説明

半導体装置の製造方法

【課題】個片化時に切断部分が欠けてしまうことを防止できる半導体装置の製造方法を提供する。
【解決手段】複数の素子領域と複数の素子領域を区画する区画領域とを具える上面(第1面)と、上面(第1面)の反対側の裏面(第2面)とを有する半導体ウエハ101Aを準備する工程と、上面(第1面)の各素子領域上に、上層配線102をそれぞれ形成する工程と、裏面(第2面)側から半導体ウエハ101Aを例えばDeep−RIEなどによりエッチングすることで、上層配線102を露出する貫通孔A2を形成すると共に、上面(第1面)の区画領域に対応する裏面(第2面)の領域に半導体ウエハ101Aを貫通する溝B22を形成する工程とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置の製造方法に関し、特に貫通電極を有する半導体装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来技術による半導体装置の製造方法では、ウエハ状態の半導体基板にトランジスタなどの半導体素子を含む回路素子を形成した後、これをダイシングブレードなどを用いてダイシングすることで、個々の半導体装置を個片化していた。
【0003】
また、参考技術として、例えば以下に示す特許文献1には、Deep−RIE(反応性イオンエッチング)などの深堀技術を用いて、半導体基板に細孔を形成する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−95849号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、近年の半導体装置では比較的薄い半導体基板が用いられるようになってきている。このため、従来のダイシング方法を用いて半導体装置を個片化する場合、個片化時に切断部分が欠けてしまう場合が存在する。
【0006】
そこで本発明は、個片化時に切断部分が欠けてしまうことを防止できる半導体装置の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
かかる目的を達成するために、本発明による半導体装置の製造方法は、複数の素子領域と前記複数の素子領域を区画する区画領域とを具える第1面と、前記第1面の反対側の第2面とを有する半導体ウエハを準備する工程と、前記第1面の各素子領域上に、配線をそれぞれ形成する工程と、前記第2面側から前記半導体ウエハをエッチングすることで、前記配線を露出する貫通孔を形成すると共に、前記第1面の前記区画領域に対応する前記第2面の領域に前記半導体ウエハを貫通する溝を形成する工程とを有して構成される。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、個片化時に切断部分が欠けてしまうことを防止できる半導体装置の製造方法を実現することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の実施例1から3の何れかによる半導体装置の製造方法を示すプロセス図である(1)。
【図2】本発明の実施例1から3の何れかによる半導体装置の製造方法を示すプロセス図である(2)。
【図3】本発明の実施例1による半導体装置の製造方法を示すプロセス図である(3)。
【図4】本発明の実施例1から3の何れかによる半導体装置の製造方法を示すプロセス図である(4)。
【図5】本発明の実施例1又は2による半導体装置の製造方法を示すプロセス図である。
【図6】本発明の実施例1による半導体装置の製造方法の変形例を示すプロセス図である。
【図7】本発明の実施例2による半導体装置の製造方法を示すプロセス図である。
【図8】本発明の実施例3による半導体装置の製造方法を示すプロセス図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明を実施するための最良の形態を図面と共に詳細に説明する。
【実施例1】
【0011】
まず、本発明による実施例1について図面を用いて詳細に説明する。図1(a)から図5(b)は、本実施例による半導体装置の製造方法を示すプロセス図である。
【0012】
本製造方法では、まず、トランジスタなどの素子と、これらと電気的に接続された上層配線102とが形成された半導体ウエハ101Aを準備する。ここで、半導体ウエハ101Aには、例えば6インチ若しくは8インチのものを使用する。例えば6インチの半導体ウエハ101Aを使用した場合、その厚さは例えば625μm(マイクロメートル)程度とすることができる。また、例えば8インチの半導体ウエハ101Aを使用した場合、その厚さは例えば725μm程度とすることができる。ただし、本発明はこれに限定されず、種々の寸法の半導体ウエハを使用することができる。なお、上層配線102及び他の配線は、半導体ウエハ101Aにおいて、各種素子を形成するための複数の領域(図1(b)における素子領域AR)上にそれぞれ形成されている。また、半導体ウエハ101Aにおける各素子領域ARは、ダイシングラインに沿って規定された区画領域FRにより区画されている。
【0013】
次に、例えばエポキシ樹脂やウレタン樹脂などのような絶縁性の樹脂を塗布することで、半導体ウエハ101A上面全体を覆う保護膜103を形成する。なお、ここで言う半導体ウエハ101Aの上面とは、トランジスタなどの素子及び上層配線102が形成された面を指す。続いて、例えばフォトリソグラフィ技術及びエッチング技術を用いて保護膜103を加工することで、図1(a)及び図1(b)に示すように、各上層配線102の一部を露出する開口A1と、ダイシングラインに沿って半導体ウエハ101Aを露出させる開口B1とを保護膜103に形成する。ただし、感光性を有するポリイミドなどの樹脂を用いて保護膜103を形成した場合、半導体ウエハ101A上面全体に形成された保護膜103を所定のパターンで露光することで、保護膜103に開口A1及びB1をそれぞれ形成することができる。また、開口B1の幅は、後の工程において半導体ウエハ101Bを切断する際に使用するダイシングブレードの厚さよりも広いことが好ましい。例えば30〜50μmの厚さを有するダイシングブレードを用いる場合、開口B1の幅は、50μm以上であることが好ましい。これは、切断時にダイシングブレードが保護膜103に接触することで、保護膜103が破損することを防止するためである。
【0014】
次に、開口A1から露出した上層配線102に金属バンプ104を形成する。この金属バンプ104は、例えば拡散防止膜104aと下地金属膜104bと金属めっき膜104cとから構成される。拡散防止膜104aは、例えば金属バンプ104の主配線部分である金属めっき膜104cを形成する原子の拡散を防止するための膜である。下地金属膜104bは、例えば電解めっき法にて主配線部分である金属めっき膜104cを形成する際のシード層として機能する膜である。
【0015】
このような構成を有する金属バンプ104は、例えば以下の工程を経ることで形成することができる。この工程では、まず、例えばスパッタ法やCVD(Chemical Vapor Deposition)法などにより、拡散防止膜として機能できる導電物を堆積することで、半導体ウエハ101A上面全体に拡散防止膜104aを形成する。続いて、例えばスパッタ法やCVD法などにより、金属めっき時のシード層として機能できる金属を堆積することで、拡散防止膜104a上面全体に下地金属膜104bを形成する。ここで、例えば主配線部分である金属めっき膜104cを銅めっき膜とした場合、拡散防止膜104aは例えば窒化タンタル(TaN)、チタニウム(Ti)、又は、窒化チタニウム(TiN)などで形成されることができ、下地金属膜104bは、例えば銅(Cu)などで形成されることができる。続いて、例えばフォトリソグラフィ技術を用いることで、少なくとも開口A1内の下地金属膜104bを露出させる開口を有するフォトレジストを形成する。続いて、フォトレジストをマスクとして用いつつ、例えば金属めっき法にて、フォトレジストから露出した下地金属膜104b上に銅などの金属を析出することで、金属めっき膜104cを形成する。続いて、フォトレジストを除去した後、金属めっき膜104cをマスクとして用いつつ、露出している下地金属膜104b及び拡散防止膜104aを順次エッチングすることで、図2(a)に示すように、拡散防止膜104aと下地金属膜104bと金属めっき膜104cとからなる金属バンプ104を形成する。
【0016】
以上のように、保護膜103から露出している上層配線102と電気的に接続された金属バンプ104を形成すると、次に、図2(b)に示すように、半導体ウエハ101Aの金属バンプ104が形成された面に、例えばガラス基板などの支持基板110を例えばUV(紫外線)硬化性接着剤111などを用いて接着する。
【0017】
次に、例えばCMP(Chemical and Mechanical Polishing)法やグラインド装置を用いて、半導体ウエハ101Aの裏面、すなわちトランジスタなどの素子や金属バンプ104が形成されていない面を研磨することで、図2(c)に示すように、半導体ウエハ101Aを所定の厚さまで薄くする。この際、研磨後の半導体ウエハ101Bの厚さは、例えば50μm程度とすることができる。
【0018】
次に、半導体ウエハ101Bを裏返した後、半導体ウエハ101B上面、すなわち裏返す前の状態の裏面に、所定の開口パターンを有するフォトレジストR1を例えばフォトリソグラフィ技術を用いて形成する。なお、所定の開口パターンには、上層配線102上の一部に位置する開口(これを第1開口という)と、ダイシングライン上に沿った開口(これを第2開口という)とが含まれる。続いて、フォトレジストR1をマスクとして用いつつ、例えばDeep−RIEなどのようなウエハ表面に対して垂直方法への深堀が可能なエッチング方法にて半導体ウエハ101Bを裏面からエッチングすることで、図3(a)及び図3(b)に示すように、上層配線102を半導体ウエハ101B裏面から露出させる貫通孔A2と、ダイシングラインに沿って半導体ウエハ101B裏面から彫り込まれた溝B2とを形成する。
【0019】
なお、フォトレジストR1における第1開口は、貫通孔A2を形成するための開口である。また、第2開口は、ダイシングラインに沿った帯状の溝B2を形成するための開口である。ここで、本実施例では、図3(b)に示すように、第1開口の開口形状を例えば円形とし、また、第1開口の直径(幅とも言う)aと第2開口の幅bとを略同一とする。本実施例では、例えば直径a及び幅bをそれぞれ10〜30μm程度とする。このように直径a及び幅bを略同一とすることで、第2開口から彫り込まれる溝B2の深さを、第1開口から彫り込まれる貫通孔A2の深さと略同一か、若しくは、オーバエッチング分だけ深くすることが可能となる。ただし、本実施例では、オーバエッチングの量を溝B2が半導体ウエハ101Bを完全に貫通しない程度とする。なお、この工程におけるオーバエッチングは、上層配線102を半導体ウエハ101B裏面から確実に露出させるために行われるものである。
【0020】
以上のように、上層配線102を露出させる貫通孔A2と半導体ウエハ101Bを貫通しない溝B2とを同じ工程にて形成すると、次に、半導体ウエハ101B裏面を熱酸化することで、半導体ウエハ101B裏面及び貫通孔A2内側面に絶縁膜105を形成する。なお、これにより貫通孔A2底部、すなわち上層配線102裏面に絶縁膜105が形成された場合、この部分の絶縁膜105を例えばエッチングにより除去することで、貫通孔A2底部の上層配線102を露出する。続いて、フィルム状のフォトレジストR2を貫通孔A2及び溝B2が形成された半導体ウエハ101B裏面に貼り付けた後、これを所定のパターンを用いて露光することで、フォトレジストR2に少なくとも貫通孔A2を露出させる開口を形成する。ただし、溝B2は、フォトレジストR2により覆われている。続いて、貫通孔A2内に上層配線102と電気的に接続された貫通電極106を形成する。これにより、図4(a)に示すような断面構造を有する半導体装置が製造される。なお、図4(a)に示す半導体装置は、個片化される前の状態である。また、貫通電極106は、例えば金属バンプ104と同様に、例えば拡散防止膜106aと下地金属膜106bと金属めっき膜106cとから構成される。拡散防止膜106aは、例えば貫通電極106の主配線部分である金属めっき膜106cを形成する原子の拡散を防止するための膜である。下地金属膜106bは、例えば電解めっき法にて主配線部分である金属めっき膜106cを形成する際のシード層として機能する膜である。このような構成を有する貫通電極106は、上述において説明した金属バンプ104の形成工程と同様の工程を用いることで形成することが可能であるため、ここでは詳細な説明を省略する。
【0021】
次に、フォトレジストR2を除去した後、図4(b)に示すように、半導体ウエハ101Bに貼り付けられている支持基板110を取り外す。これは、例えばガラス基板である支持基板110側からUV硬化性接着剤111に紫外線を照射してUV硬化性接着剤を硬化することで行うことができる。
【0022】
次に、半導体ウエハ101B裏面、すなわち金属バンプ104が形成された面と反対側にダイシングテープ121を貼り付けた後、所定のダイシングブレードを用いて半導体ウエハ101Bをハーフダイシングすることで、図5(a)に示すように、ダイシングラインに沿って半導体ウエハ101Bを個々のチップ101に切断する。これにより、図5(b)に示すように、個片化された半導体装置100が製造される。なお、以上の工程の結果、個片化された半導体装置100の側面122の少なくとも一部には、ダイシングブレードによる切断面が含まれる。また、本実施例では、側面122の一部に絶縁膜105が残存していても良い。
【0023】
以上のように、本実施例による半導体装置の製造方法は、複数の素子領域と複数の素子領域を区画する区画領域とを具える上面(第1面)と、上面(第1面)の反対側の裏面(第2面)とを有する半導体ウエハ101Aを準備する工程と、上面(第1面)の各素子領域上に、上層配線102をそれぞれ形成する工程と、裏面(第2面)側から半導体ウエハ101Aを例えばDeep−RIEなどによりエッチングすることで、上層配線102を露出する貫通孔A2を形成すると共に、上面(第1面)の区画領域に対応する裏面(第2面)の領域に溝B2を形成する工程と、半導体ウエハ101Aを素子領域ごとに個片化する工程とを有して構成される。
【0024】
このように、ダイシングラインに沿って予め溝B2を形成しておくことで、ダイシング時にチップ101の切断部分が欠けることを防止できる。また、同じくダイシングラインに沿って予め溝B2を形成しておくことで、カットする部分の厚さが薄いため、個片化時の効率を向上することも可能となる。さらに、この溝B2を貫通電極106を形成するための貫通孔A2と同一の工程にて形成することで、製造工程が増加することを防止できる。
【0025】
なお、本実施例では、貫通孔A2を形成する際のDeep−RIEにおけるオーバエッチングの量を調整することで、半導体ウエハ101Bを貫通しない溝B2をダイシングラインに沿って形成する場合を例に挙げて説明したが、本発明はこれに限定されない。すなわち、例えば図6(a)に示すように、図2(a)に示す工程の次に、ダイシングラインに沿ってストッパ膜108を形成する工程を設けることで、溝B2を形成する際の深さを制限するように構成することも可能である。また、例えば図6(b)に示すように、トランジスタなどの素子を含む半導体ウエハ101Aを形成する際に、素子や配線等が形成される層の何れかにダイシングラインに沿ってストッパ膜108を形成することで、溝B2の深さを制限するように構成することも可能である。なお、ストッパ膜108とは、Deep−RIEによる彫り込みを止めるための膜である。このため、ストッパ膜108は、半導体ウエハ101Bに対して十分な選択比が得られる材料により形成されることが好ましい。ただし、ストッパ膜108を例えば金属などの導電体で形成する場合、半導体ウエハ101Bとストッパ膜108との間には酸化膜などの絶縁膜が形成される。また、このストッパ膜108は、ダイシングラインに沿った領域全体に形成されても、エッチング後に各チップ101が分離しない程度にダイシングラインに沿った領域の一部に形成されても良い。
【実施例2】
【0026】
次に、本発明の実施例2について図面を用いて詳細に説明する。尚、以下の説明において、実施例1と同様の構成については、同一の符号を付し、その詳細な説明を省略する。また、特記しない構成に関しては実施例1と同様である。
【0027】
図7(a)及び図7(b)は、本実施例による半導体装置の製造方法を示すプロセス図である。なお、本実施例では、半導体ウエハ101Aを準備する工程から半導体ウエハ101Aの裏面を研磨する工程(例えば図1(a)から図2(c)参照)、及び、半導体ウエハ101B裏面及び貫通孔A2内側面に絶縁膜105を形成する工程からダイシングラインに沿って半導体ウエハ101Bを個々のチップ101に切断することで個片化された半導体装置100を製造する工程(例えば図4(a)から図5(b)参照)は、実施例1と略同様であるため、ここでは詳細な説明を省略する。
【0028】
図7(a)及び図7(b)に示すように、本実施例では、半導体ウエハ101Bの裏面に形成されるフォトレジストが、実施例1におけるフォトレジストR1からフォトレジストR11に置き換えられ、また、半導体ウエハ101Bのダイシングラインに沿って形成される溝が、実施例1における溝B2から溝B12に置き換えられている。
【0029】
フォトレジストR11は、実施例1におけるフォトレジストR1(例えば図3a)及び図3(b)参照)と同様に、貫通孔A2を形成するための第1開口と、溝B12を形成するための第2開口とを有する。したがって、実施例1において図3(a)及び図3(b)を用いて説明した工程と同様に、フォトレジストR12をマスクとして用いつつ、例えばDeep−RIEにて半導体ウエハ101Bを裏面からエッチングすることで、図7(a)及び図7(b)に示すように、半導体ウエハ101Bには、上層配線102を半導体ウエハ101B裏面から露出させる貫通孔A2と、ダイシングラインに沿って半導体ウエハ101B裏面から彫り込まれた溝B12とが形成される。
【0030】
ただし、本実施例による溝B12は、貫通孔A2よりも浅く形成される。本実施例では、例えば溝B12の深さを、研磨後の半導体ウエハ101Bの厚さ(例えば50μm)の1/5から3/5程度の深さとすることができる。これは、ダイシングラインに沿って形成しておく溝B12の深さを浅くすることで、半導体ウエハ101Bの強度が必要以上に低下することを防止するためである。
【0031】
このように貫通孔A2よりも浅い溝B12を貫通孔A2と同一の工程で形成するために、本実施例では、溝B12を形成するための第2開口の幅b’を、貫通孔A2を形成するための第1開口の直径aよりも十分に狭くする。例えば第1開口の直径aを10〜30μm程度とした場合、第2開口の幅b’を例えば5〜10μm程度とする。これは、エッチングにより彫り込まれる孔の深さがマスクとして使用する開口の大きさに依存するためである。すなわち、開口の大きさを小さくすることで、同一のエッチング条件にて彫り込まれる孔の深さを浅くすることができる。
【0032】
他の工程は、実施例1と同様若しくは実施例1で説明した工程から容易に想到することが可能であるため、ここでは詳細な説明を省略する。
【0033】
以上のように、本実施例による半導体装置の製造方法は、実施例1と同様に、複数の素子領域と複数の素子領域を区画する区画領域とを具える上面(第1面)と、上面(第1面)の反対側の裏面(第2面)とを有する半導体ウエハ101Aを準備する工程と、上面(第1面)の各素子領域上に、上層配線102をそれぞれ形成する工程と、裏面(第2面)側から半導体ウエハ101Aを例えばDeep−RIEなどによりエッチングすることで、上層配線102を露出する貫通孔A2を形成すると共に、上面(第1面)の区画領域に対応する裏面(第2面)の領域に溝B12を形成する工程と、半導体ウエハ101Aを素子領域ごとに個片化する工程とを有して構成される。
【0034】
このように、ダイシングラインに沿って予め溝B12を形成しておくことで、実施例1と同様の効果を得ることができる。また、溝B12の深さを例えば貫通孔A2の深さよりも浅くしておくことで、後の工程における半導体ウエハ101Bの強度を維持することが可能となる。この結果、後の工程において半導体ウエハ101Bが破損することを低減でき、歩留りを向上することが可能となる。
【実施例3】
【0035】
次に、本発明の実施例3について図面を用いて詳細に説明する。尚、以下の説明において、実施例1または実施例2と同様の構成については、同一の符号を付し、その詳細な説明を省略する。また、特記しない構成に関しては実施例1または実施例2と同様である。
【0036】
図8(a)及び図8(b)は、本実施例による半導体装置の製造方法を示すプロセス図である。なお、本実施例では、半導体ウエハ101Aを準備する工程から半導体ウエハ101Aの裏面を研磨する工程(例えば図1(a)から図2(c)参照)、及び、半導体ウエハ101B裏面及び貫通孔A2内側面に絶縁膜105を形成する工程から半導体ウエハ101Bから支持基板110を取り外す工程(例えば図4(a)から図4(b)参照)は、実施例1と略同様であるため、ここでは詳細な説明を省略する。
【0037】
図8(a)及び図8(b)に示すように、本実施例では、半導体ウエハ101Bの裏面に形成されるフォトレジストが、実施例1におけるフォトレジストR1からフォトレジストR21に置き換えられ、また、半導体ウエハ101Bのダイシングラインに沿って形成される溝が、実施例1における溝B2から貫通溝B22に置き換えられている。
【0038】
フォトレジストR21は、実施例1におけるフォトレジストR1(例えば図3a)及び図3(b)参照)と同様に、貫通孔A2を形成するための第1開口と、貫通溝B22を形成するための第2開口とを有する。したがって、実施例1において図3(a)及び図3(b)を用いて説明した工程と同様に、フォトレジストR12をマスクとして用いつつ、例えばDeep−RIEにて半導体ウエハ101Bを裏面からエッチングすることで、図8(a)及び図8(b)に示すように、半導体ウエハ101Bには、上層配線102を半導体ウエハ101B裏面から露出させる貫通孔A2と、ダイシングラインに沿って半導体ウエハ101B裏面から彫り込まれた貫通溝B22とが形成される。
【0039】
ただし、本実施例による貫通溝B22は、半導体ウエハ101Bを貫通する。すなわち、本実施例では、貫通孔A2と同一の工程において形成される貫通溝B22により半導体ウエハ101Bがチップ101に切断される。この結果、本実施例では、実施例1において図5(a)を用いて説明した工程、すなわちダイシングラインに沿って半導体ウエハ101Bを個々のチップ101に切断する工程が不要となる。
【0040】
このように半導体ウエハ101Bを貫通する貫通溝B22を貫通孔A2と同一の工程で形成するために、本実施例では、貫通溝B22を形成するための第2開口の幅b”を、貫通孔A2を形成するための第1開口の直径aよりも十分に広くする。
【0041】
他の工程は、実施例1と同様若しくは実施例1で説明した工程から容易に想到することが可能であるため、ここでは詳細な説明を省略する。ただし、上述したように、本実施例による製造方法では、ダイシングブレードなどを用いて半導体ウエハ101Bをチップ101に切断する工程が不要である。これは、上述したように、貫通溝B22を形成することで、支持基板110に貼り付けられた状態で半導体ウエハ101Bがチップ101に個片化されるためである。なお、支持基板110から各半導体装置100を取り外す工程は、実施例1において図4(b)を用いて説明した工程と同様である。
【0042】
以上のように、本実施例による半導体装置の製造方法は、実施例1と同様に、複数の素子領域と複数の素子領域を区画する区画領域とを具える上面(第1面)と、上面(第1面)の反対側の裏面(第2面)とを有する半導体ウエハ101Aを準備する工程と、上面(第1面)の各素子領域上に、上層配線102をそれぞれ形成する工程と、裏面(第2面)側から半導体ウエハ101Aを例えばDeep−RIEなどによりエッチングすることで、上層配線102を露出する貫通孔A2を形成すると共に、上面(第1面)の区画領域に対応する裏面(第2面)の領域に半導体ウエハ101Aを貫通する溝B22を形成する工程とを有して構成される。
【0043】
このように、ダイシングラインに沿って貫通溝B22を形成することで、後の工程において半導体ウエハ101Bをダイシングする工程が不要となるため、ダイシングによるチップ101の切断部分の欠けを防止することが可能となる。さらに、この貫通溝B22を貫通電極106を形成するための貫通孔A2と同一の工程にて形成することで、製造工程が増加することを防止できる。
【0044】
また、上記実施例1から実施例3は本発明を実施するための例にすぎず、本発明はこれらに限定されるものではなく、これらの実施例を種々変形することは本発明の範囲内であり、更に本発明の範囲内において、他の様々な実施例が可能であることは上記記載から自明である。
【符号の説明】
【0045】
100 半導体装置
101 チップ
101A、101B 半導体ウェハ
102 上層配線
103 保護膜
104 金属バンプ
104a、106a 拡散防止膜
104b、106b 下地金属膜
104c、106c 金属めっき膜
105 絶縁膜
106 貫通電極
108 ストッパ膜
110 支持基板
121 ダイシングテープ
122 側面
A1、B1 開口
A2 貫通孔
B2、B12 溝
B22 貫通溝
R1、R2、R12、R22 フォトレジスト

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の素子領域と前記複数の素子領域を区画する区画領域とを具える第1面と、前記第1面の反対側の第2面とを有する半導体ウエハを準備する工程と、
前記第1面の各素子領域上に、配線をそれぞれ形成する工程と、
前記第2面側から前記半導体ウエハをエッチングすることで、前記配線を露出する貫通孔を形成すると共に、前記第1面の前記区画領域に対応する前記第2面の領域に前記半導体ウエハを貫通する溝を形成する工程と
を有することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項2】
前記溝の幅は、前記貫通孔の幅と同じであることを特徴とする請求項1に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項3】
前記半導体ウエハを前記素子領域ごとに個片化する前記工程の前に、前記貫通孔の内面に導電体を形成する工程をさらに有することを特徴とする請求項1に記載の半導体装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−245571(P2010−245571A)
【公開日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−166216(P2010−166216)
【出願日】平成22年7月23日(2010.7.23)
【分割の表示】特願2006−251611(P2006−251611)の分割
【原出願日】平成18年9月15日(2006.9.15)
【出願人】(308033711)OKIセミコンダクタ株式会社 (898)
【Fターム(参考)】