説明

半導体ウエハ及び半導体装置

【課題】スクライブ領域の幅を狭くするのに適した半導体ウエハを提供する。
【解決手段】半導体ウエハは、半導体素子の形成された複数のチップ領域が、隣接するチップ領域間にスクライブ領域を介して画定されており、スクライブ領域内に配置されたモニタ素子と、チップ領域内に配置されたパッドと、モニタ素子とパッドとを接続する配線とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体ウエハ及び半導体装置に関し、特に、多数の半導体チップが形成された半導体ウエハ、及びそのような半導体ウエハから分割された半導体チップを含む半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体装置の製造において、半導体ウエハ上に半導体チップが多数同時に形成され、その後のダイシングで個々の半導体チップに分割される。ダイシングされるスクライブ領域内に、モニタ素子と、モニタ素子の動作試験を行うためのパッドとが形成される。各半導体チップは、その縁に沿って配置されたガードリングを有する。ガードリングは、半導体チップの端面からの水分等の浸入を抑制して、耐湿性等を高める。
【0003】
【特許文献1】特開2007−123328号公報
【特許文献2】特開平7−201855号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
スクライブ領域内にモニタ素子用のパッドが配置されていることにより、スクライブ領域の幅を狭めることが容易ではない。
【0005】
本発明の一目的は、スクライブ領域の幅を狭くするのに適した半導体ウエハ、及びそれを用いて形成される半導体装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一観点によれば、半導体素子の形成された複数のチップ領域が、隣接するチップ領域間にスクライブ領域を介して画定された半導体ウエハであって、前記スクライブ領域内に配置されたモニタ素子と、前記チップ領域内に配置されたパッドと、前記モニタ素子と前記パッドとを接続する配線とを有する半導体ウエハが提供される。
【発明の効果】
【0007】
モニタ素子に接続されるパッドをチップ領域内に配置することにより、例えば、パッドがスクライブ領域内に配置された半導体ウエハと比べて、スクライブ領域の幅を狭くすることが容易になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
まず、比較例の半導体ウエハについて説明する。
【0009】
図9は、比較例の半導体ウエハのスクライブ領域近傍を示す概略平面図である。半導体ウエハに、半導体素子の形成された複数のチップ領域100と、隣接するチップ領域100の間に介在するスクライブ領域101とが画定されている。後の工程において、半導体ウエハがスクライブ領域101上でダイシングされて、個々の半導体チップに分割される。
【0010】
分割された各半導体チップは、その縁に沿って延在するガードリング102を有する。ガードリング102により、半導体チップの端面からの水分等の浸入が抑制され、耐湿性等が高められる。
【0011】
スクライブ領域101内に、モニタ素子103と、モニタ素子103に電気的に接続されたパッド104が形成されている。モニタ素子103は、例えば、トランジスタや配線等であり、チップ領域100内の対応するトランジスタや配線等と同一工程で形成されたものである。パッド104に探針を当てて、モニタ素子103の動作状態が試験される。
【0012】
図10は、図9の破線AA´に沿った、比較例の半導体ウエハの概略断面図であり、ガードリング102及びパッド104の断面を示す。半導体基板110に、例えばシャロートレンチアイソレーション(STI)により素子分離膜111が形成され、素子分離膜111が活性領域を画定している。チップ領域内の活性領域にトランジスタ等の半導体素子が形成され、半導体素子の上方に多層配線が形成される。ガードリング102及びパッド104は、多層配線の形成工程を流用し、多層配線と同時に形成することができる。
【0013】
ガードリング102が、例えば以下のようにして形成される。半導体基板110の上に、化学気相堆積(CVD)で酸化シリコンを堆積して、第1の層間絶縁膜112を形成する。層間絶縁膜112にエッチングで形成した凹部を覆って、層間絶縁膜112上にスパッタリングでTiNを成膜し、さらにTiN上にCVDでWを成膜する。層間絶縁膜112上の余分なW膜及びTiN膜を化学機械研磨(CMP)で除去して、層間絶縁膜112の凹部内に金属層M1Cを残す。
【0014】
次に、層間絶縁膜112上にアルミニウムまたは銅含有アルミニウムを成膜し、パターニングすることにより、金属層M1Cの上に金属層M1Lを形成する。
【0015】
次に、金属層M1Lを覆って第1の層間絶縁膜112の上に、CVDで酸化シリコンを堆積して、第2の層間絶縁膜113を形成する。層間絶縁膜113の、金属層M1L上にエッチングで形成した凹部に、金属層M1Cと同様にして金属層M2Cを形成する。
【0016】
以後、層間絶縁膜113及び金属層M1L、M2C形成と同様な工程を繰り返し、層間絶縁膜113の上に、金属層M2L、M3Cの埋め込まれた第3の層間絶縁膜114等が積層される。最上層の層間絶縁膜上に、最上層の金属層(この例では、層間絶縁膜115上の金属層M5L)が、金属層M1Lと同様にして形成される。
【0017】
最上層の層間絶縁膜上に、CVDで窒化シリコンを堆積して、カバー膜116を形成する。このようにして、半導体基板上面から層間絶縁膜最上面まで繋がった金属層の積層構造であるガードリング102を形成できる。
【0018】
パッド104も、ガードリング102と同時に形成することができる。ただし、パッド104の積層深さは、対応するモニタ素子の配置深さ等に応じて適宜定められ、必ずしも半導体基板上面まで達するものではない。この例では、パッド104として金属層M1L以上の金属層が利用されている。なお、パッド104の最上面は、探針を接触させるため、カバー膜116が除去されて露出している。
【0019】
図9に戻って説明を続ける。パッド104は、例えば1辺71μmの正方形形状である。スクライブ幅W101は、例えば106μmである。パッド104からガードリング102までの距離は、例えば12.5μmであり、ガードリング102の幅は、例えば5μmである。ここで、ガードリング102のチップ側の端までスクライブ領域として取り扱いスクライブ幅W101を規定している。ただし、ガードリング102は、分割された各半導体チップ内に残る。
【0020】
比較例では、モニタ素子103用のパッド104をスクライブ領域101内に配置している。スクライブ領域101の幅は、ダイシングの観点からはもっと狭くすることができるが、パッド104が配置されていると狭くすることが難しい。スクライブ領域を狭くすることが容易となる技術が望まれる。
【0021】
次に、本発明の第1の実施例による半導体ウエハについて説明する。
【0022】
図1Aは、第1の実施例の半導体ウエハを示す概略平面図である。半導体ウエハに、半導体素子の形成された複数のチップ領域10と、隣接するチップ領域10の間に介在するスクライブ領域11とが画定されている。各チップ領域10の縁に沿ったガードリング12が形成されている。スクライブ領域11内に、モニタ素子13が形成されている。
【0023】
第1の実施例では比較例と異なり、モニタ素子13用のパッド14が、スクライブ領域11内ではなく、ガードリング12より内側のチップ領域10内に配置されている。これにより、スクライブ幅W11を狭めることが容易となる。スクライブ幅W11は、例えば40μm程度である。なお、チップ領域10は、例えば、1辺5mm程度の正方形形状である。
【0024】
図1Bは、図1Aのスクライブ領域近傍(破線で囲んだ領域B)の拡大図である。配線15がモニタ素子13とパッド14とを接続している。モニタ素子13、配線15、及びパッド14は、ガードリング12と電気的に絶縁したい。ガードリング12に切り込み部16を設けることにより、配線15が切り込み部16を通ってガードリング12を横切り、モニタ素子13とパッド14とが接続される。
【0025】
ただし、ガードリング12に切り込み部16を設けると、ガードリング12のバリア性低下が懸念される。バリア性低下を抑制するため、ガードリング12の切り込み部16近傍に、侵入物の障害となるガード構造体17を配置する。
【0026】
なお、図1Aに示すように、チップ領域10内に、半導体チップ用のパッド18が形成されている。パッド18は、チップ領域10に形成された半導体素子と電気的に接続されており、パッド18に探針を当てて、半導体チップの動作状態が試験される。第1の実施例では、モニタ素子用のパッド14と、半導体チップ試験用のパッド18とが別々に形成されている。
【0027】
次に、第2の実施例の半導体ウエハについて説明する。
【0028】
図2は、第2の実施例の半導体ウエハを示す概略平面図である。第2の実施例では、チップ領域10内に形成されたパッド20が、モニタ素子用のパッド及び半導体チップ試験用のパッドを兼ねる。他は第1の実施例と同様である。第2の実施例では、モニタ素子用のパッドと半導体チップ試験用のパッドを別々に形成しなくてよい。
【0029】
なお、モニタ素子用と半導体チップ試験用のパッドを共通とすると、1つのパッドに探針が当たる回数が増える。パッドの損傷が懸念される場合は、例えば、パッドを長方形形状とし、モニタ素子の動作試験時と半導体チップの動作試験時とで、探針の接触する位置を分けることができる。
【0030】
以下、さらに、モニタ素子とパッドを繋ぐ配線、ガードリングの切り込み部、ガード構造体の具体的な構造(まとめて、モニタ・パッド配線構造と呼ぶこととする)について説明する。なお、以下の実施例のモニタ・パッド配線構造は、第1及び第2の実施例どちらの半導体ウエハに対しても(つまり、モニタ素子用と半導体チップ試験用のパッドが別々でも共通でも)用いることができる。
【0031】
まず、第3の実施例のモニタ・パッド配線構造について説明する。
【0032】
図3は、第3の実施例のモニタ・パッド配線構造の切り込み部16近傍を示す概略平面図である。配線15が、切り込み部16を通ってガードリング12を横切り、パッド30に接続されている。ガードリング12とパッド30との間に、平面視上配線15と交差して、ガードリング12の延在方向に沿って長い形状のガード構造体17が配置されている。
【0033】
図4Aは、図3の破線D1D1´に沿った概略断面図であり、ガードリング12の側面に垂直な視線で切り込み部16近傍を見たガードリング12の断面図である。
【0034】
半導体基板31の上に、第1〜第3の層間絶縁膜32〜34が積層されている。第1の層間絶縁膜32中に金属層M1Cが形成され、第2の層間絶縁膜33中に金属層M1L及びM2Cが形成され、第3の層間絶縁膜34中に金属層M2L及びM3Cが形成され、第3の層間絶縁膜34の上に金属層M3Lが形成されている。半導体ウエハの最表面にカバー膜35が形成されている。
【0035】
ガードリング12が、最下層の金属層M1Cから最上層の金属層M3Lまでの積層で形成されており、配線15が、金属層M1Lで形成されている。切り込み部16は、金属層M1C〜M3Lが形成されておらず、配線15の通過を許している。
【0036】
なお、図5Aに示すように、配線15を複数層の金属層で形成してもよい。図5Aの例では、金属層M1L、M2C及びM2Lの積層で配線15を形成している。
【0037】
図4Bは、図3の破線E1E1´に沿った概略断面図であり、ガードリング12の側面に垂直な視線で見たガード構造体17の断面図である。ガード構造体17が、金属層M1L〜M3Lで壁状に形成されている。なお、半導体基板31の所定位置に素子分離膜36が形成されている。
【0038】
ガード構造体17はガードリング12の延在方向に沿って長く、その両端がガードリング12の裏側に入り込んでいる。ガード構造体17は、ガードリング12の側面に垂直な視線で見て、切り込み部16と重なりを持つ形状なので、切り込み部16を通過する侵入物が、半導体チップ内部にそのまま真っ直ぐ入り込むことを抑制する障害物となる。配線15とガード構造体17とは共通に金属層M1Lを用いて形成されており、金属層M1Lの高さで配線15とガード構造体17とが交差している。
【0039】
図4Cは、図3の破線F1F1´に沿った概略断面図であり、ガードリング12の延在方向に平行な視線で見たガードリング12、ガード構造体17、及びパッド30の断面図である。ガードリング12が金属層M1C〜M3Lで形成され、ガード構造体17が金属層M1L〜M3Lで形成され、パッド30が金属層M1L〜M3Lで形成されている。
【0040】
図4Dは、図3の破線G1G1´に沿った概略断面図であり、ガードリング12の延在方向に平行な視線で見た配線15、ガード構造体17、及びパッド30の断面図である。配線15、ガード構造体17、及びパッド30の金属層M1Lが繋がった構造となっており、配線15とパッド30とが電気的に接続する。なお、ガード構造体17及びパッド30が金属層M2L及びM3Lでも繋がっている。
【0041】
なお、図5Bに示すように、例えば、ガード構造体17とパッド30との間で金属層M2L及びM3Lを切り離す構造としてもよい。
【0042】
以上説明したように、ガードリングに設けた切り込み部の近傍に、侵入物の障害となるガード構造体を配置することで、切り込み部を設けたことによるバリア性の低下を抑制できる。ガード構造体は、(モニタ素子からの)配線、ガードリング、(モニタ素子に接続される)パッドと同様に、多層配線形成工程を流用して、所望の構造に形成することができる。
【0043】
次に、第4の実施例のモニタ・パッド配線構造について説明する。
【0044】
図6Aは、第4の実施例のモニタ・パッド配線構造の切り込み部16近傍を示す概略平面図である。図6B及び図6Cは、それぞれ、図6Aに対応する下層側及び上層側の平面断面図である。
【0045】
図6Aに示すように、第3の実施例と同様に、配線15Aが切り込み部16を通ってパッド30に接続されており、ガードリング12とパッド30との間に、平面視上配線15Aと交差して、ガードリング12の延在方向に沿って長い形状のガード構造体17Aが配置されている。
【0046】
図6Bに示すように、下層側では、切り込み部16の両端部分で、ガードリング12と、ガード構造体17Aの下側部分17Lとが繋がっている。下層側では、配線15Aがガードリング12を横切ることができず、切り込み部16で終端している。
【0047】
図6Cに示すように、上層側で、配線15Aがガードリング12の切り込み部16を横切って、パッド30に接続されている。
【0048】
図7Aは、図6Aの破線D2D2´に沿った概略断面図であり、ガードリング12の側面に垂直な視線で切り込み部16近傍を見たガードリング12の断面図である。第3の実施例と同様に、金属層M1C〜M3Lでガードリング12が形成され、ガードリング12に、金属層M1C〜M3Lの形成されない切り込み部16が配置されている。
【0049】
図7Bは、図6Aの破線E2E2´に沿った概略断面図であり、ガードリング12の側面に垂直な視線で見たガード構造体17Aの断面図である。第4の実施例では、ガード構造体17Aが、金属層M1C〜M2Lの積層部分(下側ガード構造体17Lと呼ぶこととする)と、金属層M3Lの部分(上側ガード構造体17Uと呼ぶこととする)とで形成されている。上側ガード構造体17Uは、層間絶縁膜34を挟んで、下側ガード構造体17Lと絶縁されている。
【0050】
下側及び上側ガード構造体17L、17Uはガードリング12の延在方向に沿って長く、その両端がガードリング12の裏側に入り込んでいる。第4の実施例でも第3の実施例と同様に、ガード構造体17Aが、切り込み部16と重なりを持つ形状で形成されており、切り込み部16を通る侵入物の障害物として働く。
【0051】
図7Cは、図6Aの破線F2F2´に沿った概略断面図であり、ガードリング12の延在方向に平行な視線で見たガードリング12、ガード構造体17A、及びパッド30の断面図である。ガードリング12と下側ガード構造体17Lとが、金属層M1C〜M2Lで繋がっている。ガードリング12と下側ガード構造体17Lとの間に接続部分を設けたことにより、この接続部分も侵入物の障害物として働く。上側ガード構造体17Uは、ガードリング12と絶縁されている。
【0052】
図7Dは、図6Aの破線G2G2´に沿った概略断面図であり、ガードリング12の延在方向に平行な視線で見た配線15A、ガード構造体17A、及びパッド30の断面図である。
【0053】
配線15Aが、切り込み部16から外側では金属層M1L〜M3Lで形成され、切り込み部16より内側では最上層の金属層M3Lの1層で形成されている(図7Aも参照)。金属層M3Lの配線15Aが、下側ガード構造体17Lの上方を越えて、パッド30に接続される。上側ガード構造体17Uと配線15Aは共通に金属層M3Lを用いており、金属層M3Lの高さで配線15Aと上側ガード構造体17Uとが交差している(図7Bも参照)。
【0054】
第4の実施例では、ガード構造体の下側部分を、切り込み部の両端部分のガードリングと繋ぎ、ガード構造体とガードリングとの間を侵入物が通りにくくしている。ガードリングと繋がれたガード構造体を、その上方の金属層で形成した配線が越えて、配線とパッドとが接続する構造としている。
【0055】
なお、以下の実施例のように、バリア性低下を抑制するため、ガードリングの切り込み部の形状自体を工夫することもできる。
【0056】
まず、第5の実施例のモニタ・パッド配線構造について説明する。
【0057】
図8Aは、第5の実施例のモニタ・パッド配線構造の切り込み部16B近傍を示す概略平面図である。第5の実施例では、ガードリング12に屈曲した内面形状の切り込み部16Bが設けられており、それに対応して、切り込み部16Bを通る配線15Bも屈曲した形状となっている。
【0058】
切り込み部16Bを通る侵入物の経路が屈曲することにより、入口(切り込み部16Bの半導体チップ外側の開口)から出口(切り込み部16Bの半導体チップ内側の開口)までの距離が長くなり、侵入が抑制される。
【0059】
次に、第6の実施例のモニタ・パッド配線構造について説明する。
【0060】
図8Bは、第6の実施例のモニタ・パッド配線構造の切り込み部16C近傍を示す概略平面図である。第6の実施例では、ガードリング12の厚さ方向内部に、第3の実施例で説明したような(図3参照)ガード構造体17Cが形成されており、それを迂回するような屈曲した内面形状の切り込み部16Cが形成されている。
【0061】
ガード構造体17Cにより侵入抑制効果がある。また、第5の実施例と同様に、屈曲した経路により侵入物の通過が抑制される。
【0062】
なお、第5、第6の実施例で、例えば切り込み部の出口近傍に、さらに、第3の実施例で説明したようなガード構造体を設けて、侵入抑制効果を高めることもできる。
【0063】
なお、以上の実施例では、ガードリングよりも内側、あるいはガードリングの厚さ方向内部にガード構造体を設けたが、ガード構造体は切り込み部近傍に配置されていればよく、(分割された半導体チップの内部に配置されるならば)ガードリングの外側に設けることも可能である。
【0064】
なお、モニタ素子を含むスクライブ領域で半導体ウエハがダイシングされて、半導体チップが個々に分割される。個々の半導体チップに分割されたとき、半導体ウエハの状態でモニタ素子に接続されていた配線の一端が、半導体チップの端面に露出することとなる。ガード構造体は、半導体チップの端面からモニタ素子用のパッドまでの間に配置される。
【0065】
以上実施例に沿って本発明を説明したが、本発明はこれらに制限されるものではない。例えば、種々の変更、改良、組み合わせ等が可能なことは当業者に自明であろう。
【0066】
以上の第1〜第6の実施例を含む実施形態に関し、さらに以下の付記を開示する。
(付記1)
半導体素子の形成された複数のチップ領域が、隣接するチップ領域間にスクライブ領域を介して画定された半導体ウエハであって、
前記スクライブ領域内に配置されたモニタ素子と、
前記チップ領域内に配置されたパッドと、
前記モニタ素子と前記パッドとを接続する配線と
を有する半導体ウエハ。
(付記2)
さらに、前記チップ領域の縁に沿って配置され、前記配線を通す切り込み部が形成されたガードリングを有する付記1に記載の半導体ウエハ。
(付記3)
さらに、前記ガードリングの側面に垂直な視線で前記切り込み部を見たとき、該切り込み部の少なくとも一部と重なる形状であり、該切り込み部の近傍に配置されたガード構造体を有する付記2に記載の半導体ウエハ。
(付記4)
前記ガード構造体は、前記チップ領域内に形成された多層配線と共通の金属層を用いて形成されている付記3に記載の半導体ウエハ。
(付記5)
前記ガード構造体の少なくとも一部が前記ガードリングと繋がっている付記3または4に記載の半導体ウエハ。
(付記6)
前記切り込み部は、屈曲した内面形状を持つ付記2に記載の半導体ウエハ。
(付記7)
前記パッドが、該パッドの配置されたチップ領域に形成された半導体素子とも電気的に接続されている付記1〜6のいずれか1つに記載の半導体ウエハ。
(付記8)
半導体チップを含む半導体装置であって、前記半導体チップは、
前記半導体チップの縁に沿って配置され、切り込み部が形成されたガードリングと、
前記ガードリングの内側に配置されたパッドと、
一端が前記半導体チップの端面に達し、前記切り込み部を通って、他端が前記パッドに接続された配線と
を有する半導体装置。
(付記9)
さらに、前記ガードリングの側面に垂直な視線で前記切り込み部を見たとき、該切り込み部の少なくとも一部と重なる形状であり、前記半導体チップの端面から前記パッドまでの間に配置されたガード構造体を有する付記8に記載の半導体装置。
(付記10)
前記切り込み部は、屈曲した内面形状を持つ付記8に記載の半導体装置。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】図1Aは、第1の実施例の半導体ウエハを示す概略平面図であり、図1Bは、図1Aのスクライブ領域近傍の拡大図である。
【図2】図2は、第2の実施例の半導体ウエハを示す概略平面図である。
【図3】図3は、第3の実施例のモニタ・パッド配線構造を示す概略平面図である。
【図4】図4A〜図4Dは、それぞれ、図3の破線D1D1´、E1E1´、F1F1´、及びG1G1´に沿った概略断面図である。
【図5】図5A及び図5Bは、第3の実施例の変形例のモニタ・パッド配線構造を示す概略断面図である。
【図6】図6Aは、第4の実施例のモニタ・パッド配線構造を示す概略平面図であり、図6B及び図6Cは、それぞれ、図6Aに対応する下層側及び上層側の平面断面図である。
【図7】図7A〜図7Dは、それぞれ、図6Aの破線D2D2´、E2E2´、F2F2´、及びG2G2´に沿った概略断面図である。
【図8】図8A及び図8Bは、それぞれ、第5及び第6の実施例のモニタ・パッド配線構造を示す概略平面図である。
【図9】図9は、比較例の半導体ウエハのスクライブ領域近傍を示す概略平面図である。
【図10】図10は、比較例の半導体ウエハの概略断面図である。
【符号の説明】
【0068】
10 チップ領域
11 スクライブ領域
12 ガードリング
13 モニタ素子
14、20、30 (モニタ素子と接続される)パッド
15 配線
16 切り込み部
17 ガード構造体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体素子の形成された複数のチップ領域が、隣接するチップ領域間にスクライブ領域を介して画定された半導体ウエハであって、
前記スクライブ領域内に配置されたモニタ素子と、
前記チップ領域内に配置されたパッドと、
前記モニタ素子と前記パッドとを接続する配線と
を有する半導体ウエハ。
【請求項2】
さらに、前記チップ領域の縁に沿って配置され、前記配線を通す切り込み部が形成されたガードリングを有する請求項1に記載の半導体ウエハ。
【請求項3】
さらに、前記ガードリングの側面に垂直な視線で前記切り込み部を見たとき、該切り込み部の少なくとも一部と重なる形状であり、該切り込み部の近傍に配置されたガード構造体を有する請求項2に記載の半導体ウエハ。
【請求項4】
前記パッドが、該パッドの配置されたチップ領域に形成された半導体素子とも電気的に接続されている請求項1〜3のいずれか1項に記載の半導体ウエハ。
【請求項5】
半導体チップを含む半導体装置であって、前記半導体チップは、
前記半導体チップの縁に沿って配置され、切り込み部が形成されたガードリングと、
前記ガードリングの内側に配置されたパッドと、
一端が前記半導体チップの端面に達し、前記切り込み部を通って、他端が前記パッドに接続された配線と
を有する半導体装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−87354(P2010−87354A)
【公開日】平成22年4月15日(2010.4.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−256466(P2008−256466)
【出願日】平成20年10月1日(2008.10.1)
【出願人】(308014341)富士通マイクロエレクトロニクス株式会社 (2,507)
【Fターム(参考)】