説明

半導体発光素子、その製造方法およびその半導体発光素子を用いた半導体レーザジャイロ

【課題】 1.1μmよりも短波長な発光波長を有する半導体発光素子を提供する。
【解決手段】 半導体レーザは、活性層6を備える。活性層6は、6個の量子ドット層61と、5個の間隙層62とを含む。6個の量子ドット層61および5個の間隙層62は、交互に積層される。5個の間隙層62の各々は、ノンドープのGaAsからなる。そして、5個の間隙層62の各々は、30〜50nmの膜厚を有する。6個の量子ドット層61の各々は、量子ドット611とキャップ層612とからなる。量子ドット611は、InAsからなり、キャップ層612は、AlGa1−yAs(y=0.05〜0.5)からなる。量子ドット611は、1.8〜2.4モノレイヤーのInAsをMBEにより結晶成長することにより形成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、半導体発光素子、その製造方法およびその半導体発光素子を用いた半導体レーザジャイロに関するものである。
【背景技術】
【0002】
微細加工技術に代表される半導体製造技術の進展によって、集積度の向上に加えて、量子サイズ効果を利用した量子ドットレーザ(Quantum Dot Laser)、および単一電子トランジスタ(Single Electron Transistor)等のデバイスが提案されている。
【0003】
特に、電子のド・ブロイ波長と同程度の寸法(大きさ)を有する量子ドットは、その中に電子を0次元的に閉じ込め、電子のエネルギー準位を離散化、即ち、状態密度をデルタ関数とすることが可能となる。量子ドットは、このような電子の閉じ込め効果(量子サイズ効果)が多岐に渡り顕在化されるため、従来の枠を超越した性能を有するデバイスの基本構造として脚光を浴びている。
【0004】
このような量子ドットを形成する方法として、S−K(Stransky−Krastanov)モード成長法と呼ばれる自己形成方法が広く知られている(非特許文献1)。通常、薄膜を基板上に形成する場合、その双方の格子定数が一致する基板と薄膜とを用いる必要がある。これは、格子定数が大きく相違すると、エピタキシャル成長時に歪力が生じるため、欠損が生じて薄膜の平面構造が不均一になるためである。
【0005】
S−Kモード成長法は、上述した薄膜形成における原則とは逆に、格子定数が大きく異なる材料、例えば、基板よりも格子定数が大きく薄膜をエピタキシャル成長させ、エピタキシャル成長時に生じる歪力を積極的に利用して、基板に量子ドットを自己成長させようとする方法である。
【0006】
S−Kモード成長法を利用して、例えば、III−V族化合物半導体であるガリウム砒素(GaAs)基板の表面に、MBE(Molecular Beam Epitaxy)法により砒素(As)分子とインジウム(In)分子とを連続的に供給することにより、均一性に優れた量子ドットを形成することができる。
【0007】
このような方法により、InAsからなる量子ドットをGaAsからなるキャップ層で覆った量子ドットを活性層に用いた量子ドットレーザが作製されている。そして、この量子ドットレーザは、その発振波長が1.1μm〜1.2μmの範囲である。
【0008】
一方、回転する物体の角速度を検出するものとしてジャイロが知られている。その中でも、光ジャイロは、精度が高いという特徴を有する。光ジャイロは、環状の光路を互いに逆方向に進む2つのレーザ光の周波数差を用いて回転する物体の角速度を検出する。このような光ジャイロとして、希ガスレーザを用いた光ジャイロが提案されている(特許文献1)。
【0009】
これらの光ジャイロでは、同じ経路を互いに逆方向に周回するレーザ光を取り出して干渉縞を形成させる。図21は、光ジャイロの一般的な構成を示す図である。図21に示す光ジャイロにおいて、干渉縞は、次の式によって表される。
【0010】
【数1】

式(1)において、Iは、レーザ光の強度であり、λは、レーザ光の波長である。また、εは、図21に示す角度であり、χは、図21に示すX方向の座標である。Δωは、ジャイロが回転したときの時計回りのモードと反時計回りのモードとの周波数差であり、tは、時刻である。
【0011】
Δωは、ジャイロの回転の角速度Ωと比例関係にある。即ち、Δω=4AΩ/(Lλ)である。ここで、Aは、リング形状の囲む面積であり、Lは、光路長である。φは、2つのレーザ光の初期の位相差を表す。
【0012】
このジャイロでは、干渉縞の移動速度および移動方向を検出することによって、回転する物体の回転速度および回転方向が検出される。
【0013】
しかし、希ガスレーザを用いた光ジャイロは、駆動に高電圧が必要であり、消費電力が大きいという問題、および装置が大きく、熱に弱いという問題がある。
【0014】
このような問題を解決するジャイロとして、環状の導波路を備える半導体リングレーザを用いたジャイロが提案されている(特許文献2)。このジャイロにおいて用いられている半導体レーザは、ほぼ一定の幅の環状の導波路を備える。そして、その環状の導波路を互いに反対方向に周回する2つのレーザ光を外部に取り出して、その干渉縞を検出する。
【0015】
しかし、細い導波路を用いて閉じ込められたレーザ光は、導波路の外部に出射する際に大きく広がってしまうため、実際に干渉縞を精度よく検出することは困難である。そのため、半導体レーザを用いるジャイロでは、半導体レーザの2つの電極間の電圧変化から、2つのレーザ光の周波数差に対応するビート周波数を検出するジャイロ(特許文献3)、および共振器の端面からしみ出したエバネッセント光を用いてビート周波数を検出するジャイロ(特許文献4)が一般的である。
【非特許文献1】ディー・レオナルド(D. Leonard)他4名著,「応用物理学論文集vol.63(Applied Physics Letters Volume 63)」, 1993年12月6日,pp.3203−3205.
【特許文献1】特開平11−351881号公報
【特許文献2】特開2000−230831号公報
【特許文献3】特開平4−174317号公報
【特許文献4】特開2000−121367号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
しかし、従来の量子ドットレーザは、InAsからなる量子ドットとGaAsからなるキャップ層とを用いているため、その発振波長を1.1μm〜1.2μmよりも短くすることが困難であるという問題がある。
【0017】
また、従来の半導体レーザを用いたジャイロでは、精度が低いという問題がある。
【0018】
そこで、この発明は、かかる問題を解決するためになされたものであり、その目的は、1.1μmよりも短波長な発光波長を有する半導体発光素子を提供することである。
【0019】
また、この発明の別の目的は、1.1μmよりも短波長な発光波長を有する半導体発光素子の製造方法を提供することである。
【0020】
更に、この発明の別の目的は、精度が高いジャイロを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0021】
この発明によれば、半導体発光素子は、第1の波長よりも短い第2の波長を発光する半導体発光素子であって、第1のバリア層と、活性層と、第2のバリア層とを備える。活性層は、第1のバリア層に接して形成される。第2のバリア層は、活性層に接して形成される。そして、活性層は、量子ドットと、キャップ層とを含む。キャップ層は、量子ドットを覆うように形成され、第1の波長を発光するときの第1のバンドギャップよりも大きい第2のバンドギャップを有する。
【0022】
好ましくは、キャップ層は、ガリウム砒素よりも大きいバンドギャップを有する化合物半導体からなる。
【0023】
好ましくは、キャップ層は、アルミニウム、ガリウムおよび砒素を含む化合物半導体からなる。
【0024】
好ましくは、ガリウムの含有量に対するアルミニウムの含有量の比は、0.05〜1.0の範囲である。
【0025】
好ましくは、量子ドットは、インジウムおよび砒素を含む化合物半導体からなる。
【0026】
好ましくは、量子ドットは、ガリウム、インジウムおよび砒素を含む化合物半導体からなる。
【0027】
好ましくは、活性層は、複数の発光層を含む。そして、複数の発光層の各々は、量子ドットとキャップ層とからなる。
【0028】
また、この発明によれば、半導体発光素子の製造方法は、第1の波長よりも短い第2の波長を発光する半導体発光素子の製造方法であって、半導体の表面に複数の材料を供給して膜を成長させて量子ドットを形成する第1のステップと、第1の波長を発光するときの第1のバンドギャップよりも大きい第2のバンドギャップを有するキャップ層を量子ドットを覆うように形成する第2のステップとを備える半導体発光素子の製造方法である。
【0029】
好ましくは、キャップ層は、ガリウム砒素よりも大きいバンドギャップを有する化合物半導体からなる。
【0030】
好ましくは、量子ドットの形成温度は、キャップ層の形成温度よりも低い。
【0031】
好ましくは、半導体発光素子の製造方法は、第2のステップの後、量子ドットおよびキャップ層を熱処理する第3のステップをさらに備える。
【0032】
好ましくは、熱処理の温度は、量子ドットの形成温度よりも高い。
【0033】
好ましくは、熱処理の温度は、量子ドットおよびキャップ層の形成温度よりも高い。
【0034】
好ましくは、化合物半導体は、アルミニウム、ガリウムおよび砒素を含む。
【0035】
好ましくは、ガリウムの含有量に対するアルミニウムの含有量の比は、0.05〜1.0の範囲である。
【0036】
好ましくは、量子ドットは、インジウムおよび砒素を含む化合物半導体からなる。
【0037】
更に、この発明によれば、半導体レーザジャイロは、半導体レーザと、光検出器とを備える。半導体レーザは、第1および第2のレーザ光を出射する活性層と活性層にキャリアを注入する第1および第2の電極とを含む。光検出器は、第1および第2のレーザ光によって干渉縞が形成される位置に配置される。半導体レーザの活性層は、量子ドットと、キャップ層とを含む。キャップ層は、量子ドットを覆うように形成され、基準波長を発光するときの第1のバンドギャップよりも大きい第2のバンドギャップを有する。そして、第1のレーザ光は、活性層内においてリング形状の経路上を周回するレーザ光の一部が出射されたレーザ光である。また、第2のレーザ光は、経路上を第1のレーザ光と逆の方向に周回するレーザ光の一部が出射されたレーザ光である。更に、キャップ層は、ガリウム砒素よりも大きいバンドギャップを有する化合物半導体からなる。
【発明の効果】
【0038】
この発明による半導体発光素子においては、量子ドットを覆うように形成されるキャップ層は、第1の波長を発光するときの第1のバンドギャップよりも大きい第2のバンドギャップを有する。従って、電子および正孔は、キャップ層のバンドギャップが第1のバンドギャップである場合よりも量子ドットへ効率的に閉じ込められ、電子および正孔の量子ドット中のエネルギー準位が高くなる。
【0039】
従って、この発明によれば、従来よりも短波長な光を発光できる。
【0040】
また、この発明による半導体発光素子の製造方法においては、量子ドットおよびキャップ層の形成後、量子ドットおよびキャップ層を熱処理するので、キャップ層の構成元素の一部が量子ドット中へ拡散し、量子ドットのバンドギャップが大きくなる。
【0041】
従って、この発明によれば、従来よりも短波長な光を発光する半導体発光素子を容易に作製できる。
【0042】
更に、この発明による半導体レーザジャイロにおいては、半導体レーザは、従来よりも短波長な2つのレーザ光を発振するので、光検出器が検出する2つのレーザ光の周波数差がより大きくなり、光検出器の位置における光強度がより強くなる。その結果、干渉縞の移動速度および移動方向の検出精度が高くなる。
【0043】
従って、この発明によれば、半導体レーザジャイロの精度を向上できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0044】
本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰返さない。
【0045】
図1は、この発明の実施の形態による半導体レーザの断面構造図である。この発明の実施の形態による半導体レーザ10は、負極電極1と、基板2と、バッファ層3と、クラッド層4,8と、バリア層5,7と、活性層6と、コンタクト層9と、正極電極11とを備える。
【0046】
負極電極1は、基板2の一主面に形成される。バッファ層3は、負極電極1と反対側の基板2の一主面に形成される。クラッド層4は、バッファ層3上にバッファ層3に接して形成される。
【0047】
バリア層5は、クラッド層4上にクラッド層4に接して形成される。活性層6は、バリア層5上にバリア層5に接して形成される。バリア層7は、活性層6上に活性層6に接して形成される。クラッド層8は、バリア層7上にバリア層7に接して形成される。コンタクト層9は、クラッド層8上にクラッド層8に接して形成される。正極電極11は、コンタクト層9上にコンタクト層9に接して形成される。
【0048】
負極電極1は、AuGe/Ni/Auからなる。基板2は、シリコン(Si)がドープされた(100)面を有するGaAsからなる。バッファ層3は、1×1018cm−3のSiがドープされたn型GaAsからなる。クラッド層4は、1×1017cm−3のSiがドープされたn型AlGa1−xAs(x=0.2〜0.9)からなる。
【0049】
バリア層5,7の各々は、ノンドープのGaAsからなる。クラッド層8は、5×1017cm−3のベリリウム(Be)がドープされたp型AlGa1−xAs(x=0.2〜0.9)からなる。コンタクト層9は、2×1019cm−3よりも多くのBeがドープされたp型GaAsからなる。正極電極11は、Ti/Pt/AuまたはAu/Zn/Au(0.01μm/0.01μm/0.3μm)からなる。
【0050】
バッファ層3の膜厚は、300nmであり、クラッド層4の膜厚は、1500nmであり、バリア層5,7の各々の膜厚は、80nmであり、クラッド層8の膜厚は、1500nmであり、コンタクト層9の膜厚は、200nmである。
【0051】
負極電極1の膜厚は、全体で0.43μmである。そして、負極電極1を構成するAuGeの膜厚は、0.1μmであり、Niの膜厚は、0.03μmであり、Auの膜厚は、0.3μmである。正極電極11の膜厚は、全体で0.72μmである。そして、正極電極11を構成するTiの膜厚は、0.07μmであり、Ptの膜厚は、0.05μmであり、Auの膜厚は0.6μmである。
【0052】
図2は、図1に示す活性層6の拡大断面図である。活性層6は、6個の量子ドット層61と、5個の間隙層62とからなる。そして、6個の量子ドット層61および5個の間隙層62は、交互に積層される。
【0053】
6個の量子ドット層61の各々は、量子ドット611と、キャップ層612とからなる。キャップ層612は、量子ドット611を覆う。量子ドット611は、インジウム砒素(InAs)からなる。キャップ層612は、アルミニウムガリウム砒素(AlGa1−yAs,y:0.05〜0.5)からなる。この場合、アルミニウムの含有量とガリウムの含有量との比(=アルミニウムの含有量/ガリウムの含有量)は、0.05〜1.0の範囲である。
【0054】
InAsのバンドギャップは、0.36eVであり、AlGa1−yAsのバンドギャップは、アルミニウムの含有量y=0.05〜0.5に対して1.486〜1.95eVである。また、量子ドット611のサイズは、数十nmである。
【0055】
量子ドット611は、InAsが1.8〜2.4モノレイヤー(1モノレイヤー:略0.5nm)の範囲で結晶成長されて形成される。キャップ層612の膜厚は、3〜20nmの範囲である。
【0056】
5個の間隙層62の各々は、GaAsからなり、30nm〜50nmの膜厚を有する。
【0057】
図3は、半導体レーザ10のクラッド層4、バリア層5、活性層6、バリア層7およびクラッド層8における屈折率の分布を示す図である。クラッド層4,8は、Alの含有量xが0.2〜0.9であるAlGa1−xAsから成るので、屈折率が最も小さい。バリア層5,7は、GaAsからなるので、クラッド層3,8よりも大きい屈折率を有する。活性層6は、InAsおよびAlGa1−yAsから成るので、最も大きい屈折率を有する。
【0058】
このように、クラッド層4、バリア層5、活性層6、バリア層7およびクラッド層8における屈折率の分布は、活性層6を中心にして対称になる。その結果、活性層6において誘導放出により発生した光は、両側に設けられたバリア層5,7およびクラッド層4,8によって光学的に閉じ込められ、レーザ発振のためのしきい値が低下する。
【0059】
図4は、量子ドット層61におけるエネルギーバンド図である。図4において、キャップ層612→量子ドット611→キャップ層612へ向かう方向は、図1に示す断面図において、基板2に垂直な方向ではなく、基板2の面内方向DR1である。
【0060】
AlGa1−yAs(キャップ層612)の伝導帯Ec1と価電子帯Ev1とのエネルギー差がバンドギャップEg1に相当し、InAs(量子ドット611)の伝導帯Ec2と価電子帯Ev2とのエネルギー差がバンドギャップEg2に相当する。
【0061】
そして、キャップ層612を構成するAlGa1−yAsは、Eg1=1.42〜1.98eVのバンドギャップを有し、量子ドット611を構成するInAsは、Eg2=0.36eVのバンドギャップを有するため、量子ドット611を構成するInAsの伝導帯Ec2は、キャップ層612の伝導帯Ec1よりもエネルギー的に低くなり、量子ドット611を構成するInAsの価電子帯Ev2は、キャップ層612の価電子帯Ev1よりもエネルギー的に低くなる。
【0062】
そうすると、キャップ層612(=AlGa1−yAs)の伝導帯Ec1に存在する電子は、エネルギー的により安定な量子ドット611(=InAs)へ移動し、キャップ層612(=AlGa1−yAs)の価電子帯Ev1に存在する正孔は、エネルギー的により安定な量子ドット611(=InAs)へ移動する。
【0063】
そして、エネルギー差ΔEcが伝導帯側に存在し、エネルギー差ΔEvが価電子帯側に存在するので、量子ドット611(=InAs)へ移動した電子および正孔は、熱励起によって量子ドット611(=InAs)からキャップ層612(=AlGa1−yAs)へ移動することができず、量子ドット611(=InAs)中に閉じ込められる。
【0064】
その結果、量子ドット611(=InAs)の伝導帯Ec2側には、サブ準位Esub1が形成され、量子ドット611(=InAs)の価電子帯Ev2側には、サブ準位Esub2が形成される。
【0065】
サブ準位Esub1およびサブ準位Esub2は、それぞれ、次の式(2)および式(3)によって表される。
【0066】
【数2】

【0067】
【数3】

サブ準位Esub1に存在する電子は、サブ準位Esub2に存在する正孔と再結合し、サブ準位Esub1とサブ準位Esub2とのエネルギー差に相当するエネルギーhνを有する光を発する。そして、再結合によって発生した光により誘導放射が生じ、最終的にレーザ発振に至る。
【0068】
この発明においては、キャップ層612としてAlGa1−yAsを用いているので、GaAsをキャップ層612に用いた場合よりも伝導帯Ec側に生じるエネルギー差ΔEcおよび価電子帯Ev側に生じるエネルギー差ΔEvが大きくなる。従って、電子および正孔は、GaAsをキャップ層612に用いた場合よりも、量子ドット611へ効率的に閉じ込められ、サブ準位Esub1,Esub2が上昇する。また、サブ準位Esub1に存在する電子がサブ準位Esub2に存在する正孔と再結合して発生する光のエネルギーhνは、hc/λ(c:光速、λ:波長)によって表される。
【0069】
従って、エネルギー差ΔEc,ΔEvが大きくなれば、サブ準位Esub1とサブ準位Esub2とのエネルギー差が大きくなり、量子ドット611中で発光する光の波長λは、より短くなる。
【0070】
そこで、この発明においては、量子ドット611を覆うキャップ層612を構成する化合物半導体のバンドギャップをGaAsのバンドギャップよりも大きくすることによって、より短波長のレーザ光を発光する半導体レーザ10を作製することにしたものである。
【0071】
図5および図6は、それぞれ、図1に示す半導体レーザ10の製造工程を示す第1および第2の工程図である。
【0072】
半導体レーザ10を構成するバッファ層3、クラッド層4,8、バリア層5,7、活性層6およびコンタクト層9は、MBEにより形成される。まず、Siがドープされた(100)面を有するGaAsからなる基板2が真空チャンバへ導入され、真空チャンバは、約1.33×10−8Paまで真空排気される。
【0073】
そして、基板2の温度は、540℃〜570℃の範囲に設定され、1.33×10−3Paの圧力において、Ga、AsおよびSiが固体Ga、固体Asおよび固体Siからそれぞれ基板2の一主面に照射され、1×1018cm−3のSiがドープされたn型GaAsが基板2上に300nmの膜厚になるまで結晶成長される。この場合、n型GaAsの成長速度は、610nm/hrである。これにより、基板2上にバッファ層3が形成される(図5の(a)参照)。
【0074】
その後、1.33×10−3Paの圧力において、Al、Ga、AsおよびSiが固体Al、固体Ga、固体Asおよび固体Siからそれぞれバッファ層3の表面に照射され、1×1017cm−3のSiがドープされたn型AlGa1−xAsがバッファ層3上に1500nmの膜厚になるまで結晶成長される。この場合、n型AlGa1−xAsの成長速度は、610〜900nm/hrである。
【0075】
n型AlGa1−xAsがバッファ層3上に1500nmの膜厚になるまで結晶成長されると、AlおよびSiの照射がシャッタにより停止され、1.33×10−3Paの圧力において、ノンドープのGaAsが80nmの膜厚になるまで結晶成長される。この場合、ノンドープのGaAsの成長速度は、610nm/hrである。
【0076】
これにより、クラッド層4およびバリア層5がバッファ層3上に順次堆積される(図5の(b)参照)。
【0077】
その後、後に詳述する方法によって、活性層6がバリア層5上に形成される(図5の(c)参照)。
【0078】
そして、活性層6が形成されると、1.33×10−3Paの圧力において、GaおよびAsが固体Gaおよび固体Asからそれぞれ活性層6の表面に照射され、ノンドープのGaAsが活性層6上に80nmの膜厚になるまで結晶成長される。この場合、ノンドープのGaAsの成長速度は、610nm/hrである。これにより、バリア層7が活性層6上に形成される。
【0079】
その後、1.33×10−3Paの圧力において、Al、Ga、AsおよびBeが固体Al、固体Ga、固体Asおよび固体Beからそれぞれバリア層7の表面に照射され、5×1017cm−3のBeがドープされたp型AlGa1−xAsがバリア層7上に1500nmの膜厚になるまで結晶成長される。これにより、クラッド層8がバリア層7上に形成される。この場合、p型AlGa1−xAsの成長速度は、610〜900nm/hrである。
【0080】
引続いて、1.33×10−3Paの圧力において、Ga、AsおよびBeが固体Ga、固体Asおよび固体ベリリウム(Be)からそれぞれクラッド層8の表面に照射され、2×1019cm−3よりも多いBeがドープされたp型GaAsがクラッド層8上に200nmの膜厚になるまで結晶成長される。この場合、p型GaAsの成長速度は、610nm/hrである。これにより、コンタクト層9がクラッド層8上に形成される。
【0081】
そうすると、Au、GeおよびNiが真空蒸着により基板2の裏面に順次堆積され、AuGe/Ni/Auからなる負極電極1が形成され、Ti、PtおよびAuが真空蒸着によりコンタクト層9上に順次堆積され、Ti/Pt/AuまたはAu/Zn/Auからなる正極電極11が形成される。
【0082】
これによって、半導体レーザ10が完成する(図6の(d)参照)。
【0083】
図7は、図5の(c)において行なわれる活性層6の形成過程を示す工程図である。
【0084】
図5の(b)に示す工程によってバリア層5が形成されると、基板2の温度が475℃まで降温される。そして、6.65×10−4Paの圧力において、AsおよびInがそれぞれ固体Asおよび固体Inからバリア層5の表面に連続的に照射され、InAs膜600が1.7モノレイヤーまで堆積される(図7の(c1)参照)。
【0085】
この1.7モノレイヤーは、InAsが下地であるバリア層5のGaAsの格子定数(0.56nm)と整合するように均一に2軸性結晶歪を受けた状態で2次元的に成長する臨界膜厚(Tc)である。
【0086】
そして、InAsが1.7モノレイヤーまで結晶成長すると、InAs膜600の全面に歪が生じるよりも、グレインを局所的に発生させる方が結晶学的に安定化する。従って、6.65×10−4Paの圧力において、1.7モノレイヤーのInAsが結晶成長すると、グレイン610がInAs膜600の表面に形成される(図7の(c2)参照)。
【0087】
その後、AsおよびInをバリア層5の表面に供給することによって、グレイン610が大きくなり、最終的に量子ドット611がバリア層5上に形成される(図7の(c3)参照)。
【0088】
量子ドット611がバリア層5上に形成されると、基板2の温度は、540℃〜570℃の範囲に昇温される。そして、1.33×10−3Paの圧力において、Al、GaおよびAsがそれぞれ固体Al、固体Gaおよび固体Asからそれぞれ量子ドット611の表面に供給され、AlGa1−yAsが3〜20nmの膜厚になるまで結晶成長される。これによって、キャップ層612が量子ドット611を覆うように形成される(図7の(c4)参照)。
【0089】
その後、1.33×10−3Paの圧力において、GaおよびAsがそれぞれ固体Gaおよび固体Asからそれぞれキャップ層612の表面に供給され、ノンドープのGaAsが30〜50nmの膜厚になるまで結晶成長される。これによって、間隙層62が形成される(図7の(c5)参照)。
【0090】
以後、図7に示す工程c1〜c5を5回繰返して活性層6が形成される。
【0091】
図8は、図5の(c)において行なわれる活性層6の形成過程を示す他の工程図である。また、図9は、AsおよびInを供給するタイミングチャートである。
【0092】
図5の(b)に示す工程によってバリア層5が形成されると、基板2の温度が520℃まで降温される。そして、6.65×10−4Paの圧力において、AsおよびInがそれぞれ固体Asおよび固体Inから連続的にバリア層5の表面に照射され、InAs膜600が1.7モノレイヤーまで堆積される(図8の(c1’)参照)。
【0093】
この1.7モノレイヤーは、InAsが下地であるバリア層5のGaAsの格子定数(0.56nm)と整合するように均一に2軸性結晶歪を受けた状態で2次元的に成長する臨界膜厚(Tc)である。
【0094】
そして、InAsが1.7モノレイヤーまで結晶成長すると、InAs膜600の全面に歪が生じるよりも、グレインを局所的に発生させる方が結晶学的に安定化する。従って、6.65×10−4Paの圧力において、1.9モノレイヤーのInAsが結晶成長するまで、AsおよびInがバリア層5の表面に連続的に照射される。
【0095】
そうすると、グレイン610がInAs膜600の表面に形成される(図8の(c2’)参照)。
【0096】
その後、固体Inに取付けられたシャッタを開閉して、InAs換算で2.4モノレイヤー〜3.9モノレイヤーになるまでInのバリア層5の表面への供給/停止を繰返す。
【0097】
そうすると、固体Inに取付けられたシャッタが開いているとき、AsおよびInがバリア層5の表面に供給されるため、InAs膜600の表面に発生したグレイン610が成長し、固体Inに取付けられたシャッタが閉じているとき、Asのみがバリア層5の表面に供給されるので、グレイン610は成長しない。
【0098】
この場合、Inのバリア層5の表面への供給を停止する停止時間をInをバリア層5の表面に供給する供給時間よりも長くする。その結果、バリア層5の表面に照射されたInがグレイン610に到達する確率が高くなり、グレイン610は、大きく成長する。そして、最終的に、量子ドット611がバリア層5上に形成される(図8の(c3’)参照)。
【0099】
このように、量子ドット611は、AsおよびInの連続供給と、Inの間欠供給とにより形成される。
【0100】
即ち、AsおよびInは、図9に示すタイミングチャートに従ってバリア層5の表面に供給される。図9の(a)は、固体Inに取付けられたシャッタを開閉するタイミングを示し、図9の(b)は、固体Asに取付けられたシャッタを開閉するタイミングを示す。なお、図9は、InAs換算で2.4モノレイヤーのInAsが結晶成長されるときのタイミングチャートを示す。
【0101】
Inは、タイミングt0〜t1,t2〜t3,t4〜t5,t6〜t7,t8〜t9の間、バリア層5の表面に供給され、タイミングt1〜t2,t3〜t4,t5〜t6,t7〜t8の間、バリア層5の表面への供給が停止される。そして、タイミングt0〜t1間の時間は、17.3秒であり、タイミングt2〜t3間、タイミングt4〜t5間、タイミングt6〜t7間およびタイミングt8〜t9間の各々の時間は、1秒である。また、タイミングt1〜t2間、タイミングt3〜t4間、タイミングt5〜t6間、およびt7〜t8間の各々の時間は、15秒である。
【0102】
一方、Asは、タイミングt0〜タイミングt9の間、連続してバリア層5の表面に供給される。
【0103】
固体Inに取り付けられたシャッタが開の場合には、InAsは、0.11モノレイヤー/秒の成長速度で結晶成長するので、タイミングt0〜タイミングt1までの間において、AsおよびInが連続してバリア層5の表面に供給され、InAs換算で1.9モノレイヤーのInAsが結晶成長する。
【0104】
その後、タイミングt1〜t2の間、結晶成長が停止され、タイミングt2〜t3の間、AsおよびInがバリア層5の表面に供給され、0.11モノレイヤーのInAsが結晶成長する。以後、これを繰返し、タイミングt9までの間に2.4モノレイヤーのInAsが結晶成長する。
【0105】
そして、タイミングt1〜t9までの間のInの間欠供給により、タイミングt1までに発生したグレイン610が大きく成長し、タイミングt9までの間において量子ドット611が形成される。
【0106】
このように、量子ドット611は、AsおよびInの連続供給と、Inの間欠供給とによっても形成される。
【0107】
図8の(c3’)に示す工程の後、図7に示す工程(c4)および(c5)と同じ工程が実行され、1層の量子ドット層61と1層のキャップ層62と形成される。
【0108】
その後、図8に示す工程c1’〜c3’,c4,c5を5回繰返して活性層6が形成される。
【0109】
この発明においては、上述した図5〜図7または図5、図6および図8に示す工程によって半導体レーザ10を作製した後、半導体レーザ10をアニールするようにしてもよい。アニールは、600〜800℃の温度範囲で1分〜150分の間、熱処理することにより行なう。この温度範囲は、量子ドット611の形成温度(475℃)よりも高い温度である。また、この温度範囲は、量子ドット611の形成温度(475℃)およびキャップ層612の形成温度(540〜570℃)よりも高い温度である。
【0110】
半導体レーザ10をアニールすると、キャップ層612を構成するAlGa1−yAsのうち、ガリウム(Ga)が量子ドット611を構成するInAs中へ混入し、量子ドット611のバンドギャップが大きくなる。
【0111】
その結果、アニールすることにより、半導体レーザ10の発振波長が更に短波長側へシフトする。従って、この発明においては、量子ドット611は、InGaAsから構成されていてもよい。
【0112】
なお、アニールは、活性層6を形成した直後に行なうようにしてもよい。また、アニールは、熱処理に限らず、レーザを照射して行なってもよい。
【0113】
図10は、半導体レーザが発振するときのしきい値電流と量子ドット611およびキャップ層612間のエネルギー差との関係を示す図である。図10において、縦軸は、しきい値電流を表し、横軸は、エネルギー差ΔEを表わす。また、A点は、キャップ層612がGaAsからなる場合を示し、B点は、キャップ層612が5nmのIn0.15Ga0.85Asからなる場合を示し、点Cは、キャップ層612が5.5nmのIn0.13Ga0.87Asからなる場合を示す。
【0114】
図10に示す結果から、しきい値電流Jthは、エネルギー差ΔEが大きくなるに伴って低下する。これは、エネルギー差ΔEが大きくなるに従って正孔および電子の量子ドット611への閉じ込め率が高くなるため、レーザ発振するときの電流が低下したためと考えられる。即ち、エネルギー差ΔEが大きくなると、量子ドット611中の電子および正孔は、熱励起によってキャップ層612へ移動することが困難になり、量子ドット611に閉じ込められる電子および正孔の密度が高くなる。その結果、レーザ発振に必要なしきい電流Jthが低下する。
【0115】
InAsからなる量子ドット611と、AlGa1−yAsからなるキャップ層612とを用いた場合、エネルギー差ΔEは、400meVになるので、半導体レーザ10がレーザ発振するためのしきい値電流Jthは、図10に示す点Cの場合よりも更に低下する。
【0116】
従って、キャップ層612にAlGa1−yAsを用いることにより、発振波長を1.1μmよりも短波長側にシフトできるとともに、レーザ発振するためのしきい値電流を大幅に低減できる。
【0117】
上述したように、この発明による半導体レーザ10は、量子ドット層61を構成するキャップ層612の材料をGaAsからAlGa1−yAsに変えることによって量子ドット611中の電子および正孔の電気的な閉じ込めを効果的に行ない、従来よりも短波長なレーザ光を発振することを特徴とする。
【0118】
即ち、この発明による半導体レーザ10は、波長λ1を発光するときのバンドギャップ(=GaAsのバンドギャップ)よりも大きいバンドギャップを有するAlGa1−yAsをキャップ層612に用いることによって、量子ドット611への電子および正孔の電気的な閉じ込めを効果的に行ない、波長λ1よりも短波長である波長λ2(<λ1)を有するレーザ光を発振することを特徴とする。
【0119】
つまり、この発明による半導体レーザ10は、量子ドット611中に存在する電子および正孔にとって障壁層となるキャップ層612のバンドギャップを大きくすることによって従来の波長λ1よりも短波長である波長λ2を有するレーザ光を発振する。
【0120】
そして、半導体レーザ10は、活性層6に量子ドット611を含むので、(i)温度が変化しても発振波長が変化しない、(ii)駆動電流が量子井戸レーザに比べて5〜10分の1に減少できる、(iii)発振するレーザ光のパワーを強くできる、という量子ドットを用いた半導体レーザに特有の効果も併せて有する。
【0121】
図1に示す半導体レーザ10を用いた半導体レーザジャイロについて説明する。図11は、この発明の実施の形態による半導体レーザジャイロの斜視図である。この発明の実施の形態による半導体レーザジャイロ100は、半導体レーザ110と、光検出器113とを備える。半導体レーザ110および光検出器113は、基板111上にモノリシックに形成される。
【0122】
光検出器113は、2つの受光素子113a,113bからなる。そして、光検出器113は、半導体レーザ110から出射される2つのレーザ光が干渉縞を形成する位置に配置される。受光素子113a,113bの各々は、フォトダイオードであり、半導体レーザ110を作製する製造工程で半導体レーザ110とともに作製される。
【0123】
半導体レーザ110は、環状の光路上を互いに反対方向に周回する2つのレーザ光を発光する。光検出器113は、半導体レーザ110が回転したときに半導体レーザ110から出射された2つのレーザ光による干渉縞の移動速度および移動方向を検出して半導体レーザ110の回転速度および回転方向を検出する。
【0124】
光検出器113は、2つの受光素子113a,113bから構成されているので、干渉縞が移動すると、2つの受光素子113a,113bの各々は、干渉縞の縞模様に対応して強弱の電気信号を出力する。従って、電気信号の強弱が変化する速さを検出することにより、半導体レーザの回転速度を検出できる。また、半導体レーザ110の回転方向によって、2つの受光素子113a,113bから出力される電気信号の強弱の極性が変わるので、2つの受光素子113a,113bから出力される2つの電気信号の位相関係を検出することにより半導体レーザ110の回転方向を検出できる。
【0125】
図12は、図11に示す半導体レーザ110の斜視図である。半導体レーザ110は、キャビティ102と、絶縁膜103と、正極電極104と、負極電極105と、基板111とを備える。
【0126】
キャビティ102は、基板111上に形成される。絶縁膜103は、キャビティ102の表面に形成される。正極電極104は、絶縁膜103上および絶縁膜103がエッチングされた領域に形成される。そして、正極電極104は、リング形状から成るリング電極である。負極電極105は、キャビティ102が形成された基板111の表面と反対側の裏面に形成される。
【0127】
基板111は、単結晶のGaAsから成る。キャビティ102については、後述する。絶縁膜103は、シリコンナイトライド(Si)又は二酸化ケイ素(SiO)から成る。正極電極104は、Ti/Pt/Auから成る。負極電極105は、Au/Ge/Niから成る。
【0128】
絶縁膜103の膜厚は、0.4μmである。正極電極104を構成するTi/Pt/Auの膜厚および負極電極105を構成するAu/Ge/Niの膜厚については、上述したとおりである。
【0129】
キャビティ102の幅Wは、60μmであり、キャビティ102の長さLは、600μmである。
【0130】
図13は、図12の矢印106の方向から見たキャビティ102の平面図である。キャビティ102は、メインキャビティ21と、ウイング22〜25とを含む。メインキャビティ21は、出射面210と、対向面211と、端面212,213とを有する。そして、メインキャビティ21は、略スタジアム形状から成る。出射面210および対向面211は、中心Oから半径Rを有する曲面から成る。半径Rは、300μmである。また、出射面210および対向面211は、キャビティ102の内側から外側に向かう方向に凸である曲面から成る。
【0131】
対向面211は、矢印107で示す長手方向に垂直な方向の軸108に対して出射面210と対称である。端面212,213は、キャビティ102の長手方向に垂直な方向においてキャビティ102の両端に配置される。即ち、端面212,213は、キャビティ102の長手方向に平行に配置される。そして、出射面210、対向面211および端面212,213は、ミラー面から成る。
【0132】
ウイング22,23は、メインキャビティ21の出射面210側に設けられる。つまり、ウイング22,23は、出射面210が設けられた領域214に隣接して設けられる。ウイング22は、出射面210の延長上に曲面221を有する。ウイング23は、出射面210の延長上に曲面231を有する。曲面221,231は、半径Rの曲面から成る。
【0133】
ウイング24,25は、メインキャビティ21の対向面211側に設けられる。つまり、ウイング24,25は、対向面211が設けられた領域215に隣接して設けられる。ウイング24は、対向面211の延長上に曲面241を有する。ウイング25は、対向面211の延長上に曲面251を有する。曲面241,251は、半径Rの曲面から成る。
【0134】
矢印107の方向(長手方向)におけるウイング22〜25のの長さWsは、160μmである。ウイング22〜25は、メインキャビティ21で発振したレーザ光の端面212,213での多重反射によって生成されたモードを抑制するために設けられる。そして、ウイング22〜25が多重反射によって生成されたモードを抑制するためには、長さWsは、Ws>L/4を満たす必要がある。従って、長さWsは、L/4=150μmよりも大きい160μmに設定された。
【0135】
図14は、図12に示す線XIV−XIV間における半導体レーザ110の断面図である。半導体レーザ110の断面構造は、基板111上にキャビティ102を形成した構造から成る。キャビティ102は、図1に示す半導体レーザ10のバッファ層3と、クラッド層4,8と、バリア層5,7と、活性層6と、コンタクト層9とを含む。従って、キャビティ102は、量子ドット611を含む活性層6によってレーザ光LBを発光する。そして、半導体レーザ110においては、外部から注入された電子および正孔を電気的に活性層6に閉じ込め、かつ、活性層6において誘導放出により発生した光を光学的に閉じ込めることによりレーザ発振のためのしきい値を低下させている。
【0136】
図15は、図12に示す半導体レーザ110の製造工程を示す図である。エピタキシャル層20が形成されたGaAsから成る基板111を用意する。ここで、エピタキシャル層20は、バッファ層3、クラッド層4,8、バリア層5,7、活性層6およびコンタクト層9が図12に示すキャビティ102として積層されたものを意味する。
【0137】
エピタキシャル層20が形成された基板111を用意すると、SiまたはSiOから成る絶縁膜30をエピタキシャル層20上にスパッタリング、またはCVD(Chemical Vapour Deposition)により形成する。この場合、絶縁膜30の膜厚は、0.4μmである(図15の(a)参照)。
【0138】
そして、絶縁膜30上にレジストを塗布し、その塗布したレジストをフォトリソグラフィによりキャビティ102の形状にパターンニングし、キャビティ102の形状を有するレジスト31を絶縁膜30上に形成する(図15の(b)参照)。
【0139】
その後、レジスト31をマスクとして絶縁膜30をRIE(Reactive Ion Etching)によりエッチングする。この場合、キャビティ102の出射面210、対向面211および端面212,213を形成するためにエピタキシャル層20を含めて3μmの深さまでエッチングする。そして、RIEによって形成された出射面210、対向面211および端面212,213はミラー面を有する。RIEによるエッチング後、レジスト31を除去すると、キャビティ102および絶縁膜103が基板111上に順次形成された構造が完成する(図15の(c)参照)。なお、このRIEによるエッチングは、エッチングされた端面が高い垂直性および平滑性を有する条件によって行なわれる。
【0140】
次に、リング形状から成る正極電極104を形成するために絶縁膜103に窓を開ける。絶縁膜103上にレジストを塗布し、その塗布したレジストをフォトリソグラフィによりパターンニングしてレジストにリング形状の窓を開ける。そして、パターンニングしたレジストをマスクとして絶縁膜103をRIEによってエッチングし、絶縁膜103にリング形状の窓32を開ける(図15の(d)参照)。
【0141】
その後、正極電極104を形成する。この段階で、基板1の表面111aと絶縁膜103の表面103aとの間には段差が存在するので、この段差を埋めるために2層レジストを用いる。即ち、1層目のレジスト33を全体的に塗布して段差を埋めた後、2層目のレジスト34を塗布する(図15の(e)参照)。これにより、平坦なレジスト面が形成される。
【0142】
そして、レジスト33,34をフォトリソグラフィによりパターンニングして正極電極104を形成するための孔35を形成する(図15の(f)参照)。この段階で、孔35を通して絶縁膜103、および絶縁膜103に開けられた窓32が露出する。
【0143】
正極電極104と半導体との良好なコンタクトが得られるように、窓32を通して半導体表面を0.01〜0.02μm程度、エッチングする。そして、電子ビーム蒸着により、正極電極104を構成するTi(約0.07μm)/Pt(約0.05μm)/Au(約0.6μm)を全面に形成する。次に、ウェハをアセトンに浸してレジスト33,34を除去する。これにより、レジスト34上に形成されたTi/Pt/Auは、リフトオフにより除去され、正極電極104がキャビティ102上に形成される。この場合、絶縁膜103のうち、領域103bおよびリング形状から成る正極電極104の内側の領域103c上にもTi/Pt/Auが形成される。
【0144】
その後、へき開を容易にするため、基板111を厚さが100〜150μmになるように研磨する(図15の(g)参照)。そして、Ge(約0.1μm)/Ni(約0.02μm)/Au(約0.5μm)を抵抗加熱により基板111の裏面に蒸着して負極電極105を形成する(図15の(h)参照)。
【0145】
負極電極105を形成した後、正極電極104を構成するTi/Pt/Auおよび負極電極105を構成するGe/Ni/Auを合金化するために、400〜450℃で数分間、熱処理する。その後、チップごとのへき開およびレーザアレイのへき開を行ない、半導体レーザ110が製造される。
【0146】
図16は、図12に示す半導体レーザ110のキャビティ102から出射されるレーザ光のパターンを示す図である。半導体レーザ110の正極電極104と負極電極105との間に電圧が印加され、しきい値を超える電流が活性層6に注入されると、半導体レーザ110はレーザ発振し、キャビティ102は、出射面210からレーザ光LBを出射する。レーザ光LBは、キャビティ102の長手方向の軸109と角度θ1を成すレーザ光LB1と、軸109と角度θ2を成すレーザ光LB2とから成る。そして、角度θ1は、角度θ2と等しい。つまり、レーザ光LBは、軸109に対して対称な2つのレーザ光LB1,LB2から成る。
【0147】
レーザ光LBが出射されるモードを「リングモード」と言う。半導体レーザ110がリングモードで動作するためには、曲面から成る出射面210および対向面211を有するキャビティ102と、リング形状から成る正極電極104とを形成する必要がある。
【0148】
このように、半導体レーザ110は、キャビティ102の長手方向の軸109に対して所定の角度θ(=θ1=θ2)を成すレーザ光LBを出射することができる。
【0149】
図17は、図12に示す半導体レーザ110が軸109に対して所定の角度θを成すレーザ光LBを出射する機構を説明するための図である。活性層6に注入された電子と正孔とが再結合し、所定の波長λを有する光が発生すると、その発生した光に基づく誘導放出が起こる。そして、誘導放出により発生した多くの光は、ミラー面から成る出射面210、対向面211および端面212,213によって反射され、他の光と相互に干渉する。そして、出射面210および対向面211は、入射した光を軸109と平行な方向に反射せず、所定の角度を成す方向に反射する。また、誘導放出は、注入される電子および正孔の密度が高い正極電極104の形状に沿った領域で生じ易く、新たに誘導放出によって発生する光と既に誘導放出によって発生した光との干渉は、正極電極104の形状に沿った領域で生じ易い。更に、ウイング22〜25は、誘導放出によって発生した光が端面212,213で多重反射されることによって生じる成分を抑制する。
【0150】
その結果、誘導放出によって発生した光を相互に強め合う共振器は、正極電極104の形状に沿った領域で形成され、その領域でレーザ発振が起こる。そして、発振したレーザ光LB0は、キャビティ102内で正極電極104の形状に沿って分布する。従って、出射面210から出射されるレーザ光LB1,LB2は、軸109に対して所定の角度θを成すものと考えられる。
【0151】
図18は、長手方向の軸109に沿って形成された電極を有するキャビティ102の平面図である。半導体レーザ110がリングモードで動作するためにはリング形状から成る正極電極104が必要なことを示すために、図18に示すように、曲面から成る出射面210および対向面211を有するキャビティ102に軸109の方向に沿って正極電極40を形成した半導体レーザを作製した。
【0152】
図19は、正極電極104を形成した半導体レーザ110および正極電極40を形成した半導体レーザから出射されるレーザ光の遠視野像(Far−Field Pattern)を示す図である。図19の(a)は、正極電極40を形成した場合のレーザ光の遠視野像を示し、図19の(b)は、正極電極104を形成した場合のレーザ光の遠視野像を示す。また、図19の(a)および(b)において、横軸は、軸109に対する角度を表し、縦軸は、出射されたレーザ光の規格化強度を表す。
【0153】
正極電極40を形成した場合、角度が0度の方向、即ち、軸109の方向にレーザ光がキャビティ102から出射される。レーザ光の波長λは862nmであり、強度の半値幅(FWHM:Full Width at Half Maximum)は5.5度である。
【0154】
一方、正極電極104を形成した場合、軸109に対して±19.2度の角度を成すレーザ光LB1,LB2がキャビティ102から出射される。レーザ光LB1,LB2の波長λは862nmであり、強度の半値幅(FWHM)は、レーザ光LB1およびLB2において同じであり、4.1度である。
【0155】
このように、正極電極104をリング形状から成るリング電極により構成することにより、半導体レーザ110は、キャビティ102の長手方向の軸109に対して対称な角度θ(±19.2度)を成すレーザ光LBを出射することが確認された。
【0156】
角度θは、次式によって決定される。
【0157】
【数4】

なお、式(4)において、neffは、キャビティ102の実効屈折率である。
【0158】
eff=3.3、L=600μmおよびW=300μmを式(4)に代入して角度θを計算した結果、θ=±19.2度であった。この計算結果は、上述した内容と良い一致を示す。
【0159】
実効屈折率neffが一定の場合、レーザ光LB1,LB2の角度θを大きくするためには、L/Wを小さくすればよく、レーザ光LB1,LB2の角度θを小さくするためには、L/Wを大きくすればよい。
【0160】
また、L/Wが一定の場合、実効屈折率neffに応じてレーザ光LB1,LB2の角度θを変化させることができる。
【0161】
従って、半導体レーザ110のキャビティ102の長さL、幅Wおよび実効屈折率neffを変化させて設計することにより、レーザ光LB1,LB2の出射方向を種々変化させた半導体レーザを作製することができる。
【0162】
なお、正極電極104の形状であるリング形状は、内周形状および外周形状が略菱形である輪形状から成る。そして、菱形の2つの対角線の比は、キャビティ102が出射するレーザ光LBの方向に応じて決定される。
【0163】
レーザ光LBがキャビティ102の長手方向の軸109に対して小さい角度を成す方向に出射される場合、端面212,213が配置される方向の菱形の対角線が短くされる。つまり、リング形状は、軸109の方向に伸ばされた菱形から成る概略形状を有する。
【0164】
また、レーザ光LBがキャビティ102の長手方向の軸109に対して大きい角度を成す方向に出射される場合、端面212,213が配置される方向の菱形の対角線が長くされる。つまり、リング形状は、軸109の方向に縮められた菱形から成る概略形状を有する。
【0165】
従って、この発明におけるリング形状とは、概略、菱形を基本とし、その菱形をキャビティ102の軸109の方向に伸ばしたり、縮めたりした概略形状を有する輪形状を言う。
【0166】
図20は、図11に示す半導体レーザジャイロ100の動作原理を説明するための図である。半導体レーザ110が回転すると、レーザ光LB01とレーザ光LB02とでは、経路120の光路を一周するのに必要な時間が変化する。光の速度は、一定であるため、半導体レーザ110が回転すると、レーザ光LB01とレーザ光LB02との間で周波数差が生じ、その周波数差に応じた速度で干渉縞が移動する。
【0167】
干渉縞の移動方向は、半導体レーザ110の回転方向に応じて変化する。このため、干渉縞の移動速度を測定することによって、半導体レーザ110の回転速度(角速度)を算出でき、干渉縞の移動方向を検出することによって、半導体レーザ110の回転方向を検出できる。より具体的には、活性層6の表面と平行な面内における回転方向と回転速度とを算出できる。
【0168】
上述したように、このような光ジャイロの原理は、公知の原理であり、希ガスレーザを用いた光ジャイロなどで利用されている。従って、この発明の半導体レーザジャイロは、公知の駆動回路で駆動でき、ジャイロによって得られた情報を公知の方法で処理できる。なお、この発明による半導体レーザジャイロを3個組み合わせることによって、全方向における回転方向と回転速度とを算出することができる。
【0169】
半導体レーザ110の正極電極104および負極電極105間に電圧が印加され、電流が活性層6に注入されると、半導体レーザ110は、正極電極104のリング形状に沿ってレーザ光LB0(LB01,LB02からなる)を発振する。
【0170】
そして半導体レーザ110が回転すると、レーザ光LB01は、リング形状の光路上を一方の方向に周回し、レーザ光LB02は、レーザ光LB01と反対方向にリング形状の光路上を周回する。
【0171】
そうすると、半導体レーザ110は、端面210の角部120aから2つのレーザ光LB1,LB2を放射し、2つのレーザ光LB1,LB2は、光検出器113が配置された位置に干渉縞を形成する。
【0172】
そして、光検出器113は、干渉縞の移動速度および移動方向を検出する。これによって、半導体レーザ110の回転速度および回転方向が検出される。
【0173】
この場合、半導体レーザ110は、1.1μmよりも短波長なレーザ光LB1,LB2を出射面210から出射するので、式(1)におけるΔω(=4AΩ/(Lλ))は、波長λが短波長側へシフトすることにより大きくなり、光検出器113の位置における光強度I(式(1)参照)がより強くなる。その結果、光検出器113は、従来よりも精度を高くして半導体レーザ110の回転速度および回転方向を検出できる。
【0174】
なお、図11に示す半導体レーザジャイロ100は、プリズムおよびレンズなどの光学素子を必要としない利点がある。
【0175】
上記においては、量子ドットを半導体レーザに用いた例について説明したが、この発明は、これに限らず、量子ドットをLED(Light Emission Diode)等の半導体発光素子に用いてもよい。
【0176】
また、上記においては、キャップ層612としてAlGa1−yAsを用いると説明したが、この発明においては、これに限らず、GaAsのバンドギャップよりも大きいバンドギャップを有する材料であれば何でもよい。
【0177】
更に、上記においては、量子ドット611およびキャップ層612をアニールして活性層6を形成すると説明したが、このアニールの温度および/または時間を制御してキャップ層612(AlGa1−yAs)から量子ドット611(InAs)へ拡散するGa量を制御し、半導体レーザ10,110の発振波長を制御するようにしてもよい。
【0178】
この発明においては、量子ドット層61は、「発光層」を構成する。
【0179】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施の形態の説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【産業上の利用可能性】
【0180】
この発明は、1.1μmよりも短波長な発光波長を有する半導体発光素子に適用される。また、この発明は、1.1μmよりも短波長な発光波長を有する半導体発光素子の製造方法に適用される。更に、この発明は、精度が高いジャイロに適用される。
【図面の簡単な説明】
【0181】
【図1】この発明の実施の形態による半導体レーザの断面構造図である。
【図2】図1に示す活性層の拡大断面図である。
【図3】半導体レーザのクラッド層、バリア層、活性層、バリア層およびクラッド層における屈折率の分布を示す図である。
【図4】量子ドット層におけるエネルギーバンド図である。
【図5】図1に示す半導体レーザの製造工程を示す第1の工程図である。
【図6】図1に示す半導体レーザの製造工程を示す第2の工程図である。
【図7】図5の(c)において行なわれる活性層の形成過程を示す工程図である。
【図8】図5の(c)において行なわれる活性層の形成過程を示す他の工程図である。
【図9】AsおよびInを供給するタイミングチャートである。
【図10】半導体レーザが発振するときのしきい値電流と量子ドットおよびキャップ層間のエネルギー差との関係を示す図である。
【図11】この発明の実施の形態による半導体レーザジャイロの斜視図である。
【図12】図11に示す半導体レーザの斜視図である。
【図13】図12の矢印の方向から見たキャビティの平面図である。
【図14】図12に示す線XIV−XIV間における半導体レーザ110の断面図である。
【図15】図12に示す半導体レーザの製造工程を示す図である。
【図16】図12に示す半導体レーザのキャビティから出射されるレーザ光のパターンを示す図である。
【図17】図12に示す半導体レーザが軸に対して所定の角度θを成すレーザ光LBを出射する機構を説明するための図である。
【図18】長手方向の軸に沿って形成された電極を有するキャビティの平面図である。
【図19】正極電極を形成した半導体レーザおよび正極電極を形成した半導体レーザから出射されるレーザ光の遠視野像(Far−Field Pattern)を示す図である。
【図20】図11に示す半導体レーザジャイロの動作原理を説明するための図である。
【図21】光ジャイロの一般的な構成を示す図である。
【符号の説明】
【0182】
1,105 負極電極、2,111 基板、3 バッファ層、4,8 クラッド層、5,7 バリア層、6,6A 活性層、9 コンタクト層、10,110 半導体レーザ、10A サンプル、11,104 正極電極、21 メインキャビティ、22〜25 ウイング、61 量子ドット層、62 間欠層、100 半導体レーザジャイロ、102 キャビティ、103 絶縁膜、108,109 軸、113 光検出器、113a,113b 受光素子、210 出射面、211 対向面、212,213 端面、214,215 領域、221,231,241,251 曲面、600 InAs膜、610 グレイン、611 量子ドット、612 キャップ層。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の波長よりも短い第2の波長を発光する半導体発光素子であって、
第1のバリア層と、
前記第1のバリア層に接して形成された活性層と、
前記活性層に接して形成された第2のバリア層とを備え、
前記活性層は、
量子ドットと、
前記量子ドットを覆うように形成され、前記第1の波長を発光するときの第1のバンドギャップよりも大きい第2のバンドギャップを有するキャップ層とを含む、半導体発光素子。
【請求項2】
前記キャップ層は、ガリウム砒素よりも大きいバンドギャップを有する化合物半導体からなる、請求項1に記載の半導体発光素子。
【請求項3】
前記キャップ層は、アルミニウム、ガリウムおよび砒素を含む化合物半導体からなる、請求項2に記載の半導体発光素子。
【請求項4】
前記ガリウムの含有量に対する前記アルミニウムの含有量の比は、0.05〜1.0の範囲である、請求項3に記載の半導体発光素子。
【請求項5】
前記量子ドットは、インジウムおよび砒素を含む化合物半導体からなる、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の半導体発光素子。
【請求項6】
前記量子ドットは、ガリウム、インジウムおよび砒素を含む化合物半導体からなる、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の半導体発光素子。
【請求項7】
前記活性層は、複数の発光層を含み、
前記複数の発光層の各々は、前記量子ドットと前記キャップ層とからなる、請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の半導体発光素子。
【請求項8】
第1および第2のレーザ光を出射する活性層と前記活性層にキャリアを注入する第1および第2の電極とを含む半導体レーザと、
前記第1および第2のレーザ光によって干渉縞が形成される位置に配置された光検出器とを備え、
前記活性層は、
量子ドットと、
前記量子ドットを覆うように形成され、基準波長を発光するときの第1のバンドギャップよりも大きい第2のバンドギャップを有するキャップ層とを含み、
前記第1のレーザ光は、前記活性層内においてリング形状の経路上を周回するレーザ光の一部が出射されたレーザ光であり、
前記第2のレーザ光は、前記経路上を前記第1のレーザ光と逆の方向に周回するレーザ光の一部が出射されたレーザ光であり、
前記キャップ層は、ガリウム砒素よりも大きいバンドギャップを有する化合物半導体からなる、半導体レーザジャイロ。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate

【図21】
image rotate


【公開番号】特開2006−278850(P2006−278850A)
【公開日】平成18年10月12日(2006.10.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−97515(P2005−97515)
【出願日】平成17年3月30日(2005.3.30)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成16年度独立行政法人情報通信研究機構、研究テーマ「シームレスな位置情報検出を実現する高精度角速度センサチップの研究開発」に関する委託研究、産業活力再生特別措置法第30条の適用を受ける特許出願
【出願人】(393031586)株式会社国際電気通信基礎技術研究所 (905)
【Fターム(参考)】