説明

半導体装置

【課題】レイアウト面積のさらなる削減を図ることが可能な半導体装置を提供する。
【解決手段】半導体装置は、主表面S1を有する基板SUBと、基板SUBの主表面S1から離間して配置され、データを記憶する記憶素子M1と、書き込み電流線DL<0>と、記憶素子M1にデータを書き込むためのデータ書き込み電流を書き込み電流線DL<0>に流し、基板SUBの主表面S1において形成される導通電極を有し、かつ記憶素子M1の下方に配置されるドライブトランジスタDLDTR0とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置に関し、特に、記憶素子にデータを書き込むための電流を書き込み電流線に流す駆動回路を備えた半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
MRAM(Magnetic Random Access Memory)は、強磁性体の磁化方向を利用してデータを記憶する固体メモリの総称である。MRAMにおいては、メモリセルを構成する強磁性体の磁化方向が、ある基準方向に対して平行であるか反平行であるかを“1”および“0”に対応させる。また、メモリセルに対するデータ読み出しにおいて巨大磁気抵抗効果(ジャイアント・マグネット−レジスタンス効果:GMR(Giant Magneto Resistive)効果)を利用するGMR素子、および磁性トンネル効果(トンネル・マグネット−レジスタンス効果:TMR(Tunneling Magneto Resistive)効果)を利用するMTJ(Magnetic Tunneling Junction)素子等がMRAMに使用されている。
【0003】
MTJ素子は、強磁性体層/絶縁層/強磁性体層の3層膜で構成され、絶縁層をトンネル電流が流れる。このトンネル電流に対する抵抗値が、2つの強磁性体層の磁化方向の関係に応じて変化する。
【0004】
ここで、強磁性体層の磁化方向を反転させる方法として、メモリセルの近傍に電流を流して外部磁場を発生し、強磁性体層の磁化方向を反転させる外部磁化反転法が知られている。しかしながら、外部磁化反転法では、書き込み対象のメモリセルに対応するビット線およびデジット線のいずれか一方の配線上に位置する、書き込み対象でないメモリセル(以下、半選択状態のメモリセルとも称する。)の磁化が外部磁場の影響を受けて誤動作する場合がある。
【0005】
このような問題点を解決する、メモリセルに対するデータ書き込み方法として、トグル方式が知られている。トグル方式では、磁化の向きが固定される強磁性体層である固定層と、磁化の向きを変化させることが可能な強磁性体層である自由層と、絶縁層とにより、MTJ素子が構成されている。そして、トグル方式における自由層はSAF(Synthetic Anti-Ferromagnetic coupling)構造である。すなわち、自由層は、互いに逆方向に磁化される1対の強磁性体層と、1対の強磁性体層の間に形成される非磁性体層とを含む。そして、自由層の磁化の向きを変更するためにビット線およびデジット線に電流を流して2つの磁場を発生する。ビット線およびデジット線に電流を流すタイミングをずらすことで、2つの磁場による合成磁化ベクトルの方向に1対の強磁性体層の磁化を追従させて回転し、磁化反転(トグル)させる。トグル方式では、一方の配線を流れる電流による磁場だけでは原理的に磁化反転(トグル)が起こらないことから、半選択状態のメモリセルの磁化が磁場の影響を受けて誤動作することを防止することができる。
【特許文献1】特開2006−294179号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、強磁性体層の磁化の向きを変更するためには強い磁場を発生する必要があり、強い磁場を発生するためには配線に流す電流量を大きくする必要がある。したがって、特許文献1記載の不揮発性記憶装置等、従来の半導体装置では、ビット線またはデジット線に電流を流すためのトランジスタのサイズが非常に大きくなるため、半導体装置のレイアウト面積が大きくなってしまう。
【0007】
それゆえに、本発明の目的は、レイアウト面積のさらなる削減を図ることが可能な半導体装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る半導体装置は、要約すれば、記憶素子にデータを書き込むためのデータ書き込み電流を書き込み電流線に流すドライブトランジスタは、基板の主表面において形成される導通電極を有し、かつ記憶素子の下方に配置される。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、ドライブトランジスタを記憶素子の下方の基板領域に配置することができる。したがって、本発明によれば、レイアウト面積のさらなる削減を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態について図面を用いて説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。
【0011】
図1は、本発明の実施の形態に係る半導体装置の代表例であるMRAMデバイスの全体構成を示す概略ブロック図である。
【0012】
図1を参照して、MRAMデバイス1は、制御信号CMDに応答してMRAMデバイス1の全体の動作を制御するコントロール回路5と、行列状に集積配置されたMTJメモリセルMC(以下、単にメモリセルMCとも称する)を含むメモリアレイ10と、行選択回路20,21と、列デコーダ25と、読み出し/書き込み制御回路30,35と、複数のワード線WLと、複数のデジット線DLと、複数のビット線BLと、複数のソース線SLとを備える。
【0013】
なお、以下においては信号、信号線およびデータ等の二値的な高電圧状態および低電圧状態をそれぞれ「H」レベルおよび「L」レベルとも称する。また、メモリアレイ10が含む行列状に集積配置された複数のメモリセルMCの行および列をそれぞれメモリセル行およびメモリセル列とも称する。
【0014】
行選択回路20,21は、アドレス信号ADDに含まれるロウアドレスRAに基づいてアクセス対象となるメモリアレイ10におけるメモリセル行の選択動作を実行する。列デコーダ25は、アドレス信号ADDに含まれるコラムアドレスCAに基づいてアクセス対象となるメモリアレイ10におけるメモリセル列の選択動作を実行する。
【0015】
読み出し/書き込み制御回路30,35は、メモリアレイ10の両側に設けられ、入力データDINに基づいてメモリセルMCに対するデータ書き込みを行ない、また、メモリセルMCからデータを読み出し、読み出しデータDOUTとして外部に出力する。
【0016】
ワード線WLおよびデジット線DLは、メモリセル行にそれぞれ対応して設けられる。ビット線BLおよびソース線SLは、メモリセル列にそれぞれ対応して設けられる。図1には代表的に1個のメモリセルMCが示され、メモリセルMCのメモリセル行に対応してワード線WLおよびデジット線DLがそれぞれ1本ずつ示されている。また、メモリセルMCのメモリセル列に対応してビット線BLが代表的に1本示されている。
【0017】
図2は、本発明の実施の形態に係るメモリアレイ10およびその周辺回路の概略構成図である。図2において紙面縦方向がメモリセル行に対応し、紙面横方向がメモリセル列に対応している。
【0018】
図2を参照して、メモリアレイ10は、行列状に集積配置されたメモリセルMCと、複数のビット線BLと、複数のワード線WLと、複数のデジット線DLと、複数のソース線SLとを含む。行選択回路20は、行ドライバ45,50を含む。行選択回路21は、ドライブトランジスタDLDTR0〜DLDTR3を含む。読み出し/書き込み制御回路30は、データ書き込み制御回路70と、データ線DIOと、読み出し選択ゲートRCSG0,RCSG1と、データ読み出し回路RDCと、ドライブトランジスタBLDTR0およびBLDTR2を含む。読み出し/書き込み制御回路35は、ドライブトランジスタBLDTR1およびBLDTR3を含む。
【0019】
本例においては、代表的にメモリセル列に対応して設けられたビット線BL<0>,BL<1>と、メモリセル行にそれぞれ対応して設けられたワード線WL<0>,WL<1>と、ソース線SLおよびこれらに対応する回路が示されている。また、本例においては、ビット線BL<0>とワード線WL<0>の交差点に位置するメモリセルMC0、およびビット線BL<1>とワード線WL<1>の交差点に位置するメモリセルMC1について代表的に説明する。
【0020】
行ドライバ45,50は、行選択結果であるデコード信号DW<0>,DW<1>に応じてワード線WL<0>,WL<1>を駆動する。また、ドライブトランジスタDLDTR0〜DLDTR3は、デジット線DL<3:0>をそれぞれ固定電圧Vssにプルダウンする。ドライブトランジスタDLDTR0〜DLDTR3は、行選択結果であるデコード信号WD<3:0>を受ける。たとえば、デコード信号WD<3:0>が「H」レベルに設定されると、ドライブトランジスタDLDTRがオンし、電流経路が形成されることによりデータ書き込み電流がデジット線DL<3:0>に流れる。すなわち、ドライブトランジスタDLDTR0〜DLDTR3は、対応のデジット線へデータ書き込み電流を供給するか否かを切り替える。ここで、<z:0>の記号は、<0>〜<z>を指し示すものとする。デコード信号DWおよびWDは、図示しないが行選択回路20,21に含まれる行デコーダがロウアドレスRAに基づいて行選択結果として出力したデコード信号である。
【0021】
データ書き込み制御回路70は、コントロール回路5からの動作指示に応答して動作する。データ書き込み制御回路70は、入力データDINおよび列デコーダ25からの列選択結果に応じてメモリセル列ごとに書き込み制御信号WCSLを設定する。本例においては、ビット線BL<0>,BL<1>に対応して書き込み制御信号WCSL<0>,WCSL<1>が示されている。
【0022】
ドライブトランジスタBLDTR0,BLDTR2は、ビット線BL<0>,BL<1>にそれぞれ対応して、すなわちメモリセル列ごとに設けられ、ビット線BL<0>,BL<1>の一端側をそれぞれ電源電圧Vccにプルアップする。ドライブトランジスタBLDTR0,BLDTR2は、それぞれ書き込み制御信号WCSL<0>,WCSL<1>を受ける。
【0023】
また、ドライブトランジスタBLDTR1,BLDTR3は、ビット線BL<0>,BL<1>にそれぞれ対応して、すなわちメモリセル列ごとに設けられ、ビット線BLの他端側を固定電圧Vssにプルダウンする。ドライブトランジスタBLDTR1,BLDTR3は、それぞれ書き込み制御信号WCSL<0>,WCSL<1>を受ける。
【0024】
たとえば、書き込み制御信号WCSL<0>が「H」レベルに設定されると、ドライブトランジスタBLDTR0,BLDTR1がオンし、電流経路が形成されることによりデータ書き込み電流がビット線BL<0>に流れる。また、書き込み制御信号WCSL<1>が「H」レベルに設定されると、ドライブトランジスタBLDTR2,BLDTR3がオンし、電流経路が形成されることによりデータ書き込み電流がビット線BL<1>に流れる。すなわち、ドライブトランジスタBLDTR0〜BLDTR3は、対応のビット線へデータ書き込み電流を供給するか否かを切り替える。データ線DIOには、選択メモリセルの電気抵抗に応じた電流が供給される。
【0025】
読み出し選択ゲートRCSG0,RCSG1は、ビット線BL<0>,BL<1>にそれぞれ対応して、すなわちメモリセル列にそれぞれ対応して設けられ、データ線DIOおよび各ビット線BLの間に設けられる。読み出し選択ゲートRCSG0,RCSG1は、それぞれ読み出し選択信号RCSL<0>,RCSL<1>を受ける。
【0026】
対応するメモリセル列が選択された場合には、読み出し選択ゲートRCSGがオンし、ビット線BLとデータ線DIOとが結合される。同様の構成は各メモリセル列に対応して設けられる。すなわちデータ線DIOは、各ビット線BLによって共有される。このような構成により、選択メモリセルは、データ読み出し時において選択列のビット線BLおよび対応する読み出し選択ゲートRCSGを介してデータ線DIOと結合される。読み出し選択信号RCSLは、コラムアドレスCAに基づいて列デコーダ25が列選択結果として出力したデコード信号である。
【0027】
データ読み出し回路RDCは、図示しない制御信号を受けて所定のデータ読み出し動作を実行し、読み出しデータDOを出力する。
【0028】
図3は、本発明の実施の形態に係るメモリセルMC0およびMC1の詳細を説明する回路構成図である。
【0029】
図3を参照して、メモリセルMC0およびMC1は、それぞれ磁気抵抗素子M0〜M3と、アクセストランジスタ(選択トランジスタ)ATRとを含む。以下、磁気抵抗素子M0〜M3の一部または全部をまとめて磁気抵抗素子Mと称する場合がある。
【0030】
本発明の実施の形態に係るメモリセルMCは、複数の磁気抵抗素子Mに対して1個のアクセストランジスタATRを共有した構成となっている。
【0031】
磁気抵抗素子M0〜M3は、記憶データの論理レベルに対応する磁化方向に応じて電気抵抗値が変化する。
【0032】
メモリセルMC0において、磁気抵抗素子M0〜M3は、ビット線BL<0>とアクセストランジスタATRとの間にそれぞれ並列に接続されている。アクセストランジスタATRは、磁気抵抗素子M0〜M3を介してソース線SLとビット線BL<0>との間に配置され、そのゲートはワード線WL<0>と結合されている。
【0033】
また、メモリセルMC1も同様に構成されており、具体的には、磁気抵抗素子M0〜M3がアクセストランジスタATRとビット線BL<1>との間に並列にそれぞれ配置されている。また、アクセストランジスタATRは、磁気抵抗素子M0〜M3を介してビット線BL<1>とソース線SLとの間に配置され、そのゲートはワード線WL<1>と結合されている。
【0034】
ここで、メモリセルMC0およびMC1はソース線SLを共有している。すなわち、2行のメモリセル行毎に1本のソース線SLが設けられている。このように、メモリセル行に沿った隣接する2個のメモリセルMC0,MC1でソース線SLを共有する構成により、配線数を抑制することで配線ピッチを十分に確保することが可能となる。
【0035】
また、メモリセルMC0およびMC1の各々に含まれる磁気抵抗素子M0は、デジット線DL<0>を共有している。また、磁気抵抗素子M1〜M3も同様にデジット線DL<0>〜DL<3>をそれぞれ共有している。
【0036】
また、デジット線DL<0>〜DL<3>の一端側は、電源電圧Vccと結合されており、他端側はドライブトランジスタDLDTR0〜DLDTR3の第1導通電極にそれぞれ接続されている。ドライブトランジスタDLDTR0〜DLDTR3の第2導通電極は、固定電圧Vssに結合されている。そして、ドライブトランジスタDLDTR0〜DLDTR3は、制御電極において「H」レベルの行選択信号WD<0>〜WD<3>を受けてオン状態となり、デジット線DL<0>〜DL<3>にそれぞれデータ書き込み電流を流す。デジット線DL<0>〜DL<3>は、対応の磁気抵抗素子Mへデータ書き込み電流による誘起磁界を与える。
【0037】
すなわち、データ書き込み時、ドライブトランジスタBLDTRおよびDLDTRを制御することにより、ビット線BLおよびデジット線DLにデータ書き込み電流を流して2つのデータ書き込み磁場を発生する。このとき、ビット線BLおよびデジット線DLにデータ書き込み電流を流すタイミングをずらすことで、磁気抵抗素子Mにおいて、2つのデータ書き込み磁場による合成磁化ベクトルの方向に1対の強磁性体層の磁化を追従させて回転し、磁化反転(トグル)させる。
【0038】
アクセストランジスタATRは、磁気抵抗素子M0〜M3の記憶データを読み出すための電流経路を形成するか否かを共通に切り替える。
【0039】
より詳細には、データ読み出し時、アクセストランジスタATRは、ワード線WLが「H」レベルになるとオンする。これにより、磁気抵抗素子M0〜M3を介してビット線BLとソース線SLとが電気的に接続される。また、「H」レベルの読み出し選択信号RCSLによりビット線BLとデータ線DIOとが電気的に接続される。また、図示しない制御信号がデータ読み出し回路RDCへ出力されることにより、電源電圧Vccがデータ読み出し回路RDCに供給される。すなわち、磁気抵抗素子M0〜M3を介して電源電圧Vccと固定電圧Vssとの間で電流経路が形成される。したがって、磁気抵抗素子M0〜M3の抵抗値に応じたデータ読み出し電流がデータ読み出し回路RDCおよび磁気抵抗素子M0〜M3を通して流れる。そして、データ読み出し回路RDCは、このデータ読み出し電流に基づいて、磁気抵抗素子M0〜M3の記憶データの読み出し結果を示す読み出しデータDOを出力する。
【0040】
図4は、本発明の実施の形態に係る半導体装置のレイアウトを概略的に示す図である。ここでは、デバイス上部方向からデバイスを見た場合のレイアウト構成が示されている。
【0041】
図4を参照して、MRAMデバイス1は、行列状に配置された複数個の磁気抵抗素子Mを備える。ここでは、行列状に配置された複数の磁気抵抗素子Mの行および列をそれぞれ記憶素子行および記憶素子列とも称する。なお、図4において紙面縦方向が記憶素子行に対応し、紙面横方向が記憶素子列に対応している。
【0042】
MRAMデバイス1は、さらに、記憶素子ごとに配置された複数本のデジット線DLと、デジット線DLごとに配置された複数個のドライブトランジスタDLDTRとを備える。
【0043】
ここでは、主にデジット線DL<0>〜DL<3>と、ドライブトランジスタDLDTR0〜DLDTR3について説明する。以下、デジット線DL<0>〜DL<3>の一部または全部をまとめてデジット線DLと称する場合がある。また、ドライブトランジスタDLDTR0〜DLDTR3の一部または全部をまとめてドライブトランジスタDLDTRと称する場合がある。
【0044】
メモリセルMCの各々に含まれる磁気抵抗素子M0〜M3は、メモリセル列方向に沿って配置される。メモリセルMCの各々に含まれる磁気抵抗素子M0は、デジット線DL<0>に沿ってそれぞれ配置される。メモリセルMCの各々に含まれる磁気抵抗素子M1は、デジット線DL<1>に沿ってそれぞれ配置される。メモリセルMCの各々に含まれる磁気抵抗素子M2は、デジット線DL<2>に沿ってそれぞれ配置される。メモリセルMCの各々に含まれる磁気抵抗素子M3は、デジット線DL<3>に沿ってそれぞれ配置される。
【0045】
また、トランジスタの形成領域の1行目には複数個のアクセストランジスタATRがメモリセルMCごとに配置される。すなわち、アクセストランジスタATRは、磁気抵抗素子Mの行方向に並ぶ4個の磁気抵抗素子Mごとに設けられる。アクセストランジスタATRは行列状に配置される。ドライブトランジスタDLDTRは、アクセストランジスタATRの行間に配置される。トランジスタの形成領域の2行目には、デジット線DL<0>にデータ書き込み電流を流すドライブトランジスタDLDTR0と、デジット線DL<1>にデータ書き込み電流を流すドライブトランジスタDLDTR1とが配置される。トランジスタの形成領域の3行目には、デジット線DL<2>にデータ書き込み電流を流すドライブトランジスタDLDTR2と、デジット線DL<3>にデータ書き込み電流を流すドライブトランジスタDLDTR3とが配置される。
【0046】
図5は、本発明の実施の形態に係る半導体装置の図4におけるV−V断面を示す断面図である。
【0047】
図5を参照して、MRAMデバイス1は、主表面S1を有する半導体基板SUBと、ストラップSTとを備える。半導体基板SUBは、n型拡散領域51〜56と、p型拡散領域61とを含む。
【0048】
アクセストランジスタATRは、半導体基板SUBと磁気抵抗素子M0との間に設けられる。ドライブトランジスタDLDTR0およびDLDTR2は、半導体基板SUBと磁気抵抗素子M1〜M3との間に設けられる。
【0049】
アクセストランジスタATR、ならびにドライブトランジスタDLDTR0およびDTR2の第1導通領域および第2導通領域は、半導体基板SUBの主表面S1において形成される。また、アクセストランジスタATR、ならびにドライブトランジスタDLDTR0およびDLDTR2のゲート電極は、半導体基板SUBの主表面S1の上方において形成される。
【0050】
より詳細には、アクセストランジスタATRは、p型拡散領域61の表面上にゲート絶縁膜を介して形成されるゲート電極Gと、n型拡散領域51によって形成される第1導通電極と、n型拡散領域52によって形成される第2導通電極とを有する。ゲート電極Gは、n型拡散領域51および52に挟まれたp型拡散領域61におけるチャネル領域とゲート絶縁膜を介して対向して設けられる。
【0051】
ドライブトランジスタDLDTR0は、p型拡散領域61の表面上にゲート絶縁膜を介して形成されるゲート電極Gと、n型拡散領域53によって形成される第1導通電極と、n型拡散領域54によって形成される第2導通電極とを有する。ゲート電極Gは、n型拡散領域53および54に挟まれたp型拡散領域61におけるチャネル領域とゲート絶縁膜を介して対向して設けられる。
【0052】
ドライブトランジスタDLDTR2は、p型拡散領域61の表面上にゲート絶縁膜を介して形成されるゲート電極Gと、n型拡散領域55によって形成される第1導通電極と、n型拡散領域55によって形成される第2導通電極とを有する。ゲート電極Gは、n型拡散領域55および56に挟まれたp型拡散領域61におけるチャネル領域とゲート絶縁膜を介して対向して設けられる。
【0053】
すなわち、アクセストランジスタATR、ならびにドライブトランジスタDLDTR0およびDLDTR2のゲート電極Gは半導体基板SUBにおけるp型拡散領域61の上層に形成される。
【0054】
n型拡散領域52は、配線層L1において形成されるソース線SLと結合される。n型拡散領域54および56は、配線層L1において形成される金属配線を介して固定電圧Vssが供給されるノードに結合される。
【0055】
デジット線DL<0>〜DL<3>は、配線層L1の上層である配線層L2のさらに上層である配線層L3において形成される。
【0056】
磁気抵抗素子Mは、デジット線DLの上層側に配置される。具体的には、デジット線DL<0>〜DL<3>の上層にストラップSTを介して磁気抵抗素子M0〜M3がそれぞれ設けられる。また、磁気抵抗素子M0〜M3はストラップST、ビアおよびコンタクトホールを介してアクセストランジスタATRの第1導通電極と結合される。ストラップSTは、導電性の物質で形成される。
【0057】
また、図4に示すレイアウトでは図示していないが、ビット線BLは、磁気抵抗素子M0〜M3の上層側に配置される。すなわち、磁気抵抗素子M0〜M3は、ビット線BLと、ストラップSTとの間に配置されている。
【0058】
ワード線WLは、アクセストランジスタATRのゲート電圧を制御するために設けられるため、ワード線WLを通して大電流を流す必要はない。したがって、集積度を高める観点から、ワード線WLは、独立した金属配線層を設けて形成することなく、ゲート電極Gと同一の配線層にポリシリコン層およびポリサイド層などを用いて形成する。
【0059】
また、ストラップSTの下層においては、デジット線DL<0>〜DL<3>が磁気抵抗素子M0〜M3にそれぞれ対応して設けられている。そして、さらに下層においては、ワード線WLおよびゲート電極Gが設けられる。
【0060】
図6は、本発明の実施の形態に係る半導体装置の図4におけるVI−VI断面を示す断面図である。
【0061】
図6を参照して、ドライブトランジスタDLDTR0の第1導通電極は、配線層L1、コンタクトおよびビアを介して配線層L3に形成されているデジット線DL<0>に結合される。すなわち、ドライブトランジスタDLDTR0は、配線層L1、コンタクトおよびビアを介してデジット線DL<0>にデータ書き込み電流を供給する。
【0062】
図7は、本発明の実施の形態に係る半導体装置の第1の変形例を示す断面図である。
図7を参照して、アクセストランジスタATRは、アクセストランジスタATRは、ドライブトランジスタDLDTR0とドライブトランジスタDLDTR2との間に配置される。
【0063】
より詳細には、アクセストランジスタATRは、半導体基板SUBと磁気抵抗素子M1との間に設けられる。ドライブトランジスタDLDTR0は、半導体基板SUBと磁気抵抗素子M0との間に設けられる。ドライブトランジスタDLDTR2は、半導体基板SUBと磁気抵抗素子M2およびM3との間に設けられる。
【0064】
トランジスタの形成領域の1行目には、デジット線DL<0>にデータ書き込み電流を流すドライブトランジスタDLDTR0と、デジット線DL<1>にデータ書き込み電流を流すドライブトランジスタDLDTR1とが配置される。トランジスタの形成領域の2行目には、複数個のアクセストランジスタATRがメモリセルMCごとに配置される。トランジスタの形成領域の3行目には、デジット線DL<2>にデータ書き込み電流を流すドライブトランジスタDLDTR2と、デジット線DL<3>にデータ書き込み電流を流すドライブトランジスタDLDTR3とが配置される。
【0065】
図8は、本発明の実施の形態に係る半導体装置の第2の変形例を示す断面図である。
図8を参照して、このMRAMデバイスは、ドライブトランジスタDLDTR0およびDLDTR2の代わりにドライブトランジスタDLDTR11を備える。また、このMRAMデバイスは、ドライブトランジスタDLDTR1およびDLDTR3の代わりに図示しないドライブトランジスタDLDTR12を備える。ドライブトランジスタDLDTR12の構成はドライブトランジスタDLDTR11と同様であるため、ここでは詳細な説明を繰り返さない。
【0066】
ドライブトランジスタDLDTR11は、ドライブトランジスタDLDTR0およびDLDTR2に相当し、かつ第2導通電極を共有する2個のトランジスタを含む。すなわち、ドライブトランジスタDLDTR11が含む一方のドライブトランジスタは、p型拡散領域61の表面上にゲート絶縁膜を介して形成されるゲート電極G11と、n型拡散領域71によって形成される第1導通電極と、n型拡散領域72によって形成される第2導通電極とを有する。ゲート電極G11は、n型拡散領域71および72に挟まれたp型拡散領域61におけるチャネル領域とゲート絶縁膜を介して対向して設けられる。
【0067】
また、ドライブトランジスタDLDTR11が含む他方のドライブトランジスタは、p型拡散領域61の表面上にゲート絶縁膜を介して形成されるゲート電極G12と、n型拡散領域73によって形成される第1導通電極と、n型拡散領域72によって形成される第2導通電極とを有する。ゲート電極G12は、n型拡散領域72および73に挟まれたp型拡散領域61におけるチャネル領域とゲート絶縁膜を介して対向して設けられる。
【0068】
アクセストランジスタATRは、半導体基板SUBと磁気抵抗素子M0との間に設けられる。ドライブトランジスタDLDTR11は、半導体基板SUBと磁気抵抗素子M1〜M3との間に設けられる。
【0069】
また、トランジスタの形成領域の1行目には複数個のアクセストランジスタATRがメモリセルMCごとに配置される。トランジスタの形成領域の2行目には、デジット線DL<0>およびDL<1>にデータ書き込み電流を流すドライブトランジスタDLDTR11と、デジット線DL<2>およびDL<3>にデータ書き込み電流を流す図示しないドライブトランジスタDLDTR12とが配置される。
【0070】
図8に示す変形例によれば、磁気抵抗素子Mの配置間隔をMRAMデバイス1と比べて狭くすることが可能であれば、MRAMデバイス1と比べてさらに小型化を図ることができる。
【0071】
ところで、一般的なMRAMでは、磁気抵抗素子の下方の基板領域には磁気抵抗素子に対応するアクセストランジスタが配置され、デジット線等にデータ書き込み電流を流すトランジスタはメモリアレイの領域外に配置される。したがって、特許文献1記載の不揮発性記憶装置等、従来の半導体装置では、ビット線またはデジット線に電流を流すためのトランジスタのサイズが非常に大きくなるため、半導体装置のレイアウト面積が大きくなってしまう。
【0072】
しかしながら、本発明の実施の形態に係る半導体装置では、磁気抵抗素子Mにデータを書き込むためのデータ書き込み電流をデジット線DLに流すドライブトランジスタDLDTRは、半導体基板SUBの主表面S1において形成される第1導通電極および第2導通電極を有し、かつ磁気抵抗素子Mの下方に配置される。このような構成により、ドライブトランジスタDLDTRをメモリアレイの領域内に配置することができるため、レイアウト面積のさらなる削減を図ることができる。
【0073】
また、本発明の実施の形態に係る半導体装置のように、複数個の磁気抵抗素子Mが1個のアクセストランジスタATRを共有する構成により、メモリセルの集積度を向上することができる。すなわち、アクセストランジスタのサイズを小さくすることにより集積度の向上を図ることは可能であるが、そのサイズの縮小には限度がある。このため、セルピッチは、磁気抵抗素子のサイズではなく、アクセストランジスタのサイズに起因している場合が多い。したがって、アクセストランジスタのサイズに合わせて、磁気抵抗素子を複数個配置することにより、エリアペナルティの小さい集積度の高い半導体装置を実現することが可能である。
【0074】
そして、本発明の実施の形態に係る半導体装置では、上記のように複数個の磁気抵抗素子Mが1個のアクセストランジスタATRを共有する構成であるため、複数個の磁気抵抗素子Mの下方の基板領域のうち、アクセストランジスタATRが配置されない空き領域が存在する。したがって、この空き領域にドライブトランジスタDLDTRを配置することにより、効率的なレイアウトが行なえるため、本発明は、複数個の磁気抵抗素子Mが1個のアクセストランジスタATRを共有する構成において特にレイアウト面積の削減効果が大きい。
【0075】
また、本発明は、記憶素子にデータを書き込むための電流等、特に大電流が要求される駆動回路に適用する場合、レイアウト面積の削減効果が大きくなる。
【0076】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【図面の簡単な説明】
【0077】
【図1】本発明の実施の形態に係る半導体装置の代表例であるMRAMデバイスの全体構成を示す概略ブロック図である。
【図2】本発明の実施の形態に係るメモリアレイ10およびその周辺回路の概略構成図である。
【図3】本発明の実施の形態に係るメモリセルMC0およびMC1の詳細を説明する回路構成図である。
【図4】本発明の実施の形態に係る半導体装置のレイアウトを概略的に示す図である。
【図5】本発明の実施の形態に係る半導体装置の図4におけるV−V断面を示す断面図である。
【図6】本発明の実施の形態に係る半導体装置の図4におけるVI−VI断面を示す断面図である。
【図7】本発明の実施の形態に係る半導体装置の第1の変形例を示す断面図である。
【図8】本発明の実施の形態に係る半導体装置の第2の変形例を示す断面図である。
【符号の説明】
【0078】
1 MRAMデバイス、5 コントロール回路、10 メモリアレイ、20,21 行選択回路、25 列デコーダ、30,35 読み出し/書き込み制御回路、45,50 行ドライバ、51〜56,71〜73 n型拡散領域、61 p型拡散領域、70 データ書き込み制御回路、WL,WL<0>,WL<1> ワード線、DL,DL<0>〜DL<3> デジット線、BL,BL<0>,BL<1> ビット線、SL ソース線、DLDTR,DLDTR0〜DLDTR3,DLDTR11,DLDTR12 ドライブトランジスタ、ATR アクセストランジスタ(選択トランジスタ)、DIO データ線、RCSG0,RCSG1 読み出し選択ゲート、BLDTR,BLDTR0〜BLDTR3 ドライブトランジスタ、RDC データ読み出し回路、MC0,MC1 メモリセル、M,M0〜M3 磁気抵抗素子、S1 主表面、SUB 半導体基板、L1〜L3 配線層、G,G11,G12 ゲート電極。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
主表面を有する基板と、
前記基板の主表面から離間して配置され、データを記憶する記憶素子と、
書き込み電流線と、
前記記憶素子にデータを書き込むためのデータ書き込み電流を前記書き込み電流線に流し、前記基板の主表面において形成される導通電極を有し、かつ前記記憶素子の下方に配置されるドライブトランジスタとを備える半導体装置。
【請求項2】
前記記憶素子は、記憶データの論理レベルに対応する磁化方向に応じて電気抵抗値が変化する磁気抵抗素子であり、
前記ドライブトランジスタは、データ書き込み時、前記書き込み電流線に前記データ書き込み電流を流すことにより、前記磁気抵抗素子の磁化に作用するデータ書き込み磁場を発生する請求項1記載の半導体装置。
【請求項3】
前記半導体装置は、
複数個の前記記憶素子と、
前記複数個の記憶素子の記憶データを読み出すための電流経路を形成するか否かを共通に切り替え、前記基板の主表面において形成される導通電極を有する選択トランジスタとを備え、
前記選択トランジスタおよび前記ドライブトランジスタは、前記複数個の記憶素子の下方に配置される請求項1記載の半導体装置。
【請求項4】
前記半導体装置は、
行列状に配置された複数個の前記記憶素子と、
前記記憶素子の行ごとに設けられた複数本の前記書き込み電流線と、
前記記憶素子の列ごとに設けられ、対応の列における複数個の前記記憶素子のデータを読み出すための電流経路を形成するか否かを共通に切り替え、前記基板の主表面において形成される導通電極を有し、かつ前記記憶素子の所定行の下方に配置された複数個の前記選択トランジスタと、
前記書き込み電流線ごとに設けられ、前記記憶素子にデータを書き込むためのデータ書き込み電流を対応の前記書き込み電流線に流し、前記基板の主表面において形成される導通電極を有し、かつ前記所定行以外の前記記憶素子の行の下方に配置された複数個の前記ドライブトランジスタとを備える請求項3記載の半導体装置。
【請求項5】
主表面を有する基板と、
行列状に配置され、各々が、記憶データの論理レベルに対応する磁化方向に応じて電気抵抗値が変化する複数個の磁気抵抗素子と、
各々が、前記複数個の磁気抵抗素子の行に対応して配置され、対応の前記磁気抵抗素子へ電流による誘起磁界を与える複数本の書き込み電流線と
前記複数個の磁気抵抗素子の列方向に並ぶ所定数の前記磁気抵抗素子ごとに設けられ、対応の前記所定数の磁気抵抗素子の前記記憶データを読み出すための電流経路を形成するか否かを切り替える複数個の選択トランジスタと、
前記複数本の書込み電流線の各々に対応して設けられ、対応の前記書込み電流線へ電流を供給するか否かを切り替える複数個のドライブトランジスタとを備え、
前記複数個の選択トランジスタは、前記行列状に配置された前記複数個の磁気抵抗素子の下層に行列状に配置され、前記複数個のドライブトランジスタは、前記行列状に配置された前記複数個の磁気抵抗素子の下層かつ前記選択トランジスタの行間に配置される半導体装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−54788(P2009−54788A)
【公開日】平成21年3月12日(2009.3.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−219946(P2007−219946)
【出願日】平成19年8月27日(2007.8.27)
【出願人】(503121103)株式会社ルネサステクノロジ (4,790)
【Fターム(参考)】