説明

半導体装置

【課題】半導体集積回路にDAコンバータが内蔵され、且つ、上記DAコンバータとデジタル回路とでパッドが共有される場合のアナログ電源電圧の動作範囲を改善する。
【解決手段】複数の抵抗が結合されて成るラダー抵抗回路を含むR−2R型DAコンバータ(106)と、デジタル信号の入出力を可能とするデジタル回路(601)と、上記DAコンバータの出力ポートと上記デジタル回路の入出力ポートとの間で共有されるパッド(602)とを設ける。そして、上記R−2R型DAコンバータが非アクティブ状態とされるとき、上記ラダー抵抗回路を上記R−2R型DAコンバータから切り放すためのスイッチ制御回路(20)を設け、上記DAコンバータのアナログ信号出力ポートを導電ライン(320)によって上記パッドに直結することで、アナログ電源電圧の動作範囲を拡大する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置、特にデジタル信号をアナログ信号に変換するためのDAC(デジタル・アナログ・コンバータ)の出力ポートとデジタル回路の入出力ポートとの間で共有されるパッドを有する場合のアナログ電源電圧の動作範囲を拡大するための技術に関し、例えばマイクロコンピュータに適用して有効な技術に関する。
【背景技術】
【0002】
デジタル出力とアナログ出力とを兼用するデジタル・アナログ兼用端子をもつ半導体装置が知られている。例えば特許文献1によれば、第1の電源電圧に接続されたデジタル出力回路と、第2の電源電圧に接続されたアナログ出力回路と、該デジタル・アナログ兼用端子と該デジタル出力回路との接続点と該アナログ出力回路との間に、ゲートを前記第2の電源電圧に接続されたnチャネル型MOSトランジスタとを含んで成る半導体装置が示される。
【0003】
また、特許文献2には、デジタル値の出力端子とアナログ値の出力端子とを兼用するD/A出力ポートを備えたマイクロコンピュータが示される。このマイクロコンピュータは、第1のデジタル値を保持するポートレジスタと、ポートの入出力モードの設定をする入出力モード設定レジスタと、高電位電源と低電位電源の供給を受け、第2のデジタル値をアナログ値に変換するディジタル/アナログ変換器と、ディジタル/アナログ変換器の出力端子と、ディジタル/アナログ変換器の変換値設定レジスタとを備える。そして、入出力モード設定レジスタを出力モードとし、ポートレジスタに書かれた値を変換値設定レジスタの全ビットに転送し、前記変換値設定レジスタの出力値に対応して、ディジタル/アナログ変換器の出力を低電位として、第1のデジタル値を前記出力端子に出力するようにしている。
【0004】
さらに、特許文献3には、A/D変換回路を内蔵し、外部端子を共用するマイクロコンピュータにおいて、入出力回路におけるオフリーク電流に起因するA/D変換精度の劣化を改善するための技術が示される。このマイクロコンピュータは、内部回路を形成するデータ処理回路部およびA/D変換回路部と、PチャネルMOSトランジスタ、NチャネルMOSトランジスタおよびNAND回路を含む入出力回路と、共用化された外部端子と、当該外部端子と入出力回路1とを接続する配線上に、寄生抵抗の抵抗値よりも比較的抵抗値の高い抵抗とを備えて成る。
【0005】
【特許文献1】特開2004−064443号公報
【特許文献2】特開2002−164787号公報
【特許文献3】特開平11−149464号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
DAコンバータの出力ポートとデジタル回路の入出力ポートとの間でパッドが共有される場合において、このポートをI/Oポートとして使用するとき、DAコンバータの出力を非活性化し、汎用I/Oポートをアクティブにする必要がある。このため、図4に示されるように、DAコンバータ106とパッド602との間に、DAC出力制御スイッチ201が設けられ、パッド602をI/Oポートで使用する場合は、上記DAC出力制御スイッチ201がオフ状態にされる。上記DAC出力制御スイッチ201は、pチャネル型MOSトランジスタとnチャネル型MOSトランジスタとが並列接続されて成り、DAC出力制御信号がローレベルにされた状態では、上記pチャネル型MOSトランジスタとnチャネル型MOSトランジスタとの双方がオフ状態とされる。
【0007】
しかしながら、図4に示される回路について本願発明者が検討したところ、上記DAC出力制御スイッチ201が以下のようにアナログ電源電圧の動作範囲を律則していることが見いだされた。図3には、上記DAC出力制御スイッチを構成するMOSトランジスタのスイッチ特性が示される。pチャネル型MOSトランジスタのスイッチ特性は、図3の(A)に示されるように、入力電圧が高くなるに従ってスイッチ抵抗が小さくなる。nチャネル型MOSトランジスタのスイッチ特性は図3の(B)に示されるように、入力電圧が高くなるに従ってスイッチ抵抗が大きくなる。DAC出力制御スイッチは、上記pチャネル型MOSトランジスタとnチャネル型MOSトランジスタとの合成抵抗となり、アナログ電源電圧が高い場合には、図3の(C)に示されるように、入力電圧レベルにかかわらず、良好な特性を示す。これに対して、アナログ電源電圧が低い場合には、入力電圧が中間レベル(AVcc/2)付近でスイッチ抵抗が無限大になってしまうため、スイッチとして機能しなくなる。このため、図4に示される構成においては、上記DAC出力制御スイッチによってアナログ電源電圧の動作範囲が律則されてしまう。
【0008】
本発明の目的は、半導体集積回路にDAコンバータが内蔵され、且つ、上記DAコンバータとデジタル回路とでパッドが共有される場合のアナログ電源電圧の動作範囲を改善するための技術を提供することにある。
【0009】
本発明の前記並びにその他の目的と新規な特徴は本明細書の記述及び添付図面から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本願において開示される発明のうち代表的なものについて簡単に説明すれば下記のとおりである。
【0011】
すなわち、複数の抵抗が結合されて成るラダー抵抗回路を含むR−2R型DAコンバータと、デジタル信号の入出力を可能とするデジタル回路と、上記DAコンバータの出力ポートと上記デジタル回路の入出力ポートとの間で共有されるパッドとを設ける。そして、上記R−2R型DAコンバータが非アクティブ状態とされるとき、上記ラダー抵抗回路を上記R−2R型DAコンバータから切り放すためのスイッチ制御回路を設け、上記DAコンバータのアナログ信号出力ポートを導電ラインによって上記パッドに直結することで、アナログ電源電圧の動作範囲を拡大する。
【発明の効果】
【0012】
本願において開示される発明のうち代表的なものによって得られる効果を簡単に説明すれば下記の通りである。
【0013】
すなわち、半導体集積回路にDAコンバータが内蔵され、且つ、上記DAコンバータとデジタル回路とでパッドが共有される場合のアナログ電源電圧の動作範囲を改善するための技術を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
1.代表的な実施の形態
先ず、本願において開示される発明の代表的な実施の形態について概要を説明する。代表的な実施の形態についての概要説明で括弧を付して参照する図面の参照符号はそれが付された構成要素の概念に含まれるものを例示するに過ぎない。
【0015】
〔1〕本発明の代表的な実施の形態に係る半導体装置(10)は、複数の抵抗が結合されて成るラダー抵抗回路を含むR−2R型DAコンバータ(106)と、デジタル信号の入出力を可能とするデジタル回路(601)と、上記DAコンバータの出力ポートと上記デジタル回路の入出力ポートとの間で共有されるパッド(602)とを含む。そして、上記R−2R型DAコンバータが非アクティブ状態とされるとき、上記ラダー抵抗回路を上記R−2R型DAコンバータから切り放すためのスイッチ制御回路(20)を含み、上記DAコンバータのアナログ信号出力ポートが導電ライン(320)によって上記パッドに直結される。
【0016】
上記の構成によれば、R−2R型DAコンバータの出力ポートが導電ラインによってパッドに直結されており、DAC出力制御スイッチ(201)が不要とされるため、アナログ電源電圧が低い場合においても正常動作が可能となり、アナログ電源電圧の動作範囲を拡大することができる。
【0017】
〔2〕別の観点によれば、半導体装置に、上記R−2R型DAコンバータは、入力されたデジタル信号に応じて上記ラダー抵抗回路に基準電圧を供給可能な第1制御スイッチ(47)と、上記ラダー抵抗回路の端部をグランドライン(AVSS)に結合可能な第2制御スイッチ(48)と、上記R−2R型DAコンバータが非アクティブ状態とされるとき、上記第1制御スイッチ及び上記第2制御スイッチをオフ状態にするためのスイッチ制御回路(20)とを設けることができる。
【0018】
〔3〕上記〔2〕において、上記R−2R型DAコンバータの状態を指示するフラグが設定される制御レジスタ(42)を含み、上記スイッチ制御回路は、上記フラグの論理に応じて上記第1制御スイッチ及び上記第2制御スイッチの動作を制御するように構成することができる。
【0019】
〔4〕上記〔2〕において、上記ラダー抵抗回路は、互いに直列接続された複数の第1抵抗(301〜305)と、上記第1抵抗の直列接続ノード(31〜33)と上記第1制御スイッチとの間に接続された第2抵抗(306〜311)とを含んで構成することができる。その場合において、上記複数の第1抵抗が互いに直列接続されて成る第1抵抗列の一方の端部から上記R−2R型DAコンバータの出力ポートが引き出され、上記第1抵抗列における他方の端部に上記第2制御スイッチが結合されるように構成することができる。
【0020】
〔5〕上記〔2〕において、互いに直列接続された複数の第1抵抗(301〜305)と、上記第1抵抗の直列接続ノード(31〜33)と、上記第1制御スイッチとの間に接続された第2抵抗(306〜311)とを含んで上記ラダー抵抗回路が構成されるとき、以下のように構成することができる。すなわち、上記複数の第1抵抗が互いに直列接続されて成る第1抵抗列の一方の端部から上記R−2R型DAコンバータの出力ポートが引き出され、上記第1抵抗列における他方の端部がグランドライン(AVSS)に結合され、上記第1抵抗列の上記グランドラインに結合された抵抗(305)と、それに隣接する抵抗(304)との間に上記第2制御スイッチが配置される。
【0021】
〔6〕上記〔2〕において、互いに直列接続された複数の第1抵抗(301〜305)と、上記第1抵抗の直列接続ノード(31〜33)と、上記第1制御スイッチとの間に接続された第2抵抗(306〜311)とを含んでラダー抵抗回路が形成されるとき、以下のように構成することができる。すなわち、上記複数の第1抵抗が互いに直列接続されて成る第1抵抗列の一方の端部から上記R−2R型DAコンバータの出力ポートが引き出され、上記第1抵抗列における他方の端部がグランドライン(AVSS)に結合され、上記第1抵抗の直列接続ノードと上記第2抵抗とが結合されて複数の分岐点(31,32,33)が形成されるとき、上記出力ポートから最も遠い分岐点(33)と、当該分岐点から見て上記グランドライン側に位置する上記第1抵抗(304)との間に上記第2制御スイッチが配置される。
【0022】
2.実施の形態の説明
次に、実施の形態について更に詳述する。
【0023】
図5には、本発明にかかる半導体装置の一例とされるマイクロコンピュータが示される。このマイクロコンピュータ10は、CPU(中央処理装置)101、ROM(リード・オンリー・メモリ)102、RAM(ランダム・アクセス・メモリ)103、周辺モジュール104、ADC(アナログ・デジタル・コンバータ)105、DAC(デジタル・アナログ・コンバータ)106を含み、公知の半導体集積回路技術により、単結晶シリコン基板などの一つの半導体基板に形成される。このマイクロコンピュータ10のチップ縁辺部には、複数のポート(PORT)が形成され、このマイクロコンピュータ10の内部と外部との間で各種信号のやり取りが可能とされる。
【0024】
上記CPU101は、所定のプログラムに従って演算処理を行う。上記ROM102には、上記CPU101で実行されるプログラムなどが格納される。上記RAM103は、上記CPU101での演算処理の作業領域などに使用される。上記周辺モジュール104には、時間計測のためのTIMER(タイマ)や、シリアル通信のためのSCI(シリアル・コミュニケーション・インタフェース)が含まれる。上記ADC105は、入力されたアナログ信号をデジタル信号に変換する。上記DAC106は、入力されたデジタル信号をアナログ信号に変換する。このDAC106の出力信号は、対応するポート107を介して外部出力される。
【0025】
図6には、上記DAC106に対応するポート107が示される。
【0026】
上記DAC106に対応するポート107は、外部ピンに接続されるパッド602が設けられ、このパッド602は、上記DAC106の出力ポートとデジタル回路601の入出力ポートとの間で共有される。つまり、DAC106が非アクティブ状態の場合には、デジタル回路601と外部との間で信号のやり取りが可能とされ、DAC106がアクティブ状態の場合には、DAC106からのアナログ信号の外部出力が可能とされる。このとき、デジタル回路601は高インピーダンス状態にされる。
【0027】
図1には、上記DAC106の構成例が示される。
【0028】
上記DAC106は、R−2R型DAコンバータとされる。このDAC106は、特に制限されないが、3ビット構成のデジタル信号をアナログ信号に変換するもので、ラダー抵抗回路46、第1制御スイッチ47、第2制御スイッチ48、及びスイッチ制御回路20を含んで成る。
【0029】
上記ラダー抵抗回路46は、複数の抵抗301〜311が結合されて成る。複数の抵抗301〜311の値は互いに等しく、ここでは「R」で示される。抵抗301,302,303,304,305が互いに直列接続される。抵抗301の一端からこのDAC106の出力ポートVoutが引き出される。この出力ポートVoutは、導電ライン320によってパッド602に直結される。上記抵抗305は、上記第2制御スイッチ48を介して低電位側電源AVSSに結合される。低電位側電源AVSSを供給するラインはグランド(GND)ラインとされる。上記第2制御スイッチ48はnチャネル型MOSトランジスタN4により形成される。このnチャネル型MOSトランジスタN4は、スイッチ制御回路20によってオンオフ制御される。上記複数の抵抗301〜311の直列接続ノード31,32,33は、抵抗306,308,310が結合されることで分岐される。このような意味で、上記直列接続ノード31,32,33を、「分岐点」とも称する。抵抗306は、抵抗307に直列接続される。抵抗308は、抵抗309に直列接続される。抵抗310は、抵抗311に直列接続される。
【0030】
上記第1制御スイッチ47は、nチャネル型MOSトランジスタN1,N2,N3と、pチャネル型MOSトランジスタP1,P2,P3とを含む。上記抵抗307,309,311は、それぞれ上記nチャネル型MOSトランジスタN1,N2,N3を介して低電位側電源AVSS(グランドライン)に結合される。また、上記抵抗307,309,311は、それぞれ上記pチャネル型MOSトランジスタP1,P2,P3を介して参照電圧源AVREFに結合される。この参照電圧源AVREFの電位は、高電位側アナログ電源電圧(AVCC)に等しい。
【0031】
図2には、上記スイッチ制御回路20の構成例が示される。
【0032】
上記スイッチ制御回路20は、DAC制御レジスタ42、アドレス選択回路43、データレジスタ44、及び制御論理45を含む。フラグDAC制御レジスタ42には、DAC106の状態を指示するフラグが設定される。アドレス選択回路43は、上記データレジスタ44の出力ビットを選択するための情報が格納される。上記データレジスタ44には、上記DAC106でDA変換されるデジタル信号が設定される。DAC制御レジスタ42、アドレス選択回路43、及びデータレジスタ44は、マイクロコンピュータ10内のバス(BUS)41に結合され、上記CPU101によって書き換え可能とされる。
【0033】
上記制御論理45は、インバータ451、ノアゲート452,453、ナンドゲート454,455を含んで成る。ノアゲート453及びナンドゲート455により、nチャネル型MOSトランジスタN3及びpチャンネル型MOSトランジスタP3の動作制御信号S1が形成され、ノアゲート452及びナンドゲート454により、nチャネル型MOSトランジスタN2及びpチャンネル型MOSトランジスタP2の動作制御信号S2が形成される。ノアゲート452,453の一方の入力端子、及びナンドゲート454,455の一方の入力端子には、上記データレジスタ44の出力データが伝達される。また、ノアゲート452,453の他方の入力端子には、上記DAC制御レジスタ42の出力がインバータ451で論理反転されてから伝達される。上記ナンドゲート454,455の他方の入力端子には、上記DAC制御レジスタ42の出力が伝達される。尚、図2では省略されているが、nチャネル型MOSトランジスタN1及びpチャンネル型MOSトランジスタP1の動作制御信号S3も同様に形成される。
【0034】
上記の構成において、DAC制御レジスタ42から論理値“1”が出力された場合、第2制御スイッチ48がオンされ、抵抗305の一端がグランドレベルにされる。そして、データレジスタ44の出力データに応じて、第1制御スイッチ47の動作が制御されることで、データレジスタ44の出力データのDA変換が行われる。
【0035】
また、DAC制御レジスタ42から論理値“0”が出力された場合、第1制御スイッチ47及び第2制御スイッチ48の双方がオフされる。これにより、ラダー抵抗回路46は、DAC106から切り放された状態となる。このため、パッド602から見たDAC106の出力ポートは、高インピーダンス状態とされるので、DAC106の出力ポートVoutが導電ライン320によってパッド602に直結されているにもかかわらず、デジタル回路601は、パッド602を介してデータの入出力を行うことができる。
【0036】
図4には、上記DAC106の比較対象とされる回路が示される。
【0037】
図4に示される構成が、図1に示されるのと大きく相違するのは、第2制御スイッチ(nチャネル型MOSトランジスタ)48、DAC制御レジスタ42、スイッチ制御回路20が設けられていない点、及びDAC106の出力ポートVoutとパッド602との間に、DAC出力制御スイッチ201が設けられている点である。DAC出力制御信号がハイレベルにされると、DAC出力制御スイッチ201がオン状態にされ、DAC106のアナログ出力信号がパッド602を介して外部出力される。また、DAC出力制御信号がローレベルにされると、DAC出力制御スイッチ201がオフ状態にされ、パッド602から見たDAC106の出力ポートが高インピーダンス状態とされる。
【0038】
しかしながら、図4に示される構成によれば、DAC出力制御スイッチ201が設けられているため、上記DAC出力制御スイッチ201がアナログ電源電圧の動作範囲が律則されてしまう。すなわち、図3に基づいて既述したように、アナログ電源電圧が低い場合には、入力電圧が中間レベル(AVcc/2)付近でスイッチ抵抗が無限大になってしまうため、スイッチとして機能しなくなることから、図4に示される構成においては、上記DAC出力制御スイッチによってアナログ電源電圧の動作範囲が律則されてしまう。
【0039】
これに対して、図1及び図2に示される構成によれば、DAC制御レジスタ42から論理値“0”が出力された場合、第1制御スイッチ47及び第2制御スイッチ48の双方がオフされ、これにより、ラダー抵抗回路46はDAC106から切り放された状態となる。このとき、パッド602から見たDAC106の出力ポートは、高インピーダンス状態とされるので、DAC出力制御スイッチ201は不要とされ、DAC106の出力ポートVoutを、導電ライン320によってパッド602に直結することができる。このように、DAC106の出力ポートVoutが導電ライン320によってパッド602に直結され、上記DAC出力制御スイッチ201が省略されているため、アナログ電源電圧が低い場合において、入力電圧が中間レベル(AVcc/2)付近でスイッチ抵抗が無限大になってしまうため、スイッチとして機能しなくなるという心配は不要となる。
【0040】
上記の例によれば、以下の作用効果を得ることができる。
【0041】
DAC106の出力ポートVoutが導電ライン320によってパッド602に直結されており、上記DAC出力制御スイッチ201が省略されているため、アナログ電源電圧が低い場合においても正常動作が可能となり、アナログ電源電圧の動作範囲を拡大することができる。
【0042】
以上本発明者によってなされた発明を具体的に説明したが、本発明はそれに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。
【0043】
例えば、図1において、第2制御スイッチ(nチャネル型MOSトランジスタ)48を抵抗304と抵抗305との間に設けるようにしても、上記実施形態の場合と同様の作用効果を得ることができる。この場合、抵抗305はグランドラインに直接接続される。
【0044】
また、上記第1抵抗の直列接続ノード31,32,33と、抵抗306,308,310との結合箇所(分岐点)のうち、上記出力ポート(Vout)から最も遠い分岐点(33)と、当該分岐点から見てグランドライン(AVSS)側に位置する抵抗304との間に上記第2制御スイッチ(nチャネル型MOSトランジスタ)48を配置するようにしても、上記実施形態の場合と同様の作用効果を得ることができる。
【0045】
以上の説明では主として本発明者によってなされた発明をその背景となった利用分野であるマイクロコンピュータに適用した場合について説明したが、本発明はそれに限定されるものではなく、各種半導体装置に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本発明にかかる半導体装置の一例とされるマイクロコンピュータに含まれるDACの構成例回路図である。
【図2】図1に示されるDACにおける主要部の詳細な構成例回路図である。
【図3】DAC出力制御スイッチを構成するMOSトランジスタの特性図である。
【図4】上記DACの比較対象とされる回路の構成例回路図である。
【図5】上記マイクロコンピュータの全体的な構成例ブロック図である。
【図6】上記DACに対応するポートの構成例回路図である。
【符号の説明】
【0047】
10 マイクロコンピュータ
20 スイッチ制御回路
41 バス
42 DAC制御レジスタ
43 アドレス選択回路
44 データレジスタ
45 制御論理
46 ラダー抵抗回路
47 第1制御スイッチ
48 第2制御スイッチ
101 CPU
102 ROM
103 RAM
104 周辺モジュール
105 ADC
106 DAC
320 導電ライン
601 デジタル回路
602 ポート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の抵抗が結合されて成るラダー抵抗回路を含むR−2R型DAコンバータと、
デジタル信号の入出力を可能とするデジタル回路と、
上記DAコンバータの出力ポートと上記デジタル回路の入出力ポートとの間で共有されるパッドと、を含む半導体装置であって、
上記R−2R型DAコンバータが非アクティブ状態とされるとき、上記ラダー抵抗回路を上記R−2R型DAコンバータから切り放すためのスイッチ制御回路を含み、
上記DAコンバータのアナログ信号出力ポートが導電ラインによって上記パッドに直結されて成ることを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
複数の抵抗が結合されて成るラダー抵抗回路を含むR−2R型DAコンバータと、
デジタル信号の入出力を可能とするデジタル回路と、
上記DAコンバータの出力ポートと上記デジタル回路の入出力ポートとの間で共有されるパッドと、を含む半導体装置であって、
上記R−2R型DAコンバータは、入力されたデジタル信号に応じて上記ラダー抵抗回路に基準電圧を供給可能な第1制御スイッチと、
上記ラダー抵抗回路の端部をグランドラインに結合可能な第2制御スイッチと、
上記R−2R型DAコンバータが非アクティブ状態とされるとき、上記第1制御スイッチ及び上記第2制御スイッチをオフ状態にするためのスイッチ制御回路と、を含むことを特徴とする半導体装置。
【請求項3】
上記スイッチ制御回路は、上記R−2R型DAコンバータの状態を指示するフラグが設定される制御レジスタを含み、
上記スイッチ制御回路は、上記フラグの論理に応じて上記第1制御スイッチ及び上記第2制御スイッチの動作を制御する請求項2記載の半導体装置。
【請求項4】
上記ラダー抵抗回路は、互いに直列接続された複数の第1抵抗と、
上記第1抵抗の直列接続ノードと、上記第1制御スイッチとの間に接続された第2抵抗と、を含み、
上記複数の第1抵抗が互いに直列接続されて成る第1抵抗列の一方の端部から上記R−2R型DAコンバータの出力ポートが引き出され、
上記第1抵抗列における他方の端部に上記第2制御スイッチが結合されて成る請求項2記載の半導体装置。
【請求項5】
上記ラダー抵抗回路は、互いに直列接続された複数の第1抵抗と、
上記第1抵抗の直列接続ノードと、上記第1制御スイッチとの間に接続された第2抵抗と、を含み、
上記複数の第1抵抗が互いに直列接続されて成る第1抵抗列の一方の端部から上記R−2R型DAコンバータの出力ポートが引き出され、
上記第1抵抗列における他方の端部がグランドラインに結合され、
上記第1抵抗列の上記グランドラインに結合された抵抗と、それに隣接する抵抗との間に上記第2制御スイッチが配置されて成る請求項2記載の半導体装置。
【請求項6】
上記ラダー抵抗回路は、互いに直列接続された複数の第1抵抗と、
上記第1抵抗の直列接続ノードと、上記第1制御スイッチとの間に接続された第2抵抗と、を含み、
上記複数の第1抵抗が互いに直列接続されて成る第1抵抗列の一方の端部から上記R−2R型DAコンバータの出力ポートが引き出され、
上記第1抵抗列における他方の端部がグランドラインに結合され、
上記第1抵抗の直列接続ノードと上記第2抵抗とが結合されて複数の分岐点が形成されるとき、上記出力ポートから最も遠い分岐点と、当該分岐点から見て上記グランドライン側に位置する上記第1抵抗との間に上記第2制御スイッチが配置されて成る請求項2記載の半導体装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−136235(P2010−136235A)
【公開日】平成22年6月17日(2010.6.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−311819(P2008−311819)
【出願日】平成20年12月8日(2008.12.8)
【出願人】(503121103)株式会社ルネサステクノロジ (4,790)
【Fターム(参考)】