が更に好ましい。
145、R146、R147、R148、R149、R150、R151、R152、R153、R154、R155、R156、R157、R158、R159、R160、R161、R162およびR163は、炭素数1〜20の置換もしくは無置換のアルキル基、炭素数6〜20の置換もしくは無置換のアリール基または水素原子が好ましく、炭素数1〜20の置換もしくは無置換のアルキル基がより好ましい。
【0081】
Ma27、Ma28およびMa29は、各々独立に、置換または無置換のメチン基を表す。その詳細は、先に一般式(II)中のMa21、Ma22、Ma23について説明した通りであり、その具体例および好ましい例も同様である。
【0082】
Ka23は、0〜2の範囲の整数を表し、好ましくは1または2である。Ka24は、0〜2の範囲の整数を表し、好ましくは1または2である。
【0083】
1は、酸素原子またはCH2を表し、好ましくは酸素原子である。Y1は酸素原子または硫黄原子を表し、好ましくは酸素原子である。
【0084】
11は、一価の陽イオンを表す。その詳細は先に一般式(II)中のQについて説明した通りであり、具体例および好ましい例も同様である。
一般式(VI)〜(XV)で表される色素中、本発明で好ましいものは一般式(VI
II)、(IX)、(X)、(XI)、(XIII)、(XV)で表される色素であり
、より好ましくは一般式(VIII)、(X)、(XIII)、(XV)で表される色
素である。
【0085】
以下に、一般式(II)で表される色素の具体例を示すが、本発明は下記具体例に限定されるものではない。
【0086】
【化33】

【0087】
【化34】

【0088】
【化35】

【0089】
【化36】

【0090】
【化37】



【0091】
一般的なオキソノール色素は、該当する活性メチレン化合物とメチン源(メチン染料にメチン基を導入するために用いられる化合物)との縮合反応によって合成することができる。この種の化合物の合成方法についての詳細は、特公昭39−22069号、同43−3504号、同52−38056号、同54−38129号、同55−10059号、同58−35544号、特開昭49−99620号、同52−92716号、同59−16834号、同63−316853号、同64−40827号各公報、ならびに英国特許第1133986号、米国特許第3247127号、同4042397号、同4181225号、同5213956号、同5260179号各明細書を参照することができる。特開昭63−209995号、特開平10−309871号、特開2002−249674号各公報にも記載されている。
【0092】
一般式(III)で表される色素
【化38】

[一般式(III)中、A1は置換もしくは無置換の複素環基、置換脂肪族基または置換もしくは無置換の炭素環基であり、B1は置換もしくは無置換の複素環基または置換もしくは無置換のアリール基である。]
以下に、一般式(III)で表される色素の詳細を説明する。なお、以下において、
【化39】

を「A1部」ともいい、
【化40】

を「B1部」ともいう。
【0093】
一般式(III)中、A1で表される複素環基としては、無置換であっても置換されていてもよく、縮環していてもよく、5員ないし7員環の総炭素数2〜30の置換または無置換の複素環基が好ましい。その中でも、A1で表される複素環基としては、シアニン色素、オキソノール色素の技術分野で酸性核と呼ばれている複素環が好ましい。酸性核の詳細は、前述の通りであり、好ましくは、ピラゾール−5−オン、バルビツール酸、2−チオバルビツール酸、1,3−ジオキサン−4,6−ジオンを挙げることができる。
【0094】
更に、A1で表される複素環基としては、銀塩写真の技術分野において、カラーカプラーといわれる化合物の残基を挙げることもできる。カラーカプラーとしては、例えば、ピラゾロン類、1H−イミダゾ〔1,2−b〕ピラゾール類、1H−ピラゾロ〔5,1−C〕〔1,2,4〕トリアゾール類、1H−ピラゾロ〔1,5−b〕〔1,2,4〕トリアゾール類等が挙げられる。
【0095】
1で表される置換脂肪族基における脂肪族基としては、直鎖、分岐鎖または環状で飽和であっても不飽和であっても良く、例えばアルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、シクロアルケニル基を表し、炭素原子に=Nが置換できるものであれば良い。具体例としては、例えばアセチルアセトン、ピバロイルアセトアニリドのメチレン基等を挙げることができる。
【0096】
1で表される炭素環基は、無置換であっても置換されていてもよく、飽和であっても不飽和であってもよい。前記炭素環基は、好ましくは5〜7員環である。
【0097】
1が、置換複素環基、置換脂肪族基または置換炭素環基である場合の置換基としては置換可能な基であればよく、後述する置換基の項で列挙する置換基と同様の基を挙げることができる。好ましくは、ヘテロ環基、アシル基、アシルオキシ基、アシルアミノ基、脂肪族オキシ基、アリールオキシ基、ヘテロ環オキシ基、脂肪族オキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、ヘテロ環オキシカルボニル基、カルバモイル基、脂肪族スルホニル基、アリールスルホニル基、ヘテロ環スルホニル基、脂肪族スルホニルオキシ基、アリールスルホニルオキシ基、ヘテロ環スルホニルオキシ基、スルファモイル基、脂肪族スルホンアミド基、アリールスルホンアミド基、ヘテロ環スルホンアミド基、脂肪族オキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、ヘテロ環オキシカルボニルアミノ基、脂肪族スルフィニル基、アリールスルフィニル基、ヒドロキシ基、シアノ基、カルボキシル基、スルファモイルアミノ基、ハロゲン原子、スルファモイルカルバモイル基、カルバモイルスルファモイル基等である。
【0098】
1部として好ましい基としては、下記式(A1−1)〜(A1−11)で表される基を挙げることができる。なお、以下において、R1000は、置換基であり、R1001およびR1002は、各々独立に、水素原子または置換基である。置換基としては、後述する各種置換基を挙げることができる。
【0099】
【化41】

【0100】
上記において、R200〜R223は、各々独立に、水素原子または置換基である。R200とR201、R204とR205、R207とR208は、互いに結合して環を形成してもよい。形成される環としては、5〜7員環が好ましい。
前記置換基は、置換可能な基であればよく、更に置換基を有していてもよく、例えば、ハロゲン原子(例えばフッ素、塩素、臭素、好ましくは塩素)、脂肪族基(好ましくは総炭素数1〜12のアルキル基であって、例えばメチル基、エチル基、(i)プロピル基、(t)ブチル基、オクチル基、メトキシプロピル基等)、アリール基(好ましくは総炭素数6〜16であって、例えばフェニル基、1−ナフチル基、4−メトキシフェニル基等)、ヘテロ環基(好ましくは総炭素数1〜12の飽和であっても不飽和でも良く、例えば2−イミダゾリル基、1-ピラゾリル基等)、アシル基(好ましくは総炭素数2〜12であって、例えばアセチル基、ピバロイル基、ベンゾイル基、メトキシアセチル基等)、アシルオキシ基(好ましくは総炭素数2〜12であって、例えばアセチルオキシ基、ピバロイルオキシ基、ベンゾイルオキシ基等)、アシルアミノ基(好ましくは総炭素数2〜12であって、例えばアセチルアミノ基、ベンゾイルアミノ基、2−エチルヘキサノイルアミノ基、4−エトキシベンゾイル基)、脂肪族オキシ基(好ましくは総炭素数1〜12のアルコキシ基、アルケニルオキシ基であって、例えばメトキシ基、ブトキシ基、(s)ブトキシ基、アリルオキシ基、2−ブトキシエトキシ基)、アリールオキシ基(好ましくは総炭素数6〜16であって例えばフェノキシ基、1−ナフチルオキシ基、2−メトキシフェノキシ基)、ヘテロ環オキシ基(好ましくは総炭素数1〜12の飽和であっても不飽和であっても良く、例えば2−ピリジルオキシ基、3−ピリジルオキシ基、5−ピラゾリルオキシ基)、脂肪族オキシカルボニル基(好ましくは総炭素数2〜12であって、例えばメトキシカルボニル基、ブトキシカルボニル基、2−エトキシカルボニル基)、アリールオキシカルボニル基(好ましくは総炭素数6〜16であって、例えばフェノキシカルボニル基)、ヘテロ環オキシカルボニル基(好ましくは総炭素数2〜12の飽和であっても不飽和であっても良く、例えば2−ピリジルオキシカルボニル基、5−ピラゾリルオキシカルボニル基)、カルバモイル基(好ましくは総炭素数1〜12であって、例えばN,N-ジメチルカルバモイル基、N,N-ジメトキシエトキシカルバモイル基)、脂肪族スルホニル基(好ましくは総炭素数1〜12のアルキルスルホニル基であって、例えば、メタンスルホニル基、2−エチルヘキシルスルホニル基)、アリールスルホニル基(好ましくは総炭素数6〜16であって、例えばベンゼンスルホニル基、4−エトキシベンゼンスルホニル基)、ヘテロ環スルホニル基(好ましくは総炭素数1〜12の飽和であっても不飽和であっても良く例えば4−ピリジンスルホニル基)、脂肪族スルホニルオキシ基(好ましくは総炭素数1〜12のアルキルスルホニルオキシ基であって、例えば、メタンスルホニルオキシ基、2−エチルヘキシルスルホニルオキシ基)、アリールスルホニルオキシ基(好ましくは総炭素数6〜16であって、例えばベンゼンスルホニルオキシ基、4−エトキシベンゼンスルホニルオキシ基)、ヘテロ環スルホニルオキシ基(好ましくは総炭素数1〜12の飽和であっても不飽和であっても良く例えば4−ピリジンスルホニルオキシ基)、スルファモイル基(好ましくは総炭素数0〜12であって、例えばN,N-ジメチルスルファモイル基、N,N-ジメトキシエトキシスルファモイル基)、脂肪族スルホンアミド基(好ましくは総炭素数1〜12のアルキルスルホンアミド基であって、例えばメタンスルホンアミド基、ブタンスルホンアミド基)、アリールスルホンアミド基(好ましくは総炭素数6〜16であって、例えばベンゼンスルホンアミド基、3−ブトキシベンゼンスルホンアミド基)、ヘテロ環スルホンアミド基(好ましくは総炭素数1〜12の飽和であっても不飽和であっても良く、例えば3−ピリジンスルホンアミド基)、アミノ基、脂肪族アミノ基(好ましくは総炭素数1〜12のアルキルアミノ基、アルケニルアミノ基であって、例えばジメチルアミノ基、ジ2エチルヘキシルアミノ基)、アリールアミノ基(好ましくは総炭素数6〜16であって、例えばアニリノ基、2,4−ジクロロアニリノ基)、ヘテロ環アミノ基(好ましくは総炭素数1〜12の飽和であっても不飽和であっても良く、2−ピリジルアミノ基、1−モルホリニルアミノ基)、脂肪族オキシカルボニルアミノ基(好ましくは総炭素数2〜12のアルコキシカルボニルアミノ基であって、例えばメトキシカルボニルアミノ基、ブトキシカルボニルアミノ基、2−メトキシエトキシカルボニルアミノ基)、アリールオキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数7〜17であって、例えばフェノキシカルボニルアミノ基)、ヘテロ環オキシカルボニルアミノ基(好ましくは総炭素数2〜12の飽和であっても不飽和であっても良く、例えば2−ピリジルオキシカルボニルアミノ基)、脂肪族スルフィニル基(好ましくは総炭素数1〜12のアルキルスルフィニル基であって、例えばメタンスルフィニル基、ブタンスルフィニル基)、アリールスルフィニル基(好ましくは総炭素数6〜16であって、ベンゼンスルフィニル基、4−メトキシベンゼンスルフィニル基)、脂肪族チオ基(好ましくは総炭素数1〜12のアルキルチオ基であって、例えばブチルチオ基、オクチルチオ基、2−エトキシエチルチオ基)、アリールチオ基(好ましくは総炭素数6〜16であって、フェニルチオ基、4−メトキシフェニルチオ基)、ヒドロキシ基、シアノ基、スルホ基、カルボキシル基、脂肪族オキシアミノ基(好ましくは総炭素数1〜12のアルコキシアミノ基であって、例えばメトキシアミノ基)、アリールオキシアミノ基(好ましくは総炭素数6〜16であって、例えばフェノキシアミノ基)、カルバモイルアミノ基(好ましくは総炭素数1〜12であって例えばジメチルカルバモイルアミノ基、ジメトキシエトキシカルバモイルアミノ基)、スルファモイルアミノ基(好ましくは総炭素数0〜12であって例えばジメチルスルファモイルアミノ基、ジメトキシエトキシスルファモイルアミノ基)、スルファモイルカルバモイル基(好ましくは総炭素数1〜12であって、例えばN,N-ジメチルスルファモイルカルバモイル基)、カルバモイルスルファモイル基(好ましくは総炭素数1〜12であって、例えばN,N-ジブチルカルバモイルスルファモイル基)、ジ脂肪族オキシフォスフィニル基(好ましくは総炭素数2〜12のアルコキシフォスフィニル基であって、例えばジエトキシフォスフィニル基)等を挙げることができる。置換基は一般式(I)の色素が2量体、3量体等の多量体を形成する場合は、2価以上であっても良い。好ましい置換基としては、脂肪族基、アリール基、ヘテロ環基、アシル基、アシルアミノ基、脂肪族オキシ基、アリールオキシ基、脂肪族オキシカルボニル基、カルバモイル基、脂肪族スルホニル基、アリールスルホニル基、スルファモイル基、脂肪族スルホンアミド基、アリールスルホンアミド基、アミノ基、脂肪族アミノ基、アリールアミノ基、ヘテロ環アミノ基、カルバモイルアミノ基、スルファモイルアミノ基、ヒドロキシ基、シアノ基を挙げることができる。
【0101】
前記Q1は、Q1と隣接する2つの窒素原子とともに環を形成するに必要な非金属原子群を表し、前記Q2は、Q2と隣接する2つの窒素原子とともに環を形成するに必要な非金属原子群を表し、前記Q4は、Q4と隣接する2つの窒素原子とともに環を形成するに必要な非金属原子群を表し、Q3は、Q3と隣接する2つの炭素原子とともに環を形成するに必要な非金属原子群を表す。形成される環は、5〜7員環であることが好ましい。
【0102】
以下に、式(A1−1)〜(A1−11)で表される基の詳細を順次説明する。
【0103】
(A1−1)
式(A1−1)中、R200は、好ましくは、水素原子、脂肪族基、アリール基、ヘテロ環基、アシル基、アシルアミノ基、脂肪族オキシ基、脂肪族スルホンアミド基、アリールスルホンアミド基、ハロゲン原子、カルバモイルアミノ基、スルファモイルアミノ基、ヒドロキシ基、シアノ基であり、さらに好ましくは、脂肪族基、アシルアミノ基、脂肪族スルホンアミド基、アリールスルホンアミド基、カルバモイルアミノ基、スルファモイルアミノ基であり、最も好ましくは 脂肪族基、アシルアミノ基、カルバモイルアミノ基である。
【0104】
201は、好ましくは、水素原子、脂肪族基、アシルアミノ基、脂肪族スルホンアミド基、アリールスルホンアミド基、ハロゲン原子、カルバモイルアミノ基、スルファモイルアミノ基、シアノ基であり、さらに好ましくは、水素原子、脂肪族基、ハロゲン原子、アシルアミノ基である。
【0105】
200とR201が結合して形成する環は、5〜7員環であることが好ましく、5もしくは6員のヘテロ環、または6員のアリールであることが更に好ましい。
【0106】
202は、好ましくは水素原子、脂肪族基、ヘテロ環基、アシル基、アシルアミノ基、脂肪族オキシ基、脂肪族オキシカルボニル基、カルバモイル基、スルファモイル基、脂肪族スルホンアミド基、アリールスルホンアミド基、アミノ基、脂肪族アミノ基、アリールアミノ基、カルバモイルアミノ基、スルファモイルアミノ基、シアノ基であり、さらに好ましくは、ヘテロ環基、アシル基、アシルアミノ基、脂肪族オキシカルボニル基、カルバモイル基、スルファモイル基、脂肪族スルホンアミド基、アリールスルホンアミド基、カルバモイルアミノ基、スルファモイルアミノ基であり、最も好ましくはヘテロ環基、アシルアミノ基、脂肪族オキシカルボニル基、カルバモイル基、カルバモイルアミノ基、スルファモイル基である。
【0107】
203は、好ましくは水素原子、脂肪族基、アシルアミノ基、ハロゲン原子であり、更に好ましくは水素原子である。
【0108】
式(A1−1)で表される基は、好ましくは、下記(AA−10)〜(AA−19)であり、より好ましくは、(AA−10)、(AA−11)、(AA−12)、(AA−13)、(AA−14)、(AA−17)であり、更に好ましくは、(AA−10)、(AA−11)、(AA−13)、(AA−14)、(AA−17)である。
【化42】

【0109】
(A1−2)
式(A1−2)中、R204は、好ましくは水素原子、脂肪族基、アリール基、ヘテロ環基、アシル基、アシルアミノ基、脂肪族オキシ基、脂肪族スルホンアミド基、アリールスルホンアミド基、ハロゲン原子、カルバモイルアミノ基、スルファモイルアミノ基、ヒドロキシ基、シアノ基であり、さらに好ましくは、脂肪族基、アシルアミノ基、脂肪族スルホンアミド基、アリールスルホンアミド基、カルバモイルアミノ基、スルファモイルアミノ基であり、最も好ましくは、脂肪族基、アシルアミノ基、カルバモイルアミノ基である。
205は、好ましくは水素原子、脂肪族基、アシルアミノ基、脂肪族スルホンアミド基、アリールスルホンアミド基、ハロゲン原子、カルバモイルアミノ基、スルファモイルアミノ基、シアノ基であり、さらに好ましくは、水素原子、脂肪族基、ハロゲン原子、アシルアミノ基である。
【0110】
204とR205が結合して形成する環は、5〜7員環であることが好ましく、5もしくは6員のヘテロ環、または6員のアリールであることが更に好ましい。
【0111】
206は、好ましくは水素原子、脂肪族基、ヘテロ環基、アシル基、アシルアミノ基、脂肪族オキシ基、脂肪族オキシカルボニル基、カルバモイル基、スルファモイル基、脂肪族スルホンアミド基、アリールスルホンアミド基、アミノ基、脂肪族アミノ基、アリールアミノ基、カルバモイルアミノ基、スルファモイルアミノ基、シアノ基であり、さらに好ましくはヘテロ環基、アシル基、アシルアミノ基、脂肪族オキシカルボニル基、カルバモイル基、スルファモイル基、脂肪族スルホンアミド基、アリールスルホンアミド基、カルバモイルアミノ基、スルファモイルアミノ基であり、最も好ましくは、ヘテロ環基、アシル基、アシルアミノ基、脂肪族オキシカルボニル基、カルバモイル基、カルバモイルアミノ基、スルファモイルアミノ基である。
【0112】
式(A1−2)で表される基は、好ましくは下記(A1−20)〜(A1−29)であり、より好ましくは、(A1−20)、(A1−21)、(A1−24)、(A1−27)であり、更に好ましくは、(A1−20)、(A1−21)である。
【化43】

【0113】
(A1−3)
式(A1−3)中、R207は、好ましくは水素原子、脂肪族基、アリール基、ヘテロ環基、アシル基、アシルアミノ基、脂肪族オキシ基、脂肪族スルホンアミド基、アリールスルホンアミド基、ハロゲン原子、カルバモイルアミノ基、スルファモイルアミノ基、ヒドロキシ基、シアノ基であり、さらに好ましくは、水素原子、脂肪族基、アシルアミノ基、脂肪族スルホンアミド基、アリールスルホンアミド基、カルバモイルアミノ基、スルファモイルアミノ基であり、最も好ましくは水素原子、脂肪族基、アシルアミノ基、カルバモイルアミノ基である。
【0114】
208は、好ましくは脂肪族基、アシルアミノ基、脂肪族スルホンアミド基、アリールスルホンアミド基、ハロゲン原子、脂肪族オキシカルボニル基、カルバモイルアミノ基、スルファモイルアミノ基、シアノ基であり、さらに好ましくは、脂肪族基、ハロゲン原子、アシルアミノ基、カルバモイルアミノ基、ハロゲン原子、脂肪族オキシカルボニル基である。
【0115】
207とR208が結合して形成する環は、5〜7員環であることが好ましく、5もしくは6員のヘテロ環、または6員のアリールであることが更に好ましい。
【0116】
209は、好ましくは水素原子、脂肪族基、ヘテロ環基、アシル基、アシルアミノ基、脂肪族オキシ基、脂肪族オキシカルボニル基、カルバモイル基、スルファモイル基、脂肪族スルホンアミド基、アリールスルホンアミド基、アミノ基、脂肪族アミノ基、アリールアミノ基、カルバモイルアミノ基、スルファモイルアミノ基、シアノ基であり、さらに好ましくは水素原子、ヘテロ環基、アシル基、アシルアミノ基、脂肪族オキシカルボニル基、カルバモイル基、脂肪族スルホンアミド基、アリールスルホンアミド基、カルバモイルアミノ基であり、最も好ましくは水素原子、ヘテロ環基、アシル基、アシルアミノ基、脂肪族オキシカルボニル基、カルバモイル基、カルバモイルアミノ基である。
【0117】
式(A1−3)で表される基は、好ましくは、下記(A1−30)〜(A1−37)であり、より好ましくは、(A1−30)、(A1−32)、(A1−35)であり、更に好ましくは、(A1−30)である。
【化44】

【0118】
(A1−4)
式(A1−4)中、R210は、好ましくは、水素原子、脂肪族基、ヘテロ環基、アシル基、アシルアミノ基、脂肪族オキシ基、脂肪族オキシカルボニル基、カルバモイル基、スルファモイル基、脂肪族スルホンアミド基、アリールスルホンアミド基、アミノ基、脂肪族アミノ基、アリールアミノ基、カルバモイルアミノ基、スルファモイルアミノ基、シアノ基であり、さらに好ましくは、ヘテロ環基、アシル基、アシルアミノ基、脂肪族オキシカルボニル基、カルバモイル基、スルファモイル基、脂肪族スルホンアミド基、アリールスルホンアミド基、カルバモイルアミノ基、スルファモイルアミノ基であり、最も好ましくはヘテロ環基、アシルアミノ基、脂肪族オキシカルボニル基、カルバモイル基、カルバモイルアミノ基である。
【0119】
211は、好ましくは、水素原子、脂肪族基、アリール基、ヘテロ環基、アシル基、アシルアミノ基、脂肪族オキシ基、脂肪族スルホンアミド基、アリールスルホンアミド基、ハロゲン原子、カルバモイルアミノ基、スルファモイルアミノ基、ヒドロキシ基、シアノ基であり、さらに好ましくは、脂肪族基、アシルアミノ基、脂肪族スルホンアミド基、アリールスルホンアミド基、カルバモイルアミノ基、スルファモイルアミノ基であり、最も好ましくは、アシルアミノ基、カルバモイルアミノ基である。
【0120】
(A1−5)
式(A1−5)中、R212は、好ましくは水素原子、脂肪族基、アリール基、ヘテロ環基、アシル基、アシルアミノ基、脂肪族オキシ基、脂肪族スルホンアミド基、アリールスルホンアミド基、ハロゲン原子、カルバモイルアミノ基、スルファモイルアミノ基、ヒドロキシ基、シアノ基であり、さらに好ましくは、脂肪族基、アシルアミノ基、脂肪族スルホンアミド基、アリールスルホンアミド基、カルバモイルアミノ基、スルファモイルアミノ基であり、最も好ましくは、脂肪族基、アシルアミノ基、カルバモイルアミノ基である。
【0121】
213は、好ましくは水素原子、脂肪族基、アシルアミノ基、ハロゲン原子であり、更に好ましくは水素原子である。
【0122】
(A1−6)
式(A1−6)中、R214は、好ましくは、脂肪族基、アリール基、ヘテロ環基、アシルアミノ基、脂肪族オキシカルボニル基、脂肪族スルホンアミド基、アリールスルホンアミド基、アミノ基、脂肪族アミノ基、アリールアミノ基、ヘテロ環アミノ基であり、更に好ましくは、脂肪族基、アリール基、ヘテロ環基、アシルアミノ基、脂肪族オキシ基、脂肪族アミノ基、アリールアミノ基、ヘテロ環アミノ基である。
【0123】
215は、好ましくは、脂肪族基、アリール基、ヘテロ環基、アシル基、脂肪族オキシカルボニル基、カルバモイル基、スルファモイル基、シアノ基であり、更に好ましくは、ヘテロ環基、アシル基、脂肪族オキシカルボニル基、カルバモイル基、シアノ基である。
【0124】
式(A1−6)で表される基は、好ましくは、下記(A1-60)、(A1−61)であり、(A1−60)が更に好ましい。
【0125】
【化45】

【0126】
(A1−7)
式(A1−7)中、R216は、好ましくは、脂肪族基、アリール基、アシル基であり、更に好ましくは脂肪族基である。
【0127】
217は、好ましくは、脂肪族基、アリール基、ヘテロ環基、アシル基、脂肪族オキシカルボニル基、カルバモイル基、スルファモイル基、シアノ基であり、更に好ましくは、ヘテロ環基、アシル基、脂肪族オキシカルボニル基、カルバモイル基、シアノ基である。
【0128】
1と隣接する2つの窒素原子によって形成される環は、5〜7員環であることが好ましく、5または6員環であることが好ましい。その具体例としては、例えば1,2,4−チアジアジン−1,1−ジオキシド環が挙げられる。
【0129】
式(A1−7)で表される基は、好ましくは、下記(A1−70)〜(A1−73)であり、より好ましくは、(A1−72)、(A1−73)であり、更に好ましくは、(A1−72)である。
【0130】
【化46】

【0131】
(A1−8)
式(A1−8)中、R218は、好ましくは脂肪族基、アリール基、ヘテロ環基、アシル基、アシルアミノ基、脂肪族オキシ基、脂肪族オキシカルボニル基、カルバモイル基、脂肪族アミノ基、アリールアミノ基、ヘテロ環アミノ基、カルバモイルアミノ基、スルファモイルアミノ基、ヒドロキシ基、シアノ基であり、更に好ましくは脂肪族基、ヘテロ環基、アシル基、アシルアミノ基、脂肪族オキシカルボニル基、カルバモイル基、アリールアミノ基、ヘテロ環アミノ基、カルバモイルアミノ基、シアノ基であり、最も好ましくはアシルアミノ基、脂肪族オキシカルボニル基、カルバモイル基、アリールアミノ基、カルバモイルアミノ基、シアノ基である。
【0132】
219は、好ましくは脂肪族基、アリール基、ヘテロ環基、アシル基、脂肪族オキシカルボニル基、カルバモイル基であり、更に好ましくは脂肪族基、アリール基、ヘテロ環基であり、最も好ましくはアリール基である。
【0133】
220は、好ましくは、酸素原子、=N−R’(R’は、水素原子、脂肪族基、アシル基またはスルホニル基)であり、より好ましくは、酸素原子、=NH、=N脂肪族基であり、更に好ましくは、酸素原子、=NHである。
【0134】
式(A1−8)で表される基は、好ましくは下記式(A1−80)で表される基である。
【化47】

【0135】
(A1−9)
式(A1−9)中、R221は、好ましくは、水素原子、脂肪族基、アリール基、ヘテロ環基、アシルアミノ基、脂肪族オキシ基、アリールオキシ基、アリールアミノ基、ヘテロ環アミノ基、カルバモイルアミノ基であり、更に好ましくは、脂肪族基、脂肪族オキシ基、アリールオキシ基である。
【0136】
2と隣接する2つの窒素原子によって形成される環は、5〜7員環であることが好ましく、5または6員環であることが好ましい。その具体例としては、例えば1,2,4−トリアゾール環、ピリミジン環等が挙げられる
【0137】
式(A1−9)で表される基は、好ましくは、下記(A1−90)〜(A1−95)であり、より好ましくは、(A1−90)、(A1−91)、(A1−92)、(A1−93)であり、更に好ましくは、(A1−90)、(A1−93)である。
【0138】
【化48】

【0139】
(A1−10)
式(A1−10)中、Q3と隣接する2つの炭素原子によって形成される環は、5〜7員環であることが好ましく、5または6員環であることが更に好ましく、6員ヘテロ環であることが特に好ましい。
【0140】
式(A1−10)で表される基は、好ましくは、下記(A1−100)〜(A1−108)であり、より好ましくは、(A1−101)、(A1−103)、(A1−104)、(A1−108)であり、更に好ましくは、(A1−101)、(A1−103)、(A1−108)であり、最も好ましくは(A1−103)、(A1−108)である。
【0141】
【化49】

【0142】
(A1−11)
式(A1−11)中、R222、R223は、好ましくは、ヘテロ環基、アシル基、脂肪族オキシカルボニル基、カルバモイル基、脂肪族スルホニル基、アリールスルホニル基、スルファモイル基、シアノ基であり、より好ましくはアシル基、脂肪族オキシカルボニル基、カルバモイル基、脂肪族スルホニル基、シアノ基であり、最も好ましくは脂肪族オキシカルボニル基、脂肪族スルホニル基、シアノ基である。なお、式(A1−11)中、R222、R223は、同じであっても異なっていてもよい。
【0143】
式(A1−11)で表される基は、好ましくは、下記(A1−110)、(A1−111)であり、更に好ましくは、(A1−110)である。
【0144】
【化50】

【0145】
以上説明した(A1−1)〜(A1−11)中、A1部として好ましくは(A1−1)、(A1−2)、(A1−6)、(A1−7)、(A1−8)、(A1−9)、(A1−11)であり、更に好ましくは(A1−1)、(A1−6)、(A1−7)、(A1−8)、(A1−9)、(A1−11)であり、最も好ましくは(A1−1)、(A1−7)、(A1−9)、(A1−11)である。
【0146】
一般式(III)中、B1で表される複素環基としては、無置換であっても置換されていてもよく、縮環していてもよく、5員ないし7員環の総炭素数2〜30の置換または無置換の複素環基が好ましい。具体的には、各々、置換されてもいてもよいピラゾール−5−オン、ピラゾリジン−3,5−ジオン、イミダゾリン−5−オン、ヒダントイン、2−又は4−チオヒダントイン、2−イミノオキサゾリジン−4−オン、2−オキサゾリン−5−オン、2−チオオキサゾリン−2,4−ジオン、イソローダニン、ローダニン、チオフェン−3−オン、チオフェン−3−オン−1,1−ジオキシド、インドリン−2−オン、インドリン−3−オン、2−オキソインダゾリウム、5,7−ジオキソ−6,7−ジヒドロチアゾロ〔3,2−a〕ピリミジン、3,4−ジヒドロイソキノリン−4−オン、1,3−ジオキサン−4,6−ジオン(例えばメルドラム酸など)、バルビツール酸、2−チオバルビツール酸、クマリン−2,4−ジオン、インダゾリン−2−オン、ピリド[1,2−a]ピリミジン−1,3−ジオン、ピラゾロ〔1,5−b〕キナゾロン、ピラゾロピリドン、5員又は6員の炭素環(例えば、ヘキサン−1,3−ジオン、ペンタン−1,3−ジオン、インダン−1,3−ジオン)類等、1H-イミダゾ〔1,2−b〕ピラゾール類、1H-ピラゾロ〔5,1−C〕〔1,2,4〕トリアゾール類、1H-ピラゾロ〔1,5−b〕〔1,2,4〕トリアゾール類等が挙げられる。その中でも、Bは、芳香族へテロ環が好ましい。
【0147】
1で表されるアリール基としては、無置換であっても置換されていてもよく、縮環していても良く、好ましくは総炭素数6〜18であって、例えば4−ジエチルアミノ−2−メチルフェニル基、4−N−エチル−N−メタンスルホンアミドエチル−2−メチルフェニル基、4−ジヒドロキシエチル−2−メチルフェニル基等が挙げられる。
【0148】
1が置換複素環基または置換アリール基である場合の置換基については、先にAが有し得る置換基について説明した通りである。
【0149】
1部として好ましい基としては、下記式(B1−1)〜(B1−9)で表される基を挙げることができる。以下において、R1007は、置換基であり、R1006、R1005は、水素原子または置換基である。置換基としては、前述の各種置換基を挙げることができる。
【0150】
【化51】

【0151】
上記において、R300〜R330は、各々独立に、水素原子または置換基である。前記置換基としては、前述の各種置換基を挙げることができる。
300とR301、R301とR302、R302とR303、R303とR304、R305とR306、R306とR307、R307とR308、R309とR310、R310とR311、R313とR314、R319とR320、R321とR322は、互いに結合して環を形成してもよい。形成される環としては、5〜7員環が好ましい。
【0152】
300〜R330は、好ましくは、水素原子、脂肪族基、アリール基、アシルオキシ基、アシルアミノ基、脂肪族オキシ基、脂肪族スルホニルオキシ基、アリールスルホニルオキシ基、脂肪族スルホンアミド基、アリールスルホンアミド基、アミノ基、脂肪族アミノ基、アリールアミノ基、脂肪族オキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、ヘテロ環オキシカルボニルアミノ基、ヒドロキシ基、シアノ基、スルホ基、カルバモイルアミノ基、スルファモイルアミノ基である。
【0153】
前記Q13は、Q13と隣接する2つの窒素原子とともに環を形成するに必要な非金属原子群を表し、前記Q14は、Q14と隣接する2つの窒素原子とともに環を形成するに必要な非金属原子群を表す。形成される環は、5〜7員環が好ましい。
以下に、式(B1−1)〜(B1−9)で表される基の詳細を順次説明する。
【0154】
(B1−1)
式(B1−1)中、R300、R301、R303、R304は、好ましくは水素原子、脂肪族基、アシルアミノ基、脂肪族オキシ基、脂肪族スルホンアミド基、アリールスルホンアミド基、脂肪族アミノ基、アリールアミノ基、脂肪族オキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、ヘテロ環オキシカルボニルアミノ基、カルバモイルアミノ基、スルファモイルアミノ基であり、更に好ましくは、水素原子、脂肪族基、アシルアミノ基、脂肪族オキシ基、脂肪族スルホンアミド基、アリールスルホンアミド基、脂肪族オキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、ヘテロ環オキシカルボニルアミノ基、カルバモイルアミノ基、スルファモイルアミノ基である。
【0155】
302は、好ましくはアシルアミノ基、脂肪族オキシ基、脂肪族スルホンアミド基、アリールスルホンアミド基、脂肪族アミノ基、アリールアミノ基、脂肪族オキシカルボニルアミノ基、脂肪族オキシ基、脂肪族スルホンアミド基であり、更に好ましくは脂肪族アミノ基、アリールアミノ基である。R302とR303の閉環も好ましい。
【0156】
式(B1−1)で表される基は、好ましくは、下記(B1−10)〜(B1−12)であり、より好ましくは(B1−10)、(B1−11)である。
【0157】
【化52】

【0158】
(B1−2)
式(B1−2)中、R305、R306、R308は、好ましくは水素原子、脂肪族基、アシルアミノ基、脂肪族オキシ基、脂肪族スルホンアミド基、アリールスルホンアミド基、脂肪族アミノ基、アリールアミノ基、脂肪族オキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、ヘテロ環オキシカルボニルアミノ基、カルバモイルアミノ基、スルファモイルアミノ基であり、更に好ましくは、水素原子、脂肪族基、アシルアミノ基、脂肪族オキシ基、脂肪族スルホンアミド基、アリールスルホンアミド基、脂肪族オキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、ヘテロ環オキシカルボニルアミノ基、カルバモイルアミノ基、スルファモイルアミノ基である。
【0159】
307は、好ましくはアシルアミノ基、脂肪族オキシ基、脂肪族スルホンアミド基、アリールスルホンアミド基、脂肪族アミノ基、アリールアミノ基、脂肪族オキシカルボニルアミノ基であり、更に好ましくは脂肪族アミノ基、アリールアミノ基である。R306とR307、またはR307とR308の閉環も好ましい。
【0160】
式(B1−2)で表される基は、好ましくは、下記(B−20)〜(B−22)であって、より好ましくは(B1−20)である。
【0161】
【化53】

【0162】
(B1−3)
式(B1−3)中、R309、R310、R312は、好ましくは水素原子、脂肪族基、アシルアミノ基、脂肪族オキシ基、脂肪族スルホンアミド基、アリールスルホンアミド基、脂肪族アミノ基、アリールアミノ基、脂肪族オキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、ヘテロ環オキシカルボニルアミノ基、カルバモイルアミノ基、スルファモイルアミノ基であり、更に好ましくは、水素原子、脂肪族基、アシルアミノ基、脂肪族オキシ基、脂肪族スルホンアミド基、アリールスルホンアミド基、脂肪族オキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、ヘテロ環オキシカルボニルアミノ基、カルバモイルアミノ基、スルファモイルアミノ基である。
【0163】
311は、好ましくはアシルアミノ基、脂肪族オキシ基、脂肪族スルホンアミド基、アリールスルホンアミド基、脂肪族アミノ基、アリールアミノ基、脂肪族オキシカルボニルアミノ基であり、更に好ましくは脂肪族アミノ基、アリールアミノ基である。R310とR311の閉環も好ましい。
【0164】
式(B1−3)で表される基は、好ましくは、下記(B1−30)〜(B1−32)であって、より好ましくは(B1−30)、(B1−31)である。
【0165】
【化54】

【0166】
(B1−4)
式(B1−4)中、R313、R315は、好ましくは水素原子、脂肪族基、アシルアミノ基、脂肪族オキシ基、脂肪族スルホンアミド基、アリールスルホンアミド基、脂肪族アミノ基、アリールアミノ基、脂肪族オキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、ヘテロ環オキシカルボニルアミノ基、カルバモイルアミノ基、スルファモイルアミノ基であり、更に好ましくは、水素原子、脂肪族基、アシルアミノ基、脂肪族オキシ基、脂肪族スルホンアミド基、アリールスルホンアミド基、脂肪族オキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、ヘテロ環オキシカルボニルアミノ基、カルバモイルアミノ基、スルファモイルアミノ基である。
【0167】
314は、好ましくはアシルアミノ基、脂肪族オキシ基、脂肪族スルホンアミド基、アリールスルホンアミド基、脂肪族アミノ基、アリールアミノ基、脂肪族オキシカルボニルアミノ基であり、更に好ましくは脂肪族アミノ基、アリールアミノ基である。R313とR314の閉環も好ましい。
【0168】
式(B1−4)で表される基は、好ましくは、下記(B1−40)、(B1−41)であって、より好ましくは、(B1−40)である。
【0169】
【化55】

【0170】
(B1−5)
式(B1−5)中、R316、R318は、好ましくは水素原子、脂肪族基、アシルアミノ基、脂肪族オキシ基、脂肪族スルホンアミド基、アリールスルホンアミド基、脂肪族アミノ基、アリールアミノ基、脂肪族オキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、ヘテロ環オキシカルボニルアミノ基、カルバモイルアミノ基、スルファモイルアミノ基であり、更に好ましくは、水素原子、脂肪族基、アシルアミノ基、脂肪族オキシ基、脂肪族スルホンアミド基、アリールスルホンアミド基、脂肪族オキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、ヘテロ環オキシカルボニルアミノ基、カルバモイルアミノ基、スルファモイルアミノ基である。
【0171】
317は、好ましくはアシルアミノ基、脂肪族オキシ基、脂肪族スルホンアミド基、アリールスルホンアミド基、脂肪族アミノ基、アリールアミノ基、脂肪族オキシカルボニルアミノ基であり、更に好ましくは脂肪族アミノ基、アリールアミノ基である。
【0172】
式(B1−5)で表される基は、好ましくは、下記(B1−50)である。
【0173】
【化56】

【0174】
(B1−6)
式(B1−6)中、R319、R320、R321は、好ましくは水素原子、脂肪族基、アシルアミノ基、脂肪族オキシ基、脂肪族スルホンアミド基、アリールスルホンアミド基、脂肪族アミノ基、アリールアミノ基、脂肪族オキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、ヘテロ環オキシカルボニルアミノ基、カルバモイルアミノ基、スルファモイルアミノ基であり、更に好ましくは、水素原子、脂肪族基、アシルアミノ基、脂肪族オキシ基、脂肪族スルホンアミド基、アリールスルホンアミド基、脂肪族オキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、ヘテロ環オキシカルボニルアミノ基、カルバモイルアミノ基、スルファモイルアミノ基である。
【0175】
322は、好ましくは水素原子、アシルアミノ基、脂肪族オキシ基、脂肪族スルホンアミド基、アリールスルホンアミド基であり、更に好ましくは水素原子である。
【0176】
(B1−7)
式(B1−7)中、R323は、好ましくは、脂肪族基、アリール基、ヘテロ環基、アシル基、アシルアミノ基、脂肪族オキシ基、脂肪族オキシカルボニル基、カルバモイル基、脂肪族アミノ基、アリールアミノ基、ヘテロ環アミノ基、カルバモイルアミノ基、スルファモイルアミノ基、ヒドロキシ基、シアノ基であり、更に好ましくは脂肪族基、ヘテロ環基、アシル基、アシルアミノ基、脂肪族オキシカルボニル基、カルバモイル基、アリールアミノ基、ヘテロ環アミノ基、カルバモイルアミノ基、シアノ基であり、最も好ましくはアシルアミノ基、脂肪族オキシカルボニル基、カルバモイル基、アリールアミノ基、カルバモイルアミノ基、シアノ基である。
【0177】
324は、好ましくは、脂肪族基、アリール基、ヘテロ環基、アシル基、脂肪族オキシカルボニル基、カルバモイル基であり、更に好ましくは脂肪族基、アリール基、ヘテロ環基であり、最も好ましくはアリール基である。
【0178】
325は、好ましくはヒドロキシ基、脂肪族オキシ基、アシルオキシ基、アシルアミノ基、脂肪族オキシカルボニルアミノ基であり、更に好ましくはヒドロキシ基、脂肪族オキシ基である。
【0179】
式(B1−7)で表される基は、好ましくは下記(B1−70)である。(B1−70)において、R1006は、水素原子または脂肪族基であることが更に好ましい。
【0180】
【化57】

【0181】
(B1−8)
式(B1−8)中、R326は、好ましくは、水素原子、脂肪族基、アリール基、ヘテロ環基、アシルアミノ基、脂肪族オキシ基、アリールオキシ基、アリールアミノ基、ヘテロ環アミノ基、カルバモイルアミノ基であり、更に好ましくは脂肪族基、脂肪族オキシ基、アリールオキシ基であり、最も好ましくは脂肪族基である。
【0182】
327は、好ましくは、水素原子、 脂肪族基、アシル基、脂肪族オキシカルボニル基、カルバモイル基、脂肪族スルホニル基、芳香族スルホニル基であり、更に好ましくは水素原子、脂肪族基、アシル基、脂肪族スルホニル基であり、最も好ましくは水素原子、脂肪族基である。Q13が隣接する2つの窒素原子と形成する環は、5または6員環が好ましい。
【0183】
式(B1−8)で表される基は、好ましくは、下記(B1−80)〜(B1−85)であり、より好ましくは(B1−80)、(B1−81)、(B1−82)、(B1−83)であり、更に好ましくは、(B1−80)、(B1−83)である。
【0184】
【化58】

【0185】
(B1−9)
式(B1−9)中、R328、R330は、好ましくは、ヘテロ環基、アシル基、脂肪族オキシカルボニル基、カルバモイル基、脂肪族スルホニル基、アリールスルホニル基、スルファモイル基、シアノ基であり、より好ましくはアシル基、脂肪族オキシカルボニル基、カルバモイル基、脂肪族スルホニル基、シアノ基であり、最も好ましくは脂肪族オキシカルボニル基、脂肪族スルホニル基、シアノ基である。
【0186】
329は、好ましくは、水素原子、 脂肪族基、アシル基、脂肪族オキシカルボニル基、カルバモイル基、脂肪族スルホニル基、芳香族スルホニル基であり、更に好ましくは水素原子、脂肪族基、アシル基、脂肪族スルホニル基であり、最も好ましくは水素原子、脂肪族基である。Q14が隣合う2つの窒素原子と形成する環は、5または6員環が好ましい。
【0187】
式(B1−9)で表される基は、好ましくは、下記(B1−90)、(B1−91)であり、更に好ましくは(B1−90)である。
【0188】
【化59】

【0189】
以上説明した(B1−1)〜(B1−9)中、B部として好ましくは(B1−1)、(B1−3)、(B1−4)、(B1−7)、(B1−8)であり、より好ましくは(B1−1)、(B1−3)、(B1−8)である。
【0190】
一般式(III)で表される色素におけるA1部とB1部の好ましい組み合わせを以下に示す。なお、A1部とB1部の好ましい組み合わせの例としては、後述する一般式(100)〜(106)で表される化合物を挙げることもできる。
【0191】
【表1】

【0192】
以下に、一般式(III)中のA1部、B1部の具体例を示すが、本発明に用いられる色素は、下記の例に限定されるものではない。なお、下記において、*は一般式(III)中の窒素原子との結合手を表す。
【0193】
【化60】

【0194】
【化61】

【0195】
【化62】

【0196】
【化63】

【0197】
【化64】

【0198】
【化65】

【0199】
【化66】

【0200】
【化67】

【0201】
【化68】

【0202】
【化69】

【0203】
【化70】

【0204】
【化71】

【0205】
【化72】

【0206】
【化73】

【0207】
【化74】

【0208】
以上示したA1部およびB1部の具体例の好ましい組み合わせとしては、下記例示化合物を挙げることができる。但し、本発明で使用される色素は、下記の例示化合物に限定されるものではない。下記表中、より好ましい例示化合物に*を付した。
【0209】
【表2】






【0210】
一般式(III)で表される色素は、A1に相当するカプラーと、B1にアミンが置換した化合物を酸化カップリングすることによって合成することができる。具体的には特開2001−342364号公報、特開2004−51873号公報、特開平07−137455号公報、特開昭61−31292号公報等に記載の方法に準じて合成することができる。
なお、一般式(III)で表される色素は、プロトンの移動による互変異性体構造をとることができる場合は、その構造の色素も一般式(III)で表される色素に含まれるものである。
【0211】
更に、一般式(III)で表される色素の好ましい態様としては、下記一般式(100)〜(106)で表される色素を挙げることができる。
【0212】
【化75】

[一般式(100)中、EWG2は電子求引性基を表し、R21、R22、R23およびR24は、各々独立に、一価の置換基を表し、R25は水素原子または一価の置換基を表し、n6およびn7は各々独立に0〜4の範囲の整数を表す。]
【0213】
【化76】

[一般式(101)中、R91は、水素原子または一価の置換基を表し、R93およびR94は、各々独立に置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアリール基、または置換もしくは無置換のへテロ環基を表し、R92は一価の置換基を表し、n15は0〜2の範囲の整数を表し、Z1およびZ2は、どちら一方が=N−であり、他方が、=C(R95)−を表し、Z3およびZ4は、各々独立に=N−または、=C(R96)−を表し、R95およびR96は、各々独立に水素原子または一価の置換基を表す。]
【0214】
【化77】

[一般式(102)中、R103およびR104は、各々独立に、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアリール基、または置換もしくは無置換のへテロ環基を表し、R101およびR102は、各々独立に一価の置換基を表し、n16およびn17は、各々独立に0〜4の範囲の整数を表す。]
【0215】
【化78】

[一般式(103)中、R221、R326、R327、R1001およびR1005は、各々独立に水素原子または置換基を表す。]
【0216】
【化79】

[一般式(104)中、R222、R223、R300、R1001およびR1005は、各々独立に水素原子または置換基を表し、R1007は置換基を表す。]
【0217】
【化80】

[一般式(105)中、R202、R300、R1001およびR1005は、各々独立に水素原子または置換基を表し、R1000およびR1007は、各々独立に置換基を表す。]
【0218】
【化81】

[一般式(106)中、R202、R300、R1001およびR1005は、各々独立に水素原子または置換基を表し、R1000およびR1007は、各々独立に置換基を表す。]
以下に、一般式(100)〜(106)で表される化合物について、順次説明する。
【0219】
一般式(100)
一般式(100)で表される化合物は、一般式(III)中のA1部が(A1−1)、B部が(B1−1)である化合物であって、(A1−1)中のR200とR201が互いに結合して環を形成した化合物である。
一般式(100)中のEWG2はHammettの置換基定数σp値が0以上の電子求引性基を表し、その詳細は先に(A1−1)中のR202について説明した通りである。
以下に、Hammettの置換基定数σp値について若干説明する。Hammett則は、ベンゼン誘導体の反応または平衡に及ぼす置換基の影響を定量的に論ずるために1935年L. P. Hammettにより提唱された経験則であるが、これは今日広く妥当性が認められている。Hammett則で求められた置換基定数にはσp値とσm値があり、これらの値は多くの一般的な成書に見出すことができるが、例えば、J. A. Dean編「Lange's Handbook of Chemistry」第12版、1979年 (Mc Graw - Hill) や「化学の領域」増刊122号96〜103頁、1979年(南光堂)に詳しい。尚、本明細書において各置換基をハメットの置換基定数σpにより限定したり、説明したりするが、これは上記の成書で見出せる、文献既知の値がある置換基にのみ限定されるという意味ではなく、その値が文献未知であってもHammett則に基づいて測定した場合にその範囲内に包まれるであろう置換基をも含むことはいうまでもない。また、前記一般式中には、ベンゼン誘導体ではないものも含まれるが、置換基の電子効果を示す尺度として、置換位置に関係なくσp値を使用する。本明細書においてσp値をこのような意味で使用する。
【0220】
一般式(100)中のR25は、水素原子または一価の置換基を表し、その詳細は先に(A1−1)中のR203について説明した通りである。
【0221】
一般式(100)中のR24は一価の置換基を表し、その詳細は先に置換基について説明した通りである。n7は0〜4の範囲の整数を表し、好ましくは0である。
【0222】
一般式(100)中のR21、R22およびR23は、各々独立に一価の置換基を表す。前記置換基の詳細は先に説明した通りである。また、一般式(100)中のn6は0〜4の範囲の整数を表し、好ましくは1である。
【0223】
一般式(101)
一般式(101)で表される化合物は、一般式(III)中のA1部が(A1−9)、B1部が(B1−1)、(B1−2)または(B1−3)である化合物である。
【0224】
一般式(101)中のR91は水素原子または一価の置換基を表し、その詳細は先に(A1−9)中のR221について説明した通りである。
【0225】
一般式(101)中のZ1およびZ2は、どちら一方が=N−であり、他方が、=C(R95)−を表し、R95は水素原子または一価の置換基を表す。前記置換基の詳細は先に説明した通りである。
【0226】
一般式(101)中のR93およびR94は、各々独立に、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアリール基、または置換もしくは無置換のへテロ環基を表し、好ましくは水素原子、または置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアルケニル基、置換もしくは無置換のアリール基、置換もしくは無置換のヘテロ環基である。より好ましくは水素原子または置換もしくは無置換のアルキル基である。さらに好ましくは、置換または無置換の炭素数1〜6のアルキル基であり、より一層好ましくは置換または無置換の炭素数1〜6のアルキル基である。
【0227】
一般式(101)中のR92は一価の置換基を表す。前記置換基の詳細は先に説明した通りである。また、一般式(101)中のn15は0〜2の範囲の整数であり、好ましくは0または1であり、より好ましくは1である。
【0228】
一般式(101)中のZ3およびZ4は、各々独立に=N−または、=C(R96)−を表し、R95およびR96は、各々独立に水素原子または一価の置換基を表す。前記置換基の詳細については先に説明した通りである。
【0229】
一般式(102)
一般式(102)で表される化合物は、一般式(III)中のA1部が(A−1)、B1部が(B1−1)である化合物である。
【0230】
一般式(102)中のR101およびR102は、各々独立に一価の置換基である。前記置換基については先に説明した通りである。また、n16およびn17は、各々独立に0〜4の範囲の整数である。n16は、好ましくは1〜3の範囲の整数であり、n17は、好ましくは0〜2の範囲の整数であり、更に好ましくは0または1である。
【0231】
一般式(102)中のR103およびR104は、各々独立に、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアリール基、または置換もしくは無置換のへテロ環基を表す。好ましくは置換もしくは無置換のアルキル基、または置換もしくは無置換のアリール基であり、より好ましくは置換もしくは無置換のアルキル基である。
【0232】
一般式(103)
一般式(103)で表される化合物は、一般式(III)中のA1部が(A1−9)、B1部が(B1−8)である化合物である。一般式(103)中、R221、R326、R327、R1001およびR1005は、各々独立に水素原子または置換基である。一般式(103)中のR221の詳細は、(A1−9)中のR221について説明した通りであり、一般式(103)中のR326およびR327の詳細は、先に(B1−8)中のR326およびR327について説明した通りである。また、一般式(103)中のR1001の詳細は、先にA1部に含まれ得るR1001について説明した通りであり、一般式(103)中のR1005の詳細は、先にB1部に含まれ得るR1005について説明した通りである。
【0233】
一般式(104)
一般式(104)で表される化合物は、一般式(III)中のA1部が(A1−11)、B1部が(B1−1)である化合物である。一般式(104)中、R222、R223、R300、R1001およびR1005は、各々独立に水素原子または置換基であり、R1007は置換基である。一般式(104)中のR222およびR223の詳細は、先に(A−11)中のR222およびR223について説明した通りであり、一般式(104)中のR330の詳細は、先に(B−1)中のR330について説明した通りである。また、一般式(104)中のR1001の詳細は、先にA部に含まれ得るR1001について説明した通りであり、一般式(104)中のR1005およびR1007の詳細は、先にB部に含まれ得るR1005およびR1007について説明した通りである。
【0234】
一般式(105)
一般式(105)で表される化合物は、一般式(III)中のA1部が(A1−1)、B1部が(B1−1)である化合物である。一般式(105)中、R202、R300、R1001およびR1005は、各々独立に水素原子または置換基であり、R1000およびR1007は、各々独立に置換基である。一般式(105)中のR202の詳細は、先に(A1−1)中のR202について説明した通りであり、一般式(105)中のR300の詳細は、先に(B1−1)中のR300について説明した通りである。また、一般式(105)中のR1000およびR1001の詳細は、先にA部に含まれ得るA1000およびR1001について説明した通りであり、一般式(105)中のR1005およびR1007の詳細は、先にB部に含まれ得るR1005およびR1007について説明した通りである。
【0235】
一般式(106)
一般式(106)で表される化合物は、一般式(III)中のA1部が(A1−1)、B1部が(B1−1)である化合物である。一般式(106)中、R202、R300、R1001およびR1005は、各々独立に水素原子または置換基であり、R1000およびR1007は、各々独立に置換基である。一般式(106)中のR202の詳細は、先に(A1−1)中のR202について説明した通りであり、一般式(106)中のR300の詳細は、先に(B1−1)中のR300について説明した通りである。また、一般式(106)中のR1000およびR1001の詳細は、先にA1部に含まれ得るA1000およびR1001について説明した通りであり、一般式(106)中のR1005およびR1007の詳細は、先にB1部に含まれ得るR1005およびR1007について説明した通りである。
【0236】
一般式(100)で表される化合物の好ましい具体例としては、前述の例示化合物D1-41〜43、45、46を挙げることができる。一般式(101)で表される化合物の好ましい具体例としては、前述の例示化合物D3-27〜D3-35を挙げることができる。一般式(102)で表される化合物の好ましい具体例としては、前述の例示化合物D1-1〜5、32〜34を挙げることができる。一般式(103)で表される化合物の好ましい具体例としては、前述の例示化合物D3-41、42〜50を挙げることができる。一般式(104)で表される化合物の好ましい具体例としては、前述の例示化合物D4-1〜5、8、10、11、13、16、18を挙げることができる。一般式(105)で表される化合物の好ましい具体例としては、前述の例示化合物D1-6、7、36、37、47、48を挙げることができる。一般式(106)で表される化合物の好ましい具体例としては、前述の例示化合物D1-8、9、38、40、49を挙げることができる。
【0237】
前記一般式(100)〜(106)で表される色素は、市販品として入手可能なものもある。また、市販されていないものに関しては、以下の文献記載の方法に準じて合成することができる: US Application Ser. No. 07/059,442、米国特許3,770,370号明細書、特開2004-51873号明細書、独国特許2316755号明細書、特開平7-137455号明細書、特開昭61-31292号公報、J. Chem. Soc. Perkin transfer I, 1977, 2047、Champan著「Merocyanine Dye-Doner Element Used in thermal Dye Transefer」。
【0238】
可視情報記録層
本発明の光記録媒体は、前記一般式(I)、(II)および(III)で表される色素からなる群から選ばれる少なくとも2種の色素を含有する。前記各色素は、照射されたレーザー光を吸収して光−熱変換することにより、発生した熱によって色素が分解し、可視光領域の光の吸収が減少し得る。これにより、未分解色素により呈色した領域との間で色調の差が生じることにより、可視情報記録層に画像等の可視情報を形成することができる。前記2種以上の色素を含む可視情報記録層に対してレーザー光を照射することにより、コントラストが高く視認性に優れ、しかも高い堅牢性を有する可視情報を形成することができる。一般式(I)、(II)、(III)で表される色素はシアン、マゼンタ、イエロー系の色素である。色素の組み合わせおよび混合比は、所望の色調に応じて決定することができるが、コントラストおよび堅牢性の点で好ましい色素の組み合わせとしては、
(1)一般式(I)で表される色素と一般式(II)で表される色素の組み合わせ;
(2)一般式(II)で表される色素と一般式(III)で表される色素の組み合わせ
(3)一般式(I)、(II)および(III)で表される色素の組み合わせを挙げることができ、より好ましい色素の組み合わせとしては、前記(1)、(2)の組み合わせを挙げることができる。
【0239】
前記(1)の組み合わせにおいて、一般式(I)で表される色素の使用量を可視情報記録層に含まれる全色素の10〜90質量%とし、一般式(II)で表される色素の使用量を使用する全色素の10〜90質量%とすることが好ましい。
前記(2)の組み合わせにおいて、一般式(II)で表される色素の使用量を可視情報記録層に含まれる全色素の10〜90質量%とし、一般式(III)で表される色素の使用量を可視情報記録層に含まれる全色素の10〜90質量%とすることが好ましい。
前記(3)の組み合わせにおいて、一般式(I)で表される色素の使用量を可視情報記録層に含まれる全色素の5〜80質量%とし、一般式(II)で表される色素の使用量を可視情報記録層に含まれる全色素の10〜90質量%とし、一般式(III)で表される色素の使用量を可視情報記録層に含まれる全色素の5〜90質量%とすることが好ましい。
【0240】
前記可視情報記録層は、前記色素を主成分とすることが好ましい。ここで、「主成分とする」とは、可視情報記録層中の全固形分に対する色素の含有量が50質量%以上であることをいう。前記可視情報記録層中の前記色素含有量は、好ましくは80%質量以上、より好ましくは90〜100質量%である。前記可視情報記録層は、一般式(I)、(II)および(III)で表される色素以外の色素を含むこともできるが、コントラストが高く視認性に優れるとともに高い堅牢性を示す可視情報を形成するためには、可視情報記録層に含まれる色素成分が上記色素からなることが好ましい。
【0241】
前記各色素は、400〜850nmの波長領域のレーザー光に対して吸光度0.5以上(好ましくは0.1〜1.0)の吸収を有することが好ましい。可視情報記録層に含まれる色素が上記吸収を有することにより、レーザー光照射によって、良好な視認性を有する文字、画像、絵柄等の可視情報を記録することができる。
【0242】
前記可視情報記録層は、前記色素を溶剤に溶解して調製した塗布液を塗布することによって形成することができる。溶剤としては、後述する記録層用塗布液の調製に使用可能な各種溶剤を使用することができる。その他の添加剤、塗布方法等の詳細は、記録層について後述する通りである。
【0243】
前記可視情報記録層の厚さは、0.01〜200μmとすることが好ましく、0.05〜150μmとすることがより好ましく、0.1〜50μmとすることがさらに好ましい。可視情報記録層と記録層との厚さの比(可視情報記録層厚/記録層厚)は、1/100〜100/1とすることが好ましく、1/10〜10/1とすることがより好ましい。
【0244】
前記可視情報記録層に記録される可視情報とは、視覚的に認識可能な情報を意味し、文字(列)、絵柄、図形等、あらゆる視認可能な情報を含む。また、文字情報としては、使用可能者指定情報、使用期間指定情報、使用可能回数指定情報、レンタル情報、分解能指定情報、レイヤ指定情報、ユーザー指定情報、著作権者情報、著作権番号情報、製造者情報、製造日情報、販売日情報、販売店または販売者情報、使用セット番号情報、地域指定情報、言語指定情報、用途指定情報、製品使用者情報、使用番号情報等が挙げられる。
【0245】
<層構成>
本発明の光記録媒体は、例えば、第一基板、レーザー光を照射して情報の記録および/または再生が可能な記録層、反射層、可視情報記録層、ならびに第二基板をこの順に有するものであることができる。但し、本発明の光記録媒体は、基板上に可視情報記録層を有し、該可視情報記録層に前記色素を含むものであれば、その層構成は特に限定されるものではなく、各種の層構成を取ることができる。本発明の光記録媒体の一例(概略断面図)を、図1に示す。
【0246】
図1に示す光記録媒体10は、第1基板16と、該第1基板16上に形成された記録層18と、該記録層18上に形成された第1反射層20と、該第1反射層20上に形成された接着層22と、該接着層22上に形成された第2反射層24と、該第2反射層24上に形成された前記可視情報記録層14と、該可視情報記録層14上に形成された第2基板26とを有する。光記録媒体の種類としては、読出し専用型、追記型、書換え可能型等のいずれでもよいが、追記型であることが好ましい。また、追記型の場合、その記録形式としては、相変化型、光磁気型、色素型等、特に制限されないが、色素型であることが好ましい。
【0247】
本発明の光記録媒体の層構成としては、例えば、以下の構成が挙げられる。
(1)第1の層構成は、例えば図1に示すように、第1基板16上に、記録層18、第1反射層20、接着層22、第2反射層24を順次形成し、該第2反射層24上に可視情報記録層14、第2基板26を設ける構成である。
(2)第2の層構成は、図示しないが、第1基板16上に、記録層18、第1反射層20、接着層22を順次形成し、接着層22上に可視情報記録層14、第2基板26を設ける構成である。
(3)第3の層構成は、図示しないが、第1基板16上に、記録層18、第1反射層20、保護層、接着層22を順次形成し、該接着層22上に可視情報記録層14、第2基板26を設ける構成である。
(4)第4の層構成は、図示しないが、第1基板16上に、記録層18、第1反射層20、第1保護層、接着層22、第2保護層を順次形成し、該第2保護層上に可視情報記録層14、第2基板26を設ける構成である。
(5)第5の層構成は、第1基板16上に、記録層18、第1反射層20、第1保護層、接着層22、第2保護層、第2反射層24を順次形成し、該第2反射層24上に可視情報記録層14、第2基板26を設ける構成である。
なお、上記(1)〜(5)の層構成は単なる例示であり、これらの層構成は上述の順番のみでなく、一部を入れ替えてもよい。また、一部を省略してもかまわない。さらに、各層は1層で構成されても複数層で構成されてもよい。
【0248】
本発明の光記録媒体が、CD−Rである場合には、トラックピッチ1.4〜1.8μmのプリグルーブ28(図1参照)が形成された厚さ1.2±0.2mmの透明な円盤状の第1基板16上に、記録層18、第1反射層20、保護層、接着層22、第2反射層24、前記色素を含む可視情報記録層14、第2基板26をこの順に有する構成であることが好ましい。また、DVD−Rに適用する場合には以下の二つの態様であることが好ましい。
(1)トラックピッチ0.6〜0.9μmのプリグルーブ28が形成された厚さ0.6±0.1mmの透明な円盤状の第1基板16上に、記録層18および光反射層が設けられてなる二枚の積層体が、それぞれ記録層18が内側となるように接合され、厚さ1.2±0.2mmであり、少なくともどちらかの第1基板16上に可視情報記録層14を設けてなる光情報記録媒体。
(2)トラックピッチ0.6〜0.9μmのプリグルーブ28が形成された厚さ0.6±0.1mmの透明な円盤状の第1基板16上に、記録層18および光反射層が設けられてなる積層体と、該積層体の円盤状の第1基板16と同じ形状の透明な円盤状保護基板とを、記録層18が内側となるように接合され、厚さ1.2±0.2mmであり、少なくともどちらかの基板上に可視情報記録層14を設けてなる光情報記録媒体。なお、上記DVD−R型の光情報記録媒体においては、光反射層の上にはさらに保護層を設けた構成とすることもできる。
【0249】
以下、上記各層および基板について順次説明する。
<記録層>
本発明の光記録媒体における記録層は、レーザー光を照射して情報の記録および/または再生が可能な層である。記録層は、デジタル情報等の符号情報(コード化情報)が記録される層であり、追記型(色素追記型が好ましい)、相変化型、光磁気型等が挙げられ、特に制限はないが、色素型であることが好ましい。
【0250】
色素型の記録層に含有される色素の具体例としては、シアニン色素、オキソノール色素、金属錯体系色素、アゾ色素、フタロシアニン色素等が挙げられる。また、特開平4−74690号、特開平8−127174号、同11−53758号、同11−334204号、同11−334205号、同11−334206号、同11−334207号、特開2000−43423号、同2000−108513号および同2000−158818号等の各公報に記載されている色素が好適に用いられる。
【0251】
前記記録層は、色素等の記録物質を、結合剤等と共に適当な溶剤に溶解して塗布液を調製し、次いでこの塗布液を基板上に塗布して塗膜を形成した後、乾燥することにより形成することができる。塗布液中の記録物質の濃度は、一般に0.01〜15質量%の範囲であり、好ましくは0.1〜10質量%の範囲、より好ましくは0.5〜5質量%の範囲、最も好ましくは0.5〜3質量%の範囲である。
【0252】
前記記録層は、蒸着法、スパッタリング法、CVD法、溶剤塗布法等の方法によって形成することができる。中でも、溶剤塗布法を用いることが好ましい。この場合、前記色素等の他、さらに所望によりクエンチャ、結合剤等を溶剤に溶解して塗布液を調製し、次いでこの塗布液を基板の表面に塗布して塗膜を形成した後、乾燥することにより、記録層を形成することができる。
【0253】
塗布液の溶剤としては、酢酸ブチル、乳酸エチル、セロソルブアセテート等のエステル;メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、メチルイソブチルケトン等のケトン;ジクロルメタン、1,2−ジクロルエタン、クロロホルム等の塩素化炭化水素;ジメチルホルムアミド等のアミド;メチルシクロヘキサン等の炭化水素;ジブチルエーテル、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル;エタノール、n−プロパノール、イソプロバノール、n−ブタノール、ジアセトンアルコール等のアルコール;2,2,3,3−テトラフルオロプロパノール等のフッ素系溶剤;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル等のグリコールエーテル類等を挙げることができる。
上記溶剤は使用する色素の溶解性を考慮して単独で、または2種以上を組み合わせて使用することができる。塗布液中にはさらに酸化防止剤、UV吸収剤、可塑剤、潤滑剤等、各種の添加剤を目的に応じて添加してもよい。
【0254】
結合剤を使用する場合、該結合剤の例としては、ゼラチン、セルロース誘導体、デキストラン、ロジン、ゴム等の天然有機高分子物質;およびポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリイソブチレン等の炭化水素系樹脂;ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリ塩化ビニル・ポリ酢酸ビニル共重合体等のビニル系樹脂;ポリアクリル酸メチル、ポリメタクリル酸メチル等のアクリル樹脂;ポリビニルアルコール、塩素化ポリエチレン、エポキシ樹脂、ブナラール樹脂、ゴム誘導体、フェノール・ホルムアルデヒド樹脂等の熱硬化性樹脂の初期縮合物等の合成有機高分子を挙げることができる。
【0255】
記録層の材料として結合剤を併用する場合、結合剤の使用量は、一般に色素の質量の0.01倍量〜50倍量の範囲にあり、好ましくは0.1倍量〜5倍量の範囲にある。
【0256】
前記溶剤塗布の塗布方法としては、スプレー法、スピンコート法、ディップ法、ロールコート法、ブレードコート法、ドクターロール法、スクリーン印刷法等を挙げることができる。記録層18は単層でも重層でもよい。記録層18の層厚は一般に10〜500nmの範囲にあり、好ましくは15〜300nmの範囲にあり、より好ましくは20〜150nmの範囲にある。
【0257】
記録層には、記録層の耐光性を向上させるために、種々の褪色防止剤を含有させることができる。褪色防止剤としては、一般的に、一重項酸素クエンチャが用いられる。一重項酸素クエンチャとしては、既に公知の特許明細書等の刊行物に記載のものを利用することができる。前記一重項酸素クエンチャ等の褪色防止剤の使用量は、通常、色素の質量の0.1〜50質量%の範囲であり、好ましくは、0.5〜45質量%の範囲、さらに好ましくは、3〜40質量%の範囲、特に好ましくは5〜25質量%の範囲である。
【0258】
相変化型の記録層を構成する材料の具体例としては、Sb−Te合金、Ge−Sb−Te合金、Pd−Ge−Sb−Te合金、Nb−Ge−Sb−Te合金、Pd−Nb−Ge−Sb−Te合金、Pt−Ge−Sb−Te合金、Co−Ge−Sb−Te合金、In−Sb−Te合金、Ag−In−Sb−Te合金、Ag−V−In−Sb−Te合金、Ag−Ge−In−Sb−Te合金等が挙げられる。相変化型の記録層18の層厚は、10〜50nmとすることが好ましく、15〜30nmとすることがより好ましい。相変化型の記録層は、スパッタ法、真空蒸着法等の気相薄膜堆積法等によって形成することができる。
【0259】
<第1基板>
図1に示す光記録媒体における第1基板16は、従来の光記録媒体の基板として用いられている各種の材料から任意に選択された材料を用いて形成することができる。第1基板16の材料としては、例えば、ガラス、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート等のアクリル樹脂、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル共重合体等の塩化ビニル系樹脂、エポキシ樹脂、アモルファスポリオレフィンおよびポリエステル等を挙げることができ、所望によりそれらを併用してもよい。なお、これらの材料はフィルム状として、または剛性のある第1基板16として使うことができる。上記材料の中では、耐湿性、寸法安定性および価格等の点からポリカーボネートが好ましい。
第1基板16の厚さは、0.1〜1.2mmとすることが好ましく、0.2〜1.1mmとすることがより好ましい。
【0260】
記録層18が設けられる側の第1基板16の表面側(プリグルーブ28が形成された面側)には、平面性の改善、接着力の向上および記録層18の変質防止の目的で、下塗層が設けられてもよい。
下塗層の材料としては例えば、ポリメチルメタクリレート、アクリル酸・メタクリル酸共重合体、スチレン・無水マレイン酸共重合体、ポリビニルアルコール、N−メチロールアクリルアミド、スチレン・ビニルトルエン共重合体、クロルスルホン化ポリエチレン、ニトロセルロース、ポリ塩化ビニル、塩素化ポリオレフィン、ポリエステル、ポリイミド、酢酸ビニル・塩化ビニル共重合体、エチレン・酢酸ビニル共重合体、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート等の高分子物質;およびシランカップリング剤等の表面改質剤等を挙げることができる。下塗層は、上記物質を適当な溶剤に溶解または分散して塗布液を調製した後、この塗布液をスピンコート、ディップコート、エクストルージョンコート等の塗布法により、第1基板16の表面に塗布することにより形成することができる。
下塗層の層厚は、一般に0.005〜20μmの範囲にあり、好ましくは0.01〜10μmの範囲である。
【0261】
<第1反射層>
図1に示すように、情報の再生時における反射率の向上の目的で、記録層18に隣接して第1反射層20が設けられることある。第1反射層20の材料である光反射性物質はレーザ光に対する反射率が高い物質であり、その例としては、Mg、Se、Y、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Cr、Mo、W、Mn、Re、Fe、Co、Ni、Ru、Rh、Pd、Ir、Pt、Cu、Ag、Au、Zn、Cd、Al、Ga、In、Si、Ge、Te、Pb、Po、Sn、Bi等の金属および半金属またはステンレス鋼を挙げることができる。これらの物質は単独で用いてもよいし、2種以上の組合せで、または合金として用いてもよい。第1反射層20は、例えば、上記光反射性物質を蒸着、スパッタリングまたはイオンプレーティングすることにより第1基板16または記録層18の上に形成することができる。第1反射層20の層厚は、一般的には10〜300nmの範囲にあり、50〜200nmの範囲にあることが好ましい。
【0262】
<接着層>
図1に示すように、第1反射層20と第2基板26との密着性を向上させるために、接着層22を形成することができる。
接着層22を構成する材料としては、光硬化性樹脂が好ましく、中でもディスクの反りを防止するため、硬化収縮率の小さいものが好ましい。このような光硬化性樹脂としては、例えば、大日本インキ化学工業株式会社製の「SD−640」、「SD−347」等のUV硬化性樹脂(UV硬化性接着剤)を挙げることができる。また、接着層22の厚さは、弾力性を持たせるため、1〜1000μmの範囲とすることが好ましく、5〜500μmの範囲とすることがより好ましく、10〜100μmの範囲とすることが特に好ましい。
【0263】
<第2基板>
図1に示すように、可視情報記録層14の保護のために、第2基板26(保護基板)を設けることもできる。第2基板26は、上述の第1基板16と同様の材質を用いて形成することができる。
【0264】
<保護層>
第1反射層20や記録層18等を物理的および化学的に保護する目的で保護層を設けられることがある。なお、DVD−R型の光記録媒体の製造の場合と同様の形態、すなわち2枚の基板(一方が第2基板26の場合を含む)を記録層18を内側にして貼り合わせる構成をとる場合は、必ずしも保護層の形成は必要ではない。
保護層に用いられる材料の例としては、ZnS、ZnS−SiO2、SiO、SiO2、MgF2、SnO2、Si34等の無機物質、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、UV硬化性樹脂等の有機物質を挙げることができる。
また、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂を使用する場合には、これらを適当な溶剤に溶解して塗布液を調製した後、この塗布液を塗布し、乾燥することによっても形成することができる。UV硬化性樹脂の場合には、そのまま、または適当な溶剤に溶解して塗布液を調製した後、この塗布液を塗布し、UV光を照射して硬化させることによっても形成することができる。これらの塗布液中には、さらに帯電防止剤、酸化防止剤、UV吸収剤等の各種添加剤を目的に応じて添加してもよい。保護層の層厚は、一般には0.1μm〜1mmの範囲にある。
また、本発明の光記録媒体は、レーザー光により再生可能な情報が記録された記録部(ピット)を有する、いわゆる再生専用型の光情報記録媒体として適用することもできる。
【0265】
[可視情報記録方法]
本発明の第一の可視情報記録方法(以下、「記録方法I」ともいう)は、本発明の光記録媒体の前記可視情報記録層への可視情報記録方法であって、前記可視情報を、前記記録層への情報の記録に用いるレーザー光と同じレーザー光を用いて記録するものである。
本発明の第二の可視情報記録方法(以下、「記録方法II」ともいう)は、ディスク状の本発明の光記録媒体への前記可視情報記録層への可視情報記録方法であって、前記可視情報を、前記光記録媒体の半径方向に遥動し且つ略同一の軌跡に複数回照射されるレーザー光を用いて記録するものである。なお、方法IIにおいても、方法Iと同様に記録層への情報の記録に用いるレーザー光と同じレーザー光を用いて可視情報を記録することが好ましい。
以下、記録方法I、IIをあわせて本発明の記録方法と呼ぶこともある。
【0266】
記録方法Iによれば、記録層への情報の記録に用いるレーザー光(図1中のレーザー光12)と同じレーザー光(図1中のレーザー光12)を用いて、可視情報を記録することができるため、1つの記録装置においてレーザー光源を共有することができ、記録装置のハードウエア資源を必要最小限に抑えることができるとともに、一般ユーザーがこれらの装置を用いて簡単に画像を記録することができる。更に、本発明の光記録媒体は、可視情報記録層に前記色素を含むため、コントラストが高く視認性に優れた画像を形成できるという利点もある。本発明の光記録媒体の可視情報記録層への画像等の可視情報の記録は、本発明の可視情報記録方法によって行うことが最も好ましいが、これに制限されるものではない。
【0267】
本発明の記録方法において、可視情報記録層への画像等の可視情報の記録、および記録層への光情報の記録は、両層への記録機能を有する1つの光ディスクドライブ(記録装置)を用いて行うことができる。このように1つの光ディスクドライブを使用する場合、可視情報記録層および記録層のいずれか一方の層への記録を行った後、裏返して他方の層に記録を行うことができる。可視情報記録層への可視情報の記録をする機能を有する光ディスクドライブとしては、例えば、特開2003−203348号公報、特開2003−242750号公報等に記載されている光ディスクドライブを用いることができる。
【0268】
また、可視情報記録層への可視情報の記録に際し、記録装置は、前記光記録媒体とレーザーピックアップとを、可視情報記録層に形成されたトラッキング溝によりトラッキングし、光記録媒体の面に沿って相対移動させ、該相対移動に同期してレーザー光を、画像形成しようとする文字、絵等の画像データに応じて変調して可視情報記録層に向けて照射して可視画像を記録することができる。このような構成は、例えば、特開2002−203321号公報等に記載されている。
【0269】
通常のデジタルデータ記録では、略楕円形状の軌跡でレーザー光を1回照射することが通常である。一般に、色素記録層にピットを形成する際はドライブで認識するのに十分な反射率および変調度が得られるピットを形成することが重要視されるため、色素記録層用色素としては、上記の1回のレーザー光照射により十分な反射率および変調度が得られる色素が選択される。
それに対し、近年、新たな画像形成方法として、上記特開2002−203321号公報等に記載のシステムが提案された。このシステムでは、レーザー光を略同一の軌跡に複数回照射することにより、色素を含む可視情報記録層に画像等の可視情報を記録する。また、通常の光ディスクでは半径方向でピットを形成する位置は特定されているため、レーザー光が光ディスクの半径方向に遥動することはあり得ないのに対し、上記システムでは、レーザー光が光ディスクの半径方向に遥動し且つ略同一の軌跡に複数回照射されることにより、可視情報が形成される。本発明において使用される色素は、いずれも上記システムに好適であり、前述の記録方式によりコントラストが高く鮮明で、かつ耐光性に優れた可視情報を形成できるものである。
【0270】
以下に、上記画像形成方法の詳細を、図2および3を参照し説明する。
図2は、画像形成のために照射されるレーザー光の軌跡を示す。
まず、レーザー光源を、図2に示すように、光ディスクの内周側で最初の画像形成箇所がある半径位置に位置決めし、次いで、周方向位置θを検出し、該半径位置について画像データにより指示される周方向の各画像形成位置でレーザパワーを所定の高出力(可視情報記録層の可視光特性が変化する値で、例えば1mW以上の値)に切り換える。これにより、該高出力のレーザー光が照射された箇所で可視情報記録層の可視光特性が変化(変色等)して、画像形成が行われる。
その後、光ディスクが1回転して周方向の基準位置に戻ったら、送りモータ等によりレーザー光源を所定ピッチΔr分外周方向へ移送し、その半径位置について画像データにより指示される周方向の各画像形成位置でレーザパワーを所定の高出力に切り換えて画像形成を行う。以後、この動作を繰り返して、1周ごとに所定ピッチΔrで順次外周方向に移動して画像形成を行う。図2は、この画像形成動作による光ディスク表面(可視情報記録層側の面、以下において「レーベル面」ともいう)上でのレーザー光の軌跡を示す。太線で描いた部分でレーザパワーが高出力に切り換えられて画像形成が行われる。この太線で描いた部分でのレーザー光の軌跡の拡大図が図3である。図3に示すように、レーザー光を、光ディスクの半径方向に遥動させ且つ略同一の軌跡に複数回照射することにより画像が形成される。ここでのレーザー光の遥動幅および略同一の軌跡におけるレーザー光の照射回数は、記録装置ごとに設定されているものである。
【0271】
前記画像形成方法では、画像形成箇所がない半径位置については走査せずに、次の画像形成箇所がある半径位置まで一度に移動して画像形成を行う。ピッチΔrが大きいと、本来は径方向につながって形成されるべき画像であっても、すき間が生じて画像形成されてしまう。ピッチΔrを小さくすればすき間を目立たなくすることができるが、レーベル面全体を画像形成するのに要する周回数が増え、画像形成に時間がかかってしまう。特開2002−203321号公報に記載の装置では、画像形成時に振動信号発生回路から発生される振動信号(正弦波、三角波等)でトラッキングアクチュエータを駆動して、対物レンズをディスク径方向に振動させるようにしている。これにより、レーザー光がディスク径方向に振動して、ピッチΔrが比較的大きくてもすき間のない(または、すき間が小さい)画像形成を行うことができる。振動信号の周波数は、例えば数kHz程度に設定することができる。また、ピッチΔrは、例えば50〜100μm程度に設定することができる。
以上の画像形成方法の詳細については、特開2002−203321号公報を参照することができる。
【0272】
記録層に光情報(デジタル情報)を記録する記録装置は、レーザー光を射出するレーザーピックアップと、光記録媒体を回転させる回転機構とを少なくとも有し、記録層への記録再生を、回転させた状態の光記録媒体の記録層に向けてレーザーピックアップからレーザー光を照射して行うことができる。このような記録装置の構成自体は周知である。
【0273】
次いで、記録層への情報(デジタル情報)の記録について説明する。記録層が色素型の場合、まず、未記録の前述の光記録媒体を所定の記録線速度にて回転させながら、レーザーピックアップからレーザー光を照射する。この照射光により、記録層の色素がその光を吸収して局所的に温度上昇し、所望の空隙(ピット)が生成してその光学特性が変わることにより情報が記録される。
【0274】
レーザー光の記録波形は、1つのピットの形成する際には、パルス列でも1パルスでもかまわない。実際に記録しようとする長さ(ピットの長さ)に対する割合が重要である。
レーザー光のパルス幅としては、実際に記録しようとする長さに対して20〜95%の範囲が好ましく、30〜90%の範囲がより好ましく、35〜85%の範囲が更に好ましい。ここで、記録波形がパルス列の場合には、その和が上記の範囲にあることを指す。
【0275】
レーザー光のパワーとしては、記録線速度によって異なるが、記録線速度が3.5m/sの場合、1〜100mWの範囲が好ましく、3〜50mWの範囲がより好ましく、5〜20mWの範囲が更に好ましい。また、記録線速度が2倍になった場合には、レーザー光のパワーの好ましい範囲は、それぞれ21/2倍となる。また、記録密度を高めるために、ピックアップに使用される対物レンズのNAは0.55以上が好ましく、0.60以上がより好ましい。本発明においては、記録光として350〜850nmの範囲の発振波長を有する半導体レーザーを用いることができる。
【0276】
次に、記録層が相変化型の場合について説明する。相変化型の場合は、前述の材質から構成され、レーザー光の照射によって結晶相と非晶相との相変化を繰り返すことができる。情報記録時は、集中したレーザー光パルスを短時間照射し、相変化記録層を部分的に溶融する。溶融した部分は熱拡散により急冷され、固化し、非晶状態の記録マークが形成される。また、消去時には、記録マーク部分にレーザー光を照射し、記録層の融点以下、結晶化温度以上の温度に加熱し、かつ除冷することによって、非晶状態の記録マークを結晶化し、もとの未記録状態に戻す。
【実施例】
【0277】
以下に、実施例により本発明を更に説明する。但し、本発明は実施例に示す態様に限定されるものではない。
【0278】
(例1)
例1の光情報記録媒体は、図1に示す層構成を有する、2枚のディスクを貼り合わせてなるDVD−R型の光記録媒体である。以下に、例1の光記録媒体の作製方法を説明する。
【0279】
射出成形にて、ポリカーボネート樹脂から、スパイラル状(螺旋状)のグルーブ(深さ:130nm、幅300nm、トラックピッチ:0.74μm)を有する厚さ0.6mm、直径120mmの第1基板16を成形した。
その後、下記の2種のオキソノール色素各1.5gを、2,2,3,3−テトラフルオロ−1−プロパノール100mlに溶解して塗布液を調製し、この塗布液をスピンコート法により第1基板16のプリグルーブ28が形成された面上に塗布し、層厚80μmの記録層18を形成した。
【化82】

【0280】
次に、記録層18上に銀をスパッタして膜厚120nmの第1反射層20を形成した後、紫外線硬化樹脂(SD318(大日本インキ化学工業株式会社製)をスピンコート法により塗布した後、紫外線を照射して硬化し、層厚10μmの第1保護層を形成した。以上の工程により、第1ディスクを作製した。
【0281】
次に、可視情報記録層14を形成するため、例示化合物(M−46)0.5g、例示化合物(II−32)0.5g、例示化合物(D3−28)0.5gを、2,2,3,3−テトラフルオロ−1−プロパノール100mlに溶解した可視情報記録層用塗布液を調製した。該可視情報記録層用塗布液を厚さ0.6mm、直径120mmの第2基板26上にスピンコートにて層厚100μmの可視情報記録層14を形成した。
【0282】
次に、可視情報記録層14上に銀をスパッタして膜厚70nmの第2反射層24を形成した後、紫外線硬化樹脂(SD318(大日本インキ化学工業株式会社製)をスピンコート法により塗布した後、紫外線を照射して硬化し、層厚10μmの第2保護層を形成した。以上の工程により、第2ディスクを作製した。
【0283】
次いで、第1ディスクと第2ディスクとを貼り合せて、1枚のディスクとして完成させるため、次のような工程を経た。まず、第1ディスクの第1保護層上及び第2ディスクの第2保護層上にそれぞれ遅効性カチオン重合型接着剤(ソニーケミカル株式会社社製、SDK7000)をスクリーン印刷によって印刷した。このとき、スクリーン印刷の印刷版のメッシュサイズは300メッシュのものを使用した。次に、メタルハライドランプを使用して紫外線照射した直後、第1ディスクと第2ディスクとをそれぞれの保護層側から貼り合わせ、両面から押圧し5分間放置し、例1の光記録媒体を作製した。
【0284】
(例2〜12、比較例1、2)
可視情報記録層に使用する色素を、表4に示す化合物にそれぞれ変更した以外は例1と同様に、光記録媒体を作製した。
【0285】
(コントラスト評価)
作製した例1〜12、比較例1、2の光記録媒体について、下記のように記録を行った。
特開2002−203321号公報に記載の、レーザー光を射出するレーザーピックアップと光記録媒体を回転させる回転機構とを有する記録装置(レーザーは、波長660nmの半導体レーザーとした)を用い、光記録媒体とレーザーピックアップとを光記録媒体の面に沿って相対移動させながら、相対移動に同期させて半導体レーザー光を所望の画像データに応じて変調し、線速度3.5m/s、記録パワー8mWの条件にてフォーカスをかけた状態で可視情報記録層14に照射して可視画像を記録した。このとき、レーザ光は光ディスクの半径方向に遥動し且つ略同一の軌跡に複数回照射されて可視情報が記録された。また、この光記録媒体を回転機構で回転させた状態にし、記録層18にレーザーピックアップからレーザー光を照射することにより電子情報の記録を行うことができる。
上記のようにして可視画像が記録された各光記録媒体について、可視情報記録層のレーザー照射部とレーザー未照射部の絶対反射率を測定し、以下の式で表されるSvを求め、下記の評価基準にしたがってコントラストを評価した。
【0286】
【数1】

【0287】
【表3】


<評価基準>
5(コントラスト優良) : 0.25以上
4(コントラスト良好) : 0.25未満〜0.20以上
3(コントラスト実用十分): 0.20未満〜0.15以上
2(コントラスト不十分) : 0.15未満〜0.10以上
1(コントラスト不良) : 0.10未満
【0288】
(耐光性評価)
上記のようにして可視画像が記録された各光記録媒体を用い、可視情報記録層のレーザー非照射部(非画像部)の濃度D0を分光光度計〔(株)島津製作所製〕を用いて測定した。次いで、各光記録媒体の可視情報記録層側をキセノン光照射装置(スガ試験機(株)製)により光照射して強制処理を施した後、再び上記と同様にして強制処理後の濃度D1を測定した。そして、得られた濃度から残存率(%;=D1/D0×100)を求め、耐光性を評価する指標とした。表4中、残存率の計算点(波長nm)を、括弧内に示す。
【0289】
【表4】


【0290】
表4に示すように、一般式(I)、(II)および(III)で表される色素からなる群から選ばれる2種以上の色素を可視情報記録層に含む例1〜12の光記録媒体において、可視情報記録層のコントラストはきわめて良好であり鮮明な画像記録を行うことができた。また、記録画像の耐光性も良好であった。
【図面の簡単な説明】
【0291】
【図1】本発明の光記録媒体の一例(概略断面図)を示す。
【図2】画像形成時の光ディスク表面上でのレーザー光の軌跡を示す。
【図3】図2中の太線で描いた部分でのレーザー光の軌跡の拡大図である。
【符号の説明】
【0292】
10…光記録媒体 12…レーザー光
14…可視情報記録層 16…第1基板
18…記録層 20…第1反射層
22…接着層 24…第2反射層
26…第2基板 28…プリグルーブ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上に可視情報記録層を有する光記録媒体であって、
前記可視情報記録層は、下記一般式(I)、(II)および(III)で表される色素からなる群から選ばれる少なくとも2種の色素を含有することを特徴とする光記録媒体。
【化1】

[一般式(I)中、Ra1、Ra2、Ra3、Rb1、Rb2およびRb3は、それぞれ独立に、水素原子または一価の置換基を表し、Ra2とRa3は互いに結合し、5員ないし7員の複素環を形成していてもよく、Aは、置換もしくは無置換の脂肪族基、置換もしくは無置換のアリール基、または置換もしくは無置換の複素環基を表し、nは、0、1、2または3を表し、nが2以上のとき、複数存在するRb2およびRb3は、それぞれ同じでも異なっていてもよい。]
【化2】

[一般式(II)中、Za21およびZa22は、各々独立に、酸性核を形成する原子群を表し、Ma21、Ma22およびMa23は、各々独立に、置換または無置換のメチン基を表し、Ka21は、0〜3の範囲の整数を表し、Ka21が2または3であるとき、複数存在するMa21、Ma22は、それぞれ同じでも異なっていてもよく、Qは、一価の陽イオンを表す。]
【化3】

[一般式(III)中、A1は置換もしくは無置換の複素環基、置換脂肪族基または置換もしくは無置換の炭素環基であり、B1は置換もしくは無置換の複素環基または置換もしくは無置換のアリール基である。]
【請求項2】
前記可視情報記録層は、前記一般式(I)で表される色素および前記一般式(II)で表される色素を含有する請求項1に記載の光記録媒体。
【請求項3】
前記可視情報記録層は、前記一般式(II)で表される色素および前記一般式(III)で表される色素を含有する請求項1に記載の光記録媒体。
【請求項4】
前記可視情報記録層は、前記一般式(I)で表される色素、前記一般式(II)で表される色素および前記一般式(III)で表される色素を含有する請求項1に記載の光記録媒体。
【請求項5】
前記一般式(I)で表される色素は、下記一般式(IV)で表される色素である請求項1〜4のいずれか1項に記載の光記録媒体。
【化4】

[一般式(IV)中、Ra1、Rb1、Rb2およびRb3は、それぞれ独立に、水素原子または一価の置換基を表し、Aは置換もしくは無置換の脂肪族基、置換もしくは無置換のアリール基、または置換もしくは無置換の複素環基を表し、Zは、Zと隣接する窒素原子および炭素原子と共に5員ないし7員の複素環を形成する基を表し、nは、0、1、2または3を表し、nが2以上のとき、複数存在するRb2およびRb3は、それぞれ同じでも異なっていてもよい。]
【請求項6】
前記一般式(I)で表される色素は、下記一般式(V)で表される色素である請求項1〜4のいずれか1項に記載の光記録媒体。
【化5】

[一般式(V)中、Ra1、Ra4、Rb1、Rb2およびRb3は、それぞれ独立に、水素原子または一価の置換基を表し、Aは置換もしくは無置換の脂肪族基、置換もしくは無置換のアリール基、または置換もしくは無置換の複素環基を表し、nは、0、1、2または3を表し、nが2以上のとき、複数存在するRb2およびRb3は、それぞれ同じでも異なっていてもよい。]
【請求項7】
一般式(II)中、Za21が形成する酸性核は、下記一般式(A−1)〜(A−12)のいずれかで表される酸性核であり、Za22が形成する酸性核は、下記一般式(B−1)〜(B−12)のいずれかで表される酸性核である請求項1〜6のいずれか1項に記載の光記録媒体。
【化6】

[一般式(A−1)〜(A−12)、(B−1)〜(B−12)中、*印は、上記酸性核がMa21またはMa23と連結する位置を表し、Ra11、Ra12、Rb11、Rb12、Rc1、Rc2、Rd1、Rd2、Re1、Re2、Rk、Rf1、Rg1、Rh1、Rj1、Rj2、Rk1、Rk2、Rk3、Rk4、Rm1、Rm2、Rm3、Rm4、Rn1およびRn2は、各々独立に、水素原子または置換基であり、Za21が形成する酸性核とZa22が形成する酸性核の主骨格が同一であるとき、複数存在する酸性核置換基は、それぞれ同じでも異なっていてもよい。]
【請求項8】
一般式(III)中、
【化7】

で表される基は、下記式(A1−1)、(A1−2)、(A1−3)、(A1−4)、(A1−5)、(A1−6)、(A1−7)、(A1−8)、(A1−9)、(A1−10)、または(A1−11)で表される基である請求項1〜7のいずれか1項に記載の光記録媒体。
【化8】

[上記において、R200〜R223は、は、各々独立に、水素原子または置換基であり、R200とR201、R204とR205、R207とR208は、互いに結合して環を形成してもよく、Q1は、Q1と隣接する2つの窒素原子とともに環を形成するに必要な非金属原子群を表し、Q2は、Q2と隣接する2つの窒素原子とともに環を形成するに必要な非金属原子群を表し、Q4は、Q4と隣接する2つの窒素原子とともに環を形成するに必要な非金属原子群を表し、Q3は、Q3と隣接する2つの炭素原子とともに環を形成するに必要な非金属原子群を表す。]
【請求項9】
前記置換基は、脂肪族基、アリール基、ヘテロ環基、アシル基、アシルアミノ基、脂肪族オキシ基、アリールオキシ基、脂肪族オキシカルボニル基、カルバモイル基、脂肪族スルホニル基、アリールスルホニル基、スルファモイル基、脂肪族スルホンアミド基、アリールスルホンアミド基、アミノ基、脂肪族アミノ基、アリールアミノ基、ヘテロ環アミノ基、カルバモイルアミノ基、スルファモイルアミノ基、ヒドロキシ基またはシアノ基である請求項8に記載の光記録媒体。
【請求項10】
一般式(III)中、
【化9】

で表される基は、下記(B1−1)、(B1−2)、(B1−3)、(B1−4)、(B1−5)、(B1−6)、(B1−7)、(B1−8)または(B1−9)で表される基である請求項1〜9のいずれか1項に記載の光記録媒体。
【化10】

[上記において、R300〜R330は、各々独立に、水素原子または置換基であり、R300とR301、R301とR302、R302とR303、R303とR304、R305とR306、R306とR307、R307とR308、R309とR310、R310とR311、R313とR314、R319とR320、R321とR322は、互いに結合して環を形成してもよく、Q13は、Q13と隣接する2つの窒素原子とともに環を形成するに必要な非金属原子群を表し、Q14は、Q14と隣接する2つの窒素原子とともに環を形成するに必要な非金属原子群を表す。]
【請求項11】
前記置換基は、脂肪族基、アリール基、アシルオキシ基、アシルアミノ基、脂肪族オキシ基、脂肪族スルホニルオキシ基、アリールスルホニルオキシ基、脂肪族スルホンアミド基、アリールスルホンアミド基、アミノ基、脂肪族アミノ基、アリールアミノ基、脂肪族オキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、ヘテロ環オキシカルボニルアミノ基、ヒドロキシ基、シアノ基、スルホ基、カルバモイルアミノ基またはスルファモイルアミノ基である請求項10に記載の光記録媒体。
【請求項12】
レーザー光を照射して情報の記録および/または再生が可能な記録層を更に有する、請求項1〜11のいずれか1項に記載の光記録媒体。
【請求項13】
第一基板、前記記録層、反射層、前記可視情報記録層、および第二基板をこの順に有する、請求項12に記載の光記録媒体。
【請求項14】
前記光記録媒体はディスク状である請求項1〜13のいずれか1項に記載の光記録媒体。
【請求項15】
請求項12〜14のいずれか1項に記載の光記録媒体の前記可視情報記録層への可視情報記録方法であって、
前記可視情報を、前記記録層への情報の記録に用いるレーザー光と同じレーザー光を用いて記録することを特徴とする可視情報記録方法。
【請求項16】
請求項14に記載の光記録媒体の前記可視情報記録層への可視情報記録方法であって、
前記可視情報を、前記光記録媒体の半径方向に遥動し且つ略同一の軌跡に複数回照射されるレーザー光を用いて記録することを特徴とする可視情報記録方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2008−179067(P2008−179067A)
【公開日】平成20年8月7日(2008.8.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−14554(P2007−14554)
【出願日】平成19年1月25日(2007.1.25)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】