説明

半導体装置及び半導体装置の製造方法

【課題】信頼性を低下することなく高集積化が可能な半導体装置及び半導体装置の製造方法を提供すること。
【解決手段】半導体装置は、コンタクト層40及びAl層の真上にAl層を積層したAlスタック構造をなすものであり、コンタクト層40の真上に1stAl層10が積層され、1stAl層10の真上に2ndAl層20が積層され、2ndAl層20の真上に3rdAl層30が積層されてなるものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置及び半導体装置の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、半導体装置は、高集積化と微細化が求められている。そこで、半導体基板上に形成される下層配線層(アルミ配線)と上層配線層(アルミ配線)との接続を、層間絶縁膜に設けられた層間接続孔(ビアホール)にタングステンプラグを埋設させることにより行なう半導体装置がある(特許文献1)。
【特許文献1】特開2005−302752号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところが、特許文献1に示されるようなタングステンプラグは、使用環境が高温で配線に流れる電流が大電流である場合(例えば、車載用ICなどに適用する場合)にはアルミ配線とのカーケンダル効果によるエレクトロマイグレーション寿命が保証できず、信頼性が低下する可能性がある。
【0004】
本発明は、上記問題点に鑑みなされたものであり、信頼性を低下することなく高集積化が可能な半導体装置及び半導体装置の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために請求項1に記載の半導体装置は、半導体基板に設けられるホールが形成された複数層の絶縁層と、ホールの内部及びホールの上部側開口周囲に設けられる配線部材とを含む半導体装置であって、配線部材はAlを主成分とする金属からなり、複数層の絶縁層のうち二層目以降の絶縁層に形成されるホールは、ホールが形成されている絶縁層の直下の絶縁層に設けられるホールの真上であり、その直下の絶縁層のホールに設けられる配線部材上に形成されることを特徴とするものである。
【0006】
このように、ホール(ビアホール、コンタクトホール)の真上にホール(ビアホール)を備え、そのホールの内部及びホールの上部側開口周囲にはAlを主成分とする金属からなる配線部材を備えることによって、タングステンプラグを用いた場合のようなWとAlとのカーケンダル効果は生じることはなく、スタックド配線構造を達成することができるので、高温で配線に流れる電流が大電流となる使用環境であっても信頼性を低下することなく高集積化ができる。
【0007】
また、配線部材は、請求項2に示すように、純Al、AlSi、AlSiCu、AlCuのうちの少なくとも一つを用いることができる。
【0008】
また、請求項3に示すように、配線部材の上端面には、反射防止膜を備えるようにしてもよい。
【0009】
また、請求項4に示すように、ホールと配線部材との間には、Tiを主成分とする下地金属膜を備えるようにしてもよい。
【0010】
Tiは、Alの濡れ性を向上させることができる材料である。したがって、このような下地金属を備えることによって、ホールに対する配線部材の埋め込み性を良くすることができるので、配線部材間の接続信頼性を向上することができる。
【0011】
また、上記目的を達成するために請求項5に記載の半導体装置の製造方法は、半導体基板上に形成されたホールに対し、ホールの内部及びホールの上部側開口周囲にAlを主成分とする配線部材を形成してなる半導体装置の製造方法であって、絶縁層に設けられたホールの内部及びホールの上部側開口周囲にAlの濡れ性を向上するためにAlとは異なる金属を主成分とする下地金属膜を成膜する下地成膜工程と、下地金属膜上に凝集の生じない温度でAlを主成分とする第1配線部材を成膜する第1成膜工程と、第1配線部材を加熱温度400℃以上、加熱時間100秒より長く加熱するプリヒート工程と、プリヒート工程後、第1配線部材上に第1成膜工程よりも高い温度で第1配線部材と同じ成分で構成される第2配線部材を成膜し配線部材を形成する第2成膜工程とを備えることを特徴とするものである。
【0012】
このようにすることによって、ホール(ビアホール、コンタクトホール)の内部及びホールの上部側開口周囲に形成するAlを主成分とする配線部材の上端面を平坦にすることができる。これによって、配線部材の真上に上段のホール(ビアホール)を形成して、そのホールに配線部材を形成することができる。つまり、Alスタックド配線構造とすることができる。したがって、タングステンプラグを用いた場合のようなWとAlとのカーケンダル効果は生じないので、高温で配線に流れる電流が大電流となる使用環境であっても信頼性を低下することなく高集積化ができる半導体装置を製造することができる。
【0013】
また、上記目的を達成するために請求項6に記載の半導体装置の製造方法は、半導体基板上に形成されたホールに対し、ホールの内部及びホールの上部側開口周囲に、Alを主成分とする配線部材を形成してなる半導体装置の製造方法であって、絶縁層に設けられたホールの内部及びホールの上部側開口周囲に、Alの濡れ性を向上するために、Alとは異なる金属を主成分とする下地金属膜を成膜する下地成膜工程と、下地金属膜上に、凝集の生じない温度で、Alを主成分とする第1配線部材を成膜する第1成膜工程と、第1配線部材を所定の条件を満たす加熱温度、加熱時間で加熱するプリヒート工程と、プリヒート工程後、第1配線部材上に、第1成膜工程よりも高い温度で、60Å/s以下のレートで第1配線部材と同じ成分で構成される第2配線部材を成膜し配線部材を形成する第2成膜工程とを備えることを特徴とするものである。
【0014】
このようにすることによって、ホール(ビアホール、コンタクトホール)の内部及びホールの上部側開口周囲に形成するAlを主成分とする配線部材の上端面を平坦にすることができる。これによって、配線部材の真上に上段のホール(ビアホール)を形成して、そのホールに配線部材を形成することができる。つまり、Alスタックド配線構造とすることができる。したがって、タングステンプラグを用いた場合のようなWとAlとのカーケンダル効果は生じないので、高温で配線に流れる電流が大電流となる使用環境であっても信頼性を低下することなく高集積化ができる半導体装置を製造することができる。
【0015】
また、第1成膜工程は、請求項7に示すように、イオナイズドスパッタ法を採用することもできるし、請求項8に示すように、CVD法を採用することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態を図に基づいて説明する。
【0017】
図1は、本実施形態に係る半導体装置の製造方法が適用される半導体装置の概略構成を示す断面図である。図1に示す半導体装置は、下地絶縁層140の下部に形成される半導体素子は省略して、半導体素子が形成された基板上に構成される配線部を示すものである。半導体素子は、LDMOS(Lateral Double-diffused MOS)トランジスタなどを採用することができるが、特に限定されるものではない。なお、尚、半導体素子に関しては、例えば本出願人が先に特開2007−250587号公報等により開示しているので、本実施の形態における詳細な説明は省略する。
【0018】
配線部は、半導体層上に、下地絶縁層140(例えばBPSG層)及び150(例えばTEOS層)、コンタクト層40(本発明における配線部材に相当するものであり、例えばAl層)、第1層間絶縁層110(例えばTEOS層)、1stAl層10(本発明における配線部材に相当する)、第2層間絶縁層120(例えばTEOS層)、2ndAl層20(本発明における配線部材に相当する)、第3層間絶縁層130(例えばTEOS層)、3rdAl層30(本発明における配線部材に相当する)、及びパッシベーション層160(例えばP−SiN層)を順に形成してなる。図1に示すように、本実施の形態における半導体装置は、コンタクト層40及びAl層の真上にAl層を積層したAlスタック構造をなすものである。具体的には、コンタクト層40の真上に1stAl層10が積層され、1stAl層10の真上に2ndAl層20が積層され、2ndAl層20の真上に3rdAl層30が積層されてなるものである。つまり、コンタクト層40、1stAl層10、2ndAl層20、3rdAl層20はアルミプラグである。
【0019】
なお、本実施の形態においては、配線部材である1stAl層10、2ndAl層20、3rdAl層30、コンタクト層40として、AlCuを採用して説明する。ただし、配線部材は、AlCuに限定されるものではなく、他にも純Al、AlSi、AlSiCuなどを採用することができる。
【0020】
このように構成される半導体装置において、本実施形態においては、上述の配線部の構造、及びAl金属層(コンタクト層40、1stAl層10、2ndAl層20、3rdAl層30)の製造方法に特徴がある。その代表例として、コンタクト層40及び1stAl層10の製造方法を、図2乃至図4を用いて説明する。
【0021】
まず、図2を用いて、コンタクト層40の製造方法に関して説明する。
【0022】
上述した基板に半導体素子を形成後(デバイス工程後)、半導体層の表面上(基板表面上)に下地絶縁層140及び150を形成する。そして、図2(a)に示すように下地絶縁層140及び150にコンタクトホール141を形成するホール形成工程を実施する。
【0023】
次に、所定の条件のもとで所謂2段階スパッタ法(低温スパッタ後、高温スパッタを実施)を実施する。このように所定の条件のもとで2段階スパッタ法を採用すると、コンタクト層40(AlCu)の表面を平坦化しやすくすることができる。
【0024】
先ず、図2(b)に示すように、コンタクトホール141の壁面(内部)及びコンタクトホール141の上部側開口周囲(下地絶縁層150上)に、下地金属膜60を成膜する下地成膜工程を実施する。この下地成膜工程は、Alの濡れ性を向上し、凝集が生じるのを抑制するために実施する。なお、下地金属膜60を設けないと、同一条件で後述するコンタクト層40(AlCu)を成膜しても、凝集が生じる可能性がある。
【0025】
下地金属膜60の構成材料としては、Alとは異なる金属を主成分とし、Alの濡れ性を向上できるものであれば採用することができる。本実施形態においては、Ti及びTiを主成分とするTiN膜を下地金属膜60として採用している。なお、下地金属膜60に関しては、周知技術であるため図1〜図4においては、Ti膜とTiN膜とを一層で簡略化して描いてある。
【0026】
具体的には、デガス処理(例えば、350℃で2分)した後、スパッタ法により、数十nm程度(例えば、膜厚70nm)の厚さとなるようにTi膜を成膜する。成膜条件は、例えば、温度270℃、パワー1〜3kw、Ar圧7mtorr。その後、スパッタ法により、100数nm程度(例えば、膜厚100〜150nm)の厚さとなるようにTiN膜を成膜する。成膜条件は、例えば、温度270℃、パワー6〜8kw、Ar圧7mtorr。
【0027】
次いで、図2(c)に示すように、下地金属膜60上に、凝集の生じない温度で、AlCuからなる第1Al金属膜41を成膜する第1成膜工程を実施する。このように、凝集の生じない温度(換言すれば低温)で第1Al金属膜41を成膜すると、凝集が生じるのを抑制することができる。なお、高温で成膜した場合、下地金属膜60を設けても、凝集が生じる可能性がある。
【0028】
具体的には、凝集の生じない温度として、200℃以下の温度(例えば150℃)で成膜するようにしている。そして、第1Al金属膜41の膜厚を例えば150〜300nm程度としている。その他の成膜条件は、例えば、パワー7〜8kw、Ar圧7mtorrである。
【0029】
このように低温成膜する場合、高温成膜に比べて膜厚を均一とすることができる。第1成膜工程が終了した段階では、図2(c)に示すように、コンタクトホール141の上方に位置する第1Al金属膜41の部位に、凹部を有している。
【0030】
第1Al金属膜41成膜後、第1Al金属膜41を加熱するプリヒート工程を実施する。このプリヒート工程は、加熱により第1Al金属膜41を流動させて、コンタクトホール141内を埋める(凹部を小さくする)、すなわち、最終的にコンタクト層40(Al金属層)を平坦化するために実施するものである。このプリヒート工程は、加熱温度400℃以上、加熱時間100秒より長く加熱する。この条件を満たすことによって、第1Al金属膜41の表面(上端面)を平坦にできる。
【0031】
そして、プリヒート工程終了後、図2(d)に示すように、第1Al金属膜41上に、第1成膜工程よりも高い温度で、第1Al金属膜と同じ成分で構成される第2Al金属膜(図示略)を例えば、膜厚200〜350nm成膜する第2成膜工程を実施する。これにより、コンタクト層40が形成される。このときの成膜条件は、例えば、パワー1〜3kw、温度350〜480℃、Ar圧7mtorrである。このように、上述の条件に従ってプリヒート工程を実施した後に、第2成膜工程を実施することによって、コンタクト層40の表面(上端面)を平坦にすることができる。
【0032】
また、第2成膜工程において、成膜条件を変更して(例えば、パワー1〜2.5kw、温度350〜480℃、Ar圧7mtorr)、レートを60Å/s以下とすることによって、プリヒート工程の条件によらずコンタクト層40の表面(上端面)を平坦にすることができる。
【0033】
次に、第2成膜工程終了後、図2(e)に示すように、スパッタ法により、数十nm程度(例えば、膜厚30nm)の厚さとなるようにTiN膜62を成膜する。成膜条件は、例えば、温度270℃、パワー3〜7kw、Ar/N2ガス比1:1。そして、TiN膜62を成膜終了後、図2(f)に示すよう、フォトリソグラフィによってコンタクト層40を形成する。
【0034】
また、本実施の形態においては、第2成膜工程と同一のチャンバを利用してプリヒート工程を実施するようにしている。これにより、製造工程(設備)を簡素化している。しかしながら、第2成膜工程とは別のチャンバにてプリヒート工程を実施しても良い。
【0035】
このように、本実施形態に係る半導体装置の製造方法によれば、プリヒート工程において、加熱温度400℃以上、加熱時間100秒より長く加熱するか、第2成膜工程において、成膜条件を変更して(例えば、パワー1〜2.5kw、温度350〜480℃、Ar圧7mtorr)、レートを60Å/s以下とすることによって、コンタクト層40の表面(上端面)を平坦にすることができる。したがって、コンタクト層40の真上に第1ビアホール111及び1stAl層10を形成して、Alスタック構造とすることができる。
【0036】
また、このようにAlスタック構造をなすことができるので、タングステンプラグを用いる必要がない。よって、WとAlとのカーケンダル効果は生じないので、高温で配線に流れる電流が大電流となる使用環境であっても信頼性を低下することなく高集積化ができる半導体装置を製造することができる。
【0037】
次に、図3を用いて、1stAl層10のためのビアホールの製造方法を説明する。
【0038】
まず、図3(a)に示すように、図2(f)の工程終了後に全面にP−SiN層61を形成する。そして、図3(b)に示すように、P−SiN層61上に第1層間絶縁層110(例えばTEOS層)を形成する。この第1層間絶縁膜110は、コンタクト層40上に形成するため表面が凸凹状態となる。そこで、図3(c)に示すように、CMP(Chemical Mechanical Polishing)にて表面を平坦化する。その後、図3(d)に示すように、第1層間絶縁層110に第1ビアホール111を形成するビアホール形成工程を実施する。このとき、第1ビアホール111は、コンタクトホール141の真上に形成する。本実施の形態においては、第1ビアホール111の底辺に露出するTiN膜62が形成されているコンタクト層40の上端面は平坦に形成されているため、コンタクト層40の真上に1stAl層10を形成しても配線不良などを抑制できるためである。
【0039】
次に、図4を用いて1stAl層10の製造方法を示す工程別断面図である。
【0040】
この1stAl層10の製造方法は、上述のコンタクト層40の製造方法と略同じである。1stAl層10に関しても、所定の条件のもとで所謂2段階スパッタ法(低温スパッタ後、高温スパッタを実施)を実施する。このように所定の条件のもとで2段階スパッタ法を採用すると、1stAl層10(AlCu)の表面を平坦化しやすくすることができる。
【0041】
先ず、図4(a)に示すように、第1ビアホール111の壁面(内部)及び第1ビアホール111の上部側開口周囲(第1層間絶縁膜110上)に、下地金属膜63を成膜する下地成膜工程を実施する。この下地成膜工程は、Alの濡れ性を向上し、凝集が生じるのを抑制するために実施する。なお、下地金属膜63を設けないと、同一条件で後述する1stAl層10(AlCu)を成膜しても、凝集が生じる可能性がある。
【0042】
下地金属膜63の構成材料としては、Alとは異なる金属を主成分とし、Alの濡れ性を向上できるものであれば採用することができる。例えば、Ti、TiN膜、Ti/TiN/Ti膜などを採用することができる。本実施形態においては、下地金属膜63としてTi膜を採用している。
【0043】
具体的には、デガス処理(例えば、350℃で2分)した後、スパッタ法により、数十nm程度(例えば、膜厚70nm)の厚さとなるようにTi膜を成膜する。成膜条件は、例えば、温度270℃、パワー1〜3kw、Ar圧7mtorr。
【0044】
次いで、図4(b)に示すように、下地金属膜63上に、凝集の生じない温度で、AlCuからなる第3Al金属膜11を成膜する第3成膜工程(第1成膜工程と同等)を実施する。このように、凝集の生じない温度(換言すれば低温)で第3Al金属膜11を成膜すると、凝集が生じるのを抑制することができる。なお、高温で成膜した場合、下地金属膜63を設けても、凝集が生じる可能性がある。
【0045】
具体的には、凝集の生じない温度として、200℃以下の温度(例えば150℃)で成膜するようにしている。そして、第3Al金属膜11の膜厚を例えば150〜300nm程度としている。その他の成膜条件は、例えば、パワー7〜8kw、Ar圧7mtorrである。
【0046】
このように低温成膜する場合、高温成膜に比べて膜厚を均一とすることができる。第3成膜工程が終了した段階では、図4(b)に示すように、第1ビアホール111の上方に位置する第3Al金属膜11の部位に、凹部を有している。
【0047】
第3Al金属膜11成膜後、第3Al金属膜11を加熱するプリヒート工程を実施する。このプリヒート工程は、加熱により第3Al金属膜11を流動させて、第1ビアホール111内を埋める(凹部を小さくする)、すなわち、最終的に1stAl層10を平坦化するために実施するものである。このプリヒート工程は、加熱温度400℃以上、加熱時間100秒より長く加熱する。この条件を満たすことによって、第3Al金属膜11の表面(上端面)を平坦にできる。
【0048】
そして、プリヒート工程終了後、図4(c)に示すように、第3Al金属膜11上に、第3成膜工程よりも高い温度で、第3Al金属膜と同じ成分で構成される第4Al金属膜(図示略)を例えば、膜厚200〜350nm成膜する第4成膜工程(第2成膜工程と同等)を実施する。これにより、1stAl層10が形成される。このときの成膜条件は、例えば、パワー1〜3kw、温度350〜480℃、Ar圧7mtorrである。このように、上述の条件に従ってプリヒート工程を実施した後に、第4成膜工程を実施することによって、コンタクト層40の表面(上端面)を平坦にすることができる。
【0049】
また、第4成膜工程において、成膜条件を変更して(例えば、パワー1〜2.5kw、温度350〜480℃、Ar圧7mtorr)、レートを60Å/s以下とすることによって、プリヒート工程の条件によらずコンタクト層40の表面(上端面)を平坦にすることができる。
【0050】
次に、第4成膜工程終了後、図4(d)に示すように、スパッタ法により、数十nm程度(例えば、膜厚30nm)の厚さとなるようにTiN膜64を成膜する。成膜条件は、例えば、温度270℃、パワー3〜7kw、Ar/N2ガス比1:1。そして、TiN膜を成膜終了後、図4(e)に示すよう、フォトリソグラフィによって1stAl層10を形成する。
【0051】
また、本実施の形態においては、第4成膜工程と同一のチャンバを利用してプリヒート工程を実施するようにしている。これにより、製造工程(設備)を簡素化している。しかしながら、第4成膜工程とは別のチャンバにてプリヒート工程を実施しても良い。
【0052】
なお、2ndAl層20、3rdAl層30に関しては、図3及び図4に示す製造方法を繰り返し実施することによって製造することができる。そして、3rdAl層30の成膜後は、パッシベーション層160を成膜し、アニール処理(例えば、450℃で30分)を実施する。
【0053】
なお、第2層間絶縁膜120は、第1層間絶縁膜110と同様のものである。第2ビアホール121の壁面(内部)及び第2ビアホール121の上部側開口周囲(第2層間絶縁膜120上)に形成される下地金属膜65は、下地金属膜63と同様のものである。2ndAl層20の表面に形成されるのはTiN膜66である。第3層間絶縁膜130は、第1層間絶縁膜110と同様のものである。第3ビアホール131の壁面(内部)及び第3ビアホール131の上部側開口周囲(第3層間絶縁膜130上)に形成される下地金属膜67は、下地金属膜63と同様のものである。3rdAl層30の表面に形成されるのはTiN膜68である。第2ビアホール121及び第3ビアホール131は、第1ビアホール111と同等のものである。
【0054】
このように、本実施形態に係る半導体装置の製造方法によれば、プリヒート工程において、加熱温度400℃以上、加熱時間100秒より長く加熱するか、第2成膜工程において、成膜条件を変更して(例えば、パワー1〜2.5kw、温度350〜480℃、Ar圧7mtorr)、レートを60Å/s以下とすることによって、1stAl層10の表面(上端面)を平坦にすることができる。したがって、1stAl層10の真上に第2ビアホール121及び2ndAl層20を形成して、Alスタック構造とすることができる。
【0055】
また、このようにAlスタック構造をなすことができるので、タングステンプラグを用いる必要がない。よって、WとAlとのカーケンダル効果は生じないので、高温で配線に流れる電流が大電流となる使用環境であっても信頼性を低下することなく高集積化ができる半導体装置を製造することができる。
【0056】
特に、車載用パワーICにおいては、高集積化と微細化が求められ、微細ホールを重ねたスタックビアが必要である。車載環境は、より厳しく、大電流化と素子の発熱による耐高温化(150℃以上の高温保証が必要)を両立した高信頼性配線が必須となる。
【0057】
そこで、本実施の形態における半導体装置は、上述のように高温で配線に流れる電流が大電流となる使用環境であっても信頼性を低下することなく高集積化ができる。したがって、本発明の半導体装置は、車載用パワーICに適用して好適なものである。
【0058】
なお、上述の実施の形態における第1成膜工程は、イオナイズドスパッタ法やCVD法によってコンタクト層40、1stAl層10を成膜するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】本発明の実施の形態における半導体装置の概略構成を示す断面図である。
【図2】本発明の実施の形態におけるコンタクト層40の製造方法を示す工程別断面図である。
【図3】本発明の実施の形態における1stAl層10のためのビアホールの製造方法を示す工程別断面図である。
【図4】本発明の実施の形態における1stAl層10の製造方法を示す工程別断面図である。
【符号の説明】
【0060】
10 1stAl層、20 2ndAl層、30 3rdAl層、40 コンタクト層、
61,63,65,67 下地金属膜、111 第1ビアホール、121 第2ビアホール、131 第3ビアホール、141 コンタクトホール、110 第1層間絶縁層、120 第2層間絶縁層、130 第3層間絶縁層、140,150 下地絶縁層、160 パッシベーション層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体基板に設けられるホールが形成された複数層の絶縁層と、前記ホールの内部及び前記ホールの上部側開口周囲に設けられる配線部材とを含む半導体装置であって、
前記配線部材は、Alを主成分とする金属からなり、
前記複数層の絶縁層のうち二層目以降の絶縁層に形成される前記ホールは、当該ホールが形成されている絶縁層の直下の絶縁層に設けられるホールの真上であり、当該直下の絶縁層のホールに設けられる前記配線部材上に形成されることを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
前記配線部材は、純Al、AlSi、AlSiCu、AlCuのうちの少なくとも一つからなることを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記配線部材の上端面には、反射防止膜を有することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記ホールと前記配線部材との間には、Tiを主成分とする下地金属膜を有することを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項5】
半導体基板上に形成されたホールに対し、当該ホールの内部及び当該ホールの上部側開口周囲に、Alを主成分とする配線部材を形成してなる半導体装置の製造方法であって、
絶縁層に設けられた前記ホールの内部及び前記ホールの上部側開口周囲に、Alの濡れ性を向上するために、前記Alとは異なる金属を主成分とする下地金属膜を成膜する下地成膜工程と、
前記下地金属膜上に、凝集の生じない温度で、Alを主成分とする第1配線部材を成膜する第1成膜工程と、
前記第1配線部材を、加熱温度400℃以上、加熱時間100秒より長く加熱するプリヒート工程と、
前記プリヒート工程後、前記第1配線部材上に、前記第1成膜工程よりも高い温度で、前記第1配線部材と同じ成分で構成される第2配線部材を成膜し、前記配線部材を形成する第2成膜工程と、
を備えることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項6】
半導体基板上に形成されたホールに対し、当該ホールの内部及び当該ホールの上部側開口周囲に、Alを主成分とする配線部材を形成してなる半導体装置の製造方法であって、
絶縁層に設けられた前記ホールの内部及び前記ホールの上部側開口周囲に、Alの濡れ性を向上するために、前記Alとは異なる金属を主成分とする下地金属膜を成膜する下地成膜工程と、
前記下地金属膜上に、凝集の生じない温度で、Alを主成分とする第1配線部材を成膜する第1成膜工程と、
前記第1配線部材を、所定の条件を満たす加熱温度、加熱時間で加熱するプリヒート工程と、
前記プリヒート工程後、前記第1配線部材上に、前記第1成膜工程よりも高い温度で、60Å/s以下のレートで前記第1配線部材と同じ成分で構成される第2配線部材を成膜し、前記配線部材を形成する第2成膜工程と、
を備えることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項7】
前記第1成膜工程は、イオナイズドスパッタ法によって前記第1配線部材を成膜することを特徴とする請求項5又は請求項6に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項8】
前記第1成膜工程は、CVD法によって前記第1配線部材を成膜することを特徴とする請求項5又は請求項6に記載の半導体装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−212368(P2009−212368A)
【公開日】平成21年9月17日(2009.9.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−55081(P2008−55081)
【出願日】平成20年3月5日(2008.3.5)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】