説明

処理装置

【課題】ダウンフローを発生させるための機構を簡素化した処理装置を提供すること。
【解決手段】ダウンフローを発生させる気流発生手段150と、循環経路部材200内に配設され、ダウンフローを発生させる気体に含まれるミストを気体から分離させるミスト分離手段240と、循環経路部材200内に配設され、ミスト分離手段240によって分離されて液化したミストを回収する廃液口213と、を有し、ダウンフローを発生させる気体を処理チャンバー100と循環経路部材200との間で、循環させるようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は処理装置に関し、さらに詳しくは、回転させたワークに洗浄水を供給して洗浄する処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、半導体デバイスの製造工程においては、半導体ウェーハの表面に格子状に配列された多数の領域にIC、LSI等を作り込み、各領域を区画する分割予定ライン(切断ライン)に沿ってダイシングすることにより、個々の半導体チップに分割している。その後、分割された半導体チップは、洗浄装置で洗浄される。
【0003】
この洗浄装置としては、ケーシング内の洗浄室に設けたスピンナテーブルに半導体ウェーハを保持し、ケーシングの上方を遮蔽体で閉塞した状態で、スピンナテーブルを回転させ、半導体ウェーハの上面に洗浄水を供給するものがある。このような洗浄装置では、洗浄室内にダウンフローを発生させてスピンナテーブルから巻き起こった汚れた噴霧が洗浄室外へ広がることを防止することが求められる。しかし、単純に洗浄室に天井を設けるだけでは、天井に付着した水滴が滴下して半導体ウェーハに再付着する問題もある。そこで、洗浄室内のスピンナテーブルの上方にエアブロワを配置し、このエアブロワから下向きかつスピンナテーブルの回転方向に沿った方向に空気を噴出させて、発生するミストを下方に押さえ込み、さらに、ケーシングの下部に接続した排気管からミストを外部に排出するようにした洗浄装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−260094号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記の洗浄装置では、スピンナテーブルから巻き起こった噴霧が洗浄装置の洗浄室外へ広がることを防止することができるものの、従来の排気機構に加えてブロー機構が必要となり機構的に複雑となっており、改善が求められていた。
【0006】
この発明は、上記に鑑みてなされたものであって、ダウンフローを発生させるための機構を簡素化した処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、鉛直方向を回転軸としてワークを回転可能に保持する保持テーブルと、該保持テーブルに保持されたワークに液体を供給する液体供給手段と、該保持テーブルと該液体供給手段とを囲む処理チャンバーと、を有する処理装置であって、該処理チャンバーの下部に下端が接続され該処理チャンバーの上部に上端が接続された循環経路と、該循環経路の上端から気体を取り込んで該処理チャンバー内の該保持テーブルの上面よりも上方から下方へ向けて流し、該処理チャンバー内にダウンフローを発生させる気流発生手段と、該循環経路内に配設され、ダウンフローを発生させる気体に含まれるミストを気体から分離させるミスト分離手段と、該循環経路内に配設され、該ミスト分離手段によって分離されて液化したミストを回収する廃液口と、を有し、ダウンフローを発生させる気体を該処理チャンバーと該循環経路との間で、該気流発生手段と該ミスト分離手段とを介して循環させることを特徴とする。
【0008】
また、この発明にかかる処理装置は、上記の発明において、該循環経路内に配設され、ダウンフローを発生させる気体の湿度を調整する湿度調整手段を有し、ダウンフローを発生させる気体を該処理チャンバーと該循環経路との間で、該気流発生手段と該ミスト分離手段と該湿度調整手段とを介して循環させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
この発明によれば、処理チャンバー内にクリーンな状態でダウンフローを発生させるために、排気機構を用いずに、気流発生手段のみを用いた簡素化された処理装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】図1は、この発明の実施の形態に係る処理装置の斜視図である。
【図2】図2は、この発明の実施の形態に係る処理装置の分解斜視図である。
【図3】図3は、この発明の実施の形態に係る処理装置を下部筐体と上部筐体と循環経路部材とに分解した状態を示す分解斜視図である。
【図4】図4は、図1のIV−IV断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、本発明の実施の形態に係る処理装置について図面を参照して説明する。この処理装置は、ワークとしての半導体ウェーハを洗浄する処理装置(洗浄装置)に本発明を適用したものである。
【0012】
図1に示すように、この実施の形態に係る処理装置1は、処理チャンバー100と、この処理チャンバー100に連通するように処理チャンバー100の側部に設けられた循環経路部材200と、を備えて構成されている。
【0013】
図2に示すように、処理チャンバー100は、略直方体形状の下部筐体110と、この下部筐体110に収納される気流制御板120と、回転軸部131が鉛直方向に沿うように設けられ、かつ半導体ウェーハWを回転可能に保持する円板状の保持テーブル130と、保持テーブル130の上面に液体としての洗浄水を供給する液体供給手段140と、保持テーブル130の上方に配置される気流発生手段150と、この気流発生手段150を収納する上部筐体160と、を備える。
【0014】
図1および図2に示すように、下部筐体110の高さ方向の中間位置には、内部空間を上下に仕切るように仕切り板111が配設されている。下部筐体110の上端は、後述する上部筐体160の下端開口部161と接合される上部開口部115となっている。そして、下部筐体110における下部仕切り板111の上側の凹部空間が、チャンバー下部空間112となっている。また、この下部仕切り板111の中央には、保持テーブル130の回転軸部131が嵌合する回転軸挿入口113が開設されている。
【0015】
下部筐体110におけるチャンバー下部空間112の四方を囲む周壁114の一つには、上記循環経路部材200の下端が接続される矩形状の排気口114Aが開設されている。
【0016】
図2に示すように、気流制御板120の中央には、保持テーブル130の回転軸部131を嵌合する開口部121が開設されている。また、気流制御板120には、開口部121を取り囲む、開口部121と同心円の円弧に沿って複数の通気孔122が形成されている。図3および図4に示すように、この気流制御板120は、下部筐体110におけるチャンバー下部空間112を上下に区画するように、排気口114Aの上縁よりも上に位置するように設けられている。
【0017】
通気孔122は、排気口114Aから遠い領域から排気口114Aに近づくに従って開口面積が漸次小さくなるように設定されている。このように、通気孔122の開口面積を設定したことにより、気流制御板120の全領域でほぼ均等に通気を行えるようになっている。
【0018】
図2〜4に示すように、保持テーブル130の周縁部には、半導体ウェーハWを保持する複数のクランプ132が設けられている。保持テーブル130は、気流制御板120の開口部121に挿通される回転軸部131の上端に、回転自在に支持されている。
【0019】
また、この回転軸部131は、複数の筒状体を組み合わせたテレスコープ構造のような伸縮する機構を有している。この回転軸部131が伸びることにより、保持テーブル130はワークの受け渡し位置まで上昇可能となっている。また、回転軸部131を縮めることにより、保持テーブル130をチャンバー下部空間112内に設定された所定の洗浄位置まで下降させることができるようになっている。下部筐体110の仕切り板111の下方には、回転軸部131を伸縮させて保持テーブル130を昇降させるモータ等を有する図示しない昇降手段や、図示しない回転伝達機構を介して保持テーブル130の回転軸部131を回転駆動する、図示しないテーブル回転駆動手段等が配置されている。
【0020】
保持テーブル130は、上記のように回転軸部131の伸縮によって昇降するが、下降して洗浄位置に配置されたときに回転可能であればよい。したがって、保持テーブル130が洗浄位置に配置されたときに、図示しない回転伝達機構が保持テーブル130を回転軸部131に回転伝達可能に接続されるような構成としている。
【0021】
下部筐体110側には、保持テーブル130の保持面(上面)に保持された半導体ウェーハWの上面に、洗浄水を噴出させる液体供給手段140が設けられている。ここで、洗浄水としては、純水、あるいは静電気防止のためにCO入りの純水が用いられる。
【0022】
この液体供給手段140は、保持テーブル130の側方に配置された立ち上がり部141と、この立ち上がり部141の上端から保持テーブル130の保持面と平行をなす配管部142と、配管部142の先端が下向きに折り曲げられたノズル部142Aとから構成されている。なお、図示はしていないが、下部筐体110における下部仕切り板111の下方には、洗浄水を液体供給手段140に供給するための洗浄水容器が配置され、図示しない配管を介して供給されるようになっている。また、立ち上がり部141は、回転駆動されて配管部142を揺動させて半導体ウェーハWに対して洗浄水を均一に噴出できるようになっている。そして、配管部142は、保持テーブル130の昇降動作に伴い、干渉しない退避位置へ移動するように設定されている。
【0023】
図4に示すように、気流発生手段150は、ファン回転駆動手段(図示省略する)で回転されるファン151と、このファン151を収納するユニットケーシング152と、このユニットケーシング152におけるファン151よりも下流側に配置されたフィルター153と、を備えて構成されている。なお、ユニットケーシング152は、上部筐体160の下流端に嵌合されている。
【0024】
本実施の形態では、フィルター153として、HEPAフィルターを用いている。このHEPAフィルターは、定格流量で粒径が0.3μmの粒子に対して99.97%以上の粒子捕集率を持ち、かつ初期圧力損出が245Pa以下の性能を持つエアフィルターである。
【0025】
図2〜4に示すように、上部筐体160は、下部筐体110の上端部の上部開口部115と突き合わせて接合される下端開口部161を備え気流発生手段収納部162と、この気流発生手段収納部162の上に連通する吸気側接続部164と、を備えて構成されている。気流発生手段収納部162には、気流発生手段150が収納されている。この上部筐体160の内部は、チャンバー上部空間163となっている。
【0026】
図4に示すように、これら気流発生手段収納部162とこの吸気側接続部164は、隔壁165を介して区画されているが、隔壁165の中央に形成した開口部165Aを介して連通している。そして、この吸気側接続部164の一側面には、循環経路部材200の上部開口部212が接続される吸気側開口部166が形成されている。なお、この吸気側開口部166は、上部筐体160における、下部筐体110に形成された排気口114Aと同じ側に形成されている。
【0027】
図1〜3に示すように、上部筐体160における気流発生手段収納部162における側壁のうち、上記吸気側開口部166と異なる側の側壁には、気流発生手段150の装着位置の下側にワーク出し入れ口167が開設されている。
【0028】
処理チャンバー100においては、チャンバー下部空間112とチャンバー上部空間163とでチャンバー内空間を形成している。
【0029】
図1〜4に示すように、循環経路部材200は、底部に廃液口213が形成された略角筒形状の部材本体210と、廃液口213に連通するように部材本体210に接続された廃液排出管220と、を備える。
【0030】
図4に示すように、部材本体210の下部には、一側面側で開口する下部開口部211が形成されている。部材本体210の上部には、下部開口部211と同じ向きに開口する上部開口部212が形成されている。部材本体210の下部開口部211は、処理チャンバー100の排気口114Aに連通するように接続されている。また、部材本体210の上部開口部212は、処理チャンバー100の吸気側開口部166と連通するように接続されている。
【0031】
また、部材本体210における下部開口部211より上方には、ミスト分離手段230が設けられている。さらに、部材本体210におけるミスト分離手段230上方には、湿度調整手段240が設けられている。
【0032】
図4に示すように、ミスト分離手段230は、部材本体210内において対向する側壁へ向けて分離用板231,232を互い違いに設けたものである。湿度調整手段240は、周知の加湿器や除湿器等を備えたものを適用することができる。
【0033】
次に、この処理装置1の作用・動作について説明する。ワーク出し入れ口167から、ダイシングが施された半導体ウェーハWを保持テーブル130の上に載置し、クランプ132で保持させる。そして、図示しない遮蔽手段によりワーク出し入れ口167を閉塞する。なお、この段階では、半導体ウェーハWは、分割されたチップが粘着テープ等により一体的に保持されている形態である。
【0034】
次いで、保持テーブル130を所定の洗浄位置まで下降させた後、図示しないファン回転駆動手段により、気流発生手段150のファン151を回転させてダウンフローを発生させる。そして、図示しないテーブル回転駆動手段により回転軸部131を介して保持テーブル130を回転させる。同時に、液体供給手段140は、立ち上がり部141が回転駆動されて配管部142を揺動させながらノズル部142Aから洗浄水を半導体ウェーハWへ向けて噴射する。
【0035】
ノズル部142Aから噴射された洗浄水は、半導体ウェーハWを洗浄し、粉塵等を含んだ状態で気流制御板120の通気孔122を通った後、仕切り板111上を流れて循環経路部材200の廃液口213を介して廃液排出管220へ排出される。気流発生手段150のファン151から破線の矢印A1で示すようなダウンフローが発生することにより、保持テーブル130から巻き上げられそうになるミストの混じった空気を下方へ搬送することができる。
【0036】
保持テーブル130の側方を抜ける空気の流れ(破線の矢印A2で示す)は、気流制御板120を通って排気口114A側へ向かう空気の流れ(破線の矢印A3で示す)となる。ここで、気流制御板120に形成された通気孔122は、排気口114Aに近くなるほど小さくなるように設定されているため、排気口114Aに近接した領域を通過する空気の流れが多くなることを防止でき、気流制御板120全体に亘り均等に空気が通過させることができる。
【0037】
気流制御板120を通過した空気の流れ(破線の矢印A3で示す)は、排気口114A側へ搬送され、循環経路部材200の下部開口部211より循環経路部材200内へ流通される。この下部開口部211より導入された空気の流れ(破線の矢印A4で示す)は、ミスト分離手段230へ導かれる。
【0038】
ミスト分離手段230では、互いに対向する側壁へ向けて互い違いに設けられた分離用板231,232をジグザグ状に回り込むような空気の流れ(破線の矢印A5で示す)とすることでミストを分離して滴下させることで、循環経路部材200の下端の廃液口213を介して廃液排出管220へ排出することができる。
【0039】
ミスト分離手段230で洗浄液のミストが分離された空気の流れ(破線の矢印A6で示す)は、湿度調整手段240を通過することで湿度調整が行われて、適切な湿度の空気の流れ(矢印A7で示す)となる。なお、湿度調整手段240は、周知の加湿器や除湿器等を備えおり、湿度調整手段240を通過する空気の湿度を検出することにより自動的に所定の湿度になるように加湿または除湿が行われるようになっている。
【0040】
湿度調整手段240を通過した空気の流れ(矢印A7で示す)は、ファン151による吸引作用により、隔壁165に形成した開口部165Aを通過する空気の流れ(矢印A8で示す)となって吸引され、フィルター153を経てダウンフロー(矢印A1で示す)となる。半導体ウェーハWに向けて吹き付けられる空気の流れ(矢印A1で示す)は、フィルター153を通過することで微細な塵が捕捉されるため、清浄な空気の流れとなり、半導体ウェーハWに塵等が付着することを防止できる。
【0041】
この処理装置1では、洗浄工程が所定時間経過した後、洗浄水の供給を停止し、保持テーブル130の回転を継続して遠心力により半導体ウェーハWから洗浄水を吹き飛ばし、さらに乾燥させることができる。
【0042】
このようにして、半導体ウェーハWの洗浄・乾燥が終了した後は、再度保持テーブル130を上昇させて、ワーク出し入れ口167から半導体ウェーハWを取り出せばよい。
【0043】
この実施の形態に係る処理装置1では、ダウンフローを発生させるための機構が気流発生手段150だけでよく、循環経路部材200を介して空気を循環させることができ、従来よりも簡素化した構成とすることができる。
【0044】
また、通常、HEPAフィルターを用いた場合、外気の環境によってフィルター153の寿命が異なるが、この実施の形態に係る処理装置1のように、気体を循環使用することにより、外気の環境に影響されずに安定してフィルター153の長寿命使用が可能となる。
【0045】
さらに、ミスト分離手段230を循環経路部材200内に配置することでミストを分離し、ミスト分離手段230で分離された洗浄水を排出することで、気体(空気)を循環させることが可能となり、別途、排気手段を必要としない構成となっている。
【0046】
この実施の形態に係る処理装置1では、上記のように気体を循環させるため、湿度の調整が容易になり、湿度を調整することで洗浄乾燥時の静電気の発生を抑えることができる。因みに、湿度は55%以上で静電気の発生を抑制することに有効であり、好ましくは、60%前後であることが好ましい。
【0047】
さらに、この実施の形態に係る処理装置1では、面内で均一な吸引排気を行う気流制御板120を用いているため、保持テーブル130の側方を抜ける空気の流れ(図4において矢印A5で示す)を均一化でき、局所的にミスト状の洗浄液や微細な塵等が半導体ウェーハWの上方へ舞い上げられることを防止できる。したがって、半導体ウェーハWに再度塵等が付着することを防止できる。
【0048】
(その他の実施の形態)
以上、この発明の実施の形態について説明したが、上記の実施の形態の開示の一部をなす論述および図面はこの発明を限定するものではない。この開示から当業者に様々な代替実施の形態、実施例および運用技術が明らかとなろう。
【0049】
例えば、上記の実施の形態に処理装置1は、スピン洗浄機にこの発明を適用したが、半導体ウェーハW等の上に均一に保護膜をコーティングするための保護膜スピンコーター等にこの発明を適用することも可能である。このように保護膜スピンコーター等にこの発明を適用する場合には、湿度調整手段を備えない構成としてもよい。
【0050】
なお、上記の実施の形態では、半導体ウェーハWとして、例えばシリコンウェーハ(Si)、ガリウムヒ素ウェーハ(GaAs)、シリコンカーバイド(SiC)等を挙げることができる。また、ワークとしては、半導体ウェーハの他に、半導体製品のパッケージ、セラミック、ガラス、サファイア(Al)系の無機材料基板、液晶ディスプレイドライバ等の各種電子部品、板状金属や樹脂の延性材料等の各種加工材料を挙げることができる。
【0051】
また、この実施の形態に係る処理装置1は、保持テーブル130で洗浄・乾燥を行うようにしたが、少なくとも洗浄できる構成であれば、これに限定されるものではない。
【0052】
さらに、上記の実施の形態では、保持テーブル130が洗浄位置に配置されたときに回転可能となる構成であるが、保持テーブル130の昇降動作にかかわらず、常に回転伝達機構が回転駆動手段の回転を回転軸部131に伝達するような構成であってもよい。
【0053】
また、上記の実施の形態では、保持テーブル130の回転軸部131を複数の筒状体を組み合わせたテレスコープ構造で伸縮する機構としたが、これに限定されるものでない。
【0054】
さらに、上記の実施の形態では、循環経路部材200を処理チャンバー100に取り付けた構造であるが、筐体内に処理チャンバーと循環経路を区画した構造としても勿論よい。
【0055】
また、上記の実施の形態では、フィルター153として、HEPAフィルターを用いたが、ULPA(Ultra Low Penetration Air Filter)フィルターを適用してもよいし、その他の各種フィルターを適用することができる。
【0056】
さらに、上記の実施の形態では、ミスト分離手段230が、部材本体210内において対向する側壁へ向けて分離用板231,232を互い違いに設けた構成としたが、ミストを分離できる機能を有するものであれば、これに限定されるものではない。
【産業上の利用可能性】
【0057】
以上のように、本発明にかかる処理装置は、半導体ウェーハW等のワークの洗浄、乾燥、保護膜スピンコーターとして有用であり、特に、ダイシング後の半導体ウェーハWの洗浄に適している。
【符号の説明】
【0058】
1 処理装置
100 処理チャンバー
110 下部筐体
111 仕切り板
112 チャンバー下部空間
114A 排気口
120 気流制御板
122 通気孔
130 保持テーブル
131 回転軸部
132 クランプ
140 液体供給手段
142A ノズル部
150 気流発生手段
151 ファン
153 フィルター
160 上部筐体
163 チャンバー上部空間
164 吸気側接続部
165A 開口部
166 吸気側開口部
167 ワーク出し入れ口
200 循環経路部材
211 下部開口部
212 上部開口部
213 廃液口
230 ミスト分離手段
240 湿度調整手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
鉛直方向を回転軸としてワークを回転可能に保持する保持テーブルと、該保持テーブルに保持されたワークに液体を供給する液体供給手段と、該保持テーブルと該液体供給手段とを囲む処理チャンバーと、を有する処理装置であって、
該処理チャンバーの下部に下端が接続され該処理チャンバーの上部に上端が接続された循環経路と、
該循環経路の上端から気体を取り込んで該処理チャンバー内の該保持テーブルの上面よりも上方から下方へ向けて流し、該処理チャンバー内にダウンフローを発生させる気流発生手段と、
該循環経路内に配設され、ダウンフローを発生させる気体に含まれるミストを気体から分離させるミスト分離手段と、
該循環経路内に配設され、該ミスト分離手段によって分離されて液化したミストを回収する廃液口と、を有し、
ダウンフローを発生させる気体を該処理チャンバーと該循環経路との間で、該気流発生手段と該ミスト分離手段とを介して循環させることを特徴とする処理装置。
【請求項2】
該循環経路内に配設され、ダウンフローを発生させる気体の湿度を調整する湿度調整手段を有し、
ダウンフローを発生させる気体を該処理チャンバーと該循環経路との間で、該気流発生手段と該ミスト分離手段と該湿度調整手段とを介して循環させることを特徴とする請求項1に記載の処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−4245(P2012−4245A)
【公開日】平成24年1月5日(2012.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−136477(P2010−136477)
【出願日】平成22年6月15日(2010.6.15)
【出願人】(000134051)株式会社ディスコ (2,397)
【Fターム(参考)】