説明

半導体装置及びその検査方法

【課題】半導体装置及びその検査方法に関し、半導体装置の各種特性値の測定管理によって半導体装置の異常を効率よく検知しうる半導体装置の構造及び検査方法を提供する。
【解決手段】半導体基板のアレイ領域内にマトリクス状に配置され、下部電極34と、誘電体膜36と、上部電極38とをそれぞれ有する複数のキャパシタ40と、複数のキャパシタ40のうち、アレイ領域内の一部の領域に形成された一部のキャパシタの下部電極34に接続された配線76と、一部のキャパシタの上部電極38に接続された配線72aと、配線76を介して一部のキャパシタの下部電極34に電気的に接続された測定用電極78と、配線72aを介して一部のキャパシタの上部電極38に電気的に接続された測定用電極74aとを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置及びその検査方法に係り、特に、容量素子を有する半導体装置及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
コンピュータの主記憶装置には、ダイナミックランダムアクセスメモリ(DRAM)及びスタティックランダムアクセスメモリ(SRAM)等の揮発性メモリが使用されている。揮発性メモリは、電源が供給されている期間のみデータを保持することができ、電源の供給が停止されると記憶されているデータは消失してしまう。
【0003】
これに対して、自由に書換えが可能で、かつ、電源の供給を停止してもデータが消失しない不揮発性メモリとして、強誘電体膜を用いた強誘電体ランダムアクセスメモリ(以下、「FeRAM」という。)が知られている。FeRAMは、不揮発性メモリであることに加えて、電力消費量が少なく、高集積化が可能であるという長所を有する。
【0004】
FeRAMは、既存の半導体装置の製造プロセスに、自発分極を有する強誘電体キャパシタを形成するプロセスを組み入れることによって製造される。このため、FeRAMの信頼性を保証するにあたっては、通常の半導体プロセスでの保証内容に加えて、FeRAM特有の項目を保証する必要がある。FeRAM特有の保証項目としては、抜き取りサンプルでの高温放置試験、全ウェーハでのFeRAMの特性試験及びFeRAMの機能試験が挙げられる。
【0005】
FeRAMの製造過程で行われるウェーハ状態での試験測定としては、FeRAM特有の特性値、例えば、強誘電体キャパシタの反転分極量(QSW)等の測定を行う特性試験や、FeRAMの動作や信頼性、書き込み及び読み出し動作やデータ保持特性等の測定を行う機能試験が行われていた。
【特許文献1】特開2001−085634号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
FeRAMの試験測定では、各種特性値の測定管理(特性試験)では異常がみられないが、その後に行う機能試験で異常が発見されることがある。近年、半導体メーカでは各種特性値の測定管理のみを行い、顧客において機能試験以降を行う商談が増えてきている。このため、特性試験によって半導体装置の異常を十分に検知することができず、顧客における機能試験等において異常が頻発することがあった。
【0007】
本発明の目的は、半導体装置の各種特性値の測定管理によって半導体装置の異常を効率よく検知しうる半導体装置の構造及び検査方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一観点によれば、半導体基板のアレイ領域内にマトリクス状に配置され、下部電極と、前記下部電極上に形成された誘電体膜と、前記誘電体膜上に形成された上部電極とをそれぞれ有する複数のキャパシタと、前記複数のキャパシタのうち、前記アレイ領域内の一部の領域に形成された一部のキャパシタの前記下部電極に接続された第1の配線と、前記一部のキャパシタの前記上部電極に接続された第2の配線と、前記第1の配線を介して前記一部のキャパシタの前記下部電極に電気的に接続された第1の測定用電極と、前記第2の配線を介して前記一部のキャパシタの前記上部電極に電気的に接続された第2の測定用電極とを有する半導体装置が提供される。
【0009】
また、本発明の他の観点によれば、半導体基板のアレイ領域内にマトリクス状に配置され、下部電極と、前記下部電極上に形成された誘電体膜と、前記誘電体膜上に形成された上部電極とをそれぞれ有する複数のキャパシタと、前記複数のキャパシタのうち、前記アレイ領域内の一部の領域に形成された一部のキャパシタの前記下部電極に接続された第1の配線と、前記一部のキャパシタの前記上部電極に接続された第2の配線と、前記第1の配線を介して前記一部のキャパシタの前記下部電極に電気的に接続された第1の測定用電極と、前記第2の配線を介して前記一部のキャパシタの前記上部電極に電気的に接続された第2の測定用電極とを有する半導体装置の検査方法であって、前記第1の測定用電極と前記第2の測定用電極との間に所定の測定用電圧を印加することにより、前記一部のキャパシタの特性値を測定する半導体装置の検査方法が提供される。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、半導体装置の特性試験において、測定用素子が形成されたアレイ領域の特定の場所における特性値を測定するので、アレイ領域の特定の場所に依存する半導体装置の異常を効率よく検知することができる。これにより、特性試験の段階で半導体装置の異常を検知する感度が向上し、特性試験の結果から機能試験の結果を占うことが可能となる。また、機能試験前に出荷する場合にも、顧客による機能試験等において異常が頻発することを抑制することができる。また、特性試験の結果を迅速に製造工程にフィードバックすることができ、半導体装置の品質向上を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明の一実施形態による半導体装置及びその検査方法について図1乃至図11を用いて説明する。
【0012】
図1はFeRAMの構造を示す概略断面図、図2は本実施形態による検査方法を示すフローチャート、図3は一般的な半導体装置における測定用素子の構造を示す平面図、図4は一般的な半導体装置における測定用素子の構造を示す概略断面図、図5は図3及び図4の測定用素子を用いて測定した特性試験の結果を示す図、図6は図5の測定を行ったウェーハについて機能試験を行った結果を示す図、図7は機能試験により不良と判定されたチップのフェイルビットマップを示す図、図8は本実施形態による半導体装置における測定用素子の構造を示す平面図、図9は本実施形態による半導体装置における測定用素子の構造を示す概略断面図、図10及び図11は図8及び図9の測定用素子を用いて測定した特性試験の結果を示す図である。
【0013】
はじめに、FeRAMの基本構造について図1を用いて説明する。
【0014】
シリコン基板10上には、活性領域を画定する素子分離領域12が形成されている。活性領域のシリコン基板10内には、ウェル14が形成されている。活性領域の表面には、ゲート電極16及びソース/ドレイン領域18,20を有するMISトランジスタ22が形成されている。
【0015】
MISトランジスタ22が形成されたシリコン基板10上には、層間絶縁膜24が形成されている。層間絶縁膜24には、タングステン等よりなりソース/ドレイン領域18,20に接続されたコンタクトプラグ26,28が埋め込まれている。
【0016】
コンタクトプラグ26,28が埋め込まれた層間絶縁膜24上には、コンタクトプラグ26,28の酸化を防止する酸化防止膜30と、アルミナ等よりなる密着層32とが形成されている。密着層32上には、プラチナ等よりなる下部電極34と、下部電極34上に形成されたPZT等の強誘電体材料よりなる強誘電体膜36と、強誘電体膜36上に形成された酸化イリジウム等よりなる上部電極38とを有する強誘電体キャパシタ40が形成されている。強誘電体キャパシタ40上には、保護膜42が形成されている。
【0017】
強誘電体キャパシタ40上には、層間絶縁膜44が形成されている。層間絶縁膜44には、タングステン等よりなりコンタクトプラグ26,28に接続されたコンタクトプラグ46,48と、タングステン等よりなり下部電極34に接続されたコンタクトプラグ50と、タングステン等よりなり上部電極38に接続されたコンタクトプラグ52とが埋め込まれている。
【0018】
コンタクトプラグ46,48,50,52が埋め込まれた層間絶縁膜44上には、コンタクトプラグ26,46を介してMISトランジスタ22のソース/ドレイン領域18に接続された配線層54と、コンタクトプラグ28,48を介してMISトランジスタ22のソース/ドレイン領域20に、コンタクトプラグ38を介して上部電極38に、それぞれ接続され、ソース/ドレイン領域20と上部電極38とを電気的に接続する配線層56と、コンタクトプラグ34を介して下部電極34に接続された配線層58とが形成されている。
【0019】
配線層54,56,58の上層には、図示しない複数の配線層が、図示しない層間絶縁膜を介して積層されている。
【0020】
こうして、1つのメモリセルが1つのMISトランジスタ22と1つの強誘電体キャパシタ40により構成されたFeRAMが形成されている。
【0021】
次に、半導体装置のウェーハプロセスから出荷までの流れについて、図2を用いて説明する。
【0022】
半導体装置の製造過程では、半導体ウェーハ上に種々の素子を形成するウェーハプロセス(ステップS11)が完了すると、完成した半導体装置についてウェーハ状態で各種特性値に関する特性試験が行われる(ステップS12)。この特性試験には、MISトランジスタの各種特性値の測定や、コンタクト抵抗の測定等が含まれる。FeRAMを有する半導体装置では、FeRAM特有の特性値、例えば、強誘電体キャパシタの反転分極量(QSW)等の測定が行われる。
【0023】
図3及び図4は、ステップS12において、FeRAMの特性試験を行うための一般的な測定用素子である。図3及び図4の測定用素子は、図1に示すFeRAMの強誘電体キャパシタ40のみをマトリクス状に配置し、並列に接続したものである。
【0024】
図3及び図4に示すように、y方向に延在する下部電極34が、x方向に隣接して複数設けられている。各下部電極34上には、複数の上部電極38が強誘電体膜を介して形成されている。図3に示す測定用素子では、複数の上部電極38が、各下部電極34上に、y方向に沿って2列をなすように配置されている。
【0025】
このように形成された複数の強誘電体キャパシタ40上には、y方向に延在する複数の配線層60が設けられている。配線層60は、y方向に隣接する強誘電体キャパシタ40上に延在して形成されており、コンタクトプラグ52を介して強誘電体キャパシタ40の上部電極38に接続されている。すなわち、配線層60は、各下部電極34毎に、2本ずつ設けられている。これら複数の配線層60は、一端において配線層62に接続されている。配線層62の一端には、測定用パッド64が設けられている。
【0026】
複数の下部電極34の一端には、コンタクトプラグ50を介してそれぞれ配線層66が接続されている。これら複数の配線層66の一端には、測定用パッド68が設けられている。
【0027】
この測定用素子を用いた分極反転量QSWの測定では、測定用パッド64と測定用パッド68との間に所定の駆動電圧を印加して強誘電体キャパシタの分極方向を反転し、そのときの分極反転量QSWを測定する。
【0028】
次いで、特性試験により得られた特性値が、規格内であるか、規格内であってもトレンドに対して異常傾向は見られないか、の判定を行う。特性値に問題がある場合には、製品の製造履歴や装置状態を調査し、その原因及び影響を判断する。製品への影響が大若しくは不明の場合には、製品の出荷を取り止める。
【0029】
特性値に問題のない場合や、問題があっても製品への影響が小さいと考えられる場合には、次の機能試験(ステップS13)を行う。なお、近年の商談では、後述するように、特性試験の後に製品を出荷することもある。機能試験では、素子の動作や信頼性などの試験が行われる。FeRAMを有する半導体装置では、FeRAMの書き込み及び読み出し動作やデータ保持特性に関する測定が行われる。
【0030】
半導体装置の機能試験は、特性試験と同様、ウェーハ状態で行われる。FeRAMの機能試験は、例えば以下の手順により行われる。FeRAMの機能試験は、上述の特性試験とは異なり、個別のFeRAMセルを用いて試験が行われる。
【0031】
まず、初期機能動作を確認し、良品と不良品とに選別する(ステップS31)。
【0032】
次いで、強誘電体キャパシタにデータを書き込み、150〜250℃の温度でエージング処理を行う(ステップS32)。
【0033】
次いで、ステップS32において書き込んだデータが読み出せるかどうかの試験を行う(ステップS33)。
【0034】
次いで、ステップS33で書き込んだデータとは逆方向のデータを書き込み、書き込んだデータが読み出せるかどうかの試験を行う(ステップS34)。
【0035】
次いで、再び良品と不良品とに選別する(ステップS35)。
【0036】
次いで、ステップS33で書き込んだデータとは逆方向のデータを書き込み、150〜250℃の温度でエージング処理を行う(ステップS36)。
【0037】
次いで、ステップS36において書き込んだデータが読み出せるかどうかの試験を行う(ステップS37)。
【0038】
次いで、ステップS36で書き込んだデータとは逆方向のデータを書き込み、書き込んだデータが読み出せるかどうかの試験を行う(ステップS38)。
【0039】
次いで、再び良品と不良品とに選別する(ステップS39)。
【0040】
次いで、機能試験により得られた結果が、規格内であるか、規格内であってもトレンドに対して異常傾向は見られないか、の判定を行う。製品の機能や信頼性に問題がある場合には、製品の製造履歴や装置状態を調査し、その原因及び影響を判断する。製品への影響が大若しくは不明の場合には、製品の出荷を取り止める。
【0041】
次いで、試験後のウェーハを組み立て工場に送付し、良品のチップをウェーハからパッケージ若しくはモジュールに組み込む(ステップS14)。
【0042】
その後、製品の最終試験を行い(ステップS15)、半導体装置の信頼性試験を完了する。
【0043】
次いで、上記保証試験を経た製品は、顧客に出荷される(ステップS16)。
【0044】
顧客に対して出荷を行うためには、長期信頼性を保証する信頼性試験に合格している必要がある。その内容は、通常の半導体装置の試験項目に加えて、FeRAM特有の試験項目を加える必要がある。その試験が、上述のステップS11〜ステップS19の機能試験である。
【0045】
上述の機能試験において、エージング処理の時間と活性化エネルギーからある不良率のもとでのデータ保持が可能な期間を保証することができる。この試験に合格したうえで、製品として出荷が可能であるかどうかを判断する。また、実際に製品を出荷する際には、各種トレンドに対して異常がないかを確認したうえで製品の信頼性を保証し、出荷を行う。
【0046】
従来は、半導体メーカで設計から製造、試験までを行い、顧客に出荷していたが、近年、顧客で設計及び試験を行い、半導体メーカでは製造のみを行い出荷を行う商談が増えてきている。
【0047】
この場合、図2に示すように、半導体メーカでは半導体装置の各種特性のみを測定し(ステップS12)、ウェーハ状態で出荷することになる(ステップS17)。そして、顧客において、上述の機能試験(ステップS21)、パッケージアッセンブリ(ステップS22)、最終試験(ステップS23)が行われる。
【0048】
このような形態の商談においては、強誘電体キャパシタに関する特性試験のみを行い、その後の機能試験を行わずにウェーハ状態で出荷を行うが、特性値の管理だけでは機能試験の結果を予測できず、顧客における検査で不良が多発することがあった。
【0049】
図5は、図3及び図4に示す測定用素子を用いて測定した反転分極量のウェーハ面内分布の一例を示す図である。図中に示す数値は、ウェーハ上の各位置に対応するショット内に形成された測定用素子により測定した反転分極量QSW(μC/cm)である。
【0050】
図5に示す結果では、ウェーハ上の各ショットにおいて測定した反転分極量QSWの値は、ウェーハ面内においてほぼ均一であり、ばらつきも小さかった。このため、この特性試験では、総てのチップが良品として検査をパスすることになる。
【0051】
図6は、同様のウェーハについて、上述の機能試験(ステップS11〜S19)を行った結果の一例を示す図である。図中、ハッチングを付した領域が、不良セルの存在している場所を示している。
【0052】
図6に示すように、機能試験の結果ではウェーハ上部のショット(図中、丸で囲った領域)に固まって不良セルが多発しているのに対し、図5に示す特性試験の結果では、反転分極量QSWはウェーハ面内でほぼ均一であり、ウェーハ上部において反転分極量QSWの低下等はみられない。すなわち、この結果は、強誘電体キャパシタの特性試験によって異常がみられなくても、機能試験では異常が検知される可能性があることを示している。
【0053】
次に、強誘電体キャパシタの特性試験だけでは異常が検知できなかったことについて、本願発明者等が検討を行った結果について示す。
【0054】
図7は、機能試験において不良となったチップについて、セルアレイ内のどのビットが不良になっているのかをFBM(フェイルビットマップ:Fail Bit Map)で確認した結果である。このFBMは、セルアレイ全体のイメージ図であり、不良となっているビットに対応する部分にプロットが付されており、プロットが付されていない部分は良品のビットである。
【0055】
図7の結果から、不良となっているビットは、セルアレイの全体から均一に発生しているのではなく、セルアレイの端部領域のビットが不良になっていることが解った。
【0056】
特性試験に用いていた従来の測定用素子は、例えば図3及び図4に示すように、トータル面積が例えば2500μmとなるように複数の強誘電体キャパシタが並列に接続されたものである。このため、この構造の測定用素子で得られた反転分極量QSWは、アレイ内の全強誘電体キャパシタの反転分極量QSWの平均値となり、アレイ端部の強誘電体キャパシタの異常は他の正常な強誘電体キャパシタの特性に埋もれてしまい検知することができない。
【0057】
このように、特性試験と機能試験とでこのような相違が生じるのは、機能試験では1個1個のキャパシタ特性が測定結果に反映されるのに対し、特性試験では複数個のキャパシタの集合体としての結果が反映されるためである。強誘電体キャパシタにおいては、キャパシタがセルアレイのどこに配置されているかによって強誘電体特性が大きく異なる可能性があるため、セルアレイ上のキャパシタ配置場所ごとに特性値を測定できるように測定用素子を構成することが望ましい。
【0058】
図8及び図9は、図3及び図4に示す測定用素子では検知できない不良チップを特性試験において検知することができる測定用素子の構造を示す平面図及び概略断面図である。
【0059】
図8及び図9に示す測定用素子の構造は、上層の配線層の接続及び配置を除いては、図3及び図4に示す測定用素子と基本的に同様である。
【0060】
図8及び図9に示すように、半導体基板上のアレイ領域には、y方向に延在する下部電極34が、x方向に隣接して複数設けられている。なお、アレイ領域とは、素子がマトリクス状に形成された領域であり、メモリセルアレイ領域や、測定用の素子(例えば強誘電体キャパシタ)がマトリクス状に形成された領域である。
【0061】
各下部電極34上には、複数の上部電極38が強誘電体膜を介して形成されている。図8に示す測定用素子では、複数の上部電極38が、各下部電極34上に、y方向に沿って2列をなすように配置されている。
【0062】
このように形成された複数の強誘電体キャパシタ40上には、x方向に延在する配線層72が設けられている。配線層72には、アレイ領域の端部に位置しx方向に隣接する複数の強誘電体キャパシタ40の上部電極38を共通接続する配線層72aと、アレイ領域の中央部に位置しx方向に隣接する複数の強誘電体キャパシタ40の上部電極38を共通接続する配線層72b,72cとが含まれる。
【0063】
配線層72a,72b,72cは、コンタクトプラグ52を介して強誘電体キャパシタ40の上部電極に接続されている。配線層72a,72b,72cの一端には、測定用パッド74a,74b,74cがそれぞれ設けられている。
【0064】
複数の下部電極34の一端には、コンタクトプラグ50を介してそれぞれ配線層76が接続されている。これら複数の配線層76の一端には、測定用パッド78が設けられている。
【0065】
このようにして測定用素子を構成することにより、測定用パッド74aと測定用パッド78との間に構成される2端子素子は、アレイ領域の端部に位置する強誘電体キャパシタの並列接続体となり、測定用パッド74bと測定用パッド78との間又は測定用パッド74cと測定用パッド78との間に構成される2端子素子は、アレイ領域の中央部に位置する強誘電体キャパシタの並列接続体となる。すなわち、測定用パッド74a〜74cを任意に選択することにより、アレイ領域の端部に形成された強誘電体キャパシタの特性試験と、アレイ領域の中央部に形成された強誘電体キャパシタの特性試験とを、個別に行うことができる。
【0066】
図10は、図8及び図9に示す測定用素子において、アレイ領域の中央部の強誘電体キャパシタ(測定用パッド74bと測定用パッド78又は測定用パッド74cと測定用パッド78)を用いて測定した反転分極量QSWのウェーハ面内分布の一例を示す図である。図中に示す数値は、ウェーハ上の各位置に対応するショット内に形成された測定用素子により測定した反転分極量QSW(μC/cm)である。
【0067】
図10に示す結果では、ウェーハ上の各ショットにおいて測定した反転分極量QSWの値は、ウェーハ面内においてほぼ均一であり、ばらつきも小さかった。このため、この特性試験では、総てのチップが良品として検査をパスすることになる。
【0068】
図11は、図8及び図9に示す測定用素子において、アレイ領域の端部の強誘電体キャパシタ(測定用パッド74aと測定用パッド78)を用いて測定した反転分極量のウェーハ面内分布の一例を示す図である。図中に示す数値は、ウェーハ上の各位置に対応するショット内に形成された測定用素子により測定した反転分極量QSW(μC/cm)である。
【0069】
図11に示すように、アレイ領域の端部の強誘電体キャパシタの試験結果は、図10の試験結果と比較して反転分極量QSWの値が全般的に小さく、ウェーハ面内のばらつきも大きい。特に、ウェーハ上部の3つのショット(図中、丸で囲んだショット)については、反転分極量QSWの値が他のショットと比較して極めて小さいことが判る。
【0070】
すなわち、レイアウト上、強誘電体キャパシタがセルアレイのどこに位置するかで反転分極量QSWが大きく変化している。この結果は、図7に示したFBMにおいてセルアレイ端部のビットが不良になる結果と対応している。
【0071】
このように、強誘電体キャパシタの特性試験に、図8及び図9に示す測定用素子を適用することにより、特性試験の段階で、半導体装置の異常を検知することが可能となる。
【0072】
特性試験に用いる測定用素子は、ウェーハのダイシングによりカットされるチップとチップとの間(スクライブライン)にセルアレイを縮小したかたちで挿入したり、1ショットの中にある1チップを配線によってつないで特性試験用に配置したりすることができる。
【0073】
このように、本実施形態によれば、半導体装置の特性試験において、測定用素子が形成されたアレイ領域の特定の場所における特性値を測定するので、アレイ領域の特定の場所に依存する半導体装置の異常を効率よく検知することができる。これにより、特性試験の段階で半導体装置の異常を検知する感度が向上し、特性試験の結果から機能試験の結果を占うことが可能となる。また、機能試験前に出荷する場合にも、顧客による機能試験等において異常が頻発することを抑制することができる。また、特性試験の結果を迅速に製造工程にフィードバックすることができ、半導体装置の品質向上を図ることができる。
【0074】
本発明は、上記実施形態に限らず種々の変形が可能である。
【0075】
例えば、上記実施形態では、図8に示すように、アレイ領域の端部或いは中央部に位置し、x方向に隣接する一列の強誘電体キャパシタを並列に接続して測定用素子を構成したが、例えば図12に示すように、アレイ領域の端部或いは中央部に位置し、y方向に隣接する一列の強誘電体キャパシタを並列に接続して測定用素子を構成するようにしてもよい。
【0076】
或いは、例えば図13に示すように、アレイ領域の中の任意の領域(図中、点線で示す領域82,84等)内に形成された強誘電体キャパシタを並列に接続して測定用素子を構成するようにしてもよい。
【0077】
アレイ領域内のどの強誘電体キャパシタを並列に接続するかについては、半導体装置の構造や製造プロセスに起因してどの領域に不良が生じやすいかを考慮したうえで、適宜選択することが望ましい。
【0078】
また、上記実施形態では、y方向に沿って並ぶキャパシタの下部電極を共通電極としたが、上部電極と同様に個別電極としてもよい。また、下部電極に接続される配線層及び測定用パッドは、上記実施形態に記載のように共通でもよいし、アレイ領域内の測定領域毎に個別に設けてもよい。
【0079】
また、上記実施形態では、測定用素子を構成するアレイ領域内の各強誘電体キャパシタの面積について特に記載していないが、総ての強誘電体キャパシタの面積は同じであってもよいし、一部に異なる面積の強誘電体キャパシタを設けるようにしてもよい。
【0080】
また、上記実施形態では、特性試験において測定する強誘電体キャパシタの特性値が反転分極量QSWである場合について示したが、本発明を適用できる強誘電体キャパシタの特性値は反転分極量QSWに限定されるものではない。特性値としては、反転分極量QSWのほか、例えば容量値やリーク電流を適用することも可能である。
【0081】
また、上記実施形態では、FeRAMの強誘電体キャパシタの特性測定を行う測定用素子に本発明を適用した例を説明したが、他の容量素子、例えばDRAM等に用いられる常誘電体キャパシタの特性測定を行う測定用素子に本発明を適用するようにしてもよい。
【0082】
以上詳述したように、本発明の特徴をまとめると以下の通りとなる。
【0083】
(付記1) 半導体基板のアレイ領域内にマトリクス状に配置され、下部電極と、前記下部電極上に形成された誘電体膜と、前記誘電体膜上に形成された上部電極とをそれぞれ有する複数のキャパシタと、
前記複数のキャパシタのうち、前記アレイ領域内の一部の領域に形成された一部のキャパシタの前記下部電極に接続された第1の配線と、
前記一部のキャパシタの前記上部電極に接続された第2の配線と、
前記第1の配線を介して前記一部のキャパシタの前記下部電極に電気的に接続された第1の測定用電極と、
前記第2の配線を介して前記一部のキャパシタの前記上部電極に電気的に接続された第2の測定用電極と
を有することを特徴とする半導体装置。
【0084】
(付記2) 付記1記載の半導体装置において、
前記アレイ領域内の前記一部の領域は、前記アレイ領域の周縁部である
ことを特徴とする半導体装置。
【0085】
(付記3) 付記1記載の半導体装置において、
前記アレイ領域内の前記一部の領域は、前記アレイ領域の中央部である
ことを特徴とする半導体装置。
【0086】
(付記4) 付記1乃至3のいずれか1項に記載の半導体装置において、
前記一部のキャパシタは、前記複数のキャパシタのうち、第1の方向に並ぶ複数のキャパシタである
ことを特徴とする半導体装置。
【0087】
(付記5) 付記1乃至4のいずれか1項に記載の半導体装置において、
第2の方向に並ぶ複数のキャパシタの前記下部電極は、電極層により一体形成されている
ことを特徴とする半導体装置。
【0088】
(付記6) 付記5記載の半導体装置において、
前記第2の方向は、第1の方向と平行である
ことを特徴とする半導体装置。
【0089】
(付記7) 付記5記載の半導体装置において、
前記第2の方向は、前記第1の方向と交差する方向である
ことを特徴とする半導体装置。
【0090】
(付記8) 付記1記載の半導体装置において、
前記複数のキャパシタのうち、前記アレイ領域内の他の一部の領域に形成された他の一部のキャパシタの前記下部電極に接続された第3の配線と、
前記他の一部のキャパシタの前記上部電極に接続された第4の配線と、
前記第3の配線を介して前記他の一部のキャパシタの前記下部電極に電気的に接続された第3の測定用電極と、
前記第4の配線を介して前記他の一部のキャパシタの前記上部電極に電気的に接続された第4の測定用電極と
を更に有することを特徴とする半導体装置。
【0091】
(付記9) 付記8記載の半導体装置において、
前記アレイ領域内の前記一部の領域は、前記アレイ領域の周縁部であり、
前記アレイ領域内の前記他の一部の領域は、前記アレイ領域の中央部である
ことを特徴とする半導体装置。
【0092】
(付記10) 付記8又は9記載の半導体装置において、
前記第1の測定用電極と前記第3の測定用電極とは、共通の電極であり、
前記第1の配線と前記第3の配線とは、共通の配線である
ことを特徴とする半導体装置。
【0093】
(付記11) 付記1乃至10のいずれか1項に記載の半導体装置において、
前記複数のキャパシタは、強誘電体キャパシタである
ことを特徴とする半導体装置。
【0094】
(付記12) 半導体基板のアレイ領域内にマトリクス状に配置され、下部電極と、前記下部電極上に形成された誘電体膜と、前記誘電体膜上に形成された上部電極とをそれぞれ有する複数のキャパシタと、前記複数のキャパシタのうち、前記アレイ領域内の一部の領域に形成された一部のキャパシタの前記下部電極に接続された第1の配線と、前記一部のキャパシタの前記上部電極に接続された第2の配線と、前記第1の配線を介して前記一部のキャパシタの前記下部電極に電気的に接続された第1の測定用電極と、前記第2の配線を介して前記一部のキャパシタの前記上部電極に電気的に接続された第2の測定用電極とを有する半導体装置の検査方法であって、
前記第1の測定用電極と前記第2の測定用電極との間に所定の測定用電圧を印加することにより、前記一部のキャパシタの特性値を測定する
ことを特徴とする半導体装置の検査方法。
【0095】
(付記13) 付記12記載の半導体装置の検査方法において、
前記半導体装置は、前記複数のキャパシタのうち、前記アレイ領域内の他の一部の領域に形成された他の一部のキャパシタの前記下部電極に接続された第3の配線と、前記他の一部のキャパシタの前記上部電極に接続された第4の配線と、前記第3の配線を介して前記他の一部のキャパシタの前記下部電極に電気的に接続された第3の測定用電極と、前記第4の配線を介して前記他の一部のキャパシタの前記上部電極に電気的に接続された第4の測定用電極とを更に有し、
前記第1の測定用電極と前記第2の測定用電極との間に所定の測定用電圧を印加することにより、前記アレイ領域内の前記一部の領域に形成された前記一部のキャパシタの特性値を測定し、
前記第3の測定用電極と前記第4の測定用電極との間に所定の測定用電圧を印加することにより、前記アレイ領域内の前記他の一部の領域に形成された前記他の一部のキャパシタの特性値を測定する
ことを特徴とする半導体装置の検査方法。
【0096】
(付記14) 付記13記載の半導体装置の検査方法において、
前記アレイ領域内の前記一部の領域は、前記アレイ領域の周縁部であり、
前記アレイ領域内の前記他の一部の領域は、前記アレイ領域の中央部である
ことを特徴とする半導体装置の検査方法。
【0097】
(付記15) 付記12乃至14のいずれか1項に記載の半導体装置の検査方法において、
前記複数のキャパシタは、強誘電体キャパシタであり、
前記キャパシタの特性値は、前記強誘電体キャパシタの反転分極量である
ことを特徴とする半導体装置の検査方法。
【図面の簡単な説明】
【0098】
【図1】FeRAMの構造を示す概略断面図である。
【図2】本発明の一実施形態による検査方法を示すフローチャートである。
【図3】一般的な半導体装置における測定用素子の構造を示す平面図である。
【図4】一般的な半導体装置における測定用素子の構造を示す概略断面図である。
【図5】図3及び図4に示す測定用素子を用いて測定した特性試験の結果を示す図である。
【図6】図5の測定を行ったウェーハについて機能試験を行った結果を示す図である。
【図7】機能試験により不良と判定されたチップのフェイルビットマップを示す図である。
【図8】本発明の一実施形態による半導体装置における測定用素子の構造を示す平面図である。
【図9】本発明の一実施形態による半導体装置における測定用素子の構造を示す概略断面図である。
【図10】図8及び図9に示す測定用素子を用いて測定した特性試験の結果を示す図(その1)である。
【図11】図8及び図9に示す測定用素子を用いて測定した特性試験の結果を示す図(その2)である。
【図12】本発明の実施形態の第1変形例による半導体装置における測定用素子の構造を示す平面図である。
【図13】本発明の実施形態の第2変形例による半導体装置における測定用素子の構造を示す平面図である。
【符号の説明】
【0099】
10…シリコン基板
12…素子分離膜
14…ウェル
16…ゲート電極
18,20…ソース/ドレイン領域
22…MISトランジスタ
24,44…層間絶縁膜
26,28,46,48,50,52…コンタクトプラグ
30…酸化防止膜
32…密着層
34…下部電極
36…強誘電体膜
38…上部電極
40…強誘電体キャパシタ
42…保護膜
54,56,58,60,62,66,72,76…配線層
64,68,74,78…測定用パッド
82,84…領域


【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体基板のアレイ領域内にマトリクス状に配置され、下部電極と、前記下部電極上に形成された誘電体膜と、前記誘電体膜上に形成された上部電極とをそれぞれ有する複数のキャパシタと、
前記複数のキャパシタのうち、前記アレイ領域内の一部の領域に形成された一部のキャパシタの前記下部電極に接続された第1の配線と、
前記一部のキャパシタの前記上部電極に接続された第2の配線と、
前記第1の配線を介して前記一部のキャパシタの前記下部電極に電気的に接続された第1の測定用電極と、
前記第2の配線を介して前記一部のキャパシタの前記上部電極に電気的に接続された第2の測定用電極と
を有することを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
請求項1記載の半導体装置において、
前記アレイ領域内の前記一部の領域は、前記アレイ領域の周縁部である
ことを特徴とする半導体装置。
【請求項3】
請求項1又は2記載の半導体装置において、
前記一部のキャパシタは、前記複数のキャパシタのうち、第1の方向に並ぶ複数のキャパシタである
ことを特徴とする半導体装置。
【請求項4】
請求項1記載の半導体装置において、
前記複数のキャパシタのうち、前記アレイ領域内の他の一部の領域に形成された他の一部のキャパシタの前記下部電極に接続された第3の配線と、
前記他の一部のキャパシタの前記上部電極に接続された第4の配線と、
前記第3の配線を介して前記他の一部のキャパシタの前記下部電極に電気的に接続された第3の測定用電極と、
前記第4の配線を介して前記他の一部のキャパシタの前記上部電極に電気的に接続された第4の測定用電極と
を更に有することを特徴とする半導体装置。
【請求項5】
請求項4記載の半導体装置において、
前記アレイ領域内の前記一部の領域は、前記アレイ領域の周縁部であり、
前記アレイ領域内の前記他の一部の領域は、前記アレイ領域の中央部である
ことを特徴とする半導体装置。
【請求項6】
半導体基板のアレイ領域内にマトリクス状に配置され、下部電極と、前記下部電極上に形成された誘電体膜と、前記誘電体膜上に形成された上部電極とをそれぞれ有する複数のキャパシタと、前記複数のキャパシタのうち、前記アレイ領域内の一部の領域に形成された一部のキャパシタの前記下部電極に接続された第1の配線と、前記一部のキャパシタの前記上部電極に接続された第2の配線と、前記第1の配線を介して前記一部のキャパシタの前記下部電極に電気的に接続された第1の測定用電極と、前記第2の配線を介して前記一部のキャパシタの前記上部電極に電気的に接続された第2の測定用電極とを有する半導体装置の検査方法であって、
前記第1の測定用電極と前記第2の測定用電極との間に所定の測定用電圧を印加することにより、前記一部のキャパシタの特性値を測定する
ことを特徴とする半導体装置の検査方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2008−299924(P2008−299924A)
【公開日】平成20年12月11日(2008.12.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−143042(P2007−143042)
【出願日】平成19年5月30日(2007.5.30)
【出願人】(308014341)富士通マイクロエレクトロニクス株式会社 (2,507)
【Fターム(参考)】