説明

半導体装置の製造方法及び製造装置

【課題】めっき処理した半導体基板をめっき液除去および洗浄する際の異物付着を抑えることができる半導体装置の製造方法および製造装置を提供する。
【解決手段】ウェーハW(半導体基板)をめっき処理槽1内のめっき液13に浸漬して金属膜を形成する工程と、金属膜が形成されたウェーハWをめっき液13の上方のめっき処理槽1内で純水の噴射および回転を付与してウェーハ表面のめっき液を除去する工程とを含んだ半導体装置の製造方法において、ウェーハ表面のめっき液を除去する工程でさらにウェーハWを振動させる。ウェーハWを振動させることでめっき液を振り落とすので、回転のみで液切りする場合に比べて外方へ飛散するめっき液量を抑え、槽の側壁へのめっき液やそれから生じる異物(結晶)の付着、その異物のウェーハWへの再付着を抑えることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体基板(以下ウェーハと称する)に配線用金属膜をめっきして形成される半導体装置の製造方法及び製造装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、半導体製造の微細化に伴い、配線材料にアルミニウム(Al)に代えて銅(Cu)が用いられるようになった。CuはAlのようなドライエッチングによる加工が困難であるため、ウェーハ上の絶縁膜に溝や孔を形成し、PVD法等でCuのバリア膜、極薄膜を堆積形成し、前記溝や孔の中に電解めっき処理でCu膜を埋め込み、堆積した後、その堆積膜をCMP法(化学的機械的研磨法)で研磨して平坦化することで、配線を形成している。
【0003】
図5および図6はそれぞれ、ウェーハ表面を電解めっき処理する代表的なめっき処理装置の構成を側方、上方から示している。めっき処理装置は、ウェーハWのめっき処理を行うめっき処理槽1と、めっき処理後のウェーハW表面を洗浄および乾燥する洗浄槽2と、めっき処理前のウェーハWを待機させるウェーハロード部3と、洗浄および乾燥後のウェーハWを収納するウェーハアンロード部4と、ウェーハWを上記のいずれかの位置に搬送するウェーハ搬送装置5とを備えている。
【0004】
めっき処理に際しては、まず、ウェーハロード部3のウェーハWをウェーハ搬送装置5の搬送アーム6により吸着してめっき処理槽1に移送し、めっき処理槽1の直上に配置されたカソード電極7上にウェーハ表面(めっき対象面)を下向きにして載せ、固定する。
【0005】
次に、ウェーハWをカソード電極7と一体に回転させ、カソード電極7とアノード電極11との間に電圧を印加し、その状態でめっき液13中に位置h1まで浸漬してめっき膜を形成し、所定時間後に電圧印加を停止する。そしてめっき膜が形成されたウェーハWを、回転させながらめっき処理槽1内の位置h2まで上昇させ、回転数を増加させて液切りし、その状態で位置h3まで上昇させ、所定の回転数を確認した後に純水供給ノズル14より図7に示すように扇状に純水を数秒間噴射して、ウェーハ表面およびカソード電極7の表面に残留しているめっき液を除去し、回転数を増加させて水(液)切りを行う。
【0006】
次に、ウェーハWをめっき処理槽1の上方の位置h0まで上昇させ、回転を停止した後、搬送アーム6により洗浄槽2に移送し、洗浄槽2内に配置されたウェーハ支持台16にウェーハ表面を上向きにして載せる。そしてウェーハWをウェーハ支持台16と一体に回転させながら純水供給配管19より純水を数十秒供給して洗浄し、純水供給の停止後に回転数を増加させて水切りおよび乾燥を行う。乾燥後のウェーハWを搬送アーム6によりウェーハアンロード部4へ移送し、収納する。これにより、一連のめっき処理が終了する。
【0007】
洗浄槽2のウェーハ支持台16は、図8にも示すように、モータ17により回転する回転軸161から放射状に延びた3本の支持アーム162と、各支持アーム162の端部に取り付けられたウェーハチャック18とを有している。
【0008】
図9(a)、(b)、(c)はそれぞれ、ウェーハチャック18を上から、X方向に、Y方向に示した図である。図10はウェーハチャック18の動作を示す。ウェーハチャック18は、概ね三角柱形状で、平坦な支持面が上を向き、三角形の面が回転方向を向くように1つのコーナー部において接続ピン181により支持アーム162に取り付けられており、またこの状態における支持面の外周部に凸状の押え部182が形成され、下部に錘183を内蔵している。これにより、ウェーハ支持台16の回転時の遠心力で錘183が外向きの力を受けるに伴って、ウェーハチャック18が接続ピン181を支点として揺動し、押え部182がウェーハWのエッジ部分をチャック(固定)する。
【特許文献1】特開2006−40908号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、上記しためっき処理装置では、めっき処理槽1内の位置h2でウェーハWを回転させてめっき液の液切りを行う際に、遠心力で飛散した液滴が側壁に衝突し、一部がウェーハ表面に戻る。このめっき処理槽1の側壁には、先に衝突しためっき液より水分が蒸発して残った結晶物が多数付着しているため、この結晶物が液滴の跳ね返りと共に運ばれ、ウェーハ表面にパーティクルとして付着してしまう。
【0010】
またこのめっき液の液切りの後に、めっき処理槽1内の位置h3でウェーハWを回転させながら純水を数秒間噴射して、残存めっき液の洗い流しおよび水切りを行なう際にも、位置h2での液切りの際と同様に、側壁に付着した結晶物がウェーハ表面にパーティクルとして付着してしまう。付着したパーティクルは、ウェーハWの移送先の洗浄槽2での洗浄処理で一部は除去されるが、全ての除去は難しい。
【0011】
一方、洗浄槽2においても、ウェーハチャック18がその三角形の面が回転方向を向くように支持アーム162に取り付けられているため、つまり回転方向を向いているのが当該回転方向に対して垂直方向の平面であるため、水切りのための高速回転時に乱流が発生し、洗浄槽2の側壁に付着した汚れを含む水滴の一部が散乱され、ウェーハ表面に付着してしまう。
【0012】
このようにめっき処理槽1,洗浄槽2でパーティクルや汚れが表面に付着したウェーハWが次処理工程のCMP処理装置に搬送され、ウェーハ表面の研磨が行われると、付着パーティクルを原因とするスクラッチ欠陥が発生し、歩留まりの低下を招くという問題がある。
【0013】
本発明は上記問題を解決するもので、半導体基板のめっき液除去や洗浄の際の異物付着を抑えることができる半導体装置の製造方法および製造装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記課題を解決するために、本発明の半導体装置の製造方法は、半導体基板をめっき液に浸漬して金属膜を形成する工程と、前記金属膜が形成された半導体基板を前記めっき液の外部の処理槽内に取り出し、純水の噴射および回転を付与して、前記半導体基板に付着しためっき液を除去する工程とを含んだ半導体装置の製造方法において、前記めっき液を除去する工程でさらに前記半導体基板を振動させることを特徴とする。
【0015】
半導体基板を振動させることでめっき液を振り落とすので、半導体基板の回転のみで液切りする場合に比べて外方へ飛散するめっき液量を抑えることができ、この際に半導体基板を囲む処理槽の側壁にめっき液やそれから生じる異物(結晶)が付着すること、その異物が半導体基板に再付着することを抑えることができる。
【0016】
めっき液を除去する工程において、純水の噴射の前後で半導体基板を振動させてもよい。まためっき液を除去する工程において、半導体基板を振動させながらさらに回転させてもよい。半導体基板を純水の噴射の前後で振動させながら回転させる回転速度は、前記半導体基板を純水を噴射しながら且つ振動させながら回転させる回転速度よりも遅いのが好ましい。
【0017】
めっき液を除去する工程において、半導体基板への純水の噴射は複数の箇所から行うのが好ましい。めっき液が除去された半導体基板を洗浄槽内に移送して純水により洗浄する工程をさらに含むことができる。
【0018】
本発明の半導体装置の製造装置は、半導体基板に金属膜を形成するめっき処理を行うめっき処理部と、前記めっき処理部より移送された半導体基板を洗浄する洗浄部とを備え、前記めっき処理部は、めっき液を入れためっき処理槽と、前記めっき液に対して半導体基板の浸漬および取り出しを行なう昇降機構と、前記半導体基板を回転させる回転機構と、前記めっき液から取り出された半導体基板に純水を噴射する機構と、前記めっき液から取り出された半導体基板にその表面に付着しためっき液を除去する振動を付与する機構とを有することを特徴とする。
【0019】
洗浄部は、半導体基板を支持する支持台を内部に設置した洗浄槽と、前記半導体基板に純水を供給する機構とを有しており、前記支持台は回転自在であって半導体基板を押えるチャック部を有しており、前記チャック部は前記支持台の回転方向を向いた側面が凸状の曲面であるのが好ましい。チャック部は支持台の回転方向に沿う側面がその下端に近づくほど大きく湾曲した凸状の曲面であるのが好ましい。凸状の曲面であることにより、水切りのための高速回転時にも乱流は発生しにくく、洗浄槽の側壁に付着した汚れを含む水滴の散乱、ウェーハ表面への付着を抑えることができるからである。
【発明の効果】
【0020】
本発明の半導体装置の製造方法および製造装置は、半導体基板を振動させることでめっき液を振り落とすので、半導体基板の回転のみで液切りする場合に比べて外方へ飛散するめっき液量を抑えることができ、めっき処理槽(液切りのために別途に設けた処理槽であってもよい)の側壁にめっき液に起因する異物(結晶)が付着すること、その異物が半導体基板に再付着することを抑えることができる。このようにめっき処理槽での異物付着が抑えられることから、洗浄槽での異物付着も抑えることができる。半導体基板を振動させながら回転(めっき液が周囲に飛び散らない程度の低速回転)させる場合は、液(水)切りの効果の増大、時間の短縮も図ることができる。
【0021】
さらに、洗浄槽内で半導体基板を支持台に固定するチャック部の側面を凸状の曲面とすることにより、水切りのための高速回転時にも乱流は発生しにくく、洗浄槽の側壁に付着した汚れを含む水滴の散乱、ウェーハ表面への付着を抑えることができる。
【0022】
したがって、次工程であるCMP処理装置にクリーンな状態で半導体基板を持ち込むことができ、前記異物に起因するスクラッチ欠陥の発生を防止し、半導体装置の歩留まりの向上が図れる。各槽の側壁のクリーニングによる設備停止時間も削減でき、生産性の向上も図れる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照しながら説明する。
図1は本発明の一実施形態のめっき処理装置の概略構成を示す。このめっき処理装置はウェーハ表面に配線用の銅膜を成長させるめっき処理装置であるとして説明する。
【0024】
このめっき処理装置は、ウェーハWのめっき処理を行うめっき処理槽1と、めっき処理後のウェーハW表面を洗浄および乾燥する洗浄槽2と、めっき処理前のウェーハWを待機させるウェーハロード部3と、洗浄および乾燥後のウェーハWを収納するウェーハアンロード部4と、ウェーハWを上記のいずれかの位置に搬送するウェーハ搬送装置5とを備えている。
【0025】
ウェーハ搬送装置5は、ウェーハWを保持する搬送アーム6と、搬送アーム6をXYZ方向およびZ軸廻りに移動させる移動機構1aと、ウェーハWの表面(めっき対象面)を下向き、上向きにするように搬送アーム6を回転させる反転用モータ1bとを有している。
【0026】
めっき処理槽1は、内部に、銅を主成分とするアノード電極11が設置され、硫酸銅を主成分とするめっき液13が溜められている。そしてめっき処理槽1の近傍に配置されたリフター12に、ウェーハWに電圧を伝達するためのカソード電極7と、カソード電極7上に載せられたウェーハWを固定するためのウェーハおさえ8と、ウェーハおさえ8を昇降させるエアシリンダ9と、これらを一体的に回転させるモータ10とが取付けられていて、このリフター12によって、モータ10を含む全ての部材が一体的に、槽外のウェーハ搬送位置h0と槽内の位置h1,h2,h3とにわたって昇降される。めっき処理槽1にはまた、槽内に向けて純水を噴射する純水供給ノズル14が設置されている。純水供給ノズル14の位置はめっき液13外となる位置h3の近傍である。
【0027】
洗浄槽2には、ウェーハWを設置するためのウェーハ支持台16が内部に設けられており、ウェーハ支持台16上のウェーハWに向けて純水を供給する純水供給配管19と、ウェーハ支持台を回転させるモータ17とが設置されている。ウェーハ支持台16はウェーハWを固定するウェーハチャック18を有している。
【0028】
このめっき処理装置が従来のものと異なるのは、ウェーハWおよびそれを載せたカソード電極7を20〜50kHz程度で振動させる振動子21が設けられている点である。ここでは振動子21は、ウェーハおさえ8に下向きに開口するように形成された凹部内にその周囲部分と面一となるように配置されている。洗浄槽2のウェーハ支持台16に設けられたウェーハチャック18の形状も従来のものと異なっている。このことについては後述する。
【0029】
上記のめっき処理装置におけるめっき処理について説明する。
まず、ウェーハロード部3に表面を上にして設置されているウェーハWを、ウェーハ搬送装置5の搬送アーム6により裏面を吸着して取り出し、搬送アーム6を反転用モータ1bで回転させることで表裏反転させたうえでめっき処理槽1へと移送し、めっき処理槽1直上に配置されたカソード電極7上にウェーハ表面を下向きにして載せ、エアシリンダ9により下降させるウェーハおさえ8で固定する。
【0030】
次に、カソード電極7とウェーハW(実際にはウェーハおさえ8,エアシリンダ9も)をモータ10によって所定の回転数で回転させ、またアノード電極11とカソード電極7との間に電圧を印加し、その状態でリフター12を下降動作させて、ウェーハWをめっき液13中に位置h1まで浸漬し、所望の膜厚になるよう予め設定した時間の後に電圧印加を停止するまでめっき銅膜を形成する。
【0031】
次に、リフター12を上昇動作させてウェーハWを槽内の位置h1に配置し、続いて振動子21を動作させて、ウェーハWとカソード電極7とを20〜50kHz程度の周波数で振動させる液切りを行う。このとき、ウェーハWとカソード電極7は、回転を停止するか、あるいはこれらに付着しためっき液が周囲に飛び散らない程度に低速回転させる。所定時間、即ちウェーハWとカソード電極7の表面が乾燥しきらない程度の時間の経過後に振動を停止する。
【0032】
次に、リフター12を上昇動作させてウェーハWを位置h2に配置し、続いて純水供給ノズル114(114a、114b、114c、114d)から純水を数秒噴射して、ウェーハWおよびカソード電極7の表面に残留しているめっき液を希釈し、落下させる。この際、図2に示すように、純水供給ノズル114a、114b、114c、114dは、純水を扇状に噴射するものを、めっき処理槽1の軸心廻りに90度間隔で4箇所設置しておき、ノズル114a、ノズル114b、ノズル114c、ノズル114dの順に、0.5秒程度ずつ噴出させる。このようにすることにより、ウェーハWおよびカソード電極7の表面に満遍なく純水を供給できる。
【0033】
次に、再び振動子21を動作させて、ウェーハWとカソード電極7とを20〜50kHz程度の周波数で振動させる液(水)切りを行う。このときも、ウェーハWとカソード電極7は、回転を停止するか、あるいはこれらに付着しためっき液が周囲に飛び散らない程度に低速回転させる。所定時間、即ちウェーハWとカソード電極7の表面が乾燥しきらない程度の時間の経過後に振動を停止する。
【0034】
このようにウェーハWを振動させることでめっき液を振り落とす液(水)切り法を採用しているので、ウェーハWの外方へ飛散するめっき液は少ない。よって、めっき処理槽1の側壁に到達するめっき液量を、遠心力のみを利用する従来の液切り法に比べて大幅に抑えることができ、めっき液に起因する異物(結晶)が付着すること、その異物がウェーハWに再付着するのを抑えることができる。またウェーハWの振動を、ウェーハWをめっき液から取り出した後と純水を噴射した後とに行うので、めっき液の除去効率もよい。ウェーハWを振動させながら低速回転させる場合は、液(水)切りの効果の増大、液(水)切り時間の短縮も図ることができる。
【0035】
その後に、リフター12を上昇動作させてウェーハWを槽外の位置h0に配置し、エアシリンダ9によりウェーハおさえ8を上昇させ、それにより固定解除されたウェーハWを、搬送アーム6により裏面を吸着してカソード電極7上から取り出し、搬送アーム6を反転用モータ1bで回転させることで表裏反転させ、洗浄槽2へと移送し、洗浄槽2内に配置されたウェーハ支持台16にウェーハ表面を上向きにして載せる。
【0036】
次に、ウェーハWを載せたウェーハ支持台16をモータ17によって回転させ、所定の回転数に達した後に純水供給配管19より純水を数十秒供給してウェーハ表面を洗浄する。純水の供給を停止した後、ウェーハWの回転数を所定の回転数まで増加して水切りおよび乾燥を行う。
【0037】
その後に、ウェーハWの回転を停止し、ウェーハWを搬送アーム6により吸着してウェーハ支持台16から取り出し、ウェーハアンロード部4へ移送し、収納する。これにより、一連のめっき処理が終了する。
【0038】
図3は洗浄槽2の上面図である。ウェーハ支持台16は、モータ17により回転する回転軸161から放射状に延びた3本の支持アーム162と、各支持アーム162の端部に取り付けられたウェーハチャック18とを有している。3本の支持アーム162は、上下方向の回転軸161の同一高さ位置から軸心に対して一定の角度をもって斜め上向きに延びるとともに、回転軸161の軸心廻りに互いの間の角度が等しくなるように配列されている。
【0039】
図4(a)、(b)、(c)はそれぞれ、図3のウェーハチャック18を上から、X方向に、Y方向に視た平面図である。ウェーハチャック18は、概ね半円柱形状で、平坦な支持面が上を向くように、かつその平坦面が有する一対の平行な対辺が支持アーム162と直交する方向を向くように、ピン穴180,接続ピン181により支持アームの端部に揺動自在に取り付けられている。またこの状態における支持面の外周中央部に凸状の押え部182が形成されている。図示を省略するが、従来のものと同様に錘を内蔵している。支持アーム162の位置はウェーハチャック18の内周中央部に設けられた切欠部内である。
【0040】
このウェーハチャック18が従来のものと異なるのは、支持台16の回転方向を向いた少なくとも前方の側面18aが、ここでは後方の側面18bも、凸状の曲面である点である。側面18a,18bは各々、幅方向の中央部が前方あるいは後方に突出し、且つ、支持面からほぼ垂直な方向に延びた後に下部が互いに接近する方向に入り込んだ凸状の曲面である。さらに、支持台16の回転方向に沿う側面18c,18d、すなわち支持台中央側の側面18cとそれに背反する側面18dが各々、その下端に近づくほど大きく湾曲した凸状の曲面となっている。
【0041】
このため、先に図10を用いて説明したように、ウェーハ支持台16の回転時の遠心力でウェーハチャック18が接続ピン181を支点として揺動して、押え部182がウェーハのエッジ部分をチャック(固定)するほか、周辺に向けて移動する純水(洗浄液)がウェーハチャック18にぶつかり、飛び散りが抑えられるという効果もある。
【0042】
さらに、ウェーハチャック18が上記の独特の形状を有するため、つまり支持台16の回転方向を向いた側面18a,18b、回転方向に沿う側面18c,18dとも曲面であるため、ウェーハWを乾燥させるための高速回転時に乱流が発生しにくく、洗浄槽2の側壁に付着した汚れを含む水滴が散乱されてウェーハ表面に付着するのを抑えることができる。
【0043】
このように、めっき処理槽1,洗浄槽2の双方で、めっき液、純水の飛び散り、側壁からの散乱、跳ね返りを防止できることから、洗浄槽2での洗浄終了後のウェーハWの異物(パーティクル)の付着は少ない。
【0044】
以下の表1に、従来のめっき処理装置で処理したウェーハ表面と、本発明のめっき処理装置で処理したウェーハ表面とについて、直径0.25μm以上のパーティクル数をパーティクル測定装置で測定した結果を示す。なお本発明のめっき処理装置での振動子21からの振動周波数は35kHzとした。
【0045】
【表1】

表1より明らかなように、本発明のめっき処理装置を使用することで、パーティクル数を100個以下となり、従来のめっき処理装置を使用した時の3〜16%に低減できた。
【0046】
半導体装置の製造にあたっては、めっき処理装置でウェーハ表面に金属膜を堆積形成する工程とCMP法により研磨する工程とを複数回繰り返して配線を形成するので、このようにパーティクルを低減できることの意義は大きい。
【0047】
なお本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、たとえば、振動子の配置場所はウェーハおさえ内部でなくても、めっき液や純水に接触する部分に振動が伝達できる位置であればよい。また純水ノズルの設置数やチャック構造も変更可能である。めっき処理槽内で液切りするのでなく、その近傍に別途に設けた処理槽で液切りするようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0048】
本発明は、半導体基板に配線用金属膜を形成するめっき工程でのパーティクルの付着を抑えることができるので、微細化された半導体装置の製造に特に有用であり、パーティクルに起因する歩留低下を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】本発明の一実施形態のめっき処理装置の概略構成を側方から示す断面図
【図2】図1のめっき処理装置のめっき処理槽に設置された純水供給ノズルの位置を示す下面図
【図3】図1のめっき処理装置の洗浄槽を模式的に示す上面図
【図4】同洗浄槽に設けられたウェーハチャックの三面図
【図5】従来のめっき処理装置の概略構成を側方から示す断面図
【図6】図5のめっき処理装置の概略構成を示す上面図
【図7】図5のめっき処理装置のめっき処理槽に設置された純水供給ノズルの位置を示す下面図
【図8】図5のめっき処理装置の洗浄槽を模式的に示す上面図
【図9】同洗浄槽に設けられたウェーハチャックの三面図
【図10】同洗浄槽に配置されたウェーハチャックの動作を示す側面図
【符号の説明】
【0050】
1:めっき処理槽
2:洗浄槽
5:ウェーハ搬送装置
6:搬送アーム
7:カソード電極
10:モータ
11:アノード電極
12:リフター
13:めっき液
14:純水供給ノズル
16:支持台
17:モータ
18:ウェーハチャック
18a,18b,18c,18d:側面
19:純水供給配管
21:振動子
W:ウェーハ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体基板をめっき液に浸漬して金属膜を形成する工程と、前記金属膜が形成された半導体基板を前記めっき液の外部の処理槽内に取り出し、純水の噴射および回転を付与して、前記半導体基板に付着しためっき液を除去する工程とを含んだ半導体装置の製造方法において、前記めっき液を除去する工程でさらに前記半導体基板を振動させることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項2】
めっき液を除去する工程において、純水の噴射の前後で半導体基板を振動させることを特徴とする請求項1記載の半導体装置の製造方法。
【請求項3】
めっき液を除去する工程において、半導体基板を振動させながらさらに回転させることを特徴とする請求項2記載の半導体装置の製造方法。
【請求項4】
半導体基板を純水の噴射の前後で振動させながら回転させる回転速度は、前記半導体基板を純水を噴射しながら且つ振動させながら回転させる回転速度よりも遅いことを特徴とする請求項3記載の半導体装置の製造方法。
【請求項5】
めっき液を除去する工程において、半導体基板への純水の噴射は複数の箇所から行うことを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれかに記載の半導体装置の製造方法。
【請求項6】
めっき液が除去された半導体基板を洗浄槽内に移送して純水により洗浄する工程をさらに含むことを特徴とする請求項1記載の半導体装置の製造方法。
【請求項7】
半導体基板に金属膜を形成するめっき処理を行うめっき処理部と、前記めっき処理部より移送された半導体基板を洗浄する洗浄部とを備え、
前記めっき処理部は、めっき液を入れためっき処理槽と、前記めっき液に対して半導体基板の浸漬および取り出しを行なう昇降機構と、前記半導体基板を回転させる回転機構と、前記めっき液から取り出された半導体基板に純水を噴射する機構と、前記めっき液から取り出された半導体基板にその表面に付着しためっき液を除去する振動を付与する機構とを有することを特徴とする半導体装置の製造装置。
【請求項8】
洗浄部は、半導体基板を支持する支持台を内部に設置した洗浄槽と、前記半導体基板に純水を供給する機構とを有しており、前記支持台は回転自在であって半導体基板を押えるチャック部を有しており、前記チャック部は前記支持台の回転方向を向いた側面が凸状の曲面であることを特徴とする請求項7記載の半導体装置の製造装置。
【請求項9】
チャック部は支持台の回転方向に沿う側面がその下端に近づくほど大きく湾曲した凸状の曲面であることを特徴とする請求項8記載の半導体装置の製造装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2008−308709(P2008−308709A)
【公開日】平成20年12月25日(2008.12.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−155802(P2007−155802)
【出願日】平成19年6月13日(2007.6.13)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】