説明

光電気混載基板およびその製造方法

【課題】従来のアライメントマークに加えて、認識し易い識別用マークを有するアライメントマークを、新たに形成した光電気混載基板およびその製造方法を提供する。
【解決手段】光導波路部分2と、電気回路基板1と、この電気回路基板1に実装された光学素子とを備え、上記光導波路部分2が、透光性を有するアンダークラッド層21と、光路用の線状のコア22と、このコア22の端部に対して位置決めされた第1のアライメントマーク24と、上記コア22および第1のアライメントマーク24を被覆するオーバークラッド層23とを備えた光電気混載基板であって、上記電気回路部分1には、光学素子実装面に、光学素子位置決め用の第2のアライメントマーク15が形成され、この第2のアライメントマーク15の表面が、上記第1のアライメントマーク24を基準とした識別用の露呈部分15aを残して、樹脂層16で被覆されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光導波路部分と、電気回路部分と、この電気回路部分に実装された光学素子と備えた光電気混載基板およびその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
光電気混載基板は、例えば、図7に示すように、電気回路部分6と光導波路部分7とを接着剤5により貼り合わせ、上記電気回路部分6に発光素子3および受光素子4を実装して構成されている。上記光導波路部分7は、上記電気回路部分6側から順にアンダークラッド層71,コア72,オーバークラッド層73が形成されてなる光導波路70で構成されている。この光導波路70の両端部は、光軸に対して45°傾斜した傾斜面に形成され、その傾斜面のコア72部分が光反射面72aに形成されている。上記電気回路部分6は、基板60の片面に電気回路61を形成して構成され、この電気回路61の一部は、上記発光素子3,受光素子4を実装するための実装用パッド61aとなっている。上記基板60には、コア72の端部と発光素子3,受光素子4との間で光Lを伝播するための光通過用の貫通孔62,63が形成されている。なお、図7において、符号3aは、上記発光素子3のバンプ(電極)であり、符号4aは、上記受光素子4のバンプである。
【0003】
上記光電気混載基板における光Lの伝播は、まず、発光素子3から光Lが下方に出射される。その光Lは、光導波路70の一端部(図7では左端部)のアンダークラッド層71を通り抜け、コア72の一端部に入射する。つづいて、その光Lは、コア72の一端部の光反射面72aで反射して、コア72内を軸方向に進む。そして、その光Lは、コア72内を進みコア72の他端部(図7では右端部)まで伝播する。つづいて、その光Lは、上記他端部の光反射面72aで上方に反射し、アンダークラッド層71を通り抜けて出射され、受光素子4で受光される。このため、光導波路70のコア72の両端部に対する発光素子3および受光素子4の正確な位置決めが、高い光伝播効率を得る上で重要である。
【0004】
そこで、図8(a)に示すように、光導波路20のコア22の両端部に対して上記発光素子3および受光素子4が位置決めされるよう、その位置決め基準となるアライメントマーク24を光導波路部分2に形成した光電気混載基板の製造方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。この製造方法は、図8(a)において、まず、光導波路部分2として、アンダークラッド層21を形成した後、その表面(図では下面)に、コア22形成領域とアライメントマーク24形成領域とをもつ感光性樹脂層を形成し、フォトリソグラフィ法により、その感光性樹脂層からコア22とアライメントマーク24とを形成する。そのアライメントマーク24は、例えば、図8(b)に示すように、中央部に平面視十字状の貫通孔24aを有する円板状に形成され、その十字状部分が識別用マークとなる。ついで、露呈している上記アンダークラッド層21,コア22およびアライメントマーク24の表面に、オーバークラッド層23形成用の液状材料を塗布し、それを露光等により硬化させ、オーバークラッド層23を形成する。このとき、上記十字状の貫通孔24a内も、上記オーバークラッド層23形成用の液状材料で満たされ、その貫通孔24a内がオーバークラッド層23の一部となる。このようにして、光導波路20と共に、コア22の両端部に対する所定の位置にアライメントマーク24を形成する。他方、光通過用の貫通孔82,83および上記アライメントマーク24認識用の貫通孔84が形成された基板80を準備する。そして、上記光導波路部分2のアンダークラッド層21の上面に、接着剤5で上記基板80を貼り付け、その基板80の上面に、上記アライメントマーク24を基準としたフォトリソグラフィ法により、電気回路81(実装用パッド81aを含む)を形成する。これにより、上記光導波路部分2上に接着剤5を介して電気回路部分8を作製する。その後、その実装用パッド81aに発光素子3および受光素子4を実装する。この方法では、上記実装用パッド81aが、上記コア22の両端部に対して所定の位置に形成されたアライメントマーク24を基準として形成されるため、上記実装用パッド81aは、コア22の両端部に対して位置決めされる。
【0005】
しかしながら、発光素子3および受光素子4を上記実装用パッド81aに実装する際に、それら発光素子3および受光素子4が、上記実装用パッド81aからずれるおそれがある。そこで、本発明の出願人は、図9に示すように、発光素子3および受光素子4を実装する際に、上記光導波路部分2と電気回路部分8との接着体を、実装機のステージS上にセットし、実装機に備えられているアライメント認識装置Cにより上記アライメントマーク24を認識し、そのアライメントマーク24を基準として実装する光電気混載基板の製造方法を提案し、既に出願している(特願2008−114329)。これにより、上記発光素子3および受光素子4をより適正に位置決めしている。
【特許文献1】特開2004−302345号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
このように、上記アライメントマーク24は、コア22の端部に対する位置決めの観点から、通常、フォトリソグラフィ法により、光導波路20のコア22形成と同時に、コア22の形成材料で形成される。そして、そのコア22の形成材料で形成されたアライメントマーク24は、アンダークラッド層21の表面においてオーバークラッド層23に埋設されており、上記アライメントマーク24の中央部の十字状部分は、オーバークラッド層23の一部となっている。また、光導波路20の性質上、コア22の形成材料で形成されたアライメントマーク24は、透光性を有し、さらに、アンダークラッド層21およびオーバークラッド層(十字状部分を含む)23も、通常、透光性を有している。しかも、アライメントマーク24(コア22の屈折率として1.588程度)とアンダークラッド層21およびオーバークラッド層23(屈折率1.502〜1.542程度)とは屈折率差はあるものの、その屈折率差は小さい(0.05〜0.09程度)。
【0007】
このため、上記アライメントマーク24の十字状部分およびその周辺部は、両者とも明るく認識され、両者間の明暗の差が小さい。実際、図9に示すように、実装機のアライメント認識装置Cに採用されているパターンマッチング式(白黒のコントラストを数値化することによって、画像を座標と数字に変換する方式:多値化認識式)により、上記アライメントマーク24の十字状部分を、アンダークラッド層21を透して認識すると、認識し難くなっている。しかも、アンダークラッド層21の表面(アライメントマーク24認識用の貫通孔84に露呈する面:図では上面)には凹凸があり、その凹凸が原因で照明等の光が乱反射し、一定したコントラストの画像を得難い傾向にある。このため、その認識に時間を要し、実装工程の時間が長くなる。また、誤認識が発生するおそれもある。この点で、改良の余地がある。
【0008】
本発明は、このような事情に鑑みなされたもので、従来のアライメントマークに加えて、認識し易い識別用マークを有するアライメントマークを、新たに形成した光電気混載基板およびその製造方法の提供をその目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を達成するため、本発明は、光導波路部分と、電気回路部分と、この電気回路部分に実装された光学素子とを備え、上記光導波路部分が、透光性を有するアンダークラッド層と、このアンダークラッド層の表面に、光路用の線状のコアと、このコアの端部に対して位置決めされた第1のアライメントマークと、上記コアおよび第1のアライメントマークを被覆するオーバークラッド層とを備えた光電気混載基板であって、上記電気回路部分の光学素子実装面に、光学素子位置決め用の第2のアライメントマークが形成され、この第2のアライメントマークの表面が、上記第1のアライメントマークを基準とした識別用の露呈部分を残して、樹脂層で被覆されている光電気混載基板を第1の要旨とする。
【0010】
また、本発明は、光導波路部分と、電気回路部分と、この電気回路部分に実装された光学素子とを備え、上記光導波路部分が、透光性を有するアンダークラッド層と、このアンダークラッド層の表面に、光路用の線状のコアと、このコアの端部に対して位置決めされた第1のアライメントマークと、上記コアおよび第1のアライメントマークを被覆するオーバークラッド層とを備えた光電気混載基板を製造する方法であって、上記電気回路部分の作製が、基板上に、電気回路と、光学素子位置決め用の第2のアライメントマークとを形成する工程と、その第2のアライメントマークの表面を、上記第1のアライメントマークを基準とした識別用の露呈部分を残して、樹脂層で被覆する工程とを備え、上記光学素子の実装が、上記第2のアライメントマークの識別用の露呈部分を基準にして行われる光電気混載基板の製造方法を第2の要旨とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明の光電気混載基板は、光学素子位置決め用のアライメントマークとして、第2のアライメントマークが、電気回路部分の光学素子実装面に、新たに形成されている。この第2のアライメントマークの表面には、コアの端部に対して位置決めされた、光導波路部分における第1のアライメントマークを基準として、識別用マークとなる露呈部分を残して、樹脂層が被覆されている。このため、上記第2のアライメントマークの露呈部分(識別用マーク)も、コアの端部に対して位置決めされており、光学素子の実装位置の基準とすることができる。しかも、上記第2のアライメントマークの表面を、露呈部分を残して、樹脂層で被覆すると、その被覆された部分では、樹脂層により、上記第2のアライメントマークの表面の光沢等を調整することができる。このため、上記露呈部分は、樹脂層で被覆された部分に対して明確なコントラストを示し、その露呈部分の認識が容易になる。その結果、本発明の光電気混載基板は、光学素子が高精度に実装されたものとなり、光伝播効率が向上したものとなっている。
【0012】
特に、上記第2のアライメントマークが、電気回路用の金属からなる場合には、上記第2のアライメントマークの表面の光沢が増し、上記露呈部分と樹脂層で被覆された部分とのコントラストがより明確になる。このため、上記露呈部分の認識がより容易になり、光学素子がより高精度に実装されたものとなる。
【0013】
また、本発明の光電気混載基板の製造方法は、光学素子位置決め用のアライメントマークとして、第2のアライメントマークを、電気回路部分の光学素子実装面に、新たに形成し、この第2のアライメントマークの表面を、コアの端部に対して位置決めされた、光導波路部分における第1のアライメントマークを基準として、識別用マークとなる露呈部分を残して、樹脂層で被覆している。このため、上記第2のアライメントマークの露呈部分(識別用マーク)も、コアの端部に対して位置決めされ、光学素子の実装位置の基準とすることができる。しかも、上記第2のアライメントマークの露呈部分は、上記のように、樹脂層で被覆された部分に対して明確なコントラストを示し、その露呈部分の認識が容易になる。その結果、誤認識が防止され、しかも、短時間で認識できるようになり、生産性が向上する。
【0014】
特に、上記第2のアライメントマークが、電気回路用の金属を用いて形成される場合には、電気回路形成時に、第2のアライメントマークを同時に形成することができるため、生産性が向上する。また、上記第2のアライメントマークの表面の光沢が増し、上記露呈部分と樹脂層で被覆された部分とのコントラストをより明確にすることができる。このため、上記露呈部分の認識がより容易になり、誤認識がより防止され、しかも、より短時間で認識できるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
つぎに、本発明の実施の形態を図面にもとづいて詳しく説明する。
【0016】
図1(a)は、本発明の光電気混載基板の一実施の形態を示している。この光電気混載基板は、片面に電気回路11および光学素子位置決め用の第2のアライメントマーク15が形成された電気回路基板(電気回路部分)1と、この電気回路基板1のもう一方の片面に接着剤5により接着された、光導波路20および第1のアライメントマーク24を有する光導波路部分2とを備えている。また、上記光導波路20のコア22の端部に対応する上記電気回路11の部分(実装用パッド11a)に、上記第2のアライメントマーク15を基準にして実装された光学素子(発光素子3および受光素子4)を備えている。このような光電気混載基板において、光導波路部分2における第1のアライメントマーク24は、コア22の端部に対して位置決め形成され、従来、光学素子の実装位置の基準として使用されていたマークである。そして、この実施の形態では、その第1のアライメントマーク24を基準として、電気回路基板1における第2のアライメントマーク15表面に、識別用マークとなる十字状の露呈部分(識別用マーク)15aを残して、樹脂層16が被覆されている。このため、上記第2のアライメントマーク15の十字状の露呈部分15aも、コア22の端部に対して位置決めされており、光学素子の実装位置の基準として使用される。しかも、上記第2のアライメントマーク15の表面において、樹脂層16で被覆された部分では、その樹脂層16により、上記第2のアライメントマーク15の表面の光沢等を調整することができる。このため、十字状の露呈部分15aは、樹脂層16で被覆された部分に対して明確なコントラストを示し、光学素子を実装する際に、その十字状の露呈部分15aの認識が容易になる。これにより、光学素子の実装精度を向上させている。これが本発明の特徴の一つである。
【0017】
より詳しく説明すると、上記光導波路部分2は、上記電気回路基板1側に、透光性を有するアンダークラッド層21を備え、そのアンダークラッド層21の表面(図では下面)に、光路用の線状のコア22と、そのコア22の形成材料からなる第1のアライメントマーク24とが形成されている。上記コア22の左右両端面は、図示のように、上記電気回路基板1に対して45°傾斜した光反射面22aに形成されている。また、上記第1のアライメントマーク24は、中央部に平面視十字状の貫通孔24aを有する円板状(凸状)に形成され、その十字状部分が識別用マークとなっている〔図8(b)参照〕。そして、露呈している上記アンダークラッド層21,コア22および第1のアライメントマーク24は、オーバークラッド層23で被覆されている。この状態では、上記十字状の貫通孔24a内も、上記オーバークラッド層23の形成材料で満たされ、その貫通孔24a内がオーバークラッド層23の一部となっている。このように、上記アンダークラッド層21,コア22,オーバークラッド層23により、光導波路20が構成されており、また、上記第1のアライメントマーク24は、アンダークラッド層21の表面においてオーバークラッド層23に埋設されている。
【0018】
一方、上記電気回路基板1は、図1(a)に示すように、ステンレス製基板10の表面に、絶縁層(図示せず)を介して、電気回路11と、この電気回路11の形成材料(金属)からなる第2のアライメントマーク15とが形成されている。この第2のアライメントマーク15は、図1(b)に示すように、四角板状に形成されており、その表面には、識別用マークとなる十字状の露呈部分15aを残して、樹脂層16が被覆されている。この樹脂層16は、上記第2のアライメントマーク15の周辺部の絶縁層部分も被覆している。また、上記電気回路11の一部は、上記発光素子3,受光素子4を実装するための実装用パッド11aとなっている。そして、上記ステンレス製基板10には、上記コア22両端部の光反射面22aの上方に対応する部分に、コア22の端部と発光素子3,受光素子4との間で光を伝播するための光通過用の貫通孔12,13が形成されており、さらに、上記第1のアライメントマーク24の上方に対応する部分に、第1のアライメントマーク24を電気回路11形成面側から認識するための貫通孔14が形成されている。なお、図1において、符号3aは、上記発光素子3のバンプ(電極)であり、符号4aは、上記受光素子4のバンプである。
【0019】
そして、上記光電気混載基板における光伝播は、つぎのようにして行われる。すなわち、図1(a)に示すように、上記発光素子3から発光された光Lは、上記電気回路基板1に形成された光伝播用の貫通孔12を通過した後、アンダークラッド層21を通り抜け、コア22の一端部に入射する。ついで、その光Lは、上記コア22の一端部の光反射面22aで反射して、コア22内を、軸方向に進む。そして、その光Lは、コア22の他端部の光反射面22aまで伝播する。つづいて、その光Lは、上記他端部の光反射面22aで上方に反射し、アンダークラッド層21を通り抜けて出射される。そして、その光Lは、上記ステンレス製基板10の光通過用の貫通孔13を通過した後、受光素子4で受光される。
【0020】
この実施の形態の光電気混載基板は、下記の(1)〜(5)の工程を経て製造される。
(1)ステンレス製基板10の表面に電気回路11および第2のアライメントマーク15を形成して電気回路基板部材1aを作製する工程〔図2(a)〜(b)参照〕。
(2)別に、上記光導波路20および第1のアライメントマーク24を形成して光導波路部分2を作製する工程〔図3(a)〜(c)参照〕。
(3)上記電気回路基板部材1aと光導波路部分2とを接着剤5により接着する工程〔図4(a)〜(c)参照〕。
(4)上記第2のアライメントマーク15の表面に十字状の露呈部分(識別用マーク)15aを形成し、上記電気回路基板部材1aを電気回路基板1にする工程〔図5(a)〜(c)参照〕。
(5)上記電気回路11に発光素子3および受光素子4を実装する工程(図6参照)。
【0021】
上記(1)の電気回路基板部材1aの作製工程について説明する。この実施の形態では、まず、上記ステンレス製基板10〔図2(a)参照〕を準備する。このステンレス製基板10としては、通常、厚みが20〜200μmの範囲内のものが用いられる。
【0022】
ついで、図2(a)に示すように、上記ステンレス製基板10の表面の所定位置に、フォトリソグラフィ法により所定パターンの絶縁層(図示せず)を形成する。この絶縁層は、後の工程〔図2(b)参照〕でステンレス製基板10に形成される光通過用の貫通孔12,13および第1のアライメントマーク24認識用の貫通孔14の部分を除いて形成される。すなわち、上記絶縁層の形成は、まず、上記ステンレス製基板10の片面(図では上面)の所定位置に、感光性エポキシ樹脂等の感光性樹脂を塗布し、感光性樹脂層を形成する。ついで、絶縁層のパターンに対応する開口パターンが形成されているフォトマスクを介して、上記感光性樹脂層を照射線により露光する。つぎに、現像液を用いて現像を行うことにより、未露光部分を溶解させて除去し、残存した感光性樹脂層を絶縁層のパターンに形成する。その後、その残存感光性樹脂層の表面等に残存する現像液を加熱処理により除去する。これにより、上記残存感光性樹脂層を絶縁層に形成する。絶縁層の厚みは、通常、5〜15μmの範囲内に設定される。
【0023】
つぎに、図2(a)に示すように、上記絶縁層の表面に、実装用パッド11aを含む電気回路11を所定パターンに形成するとともに、第2のアライメントマーク15を四角板状に形成する。すなわち、この電気回路11および第2のアライメントマーク15の形成は、まず、上記絶縁層の表面に、スパッタリングまたは無電解めっき等により金属層(厚み600〜2600Å程度)を形成する。この金属層は、後の電解めっきを行う際のシード層(電解めっき層形成の素地となる層)となる。ついで、上記ステンレス製基板10,絶縁層および金属層(シード層)からなる積層体の両面に、ドライフィルムレジストを貼着した後、上記金属層が形成されている側のドライフィルムレジストに、フォトリソグラフィ法により電気回路11のパターンおよび第2のアライメントマーク15の四角形状が凹部として表れるパターンを形成し、その凹部の底に上記金属層の表面部分を露呈させる。つぎに、電解めっきにより、上記凹部の底に露呈した上記金属層の表面部分に、銅等からなる電解めっき層(厚み5〜20μm程度)を積層形成する。そして、上記ドライフィルムレジストを水酸化ナトリウム水溶液等を用いて剥離する。その後、上記電解めっき層が形成されていない金属層部分をソフトエッチングにより除去し、残存した電解めっき層とその下の金属層とからなる積層部分によって、電気回路11および第2のアライメントマーク15を形成する。
【0024】
ついで、図2(b)に示すように、ステンレス製基板10の所定位置に、エッチング等により、光通過用の貫通孔12,13および第1のアライメントマーク24〔図1(a)参照〕認識用の貫通孔14を形成する。その光通過用の貫通孔12,13は、後の光導波路部分2の作製工程において形成されるコア22〔図1(a)参照〕の両端部の光反射面22aに対応する位置に形成され、上記第1のアライメントマーク24認識用の貫通孔14は、第1のアライメントマーク24に対応する位置に形成される。すなわち、これら貫通孔12,13,14の形成は、まず、上記ステンレス製基板10,絶縁層および電気回路11からなる積層体の両面に、ドライフィルムレジストを貼着した後、上記絶縁層が形成されていない側のドライフィルムレジストに、フォトリソグラフィ法により上記貫通孔12,13,14のパターンの孔部を形成し、その孔部の底に上記ステンレス製基板10の表面(図では下面)部分を露呈させる。つぎに、塩化第2鉄水溶液を用いたエッチング等により、上記孔部の底に露呈した上記ステンレス製基板10部分を穿孔し、上記光通過用の貫通孔12,13および第1のアライメントマーク24認識用の貫通孔14を形成する。上記光通過用の貫通孔12,13の直径は、光学素子等のデザインにより適宜設定されるが、通常、0.05〜0.2mmの範囲内に設定される。上記第1のアライメントマーク24認識用の貫通孔14の直径は、第1のアライメントマーク24の大きさにより適宜設定されるが、通常、0.1〜3.0mmの範囲内に設定される。このようにして、上記(1)の電気回路基板部材1aの作製工程が完了する。
【0025】
つぎに、上記(2)の光導波路部分2の作製工程について説明する。まず、その光導波路部分2を作製する際に用いる平板状の基台26〔図3(a)参照〕を準備する。この基台26の形成材料としては、例えば、ガラス,石英,シリコン,樹脂,金属等があげられる。また、基台26の厚みは、例えば、20μm〜5mmの範囲内に設定される。
【0026】
ついで、図3(a)に示すように、上記基台26の表面の所定領域に、アンダークラッド層21を形成する。このアンダークラッド層21の形成は、例えば、つぎのようにして行われる。すなわち、まず、上記基台26の表面の所定領域に、感光性エポキシ樹脂等の、アンダークラッド層21形成用の感光性樹脂が溶媒に溶解しているワニスを塗布した後、必要に応じて、それを加熱処理(50〜120℃×10〜30分間程度)して乾燥させ、アンダークラッド層21形成用の感光性樹脂層を形成する。ついで、その感光性樹脂層を、紫外線等の照射線により露光することにより、アンダークラッド層21に形成する。アンダークラッド層21の厚みは、通常、1〜50μmの範囲内に設定される。
【0027】
つぎに、図3(b)に示すように、上記アンダークラッド層21の表面の所定位置に、所定パターンのコア22と、中央部に平面視十字状の貫通孔24aを有する円板状の第1のアライメントマーク24とを同時に形成する。このコア22および第1のアライメントマーク24の形成は、例えば、フォトリソグラフィ法により行われる。すなわち、まず、上記アンダークラッド層21の表面の所定位置に、上記アンダークラッド層21形成用の感光性樹脂層の形成方法と同様にして、コア22形成領域と第1のアライメントマーク24形成領域とをもつ感光性樹脂層を形成する。ついで、コア22および第1のアライメントマーク24のパターン(十字状の貫通孔24aの形状パターンを含む)に対応する開口パターンが形成されているフォトマスクを介して、上記感光性樹脂層を照射線により露光する。つぎに、加熱処理を行った後、現像液を用いて現像を行うことにより、上記感光性樹脂層における未露光部分を溶解させて除去し、残存した感光性樹脂層をコア22および第1のアライメントマーク24のパターンに形成する。これによって、第1のアライメントマーク24の上記十字状の貫通孔24aの底に上記アンダークラッド層21の表面部分が露呈する。また、コア22は、上記露光により、線状に形成され、その両端面が45°傾斜した傾斜面に形成される。その後、その残存感光性樹脂層の表面等に残存する現像液を加熱処理により除去し、その感光性樹脂層を所定パターンのコア22および第1のアライメントマーク24を形成する。このようにして、1回のフォトリソグラフィ法により、所定パターンのコア22と第1のアライメントマーク24とを同時に形成することにより、コア22の端部に対して所定の位置に第1のアライメントマーク24が形成される。
【0028】
なお、上記コア22の両端部は、前記電気回路基板部材1aの光通過用の貫通孔12,13の下方に位置決めされるように形成され、第1のアライメントマーク24は、上記第1のアライメントマーク24認識用の貫通孔14の下方に位置決めされるように形成される。コア22の厚みは、通常、5〜60μmの範囲内に設定され、その幅は、通常、5〜60μmの範囲内に設定される。また、上記円板状の第1のアライメントマーク24の直径は、通常、100〜1000μmの範囲内に設定され、その厚みは、通常、5〜60μmの範囲内に設定される。また、第1のアライメントマーク24に形成される貫通孔24aの十字状の溝幅は、通常、5〜100μmの範囲内に設定され、十字状の縦横の長さは、通常、5〜900μmの範囲内に設定される。
【0029】
上記コア22および第1のアライメントマーク24の形成材料としては、例えば、上記アンダークラッド層21と同様の感光性樹脂があげられ、上記アンダークラッド層21および下記オーバークラッド層23の形成材料よりも屈折率が大きい材料が用いられる。この屈折率の調整は、例えば、上記アンダークラッド層21,コア22(第1のアライメントマーク24を含む),オーバークラッド層23の各形成材料の種類の選択や組成比率を調整して行うことができる。
【0030】
つぎに、図3(c)に示すように、上記コア22および第1のアライメントマーク24を被覆するよう、上記アンダークラッド層21の表面に、所定パターンのオーバークラッド層23を形成する。このオーバークラッド層23の形成は、例えば、フォトリソグラフィ法により行われる。すなわち、まず、上記コア22および第1のアライメントマーク24を被覆するように、上記アンダークラッド層21の表面に、上記アンダークラッド層21形成用の感光性樹脂層の形成方法と同様にして、オーバークラッド層23形成用の感光性樹脂層を形成する。ついで、オーバークラッド層23のパターンに対応する開口パターンが形成されているフォトマスクを用いたフォトリソグラフィ法により、所定パターンのオーバークラッド層23を形成する。このとき、上記十字状の貫通孔24a内も、上記オーバークラッド層23形成用の材料で満たされ、その貫通孔24a内がオーバークラッド層23の一部となる。このオーバークラッド層23の厚みは、通常、10〜2000μmの範囲内に設定される。なお、上記オーバークラッド層23の形成材料としては、例えば、上記アンダークラッド層21と同様の感光性樹脂があげられる。このようにして、上記基台26の表面に、光導波路20および第1のアライメントマーク24が形成された光導波路部分2の作製工程が完了する。
【0031】
つぎに、上記(3)の上記電気回路基板部材1aと光導波路部分2との接着工程について説明する。すなわち、まず、図4(a)に示すように、上記電気回路基板部材1aの電気回路11形成面と反対側の面に接着剤5を塗布する。ついで、図4(b)に示すように、上記光導波路部分2に貼着されている基台26をアンダークラッド層21から剥離する。そして、図4(c)に示すように、上記光導波路部分2のアンダークラッド層21の表面(基台26を剥離した跡の面)を、上記接着剤5により、上記電気回路基板部材1aに接着する。このとき、電気回路基板部材1aに形成された光通過用の貫通孔12,13の下方に、コア22の端部を位置決めし、電気回路基板部材1aに形成された、第1のアライメントマーク24認識用の貫通孔14の下方に、第1のアライメントマーク24を位置決めする。このようにして、上記(3)の上記電気回路基板部材1aと光導波路部分2との接着工程が完了する。
【0032】
つぎに、上記(4)の第2のアライメントマーク15の表面に十字状の露呈部分(識別用マーク)15aを形成し、上記電気回路基板部材1aを電気回路基板1にする工程について説明する。この十字状の露呈部分15aの形成は、その十字状の露呈部分15aを残して、第2のアライメントマーク15の表面部分およびその周辺部の絶縁層部分に樹脂層16を被覆形成することにより行われる。その樹脂層16の被覆形成は、例えば、フォトリソグラフィ法により行われる。すなわち、まず、図5(a)に示すように、上記電気回路基板部材1aと光導波路部分2との接着体において、電気回路基板部材1aの電気回路11形成面に、電気回路11および第2のアライメントマーク15を被覆するように、カバーレジストインク,ソルダーレジストインク等の感光性樹脂を塗布し、その塗布層16aを形成する。
【0033】
上記感光性樹脂(塗布層16a)としては、第2のアライメントマーク15の表面の光沢等を減少ないし無くす観点から、半透明ないし不透明であることが好ましく、より好ましくは不透明である。また、上記感光性樹脂の塗布層16aの厚み(第2のアライメントマーク15の表面からの厚み)は、通常、5〜15μmの範囲内に設定される。
【0034】
ついで、図5(b)に示すように、位置合わせ用マーク(開口部)Aおよび上記樹脂層16のパターンに対応する開口パターンBが形成されているフォトマスクMを準備する。つぎに、そのフォトマスクMの位置合わせ用マークAを光導波路部分2における第1のアライメントマーク24に位置合わせし、その状態で、上記フォトマスクMを配置する。そして、そのフォトマスクMの開口パターンBを介して、上記感光性樹脂の塗布層16aを照射線により露光する。つぎに、現像液を用いて現像を行うことにより、未露光部分を溶解させて除去し、図5(c)に示すように、残存した塗布層16aを目的の樹脂層16のパターンに形成する。その後、その残存塗布層16aの表面等に残存する現像液を加熱処理により除去する。これにより、上記残存塗布層16aを樹脂層16に形成する。この実施の形態では、上記露光の際には、前記十字状の露呈部分15aに形成する部分は露光されず、上記現像の際に、その十字状の未露光部分は溶解されて除去され、その十字状の底に上記第2のアライメントマーク15の表面部分を露呈させる。このようにして、上記(4)の電気回路基板1の作製工程が完了する。
【0035】
つぎに、上記(5)の発光素子3および受光素子4の実装工程について説明する。すなわち、まず、上記電気回路基板1と光導波路部分2との接着体を、図6に示すように、電気回路11側の面を上に向けて実装機のステージS上にセットする。そして、その実装機に備えられているアライメント認識装置Cにより、一方〔例えば図1(a)の左側〕の第2のアライメントマーク15の十字状の露呈部分15aを、上方から直接認識する。このとき、十字状の露呈部分15aは、銅等の金属表面であるため、光沢があり、その周りの樹脂層16は、上記露呈部分15aの光沢を抑制している。このため、十字状の露呈部分15aは、樹脂層16で被覆された部分に対して明確なコントラストを示す。これにより、上記アライメント認識装置Cによる上記十字状の露呈部分15aの認識が容易になり、短時間で認識できるようになる。そして、上記実装機は、上記第2のアライメントマーク15の十字状の露呈部分15aを基準とする設定位置(光反射面22aの上方)に、一方の光学素子(例えば発光素子3)を位置決めし、その光学素子を実装用パッド11aに実装する。他方〔例えば図1(a)の右側〕の第2のアライメントマーク15の十字状の露呈部分15aについても、同様に認識され、他方の光学素子(例えば受光素子4)を実装する際の位置決め基準として利用される。なお、上記発光素子3としては、VCSEL(Vertical Cavity Surface Emitting Laser)等があげられ、受光素子4としては、PD(Photo Diode )等があげられる。
【0036】
上記発光素子3および受光素子4の実装方法としては、フリップチップ,半田リフロー,半田バンプと半田ペーストのスクリーン印刷によるC4接合等があげられる。なかでも、実装の際の位置ずれが小さくできる観点から、超音波や加熱によるフリップチップが好ましく、より好ましくは、上記ステンレス製基板10に熱によるダメージを与えないようにする観点から、超音波によるフリップチップである。このようにして、上記(5)の発光素子3および受光素子4の実装工程が完了し、目的とする光電気混載基板〔図1(a)参照〕が得られる。
【0037】
なお、上記実施の形態では、第2のアライメントマーク15の十字状の露呈部分15aは、銅等の金属表面であるが、さらに明確なコントラストを示すために、その金属表面の上に重ねて他の金属層をめっきにより形成してもよい。
【0038】
また、上記実施の形態では、第2のアライメントマーク15の表面部分に樹脂層16を被覆形成する際に、カバーレジストインク等の感光性樹脂を塗布して塗布層16aを形成したが、その塗布層16aの形成に代えて、カバーレジストフィルム材等の感光性樹脂フィルム材を貼着してもよい。
【0039】
さらに、上記実施の形態では、電気回路基板1と光導波路部分2とを個別に作製し、両者を接着剤5により接着したが、電気回路基板1に直接、光導波路部分2を形成してもよい。
【0040】
そして、上記実施の形態では、コア22および第1のアライメントマーク24の形成を、フォトリソグラフィ法により行ったが、成形型を用いたプレス成形により行ってもよい。この場合、成形型として、紫外線等の照射線を透過させる材料(例えば石英)からなるものであって、上記コア22および第1のアライメントマーク24のパターンと同形状の型面(凹部)が形成されたものを用いる。そして、コア22形成領域と第1のアライメントマーク24形成領域とをもつ感光性樹脂層に対して成形型をプレスし、その状態で、上記成形型を通して紫外線等の照射線を露光する。ついで、加熱処理し、その後、脱型する。このようにしてプレス成形してもよい。
【0041】
また、上記実施の形態では、電気回路基板1の作製にステンレス製基板10を用いたが、他の金属材料または樹脂材料等からなる板材を用いてもよい。その板材が絶縁性を有するものである場合は、絶縁層を形成することなく、上記基板に直接、電気回路11を形成してもよい。上記絶縁層は、上記金属製板材のような通電性を有する板材と電気回路11との短絡を防止するためのものである。
【0042】
さらに、上記実施の形態では、発光素子3および受光素子4と光導波路20とが、電気回路基板1に対して反対の面に配置されているが、同じ面に配置されてもよい。この場合、コア22の他端面は、光反射面22a(傾斜面)ではなく、光入出射端面(電気回路基板1に対して直角な面)に形成される。
【0043】
また、上記実施の形態では、基台26の表面に、光導波路20および第1のアライメントマーク24を形成した後、上記基台26を剥離したが、上記基台26が透光性を有するものであれば、剥離することなく、その基台26を電気回路基板1に接着してもよい。
【0044】
つぎに、実施例について説明する。但し、本発明は、実施例に限定されるわけではない。
【実施例】
【0045】
〔電気回路基板〕
ステンレス製板材(厚み25μmのSUS304箔)の片面に、感光性ポリイミド樹脂からなる絶縁層(厚み10μm)が形成され、その絶縁層の表面に、銅とニッケルとクロムとからなる合金のシード層と電解銅めっき層とが積層されてなる、実装用パッドを含む電気回路および第2のアライメントマークが形成された電気回路基板を作製した。また、この電気回路基板には、光伝播用の貫通孔および第1のアライメントマーク認識用の貫通孔を形成した。
【0046】
〔アンダークラッド層およびオーバークラッド層の形成材料〕
ビスフェノキシエタノールフルオレングリシジルエーテル(成分A)35重量部、脂環式エポキシ樹脂である3’,4’−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート(ダイセル化学社製、セロキサイド2021P)(成分B)40重量部、シクロヘキセンオキシド骨格を有する脂環式エポキシ樹脂である(3’,4’−エポキシシクロヘキサン)メチル−3’,4’−エポキシシクロヘキシル−カルボキシレート(ダイセル化学社製、セロキサイド2081)(成分C)25重量部、4,4’−ビス〔ジ(β−ヒドロキシエトキシ)フェニルスルフィニオ〕フェニルスルフィド−ビス−ヘキサフルオロアンチモネートの50%プロピオンカーボネート溶液(成分D)2重量部とを混合することにより、アンダークラッド層およびオーバークラッド層の形成材料を調製した。
【0047】
〔コアおよび第1のアライメントマークの形成材料〕
上記成分A:70重量部、1,3,3−トリス{4−〔2−(3−オキセタニル)〕ブトキシフェニル}ブタン:30重量部、上記成分D:1重量部を乳酸エチルに溶解することにより、コアおよび第1のアライメントマークの形成材料を調製した。
【0048】
〔光導波路部分の作製〕
ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム〔160mm×160mm×188μm(厚み)〕の表面に、上記アンダークラッド層の形成材料をアプリケーターにより塗布した後、2000mJ/cm2 の紫外線照射による露光を行った。つぎに、100℃×15分間の加熱処理を行うことにより、アンダークラッド層(厚み20μm)を形成した。
【0049】
ついで、上記アンダークラッド層の表面に、上記コアおよび第1のアライメントマークの形成材料をアプリケーターにより塗布した後、100℃×15分間の乾燥処理を行い、コア形成領域と第1のアライメントマーク形成領域とをもつ感光性樹脂層を形成した。つぎに、その上方に、コアおよび第1のアライメントマークのパターンと同形状の開口パターンが形成された合成石英系のクロムマスク(フォトマスク)を配置した。そして、その上方から、プロキシミティ露光法にて4000mJ/cm2 の紫外線照射による露光を行った後、80℃×15分間の加熱処理を行った。つぎに、γ−ブチロラクトン水溶液を用いて現像することにより、未露光部分を溶解除去した後、120℃×30分間の加熱処理を行うことにより、コア(厚み50μm、幅50μm)および第1のアライメントマーク(厚み50μm)を形成した。コアは、線状に形成し、両端面を45°傾斜した傾斜面に形成した。第1のアライメントマークは、直径1000μmの円板状に形成し、その中央部に平面視十字状の貫通孔を形成した。その十字状の溝幅は50μm、縦横の溝の長さは700μmとした。
【0050】
つぎに、コアおよび第1のアライメントマークを被覆するように、上記アンダークラッド層の表面に、オーバークラッド層の形成材料をアプリケーターにより塗布した。そして、その全体に対して、2000mJ/cm2 の紫外線照射による露光を行った後、120℃×15分間の加熱処理を行った。これにより、第1のアライメントマークがオーバークラッド層(コアの表面からの厚み20μm)に埋設され、十字状の貫通孔内も、そのオーバークラッド層の形成材料で充填された。このようにして、上記PETフィルムの表面に、光導波路および第1のアライメントマークが形成された光導波路部分を作製した。
【0051】
〔電気回路基板と光導波路部分との接着〕
上記電気回路基板の電気回路形成面と反対側の面に、エポキシ樹脂系接着フィルム(日東電工社製、NA590)を貼着した。ついで、上記光導波路部分に貼着しているPETフィルムをアンダークラッド層から剥離し、そのアンダークラッド層の表面(剥離跡の面)を、上記エポキシ樹脂系接着フィルムにより、上記電気回路基板に接着した。このとき、電気回路基板に形成された光通過用の貫通孔から、その下方のコアの端部が見えるようにした。また、電気回路基板に形成された、第1のアライメントマーク認識用の貫通孔から、その下方の第1のアライメントマークが見えるようにした。
【0052】
〔第2のアライメントマークの表面に十字状の露呈部分(識別用マーク)を形成〕
上記電気回路基板と光導波路部分との接着体において、電気回路基板の電気回路形成面に、電気回路および第2のアライメントマークを被覆するように、感光性樹脂(日本ポリテック社製、NPR−8V)を塗布した。そして、樹脂層のパターンと同形状の開口パターンが形成された合成石英系のクロムマスク(フォトマスク)を、上記第1のアライメントマークに対して位置決め配置した。そして、その上方から、プロキシミティ露光法にて600mJ/cm2 の紫外線照射による露光を行った。つぎに、1%Na2 CO3 水溶液を用いて現像することにより、未露光部分を溶解除去した後、150℃×60分間の加熱処理を行うことにより、四角形状の樹脂層(1000μm×1000μm、厚み10μm)を形成し、その中央部に、平面視十字状の露呈部分を形成した。その十字状の溝幅は50μm、縦横の溝の長さは700μmとした。
【0053】
〔アライメントマークの認識度テスト〕
上記実施例1の、電気回路基板と光導波路部分との接着体を、電気回路側の面を上に向けて、フリップチップ実装機のステージ上にセットした。そして、その実装機に備えられているアライメント認識装置(パターンマッチング式)により、実施例1の電気回路基板における第2のアライメントマークと光導波路部分における第1のアライメントマークとを認識した。その結果、第2のアライメントマークの認識度(パターンマッチングのスコア)は85%であった。これに対し、第1のアライメントマークの認識度は70%であった。
【0054】
この結果から、電気回路基板における第2のアライメントマークは、光導波路部分における第1のアライメントマークと比較して、認識し易いことがわかる。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】(a)は、本発明の光電気混載基板の一実施の形態を模式的に示す縦断面図であり、(b)は、第2のアライメントマークを拡大して示す斜視図である。
【図2】(a)〜(b)は、上記光電気混載基板の製造方法における電気回路基板の作製方法を模式的に示す説明図である。
【図3】(a)〜(c)は、上記光電気混載基板の製造方法における光導波路部分の作製方法を模式的に示す説明図である。
【図4】(a)〜(c)は、上記光電気混載基板の製造方法における電気回路基板と光導波路部分との接着工程を模式的に示す説明図である。
【図5】(a)〜(c)は、上記光電気混載基板の製造方法における第2のアライメントマーク表面への十字状露呈部分の形成工程を模式的に示す説明図である。
【図6】上記光電気混載基板の製造方法における光学素子の実装工程を模式的に示す説明図である。
【図7】従来の光電気混載基板を模式的に示す縦断面図である。
【図8】(a)は、従来の他の光電気混載基板を模式的に示す縦断面図であり、(b)は、アライメントマークを拡大して示す斜視図である。
【図9】上記光電気混載基板の製造方法における光学素子の実装工程を模式的に示す説明図である。
【符号の説明】
【0056】
1 電気回路基板
2 光導波路部分
15 第2のアライメントマーク
15a 露呈部分
16 樹脂層
21 アンダークラッド層
22 コア
23 オーバークラッド層
24 第1のアライメントマーク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光導波路部分と、電気回路部分と、この電気回路部分に実装された光学素子とを備え、上記光導波路部分が、透光性を有するアンダークラッド層と、このアンダークラッド層の表面に、光路用の線状のコアと、このコアの端部に対して位置決めされた第1のアライメントマークと、上記コアおよび第1のアライメントマークを被覆するオーバークラッド層とを備えた光電気混載基板であって、上記電気回路部分の光学素子実装面に、光学素子位置決め用の第2のアライメントマークが形成され、この第2のアライメントマークの表面が、上記第1のアライメントマークを基準とした識別用の露呈部分を残して、樹脂層で被覆されていることを特徴とする光電気混載基板。
【請求項2】
上記第2のアライメントマークが、電気回路用の金属からなる請求項1記載の光電気混載基板。
【請求項3】
光導波路部分と、電気回路部分と、この電気回路部分に実装された光学素子とを備え、上記光導波路部分が、透光性を有するアンダークラッド層と、このアンダークラッド層の表面に、光路用の線状のコアと、このコアの端部に対して位置決めされた第1のアライメントマークと、上記コアおよび第1のアライメントマークを被覆するオーバークラッド層とを備えた光電気混載基板を製造する方法であって、上記電気回路部分の作製が、基板上に、電気回路と、光学素子位置決め用の第2のアライメントマークとを形成する工程と、その第2のアライメントマークの表面を、上記第1のアライメントマークを基準とした識別用の露呈部分を残して、樹脂層で被覆する工程とを備え、上記光学素子の実装が、上記第2のアライメントマークの識別用の露呈部分を基準にして行われることを特徴とする光電気混載基板の製造方法。
【請求項4】
上記第2のアライメントマークが、電気回路用の金属を用いて形成される請求項3記載の光電気混載基板の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−128200(P2010−128200A)
【公開日】平成22年6月10日(2010.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−302868(P2008−302868)
【出願日】平成20年11月27日(2008.11.27)
【出願人】(000003964)日東電工株式会社 (5,557)
【Fターム(参考)】