説明

内燃機関の制御装置

【課題】この発明は、内燃機関の制御装置に関し、EGR弁の開閉に伴ってメイン触媒に流入する排気ガスの空燃比に段差が生ずるのを良好に防止することを目的とする。
【解決手段】EGR通路42にEGR触媒44を備える内燃機関10において、EGR弁48の開き時とEGR弁48の閉じ時とで、空燃比学習値を別々に設け、EGR制御の実行状態に合わせて学習を実行するようにする。より具体的には、前回のEGR弁48の開き時に算出して記憶された空燃比学習値をその次回のEGR弁48の開き時に使用するようにし、一方、前回のEGR弁48の閉じ時に算出して記憶された空燃比学習値をその次回のEGR弁48の閉じ時に使用するようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、内燃機関の制御装置に係り、特に、EGR通路にEGR触媒を備える内燃機関の制御を行うのに好適な内燃機関の制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば特許文献1には、排気通路と吸気通路とを接続するEGR通路にEGR触媒を備える内燃機関の制御装置が開示されている。この従来の内燃機関は、EGR通路におけるEGR触媒の下流に配置された空燃比センサの出力信号に基づいて、空燃比を理論空燃比近傍にフィードバック制御するようにしている。
【0003】
また、例えば特許文献2には、EGR実行時に、メイン触媒(第1触媒装置)の上流に配置された空燃比センサ(LAFセンサ)の出力に基づく燃料噴射量のフィードバック補正係数と、EGR補正係数とに基づいて、燃料噴射量を補正する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実開平2−1439号公報
【特許文献2】特開平10−153112号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、排気ガスには、排気ブローダウン時の圧力波の影響により圧力の脈動が生じる。その結果、EGR弁が閉じている場合にも、排気通路とEGR通路との間で排気ガスの流入と流出とが繰り返される。このため、筒内から排出された排気ガスの一部は、EGR触媒によって浄化されたうえでメイン触媒に流入するようになる。従って、メイン触媒に流入する排気ガスの空燃比は、EGR弁の開き時と閉じ時とで異なるものとなる。
【0006】
しかしながら、上記特許文献2に記載されているように、従来においてEGR制御の存在を考慮した空燃比のフィードバック制御は、EGR弁の開き時(EGR実行時)にはEGR補正係数を考慮した燃料噴射量の補正を実行し、EGR弁の閉じ時(EGRカット時)には、上記EGR補正係数を用いない燃料噴射量の補正を実行するというものに過ぎない。そして、このような従来の空燃比制御では、EGR弁の閉じ時には筒内から排出される排気ガスの一部がEGR触媒によって浄化されたうえでメイン触媒に流入する点について着目されていない。このため、上記従来の空燃比制御では、EGR弁の開閉がなされる際に、メイン触媒に流入する排気ガスの空燃比に段差が生じ、排気エミッションが悪化するおそれがある。
【0007】
この発明は、上述のような課題を解決するためになされたもので、EGR弁の開閉に伴ってメイン触媒に流入する排気ガスの空燃比に段差が生ずるのを良好に防止し得る内燃機関の制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1の発明は、内燃機関の制御装置であって、
内燃機関の排気通路と吸気通路とを接続するEGR通路と、
前記EGR通路を開閉するEGR弁と、
前記EGR通路の排気側接続口よりも下流側の前記排気通路に配置され、排気ガスを浄化可能なメイン触媒と、
前記排気側接続口よりも下流側であって前記メイン触媒よりも上流側の前記排気通路に配置され、排気ガスの空燃比を検出する空燃比センサと、
前記EGR通路に配置され、排気ガスを浄化可能なEGR触媒と、
前記EGR弁の開き時に、前記空燃比センサにより検出される前記メイン触媒の上流の排気ガスのセンサ空燃比が制御目標空燃比となるように燃料噴射量を補正するEGR弁開時空燃比制御手段と、
前記EGR弁の閉じ時に、前記空燃比センサにより検出される前記メイン触媒の上流の排気ガスのセンサ空燃比が制御目標空燃比となるように燃料噴射量を補正するEGR弁閉時空燃比制御手段と、
前記制御目標空燃比に対する前記センサ空燃比の偏差に基づいて、燃料噴射量を補正するための空燃比学習値を算出して記憶する学習値取得手段と、
前記EGR弁の開き時に記憶された前記空燃比学習値を前記EGR弁開時空燃比制御手段による排気ガスの空燃比の制御に反映させるEGR弁開時学習反映手段と、
前記EGR弁の閉じ時に記憶された前記空燃比学習値を前記EGR閉時空燃比制御手段による排気ガスの空燃比の制御に反映させるEGR弁閉時学習反映手段と、
を備えることを特徴とする。
【0009】
また、第2の発明は、第1の発明において、
前記EGR触媒を通過した排気ガスの空燃比を検出するEGR通路空燃比検出手段と、
前記EGR触媒が酸素過剰状態であるか酸素不足状態であるかを判定するEGR触媒酸素状態判定手段と、を更に備え、
前記EGR閉時空燃比制御手段は、前記EGR弁の閉じ時であって、前記EGR触媒が前記酸素過剰状態である場合には、前記EGR通路空燃比検出手段により検出される前記EGR通路の空燃比に基づく燃料噴射量のEGR補正項を用いずに燃料噴射量を補正することを特徴とする。
【0010】
また、第3の発明は、第1または第2の発明において、
前記EGR触媒を通過した排気ガスの空燃比を検出するEGR通路空燃比検出手段と、
前記EGR触媒が酸素過剰状態であるか酸素不足状態であるかを判定するEGR触媒酸素状態判定手段と、を更に備え、
前記EGR閉時空燃比制御手段は、前記EGR弁の閉じ時であって、前記EGR触媒が前記酸素不足状態である場合には、筒内から排出される排気ガスの空燃比が理論空燃比よりもリーンな空燃比となるように燃料噴射量を補正するリーン補正実行手段を含むことを特徴とする。
【0011】
また、第4の発明は、第1乃至第3の発明の何れかにおいて、
前記EGR触媒を通過した排気ガスの空燃比を検出するEGR通路空燃比検出手段と、
前記EGR触媒が酸素過剰状態であるか酸素不足状態であるかを判定するEGR触媒酸素状態判定手段と、
前記EGR弁の閉じ時に当該EGR弁の再開要求が出され、かつ、前記EGR触媒が前記酸素不足状態である場合に、筒内から排出される排気ガスの空燃比が理論空燃比よりもリーンな空燃比となるように燃料噴射量を補正するリーン補正実行手段と、
前記リーン補正実行手段による燃料噴射量の補正により前記EGR触媒が酸素過剰状態となるまで、前記EGR弁を閉じ状態に維持するEGR弁閉維持手段と、
を更に備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
第1の発明によれば、EGR弁の開き時と閉じ時とで空燃比学習値を使い分けたことにより、EGR弁の閉じ時に筒内から排出される排気ガスの一部がEGR触媒によって浄化されたうえでメイン触媒に流入することによる影響を考慮した空燃比制御を実行できるようになる。これにより、EGR弁の開閉に伴ってメイン触媒に流入する排気ガスの空燃比に段差が生ずるのを良好に防止することができる。このため、メイン触媒の空燃比制御のロバスト性を維持(保証)することができる。
【0013】
第2の発明によれば、EGR弁の閉じ時であって、EGR触媒が酸素過剰状態である場合には、EGR触媒を通過した排気ガスの空燃比に基づく燃料噴射量のEGR補正項が用いられない(考慮されない)空燃比制御が実行される。これにより、EGR触媒が酸素過剰状態であることを打ち消すためのリッチ補正(燃料噴射量の増量補正)が実行されないようにすることができる。その結果、EGR弁の再開時にEGR触媒のPMの浄化能力を維持(確保)できるようになる。また、EGR弁の閉じ時には、空燃比学習値がEGR弁の閉じ時のものに切り替えられる。従って、本発明によれば、EGR弁の再開時のEGR触媒のPMの浄化能力(デポジットの浄化性能)を維持したまま、メイン触媒の空燃比制御のロバスト性を維持(保証)できるようになる。
【0014】
第3の発明によれば、EGR弁の閉じ時であって、EGR触媒が酸素不足状態である場合には、筒内から排出される排気ガスの空燃比が理論空燃比よりもリーンな空燃比となるように燃料噴射量が補正される。これにより、EGR弁の再開時にEGR触媒のPMの浄化能力を維持(確保)できるようになる。また、EGR弁の閉じ時には、空燃比学習値がEGR弁の閉じ時のものに切り替えられる。従って、本発明によれば、EGR弁の再開時のEGR触媒のPMの浄化能力(デポジットの浄化性能)を維持したまま、メイン触媒の空燃比制御のロバスト性を維持(保証)できるようになる。
【0015】
第4の発明によれば、EGR触媒が酸素不足状態である場合にEGR弁の再開要求が出された場合であっても、EGR弁の再開時にEGR触媒のPMの浄化能力を維持(確保)できるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の実施の形態1の内燃機関の構成を説明するための図である。
【図2】EGR弁の閉じ時における内燃機関の1サイクル中のガス流量の変化を示す図である。
【図3】EGR弁の開き時と閉じ時とで、空燃比フィードバック系を比較して表したブロック図である。
【図4】本発明の実施の形態1において実行されるルーチンのフローチャートである。
【図5】図4に示す制御ルーチンが適用された制御の一例を表したタイムチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
実施の形態1.
[実施の形態1のシステム構成]
図1は、本発明の実施の形態1の内燃機関10の構成を説明するための図である。より具体的には、図1は、4つの気筒を有する内燃機関10のうちの一つの気筒の断面を示している。
【0018】
内燃機関10の吸気系は、吸気通路12を備えている。空気は大気中から吸気通路12に取り込まれ、燃焼室14に分配される。吸気通路12の入口には、エアクリーナ16が取り付けられている。エアクリーナ16の下流近傍には、吸気通路12に吸入される空気の流量に応じた信号を出力するエアフローメータ18が設けられている。
【0019】
エアフローメータ18の下流には、ターボ過給機20が設けられている。ターボ過給機20は、コンプレッサ20aとタービン20bを備えている。コンプレッサ20aとタービン20bとは連結軸によって一体に連結されている。コンプレッサ20aはタービン20bに入力される排気ガスの排気エネルギによって回転駆動される。
【0020】
コンプレッサ20aの下流には、圧縮された空気を冷却するためのインタークーラ22が設けられている。インタークーラ22の下流には、スロットルバルブ24が配置されている。スロットルバルブ24は、アクセル開度に基づいてスロットルモータ(図示省略)により駆動される電子制御式のバルブである。
【0021】
また、内燃機関10は、燃料を燃焼室14内に直接噴射するための筒内噴射弁26を備えている。筒内噴射弁26には、高圧燃料ポンプ28によって高圧化された燃料が供給される。また、内燃機関10は、燃焼室14内に突出するように点火プラグ30が取り付けられている。
【0022】
内燃機関10の排気系は、排気通路32を備えている。タービン20bよりも下流側の排気通路32には、排気ガスを浄化するための触媒(以下、「メイン触媒34」と称する)34および触媒36が直列に配置されている。これらの触媒34、36としては、三元触媒を用いることができる。また、メイン触媒34の上流には、その位置で排気空燃比を検出するためのA/Fセンサ38が配置されている。更に、メイン触媒34と触媒36との間には、その位置の空燃比がリッチであるかリーンであるかに応じた信号を発生するO2センサ40が配置されている。
【0023】
更に、内燃機関10は、タービン20bよりも上流側の排気通路32と吸気通路12とを接続するEGR(Exhaust Gas Recirculation)通路42を備えている。EGR通路42の途中には、EGR触媒44が設けられている。EGR触媒44よりも吸気通路12側のEGR通路42には、上記O2センサ40と同様の構成を有するO2センサ46が設けられている。更に、EGR通路42における吸気通路12側の接続口付近には、EGRガスの流量を制御するためのEGR弁48が設けられている。
【0024】
内燃機関10の制御系は、ECU(Electronic Control Unit)50を備えている。ECU50には、上述したセンサに加え、エンジン回転数を検知するためのクランク角センサ52等の各種センサが接続されているとともに、上述したアクチュエータ等の各種アクチュエータが接続されている。ECU50は、それらのセンサ出力に基づいて、内燃機関10の運転状態を制御することができる。
【0025】
[実施の形態1の空燃比フィードバック制御]
(EGR弁の開き時の空燃比フィードバック制御)
EGR弁48の開き時(以下、「EGR実行時」とも称する)の空燃比フィードバック制御(単に「空燃比F/B制御」と略する場合がある)では、次の(1)式に従って最終的な燃料噴射量の算出(基本燃料噴射量の補正)が行われる。
燃料噴射量=基本噴射量+メインフィードバック補正量+SubO2補正量+EGR触媒O2補正量・・・(1)
【0026】
上記(1)式における基本噴射量は、内燃機関10の運転状態に応じたベースの燃料噴射量であり、内燃機関10の負荷とエンジン回転数に基づく所定のマップを用いることにより算出される値である。メインフィードバック補正量は、上流側のA/Fセンサ38の出力値に基づいて算出される値であって、メイン触媒34に流入する排気ガスの実空燃比が所定の制御目標空燃比(例えば、理論空燃比(ストイキ))と一致するように、上記基本噴射量に足し引きされる値である。SubO2補正量は、下流側のO2センサ40の出力値に基づいて算出される値であって、メイン触媒34の下流に流出してくる排気ガスの空燃比が理論空燃比となるように(より具体的には、メイン触媒34の下流に配置されたO2センサ40の出力がストイキ出力となるように)、メインフィードバック補正量に対して更なる補正を施すための値である。EGR触媒O2補正量は、EGR通路42に配置されたO2センサ46の出力値に基づいて算出される値であって、EGR触媒44の下流に流出してくる排気ガスの空燃比がストイキに対して出来るだけリーンな値となるように、メインフィードバック補正量に対して更なる補正を施すための値である。
【0027】
上記メインフィードバック補正量は、より具体的には、次の(2)式に従って算出される。
メインフィードバック補正量=出力偏差×比例ゲイン+出力偏差の積算値×積分ゲイン+空燃比学習値・・・(2)
上記(2)式における出力偏差は、上記制御目標空燃比の電圧換算値とA/Fセンサ38の出力値との偏差である。上記(2)式に示すように、メインフィードバック補正量は、比例項(出力偏差×比例ゲイン)とともに積分項(出力偏差の積算値×積分ゲイン)を含んでいる。このようにして算出される積分項は、A/Fセンサ38の出力が瞬間値としてどのような値を示しているかによらず、メイン触媒34の上流の排気ガスの空燃比が、制御目標空燃比に対して長期的にどのような偏りを有しているかを表す指標となる。
【0028】
本実施形態のシステムでは、所定の運転領域毎に上記積分項の平均値を、上記(2)式における空燃比学習値として記憶するようにしている。このような処理を行うようにしておけば、当該空燃比学習値を参照することによって、システムに蓄積された(制御目標空燃比に対する)長期的な空燃比のずれ量を運転領域毎に取得することが可能となる。
【0029】
(EGR弁の開閉がなされる際の空燃比F/B制御の課題)
図2は、EGR弁48の閉じ時における内燃機関10の1サイクル中のガス流量の変化を示す図である。より具体的には、図2中に太線で示す波形は、EGR触媒44に流出入するガスに関するものであり、同図中に細線で示す波形は、タービン20bに流入するガスに関するものである。また、図2中における「順流」は、排気通路32の上流側からタービン20bやEGR触媒44にガスが流入する際のガス流れに対応し、同図中における「逆流」は、上記順流に対する逆方向のガス流れに対応している。
【0030】
筒内から排出された排気ガスには、排気ブローダウン時の圧力波の影響により圧力の脈動が生じる。その結果、図2中に太線で示すように、EGR弁48が閉じている場合にも、排気通路32とEGR通路42との間で、排気ガスの流入と流出とが繰り返される。このため、筒内から排出された排気ガスの一部は、EGR触媒44によって浄化されたうえでメイン触媒34に流入するようになる。従って、メイン触媒34に流入する排気ガスの空燃比は、EGR弁48の開き時と閉じ時とで異なるものとなる。
【0031】
図3は、EGR弁48の開き時と閉じ時とで、空燃比フィードバック系を比較して表したブロック図である。より具体的には、図3(A)は、EGR弁48の開き時の空燃比フィードバック系を示し、図3(B)は、EGR弁48の閉じ時の空燃比フィードバック系を示している。
【0032】
図3(A)に示すように、EGR弁48の開き時には、EGR率をβとすると、筒内から排出された排気ガスのうちのβ分がEGR通路42のEGR触媒44に流入し、残りの(1−β)分が排気通路32をそのまま流れてメイン触媒34に流入することになる。メイン触媒34に流入する(1−β)分の排気ガスの空燃比は、A/Fセンサ38により検出され、メイン触媒34から流出した後の(1−β)分の排気ガスの空燃比は、O2センサ40により検出される。また、EGR触媒44を流出したβ分の排気ガスの空燃比は、O2センサ46により検出される。
【0033】
既述した排気ブローダウン時の圧力波の影響によりEGR通路42に流出入する排気ガスの割合(EGR通路42へのガスの呼吸割合)をαとすると、図3(B)に示すように、EGR弁48の閉じ時(以下、「EGRカット時」とも称する)には、筒内から排出された排気ガスのうちの(1−α)分がそのまま排気通路32を通ってメイン触媒34に流入することになる。そして、残りのα分がEGR通路42に流入することになる。EGR通路42に流入した排気ガスは、EGR触媒44を通過してO2センサ46に達した後に、逆流してEGR触媒44を通過したうえで排気通路32に戻り、メイン触媒34に至るようになる。その結果、EGR通路42のO2センサ46では、EGR触媒44を通過したα分の排気ガスの空燃比が検出される。そして、メイン触媒34の上流および下流のA/Fセンサ38およびO2センサ40では、メイン触媒34にそのまま流入する(1−α)分の排気ガスと、EGR触媒44に流出入して浄化されることにより空燃比がストイキとなった後のα分の排気ガスとが合流した後の排気ガスの空燃比が検出されることとなる。
【0034】
EGR制御の有無を考慮した従来の空燃比F/B制御として、EGR弁の開き時(EGR実行時)にはEGR補正係数を考慮した燃料噴射量の補正を実行し、EGR弁の閉じ時(EGRカット時)には、上記EGR補正係数を用いない燃料噴射量の補正を実行するものが知られている。しかしながら、このような従来の空燃比F/B制御では、EGR弁の閉じ時には筒内から排出される排気ガスの一部がEGR触媒によって浄化されたうえでメイン触媒に流入する点について着目されていない。このため、上記従来の空燃比F/B制御では、EGR弁の開閉がなされる際に、メイン触媒に流入する排気ガスの空燃比に段差が生じ、排気エミッションが悪化するおそれがある。
【0035】
(EGR弁の閉じ時の空燃比F/B制御)
そこで、本実施形態では、EGR弁48の開閉がなされる際に、メイン触媒34に流入する排気ガスの空燃比に段差が生ずるのを防止するために、EGR弁48の開き時とEGR弁48の閉じ時とで、空燃比学習値を別々に設け、EGR制御の実行状態に合わせて学習を実行するようにした。より具体的には、前回のEGR弁48の開き時に算出して記憶された空燃比学習値をその次回のEGR弁48の開き時に使用するようにし、一方、前回のEGR弁48の閉じ時に算出して記憶された空燃比学習値をその次回のEGR弁48の閉じ時に使用するようにした。
【0036】
また、既述したように、EGR弁48が閉じている場合に、排気通路32とEGR通路42との間で排気ガスの流入と流出とが繰り返されると、排気ガスがリッチ雰囲気である場合には、EGR触媒44の酸素が消費されることとなる。EGR弁48の閉弁中にEGR触媒44の酸素含有量があるレベル以下にまで低下した状態でEGR制御が再開されると、排気ガス中に含まれるPM(Particulate Matter)の浄化能力が低下してしまう。その結果、多くのデポジットが吸気系に還流してしまうという問題がある。
【0037】
そこで、本実施形態では、EGR弁48の閉じ時の空燃比F/B制御として、第1EGRカット時F/B制御と第2EGRカット時F/B制御という2通りのフィードバック制御を備えるようにした。そして、EGR弁48の閉弁中にEGR触媒44が酸素過剰状態である場合には、上記第1EGRカット時F/B制御を用いるようにし、一方、EGR弁48の閉弁中にEGR触媒44が酸素不足状態である場合には、上記第2EGRカット時F/B制御を用いるようにした。
【0038】
また、EGR弁48の閉弁中にEGR弁48の再開要求が出された場合において、EGR触媒44が酸素不足状態である場合には、上記第2EGRカット時F/B制御を選択し、筒内から排出される排気ガスの空燃比が理論空燃比よりもリーンな空燃比となるように燃料噴射量が補正されるようにした。そして、そのようなリーン補正によってEGR触媒44が酸素過剰状態となるまで、EGR弁48を閉じ状態に維持するようにした。
【0039】
上記第1EGRカット時F/B制御では、より具体的には、次の(3)式に従って最終的な燃料噴射量の算出(基本燃料噴射量の補正)が行われる。
燃料噴射量=基本噴射量+メインフィードバック補正量+SubO2補正量・・・(3)
上記(3)式に示すように、第1EGRカット時F/B制御では、上記(1)式に対応するEGR実行時の空燃比F/B制御時と比べ、EGR触媒O2補正量が補正項として考慮されていない点が相違している。また、EGR実行時の空燃比F/B制御では、前回のEGR実行時のメインフィードバック補正量の積分項の平均値が空燃比学習値として使用されるのに対し、第1EGRカット時F/B制御では、前回のEGRカット時のメインフィードバック補正量の積分項の平均値が空燃比学習値として使用される点が相違している。
【0040】
また、上記第2EGRカット時F/B制御では、次の(4)式に従って最終的な燃料噴射量の算出(基本燃料噴射量の補正)が行われる。
燃料噴射量=基本噴射量+EGR触媒O2補正量+(メインフィードバック補正量+SubO2補正量)×ゲイン・・・(4)
上記(4)式に示すように、第2EGRカット時F/B制御では、上記(1)式に対応するEGR実行時の空燃比F/B制御に対して、メインフィードバック補正量とSubO2補正量の和に上記ゲインが乗じられている点が相違している。上記ゲインは、1より小さな定数である。
【0041】
メイン触媒34の容量は、EGR通路42に配置されるEGR触媒44の容量よりも十分に大きい。このような触媒容量の差を考慮して、EGR実行時の空燃比F/B制御では、メイン触媒34側の補正量であるメインフィードバック補正量およびSubO2補正量が、EGR触媒44側の補正量であるEGR触媒O2補正量よりも十分に大きな値となるように設定されている。このような設定により、EGR実行時の空燃比F/B制御では、補正量全体に対してメインフィードバック補正量およびSubO2補正量が占める比重がEGR触媒O2補正量よりも十分に高くなり、空燃比制御のロバスト性が確保されている。
【0042】
そのうえで、1よりも小さな上記ゲインを上記(4)式中に設定したことにより、第2EGRカット時F/B制御の実行時には、EGR実行時の空燃比F/B制御時と比べ、EGR触媒O2補正量が最終的な燃料噴射量に及ぼす影響がメインフィードバック補正量とSubO2補正量の和に対して高められるようになる。このようなゲインを有する第2EGRカット時F/B制御を、EGR触媒44が酸素不足状態にある場合に行うようにすることで、酸素不足状態であるEGR触媒44が酸素過剰状態となるようにするためのリーン補正が促されるようになる。
【0043】
また、第2EGRカット時F/B制御においても、第1EGRカット時F/B制御の場合と同様に、前回のEGRカット時のメインフィードバック補正量の積分項の平均値が空燃比学習値として使用されるようになっている。
【0044】
[実施の形態1における具体的処理]
図4は、本発明の実施の形態1においてECU50が実行する制御ルーチンを示すフローチャートである。尚、以下の図4および図5中においては、EGR実行時の空燃比F/B制御が制御Aに対応し、第1EGRカット時F/B制御が制御Bに対応し、第2EGRカット時F/B制御が制御Cに対応している。
【0045】
図4に示すルーチンでは、先ず、EGR弁48が閉弁中であるか否かが判定される(ステップ100)。その結果、EGR弁48が閉弁中でない場合、すなわち、EGR弁48が開弁中である場合には、通常フィードバック制御(すなわち、制御Aに対応するEGR実行時の空燃比F/B制御)が実行される(ステップ102)。
【0046】
一方、上記ステップ100においてEGR弁48が閉弁中であると判定された場合には、次いで、EGR弁48の再開要求があるか否かが判定される(ステップ104)。その結果、EGR弁48の再開要求がないと判定された場合には、EGR触媒44の下流のO2センサ46の出力が0.5V以下であるか、つまり、EGR触媒44が酸素過剰状態であるか否かが判定される(ステップ106)。
【0047】
その結果、上記ステップ106の判定が成立する場合、つまり、O2センサ46の出力が0.5V以下となるリーン出力を示していることでEGR触媒44が酸素過剰状態にあると判定された場合には、EGRサブフィードバックが停止される(ステップ108)。言い換えれば、上記第1EGRカット時F/B制御(上記制御B)が選択されることで、O2センサ46の出力に基づくEGR触媒O2補正量が補正項として考慮されないフィードバック制御が実行される。
【0048】
一方、上記ステップ106の判定が不成立である場合、つまり、O2センサ46の出力が0.5Vよりも高いリッチ出力を示していることでEGR触媒44が酸素不足状態にあると判定された場合には、EGRサブフィードバックが実行される(ステップ110)。言い換えれば、上記第2EGRカット時F/B制御(上記制御C)が選択されることで、O2センサ46の出力に基づくEGR触媒O2補正量が補正項として考慮されたフィードバック制御がEGR弁48の閉弁中に実行される。
【0049】
また、上記ステップ104においてEGR弁48の再開要求があると判定された場合には、EGR触媒44の下流のO2センサ46の出力が0.5V以上であるか、つまり、EGR触媒44が酸素不足状態であるか否かが判定される(ステップ112)。
【0050】
その結果、上記ステップ112の判定が成立する場合、つまり、O2センサ46の出力が0.5V以上となるリッチ出力を示していることでEGR触媒44が酸素不足状態にあると判定された場合には、EGR弁48の再開要求が出されているにもかかわらずEGR弁48が閉じ状態に維持される(ステップ114)。次いで、EGRサブフィードバック(制御Cに対応する第2EGRカット時F/B制御)が実行される(ステップ116)。
【0051】
一方、上記ステップ112の判定が不成立である場合、つまり、O2センサ46の出力が0.5Vよりも低いリーン出力を示していることでEGR触媒44が酸素過剰状態にあると判定された場合には、EGR弁48が開かれる(ステップ118)。次いで、通常フィードバック制御(すなわち、制御Aに対応するEGR実行時の空燃比F/B制御)が実行される(ステップ102)。
【0052】
以上説明した図4に示すルーチンによれば、EGR弁48の開き時には、制御Aに対応するEGR実行時の空燃比F/B制御(通常フィードバック制御)が実行される。そして、この場合には、空燃比学習値として、前回のEGR弁48の開き時のメインフィードバック補正量の積分項の平均値が使用される。また、EGR弁48の閉じ時には、制御BまたはCに対応する第1または第2のEGRカット時F/B制御が実行される。そして、この場合には、空燃比学習値として、前回のEGR弁48の閉じ時のメインフィードバック補正量の積分項の平均値が使用される。このような手法で空燃比学習値を使い分けたことにより、EGR弁48の閉じ時に筒内から排出される排気ガスの一部がEGR触媒44によって浄化されたうえでメイン触媒34に流入することによる影響を考慮した空燃比F/B制御を実行できるようになる。これにより、EGR弁48の開閉に伴ってメイン触媒34に流入する排気ガスの空燃比に段差が生ずるのを良好に防止することができる。このため、メイン触媒34の空燃比制御のロバスト性を維持(保証)することができる。
【0053】
図5は、上記図4に示す制御ルーチンが適用された制御の一例を表したタイムチャートである。
上記ルーチンによれば、上述したように、EGR弁48の開き時には、制御Aに対応するEGR実行時の空燃比F/B制御(通常フィードバック制御)が実行される。この制御Aでは、O2センサ46の出力に基づくEGR触媒O2補正量とともに、A/Fセンサ38およびO2センサ40の出力に基づくメインフィードバック補正量およびSubO2補正量が燃料噴射量の補正量として使用される。既述したように、制御Aの実行時には、メイン触媒34側のメインフィードバック補正量およびSubO2補正量の方がEGR触媒O2補正量よりも比重が十分に大きい。このため、図5(B)に示すように、EGR触媒44側のO2センサ46の出力は、メインフィードバック補正量およびSubO2補正量の影響を大きく受けて、リッチ出力とリーン出力との間で変化する。この場合、EGR触媒O2補正量としては、EGR触媒44によるPMの浄化能力を維持するために、O2センサ46がリッチ出力を示す場合にのみ、EGR触媒44を酸素過剰状態とするための減量側の補正(リーン補正)が実行される。
【0054】
また、上記ルーチンによれば、図5にも示すように、EGR弁48の閉じ時にO2センサ46がリーン出力を示していることでEGR触媒44が酸素過剰状態にある場合には、EGR触媒44のPMの浄化能力は十分であると判断される。このため、この場合には、EGR触媒O2補正量が考慮されない(すなわち、図5(C)に示すようにEGR触媒O2補正量がゼロとされる)制御Bに対応する第1EGRカット時F/B制御が実行される。このように、EGR触媒O2補正量を用いたフィードバック制御をカットすることで、EGR触媒44が酸素過剰状態であることを打ち消すためのリッチ補正が実行されないようにすることができる。これにより、EGR弁48の再開時にEGR触媒44のPMの浄化能力を維持(確保)できるようになる。
【0055】
また、上記ルーチンによれば、図5にも示すように、EGR弁48の閉じ時にO2センサ46がリッチ出力を示していることでEGR触媒44が酸素不足状態である場合には、制御Cに対応する第2EGRカット時F/B制御が実行される。この制御Cの実行時には、上記(4)式中に示すゲインの作用により、上記制御Aの実行時と比べ、EGR触媒O2補正量が燃料噴射量の補正に大きく反映されるようになる。このような制御Cを図5(B)に示すようにO2センサ46がリッチ出力を示している場合に使用することで、図5(C)に示すようにEGR触媒44を酸素過剰状態とするための減量側の補正(筒内から排出される排気ガスの空燃比を理論空燃比よりもリーンとするリーン補正)がEGR弁48の閉弁中に実行されるようになる。これにより、EGR弁48の再開時にEGR触媒44のPMの浄化能力を維持(確保)できるようになる。
【0056】
以上のように、上記ルーチンの処理によれば、EGR弁48が開き状態から閉じ状態に切り替えられた場合には、上記制御BまたはCによってEGR触媒44がEGR弁48の閉弁中に酸素過剰状態に置かれるようにする制御とともに、メイン触媒34のフィードバック制御系の空燃比学習値が上述したようにEGR弁48の閉じ時の空燃比学習値に切り替えられる。このため、EGR弁48の再開時のEGR触媒44のPMの浄化能力(デポジットの浄化性能)を維持したまま、メイン触媒34の空燃比制御のロバスト性を維持(保証)できるようになる。
【0057】
更に、上記ルーチンによれば、EGR弁48の閉弁中にEGR弁48の再開要求が出された場合において、EGR触媒44が酸素不足状態である場合には、上記制御Cに対応する第2EGRカット時F/B制御が選択されて上記リーン補正が実行されるとともに、EGR触媒44が酸素過剰状態となるまでEGR弁48が閉じ状態に維持される。これにより、EGR触媒44が酸素不足状態である場合にEGR弁48の再開要求が出された場合であっても、EGR弁48の再開時にEGR触媒44のPMの浄化能力を維持(確保)できるようになる。
【0058】
尚、上述した実施の形態1においては、A/Fセンサ38が前記第1の発明における「空燃比センサ」に相当しているとともに、ECU50が、上記ステップ102の処理を実行することにより前記第1の発明における「EGR弁開時空燃比制御手段」が、上記ステップ108、110、または116の処理を実行することにより前記第1の発明における「EGR弁閉時空燃比制御手段」が、メインフィードバック補正量の積分項の平均値を算出して記憶することにより前記第1の発明における「学習値取得手段」が、EGR弁48の開き時に前回のEGR弁48の開き時に算出して記憶された空燃比学習値を使用することにより前記第1の発明における「EGR弁開時学習反映手段」が、EGR弁48の閉じ時に前回のEGR弁48の閉じ時に算出して記憶された空燃比学習値を使用することにより前記第1の発明における「EGR弁閉時学習反映手段」が、それぞれ実現されている。
また、O2センサ46が前記第2乃至第4の発明における「EGR通路空燃比検出手段」に相当しているとともに、ECU50が上記ステップ104または112の処理を実行することにより、前記第2乃至第4の発明における「EGR触媒酸素状態判定手段」が実現されている。
また、ECU50が上記ステップ106の判定が不成立である場合に上記ステップ110の処理を実行することにより、前記第3の発明における「リーン補正実行手段」が実現されている。
また、ECU50が、上記ステップ104の判定が成立し、かつ、上記ステップ112の判定が成立する場合に上記ステップ116の処理を実行することにより前記第4の発明における「リーン補正実行手段」が、上記ステップ112の判定が不成立となるまで上記ステップ114の処理を実行することにより前記第4の発明における「EGR弁閉維持手段」が、それぞれ実現されている。
【符号の説明】
【0059】
10 内燃機関
12 吸気通路
14 燃焼室
20 ターボ過給機
26 筒内噴射弁
32 排気通路
34 メイン触媒
36 触媒
38 A/Fセンサ
40 O2センサ
42 EGR通路
44 EGR触媒
46 O2センサ
48 EGR弁
50 ECU(Electronic Control Unit)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内燃機関の排気通路と吸気通路とを接続するEGR通路と、
前記EGR通路を開閉するEGR弁と、
前記EGR通路の排気側接続口よりも下流側の前記排気通路に配置され、排気ガスを浄化可能なメイン触媒と、
前記排気側接続口よりも下流側であって前記メイン触媒よりも上流側の前記排気通路に配置され、排気ガスの空燃比を検出する空燃比センサと、
前記EGR通路に配置され、排気ガスを浄化可能なEGR触媒と、
前記EGR弁の開き時に、前記空燃比センサにより検出される前記メイン触媒の上流の排気ガスのセンサ空燃比が制御目標空燃比となるように燃料噴射量を補正するEGR弁開時空燃比制御手段と、
前記EGR弁の閉じ時に、前記空燃比センサにより検出される前記メイン触媒の上流の排気ガスのセンサ空燃比が制御目標空燃比となるように燃料噴射量を補正するEGR弁閉時空燃比制御手段と、
前記制御目標空燃比に対する前記センサ空燃比の偏差に基づいて、燃料噴射量を補正するための空燃比学習値を算出して記憶する学習値取得手段と、
前記EGR弁の開き時に記憶された前記空燃比学習値を前記EGR弁開時空燃比制御手段による排気ガスの空燃比の制御に反映させるEGR弁開時学習反映手段と、
前記EGR弁の閉じ時に記憶された前記空燃比学習値を前記EGR閉時空燃比制御手段による排気ガスの空燃比の制御に反映させるEGR弁閉時学習反映手段と、
を備えることを特徴とする内燃機関の制御装置。
【請求項2】
前記EGR触媒を通過した排気ガスの空燃比を検出するEGR通路空燃比検出手段と、
前記EGR触媒が酸素過剰状態であるか酸素不足状態であるかを判定するEGR触媒酸素状態判定手段と、を更に備え、
前記EGR閉時空燃比制御手段は、前記EGR弁の閉じ時であって、前記EGR触媒が前記酸素過剰状態である場合には、前記EGR通路空燃比検出手段により検出される前記EGR通路の空燃比に基づく燃料噴射量のEGR補正項を用いずに燃料噴射量を補正することを特徴とする請求項1記載の内燃機関の制御装置。
【請求項3】
前記EGR触媒を通過した排気ガスの空燃比を検出するEGR通路空燃比検出手段と、
前記EGR触媒が酸素過剰状態であるか酸素不足状態であるかを判定するEGR触媒酸素状態判定手段と、を更に備え、
前記EGR閉時空燃比制御手段は、前記EGR弁の閉じ時であって、前記EGR触媒が前記酸素不足状態である場合には、筒内から排出される排気ガスの空燃比が理論空燃比よりもリーンな空燃比となるように燃料噴射量を補正するリーン補正実行手段を含むことを特徴とする請求項1または2記載の内燃機関の制御装置。
【請求項4】
前記EGR触媒を通過した排気ガスの空燃比を検出するEGR通路空燃比検出手段と、
前記EGR触媒が酸素過剰状態であるか酸素不足状態であるかを判定するEGR触媒酸素状態判定手段と、
前記EGR弁の閉じ時に当該EGR弁の再開要求が出され、かつ、前記EGR触媒が前記酸素不足状態である場合に、筒内から排出される排気ガスの空燃比が理論空燃比よりもリーンな空燃比となるように燃料噴射量を補正するリーン補正実行手段と、
前記リーン補正実行手段による燃料噴射量の補正により前記EGR触媒が酸素過剰状態となるまで、前記EGR弁を閉じ状態に維持するEGR弁閉維持手段と、
を更に備えることを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項記載の内燃機関の制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−153577(P2011−153577A)
【公開日】平成23年8月11日(2011.8.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−15871(P2010−15871)
【出願日】平成22年1月27日(2010.1.27)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】