説明

半導体基板の再生処理方法及びSOI基板の作製方法

【課題】半導体膜が分離された後の分離後の半導体基板を、SOI基板作製に用いることが可能な再生半導体基板に再生する際に、分離後の半導体基板の取り代を削減し、1枚の半導体基板を再生使用できる回数を増やす半導体基板の再生処理方法を提供することを課題の一つとする。
【解決手段】半導体を酸化する酸化剤として機能する物質と、半導体の酸化物を溶解する物質と、半導体の酸化及び半導体の酸化物の溶解の減速剤として機能する物質と、を含む混合溶液を用いて、分離後の半導体基板の周辺部に残存した脆化層及び半導体層を選択的に除去することを特徴とする半導体基板の再生処理方法である。なお、イオン注入装置により水素ガスから生成される、Hイオンを注入することにより半導体基板に形成する脆化層を用いて、半導体基板から半導体膜を分離する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、SOI(Silicon on Insulator)基板の作製において、副生される半導体基板の再生処理方法、及びSOI基板の作製方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、バルク状のシリコンウエハに代わり、絶縁表面に薄い単結晶シリコン層が設けられたSOI(Silicon on Insulator)基板を使った集積回路が開発されている。絶縁表面上に形成された薄い単結晶シリコン膜の特長を活かすことで、集積回路中のトランジスタ同士を完全に分離して形成することができる。またトランジスタを完全空乏型とすることができるため、高集積、高速駆動、低消費電圧など付加価値の高い半導体集積回路を実現することができる。
【0003】
SOI基板を製造する方法の1つとして、スマートカット(登録商標)が挙げられる。スマートカットを用いることにより、シリコン基板上だけでなく、ガラス基板等の絶縁基板上に単結晶シリコン膜を有するSOI基板も作製できる。(例えば、特許文献1参照)。スマートカットを用いた、ガラス基板上に単結晶シリコン薄膜を有するSOI基板の作製方法の概要は以下のようになる。まず、単結晶シリコン片表面に二酸化珪素膜を形成する。次に、単結晶シリコン片に水素イオンを注入することによって単結晶シリコン片中の所定の深さに水素イオン打ち込み面を形成する。それから、二酸化珪素膜を介して、水素イオンを注入した単結晶シリコン片をガラス基板に接合させる。しかる後熱処理を施すことで、該水素イオン打ち込み面が劈開面となり、水素イオンを注入した単結晶シリコン片が薄膜状に分離し、接合させたガラス基板上に単結晶シリコン薄膜を形成することができる。このスマートカットは水素イオン注入剥離法と呼ぶこともある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−87606号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
スマートカットを用いてSOI基板を作製すると、半導体基板(ボンド基板)をベース基板に貼り合わせた後、半導体基板を分離することによってベース基板上に薄膜の半導体膜が形成される。貼り合わせた半導体基板の大部分はベース基板から分離されてしまう。しかし、ベース基板と分離した半導体基板(分離後の半導体基板)は、再生処理を施すことによって、再びSOI基板作製用の半導体基板に使用することができる。以上の工程を繰り返すことによって、1枚の半導体基板から複数枚のSOI基板用の半導体膜を形成することができるので、SOI基板作製のコスト削減と高効率化を図ることができる。
【0006】
しかし、市販の単結晶シリコンウエハ等の半導体基板には、単結晶シリコンウエハの研磨によって、エッジロールオフ(Edge Roll Off:E.R.O.)と呼ばれる、中央部より基板の厚さが薄い部分が基板周辺部に存在するので、半導体基板の周辺部はベース基板にうまく貼り合わせることができない。
【0007】
これによって、ベース基板上の薄膜の半導体膜と分離された半導体基板の周辺部には、本来ベース基板上に貼り合わせられるべき半導体層と絶縁膜が残存した凸部が形成される。
【0008】
ここで、半導体基板周辺の凸部を除去し、平坦化するための方法としては、化学的機械的研磨法(Chemical Mechanical Polishing:CMP法)が挙げられる。しかし、CMP法は基板表面を機械的に研磨する方法のため、分離後の半導体基板周辺部に形成された凸部を完全に除去するには、半導体基板の研磨代が大きくなるという問題がある。つまり、再生処理工程における半導体基板の取り代が大きくなり、1枚の半導体基板を再生使用できる回数が減るためにコスト増大につながる。
【0009】
本発明は上記の問題を鑑み、半導体膜が分離された、分離後の半導体基板を、SOI基板作製に用いることが可能な再生半導体基板に再生する際に、分離後の半導体基板の取り代を削減し、1枚の半導体基板を再生使用できる回数を増やす半導体基板の再生処理方法を提供することを課題の一とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
分離後の半導体基板の周辺部に残存した脆化層、半導体層、及び絶縁膜に対して、絶縁膜を除去する第1のエッチング処理を行い、脆化層及び半導体層を除去する第2のエッチング処理として、半導体基板の半導体を酸化する酸化剤として機能する物質と、半導体の酸化物を溶解する物質と、半導体の酸化及び半導体の酸化物の溶解の減速剤として機能する物質と、を含む混合溶液をエッチャントとして用いて、分離後の半導体基板の周辺部に残存した脆化層及び半導体層を選択的に除去することを特徴とする半導体基板の再生処理方法である。
【0011】
本明細書で開示する発明の構成の一態様は、水素イオン注入剥離法を用いてHイオンがイオン注入された半導体基板をベース基板に貼り合わせ、半導体基板から分離された半導体膜をベース基板に形成する際に副生される分離後の半導体基板を再生処理する方法であって、分離後の半導体基板の周辺部には残存した脆化層、半導体層及び絶縁膜が形成されており、第1のエッチング処理で残存した絶縁膜を除去し、半導体基板の半導体を酸化する酸化剤として機能する物質と、半導体の酸化物を溶解する物質と、半導体の酸化及び半導体の酸化物の溶解の減速剤として機能する物質と、を含む混合溶液をエッチャントとする、第2のエッチング処理で残存した脆化層及び半導体層を除去する。
【0012】
本明細書で開示する発明の構成の他の一態様は、水素イオン注入剥離法を用いてHイオンがイオン注入された半導体基板をベース基板に貼り合わせ、半導体基板から分離された半導体膜をベース基板に形成する際に副生される分離後の半導体基板を再生処理する方法であって、分離後の半導体基板の周辺部には残存した脆化層、半導体層及び絶縁膜が形成されており、第1のエッチング処理で残存した絶縁膜を除去し、半導体基板の半導体を酸化する酸化剤として機能する物質と、半導体の酸化物を溶解する物質と、半導体の酸化及び半導体の酸化物の溶解の減速剤として機能する物質と、を含む混合溶液をエッチャントとする、第2のエッチング処理で残存した半導体層及び脆化層を除去する。
【0013】
上記構成において、第2のエッチング処理後に、半導体基板に対してさらに平坦化処理を行ってもよい。平坦化処理としては研磨処理やレーザ照射処理を行うことができる。また研磨処理及びレーザ照射処理を組み合わせて行ってもよく、処理工程の順序も限定されない。
【0014】
本明細書で開示する発明の構成の他の一態様は、半導体基板上に絶縁膜を形成し、半導体基板の表面から水素イオン注入剥離法を用いてHイオンをイオン注入することによって脆化層を形成し、半導体基板を、絶縁膜を介してベース基板と貼り合わせ、脆化層において半導体基板を、ベース基板上に絶縁膜を介して貼り合わせられた半導体膜と、分離後の半導体基板と、に分離することを特徴とするSOI基板の作製方法であって、分離後の半導体基板の周辺部には、残存した脆化層、半導体層、及び絶縁膜が形成されており、第1のエッチング処理で残存した絶縁膜を除去し、半導体基板の半導体を酸化する酸化剤として機能する物質と、半導体の酸化物を溶解する物質と、半導体の酸化及び半導体の酸化物の溶解の減速剤として機能する物質と、を含む混合溶液をエッチャントとする、第2のエッチング処理で残存した脆化層、及び半導体層を除去し、分離後の半導体基板に研磨を行って再生半導体基板を形成し、再生半導体基板を再び半導体基板として用いる。
【0015】
上記構成において、第2のエッチング処理で用いるエッチャントとして、半導体を酸化する酸化剤として機能する物質として硝酸を用い、半導体の酸化物を溶解する物質としてフッ酸を用い、半導体の酸化及び半導体の酸化物の溶解の減速剤として機能する物質として酢酸を用いた混合溶液を適用することができる。また、この場合、混合溶液中の混合比の条件として、フッ酸の体積は、酢酸の体積の0.01倍より大きく、0.3倍未満とし、硝酸の体積は、酢酸の体積の0.01倍より大きく、1倍未満とし、かつフッ酸の体積の0.1倍より大きく、100倍未満とすると好ましい。
【発明の効果】
【0016】
本発明の一態様は、分離後の半導体基板の周辺部に残存した脆化層及び半導体層を選択的に除去することができるので、分離後の半導体基板の取り代を削減し、1枚の半導体基板を再生使用できる回数を増やすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の一態様に係る分離後の半導体基板の再生処理方法を示す図。
【図2】本発明の一態様に係る分離後の半導体基板の再生処理方法を示す図。
【図3】本発明の一態様に係るSOI基板の作製方法を示す図。
【図4】本発明の一態様に係るSOI基板の作製方法を示す図。
【図5】本発明の一態様に係るSOI基板の作製方法を示す図。
【図6】本発明の一態様に係るSOI基板の作製工程を示す図。
【図7】本発明の一態様に係るSOI基板を用いた半導体装置を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。ただし、本発明は多くの異なる態様で実施することが可能であり、本発明の趣旨及びその範囲から逸脱することなくその形態及び詳細を様々に変更し得ることは当業者であれば容易に理解される。したがって、本実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。なお、本明細書中の図面において、同一部分または同様な機能を有する部分には同一の符号を付し、その説明は省略する場合がある。
【0019】
(実施の形態1)
本実施の形態では、SOI基板を製造する際に副生される、分離後の半導体基板の再生処理方法について、図1を用いて説明する。
【0020】
SOI基板の製造は、ベース基板に半導体基板(ボンド基板)を貼り合わせ、加熱処理を行い、該半導体基板から分離された半導体膜をベース基板上に形成することによって行われる。このとき、半導体膜を分離した分離後の半導体基板は、以下に記載する再生処理を施すことにより、再び半導体基板としてSOI基板の製造に用いることができる。
【0021】
まず、分離後の半導体基板が副生される様子について説明する。図1(A)に半導体基板が分離後の半導体基板121と、ベース基板120上に固定された半導体膜124に分離する様子を示す。半導体基板とベース基板120とを貼り合わせた後、加熱処理を行うことにより、半導体基板内部に形成された脆化層において、微小ボイド同士が結合して、微小ボイドの体積が増大し、半導体基板は、ベース基板120上に固定される半導体膜124と分離後の半導体基板121に分離される。ここで、分離後の半導体基板121上に形成された分離面129、及び半導体膜124上に形成された分離面133は、この半導体基板中の脆化層の一部である。
【0022】
ここで、分離後の半導体基板121及び半導体膜124を形成する半導体基板としては、市販の半導体基板を用いることができ、例えば、シリコンなどの単結晶半導体基板または多結晶半導体基板を用いることができる。市販のシリコン基板としては、直径5インチ(125mm)、直径6インチ(150mm)、直径8インチ(200mm)、直径12インチ(300mm)、直径16インチ(400mm)サイズの円形のものが代表的である。また、市販のシリコン基板の周辺部には、欠けやひび割れを防ぐための面取り部が存在する。なお、形状は円形に限られず矩形状等に加工したシリコン基板を用いることも可能である。
【0023】
また、図1(A)に示すように、半導体基板の全周囲に絶縁膜を形成しても良い。この場合、分離した後は分離後の半導体基板121を覆うように形成される絶縁膜123及び半導体膜124の下の絶縁膜122となる。該絶縁膜は、酸化シリコン膜、窒化シリコン膜、酸化窒化シリコン膜、窒化酸化シリコン膜などを用いることができ、単層の絶縁膜を用いたものであっても、複数の絶縁膜を積層して用いたものであっても良い。特に半導体基板を熱酸化することで得られる酸化膜によって該絶縁膜を形成するのが好ましい。
【0024】
ここで、半導体基板中の脆化層は、水素イオン注入剥離法を用いてHイオンをイオン注入して形成される、なお、脆化層を形成するイオン注入の詳細については、後述する実施の形態3で詳細な説明を行う。
【0025】
また、半導体膜124は、絶縁膜122を介してベース基板上に形成されている。これは、半導体基板を覆うように絶縁膜122を形成し、半導体基板とベース基板120の貼り合わせを行ったからである。また、ベース基板120上に絶縁膜を形成してもよい。これら、SOI基板の製造方法については、後述する実施の形態3で詳細な説明を行う。
【0026】
ここで、分離後の半導体基板121を図1(B)に示す。分離後の半導体基板121の周辺部には凸部126が形成されている。ここで、凸部126は、半導体基板とベース基板120とが貼り合わせられない部分に形成される。これは、半導体基板の周辺部が面取りされていたり、半導体基板周辺にエッジロールオフと呼ばれる中央部より基板の厚さが薄く、平坦性の低い領域が形成されていると半導体基板の周辺部が十分に貼り合わせられないことに起因する。
【0027】
凸部126は、半導体基板側から順に残存した脆化層127、半導体層125、絶縁膜123によって構成されている。半導体層125及び脆化層127は、上述のイオン注入により結晶欠陥が多く形成されている。また、分離後の半導体基板121の分離面129にも結晶欠陥が形成され、平坦性が損なわれている。
【0028】
次に、図1(C)に示すように、第1のエッチング処理を行って、分離後の半導体基板121の絶縁膜123を除去する。絶縁膜123は、フッ酸を含む溶液をエッチャントとしてウェットエッチング処理を行うことで除去することができる。フッ酸を含む溶液としては、フッ酸とフッ化アンモニウムと界面活性剤を含む混合溶液(例えば、ステラケミファ社製、商品名:LAL500)を用いるのが望ましい。このウェットエッチング処理は、120秒〜1200秒行うのが好ましく、例えば600秒程度行うのが望ましい。絶縁膜123を第1のエッチング処理で除去することにより、次の工程で行う第2のエッチング処理で分離後の半導体基板121の取り代を低減し、ウェットエッチング時間を短くすることができる。また、ウェットエッチング処理は分離後の半導体基板121を処理槽内の溶液に浸漬することによって行われるので、複数の分離後の半導体基板121を一括処理する、バッチ式の処理が可能である。これにより、半導体基板の再生処理の効率化を図ることができる。
【0029】
また、絶縁膜123を除去する第1のエッチング処理は、絶縁膜123が除去できれば、ドライエッチング法を用いてもよく、両方組み合わせて用いてもよい。ドライエッチング法としては、平行平板型RIE(Reactive Ion Etching)法や、ICP(Inductively Coupled Plasma:誘導結合型プラズマ)エッチング法を用いることができる。所望の加工形状にエッチングできるように、エッチング条件(コイル型の電極に印加される電力量、基板側の電極に印加される電力量、基板側の電極温度等)を適宜調節する。
【0030】
最後に、図1(D)に示すように、第2のエッチング処理を行って、分離後の半導体基板121の凸部126を形成する半導体層125及び脆化層127を選択的に除去し、再生半導体基板132を形成する。また、このとき同時に分離面129の平坦化も行われる。半導体層125及び脆化層127は、半導体基板の半導体を酸化する酸化剤として機能する物質と、半導体の酸化物を溶解する物質と、半導体の酸化と半導体の酸化物の溶解の減速剤として機能する物質とを含む混合溶液をエッチャントとしてウェットエッチング処理を行うことで除去することができる。第2のエッチング処理は、1分〜10分程度行うのが好ましく、例えば、2〜4分程度行うのが望ましい。また、液温は、10℃〜30℃程度とするのが好ましく、例えば、室温にするのが望ましい。
【0031】
ここで、半導体を酸化する酸化剤として機能する物質としては硝酸が好ましい。また、半導体の酸化物を溶解する物質としてはフッ酸が好ましい。また、半導体の酸化と半導体の酸化物の溶解の減速剤として機能する物質としては酢酸が好ましい。具体的には、70重量%硝酸の体積は、97.7重量%酢酸の体積の0.01倍より大きく、1倍未満とし、かつ50重量%フッ酸の体積の0.1倍より大きく、100倍未満とし、50重量%フッ酸の体積は、97.7重量%酢酸の体積の0.01倍より大きく、0.3倍未満とすることで得られる組成を有する混合溶液をエッチャントとして用いるのが好ましい。より好ましくは、70重量%硝酸の体積は、97.7重量%酢酸の体積の0.2倍以上、0.5倍以下とし、かつ50重量%フッ酸の体積の1倍以上、10倍以下とし、50重量%フッ酸の体積は、97.7重量%酢酸の体積の0.1倍以上、0.2倍以下とすることで得られる組成を有する混合溶液をエッチャントとして用いる。例えば、50重量%フッ酸と70重量%硝酸と97.7重量%酢酸の体積比を1:3:10、1:2:10、1.5:3:10、2:2:10、1:10:20、または1:1:10とすることが望ましい。
【0032】
ここで、凸部126を形成する半導体層125及び脆化層127は、水素イオンの注入による結晶欠陥や微小ボイドを多く有するため、第2のエッチング処理のエッチャントである混合溶液を容易に浸透させることができる。これにより、半導体層125の表面からだけでなく、半導体層125及び脆化層127の内部からもウェットエッチング処理を行うことができる。ここで、ウェットエッチング処理は、半導体層125及び脆化層127において、基板平面に垂直な方向に深い縦穴を形成するように進行し、その縦穴を拡大するように行われることが多い。よって、半導体層125及び脆化層127は、分離後の半導体基板121の凸部126が形成されていない部分より大きなエッチングレートでウェットエッチング処理が行われる。
【0033】
つまり、半導体基板の半導体を酸化する酸化剤として機能する物質と、半導体の酸化物を溶解する物質と、半導体の酸化と半導体の酸化物の溶解の減速剤として機能する物質とを含む混合溶液をエッチャントとしてウェットエッチング処理を行うことにより、半導体層125及び脆化層127を選択的に除去することができる。このとき、半導体層125及び脆化層127にはイオン注入により結晶欠陥が存在するため速やかにエッチングされる。また、分離面129も結晶欠陥を有するため、速やかにエッチングされる。しかしながら、分離面129、半導体層125、及び脆化層127が除去されるとこれらの下の結晶欠陥の含有量が少ない半導体層の表面が露出するので、エッチングレートが落ちる。従って、凸部126がほぼ選択的にエッチングされることになる。分離後の半導体基板121の凸部126以外の部分における半導体基板の厚さの低減を抑制できるので、再生半導体基板132の取り代を削減し、1枚の半導体基板を再生使用できる回数を増やすことができる。また、ウェットエッチング処理は、複数の分離後の半導体基板121を一括処理するバッチ式の処理で容易に行うことができるので再生処理の効率化を図ることができる。また、第2のエッチング処理は比較的短時間で行うことができるので、再生処理の効率化を図ることができる。
【0034】
なお、分離面129が第2のエッチング処理後に残ることがある。その場合は、実施の形態2に示すような研磨処理などを行って分離面129を除去するのが好ましい。
【0035】
また、第2のエッチング処理の後に、半導体基板に対して上記のような研磨処理や、レーザ照射処理などの平坦化処理を行ってもよい。研磨処理やレーザ照射処理は、複数回行ってもよいし、組み合わせて行ってもよい。また、処理工程の順序も限定されず適宜選択すればよい。レーザ光の代わりにランプ光を用いた光照射処理を行ってもよい。
【0036】
以上の工程により、分離後の半導体基板121は、再生半導体基板132へと再生される。
【0037】
本実施の形態で示したように、第1のエッチング処理で絶縁膜を除去した後、半導体を酸化する酸化剤として機能する物質と、半導体の酸化物を溶解する物質と、半導体の酸化及び半導体の酸化物の溶解の減速剤として機能する物質と、を含む混合溶液を用いて第2のエッチング処理を行うことにより、分離後の半導体基板の周辺部に残存した脆化層及び半導体層を選択的に除去することができるので、再生半導体基板の取り代を削減し、1枚の半導体基板を再生使用できる回数を増やすことができる。
【0038】
なお、本実施の形態に示す構成は、他の実施の形態に示した構成を適宜組み合わせて用いることができることとする。
【0039】
(実施の形態2)
本実施の形態では、実施の形態1とは異なる、分離後の半導体基板の再生処理方法について、図2を用いて説明する。
【0040】
まず、図2(A)に示す、第1のエッチング処理を行い、分離後の半導体基板121上の絶縁膜123が除去された状態まで、実施の形態1と同様の工程で、再生処理を行う。次に、第2のエッチング処理も実施の形態1と同様に行う。ここで、図2(B)に示すように、分離後の半導体基板130の平坦性が十分でない場合は、本実施の形態に示すように、分離後の半導体基板130に平坦化処理を行うことにより再生半導体基板132を形成する。また、第2のエッチング処理で分離面129を十分に除去することができなかった場合も、平坦化処理により残存した分離面129を除去するのが好ましい。
【0041】
平坦化処理としては、研磨処理やレーザ照射処理を行うことができる。研磨処理やレーザ照射処理は、複数回行ってもよいし、組み合わせて行ってもよい。また、処理工程の順序も限定されず適宜選択すればよい。レーザ光の代わりにランプ光を用いた光照射処理を行ってもよい。本実施の形態では、平坦化処理として研磨処理を行う例を示す。
【0042】
分離後の半導体基板130の研磨方法としては、化学的機械的研磨法(CMP法)を用いるのが好ましい。ここで、CMP法とは、被加工物の表面を基準にし、それにならって表面を化学・機械的な複合作用により、平坦化する手法である。一般的に研磨ステージの上に研磨布を貼り付け、被加工物と研磨布との間にスラリー(研磨剤)を供給しながら研磨ステージと被加工物とを各々回転または揺動させて、スラリーと被加工物表面との間での化学反応と、研磨布と被加工物との機械的研磨の作用により、被加工物の表面を研磨する方法である。
【0043】
CMP法を用いた研磨は、1回行ってもよいし、複数回行ってもよい。複数回に分けて研磨を行う場合は、高い研磨レートの一次研磨を行った後、低い研磨レートの仕上げ研磨を行うのが好ましい。一次研磨としては、研磨布はポリウレタン研磨布を用いるのが好ましく、スラリーの粒径は120nm〜180nmとするのが好ましく、例えば、150nm程度とするのが望ましい。仕上げ研磨としては、スウェード地の研磨布を用いるのが好ましく、スラリーの粒径は45nm〜75nmとするのが好ましく、例えば、60nm程度とするのが望ましい。このように分離後の半導体基板130に研磨を行うことによって、平均表面粗さ0.2nm〜0.5nm程度に平坦化及び鏡面化された再生半導体基板132を形成することができる。また、このように研磨レートの異なる研磨を組み合わせることによって、短時間に分離後の半導体基板130の平坦化及び鏡面化を行うことができる。
【0044】
このように、第1のエッチング処理及び第2のエッチング処理で分離後の半導体基板121の半導体層125及び脆化層127を除去した後、CMP法を用いた研磨を行うことによって、さらに平坦性の高い再生半導体基板を得ることができる。
【0045】
なお、本実施の形態に示す構成は、他の実施の形態に示した構成を適宜組み合わせて用いることができることとする。
【0046】
(実施の形態3)
本実施の形態に係るSOI基板の製造方法は、ボンド基板である半導体基板をベース基板に接合して、半導体基板から分離させた半導体膜が形成されたSOI基板を製造する。そして、半導体膜が分離された分離後の半導体基板に再生処理を施して、ボンド基板として再利用する。以下、図3〜図5と図6のSOI基板作製工程図を参照して、開示する発明の一態様に係るSOI基板の製造方法の一つについて説明する。
【0047】
最初に、半導体基板100に脆化層104を形成し、ベース基板120との貼り合わせの準備を行う工程について説明する。以下の工程は、図6において工程A(ボンド基板工程)に該当する。
【0048】
まず図3(A)のような、半導体基板100を準備する(図6の工程A−1に対応)。半導体基板100としては、市販の半導体基板を用いることができ、例えば、シリコンなどの単結晶半導体基板または多結晶半導体基板を用いることができる。市販のシリコン基板としては、直径5インチ(125mm)、直径6インチ(150mm)、直径8インチ(200mm)、直径12インチ(300mm)、直径16インチ(400mm)サイズの円形のものが代表的である。また、市販のシリコン基板の周辺部には、図3(A)に示すような、欠けやひび割れを防ぐための面取り部が存在する。なお、形状は円形に限られず矩形状等に加工したシリコン基板を用いることも可能である。以下の説明では、半導体基板100として、矩形状の単結晶シリコン基板を用いる場合について示す。
【0049】
なお、半導体基板100の表面は、硫酸過水(SPM)、アンモニア過水(APM)、塩酸過水(HPM)、希フッ酸(DHF)などを用いて適宜洗浄しておくのが好ましい。また、希フッ酸とオゾン水を交互に吐出して半導体基板100の表面を洗浄してもよい。
【0050】
次に図3(B)に示すように、半導体基板100の表面を洗浄した後、半導体基板100上に絶縁膜122を形成する(図6の工程A−2に対応)。絶縁膜122は、単層の絶縁膜を用いたものであっても、複数の絶縁膜を積層して用いたものであっても良い。例えば本実施の形態では、酸化シリコンを絶縁膜122として用いる。絶縁膜122を構成する膜には、酸化シリコン膜、窒化シリコン膜、酸化窒化シリコン膜、窒化酸化シリコン膜などのシリコンを組成に含む絶縁膜を用いることができる。
【0051】
なお、本明細書において、酸化窒化シリコン膜とは、その組成として、窒素原子よりも酸素原子の数が多く、ラザフォード後方散乱法(RBS:Rutherford Backscattering Spectrometry)及び水素前方散乱法(HFS:Hydrogen Forward Scattering)を用いて測定した場合に、濃度範囲として酸素が50〜70原子%、窒素が0.5〜15原子%、Siが25〜35原子%、水素が0.1〜10原子%の範囲で含まれるものをいう。また、窒化酸化シリコン膜とは、その組成として、酸素原子より窒素原子の数が多く、RBS及びHFSを用いて測定した場合に、濃度範囲として酸素が5〜30原子%、窒素が20〜55原子%、Siが25〜35原子%、水素が10〜30原子%の範囲で含まれるものをいう。但し、酸化窒化シリコンまたは窒化酸化シリコンを構成する原子の合計を100原子%としたとき、窒素、酸素、Si及び水素の含有比率が上記の範囲内に含まれるものとする。
【0052】
酸化シリコンを絶縁膜122として用いる場合、絶縁膜122はシランと酸素、TEOS(テトラエトキシシラン)と酸素等の混合ガスを用い、熱CVD、プラズマCVD、常圧CVD、バイアスECRCVD等の気相成長法によって形成することができる。この場合、絶縁膜122の表面を酸素プラズマ処理で緻密化しても良い。
【0053】
また、有機シランガスを用いて化学気相成長法により作製される酸化シリコンを、絶縁膜122として用いても良い。有機シランガスとしては、テトラエトキシシラン(TEOS:化学式Si(OC)、テトラメチルシラン(TMS:化学式Si(CH)、テトラメチルシクロテトラシロキサン(TMCTS)、オクタメチルシクロテトラシロキサン(OMCTS)、ヘキサメチルジシラザン(HMDS)、トリエトキシシラン(SiH(OC)、トリスジメチルアミノシラン(SiH(N(CH)等のシリコン含有化合物を用いることができる。
【0054】
また、半導体基板100を酸化することで得られる酸化膜で、絶縁膜122を形成することもできる。上記酸化膜を形成するための、熱酸化処理には、ドライ酸化を用いても良いが、酸化雰囲気中にハロゲンを含むガスを添加しても良い。ハロゲンを含むガスとしては、HCl、HF、NF、HBr、Cl、ClF、BCl、F、Brなどから選ばれた一種又は複数種ガスを用いることができる。なお、図3(B)では、半導体基板100を覆うように絶縁膜が形成されているが、本実施の形態はこれに限定されない。半導体基板100にCVD法等を用いて絶縁膜122を設ける場合、半導体基板100の一方の面にのみ絶縁膜122が形成されていてもよい。
【0055】
例えば、酸素に対しHClを0.5〜10体積%(好ましくは3体積%)の割合で含む雰囲気中で、700℃以上1100℃以下の温度で熱処理を行う。例えば950℃程度で熱処理を行うとよい。処理時間は0.1〜6時間、好ましくは0.5〜1時間とすればよい。形成される酸化膜の膜厚は、10nm〜1100nm(好ましくは50nm〜150nm)、例えば100nmとすることができる。
【0056】
このハロゲンを含む雰囲気での熱酸化処理により、酸化膜にハロゲンを含ませることができる。ハロゲン元素を1×1017atoms/cm〜1×1021atoms/cmの濃度で酸化膜に含ませることにより、外因性不純物である重金属(例えば、Fe、Cr、Ni、Mo等)を酸化膜中のハロゲンが捕獲するので、後に形成される半導体膜の汚染を防止することができる。
【0057】
また、絶縁膜122中に塩素等のハロゲンを含ませることにより、半導体基板100に悪影響を与える不純物(例えば、Na等の可動イオン)をゲッタリングすることができる。具体的には、絶縁膜122を形成した後に行われる熱処理により、半導体基板100に含まれる不純物が絶縁膜122に析出し、ハロゲン原子(例えば塩素原子)と反応して捕獲されることとなる。それにより絶縁膜122中に捕獲した当該不純物を固定して半導体基板100の汚染を防ぐことができる。
【0058】
特に、ハロゲンを含む雰囲気下における熱処理により、絶縁膜122中に塩素等のハロゲンを含ませることは、半導体基板100の洗浄が不十分である場合や、繰り返し再生処理を施して用いられる半導体基板の汚染除去において有効である。
【0059】
また、酸化処理に含まれるハロゲン元素により、半導体基板100の表面の欠陥が終端化されるため、酸化膜と半導体基板100との界面の局在準位密度を低減することができる。
【0060】
また、絶縁膜122中に含有されたハロゲンは、絶縁膜122に歪みを形成する。その結果、絶縁膜122の水分に対する吸収率が向上し、水分の拡散速度が増加する。つまり、絶縁膜122の表面に水分が存在する場合に、当該表面に存在する水分を絶縁膜122中に素早く吸収し、拡散させることができる。
【0061】
また、窒化シリコンを絶縁膜122として用いる場合、シランとアンモニアの混合ガスを用い、プラズマCVD等の気相成長法によって形成することができる。また、窒化酸化シリコンを絶縁膜122として用いる場合、シランとアンモニアの混合ガス、またはシランと一酸化二窒素の混合ガスを用い、プラズマCVD等の気相成長法によって形成することができる。
【0062】
例えば、絶縁膜122を単層構造のバリア膜として形成する場合、厚さ15nm以上300nm以下の窒化シリコン膜、窒化酸化シリコン膜で形成することができる。
【0063】
絶縁膜122を、バリア膜として機能する2層構造の膜とする場合は、上層は、バリア機能の高い絶縁膜で構成する。上層の絶縁膜は、例えば厚さ15nm以上300nm以下の窒化シリコン膜、窒化酸化シリコン膜で形成することができる。これらの膜は、不純物の拡散を防止するブロッキング効果が高いが、内部応力が高い。そのため、半導体基板100と接する下層の絶縁膜には、上層の絶縁膜の応力を緩和する効果のある膜を選択することが好ましい。上層の絶縁膜の応力を緩和する効果のある絶縁膜として、酸化シリコン膜、酸化窒化シリコン膜および半導体基板100を熱酸化して形成した熱酸化膜などがある。下層の絶縁膜の厚さは5nm以上200nm以下とすることができる。
【0064】
例えば、絶縁膜122をブロッキング膜として機能させるために、酸化シリコン膜と窒化シリコン膜、酸化窒化シリコン膜と窒化シリコン膜、酸化シリコン膜と窒化酸化シリコン膜、酸化窒化シリコン膜と窒化酸化シリコン膜などの組み合わせで絶縁膜122を形成すると良い。
【0065】
次に図3(C)に示すように、半導体基板100に、電界で加速されたHイオンを、矢印で示すように絶縁膜122を介して半導体基板100に注入し、半導体基板100の表面から一定の深さの領域に、微小ボイドを有する脆化層104を形成する(図6の工程A−3に対応)。脆化層104が形成される領域の深さは、イオンビームの加速エネルギーとイオンビームの入射角によって調節することができる。加速エネルギーは加速電圧、ドーズ量などにより調節できる。イオンの平均侵入深さとほぼ同じ深さの領域に脆化層104が形成される。そのためイオンを添加する深さによって、後に半導体基板100から分離される半導体膜124の厚さが決定される。脆化層104が形成される深さは、例えば半導体基板100の表面から10nm以上500nm以下とすることができ、好ましい深さの範囲は50nm以上200nm以下、例えば100nm程度とすると良い。なお、本実施の形態では、イオンの注入を絶縁膜122の形成後に行っているが、これに限られず、絶縁膜122の形成前にイオンの注入を行っても良い。
【0066】
脆化層104の形成は、イオン注入装置を用いて行う。イオン注入装置は質量分離型の装置である。イオン注入装置は、プラズマ中のイオン種を質量分離し、ある特定の質量のイオン種を被処理体に注入する装置である。
【0067】
イオン注入装置は、チャンバー内に配置された被処理体に、ソースガスをプラズマ励起して生成された複数のイオン種を質量分離し、特定のイオン種を照射する質量分離型の装置である。したがって、イオン注入装置を用いる場合は、水素ガスやPHを励起して生成されたHイオンを質量分離して、Hイオンを加速して、半導体基板100に照射する。
【0068】
次に、絶縁膜122が形成された半導体基板100を洗浄する。この洗浄工程は、純水による超音波洗浄や純水と窒素による2流体ジェット洗浄で行うことができる。超音波洗浄はメガヘルツ超音波洗浄(メガソニック洗浄)が好ましい。超音波洗浄や2流体ジェット洗浄の後、半導体基板100をオゾン水で洗浄してもよい。オゾン水で洗浄することで、有機物の除去と、絶縁膜122表面の親水性を向上させる表面の活性化処理を行うことができる。
【0069】
絶縁膜122の表面の活性化処理には、オゾン水による洗浄の他原子ビーム若しくはイオンビームの照射処理、紫外線処理、オゾン処理、プラズマ処理、バイアス印加プラズマ処理若しくはラジカル処理で行うことができる(図6の工程A−4に対応)。原子ビーム若しくはイオンビームを利用する場合には、アルゴン等の不活性ガス中性原子ビーム若しくは不活性ガスイオンビームを用いることができる。
【0070】
ここで、オゾン処理の一例を説明する。例えば、酸素を含む雰囲気下で紫外線(UV)を照射することにより、被処理体表面にオゾン処理を行うことができる。酸素を含む雰囲気下で紫外線を照射するオゾン処理は、UVオゾン処理または紫外線オゾン処理などとも言われる。酸素を含む雰囲気下において、紫外線のうち200nm未満の波長を含む光と200nm以上の波長を含む光を照射することにより、オゾンを生成させるとともに、オゾンから一重項酸素を生成させることができる。紫外線のうち180nm未満の波長を含む光を照射することにより、オゾンを生成させるとともに、オゾンから一重項酸素を生成させることもできる。
【0071】
酸素を含む雰囲気下で、200nm未満の波長を含む光および200nm以上の波長を含む光を照射することにより起きる反応例を示す。
+hν(λnm)→O(P)+O(P) (1)
O(P)+O→O (2)
+hν(λnm)→O(D)+O (3)
【0072】
上記反応式(1)において、酸素(O)を含む雰囲気下で200nm未満の波長(λnm)を含む光(hν)を照射することにより基底状態の酸素原子(O(P))が生成される。次に、反応式(2)において、基底状態の酸素原子(O(P))と酸素(O)とが反応してオゾン(O)が生成される。そして、反応式(3)において、生成されたオゾン(O)を含む雰囲気下で200nm以上の波長(λnm)を含む光が照射されることにより、励起状態の一重項酸素O(D)が生成される。酸素を含む雰囲気下において、紫外線のうち200nm未満の波長を含む光を照射することによりオゾンを生成させるとともに、200nm以上の波長を含む光を照射することによりオゾンを分解して一重項酸素を生成する。上記のようなオゾン処理は、例えば、酸素を含む雰囲気下での低圧水銀ランプの照射(λ=185nm、λ=254nm)により行うことができる。
【0073】
また、酸素を含む雰囲気下で、180nm未満の波長を含む光を照射することにより起きる反応例を示す。
+hν(λnm)→O(D)+O(P) (4)
O(P)+O→O (5)
+hν(λnm)→O(D)+O (6)
【0074】
上記反応式(4)において、酸素(O)を含む雰囲気下で180nm未満の波長(λnm)を含む光を照射することにより、励起状態の一重項酸素O(D)と基底状態の酸素原子(O(P))が生成する。次に、反応式(5)において、基底状態の酸素原子(O(P))と酸素(O)とが反応してオゾン(O)が生成する。反応式(6)において、生成されたオゾン(O)を含む雰囲気下で180nm未満の波長(λnm)を含む光が照射されることにより、励起状態の一重項酸素と酸素が生成される。酸素を含む雰囲気下において、紫外線のうち180nm未満の波長を含む光を照射することによりオゾンを生成させるとともにオゾンまたは酸素を分解して一重項酸素を生成する。上記のようなオゾン処理は、例えば、酸素を含む雰囲気下でのXeエキシマUVランプの照射(λ=172nm)により行うことができる。
【0075】
200nm未満の波長を含む光により被処理体表面に付着する有機物などの化学結合を切断し、オゾンまたはオゾンから生成された一重項酸素により被処理体表面に付着する有機物、または化学結合を切断した有機物などを酸化分解して除去することができる。上記のようなオゾン処理を行うことで、被処理体表面の親水性および清浄性を高めることができ、ベース基板との強固な接合を達成できる。
【0076】
酸素を含む雰囲気下で紫外線を照射することによりオゾンが生成される。オゾンは、被処理体表面に付着する有機物の除去に効果を奏する。また、一重項酸素も、オゾンと同等またはそれ以上に、被処理体表面に付着する有機物の除去に効果を奏する。オゾン及び一重項酸素は、活性状態にある酸素の例であり、総称して活性酸素とも言われる。上記反応式等で説明したとおり、一重項酸素を生成する際にオゾンが生じる、またはオゾンから一重項酸素を生成する反応もあるため、ここでは一重項酸素が寄与する反応も含めて、便宜的にオゾン処理と称する。
【0077】
次に、ベース基板120の半導体基板100との貼り合わせの準備を行う工程について説明する。以下の工程は、図6における工程Bに該当する。
【0078】
まず、ベース基板120を準備する(図6の工程B−1に対応)。
ベース基板120としては、シリコンウエハやゲルマニウムウエハなどの半導体ウエハ、ガリウムヒ素やインジウムリンなどの化合物半導体ウエハを適用する。ベース基板120も単結晶半導体ウエハを適用するのが好ましいが、多結晶半導体ウエハを適用してもよい。結晶格子に歪みを有するシリコン、シリコンに対しゲルマニウムが添加されたシリコンゲルマニウムなどの半導体ウエハを用いていても良い。歪みを有するシリコンは、シリコンよりも格子定数の大きいシリコンゲルマニウムまたは窒化珪素上における成膜により、形成することができる。また、ベース基板として耐熱温度が高い石英基板を用いてもよい。本実施の形態では、ベース基板120としてシリコンウエハを用いる。
【0079】
また、ベース基板120上に絶縁膜を形成しておいてもよい(図6の工程B−2に対応)。例えば、ベース基板120の表面に絶縁膜として、バリア膜として機能する窒化シリコン膜、窒化酸化シリコン膜、窒化アルミニウム膜、または窒化酸化アルミニウム膜などを形成してもよい。また、このような、絶縁膜は接合層となるために、接合不良を抑制するには絶縁膜の表面を平滑とすることが好ましい。具体的には、絶縁膜の表面の平均面粗さ(Ra)を0.50nm以下、自乗平均粗さ(Rms)を0.60nm以下、より好ましくは、平均面粗さを0.35nm以下、自乗平均粗さを0.45nm以下となるように絶縁膜を形成する。膜厚は、10nm以上200nm以下、好ましくは50nm以上100nm以下の範囲で設けることが好ましい。
【0080】
貼り合わせを行う前に、ベース基板120の表面を洗浄する。ベース基板120の表面の洗浄は、塩酸と過酸化水素水を用いた洗浄や、メガヘルツ超音波洗浄や、2流体ジェット洗浄や、オゾン水による洗浄で行うことができる。また、絶縁膜122と同様に、ベース基板120の表面に、原子ビーム若しくはイオンビームの照射処理、紫外線処理、オゾン処理、プラズマ処理、バイアス印加プラズマ処理若しくはラジカル処理などの表面活性化処理を行ってから貼り合わせを行うと良い(図6の工程B−3に対応)。
【0081】
次に、半導体基板100とベース基板120を貼り合わせ、半導体基板100を、SOI基板となるベース基板120に貼り合わせられた半導体膜124と、再生処理工程に廻されて再利用される分離後の半導体基板121と、に分離する工程について説明する。以下の工程は、図6における工程C(貼り合わせ工程)に該当する。
【0082】
次に図4(A)に示すように、絶縁膜122がベース基板120側を向くように、絶縁膜122を介して半導体基板100とベース基板120を貼り合わせる(図6の工程C−1に対応)。
【0083】
貼り合わせは、ベース基板120の端の一箇所に0.1N/cm〜500N/cm、好ましくは1N/cm〜20N/cm程度の圧力を加える。ベース基板120の圧力をかけた部分から絶縁膜122とベース基板120とが接合し始め、自発的に接合が全面におよび、1枚のベース基板120と半導体基板100とが貼り合わされる。
【0084】
しかし、本実施の形態のように半導体基板100の周辺部が面取りされている場合、面取り部ではベース基板120と半導体基板100が接触しない。
【0085】
また、半導体基板100を作製する際には、仕上げ研磨としてCMP法などが用いられる。CMP法では、スラリー(研磨剤)が半導体基板100と研磨布との間に入り込み、遠心力によって半導体基板100と研磨布との間から出てくることによって、半導体基板100を研磨する。しかし、このときスラリーの入り込みが少ないと、半導体基板100周辺の研磨が中央部より速く進み、半導体基板100周辺にエッジロールオフと呼ばれる中央部より基板の厚さが薄く、平坦性の低い領域が形成される。半導体基板100の端部が面取りされていない場合でも、半導体基板100周辺部のE.R.O.領域によって、半導体基板100周辺部においてベース基板120と半導体基板100が貼り合わせられないことがある。
【0086】
また、半導体基板100を移送する際などに、キャリアなどで半導体基板100周辺部に傷が入ってしまった場合も、半導体基板100の周辺部において、ベース基板120と半導体基板100が貼り合わせられないことがある。
【0087】
接合はファン・デル・ワールス力を用いて行われているため、室温でも強固に接合が行われる。さらに、半導体基板100とベース基板120に圧力を加えることで水素結合により強固に接合することが可能である。なお、上記接合は低温で行うことが可能であるため、上述したようにベース基板120は様々なものを用いることが可能である。
【0088】
なお、ベース基板と、複数の半導体基板100とを貼り合わせる場合、半導体基板100の厚さの違いにより、絶縁膜122の表面がベース基板120と接触しない半導体基板100が生じる場合がある。そのため、圧力をかける場所は一箇所ではなく、各半導体基板100に圧力をかけるようにすることが好ましい。また、絶縁膜122表面の高さが多少違っていても、ベース基板120のたわみにより絶縁膜122の一部分がベース基板120と密着すれば、絶縁膜122表面全体に接合を進行させることが可能である。
【0089】
ベース基板120に半導体基板100を貼り合わせた後、接合界面での結合力を増加させるための加熱処理を行うことが好ましい(図6の工程C−2に対応)。この処理温度は、脆化層104に亀裂を発生させない温度とし、200℃以上450℃以下の温度範囲で処理することができる。また、この温度範囲で加熱しながら、ベース基板120に半導体基板100を貼り合わせることで、絶縁膜122とベース基板120との間における接合の結合力を強固にすることができる。接合界面での結合力を増加させるための加熱処理は、貼り合わせを行った装置或いは場所で、そのまま連続して行うことが好ましい。また、接合界面での結合力を増加させるための加熱処理からそのまま連続して、脆化層104を境として半導体基板100を分離する熱処理を行ってもよい。
【0090】
なお、半導体基板100とベース基板120とを貼り合わせるときに、接合面にパーティクルなどが付着してしまうと、付着部分は接合されなくなる。接合面へのパーティクルの付着を防ぐために、半導体基板100とベース基板120との貼り合わせは、気密な処理室内で行うことが好ましい。さらに、半導体基板100とベース基板120とを貼り合わせるとき、処理室内を例えば5.0×10−3Pa程度の大気圧より低い状態としても良い。また、接合処理の雰囲気を清浄にするようにしても良い。
【0091】
次いで図4(B)に示すように、加熱処理を行うことで、脆化層104において隣接する微小ボイドどうしが結合して、微小ボイドの体積が増大する。その結果、脆化層104において、爆発的な反応を伴って、半導体基板100から半導体膜124が分離する(図6の工程C−3に対応)。絶縁膜122の一部はベース基板120に接合しているので、ベース基板120上には半導体基板100から分離された半導体膜124が固定される。また、半導体膜124上には、脆化層104が分離することによって分離面133が形成される。分離面133は、半導体基板100の分離前は脆化層104の一部だったので多くの水素を含み、半導体基板100の分離により結晶欠陥が形成されている。半導体膜124を半導体基板100から分離するための加熱処理の温度は、ベース基板120の歪み点を越えない温度とする。なお、半導体膜124が分離した半導体基板100を分離後の半導体基板121と呼ぶ。
【0092】
この加熱処理には、RTA(Rapid Thermal Anneal)装置、抵抗加熱炉、マイクロ波加熱装置を用いることができる。RTA装置には、GRTA(Gas Rapid Thermal Anneal)装置、LRTA(Lamp Rapid Thermal Anneal)装置を用いることができる。
【0093】
GRTA装置を用いる場合は、加熱温度550℃以上650℃以下、処理時間0.5分以上60分以内とすることができる。抵抗加熱装置を用いる場合は、加熱温度200℃以上650℃以下、処理時間2時間以上4時間以内とすることができる。
【0094】
また、上記加熱処理は、マイクロ波などの高周波による誘電加熱を用いて行っても良い。誘電加熱による加熱処理は、高周波発生装置において生成された周波数300MHz乃至3THzの高周波を半導体基板100に照射することで行うことができる。具体的には、例えば、2.45GHzのマイクロ波を900W、14分間照射することで、脆化層において微小ボイドを膨張させて、隣接する微小ボイドどうしを結合させ、最終的に半導体基板100を分離させることができる。
【0095】
また、分離後の半導体基板121の分離面129も、半導体膜124上の分離面133と同様に、半導体基板100の分離前は脆化層104の一部だったので多くの水素を含み、半導体基板100の分離により結晶欠陥が形成されている。
【0096】
また、半導体基板100の周辺部は、半導体基板100移送時の傷、面取り部、およびE.R.O.領域などによって、ベース基板120と接合されていないことが多い。その状態で半導体基板100から半導体膜124を分離させると、ベース基板120と接合されていない半導体基板100の周辺部が半導体基板100に残存し、分離後の半導体基板121の周辺部に凸部126が形成される。凸部126は、残存した脆化層127、半導体層125、絶縁膜123によって構成されている。ベース基板120には、半導体基板100よりもサイズの小さい半導体膜124が貼り付けられる。
【0097】
なお、本実施の形態に示す工程Cまでの工程を実施の形態1又は実施の形態2に利用して、分離後の半導体基板121を形成してもよい。
【0098】
次に、分離面133を除去し、ベース基板120に貼り合わせられた半導体膜124の表面を平坦化し、結晶性を回復する工程について説明する。以下の工程は、図6における工程D(SOI基板仕上げ工程)に該当する。
【0099】
ベース基板120に密着された半導体膜124上の分離面133は、脆化層104の形成及び脆化層104における半導体基板100の分離によって、結晶欠陥が形成され、平坦性が損なわれている。よって、図4(C)に示すように、分離面133を研磨によって除去し、半導体膜124の表面を平坦化しても良い(図6の工程D−1に対応)。平坦化は必ずしも必須ではないが、平坦化を行うことで、半導体膜と後に形成されるゲート絶縁膜の界面の特性を向上させることが出来る。具体的に研磨は、化学的機械的研磨法(CMP法)または液体ジェット研磨などにより、行うことができる。ここで、分離面133を除去する際に、半導体膜124も研磨され、半導体膜124が薄膜化されることもある。
【0100】
また、分離面133をエッチングによって除去し、半導体膜124を平坦化することもできる。エッチングには、例えば反応性イオンエッチング(RIE:Reactive Ion Etching)法、ICP(Inductively Coupled Plasma)エッチング法、ECR(Electron Cyclotron Resonance)エッチング法、平行平板型(容量結合型)エッチング法、マグネトロンプラズマエッチング法、2周波プラズマエッチング法またはヘリコン波プラズマエッチング法等のドライエッチング法を用いれば良い。なお、上記研磨と上記エッチングの両方を用いて、分離面133を除去し、半導体膜124の表面を平坦化してもよい。
【0101】
また、上記研磨及び上記エッチングにより、半導体膜124の表面の平坦化だけでなく、後に形成される半導体素子にとって最適となる膜厚まで半導体膜124を薄膜化することもできる。
【0102】
また、結晶欠陥の低減及び平坦性向上のために、分離面133及び半導体膜124にレーザ光を照射しても良い(図6の工程D−2に対応)。
【0103】
なお、レーザ光を照射する前にドライエッチングにより分離面133を除去し、半導体膜124の表面を平坦化している場合、ドライエッチングにより半導体膜124の表面付近で結晶欠陥などの損傷が生じていることがある。しかし上記レーザ光の照射により、ドライエッチングにより生じる損傷も補修することが可能である。
【0104】
このレーザ光の照射工程では、ベース基板120の温度上昇が抑えられるため、耐熱性の低い基板をベース基板120として用いることが可能になる。レーザ光の照射によって、分離面133を完全溶融し、半導体膜124は部分溶融させることが好ましい。半導体膜124を完全溶融させると、液相となった半導体膜124での無秩序な核発生によって半導体膜124が再結晶化することとなり、半導体膜124の結晶性が低下するからである。半導体膜124を部分溶融させることで、半導体膜124では、溶融されていない固相部分から結晶成長が進行する、いわゆる縦成長が起こる。縦成長による再結晶化によって、半導体膜124の結晶欠陥が減少され、結晶性が回復される。なお、半導体膜124が完全溶融状態であるとは、半導体膜124が絶縁膜122との界面まで溶融され、液体状態になっていることをいう。他方、半導体膜124が部分溶融状態であるとは、上層が溶融して液相であり、下層が固相である状態をいう。
【0105】
次に、レーザ光を照射した後に、半導体膜124の表面をエッチングしても良い。レーザ光の照射後に半導体膜124の表面をエッチングする場合は、必ずしもレーザ光の照射を行う前に半導体膜124上の分離面133をエッチングする必要はない。また、レーザ光の照射を行う前に半導体膜124上の分離面133をエッチングした場合は、必ずしもレーザ光の照射後に半導体膜124の表面をエッチングする必要はない。また、レーザ光の照射前と照射後の両方のタイミングでエッチングを行っても良い。
【0106】
上記エッチングにより、半導体膜124の表面を平坦化するだけでなく、後に形成される半導体素子にとって最適となる膜厚まで半導体膜124を薄膜化できる。
【0107】
レーザ光を照射した後、半導体膜124に加熱処理を行うことが好ましい(図6の工程D−3に対応)。この加熱処理によって、レーザ光の照射で回復されなかった、半導体膜124の欠陥を消滅させ、半導体膜124の歪みを緩和させることができる。この加熱処理には、RTA(Rapid Thermal Anneal)装置、抵抗加熱炉、マイクロ波加熱装置を用いることができる。RTA装置には、GRTA(Gas Rapid Thermal Anneal)装置、LRTA(Lamp Rapid Thermal Anneal)装置を用いることができる。以上により、作製されたSOI基板を図4(C)に示す。
【0108】
本実施の形態は、半導体基板100及びベース基板120に耐熱温度が高いシリコンウエハを用いるので、1000℃以上の(代表的には1000℃〜1300℃)加熱処理を行うことができる。脆化層を形成するために行うイオン注入工程において、半導体基板100の半導体層は注入されるイオンによりダメージを受けてしまうが、上記半導体基板100及びベース基板120との接合強度を高める熱処理において、イオン注入工程による単結晶半導体層へのダメージの回復も行っている。さらに、ベース基板120上の単結晶半導体層に高温の加熱処理を行うことで表面の結晶性や平坦性の向上を行うことができる。
【0109】
このように作製されたSOI基板を用いて半導体装置を作製する例を、図7を用いて説明する。以下の工程は、図6における工程F(デバイス工程)に該当する。
【0110】
図7は、nチャネル型薄膜トランジスタであるトランジスタ280、およびpチャネル型薄膜トランジスタであるトランジスタ281を有する半導体装置の例である。複数の薄膜トランジスタ(TFT)を組み合わせることで、各種の半導体装置を形成することができる。
【0111】
SOI基板として、本実施の形態に示す方法で作製したSOI基板を用いることができる。トランジスタ280、トランジスタ281は、絶縁膜122を介してベース基板120上に形成されている。
【0112】
以下、図7に示す半導体装置の作製方法を説明する。
【0113】
上記実施の形態に示すように、絶縁膜122を介してベース基板120上に半導体膜が形成されたSOI基板を作製する。
【0114】
半導体膜及び絶縁膜122を一部エッチングし、素子分離層283を形成して、半導体膜を素子分離層283によって素子分離して、図7に示すように素子領域251、素子領域252を形成する。素子領域251はnチャネル型のTFTを構成し、素子領域252はpチャネル型のTFTを構成する。素子分離層283は例えば酸化シリコン膜を用いればよい。
【0115】
素子領域251、素子領域252上に絶縁膜254を形成する。次に、絶縁膜254を介して素子領域251上にゲート電極255を形成し、素子領域252上にゲート電極256を形成する。
【0116】
なお、半導体膜のエッチングを行う前に、TFTのしきい値電圧を制御するために、ホウ素、アルミニウム、ガリウムなどのアクセプタとなる不純物元素、またはリン、ヒ素などのドナーとなる不純物元素をSOI基板の半導体膜に添加することが好ましい。例えば、nチャネル型TFTが形成される領域にアクセプタとなる不純物元素を添加し、pチャネル型TFTが形成される領域にドナーとなる不純物元素を添加する。
【0117】
次に、素子領域251にn型の低濃度不純物領域257を形成し、素子領域252にp型の高濃度不純物領域259を形成する。具体的には、まず、素子領域251にn型の低濃度不純物領域257を形成する。このため、pチャネル型TFTとなる素子領域252をレジストでマスクし、不純物元素を素子領域251に添加する。不純物元素としてリンまたはヒ素を添加すればよい。イオンドーピング法またはイオン注入法により不純物元素を添加することにより、ゲート電極255がマスクとなり、素子領域251に自己整合的にn型の低濃度不純物領域257が形成される。素子領域251のゲート電極255と重なる領域はチャネル形成領域258となる。
【0118】
次に、素子領域252を覆うマスクを除去した後、nチャネル型TFTとなる素子領域251をレジストマスクで覆う。次に、イオンドーピング法またはイオン注入法により不純物元素を素子領域252に添加する。不純物元素として、ホウ素、アルミニウム、ガリウム等を添加することができる。不純物元素の添加工程では、ゲート電極256がマスクとして機能して、素子領域252にp型の高濃度不純物領域259が自己整合的に形成される。高濃度不純物領域259はソース領域またはドレイン領域として機能する。素子領域252のゲート電極256と重なる領域はチャネル形成領域260となる。ここでは、n型の低濃度不純物領域257を形成した後、p型の高濃度不純物領域259を形成する方法を説明したが、先にp型の高濃度不純物領域259を形成することもできる。
【0119】
次に、素子領域251を覆うレジストを除去した後、プラズマCVD法等によって窒化シリコン等の窒素化合物や酸化シリコン等の酸化物からなる単層構造または積層構造の絶縁膜を形成する。この絶縁膜を垂直方向の異方性エッチングすることで、ゲート電極255、ゲート電極256の側面に接するサイドウォール絶縁膜261、サイドウォール絶縁膜262を形成する。この異方性エッチングにより、絶縁膜254もエッチングされる。
【0120】
次に、素子領域252をレジストで覆い、素子領域251にソース領域またはドレイン領域として機能する高濃度不純物領域を形成するため、イオン注入法またはイオンドーピング法により、素子領域251に高ドーズ量で不純物元素を添加する。ゲート電極255およびサイドウォール絶縁膜261がマスクとなり、n型の高濃度不純物領域267が形成される。次に、不純物元素の活性化のための加熱処理を行う。
【0121】
活性化の加熱処理の後、水素を含んだ絶縁膜268を形成する。絶縁膜268を形成後、350℃以上450℃以下の温度による加熱処理を行い、絶縁膜268中に含まれる水素を素子領域251、素子領域252中に拡散させる。絶縁膜268は、プロセス温度が350℃以下のプラズマCVD法により窒化シリコンまたは窒化酸化シリコンを堆積することで形成できる。素子領域251、素子領域252に水素を供給することで、素子領域251、素子領域252中および絶縁膜254との界面での捕獲中心となるような欠陥を効果的に補償することができる。
【0122】
その後、層間絶縁膜269を形成する。層間絶縁膜269は、酸化シリコン膜、BPSG(Boron Phosphorus Silicon Glass)膜などの無機材料でなる絶縁膜、または、ポリイミド、アクリルなどの有機樹脂膜から選ばれた単層構造の膜、積層構造の膜で形成することができる。層間絶縁膜269にコンタクトホールを形成した後、配線270を形成する。配線270の形成には、例えば、アルミニウム膜またはアルミニウム合金膜などの低抵抗金属膜をバリアメタル膜で挟んだ3層構造の導電膜で形成することができる。バリアメタル膜は、モリブデン、クロム、チタンなどの金属膜で形成することができる。
【0123】
以上の工程により、nチャネル型TFTとpチャネル型TFTを有する半導体装置を作製することができる。本実施の形態の半導体装置に用いるSOI基板の作製過程で、分離後の半導体基板の再生処理工程を行い、1枚の半導体基板から複数枚の半導体膜を形成しているので、製造コストの低減及び生産性の向上を図ることができる。
【0124】
図7を参照して半導体装置及びその作製方法を説明したが、TFTの他、容量、抵抗などTFTと共に各種の半導体素子を形成することで、高付加価値の半導体装置を作製することができる。
【0125】
なお本実施の形態で示されたSOI基板は、マイクロプロセッサ、画像処理回路などの集積回路や、質問器とデータの送受信が非接触でできるRFタグ、半導体表示装置等、ありとあらゆる半導体装置の作製に用いることができる。半導体表示装置には、液晶表示装置、有機発光素子(OLED)に代表される発光素子を各画素に備えた発光装置、DMD(Digital Micromirror Device)、PDP(Plasma Display Panel)、FED(Field Emission Display)等や、半導体膜を用いた回路素子を駆動回路に有しているその他の半導体表示装置がその範疇に含まれる。
【0126】
次に、分離後の半導体基板121に再生処理を施し、再生半導体基板として繰り返し利用する工程について説明する。以下の工程は、図6における工程E(ボンド基板再生処理工程)に該当する。
【0127】
まず、図5(A)で示される分離後の半導体基板121を取り出す。分離後の半導体基板121の周辺部には凸部126が形成されている。凸部126は、半導体基板側から順に残存した脆化層127、半導体層125、絶縁膜123によって構成されている。半導体層125及び脆化層127は、上述のイオン注入により結晶欠陥が多く形成されている。また、分離後の半導体基板121の分離面129にも結晶欠陥が形成され、平坦性が損なわれている。
【0128】
次に、図5(B)に示すように、第1のエッチング処理を行って、分離後の半導体基板121の絶縁膜123を除去する(図6の工程E−1に対応)。本実施の形態では、第1のエッチング処理として、ウェットエッチング処理を行う例を示すが、絶縁膜123が除去できればよく、ドライエッチング処理を行ってもよい。絶縁膜123は、フッ酸を含む溶液をエッチャントとしてウェットエッチング処理を行うことで除去することができる。フッ酸を含む溶液としては、フッ酸とフッ化アンモニウムと界面活性剤を含む混合溶液(例えば、ステラケミファ社製、商品名:LAL500)を用いるのが望ましい。この第1のエッチング処理は、120秒〜1200秒行うのが好ましく、例えば600秒程度行うのが望ましい。また、ウェットエッチングは分離後の半導体基板121を処理槽内の溶液に浸漬することによって行われるので、複数の分離後の半導体基板121を一括処理することが可能である。絶縁膜123をウェットエッチングで除去することにより、次の工程で行う第2のエッチング処理で分離後の半導体基板121の取り代を低減し、ウェットエッチング時間を短くすることができる。また、ウェットエッチング処理は、複数の分離後の半導体基板121を一括処理するバッチ式の処理で容易に行うことができるので再生処理の効率化を図ることができる。
【0129】
次に、図5(C)に示すように、第2のエッチング処理を行って、分離後の半導体基板121の凸部126を形成する半導体層125及び脆化層127を選択的に除去し、再生半導体基板132を形成する(図6の工程E−2に対応)。また、このとき同時に分離面129の除去も行われる。半導体層125及び脆化層127は、半導体基板の半導体を酸化する酸化剤として機能する物質と、半導体の酸化物を溶解する物質と、半導体の酸化と半導体の酸化物の溶解の減速剤として機能する物質とを含む混合溶液をエッチャントとしてウェットエッチング処理を行うことで除去することができる。このウェットエッチング処理は、1分〜10分程度行うのが好ましく、例えば、2〜4分程度行うのが望ましい。また、液温は、10℃〜30℃程度とするのが好ましく、例えば、室温にするのが望ましい。
【0130】
ここで、半導体を酸化する酸化剤として機能する物質としては硝酸が好ましい。また、半導体の酸化物を溶解する物質としてはフッ酸が好ましい。また、半導体の酸化と半導体の酸化物の溶解の減速剤として機能する物質としては酢酸が好ましい。具体的には、70重量%硝酸の体積は、97.7重量%酢酸の体積の0.01倍より大きく、1倍未満とし、かつ50重量%フッ酸の体積の0.1倍より大きく、100倍未満とし、50重量%フッ酸の体積は、97.7重量%酢酸の体積の0.01倍より大きく、0.3倍未満とすることで得られる組成を有する混合溶液をエッチャントとして用いるのが好ましい。より好ましくは、70重量%硝酸の体積は、97.7重量%酢酸の体積の0.2倍以上、0.5倍以下とし、かつ50重量%フッ酸の体積の1倍以上、10倍以下とし、50重量%フッ酸の体積は、97.7重量%酢酸の体積の0.1倍以上、0.2倍以下とすることで得られる組成を有する混合溶液をエッチャントとして用いる。例えば、50重量%フッ酸と70重量%硝酸と97.7重量%酢酸の体積比を1:3:10、1:2:10、1.5:3:10、2:2:10、1:10:20、または1:1:10とすることが望ましい。
【0131】
ここで、凸部126を形成する半導体層125及び脆化層127は、水素イオンの注入による結晶欠陥や微小ボイドを多く有するため、第2のエッチング処理のエッチャントである混合溶液を容易に浸透させることができる。これにより、半導体層125の表面からだけでなく、半導体層125及び脆化層127の内部からもウェットエッチングを行うことができる。ここで、ウェットエッチングは、半導体層125及び脆化層127において、基板平面に垂直な方向に深い縦穴を形成するように進行し、その縦穴を拡大するように行われることが多い。よって、半導体層125及び脆化層127は、分離後の半導体基板121の凸部126が形成されていない部分より大きなエッチングレートでウェットエッチングが行われる。
【0132】
つまり、半導体基板の半導体を酸化する酸化剤として機能する物質と、半導体の酸化物を溶解する物質と、半導体の酸化と半導体の酸化物の溶解の減速剤として機能する物質とを含む混合溶液をエッチャントとしてウェットエッチング処理を行うことにより、半導体層125及び脆化層127を選択的に除去することができる。このとき、半導体層125及び脆化層127にはイオン照射により結晶欠陥が存在するため速やかにエッチングされる。また、分離面129も結晶欠陥を有するため、速やかにエッチングされる。しかしながら、分離面129、半導体層125、及び脆化層127が除去されるとこれらの下の結晶欠陥の含有量が少ない半導体層の表面が露出するので、エッチングレートが落ちる。従って、凸部126がほぼ選択的にエッチングされることになる。分離後の半導体基板121の凸部126以外の部分における半導体基板の厚さの低減を抑制できるので、再生半導体基板132の取り代を削減し、1枚の半導体基板を再生使用できる回数を増やすことができる。また、ウェットエッチング処理は、複数の分離後の半導体基板121を一括処理するバッチ式の処理で容易に行うことができるので再生処理の効率化を図ることができる。また、第2のエッチング処理は比較的短時間で行うことができるので、再生処理の効率化を図ることができる。
【0133】
また、ウェットエッチング処理は、複数の分離後の半導体基板121を一括処理するバッチ式の処理で容易に行うことができるので再生処理の効率化を図ることができる。また、第2のエッチング処理は比較的短時間で行うことができるので、再生処理の効率化を図ることができる。
【0134】
ここで、分離後の半導体基板の平坦性が十分でない場合は、さらに分離後の半導体基板に研磨を行うことにより再生半導体基板132の平坦性を向上することができる(図6の工程E−3に対応)。また、第2のエッチング処理で分離面129を十分に除去することができなかった場合も、研磨により残存した分離面129を除去するのが好ましい。
【0135】
分離後の半導体基板121の研磨方法としては、化学的機械的研磨法(CMP法)を用いるのが好ましい。ここで、CMP法とは、被加工物の表面を基準にし、それにならって表面を化学・機械的な複合作用により、平坦化する手法である。一般的に研磨ステージの上に研磨布を貼り付け、被加工物と研磨布との間にスラリー(研磨剤)を供給しながら研磨ステージと被加工物とを各々回転または揺動させて、スラリーと被加工物表面との間での化学反応と、研磨布と被加工物との機械的研磨の作用により、被加工物の表面を研磨する方法である。
【0136】
CMP法を用いた研磨は、1回行ってもよいし、複数回行ってもよい。複数回に分けて研磨を行う場合は、高い研磨レートの一次研磨を行った後、低い研磨レートの仕上げ研磨を行うのが好ましい。一次研磨としては、研磨布はポリウレタン研磨布を用いるのが好ましく、スラリーの粒径は120nm〜180nmとするのが好ましく、例えば、150nm程度とするのが望ましい。仕上げ研磨としては、研磨布はスウェード地の研磨布を用いるのが好ましく、スラリーの粒径は45nm〜75nmとするのが好ましく、例えば、60nm程度とするのが望ましい。このように分離後の半導体基板に研磨を行うことによって、平均表面粗さ0.2nm〜0.5nm程度に平坦化及び鏡面化された再生半導体基板132を形成することができる。また、このように研磨レートの異なる研磨を組み合わせることによって、短時間に分離後の半導体基板の平坦化及び鏡面化を行うことができる。
【0137】
このように、第1のエッチング処理及び第2のエッチング処理で分離後の半導体基板121の半導体層125及び脆化層127を除去した後、CMP法を用いた研磨を行うことによって、さらに平坦性の高い再生半導体基板132を得ることができる。
【0138】
以上の工程により、分離後の半導体基板は、再生半導体基板132へと再生される。得られた再生半導体基板132は工程Aにおいて半導体基板100として再度利用する。
【0139】
本実施の形態で示したように、半導体基板の再生処理工程により半導体基板を繰り返し利用することによって、SOI基板作製のコストダウンを図ることができる。特に、第1のエッチング処理で絶縁膜を除去した後、半導体基板の半導体を酸化する酸化剤として機能する物質と、半導体の酸化物を溶解する物質と、半導体の酸化及び半導体の酸化物の溶解の減速剤として機能する物質と、を含む混合溶液を用いて第2のエッチング処理を行うことにより、分離後の半導体基板の周辺部に残存した脆化層及び半導体層を選択的に除去することができるので、分離後の半導体基板の取り代を削減し、1枚の半導体基板を再生使用できる回数を増やすことができる。
【0140】
なお、本実施の形態に示す構成は、他の実施の形態に示した構成を適宜組み合わせて用いることができることとする。
【符号の説明】
【0141】
100 半導体基板
104 脆化層
120 ベース基板
121 分離後の半導体基板
122 絶縁膜
123 絶縁膜
124 半導体膜
125 半導体層
126 凸部
127 脆化層
129 分離面
130 分離後の半導体基板
132 再生半導体基板
133 分離面
251 素子領域
252 素子領域
254 絶縁膜
255 ゲート電極
256 ゲート電極
257 低濃度不純物領域
258 チャネル形成領域
259 高濃度不純物領域
260 チャネル形成領域
261 サイドウォール絶縁膜
262 サイドウォール絶縁膜
267 高濃度不純物領域
268 絶縁膜
269 層間絶縁膜
270 配線
280 トランジスタ
281 トランジスタ
283 素子分離層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水素イオン注入剥離法を用いてHイオンがイオン注入された半導体基板をベース基板に貼り合わせ、前記半導体基板から分離された半導体膜を前記ベース基板に形成する際に副生される分離後の半導体基板を再生処理する方法であって、
前記分離後の半導体基板の周辺部には、残存した脆化層、半導体層及び絶縁膜が形成されており、
第1のエッチング処理で前記絶縁膜を除去し、
半導体を酸化する酸化剤として機能する物質と、半導体の酸化物を溶解する物質と、半導体の酸化及び半導体の酸化物の溶解の減速剤として機能する物質と、を含む混合溶液をエッチャントとする、第2のエッチング処理で前記脆化層及び前記半導体層を除去する半導体基板の再生処理方法。
【請求項2】
水素イオン注入剥離法を用いてHイオンがイオン注入された半導体基板をベース基板に貼り合わせ、前記半導体基板から分離された半導体膜を前記ベース基板に形成する際に副生される分離後の半導体基板を再生処理する方法であって、
前記分離後の半導体基板の周辺部には、残存した脆化層、半導体層及び絶縁膜が形成されており、
第1のエッチング処理で前記絶縁膜を除去し、
半導体を酸化する酸化剤として機能する物質と、半導体の酸化物を溶解する物質と、半導体の酸化及び半導体の酸化物の溶解の減速剤として機能する物質と、を含む混合溶液をエッチャントとする、第2のエッチング処理で前記脆化層及び前記半導体層を除去する半導体基板の再生処理方法。
【請求項3】
請求項1又は請求項2において、
前記第2のエッチング処理の後に、前記半導体基板表面を研磨する半導体基板の再生処理方法。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3のいずれか一項において、
前記半導体を酸化する酸化剤として機能する物質として硝酸を用い、
前記半導体の酸化物を溶解する物質としてフッ酸を用い、
前記半導体の酸化及び半導体の酸化物の溶解の減速剤として機能する物質として酢酸を用いる半導体基板の再生処理方法。
【請求項5】
請求項4において、
前記混合溶液は、
前記フッ酸の濃度は50重量%とし、
前記硝酸の濃度は70重量%とし、
前記酢酸の濃度は97.7重量%とし、
前記フッ酸の体積は、前記酢酸の体積の0.01倍より大きく、0.3倍未満とし、
前記硝酸の体積は、前記酢酸の体積の0.01倍より大きく、1倍未満とし、かつ前記フッ酸の体積の0.1倍より大きく、100倍未満とすることで得られる組成を有する半導体基板の再生処理方法。
【請求項6】
請求項5において、
前記フッ酸と前記硝酸と前記酢酸の体積比を1:3:10とする半導体基板の再生処理方法。
【請求項7】
半導体基板上に絶縁膜を形成し、
前記半導体基板の表面から水素イオン注入剥離法を用いてHイオンをイオン注入することによって脆化層を形成し、
前記半導体基板を、前記絶縁膜を介してベース基板と貼り合わせ、
前記脆化層において前記半導体基板を、前記ベース基板上に前記絶縁膜を介して貼り合わせられた半導体膜と、分離後の半導体基板と、に分離することを特徴とするSOI基板の作製方法であって、
前記分離後の半導体基板の周辺部には、残存した脆化層、半導体層及び絶縁膜が形成されており、
第1のエッチング処理で前記絶縁膜を除去し、
半導体を酸化する酸化剤として機能する物質と、半導体の酸化物を溶解する物質と、半導体の酸化及び半導体の酸化物の溶解の減速剤として機能する物質と、を含む混合溶液をエッチャントとし、第2のエッチング処理で前記脆化層及び前記半導体層を除去し、
前記分離後の半導体基板に研磨を行って第2の半導体基板を形成し、
前記第2の半導体基板を再び前記半導体基板として用いるSOI基板の作製方法。
【請求項8】
請求項7において、
前記半導体を酸化する酸化剤として機能する物質として硝酸を用い、
前記半導体の酸化物を溶解する物質としてフッ酸を用い、
前記半導体の酸化及び半導体の酸化物の溶解の減速剤として機能する物質として酢酸を用いるSOI基板の作製方法。
【請求項9】
請求項8において、
前記混合溶液は、
前記フッ酸の濃度は50重量%とし、
前記硝酸の濃度は70重量%とし、
前記酢酸の濃度は97.7重量%とし、
前記フッ酸の体積は、前記酢酸の体積の0.01倍より大きく、0.3倍未満とし、
前記硝酸の体積は、前記酢酸の体積の0.01倍より大きく、1倍未満とし、かつ前記フッ酸の体積の0.1倍より大きく、100倍未満とすることで得られる組成を有するSOI基板の作製方法。
【請求項10】
請求項9において、
前記フッ酸と前記硝酸と前記酢酸の体積比を1:3:10とするSOI基板の作製方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−29619(P2011−29619A)
【公開日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−142496(P2010−142496)
【出願日】平成22年6月23日(2010.6.23)
【出願人】(000153878)株式会社半導体エネルギー研究所 (5,264)
【Fターム(参考)】