説明

半導体装置の不良箇所観察のためのシリコン基板加工方法及び不良箇所特定方法

【課題】
半導体集積回路の不良箇所を精度よく特定できるようにする。
【解決手段】
表面に配線層が形成され半導体集積回路が構成されたシリコン基板を、以下の工程を備えて部分的に薄膜化する。
(A)シリコン基板の配線層を残したままで機械的強度を維持できる範囲で裏面側を均一に薄膜化する工程、
(B)その後、前記シリコン基板の裏面側から不良箇所を特定する工程、
(C)前記シリコン基板を裏面側から加工して前記不良箇所を含む領域のシリコン基板を部分的にさらに薄膜化する工程、
(D)前記シリコン基板の裏面側から光を照射してそれによる干渉縞の生成により厚さを測定する工程を少なくとも含み、前記工程(C)で薄層化する部分のシリコン基板厚さを測定する工程。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置の不良箇所を観察することができるようにするために、シリコン基板を加工する方法と、その不良箇所を特定する方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
シリコン基板に形成された半導体集積回路を実装した超LSIシリコンデバイス等が不良品となることがある。不良の原因となる不良がどこにあって、その不良が何であるかを確かめる必要がある。
【0003】
不良箇所の観察には透過型電子顕微鏡(以下、TEMという)が使用される。TEM観察では電子線が透過できるように薄層化されたサンプルを作製する必要がある。例えば、加速電圧が200kVの電子線でTEM観察ができるようにするには、観察する部分のサンプルの厚さとして0.1・m前後にまで薄層化する必要がある。そのようなTEM観察用のサンプルを作製する方法として、収束イオンビーム(FIBという)を用いて不良を含む部分を切り出す方法がいくつか提案されている(特許文献1〜3参照。)。
【0004】
そのような薄膜化されたサンプルを作製する前段階として、不良がシリコン基板とその表面に形成された配線層のうちのどこにあるのかを正確に特定する作業が必要になる。本発明は不良の位置を正確に特定するための方法に関するものである。
【0005】
不良を検出する方法として、OBIC(Optical Beam Induced Current)法、OBIRCH(Optical Beam Induced Resistance Change)法、PEMS(Photo Emission Micro Scopy:フォトエミッション顕微鏡解析)法などが知られている。
【0006】
OBIC法とOBIRCH法は対象となるデバイスに定電圧を印加した状態でレーザビームで被観察箇所を走査しながら照射し、走査領域の各点に対応した表示画面上の位置に電流変化を輝度の変化として表示する。OBIC法はシリコン基板中での電流変化を検出するものであり、可視レーザ(例えば波長623.8nm)を使用する。OBIRCH法は配線の温度上昇に伴なう抵抗変化を検出するものであり、可視レーザ(例えば波長623.8nm)又は近赤外レーザ(波長1300nm)を使用する。
【0007】
PEMS法は対象となるデバイスに電圧を印加したときに発生する発光現象を検出する方法である。不良として接合リークや絶縁膜破壊があると、電圧を印加するとその不良に電界が集中してホットキャリアが発生し、そのホットキャリアが再結合するときに光を放出するので、その光を検出することにより不良の位置を特定することができる。
【0008】
不良箇所の特定をデバイスの表面側から行なう方法と裏面側から行なう方法があるが、表面側から不良箇所を特定しようとすると、例えば配線間からのもれ発光が生じる可能性があるので、不良箇所の正確な特定ができない場合がある。
裏面から観察箇所を特定した場合、赤外線観察から表面パターンを認識し、表面からそのパターンを探して(例えばCADナビゲーション)、加工箇所を決める。その際、表面側を開口するには、サンプル強度の問題から裏面側の開口部分を閉じる必要があり、再度の裏面からの電気的な箇所特定は困難になる。
【0009】
裏面側から不良箇所を特定する場合、シリコン基板の厚さが例えば15μm程度と厚いと分解能が低下し、位置精度が悪くなる。また、仮に不良箇所を特定できたとしても、TEM観察用のサンプルを裏面側から切り出して作成しようとすると、シリコン基板が厚いほど加工時間が長くなる。
【特許文献1】特許第3485707号公報
【特許文献2】特開2001−217290号公報
【特許文献3】特開2004−228076号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
不良箇所の特定をシリコン基板の裏面側から行なうようにし、しかも位置特定の精度を上げようとすると、シリコン基板の厚さを薄くしなければならない。
不良箇所の特定を高精度に行なうためにはシリコン基板の厚さは薄い方が好ましい。一般にシリコン基板の表面側から拡散層が形成され、例えば深い拡散層としてウエルの深さを考えると、ウエルは通常1.5〜2.0μmの深さに形成される。基板中の不良は拡散層で発生すると考えられることから、シリコン基板の厚さを拡散層の深さよりも薄くすることは適当ではない。そのため不良箇所の特定を行なうためのシリコン基板の最適な厚さは2〜5μmとなる。
【0011】
シリコン基板を裏面側から薄くする方法としては、全体を均一に研磨して薄くすることが考えられるが、全体を10μm以下というようなごく薄い状態にしてしまうと、機械的強度が弱くなって取扱いが困難となる。
【0012】
そこで、不良個所を含む領域のみを部分的に薄くすることが考えられる。部分的な加工はレーザビームやFIBによって行なうことができる。しかしながら、それらの方法により加工できたとしても所定の部分に残存する厚さがいくらであるかを測定しなければならない。シリコン基板は赤外線が透過するので、赤外顕微鏡によって加工したシリコン基板の表面側と裏面側の2つの面に焦点を合わせることによって厚さを検出することができるが、その方法は精度が悪く、10μm以下というごく薄いシリコン基板を精度よく測定することは困難である。
本発明は半導体集積回路が形成されたシリコン基板を裏面側から部分的に精度よく薄くすることによって不良箇所を精度よく特定できるようにすることを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明のシリコン基板加工方法は、表面に配線層が形成され半導体集積回路が構成されたシリコン基板を、以下の工程を備えて部分的に薄膜化する。
(A)シリコン基板の配線層を残したままで機械的強度を維持できる範囲で裏面側を均一に薄膜化する工程、
(B)その後、前記シリコン基板の裏面側から不良箇所を特定する工程、
(C)前記シリコン基板を裏面側から加工して前記不良箇所を含む領域のシリコン基板を部分的にさらに薄膜化する工程、
(D)前記シリコン基板の裏面側から光を照射してそれによる干渉縞の生成により厚さを測定する工程を少なくとも含み、前記工程(C)で薄膜化する部分のシリコン基板厚さを測定する工程。
【0014】
本発明では、配線層を残したままでシリコン基板の裏面側から加工するので、不良箇所を特定する工程(B)は電気的特性の検出を含む測定方法を採用することができる。
そのような電気的特性の検出を含む測定方法として、OBIC法、OBIRCH法又はPEMS法を採用することができる。
【0015】
工程(C)での薄膜化工程として、レーザ加工による凹部形成のための穴掘り加工と、その後に行なわれるアルカリ水溶液による異方性ウエットエッチング工程を含むものとすることができる。
【0016】
工程(D)での薄膜化部分のシリコン基板厚さ測定には、干渉縞が現われる前のその薄膜化部分のシリコン基板厚さを、赤外線を用いて測定する工程を含むことができる。
そのような赤外線を用いる測定工程として、その薄膜化部分のシリコン基板の両面に赤外線顕微鏡の焦点を合わせたときの焦点移動距離、又はその薄膜化部分のシリコン基板を透過する透過赤外線強度に基づいて測定する工程とすることができる。この段階の厚さ測定は高精度である必要はなく、赤外線を用いる測定方法によって10μm程度までは測定することができる。
【0017】
工程(D)での干渉縞による厚さ測定はレーザ光を使用するのが好ましい。干渉縞が観察できる厚さはレーザ光の波長と強度に依存する。単一の波長を使用すると、薄膜化部分のシリコン基板の厚さがその波長による干渉縞の観察より定まる厚さ以下になったと判断することができ、波長の異なる2つのレーザ光を使用すると、薄膜化部分のシリコン基板の厚さがその2つの波長により定まるそれぞれの厚さの間の厚さになったと判断することができる。
【0018】
工程(D)での薄膜化部分のシリコン基板厚さ測定は、干渉縞生成と、シリコン基板の裏面側からSEM(走査型電子顕微鏡)により薄層化部分の表側のパターンが観察できたときの電子加速エネルギーとから行なう工程を含むこともできる。電子加速エネルギーが大きいほど厚いシリコン基板を透過することができるので、表側のパターンが観察できたときの電子加速エネルギーはシリコン基板の厚さに対応したものとなる。
【0019】
工程(C)での異方性ウエットエッチング工程と工程(D)での厚さ測定を、干渉縞が現われるまで、さらにはSEM観察により表面側のパターンが観察できるようになるまで、交互に繰り返すことが好ましい。
干渉縞が現われてからさらに所定時間の異方性ウエットエッチング工程を行なって薄膜化部分に所定厚さのシリコン基板を残存させるようにしてもよい。
【0020】
工程(C)での薄膜化工程において、レーザ加工による穴掘り加工の後に行なわれる異方性ウエットエッチング工程で使用するアルカリ水溶液としては、KOH(水酸化カリウム)水溶液、TMAH(水酸化テトラメチルアンモニウム)水溶液、EDP(エチレンジアミンポロカテコール)水溶液、NaOH(水酸化ナトリウム)水溶液、NH4OH(アンモニア)水溶液などを使用することができる。
レーザ加工はシリコンの吸光係数の大きい短波長レーザ光を使用するのが好ましい。短波長レーザ光はシリコン基板に吸収されて表側にある配線層に到達するのを防ぐことができ、それにより配線層に損傷を与えるのを防ぐことができる。
【0021】
本発明の不良箇所特定方法は、本発明によりシリコン基板加工方法により薄膜化部分に光の干渉縞(が現われるとともに、シリコン基板の表面側に形成されている拡散層の深さよりも厚く、かつシリコン基板の裏面側から可視レーザ光が拡散層に到達できる厚さにシリコン基板を残存させるようにシリコン基板を加工する工程と、その後、シリコン基板中の不良を検出して位置を特定する工程とを含んでいる。
【0022】
シリコン基板中の不良箇所は、主にPN接合リーク箇所又はゲート酸化膜リーク箇所である。
シリコン基板中の不良を検出する一方法はOBIC法であり、シリコン基板の裏面側から検出を行なう。
シリコン基板中の不良を検出する他の方法はPEMS法であり、シリコン基板の裏面側から検出を行なう。
PN接合リーク箇所又はゲート酸化膜リーク箇所を検出し、かつ精度よく位置を特定するためには、薄膜化部分に残存させるシリコン基板の厚さは2〜5μmであることが好ましい。
【0023】
シリコン基板中の不良を検出して特定する工程において不良が検出されなかった場合に、薄膜化部分にシリコン基板が残存しなくなるまで異方性ウエットエッチングを行なった後、シリコン基板の表面に形成されている配線層内の不良を検出して位置を特定する工程をさらに備えていることが好ましい。
【0024】
配線層内の不良は、主に配線間のショート、オープン又は高抵抗である。
配線層内の不良を検出する方法はOBIRCH法であり、シリコン基板の裏面側から検出を行なう。
シリコン基板中の不良箇所の検出をOBIC法で行ない、配線層内の不良箇所の検出をOBIRCH法で行ない、それらの検出をともに可視レーザ光を用いて行なうとともに、それらの不良箇所の検出を1台の装置で行なうようにすることができる。
【発明の効果】
【0025】
本発明のシリコン基板加工方法は、シリコン基板の裏面側から不良箇所を含む領域を部分的に薄膜化するので、その薄膜化領域を10μm以下、さらには例えば2〜5μmにまで薄くしてもシリコン基板全体としては機械的強度は維持することができ、また電気的方法により不良箇所を特定する上でも支障がない。
【0026】
また、薄膜化部分に残存するシリコン基板厚さを干渉縞の生成により測定する工程を含んでいるので、シリコン基板厚さ測定の再現性が良く、観察箇所の所望の位置を測定できる。
【0027】
さらに、配線層を残したままでシリコン基板の裏面側から加工するので、不良箇所を特定するのにOBIC法、OBIRCH法又はPEMS法などの電気的特性の検出を含む測定方法を採用することができるとともに、その薄膜化部分の厚さを薄くした状態でも不良箇所を特定できるので、シリコン基板や表面の配線層の影響が少なくなって位置精度が高くなる。
【0028】
不良箇所を示すマークをシリコン基板の裏面側に付すようにすれば、TEM観察用にサンプルを切り出すときに表側のパターンとの位置合せの必要がない。このマーキングはシリコン基板の裏面側に行なうので、シリコン基板を加工中の装置に付属のレーザ等で行なうこともでき、また、表側にマークを付す場合にはパターン面を考慮したFIBによるデポジションなどでのマーキングが必要になるが、本発明ではその必要もない。
さらに、電気的特性の検出が可能である為、初めのマーキング後にそのマークの位置を修正するようにすれば、不良箇所特定の位置精度が一層向上する。
【0029】
薄膜化工程として、レーザ加工による穴掘り加工と、その後に行なわれるアルカリ溶液による異方性ウエットエッチング工程を含むものとすれば、異方性ウエットエッチング工程では耐エッチングマスクを形成する必要がなくなって工程が簡略化される。また、アルカリ溶液であれば、シリコン基板表面側の配線層やモールド樹脂への影響が少なく、電気的測定を維持できる。
シリコン基板を加工するのにレーザ加工を使用し、しかもシリコンの吸光係数の大きい短波長レーザ光を使用するようにすれば、表側にある配線層に損傷を与えるのを防ぐことができる。
【0030】
薄膜化部に干渉縞が現われるのはその部分のシリコン基板の厚さが10μm以下というようなごく薄い領域に入ってからであるので、それまでの厚さの段階では赤外線を用いて厚さを測定するようにすれば、その部分のシリコン基板の厚さが厚い段階の厚さ測定もできるようになる。
【0031】
薄層化部のシリコン基板の干渉縞による厚さ測定は使用する光の波長と強度に依存するので、レーザ光を使用すれば正確な波長の光を利用することができ、測定精度が向上する。
波長の異なる2つのレーザ光を使用すると薄層化部分のシリコン基板の厚さの測定精度がより向上する。
【0032】
薄膜化部分のシリコン基板厚さ測定に干渉縞生成とSEMによるパターン観察とを組み合わせると、薄膜化部分のシリコン基板の厚さの測定精度がさらに向上する。
異方性ウエットエッチング工程と厚さ測定を、干渉縞が現われるまで、さらにはSEM観察により表面側のパターンが観察できるようになるまで、交互に繰り返すことにより、又は干渉縞が現われてからさらに所定時間の異方性ウエットエッチング工程を行なって薄膜化部分に所定厚さのシリコン基板を残存させるようにすることにより、薄膜化部分のシリコン基板厚さを容易に所定の厚さに加工することができる。
【0033】
本発明の不良箇所特定方法において、薄膜化部分に光の干渉縞が現われるとともに、シリコン基板の表面側に形成されている拡散層の深さよりも厚く、かつシリコン基板の裏面側から可視レーザ光が拡散層に到達できる厚さにシリコン基板を残存させるようにシリコン基板を加工した後に、不良を検出して位置を特定するので、PN接合リークやゲート酸化膜リークなどの不良を選択的に検出して位置を特定することができる。
【0034】
さらに、シリコン基板中の不良が検出されなかった場合に、薄膜化部分にシリコン基板が残存しなくなるまで異方性ウエットエッチングを行なうことにより、シリコン基板の表面に形成されている配線層内の不良を検出して位置を特定することができる。
シリコン基板中の不良箇所の検出をOBIC法で行ない、配線層内の不良箇所の検出をOBIRCH法で行ない、それらの検出をともに可視レーザ光を用いて行なうとともに、それらの不良箇所の検出を1台の装置で行なうようにすれば、1台の装置内で連続して作業を続けることができて作業性が向上する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0035】
次に図面を参照して本発明を詳細に説明する。
図1は本発明を概略的に表わしたものである。
(A)まず、実装された半導体集積回路装置で不良とされたもののシリコン基板2の裏面側から研磨し、シリコン基板2の厚さが100μm程度になるまで薄膜化する。ここで、配線層4が形成されている側をパターン面側又は表面側といい、その反対側を裏面側という。このときの厚さは研磨時間により調製することができ、実際の測定を行なう場合は、赤外線顕微鏡を用い、シリコン基板2の表面側と裏面側の両面に焦点を合わせたときの焦点移動距離、又はシリコン基板2を透過する赤外線強度に基づいて測定する。シリコン基板2の厚さが100μm程度であれば機械的強度を維持することができる。
【0036】
次に、OBIC法、OBIRCH法又はPEMS法により不良箇所6を検出する。不良箇所6はここでは配線層4側にあるように示しているが、シリコン基板2側にある場合もある。
不良箇所6の位置を特定したときにシリコン基板2の裏面にその位置を示すマークをレーザ光などにより付ける。この場合のマークは不良箇所6の真上に付する。
【0037】
(B)特定した不良箇所6を含む領域に対し、シリコン基板2の裏面側からレーザ光7により凹部を形成する穴掘り加工を行う。8aは形成された穴であり、穴の深さは70μm程度が適当である。
【0038】
(C)次に、基板全体をKOH水溶液又はTMAH水溶液に浸し、異方性ウエットエッチングを行なう。このアルカリ水溶液によるウエットエッチングは耐エッチング層によるマスクを形成しなくてもレーザにより加工された穴8aから進行し、シリコン基板が(100)面をもつ場合、エッチングは斜め方向に進行して開口部に向かって広がる開口8bを形成する。
【0039】
ウエットエッチングは時間により制御し、薄膜化部分に残存するシリコン基板2の厚さはレーザ光を照射し、その部分に干渉縞が現われるまで行なう。レーザ光としてはHe−Neレーザ又は近赤外レーザ光を用いると、干渉縞が現われた時点で薄膜化部に残存するシリコン基板の厚さは10μm以下で、照射した光の波長に対応したものとなる。
ウエットエッチングと干渉縞の観察は干渉縞が現われるまで交互に繰り返して行う。
【0040】
干渉縞が現れた段階のシリコン基板の厚さよりさらに薄くする場合は、ウエットエッチングを所定の時間続ける。ウエットエッチングエッチング速度は条件を設定すれば正確に求めることができるので、時間によって残りのシリコン基板の厚さを制御することができる。
【0041】
その段階で再度OBIC法、OBIRCH法又はPEMS法により不良箇所6の位置を検出する。不良箇所6の位置の特定は、工程(A)でも行なっているが、工程(C)の方が薄膜化部のシリコン基板2の厚さが薄くなっているので正確に求めることができる。この段階で不良箇所6の位置を特定するためにレーザなどによりマークを付する。この場合のマークはシリコン基板2の裏面側からみて、検出した不良箇所6の前後、左右を挟む4点とし、その4点のマークの中心に不良箇所6が位置するように配置する。更に、マークを付した後、不良箇所6の位置を再度OBIC法、OBIRCH法又はPEMS法により認識し、不良箇所6の位置が最初につけた4点のマークの中心位置からずれている場合は、不良箇所6が4点のマークの中心位置にくるようにマークの位置を修正する。
【0042】
工程(C)で不良箇所6が検出されたときはその不良箇所6はシリコン基板側にあることを意味する。すなわち、工程(C)での薄膜化部のシリコン基板厚さを2〜5μmとしておくと、不良箇所を検出する方法で可視レーザ光を照射すると、可視レーザ光は拡散層には到達するが、配線層までは到達しないので、ここで検出される不良箇所はシリコン基板側の不良となるのである。
【0043】
(D)若しくは、工程(C)の段階で不良箇所が検出されなかった場合は、シリコン基板側には不良箇所はなかったことになる。
そこで、さらにウエットエッチングを続け、薄膜化部に残存するシリコン基板2がなくなるまで行なう。シリコン基板2の表面には酸化膜が形成されているので、酸化膜がエッチングのストッパ層として働き、酸化膜が露出した段階でウエットエッチングは自動的に停止する。8cはこのように酸化膜が露出するまでエッチングが進んだときの薄層化部の開口を表わす。
【0044】
工程(D)の段階までいっても、シリコン基板2で開口8cが設けられているのは薄膜化部に限定された部分的なものであるので、シリコン基板2のほとんどの部分は100μm程度の厚さを維持しており、なお機械的強度を維持することができ、しかも配線層が残存している。そこで、再びOBIC法、OBIRCH法又はPEMS法により不良箇所の検出とその位置の特定を行なう。
【0045】
本発明は図1の工程(C)又は工程(D)の段階で不良箇所6を検出し、その位置を特定することにより目的が達成される。このように調製されたシリコン基板2は、さらにその不良箇所をFIBにより切り出してTEM観察用のサンプルとすることができる。
そのようなサンプルの切り出しには、特許文献2又は3に記載されているようなFIBを用いたマイクロサンプリング法により実行することができる。また、後で詳細に説明する方法により行なうこともできる。
以下に、さらに詳細な実施例を示す。
【0046】
(実施例1)
(1)シリコン基板を裏面側から研磨する工程である。
図2は不良と判定された半導体集積回路装置であり、裏面側からシリコン基板チップの裏面を露出させた状態を示している。デバイスの表面側は実装されたままとしておき、電気的に動作させることが可能な状態を維持する。露出したシリコン基板を裏面側から均一に研磨し、シリコン基板全体の厚さを150μm程度とする。
【0047】
(2)不良箇所を検出し特定する工程である。
図3(A)は赤外顕微鏡により裏面側から表面側のパターンを観察した状態を示している。倍率は5倍である。(B)は倍率を20倍に拡大した状態、(C)はさらに倍率を上げて100倍とした状態である。
不良箇所の検出はPEMS法又はOBIRCH法により行ない、その位置の特定を行なう。ここではPEMS法により、基板に3.0V程度の電圧を印加し、レーザ光を照射して不良個所を発光させた。図中に円で囲まれた領域が不良箇所が存在する領域である。
不良箇所を特定するために、シリコン基板の裏面にレーザによりマークを付ける。
【0048】
(3)不良箇所の存在する領域のみを薄膜化化する工程である。
そのために、図4(A)に示されるように、不良箇所を含む領域(薄膜化部分)をシリコン基板の裏面側から短波長レーザで凹部を形成するように加工し、その後アルカリ水溶液でウエットエッチングを行う。ウエットエッチングはレーザ加工した部分に選択的に進行する。
【0049】
レーザ加工はPEMS装置に付属の装置で行なってもよく、別のレーザ装置で行なってもよい。別のレーザ装置を使用する場合は、PEMS装置と座標を共通化して加工する位置を特定する。レーザ加工のレーザとしては、例えば波長が248nmの短波長レーザを使用し、パワーを25J/cm2として、穴の開口の大きさを60μm×60μmとした。短波長レーザはシリコン基板に吸収されやすく、シリコン基板を加工しても表側へのパターン面への影響はない。
【0050】
ウエットエッチング液のアルカリ水溶液としてはTMAH水溶液又はKOH水溶液を使用し、85℃に温調して40分間程度行なった。ウエットエッチングは斜め方向に進行し、穴の中心部のシリコン基板が薄くなる。アルカリ水溶液によるエッチングでもパターン面は損傷しない。
【0051】
薄膜化部の残存シリコン基板の厚さは、図4(B)の画像のようにHe−Neレーザ(波長632.8nm)や、図4(C)の画像のような赤外線カメラ(波長1100nm)の観察で干渉縞の有無で判断する。
シリコン基板のエッチングと干渉縞の観察を繰り返して干渉縞が現われるまでエッチングを行なう。エッチングレートほぼ1.5〜2.0μm/分であった。
【0052】
図5は薄膜化部のシリコン基板の残存板厚を示している。このデータは中心部の板厚を0.2μm程度になるまでエッチングを行なったときの薄膜化部の厚さの測定結果である。中心部で板厚が最も薄く、両側で斜め方向に厚さが厚くなるような開口部となるようにウエットエッチングが進行していることを示している。この形状により干渉縞が観察される。
【0053】
光の干渉縞による厚さ測定とSEMの加速電圧によるパターン観察の結果に基づいてシリコン基板の板厚の測定できる範囲を図6に示している。
波長が632.8nmのHe−Neレーザ光で薄層化部分のシリコン基板を観察すると8.5μm以下から干渉縞が現れる。また、波長が1100nmの赤外線で薄膜化部分のシリコン基板を観察すると4.5μm以下から干渉縞が現れる。もし、これらの2つの波長で観察をすると、632.8nmで干渉縞が現れ、1100nmで現れない場合は4.5〜8.5μmの厚さの範囲にあると言える。
【0054】
SEMで加速電圧を変えながらシリコン基板を観察すると、例えば、30KeVでは2.2μmの厚さを透通して表面のパターンが観察できる。加速電圧を下げるとSi基板を透過する距離が短くなる。
干渉縞観察とSEM観察を組みあわせるとシリコン基板の厚さを10μm以下で測定することができる。例えば、波長の1100nmで干渉縞が現れ、SEM観察の加速電圧30KeVでパターンが観察できない場合は、2.2〜4.5μmにあると言える。
【0055】
図7はSEMで表面側のパターンを観察した状態を示したものである。図7(A),(B)の2つの画像はサンプルとしてシリコン基板の厚さが徐々に変化するように作製したものであり、各図の左側の厚さが厚く右側に向かって薄くなっている。図7(A)は加速電圧を20keVとし、図7(B)は加速電圧を30keVとしたときのシリコン基板の裏面側から表面のパターンを観察した画像である。加速電圧を高くする方が見える範囲が広くなっており、透過する電子の距離が長くなることを示している。
【0056】
図8はFIBでシリコン基板断面を観察した状態を示したものである。測定の結果シリコン基板の厚さは約3μmであった。この試料は632.8nmのレーザ光でも1100nmの赤外線でも干渉縞が観察されており、シリコン基板の厚さは4.5μm以下であると判断することができ、FIBでの測定結果と一致している。
【0057】
(4)薄膜化部のシリコン基板厚さを4μmまで薄くした状態で再度不良箇所の検出と特定を行なう工程である。
図9の再下段の画像はデバイス全体の底面側を示したものである。そのすぐ上側の画像は薄膜化部を含む領域を拡大して示したものであり、さらに上側の図は薄膜化部を拡大したものであり、最上段の画像はさらに拡大した赤外顕微鏡による画像である。薄膜化部を4μmまで薄膜化しても薄膜化部はシリコン基板全体から見ればごく一部の部分であるので機械的強度は維持されており、表面に配線層が残っているので電気的特性も維持されている。
この段階でPEMS法により再度不良箇所の検出と特定を行なう。
【0058】
(5)マーキング工程である。
不良箇所を含む領域を中心に、FIBによりTEM用のサンプルを切り出すときに探しやすいようにレーザでマークをつける。マーキングはPEMS付属のレーザで行なってもよく、別のレーザ装置で行ってもよい。別の装置を使用する場合は座標を共通化して特定する。マーキングのためのレーザのパワーは1.1J/cm2、マークの深さは0.03μm程度であった。
【0059】
マーキングを行なってもシリコン基板の裏面であるため表面側の配線層には影響がなく、再度電気的に不良個所を特定できるので、もし初めに行なったマーキングのマークと不良箇所の位置がずれていればここで修正することができる。図10(A)の画像は工程(2)の段階で行なったマーク(黒い4つの点)であり、図10(B)の画像は修正した後のマークである。マークは不良個所が中心にくるように位置を修正する。本発明はここまでの工程で終了である。
【0060】
(6)このように調製されたシリコン基板を用いて、TEM観察できるように、FIB法でサンプルの切り出しを行なう工程であり、本発明の続く別の発明を示している。サンプルの切り出しについては後で詳細に説明するが、本発明の(1)から(5)の工程によりシリコン基板の裏面側から不良箇所のある位置を特定し、その状態から連続的にFIB加工により切り出しを行えば作業性が向上する。切り出しを行う部分は薄く加工されているので、裏面側から加工しても位置精度が高く、加工時間も表面側からの加工と変わりがない。図11に示されるように四角く切り出し、その上面に平行に切断して薄膜状のサンプルとすれば平面TEM観察用のサンプルとなり、その上面に垂直方向に切断して薄膜状のサンプルとすれば断面TEM観察用のサンプルとなる。
【0061】
(実施例2)
実施例1は不良個所の検出と特定をPEMS法により行なった。この実施例2ではOBIC法により不良箇所の検出と特定を行なう。
実施例1と同様に薄膜化部の底部のシリコン基板の厚さが2〜5μmになるまでウエットエッチングを行なう。
【0062】
その後、不良箇所を特定するために裏面側からOBIC法で観察を行なう。図12の下側の画像は薄膜化部の底部のレーザ画像であり、上側の画像は裏面側からのOBIC像である。裏面側であっても薄膜化された部分であるためOBIC電流の変化を観察することができる。この段階でOBIC電流の変化が観察されれば、その不良はゲートリークか接合リークと考えられる。
【0063】
もしこの段階でOBIC電流の変化が観察されない場合はシリコン基板側には不良箇所はないと判断し、薄膜化部の残りのシリコン基板をウエットエッチングにより除去する。ウエットエッチングは先に使用したアルカリ水溶液を用いる。薄膜化部の残りのシリコン基板は5μm以下となっているので、短時間でシリコン基板の残存部がなくなる。
【0064】
図13は薄膜化部の底部のシリコン基板がなくなった状態の光学顕微鏡画像である。薄膜化部の底部に表面側のパターンが観察される。
この状態でOBIRCH観察を行なう。もしここでOBIRCH電流の変化が観察されれば、配線層に不良があったことがわかる。その不良は配線間の高抵抗、断線又はショートと考えられる。
OBIRCH観察により不良箇所を検出したときは、シリコン基板の裏面側からレーザによりマークをつけてその位置を特定する。
【0065】
(応用例)
実施例1,2により不良箇所の位置を特定したシリコン基板に対し、薄膜化部の不良箇所を含む領域を切り出して平面TEMサンプルを作製する方法を説明する。
(1)ここでは、本発明により、薄膜化部の底部にシリコン基板が4μmの厚さで残存しているものを用意する。そのシリコン基板の中に不良箇所が存在するものとする。
【0066】
(2)裏面側からカーボン保護膜を堆積した後、シリコン基板の裏面側からFIB加工により小片を切り出す。カーボン保護膜の厚さは1μm程度である。カーボン保護膜を堆積するのは、FIBを使うと常にビームが出ているので必要なところを保護するためであり、さらにカーボンは導電性であるためチャージアップを防ぐ。
【0067】
切り出す小片は10μm×10μm×10μm程度とする。切り出す位置は不良箇所を特定したマークに基づいて決定し、その立方体の中央に不良箇所があるように切り出す。図14(A)は薄膜化部を示したものであり、(B)はその拡大図である。切り出す小片を上から見た状態で示しており、4辺をA,B,C,Dとし、その4辺で囲まれた面が上面であり、それぞれの辺に対応する側面をA面、B面、C面、D面とする。最終的に切り出すTEM観察用のサンプルは、上面に平行で、厚さが0.1〜0.4μmの薄膜状のものとする。C面は薄膜化の位置を決めるパターンを見る面となるため、特に丁寧に仕上げる。(C)はC方向から見た状態である。(B)の○印は加工個所を示したマーキングの後である。
この状態では、小片はまだその基端部においてシリコン基板につながっている。
【0068】
(3)C面仕上げの後、A面の基端部の位置で、A面に対し45度方向からこの小片を切断するようにイオンビームを照射する。C面にはイオンビームは照射しない。このイオンビーム照射により、この小片はシリコン基板から切断され、小片を切り出した溝により形成された穴内でA面の方向に倒れる。
【0069】
図15はA面に対するイオンビーム照射により小片の基端部が切断され、小片がA面の方向に倒れた状態を示している。図15(A)はA方向から観察した画像、図15(B)はB方向から観察した画像であり、倒れた角度φは45〜60°になる。図15(C)はC面方向から観察した画像であり、平面加工面であるC面が斜め上を向いた状態となる。
【0070】
(4)次に、C面が上を向くようにシリコン基板を45°程度傾ける。その状態で、C面上で薄片に切り出される部分を含んでシリコン基板に至る領域にカーボン保護膜を選択的に堆積して小片を穴内でシリコン基板に固定する。このときのカーボン保護膜の選択的堆積は、FIB装置内でカーボンを含むガスを供給し、所定の位置にFIBを照射することにより、FIB照射位置にカーボンが選択的に堆積する。図16はカーボン保護膜を堆積した状態を表わしている。
【0071】
シリコン基板の穴内で倒されてカーボン保護膜により固定された小片を図17から図18に示されるように、その穴内にある状態で薄膜状態のTEM観察用サンプルに加工する。図17は欠陥箇所を中心にして、FIBによりC面に垂直方向にイオンビームを照射し、厚さが0.6μm程度の薄片に加工した状態である。
【0072】
その後、その薄片をFIBによりさらに薄膜化して0.1〜0.4μm程度の薄片にし、図18に示されるようにその薄片の両側と底辺をFIBにより切断して平面TEM観察用のサンプルとする。
作成されたサンプルはピックアップ法により取り出されてTEM装置に装着されて観察される。
【産業上の利用可能性】
【0073】
本発明は不良と判定された半導体集積回路のシリコン基板を加工して不良箇所を特定し、TEMで観察するためのサンプルを作製するための試料を提供するのに利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0074】
【図1】本発明を概略的に示す工程断面図である。
【図2】一実施例において、不良と判定された半導体集積回路装置のシリコン基板チップの裏面を露出させた状態を示す画像である。
【図3】赤外顕微鏡により裏面側から表面側のパターンを観察した状態を示す画像である、(A)は5倍、(B)は20倍、(C)は100倍の倍率でそれぞれ示している。とした状態である。
【図4】(A)は薄膜化部分の加工状態を示す画像、(B)はHe−Neレーザによる干渉縞、(C)は赤外線による干渉縞を示す画像である。
【図5】薄膜化部のシリコン基板の残存板厚を示すグラフである。
【図6】光の干渉縞による厚さ測定とSEMの加速電圧によるパターン観察の結果に基づいてシリコン基板の板厚の測定できる範囲を示すグラフである。
【図7】SEMで表面側のパターンを観察した状態を示す画像であり、(A)は加速電圧を20keVとした場合、(B)は加速電圧を30keVとした場合である。
【図8】FIBで断面を観察し残存シリコン基板厚を測定した状態を示す画像である。
【図9】薄膜化部のシリコン基板厚さを4μmまで薄くした状態で再度不良箇所の検出と特定を行なう工程示す図であり、下から上に行くにしたがって倍率を上げて示している。
【図10】マーキング修正工程を示す図であり、(A)は前の段階で行なったマーク、(B)はこの段階で修正したマークをそれぞれ示す画像である。
【図11】TEM観察用のサンプルを切り出す工程の一部を示す画像である。
【図12】他の実施例において裏面側からのOBIC観察を示す図であり、下側の画像は薄膜化部の底部のレーザ画像、上側の画像は裏面側からのOBIC像である。
【図13】同実施例で薄膜化部の底部のシリコン基板がなくなった状態の光学顕微鏡画像である。
【図14】応用例として不良箇所の位置を特定したシリコン基板から薄膜化部の不良箇所を含む領域を切り出して平面TEMサンプルを作製する方法の前半部を示す画像であり、(A)は薄膜化部を示したもの、(B)はその拡大図、(C)はC方向から見た状態である。
【図15】A面に対するイオンビーム照射により小片の基端部が切断され、小片がA面の方向に倒れた状態を示す画像であり、(A)はA方向から観察した画像、(B)はB方向から観察した画像、(C)はC方向から観察した画像である。
【図16】C方向からカーボン保護膜を堆積した状態を示す画像である。
【図17】欠陥箇所を中心にして、厚さが0.6μm程度の薄片に加工した状態を示す画像である。
【図18】その薄片を薄膜化して平面TEM観察用のサンプルとした状態を示す画像である。
【符号の説明】
【0075】
2 シリコン基板
4 配線層
6 不良箇所
7 レーザ光
8a レーザ加工により形成された穴
8b,8c ウエットエッチングにより形成された開口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面に配線層が形成され半導体集積回路が構成されたシリコン基板を、以下の工程を備えて部分的に薄膜化するシリコン基板加工方法。
(A)シリコン基板の配線層を残したままで機械的強度を維持できる範囲で裏面側を均一に薄膜化する工程、
(B)その後、前記シリコン基板の裏面側から不良箇所を特定する工程、
(C)前記シリコン基板を裏面側から加工して前記不良箇所を含む領域のシリコン基板を部分的にさらに薄膜化する工程、
(D)前記シリコン基板の裏面側から光を照射してそれによる干渉縞の生成により厚さを測定する工程を少なくとも含み、前記工程(C)で薄膜化する部分のシリコン基板厚さを測定する工程。
【請求項2】
不良箇所を特定する工程(B)は電気的特性の検出を含む測定方法である請求項1に記載のシリコン基板加工方法。
【請求項3】
前記測定方法はOBIC法、OBIRCH法及びPEMS法からなる群から選ばれたいずれかの測定方法である請求項2に記載のシリコン基板加工方法。
【請求項4】
工程(C)での薄膜化工程は、レーザ加工による穴掘り加工と、その後に行なわれるアルカリ水溶液による異方性ウエットエッチング工程を含む請求項1から3のいずれかに記載のシリコン基板加工方法。
【請求項5】
工程(D)での薄膜化部分のシリコン基板厚さ測定は、前記干渉縞が現われる前のその薄膜化部分のシリコン基板厚さを、赤外線を用いて測定する工程を含んでいる請求項1から4のいずれかに記載のシリコン基板加工方法。
【請求項6】
赤外線を用いる前記測定工程は、その薄膜化部分のシリコン基板の両面に赤外線顕微鏡の焦点を合わせたときの焦点移動距離、又はその薄膜化部分のシリコン基板を透過する透過赤外線強度に基づいて測定する工程である請求項5に記載のシリコン基板加工方法。
【請求項7】
工程(D)での前記干渉縞による厚さ測定のために波長の異なるレーザ光を使用する請求項1から6のいずれかに記載のシリコン基板加工方法。
【請求項8】
工程(D)での薄膜化部分のシリコン基板厚さ測定は、前記干渉縞生成と、前記シリコン基板の裏面側からSEMにより前記薄膜化部分の表側のパターンが観察できたときの電子の加速エネルギーとから行なう工程を含んでいる請求項1から9のいずれかに記載のシリコン基板加工方法。
【請求項9】
工程(C)での異方性ウエットエッチング工程と工程(D)での厚さ測定を、前記干渉縞が現われるまで、又はSEMにより薄膜化部分の表側のパターンが観察できるまで交互に繰り返す請求項6から8のいずれかに記載のシリコン基板加工方法。
【請求項10】
前記干渉縞が現われてからさらに所定時間の異方性ウエットエッチング工程を行なって前記薄膜化部分に所定厚さのシリコン基板を残存させる請求項6から9のいずれかに記載のシリコン基板加工方法。
【請求項11】
前記レーザ加工はシリコンの吸光係数の大きい短波長レーザ光を使用する請求項4から10のいずれかに記載のシリコン基板加工方法。
【請求項12】
前記アルカリ溶液はKOH水溶液、TMAH水溶液、EDP水溶液、NaOH水溶液又はNH4OH水溶液である請求項4から11のいずれかに記載のシリコン基板加工方法。
【請求項13】
請求項1から12のいずれかに記載のシリコン基板加工方法により前記薄膜化部分に光の干渉縞が現われるとともに、シリコン基板の表面側に形成されている拡散層の深さよりも厚く、かつシリコン基板の裏面側から可視レーザ光が拡散層に到達できる厚さにシリコン基板を残存させるようにシリコン基板を加工する工程と、その後、シリコン基板中の不良を検出して位置を特定する工程と、を含む半導体装置の不良箇所特定方法。
【請求項14】
シリコン基板中の不良を検出する方法はOBIC法であり、シリコン基板の裏面側から検出を行なう請求項13に記載の不良箇所特定方法。
【請求項15】
シリコン基板中の不良を検出する方法はPEMS法であり、シリコン基板の裏面側から検出を行なう請求項13に記載の不良箇所特定方法。
【請求項16】
前記薄膜化部分に残存させるシリコン基板の厚さは2〜5μmである請求項13から15のいずれかに記載の不良箇所特定方法。
【請求項17】
特定した不良箇所にその箇所を示すマークを前記シリコン基板の裏面側に付するマーキング工程を含む請求項13から16に記載の半導体装置の不良箇所特定方法。
【請求項18】
不良箇所を特定する工程を再度行ない、前記マークの位置を修正する工程を含む請求項17に記載の半導体装置の不良箇所特定方法。
【請求項19】
シリコン基板中の不良を検出して特定する前記工程において不良が検出されなかった場合に、前記薄膜化部分にシリコン基板が残存しなくなるまで異方性ウエットエッチングを行なった後、シリコン基板の表面に形成されている配線層内の不良を検出して位置を特定する工程をさらに備えた請求項13から18のいずれかに記載の不良箇所特定方法。
【請求項20】
配線層内の不良を検出する方法はOBIRCH法であり、シリコン基板の裏面側又は表面側から検出を行なう請求項19に記載の不良箇所特定方法。
【請求項21】
シリコン基板中の不良箇所の検出をOBIC法で行ない、配線層内の不良箇所の検出をOBIRCH法で行ない、それらの検出をともに可視レーザ光を用いて行なうとともに、それらの不良箇所の検出を1台の装置で行なう請求項20に記載の不良箇所特定方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2006−343100(P2006−343100A)
【公開日】平成18年12月21日(2006.12.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−139518(P2005−139518)
【出願日】平成17年5月12日(2005.5.12)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】