半導体装置
【課題】 銅を主構成材料とする配線構造において、ストレスマイグレーションによるボイドの発生を抑制し、信頼性の高い半導体装置を提供する
【解決手段】 半導体基板上の絶縁膜上に形成される多層配線構造において、主構成材料が銅からなる第1の配線の上面に接するように、下から順にバリア性が高く、かつ圧縮応力を有する第1の絶縁膜、引張応力を有する第2の絶縁膜、前記第1の絶縁膜と前記第2の絶縁膜よりも誘電率の低い第3の絶縁膜が少なくとも積層されており、前記第1の絶縁膜、前記第2の絶縁膜、および前記第3の絶縁膜を貫通し前記第1の配線に接するようにビアホールが設けられている配線構造とする。
【解決手段】 半導体基板上の絶縁膜上に形成される多層配線構造において、主構成材料が銅からなる第1の配線の上面に接するように、下から順にバリア性が高く、かつ圧縮応力を有する第1の絶縁膜、引張応力を有する第2の絶縁膜、前記第1の絶縁膜と前記第2の絶縁膜よりも誘電率の低い第3の絶縁膜が少なくとも積層されており、前記第1の絶縁膜、前記第2の絶縁膜、および前記第3の絶縁膜を貫通し前記第1の配線に接するようにビアホールが設けられている配線構造とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置に関し、特に、埋込配線の主配線材料として銅を主成分とする導体膜を用いる半導体装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、LSIの高集積化、高速化を目的としたトランジスタの微細化に伴って、配線の信号遅延が顕在化してきており、これに伴い、配線抵抗の低減と配線間容量の低減とが望まれている。そこで、配線抵抗の低減のため、配線材料として従来のアルミニウム合金よりも低抵抗で、マイグレーション耐性に優れた銅(Cu)を用いた銅配線技術が開発されつつある。また、配線間容量を低減するために、層間絶縁膜材料としては低誘電率絶縁膜の適用が検討されている。
【0003】
これらの銅配線構造は埋込配線技術によって形成される。埋込配線技術は、例えば次の通りである。まず、絶縁膜に配線溝や孔等のような配線開口部を形成した後、その配線開口部内を含む絶縁膜上に導電性バリア膜および銅を主成分とする導体膜を下方から順に堆積する。続いて、化学機械研磨法等によって余分な導体膜および導電性バリア膜を研磨することにより、配線開口部内に埋込配線を形成する。その後、洗浄処理を施した後、その絶縁膜および埋込配線の上面上に、例えば窒化シリコン膜等からなる拡散防止絶縁膜を形成する。その後、拡散防止絶縁膜上面上に低誘電率膜を堆積する。
【0004】
しかしCu配線構造の開発過程において予想外にストレスマイグレーションに弱いことが明らかとなり、銅配線内やビア内部にストレスマイグレーションによるボイドが形成されることが懸念され、以下の技術が開示されている。
【0005】
例えば、特開2003−303880号公報には、上層配線とビアとの接続部分の応力を緩和するために、層間絶縁膜を積層構造とする技術が開示されている(ビア内部のストレスマイグレーションを防止する技術)。
さらに、例えば、特開2003−257979号公報には、配線用の銅中に不純物原子を添加する技術が開示されている(銅配線のストレスマイグレーションを防止する技術)。
【0006】
【特許文献1】特開2003−303880号公報
【特許文献2】特開2003−257979号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、上記の銅配線構造を有する半導体装置においては、配線間を接続するビアホールの下部の配線において、ストレスマイグレーション不良が発生する問題がある。この問題は、ビアホール径が小さい場合に特に顕著である。これにより、ビアホール下部付近の配線部においてボイドが発生し、配線抵抗が増大したり断線不良が生じることが懸念されている。
【0008】
そこで、本発明の目的は、銅を主構成材料とする配線構造において、ストレスマイグレーションによるボイドの発生を抑制し、信頼性の高い半導体装置を提供することにある。
【0009】
本発明の前記並びにその他の目的と新規な特徴は、本明細書の記述及び添付図面によって明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本願において開示される発明のうち、代表的なものの概要を簡単に説明すれば、下記のとおりである。
【0011】
上記の目的は、半導体基板上の絶縁膜上に形成される多層配線構造において、主構成材料が銅からなる第1の配線の上面に接するように、下から順にバリア性が高く、かつ圧縮応力を有する第1の絶縁膜、引張応力を有する第2の絶縁膜、前記第1の絶縁膜と前記第2の絶縁膜よりも誘電率の低い第3の絶縁膜が少なくとも積層されており、前記第1の絶縁膜、前記第2の絶縁膜、および前記第3の絶縁膜を貫通し前記第1の配線に接するようにビアが設けられ、ビアを介して第2の配線が接続されている配線構造とすることにより達成される。
【0012】
上記において、好ましくは、前記第1の絶縁膜の膜厚が、前記第2の絶縁膜の膜厚よりも小さいことを特徴とする。
上記において、好ましくは、前記第1の絶縁膜のヤング率が前記第2の絶縁膜のヤング率よりも大きく、なおかつ前記第1の絶縁膜の膜厚が、前記第2の絶縁膜の膜厚よりも小さいことを特徴とする。
上記において、好ましくは、前記第2の絶縁膜がバリア性の高い絶縁膜であることを特徴とする。
上記において、好ましくは、前記第1の絶縁膜が少なくとも窒素原子を含む絶縁膜からなることを特徴とする。
上記において、好ましくは、前記第3の絶縁膜が引張応力を有する低誘電率絶縁膜であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本願において開示される発明のうち代表的なものによって得られる効果を簡単に説明すれば、下記のとおりである。
本発明によれば、銅を主構成材料とした金属膜からなる配線において、ビアホール底部付近の応力勾配を低減することができ、これによりストレスマイグレーションによるボイドの発生を抑制できるため、信頼性の高い半導体装置が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態について図を参照して説明する。
【0015】
(実施形態1)
まず、本発明における第1の実施形態を図1により説明する。本実施形態による半導体装置の主要部の断面構造を図1に示す。
【0016】
図1に示す本実施形態1の半導体装置においては、半導体基板として例えば単結晶シリコンからなるシリコン基板1の主面(素子形成面,回路形成面)にトランジスタが形成されており、前記トランジスタは、例えばゲート絶縁膜3、ゲート電極4および拡散層(図示せず)等で構成されている。それぞれのトランジスタは、酸化シリコンや窒化シリコンなどからなる素子分離膜2によって素子分離されている。また、前記ゲート電極4および、拡散層上面にはシリサイド7が形成されている。
【0017】
前記ゲート絶縁膜3は、例えば酸化シリコン、窒化シリコン、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化ハフニウム、五酸化タンタル等の誘電体膜あるいはこれらの積層構造からなり、例えば化学気相蒸着法、スパッタリング法などを用いて形成される。また、前記ゲート電極4は、例えば多結晶シリコン膜や金属膜、シリコンゲルマニウム膜あるいは金属シリサイド膜あるいはこれらの積層構造からなり、例えば、化学気相蒸着法、スパッタリング法などを用いて形成される。
前記ゲート絶縁膜3、ゲート電極4、シリサイド7の側壁には酸化シリコンや窒化シリコン等からなるサイドウォール6が形成されている。
【0018】
前記トランジスタを含むシリコン基板1の主面の上部全面は、絶縁膜8で覆われている。ここで、絶縁膜8は、例えば低誘電絶縁膜(SiOC、SiOFもしくはSiOCやSiO2のポーラス材料等)やBPSG(Boron−doped Phospho Silicate Glass)膜やSOG(Spin On Glass)膜、あるいはテトラエトキシシランを原料としたCVD法により形成した酸化シリコン膜(以下TEOS(Tetra-Ethoxy-Silicate)膜という)、あるいは化学気相蒸着法やスパッタ法で形成したシリコン酸化膜や窒化膜等からなる。あるいは、これらの積層構造からなる。絶縁膜であれば、これに限定されるものではない。
【0019】
さらに、前記絶縁膜8の上面には、第1の線間絶縁膜9が形成されている。前記第1の線間絶縁膜9は、前記絶縁膜8と同様、低誘電絶縁膜(SiOC、SiOFもしくはSiOCやSiO2のポーラス材料等)やBPSG膜やSOG膜、TEOS膜、あるいは化学気相蒸着法やスパッタ法で形成したシリコン酸化膜や窒化膜等からなる。あるいは、これらの積層構造からなる。絶縁膜であれば、これに限定されるものではない。
【0020】
例えば、第1の線間絶縁膜9を、下層から順にTEOS膜、低誘電絶縁膜、TEOS膜の積層構造とすることによって、これらの低誘電率絶縁膜の機械的強度を確保することができる。しかし、もちろんTEOS膜の代わりに、前述のCVD法を用いて形成した低誘電絶縁膜を用いてもよい。
【0021】
前記第1の線間絶縁膜9には、配線を形成するための配線溝10が形成されている。前記配線溝10内には、例えば下から順にスパッタ法により形成された窒化タンタル膜(TaN)およびタンタル膜(Ta)を含むバリア膜11が設けられている。このバリア膜11の形成方法としては、CVD法を用いてもよいし、また、スパッタ法の一種であるイオン化スパッタ法を用いてもよい。このイオン化スパッタ法は、バリア膜を構成する金属をイオン化し、さらに、基板にバイアスを印加することによって、金属イオンに指向性を持たせるものであり、微細な溝の内部においても被覆性良く膜を堆積させることができる。
【0022】
バリア膜11としては、前述のTaNおよびTaとの積層膜に限定されるものではなく、例えば、Ta、TaN、TaSiN、W、窒化タングステン(WN)、WSiN、Ti、TiNもしくはTiSiNからなる単層膜や、これらの積層膜を用いても良い。また、バリア膜11として、Ru、Tiを添加したRuからなる単層膜や、RuとTiNの積層膜、RuとTaNの積層膜を用いてもよい。バリア膜11としてRuを用いた場合には、RuとCuとの密着性を向上させ、マイグレーションを防止する効果もさらに得られる。
【0023】
次いで、前記配線溝10内のバリア膜11上には、第1の銅配線12が形成されている。前記第1の銅配線12は、例えば、電界メッキ用のシード膜とめっき膜の積層からなる。シード膜は例えばイオン化スパッタ法などのスパッタ法を用いて形成する。
【0024】
シリコン基板1の主面に形成された拡散層と、シリコン基板1の主面上に形成された第1の銅配線12とは、前記絶縁膜8に設けられたコンタクトプラグ5を介して、電気的に接続されている。
【0025】
次に、前記第1の線間絶縁膜9、および第1の銅配線12の上面には、拡散防止絶縁膜13が形成されている。拡散防止絶縁膜13は、銅原子が層間絶縁膜中に拡散するのを防止するためのバリア膜として形成されている。ここで、前記拡散防止絶縁膜13は、銅の拡散に対するバリア性が酸化シリコンより高く、かつ圧縮応力を有する絶縁膜である。
【0026】
ここで、前記配線拡散防止絶縁膜13として、例えばSiN膜(窒化シリコン膜)、SiON(酸窒化シリコン膜)、SiC膜(炭化シリコン膜)もしくはSiCN膜(炭窒化シリコン膜)等を用いてもよい。
【0027】
さらに、前記拡散防止絶縁膜13の上面には、第1の層間絶縁膜14が形成されている。ここで、前記第1の層間絶縁膜14は、引張応力を有する膜である。
さらに、前記第1の層間絶縁膜14の上面には、第2の層間絶縁膜15が形成されている。
【0028】
ここで、前記第2の層間絶縁膜15は、例えば低誘電率絶縁膜である。低誘電率絶縁膜は、例えば、SiOCを主成分とする膜、あるいはSiOFを主成分とする膜、SiCを主成分とする膜や、芳香族炭化水素構造の有機ポリマー膜(CとHを含有する膜)や、上記各種膜やSiO2(酸化シリコン膜)等の膜中に空孔を導入(ポーラス化)することにより誘電率を下げることができる。これらの膜は、CVD法を用いて形成することができる。さらに低誘電率絶縁膜は、例えば芳香族ポリマー材料を塗布し、熱処理を施すことにより形成することができる。また、低誘電絶縁膜として、有機系のシリカガラスを用いてもよい。この場合も、材料を塗布した後熱処理を施す。この有機系のシリカガラスの組成は、主にSiOCHである。また、他の有機ポリマー材料や、上記の各種材料に空孔を導入した材料を用いることもできる。
【0029】
このような低誘電絶縁膜の誘電率は、酸化シリコン膜(例えば、TEOS膜)より低く(誘電率が3.7以下であり)、その結果、配線間の寄生容量が低減されるため半導体装置の動作の高速化を図ることができる。
【0030】
次に、前記第2の層間絶縁膜15の上面には、第2の線間絶縁膜16が形成されている。
ここで、前記第2の線間絶縁膜16は、前記第1の線間絶縁膜9と同様に、例えば低誘電絶縁膜(SiOC、SiOFもしくはSiOCやSiO2のポーラス材料等)やBPSG膜やSOG膜、TEOS膜、あるいは化学気相蒸着法やスパッタ法で形成したシリコン酸化膜や窒化膜等からなる。あるいは、これらの積層構造からなる。絶縁膜であれば、これに限定されるものではない。
【0031】
前記第2の線間絶縁膜16、前記第2の層間絶縁膜15、前記第1の層間絶縁膜14、および前記拡散防止絶縁膜13、を貫通するように、ビアホール(接続孔)17bおよび配線溝17aが形成されている。ビアホール17bは、第1の銅配線12と配線溝17aとの間に配置されており、第2の層間絶縁膜15、第1の層間絶縁膜14及び拡散防止絶縁膜13を貫通し、かつ配線溝17a及び第1の銅配線12に連なっている。
【0032】
前記ビアホール17bおよび配線溝17a内には、例えば下から順にスパッタ法により形成された窒化タンタル膜(TaN)およびタンタル膜(Ta)を含むバリア膜18が設けられている。このバリア膜18の形成方法としては、CVD法を用いてもよいし、また、スパッタ法の一種であるイオン化スパッタ法を用いてもよい。このイオン化スパッタ法は、バリア膜を構成する金属をイオン化し、さらに、基板にバイアスを印加することによって、金属イオンに指向性を持たせるものであり、微細な溝の内部においても被覆性良く膜を堆積させることができる。
【0033】
前記バリア膜18としては、前述のTaNおよびTaとの積層膜に限定されるものではなく、例えば、Ta、TaN、TaSiN、W、窒化タングステン(WN)、WSiN、Ti、TiNもしくはTiSiNからなる単層膜や、これらの積層膜を用いても良い。また、バリア膜18として、Ru、Tiを添加したRuからなる単層膜や、RuとTiNの積層膜、RuとTaNの積層膜を用いてもよい。バリア膜18としてRuを用いた場合には、RuとCuとの密着性を向上させ、マイグレーションを防止する効果もさらに得られる。
【0034】
次いで、前記ビアホール17bおよび配線溝17a内の前記バリア膜18上には、主構成材料が銅膜からなるビア19、および第2の銅配線20が形成されている。前記ビア19、および第2の銅配線20は、例えば、電界メッキ用のシード膜とめっき膜の積層からなる。シード膜は例えばイオン化スパッタ法などのスパッタ法を用いて形成する。
ここで、ビア19とは、銅配線20の一部からなり、銅配線20と下層の銅配線12とを電気的に接続するための部分である。
【0035】
次いで、前記第2の線間絶縁膜16、および第2の銅配線20の上面には、絶縁膜21、絶縁膜22などが形成されている。
その後、所望の工程により、半導体装置が完成される。
【0036】
本実施形態においては、2層配線構造の場合について説明したが、前記拡散防止絶縁膜13の層から前記第2の線間絶縁膜16までの層を形成する前述の工程を、必要な配線層分繰り返すことで多層配線構造を得ることができる。
本発明による配線構造は多層配線構造内において、少なくとも一層に使用されていればよく必ずしも全層に用いる必要はない。
【0037】
ビア下部の配線におけるストレスマイグレーションはビア径が小さくなるほど加速されるため、多層配線構造において、最小ビア径が相対的に小さい、下層部分のビアが形成される層間絶縁膜部分にのみ、本発明による配線構造を適用することにより、工程数の増加を防ぐことができ、かつストレスマイグレーションによる抵抗上昇を防止することが可能である。
【0038】
つぎに、上記構成の本実施形態1による半導体装置の作用効果を以下に説明する。従来の主構成材料が銅膜である配線においては、ビア下部においてストレスマイグレーションによってボイドが発生し、抵抗が増大することが懸念されていた。本願発明者らは、実験と解析により、ビア下部配線におけるボイドによる抵抗増大は、ビア下部銅膜応力勾配の増大によって加速されていることを明らかにした。
【0039】
本願発明者らは、本発明者らは、主構成材料が銅からなる第1の配線の上面に第2の配線を接続するためのビアホールが形成された部分における絶縁膜構造の応力を抑制することにより、ビア下銅膜応力勾配を低減でき、ビア下配線ボイドによる抵抗増大を防止できることを見出した。
【0040】
すなわち、前記拡散防止絶縁膜13が圧縮応力を有する場合には、前記第1の銅配線12はビアホール17bの側壁から圧縮の力を受け、ビア下付近の応力勾配が生じる。そこで、前記拡散防止絶縁膜13とは逆符号の引張応力を有する第1の層間絶縁膜を設けることにより、銅配線に作用する圧縮応力を低減でき、ビア下部に発生する応力勾配を低減することができる。これにより、ビア下部においてストレスマイグレーションによるボイドの成長が抑制され、抵抗上昇が防止される。したがって、信頼性の高い半導体装置が得られる。
【0041】
この場合、前記拡散防止絶縁膜13の膜厚が、前記第1の層間絶縁膜14の膜厚よりも小さい方が好ましい。これは、銅配線の上面から離れるに従い、銅配線に及ぼす影響が小さくなるため、銅配線上に直接設けられる、拡散防止絶縁膜13よりも、さらにその上面に形成される第1の層間絶縁膜14の膜厚を厚くすることにより、より高い効果が得られる。
【0042】
また、前記拡散防止絶縁膜13のヤング率が、前記第1の層間絶縁膜14のヤング率よりも大きい材料とすることが好ましい。これは、ヤング率が高い材料は原子間の結合が強く緻密な膜であるため、銅配線から銅原子が絶縁膜に拡散するのを防止する効果が高くなるためである。この場合には、前記拡散防止絶縁膜13の膜厚が、前記第1の層間絶縁膜14の膜厚よりも小さい方が好ましい。これは、前述した理由のほかに、ヤング率が小さいほど下の材料に作用する力が小さくなるため、拡散防止絶縁膜の圧縮応力の作用を抑制するには、前記拡散防止絶縁膜の膜厚よりも厚くした方がより高い効果が得られる。
【0043】
また、前記第1の層間絶縁膜14を銅原子の拡散に対してバリア性の高い絶縁膜とすれば、前記拡散防止絶縁膜13の膜厚を薄くすることができる。圧縮応力を有する緻密な絶縁膜は誘電率が相対的に高くなる。したがって、圧縮応力を有する拡散防止絶縁膜上面に設ける第1の層間絶縁膜14を、前記拡散防止絶縁膜よりも誘電率が低く、かつ引張応力を有し、かつバリア性の高い絶縁膜とすることにより、配線間容量を低減する効果も得られる。第1の層間絶縁膜14の膜厚を、前記拡散防止絶縁膜よりも厚くすることにより、配線間容量を低減することができる。
【0044】
また、前記拡散防止絶縁膜13が、例えばSiCNやSiNなど、少なくとも窒素原子を含む絶縁膜とすることにより銅配線との密着性を向上することができ、銅配線と拡散防止絶縁膜界面でのはく離を防止する効果も得られる。
【0045】
また、前記第2の層間絶縁膜15が引張応力を有する低誘電率絶縁膜とすることにより、前記第1の層間絶縁膜14の引張応力と同じ向きの応力であるため、前記第1の層間絶縁膜14と前記第2の層間絶縁膜15との界面応力が低減され、この界面でのはく離を防止する効果も得られる。
【0046】
なお、前記拡散防止絶縁膜13自体の圧縮応力を低減することによっても、第1の銅配線12に作用する圧縮応力を低減でき、ビア下部に発生する応力勾配を低減することができる。しかし、拡散防止絶縁膜13の応力を成膜条件などにより変化させると、膜の緻密性が損なわれ銅原子拡散のバリア性が低下することが懸念されるため、拡散防止絶縁膜はバリア性を考慮した膜質とする必要がある。したがって、応力の作用を抑制するための拡散防止絶縁膜13の上面に設けられる第1の層間絶縁膜14の膜応力を拡散防止絶縁膜13とは反対符号とすることにより、バリア性を低下させることなく、銅配線内のボイドの形成を抑制することができ、信頼性の高い銅配線構造を有する半導体装置が得られる。
【0047】
(実施形態2)
次に、本発明における第2の実施形態を図2により説明する。図2は本実施形態による半導体装置の主要部の断面構造を示しており、第1の実施形態と共通の部分には同一の符号を付している。
【0048】
図2に示す本実施形態2の半導体装置においては、第1の実施形態による図1の構造の、前記第2の層間絶縁膜15と前記第2の線間絶縁膜16の界面に、下層から順に絶縁膜23、絶縁膜24が設けられた構造となっている。その他の点はほぼ同一構造であり、第1の実施形態と同様の効果が得られる。
【0049】
なお、前記絶縁膜23は、低誘電率膜からなる前記第2の層間絶縁膜15のキャップ用の絶縁膜である。例えば、この絶縁膜23は、例えば二酸化シリコン(SiO2)に代表される酸化シリコン(SiOx)膜からなり、例えば化学機械研磨処理(CMP;Chemical Mechanical Polishing)時における、前記第2の層間絶縁膜15の機械的強度を確保することができ、また、表面保護および耐湿性の確保することが可能である。
【0050】
絶縁膜23の厚さは、前記第2の層間絶縁膜15よりも相対的に薄く、例えば25nm〜100nm程度、好ましくは、例えば50nm程度である。
【0051】
前記絶縁膜23は、酸化シリコン膜に限定されるものではなく種々変更可能であり、例えば窒化シリコン(SixNy)膜、炭化シリコン(SiC)膜または炭窒化シリコン(SiCN)膜を用いても良い。
【0052】
絶縁膜24は、エッチングストッパ用の絶縁膜である。第2の線間絶縁膜16と絶縁膜24のエッチング選択比を大きくとることで、この絶縁膜24の表面でエッチングを一旦停止させた後、絶縁膜24を選択的にエッチング除去する。これにより、配線溝17aの形成深さ精度を向上させることができ、配線溝17aの掘り過ぎを防止できる。
【0053】
絶縁膜23の厚さは、前記第2の層間絶縁膜15よりも相対的に薄く、例えば25nm〜100nm程度、好ましくは、例えば50nm程度である。
【0054】
(実施形態3)
次に、本発明における第3の実施形態を図3により説明する。図3は本実施形態3による半導体装置の主要部の断面構造を示しており、第1の実施形態と共通の部分には同一の符号を付している。
【0055】
図3に示す本実施形態3の半導体装置においては、第1の実施形態による図1の構造の、前記第2の層間絶縁膜15と前記第2の線間絶縁膜16の界面に、絶縁膜23のみが設けられた構造となっている。その他の点はほぼ同一構造であり、第1の実施形態と同様の効果が得られる。
【0056】
なお、前記絶縁膜23は、低誘電率膜からなる前記第2の層間絶縁膜15のキャップ用の絶縁膜である。例えば、この絶縁膜23は、例えば二酸化シリコン(SiO2)に代表される酸化シリコン(SiOx)膜からなり、例えば化学機械研磨処理(CMP;Chemical Mechanical Polishing)時における、前記第2の層間絶縁膜15の機械的強度を確保することができ、また、表面保護および耐湿性の確保することが可能である。
【0057】
絶縁膜23の厚さは、前記第2の層間絶縁膜15よりも相対的に薄く、例えば25nm〜150nm程度である。前記絶縁膜23は、酸化シリコン膜に限定されるものではなく種々変更可能であり、例えば窒化シリコン(SixNy)膜、炭化シリコン(SiC)膜または炭窒化シリコン(SiCN)膜を用いても良い。
【0058】
図2に示した第2の実施形態における、エッチングストッパ用の絶縁膜としての機能も兼ねている。第2の実施形態における絶縁膜24を省略している分工程数を減らすことができる。
【0059】
(実施形態4)
次に、本発明における第4の実施形態を図4により説明する。図4は本実施形態による半導体装置の主要部の断面構造を示しており、第1の実施形態と共通の部分には同一の符号を付している。
【0060】
図4に示す本実施形態4の半導体装置においては、第1の実施形態による図1の構造の、圧縮応力を有する拡散防止絶縁膜13に変わって、引張応力を有する拡散防止絶縁膜26が設けられている。なおかつ、図1の構造の、前記第1の層間絶縁膜14に変わって、圧縮応力を有する第1の層間絶縁膜27が設けられた構造となっている。その他の点は同一構造であり、第1の実施形態と同様の効果が得られる。
【0061】
図4に示すように、第1の銅配線12の上面に設けられる前記拡散防止絶縁膜26が引張応力を有する場合には、前記第1の銅配線12はビアホール17bの側壁から引張の力を受け、ビア下付近の応力勾配が生じる。
【0062】
そこで、前記拡散防止絶縁膜26とは逆符号の圧縮応力を有する第1の層間絶縁膜27を設けることにより、銅配線に作用する引張応力を低減でき、ビア下部に発生する応力勾配を低減することができる。これにより、ビア下部においてストレスマイグレーションによるボイドの成長が抑制され、抵抗上昇が防止される。したがって、信頼性の高い半導体装置が得られる。
【0063】
また、通常前記第1の銅配線12は引張応力を有するため、その上面に引張応力を有する拡散防止絶縁膜26を設けることにより、前記第1の銅配線12と前記拡散防止絶縁膜26との界面応力を低減することができ、ストレスマイグレーションを抑制する効果がさらに得られる。
【0064】
また、引張応力を有する前記拡散防止絶縁膜26の膜厚が、圧縮応力を有する前記第1の層間絶縁膜27の膜厚よりも小さくすることにより、効果的に銅配線に生じる応力勾配を抑制できる。これは、銅配線の上面から離れるに従い、銅配線に及ぼす影響が小さくなるため、銅配線上に直接設けられる、拡散防止絶縁膜26よりよりも、さらにその上面に形成される第1の層間絶縁膜27の膜厚を厚くする必要があるためである。
【0065】
前記第1の層間絶縁膜27を銅原子の拡散に対してバリア性の高い絶縁膜とすれば、前記拡散防止絶縁膜26の膜厚をさらに薄くすることができる。これにより、ビア深さが同じ場合には、低誘電率絶縁膜からなる第2の層間絶縁膜15の膜厚を厚くすることができ、配線間容量を低減することが可能である。
【0066】
また、前記第1の層間絶縁膜27を銅原子の拡散に対してバリア性の高い絶縁膜とした場合、前記拡散防止絶縁膜26のヤング率が、前記第1の層間絶縁膜27のヤング率よりも小さい材料とし、引張応力を有する前記拡散防止絶縁膜26の膜厚を、圧縮応力を有する前記第1の層間絶縁膜27の膜厚よりも大きくすることにより、配線間容量を低減することができる。
【0067】
また、図2に示す実施形態2や図3に示す実施形態3に示した場合と同様に、本実施形態においても、前記第2の層間絶縁膜15と前記第2の線間絶縁膜16の界面に、絶縁膜23、および絶縁膜24の積層構造、あるいは絶縁膜23の単層が設けられた構造とした場合には、前記第2の層間絶縁膜15の機械的強度を確保することができ、また、表面保護および耐湿性の確保することが可能である。また、エッチングストッパ用の絶縁膜としての機能の効果が得られる。
【0068】
(実施形態5)
次に、本発明における第5の実施形態を図5により説明する。図5は本実施形態による半導体装置の主要部の断面構造を示しており、第1の実施形態と共通の部分には同一の符号を付している。
【0069】
図5に示す本実施形態の半導体装置においては、第1の実施形態による図1の構造の、前記第1の銅配線12と前記拡散防止絶縁膜13の界面に、窒化銅層28が設けられた構造となっている。その他の点は同一構造であり、第1の実施形態と同様の効果が得られる。
【0070】
前記第1の銅配線12と前記拡散防止絶縁膜13の界面に、窒化銅層28を設けることにより、銅原子の絶縁膜中への拡散に対するバリア性を向上させることができ、さらに信頼性の高い半導体装置が得られる。
【0071】
また、窒化銅層28により銅原子の拡散に対するバリア性を確保することができるので、前記拡散防止絶縁膜13の膜厚を薄くすることができ、前記拡散防止絶縁膜13より誘電率の低い第2の層間絶縁膜の膜厚を、より厚くすることができ、配線間容量を低減することが可能である。
【0072】
図5における実施形態5においては、前記第1の銅配線12と前記拡散防止絶縁膜13の界面にのみ、窒化銅層28が設けられた場合について示したが、図6の実施形態6に示すように、前記第1の銅配線12とビア19との界面にも窒化銅層28を設けてもよい。
ただし、ビアと配線のコンタクト抵抗低減という観点では、前記第1の銅配線12と前記拡散防止絶縁膜13の界面にのみ、窒化銅層28が設けられた場合の方が好ましい。
【0073】
(実施形態7)
次に、本発明における第7の実施形態を図7により説明する。図7は本実施形態による半導体装置の主要部の断面構造を示しており、第2の実施形態と共通の部分には同一の符号を付している。
【0074】
図7に示す本実施形態7の半導体装置においては、第2の実施形態による図2の構造の、前記第1の銅配線12と前記拡散防止絶縁膜26の界面に、窒化銅層28が設けられた構造となっている。その他の点はほぼ同一構造であり、第2の実施形態と同様の効果が得られる。
【0075】
前記第1の銅配線12と前記拡散防止絶縁膜26の界面に、窒化銅層28を設けることにより、銅原子の絶縁膜中への拡散に対するバリア性を向上させることができ、さらに信頼性の高い半導体装置が得られる。
【0076】
また、窒化銅層28により銅原子の拡散に対するバリア性を確保することができるので、前記拡散防止絶縁膜26の膜厚を薄くすることができ、前記拡散防止絶縁膜26より誘電率の低い第2の層間絶縁膜15の膜厚を、より厚くすることができ、配線間容量を低減することが可能である。
【0077】
図7における実施形態7においては、前記第1の銅配線12と前記拡散防止絶縁膜26の界面にのみ、窒化銅層28が設けられた場合について示したが、前記第1の銅配線12とビア19との界面にも窒化銅層28が設けられてもよい。
ただし、ビアと配線のコンタクト抵抗低減という観点では、前記第1の銅配線12と前記拡散防止絶縁膜13の界面にのみ、窒化銅層21が設けられた場合の方が好ましい。
【0078】
(実施形態8)
次に、本発明における第8の実施形態を図8により説明する。図8は本実施形態による半導体装置の主要部の断面構造を示しており、第2の実施形態と共通の部分には同一の符号を付している。
【0079】
図8に示す本実施形態8の半導体装置においては、第2の実施形態による図2の構造の、第2の層間絶縁膜15のすくなくとも一部に空間部29を設けた構造となっている。その他の点は同一構造であり、第2の実施形態と同様の効果が得られる。
また、層間絶縁膜の少なくとも一部に空間部29を設けることにより、配線間容量をさらに低減する効果も得られる。
【0080】
(実施形態9)
次に、本発明における第9の実施形態を図9により説明する。図9は本実施形態による半導体装置の主要部の断面構造を示しており、第8の実施形態と共通の部分には同一の符号を付している。
【0081】
図9に示す本実施形態の半導体装置においては、第8の実施形態による図8の構造の、空間部29が第2の層間絶縁膜15の層だけではなく、第1の層間絶縁膜14に設けた構造となっている。その他の点は同一構造であり、第8の実施形態と同様の効果が得られる。
また、第1の層間絶縁膜14にも空間部29を設けることにより、配線間容量を第8の実施形態よりもさらに低減する効果が得られる。
【0082】
このようにビアが形成されるビアホール側壁に接する領域で、第1の銅配線12上に、圧縮応力を有する拡散防止絶縁膜13、引張応力を有する第1の層間絶縁膜14が積層された構造となっていれば、効果的に銅配線の応力勾配を抑制することができ、ボイドによる抵抗増大を防止することができる。
【0083】
(実施形態10)
次に、本発明における第10の実施形態を図10により説明する。図10は本実施形態10による半導体装置の主要部の断面構造を示しており、第8の実施形態と共通の部分には同一の符号を付している。
【0084】
図10に示す本実施形態10の半導体装置においては、第8の実施形態による図8の構造の、第2の層間絶縁膜15が、その上面に絶縁膜23に食い込むように形成された構造となっている。その他の点は同一構造であり、第8の実施形態と同様の効果が得られる。
【0085】
また、第2の層間絶縁膜15が、その上面に絶縁膜23に食い込むように形成された構造とすることにより、前記第2の層間絶縁膜15と絶縁膜23との界面でのはく離を防止することができ、さらに信頼性の高い半導体装置が得られる。
【0086】
(実施形態11)
次に、本発明における第11の実施形態を図11により説明する。図11は本実施形態11による半導体装置の主要部の断面構造を示しており、第10の実施形態と共通の部分には同一の符号を付している。
【0087】
図11に示す本実施形態11の半導体装置においては、第10の実施形態による図10の構造の、絶縁膜24がなく、絶縁膜23が低誘電率膜15の拡散防止絶縁膜とエッチングストッパ膜の両方の役割をするような構造となっている。その他の点は同一構造であり、第10の実施形態と同様の効果が得られる。
また、本実施形態においては、絶縁膜24を省略することにより、工程数を減少できるという効果も得られる。
【0088】
(実施形態12)
次に、本発明における第12の実施形態を図12により説明する。図12は本実施形態12による半導体装置の主要部の断面構造を示しており、第11の実施形態と共通の部分には同一の符号を付している。
【0089】
図12に示す本実施形態の半導体装置においては、第11の実施形態による図11の構造の、空間部29が第1の層間絶縁膜14に食い込むように形成された構造となっている。その他の点は同一構造であり、第11の実施形態と同様の効果が得られる。
【0090】
また、この場合、空間部29が第1の層間絶縁膜14に食い込むように形成された構造とすることにより、第1の層間絶縁膜14と第2の層間絶縁膜15との界面でのはく離を防止することができ、さらに信頼性の高い半導体装置が得られる。
【0091】
(実施形態13)
次に、本発明における第13の実施形態を図13により説明する。図13は本実施形態による半導体装置の主要部の断面構造を示しており、第8の実施形態と共通の部分には同一の符号を付している。
【0092】
図13に示す本実施形態13の半導体装置においては、第8の実施形態による図8の構造の、空間部29がビアホール17bに隣接した構造となっている。その他の点は同一構造であり、第8の実施形態と同様の効果が得られる。
また、空間部29がビアホール17bに隣接した構造とすることにより、配線間容量をさらに低減する効果が得られる。
【0093】
このように、ビア19が形成されるビアホール17bの側壁に接する領域で、ビア19に隣接して空間部29が設けられる場合、第1の銅配線12上に設けられた、圧縮応力を有する拡散防止絶縁膜13によって発生する銅配線の応力勾配を抑制するためには、引張応力を有する第1の層間絶縁膜14が積層された構造とすることにより効果的に銅配線の応力勾配を抑制することができ、ボイドによる抵抗増大を防止することができる。
【0094】
(実施形態14)
次に、本発明における第14の実施形態を図14により説明する。図14は本実施形態14による半導体装置の主要部の断面構造を示しており、第1の実施形態と共通の部分には同一の符号を付している。
【0095】
図14に示す本実施形態14の半導体装置においては、第1の実施形態による図1の構造が、ビア19と第2の銅配線20が同じ銅膜で形成されたデュアルダマシン銅配線構造であったのに対し、シングルダマシンプロセスによって形成されたシングルダマシン銅配線構造となっている。ビア19と第2の銅配線20がバリア膜18を介して接合された構造となっている。この場合にも、第1の実施形態と同様の効果が得られる。
なお、その他の実施形態においても、デュアルダマシン銅配線構造の場合についてしめしたが、シングルダマシン銅配線構造とした場合でも同様の効果が得られる。
【0096】
なお、上記各実施形態に示した半導体装置は、これに限定されるものではなく、配線層数も2層に限定されるものではない。また、この半導体装置をDRAM(Dynamic Random Access Memory)、SRAM(Static Random Access Memory)、あるいはマイコン等に使用することが可能である。
【0097】
以上、本発明者によってなされた発明を、前記実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は、前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々変更可能であることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0098】
【図1】本発明の第1の実施形態による半導体装置の主要部の断面構造を示す図である。
【図2】本発明の第1の実施形態による半導体装置の主要部の断面構造を示す図である。
【図3】本発明の第3の実施形態による半導体装置の主要部の断面構造を示す図である。
【図4】本発明の第4の実施形態による半導体装置の主要部の断面構造を示す図である。
【図5】本発明の第5の実施形態による半導体装置の主要部の断面構造を示す図である。
【図6】本発明の第6の実施形態による半導体装置の主要部の断面構造を示す図である。
【図7】本発明の第7の実施形態による半導体装置の主要部の断面構造を示す図である。
【図8】本発明の第8の実施形態による半導体装置の主要部の断面構造を示す図である。
【図9】本発明の第9の実施形態による半導体装置の主要部の断面構造を示す図である。
【図10】本発明の第10の実施形態による半導体装置の主要部の断面構造を示す図である。
【図11】本発明の第11の実施形態による半導体装置の主要部の断面構造を示す図である。
【図12】本発明の第12の実施形態による半導体装置の主要部の断面構造を示す図である。
【図13】本発明の第13の実施形態による半導体装置の主要部の断面構造を示す図である。
【図14】本発明の第14の実施形態による半導体装置の主要部の断面構造を示す図である。
【符号の説明】
【0099】
1…シリコン基板、2…素子分離膜、3…ゲート絶縁膜、4…ゲート電極、5…コンタクトプラグ、6…サイドウォール、7…シリサイド膜、8…絶縁膜、9…第1の線間絶縁膜、10…配線溝、11…バリア膜、12…第1の銅配線、13…拡散防止絶縁膜、14…第1の層間絶縁膜、15…第2の層間絶縁膜、16…第2の線間絶縁膜、17a…配線溝、17b…ビアホール、18…バリア膜、19…ビア、20…第2の銅配線、21…絶縁膜、22…絶縁膜、23…絶縁膜、24…絶縁膜、25…絶縁膜、26…拡散防止絶縁膜、27…第1の層間絶縁膜、28…窒化銅層、29…空間部
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置に関し、特に、埋込配線の主配線材料として銅を主成分とする導体膜を用いる半導体装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、LSIの高集積化、高速化を目的としたトランジスタの微細化に伴って、配線の信号遅延が顕在化してきており、これに伴い、配線抵抗の低減と配線間容量の低減とが望まれている。そこで、配線抵抗の低減のため、配線材料として従来のアルミニウム合金よりも低抵抗で、マイグレーション耐性に優れた銅(Cu)を用いた銅配線技術が開発されつつある。また、配線間容量を低減するために、層間絶縁膜材料としては低誘電率絶縁膜の適用が検討されている。
【0003】
これらの銅配線構造は埋込配線技術によって形成される。埋込配線技術は、例えば次の通りである。まず、絶縁膜に配線溝や孔等のような配線開口部を形成した後、その配線開口部内を含む絶縁膜上に導電性バリア膜および銅を主成分とする導体膜を下方から順に堆積する。続いて、化学機械研磨法等によって余分な導体膜および導電性バリア膜を研磨することにより、配線開口部内に埋込配線を形成する。その後、洗浄処理を施した後、その絶縁膜および埋込配線の上面上に、例えば窒化シリコン膜等からなる拡散防止絶縁膜を形成する。その後、拡散防止絶縁膜上面上に低誘電率膜を堆積する。
【0004】
しかしCu配線構造の開発過程において予想外にストレスマイグレーションに弱いことが明らかとなり、銅配線内やビア内部にストレスマイグレーションによるボイドが形成されることが懸念され、以下の技術が開示されている。
【0005】
例えば、特開2003−303880号公報には、上層配線とビアとの接続部分の応力を緩和するために、層間絶縁膜を積層構造とする技術が開示されている(ビア内部のストレスマイグレーションを防止する技術)。
さらに、例えば、特開2003−257979号公報には、配線用の銅中に不純物原子を添加する技術が開示されている(銅配線のストレスマイグレーションを防止する技術)。
【0006】
【特許文献1】特開2003−303880号公報
【特許文献2】特開2003−257979号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、上記の銅配線構造を有する半導体装置においては、配線間を接続するビアホールの下部の配線において、ストレスマイグレーション不良が発生する問題がある。この問題は、ビアホール径が小さい場合に特に顕著である。これにより、ビアホール下部付近の配線部においてボイドが発生し、配線抵抗が増大したり断線不良が生じることが懸念されている。
【0008】
そこで、本発明の目的は、銅を主構成材料とする配線構造において、ストレスマイグレーションによるボイドの発生を抑制し、信頼性の高い半導体装置を提供することにある。
【0009】
本発明の前記並びにその他の目的と新規な特徴は、本明細書の記述及び添付図面によって明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本願において開示される発明のうち、代表的なものの概要を簡単に説明すれば、下記のとおりである。
【0011】
上記の目的は、半導体基板上の絶縁膜上に形成される多層配線構造において、主構成材料が銅からなる第1の配線の上面に接するように、下から順にバリア性が高く、かつ圧縮応力を有する第1の絶縁膜、引張応力を有する第2の絶縁膜、前記第1の絶縁膜と前記第2の絶縁膜よりも誘電率の低い第3の絶縁膜が少なくとも積層されており、前記第1の絶縁膜、前記第2の絶縁膜、および前記第3の絶縁膜を貫通し前記第1の配線に接するようにビアが設けられ、ビアを介して第2の配線が接続されている配線構造とすることにより達成される。
【0012】
上記において、好ましくは、前記第1の絶縁膜の膜厚が、前記第2の絶縁膜の膜厚よりも小さいことを特徴とする。
上記において、好ましくは、前記第1の絶縁膜のヤング率が前記第2の絶縁膜のヤング率よりも大きく、なおかつ前記第1の絶縁膜の膜厚が、前記第2の絶縁膜の膜厚よりも小さいことを特徴とする。
上記において、好ましくは、前記第2の絶縁膜がバリア性の高い絶縁膜であることを特徴とする。
上記において、好ましくは、前記第1の絶縁膜が少なくとも窒素原子を含む絶縁膜からなることを特徴とする。
上記において、好ましくは、前記第3の絶縁膜が引張応力を有する低誘電率絶縁膜であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本願において開示される発明のうち代表的なものによって得られる効果を簡単に説明すれば、下記のとおりである。
本発明によれば、銅を主構成材料とした金属膜からなる配線において、ビアホール底部付近の応力勾配を低減することができ、これによりストレスマイグレーションによるボイドの発生を抑制できるため、信頼性の高い半導体装置が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態について図を参照して説明する。
【0015】
(実施形態1)
まず、本発明における第1の実施形態を図1により説明する。本実施形態による半導体装置の主要部の断面構造を図1に示す。
【0016】
図1に示す本実施形態1の半導体装置においては、半導体基板として例えば単結晶シリコンからなるシリコン基板1の主面(素子形成面,回路形成面)にトランジスタが形成されており、前記トランジスタは、例えばゲート絶縁膜3、ゲート電極4および拡散層(図示せず)等で構成されている。それぞれのトランジスタは、酸化シリコンや窒化シリコンなどからなる素子分離膜2によって素子分離されている。また、前記ゲート電極4および、拡散層上面にはシリサイド7が形成されている。
【0017】
前記ゲート絶縁膜3は、例えば酸化シリコン、窒化シリコン、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化ハフニウム、五酸化タンタル等の誘電体膜あるいはこれらの積層構造からなり、例えば化学気相蒸着法、スパッタリング法などを用いて形成される。また、前記ゲート電極4は、例えば多結晶シリコン膜や金属膜、シリコンゲルマニウム膜あるいは金属シリサイド膜あるいはこれらの積層構造からなり、例えば、化学気相蒸着法、スパッタリング法などを用いて形成される。
前記ゲート絶縁膜3、ゲート電極4、シリサイド7の側壁には酸化シリコンや窒化シリコン等からなるサイドウォール6が形成されている。
【0018】
前記トランジスタを含むシリコン基板1の主面の上部全面は、絶縁膜8で覆われている。ここで、絶縁膜8は、例えば低誘電絶縁膜(SiOC、SiOFもしくはSiOCやSiO2のポーラス材料等)やBPSG(Boron−doped Phospho Silicate Glass)膜やSOG(Spin On Glass)膜、あるいはテトラエトキシシランを原料としたCVD法により形成した酸化シリコン膜(以下TEOS(Tetra-Ethoxy-Silicate)膜という)、あるいは化学気相蒸着法やスパッタ法で形成したシリコン酸化膜や窒化膜等からなる。あるいは、これらの積層構造からなる。絶縁膜であれば、これに限定されるものではない。
【0019】
さらに、前記絶縁膜8の上面には、第1の線間絶縁膜9が形成されている。前記第1の線間絶縁膜9は、前記絶縁膜8と同様、低誘電絶縁膜(SiOC、SiOFもしくはSiOCやSiO2のポーラス材料等)やBPSG膜やSOG膜、TEOS膜、あるいは化学気相蒸着法やスパッタ法で形成したシリコン酸化膜や窒化膜等からなる。あるいは、これらの積層構造からなる。絶縁膜であれば、これに限定されるものではない。
【0020】
例えば、第1の線間絶縁膜9を、下層から順にTEOS膜、低誘電絶縁膜、TEOS膜の積層構造とすることによって、これらの低誘電率絶縁膜の機械的強度を確保することができる。しかし、もちろんTEOS膜の代わりに、前述のCVD法を用いて形成した低誘電絶縁膜を用いてもよい。
【0021】
前記第1の線間絶縁膜9には、配線を形成するための配線溝10が形成されている。前記配線溝10内には、例えば下から順にスパッタ法により形成された窒化タンタル膜(TaN)およびタンタル膜(Ta)を含むバリア膜11が設けられている。このバリア膜11の形成方法としては、CVD法を用いてもよいし、また、スパッタ法の一種であるイオン化スパッタ法を用いてもよい。このイオン化スパッタ法は、バリア膜を構成する金属をイオン化し、さらに、基板にバイアスを印加することによって、金属イオンに指向性を持たせるものであり、微細な溝の内部においても被覆性良く膜を堆積させることができる。
【0022】
バリア膜11としては、前述のTaNおよびTaとの積層膜に限定されるものではなく、例えば、Ta、TaN、TaSiN、W、窒化タングステン(WN)、WSiN、Ti、TiNもしくはTiSiNからなる単層膜や、これらの積層膜を用いても良い。また、バリア膜11として、Ru、Tiを添加したRuからなる単層膜や、RuとTiNの積層膜、RuとTaNの積層膜を用いてもよい。バリア膜11としてRuを用いた場合には、RuとCuとの密着性を向上させ、マイグレーションを防止する効果もさらに得られる。
【0023】
次いで、前記配線溝10内のバリア膜11上には、第1の銅配線12が形成されている。前記第1の銅配線12は、例えば、電界メッキ用のシード膜とめっき膜の積層からなる。シード膜は例えばイオン化スパッタ法などのスパッタ法を用いて形成する。
【0024】
シリコン基板1の主面に形成された拡散層と、シリコン基板1の主面上に形成された第1の銅配線12とは、前記絶縁膜8に設けられたコンタクトプラグ5を介して、電気的に接続されている。
【0025】
次に、前記第1の線間絶縁膜9、および第1の銅配線12の上面には、拡散防止絶縁膜13が形成されている。拡散防止絶縁膜13は、銅原子が層間絶縁膜中に拡散するのを防止するためのバリア膜として形成されている。ここで、前記拡散防止絶縁膜13は、銅の拡散に対するバリア性が酸化シリコンより高く、かつ圧縮応力を有する絶縁膜である。
【0026】
ここで、前記配線拡散防止絶縁膜13として、例えばSiN膜(窒化シリコン膜)、SiON(酸窒化シリコン膜)、SiC膜(炭化シリコン膜)もしくはSiCN膜(炭窒化シリコン膜)等を用いてもよい。
【0027】
さらに、前記拡散防止絶縁膜13の上面には、第1の層間絶縁膜14が形成されている。ここで、前記第1の層間絶縁膜14は、引張応力を有する膜である。
さらに、前記第1の層間絶縁膜14の上面には、第2の層間絶縁膜15が形成されている。
【0028】
ここで、前記第2の層間絶縁膜15は、例えば低誘電率絶縁膜である。低誘電率絶縁膜は、例えば、SiOCを主成分とする膜、あるいはSiOFを主成分とする膜、SiCを主成分とする膜や、芳香族炭化水素構造の有機ポリマー膜(CとHを含有する膜)や、上記各種膜やSiO2(酸化シリコン膜)等の膜中に空孔を導入(ポーラス化)することにより誘電率を下げることができる。これらの膜は、CVD法を用いて形成することができる。さらに低誘電率絶縁膜は、例えば芳香族ポリマー材料を塗布し、熱処理を施すことにより形成することができる。また、低誘電絶縁膜として、有機系のシリカガラスを用いてもよい。この場合も、材料を塗布した後熱処理を施す。この有機系のシリカガラスの組成は、主にSiOCHである。また、他の有機ポリマー材料や、上記の各種材料に空孔を導入した材料を用いることもできる。
【0029】
このような低誘電絶縁膜の誘電率は、酸化シリコン膜(例えば、TEOS膜)より低く(誘電率が3.7以下であり)、その結果、配線間の寄生容量が低減されるため半導体装置の動作の高速化を図ることができる。
【0030】
次に、前記第2の層間絶縁膜15の上面には、第2の線間絶縁膜16が形成されている。
ここで、前記第2の線間絶縁膜16は、前記第1の線間絶縁膜9と同様に、例えば低誘電絶縁膜(SiOC、SiOFもしくはSiOCやSiO2のポーラス材料等)やBPSG膜やSOG膜、TEOS膜、あるいは化学気相蒸着法やスパッタ法で形成したシリコン酸化膜や窒化膜等からなる。あるいは、これらの積層構造からなる。絶縁膜であれば、これに限定されるものではない。
【0031】
前記第2の線間絶縁膜16、前記第2の層間絶縁膜15、前記第1の層間絶縁膜14、および前記拡散防止絶縁膜13、を貫通するように、ビアホール(接続孔)17bおよび配線溝17aが形成されている。ビアホール17bは、第1の銅配線12と配線溝17aとの間に配置されており、第2の層間絶縁膜15、第1の層間絶縁膜14及び拡散防止絶縁膜13を貫通し、かつ配線溝17a及び第1の銅配線12に連なっている。
【0032】
前記ビアホール17bおよび配線溝17a内には、例えば下から順にスパッタ法により形成された窒化タンタル膜(TaN)およびタンタル膜(Ta)を含むバリア膜18が設けられている。このバリア膜18の形成方法としては、CVD法を用いてもよいし、また、スパッタ法の一種であるイオン化スパッタ法を用いてもよい。このイオン化スパッタ法は、バリア膜を構成する金属をイオン化し、さらに、基板にバイアスを印加することによって、金属イオンに指向性を持たせるものであり、微細な溝の内部においても被覆性良く膜を堆積させることができる。
【0033】
前記バリア膜18としては、前述のTaNおよびTaとの積層膜に限定されるものではなく、例えば、Ta、TaN、TaSiN、W、窒化タングステン(WN)、WSiN、Ti、TiNもしくはTiSiNからなる単層膜や、これらの積層膜を用いても良い。また、バリア膜18として、Ru、Tiを添加したRuからなる単層膜や、RuとTiNの積層膜、RuとTaNの積層膜を用いてもよい。バリア膜18としてRuを用いた場合には、RuとCuとの密着性を向上させ、マイグレーションを防止する効果もさらに得られる。
【0034】
次いで、前記ビアホール17bおよび配線溝17a内の前記バリア膜18上には、主構成材料が銅膜からなるビア19、および第2の銅配線20が形成されている。前記ビア19、および第2の銅配線20は、例えば、電界メッキ用のシード膜とめっき膜の積層からなる。シード膜は例えばイオン化スパッタ法などのスパッタ法を用いて形成する。
ここで、ビア19とは、銅配線20の一部からなり、銅配線20と下層の銅配線12とを電気的に接続するための部分である。
【0035】
次いで、前記第2の線間絶縁膜16、および第2の銅配線20の上面には、絶縁膜21、絶縁膜22などが形成されている。
その後、所望の工程により、半導体装置が完成される。
【0036】
本実施形態においては、2層配線構造の場合について説明したが、前記拡散防止絶縁膜13の層から前記第2の線間絶縁膜16までの層を形成する前述の工程を、必要な配線層分繰り返すことで多層配線構造を得ることができる。
本発明による配線構造は多層配線構造内において、少なくとも一層に使用されていればよく必ずしも全層に用いる必要はない。
【0037】
ビア下部の配線におけるストレスマイグレーションはビア径が小さくなるほど加速されるため、多層配線構造において、最小ビア径が相対的に小さい、下層部分のビアが形成される層間絶縁膜部分にのみ、本発明による配線構造を適用することにより、工程数の増加を防ぐことができ、かつストレスマイグレーションによる抵抗上昇を防止することが可能である。
【0038】
つぎに、上記構成の本実施形態1による半導体装置の作用効果を以下に説明する。従来の主構成材料が銅膜である配線においては、ビア下部においてストレスマイグレーションによってボイドが発生し、抵抗が増大することが懸念されていた。本願発明者らは、実験と解析により、ビア下部配線におけるボイドによる抵抗増大は、ビア下部銅膜応力勾配の増大によって加速されていることを明らかにした。
【0039】
本願発明者らは、本発明者らは、主構成材料が銅からなる第1の配線の上面に第2の配線を接続するためのビアホールが形成された部分における絶縁膜構造の応力を抑制することにより、ビア下銅膜応力勾配を低減でき、ビア下配線ボイドによる抵抗増大を防止できることを見出した。
【0040】
すなわち、前記拡散防止絶縁膜13が圧縮応力を有する場合には、前記第1の銅配線12はビアホール17bの側壁から圧縮の力を受け、ビア下付近の応力勾配が生じる。そこで、前記拡散防止絶縁膜13とは逆符号の引張応力を有する第1の層間絶縁膜を設けることにより、銅配線に作用する圧縮応力を低減でき、ビア下部に発生する応力勾配を低減することができる。これにより、ビア下部においてストレスマイグレーションによるボイドの成長が抑制され、抵抗上昇が防止される。したがって、信頼性の高い半導体装置が得られる。
【0041】
この場合、前記拡散防止絶縁膜13の膜厚が、前記第1の層間絶縁膜14の膜厚よりも小さい方が好ましい。これは、銅配線の上面から離れるに従い、銅配線に及ぼす影響が小さくなるため、銅配線上に直接設けられる、拡散防止絶縁膜13よりも、さらにその上面に形成される第1の層間絶縁膜14の膜厚を厚くすることにより、より高い効果が得られる。
【0042】
また、前記拡散防止絶縁膜13のヤング率が、前記第1の層間絶縁膜14のヤング率よりも大きい材料とすることが好ましい。これは、ヤング率が高い材料は原子間の結合が強く緻密な膜であるため、銅配線から銅原子が絶縁膜に拡散するのを防止する効果が高くなるためである。この場合には、前記拡散防止絶縁膜13の膜厚が、前記第1の層間絶縁膜14の膜厚よりも小さい方が好ましい。これは、前述した理由のほかに、ヤング率が小さいほど下の材料に作用する力が小さくなるため、拡散防止絶縁膜の圧縮応力の作用を抑制するには、前記拡散防止絶縁膜の膜厚よりも厚くした方がより高い効果が得られる。
【0043】
また、前記第1の層間絶縁膜14を銅原子の拡散に対してバリア性の高い絶縁膜とすれば、前記拡散防止絶縁膜13の膜厚を薄くすることができる。圧縮応力を有する緻密な絶縁膜は誘電率が相対的に高くなる。したがって、圧縮応力を有する拡散防止絶縁膜上面に設ける第1の層間絶縁膜14を、前記拡散防止絶縁膜よりも誘電率が低く、かつ引張応力を有し、かつバリア性の高い絶縁膜とすることにより、配線間容量を低減する効果も得られる。第1の層間絶縁膜14の膜厚を、前記拡散防止絶縁膜よりも厚くすることにより、配線間容量を低減することができる。
【0044】
また、前記拡散防止絶縁膜13が、例えばSiCNやSiNなど、少なくとも窒素原子を含む絶縁膜とすることにより銅配線との密着性を向上することができ、銅配線と拡散防止絶縁膜界面でのはく離を防止する効果も得られる。
【0045】
また、前記第2の層間絶縁膜15が引張応力を有する低誘電率絶縁膜とすることにより、前記第1の層間絶縁膜14の引張応力と同じ向きの応力であるため、前記第1の層間絶縁膜14と前記第2の層間絶縁膜15との界面応力が低減され、この界面でのはく離を防止する効果も得られる。
【0046】
なお、前記拡散防止絶縁膜13自体の圧縮応力を低減することによっても、第1の銅配線12に作用する圧縮応力を低減でき、ビア下部に発生する応力勾配を低減することができる。しかし、拡散防止絶縁膜13の応力を成膜条件などにより変化させると、膜の緻密性が損なわれ銅原子拡散のバリア性が低下することが懸念されるため、拡散防止絶縁膜はバリア性を考慮した膜質とする必要がある。したがって、応力の作用を抑制するための拡散防止絶縁膜13の上面に設けられる第1の層間絶縁膜14の膜応力を拡散防止絶縁膜13とは反対符号とすることにより、バリア性を低下させることなく、銅配線内のボイドの形成を抑制することができ、信頼性の高い銅配線構造を有する半導体装置が得られる。
【0047】
(実施形態2)
次に、本発明における第2の実施形態を図2により説明する。図2は本実施形態による半導体装置の主要部の断面構造を示しており、第1の実施形態と共通の部分には同一の符号を付している。
【0048】
図2に示す本実施形態2の半導体装置においては、第1の実施形態による図1の構造の、前記第2の層間絶縁膜15と前記第2の線間絶縁膜16の界面に、下層から順に絶縁膜23、絶縁膜24が設けられた構造となっている。その他の点はほぼ同一構造であり、第1の実施形態と同様の効果が得られる。
【0049】
なお、前記絶縁膜23は、低誘電率膜からなる前記第2の層間絶縁膜15のキャップ用の絶縁膜である。例えば、この絶縁膜23は、例えば二酸化シリコン(SiO2)に代表される酸化シリコン(SiOx)膜からなり、例えば化学機械研磨処理(CMP;Chemical Mechanical Polishing)時における、前記第2の層間絶縁膜15の機械的強度を確保することができ、また、表面保護および耐湿性の確保することが可能である。
【0050】
絶縁膜23の厚さは、前記第2の層間絶縁膜15よりも相対的に薄く、例えば25nm〜100nm程度、好ましくは、例えば50nm程度である。
【0051】
前記絶縁膜23は、酸化シリコン膜に限定されるものではなく種々変更可能であり、例えば窒化シリコン(SixNy)膜、炭化シリコン(SiC)膜または炭窒化シリコン(SiCN)膜を用いても良い。
【0052】
絶縁膜24は、エッチングストッパ用の絶縁膜である。第2の線間絶縁膜16と絶縁膜24のエッチング選択比を大きくとることで、この絶縁膜24の表面でエッチングを一旦停止させた後、絶縁膜24を選択的にエッチング除去する。これにより、配線溝17aの形成深さ精度を向上させることができ、配線溝17aの掘り過ぎを防止できる。
【0053】
絶縁膜23の厚さは、前記第2の層間絶縁膜15よりも相対的に薄く、例えば25nm〜100nm程度、好ましくは、例えば50nm程度である。
【0054】
(実施形態3)
次に、本発明における第3の実施形態を図3により説明する。図3は本実施形態3による半導体装置の主要部の断面構造を示しており、第1の実施形態と共通の部分には同一の符号を付している。
【0055】
図3に示す本実施形態3の半導体装置においては、第1の実施形態による図1の構造の、前記第2の層間絶縁膜15と前記第2の線間絶縁膜16の界面に、絶縁膜23のみが設けられた構造となっている。その他の点はほぼ同一構造であり、第1の実施形態と同様の効果が得られる。
【0056】
なお、前記絶縁膜23は、低誘電率膜からなる前記第2の層間絶縁膜15のキャップ用の絶縁膜である。例えば、この絶縁膜23は、例えば二酸化シリコン(SiO2)に代表される酸化シリコン(SiOx)膜からなり、例えば化学機械研磨処理(CMP;Chemical Mechanical Polishing)時における、前記第2の層間絶縁膜15の機械的強度を確保することができ、また、表面保護および耐湿性の確保することが可能である。
【0057】
絶縁膜23の厚さは、前記第2の層間絶縁膜15よりも相対的に薄く、例えば25nm〜150nm程度である。前記絶縁膜23は、酸化シリコン膜に限定されるものではなく種々変更可能であり、例えば窒化シリコン(SixNy)膜、炭化シリコン(SiC)膜または炭窒化シリコン(SiCN)膜を用いても良い。
【0058】
図2に示した第2の実施形態における、エッチングストッパ用の絶縁膜としての機能も兼ねている。第2の実施形態における絶縁膜24を省略している分工程数を減らすことができる。
【0059】
(実施形態4)
次に、本発明における第4の実施形態を図4により説明する。図4は本実施形態による半導体装置の主要部の断面構造を示しており、第1の実施形態と共通の部分には同一の符号を付している。
【0060】
図4に示す本実施形態4の半導体装置においては、第1の実施形態による図1の構造の、圧縮応力を有する拡散防止絶縁膜13に変わって、引張応力を有する拡散防止絶縁膜26が設けられている。なおかつ、図1の構造の、前記第1の層間絶縁膜14に変わって、圧縮応力を有する第1の層間絶縁膜27が設けられた構造となっている。その他の点は同一構造であり、第1の実施形態と同様の効果が得られる。
【0061】
図4に示すように、第1の銅配線12の上面に設けられる前記拡散防止絶縁膜26が引張応力を有する場合には、前記第1の銅配線12はビアホール17bの側壁から引張の力を受け、ビア下付近の応力勾配が生じる。
【0062】
そこで、前記拡散防止絶縁膜26とは逆符号の圧縮応力を有する第1の層間絶縁膜27を設けることにより、銅配線に作用する引張応力を低減でき、ビア下部に発生する応力勾配を低減することができる。これにより、ビア下部においてストレスマイグレーションによるボイドの成長が抑制され、抵抗上昇が防止される。したがって、信頼性の高い半導体装置が得られる。
【0063】
また、通常前記第1の銅配線12は引張応力を有するため、その上面に引張応力を有する拡散防止絶縁膜26を設けることにより、前記第1の銅配線12と前記拡散防止絶縁膜26との界面応力を低減することができ、ストレスマイグレーションを抑制する効果がさらに得られる。
【0064】
また、引張応力を有する前記拡散防止絶縁膜26の膜厚が、圧縮応力を有する前記第1の層間絶縁膜27の膜厚よりも小さくすることにより、効果的に銅配線に生じる応力勾配を抑制できる。これは、銅配線の上面から離れるに従い、銅配線に及ぼす影響が小さくなるため、銅配線上に直接設けられる、拡散防止絶縁膜26よりよりも、さらにその上面に形成される第1の層間絶縁膜27の膜厚を厚くする必要があるためである。
【0065】
前記第1の層間絶縁膜27を銅原子の拡散に対してバリア性の高い絶縁膜とすれば、前記拡散防止絶縁膜26の膜厚をさらに薄くすることができる。これにより、ビア深さが同じ場合には、低誘電率絶縁膜からなる第2の層間絶縁膜15の膜厚を厚くすることができ、配線間容量を低減することが可能である。
【0066】
また、前記第1の層間絶縁膜27を銅原子の拡散に対してバリア性の高い絶縁膜とした場合、前記拡散防止絶縁膜26のヤング率が、前記第1の層間絶縁膜27のヤング率よりも小さい材料とし、引張応力を有する前記拡散防止絶縁膜26の膜厚を、圧縮応力を有する前記第1の層間絶縁膜27の膜厚よりも大きくすることにより、配線間容量を低減することができる。
【0067】
また、図2に示す実施形態2や図3に示す実施形態3に示した場合と同様に、本実施形態においても、前記第2の層間絶縁膜15と前記第2の線間絶縁膜16の界面に、絶縁膜23、および絶縁膜24の積層構造、あるいは絶縁膜23の単層が設けられた構造とした場合には、前記第2の層間絶縁膜15の機械的強度を確保することができ、また、表面保護および耐湿性の確保することが可能である。また、エッチングストッパ用の絶縁膜としての機能の効果が得られる。
【0068】
(実施形態5)
次に、本発明における第5の実施形態を図5により説明する。図5は本実施形態による半導体装置の主要部の断面構造を示しており、第1の実施形態と共通の部分には同一の符号を付している。
【0069】
図5に示す本実施形態の半導体装置においては、第1の実施形態による図1の構造の、前記第1の銅配線12と前記拡散防止絶縁膜13の界面に、窒化銅層28が設けられた構造となっている。その他の点は同一構造であり、第1の実施形態と同様の効果が得られる。
【0070】
前記第1の銅配線12と前記拡散防止絶縁膜13の界面に、窒化銅層28を設けることにより、銅原子の絶縁膜中への拡散に対するバリア性を向上させることができ、さらに信頼性の高い半導体装置が得られる。
【0071】
また、窒化銅層28により銅原子の拡散に対するバリア性を確保することができるので、前記拡散防止絶縁膜13の膜厚を薄くすることができ、前記拡散防止絶縁膜13より誘電率の低い第2の層間絶縁膜の膜厚を、より厚くすることができ、配線間容量を低減することが可能である。
【0072】
図5における実施形態5においては、前記第1の銅配線12と前記拡散防止絶縁膜13の界面にのみ、窒化銅層28が設けられた場合について示したが、図6の実施形態6に示すように、前記第1の銅配線12とビア19との界面にも窒化銅層28を設けてもよい。
ただし、ビアと配線のコンタクト抵抗低減という観点では、前記第1の銅配線12と前記拡散防止絶縁膜13の界面にのみ、窒化銅層28が設けられた場合の方が好ましい。
【0073】
(実施形態7)
次に、本発明における第7の実施形態を図7により説明する。図7は本実施形態による半導体装置の主要部の断面構造を示しており、第2の実施形態と共通の部分には同一の符号を付している。
【0074】
図7に示す本実施形態7の半導体装置においては、第2の実施形態による図2の構造の、前記第1の銅配線12と前記拡散防止絶縁膜26の界面に、窒化銅層28が設けられた構造となっている。その他の点はほぼ同一構造であり、第2の実施形態と同様の効果が得られる。
【0075】
前記第1の銅配線12と前記拡散防止絶縁膜26の界面に、窒化銅層28を設けることにより、銅原子の絶縁膜中への拡散に対するバリア性を向上させることができ、さらに信頼性の高い半導体装置が得られる。
【0076】
また、窒化銅層28により銅原子の拡散に対するバリア性を確保することができるので、前記拡散防止絶縁膜26の膜厚を薄くすることができ、前記拡散防止絶縁膜26より誘電率の低い第2の層間絶縁膜15の膜厚を、より厚くすることができ、配線間容量を低減することが可能である。
【0077】
図7における実施形態7においては、前記第1の銅配線12と前記拡散防止絶縁膜26の界面にのみ、窒化銅層28が設けられた場合について示したが、前記第1の銅配線12とビア19との界面にも窒化銅層28が設けられてもよい。
ただし、ビアと配線のコンタクト抵抗低減という観点では、前記第1の銅配線12と前記拡散防止絶縁膜13の界面にのみ、窒化銅層21が設けられた場合の方が好ましい。
【0078】
(実施形態8)
次に、本発明における第8の実施形態を図8により説明する。図8は本実施形態による半導体装置の主要部の断面構造を示しており、第2の実施形態と共通の部分には同一の符号を付している。
【0079】
図8に示す本実施形態8の半導体装置においては、第2の実施形態による図2の構造の、第2の層間絶縁膜15のすくなくとも一部に空間部29を設けた構造となっている。その他の点は同一構造であり、第2の実施形態と同様の効果が得られる。
また、層間絶縁膜の少なくとも一部に空間部29を設けることにより、配線間容量をさらに低減する効果も得られる。
【0080】
(実施形態9)
次に、本発明における第9の実施形態を図9により説明する。図9は本実施形態による半導体装置の主要部の断面構造を示しており、第8の実施形態と共通の部分には同一の符号を付している。
【0081】
図9に示す本実施形態の半導体装置においては、第8の実施形態による図8の構造の、空間部29が第2の層間絶縁膜15の層だけではなく、第1の層間絶縁膜14に設けた構造となっている。その他の点は同一構造であり、第8の実施形態と同様の効果が得られる。
また、第1の層間絶縁膜14にも空間部29を設けることにより、配線間容量を第8の実施形態よりもさらに低減する効果が得られる。
【0082】
このようにビアが形成されるビアホール側壁に接する領域で、第1の銅配線12上に、圧縮応力を有する拡散防止絶縁膜13、引張応力を有する第1の層間絶縁膜14が積層された構造となっていれば、効果的に銅配線の応力勾配を抑制することができ、ボイドによる抵抗増大を防止することができる。
【0083】
(実施形態10)
次に、本発明における第10の実施形態を図10により説明する。図10は本実施形態10による半導体装置の主要部の断面構造を示しており、第8の実施形態と共通の部分には同一の符号を付している。
【0084】
図10に示す本実施形態10の半導体装置においては、第8の実施形態による図8の構造の、第2の層間絶縁膜15が、その上面に絶縁膜23に食い込むように形成された構造となっている。その他の点は同一構造であり、第8の実施形態と同様の効果が得られる。
【0085】
また、第2の層間絶縁膜15が、その上面に絶縁膜23に食い込むように形成された構造とすることにより、前記第2の層間絶縁膜15と絶縁膜23との界面でのはく離を防止することができ、さらに信頼性の高い半導体装置が得られる。
【0086】
(実施形態11)
次に、本発明における第11の実施形態を図11により説明する。図11は本実施形態11による半導体装置の主要部の断面構造を示しており、第10の実施形態と共通の部分には同一の符号を付している。
【0087】
図11に示す本実施形態11の半導体装置においては、第10の実施形態による図10の構造の、絶縁膜24がなく、絶縁膜23が低誘電率膜15の拡散防止絶縁膜とエッチングストッパ膜の両方の役割をするような構造となっている。その他の点は同一構造であり、第10の実施形態と同様の効果が得られる。
また、本実施形態においては、絶縁膜24を省略することにより、工程数を減少できるという効果も得られる。
【0088】
(実施形態12)
次に、本発明における第12の実施形態を図12により説明する。図12は本実施形態12による半導体装置の主要部の断面構造を示しており、第11の実施形態と共通の部分には同一の符号を付している。
【0089】
図12に示す本実施形態の半導体装置においては、第11の実施形態による図11の構造の、空間部29が第1の層間絶縁膜14に食い込むように形成された構造となっている。その他の点は同一構造であり、第11の実施形態と同様の効果が得られる。
【0090】
また、この場合、空間部29が第1の層間絶縁膜14に食い込むように形成された構造とすることにより、第1の層間絶縁膜14と第2の層間絶縁膜15との界面でのはく離を防止することができ、さらに信頼性の高い半導体装置が得られる。
【0091】
(実施形態13)
次に、本発明における第13の実施形態を図13により説明する。図13は本実施形態による半導体装置の主要部の断面構造を示しており、第8の実施形態と共通の部分には同一の符号を付している。
【0092】
図13に示す本実施形態13の半導体装置においては、第8の実施形態による図8の構造の、空間部29がビアホール17bに隣接した構造となっている。その他の点は同一構造であり、第8の実施形態と同様の効果が得られる。
また、空間部29がビアホール17bに隣接した構造とすることにより、配線間容量をさらに低減する効果が得られる。
【0093】
このように、ビア19が形成されるビアホール17bの側壁に接する領域で、ビア19に隣接して空間部29が設けられる場合、第1の銅配線12上に設けられた、圧縮応力を有する拡散防止絶縁膜13によって発生する銅配線の応力勾配を抑制するためには、引張応力を有する第1の層間絶縁膜14が積層された構造とすることにより効果的に銅配線の応力勾配を抑制することができ、ボイドによる抵抗増大を防止することができる。
【0094】
(実施形態14)
次に、本発明における第14の実施形態を図14により説明する。図14は本実施形態14による半導体装置の主要部の断面構造を示しており、第1の実施形態と共通の部分には同一の符号を付している。
【0095】
図14に示す本実施形態14の半導体装置においては、第1の実施形態による図1の構造が、ビア19と第2の銅配線20が同じ銅膜で形成されたデュアルダマシン銅配線構造であったのに対し、シングルダマシンプロセスによって形成されたシングルダマシン銅配線構造となっている。ビア19と第2の銅配線20がバリア膜18を介して接合された構造となっている。この場合にも、第1の実施形態と同様の効果が得られる。
なお、その他の実施形態においても、デュアルダマシン銅配線構造の場合についてしめしたが、シングルダマシン銅配線構造とした場合でも同様の効果が得られる。
【0096】
なお、上記各実施形態に示した半導体装置は、これに限定されるものではなく、配線層数も2層に限定されるものではない。また、この半導体装置をDRAM(Dynamic Random Access Memory)、SRAM(Static Random Access Memory)、あるいはマイコン等に使用することが可能である。
【0097】
以上、本発明者によってなされた発明を、前記実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は、前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々変更可能であることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0098】
【図1】本発明の第1の実施形態による半導体装置の主要部の断面構造を示す図である。
【図2】本発明の第1の実施形態による半導体装置の主要部の断面構造を示す図である。
【図3】本発明の第3の実施形態による半導体装置の主要部の断面構造を示す図である。
【図4】本発明の第4の実施形態による半導体装置の主要部の断面構造を示す図である。
【図5】本発明の第5の実施形態による半導体装置の主要部の断面構造を示す図である。
【図6】本発明の第6の実施形態による半導体装置の主要部の断面構造を示す図である。
【図7】本発明の第7の実施形態による半導体装置の主要部の断面構造を示す図である。
【図8】本発明の第8の実施形態による半導体装置の主要部の断面構造を示す図である。
【図9】本発明の第9の実施形態による半導体装置の主要部の断面構造を示す図である。
【図10】本発明の第10の実施形態による半導体装置の主要部の断面構造を示す図である。
【図11】本発明の第11の実施形態による半導体装置の主要部の断面構造を示す図である。
【図12】本発明の第12の実施形態による半導体装置の主要部の断面構造を示す図である。
【図13】本発明の第13の実施形態による半導体装置の主要部の断面構造を示す図である。
【図14】本発明の第14の実施形態による半導体装置の主要部の断面構造を示す図である。
【符号の説明】
【0099】
1…シリコン基板、2…素子分離膜、3…ゲート絶縁膜、4…ゲート電極、5…コンタクトプラグ、6…サイドウォール、7…シリサイド膜、8…絶縁膜、9…第1の線間絶縁膜、10…配線溝、11…バリア膜、12…第1の銅配線、13…拡散防止絶縁膜、14…第1の層間絶縁膜、15…第2の層間絶縁膜、16…第2の線間絶縁膜、17a…配線溝、17b…ビアホール、18…バリア膜、19…ビア、20…第2の銅配線、21…絶縁膜、22…絶縁膜、23…絶縁膜、24…絶縁膜、25…絶縁膜、26…拡散防止絶縁膜、27…第1の層間絶縁膜、28…窒化銅層、29…空間部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体基板上に絶縁膜を介在して設けられ、主構成材料が銅からなる第1の配線と、
前記第1の配線上に設けられ、前記第1の配線の銅に対してバリア性を持つ第1の絶縁膜と、
前記第1の絶縁膜上に設けられ、前記第1の絶縁膜の膜応力に対して逆符号の応力を持つ第2の絶縁膜と、
前記第2の絶縁膜上に設けられた第3の絶縁膜と、
前記第3乃至第1の絶縁膜を貫通して前記第1の配線上に設けられたビアと、
前記ビアを介して前記第1の配線に接続された第2の配線とを有することを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
請求項1に記載の半導体装置において、
前記第1の絶縁膜は、圧縮応力を有し、
前記第2の絶縁膜は、引張応力を有することを特徴とする半導体装置。
【請求項3】
請求項1に記載の半導体装置において、
前記第1の絶縁膜は、引張応力を有し、
前記第2の絶縁膜は、圧縮応力を有することを特徴とする半導体装置。
【請求項4】
請求項1に記載の半導体装置において、
前記第1の絶縁膜の膜厚は、前記第2の絶縁膜の膜厚よりも小さいことを特徴とする半導体装置。
【請求項5】
請求項1に記載の半導体装置において、
前記第1の絶縁膜は、前記第2の絶縁膜よりもヤング率が大きく、前記第2の絶縁膜よりも膜厚が小さいことを特徴とする半導体装置。
【請求項6】
請求項1に記載の半導体装置において、
前記第2の絶縁膜は、前記第1の配線の銅に対して酸化シリコン膜よりもバリア性が高い絶縁膜であることを特徴とする半導体装置。
【請求項7】
請求項1に記載の半導体装置において、
前記第3の絶縁膜は、前記第1及び第2の絶縁膜よりも誘電率が低い絶縁膜からなることを特徴とする半導体装置。
【請求項8】
請求項2又は請求項3に記載の半導体装置において、
前記第1の絶縁膜は、少なくとも窒素原子を含む絶縁膜からなることを特徴とする半導体装置。
【請求項9】
請求項2又は請求項3に記載の半導体装置において、
前記第3の絶縁膜は、引張応力を有する低誘電率絶縁膜であることを特徴とする半導体装置。
【請求項10】
請求項1に記載の半導体装置において、
前記第1の配線と前記第1の絶縁膜との間に、少なくとも一部が窒化された銅からなる層を有することを特徴とする半導体装置。
【請求項11】
請求項10に記載の半導体装置において、
前記少なくとも一部が窒化された銅からなる層の厚さは、前記第1の絶縁膜の膜厚よりも小さいことを特徴とする半導体装置。
【請求項12】
請求項1に記載の半導体装置において、
前記第3の絶縁膜の少なくとも一部に空間部が設けられていることを特徴とする半導体装置。
【請求項13】
請求項12に記載の半導体装置において、
前記空間部は、前記ビアの側壁に隣接することを特徴とする半導体装置。
【請求項1】
半導体基板上に絶縁膜を介在して設けられ、主構成材料が銅からなる第1の配線と、
前記第1の配線上に設けられ、前記第1の配線の銅に対してバリア性を持つ第1の絶縁膜と、
前記第1の絶縁膜上に設けられ、前記第1の絶縁膜の膜応力に対して逆符号の応力を持つ第2の絶縁膜と、
前記第2の絶縁膜上に設けられた第3の絶縁膜と、
前記第3乃至第1の絶縁膜を貫通して前記第1の配線上に設けられたビアと、
前記ビアを介して前記第1の配線に接続された第2の配線とを有することを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
請求項1に記載の半導体装置において、
前記第1の絶縁膜は、圧縮応力を有し、
前記第2の絶縁膜は、引張応力を有することを特徴とする半導体装置。
【請求項3】
請求項1に記載の半導体装置において、
前記第1の絶縁膜は、引張応力を有し、
前記第2の絶縁膜は、圧縮応力を有することを特徴とする半導体装置。
【請求項4】
請求項1に記載の半導体装置において、
前記第1の絶縁膜の膜厚は、前記第2の絶縁膜の膜厚よりも小さいことを特徴とする半導体装置。
【請求項5】
請求項1に記載の半導体装置において、
前記第1の絶縁膜は、前記第2の絶縁膜よりもヤング率が大きく、前記第2の絶縁膜よりも膜厚が小さいことを特徴とする半導体装置。
【請求項6】
請求項1に記載の半導体装置において、
前記第2の絶縁膜は、前記第1の配線の銅に対して酸化シリコン膜よりもバリア性が高い絶縁膜であることを特徴とする半導体装置。
【請求項7】
請求項1に記載の半導体装置において、
前記第3の絶縁膜は、前記第1及び第2の絶縁膜よりも誘電率が低い絶縁膜からなることを特徴とする半導体装置。
【請求項8】
請求項2又は請求項3に記載の半導体装置において、
前記第1の絶縁膜は、少なくとも窒素原子を含む絶縁膜からなることを特徴とする半導体装置。
【請求項9】
請求項2又は請求項3に記載の半導体装置において、
前記第3の絶縁膜は、引張応力を有する低誘電率絶縁膜であることを特徴とする半導体装置。
【請求項10】
請求項1に記載の半導体装置において、
前記第1の配線と前記第1の絶縁膜との間に、少なくとも一部が窒化された銅からなる層を有することを特徴とする半導体装置。
【請求項11】
請求項10に記載の半導体装置において、
前記少なくとも一部が窒化された銅からなる層の厚さは、前記第1の絶縁膜の膜厚よりも小さいことを特徴とする半導体装置。
【請求項12】
請求項1に記載の半導体装置において、
前記第3の絶縁膜の少なくとも一部に空間部が設けられていることを特徴とする半導体装置。
【請求項13】
請求項12に記載の半導体装置において、
前記空間部は、前記ビアの側壁に隣接することを特徴とする半導体装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2006−5190(P2006−5190A)
【公開日】平成18年1月5日(2006.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−180455(P2004−180455)
【出願日】平成16年6月18日(2004.6.18)
【出願人】(503121103)株式会社ルネサステクノロジ (4,790)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年1月5日(2006.1.5)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年6月18日(2004.6.18)
【出願人】(503121103)株式会社ルネサステクノロジ (4,790)
【Fターム(参考)】
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