説明

半導体装置

【課題】酸化物半導体を用いるトランジスタにおいては、酸化物半導体内に水素が存在することでトランジスタの電気特性不良に繋がる。そこで、良好な電気特性を有する半導体装置を提供する。
【解決手段】チャネル領域が形成される酸化物半導体層と接する絶縁層をハロゲン化珪素を用いたプラズマCVD法により形成する。このようにして形成された絶縁層の水素濃度は6×1020atoms/cm未満であり、且つハロゲンの濃度は1×1020atoms/cm以上であるので、酸化物半導体層に水素が拡散することを防ぐことができ、ハロゲンにより酸化物半導体層内に存在する水素を不活性化させ、または脱離させ、良好な電気特性を有する半導体装置を提供することできる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
酸化物半導体を用いる半導体装置、およびその作製方法に関する。
【0002】
なお、本明細書中において半導体装置とは、半導体特性を利用することで機能しうる装置全般を指し、電気光学装置、半導体回路および電子機器は全て半導体装置である。
【背景技術】
【0003】
近年、フラットパネルディスプレイに代表される液晶表示装置や発光表示装置において、その多くに用いられているトランジスタは、ガラス基板上にて、アモルファス珪素や多結晶珪素などの珪素半導体によって構成されている。
【0004】
最近、珪素半導体に代わって、酸化物半導体をトランジスタに用いる技術が注目されている。
【0005】
例えば、酸化物半導体として、一元系金属酸化物である酸化亜鉛や、ホモロガス化合物であるIn−Ga−Zn−O系酸化物があり、それらを用いてトランジスタを作製し、表示装置の画素のスイッチング素子などに用いる技術が開示されている(特許文献1乃至特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2006−165528号公報
【特許文献2】特開2007−96055号公報
【特許文献3】特開2007−123861号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
酸化物半導体をチャネル領域に用いたトランジスタは、しきい値電圧(Vth)が、マイナス方向に変動しやすく、ゲート電極の電位がソース電極の電位と同じ場合(Vgs=0V)においても、少なからずドレイン電流が流れるという問題がある。
【0008】
このような状況を鑑み、本明細書中で開示する発明の一態様は、良好な電気特性を有する半導体装置を提供することを課題の一とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するには、チャネル領域が形成される酸化物半導体層と接するゲート絶縁層に、水素含有量が低く、且つフッ素、塩素等のハロゲンを含有する絶縁層を用いることで、ゲート絶縁層から酸化物半導体層への水素の移動が抑制されると共に、酸化物半導体層内に存在する水素を不活性化させ、または脱離させるため、酸化物半導体層内の水素含有量を低減させることができる。
【0010】
具体的には、水素濃度が6×1020atoms/cm未満、好ましくは2×1020atoms/cm以下、さらに好ましくは5×1019atoms/cm以下であり、且つハロゲンの濃度が、1×1019atoms/cm以上、好ましくは1×1020atoms/cm以上であるゲート絶縁層を用いる。
【0011】
本発明の一態様は、ゲート電極層と、チャネル領域が形成される酸化物半導体層と、酸化物半導体層と電気的に接続されるソース電極層及びドレイン電極層と、ゲート電極層と酸化物半導体層の間に位置するゲート絶縁層と、酸化物半導体層を介して、ゲート絶縁層と対向し、且つ該酸化物半導体層に接し、水素濃度が6×1020atoms/cm未満、好ましくは2×1020atoms/cm以下、さらに好ましくは5×1019atoms/cm以下であり、ハロゲンの濃度が、1×1019atoms/cm以上、好ましくは1×1020atoms/cm以上である絶縁層を有する半導体装置である。
【0012】
本発明の別の一態様は、酸化物半導体層が、上記のゲート絶縁層を介して、ゲート電極層に重畳するボトムゲート構造のトランジスタである。本発明の別の一態様は、ゲート電極層が、上記のゲート絶縁層を介して、酸化物半導体層に重畳するトップゲート構造のトランジスタである。
【0013】
また、本発明の別の一態様は、上記のゲート絶縁層を、酸化珪素、酸化窒化珪素、窒化酸化珪素、酸化ハフニウム、酸化アルミニウム、または酸化タンタルである酸化物絶縁層とすることである。
【0014】
また、上記のゲート絶縁層が、ゲート電極層と接する第1のゲート絶縁層と、酸化物半導体層と接する第2のゲート絶縁層とを有してもよい。その際、第2のゲート絶縁層を、水素含有量が低く、且つハロゲンを含有する材料で構成することで、第2のゲート絶縁層から酸化物半導体層への水素の移動が抑制されると共に、酸化物半導体層内に存在する水素を不活性化させ、または脱離させるため、酸化物半導体層内の水素含有量を低減させることができる。
【0015】
本発明の別の一態様は、ゲート絶縁層が、ゲート電極層と接する第1のゲート絶縁層と、酸化物半導体層と接する第2のゲート絶縁層とを有し、第2のゲート絶縁層における水素濃度が6×1020atoms/cm未満、好ましくは2×1020atoms/cm以下、さらに好ましくは5×1019atoms/cm以下であり、第2のゲート絶縁層におけるハロゲンの濃度が、1×1019atoms/cm以上、好ましくは1×1020atoms/cm以上であることを特徴とする半導体装置である。
【0016】
さらに、上記半導体装置を構成し、酸化物半導体層に接するその他の絶縁層においても、水素含有量が低く、ハロゲンを含有している材料で構成することで、絶縁層から酸化物半導体層への水素の移動が抑制されると共に、酸化物半導体層内に存在する水素を不活性化させ、または脱離させるため、酸化物半導体層内の水素含有量を低減させることができる。
【0017】
本発明の別の一態様は、酸化物半導体層と接する絶縁層の水素濃度が、6×1020atoms/cm未満、好ましくは2×1020atoms/cm以下、さらに好ましくは5×1019atoms/cm以下であり、ハロゲンの濃度が、1×1020atoms/cm以上、好ましくは1×1021atoms/cm以上であることを特徴とする半導体装置である。
【0018】
本発明の別の一態様は、酸化物半導体層と接し、酸化物半導体層と基板の間に設けられた絶縁層の水素濃度が、6×1020atoms/cm未満、好ましくは2×1020atoms/cm以下、さらに好ましくは5×1019atoms/cm以下であり、ハロゲンの濃度が、1×1020atoms/cm以上、好ましくは1×1021atoms/cm以上であって、絶縁層の厚さが、酸化物半導体層の厚さとゲート絶縁層の厚さの和の5倍以上であるトップゲート型トランジスタおよびそのようなトランジスタを有する半導体装置である。
【0019】
また、本発明の別の一態様は、基板上に設けられた絶縁層と、絶縁層に接する酸化物半導体層と、酸化物半導体層に接して設けられた1対の導電領域と、酸化物半導体層および導電領域上に、絶縁膜を間にはさんで設けられるゲート電極層とを有し、導電領域が絶縁層と接しないことを特徴とするトップゲート型トランジスタおよびそのようなトランジスタを有する半導体装置である。
【0020】
また、本発明の別の一態様は、酸化物半導体層に接して、四フッ化珪素(SiF)、四塩化珪素(SiCl)等のハロゲン化珪素を原料ガスとして用いることにより得られる酸化珪素を主成分とする絶縁膜を設けた半導体装置である。ここで、酸化珪素を主成分とする絶縁膜とは、絶縁膜中の酸素以外の元素のうち、珪素の比率が70%以上、好ましくは90%以上であるものである。
【発明の効果】
【0021】
本発明の一態様によれば、良好な電気特性を有する半導体装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】半導体装置(トランジスタ)を説明する上面図及び断面図である。
【図2】ガリウム原子中心のクラスターモデルを示す図である。
【図3】水素原子の脱離反応における反応式および、エネルギーダイアグラムを示す図である。
【図4】結合エネルギーの算出に用いるモデルを示す図である。
【図5】水素原子の脱離反応における反応式および、エネルギーダイアグラムを示す図である。
【図6】トランジスタの作製方法を説明する断面図である。
【図7】トランジスタの作製方法を説明する断面図である。
【図8】トランジスタの作製方法を説明する断面図である。
【図9】トランジスタの作製方法を説明する断面図である。
【図10】酸化珪素層に含まれる水素濃度、およびフッ素濃度を示す図である。
【図11】電子書籍の一例を示す外観図である。
【図12】テレビジョン装置およびデジタルフォトフレームの例を示す外観図である。
【図13】携帯型のコンピュータの一例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下では、本発明の実施の形態について図面を用いて詳細に説明する。ただし、本発明は以下の説明に限定されず、本発明の趣旨及びその範囲から逸脱することなくその形態及び詳細を様々に変更し得ることは、当業者であれば容易に理解される。したがって、本発明は、以下に示す実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。なお、図面を用いて発明の構成を説明するにあたり、同じものを指す符号は異なる図面間でも共通して用いる。また、同様のものを指す際にはハッチパターンを同じくし、特に符号を付さない場合がある。また、便宜上、絶縁層は上面図には表さない場合がある。なお、各図面において示す各構成の、大きさ、層の厚さ、又は領域は、明瞭化のために誇張されて表記している場合がある。従って、必ずしもそのスケールに限定されない。
【0024】
なお、AとBとが接続されている、と記載する場合は、AとBとが電気的に接続されている場合と、AとBとが直接接続されている場合とを含むものとする。ここで、A、Bは、対象物(例えば、装置、素子、回路、配線、電極、端子、導電膜、層、など)であるとする。
【0025】
また、トランジスタにおいて「ソース」や「ドレイン」の機能は、回路動作において電流の方向が変化する場合などには入れ替わることがある。このため、本明細書においては、「ソース」や「ドレイン」の用語は、入れ替えて用いることができるものとする。
【0026】
(実施の形態1)
本実施の形態では、本発明の一態様である半導体装置について図1を用いて説明する。なお、図1では半導体装置としてトランジスタを示すが、ダイオードその他のものであっても同様に実施できる。
【0027】
図1(A)は、トランジスタの上面図である。図1(B)は、図1(A)のA1−B1における断面図である。トランジスタは、基板101上に下地絶縁層102と、ゲート電極層103と、ゲート絶縁層104と、チャネル領域が形成される酸化物半導体層106と、ソース電極層107aおよびドレイン電極層107bと、酸化物半導体層106とソース電極層107aおよびドレイン電極層107bとを覆う絶縁層108と、を含む。
【0028】
図1に示すトランジスタは、酸化物半導体層106が、ゲート絶縁層104を介して、ゲート電極層103に重畳して形成されるボトムゲート構造のトランジスタである。また、図1に示すトランジスタは、ソース電極層107aおよびドレイン電極層107bが、酸化物半導体層106の上面一部と接して形成されるトップコンタクト型である。
【0029】
なお、ボトムゲート構造のトランジスタには、トップコンタクト型の他に、ソース電極層およびドレイン電極層が、チャネル領域が形成される半導体層の下面一部と接して形成されるボトムコンタクト型がある。本実施の形態ではトップコンタクト型について説明するが、ボトムコンタクト型であっても、本実施の形態を参照して実施することができる。
【0030】
図1に示すトランジスタは、ゲート絶縁層104の上面一部と酸化物半導体層106の下面が接する構造となる。それゆえ、トランジスタの作製工程において、ゲート絶縁層104に水素が多く存在する場合、酸化物半導体層106に水素が拡散し、酸化物半導体層106内の水素含有量が増加する。酸化物半導体層106内の水素含有量が増加すると、酸化物半導体層106内のキャリアが増加する。このため、トランジスタのしきい値電圧(Vth)が、マイナス方向に変動してしまい、ゲート電極の電位がソース電極の電位と同じ場合(Vgs=0V)においても、ドレイン電流が流れる、電気特性が不良なトランジスタとなる。
【0031】
酸化物半導体層106から拡散した水素を取り除くには、酸化物半導体層106を加熱処理する方法がある。しかし、トランジスタの作製工程を増やすため、コストがかかり、歩留まりを悪くする可能性がある。また、400℃程度の加熱処理では十分な効果が得られないこともわかっている。
【0032】
一方、本発明者らの知見では、酸化物半導体層106と接するゲート絶縁層104の水素濃度を6×1020atoms/cm未満、好ましくは2×1020atoms/cm以下、さらに好ましくは5×1019atoms/cm以下とし、且つハロゲンの濃度を1×1019atoms/cm以上、好ましくは1×1020atoms/cm以上とすると、ゲート絶縁層104から酸化物半導体層106への水素の移動が抑制されると共に、酸化物半導体層106内に存在する水素を不活性化させ、または脱離させる効果が得られるため、酸化物半導体層106内の水素含有量を低減させることができることが明らかとなった。
【0033】
つまり、酸化物半導体層106と接するゲート絶縁層104を、上記水素濃度およびハロゲン濃度であるゲート絶縁層とすることで、トランジスタの作製工程を増やさずに、良好な電気特性を有するトランジスタを得ることができる。特に、プロセスの最高温度を400℃未満、好ましくは350℃以下としながらも実用的な信頼性と特性を備えたトランジスタを形成できる。もちろん、プロセスの最高温度は本発明を実施する上で何ら制約となるものではなく、プロセスの最高温度を400℃以上としてもよい。
【0034】
また、酸化物半導体層106と、ソース電極層107aおよびドレイン電極層107bとを覆う絶縁層108は、酸化物半導体層106の上面一部と接している。それゆえ、絶縁層108の水素濃度を6×1020atoms/cm未満、好ましくは2×1020atoms/cm以下、さらに好ましくは5×1019atoms/cm以下、ハロゲン濃度を1×1019atoms/cm以上、好ましくは1×1020atoms/cm以上とすることで、絶縁層108から酸化物半導体層106への水素の移動が抑制されると共に、酸化物半導体層106内に存在する水素を不活性化させ、または脱離させることができるため、酸化物半導体層106内の水素含有量を低減させることができ、良好な電気特性を有する半導体装置とすることができる。
【0035】
基板101としては、後の作製工程に耐えられるものであれば特に限定されない。例えば、基板101として、ガラス基板、セラミック基板、石英基板、若しくはサファイア基板などの絶縁性基板、珪素などの半導体材料でなる半導体基板、金属若しくはステンレスなどの導電体でなる導電性基板、又は、半導体基板若しくは導電性基板の表面を絶縁材料で被覆した基板などを用いることができる。また、プラスチック基板も適宜用いることができる。
【0036】
また、ガラス基板としては、トランジスタの作製工程に加熱温度が600℃以上の処理をおこなう場合には、歪点が730℃以上のものを用いるとよい。例えば、アルミノシリケートガラス、アルミノホウケイ酸ガラス、バリウムホウケイ酸ガラスなどのガラス材料が用いられる。
【0037】
下地絶縁層102は、基板101からの不純物元素の拡散を防止する他に、トランジスタの作製工程におけるエッチング工程によって、基板がエッチングされることを防ぐ。下地絶縁層102の厚さに限定はないが、上記理由より、下地絶縁層102の厚さは50nm以上とすることが好ましい。
【0038】
下地絶縁層102には、酸化珪素、酸化窒化珪素、窒化珪素、窒化酸化珪素、酸化ハフニウム、酸化アルミニウム、または酸化タンタルなどの絶縁層を用いて、単層構造又は2層以上の積層構造で形成する。
【0039】
ここで、酸化窒化珪素とは、その組成において、窒素よりも酸素の含有量が多いものを示し、例として、少なくとも酸素が50原子%以上70原子%以下、窒素が0.5原子%以上15原子%以下、珪素が25原子%以上35原子%以下の範囲で含まれるものをいう。また、窒化酸化珪素とは、その組成において、酸素よりも窒素の含有量が多いものを示し、例として、少なくとも酸素が5原子%以上30原子%以下、窒素が20原子%以上55原子%以下、珪素が25原子%以上35原子%以下の範囲で含まれるものをいう。
【0040】
上記範囲は、ラザフォード後方散乱法(RBS:Rutherford Backscattering Spectrometry)や、水素前方散乱法(HFS:Hydrogen Forward Scattering)を用いて測定した場合のものである。また、構成元素の含有比率は、その合計が100原子%を超えない値をとる。
【0041】
ゲート電極層103は、下地絶縁層102上に形成される。ゲート電極層103の材料は、モリブデン、チタン、クロム、タンタル、タングステン、白金、パラジウム、オスミウム等の金属材料、これら金属材料を主成分とする合金材料、或いはこれら金属の窒化物を、単層で又は積層で用いることができる。なお、後の工程において行われる加熱処理の温度に耐えうるのであれば、上記金属材料としてアルミニウムまたは銅を用いることも出来る。アルミニウムまたは銅は、耐熱性や腐食性の問題を回避するために、高融点金属材料と組み合わせて用いると良い。高融点金属材料としては、モリブデン、チタン、クロム、タンタル、タングステン、ネオジム、スカンジウム等を用いることができる。
【0042】
ゲート電極層103は単層構造以外にも、2つ以上の異なる材質の膜の積層よりなってもよい。例えば、積層構造を有するゲート電極層103として、アルミニウム膜上にモリブデン膜を積層した二層構造、または銅膜上にモリブデン膜を積層した二層構造、または銅膜上に窒化チタン膜若しくは窒化タンタル膜を積層した二層構造、窒化チタン膜とモリブデン膜とを積層した二層構造とすることが好ましい。また、積層構造を有するゲート電極層103としては、アルミニウム膜、アルミニウムと珪素の合金膜、アルミニウムとチタンの合金膜またはアルミニウムとネオジムの合金膜を中間層とし、タングステン膜、窒化タングステン膜、窒化チタン膜またはチタン膜をその上下に配置した構造とすることが好ましい。
【0043】
また、ゲート電極層103に酸化インジウム、酸化インジウム酸化スズ合金、酸化インジウム酸化亜鉛合金、酸化亜鉛、酸化亜鉛アルミニウム、酸化窒化亜鉛アルミニウム、または酸化亜鉛ガリウム等の透光性を有する酸化物導電体、または多結晶珪素を用いることができる。
【0044】
また、ゲート電極層103にIn−O−N系、In−Zn−O−N系、In−Ga−O−N系、In−Ga−Zn−O−N系等の酸窒化物を用いてもよい。ここで、例えば、In−Ga−Zn−O−N系の酸窒化物とは、少なくともInとGaとZnとを含む酸窒化物であり、その組成比に特に制限はない。また、InとGaとZn以外の元素を含んでもよい。
【0045】
ゲート電極層103の厚さは、特に限定はなく、金属材料、合金材料、またはその他の化合物からなる導電膜の電気抵抗や、作製工程にかかる時間を考慮し、適宜決めることができる。例えば、10nm〜500nmで形成すればよい。
【0046】
ゲート絶縁層104は、ゲート電極層103を覆って設けられる。上記したようにゲート絶縁層104は、酸化物半導体層106と接するため、ゲート絶縁層104の水素濃度を6×1020atoms/cm未満、好ましくは2×1020atoms/cm以下、さらに好ましくは5×1019atoms/cm以下とし、且つフッ素濃度を1×1019atoms/cm以上、好ましくは1×1020atoms/cm以上とするとよい。
【0047】
かくすることで、ゲート絶縁層104から酸化物半導体層106への水素の移動が抑制されると共に、酸化物半導体層106内に存在する水素を不活性化させ、または脱離させるため、酸化物半導体層106内の水素含有量を低減させることができる。なお、ゲート絶縁層104の厚さは、絶縁耐圧、およびトランジスタの作製工程を考慮して、適宜決めることができる。
【0048】
ゲート絶縁層104は、上記水素濃度およびフッ素濃度を満たしていれば、下地絶縁層102で例示したものを用いることができるが、本実施の形態では、プラズマCVD(Plasma Enhanced Chemical Vapor Deposition)法で形成する酸化珪素層について記載する。
【0049】
プラズマCVD法とは、プラズマCVD装置内の反応室に、原料となる堆積性ガスを供給し、プラズマエネルギーを援用して、膜を形成する方法である。プラズマCVD法では、例えば、スパッタリング法に比べて、段差被覆性の良好な膜を形成できる。
【0050】
プラズマCVD装置は、高周波電源を用いる容量結合型高周波プラズマCVD装置や、誘導結合型高周波プラズマCVD装置、マイクロ波発生源であるマグネトロンおよび誘電体を有し、マイクロ波を用いてプラズマを発生させるマイクロ波プラズマCVD装置(電子サイクロトロン共鳴プラズマCVD装置)その他、ヘリコン波プラズマCVD装置などがあり、本明細書中のプラズマCVD法においては、グロー放電プラズマを膜形成に利用するCVD装置を適宜用いることができる。また、プラズマCVD法は、基板を加熱しながらおこなうことができる。
【0051】
原料となる堆積性ガスとして、組成式中に水素が含まれていないガスを選択し、酸化珪素層を形成する必要がある。つまり、堆積性ガスとしてシラン(SiH)ではなく、フッ化珪素(例えば、SiF)あるいは塩化珪素(例えば、SiCl)を使用する。さらに、酸化させるためのガスについて、水素や水の含有量を低減した亜酸化窒素(NO)または酸素とし、プラズマの安定化のために添加するアルゴンなどその他のガスにおいても、水素や水の含有量が低いガスとする。
【0052】
さらに、プラズマCVD法で酸化珪素層を形成する際に、プラズマCVD装置の反応室内に残留しているまたは反応室の内壁に吸着している水素や水などの不純物を除去したのち、反応室の内壁を加熱しながら、上記構成のガスを用いて形成する。特に堆積性ガスとしてフッ化珪素を用いた場合には、ゲート絶縁層104の水素濃度を6×1020atoms/cm未満、好ましくは2×1020atoms/cm以下、さらに好ましくは5×1019atoms/cm以下、フッ素濃度を1×1019atoms/cm以上、好ましくは1×1020atoms/cm以上とすることができる。
【0053】
また、ゲート電極層103上に、フッ素を含有する酸化珪素層を形成する際には、同時に生じるフッ素により、ゲート電極層103がエッチングされる可能性があるが、ゲート絶縁層を二層以上とすることで、これを防ぐことができる。その際、ゲート電極層103と接する第1のゲート絶縁層のフッ素濃度は、1×1019atoms/cm未満が好ましい。
【0054】
そして、酸化物半導体層106と接する第2のゲート絶縁層は、上記した四フッ化珪素を用いた酸化珪素層のような、フッ素濃度が1×1019atoms/cm以上、好ましくは1×1020atoms/cm以上である絶縁層とする必要がある。さらに、第1のゲート絶縁層は、四フッ化珪素等を用いて第2のゲート絶縁層である酸化珪素層を形成する際に、消失しない膜厚で形成することがよい。例えば、第1のゲート絶縁層には、下地絶縁層102で例示した絶縁層を用いることができる。
【0055】
チャネル領域が形成される酸化物半導体層106は、ゲート絶縁層104上に接して形成される。また、酸化物半導体層106の厚さは、10nm〜300nm、好ましくは20nm〜100nmとする。
【0056】
酸化物半導体層106は、In、Ga、及びZnを含むIn−Ga−Zn−O系の酸化物を用いて形成する。酸化物半導体としては、その他にも、四元系酸化物であるIn−Sn−Ga−Zn−O系や、三元系酸化物であるIn−Sn−Zn−O系、In−Al−Zn−O系、Sn−Ga−Zn−O系、Al−Ga−Zn−O系、Sn−Al−Zn−O系や、二元系酸化物であるIn−Zn−O系、In−Ga−O系、Sn−Zn−O系、Al−Zn−O系、Zn−Mg−O系、Sn−Mg−O系、In−Mg−O系や、酸化インジウム、酸化錫、酸化亜鉛などを用いて形成することができる。ここで、例えば、In−Ga−Zn−O系の酸化物とは、少なくともInとGaとZnとを含む酸化物であり、その組成比に特に制限はない。また、InとGaとZn以外の元素を含んでもよい。
【0057】
また、酸化物半導体層106は、化学式InMO(ZnO)(m>0)で表記される酸化物を用いて形成することができる。ここで、Mは、Ga、Al、MnもしくはCoから選ばれた一の金属元素、又は複数の金属元素を示す。例えばMとして、Ga、Ga及びAl、Ga及びMn、またはGa及びCoなどがある。
【0058】
ソース電極層107aおよびドレイン電極層107bは、ゲート絶縁層104および酸化物半導体層106に接して形成される。ソース電極層107aおよびドレイン電極層107bは、ゲート電極層103と同様の材料および厚さとすることができる。
【0059】
パッシベーション膜、または層間絶縁膜として機能する絶縁層108は、ソース電極層107a、ドレイン電極層107b、および酸化物半導体層106上に接して形成される。絶縁層108は、ゲート絶縁層104と同様に形成することができる。酸化物半導体層106の上面一部と接するため、ゲート絶縁層104と同様の酸化珪素層を用いることで、絶縁層108から酸化物半導体層106への水素の移動が抑制されると共に、酸化物半導体層106内に存在する水素を不活性化させ、または脱離させるため、酸化物半導体層106内の水素含有量を低減させることができる。
【0060】
絶縁層108の形成過程においては、ゲート絶縁層104の形成に関して指摘したのと同様に、堆積性ガスに含まれるフッ素により、ソース電極層107aおよびドレイン電極層107bがエッチングされる可能性がある。したがって、絶縁層108の厚さは、このことを考慮して、適宜決めればよい。
【0061】
また、絶縁層108は、水素含有量を低減できる手法で形成してもよい。例えば、スパッタリング法で形成した酸化珪素等である。酸化珪素は、珪素ターゲットまたは酸化珪素ターゲットなどを用いて形成することができる。好ましくは、酸化珪素ターゲット、より好ましくは、含まれる水酸基濃度が1000ppm以下、または水素濃度が3.5×1019atoms/cm以下である酸化珪素ターゲットを用いる。さらに、形成する際に供給するガスは、アルゴン等の希ガスおよび、酸素とする。そして、該形成する際に供給するガスは、水素、水、水酸基または水素化物などの不純物が1ppm以下、好ましくは1ppb以下にまで除去された高純度ガスを用いることが好ましい。
【0062】
以下に、フッ素によって、酸化物半導体層106内に存在する水素が不活性化し、または脱離する効果について量子化学計算より説明する。以下に示す量子化学計算には、ガウス(Gauss)基底を用いた密度汎関数法(Density Functional Theory:DFT)を用いる。密度汎関数法では、交換相関相互作用を電子密度で表現された一電子ポテンシャルの汎関数で近似しているため、計算は高速かつ高精度である。本実施の形態では、混合汎関数であるB3LYPを用いて、交換と相関エネルギーに係る各パラメータの重みを規定する。
【0063】
また、全ての原子に適用する基底関数は、それぞれの原子価軌道に三つの短縮関数を用いたtriple split valence基底系の基底関数である6−311Gとする。この基底関数により、水素原子であれば、1s〜3sの軌道が考慮され、酸素原子であれば、1s〜4s、2p〜4pの軌道が考慮される。さらに、計算精度向上のために、分極基底系として、水素原子にはp関数を、水素原子以外にはd関数を加える。そして、量子化学計算プログラムには、コンフレックス株式会社製のGaussian 09を用いる。
【0064】
本実施の形態において、酸化物半導体層106に存在する水素原子は、酸素原子や金属原子と結合しているので、酸化物半導体層106中の水素を含む構造は、下記構造式(α−1)、および構造式(α−2)であると仮定する。下記構造式(α−1)、および構造式(α−2)では、配位結合は考慮せず、イオン結合のみを考慮している。本実施の形態における酸化物半導体層106は、上記で説明したIn(インジウム)、Ga(ガリウム)、及びZn(亜鉛)を含む酸化物半導体であるが、下記構造式(α−1)、および構造式(α−2)で示す金属原子は、Ga(ガリウム)としている。
【0065】
【化1】

【0066】
フッ素原子が、酸化物半導体層106内の水素と反応する過程としては、(式1)に示す反応と、(式2)に示す反応がある。
【0067】
Ga−OH + F・ →HF + Ga−O・ (式1)
【0068】
Ga−H + F・ →HF + Ga・ (式2)
【0069】
(式1)では、フッ素ラジカルが、水酸基の水素原子と反応して、HF(フッ化水素)分子を形成し、(式2)では、フッ素ラジカルが、ガリウム原子と結合している水素原子と反応してHF(フッ化水素)分子を形成する。なお、(式1)および(式2)における「・」は、ラジカルを表す。
【0070】
本量子化学計算では、上記構造式(α−1)および構造式(α−2)において、図2に示す簡易的なクラスターモデルを用いて行い、上記反応についての活性化エネルギーを算出し、反応の起こりやすさを評価している。
【0071】
(式1)の反応について量子化学計算を行い、解析した反応経路と、エネルギーダイアグラムを図3に示す。
【0072】
図3において、始状態(1)では、水酸基とフッ素ラジカルが無限遠に離れているとする。エネルギーダイアグラムでは、始状態(1)のエネルギーを基準とする。中間体(2)では、フッ素ラジカルがガリウム原子へ接近して、Ga−O結合が切断し、水酸基ラジカルが生成し、Ga−F結合が形成される。この反応により、中間体(2)のポテンシャルエネルギーが−1.67eVとなる。
【0073】
中間体(3)では、水酸基ラジカルの水素原子が、フッ素原子と結合し、HF分子を生成する。中間体(2)および中間体(3)のポテンシャルエネルギーの差である活性化エネルギーは、0.61eVと算出される。中間体(4)では、酸素ラジカルとHF分子が相互作用しており、終状態(5)では、酸素ラジカルとHF分子が無限遠に離れる。
【0074】
実際には、HFは酸化物半導体層106から脱離することもあるし、何らかの理由で留まることもある。酸化物半導体層106中にHFが留まっていたとしても、HF分子中の水素は、酸化物半導体と結合していない(すなわち、不活性化されている)ので、酸化物半導体のキャリア源となることはない。
【0075】
中間体(2)において、フッ素ラジカルがガリウム原子へ接近することで、Ga−O結合が切断し、Ga−F結合が形成されることは、Ga−O結合の結合エネルギーが4.37eVであり、Ga−F結合の結合エネルギーが5.31eVであることに起因している。
【0076】
ここでのGa−O結合の結合エネルギーとは、ガリウム原子に水酸基が結合している状態(図4(A)参照)のポテンシャルエネルギーと、水酸基ラジカルが、無限遠に離れている状態(図4(B)参照)のポテンシャルエネルギーの差を算出した値である。ここでのGa−F結合の結合エネルギーとは、ガリウム原子にフッ素が結合している状態(図4(C)参照)のポテンシャルエネルギーと、フッ素ラジカルが、無限遠に離れている状態(図4(D)参照)のポテンシャルエネルギーの差を算出した値である。
【0077】
(式1)に示した酸化物半導体層106内の水素とフッ素が化合する反応は、始状態(1)と終状態(5)のエネルギー差から、発熱反応であることがわかる。それゆえ、この反応は容易に進行すると言える。
【0078】
次に、(式2)の反応について量子化学計算をし、解析した反応経路と、エネルギーダイアグラムを図5に示す。
【0079】
図5において、始状態(1)では、水素原子とフッ素ラジカルが無限遠に離れているとする。エネルギーダイアグラムでは、始状態(1)のエネルギーを基準としている。中間体(2)では、フッ素ラジカルがガリウム原子へ接近して、Ga−H結合が切断し、水素ラジカルが生成し、Ga−F結合を形成する。この反応により、中間体(2)のポテンシャルエネルギーが−1.99eVとなる。
【0080】
中間体(3)では、水素ラジカルがフッ素原子と結合して、HF分子を形成する。中間体(2)および中間体(3)のポテンシャルエネルギーの差である活性化エネルギーは0.45eVと算出される。中間体(4)では、ガリウム原子に結合している酸素原子とHF分子が相互作用しており、終状態(5)では、HF分子が無限遠に離れる。
【0081】
(式1)と同様に、中間体(2)では、フッ素ラジカルがガリウム原子へ接近すると、Ga−H結合が切れて、Ga−F結合が形成されることは、(式1)で説明した理由と同様にGa−F結合のほうが、Ga−H結合よりも結合エネルギーの観点から、安定であることに起因している。
【0082】
(式2)に示した酸化物半導体層106内の水素を脱離させる反応においても、始状態(1)と終状態(5)のエネルギー差から、発熱反応であることがわかる。それゆえ、水素を脱離させる反応が容易に進行すると言える。
【0083】
以上より、フッ素により酸化物半導体層106内に存在する水素を不活性化させ、または脱離させることができる。
【0084】
次に、図1に示す半導体装置の作製方法について図6を用いて説明する。
【0085】
基板101上に下地絶縁層102を形成する。基板101および下地絶縁層102は、上記に記載したものを用いることができ、本実施の形態では、基板101にガラス基板を用いる。下地絶縁層102は、プラズマCVD法でも形成することができるが、本半導体装置の作製方法では、ターゲットを酸化珪素とし、形成する際の供給するガスをアルゴン等の希ガスおよび、酸素として、RFスパッタリング法で酸化珪素層を200nm形成する。
【0086】
次いで、ゲート電極層103として機能する導電膜を成膜する。該導電膜として、本半導体装置の作製方法では、チタンターゲットを用いたDCスパッタリング法で厚さ150nmのチタン膜を成膜する。その後、第1のフォトリソグラフィ工程およびエッチング工程を行い、厚さ150nmのゲート電極層103を形成する。
【0087】
該導電膜のエッチングには、ウェットエッチング、ドライエッチングのいずれを用いても良い。なお、素子の微細化という観点からはドライエッチングを用いるのが好適である。エッチングガスやエッチング液については被エッチング材料に応じて適宜選択することができる。
【0088】
なお、ゲート電極層103の側面はテーパー状とすることが好ましい。ゲート電極層103上には、後の工程で酸化物半導体膜、ソース電極層およびドレイン電極層となる導電膜を形成するので、ゲート電極層103の側面がテーパー状であると段差の箇所における配線の断線を防止する上で有効である。ゲート電極層103の側面をテーパー状とするためにはレジストマスクを後退させつつエッチングを行えばよい。
【0089】
次いで、ゲート絶縁層104をプラズマCVD法で形成する。プラズマCVD装置内の反応室の内壁を加熱して、反応室の内壁から不純物を放出させる。その後、反応室内に残留しているまたは反応室の内壁から放出させた不純物を、三フッ化窒素(NF)などのフッ素化合物を用いたプラズマクリーニングで除去する。また、本実施の形態では、高周波電源を用いた容量結合型プラズマCVD装置を用いる。
【0090】
プラズマCVD装置内の反応室の内壁を加熱する温度は、100℃以上350℃以下として、好ましくは100℃以上125℃以下とすることがよく、少なくとも30分以上、好ましくは60分以上おこなうことがよい。また、本加熱工程は、排気しながらおこなうことも可能である。
【0091】
上記プラズマクリーニングの方法に特別な限定はない。本半導体装置の作製方法では、クリーニングをおこなう反応室にて、プラズマ生成を行い、クリーニングをする方法について例示するが、クリーニングをおこなう反応室の外部にて、あらかじめプラズマ生成を行い、該生成したプラズマを反応室に供給して、クリーニングをするリモートプラズマクリーニングであってもよい。
【0092】
本半導体装置の作製方法におけるプラズマクリーニングは、プラズマ処理工程と排気工程からなり、具体的なプラズマクリーニング条件としては、三フッ化窒素を400sccm〜2000sccmの流量で反応室内に供給し、反応室内の圧力を10Pa〜200Paに調整し、電極間隔は、15mm〜60mmに調整し、13.56MHz〜60MHzの高周波電源にて500W〜2000Wの電力(単位電極面積あたりの電力(パワー密度)としては1W/cm〜4W/cm)を出力することでプラズマを発生させ、5分〜10分の間処理するとよい。より好ましいプラズマクリーニング条件としては、三フッ化窒素を600sccmの流量で反応室内に供給し、反応室内の圧力は70Pa程度とし、電極間隔は50mmに調整し、60MHzの高周波電源にて900W(パワー密度に換算すると約1.8W/cm)を7分間出力するとよい。
【0093】
その後、堆積性ガスとして、四フッ化珪素を、さらに、酸化させるためのガスとして亜酸化窒素を、添加ガスとしてアルゴンを、反応室に供給し、プラズマエネルギーを援用して、酸化珪素膜を200nm成膜する。また、ゲート絶縁層104を二層とする場合は、ゲート電極層103と接する第1のゲート絶縁層に、堆積性ガスとしてシランを用いた酸化珪素膜を150nm成膜し、酸化物半導体層105と接する第2のゲート絶縁層に、堆積性ガスとして四フッ化珪素を用いた酸化珪素膜を50nm成膜すればよい。ここまでの工程で得られた構成を図6(A)に示す。
【0094】
次いで、厚さ50nmの酸化物半導体膜を、DCスパッタリング法で成膜する。酸化物半導体膜は、ゲート絶縁層104と接して形成されるため、ゲート絶縁層104に含有されているフッ素が、酸化物半導体膜中に存在する水素を不活性化させ、または、脱離させる。さらに、ゲート絶縁層104から、酸化物半導体膜の欠陥に酸素が供給される。本実施の形態では、DCスパッタリング法を用いるが、真空蒸着法、パルスレーザ堆積法、CVD法などを用いて形成してもよい。
【0095】
本半導体装置の作製方法では、In(インジウム)、Ga(ガリウム)、及びZn(亜鉛)を含む酸化物半導体ターゲット(モル数比がIn:Ga:ZnO=1:1:1、またはIn:Ga:ZnO=1:1:2)を用いたスパッタリング法により得られるIn−Ga−Zn−O系酸化物半導体膜を用いる。さらに、本半導体装置の作製方法では、DCスパッタリング法を用い、アルゴンの流量を30sccmとし、酸素の流量を15sccmとする。
【0096】
なお、酸化物半導体膜をスパッタリング法により成膜する前に、アルゴンガスを導入してプラズマを発生させる逆スパッタリングをおこなうことが好ましい。逆スパッタリングとは、アルゴン、窒素、ヘリウムなどの雰囲気下で基板側にRF電源を用いて電圧を印加して基板近傍にプラズマを形成して表面を改質する方法である。また、酸素、亜酸化窒素などを加えた雰囲気で行ってもよいし、塩素(Cl)、四フッ化炭素(CF)などを加えた雰囲気で行ってもよい。
【0097】
酸化物半導体膜の形成の際には、基板の温度が100℃以上550℃未満、好ましくは200℃以上400℃以下となるように基板を熱する。そして、処理室内の水分を除去しつつ、水素や水などが除去されたスパッタリングガスを導入し、酸化物半導体ターゲットを用いて酸化物半導体膜を形成する。基板を熱しながら酸化物半導体膜を形成することにより、酸化物半導体膜に含まれる水分をさらに低減することができる。また、スパッタリングによる損傷を軽減することができる。
【0098】
処理室内の水分を除去するためには、吸着型の真空ポンプを用いることが好ましい。例えば、クライオポンプ、イオンポンプ、チタンサブリメーションポンプなどを用いることができる。また、ターボポンプにコールドトラップを加えたものを用いてもよい。クライオポンプなどを用いて排気することで、処理室から水素や水などを除去することができるため、酸化物半導体膜中のそれらの濃度を低減できる。
【0099】
その後、第2のフォトリソグラフィ工程およびエッチング工程を行い、島状に加工された酸化物半導体層105を形成する。ここまでの工程で得られた構成を図6(B)に示す。
【0100】
次いで、不活性ガス雰囲気(窒素、ヘリウム、ネオン、アルゴン等)下、或いは露点がマイナス60℃以下等の水分含有量が少ない乾燥空気雰囲気下において、酸化物半導体層105に加熱処理を施しても良い。例えば、100℃以上400℃以下で10分間以上の加熱処理でおこなうとよい。
【0101】
加熱処理は、電気炉を用いた加熱方法、加熱した気体を用いるGRTA(Gas Rapid Thermal Anneal)法またはランプ光を用いるLRTA(Lamp Rapid Thermal Anneal)法などの瞬間加熱方法などを用いることができる。例えば、電気炉を用いて加熱処理をおこなう場合、昇温特性を0.1℃/min以上20℃/min以下、降温特性を0.1℃/min以上15℃/min以下とすることが好ましい。
【0102】
本半導体装置の作製方法では、酸化物半導体層105に加熱処理を施すことで、水分、水素が脱離した酸化物半導体層106が形成される。この際においても、ゲート絶縁層104に含有されるフッ素が、酸化物半導体膜内に存在する水素を不活性化させ、または、脱離させる。さらに、ゲート絶縁層104から、酸化物半導体層106の欠陥に酸素が供給される。
【0103】
また、不活性ガス雰囲気(窒素、またはヘリウム、ネオン、アルゴン等)下において、500℃以上750℃以下(若しくはガラス基板の歪点以下の温度)で1分間以上10分間以下程度、好ましくは600℃、3分間以上6分間以下程度のRTA(Rapid Thermal Anneal)処理をおこなうこともできる。RTA法を用いれば、短時間に脱水化または脱水素化が行えるため、ガラス基板の歪点を超える温度でも処理することができる。
【0104】
なお、加熱処理においては、不活性ガス(窒素、またはヘリウム、ネオン、アルゴン等の希ガス)に、水分、水素などが含まれないことが好ましい。または、加熱処理装置に導入する窒素、またはヘリウム、ネオン、アルゴン等の希ガスの純度を、6N(99.9999%)以上、好ましくは7N(99.99999%)以上、(即ち不純物濃度を1ppm以下、好ましくは0.1ppm以下)とすることが好ましい。
【0105】
なお、上記加熱処理は、島状の酸化物半導体層105形成後に限らず、島状の酸化物半導体層105を形成する前の酸化物半導体膜に対して行ってもよい。また、上記加熱処理を複数回行ってもよい。加熱処理後の、酸化物半導体層106は一部結晶化していても良い。
【0106】
ここで、酸化物半導体層106の露出した表面に、酸素、オゾン、亜酸化窒素を用いて、プラズマ処理を施しても良い。プラズマ処理をすることで、酸化物半導体層106の欠陥に酸素を供給することができる。ここまでの工程で得られた構成を図6(C)に示す。
【0107】
次いで、導電膜を成膜し、第3のフォトリソグラフィ工程およびエッチング工程を行い、ソース電極層107a、ドレイン電極層107bを形成する。該導電膜は、ゲート電極層103と同様のものとすることができる。本半導体装置の作製方法では、チタンターゲットを用いたDCスパッタリング法で厚さ150nmのチタン膜を成膜し、第3のフォトリソグラフィ工程およびエッチング工程により、ソース電極層107a、ドレイン電極層107bを形成する。
【0108】
その後、絶縁層108を形成する。本半導体装置の作製方法では、ゲート絶縁層104と同様のガスおよび同様の方法で、厚さ50nmの酸化珪素層を形成する。なお、絶縁層108を形成した後に、加熱処理を施しても良い。加熱処理は不活性ガス雰囲気(窒素、またはヘリウム、ネオン、アルゴン等)下においておこなう。好ましくは200℃以上400℃以下でおこなうとよい。または、上記記載のRTA処理を行っても良い。ここまでの工程を経て得られた構成を図6(D)に示す。
【0109】
本実施の形態に示した構成とすることで、酸化物半導体層106に水素が拡散することを抑制でき、酸化物半導体層106内に存在する水素を不活性化させ、または脱離させ、良好な電気特性を有する半導体装置とすることができる。なお、本実施の形態で示した構成は、本明細書の他の実施の形態で示す構成と適宜組み合わせることができる。
【0110】
(実施の形態2)
本実施の形態では、堆積性ガスに四フッ化珪素を、酸化させるためのガスとして、亜酸化窒素を、さらに、安定してプラズマを発生させるためのガスとしてアルゴンを用いてプラズマCVD法で得られる水素濃度の低い酸化珪素をトップゲート型トランジスタの下地絶縁層として用いる例について、図7を用いて説明する。
【0111】
基板201上に酸化珪素を主要成分とする下地絶縁層202を形成する。下地絶縁層202は上述の通り、四フッ化珪素を用いてプラズマCVD法で形成する。成膜方法の詳細は、実施の形態1のゲート絶縁層104の形成方法を参照すればよい。また、その厚さは、その後に形成される酸化物半導体層およびゲート絶縁層のそれぞれの厚さの和の5倍以上であるとよい。
【0112】
このような厚さであれば、下地絶縁層から拡散するフッ素の量が十分であるため、酸化物半導体層およびゲート絶縁層に存在する水素は不活性化され、あるいは、酸化物半導体層およびゲート絶縁層から脱離する。下地絶縁層の厚さが、酸化物半導体層およびゲート絶縁層のそれぞれの厚さの和の2倍以下であると、フッ素量が不十分なために、そのような効果が得られない。
【0113】
その後、酸化物半導体膜として、厚さ10乃至30nmのIn−Ga−Zn−O系の酸化物の膜をスパッタリング法により形成する。そして、これをエッチングして島状の酸化物半導体層203を得る。酸化物半導体層203には、水素濃度を減らすために熱処理をおこなってもよい。ここまでの状態を図7(A)に示す。
【0114】
次に、下地絶縁層202と酸化物半導体層203を覆って、導電膜を形成する。導電膜としては、例えば、チタンとアルミニウムの多層膜をスパッタリング法で形成すればよい。そして、これをエッチングしてソース電極層204a、ドレイン電極層204bを形成する。その際、導電膜のエッチングレートと酸化物半導体層203のエッチングレートの関係から、酸化物半導体層203の表面もエッチングされることがある。
【0115】
ここで、ソース電極層204a、ドレイン電極層204bの最下面の材料としてフッ素と反応する金属材料(例えば、チタン、タングステン、モリブデン、アルミニウムあるいはそれらの窒化物等)を用いる場合には、ソース電極層204a、ドレイン電極層204bが、下地絶縁層202に接しないことが好ましい。
【0116】
これらの材料を用いたソース電極層204a、ドレイン電極層204bが、下地絶縁層202に接すると、界面で化学反応がおこり、ソース電極層204a、ドレイン電極層204bが剥離しやすくなる。したがって、図7(B)に示すように、ソース電極層204a、ドレイン電極層204bは酸化物半導体層203上のみに設けられることが好ましい。
【0117】
なお、ソース電極層204a、ドレイン電極層204bの最下面が酸化物導電体のような材料で構成されている場合には、上記のような問題は生じない。
【0118】
さらに、下地絶縁層202と酸化物半導体層203、ソース電極層204a、ドレイン電極層204bを覆って、プラズマCVD法により厚さ10乃至30nmの酸化窒化珪素よりなるゲート絶縁層205を形成する。プラズマCVD法を用いることにより、段差被覆性に優れたゲート絶縁膜が得られる。
【0119】
ここでは、用いるガスにフッ素や塩素が含まれないことが好ましい。このような成分を有するガスを用いると、成膜時にソース電極層204a、ドレイン電極層204bがエッチングされるおそれがあるためである。
【0120】
そのため、堆積性ガスとしては、シランとアンモニアを用いることが好ましい。このようにして得られる酸化窒化珪素中には多量の水素が含まれているが、先に指摘したように、十分な厚さの下地絶縁層202よりフッ素が供給されるため、これらの水素は不活性化され、あるいは、脱離する。ここまでの状態を図7(B)に示す。
【0121】
次に、ゲート絶縁層205を覆って、導電膜を形成し、これをエッチングして、ゲート電極層206を形成する。ゲート絶縁層205とゲート電極層を形成するための導電膜の堆積は、大気に曝すことなく連続的におこなうことが望ましい。
【0122】
その後、プラズマCVD法により、厚さ100乃至300nmの酸化珪素よりなる絶縁層207を堆積し、さらに、有機樹脂等により表面が平坦な絶縁層208を形成する。絶縁層207の成膜に関しても、成膜時のゲート電極層206のエッチングを避けるため、堆積性ガスとしては、シランあるいはTEOS(テトラエトキシシラン、Si(OC2H5)4)を用いるとよい。
【0123】
絶縁層207中にも多量の水素が含まれるが、絶縁層207とトランジスタのチャネル領域は、ゲート電極層206で隔てられているため、信頼性に問題を起こすことは少ない。より信頼性を高め、また、ゲート電極層206のエッチングを防止するためには、絶縁層207を多層とし、ゲート電極層206に接する厚さ20乃至100nmの第1の絶縁層を上記のシランあるいはTEOSを用いて形成し、それより上の第2の絶縁層を、フッ化珪素(例えば、四フッ化珪素)を用いて形成してもよい。
【0124】
最後に、ゲート絶縁層205,絶縁層207と絶縁層208に、ソース電極層204a、ドレイン電極層204bに達するコンタクトホールを設け、電極209aと電極209bを形成する。ここまでの状態を図7(C)に示す。
【0125】
以上の工程により、トップゲート型のトランジスタを作製できる。以上の例では、下地絶縁層202の堆積性ガスとしてフッ化珪素を用いる例を示したが、塩化珪素を用いてもよいことはいうまでもない。本実施の形態は他の実施の形態と組み合わせることができる。
【0126】
(実施の形態3)
本実施の形態では、堆積性ガスに四フッ化珪素を用いて得られる水素濃度の低い酸化珪素をトップゲート型トランジスタの下地絶縁層として用いる例について、図8を用いて説明する。
【0127】
基板301上に酸化珪素を主要成分とする下地絶縁層302を形成する。下地絶縁層302は上述の通り、四フッ化珪素を用いてプラズマCVD法で形成する。成膜方法の詳細は、実施の形態1のゲート絶縁層104の形成方法を参照すればよい。また、その厚さは、その後に形成される酸化物半導体層およびゲート絶縁層のそれぞれの厚さの和の5倍以上であるとよい。
【0128】
その後、酸化物半導体膜303として、厚さ10乃至30nmのIn−Ga−Zn−O系膜をスパッタリング法により形成する。さらに酸化物半導体膜303を覆って、導電膜304を形成する。導電膜としては、例えば、タングステン膜をスパッタリング法で形成すればよい。
【0129】
さらに、導電膜304上にレジストを塗布し、多階調マスクを用いるフォトリソグラフィ法でパターン形成し、少なくとも2つの厚さの異なる部分を有するレジストマスク305を得る。ここまでの状態を図8(A)に示す。
【0130】
そして、このレジストマスク305を用いて、第1のエッチングをおこなう。例えば、異方性ドライエッチングにより、レジストマスクで覆われていない部分の導電膜304および酸化物半導体膜303をエッチングする。第1のエッチングにより、島状の酸化物半導体層303aおよびそれと概略同一形状の導電層304aを得る(図8(B)参照)。
【0131】
ドライエッチングにおいては、レジストマスク305もエッチングされ、図8(B)に示すように、2つのレジストマスク305aとレジストマスク305bに分離されることが起こりえる。一方、ウェットエッチングではレジストマスク305のエッチングは起こらず、また、ドライエッチングでも、条件によっては、レジストマスク305がほとんどエッチングされないことがあるが、そのような場合には、別に、アッシング工程を設けて、レジストマスク305をエッチングして、図8(B)に示すような形状とする。
【0132】
次に、2つのレジストマスク305aとレジストマスク305bを用いて、第2のエッチングをおこなう。このエッチングは、導電層304aを選択的にエッチングすることが求められ、また、エッチング後の導電層304aの側面がテーパー状となるような方法を採用するとよい。このようにして、ソース電極層304b、ドレイン電極層304cが得られる(図8(C)参照)。
【0133】
上記の下地絶縁層302の成膜からソース電極層304b、ドレイン電極層304cを得るまでの工程においては、多階調マスクを用いるため、1回のフォトリソグラフィ工程で済む。これに対し、実施の形態2においては、ソース電極層204a、ドレイン電極層204bを得るまでに2回のフォトリソグラフィ工程が必要である。
【0134】
また、実施の形態2においては、酸化物半導体層203を形成するために、酸化物半導体膜上にレジストを塗布することが必要であったが、本実施の形態では、酸化物半導体膜303あるいは酸化物半導体層303a上にレジストが塗布されることはなく、酸化物半導体層303aの表面を清浄に保つことができる。
【0135】
また、上記の工程から明らかなように、ソース電極層304b、ドレイン電極層304cは、酸化物半導体層303a上にのみ形成されるので、下地絶縁層302に接することはない。
【0136】
さらに、下地絶縁層302と酸化物半導体層303a、ソース電極層304b、ドレイン電極層304cを覆って、プラズマCVD法により厚さ10乃至30nmの酸化窒化珪素よりなるゲート絶縁層306を形成する。ここまでの状態を図8(C)に示す。
【0137】
次に、ゲート絶縁層306を覆って、導電膜を形成し、これをエッチングして、ゲート電極層307を形成する。その後、スパッタリング法により、厚さ100乃至300nmの酸化珪素よりなる絶縁層308を堆積し、さらに、有機樹脂等により表面が平坦な絶縁層309を形成する。そして、ゲート絶縁層306,絶縁層308と絶縁層309に、ソース電極層304b、ドレイン電極層304cに達するコンタクトホールを設け、電極310aと電極310bを形成する。ここまでの状態を図8(D)に示す。
【0138】
以上の工程により、トップゲート型のトランジスタを作製できる。以上の例では、下地絶縁層302の堆積性ガスとしてフッ化珪素を用いる例を示したが、塩化珪素を用いてもよいことはいうまでもない。本実施の形態は他の実施の形態と組み合わせることができる。
【0139】
(実施の形態4)
本実施の形態では、堆積性ガスに四フッ化珪素を用いて得られる水素濃度の低い酸化珪素を多層配線回路上に設けられるトップゲート型トランジスタの下地絶縁層として用いる例について、図9を用いて説明する。
【0140】
基板401上には、配線402a、配線402bが設けられている。配線402a、配線402bは、単なる配線に限られず、基板401上に設けられたトランジスタのゲート電極層やソース電極、ドレイン電極あるいはそれらから延在する配線であってもよい。すなわち、基板401上には、珪素等の半導体材料を用いたトランジスタが設けられていてもよい。
【0141】
そのような配線402a、配線402bを覆って、プラズマCVD法により、窒化酸化珪素膜403を形成する。窒化酸化珪素膜403には適量の水素が含まれていることが好ましい。窒化酸化珪素膜403によって配線402a、配線402bおよび基板401上のトランジスタを覆うことにより、該トランジスタに水素を供給することができるが、該トランジスタが珪素やゲルマニウムを用いたトランジスタであれば、水素によりそれらの半導体材料中のダングリングボンドを終端することができ、トランジスタ特性を良好なものとできる。
【0142】
窒化酸化珪素膜403の厚さはいくつかのことを考慮して決定されることが好ましい。第一に、上記の水素化の効果を考慮して決定される必要がある。また、第二には、後述するように窒化酸化珪素膜403は、平坦化工程のエッチングストッパともなるので、その作用も考慮される必要がある。さらに、第三には、平坦化後のエッチング工程において、下地絶縁層(窒化酸化珪素膜403上に形成される)とともにエッチングされるので、下地絶縁層と窒化酸化珪素膜403のエッチングレートの差が、平坦性に支障をもたらさない程度であることが必要である。
【0143】
上記第一および第二の要求からは、窒化酸化珪素膜403は厚いことが望ましく、第三の要求からは薄いことが望まれる。それらのことを考慮すると、窒化酸化珪素膜403の厚さは、例えば、50乃至200nmとするとよい。
【0144】
次に、酸化珪素を主要成分とする下地絶縁層404を形成する。下地絶縁層404は上述の通り、四フッ化珪素を用いてプラズマCVD法で形成する。プラズマCVD法を用いることにより、配線402a、配線402bの側面にも段差被覆性よく形成できる。下地絶縁層404の厚さは、その後に形成される酸化物半導体層およびゲート絶縁層のそれぞれの厚さの和の5倍以上であるとよい。なお、下地絶縁層404はその後の工程でエッチングされるので、その分を見越して、厚めに形成するとよい。ここまでの状態を図9(A)に示す。
【0145】
その後、公知の化学的機械的研磨(CMP)法により、下地絶縁層404を平坦化しつつエッチングする。この工程は、窒化酸化珪素膜403が露出した時点で停止できる。窒化酸化珪素は、酸化珪素に比べて、CMP法でのエッチングレートが小さく、エッチングストッパとして機能するためである。ここまでの状態を図9(B)に示す。下地絶縁層404は、窒化酸化珪素膜403によって分断された状態(下地絶縁層404a)となる。また、表面はほぼ平坦である。
【0146】
その後、ドライエッチング法により、窒化酸化珪素膜403と下地絶縁層404aを概略同じ厚さだけエッチングし、平坦な表面を得る。このエッチングは、配線402a、配線402bの表面が露出した段階で停止する。この段階で下地絶縁層404aはさらにエッチングされ、図9(C)に404bで示すような状態となる。
【0147】
その後は、実施の形態2および実施の形態3と同様にしてトップゲート型トランジスタを形成する。すなわち、厚さ10乃至20nmのIn−Ga−Zn−O系膜を用いて、酸化物半導体層405を形成し、その上にソース電極層406a、ドレイン電極層406bを形成する。さらに、ゲート絶縁層407を形成する(図9(C)参照)。
【0148】
ここで酸化物半導体層405は、配線402aおよびソース電極層406aと接し、配線402aとソース電極層406aは、酸化物半導体層405を間に挟んで重なる。ところで、酸化物半導体と導電体がオーミック接触する状態では、その界面から酸化物半導体の深さ10nm程度までの領域では、キャリア濃度が1×1019/cm程度もしくはそれ以上であるので、間に酸化物半導体層405が存在するものの、実質的に、配線402aとソース電極層406aは導通しているものと見なせる。
【0149】
オーミック接触するためには、配線402aおよびソース電極層406aが、酸化物半導体層405との界面でオーミック接触することが必要である。そのためには、配線402aおよびソース電極層406aが酸化物半導体層405に接する部分に、その仕事関数が酸化物半導体層405の電子親和力よりも小さなものを用いることが好ましい。例えば、In−Ga−Zn−O系の酸化物半導体であれば、電子親和力は4.3電子ボルト程度であるので、チタンや窒化チタンを用いるとよい。配線402bおよびドレイン電極層406bについても同様である。
【0150】
次に、ゲート絶縁層407を覆って、導電膜を形成し、これをエッチングして、ゲート電極層408を形成する。その後、窒化珪素よりなる絶縁層409と、有機樹脂等により表面が平坦な絶縁層410を形成する。そして、ゲート絶縁層407,絶縁層409と絶縁層410に、ソース電極層406a、ドレイン電極層406bに達するコンタクトホールを設け、電極411aと電極411bを形成する。ここまでの状態を図9(D)に示す。
【0151】
以上の工程により、トップゲート型のトランジスタを作製できる。本実施の形態は他の実施の形態と組み合わせることができる。
【0152】
(実施の形態5)
上記実施の形態で説明したトランジスタを作製し、該トランジスタを画素部、さらには駆動回路に用いて表示機能を有する半導体装置(表示装置ともいう)を作製することができる。また、トランジスタを用いた駆動回路の一部または全体を、画素部と同じ基板上に一体形成し、システムオンパネルを形成することができる。また、上記実施の形態で記載した酸化物半導体材料を用いたトランジスタで、メモリセルを含んだ半導体装置を作製することもできる。
【0153】
表示装置は表示素子を含む。表示素子としては液晶素子(液晶表示素子ともいう)、発光素子(発光表示素子ともいう)を用いることができる。発光素子は、電流または電圧によって輝度が制御される素子をその範疇に含んでおり、具体的には無機EL(Electro Luminescence)、有機EL等が含まれる。また、電子インクなど、電気的作用によりコントラストが変化する表示媒体も適用することができる。
【0154】
また、表示装置は、表示素子が封止された状態にあるパネルと、該パネルにコントローラを含むIC等を実装した状態にあるモジュールとを含む。さらに、該表示装置を作製する過程における、表示素子が完成する前の一形態に相当する素子基板に関し、該素子基板は、電流を表示素子に供給するための手段を複数の各画素に備える。素子基板は、具体的には、表示素子の画素電極のみが形成された状態であっても良いし、画素電極となる導電膜を形成した後であって、エッチングして画素電極を形成する前の状態であっても良いし、あらゆる形態があてはまる。
【0155】
なお、本明細書中における表示装置とは、画像表示デバイス、表示デバイス、もしくは光源(照明装置含む)を指す。また、コネクター、例えばFPC(Flexible printed circuit)もしくはTAB(Tape Automated Bonding)テープもしくはTCP(Tape Carrier Package)が取り付けられたモジュール、TABテープやTCPの先にプリント配線板が設けられたモジュール、または表示素子にCOG(Chip On Glass)方式によりIC(集積回路)が直接実装されたモジュールも全て表示装置に含むものとする。
【0156】
(実施の形態6)
上記実施の形態に記載したトランジスタの作製方法で作製したトランジスタからなる表示装置を、電子インクを駆動させて表示する電子ペーパーに適用することができる。電子ペーパーは、情報を表示するものであればあらゆる分野の電子機器に用いることが可能である。例えば、電子ペーパーを用いて、電子書籍(電子ブック)、ポスター、デジタルサイネージ、PID(Public Information Display)、電車などの乗り物の車内広告、クレジットカード等の各種カードにおける表示等に適用することができる。電子機器の一例を図11に示す。
【0157】
図11の電子書籍501は、筐体502および筐体503の2つの筐体で構成されている。筐体502および筐体503は、軸部508により一体とされており、該軸部508を軸として開閉動作をおこなうことができる。このような構成により、紙の書籍のような動作をおこなうことが可能となる。
【0158】
筐体502には表示部504及び光電変換装置505が組み込まれ、筐体503には表示部506及び光電変換装置507が組み込まれている。表示部504および表示部506は、続き画面を表示する構成としてもよいし、異なる画面を表示する構成としてもよい。異なる画面を表示する構成とすることで、例えば右側の表示部(図11では表示部504)に文章を表示し、左側の表示部(図11では表示部506)に画像を表示することができる。
【0159】
また、図11では、筐体502に操作部などを備えた例を示している。例えば、筐体502において、電源スイッチ509、操作キー510、スピーカ511などを備えている。操作キー510により、頁を送ることができる。なお、筐体の表示部と同一面にキーボードやポインティングデバイスなどを備える構成としてもよい。また、筐体の裏面や側面に、外部接続用端子(イヤホン端子、USB端子、またはACアダプタおよびUSBケーブルなどの各種ケーブルと接続可能な端子など)、記録媒体挿入部などを備える構成としてもよい。さらに、電子書籍501は、電子辞書としての機能を持たせた構成としてもよい。
【0160】
また、電子書籍501は、無線で情報を送受信できる構成としてもよい。無線により、電子書籍サーバから、所望の書籍データなどを購入し、ダウンロードする構成とすることも可能である。
【0161】
(実施の形態7)
本明細書に開示する半導体装置は、さまざまな電子機器(遊技機も含む)に適用することができる。電子機器としては、例えば、テレビジョン装置(テレビ、またはテレビジョン受信機ともいう)、コンピュータ用などのモニタ、デジタルカメラやデジタルビデオカメラ等のカメラ、デジタルフォトフレーム、携帯電話機(携帯電話、携帯電話装置ともいう)、携帯型ゲーム機、携帯情報端末、音響再生装置、パチンコ機などの大型ゲーム機などがある。
【0162】
図12(A)のテレビジョン装置512は、筐体513に表示部514が組み込まれている。表示部514により、映像を表示することが可能である。また、ここでは、スタンド515により筐体513を支持した構成を示している。
【0163】
テレビジョン装置512の操作は、筐体513が備える操作スイッチや、別体のリモコン操作機518によりおこなうことができる。リモコン操作機518が備える操作キー517により、チャンネルや音量の操作をおこなうことができ、表示部514に表示される映像を操作することができる。また、リモコン操作機518に、当該リモコン操作機518から出力する情報を表示する表示部516を設ける構成としてもよい。
【0164】
なお、テレビジョン装置512は、受信機やモデムなどを備えた構成とする。受信機により一般のテレビ放送の受信をおこなうことができ、さらにモデムを介して有線または無線による通信ネットワークに接続することにより、一方向(送信者から受信者)または双方向(送信者と受信者間、あるいは受信者間同士など)の情報通信をおこなうことも可能である。
【0165】
図12(B)のデジタルフォトフレーム519は、筐体520に表示部521が組み込まれている。表示部521は、各種画像を表示することが可能であり、例えばデジタルカメラなどで撮影した画像データを表示させることで、通常の写真立てと同様に機能させることができる。
【0166】
なお、デジタルフォトフレーム519は、操作部、外部接続用端子(USB端子、USBケーブルなどの各種ケーブルと接続可能な端子など)、記録媒体挿入部などを備える構成とする。これらの構成は、表示部と同一面に組み込まれていてもよいが、側面や裏面に備えるとデザイン性が向上するため好ましい。例えば、デジタルフォトフレームの記録媒体挿入部に、デジタルカメラで撮影した画像データを記憶したメモリを挿入して画像データを取り込み、取り込んだ画像データを表示部521に表示させることができる。
【0167】
また、デジタルフォトフレーム519は、無線で情報を送受信できる構成としてもよい。無線により、所望の画像データを取り込み、表示させる構成とすることもできる。
【0168】
図13は携帯型のコンピュータの一例を示す斜視図である。図13の携帯型のコンピュータは、上部筐体522と下部筐体523とを接続するヒンジユニットを閉状態として表示部524を有する上部筐体522と、キーボード525を有する下部筐体523とを重ねた状態とすることができ、持ち運ぶことが便利であるとともに、使用者がキーボード入力する場合には、ヒンジユニットを開状態として、表示部524を見て入力操作をおこなうことができる。
【0169】
また、下部筐体523はキーボード525の他に入力操作をおこなうポインティングデバイス527を有する。また、表示部524をタッチ入力パネルとすれば、表示部の一部に触れることで入力操作をおこなうこともできる。また、下部筐体523はCPUやハードディスク等の演算機能部を有している。また、下部筐体523は他の機器、例えばUSBの通信規格に準拠した通信ケーブルが差し込まれる外部接続ポート526を有している。
【0170】
上部筐体522には更に上部筐体522内部にスライドさせて収納可能な表示部528を有しており、広い表示画面を実現することができる。また、収納可能な表示部528の画面の向きを使用者は調節できる。また、収納可能な表示部528をタッチ入力パネルとすれば、収納可能な表示部の一部に触れることで入力操作をおこなうこともできる。
【0171】
表示部524または収納可能な表示部528は、液晶表示パネル、有機発光素子または無機発光素子などの発光表示パネルなどの映像表示装置を用いる。
【0172】
また、図13の携帯型のコンピュータは、受信機などを備えた構成として、テレビ放送を受信して映像を表示部524または表示部528に表示することができる。また、上部筐体522と下部筐体523とを接続するヒンジユニットを閉状態としたまま、表示部528をスライドさせて画面全面を露出させ、画面角度を調節して使用者がテレビ放送を見ることもできる。ヒンジユニットを開状態として表示部524を表示させず、さらにテレビ放送を表示するだけの回路の起動のみをおこなうため、最小限の消費電力とすることができ、バッテリー容量の限られている携帯型のコンピュータにおいて有用である。
【実施例1】
【0173】
上記実施の形態で説明したゲート絶縁層104、ゲート絶縁層205、 ゲート絶縁層306、ゲート絶縁層407、絶縁層108、下地絶縁層202、下地絶縁層302、および下地絶縁層404として用いることのできる酸化珪素膜(試料A)を作製し、試料Aに含まれる水素濃度、およびフッ素濃度について評価した結果を、図10に示す。
【0174】
試料Aの作製方法について説明する。試料AはプラズマCVD法を用いて作製した。プラズマCVD装置の反応室の内壁温度が、115℃となるように60分間加熱し、反応室内に残留または吸着している、不純物を含むガスを放出させた。
【0175】
次に、三フッ化窒素(NF)を600sccmの流量で反応室内に供給し、反応室内の圧力は70Pa程度とし、ギャップ間隔は50mmに調整し、60MHzの高周波電源にて900Wの電力を7分間出力し、反応室内の内壁を115℃に加熱したまま、プラズマクリーニングを行い、不純物を含むガスを除去した。なお、本実施例で用いたプラズマCVD装置における電極面積は490cmである。
【0176】
プラズマクリーニング後、反応室の内壁温度を115℃に加熱しながら、酸化珪素を珪素ウエハ上に、膜厚200nm狙いで成膜した。この際、珪素を含む堆積性ガスとして四フッ化珪素を6sccmの流量で、添加ガスとして亜酸化窒素を1000sccmの流量で、不活性ガスとしてアルゴンを1000sccmの流量で、反応室内に供給し、反応室内の圧力を133Paに調整し、ギャップ間隔は10mmに調整し、酸化珪素が成膜される珪素ウエハの温度を400℃に調整し、60MHzの高周波電源にて800Wの出力により、酸化珪素を成膜した。
【0177】
次に、試料AにおけるSIMSでの測定結果を、図10に示す。図10において、縦軸は試料Aに含まれる水素濃度、またはフッ素濃度を表し、横軸は、試料Aの酸化珪素膜表面から基板方向への深さを表している。また、試料Aの水素濃度プロファイルを実線で示し、試料Aのフッ素濃度プロファイルを破線で示す。試料Aにおいて、横軸10nmから120nmを定量範囲とし、横軸200nm以上は珪素ウエハを表している。
【0178】
図10より、試料Aの水素濃度は、定量範囲において、3.4×1019atoms/cm以下であり、試料Aのフッ素濃度は、定量範囲において、9.2×1020atoms/cm以上であることが確認された。
【0179】
水素放出が抑制され、酸化物半導体層内に存在する水素を不活性化させ、または、脱離させることができる酸化珪素膜は、上記水素濃度、およびフッ素濃度を有することがわかった。
【0180】
本実施例に示した酸化珪素膜をゲート絶縁層104、ゲート絶縁層205、 ゲート絶縁層306、ゲート絶縁層407、絶縁層108、下地絶縁層202、下地絶縁層302、および下地絶縁層404に用いることで、良好な電気特性を有する半導体装置を作製することができる。
【符号の説明】
【0181】
101 基板
102 下地絶縁層
103 ゲート電極層
104 ゲート絶縁層
105 酸化物半導体層
106 酸化物半導体層
107a ソース電極層
107b ドレイン電極層
108 絶縁層
201 基板
202 下地絶縁層
203 酸化物半導体層
204a ソース電極層
204b ドレイン電極層
205 ゲート絶縁層
206 ゲート電極層
207 絶縁層
208 絶縁層
209a 電極
209b 電極
301 基板
302 下地絶縁層
303 酸化物半導体膜
303a 酸化物半導体層
304 導電膜
304a 導電層
304b ソース電極層
304c ドレイン電極層
305 レジストマスク
305a レジストマスク
305b レジストマスク
306 ゲート絶縁層
307 ゲート電極層
308 絶縁層
309 絶縁層
310a 電極
310b 電極
401 基板
402a 配線
402b 配線
403 窒化酸化珪素膜
404 下地絶縁層
404a 下地絶縁層
404b 下地絶縁層
405 酸化物半導体層
406a ソース電極層
406b ドレイン電極層
407 ゲート絶縁層
408 ゲート電極層
409 絶縁層
410 絶縁層
411a 電極
411b 電極
501 電子書籍
502 筐体
503 筐体
504 表示部
505 光電変換装置
506 表示部
507 光電変換装置
508 軸部
509 電源スイッチ
510 操作キー
511 スピーカ
512 テレビジョン装置
513 筐体
514 表示部
515 スタンド
516 表示部
517 操作キー
518 リモコン操作機
519 デジタルフォトフレーム
520 筐体
521 表示部
522 上部筐体
523 下部筐体
524 表示部
525 キーボード
526 外部接続ポート
527 ポインティングデバイス
528 表示部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゲート電極層と、
酸化物半導体層と、
前記酸化物半導体層と電気的に接続されるソース電極層及びドレイン電極層と、
前記ゲート電極層及び前記酸化物半導体層の間に形成されるゲート絶縁層と、
前記酸化物半導体層を介して、前記ゲート絶縁層と対向し、且つ酸化物半導体層に接する絶縁層とを有し、
前記絶縁層における水素濃度は6×1020atoms/cm未満であり、前記絶縁層におけるハロゲンの濃度は1×1020atoms/cm以上であり、
前記絶縁層は、ハロゲン化珪素を用いたプラズマCVD法により形成されることを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
請求項1において、前記絶縁層は、酸化物絶縁層であることを特徴とする半導体装置。
【請求項3】
請求項1あるいは請求項2において、前記ゲート絶縁層は、酸化珪素、酸化窒化珪素、窒化酸化珪素、酸化ハフニウム、酸化アルミニウム、または酸化タンタルであることを特徴とする半導体装置。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3のいずれか一において、前記酸化物半導体層は、前記ゲート絶縁層を介して、前記ゲート電極層に重畳することを特徴とする半導体装置。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4のいずれか一において、前記絶縁層の厚さは、前記酸化物半導体層の厚さと前記ゲート絶縁層の厚さの和の5倍以上であることを特徴とする半導体装置。
【請求項6】
請求項1乃至請求項5のいずれか一において、前記絶縁層は、基板と前記酸化物半導体層の間に設けられていることを特徴とする半導体装置。
【請求項7】
請求項1乃至請求項6のいずれか一において、ハロゲンはフッ素であることを特徴とする半導体装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2012−33913(P2012−33913A)
【公開日】平成24年2月16日(2012.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−145146(P2011−145146)
【出願日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【出願人】(000153878)株式会社半導体エネルギー研究所 (5,264)
【Fターム(参考)】