説明

半導体装置の製造方法及び半導体装置

【課題】 電子回路領域の露光と、耐湿リング領域の露光とを、解像度の高い露光装置を用いて別々に行うと、露光装置の占有時間が長くなってしまう。
【解決手段】 半導体基板の上に絶縁膜を形成する。絶縁膜の上に、一方向に長い平面パターン部を含む第1の開口が形成された第1のレジストパターンを形成する。第1のレジストパターンをエッチングマスクとして、第1の開口の一方向に長い平面パターン部の幅方向の中央部に、堆積物が堆積する条件で、絶縁膜をエッチングすることによって、開口に対応する第1の溝を形成する。レジストパターンを除去した後、絶縁膜及び堆積物の上に導電部材を堆積させるとともに、第1の溝内を導電部材で埋め込む。堆積物が露出するまで、導電部材を研磨する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、絶縁膜内に導電部材が埋め込まれた構造を有する半導体装置の製造方法及び半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体ウエハのスクライブライン領域と、電子回路形成領域との間に、耐湿リングが配置される。耐湿リングは、半導体ウエハを複数の半導体チップに分離した後に、端面から半導体装置内部への水分の侵入を防止する目的で形成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−270720号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
半導体プロセスの微細化が進むに従い、電子回路領域に形成されたパターンと、耐湿リングのパターンとの線幅の差が大きくなっている。電子回路領域に形成される微細なパターンと、耐湿リングのように連続した長いパターンとを、同一の露光条件で形成することは困難である。
【0005】
また、半導体ウエハの分離時に、端部からチップ内部へのクラックの侵入を抑制するために、平面視において、耐湿リングを二重構造にすることが好ましい。耐湿リングを二重構造にするためには、一重構造の耐湿リングの形成に比べて、解像度の高い露光装置が必要になる。電子回路領域の露光と、耐湿リング領域の露光とを、解像度の高い露光装置を用いて別々に行うと、露光装置の占有時間が長くなってしまう。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一観点によると、
半導体基板の上に絶縁膜を形成する工程と、
前記絶縁膜の上に、一方向に長い平面パターン部を含む第1の開口が形成された第1のレジストパターンを形成する工程と、
前記第1のレジストパターンをエッチングマスクとして、前記第1の開口の一方向に長い平面パターン部の幅方向の中央部に、堆積物が堆積する条件で、前記絶縁膜をエッチングすることによって、該開口に対応する第1の溝を形成する工程と、
前記レジストパターンを除去した後、前記絶縁膜及び前記堆積物の上に導電部材を堆積させるとともに、前記第1の溝内を該導電部材で埋め込む工程と、
前記堆積物が露出するまで、前記導電部材を研磨する工程と
を有する半導体装置の製造方法が提供される。
【0007】
本発明の他の観点によると、
半導体基板の上に形成された絶縁膜と、
前記絶縁膜に形成され、一方向に長い平面パターン部を含む第1の溝と、
前記第1の溝の前記一方向に長い平面パターン部の幅方向の中央部に、該第1の溝の長さ方向に沿って形成され、前記絶縁膜とは異なる絶縁材料で形成された分離構造物と、
前記第1の溝内の、前記分離構造物の両側に埋め込まれた第1の導電部材と
を有する半導体装置が提供される。
【発明の効果】
【0008】
第1の溝内の導電部材が、堆積物によって幅方向に分離される。分離された導電部材の各々の幅は、第1の開口の幅よりも狭い。このため、導電部材の目標とする幅に比べて、解像度の低い露光装置を用いることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1−1】(1A)は、実施例による半導体装置の平面レイアウトを示す図であり、(1B)は、(1A)の一点鎖線1B−1Bにおける断面図である。
【図1−2】(1C)は、図1Bの一点鎖線1C−1Cにおける平断面図である。
【図2−1】(2A)〜(2C)は、実施例による半導体装置の製造方法の製造途中段階における装置の断面図である。
【図2−2】(2D)〜(2E)は、実施例による半導体装置の製造方法の製造途中段階における装置の断面図である。
【図2−3】(2F)〜(2G)は、実施例による半導体装置の製造方法の製造途中段階における装置の断面図である。
【図2−4】(2H)〜(2I)は、実施例による半導体装置の製造方法の製造途中段階における装置の断面図である。
【図2−5】(2J)〜(2K)は、実施例による半導体装置の製造方法の製造途中段階における装置の断面図である。
【図2−6】(2L)〜(2M)は、実施例による半導体装置の製造方法の製造途中段階における装置の断面図である。
【図2−7】(2N)〜(2O)は、実施例による半導体装置の製造方法の製造途中段階における装置の断面図である。
【図3】実施例で用いるエッチング装置の断面図である。
【図4】実際に製造した配線構造に形成された堆積物の電子顕微鏡写真である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1Aに、実施例による半導体装置の平面レイアウトを示す。半導体チップ10の外周線よりやや内側に、外周線に沿って耐湿リング領域11が画定されている。耐湿リング領域11の内側に、電子回路が形成される回路形成領域12が画定されている。
【0011】
図1Bに、図1Aの一点鎖線1B−1Bにおける断面図を示す。半導体基板20の上に、素子分離絶縁膜21が形成されている。素子分離絶縁膜21は、回路形成領域12(図1A)内に活性領域を画定する。素子分離絶縁膜21の上に、カバー膜22及び1層目の層間絶縁膜23が形成されている。カバー膜22には、例えば窒化シリコンが用いられ、層間絶縁膜23には、例えば酸化シリコンが用いられる。
【0012】
層間絶縁膜23及びカバー膜22に、その上面から素子分離絶縁膜21まで達する2本の溝25が形成され、その溝25内がビア層耐湿リング30で埋め込まれている。ビア層耐湿リング30は、図1Aに示した耐湿リング領域11内に配置され、回路形成領域12を二重に取り囲んでいる。ビア層耐湿リング30は、溝25の側面及び底面を覆うバリアメタル膜と、溝内に充填されたタングステン部材とを含む。バリアメタル膜は、例えばTi膜とTiN膜との2層を含む。
【0013】
層間絶縁膜23の上に、エッチング停止膜40及び2層目の層間絶縁膜41が形成されている。エッチング停止膜40には、例えばSiCが用いられ、層間絶縁膜41には、例えば酸化シリコン、SiOC、ポーラスシリカ等が用いられる。層間絶縁膜41の上面から、その下の層間絶縁膜23の上面まで達する溝42が形成されている。溝42は、耐湿リング領域11内に配置され、回路形成領域12を取り囲む。溝42は、正方形または長方形の半導体チップ10の4本の辺の各々に対応した一方向に長い直線状の平面パターン部を含む。平面視において、溝42は、2本のビア層耐湿リング30を内包する。
【0014】
溝42の幅方向に関して、溝42の底面のほぼ中央に、エッチング停止膜40が残っている。溝42の底面に残ったエッチング停止膜40の上に、分離構造物45が形成されている。分離構造物45は、溝42の長さ方向に延在し、平面視において、2本のビア層耐湿リング30の間に配置されている。分離構造物45は、層間絶縁膜41をエッチングする際に堆積したものであり、層間絶縁膜41とは異なる絶縁材料、例えばSiとFとを含む絶縁材料で形成されている。
【0015】
溝42内の、分離構造物45の両側に、配線層耐湿リング43が充填されている。配線層耐湿リング43は、溝42の内面及び分離構造物45の側面を覆うバリアメタル膜と、溝42内を埋め尽くす導電部材とを含む。バリアメタル膜は、例えばTi膜とTiN膜との2層を含む。導電部材には、例えば銅が用いられる。
【0016】
図1Cに、図1Bの一点鎖線1C−1Cにおける平断面図を示す。図1Cの一点鎖線1B−1Bにおける断面が、図1Bに相当する。半導体基板の外周に沿って、二重の配線層耐湿リング43が配置されている。配線層耐湿リング43を構成する2本のリングの間に、分離構造物45が配置されている。
【0017】
図1Bに戻って説明を続ける。層間絶縁膜41の上に、エッチング停止膜50及び3層目の層間絶縁膜51が形成されている。層間絶縁膜51の上面から、その下の層間絶縁膜41の上面まで達する溝52が形成されている。溝52は、その下の層間絶縁膜41に形成された溝42とほぼ重なるように配置される。
【0018】
溝52の幅方向に関して、溝52の底面のほぼ中央に、エッチング停止膜50が残っている。溝52の底面に残ったエッチング停止膜50の上に、分離構造物55が形成されている。分離構造物55は、その下の分離構造物45とほぼ重なる平面形状を有する。分離構造物55は、層間絶縁膜51をエッチングする際に堆積したものであり、層間絶縁膜51とは異なる絶縁材料、例えばSiとFとを含む絶縁材料で形成されている。
【0019】
溝52内の、分離構造物55の両側に、デュアルダマシン層耐湿リング53が充填されている。デュアルダマシン層耐湿リング53は、溝52の内面及び分離構造物55の側面を覆うバリアメタル膜と、溝45内を埋め尽くす導電部材とを含む。バリアメタル膜は、例えばTi膜とTiN膜との2層を含む。導電部材には、例えば銅が用いられる。
【0020】
層間絶縁膜51の上に、複数の配線層が形成されている。各配線層は、エッチング停止膜50及び層間絶縁膜51が配置された層と同様の構成を有する。これら複数の配線層にも、デュアルダマシン層耐湿リング53と同じ構造の耐湿リングが形成されている。
【0021】
複数の配線層の上に、エッチング停止膜60及び最上層の層間絶縁膜61が形成されている。層間絶縁膜61の上面から、エッチング停止膜60の底面まで達する2本の溝62が形成されている。2本の溝62は、1層目の2本の溝25とほぼ重なるように配置される。溝62内が、ビア層耐湿リング65で埋め込まれている。ビア層耐湿リング65は、溝62の内面を覆うバリアメタル膜と、溝62内を埋め尽くす導電部材を含む。バリアメタル膜は、例えばTi膜とTiN膜との2層を含む。導電部材には、銅が用いられる。
【0022】
層間絶縁膜61の上に、パッド層耐湿リング70が形成されている。パッド層耐湿リング70は、例えばTi膜、TiN膜、Al膜、Ti膜、及びTiN膜がこの順番に積層された積層構造を有する。パッド層耐湿リング70は、耐湿リング領域11(図1A)に沿って配置され、回路形成領域12を取り囲んでいる。パッド層耐湿リング70及び層間絶縁膜61の上に、保護膜71が形成されている。
【0023】
図2A〜図2Oを参照して、実施例による半導体装置の製造方法について説明する。図2A〜図2Oにおいては、各々の図の左側に耐湿リング領域11の断面図を示し、右側に、回路形成領域12の断面図を示す。
【0024】
図2Aに示すように、半導体基板20の表層部に、素子分離絶縁膜21を形成する。素子分離絶縁膜21は、回路形成領域12内に複数の活性領域を画定する。素子分離絶縁膜21の形成には、例えばシャロートレンチアイソレーション(STI)法が適用される。活性領域内に、MOSトランジスタ24を形成する。
【0025】
MOSトランジスタ24を覆うように、半導体基板20の上に、カバー膜22を形成する。カバー膜22には、例えば窒化シリコンが用いられる。カバー膜22の上に、1層目の層間絶縁膜23を形成する。層間絶縁膜23には、例えば酸化シリコンが用いられる。層間絶縁膜23を形成した後、その表面の平坦化を行う。
【0026】
層間絶縁膜23の表面を平坦化した後、その上面からカバー膜22の底面まで達する複数のビアホール26及び2本の溝25を形成する。ビアホール26は、例えばMOSトランジスタ24のソース及びドレインに対応する位置に配置される。2本の溝25の各々は、図1Aに示した耐湿リング11に沿い、回路形成領域12を二重に取り囲む。
【0027】
ビアホール26及び溝25内に、それぞれ導電プラグ32及びビア層耐湿リング30を充填する。導電プラグ32は、ビアホール26の内面を覆うバリアメタル膜と、ビアホール26内を埋め尽くすタングステン部材とを含む。ビア層耐湿リング30は、溝25の内面を覆うバリアメタル膜と、溝25内を埋め尽くすタングステン部材とを含む。
【0028】
図2Bに示すように、層間絶縁膜23の上に、エッチング停止膜40を形成する。エッチング停止膜40には、例えばSiCが用いられる。エッチング停止膜40の上に、2層目の層間絶縁膜41を形成する。層間絶縁膜41には、例えば酸化シリコンが用いられる。
【0029】
層間絶縁膜41の上に、レジスト膜90を形成する。レジスト膜90を露光及び現像することにより、開口90Aを形成する。開口90Aは、回路形成領域12内に形成される配線のパターンに対応する。レジスト膜90の露光には、例えば波長193nmのArFエキシマレーザ露光装置が用いられる。耐湿リング領域11は、全面がレジスト膜90で覆われている。
【0030】
図2Cに示すように、レジスト膜90をエッチングマスクとして、層間絶縁膜41をエッチングすることにより、配線溝(凹部)41Aを形成する。層間絶縁膜41のエッチングには、ドライエッチングが適用され、エッチングガスとして、例えばC、Ar、及びOの混合ガスが用いられる。さらに、配線溝41Aの底面に露出したエッチング停止膜40を除去する。これにより、配線溝41Aの底面に、導電プラグ32の上面が露出する。配線溝41Aを形成した後、レジスト膜90を除去する。
【0031】
図3に、エッチング装置の断面図を示す。上方に開口部を有するチャンバ100内に、ステージ101が装填されている。ステージ101の上面に静電チャック102が取り付けられている。真空チャック102の外側に、真空チャック102を取り囲むように、石英のシャドーリング103が配置されている。静電チャック102の外周近傍の上面、及びシャドーリング103の内周側の上面に、シリコンリング104が配置されている。静電チャック102の上に、処理対象の半導体ウエハ120が載置される。
【0032】
チャンバ100の上方の開口部が、アナダイズド電極110で塞がれる。チャンバ100とアナダイズド電極110との間の隙間は、Oリングで気密性が保たれる。アナダイズド電極110の上に、蓋111が配置される。蓋111のほぼ中央に、厚さ方向に貫通する貫通孔が形成されている。蓋111に形成された貫通孔に、ガスライン115が連結されている。蓋111とアナダイズド電極110との間に、間隙が確保されている。この間隙は、両者の間に配置されたOリングにより気密性が確保されている。
【0033】
ガスライン115から、蓋111に形成された貫通孔を通して、蓋111とアナダイズド電極110との間の間隙内に、エッチングガスが供給される。このエッチングガスは、アナダイズド電極110に取り付けられたガスインジェクタ112から、チャンバ100内に供給される。チャンバ100内に供給されたエッチングガス、及び反応生成物が、排気口108から排気される。
【0034】
チャンバ100の側方に、チャンバ100を取り囲むようにコイル118が配置されている。コイル118に磁場発生用の電流を流すことにより、チャンバ100内に、プラズマ119を発生させることができる。高周波電源107が、キャパシタを介して、ステージ101に高周波バイアスを印加する。
【0035】
層間絶縁膜41のエッチング条件は、例えば下記の通りである。
・圧力 30Pa
・プラズマ発生用高周波電力 3000W
・磁場電流 2A
・C流量 30sccm
・Ar流量 400sccm
・O流量 20sccm
図2Dに示すように、レジスト膜90(図2C)を除去した後、層間絶縁膜41の上に、他のレジスト膜91を形成する。レジスト膜91を露光及び現像することにより、開口91Aを形成する。開口91Aは、耐湿リング領域11内に配置され、回路形成領域12を取り囲む平面形状を有する。レジスト膜91の露光には、図2Bに示したレジスト膜90の露光に用いた露光装置よりも解像度の低いもの、例えばi線露光装置が用いられる。回路形成領域12は、全面がレジスト膜91で覆われている。
【0036】
図2Eに示すように、レジスト膜91をエッチングマスクとして、層間絶縁膜41をエッチングすることにより、溝42を形成する。層間絶縁膜41のエッチングには、図3に示したエッチング装置が用いられる。エッチング条件は、例えば下記の通りである。
・圧力 2.7〜20Pa(20〜150mTorr)
・プラズマ発生用高周波電力 1500〜4500W
・磁場電流 2A
・C流量 40〜300sccm
・Ar流量 500〜1500sccm
・O流量 50〜250sccm
上述の条件でエッチングを行うと、溝42の底面の、幅方向のほぼ中央に、堆積物45が堆積する。堆積物45は、SiとFとを含む。
【0037】
堆積物45が堆積する条件は、用いるエッチング装置によって異なるであろう。種々のエッチング条件でエッチングを行ったところ、Cの流量を増やすと、堆積物45が堆積しやすいことがわかった。Cの流量を変えてエッチングを行うことにより、堆積物45が形成されるエッチング条件を見出すことができる。一例として、溝42を形成するときのCの流量は、配線溝41Aを形成するときのCの流量よりも多い。
【0038】
図4に、堆積物が形成された凹部の電子顕微鏡写真を示す。図4の暗い領域は層間絶縁膜であり、明るい領域は、Cu部材である。図4の下側1/4の領域に、右端から左に向かって延びるCu配線が観察される。このCu配線の左端の上に、Cuの埋込部材が観察される。Cuの埋込部材と下層のCu配線との界面から上方に向かって、二等辺三角形状のやや暗い領域が観察される。この領域が、凹部形成時に堆積した堆積物である。
【0039】
図2Eに戻って説明を続ける。層間絶縁膜41をエッチングした後、溝42の底面に現れたエッチング停止膜40を除去する。エッチング停止膜40のエッチングは、例えば、下記の条件で行われる。
・圧力 15Pa
・プラズマ発生用高周波電力 200W
・磁場電流 2A
・CHF流量 20sccm
・N流量 50sccm
・O流量 10sccm
エッチング停止膜40を除去することにより、溝42の底面に、ビア層耐湿リング30の上面が露出する。ビア層耐湿リング30の上面を露出させた後、レジスト膜91を除去する。
【0040】
図2Fに示すように、配線溝41Aの内面、溝42の内面、堆積物45の表面、及び層間絶縁膜41の上面を、バリアメタル膜43Aで覆う。バリアメタル膜43Aは、例えばTi膜とTiN膜との2層を含む。バリアメタル膜43Aの上に、Cu等の導電膜43Bを堆積させる。導電膜43Bは、配線溝41A及び溝42内を埋め尽くす。バリアメタル膜43Aの形成には、例えばスパッタリングまたは化学気相成長(CVD)が適用される。導電膜43Bの堆積には、例えば電解めっきが適用される。
【0041】
図2Gに示すように、層間絶縁膜41が露出するまで、導電膜43B及びバリアメタル膜43Aに化学機械研磨(CMP)を施す。この時点で、堆積物45はまだ露出していない。
【0042】
図2Hに示すように、堆積物45の上端が露出するまで、層間絶縁膜41、導電膜43B、及びバリアメタル膜43Aに、さらにCMPを施す。溝42内に、バリアメタル膜43A及び導電膜43Bを含む配線層耐湿リング43が残る。配線溝41A内には、バリアメタル膜43A及び導電膜43Bを含む配線43Wが残る。溝42内の配線層耐湿リング43は、堆積物45により幅方向に分離される。本明細書において、堆積物45を、分離構造物45という場合がある。
【0043】
図2Iに示すように、層間絶縁膜41の上に、エッチング停止膜50を形成する。エッチング停止膜50には、例えばSiCが用いられる。エッチング停止膜50の上に、層間絶縁膜51を形成する。層間絶縁膜51には、例えば酸化シリコン、または酸化シリコンよりも誘電率の低い所謂Low−k材料等が用いられる。
【0044】
回路形成領域12内の層間絶縁膜51に、配線溝51B及びビアホール51Aを形成する。配線溝51Bは、層間絶縁膜51の上層部分に形成され、ビアホール51Aは、配線溝51Bの底面よりも下層の部分に形成される。配線溝51B及びビアホール51Aの形成には、例えばデュアルダマシン法による凹部の形成方法が適用される。ビアホール51Aの底面に露出したエッチング停止膜50を除去する。
【0045】
図2Jに示すように、層間絶縁膜51の上にレジスト膜92を形成する。レジスト膜92は、ビアホール51A及び配線溝51B内に充填される。耐湿リング領域11内のレジスト膜92に、開口92Aを形成する。開口92Aは、層間絶縁膜41に形成された溝42にほぼ重なる。開口92Aを形成するときの露光装置は、回路形成領域12内のビアホール51A及び配線溝51Bを形成するときの露光装置よりも、解像度の低いものを用いる。
【0046】
図2Kに示すように、レジスト膜92をエッチングマスクとして層間絶縁膜51をエッチングすることにより、溝52を形成する。このとき、溝52の底面の、幅方向の中央部に、堆積物55が堆積する条件でエッチングを行う。エッチング条件として、例えば図2Eに示した溝42を形成するときのエッチング条件を適用することができる。溝52の底面のうち、堆積物55が形成されない領域に、エッチング停止膜50が露出する。
【0047】
図2Lに示すように、溝52の底面に露出しているエッチング停止膜50を除去する。これにより、溝52の底面に、配線層耐湿リング43が露出する。
【0048】
図2Mに示すように、ビアホール51A、配線溝51B、及び溝52の内面、堆積物55の表面、及び層間絶縁膜51の上面を、バリアメタル膜53Aで覆う。バリアメタル膜53Aの上に、Cuからなる導電膜53Bを堆積させる。導電膜53Bは、ビアホール51A、配線溝51B、及び溝52内を埋め尽くす。バリアメタル膜53A及び導電膜53Bは、それぞれ図2Fに示したバリアメタル膜43A及び導電膜43Bと同じ方法で形成される。
【0049】
図2Nに示すように、層間絶縁膜51が露出するまで、導電膜53B及びバリアメタル膜53AにCMPを施す。この時点では、堆積物55は露出していない。
【0050】
図2Oに示すように、堆積物55が露出するまで、さらにCMPを進める。溝52内に、バリアメタル膜53Aと導電膜53Bとを含むデュアルダマシン層耐湿リング53が残る。デュアルダマシン層耐湿リング53は、堆積物55により、幅方向に2つに分離されている。ビアホール51A及び配線溝51B内に、バリアメタル膜53A及び導電膜53Bを含むデュアルダマシン構造の配線53Wが残る。
【0051】
回路形成領域12内に形成された配線溝51Bとビアホール51Aとからなる凹部は、厚さ方向の途中に段差を有する。これに対し、耐湿リング領域11内に形成された凹部52は、その上面から底面まで段差を持たない。
【0052】
同様の工程(図2I〜図2O)を繰り返すことにより、図1Bに示した層間絶縁膜51よりも上の多層配線層を形成する。
【0053】
上記実施例では、図2E及び図2Kに示したように、層間絶縁膜41、51のエッチング時に、溝42、52内に、それぞれ堆積物42、52が形成される。これにより、図2H及び図2Oに示したように、配線層耐湿リング43及びデュアルダマシン層耐湿リング53を2重構造にすることができる。2重構造の耐湿リングを構成している各リングの幅は、1回の露光で解像されるパターン91A(図2D)、92A(図2J)よりも細い。従って各リングの幅を、露光装置の解像限界よりも細くすることができる。言い換えると、耐湿リングの形成に、解像度の低い露光装置を適用することが可能になる。
【0054】
回路形成領域12内の微細なパターンの形成に、例えば、相対的に解像度の高いArFエキシマレーザ露光装置等を用いる場合に、耐湿リングの形成には、解像度が相対的に低いi線露光装置等を用いることができる。これにより、耐湿リング形成時の露光と、回路形成領域12内の微細パターン形成時の露光とを別々に行うことにより生じる製造コストの上昇を抑制することができる。
【0055】
上記実施例による耐湿リングの形成は、図2B〜図2Hに示したシングルダマシン法によって配線を形成する層41、及び図2I〜図2Oに示したデュアルダマシン法によって配線を形成する層51のいずれにも適用することができる。
【0056】
以上実施例に沿って本発明を説明したが、本発明はこれらに制限されるものではない。例えば、種々の変更、改良、組み合わせ等が可能なことは当業者に自明であろう。
【0057】
以上の実施例を含む実施形態に関し、更に以下の付記を開示する。
【0058】
(付記1)
半導体基板の上に絶縁膜を形成する工程と、
前記絶縁膜の上に、一方向に長い平面パターン部を含む第1の開口が形成された第1のレジストパターンを形成する工程と、
前記第1のレジストパターンをエッチングマスクとして、前記第1の開口の一方向に長い平面パターン部の幅方向の中央部に、堆積物が堆積する条件で、前記絶縁膜をエッチングすることによって、該開口に対応する第1の溝を形成する工程と、
前記レジストパターンを除去した後、前記絶縁膜及び前記堆積物の上に導電部材を堆積させるとともに、前記第1の溝内を該導電部材で埋め込む工程と、
前記堆積物が露出するまで、前記導電部材を研磨する工程と
を有する半導体装置の製造方法。
【0059】
(付記2)
前記半導体基板の表面に、電子回路が形成された電子回路形成領域と、該電子回路形成領域を取り囲む耐湿リング領域とが画定されており、
前記第1の開口は、前記耐湿リング領域に配置されており、
前記第1の溝内に充填された前記導電部材が、耐湿リングとなる付記1に記載の半導体装置の製造方法。
【0060】
(付記3)
前記導電部材を堆積させる前に、さらに、
前記絶縁膜の上に、前記電気回路形成領域内に開口を有する第2のレジストパターンを形成する工程と、
前記第2のレジストパターンをエッチングマスクとして、前記絶縁膜をエッチングすることにより、凹部を形成する工程と、
前記第2のレジストパターンを除去する工程と
を含み、
前記第2のレジストパターンを形成する工程が、第1の露光装置を用いて第2のレジスト膜を露光する工程を含み、
前記第1のレジストパターンを形成する工程が、前記第1の露光装置よりも解像度の低い第2の露光装置を用いて第1のレジスト膜を露光する工程を含み、
前記導電部材を堆積させる工程において、前記凹部内も前記導電部材で埋め込む付記2に記載の半導体装置の製造方法。
【0061】
(付記4)
前記第1の溝を形成する工程において、C及びOを含むガスを用いて前記絶縁膜をドライエッチングする付記1乃至3のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法。
【0062】
(付記5)
半導体基板の上に形成された絶縁膜と、
前記絶縁膜に形成され、一方向に長い平面パターン部を含む第1の溝と、
前記第1の溝の前記一方向に長い平面パターン部の幅方向の中央部に、該第1の溝の長さ方向に沿って形成され、前記絶縁膜とは異なる絶縁材料で形成された分離構造物と、
前記第1の溝内の、前記分離構造物の両側に埋め込まれた第1の導電部材と
を有する半導体装置。
【0063】
(付記6)
前記半導体基板の表面に、トランジスタを含む電子回路が形成されており、前記第1の溝は、前記電子回路が形成された電子回路形成領域を取り囲む平面パターンを有する付記5に記載の半導体装置。
【0064】
(付記7)
前記絶縁膜の、前記電子回路形成領域内に凹部が形成されており、
前記凹部内は、前記第1の導電部材と同じ導電材料からなる第2の導電部材で埋め込まれている付記6に記載の半導体装置。
【0065】
(付記8)
前記凹部は、前記絶縁膜の上層部分に形成された配線溝と、該配線溝よりも下層の部分に形成されたビアホールとを含み、前記第2の導電部材は、前記配線溝と前記ビアホール内とが同一の成膜工程で形成されたデュアルダマシン構造を有し、
前記第1の溝は、前記絶縁膜の上面から底面まで段差を持たない形状を有している付記7に記載の半導体装置。
【0066】
(付記9)
前記分離構造物は、Si及びFを含む付記5乃至8のいずれか1項に記載の半導体装置。
【符号の説明】
【0067】
20 半導体基板
21 素子分離絶縁膜
22 カバー膜
23 層間絶縁膜
24 MOSトランジスタ
25 溝
26 ビアホール
30 ビア層耐湿リング
32 導電プラグ
40 エッチング停止膜
41 層間絶縁膜
41A 配線溝(凹部)
42 溝
43 配線層耐湿リング
43A バリアメタル膜
43B 導電部材
43W 配線
45 分離構造物(堆積物)
50 エッチング停止膜
51 層間絶縁膜
51A ビアホール
51B 配線溝
52 溝
53 デュアルダマシン層耐湿リング
53A バリアメタル膜
53B 導電膜
55 分離構造物(堆積物)
60 エッチング停止膜
61 層間絶縁膜
62 溝
70 パッド層耐湿リング
71 保護膜
90 レジスト膜
90A 開口
91 レジスト膜
91A 開口
92 レジスト膜
92A 開口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体基板の上に絶縁膜を形成する工程と、
前記絶縁膜の上に、一方向に長い平面パターン部を含む第1の開口が形成された第1のレジストパターンを形成する工程と、
前記第1のレジストパターンをエッチングマスクとして、前記第1の開口の一方向に長い平面パターン部の幅方向の中央部に、堆積物が堆積する条件で、前記絶縁膜をエッチングすることによって、該開口に対応する第1の溝を形成する工程と、
前記レジストパターンを除去した後、前記絶縁膜及び前記堆積物の上に導電部材を堆積させるとともに、前記第1の溝内を該導電部材で埋め込む工程と、
前記堆積物が露出するまで、前記導電部材を研磨する工程と
を有する半導体装置の製造方法。
【請求項2】
前記半導体基板の表面に、電子回路が形成された電子回路形成領域と、該電子回路形成領域を取り囲む耐湿リング領域とが画定されており、
前記第1の開口は、前記耐湿リング領域に配置されており、
前記第1の溝内に充填された前記導電部材が、耐湿リングとなる請求項1に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項3】
前記導電部材を堆積させる前に、さらに、
前記絶縁膜の上に、前記電気回路形成領域内に開口を有する第2のレジストパターンを形成する工程と、
前記第2のレジストパターンをエッチングマスクとして、前記絶縁膜をエッチングすることにより、凹部を形成する工程と、
前記第2のレジストパターンを除去する工程と
を含み、
前記第2のレジストパターンを形成する工程が、第1の露光装置を用いて第2のレジスト膜を露光する工程を含み、
前記第1のレジストパターンを形成する工程が、前記第1の露光装置よりも解像度の低い第2の露光装置を用いて第1のレジスト膜を露光する工程を含み、
前記導電部材を堆積させる工程において、前記凹部内も前記導電部材で埋め込む請求項2に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項4】
前記第1の溝を形成する工程において、C及びOを含むガスを用いて前記絶縁膜をドライエッチングする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項5】
半導体基板の上に形成された絶縁膜と、
前記絶縁膜に形成され、一方向に長い平面パターン部を含む第1の溝と、
前記第1の溝の前記一方向に長い平面パターン部の幅方向の中央部に、該第1の溝の長さ方向に沿って形成され、前記絶縁膜とは異なる絶縁材料で形成された分離構造物と、
前記第1の溝内の、前記分離構造物の両側に埋め込まれた第1の導電部材と
を有する半導体装置。

【図1−1】
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【図1−2】
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【図2−1】
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【図2−2】
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【図2−3】
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【図2−4】
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【図2−5】
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【図2−6】
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【図2−7】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−49214(P2011−49214A)
【公開日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−194133(P2009−194133)
【出願日】平成21年8月25日(2009.8.25)
【出願人】(308014341)富士通セミコンダクター株式会社 (2,507)
【Fターム(参考)】