説明

加工装置

【課題】 加工手段と撮像対象物の間に光を透過しない層が存在する被加工物を撮像する場合においても、撮像対象物を撮像可能な加工装置を提供することである。
【解決手段】 ベースを有する加工装置であって、被加工物を保持する透明体から形成された保持パッドを有する保持テーブルと、該保持テーブルに保持された被加工物を加工する加工手段と、前記保持テーブルと前記加工手段とを該保持テーブルの表面に平行なX軸方向及び該X軸方向に垂直なY軸方向に相対的に送る加工送り手段と、前記保持テーブルに保持された被加工物を、前記透明保持パッドを通して撮像する該保持パッドより下方位置となるように前記ベースに取り付けられた撮像手段とを具備し、被加工物を撮像する際には、前記保持テーブルが前記加工送り手段によって該撮像手段上に移動されることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体ウエーハを加工する加工装置に関し、特に、加工装置のアライメント撮像部の機構に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体デバイス製造工程においては、略円盤形状である半導体ウエーハの表面に格子状に配列されたストリート(切断予定ライン)によって複数の領域が区画され、区画された各領域にIC,LSI等のデバイスが形成されている半導体ウエーハを、ストリートに沿って切断することによってデバイス毎に分割して個々の半導体チップを製造している。
【0003】
半導体ウエーハのストリートに沿った切断は、通常ダイサーと称されている切削装置によって行われる。切削装置によるダイシング方法の他に、半導体ウエーハに対して透過性を有する波長のパルスレーザを用いるレーザダイシング方法も開発されている。
【0004】
このレーザダイシング方法では、半導体ウエーハ等の被加工物(ワーク)に対して透過性を有する波長のパルスレーザを被加工物の内部に集光点を合わせてストリートに沿って照射することで被加工物内部に変質層を形成し、変質層が形成されることによって強度が低下したストリートに沿って外力を加えることで個々のチップに分割する(例えば、特許第3408805号公報、特開平10−305420号公報参照)。
【0005】
これらの加工装置を用いて被加工物を加工する際には、被加工物の表面(回路パターンが形成されている面)を上向きにしてチャックテーブル上に被加工物を載置し、チャックテーブルの上方に配設された可視光カメラ等の撮像手段を含むアライメント手段でストリートを検出してアライメントを実施し、切削ブレード又はレーザ照射ヘッドをストリートに位置付けることで加工を実施している。
【0006】
ところが、被加工物の表面を下向きに裏面を上向きにしてチャックテーブル上に被加工物を載置して加工を施す場合がある。例えば、サファイア基板上に発光デバイスを形成したLEDチップ等をレーザで加工する際には、発光デバイス層の特性を劣化させる恐れがあるため、デバイスが形成されていない裏面側からレーザビームを入射させることが好ましい。
【0007】
また、表面に微細な構造物が形成された一部のMEMS(マイクロ・エレクトロ・メカニカル・システムズ)では、ブレードダイシングによる加工中の切削水が表面の構造物を破損させる恐れがあるため、構造物側を保持テープに貼着して裏面側から加工する場合がある。
【0008】
さらに、CCDやCMOS等の撮像デバイス等、デバイス上に切削屑が付着することでデバイス不良となってしまう被加工物をブレードダイシングする場合においても、同様に表面を保持テープに貼着して裏面側から加工する場合がある。
【0009】
そこで、このように回路パターンやストリートの形成面を下向きに保持して裏面側から加工する場合でも、アライメントを実施可能とする方法としてIRカメラを用いる方法が提案されている(特開平6−232255号公報及び特開平10−312979号公報)。
【特許文献1】特許第3408805号公報
【特許文献2】特開平10−305420号公報
【特許文献3】特開平6−232255号公報
【特許文献4】特開平10−312979号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
ところが、アライメントパターンのある層の上にメタル層のように光を透過しない層を有する被加工物を加工する場合や、裏面にメタル層を有する被加工物を裏面から加工する場合は、メタル層側からIRカメラで撮像してもアライメントパターン又はストリートを検出することはできず、アライメントを実施することは不可能である。
【0011】
本発明はこのような点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、加工手段と撮像対象物の間に光を透過しない層が存在する被加工物を表面を下向きにチャックテーブル上に載置して裏面側から加工する場合においても、被加工物の構造や材質に影響されることなくアライメントを実施可能な加工装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明によると、ベースを有する加工装置であって、被加工物を保持する透明体から形成された保持パッドを有する保持テーブルと、該保持テーブルに保持された被加工物を加工する加工手段と、前記保持テーブルと前記加工手段とを該保持テーブルの表面に平行なX軸方向及び該X軸方向に垂直なY軸方向に相対的に送る加工送り手段と、前記保持テーブルに保持された被加工物を、前記透明保持パッドを通して撮像する該保持パッドより下方位置となるように前記ベースに取り付けられた撮像手段とを具備し、被加工物を撮像する際には、前記保持テーブルが前記加工送り手段によって該撮像手段上に移動されることを特徴とする加工装置が提供される。
【0013】
好ましくは、加工装置は保持テーブルを回転可能に支持する加工送り手段上に搭載された支持ボックスを更に具備している。保持テーブルは、保持パッドと、該保持パッドを支持する環状支持部材とを含んでいる。
【0014】
支持ボックスは、保持テーブルの環状支持部材が回転可能に嵌合される開口を有する上板と、加工送り手段上に載置される下板と、支持ボックス外周の少なくとも一部に撮像手段進入開口部を画成するように上板と下板とを連結する連結板とを含んでいる。
【0015】
被加工物を撮像する際には、保持テーブルが加工送り手段によって移動されることで、撮像手段が撮像手段進入開口部を通して支持ボックス中に進入し、保持テーブルの直下に位置付けられる。
【0016】
好ましくは、保持パッドは、石英ガラス、ホウケイ酸ガラス、サファイア、フッ化カルシウム、フッ化リチウム、フッ化マグネシウムから成る群から選択される物質から構成される。好ましくは、保持パッドは、複数の吸引路を有する吸引路形成領域と、吸引路の形成されていない吸引路非形成領域とを有し、撮像手段による被加工物の撮像は、吸引路非形成領域を通して実施する。
【発明の効果】
【0017】
本発明によると、被加工物の構造や材質に影響されることなく全ての被加工物についてアライメントを実施可能な加工装置を提供することができる。撮像手段はべ−ス上に取り付けられており、分割予定ライン検出時のみ保持テーブルが加工送り手段によって撮像手段上に位置付けられるため、煩雑な構造を必要とせず、装置のコンパクト化を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態を図面を参照して詳細に説明する。図1は、チャックテーブル(保持テーブル)の下からウエーハを撮像する本発明の撮像手段(第1撮像手段)を具備したレーザ加工装置の概略構成図を示している。
【0019】
レーザ加工装置2は、静止基台4上にX軸方向に移動可能に搭載された第1スライドブロック6を含んでいる。第1スライドブロック6は、ボールネジ8及びパスルモータ10から構成されるX軸送り手段12より一対のガイドレール14に沿ってX軸方向に移動される。
【0020】
第1スライドブロック6上には支持ボックス16がY軸方向に移動可能に搭載されている。支持ボックス16はボールネジ18及びパルスモータ20から構成されるY軸送り手段(割り出し送り手段)22により一対のガイドレール24に沿ってY軸方向に移動される。
【0021】
支持ボックス16上にはチャックテーブル28が回転可能に搭載されている。図2に最もよく示されるように、支持ボックス16は概略U形状に形成されており、上板16aと、ガイドレール24上に搭載される下板16bと、上板16a及び下板16bを連結する連結板16cを含んでいる。上板16aにはチャックテーブル28の後述する嵌合凸部が回転可能に装着される円形開口17が形成されている。
【0022】
チャックテーブル28は環状支持部材62と、保持パッド74とを含んでいる。環状支持部材62は、嵌合凸部64と、嵌合凸部64より大径のベルト巻回部66と、嵌合凸部64と概略同一径の環状収容部68を含んでいる。
【0023】
環状収容部68は保持パッド74の外形と概略同一の内径68a(図4参照)を有しており、環状収容部68の内側底部には保持パッド74を支持する環状支持部70が形成されている。
【0024】
保持パッド74は、石英ガラス、ホウケイ酸ガラス、サファイア、フッ化カルシウム、フッ化リチウム、フッ化マグネシウム等の透明物質から形成されており、その表面(保持面)74aに開口する多数の細孔76を有している。
【0025】
図4を参照すると明らかなように、各細孔76は吸引溝78に連通しており、環状支持部材62の環状支持部70には保持パッド74の吸引溝78に連通する連通路72が形成されている。連通路72は真空吸引源80に接続されている。
【0026】
保持パッド74を環状支持部材62の環状支持部70上に搭載し、環状支持部材62の嵌合凸部64を支持ボックス16の円形開口17中に嵌合すると、図3に示すようにチャックテーブル28が支持ボックス16に回転可能に搭載された状態となる。
【0027】
支持ボックス16の連結板16cにはモーター26が取り付けられており、モーター26の出力軸に連結されたプーリー27と環状支持部材62のベルト巻回部66とに渡りベルト30が巻回されている。モーター26を駆動すると、ベルト30を介してチャックテーブル28が回転される。
【0028】
モーター26は例えばパルスモータから構成され、アライメント遂行時にモーター26を所定パルスで駆動すると、チャックテーブル28が所定量回転(θ回転)されて、図1に示したウエーハ1の分割予定ライン(ストリート)3のアライメントを行うことができる。
【0029】
支持ボックス16の上板16aには、複数(本実施形態では4個)のフレーム支持台29が形成されており、これらのフレーム支持台29で後で説明する環状フレームを支持する。
【0030】
再び図1を参照すると、X軸送り手段12及びY軸送り手段22により加工送り手段23を構成する。よって、チャックテーブル28は、加工送り手段23によりX軸方向及びY軸方向に移動可能である。
【0031】
静止基台4にはコラム32が立設されており、このコラム32にはレーザビーム発振手段34を収容したケーシング35が取り付けられている。レーザビーム発振手段34から発振されたレーザビームは、ケーシング35の先端に取り付けられた集光器(レーザ照射ヘッド)36の対物レンズによって集光されて、チャックテーブル28に保持されている半導体ウエーハ等の被加工物(ワーク)に照射される。
【0032】
ケーシング35の先端部には、集光器36とX軸方向に整列してレーザビームによりレーザ加工すべき加工領域を検出する第2撮像手段38が配設されている。第2撮像手段38は、可視光によって撮像する通常のCCD等の撮像素子の他に、ワークに赤外線を照射する赤外線照射手段と、赤外線照射手段によって照射された赤外線を捕らえる光学系と、この光学系によって捕らえられた赤外線に対応した電気信号を出力する赤外線CCD等の撮像素子から構成される赤外線撮像手段を含んでおり、撮像した画像はコントローラ40に送信される。
【0033】
コントローラ40はコンピュータによって構成されており、制御プログラムによって演算処理をする中央処理装置(CPU)42と、制御プログラム等を格納するリードオンリーメモリ(ROM)44と、演算結果等を格納する読み書き可能なランダムアクセスメモリ(RAM)46と、カウンタ48と、入力インタフェース50と、出力インタフェース52とを備えている。
【0034】
56は案内レール14に沿って配設されたリニアスケール54と、第1スライドブロック6に配設された図示しない読み取りヘッドとから構成される加工送り量検出手段であり、加工送り量検出手段56の検出信号はコントローラ40の入力インタフェース50に入力される。
【0035】
60はガイドレール24に沿って配設されたリニアスケール58と、第2スライドブロック16に配設された図示しない読み取りヘッドとから構成される割り出し送り量検出手段であり、割り出し送り量検出手段60の検出信号はコントローラ40の入力インタフェース50に入力される。
【0036】
第2撮像手段38で撮像した画像信号はコントローラ40の入力インタフェース50に入力される。一方、コントローラ50の出力インタフェース52からはパルスモータ10、パルスモータ20、レーザビーム発振手段34等に制御信号が出力される。
【0037】
レーザ加工装置2のベース4の所定箇所には、チャックテーブル28に保持された半導体ウエーハ等の被加工物を透明保持パッド74の下側から撮像する撮像手段(第1撮像手段)82が取り付けられている。
【0038】
図5に示すように、撮像手段82は低倍率カメラ86及び高倍率カメラ88を有するカメラユニット84を含んでいる。カメラユニット84の側面にはカメラユニット84での撮像時に撮像箇所を照明するための2個の照明装置90,92が取り付けられている。
【0039】
カメラユニット84は支持プレート94により支持され、支持プレート94の基端部はZ軸移動ブロック98に固定されている。レーザ加工装置2のベース4にはコラム96が立設されており、ボール螺子100及びパルスモータ102から構成されるZ軸移動手段104により、撮像手段82を構成するカメラユニット84は一対のガイドレール106に沿ってZ軸方向(上下方向)に移動される。
【0040】
図6を参照すると、レーザ加工装置2による加工対象である半導体ウエーハ1の表面側斜視図が示されている。ウエーハ1の表面1aには格子状に形成されたストリート(分割予定ライン)より区画された各領域にデバイス5が形成されている。各デバイス5にはアライメント時に検出対象となるターゲットパターン7が形成されている。
【0041】
図1に示したレーザ加工装置2による加工では、ウエーハ1はその表面1a側を下にしてダイシングテープ(粘着テープ)Tに貼着され、ダイシングテープTの外周部は図7に示すように環状フレームFに貼着される。よって、半導体ウエーハ1はその裏面1bを上にして図7の状態でチャックテーブル28上に搭載される。
【0042】
図8を参照すると、ダイシングテープTを介して環状フレームFに搭載された他の種類の半導体ウエーハ1Aの裏面側斜視図が示されている。半導体ウエーハ1Aの裏面にはメタル層9が形成されている。よって、このような半導体ウエーハ1Aのターゲットパターン7の撮像は第2撮像手段38がIRカメラを含んでいても不可能である。
【0043】
しかし、第1撮像手段82はチャックテーブル28より下側に配設されていて、チャックテーブル28の透明保持パッド74を介して半導体ウエーハ1Aを撮像するため、裏面にメタル層9を有する半導体ウエーハ1Aでもターゲットパターン7を容易に撮像することができる。
【0044】
本発明の加工装置の加工対象となる被加工物(ワーク)は、図6乃至図8に示した半導体ウエーハ等に限定されるものではなく、チップ実装用としてのウエーハの裏面に設けられるDAF(ダイ・アタッチ・フィルム)等の粘着部材、或いは半導体製品のパッケージ、セラミック、ガラス系又はシリコン系の基板、各種電子部品、各種ドライバ、更には、ミクロンオーダーの精度が要求される各種加工材料を挙げることができる。
【0045】
図9を参照すると、支持ボックス及びチャックテーブル部分の一部断面側面図が示されている。支持ボックス16は概略U形状をしているため、上板16aと下板16bを連結する連結板16cの反対側に撮像手段進入開口部19が画成されている。この図では、加工送り手段23は概略的に示されている。
【0046】
図10は図9のA部分の拡大一部断面図であり、半導体ウエーハ1はその表面1aを下側にしてダイシングテープTに貼着され、環状フレームFがフレーム載置台29上に載置されている。
【0047】
上述したように、チャックテーブル28の保持パッド74はガラス等の透明物質から形成されており、複数の吸引溝78を有している。吸引溝78は環状支持部材62に形成された連通路72を介して真空吸引源80に接続されている(図4参照)。
【0048】
図11に示すように、保持パッド74は、細孔又は吸引溝等の複数の吸引路が形成された吸引路形成領域74aと、吸引路の形成されていない十字形状の吸引路非形成領域74bと、吸引路の形成されていない外周領域74cとを有している。第1撮像手段82によるターゲットパターンの撮像は、ターゲットパターンをクリアに捕らえるために、吸引路非形成領域74bを通して行うのが好ましい。
【0049】
図12を参照すると、他の実施形態の保持パッド74Aの縦断面図が示されている。保持パッド74Aはガラス等の透明物質から形成されており、複数の横方向吸引溝75と横方向吸引溝75に直交する複数の縦方向吸引溝77を有している。79は連通路72に接続する吸引溝である。
【0050】
以下、第1撮像手段82を利用したアライメント作業について説明する。図9に示すように、フレーム載置台29上に環状フレームFを載置し、真空吸引源80を作動してチャックテーブル28の保持パッド74により半導体ウエーハ1を吸引保持する。
【0051】
この状態で、X軸送り手段12及びY軸送り手段22を駆動して、図9に示すように第1撮像手段82を撮像手段進入開口部19を通して支持ボックス16内に進入させ、第1撮像手段82を半導体ウエーハ1の直下に位置付ける。
【0052】
第1撮像手段82が切削加工すべきストリートを検出するアライメントの際のパターンマッチングに用いる画像は、切削加工前に予め取得しておく必要がある。そこで、チャックテーブル28に保持された半導体ウエーハ1の直下に第1撮像手段82が位置付けられると、照明装置90又は92が点灯されて半導体ウエーハ1を下から照明し、低倍率カメラ86又は高倍率カメラ88で透明保持パッド74を通して半導体ウエーハ1の表面を撮像し、撮像した画像を図示しないLCD等のディスプレイに表示させる。
【0053】
レーザ加工装置2のオペレータは、図示しない操作パネルを操作することにより、X軸送り手段12又はY軸送り手段22を駆動して、パターンマッチングのターゲットとなるターゲットパターン7を探索する。
【0054】
オペレータがターゲットパターン7を決定すると、そのターゲットパターンを含む画像がレーザ加工装置2のコントローラ40に備えたRAM46に記録される。また、そのターゲットパターン7とストリート3の中心線との距離を座標値等によって求め、その値もRAM46に記憶させておく。また、隣り合うストリートとストリートとの間隔(ストリートピッチ)を座標値等によって求め、ストリートピッチの値についてもコントローラ40のRAM46に記憶させておく。
【0055】
半導体ウエーハ1のストリート3に沿った切断の際には、記憶させたターゲットパターンの画像と実際に第1撮像手段82により撮像されて取得した画像とのパターンマッチングを実施する。このパターンマッチングは、X軸方向に伸長する同一ストリート3に沿った互いに離間したA点及びB点の二点で実施する。
【0056】
A点でのパターンマッチングが完了すると、チャックテーブル28をX軸方向に移動させてA点とX軸方向に相当離れたB点でのパターンマッチングを行う。この時、A点からB点まで一気に移動してパターンマッチングを行うのではなく、B点への移動途中の複数箇所で必要に応じてパターンマッチングを実施して、Y軸方向のずれを補正すべくモーター26を駆動してチャックテーブル28を僅かに回転させてθ補正を行って、最終的にB点でのパターンマッチングを実施する。
【0057】
A点及びB点でのパターンマッチングが完了すると、二つのターゲットパターン7を結んだ直線はストリート3と平行となったことになり、ターゲットパターン7とストリート3の中心線の距離分だけチャックテーブル28をY軸方向に移動させることにより、切削しようとするストリート3と集光器(レーザ照射ヘッド)36との位置合わせを行い、アライメントが完了する。
【0058】
第1撮像手段82を支持ボックス16内に進入させる際に、支持ボックス16の連結板16cに第1撮像手段82が接触するのを防止するために、例えば株式会社東京センサ製のテープスイッチを連結板16cの内面に貼付するのが好ましい。このテープスイッチは、導通によって接触を検知する接触防止機構を構成する。
【0059】
本発明の加工装置は図1に示したレーザ加工装置2に限定されるものではなく、図13に示したような切削装置(ダイシング装置)110にも本発明の第1撮像手段82を同様に適用可能である。
【0060】
切削装置110のベース4には垂直コラム112が立設されており、この垂直コラム112に切削ユニット(切削手段)114がZ軸方向に移動可能に搭載されている。即ち、切削ユニット114のハウジング116は、ボール螺子120及びパルスモータ122から構成されるZ軸送り手段124により一対のガイドレール126に沿ってZ軸方向に移動される。
【0061】
ハウジング116中には図示しないスピンドル及びスピンドルを回転駆動するモーターが収容されており、スピンドルの先端には切削ブレード118が着脱可能に装着されている。本実施形態の他の構成は、図1に示したレーザ加工装置2と同様であるのでその説明を省略する。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】本発明第1実施形態のレーザ加工装置の概略斜視図である。
【図2】支持ボックス及びチャックテーブル部分の分解斜視図である。
【図3】支持ボックス上に搭載されたチャックテーブルの斜視図である。
【図4】チャックテーブルの分解断面図である。
【図5】第1撮像手段及びその支持構造の斜視図である。
【図6】半導体ウエーハの表面側斜視図である。
【図7】ダイシングテープを介して環状フレームに搭載された半導体ウエーハの裏面側斜視図である。
【図8】ダイシングテープを介して環状フレームに搭載された裏面にメタル層を有する半導体ウエーハの裏面側斜視図である。
【図9】支持ボックス上に搭載されたチャックテーブルの一部断面側面図である。
【図10】図9のA部分の一部断面拡大図である。
【図11】保持パッドの平面図である。
【図12】保持パッドの他の実施形態の縦断面図である。
【図13】本発明第2実施形態の切削装置の概略斜視図である。
【符号の説明】
【0063】
1 半導体ウエーハ
2 レーザ加工装置
5 デバイス
7 ターゲットパターン
9 メタル層
12 X軸送り手段
16 支持ボックス
22 Y軸送り手段
23 加工送り手段
26 モータ
28 チャックテーブル
34 レーザビーム発振手段
36 集光器(レーザー照射ヘッド)
38 第2撮像手段
62 環状支持部材
74 保持パッド
82 第1撮像手段
84 カメラユニット
110 切削装置
118 切削ブレード

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベースを有する加工装置であって、
被加工物を保持する透明体から形成された保持パッドを有する保持テーブルと、
該保持テーブルに保持された被加工物を加工する加工手段と、
前記保持テーブルと前記加工手段とを該保持テーブルの表面に平行なX軸方向及び該X軸方向に垂直なY軸方向に相対的に送る加工送り手段と、
前記保持テーブルに保持された被加工物を、前記透明保持パッドを通して撮像する該保持パッドより下方位置となるように前記ベースに取り付けられた撮像手段とを具備し、
被加工物を撮像する際には、前記保持テーブルが前記加工送り手段によって該撮像手段上に移動されることを特徴とする加工装置。
【請求項2】
前記保持テーブルを回転可能に支持する前記加工送り手段上に搭載された支持ボックスを更に具備し、
前記保持テーブルは、前記保持パッドと、該保持パッドを支持する環状支持部材を含み、
前記支持ボックスは、前記保持テーブルの前記環状支持部材が回転可能に嵌合される開口を有する上板と、前記加工送り手段上に載置される下板と、該支持ボックス外周の少なくとも一部に撮像手段進入開口部を画成するように前記上板と前記下板とを連結する連結板とを含み、
被加工物を撮像する際には、前記保持テーブルが前記加工送り手段によって移動されることで、前記撮像手段が該撮像手段進入開口部を通して前記支持ボックス中に進入し、前記保持テーブルの直下に位置付けられる請求項1記載の加工装置。
【請求項3】
前記撮像手段を、前記保持パッドに対して垂直な方向に移動させる撮像送り手段を更に具備した請求項1又は2記載の加工装置。
【請求項4】
前記保持テーブルに保持された被加工物を、前記保持パッドの上方から撮像する第2撮像手段を更に具備した請求項1〜3の何れかに記載の加工装置。
【請求項5】
前記保持パッドは、石英ガラス、ホウケイ酸ガラス、サファイア、フッ化カルシウム、フッ化リチウム、フッ化マグネシウムから成る群から選択される物質から構成される請求項1〜4の何れかに記載の加工装置。
【請求項6】
前記保持パッドは、複数の吸引路を有する吸引路形成領域と、吸引路の形成されていない吸引路非形成領域とを有し、前記撮像手段による被加工物の撮像は、該吸引路非形成領域を通して行う請求項1〜5の何れかに記載の加工装置。
【請求項7】
前記加工手段はレーザ照射ヘッド又は切削ブレードの何れかを含む請求項1〜6の何れかに記載の加工装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2010−87141(P2010−87141A)
【公開日】平成22年4月15日(2010.4.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−253220(P2008−253220)
【出願日】平成20年9月30日(2008.9.30)
【出願人】(000134051)株式会社ディスコ (2,397)
【Fターム(参考)】