説明

加熱調理器

【課題】ごまや大豆、いりこなどを炒る時に、焦がすことなく短時間で均一に食材を加熱することができる加熱調理器を提供すること。
【解決手段】被加熱物容器2を誘導加熱する加熱コイル6と、加熱コイル6に高周波電流を供給するインバータ回路7と、被加熱物容器2の浮きを防止する浮き防止手段8と、振動キー11と、制御装置9を有し、熱くなった被加熱物容器2に食材が投入され、振動キー11が押されると、制御装置9が浮き防止手段8の作動を停止し、インバータ回路7の出力を変動することにより被加熱物容器2を振動し、被加熱物容器2に投入された食材も振動して、短時間で均一に炒ることとなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ごまや大豆、いりこなどを短時間で簡単に炒ることができる加熱調理器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の加熱調理器は被加熱物容器底面の温度を検出する温度検出手段を有し、被加熱物容器底面の温度変化によって食材を焦がさないように加熱を制御するものが周知である(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平11−14061号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、前記従来の構成では、水分が少ないごまや大豆、いりこなどの食材を炒る場合、被加熱物容器の温度がすぐに上昇するため、火力が下げられ、それら食材を均一に炒るためには、食材を長時間、混ぜるか被加熱物容器を動かしながら加熱する必要があるという課題を有していた。
【0004】
本発明は、前記従来の課題を解決するもので、ごまや大豆、いりこなどを焦がすことなく短時間で簡単に炒ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記従来の課題を解決するために、本発明の加熱調理器は、被加熱物容器を誘導加熱可能な加熱コイルと、被加熱物容器を載せるプレートと、加熱コイルに高周波電流を供給するインバータ回路と、インバータ回路の出力を制御する制御装置と、被加熱物容器の浮きを防止する浮き防止手段と、インバータ回路の出力変動により被加熱物容器を振動する振動手段をと、被加熱物容器の位置ずれ防止装置を備え、振動手段を作動させる振動キーと、位置ずれ防止装置の有無を認識する防止装置認識手段を設け、振動キーが入ったときに、浮き防止手段の作動を停止して振動手段を作動するものである。
【0006】
これによって、加熱されている被加熱物容器内に食材が投入され、振動キーが押されると、振動手段によって被加熱物容器が振動することにより、食材も振動し均一に炒ることができる。
【発明の効果】
【0007】
本発明の加熱調理器は、ごまや大豆、いりこなどの食材を短時間で均一に炒ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
第1の発明は、非磁性材料で形成した被加熱物容器を誘導加熱可能な加熱コイルと、被加熱物容器を載せるプレートと、加熱コイルに高周波電流を供給するインバータ回路と、インバータ回路の出力を制御する制御装置と、被加熱物容器の浮きを防止する浮き防止手段と、インバータ回路の出力変動により被加熱物容器を振動する振動手段を備え、振動手段を作動させる振動キーを設け、振動キーが入ったときに前記浮き防止手段の作動を停止して振動手段を作動することを特徴としたものであり、被加熱物容器が振動キーがおされたときに振動することにより、食材を均一に炒ることができる。
【0009】
第2の発明は、特に、第1の発明の被加熱物容器の位置ずれ防止装置を備え、位置ずれ防止装置の有無を認識する防止装置認識手段を設け、前記防止装置認識手段が位置ずれ防止装置の存在を認識しない場合には、前記振動手段の機能を禁止するように構成したものであり、被加熱物容器が振動するときに、加熱コイル上からずれることなく振動させながら食材を炒ることができる。
【0010】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0011】
(実施の形態1)
図1は、本発明の第1の実施の形態における加熱調理器のブロック図を示すものである。
【0012】
図1において、加熱調理器1は、非磁性材料(アルミ、銅など)で形成した被加熱物容器2を載せるプレート3と、被加熱物容器2の位置ずれを防止する位置ずれ防止装置4と、位置ずれ防止装置4の有無を認識する防止装置認識手段5と、被加熱物容器2を誘導加熱する加熱コイル6と、前記加熱コイル6に高周波電流を供給するインバータ回路7と、被加熱物容器2の浮きを防止する浮き防止手段8と、インバータ回路7を制御する制御装置9と、加熱キー10と振動キー11で構成する。位置ずれ防止装置4は、耐熱性の樹脂などのやわらかい材料で内径12〜30cm(加熱コイル6によって加熱可能な範囲)の輪状に形成し、内部に防止装置認識手段との通信を可能とするICタグなどを内蔵するものとする。12は被加熱物であるごまや大豆、いりこなどの食材である。
【0013】
以上のように構成された加熱調理器について、以下その動作、作用を説明する。
【0014】
まず、被加熱物容器2と位置ずれ防止装置4をプレート3上にセットし、加熱キー10が押されると制御装置9によって、インバータ回路7の高周波電流が加熱コイル6に供給され、浮き防止手段8が作動しながら、被加熱物容器2が加熱され熱くなる。熱くなった被加熱物容器2に被加熱物12が投入され、振動キー11が押され、防止装置認識手段5によって、位置ずれ防止装置4が認識されると、制御装置9が浮き防止手段8の作動を停止し、インバータ回路7の周波数を上げることにより、加熱コイル6と被加熱物容器2の間で生じる磁力線が増し、加熱コイル6と被加熱物容器2の間で浮力が生じ、被加熱物容器2は、プレート3より上昇する。そして、次に制御装置9がインバータ回路7の周波数を下げることにより、加熱コイル6と被加熱物容器2の間で生じる磁力線が減り、加熱コイル6と被加熱物容器2の間で生じていた浮力が小さくなる。よって、被加熱物容器2は、プレート3上に下降する。振動キー11が解除されるまでの間、このインバータ回路7の出力変化の繰り返しによって、被加熱物容器2は浮いたり沈んだりしながら振動し、被加熱物容器2の中にあるごまや大豆、いりこなどの被加熱物12も振動しながら加熱される。この浮き沈みによる振動の周期は、細かいほど被加熱物12の動きが増加し、高火力でも、焦がすことなく短時間で、被加熱物12に火を通すことができる。また、被加熱物容器2は、振動するときに、プレート3上を動くが、内径12〜30cmの輪状に形成された位置ずれ防止装置4が、鍋の動きを径12〜30cmの範囲までに動くことを防止するため、加熱コイル6上から加熱可能な範囲外にずれることなく安全に振動することができる。
【産業上の利用可能性】
【0015】
以上のように本発明にかかる加熱調理器は、被加熱物容器を振動させることにより、加熱される食材を振動させることができ、食材の鍋へのはりつきを抑えたり、出来上がりのタイミングを検知する等の用途にも適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の第1の実施の形態における加熱調理器のブロック図
【符号の説明】
【0017】
1 加熱調理器
2 被加熱物容器
3 プレート
4 位置ずれ防止装置
5 防止装置認識手段
6 加熱コイル
7 インバータ回路
8 浮き防止手段
9 制御装置
10 加熱キー
11 振動キー
12 被加熱物

【特許請求の範囲】
【請求項1】
非磁性材料で形成した被加熱物容器を誘導加熱可能な加熱コイルと、被加熱物容器を載せるプレートと、加熱コイルに高周波電流を供給するインバータ回路と、インバータ回路の出力を制御する制御装置と、被加熱物容器の浮きを防止する浮き防止手段と、インバータ回路の出力変動により被加熱物容器を振動する振動手段を備え、振動手段を作動させる振動キーを設け、前記振動キーが入ったときに前記浮き防止手段の作動を停止して振動手段を作動することを特徴とした加熱調理器。
【請求項2】
被加熱物容器の位置ずれ防止装置を備え、位置ずれ防止装置の有無を認識する防止装置認識手段を設け、前記防止装置認識手段が位置ずれ防止装置の存在を認識しない場合には、前記振動手段の機能を禁止することを特徴とした請求項1に記載の加熱調理器。

【図1】
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【公開番号】特開2006−128028(P2006−128028A)
【公開日】平成18年5月18日(2006.5.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−317865(P2004−317865)
【出願日】平成16年11月1日(2004.11.1)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】