内燃機関の制御装置
【課題】吸気弁の開弁中の最大揚程を可変リフト機構によって変更する場合において、フューエルカット運転中における可変リフト機構の発熱量および電力消費量をいずれも低減することができる内燃機関の制御装置を提供する。
【解決手段】内燃機関3では、吸気弁4の開弁中の最大揚程である吸気リフトLiftinが、可変リフト機構40によって、所定範囲(Liftin_min〜Liftin_max)内で連続的に変更可能であるとともに、可変リフト機構40の電気モータ48への電力供給が停止されているときに、吸気リフトLiftinが、リフト保持機構50によって所定値Liftin_refに機械的に保持される。制御装置1は、ECU2を備え、ECU2は、フューエルカット運転中であるか否かを判定し(ステップ1)、フューエルカット運転中であるときには、電気モータ48への電力供給を停止する(ステップ3)。
【解決手段】内燃機関3では、吸気弁4の開弁中の最大揚程である吸気リフトLiftinが、可変リフト機構40によって、所定範囲(Liftin_min〜Liftin_max)内で連続的に変更可能であるとともに、可変リフト機構40の電気モータ48への電力供給が停止されているときに、吸気リフトLiftinが、リフト保持機構50によって所定値Liftin_refに機械的に保持される。制御装置1は、ECU2を備え、ECU2は、フューエルカット運転中であるか否かを判定し(ステップ1)、フューエルカット運転中であるときには、電気モータ48への電力供給を停止する(ステップ3)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吸気弁の開弁中の最大揚程が、可変リフト機構によって所定範囲内で連続的に変更される内燃機関の制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、内燃機関の制御装置として、特許文献1に記載されたものが知られている。この内燃機関は、可変リフト機構を備えており、この可変リフト機構は、複数のカムを切り換えることによって、吸気弁の開弁中の最大揚程である吸気リフトを複数段階に変更するものである(段落[0019])。
【0003】
この制御装置では、内燃機関の減速フューエルカット運転中であるか否かを判別し、減速フューエルカット運転中のときには、可変リフト機構を制御することによって、吸気リフトをその最小値まで強制的に減少させている(段落[0021],[0022]、図3のステップ1,2)。これは、気筒内の負圧が吸気系側に作用するのを抑制することによって、吸気系の圧力を検出する圧力センサの雰囲気を大気圧にするためである(段落[0026])。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平9−250373号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記従来の内燃機関の制御装置によれば、減速フューエルカット運転中、吸気リフトを最小値まで減少させるために、可変リフト機構を制御しているので、その間、可変リフト機構に電力を供給する必要があることで、可変リフト機構が発熱してしまうとともに、電力消費量が増大しまう。
【0006】
本発明は、上記課題を解決するためになされたもので、吸気弁の開弁中の最大揚程が可変リフト機構によって変更される場合において、フューエルカット運転中における可変リフト機構の発熱量および電力消費量をいずれも低減することができる内燃機関の制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、請求項1に係る発明は、吸気弁4の開弁中の最大揚程である吸気リフトLiftinが、電気モータ48を動力源とする可変リフト機構40によって、所定の最大値Liftin_maxおよび所定の最小値Liftin_minで規定される所定範囲内で連続的に変更可能に構成されているとともに、電気モータ48への電力供給が停止されているときに、吸気リフトLiftinが、リフト保持機構50,50Aによって所定範囲内の所定値(所定値Liftin_ref,所定の最大値Liftin_max)に機械的に保持される内燃機関3の制御装置1であって、内燃機関3への燃料の供給を停止するフューエルカット運転中であるか否かを判定する判定手段(ECU2、ステップ1)と、判定手段の判定結果に基づき、フューエルカット運転中であるとき(ステップ1の判別結果がYESのとき)には、電気モータ48への電力供給を停止する制御手段(ECU2、ステップ3)と、を備えることを特徴とする。
【0008】
この内燃機関の制御装置によれば、判定手段の判定結果に基づき、フューエルカット運転中であるときには、可変リフト機構の電気モータへの電力供給が停止され、それに伴い、吸気リフトが、リフト保持機構によって所定範囲内の所定値に機械的に保持される。このように、フューエルカット運転中、電力を電気モータに供給することなく、吸気リフトを所定値に機械的に保持することができるので、可変リフト機構を制御する従来の場合と比べて、フューエルカット運転中における可変リフト機構の発熱量および電力消費量をいずれも低減することができる。
【0009】
請求項2に係る発明は、請求項1に記載の内燃機関3の制御装置1において、所定値Liftin_refは、所定の最大値Liftin_maxおよび所定の最小値Liftin_minを除く所定範囲内の値であることを特徴とする。
【0010】
この内燃機関の制御装置によれば、フューエルカット運転中、吸気リフトが、所定の最大値および所定の最小値を除く所定範囲内の値に機械的に保持されるので、吸気リフトを所定の最小値に保持した場合と比べて、気筒内の負圧に起因するオイル上がりを抑制することができるとともに、内燃機関のクランクシャフトに作用する回転抵抗をより増大させることができる。それにより、内燃機関が車両の動力源であって、その減速走行中の場合には、吸気リフトを所定の最小値に保持した場合と比べて、より大きなエンジンブレーキ力を確保することができる。
【0011】
請求項3に係る発明は、請求項1に記載の内燃機関3の制御装置1において、所定値は、所定の最大値Liftin_maxであることを特徴とする。
【0012】
可変リフト機構付きの内燃機関の場合、高負荷運転中は、高出力を確保すべく、吸気リフトが所定範囲の所定の最大値になるように、可変リフト機構を制御するのが一般的である。これに対して、この内燃機関の制御装置によれば、電気モータへの電力供給が停止されている場合、リフト保持機構によって所定の最大値に機械的に保持されるので、内燃機関の高負荷運転中も、可変リフト機構の電気モータへの電力供給を停止することができる。それにより、高負荷運転中、可変リフト機構の発熱量および電力消費量をいずれも低減することができるとともに、可変リフト機構が内燃機関の負荷となるのを回避できることで、その分、内燃機関の出力を向上させることができる。
【0013】
請求項4に係る発明は、請求項1ないし3のいずれかに記載の内燃機関3の制御装置1において、内燃機関3は、動力源として車両に搭載されているとともに、吸気通路12を開閉する電動式の吸気通路弁(スロットル弁13a)を備えており、制御手段は、内燃機関3がフューエルカット運転中のときには、電気モータ48への電力停止に加えて、吸気通路弁を吸気通路弁の開度(スロットル弁開度TH)が所定の最小開度THminになるように制御する(ステップ1〜3)ことを特徴とする。
【0014】
この内燃機関の制御装置によれば、内燃機関は、動力源として車両に搭載され、吸気通路を開閉する電動式の吸気通路弁を備えているとともに、内燃機関がフューエルカット運転中のときには、電気モータへの電力停止に加えて、吸気通路弁がその開度が所定の最小開度になるように制御されるので、内燃機関がフューエルカット運転中で、かつ車両が減速走行中の場合には、十分なエンジンブレーキ力を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の一実施形態に係る制御装置を適用した内燃機関の概略構成を示す図である。
【図2】制御装置の概略構成を示す図である。
【図3】吸気側動弁機構の概略構成を示す図である。
【図4】可変リフト機構の概略構成を示す斜視図である。
【図5】可変リフト機構のリンク機構の概略構成を示す斜視図である。
【図6】可変リフト機構のリフトアクチュエータの概略構成を示す図であって、リフトアクチュエータが(a)最大リフト位置にある状態と(b)最小リフト位置にある状態をそれぞれ示す図である。
【図7】リフト保持機構の概略構成を示す模式図であって、コントロールシャフトが(a)デフォルト位置にある状態と(b)最大リフト位置にある状態と(c)最小リフト位置にある状態をそれぞれ示す図である。
【図8】可変リフト機構による吸気リフトの変更に伴うバルブリフト曲線の変化を示す図である。
【図9】可変カム位相機構の概略構成を示す模式図である。
【図10】可変カム位相機構によってカム位相が最遅角値(実線)および最進角値(2点鎖線)に設定されているときの吸気弁のバルブリフト曲線と、排気弁のバルブリフト曲線をそれぞれ示す図である。
【図11】吸入空気量制御処理を示すフローチャートである。
【図12】燃料噴射制御処理を示すフローチャートである。
【図13】リフト保持機構の変形例の概略構成を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照しながら、本発明の一実施形態に係る内燃機関の制御装置について説明する。この制御装置1は、図2に示すように、ECU2を備えており、このECU2は、後述するように、内燃機関(以下「エンジン」という)3の運転状態に応じて、吸入空気量制御処理および燃料噴射制御処理を含む各種の制御処理を実行する。
【0017】
図1に示すように、エンジン3は、4組の気筒3aおよびピストン3b(1組のみ図示)を有する直列4気筒ガソリンエンジンであり、図示しない車両に搭載されている。
【0018】
エンジン3は、気筒3a毎に設けられた一対の吸気弁4,4(図5参照)および一対の排気弁7,7(1つのみ図示)と、吸気カムシャフト5および吸気カム6を有するとともに各吸気弁4を開閉駆動する吸気側動弁機構30と、排気カムシャフト8および排気カム9を有するとともに各排気弁7を開閉駆動する排気側動弁機構70と、燃料噴射弁10(図2参照)と、点火プラグ11(図2参照)などを備えている。
【0019】
吸気カムシャフト5および排気カムシャフト8はそれぞれ、図示しないホルダを介して、シリンダヘッド3cに回動自在に取り付けられているとともに、気筒3aの配列方向に沿って延びている。この吸気カムシャフト5の一端部上には、吸気スプロケット(図示せず)が同軸に配置され、回転自在に設けられている。この吸気スプロケットは、図示しないタイミングチェーンを介してクランクシャフト3dに連結され、後述する可変カム位相機構60を介して吸気カムシャフト5に連結されている。以上の構成により、吸気カムシャフト5は、クランクシャフト3dが2回転する毎に1回転する。また、吸気カム6は、吸気カムシャフト5上にこれと一体に回転するように設けられている。
【0020】
さらに、吸気側動弁機構30は、クランクシャフト3dの回転に伴う吸気カムシャフト5の回転によって、各気筒3aの吸気弁4を、リターンスプリング4aの付勢力に抗しながら開閉駆動するものであり、後述するように、吸気弁4の開弁中の最大揚程である吸気リフトを無段階に変更するとともに、吸気弁4のバルブタイミングを無段階に変更する可変式の動弁機構で構成されている。
【0021】
一方、排気カムシャフト8の一端部上には、排気スプロケット(図示せず)が同軸に配置され、回転自在に設けられている。この排気スプロケットは、図示しないタイミングチェーンを介してクランクシャフト3dに連結されている。以上の構成により、排気カムシャフト8は、クランクシャフト3dが2回転する毎に1回転する。さらに、排気カム9は、排気カムシャフト8上にこれと一体に回転するように気筒3a毎に設けられている。
【0022】
さらに、排気側動弁機構70は、クランクシャフト3dの回転に伴う排気カムシャフト8の回転によって、各気筒3aの排気弁7を、リターンスプリング7aの付勢力に抗しながら開閉駆動する。排気行程中、排気弁7が開弁することによって、燃焼ガスが気筒3a内から排気通路14に排出される。
【0023】
一方、燃料噴射弁10は、気筒3a毎に設けられ、燃料を気筒3a内に直接噴射するようにシリンダヘッド3cに取り付けられている。すなわち、エンジン3は直噴エンジンとして構成されている。また、燃料噴射弁10は、ECU2に電気的に接続されており、ECU2により、後述する燃料噴射量TOUTに基づいて、開弁時間および開弁タイミングが制御される。すなわち燃料噴射時間および噴射タイミングが制御される。
【0024】
また、点火プラグ11も、気筒3a毎に設けられ、シリンダヘッド3cに取り付けられている。点火プラグ11は、ECU2に電気的に接続されており、ECU2により、点火時期に応じたタイミングで気筒内の混合気を燃焼させるように、放電状態が制御される。
【0025】
さらに、エンジン3には、クランク角センサ20が設けられている。このクランク角センサ20は、マグネットロータおよびMREピックアップで構成されており、クランクシャフト3dの回転に伴い、いずれもパルス信号であるCRK信号およびTDC信号をECU2に出力する。
【0026】
このCRK信号は、所定クランク角(例えば1゜)毎に1パルスが出力され、ECU2は、このCRK信号に基づき、エンジン3の回転数(以下「エンジン回転数」という)NEを算出する。また、TDC信号は、各気筒3aのピストン3bが吸気行程のTDC位置よりも若干、手前の所定のクランク角位置にあることを表す信号であり、所定クランク角毎に1パルスが出力される。
【0027】
一方、エンジン3の吸気通路12には、スロットル弁機構13が設けられており、このスロットル弁機構13は、スロットル弁13aおよびこれを開閉駆動するTHアクチュエータ13bなどを備えている。スロットル弁13aは、吸気通路12の途中に回動自在に設けられており、回動に伴う開度の変化により吸気通路12内の新気流量を変化させる。THアクチュエータ13bは、ECU2に接続されたモータにギヤ機構(いずれも図示せず)を組み合わせたものであり、ECU2からの後述するTH制御入力U_THによって駆動されることで、スロットル弁13aの開度を変化させる。なお、本実施形態では、スロットル弁13aが吸気通路弁に相当し、スロットル弁開度THが吸気通路弁の開度に相当する。
【0028】
次に、図3を参照しながら、前述した吸気側動弁機構30について説明する。この吸気側動弁機構30は、同図に示すように、吸気カムシャフト5、吸気カム6、可変リフト機構40、リフト保持機構50(図7参照)および可変カム位相機構60などを備えている。
【0029】
この可変リフト機構40は、クランクシャフト3dの回転に伴う吸気カムシャフト5の回転によって吸気弁4を開閉駆動するとともに、吸気リフトLiftinを図8に示す最小値Liftin_minと最大値Liftin_maxとの間で無段階に変更するものである。可変リフト機構40は、図4,5に示すように、コントロールシャフト41およびロッカアームシャフト42と、これらのシャフト41,42上に気筒3a毎に設けられたロッカアーム機構43と、これらのロッカアーム機構43を同時に駆動するリフトアクチュエータ47(図6参照)などを備えている。
【0030】
コントロールシャフト41は、回動軸部41a、ホルダ部41bおよび偏心軸部41cを一体に組み立てたものであり、吸気カムシャフト5に沿って延び、回動軸部41aがシリンダヘッド3cのホルダ(図示せず)によって回動自在に保持されているとともに、その一端部がリフトアクチュエータ47に連結されている。
【0031】
一方、各ロッカアーム機構43は、上下のロッカアーム44,45を組み合わせたものであり、この上ロッカアーム44は、一対のリンク44a,44a、ローラ軸44b、ローラ44cおよび一対のコイルばね44d,44dを備えている。ローラ軸44bは、その両端部がリンク44a,44aの一端部にそれぞれ取り付けられているとともに、リンク44a,44aにより回転自在に支持されている。また、ローラ44cは、このローラ軸44b上に回転自在に設けられている。
【0032】
また、各リンク44aの他端部は、コントロールシャフト41の偏心軸部41cに回動自在に取り付けられているとともに、コイルばね44dを介してホルダ部41bに連結されている。リンク44aでは、このコイルばね44dの付勢力により、ローラ44cが吸気カム6のカム面に当接するとともに、ローラ44cが吸気カム6のカム面のベース円部に当接しているときには、ローラ軸44bは、その軸心が回動軸部41aの軸線上に位置するような原点位置(図3に示す位置)に保持される。
【0033】
一方、下ロッカアーム45は、その一端部がロッカアームシャフト42に回動自在に支持され、他端部にはアジャストボルト45a,45aが取り付けられており、これらのアジャストボルト45a,45aを介して、各吸気弁4の上端に当接している。
【0034】
また、下ロッカアーム45は、上方に突出する一対の案内部45b,45bを備えている。各案内部45bは、その上面が上ロッカアーム44のローラ軸44bを案内する案内面45cになっており、リターンスプリング4aの付勢力により、この案内面45cを介してローラ軸44bに当接している。この案内面45cは、下方に凸の円弧形状を有している。また、案内部45bとローラ軸44bが互いに当接している状態では、ローラ44cは、案内部45b,45b間に位置するとともに、下ロッカアーム45に当接することなく、吸気カム6のみに当接する。
【0035】
一方、図6に示すように、前述したリフトアクチュエータ47は、電気モータ48および減速ギヤ機構49を備えている。電気モータ48は、ECU2に電気的に接続されており(図2参照)、ECU2からの後述するリフト制御入力U_Liftinによって駆動されると、回転軸48aを正転/逆転させる。
【0036】
また、減速ギヤ機構49は、ウォーム49aと、セクタギヤタイプのウォームホイール49bとを組み合わせたものであり、ウォーム49aは、電気モータ48の回転軸48a上に同心に固定されている。これにより、ウォーム49aは、回転軸48aと一体に回転する。
【0037】
一方、ウォームホイール49bは、その回転中心がコントロールシャフト41の回転中心と一致するように、コントロールシャフト41の一端部にボルト止めされている。また、ウォーム49aおよびウォームホイール49bは、互いに噛みあう状態で、両者の回転中心が互いに直交するように配置されているとともに、ウォーム49aの進み角が摩擦角よりも大きくなるように設定されている。それにより、この減速ギヤ機構49では、ウォーム49aの回転に伴って、ウォームホイール49bが回転するとともに、ウォームホイール49bの回転に伴って、ウォーム49aが回転する。
【0038】
以上のリフトアクチュエータ47では、ECU2によって電気モータ48が駆動されると、コントロールシャフト41を、リフト保持機構50の後述するコイルばね52,53の付勢力に抗しながら回動させる。その際、ウォームホイール49bが図示しないストッパに当接することによって、コントロールシャフト41の回動角の範囲は、図6(a)に示す最大リフト位置と図6(b)に示す最小リフト位置との間に規制される。それにより、リンク44aの回動範囲も、例えばローラ軸44bが前述した原点位置にある場合、図6(a)に示す最大リフト位置(図3に2点鎖線で示す位置)と図6(b)に示す最小リフト位置(図3に実線で示す位置)との間に規制される。
【0039】
また、図7に示すように、前述したリフト保持機構50は、アーム51および2つのコイルばね52,53を備えている。このアーム51は、その基端部がコントロールシャフト41に固定されており、それにより、コントロールシャフト41と一体に回転するように構成されている。
【0040】
また、コイルばね52は、その両端部がアーム51の先端部およびシリンダヘッド3cの取付部54にそれぞれ固定されており、アーム51と取付部54との間に圧縮状態で設けられている。さらに、コイルばね53は、その両端部がアーム51の先端部およびシリンダヘッド3cの取付部55にそれぞれ固定されており、アーム51と取付部55との間に圧縮状態で設けられている。
【0041】
このリフト保持機構50は、リフトアクチュエータ47の電気モータ48への電力供給が停止されている場合、すなわち後述するリフト制御入力U_LiftinがECU2から入力されていない場合、コイルばね52,53の付勢力によって、コントロールシャフト41を図7(a)に示すデフォルト位置に保持する。
【0042】
次に、以上のように構成された可変リフト機構40およびリフト保持機構50の動作について説明する。まず、ECU2からのリフト制御入力U_Liftinが、リフトアクチュエータ47の電気モータ48に入力されると、電気モータ48は、コイルばね52,53の付勢力に抗しながら、コントロールシャフト41すなわちリンク44aを、図7(b)に示す最大リフト位置と図7(c)に示す最小リフト位置との間の、リフト制御入力U_Liftinに対応する位置まで駆動した後、その位置に保持する。
【0043】
例えば、リンク44aが最小リフト位置(図3に実線で示す位置)に保持されている場合、吸気カム6が回転すると、リンク44aは偏心軸部41cを中心として、図3の時計回りに回動し、下ロッカアーム45を下方に押し下げる。それにより、下ロッカアーム45は、リターンスプリング4aの付勢力に抗しながら、図3に示す閉弁位置から下方に回動し、吸気弁4を開放する。その際、吸気弁4は、図8に1点鎖線で示すバルブリフト曲線に従って開弁し、吸気リフトLiftinは、その最小値Liftin_minを示す。
【0044】
一方、リンク44aが最小リフト位置よりも最大リフト位置に近い位置に保持されている状態では、吸気カム6の回転により、リンク44aが偏心軸部41cを中心として図3の時計回りに回動すると、下ロッカアーム45は、リターンスプリング4aの付勢力に抗しながら、図3に示す最小リフト位置から下方に回動し、吸気弁4を開放する。その際、下ロッカアーム45の回動量すなわち吸気リフトLiftinは、リンク44aが最大リフト位置に近い位置にあるほど、より大きくなる。
【0045】
以上の理由により、吸気弁4は、リンク44aが最大リフト位置に近い位置にあるほど、より大きなリフトで開弁する。具体的には、吸気カム6の回転中、吸気弁4は、リンク44aが最大リフト位置にあるときには、図8に実線で示すバルブリフト曲線に従って開弁し、吸気リフトLiftinは、その最大値Liftin_maxを示す。以上のように、この可変リフト機構40では、リフトアクチュエータ47を介して、リンク44aを最小リフト位置と最大リフト位置との間で回動させることにより、吸気リフトLiftinを、最小値Liftin_minおよび最大値Liftin_maxで規定される範囲内で無段階に変化させることができる。
【0046】
また、リンク44aが図7(b)に示す最大リフト位置にある場合において、リフトアクチュエータ47の電気モータ48への電力供給が停止されたとき、すなわちECU2からのリフト制御入力U_Liftinが電気モータ48に入力されなくなったときには、リフト保持機構50のコイルばね52,53の付勢力によって、コントロールシャフト41すなわちリンク44aは、図7(b)に示す最大リフト位置から図7(a)に示すデフォルト位置に駆動され、このデフォルト位置に保持される。これと同様に、リンク44aが図7(c)に示す最小リフト位置にある場合において、リフトアクチュエータ47の電気モータ48への電力供給が停止されたときには、リフト保持機構50のコイルばね52,53の付勢力によって、リンク44aは、図7(c)に示す最小リフト位置から図7(a)に示すデフォルト位置に駆動され、このデフォルト位置に保持される。
【0047】
このように、リンク44aがデフォルト位置に保持されている状態で、吸気カム6が回転した場合、吸気弁4は、図8に破線で示すバルブリフト曲線に従って開弁し、吸気リフトLiftinは、所定値Liftin_refとなる。この所定値Liftin_refは、Liftin_min<Liftin_ref<Liftin_maxが成立するように設定されているとともに、車両が減速走行中で、内燃機関のフューエルカット運転中の場合において、吸気リフトLiftinを最小値Liftin_minに保持したときと比べて、気筒3a内の負圧に起因するオイル上がりを抑制することができるとともに、エンジン3のクランクシャフト3dに作用する回転抵抗をより増大させることができるような値に設定されている。
【0048】
また、可変リフト機構40には、回動角センサ21が設けられており(図2参照)、この回動角センサ21は、コントロールシャフト41の回動角を検出して、それを表す検出信号をECU2に出力する。ECU2は、この回動角センサ21の検出信号に基づき、吸気リフトLiftinを算出する。
【0049】
次に、図9を参照しながら、可変カム位相機構60について説明する。この可変カム位相機構60は、吸気カムシャフト5のクランクシャフト3dに対する相対的な位相(以下「カム位相」という)Cainを無段階に進角側または遅角側に変更するものであり、吸気カムシャフト5の吸気スプロケット側の端部に設けられている。図9に示すように、可変カム位相機構60は、ハウジング61、3枚羽根式のベーン62、油圧ポンプ63およびカム位相電磁弁64などを備えている。
【0050】
このハウジング61は、吸気カムシャフト5上の吸気スプロケットと一体に構成されており、互いに等間隔に形成された3つの隔壁61aを備えている。ベーン62は、吸気カムシャフト5の吸気スプロケット側の端部に同軸に取り付けられ、吸気カムシャフト5から外方に放射状に延びているとともに、ハウジング61内に回転可能に収容されている。また、ハウジング61では、隔壁61aとベーン62との間に、3つの進角室65および3つの遅角室66が形成されている。
【0051】
油圧ポンプ63は、クランクシャフト3dに連結された機械式のものであり、クランクシャフト3dが回転すると、それに伴って、エンジン3のオイルパン3eに蓄えられた潤滑用のオイルを、油路67cを介して吸い込むとともに、これを昇圧した状態で、油路67cを介してカム位相電磁弁64に供給する。
【0052】
カム位相電磁弁64は、スプール弁機構64aおよびソレノイド64bを組み合わせたものであり、進角油路67aおよび遅角油路67bを介して、進角室65および遅角室66にそれぞれ接続されているとともに、油圧ポンプ63から供給された油圧Poilを、進角油圧Padおよび遅角油圧Prtとして、進角室65および遅角室66にそれぞれ出力する。カム位相電磁弁64のソレノイド64bは、ECU2に電気的に接続されており、ECU2からの後述する位相制御入力U_Cainによって駆動されると、スプール弁機構64aのスプール弁体を所定の移動範囲内で移動させることで、進角油圧Padおよび遅角油圧Prtをいずれも変化させる。
【0053】
以上の可変カム位相機構60では、油圧ポンプ63の動作中、カム位相電磁弁64がECU2からの位相制御入力U_Cainに応じて作動することにより、進角油圧Padが進角室65に、遅角油圧Prtが遅角室66にそれぞれ供給され、それにより、ベーン62とハウジング61との間の相対的な位相が進角側または遅角側に変更される。その結果、前述したカム位相Cainが、所定の最遅角値と所定の最進角値との間で連続的に変化し、それにより、吸気弁4のバルブタイミングは、図10に実線で示す最遅角タイミングと、図10に2点鎖線で示す最進角タイミングとの間で無段階に変更される。
【0054】
同図に示すように、吸気弁4のバルブタイミングが最遅角タイミングに設定されている場合、吸気弁4の開弁タイミングは、排気弁7の閉弁タイミングよりも遅くかつ吸気行程のTDC位置よりも遅いタイミングとなる。それにより、吸気弁4と排気弁7のバルブオーバーラップが存在しない状態となる。
【0055】
一方、吸気カムシャフト5の可変カム位相機構60と反対側の端部には、カム角センサ22(図2参照)が設けられている。このカム角センサ22は、例えばマグネットロータおよびMREピックアップで構成されており、吸気カムシャフト5の回転に伴い、パルス信号であるCAM信号を所定のカム角(例えば1゜)ごとにECU2に出力する。ECU2は、このCAM信号および前述したCRK信号に基づき、カム位相Cainを算出する。
【0056】
以上のように、このエンジン3では、可変リフト機構40によって、吸気リフトLiftinを所定範囲内で無段階に変更できるとともに、可変カム位相機構60によって、吸気弁4のバルブタイミングを所定範囲内で無段階に変更できるように構成されている。
【0057】
さらに、ECU2には、アクセル開度センサ23およびスロットル弁開度センサ24が接続されている。このアクセル開度センサ23は、図示しないアクセルペダルの操作量であるアクセル開度APを検出して、それを表す検出信号をECU2に出力する。また、スロットル弁開度センサ24は、ポテンショメータで構成され、スロットル弁13aの開度(以下「スロットル弁開度」という)THを検出して、それを表す検出信号をECU2に出力する。
【0058】
一方、ECU2は、CPU、RAM、ROMおよびI/Oインターフェース(いずれも図示せず)などからなるマイクロコンピュータで構成されており、前述した各種のセンサ20〜24の検出信号などに応じて、エンジン3の運転状態を判別し、吸入空気量制御処理および燃料噴射制御処理などの各種の制御処理を実行する。なお、本実施形態では、ECU2が判定手段および制御手段に相当する。
【0059】
次に、図11を参照しながら、上述した吸入空気量制御処理について説明する。この制御処理は、以下に述べるように、3つの制御入力U_TH,U_Liftin,U_Cainを算出するものであり、所定の制御周期(例えば10msec)で実行される。この処理では、まず、ステップ1(図では「S1」と略す。以下同じ)で、フューエルカット運転フラグF_FCが「1」であるか否かを判別する。
【0060】
このフューエルカット運転フラグF_FCは、以下のフューエルカット運転の実行条件(f1),(f2)がいずれも成立しているときには「1」に、不成立のときには「0」にそれぞれ設定される。
(f1)エンジン回転数NEが所定のフューエルカット回転数(例えば800rpm)以上であること。
(f2)アクセル開度APが所定開度(例えば値0)以下であること。
【0061】
ステップ1の判別結果がYESのときには、フューエルカット運転用の吸入空気量制御処理を実行すべきであると判定して、ステップ2に進み、TH制御入力U_THを所定のフューエルカット運転用値U_THFCに設定する。そして、このTH制御入力U_THがTHアクチュエータ13bに供給されることによって、スロットル弁開度THは全閉に近い所定の最小開度THminに制御される。その結果、吸気通路12内が負圧状態となる。なお、この所定の最小開度THminは、減速走行中でフューエルカット運転中のときに、十分なエンジンブレーキが得られるような値に設定されている。
【0062】
次いで、ステップ3で、リフト制御入力U_Liftinを値0に設定する。このようにリフト制御入力U_Liftinを値0に設定されると、リフトアクチュエータ47の電気モータ48への電力供給が停止される。それにより、リフト保持機構50によって、吸気リフトLiftinが前述した所定値Liftin_refに保持される。
【0063】
次に、ステップ4に進み、位相制御入力U_Cainを所定のフューエルカット運転用値U_CainFCに設定した後、本処理を終了する。そして、この位相制御入力U_Cainが可変カム位相機構60のカム位相電磁弁64に供給されることによって、カム位相Cainが最遅角値に制御される。その結果、吸気弁4のバルブタイミングが前述した最遅角タイミングに制御される。
【0064】
一方、ステップ1の判別結果がNOのときには、通常運転用の吸入空気量制御処理を実行すべきであると判定して、ステップ5に進み、通常運転用のスロットル弁開度制御処理を実行する。この処理では、エンジン回転数NEおよびアクセル開度APなどの運転状態パラメータに応じて、目標スロットル弁開度THcmdを算出し、所定のフィードバック制御アルゴリズムによって、スロットル弁開度THと目標スロットル弁開度THcmdとの偏差が値0に収束するように、TH制御入力U_THが算出される。そして、このTH制御入力U_THがTHアクチュエータ13bに供給されることで、スロットル弁開度THが、目標スロットル弁開度THcmdに収束するようにフィードバック制御される。
【0065】
次いで、ステップ6に進み、通常運転用の吸気リフト制御処理を実行する。この処理では、エンジン回転数NEおよびアクセル開度APなどの運転状態パラメータに応じて、目標吸気リフトLiftin_cmdを算出し、所定のフィードバック制御アルゴリズムによって、吸気リフトLiftinと目標吸気リフトLiftin_cmdとの偏差が値0に収束するように、リフト制御入力U_Liftinが算出される。そして、このリフト制御入力U_Liftinがリフトアクチュエータ47の電気モータ48に供給されることによって、吸気リフトLiftinが、目標吸気リフトLiftin_cmdに収束するようにフィードバック制御される。
【0066】
次に、ステップ7で、通常運転用の吸気リフト制御処理を実行する。この処理では、エンジン回転数NEおよびアクセル開度APなどの運転状態パラメータに応じて、目標カム位相Cain_cmdを算出し、所定のフィードバック制御アルゴリズムによって、カム位相Cainと目標カム位相Cain_cmdとの偏差が値0に収束するように、位相制御入力U_Cainが算出される。そして、この位相制御入力U_Cainが、可変カム位相機構60のカム位相電磁弁64に供給されることによって、カム位相Cainが、目標カム位相Cain_cmdに収束するようにフィードバック制御される。以上のように、ステップ7を実行した後、本処理を終了する。
【0067】
この吸入空気量制御処理では、以上のように、スロットル弁開度TH、吸気リフトLiftinおよびカム位相Cainがそれぞれ制御され、それによって、吸入空気量が制御される。
【0068】
次に、図12を参照しながら、前述した燃料噴射制御処理について説明する。この制御処理は、以下に述べるように、燃料噴射弁10の燃料噴射量およびその噴射タイミングを算出するものであり、TDC信号の発生に同期する制御周期で実行される。
【0069】
この制御処理では、まず、ステップ10で、前述したフューエルカット運転フラグF_F_FCが「1」であるか否かを判別する。この判別結果がYESのときには、フューエルカット運転用の燃料噴射制御処理を実行すべきであると判定して、ステップ11に進み、燃料噴射量TOUTを値0に設定した後、本処理を終了する。このように燃料噴射量TOUTが値0に設定されると、燃料噴射弁10による気筒3a内への燃料噴射が停止される。
【0070】
一方、ステップ10の判別結果がNOのときには、通常運転用の燃料噴射制御処理を実行すべきであると判定して、ステップ12に進み、通常運転用の燃料噴射制御処理を実行する。この通常運転用の燃料噴射制御処理では、エンジン回転数NEおよびアクセル開度APなどの運転状態パラメータに応じて、燃料噴射量TOUTを算出するとともに、この燃料噴射量TOUTとエンジン回転数NEに応じて、燃料噴射タイミングが算出される。このように燃料噴射量TOUTおよび燃料噴射タイミングが算出されると、これらに基づいて、燃料噴射弁10から燃料が気筒3a内に噴射される。以上のようにステップ12を実行した後、本処理を終了する。
【0071】
以上のように、本実施形態の制御装置1によれば、フューエルカット運転中、可変リフト機構40の電気モータ48への電力供給が停止されるとともに、吸気リフトLiftinが、リフト保持機構50によって所定値Liftin_refに機械的に保持されるので、可変リフト機構を制御する従来の場合と比べて、フューエルカット運転中における可変リフト機構40の発熱量および電力消費量をいずれも低減することができる。
【0072】
また、この所定値Liftin_refは、Liftin_min<Liftin_ref<Liftin_maxが成立する値に設定されているので、吸気リフトLiftinを最小値Liftin_minに保持した場合と比べて、気筒3a内の負圧に起因するオイル上がりを抑制することができるとともに、エンジン3のクランクシャフト3dに作用する回転抵抗をより増大させることができる。それにより、車両が減速走行中の場合には、吸気リフトLiftinを最小値Liftin_minに保持した場合と比べて、より大きなエンジンブレーキ力を確保することができる。
【0073】
さらに、フューエルカット運転中、スロットル弁開度THが所定の最小開度THminになるように制御されるので、エンジン3がフューエルカット運転中で、かつ車両が減速走行中の場合には、十分なエンジンブレーキ力を確保することができる。
【0074】
なお、実施形態は、リフト保持機構として、電気モータ48への電力供給が停止されているときに、吸気リフトLiftinを所定値Liftin_refに保持するものを用いた例であるが、本発明のリフト保持機構はこれに限らず、可変リフト機構の電気モータへの電力供給が停止されているときに、吸気リフトを所定値に機械的に保持できるものであればよい。例えば、前述したリフト保持機構50において、コイルばね52,53に代えて、空気ばねなどの流体ばねや、ゴムなどの弾性体を用いてもよい。
【0075】
また、前述したリフト保持機構50に代えて、図13に示すリフト保持機構50Aを用いてもよい。なお、以下の説明では、リフト保持機構50と同じ構成に関しては、同じ符号を付すとともに、その説明は省略する。図13に示すように、このリフト保持機構50Aの場合、可変リフト機構40の電気モータ48への電力供給が停止されているときに、2つのコイルばね52,53の付勢力によって、リンク44aを最大リフト位置に保持するように構成されている。したがって、このリフト保持機構50Aを用いた場合、エンジン3の高負荷運転中、可変リフト機構40への電力供給を停止することができる。それによって、高負荷運転中、可変リフト機構40の発熱量および電力消費量をいずれも低減することができるとともに、可変リフト機構40がエンジン3の負荷となるのを回避できることで、エンジン3の出力を向上させることができる。なお、このリフト保持機構50Aを用いた場合、フューエルカット運転中は、スロットル弁機構13を制御することによって十分なエンジンブレーキ力を確保すればよい。
【0076】
さらに、実施形態は、可変リフト機構40を用いて、吸気リフトLiftinを所定範囲内で連続的に変更するように構成した例であるが、本発明の可変リフト機構はこれに限らず、電気モータを動力源とし、吸気リフトを所定範囲内で連続的に変更するものであればよい。例えば、可変リフト機構として、本出願人が特開2007−224777号公報で提案済みのものを用いてもよい。
【0077】
また、実施形態は、吸気通路弁として、スロットル弁13aを用いた例であるが、本発明の吸気通路弁はこれに限らず、吸気通路を開閉する電動式のものであればよい。
【産業上の利用可能性】
【0078】
本発明は、可変リフト機構およびリフト保持機構を備えた内燃機関を制御する制御装置に適用することができ、例えば、船舶用内燃機関や発電用内燃機関などを制御する制御装置にも適用することができる。
【符号の説明】
【0079】
1 制御装置
2 ECU(判定手段、制御手段)
3 内燃機関
4 吸気弁
12 吸気通路
13a スロットル弁(吸気通路弁)
40 可変リフト機構
48 電気モータ
50 リフト保持機構
50A リフト保持機構
Liftin 吸気リフト
Liftin_max 所定の最大値
Liftin_min 所定の最小値
Liftin_ref 所定値
TH スロットル弁開度(吸気通路弁の開度)
THmin 所定の最小開度
【技術分野】
【0001】
本発明は、吸気弁の開弁中の最大揚程が、可変リフト機構によって所定範囲内で連続的に変更される内燃機関の制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、内燃機関の制御装置として、特許文献1に記載されたものが知られている。この内燃機関は、可変リフト機構を備えており、この可変リフト機構は、複数のカムを切り換えることによって、吸気弁の開弁中の最大揚程である吸気リフトを複数段階に変更するものである(段落[0019])。
【0003】
この制御装置では、内燃機関の減速フューエルカット運転中であるか否かを判別し、減速フューエルカット運転中のときには、可変リフト機構を制御することによって、吸気リフトをその最小値まで強制的に減少させている(段落[0021],[0022]、図3のステップ1,2)。これは、気筒内の負圧が吸気系側に作用するのを抑制することによって、吸気系の圧力を検出する圧力センサの雰囲気を大気圧にするためである(段落[0026])。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平9−250373号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記従来の内燃機関の制御装置によれば、減速フューエルカット運転中、吸気リフトを最小値まで減少させるために、可変リフト機構を制御しているので、その間、可変リフト機構に電力を供給する必要があることで、可変リフト機構が発熱してしまうとともに、電力消費量が増大しまう。
【0006】
本発明は、上記課題を解決するためになされたもので、吸気弁の開弁中の最大揚程が可変リフト機構によって変更される場合において、フューエルカット運転中における可変リフト機構の発熱量および電力消費量をいずれも低減することができる内燃機関の制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、請求項1に係る発明は、吸気弁4の開弁中の最大揚程である吸気リフトLiftinが、電気モータ48を動力源とする可変リフト機構40によって、所定の最大値Liftin_maxおよび所定の最小値Liftin_minで規定される所定範囲内で連続的に変更可能に構成されているとともに、電気モータ48への電力供給が停止されているときに、吸気リフトLiftinが、リフト保持機構50,50Aによって所定範囲内の所定値(所定値Liftin_ref,所定の最大値Liftin_max)に機械的に保持される内燃機関3の制御装置1であって、内燃機関3への燃料の供給を停止するフューエルカット運転中であるか否かを判定する判定手段(ECU2、ステップ1)と、判定手段の判定結果に基づき、フューエルカット運転中であるとき(ステップ1の判別結果がYESのとき)には、電気モータ48への電力供給を停止する制御手段(ECU2、ステップ3)と、を備えることを特徴とする。
【0008】
この内燃機関の制御装置によれば、判定手段の判定結果に基づき、フューエルカット運転中であるときには、可変リフト機構の電気モータへの電力供給が停止され、それに伴い、吸気リフトが、リフト保持機構によって所定範囲内の所定値に機械的に保持される。このように、フューエルカット運転中、電力を電気モータに供給することなく、吸気リフトを所定値に機械的に保持することができるので、可変リフト機構を制御する従来の場合と比べて、フューエルカット運転中における可変リフト機構の発熱量および電力消費量をいずれも低減することができる。
【0009】
請求項2に係る発明は、請求項1に記載の内燃機関3の制御装置1において、所定値Liftin_refは、所定の最大値Liftin_maxおよび所定の最小値Liftin_minを除く所定範囲内の値であることを特徴とする。
【0010】
この内燃機関の制御装置によれば、フューエルカット運転中、吸気リフトが、所定の最大値および所定の最小値を除く所定範囲内の値に機械的に保持されるので、吸気リフトを所定の最小値に保持した場合と比べて、気筒内の負圧に起因するオイル上がりを抑制することができるとともに、内燃機関のクランクシャフトに作用する回転抵抗をより増大させることができる。それにより、内燃機関が車両の動力源であって、その減速走行中の場合には、吸気リフトを所定の最小値に保持した場合と比べて、より大きなエンジンブレーキ力を確保することができる。
【0011】
請求項3に係る発明は、請求項1に記載の内燃機関3の制御装置1において、所定値は、所定の最大値Liftin_maxであることを特徴とする。
【0012】
可変リフト機構付きの内燃機関の場合、高負荷運転中は、高出力を確保すべく、吸気リフトが所定範囲の所定の最大値になるように、可変リフト機構を制御するのが一般的である。これに対して、この内燃機関の制御装置によれば、電気モータへの電力供給が停止されている場合、リフト保持機構によって所定の最大値に機械的に保持されるので、内燃機関の高負荷運転中も、可変リフト機構の電気モータへの電力供給を停止することができる。それにより、高負荷運転中、可変リフト機構の発熱量および電力消費量をいずれも低減することができるとともに、可変リフト機構が内燃機関の負荷となるのを回避できることで、その分、内燃機関の出力を向上させることができる。
【0013】
請求項4に係る発明は、請求項1ないし3のいずれかに記載の内燃機関3の制御装置1において、内燃機関3は、動力源として車両に搭載されているとともに、吸気通路12を開閉する電動式の吸気通路弁(スロットル弁13a)を備えており、制御手段は、内燃機関3がフューエルカット運転中のときには、電気モータ48への電力停止に加えて、吸気通路弁を吸気通路弁の開度(スロットル弁開度TH)が所定の最小開度THminになるように制御する(ステップ1〜3)ことを特徴とする。
【0014】
この内燃機関の制御装置によれば、内燃機関は、動力源として車両に搭載され、吸気通路を開閉する電動式の吸気通路弁を備えているとともに、内燃機関がフューエルカット運転中のときには、電気モータへの電力停止に加えて、吸気通路弁がその開度が所定の最小開度になるように制御されるので、内燃機関がフューエルカット運転中で、かつ車両が減速走行中の場合には、十分なエンジンブレーキ力を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の一実施形態に係る制御装置を適用した内燃機関の概略構成を示す図である。
【図2】制御装置の概略構成を示す図である。
【図3】吸気側動弁機構の概略構成を示す図である。
【図4】可変リフト機構の概略構成を示す斜視図である。
【図5】可変リフト機構のリンク機構の概略構成を示す斜視図である。
【図6】可変リフト機構のリフトアクチュエータの概略構成を示す図であって、リフトアクチュエータが(a)最大リフト位置にある状態と(b)最小リフト位置にある状態をそれぞれ示す図である。
【図7】リフト保持機構の概略構成を示す模式図であって、コントロールシャフトが(a)デフォルト位置にある状態と(b)最大リフト位置にある状態と(c)最小リフト位置にある状態をそれぞれ示す図である。
【図8】可変リフト機構による吸気リフトの変更に伴うバルブリフト曲線の変化を示す図である。
【図9】可変カム位相機構の概略構成を示す模式図である。
【図10】可変カム位相機構によってカム位相が最遅角値(実線)および最進角値(2点鎖線)に設定されているときの吸気弁のバルブリフト曲線と、排気弁のバルブリフト曲線をそれぞれ示す図である。
【図11】吸入空気量制御処理を示すフローチャートである。
【図12】燃料噴射制御処理を示すフローチャートである。
【図13】リフト保持機構の変形例の概略構成を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照しながら、本発明の一実施形態に係る内燃機関の制御装置について説明する。この制御装置1は、図2に示すように、ECU2を備えており、このECU2は、後述するように、内燃機関(以下「エンジン」という)3の運転状態に応じて、吸入空気量制御処理および燃料噴射制御処理を含む各種の制御処理を実行する。
【0017】
図1に示すように、エンジン3は、4組の気筒3aおよびピストン3b(1組のみ図示)を有する直列4気筒ガソリンエンジンであり、図示しない車両に搭載されている。
【0018】
エンジン3は、気筒3a毎に設けられた一対の吸気弁4,4(図5参照)および一対の排気弁7,7(1つのみ図示)と、吸気カムシャフト5および吸気カム6を有するとともに各吸気弁4を開閉駆動する吸気側動弁機構30と、排気カムシャフト8および排気カム9を有するとともに各排気弁7を開閉駆動する排気側動弁機構70と、燃料噴射弁10(図2参照)と、点火プラグ11(図2参照)などを備えている。
【0019】
吸気カムシャフト5および排気カムシャフト8はそれぞれ、図示しないホルダを介して、シリンダヘッド3cに回動自在に取り付けられているとともに、気筒3aの配列方向に沿って延びている。この吸気カムシャフト5の一端部上には、吸気スプロケット(図示せず)が同軸に配置され、回転自在に設けられている。この吸気スプロケットは、図示しないタイミングチェーンを介してクランクシャフト3dに連結され、後述する可変カム位相機構60を介して吸気カムシャフト5に連結されている。以上の構成により、吸気カムシャフト5は、クランクシャフト3dが2回転する毎に1回転する。また、吸気カム6は、吸気カムシャフト5上にこれと一体に回転するように設けられている。
【0020】
さらに、吸気側動弁機構30は、クランクシャフト3dの回転に伴う吸気カムシャフト5の回転によって、各気筒3aの吸気弁4を、リターンスプリング4aの付勢力に抗しながら開閉駆動するものであり、後述するように、吸気弁4の開弁中の最大揚程である吸気リフトを無段階に変更するとともに、吸気弁4のバルブタイミングを無段階に変更する可変式の動弁機構で構成されている。
【0021】
一方、排気カムシャフト8の一端部上には、排気スプロケット(図示せず)が同軸に配置され、回転自在に設けられている。この排気スプロケットは、図示しないタイミングチェーンを介してクランクシャフト3dに連結されている。以上の構成により、排気カムシャフト8は、クランクシャフト3dが2回転する毎に1回転する。さらに、排気カム9は、排気カムシャフト8上にこれと一体に回転するように気筒3a毎に設けられている。
【0022】
さらに、排気側動弁機構70は、クランクシャフト3dの回転に伴う排気カムシャフト8の回転によって、各気筒3aの排気弁7を、リターンスプリング7aの付勢力に抗しながら開閉駆動する。排気行程中、排気弁7が開弁することによって、燃焼ガスが気筒3a内から排気通路14に排出される。
【0023】
一方、燃料噴射弁10は、気筒3a毎に設けられ、燃料を気筒3a内に直接噴射するようにシリンダヘッド3cに取り付けられている。すなわち、エンジン3は直噴エンジンとして構成されている。また、燃料噴射弁10は、ECU2に電気的に接続されており、ECU2により、後述する燃料噴射量TOUTに基づいて、開弁時間および開弁タイミングが制御される。すなわち燃料噴射時間および噴射タイミングが制御される。
【0024】
また、点火プラグ11も、気筒3a毎に設けられ、シリンダヘッド3cに取り付けられている。点火プラグ11は、ECU2に電気的に接続されており、ECU2により、点火時期に応じたタイミングで気筒内の混合気を燃焼させるように、放電状態が制御される。
【0025】
さらに、エンジン3には、クランク角センサ20が設けられている。このクランク角センサ20は、マグネットロータおよびMREピックアップで構成されており、クランクシャフト3dの回転に伴い、いずれもパルス信号であるCRK信号およびTDC信号をECU2に出力する。
【0026】
このCRK信号は、所定クランク角(例えば1゜)毎に1パルスが出力され、ECU2は、このCRK信号に基づき、エンジン3の回転数(以下「エンジン回転数」という)NEを算出する。また、TDC信号は、各気筒3aのピストン3bが吸気行程のTDC位置よりも若干、手前の所定のクランク角位置にあることを表す信号であり、所定クランク角毎に1パルスが出力される。
【0027】
一方、エンジン3の吸気通路12には、スロットル弁機構13が設けられており、このスロットル弁機構13は、スロットル弁13aおよびこれを開閉駆動するTHアクチュエータ13bなどを備えている。スロットル弁13aは、吸気通路12の途中に回動自在に設けられており、回動に伴う開度の変化により吸気通路12内の新気流量を変化させる。THアクチュエータ13bは、ECU2に接続されたモータにギヤ機構(いずれも図示せず)を組み合わせたものであり、ECU2からの後述するTH制御入力U_THによって駆動されることで、スロットル弁13aの開度を変化させる。なお、本実施形態では、スロットル弁13aが吸気通路弁に相当し、スロットル弁開度THが吸気通路弁の開度に相当する。
【0028】
次に、図3を参照しながら、前述した吸気側動弁機構30について説明する。この吸気側動弁機構30は、同図に示すように、吸気カムシャフト5、吸気カム6、可変リフト機構40、リフト保持機構50(図7参照)および可変カム位相機構60などを備えている。
【0029】
この可変リフト機構40は、クランクシャフト3dの回転に伴う吸気カムシャフト5の回転によって吸気弁4を開閉駆動するとともに、吸気リフトLiftinを図8に示す最小値Liftin_minと最大値Liftin_maxとの間で無段階に変更するものである。可変リフト機構40は、図4,5に示すように、コントロールシャフト41およびロッカアームシャフト42と、これらのシャフト41,42上に気筒3a毎に設けられたロッカアーム機構43と、これらのロッカアーム機構43を同時に駆動するリフトアクチュエータ47(図6参照)などを備えている。
【0030】
コントロールシャフト41は、回動軸部41a、ホルダ部41bおよび偏心軸部41cを一体に組み立てたものであり、吸気カムシャフト5に沿って延び、回動軸部41aがシリンダヘッド3cのホルダ(図示せず)によって回動自在に保持されているとともに、その一端部がリフトアクチュエータ47に連結されている。
【0031】
一方、各ロッカアーム機構43は、上下のロッカアーム44,45を組み合わせたものであり、この上ロッカアーム44は、一対のリンク44a,44a、ローラ軸44b、ローラ44cおよび一対のコイルばね44d,44dを備えている。ローラ軸44bは、その両端部がリンク44a,44aの一端部にそれぞれ取り付けられているとともに、リンク44a,44aにより回転自在に支持されている。また、ローラ44cは、このローラ軸44b上に回転自在に設けられている。
【0032】
また、各リンク44aの他端部は、コントロールシャフト41の偏心軸部41cに回動自在に取り付けられているとともに、コイルばね44dを介してホルダ部41bに連結されている。リンク44aでは、このコイルばね44dの付勢力により、ローラ44cが吸気カム6のカム面に当接するとともに、ローラ44cが吸気カム6のカム面のベース円部に当接しているときには、ローラ軸44bは、その軸心が回動軸部41aの軸線上に位置するような原点位置(図3に示す位置)に保持される。
【0033】
一方、下ロッカアーム45は、その一端部がロッカアームシャフト42に回動自在に支持され、他端部にはアジャストボルト45a,45aが取り付けられており、これらのアジャストボルト45a,45aを介して、各吸気弁4の上端に当接している。
【0034】
また、下ロッカアーム45は、上方に突出する一対の案内部45b,45bを備えている。各案内部45bは、その上面が上ロッカアーム44のローラ軸44bを案内する案内面45cになっており、リターンスプリング4aの付勢力により、この案内面45cを介してローラ軸44bに当接している。この案内面45cは、下方に凸の円弧形状を有している。また、案内部45bとローラ軸44bが互いに当接している状態では、ローラ44cは、案内部45b,45b間に位置するとともに、下ロッカアーム45に当接することなく、吸気カム6のみに当接する。
【0035】
一方、図6に示すように、前述したリフトアクチュエータ47は、電気モータ48および減速ギヤ機構49を備えている。電気モータ48は、ECU2に電気的に接続されており(図2参照)、ECU2からの後述するリフト制御入力U_Liftinによって駆動されると、回転軸48aを正転/逆転させる。
【0036】
また、減速ギヤ機構49は、ウォーム49aと、セクタギヤタイプのウォームホイール49bとを組み合わせたものであり、ウォーム49aは、電気モータ48の回転軸48a上に同心に固定されている。これにより、ウォーム49aは、回転軸48aと一体に回転する。
【0037】
一方、ウォームホイール49bは、その回転中心がコントロールシャフト41の回転中心と一致するように、コントロールシャフト41の一端部にボルト止めされている。また、ウォーム49aおよびウォームホイール49bは、互いに噛みあう状態で、両者の回転中心が互いに直交するように配置されているとともに、ウォーム49aの進み角が摩擦角よりも大きくなるように設定されている。それにより、この減速ギヤ機構49では、ウォーム49aの回転に伴って、ウォームホイール49bが回転するとともに、ウォームホイール49bの回転に伴って、ウォーム49aが回転する。
【0038】
以上のリフトアクチュエータ47では、ECU2によって電気モータ48が駆動されると、コントロールシャフト41を、リフト保持機構50の後述するコイルばね52,53の付勢力に抗しながら回動させる。その際、ウォームホイール49bが図示しないストッパに当接することによって、コントロールシャフト41の回動角の範囲は、図6(a)に示す最大リフト位置と図6(b)に示す最小リフト位置との間に規制される。それにより、リンク44aの回動範囲も、例えばローラ軸44bが前述した原点位置にある場合、図6(a)に示す最大リフト位置(図3に2点鎖線で示す位置)と図6(b)に示す最小リフト位置(図3に実線で示す位置)との間に規制される。
【0039】
また、図7に示すように、前述したリフト保持機構50は、アーム51および2つのコイルばね52,53を備えている。このアーム51は、その基端部がコントロールシャフト41に固定されており、それにより、コントロールシャフト41と一体に回転するように構成されている。
【0040】
また、コイルばね52は、その両端部がアーム51の先端部およびシリンダヘッド3cの取付部54にそれぞれ固定されており、アーム51と取付部54との間に圧縮状態で設けられている。さらに、コイルばね53は、その両端部がアーム51の先端部およびシリンダヘッド3cの取付部55にそれぞれ固定されており、アーム51と取付部55との間に圧縮状態で設けられている。
【0041】
このリフト保持機構50は、リフトアクチュエータ47の電気モータ48への電力供給が停止されている場合、すなわち後述するリフト制御入力U_LiftinがECU2から入力されていない場合、コイルばね52,53の付勢力によって、コントロールシャフト41を図7(a)に示すデフォルト位置に保持する。
【0042】
次に、以上のように構成された可変リフト機構40およびリフト保持機構50の動作について説明する。まず、ECU2からのリフト制御入力U_Liftinが、リフトアクチュエータ47の電気モータ48に入力されると、電気モータ48は、コイルばね52,53の付勢力に抗しながら、コントロールシャフト41すなわちリンク44aを、図7(b)に示す最大リフト位置と図7(c)に示す最小リフト位置との間の、リフト制御入力U_Liftinに対応する位置まで駆動した後、その位置に保持する。
【0043】
例えば、リンク44aが最小リフト位置(図3に実線で示す位置)に保持されている場合、吸気カム6が回転すると、リンク44aは偏心軸部41cを中心として、図3の時計回りに回動し、下ロッカアーム45を下方に押し下げる。それにより、下ロッカアーム45は、リターンスプリング4aの付勢力に抗しながら、図3に示す閉弁位置から下方に回動し、吸気弁4を開放する。その際、吸気弁4は、図8に1点鎖線で示すバルブリフト曲線に従って開弁し、吸気リフトLiftinは、その最小値Liftin_minを示す。
【0044】
一方、リンク44aが最小リフト位置よりも最大リフト位置に近い位置に保持されている状態では、吸気カム6の回転により、リンク44aが偏心軸部41cを中心として図3の時計回りに回動すると、下ロッカアーム45は、リターンスプリング4aの付勢力に抗しながら、図3に示す最小リフト位置から下方に回動し、吸気弁4を開放する。その際、下ロッカアーム45の回動量すなわち吸気リフトLiftinは、リンク44aが最大リフト位置に近い位置にあるほど、より大きくなる。
【0045】
以上の理由により、吸気弁4は、リンク44aが最大リフト位置に近い位置にあるほど、より大きなリフトで開弁する。具体的には、吸気カム6の回転中、吸気弁4は、リンク44aが最大リフト位置にあるときには、図8に実線で示すバルブリフト曲線に従って開弁し、吸気リフトLiftinは、その最大値Liftin_maxを示す。以上のように、この可変リフト機構40では、リフトアクチュエータ47を介して、リンク44aを最小リフト位置と最大リフト位置との間で回動させることにより、吸気リフトLiftinを、最小値Liftin_minおよび最大値Liftin_maxで規定される範囲内で無段階に変化させることができる。
【0046】
また、リンク44aが図7(b)に示す最大リフト位置にある場合において、リフトアクチュエータ47の電気モータ48への電力供給が停止されたとき、すなわちECU2からのリフト制御入力U_Liftinが電気モータ48に入力されなくなったときには、リフト保持機構50のコイルばね52,53の付勢力によって、コントロールシャフト41すなわちリンク44aは、図7(b)に示す最大リフト位置から図7(a)に示すデフォルト位置に駆動され、このデフォルト位置に保持される。これと同様に、リンク44aが図7(c)に示す最小リフト位置にある場合において、リフトアクチュエータ47の電気モータ48への電力供給が停止されたときには、リフト保持機構50のコイルばね52,53の付勢力によって、リンク44aは、図7(c)に示す最小リフト位置から図7(a)に示すデフォルト位置に駆動され、このデフォルト位置に保持される。
【0047】
このように、リンク44aがデフォルト位置に保持されている状態で、吸気カム6が回転した場合、吸気弁4は、図8に破線で示すバルブリフト曲線に従って開弁し、吸気リフトLiftinは、所定値Liftin_refとなる。この所定値Liftin_refは、Liftin_min<Liftin_ref<Liftin_maxが成立するように設定されているとともに、車両が減速走行中で、内燃機関のフューエルカット運転中の場合において、吸気リフトLiftinを最小値Liftin_minに保持したときと比べて、気筒3a内の負圧に起因するオイル上がりを抑制することができるとともに、エンジン3のクランクシャフト3dに作用する回転抵抗をより増大させることができるような値に設定されている。
【0048】
また、可変リフト機構40には、回動角センサ21が設けられており(図2参照)、この回動角センサ21は、コントロールシャフト41の回動角を検出して、それを表す検出信号をECU2に出力する。ECU2は、この回動角センサ21の検出信号に基づき、吸気リフトLiftinを算出する。
【0049】
次に、図9を参照しながら、可変カム位相機構60について説明する。この可変カム位相機構60は、吸気カムシャフト5のクランクシャフト3dに対する相対的な位相(以下「カム位相」という)Cainを無段階に進角側または遅角側に変更するものであり、吸気カムシャフト5の吸気スプロケット側の端部に設けられている。図9に示すように、可変カム位相機構60は、ハウジング61、3枚羽根式のベーン62、油圧ポンプ63およびカム位相電磁弁64などを備えている。
【0050】
このハウジング61は、吸気カムシャフト5上の吸気スプロケットと一体に構成されており、互いに等間隔に形成された3つの隔壁61aを備えている。ベーン62は、吸気カムシャフト5の吸気スプロケット側の端部に同軸に取り付けられ、吸気カムシャフト5から外方に放射状に延びているとともに、ハウジング61内に回転可能に収容されている。また、ハウジング61では、隔壁61aとベーン62との間に、3つの進角室65および3つの遅角室66が形成されている。
【0051】
油圧ポンプ63は、クランクシャフト3dに連結された機械式のものであり、クランクシャフト3dが回転すると、それに伴って、エンジン3のオイルパン3eに蓄えられた潤滑用のオイルを、油路67cを介して吸い込むとともに、これを昇圧した状態で、油路67cを介してカム位相電磁弁64に供給する。
【0052】
カム位相電磁弁64は、スプール弁機構64aおよびソレノイド64bを組み合わせたものであり、進角油路67aおよび遅角油路67bを介して、進角室65および遅角室66にそれぞれ接続されているとともに、油圧ポンプ63から供給された油圧Poilを、進角油圧Padおよび遅角油圧Prtとして、進角室65および遅角室66にそれぞれ出力する。カム位相電磁弁64のソレノイド64bは、ECU2に電気的に接続されており、ECU2からの後述する位相制御入力U_Cainによって駆動されると、スプール弁機構64aのスプール弁体を所定の移動範囲内で移動させることで、進角油圧Padおよび遅角油圧Prtをいずれも変化させる。
【0053】
以上の可変カム位相機構60では、油圧ポンプ63の動作中、カム位相電磁弁64がECU2からの位相制御入力U_Cainに応じて作動することにより、進角油圧Padが進角室65に、遅角油圧Prtが遅角室66にそれぞれ供給され、それにより、ベーン62とハウジング61との間の相対的な位相が進角側または遅角側に変更される。その結果、前述したカム位相Cainが、所定の最遅角値と所定の最進角値との間で連続的に変化し、それにより、吸気弁4のバルブタイミングは、図10に実線で示す最遅角タイミングと、図10に2点鎖線で示す最進角タイミングとの間で無段階に変更される。
【0054】
同図に示すように、吸気弁4のバルブタイミングが最遅角タイミングに設定されている場合、吸気弁4の開弁タイミングは、排気弁7の閉弁タイミングよりも遅くかつ吸気行程のTDC位置よりも遅いタイミングとなる。それにより、吸気弁4と排気弁7のバルブオーバーラップが存在しない状態となる。
【0055】
一方、吸気カムシャフト5の可変カム位相機構60と反対側の端部には、カム角センサ22(図2参照)が設けられている。このカム角センサ22は、例えばマグネットロータおよびMREピックアップで構成されており、吸気カムシャフト5の回転に伴い、パルス信号であるCAM信号を所定のカム角(例えば1゜)ごとにECU2に出力する。ECU2は、このCAM信号および前述したCRK信号に基づき、カム位相Cainを算出する。
【0056】
以上のように、このエンジン3では、可変リフト機構40によって、吸気リフトLiftinを所定範囲内で無段階に変更できるとともに、可変カム位相機構60によって、吸気弁4のバルブタイミングを所定範囲内で無段階に変更できるように構成されている。
【0057】
さらに、ECU2には、アクセル開度センサ23およびスロットル弁開度センサ24が接続されている。このアクセル開度センサ23は、図示しないアクセルペダルの操作量であるアクセル開度APを検出して、それを表す検出信号をECU2に出力する。また、スロットル弁開度センサ24は、ポテンショメータで構成され、スロットル弁13aの開度(以下「スロットル弁開度」という)THを検出して、それを表す検出信号をECU2に出力する。
【0058】
一方、ECU2は、CPU、RAM、ROMおよびI/Oインターフェース(いずれも図示せず)などからなるマイクロコンピュータで構成されており、前述した各種のセンサ20〜24の検出信号などに応じて、エンジン3の運転状態を判別し、吸入空気量制御処理および燃料噴射制御処理などの各種の制御処理を実行する。なお、本実施形態では、ECU2が判定手段および制御手段に相当する。
【0059】
次に、図11を参照しながら、上述した吸入空気量制御処理について説明する。この制御処理は、以下に述べるように、3つの制御入力U_TH,U_Liftin,U_Cainを算出するものであり、所定の制御周期(例えば10msec)で実行される。この処理では、まず、ステップ1(図では「S1」と略す。以下同じ)で、フューエルカット運転フラグF_FCが「1」であるか否かを判別する。
【0060】
このフューエルカット運転フラグF_FCは、以下のフューエルカット運転の実行条件(f1),(f2)がいずれも成立しているときには「1」に、不成立のときには「0」にそれぞれ設定される。
(f1)エンジン回転数NEが所定のフューエルカット回転数(例えば800rpm)以上であること。
(f2)アクセル開度APが所定開度(例えば値0)以下であること。
【0061】
ステップ1の判別結果がYESのときには、フューエルカット運転用の吸入空気量制御処理を実行すべきであると判定して、ステップ2に進み、TH制御入力U_THを所定のフューエルカット運転用値U_THFCに設定する。そして、このTH制御入力U_THがTHアクチュエータ13bに供給されることによって、スロットル弁開度THは全閉に近い所定の最小開度THminに制御される。その結果、吸気通路12内が負圧状態となる。なお、この所定の最小開度THminは、減速走行中でフューエルカット運転中のときに、十分なエンジンブレーキが得られるような値に設定されている。
【0062】
次いで、ステップ3で、リフト制御入力U_Liftinを値0に設定する。このようにリフト制御入力U_Liftinを値0に設定されると、リフトアクチュエータ47の電気モータ48への電力供給が停止される。それにより、リフト保持機構50によって、吸気リフトLiftinが前述した所定値Liftin_refに保持される。
【0063】
次に、ステップ4に進み、位相制御入力U_Cainを所定のフューエルカット運転用値U_CainFCに設定した後、本処理を終了する。そして、この位相制御入力U_Cainが可変カム位相機構60のカム位相電磁弁64に供給されることによって、カム位相Cainが最遅角値に制御される。その結果、吸気弁4のバルブタイミングが前述した最遅角タイミングに制御される。
【0064】
一方、ステップ1の判別結果がNOのときには、通常運転用の吸入空気量制御処理を実行すべきであると判定して、ステップ5に進み、通常運転用のスロットル弁開度制御処理を実行する。この処理では、エンジン回転数NEおよびアクセル開度APなどの運転状態パラメータに応じて、目標スロットル弁開度THcmdを算出し、所定のフィードバック制御アルゴリズムによって、スロットル弁開度THと目標スロットル弁開度THcmdとの偏差が値0に収束するように、TH制御入力U_THが算出される。そして、このTH制御入力U_THがTHアクチュエータ13bに供給されることで、スロットル弁開度THが、目標スロットル弁開度THcmdに収束するようにフィードバック制御される。
【0065】
次いで、ステップ6に進み、通常運転用の吸気リフト制御処理を実行する。この処理では、エンジン回転数NEおよびアクセル開度APなどの運転状態パラメータに応じて、目標吸気リフトLiftin_cmdを算出し、所定のフィードバック制御アルゴリズムによって、吸気リフトLiftinと目標吸気リフトLiftin_cmdとの偏差が値0に収束するように、リフト制御入力U_Liftinが算出される。そして、このリフト制御入力U_Liftinがリフトアクチュエータ47の電気モータ48に供給されることによって、吸気リフトLiftinが、目標吸気リフトLiftin_cmdに収束するようにフィードバック制御される。
【0066】
次に、ステップ7で、通常運転用の吸気リフト制御処理を実行する。この処理では、エンジン回転数NEおよびアクセル開度APなどの運転状態パラメータに応じて、目標カム位相Cain_cmdを算出し、所定のフィードバック制御アルゴリズムによって、カム位相Cainと目標カム位相Cain_cmdとの偏差が値0に収束するように、位相制御入力U_Cainが算出される。そして、この位相制御入力U_Cainが、可変カム位相機構60のカム位相電磁弁64に供給されることによって、カム位相Cainが、目標カム位相Cain_cmdに収束するようにフィードバック制御される。以上のように、ステップ7を実行した後、本処理を終了する。
【0067】
この吸入空気量制御処理では、以上のように、スロットル弁開度TH、吸気リフトLiftinおよびカム位相Cainがそれぞれ制御され、それによって、吸入空気量が制御される。
【0068】
次に、図12を参照しながら、前述した燃料噴射制御処理について説明する。この制御処理は、以下に述べるように、燃料噴射弁10の燃料噴射量およびその噴射タイミングを算出するものであり、TDC信号の発生に同期する制御周期で実行される。
【0069】
この制御処理では、まず、ステップ10で、前述したフューエルカット運転フラグF_F_FCが「1」であるか否かを判別する。この判別結果がYESのときには、フューエルカット運転用の燃料噴射制御処理を実行すべきであると判定して、ステップ11に進み、燃料噴射量TOUTを値0に設定した後、本処理を終了する。このように燃料噴射量TOUTが値0に設定されると、燃料噴射弁10による気筒3a内への燃料噴射が停止される。
【0070】
一方、ステップ10の判別結果がNOのときには、通常運転用の燃料噴射制御処理を実行すべきであると判定して、ステップ12に進み、通常運転用の燃料噴射制御処理を実行する。この通常運転用の燃料噴射制御処理では、エンジン回転数NEおよびアクセル開度APなどの運転状態パラメータに応じて、燃料噴射量TOUTを算出するとともに、この燃料噴射量TOUTとエンジン回転数NEに応じて、燃料噴射タイミングが算出される。このように燃料噴射量TOUTおよび燃料噴射タイミングが算出されると、これらに基づいて、燃料噴射弁10から燃料が気筒3a内に噴射される。以上のようにステップ12を実行した後、本処理を終了する。
【0071】
以上のように、本実施形態の制御装置1によれば、フューエルカット運転中、可変リフト機構40の電気モータ48への電力供給が停止されるとともに、吸気リフトLiftinが、リフト保持機構50によって所定値Liftin_refに機械的に保持されるので、可変リフト機構を制御する従来の場合と比べて、フューエルカット運転中における可変リフト機構40の発熱量および電力消費量をいずれも低減することができる。
【0072】
また、この所定値Liftin_refは、Liftin_min<Liftin_ref<Liftin_maxが成立する値に設定されているので、吸気リフトLiftinを最小値Liftin_minに保持した場合と比べて、気筒3a内の負圧に起因するオイル上がりを抑制することができるとともに、エンジン3のクランクシャフト3dに作用する回転抵抗をより増大させることができる。それにより、車両が減速走行中の場合には、吸気リフトLiftinを最小値Liftin_minに保持した場合と比べて、より大きなエンジンブレーキ力を確保することができる。
【0073】
さらに、フューエルカット運転中、スロットル弁開度THが所定の最小開度THminになるように制御されるので、エンジン3がフューエルカット運転中で、かつ車両が減速走行中の場合には、十分なエンジンブレーキ力を確保することができる。
【0074】
なお、実施形態は、リフト保持機構として、電気モータ48への電力供給が停止されているときに、吸気リフトLiftinを所定値Liftin_refに保持するものを用いた例であるが、本発明のリフト保持機構はこれに限らず、可変リフト機構の電気モータへの電力供給が停止されているときに、吸気リフトを所定値に機械的に保持できるものであればよい。例えば、前述したリフト保持機構50において、コイルばね52,53に代えて、空気ばねなどの流体ばねや、ゴムなどの弾性体を用いてもよい。
【0075】
また、前述したリフト保持機構50に代えて、図13に示すリフト保持機構50Aを用いてもよい。なお、以下の説明では、リフト保持機構50と同じ構成に関しては、同じ符号を付すとともに、その説明は省略する。図13に示すように、このリフト保持機構50Aの場合、可変リフト機構40の電気モータ48への電力供給が停止されているときに、2つのコイルばね52,53の付勢力によって、リンク44aを最大リフト位置に保持するように構成されている。したがって、このリフト保持機構50Aを用いた場合、エンジン3の高負荷運転中、可変リフト機構40への電力供給を停止することができる。それによって、高負荷運転中、可変リフト機構40の発熱量および電力消費量をいずれも低減することができるとともに、可変リフト機構40がエンジン3の負荷となるのを回避できることで、エンジン3の出力を向上させることができる。なお、このリフト保持機構50Aを用いた場合、フューエルカット運転中は、スロットル弁機構13を制御することによって十分なエンジンブレーキ力を確保すればよい。
【0076】
さらに、実施形態は、可変リフト機構40を用いて、吸気リフトLiftinを所定範囲内で連続的に変更するように構成した例であるが、本発明の可変リフト機構はこれに限らず、電気モータを動力源とし、吸気リフトを所定範囲内で連続的に変更するものであればよい。例えば、可変リフト機構として、本出願人が特開2007−224777号公報で提案済みのものを用いてもよい。
【0077】
また、実施形態は、吸気通路弁として、スロットル弁13aを用いた例であるが、本発明の吸気通路弁はこれに限らず、吸気通路を開閉する電動式のものであればよい。
【産業上の利用可能性】
【0078】
本発明は、可変リフト機構およびリフト保持機構を備えた内燃機関を制御する制御装置に適用することができ、例えば、船舶用内燃機関や発電用内燃機関などを制御する制御装置にも適用することができる。
【符号の説明】
【0079】
1 制御装置
2 ECU(判定手段、制御手段)
3 内燃機関
4 吸気弁
12 吸気通路
13a スロットル弁(吸気通路弁)
40 可変リフト機構
48 電気モータ
50 リフト保持機構
50A リフト保持機構
Liftin 吸気リフト
Liftin_max 所定の最大値
Liftin_min 所定の最小値
Liftin_ref 所定値
TH スロットル弁開度(吸気通路弁の開度)
THmin 所定の最小開度
【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸気弁の開弁中の最大揚程である吸気リフトが、電気モータを動力源とする可変リフト機構によって、所定の最大値および所定の最小値で規定される所定範囲内で連続的に変更可能に構成されているとともに、前記電気モータへの電力供給が停止されているときに、前記吸気リフトが、リフト保持機構によって前記所定範囲内の所定値に機械的に保持される内燃機関の制御装置であって、
当該内燃機関への燃料の供給を停止するフューエルカット運転中であるか否かを判定する判定手段と、
当該判定手段の判定結果に基づき、フューエルカット運転中であるときには、前記電気モータへの電力供給を停止する制御手段と、
を備えることを特徴とする内燃機関の制御装置。
【請求項2】
前記所定値は、前記所定の最大値および前記所定の最小値を除く前記所定範囲内の値であることを特徴とする請求項1に記載の内燃機関の制御装置。
【請求項3】
前記所定値は、前記所定の最大値であることを特徴とする請求項1に記載の内燃機関の制御装置。
【請求項4】
前記内燃機関は、動力源として車両に搭載されているとともに、吸気通路を開閉する電動式の吸気通路弁を備えており、
前記制御手段は、前記内燃機関が前記フューエルカット運転中のときには、前記電気モータへの電力停止に加えて、前記吸気通路弁を当該吸気通路弁の開度が所定の最小開度になるように制御することを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の内燃機関の制御装置。
【請求項1】
吸気弁の開弁中の最大揚程である吸気リフトが、電気モータを動力源とする可変リフト機構によって、所定の最大値および所定の最小値で規定される所定範囲内で連続的に変更可能に構成されているとともに、前記電気モータへの電力供給が停止されているときに、前記吸気リフトが、リフト保持機構によって前記所定範囲内の所定値に機械的に保持される内燃機関の制御装置であって、
当該内燃機関への燃料の供給を停止するフューエルカット運転中であるか否かを判定する判定手段と、
当該判定手段の判定結果に基づき、フューエルカット運転中であるときには、前記電気モータへの電力供給を停止する制御手段と、
を備えることを特徴とする内燃機関の制御装置。
【請求項2】
前記所定値は、前記所定の最大値および前記所定の最小値を除く前記所定範囲内の値であることを特徴とする請求項1に記載の内燃機関の制御装置。
【請求項3】
前記所定値は、前記所定の最大値であることを特徴とする請求項1に記載の内燃機関の制御装置。
【請求項4】
前記内燃機関は、動力源として車両に搭載されているとともに、吸気通路を開閉する電動式の吸気通路弁を備えており、
前記制御手段は、前記内燃機関が前記フューエルカット運転中のときには、前記電気モータへの電力停止に加えて、前記吸気通路弁を当該吸気通路弁の開度が所定の最小開度になるように制御することを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の内燃機関の制御装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2010−159692(P2010−159692A)
【公開日】平成22年7月22日(2010.7.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−2423(P2009−2423)
【出願日】平成21年1月8日(2009.1.8)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年7月22日(2010.7.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年1月8日(2009.1.8)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]