説明

半導体製造装置及び半導体製造方法

【課題】半導体製造の後工程における実装処理のウエハ交換にかかる時間が短く、稼動効率の高い半導体製造装置及び半導体製造方法を提供する。
【解決手段】前記半導体製造装置の装置本体に着脱自在なウエハカセットと、前記ウエハカセットに収納可能であり、前記ウエハが搭載され、かつ前記半導体チップの情報を保有するバーコードが貼付されたウエハキャリアと、前記ウエハキャリアを載置可能で回転可能なバッファテーブルとバーコードリーダとを備え、かつ前記バーコードリーダに前記ウエハキャリアのバーコードの読み取り動作後に、前記ウエハキャリアの向きを前記被実装部材への実装動作のための向きに合わせるアライメント動作を行うバッファ装置と、前記バッファ装置と半導体チップのピックアップ位置との間で前記ウエハキャリアを搬送するXYθテーブルと、前記被実装部材に半導体チップを実装する実装機構が備えられていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は半導体製造装置及び半導体製造方法に関するものであり、特に半導体チップを被実装部材に実装する半導体製造装置及び半導体製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、半導体製造の後工程において半導体チップを被実装部材に実装する際には、ダイボンダ或いはチップマウンタが用いられている。
【0003】
ダイボンダの一例の構成を図6に示す。
図6のダイボンダ50には、被実装部材であるリードフレームLFを搬送する搬送レール70と、バーコードBCが貼付されたダイシング済のシリコンウエハ(以下、「ウエハ」と称する)Wを収納するウエハカセット52と、ウエハWを移動させるウエハチェンジャ54と、ウエハWの半導体チップ(以下、「チップ」と称する)CをリードフレームLFに実装する方向に合わせたアライメントを行うXYθテーブル56と、バーコードBCを読み取るバーコードリーダ58と、ウエハWのチップCをピックアップしてリードフレームLFに実装する実装ヘッド60が備えられている。実装ヘッド60は、移動機構61,62に取り付けられている。また、バーコードリーダ58はXYθテーブル56の上方に設けられ、位置は固定されている。XYθテーブル56には、図示略の移動機構及び回転機構が取り付けられている。
【0004】
ウエハWには、半導体製造の前工程において回路パターンが作り込まれている。ウエハWは、環状のウエハキャリアWCとともに粘着シートSに載置され、ダイシングにより複数のチップCに切り分けられている。各チップCは、ウエハ検査により良品か、不良品かのいずれであるかを判別され、その検査結果がチップアドレスとともにバーコード情報としてウエハキャリアWCに貼付される。このように処理されたN枚のウエハW1〜WNは、ウエハカセット52の複数の収納スロットに1枚ずつ収納される。最初に実装処理されるウエハW1が収納された収納スロットがウエハカセット52の搬送高さに設置される。
【0005】
実装処理が開始されると、XYθテーブル56がウエハセット位置P1に移動する。移動が完了すると、ウエハチェンジャ54により、ウエハW1がウエハカセット52から引き出され、XYθテーブル56に装着される。
【0006】
次にXYθテーブル56によって、ウエハW1がバーコード読み取り位置P2まで移動する。移動が完了すると、W1を載せたウエハキャリアWCのバーコードBC1の位置がバーコードリーダ58に合うように、XYθテーブル56により、ウエハW1が回転する。
バーコードBC1がバーコードリーダ56に検知されると、ウエハW1のチップアドレスと各チップの検査結果が読み取られる。読み取られたウエハW1のデータは、実装ヘッド60に送信される。
【0007】
続いて、XYθテーブル56によって、ウエハW1がピックアップ位置P3に移動する。チップCのリードフレームLFへの実装は、移動機構61,62に取り付けられた実装ヘッド60によって行われる。ピックアップ位置P2に移動したウエハW1のチップCの向きが、実装する際のリードフレームLFにチップCを置く向きと合致しないことがある。しかし、実装ヘッド60で回転動作を行うと生産性が低下するため、ウエハW1のチップCの向きがリードフレームLFにチップCを置く向きと合致しない場合は、予めピックアップ位置P3においてウエハW1の向きを補正する必要がある。
したがって、ウエハW1がピックアップ位置P3に移動した後、必要に応じてXYθテーブル56を回転させて、ウエハW1の向きを補正する。
【0008】
その後、実装ヘッド60により、ウエハW1の良品チップCがピックアップされ、搬送レール70上を搬送されているリードフレームLFに実装される。このような実装作業がウエハW1の良品チップの数だけ実行される。ウエハW1の不良品チップは、ウエハW1に残される。
【0009】
ウエハW1の良品チップCが全て実装されると、ウエハW1はXYθテーブル58により、ウエハセット位置P1に移動する。不良チップが残されたウエハW1を載せたウエハキャリアWCは、ウエハチェンジャ54によりXYθテーブル56から取り外され、ウエハカセット52に収納される。
ダイボンダ50においては、上述のウエハW1の実装処理と同様に、ウエハW2〜WNの実装処理が行われる。
【0010】
しかしながら、ウエハキャリアの切欠に対するバーコードの貼付位置は、製造業者やウエハの製造工場によって異なるのが現状である。そのため、バーコードの読み取り作業におけるバーコードの貼付位置の検索に多くの時間が費やされていた。また、バーコードが検知されても、正しく読み取りが行われなかった場合は、再度バーコードの読み取りが行われ、より多くの時間が費やされていた。更に、バーコード読み取り後の、ピックアップ位置P3におけるウエハW1の向きの補正にも時間がかかっていた。
【0011】
このように、従来の実装処理においては、ウエハのバーコード貼付位置検索、バーコードの読み取り、良品チップのリードフレームへの実装方向に合わせたウエハのアライメント動作が全て、XYθテーブル56で行われていた。そのため、前段のウエハの良品チップの実装作業が開始されてから、後段のウエハの良品チップの実装作業が開始されるまでのウエハ交換に多大な時間が費やされていた。更に、ピックアップ位置での前段のウエハの作業が行われる間は、後段のウエハの作業が待機状態になり、ダイボンダの稼動効率が低下してしまう問題があった。
XYθテーブル56の稼動を高速にすれば、バーコードの貼付位置の検索時間やウエハWの向きの補正にかかる時間は短くなるが、XYθテーブル56はサイズも質量も大きく、高速回転等の動作をさせることは難しい。
【0012】
上述のように、ウエハのバーコードを読み取ることにより、そのウエハに関する情報(チップの良品/不良品かの判別、マップ)を取得する技術は公知である。
例えば特許文献1には、現行処理装置の1つ前の稼動状態に関する情報を、検査装置に送信し、その検査装置における検査条件を最適化する技術が開示されている。この技術によれば、効率的なウエハの良否検査が実施できる。また特許文献2には、ウエハのアライメント補正手段において、検査部品の位置ずれ量を事前のレビュー情報、すなわちバーコードに記録された情報に基づいて検知する技術が開示されている。更に、特許文献3では、ウエハの交換動作に関係する機構及び動作タイミングについて記載され、ウエハの搬送を効率的に行うことができるコンパクトなポリッシング装置について開示されている。
しかしながら、特許文献1〜3には、半導体製造の後工程におけるウエハ交換時間の短縮や、半導体製造装置の改良及び稼動効率の改善については何ら示唆されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】国際特許WO2007/088872号公報
【特許文献2】特許第3967406号公報
【特許文献3】特許第4197103号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであって、ウエハ交換にかかる時間が短く、稼動効率の高い半導体製造装置及び半導体製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記の目的を達成するために、本発明は以下の構成を採用した。
すなわち、本発明の半導体製造装置は、複数のチップが備えられたウエハから、チップを被実装部材に実装する半導体製造装置において、半導体製造装置の装置本体に着脱自在なウエハカセットと、ウエハカセットに収納可能であって、ウエハが搭載され、かつチップの情報を保有するバーコードが貼り付けられたウエハキャリアと、ウエハキャリアを載置可能で回転可能なバッファテーブルとバーコードリーダとを備え、かつバーコードリーダにウエハキャリアのバーコードの読み取り動作を行わせた後に、ウエハキャリアの向きを被実装部材への実装動作のための向きに合わせるアライメント動作を行うバッファ装置と、バッファ装置とチップのピックアップ位置との間でウエハキャリアを搬送するXYθテーブルと、被実装部材に半導体チップを実装する実装機構が備えられていることを特徴とする。
【0016】
本発明の半導体製造装置のバッファ装置には、アライメント動作が終了したウエハを搭載するウエハキャリアと、実装動作を終了したウエハを搭載するウエハを搭載するウエハキャリアとを入れ替える入れ替え機構が備えられていることが好ましい。
【0017】
また、本発明の半導体製造方法は、前述の半導体製造装置において、半導体ウエハの半導体チップの実装動作が行われる前に、バッファ装置を用いてそのウエハを搭載しているウエハキャリアのバーコードの読み取り動作を行い、ウエハキャリアの向きを被実装部材への実装動作のための向きに合わせるアライメント動作を行うことを特徴とする。
本発明の半導体製造方法は、バッファ装置の入れ替え機構により、アライメント動作が終了したウエハを搭載するウエハキャリアと実装動作を終了したウエハを搭載するウエハキャリアとを入れ替えることが好ましい。
【0018】
上記の構成によれば、ピックアップ位置で行われていたウエハ交換手順のうち、ウエハのバーコードの貼付位置検索が開始されてから、被実装部材へウエハのチップを置く向きに合わせたウエハのアライメントが完了するまでの手順が、バッファ装置で行われる。したがって、前段ウエハの良品チップがピックアップされ、被実装部材に実装される間に、後段ウエハのバーコードの読み取りとアライメントが完了する。このようにすることで、ウエハ交換を早くすることができる。
【0019】
また、上記の構成によれば、バッファ装置に入れ替え機構が備えられることにより、バッファ装置及びXYθテーブルの移動範囲が小さくなり、ウエハ交換における無駄がなくなる。
【0020】
更に、上記の方法によれば、ピックアップ位置で行われていたウエハ交換手順のうち、ウエハのバーコードの貼付位置検索が開始されてから、被実装部材へウエハのチップを置く向きに合わせたウエハのアライメントが完了するまでの手順を、バッファ装置で実行することができる。したがって、前段ウエハの良品チップがピックアップされ、被実装部材に実装される間に、後段ウエハのバーコードの読み取りとアライメントを完了する。
また、バッファ装置の入れ替え機構により、バッファ装置及びXYθテーブルの移動範囲を最小限に抑え、ウエハ交換の効率化を図ることができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、ウエハ交換にかかる時間が短く、稼動効率の高い半導体製造装置及び半導体製造方法が提供される。その結果、単位時間内に製造される半導体の個数が増加し、半導体製造の生産速度が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の第1実施形態におけるチップ実装機の構成を示す平面図である。
【図2】ウエハを載せたウエハキャリアの構成を示す図である。(a)は平面図であり、(b)は断面図である。
【図3】本発明の第2実施形態におけるチップ実装機のバッファ装置の構成を示す斜視図である。
【図4】本発明の第2実施形態におけるチップ実装機のウエハ交換の手順を示す略解図である。
【図5】本発明の第3実施形態におけるチップ実装機の構成を示す平面図である。
【図6】従来のダイボンダの構成を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明を適用した実施形態について、図面を参照しながら説明する。
【0024】
(第1の実施形態)
図1に示すように、チップ実装機10(半導体製造装置)には、チップ実装機10に着脱自在なウエハカセット52と、ウエハカセット52に収納可能であって、ウエハWが搭載され、かつチップCの情報を保有するバーコードBCが貼り付けられたウエハキャリアWCと、ウエハキャリアWCを載置可能で回転可能なバッファテーブル21とバーコードリーダ58とを備え、かつバーコードリーダ58にウエハキャリアWCのバーコード読み取り動作を行わせた後に、ウエハキャリアWCの向きを、被実装部材であるリードフレームLFへの実装動作のための向きに合わせるアライメント動作を行うバッファ装置20と、バッファ装置20とチップCのピックアップ位置P3との間でウエハキャリアWCを搬送するXYθテーブル56と、リードフレームLFにチップCを実装する実装機構75と、ウエハキャリアWCを適宜ウエハカセット52、バッファ装置20、XYθテーブル56との間で移動させるウエハチェンジャ54が備えられている。
なお、本実施形態のチップ実装機10の被実装部材はリードフレームLFとして説明するが、リードフレームLFに限るものではなく、BGA(Ball Grid Array)やCSP(Chip Size Package)用の基板、またはその他PCB(Printed Circuit Board)基板等を用いることができる。
【0025】
次に、チップ実装機10の各構成要素について説明する。
ウエハキャリアWCは、図2に示すように環状形状を有しており、ウエハWの方向性の基準として用いられる切欠nが設けられている。ウエハWとウエハキャリアWCは、粘着シートSに載せられている。粘着シートSの外径はウエハキャリアWCの外径より小さく、内径より大きい。ウエハWの外径は粘着シートSの外径より小さい。
【0026】
ウエハWには半導体製造の前工程で回路パターン及び回路パターンが作り込まれている。粘着シートSに載せる前のウエハWは厚く、ダイシングソーによるカットが難しい上に、チップCに切り分けた際には、各チップの裏面の電気抵抗が高いなどの問題が生じる。そのため、ウエハWは裏面研削により適度な厚みになるまで薄く研削される。研削されたウエハWは、例えば紫外線によって化学特性が変化する粘着シートSに貼り付けられる。
次いで、ウエハWはダイシングソーにより、回路パターンに合わせて格子状にカットされる。ウエハWの粘着シートSが引き延ばされると、カットされたウエハWも引っ張られ、複数のチップCが個々に分離される。粘着テープSの裏面から紫外線が照射されると、粘着テープSは粘着力が低下し、チップCが粘着テープSから剥がれ易くなる。ウエハWが載せられた粘着シートSはウエハキャリアWCに載せられる。
チップCはそれぞれ、顕微鏡を用いたウエハ検査により欠陥等の有無について調べられ、良品か不良品かの判定がなされる。チップアドレスと良品/不良品の検査結果はバーコード化され、粘着シートSに貼付される。このバーコードBCの貼付位置は、規格等により定められているものではなく、前述のように製造業者や製造工場等により異なる。
【0027】
ウエハカセット52には、多段の収納スロットが備えられている。各段の収納スロットには、前述のようにダイシングされたウエハWが搭載され、かつ半導体チップCの情報を保有するバーコードBCが貼り付けられたウエハキャリアWCが1枚ずつ収められている。また、ウエハカセット52には収納スロットの入れ替え機構が備えられている。
【0028】
バッファ装置20には、ウエハキャリアWCを回転させるバッファテーブル21と、バーコードリーダ58が備えられている。バッファテーブル21は、ウエハキャリアWCの外径よりも大きい板状の部材で構成され、ウエハキャリアWCのアライメント動作を行うための図示略の移動機構と回転機構に取り付けられている。また、アライメント動作時にウエハキャリアWCがバッファテーブル21から外れないように、バッファテーブル21にはウエハキャリアWCを固定するための図示略の固定機構が備えられている。バーコードリーダ58は、バッファテーブル21の上方に装着されており、位置は固定されている。
【0029】
XYθテーブル56は、バッファテーブルと同様にウエハキャリアWCの外径よりも大きい板状の部材で構成されている。また、XYθテーブル56は精密移動機構と精密回転機構に取り付けられている。精密移動機構及び精密回転機構は、ウエハWのチップCのリードフレームLFへの実装方向に合わせたウエハキャリアWCのアライメントの微調整を行うためのものである。更に、アライメント動作時及び実装動作時にウエハキャリアWCがXYθテーブル56から外れないように、XYθテーブル56にはウエハキャリアWCを固定するための図示略の固定機構が備えられている。
XYθテーブル56には、画像処理等により、バッファ装置から移されたウエハキャリアWCの向きと、そのウエハキャリアWC上の良品チップCがリードフレームLFに実装される向きとのずれを高精度に検出する図示略の検出部が設けられている。
【0030】
実装機構75には、リードフレームにチップCを実装する実装ヘッド60と、実装ヘッド60を目標位置に移動させる移動機構61,62と、リードフレームLFと、リードフレームLFを搬送する搬送レール70が備えられている。
実装ヘッド60には、ウエハWの良品チップを傷付けずにピックアップするとともにリードフレームLFの上方まで搬送し、リードフレーム上に実装する図示略の真空吸着機構が備えられている。移動機構61,62の稼動範囲は、良品チップCの上方からリードフレームLFの上方までの実装ヘッド60の最大移動距離より大きい。
リードフレームLFはチップ実装機10外で製造される。搬送レール70は、半導体製造の後工程に関わる装置間を連通して設けられている。また、ダイボンダの場合、搬送レール70には、実装ヘッド60のピックアップ動作及び実装動作の速度に合わせてリードフレームLFを搬送する駆動機構が備えられている。チップマウンタの場合、被実装部材であるPCB基板は、入れ替え時のみ搬送され、チップ実装時は固定される。
【0031】
ウエハチェンジャ54には、ウエハカセット52とバッファ装置20との間、及びバッファ装置20とXYθテーブル56との間でウエハキャリアWCを移動させるウエハ保持部が備えられている。
【0032】
続いて、チップ実装機10におけるN枚のウエハWの実装処理手順について説明する。
実装処理が開始されると、ウエハカセット52の入れ替え機構により、最初に実装処理されるウエハW1を載せたウエハキャリアWCが、ウエハカセット52の搬送高さに移動する。また、バッファ装置20がウエハセット位置P1に移動する。ウエハチェンジャ54によって、ウエハW1を載せたウエハキャリアWCはウエハカセット52の搬送位置の収納スロットから引き出され、バッファ装置20のバッファテーブル21に装着される。また、ウエハカセット52の搬送位置には、次に実装処理されるウエハW2を載せたウエハキャリアWCが収められた収容テーブルが設置される。
【0033】
バッファ装置20により、ウエハW1を載せたウエハキャリアWCがバーコード読み取り位置P2に移動すると、ウエハW1に関するバーコードBC1の貼付位置検索が開始される。バーコードBC1がバーコードリーダ58の読み取り位置にセットされるように、ウエハキャリアWCはバッファテーブル21により回転する。バーコードリーダ58によりバーコードBC1に記録された情報が読み取られ、ウエハW1のチップアドレスと各チップの検査結果の情報がチップ実装機10に取得される。バーコードBC1の読み取り時にエラーが発生した場合には、再度読み取りが行われる。ウエハW1に関する情報が取得されると、バッファテーブル21により、リードフレームLFへのウエハW1の良品チップCの実装方向に合わせて、ウエハW1の姿勢が整えられる。
【0034】
ウエハW1を載せたウエハキャリアWCは、ウエハチェンジャ54によりバッファ装置20のバッファテーブル21から取り外され、XYθテーブル56に装着される。XYθテーブル56によって、ウエハW1はピックアップ位置P3に移動する。次いで、XYθテーブル56の検出部により、ウエハW1と実装ヘッド60の移動面とのずれが検知される。ずれが生じている場合は、XYθテーブル56の移動機構及び回転機構により、ずれがなくなるようにウエハW1の姿勢が微調整される。
このとき、ウエハチェンジャ54によって、ウエハW2を載せたウエハキャリアWCがウエハカセット52の収納スロットから引き出され、バッファテーブル21に装着される。
【0035】
ウエハW1の姿勢が整えられると、実装ヘッド60は、バーコードリーダ58から受信した情報を元に、初期位置からウエハW1の良品チップCの上方に移動する。良品チップCは実装ヘッド60により真空吸着でピックアップされ、実装ヘッド60の移動機構61,62により、搬送レール70上のリードフレームLFの上方まで移動し、リードフレームLFに実装される。実装ヘッド60は移動機構61,62により、ウエハW1の次の良品チップCの上方に移動する。実装ヘッ60により、次の良品チップCがピックアップされ、リードフレームLFに実装される。このようなピックアップ・実装動作がウエハW1の良品チップの数だけ繰り返される。
【0036】
ウエハW1のピックアップ・実装動作中に、バッファ装置20でウエハW2に関するバーコードBC2の貼付位置検索が開始される。バーコードBC2がバーコードリーダ58の読み取り位置にセットされるように、ウエハキャリアWCはバッファテーブル21により回転する。バーコードリーダ58により、バーコードBC2が読み取られ、ウエハW2のチップアドレスと各チップの検査結果の情報がチップ実装機10に取得される。バーコードBC2の読み取り時にエラーが発生した場合には、再度読み取りが行われる。ウエハW2に関する情報が取得されると、バッファテーブル21により、リードフレームLFへのウエハW2の良品チップCの実装方向に合わせて、ウエハW2の姿勢が整えられる。
このとき、ウエハW2の後段に実装処理されるウエハW3を載せたウエハキャリアWCが収められた収納スロットがウエハカセット52の搬送高さに設置される。
【0037】
ウエハW1の全ての良品チップのピックアップ・実装作業が終了すると、実装ヘッド60は移動機構61,62により、初期位置に戻る。ウエハW1の不良品チップは、ウエハW1に残される。ウエハW1を載せたウエハキャリアWCは、ウエハチェンジャ54によりXYθテーブル56から取り外され、バッファ装置20に収納される。
このとき、既にウエハW2を載せたウエハキャリアWCはバーコードの読み取りが完了し、ウエハW2の姿勢が整えられている。このウエハキャリアWCは、ウエハチェンジャ54により、バッファテーブル21から取り外され、XYθテーブル56に装着される。
バッファテーブル21にあるウエハW2がウエハカセット52に収納され、ウエハW3を載せたウエハキャリアWCはウエハチェンジャ54により、ウエハカセット52から引き出され、バッファテーブル21に装着される。
【0038】
XYθテーブル56の検出部により、ウエハW2と実装ヘッド60の移動面とのずれが検知され、ウエハW2の姿勢が微調整される。ウエハW2の良品チップCが実装ヘッド60によりピックアップされ、リードフレームLFに実装される。同様のピックアップ・実装動作がウエハW2の良品チップの数だけ繰り返される。
【0039】
ウエハW2のピックアップ・実装動作中に、ウエハW3のバーコードBC3の貼付位置検索、バーコードBC3の読み取り、読み取られた情報が取得される。また、リードフレームLFへのウエハW3の良品チップCの実装方向に合わせて、バッファテーブル21によりウエハW3の姿勢が整えられる。
このとき、ウエハW3の後段に実装処理されるウエハW4を載せたウエハキャリアWCが収められた収納スロットが、ウエハカセット52の搬送高さに設置される。
【0040】
上述のように、チップ実装機10において、N枚のウエハの実装処理が行われる際に、あるウエハWm(mは1〜Nの自然数とする)が
(1)ウエハカセット52の搬送高さに設置される、
(2)バーコードBCmの貼付位置検索が実行されて、バーコードリーダ58によりチップアドレスと各チップの検査結果が読み取られ、その情報が実装ヘッド60に送信された後、リードフレームへのチップの実装方向に合わせて姿勢が整えられる、
(3)実装ヘッド60により、良品チップのみがピックアップされ、リードフレームに実装される、
(4)不良品チップが残存した状態で、ウエハカセット52に収納される、
の手順で処理される。そして、ウエハW(m+1)は、Wmの実行されている上記(1)〜(4)のいずれかの手順の1つ手前の手順が行われる状態になる。
【0041】
すなわち、チップ実装機10にバッファ装置20が設けられることにより、ピックアップ位置P3で行われていた、上記(2)及び(3)の手順のうち、(2)の手順をバッファ装置20で実行することができる。このことにより、実装処理におけるウエハ交換の手順が部分的に並列化され、ウエハ交換にかかる時間を短縮できる。また、XYθテーブル56の回転機構の稼動範囲を、上記(3)の手順においてウエハWmの姿勢の微調整を行う程度にすることができ、XYθテーブル56やチップ実装機10の構成が複雑にならない。
【0042】
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態のチップ実装機11について説明する。
チップ実装機11は、図1のチップ実装機10の構成と同様の構成になっており、バッファ装置20にはアライメント動作が終了したウエハWを搭載するウエハキャリアWCと、実装動作を終了したウエハWを搭載するウエハキャリアWCとを入れ替える入れ替え機構25が設けられている。
【0043】
バッファ装置20の一例を図3に示す。バッファ装置20には、図3に示すように上下2段のバッファテーブル21a,21bと、バッファテーブル21a,21bの高さを変えるために上下に駆動する入れ替え機構25と、バーコードリーダ58が備えられている。上段のバッファテーブル21aは、ウエハカセット52から引き出された実装処理前のウエハキャリアWCを載置するためのものである。また、下段のバッファテーブル21bは、XYθテーブル56から取り外された実装処理後のウエハキャリアWCを載置するためのものである。
【0044】
バッファ装置20におけるウエハキャリアWC交換手順について説明する。なお、図4では、バーコードリーダ58の図示は省略する。
図4の(I)の手順では、バッファ装置20の入れ替え機構25により、バッファテーブル21aの高さが、ウエハカセット52の搬送位置の収納スロット、及びXYθテーブル56の高さに一致している。実装処理の前段(k番目:kは1〜Nの自然数とする)のウエハWkを載せたウエハキャリアWCが、ウエハカセット52の搬送位置の収納スロットからバッファテーブル21aに移動する。ウエハWkを載せたウエハキャリアWCは、バーコードBCkの貼付位置検索、読み取りがなされ、チップCのリードフレームLFへの実装方向に合わせてアライメントされる。このとき、実装処理の後段のウエハW(k+1)を載せたウエハキャリアWCは、XYθテーブル56に装着される。装着後、ウエハW(k+1)の良品チップCのピックアップ・実装動作が行われる。
【0045】
ウエハW(k+1)の全ての良品チップCの実装処理が終了すると、図4の(II)の手順が開始される。(II)の手順では、バッファ装置20の入れ替え機構25により、バッファテーブル21a,21bが上昇し、バッファテーブル21bの高さが、ウエハカセット52の搬送位置及びXYθテーブル56の高さに一致する。ウエハW(k+1)を載せたウエハキャリアWCが、XYθテーブル56からバッファテーブル21bに移動し(図4(i))、バッファテーブル21bからウエハカセット52の搬送位置の収納スロットに移動する(図4(ii))。
【0046】
図4の(III)の手順では、バッファ装置の入れ替え機構25により、バッファテーブル21a,21bが下降し、バッファテーブル21aの高さが、再びウエハカセット52の搬送位置の収納スロット及びXYθテーブル56の高さに一致する。ウエハW(k+1)を載せたウエハキャリアWCは、バッファテーブル21aから、XYθテーブル56に装着される。
【0047】
以上のウエハキャリアWC交換手順において、バッファ装置に備えられた入れ替え機構により、実装処理の前段のウエハと後段のウエハを、バッファ装置及びXYθテーブルの移動範囲を最小限にして簡単に行うことができる。また、ウエハ交換における無駄をなくすことができる。
【0048】
なお、(II)の手順における移動(i),(ii)は非連続で行ってもよい。その場合は、(II)の手順で移動(i)を行い、W(k+1)を載せたウエハキャリアWCをバッファテーブル21b上に保持し、(III)の手順の終了後に(IV)の手順として、移動(ii)を行うことが好ましい。
【0049】
なおまた、バッファ装置20は、複数のウエハキャリアWCを着脱可能な円盤状のバッファテーブル21が備えられたものでもよい。この場合は、入れ替え機構25は回転方向に駆動し、バッファテーブル21が回転し、ウエハキャリアWC(k),WC(k+1)の交換が行われる。別の例として、バッファ装置20は、複数のウエハキャリアWCを装着可能な長方形のバッファテーブルが備えられたものでもよい。この場合は、入れ替え機構25は水平方向に駆動し、バッファテーブル21がスライドされ、ウエハキャリアWC(k),WC(k+1)の交換が行われる。
すなわち、バッファ装置20は任意の段数のバッファテーブルを任意位置に移動させ得る機構を有していれば良い。
【0050】
(第3の実施形態)
続いて、本発明の第4の実施形態の複合チップ実装機31について説明する。なお、図5に示す複合チップ実装機31の構成要素において、図1に示す構成要素と同一の構成要素には、図1と同一の符号を付してその説明を省略する。
複合チップ実装機31には、図5に示すように、2台の第1実施形態のチップ実装機10a,10bが対向かつ当接して設けられている。また、図5の前面のチップ実装機10aのウエハカセットは除去されている。その代わりに、複合チップ実装機31には、ウエハカセット52から引き出されたウエハカセットWCをバッファ装置20a,20bに交互に配するウエハキャリアWC搬送レール73が備えられている。
なお、チップ実装機31には、2台の第2実施形態のチップ実装機11a,11bが対向かつ当接して設けられていてもよい。
【0051】
複合チップ実装機31のウエハカセット52に収納されているN枚のウエハW1〜WNを載せたウエハキャリアWCは、実装処理される順にウエハカセット52から取り出される。N枚のウエハカセットWCは、搬送レール73により、前面側のバッファ20aと、背面側のバッファ20bとに交互に配される。前面側のバッファ20a及び背面側のバッファ20bに装着されたウエハW1,W2を載せたウエハキャリアWCはそれぞれ、チップ実装機10と同様に実装処理される。
さらに、ウエハW3,W4にはウエハW1,W2の実行されている実装処理手順の1つ手前の手順が実行される。以後同様にして、N枚のウエハW1〜WNの実装処理が行われる。
【0052】
複合チップ実装機31は、基本的に同種類のウエハWの実装処理を行い、単体のチップ実装機10a,10bのそれぞれの半導体生産速度の略2倍の半導体生産速度を有する。例えば、単体のチップ実装機10a,10bの半導体生産速度が5,000unit/hourであれば、複合チップ実装機31の半導体生産速度は10,000unit/hourとなる。
また、図5に示すように、ウエハカセット52が1つだけ設けられている複合チップ実装機31は、ウエハカセット52から取り出されるウエハWの向きが同一である場合が多い。しかしながら、チップ実装機10a,10bは対向しているため、ウエハキャリアWCに載置されているウエハWのチップCのリードフレームLFへの実装方向は互いに反対向きになる。XYθテーブル56a,56bにそれぞれ装着される2枚のウエハWのうちのいずれか1枚のウエハWは、搬送レール73から搬送された後に回転させる必要がある。このような場合でも、チップ実装機31にバッファ20a,20bが備えられていることにより、XYθテーブル56a,56bのそれぞれにウエハキャリアWCが装着される前に、ウエハWを回転させ、姿勢を整えることができる。
【0053】
上述のように、ウエハW上の良品チップのピックアップ・実装動作が並列で行われ、複数のXYθテーブルにウエハWを供給する複合チップ実装機においても、本発明のバッファ装置の設置は、ウエハ交換の時間短縮と複合チップ実装機の稼動効率の向上のために有効である。
【符号の説明】
【0054】
10,10a,10b…チップ実装機、20,20a,20b…バッファ装置、52,52a,52b…ウエハカセット、54,54a,54b…ウエハチェンジャ、56,56a,56b…XYθテーブル、58,58a,58b…バーコードリーダ、60,60a,60b…実装ヘッド、70,70a,70b,73…搬送レール、W…ウエハ、WC…ウエハキャリア、C…チップ、LF…リードフレーム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の半導体チップが備えられた半導体ウエハから、前記半導体チップを被実装部材に実装する半導体製造装置において、
前記半導体製造装置の装置本体に着脱自在なウエハカセットと、
前記ウエハカセットに収納可能であって、前記ウエハが搭載され、かつ前記半導体チップの情報を保有するバーコードが貼り付けられたウエハキャリアと、
前記ウエハキャリアを載置可能で回転可能なバッファテーブルとバーコードリーダとを備え、かつ前記バーコードリーダに前記ウエハキャリアのバーコードの読み取り動作を行わせた後に、前記ウエハキャリアの向きを前記被実装部材への実装動作のための向きに合わせるアライメント動作を行うバッファ装置と、
前記バッファ装置と半導体チップのピックアップ位置との間で前記ウエハキャリアを搬送するXYθテーブルと、
前記被実装部材に半導体チップを実装する実装機構とが備えられていることを特徴とする半導体製造装置。
【請求項2】
前記バッファ装置には、前記アライメント動作が終了したウエハを搭載するウエハキャリアと、前記実装動作を終了したウエハを搭載するウエハキャリアとを入れ替える入れ替え機構が備えられていることを特徴とする請求項1に記載の半導体製造装置。
【請求項3】
請求項1に記載の半導体製造装置において、前記半導体ウエハの前記半導体チップの実装動作が行われる前に、前記バッファ装置により、そのウエハを搭載している前記ウエハキャリアのバーコードの読み取り動作を行い、前記ウエハキャリアの向きを前記被実装部材への実装動作のための向きに合わせるアライメント動作を行うことを特徴とする半導体製造方法。
【請求項4】
請求項2に記載の半導体製造装置において、前記バッファ装置の前記入れ替え機構により、前記アライメント動作が終了したウエハを搭載するウエハキャリアと前記実装動作を終了したウエハを搭載するウエハキャリアとを入れ替えることを特徴とする半導体製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−26501(P2013−26501A)
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−160984(P2011−160984)
【出願日】平成23年7月22日(2011.7.22)
【出願人】(500548884)三星テクウィン株式会社 (156)
【氏名又は名称原語表記】Samsung Techwin Co., Ltd
【住所又は居所原語表記】28 Sungju−dong,Changwon−city,Kyongsangnam−do,Republic of Korea
【Fターム(参考)】