説明

半導体装置およびその製造方法

【課題】COFパッケージの半導体装置において、電極部を効率よくレイアウトすることにより、半導体チップのチップサイズを小さくする。
【解決手段】COFパッケージの半導体チップ2に設けられている電極部2aは、長方形の一方の短辺部が切り取られて山形(三角形状)になるように形成されており、その山形部分が隣接するように千鳥配置されている。この形状により、隣接する電極部2aをオーバラップして配置することが可能となるので、該電極2aの配置密度を向上させることができ、半導体チップ2の長さを短くすることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置の小型化技術に関し、特に、COF(Chip On Film)などの半導体装置における電極の高密度配置に有効な技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、フラットパネルディスプレイの薄型化、およびPDA(Personal digital Assistance)など携帯機器の小型化、高機能化が進んでおり、それに伴い、その内部に使用される電子回路についても高密度化が進んでいる。
【0003】
たとえば、液晶テレビやパソコン用液晶モニタなどに代表されるフラットパネルディスプレイの液晶ドライバは、フィルム基板を用いて実装する、いわゆるCOFパッケージの半導体装置が主流になっている。
【0004】
このCOFは、配線パターンが形成された折り曲げ可能なフレキシブルテープに液晶ドライバなどの半導体チップを搭載した構成からなる。半導体チップの電極は、たとえば、該半導体チップの長辺側の対向する2辺にそれぞれ設けられている。そして、これら電極は、配置密度を向上させるために、千鳥配置された構成となっている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、上記のようなCOFパッケージの半導体装置における電極の配置技術では、次のような問題点があることが本発明者により見い出された。
【0006】
現在、電子回路の高密度化に伴い、COFパッケージの半導体装置の多ピン化、ならびに小型化の要求が強くなっており、半導体チップの小型化が望まれている。
【0007】
しかしながら、COFパッケージの半導体装置では、半導体チップに形成された電極部の配置間隔の縮小化にも限界があり、チップサイズの縮小が困難となっているという問題がある。
【0008】
また、半導体チップに形成されている個々の電極部の表面積を小さくすることにより、チップサイズを小さくすることが可能となるが、この場合、配線パターンが形成されたフレキシブルテープと半導体チップとの接続強度が大幅に低下してしまうことになり、信頼性の確保が難しいという問題がある。
【0009】
本発明の目的は、COFパッケージの半導体装置において、電極部を効率よくレイアウトすることにより、半導体チップのチップサイズを小さくすることのできる技術を提供することにある。
【0010】
本発明の前記ならびにそのほかの目的と新規な特徴については、本明細書の記述および添付図面から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本願において開示される発明のうち、代表的なものの概要を簡単に説明すれば、次のとおりである。
【0012】
本発明の半導体装置は、千鳥配置された外部接続用の電極部が搭載面に形成された半導体チップを備え、該電極部は、一方の先端部が山形に形成され、隣接する電極部の山形部分が対向するように配置されたものである。
【0013】
また、本発明の半導体装置は、千鳥配置された外部接続用の電極部が搭載面に形成された半導体チップを備え、該電極部は、一方の先端部が斜面状に形成され、隣り合う電極部の斜面部分が対向するように配置されたものである。
【0014】
さらに、本発明の半導体装置は、前記半導体チップが、COFパッケージに用いられるものである。
【0015】
また、本願のその他の発明の概要を簡単に示す。
【0016】
本発明の半導体装置の製造方法は、一方の先端部が山形に形成され、隣接する電極部の山形部分が対向するように千鳥配置された電極が搭載面に設けられた半導体チップを準備する工程と、半導体チップの電極部に対応する複数の接続電極が形成され、該半導体チップを搭載するチップ搭載基板を準備する工程と、該チップ搭載基板に半導体チップを搭載し、チップ搭載基板の接続用電極と半導体チップの電極部とを接続する工程とを有したものである。
【0017】
また、本発明の半導体装置の製造方法は、一方の先端部が斜面状に形成され、隣り合う電極部の斜面部分が対向するように千鳥配置された外部接続用の電極部が搭載面に形成された半導体チップを準備する工程と、該半導体チップの電極部に対応する複数の接続電極が形成され、半導体チップを搭載するチップ搭載基板を準備する工程と、該チップ搭載基板に半導体チップを搭載し、チップ搭載基板の接続用電極と半導体チップの電極部とを接続する工程とを有したものである。
【発明の効果】
【0018】
本願において開示される発明のうち、代表的なものによって得られる効果を簡単に説明すれば以下のとおりである。
【0019】
(1)電極間の絶縁距離を充分に保ちながら半導体装置に形成された電極部の配置間隔を小さくすることができる。
【0020】
(2)上記(1)により、半導体装置を小型化することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施の形態を説明するための全図において、同一の部材には原則として同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。
【0022】
図1は、本発明の一実施の形態による半導体装置の外観斜視図、図2は、図1の半導体装置の断面図、図3は、図1の半導体装置に設けられた半導体チップ主面の説明図、図4は、本発明者が検討した半導体チップに形成された電極部の配置例を示す説明図、図5は、図3の半導体チップに設けられた電極部における配置例を示す説明図、図6は、図4の電極部と図5の電極部との配置による半導体チップのサイズ比較例を示す説明図である。
【0023】
本実施の形態において、半導体装置1は、たとえば、COFパッケージから構成されている。半導体装置1は、図1、および図2に示すように、半導体チップ2、およびフレキシブルテープ(チップ搭載基板)3,4から構成されている。
【0024】
半導体チップ2は、たとえば、液晶ディスプレイなどを駆動する液晶ドライバIC(Integral Circuit)であり、該半導体チップ2の主面において、長辺側の対向する2辺の周辺部には、千鳥配置された複数の電極部2aが形成されている。これら電極部2aは、たとえば、金(Au)などからなる。
【0025】
フレキシブルテープ3,4は、絶縁テープフィルムの裏面に接着材を介して配線リードが形成されている。フレキシブルテープ3,4の任意の1辺の周辺部には、配線リードと接続された複数の接続用電極3a,4aがそれぞれ形成されており、これら接続用電極3a,4aは、フレキシブルテープ3,4に搭載される半導体チップ2の電極部2aと導電膜材5を介して接続されている。
【0026】
ここでは、半導体チップ2をフレキシブルテープ3,4に搭載した例について記載したが、該半導体チップ2を搭載するキャリア基板は、たとえば、ガラス基板などのフレキシブルテープ以外であってもよい。
【0027】
半導体チップ2において、千鳥配置された電極部2aは、図3に示すように、長方形の一方の短辺部が切り取られて山形(三角形状)になるように形成されており、その山形部分が隣接するように配置されている。
【0028】
図4は、本発明者が検討した半導体チップに形成された電極部30の配置例を示す説明図であり、図5は、本実施の形態による半導体チップ2の電極2aにおける配置例を示す説明図である。
【0029】
一般に、COFパッケージに用いられる半導体チップに形成される電極部30は、図4に示すように、長方形状からなり、それら複数の電極部30が千鳥配置された構成からなる。
【0030】
この場合、隣接する電極部30の配置間隔は、設計ルールによって決められており、このパターン間隔を間隔Aとして表す。よって、複数の電極部30は、最低限間隔Aの距離を開けて配置されることになる。また、ここで、2つの電極部30の幅方向の距離と間隔Aの距離とを合計した距離を間隔Bとする。
【0031】
次に、2つの電極部2aを、図4に示した間隔Bを保って配置すると、隣接する電極部2aのパターン間隔は、図5(a)に示すように、間隔A+αとなり、設計ルールによって決められたパターン間隔(間隔A)よりも大きくすることができる。
【0032】
そこで、図5(b)に示すように、隣接する電極部2aのパターン間隔を設計ルールによって決められたパターン間隔(間隔A)にすると、各々の電極部2aをオーバラップして配置することができる。
【0033】
よって、2つの電極部2aの幅方向の距離と間隔Aの距離とを合計した距離は、間隔Bよりも小さい間隔Cとすることができる。
【0034】
このように、隣接する電極部2aをオーバラップして配置することが可能となるので、同じ設計ルールのパターン間隔であっても、図6の下方に示すように、半導体チップ2の長さを、千鳥配置された電極30(図6の上方)が形成された半導体チップ31よりも短くすることができる。
【0035】
また、千鳥配置において隣接する先端部分のみが山形の形状であるので、フレキシブルテープ3,4の接続電極との接着面積も十分確保されることになり、接続強度を充分に維持することができる。
【0036】
それにより、本実施の形態によれば、半導体チップ2のチップサイズを小さくすることができるので、半導体装置1を小型化することができる。
【0037】
また、本実施の形態によれば、電極部2aの先端部を山形の形状としたが、該電極部2aの先端部を山形とするのではなく、図6に示すように、斜面状に形成するようにしてもよい。
【0038】
この場合、図7(a)に示すように、2つの電極部2aを、図4に示した間隔Bを保って配置すると、これら2つの電極部2aのパターン間隔は、間隔A+βとなり、図5(a)に示したパターン間隔(間隔A+α)よりも、より大きくすることができる。
【0039】
そこで、図7(b)に示すように、隣接する電極部2aのパターン間隔を設計ルールによって決められたパターン間隔(間隔A)にすると、2つの電極部2aの幅方向の距離と間隔Aの距離とを合計した距離は、間隔C(図5)よりも小さい間隔Dとすることができる。
【0040】
それにより、同じ設計ルールのパターン間隔であっても、図8の下方に示すように、半導体チップ2の長さを、千鳥配置された電極部30が形成された半導体チップ31(図8の上方)よりも短くすることができ、半導体装置1を小型化することができる。
【0041】
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。
【0042】
たとえば、前記実施の形態では、COFパッケージの半導体装置について記載したが、BGA(Ball Grid Array)パッケージやCSP(Chip Size Package)などの様々な半導体チップに形成される電極部に本発明を適用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0043】
本発明は、COFパッケージの半導体装置における小型化技術に適している。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本発明の一実施の形態による半導体装置の外観斜視図である。
【図2】図1の半導体装置の断面図である。
【図3】図1の半導体装置に設けられた半導体チップ主面の説明図である。
【図4】本発明者が検討した半導体チップに形成された電極部の配置例を示す説明図である。
【図5】図3の半導体チップの電極部における配置例を示す説明図である。
【図6】図4の電極部と図5の電極部との配置による半導体チップのサイズ比較例を示す説明図である。
【図7】本発明の他の実施の形態による半導体チップに設けられた電極部の配置例を示す説明図である。
【図8】図4の電極部と図7の電極部との配置による半導体チップのサイズ比較例を示す説明図である。
【符号の説明】
【0045】
1 半導体装置
2 半導体チップ
2a 電極部
3 フレキシブルテープ(チップ搭載基板)
3a 接続用電極
4 フレキシブルテープ(チップ搭載基板)
4a 接続用電極
5 導電膜材
30 電極部
31 半導体チップ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
千鳥配置された外部接続用の電極部が搭載面に形成された半導体チップを備え、
前記電極部は、
前記電極部の一方の先端部が山形に形成され、隣接する前記電極部の山形部分が対向するように配置されたことを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
千鳥配置された外部接続用の電極部が搭載面に形成された半導体チップを備え、
前記電極部は、
前記電極部の一方の先端部が斜面状に形成され、隣り合う前記電極部の斜面部分が対向するように配置されたことを特徴とする半導体装置。
【請求項3】
請求項1または2記載の半導体装置において、
前記半導体チップは、COFパッケージに用いられることを特徴とする半導体装置。
【請求項4】
一方の先端部が山形に形成され、隣接する前記電極部の山形部分が対向するように千鳥配置された電極が搭載面に設けられた半導体チップを準備する工程と、
前記半導体チップの電極部に対応する複数の接続電極が形成され、前記半導体チップを搭載するチップ搭載基板を準備する工程と、
前記チップ搭載基板に前記半導体チップを搭載し、前記チップ搭載基板の接続用電極と前記半導体チップの電極部とを接続する工程とを有したことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項5】
一方の先端部が斜面状に形成され、隣り合う前記電極部の斜面部分が対向するように千鳥配置された外部接続用の電極部が搭載面に形成された半導体チップを準備する工程と、
前記半導体チップの電極部に対応する複数の接続電極が形成され、前記半導体チップを搭載するチップ搭載基板を準備する工程と、
前記チップ搭載基板に前記半導体チップを搭載し、前記チップ搭載基板の接続用電極と前記半導体チップの電極部とを接続する工程とを有したことを特徴とする半導体装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2007−188983(P2007−188983A)
【公開日】平成19年7月26日(2007.7.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−4341(P2006−4341)
【出願日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【出願人】(503121103)株式会社ルネサステクノロジ (4,790)
【Fターム(参考)】