説明

半導体装置の実装構造及び実装方法

【課題】半導体装置の実装の信頼性の向上を図る。
【解決手段】プリント基板9の下面9b側の半導体チップ4の外側に対応した領域に補強板6が設けられた状態で、半導体チップ4上に圧力を掛けてヒートシンク8を取り付けることにより、プリント基板9のチップ下領域9cは支持されていないため、チップ下の複数のはんだボール7を介してプリント基板9に掛かる荷重、及び半導体チップ4を介して配線基板2に掛かる荷重をそれぞれ利用して配線基板2とプリント基板9の両者を僅かに撓ませることができ、半導体チップ4上に掛かる荷重(P)を配線基板2の裏面全体に分散させて、複数のはんだボール7が変形することを低減できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置の実装技術に関し、特に、放熱部材を取り付ける際の半導体装置の実装の信頼性向上に適用して有効な技術に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体パッケージ(半導体装置)の上にヒートシンク(放熱部材)が重ねて配置された構造とヒートシンクの接続技術が、例えば、特開2001−168562号公報(特許文献1)に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−168562号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
携帯電話等の電子機器には、プリント基板(実装基板)上にCPU(Central Processing Unit)等の半導体装置(半導体パッケージ)が実装されている。この種の半導体装置では、処理速度の高速化や多機能化に伴って消費電力が増加する傾向にあり、動作中の発熱量もこれに比例して急速に増加する傾向にある。
【0005】
なお、処理速度の高速化や多機能化に対応した半導体装置の一例として、フリップチップ接続タイプのBGA(Ball Grid Array 、以降、単にFC−BGAともいう)が知られている。FC−BGAの構造は、パッケージ基板である配線基板上にフリップチップ接続によって半導体チップをフェイスダウン実装するものであり、配線基板の裏面に外部接続用端子となる複数のはんだボールがグリッド状に設けられている。
【0006】
このようなFC−BGAにおいて、安定した動作を確保するためには、FC−BGAの放熱性を高める必要があり、したがって、ヒートシンクのような半導体装置の放熱性能を高めるための放熱部材を半導体装置に設ける構造が必須となる。
【0007】
FC−BGAにヒートシンクを設ける場合、ユーザの仕様でヒートシンクを設ける場合が多いため、予めFC−BGA上にヒートシンクを設けることができず、プリント基板にFC−BGAを実装した後に、FC−BGAの上部にヒートシンクを設けることが少なくない。
【0008】
ところが、近年のFC−BGAでは、その低コスト化、軽量化あるいは小型化の要求があるため、配線基板やプリント基板も薄くなってきている。したがって、前述のようにプリント基板にFC−BGAを実装した後、FC−BGAの上部にヒートシンクを設ける場合には、放熱部材であるヒートシンクを半導体装置の上部に配置してヒートシンクの上方からFC−BGAに対して加圧を行ってヒートシンクを取り付けている。
【0009】
ここで、本願発明者は、ヒートシンクの取り付け時を想定し、1.プリント基板(実装基板)の下面側のFC−BGAの下部の領域を支持部材によって支持した場合と、2.プリント基板の下面側のFC−BGAの下部の領域を支持しない場合とで、FC−BGAの上方から加圧を行ってFC−BGAのプリント基板に対する実装状態(外部接続用端子であるはんだボールの接続状態等)の評価を行った。
【0010】
その結果、1の評価では、パッケージ(FC−BGA)下部が支持部材によって支持されていると、半導体チップを介して荷重がプリント基板に伝わるため、チップ領域に荷重が集中し、チップ下領域のはんだボールが潰れて変形し、ボール同士がショートするという課題を見出した。なお、一般的にチップ下領域のボール電極は、熱サイクルにおいて最大応力が発生する箇所であり、これにより、ボール電極が破壊されてボール電極の寿命が短くなるという課題も元々有している。
【0011】
また、2の評価では、パッケージ下部が支持部材によって支持されていないため、パッケージ下部でプリント基板(実装基板)が下方に向かって撓む現象が起こり、その結果、プリント基板と配線基板の変形率の違いにより、主に配線基板の外周部に配置されたはんだボールが変形するという課題を見出した。すなわち、配線基板の端部に配置されたはんだボールが変形するという課題を見出した。
【0012】
以上の種々の課題により、FC−BGA(半導体装置、パッケージ)の実装における信頼性が低下するという課題を見出した。
【0013】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、半導体装置の実装の信頼性の向上を図ることができる技術を提供することにある。
【0014】
本発明の前記ならびにその他の目的と新規な特徴は、本明細書の記述および添付図面から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本願において開示される発明のうち、代表的なものの概要を簡単に説明すれば、以下のとおりである。
【0016】
代表的な実施の形態による半導体装置の実装構造は、配線基板と前記配線基板上に搭載された半導体チップと前記配線基板の裏面に設けられた複数の外部接続用端子であるボール電極とを有し、かつ前記ボール電極が前記半導体チップの下部と外側の両方の領域に配置されて成る半導体装置と、前記複数のボール電極を介して前記半導体装置が実装される実装基板と、前記半導体チップ上に設けられた放熱部材と、前記実装基板の下面の前記半導体チップの外側の領域に設けられた補強板と、前記放熱部材と前記補強板とに係合して前記半導体チップ上に圧力を掛ける押圧部材と、を有し、前記実装基板の下面の前記半導体チップの外側の領域を前記補強板によって支持した状態で、前記押圧部材によって前記半導体チップ上に圧力が掛けられるものである。
【0017】
また、代表的な実施の形態による半導体装置の実装方法は、配線基板と前記配線基板上に搭載された半導体チップと前記配線基板の裏面に設けられた複数の外部接続用端子であるボール電極とを有し、かつ前記ボール電極が前記半導体チップの下部と外側の両方の領域に配置されて成る半導体装置の実装方法であって、(a)前記半導体装置を実装基板に実装する工程と、(b)前記半導体チップ上に所定の圧力を掛けて放熱部材を前記半導体チップ上に取り付ける工程と、を有し、前記(b)工程において、前記実装基板の下面の前記半導体チップの外側の領域に補強板が設けられた状態で前記半導体チップ上に圧力を掛けるものである。
【発明の効果】
【0018】
本願において開示される発明のうち、代表的なものによって得られる効果を簡単に説明すれば、以下のとおりである。
【0019】
半導体装置の実装の信頼性の向上を図ることができる。
【0020】
また、半導体装置の品質を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の実施の形態1の半導体装置の構造の一例を示す断面図である。
【図2】図1に示す半導体装置のボール配列の一例を示す裏面図である。
【図3】図1に示す半導体装置の実装構造の一例を示す断面図と平面図である。
【図4】図1に示す半導体装置のヒートシンク取り付け時の加圧状態の一例を示す断面図と平面図である。
【図5】図1に示す半導体装置の実装構造の第1変形例を示す断面図と平面図である。
【図6】図1に示す半導体装置の実装構造の第2変形例を示す断面図と平面図である。
【図7】図1に示す半導体装置の実装構造の第3変形例を示す断面図と平面図である。
【図8】図1に示す半導体装置の実装構造の第4変形例を示す断面図と平面図である。
【図9】図1に示す半導体装置の実装構造の第5変形例を示す断面図と平面図である。
【図10】図1に示す半導体装置の実装構造の第6変形例を示す断面図と平面図である。
【図11】図10に示す構造の効果を示す断面図である。
【図12】図1に示す半導体装置の実装構造の第7変形例を示す断面図と平面図である。
【図13】本発明の実施の形態1の第8変形例を示す断面図である。
【図14】本発明の実施の形態1の半導体装置の構造の第9変形例を示す断面図である。
【図15】本発明の実施の形態1の半導体装置の構造の第10変形例を示す断面図である。
【図16】本発明の実施の形態1の半導体装置の構造の第11変形例を示す断面図である。
【図17】本発明の実施の形態2の半導体装置の実装構造の第12変形例を示す断面図である。
【図18】本発明の実施の形態2の半導体装置の実装構造の第13変形例を示す断面図である。
【図19】本発明の実施の形態2の半導体装置の実装構造の第14変形例を示す断面図である。
【図20】図19に示す実装構造における補強板の構造を示す平面図である。
【図21】本発明の実施の形態2の半導体装置の実装構造の第15変形例を示す断面図である。
【図22】本発明の実施の形態2の半導体装置の実装構造の第16変形例を示す断面図と平面図である。
【図23】本発明の実施の形態2の半導体装置の実装構造の第17変形例を示す断面図である。
【図24】本発明の実施の形態3の半導体装置の構造の一例を示す断面図である。
【図25】図24に示す半導体装置のボール配列の一例を示す裏面図である。
【図26】図24に示す半導体装置の実装構造の一例を示す断面図と平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下の実施の形態では特に必要なとき以外は同一または同様な部分の説明を原則として繰り返さない。
【0023】
さらに、以下の実施の形態では便宜上その必要があるときは、複数のセクションまたは実施の形態に分割して説明するが、特に明示した場合を除き、それらはお互いに無関係なものではなく、一方は他方の一部または全部の変形例、詳細、補足説明などの関係にある。
【0024】
また、以下の実施の形態において、要素の数など(個数、数値、量、範囲などを含む)に言及する場合、特に明示した場合および原理的に明らかに特定の数に限定される場合などを除き、その特定の数に限定されるものではなく、特定の数以上でも以下でも良いものとする。
【0025】
また、以下の実施の形態において、その構成要素(要素ステップ等も含む)は、特に明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではないことは言うまでもない。
【0026】
また、以下の実施の形態において、構成要素等について、「Aからなる」、「Aよりなる」、「Aを有する」、「Aを含む」と言うときは、特にその要素のみである旨明示した場合等を除き、それ以外の要素を排除するものでないことは言うまでもない。同様に、以下の実施の形態において、構成要素等の形状、位置関係等に言及するときは、特に明示した場合および原理的に明らかにそうでないと考えられる場合等を除き、実質的にその形状等に近似または類似するもの等を含むものとする。このことは、上記数値および範囲についても同様である。
【0027】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施の形態を説明するための全図において、同一の機能を有する部材には同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。
【0028】
(実施の形態1)
図1は本発明の実施の形態1の半導体装置の構造の一例を示す断面図、図2は図1に示す半導体装置のボール配列の一例を示す裏面図、図3は図1に示す半導体装置の実装構造の一例を示す断面図と平面図、図4は図1に示す半導体装置のヒートシンク取り付け時の加圧状態の一例を示す断面図と平面図である。
【0029】
本実施の形態1の半導体装置は、図1及び図2に示すように、基板上に半導体チップ4が搭載された半導体パッケージであり、ここでは、前記半導体装置の一例として、フリップチップ接続によって半導体チップ4が基板に搭載されたフリップチップタイプの半導体装置を取り上げ、さらに外部接続用端子がボール電極であるFC−BGA(以降、単にBGA1とも呼ぶ)を取り上げて説明する。
【0030】
図1及び図2に示すBGA1の構成について説明すると、主面2aとその反対側の裏面2bとを備えた基板である配線基板2と、配線基板2の主面2a上に複数のはんだバンプ5を介して搭載され、かつ半導体集積回路が形成された半導体チップ4と、複数のはんだバンプ5相互の周囲及び半導体チップ4の側面周囲に充填されたアンダーフィル樹脂3と、配線基板2の裏面2bに設けられた複数の外部接続用端子であるはんだボール7とを有している。外部接続用端子のボール電極である複数のはんだボール7は、配線基板2の裏面2bにおいて、例えば、格子状(グリッド状)に配置されている。
【0031】
配線基板2は、パッケージ基板もしくはBGA基板等と呼ばれ、その内部に図示しない配線及びスルーホール配線が設けられており、したがって、半導体チップ4で送受信される電気的信号は、はんだバンプ5や配線基板2の内部の配線やスルーホール配線、及び配線基板2の裏面2bのはんだボール7を介して伝達される。
【0032】
なお、本実施の形態1のBGA1は、図2に示すように配線基板2の裏面2bの全体に亘って外部接続用端子であるはんだボール7が格子状に設けられている。すなわち、はんだボール7が配線基板2の裏面全面に配置されたフルバンプタイプのBGA1であり、したがって、はんだボール7が半導体チップ4の下部の領域と半導体チップ4の外側の領域との両方の領域に配置されている。
【0033】
また、半導体チップ4は、複数の表面電極である電極パッド4cが形成された主面4aと、この主面4aの反対側の裏面4bとを有しており、配線基板2とフリップチップ接続によって電気的に接続されている。つまり、半導体チップ4はその複数の電極パッド4cにそれぞれ電気的に接続された複数のはんだバンプ5を介して配線基板2と電気的に接続されている。なお、半導体チップ4は、配線基板2にフリップチップ接続で搭載されているため、配線基板2上にフェイスダウン実装されており、配線基板2の主面2aと半導体チップ4の主面4aとが対向して配置され、したがって、半導体チップ4の裏面4bは上方を向いて露出している。
【0034】
次に、図3に示す本実施の形態1の半導体装置の実装構造について説明する。
【0035】
図3に示す実装構造は、図1に示すBGA1を実装基板であるプリント基板9上に実装したものであり、半導体チップ4上には放熱部材であるヒートシンク8が接合されている構造となっている。
【0036】
前記実装構造は、詳細には、上面9aとその反対側の下面9bとを有し、かつ複数のはんだボール7を介して上面9aにBGA1が実装されるプリント基板9と、半導体チップ4上に設けられたヒートシンク8と、プリント基板9の下面9bの半導体チップ4の外側の領域に対応する領域に設けられた補強板6とから成る。
【0037】
ここで、補強板6は、半導体チップ4の上方から荷重が掛かった際のはんだボール7の変形等を低減するものであり、プリント基板9の下面9bの半導体チップ4の外側の領域に対応する領域を補強板6によって支持した状態で、半導体チップ4上に圧力(荷重)が掛けられる。
【0038】
なお、半導体チップ4の上方から圧力が掛けられる工程の一例として、図4に示すような、半導体チップ4上に放熱部材であるヒートシンク8を取り付ける工程を取り上げて説明する。
【0039】
ヒートシンク8は、平板状であり、圧力が付与されて半導体チップ4と接合する。圧力は、チップ領域のみに集中するため、BGA1の実装構造の高さ方向のバラツキを吸収することができる。さらに、ヒートシンク8は、半導体チップ4の裏面4bに熱伝導性が高いシリコーン樹脂10等の接着材を介して接合されるため、シリコーン樹脂10の厚さを薄くすることができ、均一性及び密着性も高めることができるとともに、放熱効果も高めることができる。
【0040】
また、ヒートシンク8は平板状であり、加工が容易であるため、ヒートシンク8のコスト低減化を図ることができる。
【0041】
図4は、半導体チップ4上にヒートシンク8を取り付ける際のチップ加圧状態を示しており、押圧部材であるクリッパー11によってヒートシンク8と補強板6とを挟み込むことにより、半導体チップ4上にヒートシンク8が取り付けられる。その際、半導体チップ4の裏面4bには荷重(圧力)Pが掛かる。この荷重Pは、クリッパー11が嵌め込まれている間は常時半導体チップ4上に付与され、さらに半導体チップ4を介して配線基板2や複数のはんだボール7及びプリント基板9に掛かるが、クリッパー11を外した際には、図3に示す実装構造となって半導体チップ4に掛かることはなく、半導体チップ4は荷重Pから解放される(ヒートシンク8の自重は除く)。
【0042】
クリッパー11は、ヒートシンク8と補強板6とに係合して図3に示す構造体を挟み込む押圧部材である。
【0043】
ここで、補強板6の詳細構造について説明する。本実施の形態1の補強板6は、薄板状の部材であり、図4に示すように枠状に形成されており、したがって、中央に穴部6aが形成されている。また、補強板6は、例えば、アルミニウムやステンレス鋼等の材料から成る金属板であることが好ましい。例えば、アルミニウム材によって形成することで補強板6のコストの低減化を図ることができる。ただし、金属以外の、例えば硬質の樹脂等によって形成されていてもよい。つまり、プリント基板9より硬い板材であれば、金属材であってもよいし、または金属以外の材料から成るものであってもよい。
【0044】
なお、本実施の形態1の半導体装置の実装構造では、半導体チップ4上に圧力が掛かった際にプリント基板9の圧力が集中的に掛かる箇所には補強板6を設けないことを特徴としている。すなわち、半導体チップ4上に圧力が付与され際に、半導体チップ4を介してプリント基板9に圧力が掛かる箇所であるチップ下領域9cには補強板6を設けないとするものであり、したがって、補強板6は、チップ下領域9cを逃げた(避けた)形状となっている。つまり、補強板6は、プリント基板9のチップ下領域9cを穴部6aとして逃げている(開口させている)。
【0045】
ここで、補強板6の枠状の幅方向の範囲は、まず、内周部(内側)6bの位置を、チップ外側で半導体チップ4に最も近い位置のボール電極列から最外周のはんだボール7の位置までの範囲に対応する位置とし、さらに外周部(外側)6cの位置を、チップ外側の2列目のボール電極列から配線基板2の外方までの範囲に対応する位置とする。好ましくは、図3に示すように内周部6bの位置が、半導体チップ4の外側の領域に配置された複数のはんだボール7のうち半導体チップ4に最も近い位置のはんだボール電極列に対応する位置である。つまり、チップ外側の1番目の列のはんだボール7の位置に対応した位置である。
【0046】
一方、外周部6cの位置は、好ましくは、図3に示すように最外周のはんだボール電極列に対応する位置である。なお、補強板6の枠状の外周部6cの位置を最外周のはんだボール電極列に対応する位置とするのは、プリント基板9における荷重Pによる圧力を受ける領域が複数のはんだボール7が設けられた領域であるため、その最外周のはんだボール電極列に対応する位置としている。
【0047】
これにより、プリント基板9上でBGA1の周囲に実装している他の電子部品(デバイス)に対して荷重Pの影響を与えることを低減できる。
【0048】
次に、本実施の形態1の半導体装置の実装方法について説明する。
【0049】
まず、図4に示すようにプリント基板9の上面9aにBGA(FC−BGA)1を実装する。例えば、はんだリフロー等によってプリント基板9上のBGA1をはんだ接続する。その際、BGA1は、配線基板2と、配線基板2上に搭載された半導体チップ4と、配線基板2の裏面2bにグリッド状に設けられた複数のはんだボール7とを有し、かつはんだボール7が半導体チップ4の下部領域とその外側の領域との両方の領域に配置された半導体装置である。
【0050】
その後、補強板6を所定位置にセットする。ここでは、プリント基板9の下面9bの半導体チップ4の外側の領域に補強板6が設けられた状態となるようにプリント基板9の下面9b側に枠状の補強板6をセットする。つまり、プリント基板9の下面9bのチップ下領域9cは何も支持されていない状態とするとともに、プリント基板9の下面9bのチップ下領域9cの外側周囲のはんだボール領域は支持した状態となるように枠状の補強板6をプリント基板9の下面9b側にセットする。
【0051】
その後、半導体チップ4の裏面4b上にシリコーン樹脂10等の接着材を介して放熱部材であるヒートシンク8を搭載する。
【0052】
その後、クリッパー11を両側に嵌め込んで半導体チップ4上に所定の圧力P(荷重P)を掛けてヒートシンク8を半導体チップ4上に取り付ける。ここでは、クリッパー11をヒートシンク8と補強板6とに係合するように両側に嵌め込んで、プリント基板9の下面9bの半導体チップ4の外側の領域のみに補強板6が配置されている状態で半導体チップ4上に圧力Pを掛けてヒートシンク8を半導体チップ4上に取り付ける(ヒートシンク8と半導体チップ4とを接合する)。
【0053】
なお、プリント基板9へのBGA1の搭載完了後、補強板6をセットする際、先にヒートシンク8を半導体チップ4の裏面4b上に搭載してもよい。つまり、プリント基板9にBGA1を搭載した後、ヒートシンク8を半導体チップ4上に配置し、その後、補強板6をセットしてからクリッパー11で挟んで圧力Pを掛けて半導体チップ4とヒートシンク8を接合してもよい。
【0054】
また、ヒートシンク8を半導体チップ4上に取り付けた後、クリッパー11は取り外してもよいし、そのまま挟んだ状態としてもよい。そのまま挟んだ状態とすると、半導体チップ4やプリント基板9には圧力Pが常時掛かった状態となる。
【0055】
本実施の形態1の半導体装置(BGA1)の実装構造及び実装方法によれば、プリント基板9の下面9b側のチップ下領域9cの外側周囲の領域に補強板6が設けられた状態で半導体チップ4上に圧力Pを掛けてヒートシンク8を取り付けることにより、プリント基板9の下面9b側のチップ下領域9cは支持されていないため、チップ下部の複数のはんだボール7を介してプリント基板9に掛かる荷重、及び半導体チップ4を介して配線基板(パッケージ基板2)に掛かる荷重をそれぞれ利用して配線基板2とプリント基板9の両者を僅かに撓ませることができる。
【0056】
その際、補強板6によって支えられている半導体チップ4の下部領域の外側の領域の複数のはんだボール7も荷重を受けることになり、したがって、ヒートシンク8を取り付ける際の半導体チップ4上に掛かる荷重を配線基板2の裏面2b全体に分散させて掛けることができる。
【0057】
これによって、配線基板2の裏面2bに設けられた複数のはんだボール7が変形することを低減できる。特に、配線基板2の端部付近に設けられた複数のはんだボール7では、ボール形状が斜め方向に変形することを低減できる。
【0058】
一方、半導体チップ4の下部領域に設けられた複数のはんだボール7では、それらはんだボール7が潰れる変形を低減することができる。はんだボール7が潰れる変形を低減できるため、はんだボール7同士の電気的ショートの発生を低減することができる。
【0059】
また、半導体チップ4の下部領域の複数のはんだボール7にも小さい荷重が掛かることで、この領域の複数のはんだボール7は動きが拘束され、水平方向に動きにくくなる。その結果、熱サイクルにおいて発生する応力が緩和されて破壊しにくくなり、半導体チップ4の下部領域のはんだボール7の長寿命化を図ることができる。
【0060】
以上により、BGA(半導体装置)1の実装の信頼性の向上を図ることができる。
【0061】
なお、本発明の〔背景技術〕で取り上げた〔先行技術文献〕特開2001−168562号公報の図10及び図11に記載された補強板の技術は、ヒートシンクを介して圧力が掛かる箇所を補強板によって支持するものであるが、本実施の形態1の補強板6は、プリント基板9に対して圧力が掛かる箇所は支持しないで開放するものであり、前記〔先行技術文献〕とは技術思想が全く異なるものである。
【0062】
次に本実施の形態1の変形例について説明する。
【0063】
図5は図1に示す半導体装置の実装構造の第1変形例を示す断面図と平面図、図6は図1に示す半導体装置の実装構造の第2変形例を示す断面図と平面図、図7は図1に示す半導体装置の実装構造の第3変形例を示す断面図と平面図、図8は図1に示す半導体装置の実装構造の第4変形例を示す断面図と平面図、図9は図1に示す半導体装置の実装構造の第5変形例を示す断面図と平面図である。また、図10は図1に示す半導体装置の実装構造の第6変形例を示す断面図と平面図、図11は図10に示す構造の効果を示す断面図、図12は図1に示す半導体装置の実装構造の第7変形例を示す断面図と平面図、図13は本発明の実施の形態1の第8変形例を示す断面図である。さらに、図14は本発明の実施の形態1の半導体装置の構造の第9変形例を示す断面図、図15は本発明の実施の形態1の半導体装置の構造の第10変形例を示す断面図、図16は本発明の実施の形態1の半導体装置の構造の第11変形例を示す断面図である。
【0064】
図5〜図9に示す変形例は、補強板6の枠形状についてその内周部6bあるいは外周部6cの位置を種々変更したものである。
【0065】
まず、図5に示す第1変形例は、図3の補強板6の形状に対して外周部6cの位置(最外周のはんだボール列の位置)は変えることなく、内周部6bの位置のみを外周部6cに近づけて穴部6aの大きさを大きくしたものである。
【0066】
また、図6に示す第2変形例は、図3の補強板6の形状に対して内周部6bの位置(チップ外側で、かつチップに最も近いはんだボール列の位置)は変えることなく、外周部6cの位置のみを内周部6bに近づけて枠の幅を最小限としたものである。この場合の枠の幅は、はんだボール7の1つ分程度となる。なお、枠形状を最小幅とする場合には、はんだボール7が搭載される配線基板2の裏面2bの電極であるボールパッドにおける単位面積当たりに受ける圧力が、7.46(kgf/mm2 )以下になるようにすることが好ましい。
【0067】
これは、例えば、560ピンのBGA1で30kgfの荷重を付与する評価を行ったところ、中央部の位置のはんだボール7が単位面積当たりに7.46(kgf/mm2 )の圧力を受けていることが分かり、その際、長期温度サイクル評価後、中央部のはんだボール7は圧力による過度な変形で隣接ショート不良となる一方、配線基板2も過度に撓む変形が発生し、外周部(端部)のはんだボール7は引っ張られ、オープン破壊に至ることを見出した。したがって、配線基板2のはんだボール7が接続されるボールパッドの単位面積当たりに受ける圧力が、7.46(kgf/mm2 )以下になるようにすることで、はんだボール7及び配線基板2の過度な変形が緩和され、はんだボール7のショート及び破壊が起こりにくくなり、はんだボール7の寿命を長くすることができる。
【0068】
また、図7に示す第3変形例は、図3の補強板6の形状に対して内周部6bの位置(チップ外側で、かつチップに最も近いはんだボール列の位置)は変えることなく、外周部6cの位置のみをプリント基板9の外方まで延在させて枠形状を大きくしたものである。
【0069】
また、図8に示す第4変形例は、図7の第3変形例の補強板6の形状に対して外周部6cの位置をプリント基板9の外方で同じ位置とし、一方、内周部6bの位置を最外周から内側に向かって3列目のはんだボール列の位置とするものである。
【0070】
また、図9に示す第5変形例は、図7の第3変形例の補強板6の形状に対して外周部6cの位置をプリント基板9の外方で同じ位置とし、一方、内周部6bの位置を最外周のはんだボール列の位置とするものである。
【0071】
図5〜図9に示す変形例の補強板6を用いても、本実施の形態1の図3に示す補強板6の場合と同様の効果を得ることが可能である。
【0072】
次に、図10及び図11に示す第6変形例は、プリント基板9と補強板6の間に弾性部材であるゴムシート12が介在されているものである。すなわち、プリント基板9の下面9bと補強板6の間に弾性部材であるゴムシート12を介在させるものである。
【0073】
これは、プリント基板9と補強板6の剛性の差で、荷重によって発生した曲げ変形量は両者異なる可能性があり、この変形量差の起因で、プリント基板9は補強板6との接触面積が減少し、荷重が局部に集中してプリント基板9にダメージを与える可能性がある。したがって、プリント基板9と補強板6の間にゴムシート12を介在させて、両者の変形量の差を吸収し、図11に示すように荷重Pが補強板6の全面に掛かるようにし、局部に集中して掛かることを防止できる。
【0074】
これにより、荷重Pによってプリント基板9に掛かるダメージを低減できる。
【0075】
なお、ゴムシート12の大きさは、例えば、補強板6とほぼ同じでよい。
【0076】
次に、図12及び図13の変形例は、放熱部材の変形例を示すものである。図12の第7変形例は、フィン付きヒートシンク(放熱部材)13が取り付けられたBGA1であり、フィンを有しているため、放熱効果をさらに高めることができる。
【0077】
また、図13の第8変形例は、中央部に段差部を備えた段差付きヒートシンク(放熱部材)14を示すものである。この段差付きヒートシンク14を用いることで、実装上高さ調整が必要な場合でもスペーサを用いることがなく、段差付きヒートシンク14のみを取り付けるだけで済む。
【0078】
次に、図14〜図16に示す変形例は、半導体装置をタイプ分けしたものである。まず、図14に示す第9変形例は、半導体チップ4上にヒートスプレッダ15を搭載したBGA1aである。すなわち、BGA1aは、露出した半導体チップ4の裏面4bに熱伝導接着材16を介してヒートスプレッダ15を搭載したものであり、BGA1と同様に、半導体チップ4がフリップチップ接続によって配線基板2と電気的に接続された構造のフリップチップタイプのBGA1aである。
【0079】
なお、熱伝導接着材16は、例えば、シリコーン系の樹脂やシート材等である。BGA1aは、ヒートスプレッダ15を備えている分、ヒートスプレッダ15から熱を放出できるため、BGA1に比較して放熱性が高い。
【0080】
次に、図15に示す第10変形例は、熱伝導接着材16を介して半導体チップ4上に搭載したヒートスプレッダ15を配線基板2上の周縁部に設けたサポートリング17によって支持する構造のフリップチップタイプのBGA1bであり、サポートリング17がヒートスプレッダ15と配線基板2とに接触している。したがって、半導体チップ4から熱伝導接着材16を介してヒートスプレッダ15に伝わった熱を、サポートリング17を介して配線基板2に放つことができ、図14のBGA1aに比較してさらに放熱性を高めることができる。
【0081】
次に、図16に示す第11変形例は、樹脂封止形のワイヤボンディングタイプのBGA1cであり、半導体チップ4は、フェイスアップ実装で配線基板2に搭載され、かつその裏面4bがダイボンド材18を介して配線基板2と接合されている。また、半導体チップ4はその電極パッド4cが金線等のワイヤ19を介して配線基板2と電気的に接続されている。また、半導体チップ4や複数のワイヤ19は、例えば、熱硬化性の樹脂によって形成された封止体20によって樹脂封止されている。
【0082】
図14〜図16に示す変形例のBGA1a,1b,1cにおいても、本実施の形態1の半導体装置の実装構造及び実装方法に適用可能であり、BGA1の場合と同様の効果を得ることができる。
【0083】
(実施の形態2)
図17は本発明の実施の形態2の半導体装置の実装構造の第12変形例を示す断面図、図18は本発明の実施の形態2の半導体装置の実装構造の第13変形例を示す断面図、図19は本発明の実施の形態2の半導体装置の実装構造の第14変形例を示す断面図、図20は図19に示す実装構造における補強板の構造を示す平面図である。また、図21は本発明の実施の形態2の半導体装置の実装構造の第15変形例を示す断面図、図22は本発明の実施の形態2の半導体装置の実装構造の第16変形例を示す断面図と平面図、図23は本発明の実施の形態2の半導体装置の実装構造の第17変形例を示す断面図である。
【0084】
本実施の形態2は、実施の形態1で説明したBGA1の実装構造の変形例を説明するものである。まず、図17に示す第12変形例は、プリント基板9上に実装されたBGA1に対して、半導体チップ4上にシリコーン樹脂10を介してヒートシンク8を搭載するとともに、このヒートシンク8と、携帯電話やカーナビゲーション装置等の電子機器の筐体(ハウジング)22との間にプリント基板9及びBGA1を挟み込み、ヒートシンク8と筐体22とを押圧部材であるネジ部材21によってネジ固定するものである。その際、プリント基板9と筐体22との間に枠状の補強板6が設けられている。また、前記電子機器の筐体22の壁をヒートシンク代わりとして利用することでBGA1の実装構造の小型化を図ることができる。
【0085】
この実装構造においても、ネジ部材21によってヒートシンク8が筐体22にネジ固定されているため、半導体チップ4にはその裏面4bに荷重Pが常時付与されており、プリント基板9の下面9b側に枠状の補強板6が設けられたことにより、実施の形態1のBGA1の実装構造と同様の効果を得ることができる。さらに、半導体チップ4からヒートシンク8に伝わった熱をネジ部材21を介して筐体22に伝えることができるため、BGA1の放熱性をさらに高めることができる。なお、筐体22の代わりとして、ヒートシンク8を用いてもよく、その場合には、上側のヒートシンク8と下側のヒートシンク8とをネジ部材21によってネジ固定する構造となる。
【0086】
次に、図18に示す第13変形例は、プリント基板9上に実装されたBGA1に対して、半導体チップ4上にシリコーン樹脂10を介してヒートシンク8を搭載するとともに、このヒートシンク8とプリント基板9の下面9b側に設けられた枠状の補強板6とを押圧部材であるクリッパー11aによって挟み込んで固定したものである。クリッパー11aは、コ字状で、かつ弾性を有する部材であれば良く、バネ等であってもよい。
【0087】
この場合にも、クリッパー11aによってヒートシンク8が補強板6との間で挟み込まれているため、半導体チップ4にはその裏面4bに荷重Pが常時付与されており、プリント基板9の下面9b側に枠状の補強板6が設けられたことにより、実施の形態1のBGA1の実装構造と同様の効果を得ることができる。
【0088】
次に、図19及び図20に示す第14変形例は、枠状の補強板6の4つのコーナー部に支持部6dが設けられ、かつそれぞれの支持部6dに貫通孔6eが形成されて、この貫通孔6eにクリッパー(押圧部材)23の一端を係合させることで、ヒートシンク8との間で挟持する実装構造である。
【0089】
すなわち、プリント基板9上に実装されたBGA1の半導体チップ4上にシリコーン樹脂10等を介してヒートシンク8が搭載され、このヒートシンク8とプリント基板9の下面9b側に設けられた枠状の補強板6とを、クリッパー23によって挟み込み、これにより、プリント基板9及びBGA1が挟持されている。
【0090】
その際、クリッパー23は弾性を有する部材であるとともに、略L字形を成し、その一端が補強板6の支持部6dの貫通孔6eに係合することで、プリント基板9及びBGA1を挟み込んで固定している。
【0091】
この場合にも、クリッパー23によってヒートシンク8が補強板6との間で挟み込まれているため、半導体チップ4にはその裏面4bに荷重Pが常時付与されており、プリント基板9の下面9b側に枠状の補強板6が設けられたことにより、実施の形態1のBGA1の実装構造と同様の効果を得ることができる。
【0092】
次に、図21に示す第15変形例は、プリント基板9の下面9b側に設ける補強板6の代わりとして、バネ部材(弾性体)24を設けた実装構造である。すなわち、補強板6の代わりとして、プリント基板9と筐体22(またはヒートシンク8でもよい)との間にバネ部材24を設けるものである。この場合、バネ部材24は、BGA1の高さ方向に弾性力が作用する部材であれば、補強板6と同様に枠状のものであってもよいし、分散して配置可能な個片のものであってもよい。
【0093】
図21の第15変形例の構造においても、プリント基板9上に実装されたBGA1に対して、半導体チップ4上にシリコーン樹脂10を介してヒートシンク8を搭載するとともに、このヒートシンク8と電子機器の筐体(ハウジング)22等との間にプリント基板9及びBGA1を挟み込み、ヒートシンク8と筐体22とを側板25で固定し、かつ側板25とヒートシンク8、及び側板25と筐体22とをそれぞれ押圧部材であるネジ部材21aによってネジ固定するものである。
【0094】
この時、ネジ部材21aによってヒートシンク8と側板25、及び側板25と筐体22とがそれぞれネジ固定されており、かつヒートシンク8と筐体22の間にプリント基板9やBGA1がバネ部材24を介在させた状態で挟み込まれているため、半導体チップ4にはその裏面4bに荷重Pが常時付与される。
【0095】
なお、プリント基板9の下面9b側に複数のバネ部材24が設けられたことにより、実施の形態1のBGA1の実装構造と同様の効果を得ることができる。さらに、半導体チップ4からヒートシンク8に伝わった熱をネジ部材21a及び側板25を介して筐体22に伝えることができるため、BGA1の放熱性をさらに高めることができる。なお、筐体22の代わりとして、ヒートシンク8を用いてもよい。
【0096】
また、補強板6の代わりとしてプリント基板9の下面9b側にBGA1の高さ方向に弾性力が作用するバネ部材24を設けたことにより、BGA1の実装後の高さ(T)のばらつきを補正できるとともに、半導体チップ4とヒートシンク8を密着させることができる。
【0097】
次に、図22に示す第16変形例は、補強板6の外周部6cの大きさをプリント基板9の外周部と同じにした構造のものであり、補強板6の両端に貫通孔6eを設けて押圧部材であるネジ部材26とナット27とによって、ヒートシンク8とプリント基板9と補強板6とをネジ固定するものである。
【0098】
この構造においても、ネジ部材26とナット27によってヒートシンク8が補強板6との間で挟み込まれているため、半導体チップ4にはその裏面4bに荷重Pが常時付与されており、プリント基板9の下面9b側に枠状の補強板6が設けられたことにより、実施の形態1のBGA1の実装構造と同様の効果を得ることができる。
【0099】
次に、図23に示す第17変形例は、プリント基板9上に実装されたBGA1を、その半導体チップ4上に搭載されたヒートシンク8と、プリント基板9の下面9b側に配置した枠状の補強板6とによって挟持する実装構造において、ヒートシンク8と補強板6とに係合するネジ部材26及びナット27によってネジ固定しており、さらに、BGA1の配線基板2と放熱部材であるヒートシンク8との間に複数のバネ部材(弾性体)28が設けられ、これら複数のバネ部材28が半導体チップ4の周囲に分散して配置されている。
【0100】
この構造においても、ネジ部材26とナット27によってヒートシンク8が補強板6との間で挟み込まれているため、半導体チップ4にはその裏面4bに荷重Pが常時付与されており、プリント基板9の下面9b側に枠状の補強板6が設けられたことにより、実施の形態1のBGA1の実装構造と同様の効果を得ることができる。
【0101】
さらに、複数のバネ部材28が半導体チップ4の周囲に分散して配置されていることにより、配線基板2を介してプリント基板9に掛かる荷重を分散して低減し、その結果、プリント基板9の厚さが薄い場合にも、プリント基板9に与えるダメージを低減することができる。
【0102】
また、この構造においてヒートシンク8への荷重Pの大きさをバネ部材28の弾性力より大きく設定することにより、ヒートシンク8と半導体チップ4の密着性を高めることができる。さらに、ヒートシンク8との接着面積が小さい(半導体チップ4が小さいサイズ)BGA1の場合には、半導体チップ4の周囲に複数のバネ部材28が分散して配置されていることで、ヒートシンク8の取り付けバランスを向上できるとともに、ヒートシンク8の平坦度を確保することができる。
【0103】
(実施の形態3)
図24は本発明の実施の形態3の半導体装置の構造の一例を示す断面図、図25は図24に示す半導体装置のボール配列の一例を示す裏面図、図26は図24に示す半導体装置
の実装構造の一例を示す断面図と平面図である。
【0104】
本実施の形態3は、変形例のBGA構造とその実装構造を説明するものである。図24及び図25に示す半導体装置は、実施の形態1及び2のBGA1と同様に、フリップチップ接続タイプのBGA型の半導体装置であるが、図25に示すように、外部接続用端子であるはんだボール7の配置方法がフルバンプタイプではなく、チップ下部の領域と外周部の領域の間にははんだボール7を配置せずに間引いたBGA29である。
【0105】
すなわち、BGA29は、配線基板2の裏面2bの中央部と外周部とに分けてそれぞれグリッド状に複数のはんだボール7を備えているものである。
【0106】
なお、BGA29のようなはんだボール7の間引き配列は、図14〜図16に示す変形例のBGA1a,1b,1cにおいても適用可能である。
【0107】
図26はBGA29の実装構造を示すものであり、実装基板であるプリント基板9上に実装された半導体チップ4上に放熱部材であるヒートシンク8がシリコーン樹脂10等を介して接合されており、プリント基板9の下面9bの半導体チップ4の外側の領域に対応する領域に設けられた枠状の補強板6とを備えている。
【0108】
なお、補強板6は、半導体チップ4の上方から荷重が掛かった際のはんだボール7の変形等を低減するものであり、プリント基板9の下面9bの半導体チップ4の外側の領域に対応する領域を補強板6によって支持した状態で、半導体チップ4上に圧力(荷重)が掛けられる。
【0109】
本実施の形態3の実装構造においても、ヒートシンク8を取り付ける際に、半導体チップ4の裏面4bにヒートシンク8を介して荷重が付与された時、プリント基板9の下面9b側に枠状の補強板6が設けられていることにより、実施の形態1のBGA1の実装構造と同様の効果を得ることができる。
【0110】
以上、本発明者によってなされた発明を発明の実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記発明の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることは言うまでもない。
【0111】
例えば、前記実施の形態1〜3では、補強板6が枠状の場合を取り上げて説明したが、補強板6は、必ずしも枠状でなくてもよい。すなわち、実装基板であるプリント基板9のチップ下領域9cに相当する箇所が開口しており、かつ前記チップ下領域9cの外側の周囲の領域に相当する箇所が支持可能形状となっていれば、枠状以外の形状であってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0112】
本発明は、電子装置の実装方法に好適である。
【符号の説明】
【0113】
1,1a,1b,1c BGA(半導体装置)
2 配線基板
2a 主面
2b 裏面
3 アンダーフィル樹脂
4 半導体チップ
4a 主面
4b 裏面
4c 電極パッド
5 はんだバンプ
6 補強板
6a 穴部
6b 内周部
6c 外周部
6d 支持部
6e 貫通孔
7 はんだボール(外部接続用端子、ボール電極)
8 ヒートシンク(放熱部材)
9 プリント基板(実装基板)
9a 上面
9b 下面
9c チップ下領域
10 シリコーン樹脂
11,11a クリッパー(押圧部材)
12 ゴムシート(弾性部材)
13 フィン付きヒートシンク(放熱部材)
14 段差付きヒートシンク(放熱部材)
15 ヒートスプレッダ
16 熱伝導接着材
17 サポートリング
18 ダイボンド材
19 ワイヤ
20 封止体
21,21a ネジ部材(押圧部材)
22 筐体
23 クリッパー(押圧部材)
24 バネ部材(補強板)
25 側板
26 ネジ部材(押圧部材)
27 ナット
28 バネ部材(弾性体)
29 BGA(半導体装置)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
配線基板と前記配線基板上に搭載された半導体チップと前記配線基板の裏面に設けられた複数の外部接続用端子であるボール電極とを有し、かつ前記ボール電極が前記半導体チップの下部と外側の両方の領域に配置されて成る半導体装置と、
前記複数のボール電極を介して前記半導体装置が実装される実装基板と、
前記半導体チップ上に設けられた放熱部材と、
前記実装基板の下面の前記半導体チップの外側の領域に設けられた補強板と、
前記放熱部材と前記補強板とに係合して前記半導体チップ上に圧力を掛ける押圧部材と、
を有し、
前記実装基板の下面の前記半導体チップの外側の領域を前記補強板によって支持した状態で、前記押圧部材によって前記半導体チップ上に圧力が掛けられることを特徴とする半導体装置の実装構造。
【請求項2】
請求項1記載の半導体装置の実装構造において、前記補強板は、枠状に形成されていることを特徴とする半導体装置の実装構造。
【請求項3】
請求項2記載の半導体装置の実装構造において、前記枠状の前記補強板の内周部の位置は、前記半導体チップの外側の領域に配置された前記複数のボール電極のうち前記半導体チップに最も近い位置のボール電極列に対応する位置であることを特徴とする半導体装置の実装構造。
【請求項4】
請求項1記載の半導体装置の実装構造において、前記補強板は、金属板であることを特徴とする半導体装置の実装構造。
【請求項5】
請求項1記載の半導体装置の実装構造において、前記実装基板と前記補強板との間に弾性部材が介在されていることを特徴とする半導体装置の実装構造。
【請求項6】
配線基板と前記配線基板上に搭載された半導体チップと前記配線基板の裏面に設けられた複数の外部接続用端子であるボール電極とを有し、かつ前記ボール電極が前記半導体チップの下部と外側の両方の領域に配置されて成る半導体装置の実装方法であって、
(a)前記半導体装置を実装基板に実装する工程と、
(b)前記半導体チップ上に所定の圧力を掛けて放熱部材を前記半導体チップ上に取り付ける工程と、
を有し、
前記(b)工程において、前記実装基板の下面の前記半導体チップの外側の領域に補強板が設けられた状態で前記半導体チップ上に圧力を掛けることを特徴とする半導体装置の実装方法。
【請求項7】
請求項6記載の半導体装置の実装方法において、前記半導体装置は、前記配線基板の前記裏面の全面にグリッド状に複数の前記ボール電極を備えていることを特徴とする半導体装置の実装方法。
【請求項8】
請求項6記載の半導体装置の実装方法において、前記半導体装置は、前記配線基板の前記裏面の中央部と外周部とに分けてそれぞれグリッド状に複数の前記ボール電極を備えていることを特徴とする半導体装置の実装方法。
【請求項9】
請求項6記載の半導体装置の実装方法において、前記補強板は、枠状を成していることを特徴とする半導体装置の実装方法。
【請求項10】
請求項9記載の半導体装置の実装方法において、前記枠状の前記補強板の内周部の位置は、前記半導体チップの外側の領域に配置された前記複数のボール電極のうち前記半導体チップに最も近い位置のボール電極列に対応する位置であることを特徴とする半導体装置の実装方法。
【請求項11】
請求項10記載の半導体装置の実装方法において、前記枠状の前記補強板の外周部の位置は、最外周のボール電極列に対応する位置であることを特徴とする半導体装置の実装方法。
【請求項12】
請求項6記載の半導体装置の実装方法において、前記補強板は、金属板であることを特徴とする半導体装置の実装方法。
【請求項13】
請求項6記載の半導体装置の実装方法において、前記実装基板と前記補強板との間に弾性部材を介在させることを特徴とする半導体装置の実装方法。
【請求項14】
請求項6記載の半導体装置の実装方法において、前記半導体チップは、前記配線基板にフリップチップ接続していることを特徴とする半導体装置の実装方法。
【請求項15】
請求項6記載の半導体装置の実装方法において、前記ボール電極は、はんだボールであることを特徴とする半導体装置の実装方法。
【請求項16】
請求項6記載の半導体装置の実装方法において、前記配線基板と前記放熱部材との間に複数の弾性体を設け、前記複数の弾性体を前記半導体チップの周囲に分散して配置することを特徴とする半導体装置の実装方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate

【図21】
image rotate

【図22】
image rotate

【図23】
image rotate

【図24】
image rotate

【図25】
image rotate

【図26】
image rotate


【公開番号】特開2011−198810(P2011−198810A)
【公開日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−60907(P2010−60907)
【出願日】平成22年3月17日(2010.3.17)
【出願人】(302062931)ルネサスエレクトロニクス株式会社 (8,021)
【Fターム(参考)】