説明

円筒状単結晶シリコンインゴットブロックを四角柱状ブロックに加工する方法およびそれに用いる複合面取り加工装置

【課題】 円筒状インゴットの四側面剥ぎスライシング装置と四角柱状インゴットの四隅Rコーナー部と四側面の研削面取り加工装置をインライン化して複合面取り加工機に設計する際、一方の装置で面取り加工しているときに他方の装置でもインゴット面取り加工できる装置の提供。
【解決手段】 インゴットのクランプ機構を一対7,7’用い、かつ、スライシングステージ90と研削面取り加工ステージ11間を結ぶライン上にインゴットの受け渡しステージ80を新たに設け、インゴットのローディングステージ8Rとアンローディングステージ8Lをそれぞれ前記クランプ機構待機位置70と60の正面前側に設けた複合面取り加工装置1。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、円筒状シリコンインゴットブロックをその回転C軸廻りに回転させる機能を有するエンコーダ付き主軸台と心押台とよりなるクランプ装置に挟持し、回転切断刃によりその四側面を削ぎ落とす切断を行って四角柱状ブロックに加工し、ついで、その四角柱状ブロックの四側面および四隅Rコーナー部を表面研削して四角柱状ブロックに加工する方法およびそれに用いる複合面取り加工装置に関わる。
【背景技術】
【0002】
半導体基板に用いられる円板状単結晶シリコン基板や太陽電池の基板に用いられる四角形状単結晶シリコン基板の原材料の円筒状インゴットブロックは、チョクラルスキー法(CZ法)により育成した単結晶シリコンインゴットのC軸両端面を切り落とし、ついで、回転させる機能を有する主軸台と芯押台とよりなるクランプ装置に挟持し、円筒研削して外周面の皴状の凹凸を取り除き、さらに、長さ250mm、500mmの長さに内周刃で切断、あるいはワイヤーカットされて外周面平滑円筒状単結晶シリコンインゴットブロックとして市販される。
【0003】
この外周面平滑円筒状単結晶シリコンインゴットブロックは、次の工程のマルチ・ワイヤーソウによる薄厚の基板へのスライス加工に供せられる。あるいは、インゴットブロック製造メーカから太陽電池基板製造メーカに供給され、四側面を削ぎ落として加工された四角柱状ブロックの四側面および四隅コーナー部を面取り加工し、次工程のマルチ・ワイヤーソウによる薄厚の基板へのスライス加工ステージへ供給される。
【0004】
単結晶シリコンインゴットの有効使用率を高くするため、前記単結晶シリコンインゴットからシリコンブロックに切断されるに先立って、あるいは、マルチ・ワイヤーソウでスライス加工するに先立って円筒状単結晶シリコンインゴットの結晶方位を検知することが必要となる。
【0005】
再公表2005/076333号公報(特許文献1)は、チョクラルスキー法(CZ法)により育成した単結晶シリコンインゴットのC軸両端面を切り落とし、ついで、回転させる機能を有する主軸台と芯押台とよりなるクランプ装置に挟持し、円筒研削して外周面の皴状の凹凸を取り除き、得られた外周面平滑円板状単結晶シリコンインゴットのC軸垂直方向の結晶方位を赤外線検出器で読み取り、解析ピークを基に結晶方位を赤いマーカーペンで線を引いて特定し、この赤い特定マークに沿ってダイソーで複数のブロックに切断する方法を開示する。
【0006】
また、特開2009−233819号公報は、チョクラルスキー法(CZ法)により育成した単結晶シリコンインゴットのC軸両端面を切り落とし、ついで、回転させる機能を有する主軸台と心押台とよりなるクランプ装置に挟持し、円筒研削して外周面の皴状の凹凸を取り除き、得られた外周面平滑円板状単結晶シリコンインゴットのC軸垂直方向の結晶方位をX線解析機器で読み取り、この結晶方位線を基準に赤いマークを付し、ついで、砥石によりこの赤いマーク線に沿ってオリエンテーションフラットおよび/またはノッチ加工し、ついで、マルチ・ワイヤーソウによる薄厚の基板へのスライス加工に供することを開示する。
【0007】
本願特許出願人は、特願2010−131606号明細書(特許文献3、未公開)で、円筒状シリコンインゴットブロックを主軸台と芯押台とからなるクランプ装置に挟持し、シリコンインゴットブロックの回転軸心(C軸)を挟んで左側方向から右側方向に向かって一対の回転切断刃、一対のカップホイール型粗研削砥石、一対のカップホイール型仕上げ研削砥石を配置したシリコンインゴットブロックの複合面取り加工装置を提案した。
【0008】
また、本願特許出願人は、特願2010−232039号明細書(特許文献4、未公開)で、円筒状シリコンインゴットブロックを主軸台と心押台とからなるクランプ装置に挟持し、シリコンインゴットブロックの回転軸心(C軸)を挟んで左側方向から右側方向に向かって一対の回転切断刃、一対のカップホイール型粗研削砥石、一対のカップホイール型仕上げ研削砥石および円筒状シリコンインゴットブロックの結晶方向を検出するセンサーを配置した単結晶シリコンインゴットブロックの複合面取り加工装置を提案した。
【0009】
この複合面取り加工装置は、図8に示すように複合面取り加工装置1の正面に向かって右側から左側に向けてベース(機枠)2上にインゴットブロックのストッカー14とインゴットブロックの搬入・搬出機構13とロードポート8とから構成されるローディング/アンローディングステージ、インゴットブロックの四隅Rコーナー部仕上げ研削面取り・四側面仕上げ研削面取りステージ10、インゴットブロックの四隅Rコーナー部粗研削面取り・四側面粗研削面取りステージ11および回転切断刃による円筒状インゴットブロックの四側面剥ぎステージ90を配置した複合面取り加工装置である。
【0010】
上記特許文献4記載の複合面取り加工装置1を用いて円筒状単結晶シリコンインゴットブロックを四角柱状ブロックに加工する工程は次のように行われる。
【0011】
(1)円筒状単結晶シリコンインゴットブロックをその回転C軸廻りに回転させる機能を有するエンコーダ付き主軸台と心押台とよりなるクランプ装置に挟持する。
(2)前記挟持された円筒状単結晶シリコンインゴットブロックの前側に離れて設置した変位センサーよりレーザー光を円筒状単結晶シリコンインゴットブロックのC軸に向けて照射し、クランプ装置の主軸台のモータによるC軸回転角度をエンコーダで読み取りながらC軸1回転(360度)回転させ、回転角度とパルスピークの相関図を表示させる。
(3)表示された4つのパルスピークを示すエンコーダ回転角度のどれか1つの角度(θ)を選択し、この角度が回転切断刃径方向面に対するエンコーダ回転角度45度の位置(切断開始C軸位置)に位置するようC軸を回転させて円筒状単結晶シリコンインゴットブロックの結晶方位位置を固定する。
(4)回転する一対の回転切断刃の方向にクランプ装置を搭載するワークテーブルを移動させて前記一対の回転切断刃による円筒状単結晶シリコンインゴットブロックの前後面の切断加工を行う。
(5)円筒状単結晶シリコンインゴットブロックのC軸を90度回転させる。
(6)回転する一対の回転切断刃の方向にクランプ装置を搭載するワークテーブルを移動させて前記一対の回転切断刃による円筒状単結晶シリコンインゴットブロックの前後面の切断加工を行い、四角柱状単結晶シリコンインゴットブロックを得る。
(7)一対のカップホイール型粗研削砥石間にクランプ装置を搭載するワークテーブルを移動させ、回転している上記四角柱状単結晶シリコンインゴットブロックの四隅Rコーナー部を回転している前記一対のカップホイール型粗研削砥石で円筒研削する。
(8)上記円筒研削された四角柱状単結晶シリコンインゴットブロックのC軸を回転させて一対のカップホイール型粗研削砥石の刃径方向の面に対する切断開始C軸位置45度位置に固定する。
(9)回転している前記一対のカップホイール型粗研削砥石間にクランプ装置を搭載するワークテーブルを移動させ、一対のカップホイール型粗研削砥石を前進させて四角柱状単結晶シリコンインゴットブロックの前後面に切り込みを掛けつつワークテーブルの移動により四角柱状単結晶シリコンインゴットブロックの前後面の面取り加工を行う。
(10)四角柱状単結晶シリコンインゴットブロックのC軸を90度回転させて一対のカップホイール型粗研削砥石の刃径方向面に対する四角柱状単結晶シリコンインゴットブロックの加工側面位置を固定する。
(11)回転している前記一対のカップホイール型粗研削砥石間にクランプ装置を搭載するワークテーブルを移動させ、一対のカップホイール型粗研削砥石をC軸方向に前進させて四角柱状単結晶シリコンインゴットブロックの前後面に切り込みを掛けつつワークテーブルの移動により四角柱状単結晶シリコンインゴットブロックの前後面の面取り加工を行なう粗面取り加工を行う。
(12)粗面取り加工された四角柱状単結晶シリコンインゴットブロックのC軸を回転させて一対のカップホイール型仕上げ研削砥石の刃径方向の面に対する切断開始C軸位置45度位置に固定する。
(13)回転している前記一対のカップホイール型仕上げ研削砥石間にクランプ装置を搭載するワークテーブルを移動させ、一対のカップホイール型仕上げ研削砥石をC軸方向に前進させて四角柱状単結晶シリコンインゴットブロックの前後面に切り込みを掛けつつワークテーブルの移動により四角柱状単結晶シリコンインゴットブロックの前後面の面取り加工を行う。
(14)四角柱状単結晶シリコンインゴットブロックのC軸を90度回転させて一対のカップホイール型仕上げ研削砥石の刃径方向の面に対する四角柱状単結晶シリコンインゴットブロックの加工側面位置を固定する。
(15)回転している前記一対のカップホイール型仕上げ研削砥石間にクランプ装置を搭載するワークテーブルを移動させ、一対のカップホイール型仕上げ研削砥石をC軸方向に前進させて四角柱状単結晶シリコンインゴットブロックの前後面に切り込みを掛けつつワークテーブルの移動により四角柱状単結晶シリコンインゴットブロックの前後面の面取り加工を行なう仕上げ面取り加工を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】再公表2005/076333号公報
【特許文献2】特開2009−233819号公報
【特許文献3】特願2010−131606号明細書(未公開)
【特許文献4】特願2010−232039号明細書(未公開)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
前述の複合面取り加工装置1は、既存の四側面削ぎ落としスライシング装置と四側平面研削(研磨)機と四側平面および四隅Rコーナー部エッチング装置を並列に据え付けて用いる組み合わせプラントを用いる四角柱状シリコンインゴットブロックの製造時間が1/3〜1/2の短時間で済む利点を有する。しかし、スライシング装置と面取り加工装置を並列に据え付けて用いていたブロック製造メーカまたは太陽電池基板製造メーカに上記複合面取り加工装置の売込みを行ったところ、一部のメーカから、スライシング装置と四側平面研削・四隅Rコーナー研削装置に二部して納品することを希望する意見が出された。
【0014】
その理由は、上記複合面取り加工装置は作業者のインゴットの受け渡し作業が省略される点は魅力であるが、円筒状シリコンインゴットブロックのスライシング装置による四側面削ぎ落とし工程が行われているときは、四側平面研削・四隅Rコーナー研削装置が稼動していなく、角柱状シリコンインゴットブロックの四側平面研削・四隅Rコーナー研削工程が行われているときは、スライシング装置が稼動できないことにある。
【0015】
本願発明者らは、クランプ機構を一対用い、円筒状シリコンインゴットブロックの四側面削ぎ落としのスライシングステージと角柱状シリコンインゴットブロックの四側平面研削・四隅Rコーナー研削ステージ間にインゴットブロックの受け渡しステージを新たに設け、更に、円筒状シリコンインゴットブロックのローディングステージと角柱状シリコンインゴットブロックのアンローディングステージに分離することにより、スライシング装置の稼動および四側平面研削・四隅Rコーナー部研削装置の稼動を同時に行うことが可能であると着想し、発明に到った。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明の請求項1は、
a)機枠上に左右方向に設けられた案内レール上を左右方向に往復移動できるように設けられた一対のワークテーブル、
b)前記一対のワークテーブル上に左右に分離して搭載された主軸台と心押台の一対よりなる第一クランプ機構と第二クランプ機構、
c)前記第一および第二クランプ機構に支架されたワークを載せた前記ワークテーブルを左右方向に往復移動させる駆動機構、
d)前記ワークテーブルを複合面取り加工装置の正面側から見る方向であって、かつ、右側方向より左側方向へ向かって、
e)円筒状シリコンインゴットブロックのローディングステージ、
f)前記ローディングステージの背後に設けた前記第一クランプ機構の待機位置ステージ、
g)前記第一クランプ機構のワーク支持軸を挟んで一対の回転切断刃をその回転切断刃直径面が相対向するように前記案内レールに対し前後に設けられた円筒状シリコンインゴットブロックの側面剥ぎスライシングステージ、
h)前記スライシングステージの左横側に設けたインゴットブロックの受け渡しステージ、
i)前後移動可能および上下昇降可能な砥石軸の一対に軸承されたカップホイール型砥石の一対をその砥石面が相対向するようにワークテーブルを挟んでワークテーブル前後に設けられた粗研削ステージ、
j)前記粗研削ステージの左横側に平行に設けた、前後移動可能および上下昇降可能な砥石軸の一対に軸承されたカップホイール型砥石の一対をその砥石面が相対向するようにワークテーブルを挟んでワークテーブル前後に設けられた仕上げ研削ステージ、
k)前記仕上げ研削ステージの左横側位置であって、主軸台と心押台の一対よりなる前記第二クランプ機構の待機位置ステージ、
および、
l)前記第二クランプ機構の待機位置ステージの前面側に設けた角柱状シリコンインゴットブロックのアンローディングステージ、
を設けたことを特徴とするシリコンインゴットブロックの複合面取り加工装置を提供するものである。
【0017】
請求項2の発明は、請求項1記載の複合面取り加工装置を用い、下記の工程を経て、円筒状シリコンインゴットブロックを角柱状シリコンインゴットブロックに面取り加工する方法を提供するものである。
(1)ローディングステージに在る搬入機構を用い、被加工物(ワーク)である円筒状シリコンインゴットブロックを第一クランプ機構の回転C軸廻りに回転させる機能を有するエンコーダ付き主軸台と心押台間に搬入し、ついで、前記心押台を前進させて円筒状シリコンインゴットブロックを第一クランプ機構に挟持する。
(2)前記第一クランプ機構の主軸台のC軸駆動モータを作動させ、一対の回転切断刃に対する前記円筒状シリコンインゴットブロックの切断開始位置の芯出しを行う。
(3)回転する前記一対の回転切断刃の方向に前記第一クランプ機構を搭載するワークテーブルを移動させて前記一対の回転切断刃による円筒状シリコンインゴットブロックの前後面の切断加工を行う。
(4)ついで、円筒状シリコンインゴットブロックのC軸を90度回転させる。
(5)回転する前記一対の回転切断刃の方向に第一クランプ機構を搭載するワークテーブルを移動させて前記一対の回転切断刃による円筒状シリコンインゴットブロックの前後面の切断加工を行い、四角柱状シリコンインゴットブロックを得る。
(6)前記第一クランプ機構を搭載する前記ワークテーブルをインゴットブロックの受け渡しステージ方向に移動させ、受け渡しステージにロボットハンドを前進させロボットハンドの把持爪を閉じて前記四角柱状シリコンインゴットブロックを把持させ、ついで、前記第一クランプ機構の心押台を後退させて前記四角柱状シリコンインゴットブロックの挟持を開放した後、前記ロボットハンドを待機位置へ後退させる。その後、前記第一クランプ機構を搭載するワークテーブルを前記第一クランプ機構の待機位置ステージ位置へと戻した後、前記ロボットハンドを前記受け渡しステージに前進させる。
(7)第二クランプ機構の待機位置ステージ位置にある第二クランプ機構を搭載するワークテーブルを右方向に移動して前記受け渡しステージのロボットハンド位置へと移動する。次いで、前記第二クランプ機構の心押台を前進させて前記四角柱状シリコンインゴットブロックを前記第二クランプ機構の主軸台と心押台とで挟持した後、前記ロボットハンドの把持爪を開いて前記四角柱状シリコンインゴットブロックを解放し、前記ロボットハンドを待機位置へ後退させる。
(8)前記四角柱状シリコンインゴットブロックを挟持する第二クランプ機構を搭載する前記ワークテーブルを左方向に移動させ、粗研削ステージへ四角柱状シリコンインゴットブロックを搬入する。
(9)一対のカップホイール型粗研削砥石間に前記第二クランプ機構を搭載するワークテーブルを移動させ、回転している前記四角柱状シリコンインゴットブロックの四隅Rコーナー部を回転している前記一対のカップホイール型粗研削砥石で円筒研削する。
(10)上記円筒研削された四角柱状シリコンインゴットブロックのC軸を回転させて一対のカップホイール型粗研削砥石の刃径方向の面に対する四角柱状シリコンインゴットブロックの面取り加工開始時のC軸芯出しを行う。
(11)回転している前記一対のカップホイール型粗研削砥石間に前記第二クランプ機構を搭載する前記ワークテーブルを移動させ、前記一対のカップホイール型粗研削砥石を前進させて前記四角柱状シリコンインゴットブロックの前後面に切り込みを掛けつつ前記ワークテーブルの移動により四角柱状シリコンインゴットブロックの前後面の面取り加工を行う。
(12)前記四角柱状シリコンインゴットブロックのC軸を90度回転させて前記一対のカップホイール型粗研削砥石の刃径方向面に対する四角柱状シリコンインゴットブロックの加工側面位置を固定する芯出しを行う。
(13)回転している前記一対のカップホイール型粗研削砥石間に前記第二クランプ機構を搭載する前記ワークテーブルを移動させ、前記一対のカップホイール型粗研削砥石をC軸方向に前進させて四角柱状シリコンインゴットブロックの前後面に切り込みを掛けつつ前記ワークテーブルの移動により四角柱状シリコンインゴットブロックの前後面の面取り加工を行なう粗面取り加工を行う。
(14)粗面取り加工が終了した四角柱状シリコンインゴットブロックを挟持する前記第二クランプ機構を搭載する前記ワークテーブルを左方向に移動させ、仕上げ研削ステージへ前記四角柱状シリコンインゴットブロックを搬入する。
(15)一対のカップホイール型仕上げ研削砥石間に第二クランプ機構を搭載するワークテーブルを移動させ、回転している前記四角柱状シリコンインゴットブロックの四隅Rコーナー部を回転している前記一対のカップホイール型仕上げ研削砥石で円筒研削する。
(16)上記円筒研削された四角柱状シリコンインゴットブロックのC軸を回転させて前記一対のカップホイール型仕上げ研削砥石の刃径方向の面に対する研削開始位置決めの芯出しを行う。
(17)回転している前記一対のカップホイール型仕上げ研削砥石間に前記第二クランプ機構を搭載するワークテーブルを移動させ、前記一対のカップホイール型仕上げ研削砥石を前進させて前記四角柱状シリコンインゴットブロックの前後面に切り込みを掛けつつ前記ワークテーブルの移動により四角柱状シリコンインゴットブロックの前後面の面取り加工を行う。
(18)ついで、前記四角柱状シリコンインゴットブロックのC軸を90度回転させて前記一対のカップホイール型仕上げ研削砥石の刃径方向面に対する四角柱状シリコンインゴットブロックの加工側面位置に芯出しする。
(19)回転している前記一対のカップホイール型仕上げ研削砥石間に前記第二クランプ機構を搭載する前記ワークテーブルを移動させ、前記一対のカップホイール型仕上げ研削砥石をC軸方向に前進させて四角柱状シリコンインゴットブロックの前後面に切り込みを掛けつつ前記ワークテーブルの移動により四角柱状シリコンインゴットブロックの前後面の仕上げ面取り加工を行なう。
(20)上記四角柱状シリコンインゴットブロックの前後面の仕上げ面取り加工が終了した後、仕上げ面取り加工された四角柱状シリコンインゴットブロックを挟持する第二クランプ機構を搭載する前記ワークテーブルを左方向に移動させて第二クランプ機構の待機位置ステージ位置に戻す。
(21)前記第二クランプ機構の待機位置ステージ位置にある四側面および四隅Rコーナー部仕上げ研削加工された四角柱状シリコンインゴットブロックの下面をアンローディングステージに在る搬送機構の把持爪で抱かえ把持し、前記第二クランプ機構の心押台を後退させて四角柱状シリコンインゴットブロックの第二クランプ機構による挟持を開放する。
(22)搬送機構の把持爪を複合面取り装置のハウジング外に移送し、アンローディングステージに在るブロックストッカー棚上に前述の四側面および四隅Rコーナー部仕上げ研削加工された四角柱状シリコンインゴットブロックを載置する。
【発明の効果】
【0018】
円筒状インゴットブロックの四側面剥ぎスライシング装置と四角柱状インゴットブロックの四隅Rコーナー部と四側面の研削面取り加工装置間を結ぶライン上にインゴットブロックの受け渡し機構のプッシャ機構を新たに設け、かつ、インゴットのローディング機構とアンローディング機構をそれぞれの装置のクランプ機構待機位置の正面前側に備えさせてインライン化して複合面取り加工装置に設計したので、一方の装置でインゴットブロックの面取り加工をしているときに他方の装置でもインゴット面取り加工が可能となった。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】図1は複合面取り加工装置の平面図である。
【図2】図2は複合面取り加工装置の密閉カバーの前面を取り去った正面図である。
【図3】図3は複合面取り加工装置の仕上げ研削ステージの右側面側を見た一部を切り欠いた右側面図である。
【図4】図4は仕上げ研削ステージの一部を切り欠いた平面図である。
【図5】図5はインゴットブロックの受け渡し機構の背面図である。
【図6】図6はインゴットブロックの受け渡し機構を左側面から見た図を示す。
【図7】図7は複合面取り加工装置を用いて円筒状インゴットブロックを面取り加工して四角柱状インゴットブロックと為すフローを複合面取り加工装置の右側面側から示した図である。
【図8】図8は特願2010−232039号明細書に記載された複合面取り加工装置の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図1および図2に示すインゴットブロックの複合面取り加工装置1は、直径200mm、長さ500mmの円筒状単結晶シリコンインゴットブロックをワークとし、そのローデヂィング工程および四側面剥ぎ取り工程を25分前後で行い、得られた四角柱状インゴットブロックの受け渡しおよび四隅Rコーナー部円筒研削および四側面平面研削工程およびインゴットブロックのアンローディング工程を26〜30分で行うことができる複合面取り加工装置1であって、
a)機枠2上に左右方向に設けられた案内レール3,3上を左右方向に往復移動できるように設けられた一対のワークテーブル4,4’、
b)前記一対のワークテーブル4,4’上に左右に分離して搭載された主軸台7aと心押台7bの一対よりなる第一クランプ機構7と第二クランプ機構7’、
c)前記第一クランプ機構7および第二クランプ機構7’に支架(挟持)されたワークを載せた前記ワークテーブル4,4’を左右方向に往復移動させる駆動機構7am、
d)前記ワークテーブルを複合面取り加工装置の正面側から見る方向であって、かつ、複合面取り加工装置1の右側方向より左側方向へ向かって、
e)円筒状シリコンインゴットブロックのローディングステージ8Rの構成部材のローディング機構13、
f)前記ローディングステージ8Rの背後に設けた前記第一クランプ機構7の待機位置ステージ70、
g)前記第一クランプ機構7のワーク支持軸を挟んで一対の回転切断刃91a,91bをその回転切断刃直径面が相対向するように前記案内レールに対し前後に設けられた円筒状シリコンインゴットブロックの側面剥ぎスライシングステージ90、
h)前記側面剥ぎスライシングステージ90の左横側に設けたロボットハンド81をエアーシリンダ機構により案内ガイド83上を前後に滑走できるテーブル82上に固定したインゴットブロックの受け渡しステージ80、
i)前後移動可能および上下昇降可能な砥石軸の一対11a,11bに軸承されたカップホイール型砥石の一対11g,11gをその砥石面が相対向するようにワークテーブル4を挟んでワークテーブル前後に設けられた粗研削ステージ11、
j)前記粗研削ステージ11の左横側に平行に設けた、前後移動可能および上下昇降可能な砥石軸の一対10a,10bに軸承されたカップホイール型砥石10g,10gの一対をその砥石面が相対向するようにワークテーブル4を挟んでワークテーブル前後に設けられた仕上げ研削ステージ10、
k)前記仕上げ研削ステージ10の左横側位置であって、主軸台7aと心押台7bの一対よりなる前記第二クランプ機構7’の待機位置ステージ60、
l)前記第二クランプ機構7’の待機位置ステージ60の前面側に設けた角柱状シリコンインゴットブロックのアンローディングステージ8Lを構成するワークのアンローディング機構13’、
を設けたシリコンインゴットブロックの複合面取り加工装置1である。
【0021】
なお、円筒状単結晶シリコンインゴットブロック(ワーク)の結晶方位検出機器のレーザー光反射型変位センサーは、図に示されていないが、第一クランプ機構に挟持されたワークのC軸に対し、同一水平面上にあって、測定されるワークの手前45〜55mm離れた位置に設けられる。このレーザー光反射型変位センサーは、ワークがローディングステージ8Rのロードポート8に搬入されるときに障害が生じないよう、旋回式アームを用いて回動可能に取り付けられる。レーザー光反射型変位センサーは、結晶方位測定時は、前記位置に来るよう下方に回動され、非測定時は、ワークがロードポート8に搬入されるときの障害が生じないよう上方に回動して測定待機位置に避難するよう複合面取り加工装置1に取り付けられる。
【0022】
図1および図3に示されるように、前記第一ワークテーブル4は、機枠2に左右方向に延びて敷設された一対の案内レール3,3上を左右方向に往復移動できるように設けてある。このワークテーブル4の左右往復移動は、サーボモータ5による回転駆動をボールネジ6が受けて回転し、このボールネジ6に螺合された固定台6aが左方向または右方向に移動することにより、この固定台表面にワークテーブル4の裏面が固定されているワークテーブル4が左方向または右方向に前進する。ワークテーブル4の左方向または右方向の前進は、サーボモータ5の回転軸が時計廻り方向か、逆時計廻り方向かに依存する。
【0023】
この第一ワークテーブル4上に左右に分離して搭載された主軸台7aと心押台7bの一対よりなる第一クランプ機構7が搭載されている。よって、第一ワークテーブル4の左方向または右方向の移動に付随してこの第一クランプ機構7も左方向または右方向に移動し、クランプ機構7の主軸台センター支持軸(ワークスピンドル軸)7aと心押台センター支持軸7bにより支架されて宙吊り状態となったワーク(シリコンインゴットブロック)wが側面剥ぎスライシングステージ90、またはロードポート8前面位置へと移動することを可能としている。
【0024】
クランプ機構7は公知のチャック機構であり、円筒研削盤で広く一般に使用されている。主軸台7aは主軸台センター支持軸7aをサーボモータ7aで回転させることによりワークwを360度連続回転させてワークの四隅Rコーナー部を面取り加工させる、あるいは、45度または90度回転させて芯出しする機能を有する。心押台7bは空気シリンダー7e駆動でガイドレール上を左右に移動できる移動台7b上に設けられ、ワークをクランプ機構7で支架したのち、レバー7を押し下げることにより固定し、ワークテーブル4の移動により心押台7bを搭載する移動台7bが移動するのを防ぐ。
【0025】
前記側面剥ぎスライシングステージ90、インゴットブロック受け渡しステージ80、粗研削ステージ11および仕上げ研削ステージ10は密閉カバー(ハウジング材)12で覆われている。また、ロードポート8は片手横スライド扉により閉じられる。密閉カバー12で覆われた各研削ステージ10,11および側面剥ぎ加工ステージ90の空間には排気ダクト18が接続され、この空間内に浮遊するミストや研削屑を外部へ排出する。
【0026】
ローディングステージ8Rを構成するインゴットブロック搬入機構13とインゴットストッカー14は、図1および図2に示すように、前記第一ワークテーブル4の前側であって前記ロードポート8と前記第二研削ステージ10との空間部にワークローディング装置13およびインゴットブロック3本を貯えるワークストッカー14,14,14を機枠2上に並設している。インゴットブロック搬入機構13とインゴットストッカー14の構造は、本願特許出願人が先に出願した特願2010−61844号明細書の図5および図7に詳細に開示されている。
【0027】
ワークストッカー14,14,14は、インゴットブロック(ワーク)3本を収納できる断面が逆2等辺三角形状のV字棚段を備え、機枠から突き出した位置決めピン上に載置されている。
【0028】
前記ワークローディング装置13は、ワークストッカー14V字棚段に保管されているインゴットブロック1本を1対の爪で挟持し、両爪を上昇させることによりワークを吊り上げ、ついで、後退、右方向への移動、下降してロードポート8’前に位置させ、さらに後退させることによりこのロードポート8からワークをクランプ装置7の主軸台7aと心押台7b間へと搬入する。ワークの一端を主軸台7aのセンター支持軸7aに当接させた後、心押台7bを空気シリンダー7eで右方向に移動させてセンター支持軸7bに他端を当接させワークを宙吊り状態に支架する。ついで、前記両爪を離間させてワークの把持を開放し、ついで、両爪を支持する固定台を上昇させ、左方向に移動させ、さらに、前方向に後退させ両爪をインゴットブロック搬入機構13の待機位置へと戻す。
【0029】
側面剥ぎスライシングステージ90は、第一クランプ装置7と、この第一クランプ装置7を搭載する第一ワークテーブル4の左右移動案内レール3,3と、この第一クランプ機構の主軸台7aと心押台7bのワーク支持軸7a,7bを挟んで前後移動可能なスピンドル軸92a,92bの一対に軸承された回転切断刃(スライサー刃)の一対91a,91bをその直径面が相対向するようにワークテーブルを挟んでワークテーブル前後に設けられたスライシングヘッド9とから構成される。
【0030】
回転切断刃(外周刃)91a,91bの前後移動は、回転切断刃91a,91bを軸承するスピンドル軸92a,92bを回転させるサーボモータ93m,93mを搭載したツールテーブル94,94を図示されていないモータ駆動ボールネジを回転駆動することにより行われる。このツールテーブル94の前進または後退の移動方向は、モータの回転軸が時計廻り方向か、逆時計廻り方向かに依存する。
【0031】
一対の回転切断刃91a,91bは、一対のスピンドル軸92a,92bに軸承され、これらスピンドル軸は駆動モータ93m,93mにより回転されることにより、回転切断刃91a,91bはワークに対し同一時計廻り方向に50〜7,500min−1の回転速度で回転される(両スピンドル軸の回転方向は互いに逆方向となる)。前記スピンドル軸92a,92bはツールテーブル94,94を前後移動することによりインゴットブロックの面剥ぎ加工開始位置へと移動可能である。ワークテーブル4は、5〜200mm/分の速度で移動可能であり、回転軸92a,92bの昇降は100mmまで上下移動可能である。前記回転切断刃としては、直径が450〜500mm、厚み1〜2mmの鋼板シートの外周縁(厚み1.3〜4.5mm)にダイヤモンド微粒子を電着したダイヤモンドカッターが使用される。
【0032】
ワーク(円柱状インゴットブロック)のC軸を水平方向に挟持する第一クランプ機構7を搭載する第一ワークテーブル4を左方向に移動させることによりワーク端面の前後が一対の回転切断刃91a,91bに当接し、これら回転切断刃により円柱状ワーク前面および後面が円弧状に削ぎ落とされる面剥ぎ加工が行われる。ワーク前後面の面剥ぎ加工が終了したら、第一クランプ機構7の主軸台7aの支持軸を90度回転させ、面剥ぎ加工が為されていないワークの円弧面を前後位置に芯出し(位置決め)し、ついで、第一ワークテーブル4を移動させて前記一対の回転切断刃91a,91bを駆動モータ93m,93mで回転させて残りの面剥ぎ加工を行う。四側面の面剥ぎ加工時間は、直径が200mm、高さが250mmの円柱状単結晶シリコンインゴットブロックで10〜20分、直径が200mm、高さ500mmの円柱状単結晶シリコンインゴットブロックで22〜27分で行うことが可能である。
【0033】
前記インゴットブロック受け渡しステージ80は、第一クランプ装置7と、この第一クランプ装置7を搭載する第一ワークテーブル4の左右移動案内レール3,3と、ロボットハンド81の上下一対の爪85a,85bが同期制御で開閉移動できるロボットハンド81と、第二クランプ機構7’と、この第二クランプ機構7’を搭載する第二ワークテーブル4’の左右移動案内レール3,3とから構成される。
【0034】
前記図1、図5および図6に示すように、上記ロボットハンド81は、株式会社近藤製作所製薄型ロングストローク平行ハンド“HLCシリーズ”(商品名)をエアーシリンダ機構により案内ガイド83上を前後に滑走できるテーブル82上に縦に固定し、前記ロングストローク平行ハンドの上下一対のハンド爪固定フランジ84,84にそれぞれ上下に一対の把持用ハンド爪85a,85bを2組設けた構造を採用した。
【0035】
図1および図6に示す待機位置にあるロボットハンド81は、エアーシリンダ駆動によりテーブル82が案内ガイド83上を前進滑走してインゴットブロック受け渡し位置まで前進移動し、そこで、エアーシリンダを駆動させて上下一対のハンド爪固定フランジ84,84をお互いに接近するように移動させることにより上下のハンド爪85a,85bでインゴットブロックを把持することが可能である。
【0036】
前記ロボットハンド81のハンド爪85a,85bが、第一クランプ機構7に挟持された四側面スライシング加工された四角柱状シリコンインゴットブロックを把持した後、第一クランプ機構7の心押台7bを後退させて第一クランプ機構によるインゴットブロックの固定を開放する。ついで、ロボットハンド81を前記待機位置へ後退させた後、前記第一クランプ機構7を搭載するワークテーブル4を右側方向に移動させ、第一クランプ機構待機位置70で停止させる。
【0037】
ついで、第二クランプ機構待機位置60で待機していた第二クランプ機構7’を搭載するワークテーブル4’を右方向に移動させ、前記インゴットブロック受け渡しステージ80で停止させる。ついで、前記ロボットハンド81を前記第二クランプ機構7’の主軸台7aと心押台7b間に前進させた後、ロボットハンドの一対のハンド爪85a,85bで把持されている前記四角柱状シリコンインゴットブロックを心押台7bの前進により第二クランプ機構7’の主軸台7aと心押台7b間に挟持させる。その後、ロボットハンド81のハンド爪85a,85bを離間して前記四角柱状シリコンインゴットブロックの把持から解放し、ロボットハンド81を待機位置へ後退させる。
【0038】
粗研削ステージ11は、サーボモータ11m,11mの回転駆動により前後移動可能なツールテーブル11t,11t上に設けられた砥石軸の一対11a,11bに軸承されたカップホイール型粗研削砥石の一対11g,11gをその研削砥石面11g,11gが相対向するようにワークテーブル4を挟んでワークテーブル4前後に対称にかつ砥石軸芯11,11が同一線上となる位置に設け、これら砥石軸11a,11bはサーボモータ11,11の回転駆動により回転される構造となっている。これら砥石軸11a,11bは固定板に固定され、この固定板はサーボモータ11m,11mの回転駆動により回転され、コラムの前面に設けられた案内レール上を上下昇降移動可能となっている。これに、前記第二クランプ機構7’と案内レール3,3が加わって粗研削ステージ11を構成する。
【0039】
上記サーボモータ11m,11mによる回転駆動をボールネジが受けて回転し、このボールネジに螺合された固定台が前方向または後方向に前進移動または後退移動することにより、この固定台表面にツールテーブル11t,11tの裏面が固定されているツールテーブル11t,11tが前進または後退する。このツールテーブルの前進または後退の移動方向は、サーボモータ11m,11mの回転軸が時計廻り方向か、逆時計廻り方向かに依存する。
【0040】
粗研削ステージ11は、後で記述する仕上げ研削ステージ10の右横側に各砥石軸10a,11a、10b,11bが平行となるように設けられる。言い換えれば、両研削ステージ10,11の砥石軸芯10,11は平行となるよう設けられる。
【0041】
仕上げ研削ステージ10は、サーボモータ10m,10mの回転駆動により前後移動可能なツールテーブル10t,10t上に設けられた砥石軸の一対10a,10bに軸承されたカップホイール型仕上げ研削砥石の一対10g,10gをその研削砥石面10g,10gが相対向するようにワークテーブル4を挟んでワークテーブル4前後に対称にかつ砥石軸芯10,10が同一線上となる位置に設け、これら砥石軸10a,10bはサーボモータ10,10の回転駆動により回転される構造となっている。これら砥石軸10a,10aは固定板16aに固定され、この固定板16aはサーボモータ10m,10mの回転駆動によりボールネジ16cが回転されることにより、コラム16の前面に設けられた案内レール16b,16b上を固定板16aが上下移動可能となっている。砥石軸10a,10bを昇降可能としたことによりインゴットブロックの研削加工時に一対のカップホイール型仕上げ研削砥石10g,10gの砥石軸芯高さを双方同じ高さとすることも、異なった高さに位置させることもできる。
【0042】
また、前記サーボモータ10m,10mによる回転駆動をボールネジが受けて回転し、このボールネジに螺合された固定台が前方向または後方向に前進または後退することにより、この固定台表面にツールテーブル10t,10tの裏面が固定されているツールテーブル10t,10tが前進移動または後退移動する。このツールテーブルの前進または後退の移動方向は、サーボモータ10m,10mの回転軸が時計廻り方向か、逆時計廻り方向かに依存する。
【0043】
これらに、前記第二クランプ機構7’と案内レール3,3が加わって仕上げ研削ステージ10が構成される。
【0044】
前記粗研削ステージ11で使用するカップホイール型砥石11g,11gの砥番は130〜200で、仕上げ研削ステージ10で使用するカップホイール型砥石10g,10gの砥番は380〜700が好ましい。
【0045】
カップホイール型研削砥石10g,10g,11g,11gのカップ砥石直径またはリング砥石直径は、一辺が150mmの正方形状の太陽電池用シリコン基板を目的とするときは、230〜260mmであり、カップ砥石片10gs,11gsの幅は3〜10mm、リング状砥石幅は5〜15mmがシリコンインゴットブロックの研削焼け防止の観点から好ましい。砥石の中心点から砥石片幅外周の距離(半径)は、カップホイール型粗研削砥石11gの1個とカップホイール型仕上げ研削砥石10g,10gの2個は同一半径であるが、一対のカップホイール型粗研削砥石11g,11gのカップ砥石直径は一方の直径が他方の直径よりも5〜20mm短い方が四隅Rコーナー部粗研削加工時のインゴットブロックのヨーイング(前後側面の振動揺れ)を防ぐ効果の点で好ましい。
【0046】
研削砥石10g,11gの砥粒は、ダイヤモンド砥粒、CBN砥粒が好ましく、結合剤(ボンド)はメタルボンド、ビトリファイドボンド、エポキシレジンボンドがよい。例えば、カップホイール型研削砥石10g,11gは、例えば特開平9−38866号公報、特開2000―94342号公報や特開2004−167617号公報等に開示される有底筒状砥石台金の下部環状輪に砥石刃の多数を研削液が散逸する隙間間隔で環状に配置したカップホイール型砥石で、台金の内側に供給された研削液が前記隙間から散逸する構造のものが好ましい。このカップホイール型砥石10g,11gの環状砥石刃の直径は、角柱状シリコンインゴットの一辺の長さの1.2〜1.5倍の直径であることが好ましい。
【0047】
研削液としては、純水、コロイダルシリカ水分散液、セリア水分散液、SC−1液、SC−2液、あるいは、純水とこれら前記の水分散液または研削液を併用する。なお、研削液としては、環境を考慮した水処理の面から純水のみを利用するのが好ましい。
【0048】
アンロードポート8’は、仕上げ研削ステージ10の左横側であってワークテーブル4’の前側に位置するハウジング材12に開口部を設けることにより形成され、第二クランプ機構待機位置60に在る第二クランプ機構7’に挟持された四角柱状シリコンインゴッロブロクの移出を可能とする。
【0049】
図1に示されるように、前記アンロードポート8’の手前にインゴットブロック搬送機構13’およびインゴットブロック3本を貯えるワークストッカー14’,14’,14’を機枠2上に並設し、アンローディングステージ8Lを構成する。
【0050】
前記インゴットブロック搬送機構13’は、待機位置60に在る第二クランプ機構7’に挟持された四角柱状シリコンインゴッロブロックを1対の爪で把持する。ついで、第二クランプ機構7’の心押台7bを後退させることにより第二クランプ機構7’の四角柱状シリコンインゴットブロック固定を開放した後、インゴットブロック搬送機構13’の両爪を上昇させることにより四角柱状シリコンインゴットブロックを吊り上げ状態とする。
【0051】
ついで、両爪を支持する固定台を上昇させ、両爪を左方向に移動させ、さらに、前方向に後退させ両爪をワークストッカー14’,14’,14’の空棚上方へ移動したのち、下降させて四角柱状シリコンインゴットブロックを前記空棚に載置下後、両爪を離間して四角柱状シリコンインゴットブロックを開放したのち、両爪をインゴットブロック搬送機構13’の待機位置へと戻される。
【0052】
ワークストッカー14’上の面取り加工された四角柱状シリコンインゴットブロックは、台車のテーブル上に載せ替えられ、梱包して基板加工メーカに出荷されるか、次の薄厚基板加工ステージ(マルチワイヤーソウ・カッティング工程)へ移送される。
【実施例】
【0053】
図1および図2で示される複合面取り加工装置1を用い、円筒状シリコンインゴットブロックを四角柱状シリコンインゴットブロックに面取り加工する工程は、次のように実施される。
【0054】
(1)ローディングステージ8Rに在る円筒状インゴットブロックの搬入機構13を用い、ストッカー14上に載置されている被加工物(ワーク)である円筒状シリコンインゴットブロック1本を両爪で把持し、次いで両爪を支持する固定台13fを上昇させ、左方向に移動させ、さらにサーボモータにより回転駆動されたボールネジに裏面を螺合させた前記固定台13fの滑走面13sをコラム側面に設けられた案内レール13g上を滑走させてロードポート8側へ進入させ、ついで、エアーシリンダ13pの駆動により円筒状インゴットブロックを下降させて第一クランプ機構7の回転C軸廻りに回転させる機能を有するエンコーダ付き主軸台7aと心押台7b間に搬入した後、前記心押台を前進させて円筒状シリコンインゴットブロックwを第一クランプ機構7に挟持する。
【0055】
(2)前記挟持された円筒状単結晶シリコンインゴットブロックの前側水平方向に離れて設置したレーザー光反射型変位センサーよりレーザー光を円筒状単結晶シリコンインゴットブロックのC軸に向けて照射し、クランプ装置の主軸台7aのモータによるC軸回転角度をエンコーダで読み取りながらC軸1回転(360度)させる円筒状単結晶シリコンインゴットブロックの回転を行い、回転角度とパルスピークの相関を測定し、高いパルスピークが現れたC軸回転角度を回転切断刃による切断開始角度45度とする前記C軸駆動モータを作動させ、一対の回転切断刃91a,91bに対する前記円筒状シリコンインゴットブロックの切断開始位置の芯出しを行う。
【0056】
(3)前記一対の回転切断刃91a,91bの回転を開始し、これら回転切断刃の方向に前記第一クランプ機構7を搭載するワークテーブル4を移動させて前記一対の回転切断刃による円筒状シリコンインゴットブロックの前後面の切断加工を行う。(図7のa)
【0057】
(4)ついで、円筒状シリコンインゴットブロックのC軸を主軸台7aのモータ駆動により90度回転させる。
【0058】
(5)回転する前記一対の回転切断刃91a,91bの方向に第一クランプ機構を搭載するワークテーブル4を移動させて前記一対の回転切断刃による円筒状シリコンインゴットブロックの前後面の切断加工を行い、四角柱状シリコンインゴットブロックを得る。(図7のb)
【0059】
(6)前記第一クランプ機構を搭載する前記ワークテーブル4をインゴットブロックの受け渡しステージ方向に移動させ、ロボットハンド81を受け渡しステージ80に前進させ、そこでロボットハンド81のハンド爪85a,85bに前記四角柱状シリコンインゴットブロックを把持させる。ついで、前記第一クランプ機構の心押台7bを後退させて前記四角柱状シリコンインゴットブロックの挟持を開放した後、ロボットハンド81を待機位置へ後退させたのち、前記第一クランプ機構を搭載するワークテーブル4を前記第一クランプ機構の待機位置ステージ70の位置へと戻す。
【0060】
(7)第二クランプ機構の待機位置ステージ位置にある第二クランプ機構7’を搭載するワークテーブル4’を右方向に移動して前記受け渡しステージ80のロボットハンド81位置へと移動する。次いで、前記第二クランプ機構の心押台7bを前進させて前記四角柱状シリコンインゴットブロックを前記第二クランプ機構の主軸台7aと心押台7bとで挟持した後、ロボットハンド81のハンド爪85a,85bを開いて前記四角柱状シリコンインゴットブロックの把持を解放した後、前記ロボットハンド81を待機位置へ後退させる。
【0061】
(8)前記四角柱状シリコンインゴットブロックを挟持する第二クランプ機構7’を搭載する前記ワークテーブル4’を左方向に移動させ、粗研削ステージ11へ四角柱状シリコンインゴットブロックを搬入する。
【0062】
(9)粗研削加工ステージ11の一対の砥石軸11a,11bの一方を上昇、他方を下降させて双方の砥石軸芯間高さを50〜220mmとする。ついで、一対のカップホイール型粗研削砥石11g,11g間に前記第二クランプ機構を搭載するワークテーブル4’を移動させ、主軸台7aのC軸駆動モータ駆動で回転している前記四角柱状シリコンインゴットブロックに対して回転している前記砥石軸11a,11bをインゴットブロックの四隅Rコーナー部に摺擦させつつ第二クランプ機構を搭載する前記ワークテーブル4’を左方向に移動させて前記一対のカップホイール型粗研削砥石11g,11gによる前四角柱状シリコンインゴットブロックの四隅Rコーナー部円筒研削加工を実施する。取り代量は0.01〜1.0mmである。(図7のc)
【0063】
(10)上記四隅Rコーナー部円筒研削された四角柱状シリコンインゴットブロックのC軸を回転させて一対のカップホイール型粗研削砥石11g,11gの刃径方向の面に対する四角柱状シリコンインゴットブロックの面取り加工開始時のC軸芯出しを行う。
【0064】
(11)回転している前記一対のカップホイール型粗研削砥石11g,11g間に前記第二クランプ機構を搭載する前記ワークテーブル4’を移動させ、前記一対のカップホイール型粗研削砥石11g,11gを前進させて前記四角柱状シリコンインゴットブロックの前後面に切り込みを掛けつつ前記ワークテーブルの移動により四角柱状シリコンインゴットブロックの前後面の面取り加工を行う。取り代量は0.5〜1.5mmである。(図7のd)
【0065】
(12)前記四角柱状シリコンインゴットブロックのC軸を90度回転させて前記一対のカップホイール型粗研削砥石11g,11gの刃11gs径方向面に対する四角柱状シリコンインゴットブロックの加工側面位置を固定する芯出しを行う。
【0066】
(13)回転している前記一対のカップホイール型粗研削砥石11g,11g間に前記第二クランプ機構を搭載する前記ワークテーブル4’を移動させ、前記一対のカップホイール型粗研削砥石11g,11gをC軸方向に前進させて四角柱状シリコンインゴットブロックの前後面に切り込みを掛けつつ前記ワークテーブル4’の移動により四角柱状シリコンインゴットブロックの前後面の面取り加工を行なう粗面取り加工を行う。取り代量は0.5〜1.5mmである。(図7のe)
【0067】
(14)粗面取り加工が終了した四角柱状シリコンインゴットブロックを挟持する前記第二クランプ機構を搭載する前記ワークテーブル4’を左方向に移動させ、仕上げ研削ステージ10へ前記四角柱状シリコンインゴットブロックを搬入する。
【0068】
(15)仕上げ研削加工ステージ11の一対の砥石軸10a,10bの一方を上昇、他方を下降させて双方の砥石軸芯間高さを50〜220mmとする。ついで、一対のカップホイール型仕上げ研削砥石10g,10g間に第二クランプ機構を搭載するワークテーブル4’を移動させつつ、一対のカップホイール型仕上げ研削砥石10g,10gをC軸方向に前進させて四角柱状シリコンインゴットブロックの前後面に切り込みを掛けて前記回転している前記四角柱状シリコンインゴットブロックの四隅Rコーナー部を回転している前記一対のカップホイール型仕上げ研削砥石10g,10gで四隅Rコーナー部円筒研削加工する。取り代量は0.5〜2μmである。(図7のf)
【0069】
(16)上記円筒研削された四角柱状シリコンインゴットブロックのC軸を回転させて前記一対のカップホイール型仕上げ研削砥石の刃10gs径方向の面に対する研削開始位置決め(芯出し)を行う。
【0070】
(17)回転している前記一対のカップホイール型仕上げ研削砥石10g,10g間に前記第二クランプ機構を搭載するワークテーブル4’を移動させ、前記一対のカップホイール型仕上げ研削砥石を前進させて前記四角柱状シリコンインゴットブロックの前後面に切り込みを掛けつつ前記ワークテーブルの移動により四角柱状シリコンインゴットブロックの前後面の面取り加工を行う。取り代量は1〜3μmである。(図7のg)
【0071】
(18)ついで、前記四角柱状シリコンインゴットブロックのC軸を90度回転させて前記一対のカップホイール型仕上げ研削砥石10g,10gの刃径方向面に対する四角柱状シリコンインゴットブロックの加工側面位置に芯出しする。
【0072】
(19)回転している前記一対のカップホイール型仕上げ研削砥石間に前記第二クランプ機構を搭載する前記ワークテーブルを移動させ、前記一対のカップホイール型仕上げ研削砥石をC軸方向に前進させて四角柱状シリコンインゴットブロックの前後面に切り込みを掛けつつ前記ワークテーブルの移動により四角柱状シリコンインゴットブロックの前後面の仕上げ面取り加工を行なう。取り代量は1〜3μmである。(図7のh)
【0073】
(20)上記四角柱状シリコンインゴットブロックの前後面の仕上げ面取り加工が終了した後、仕上げ面取り加工された四角柱状シリコンインゴットブロックを挟持する第二クランプ機構7’を搭載する前記ワークテーブル4’を左方向に移動させて第二クランプ機構の待機位置ステージ60位置に戻す。
【0074】
(21)前記第二クランプ機構の待機位置ステージ60位置にある四側面および四隅Rコーナー部仕上げ研削加工された四角柱状シリコンインゴットブロックw’の下面をアンローディングステージ8Lに在るインゴットブロック搬送機構13’の把持爪で抱かえ把持し、前記第二クランプ機構の心押台7bを後退させて四角柱状シリコンインゴットブロックの第二クランプ機構7’による挟持を開放する。
【0075】
(22)インゴットブロック搬送機構13’の把持爪を前記複合面取り装置1のハウジング12外に移動させ、アンローディングステージ8Lに在るブロックストッカー14棚上に前述の四側面および四隅Rコーナー部仕上げ研削加工された四角柱状シリコンインゴットブロックを載置する。
【0076】
なお、上述の(1)乃至(22)工程の加工方法の実施例は、粗研削ステージ11および仕上げ研削ステージ10において、四角柱状単結晶シリコンインゴットブロックの四隅Rコーナー部の円筒研削加工を行った後に、四角柱状単結晶シリコンインゴットブロックの四側面取り研削加工を行う例を示したが、四角柱状単結晶シリコンインゴットブロックの四側面取り研削加工を行った後に、四角柱状単結晶シリコンインゴットブロックの四隅Rコーナー部の円筒研削加工を行ってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0077】
本発明の複合面取り加工装置1は、インゴットブロックのクランプ機構を一対7,7’用い、かつ、スライシングステージ90と研削面取り加工ステージ11間を結ぶライン上にインゴットブロック受け渡しステージ80を新たに設け、インゴットブロックのローディングステージ8Lとアンローディングステージ8Lをそれぞれ前記クランプ機構待機位置70,60の正面前側に備えさせた構造を採用することにより、インゴットブロックの回転切断刃による面剥ぎ加工および、インゴットブロックの研削砥石による四隅Rコーナー部円筒研削加工、側面研削加工を同時に行うことが可能である。よって、直径200mm、長さ500mmの円筒状単結晶シリコンインゴットブロック1本を四角柱状インゴットブロックに成形するスループット時間は26〜30分と計算され、生産性の高い複合面取り加工装置1である。また、直径200mm、長さ500mmの円筒状多結晶シリコンインゴットブロック1本を四角柱状インゴットブロックに成形する四側面剥ぎ工程は約10分、研削加工工程は10〜12分であり、スループット時間は10〜12分と計算される。
【符号の説明】
【0078】
1 複合面取り加工装置
C C軸(クランプ装置のワーク回転軸)
w 円筒状シリコンインゴットブロック(ワーク)
3 案内レール
4,4’ ワークテーブル
7,7’ クランプ機構
7a 主軸台
7b 心押台
8 ロードポート
8’アンロードポート
10 仕上げ研削ステージ
11 粗研削ステージ
10a,10b,11a,11b 砥石軸
10g 仕上げ研削砥石
11g 粗研削砥石
13 インゴットブロック搬入機構
13’インゴットブロック搬送機構
14 ワークストッカー
60 第二クランプ機構待機位置ステージ
70 第一クランプ機構待機位置ステージ
80 インゴットブロック受け渡しステージ
81 ロボットハンド
90 側面剥ぎスライシングステージ
91a,91b 回転切断刃(外周刃)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)機枠上に左右方向に設けられた案内レール上を左右方向に往復移動できるように設けられた一対のワークテーブル、
b)前記一対のワークテーブル上に左右に分離して搭載された主軸台と心押台の一対よりなる第一クランプ機構と第二クランプ機構、
c)前記第一および第二クランプ機構に支架されたワークを載せた前記ワークテーブルを左右方向に往復移動させる駆動機構、
d)前記ワークテーブルを複合面取り加工装置の正面側から見る方向であって、かつ、右側方向より左側方向へ向かって、
e)円筒状シリコンインゴットブロックのローディングステージ、
f)前記ローディングステージの背後に設けた前記第一クランプ機構の待機位置ステージ、
g)前記第一クランプ機構のワーク支持軸を挟んで一対の回転切断刃をその回転切断刃直径面が相対向するように前記案内レールに対し前後に設けられた円筒状シリコンインゴットブロックの側面剥ぎスライシングステージ、
h)前記スライシングステージの左横側に設けたインゴットブロックの受け渡しステージ、
i)前後移動可能および上下昇降可能な砥石軸の一対に軸承されたカップホイール型砥石の一対をその砥石面が相対向するようにワークテーブルを挟んでワークテーブル前後に設けられた粗研削ステージ、
j)前記粗研削ステージの左横側に平行に設けた、前後移動可能および上下昇降可能な砥石軸の一対に軸承されたカップホイール型砥石の一対をその砥石面が相対向するようにワークテーブルを挟んでワークテーブル前後に設けられた仕上げ研削ステージ、
k)前記仕上げ研削ステージの左横側位置であって、主軸台と心押台の一対よりなる前記第二クランプ機構の待機位置ステージ、
および、
l)前記第二クランプ機構の待機位置ステージの前面側に設けた角柱状シリコンインゴットブロックのアンローディングステージ、
を設けたことを特徴とするシリコンインゴットブロックの複合面取り加工装置。
【請求項2】
請求項1記載の複合面取り加工装置を用い、下記の工程を経て、円筒状シリコンインゴットブロックを角柱状シリコンインゴットブロックに面取り加工する方法。
(1)ローディングステージに在る搬入機構を用い、被加工物である円筒状シリコンインゴットブロックを第一クランプ機構の回転C軸廻りに回転させる機能を有するエンコーダ付き主軸台と心押台間に搬入し、ついで、前記心押台を前進させて円筒状シリコンインゴットブロックを第一クランプ機構に挟持する。
(2)前記第一クランプ機構の主軸台のC軸駆動モータを作動させ、一対の回転切断刃に対する前記円筒状シリコンインゴットブロックの切断開始位置の芯出しを行う。
(3)回転する前記一対の回転切断刃の方向に前記第一クランプ機構を搭載するワークテーブルを移動させて前記一対の回転切断刃による円筒状シリコンインゴットブロックの前後面の切断加工を行う。
(4)ついで、円筒状シリコンインゴットブロックのC軸を90度回転させる。
(5)回転する前記一対の回転切断刃の方向に第一クランプ機構を搭載するワークテーブルを移動させて前記一対の回転切断刃による円筒状シリコンインゴットブロックの前後面の切断加工を行い、四角柱状シリコンインゴットブロックを得る。
(6)前記第一クランプ機構を搭載する前記ワークテーブルをインゴットブロックの受け渡しステージ方向に移動させ、受け渡しステージにロボットハンドを前進させロボットハンドの把持爪を閉じて前記四角柱状シリコンインゴットブロックを把持させ、ついで、前記第一クランプ機構の心押台を後退させて前記四角柱状シリコンインゴットブロックの挟持を開放した後、前記ロボットハンドを待機位置へ後退させる。その後、前記第一クランプ機構を搭載するワークテーブルを前記第一クランプ機構の待機位置ステージ位置へと戻した後、前記ロボットハンドを前記受け渡しステージに前進させる。
(7)第二クランプ機構の待機位置ステージ位置にある第二クランプ機構を搭載するワークテーブルを右方向に移動して前記受け渡しステージのロボットハンド位置へと移動する。次いで、前記第二クランプ機構の心押台を前進させて前記四角柱状シリコンインゴットブロックを前記第二クランプ機構の主軸台と心押台とで挟持した後、前記ロボットハンドの把持爪を開いて前記四角柱状シリコンインゴットブロックを解放し、前記ロボットハンドを待機位置へ後退させる。
(8)前記四角柱状シリコンインゴットブロックを挟持する第二クランプ機構を搭載する前記ワークテーブルを左方向に移動させ、粗研削ステージへ四角柱状シリコンインゴットブロックを搬入する。
(9)一対のカップホイール型粗研削砥石間に前記第二クランプ機構を搭載するワークテーブルを移動させ、回転している前記四角柱状シリコンインゴットブロックの四隅Rコーナー部を回転している前記一対のカップホイール型粗研削砥石で円筒研削する。
(10)上記円筒研削された四角柱状シリコンインゴットブロックのC軸を回転させて一対のカップホイール型粗研削砥石の刃径方向の面に対する四角柱状シリコンインゴットブロックの面取り加工開始時のC軸芯出しを行う。
(11)回転している前記一対のカップホイール型粗研削砥石間に前記第二クランプ機構を搭載する前記ワークテーブルを移動させ、前記一対のカップホイール型粗研削砥石を前進させて前記四角柱状シリコンインゴットブロックの前後面に切り込みを掛けつつ前記ワークテーブルの移動により四角柱状シリコンインゴットブロックの前後面の面取り加工を行う。
(12)前記四角柱状シリコンインゴットブロックのC軸を90度回転させて前記一対のカップホイール型粗研削砥石の刃径方向面に対する四角柱状シリコンインゴットブロックの加工側面位置を固定する芯出しを行う。
(13)回転している前記一対のカップホイール型粗研削砥石間に前記第二クランプ機構を搭載する前記ワークテーブルを移動させ、前記一対のカップホイール型粗研削砥石をC軸方向に前進させて四角柱状シリコンインゴットブロックの前後面に切り込みを掛けつつ前記ワークテーブルの移動により四角柱状シリコンインゴットブロックの前後面の面取り加工を行なう粗面取り加工を行う。
(14)粗面取り加工が終了した四角柱状シリコンインゴットブロックを挟持する前記第二クランプ機構を搭載する前記ワークテーブルを左方向に移動させ、仕上げ研削ステージへ前記四角柱状シリコンインゴットブロックを搬入する。
(15)一対のカップホイール型仕上げ研削砥石間に第二クランプ機構を搭載するワークテーブルを移動させ、回転している前記四角柱状シリコンインゴットブロックの四隅Rコーナー部を回転している前記一対のカップホイール型仕上げ研削砥石で円筒研削する。
(16)上記円筒研削された四角柱状シリコンインゴットブロックのC軸を回転させて前記一対のカップホイール型仕上げ研削砥石の刃径方向の面に対する研削開始位置決めの芯出しを行う。
(17)回転している前記一対のカップホイール型仕上げ研削砥石間に前記第二クランプ機構を搭載するワークテーブルを移動させ、前記一対のカップホイール型仕上げ研削砥石を前進させて前記四角柱状シリコンインゴットブロックの前後面に切り込みを掛けつつ前記ワークテーブルの移動により四角柱状シリコンインゴットブロックの前後面の面取り加工を行う。
(18)ついで、前記四角柱状シリコンインゴットブロックのC軸を90度回転させて前記一対のカップホイール型仕上げ研削砥石の刃径方向面に対する四角柱状シリコンインゴットブロックの加工側面位置に芯出しする。
(19)回転している前記一対のカップホイール型仕上げ研削砥石間に前記第二クランプ機構を搭載する前記ワークテーブルを移動させ、前記一対のカップホイール型仕上げ研削砥石をC軸方向に前進させて四角柱状シリコンインゴットブロックの前後面に切り込みを掛けつつ前記ワークテーブルの移動により四角柱状シリコンインゴットブロックの前後面の仕上げ面取り加工を行なう。
(20)上記四角柱状シリコンインゴットブロックの前後面の仕上げ面取り加工が終了した後、仕上げ面取り加工された四角柱状シリコンインゴットブロックを挟持する第二クランプ機構を搭載する前記ワークテーブルを左方向に移動させて第二クランプ機構の待機位置ステージ位置に戻す。
(21)前記第二クランプ機構の待機位置ステージ位置にある四側面および四隅Rコーナー部仕上げ研削加工された四角柱状シリコンインゴットブロックの下面をアンローディングステージに在る搬送機構の把持爪で抱かえ把持し、前記第二クランプ機構の心押台を後退させて四角柱状シリコンインゴットブロックの第二クランプ機構による挟持を開放する。
(22)搬送機構の把持爪を複合面取り装置のハウジング外に移送し、アンローディングステージに在るブロックストッカー棚上に前述の四側面および四隅Rコーナー部が仕上げ研削加工された四角柱状シリコンインゴットブロックを載置する。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−121082(P2012−121082A)
【公開日】平成24年6月28日(2012.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−272085(P2010−272085)
【出願日】平成22年12月7日(2010.12.7)
【出願人】(391011102)株式会社岡本工作機械製作所 (161)
【Fターム(参考)】