説明

半導体製造装置

【課題】半導体製造装置間でのデータのコピー、移動に使用される可搬性の記憶媒体で、信頼性の低い記憶媒体であっても、コピー、移動が高精度に実行できる様にした半導体製造装置を提供する。
【解決手段】処理実行用データの第1格納手段43と一時的に格納する第2格納手段間45でデータの移動を制御する制御手段42を具備し、前記第1格納手段43からコピー元ファイルをテンポラリフォルダに1時ファイルとしてコピーし、前記コピー元ファイルを前記第2格納手段45のコピー先フォルダにコピー先ファイルとしてコピーし、前記1時ファイル及び前記コピー先ファイルを所定バイト単位で各々比較し、差異があればファイル異常として前記第2格納手段45の前記コピー先ファイル及び前記テンポラリフォルダの前記1時ファイルを削除し、ファイル全ての比較で差異がない場合は、前記テンポラリフォルダの前記1時ファイルを削除する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は半導体装置を製造する1工程であり、シリコンウェーハ、ガラス基板等の基板に薄膜の生成、不純物の拡散、アニール処理、エッチング等の基板処理を行い半導体装置を製造する半導体製造装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
半導体製造装置は、基板を処理する処理炉、処理基板を搬送する搬送機構、前記処理炉に処理ガス等を供給するガス供給機構、前記処理炉内を排気するガス排気機構、前記処理炉のヒータを駆動し、前記処理炉の温度を所定温度に加熱するヒータ駆動部、及び前記処理炉、前記搬送機構、前記ガス供給機構、前記ガス排気機構、前記ヒータ駆動部をそれぞれ制御対象とし、各該制御対象に対応して設けられるサブコントローラ、これら該サブコントローラを統括して制御するメインコントローラ等から構成される。
【0003】
又、前記メインコントローラは各前記制御対象を作動させる為のシーケンスプログラム、及び前記基板の処理条件を設定するレシピ等のプロセス実行プログラム、更に、前記搬送機構のモータ、シリンダ、駆動軸の状態、前記ガス供給機構のバルブ、ガス流量の状態、ヒータの加熱温度の状態、前記処理炉内の温度、圧力の状態をモニタ表示するプログラムを具備し、これらプログラムに基づいて前記サブコントローラを介して前記制御対象を駆動制御して基板製造のプロセスを実行している。
【0004】
又、前記メインコントローラは、基板処理、搬送制御等を実行する為に必要なパラメータを編集するヒューマンインタフェースの役割を奏する操作プログラムを具備している。
【0005】
尚、半導体製造装置の内、基板に同一の膜種を処理する半導体製造装置では、同一のパラメータが使用でき、編集の作業能率を向上させる為、1つの半導体製造装置でパラメータの設定が完了すると、他の半導体製造装置に対しては、操作プログラムを使用してパラメータのコピー、移動を実行することがある。
【0006】
装置間のパラメータのコピーは、設定が完了した半導体製造装置に於いて、可搬性の記憶媒体にパラメータに関するデータをコピーし、前記記憶媒体をコピー元の半導体製造装置から取外し、コピー先の半導体製造装置に装着して、前記記憶媒体からコピー先のメインコントローラにコピーしていた。
【0007】
装置間のパラメータのコピー、移動では、記憶媒体の書込みと、記憶媒体からの読取りでエラーのないことが要求される。
【0008】
従来、記憶媒体としてはFDが用いられていたが、近年ではデータ量が増加し、コピーデータ量はFDの容量を超える様になっている。この為、大容量の記憶容量を有する記憶媒体が必要となっており、大容量の記憶容量を有する記憶媒体の1つとしてUSBインタフェースを使用するUSBフラッシュメモリがある。
【0009】
USBフラッシュメモリは、小型で取扱いが容易で、而も安価で、読み書き速度が大きいという特徴があり、可搬性の記憶媒体としては、簡便で有用性が大きい。ところが、USBフラッシュメモリは、データの読み書きの信頼性の点で問題があり、データ化けやデータの欠落が生じる虞れがある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は斯かる実情に鑑み、半導体製造装置間でのデータのコピー、移動に使用される可搬性の記憶媒体で、信頼性の低い記憶媒体であっても、コピー、移動が高精度に実行できる様にした半導体製造装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、基板処理を実行する為に必要なデータを格納する第1格納手段と、前記データを他の半導体製造装置に移動する際に一時的に格納する第2格納手段と、前記第1格納手段と前記第2格納手段間でデータの移動を制御する制御手段を具備し、該制御手段は前記第1格納手段から前記第2格納手段に前記データをコピーする際に前記第1格納手段からコピー元ファイルをテンポラリフォルダに1時ファイルとしてコピーし、前記コピー元ファイルを前記第2格納手段のコピー先フォルダにコピー先ファイルとしてコピーし、前記1時ファイル及び前記コピー先ファイルを所定バイト単位で各々比較し、差異があればファイル異常として前記第2格納手段の前記コピー先ファイル及び前記テンポラリフォルダの前記1時ファイルを削除し、ファイル全ての比較で差異がない場合は、前記テンポラリフォルダの前記1時ファイルを削除する半導体製造装置に係るものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、基板処理を実行する為に必要なデータを格納する第1格納手段と、前記データを他の半導体製造装置に移動する際に一時的に格納する第2格納手段と、前記第1格納手段と前記第2格納手段間でデータの移動を制御する制御手段を具備し、該制御手段は前記第1格納手段から前記第2格納手段に前記データをコピーする際に前記第1格納手段からコピー元ファイルをテンポラリフォルダに1時ファイルとしてコピーし、前記コピー元ファイルを前記第2格納手段のコピー先フォルダにコピー先ファイルとしてコピーし、前記1時ファイル及び前記コピー先ファイルを所定バイト単位で各々比較し、差異があればファイル異常として前記第2格納手段の前記コピー先ファイル及び前記テンポラリフォルダの前記1時ファイルを削除し、ファイル全ての比較で差異がない場合は、前記テンポラリフォルダの前記1時ファイルを削除するので、コピーデータの信頼性が向上し、前記第2格納手段自体の信頼性に問題がある場合も、異常ファイルをコピーすることがなくなり、前記第2格納手段として種々の又安価な記憶媒体の採用が可能となる等の優れた効果を発揮する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、図面を参照しつつ本発明を実施する為の最良の形態を説明する。
【0014】
先ず、本発明が実施される半導体製造装置について図1、図2により説明する。
【0015】
図1、図2は半導体製造装置の一例として縦型の半導体製造装置を示している。尚、該半導体製造装置に於いて処理される基板は、一例としてシリコン等から成るウェーハが示されている。
【0016】
半導体製造装置1は筐体2を備え、該筐体2の正面壁3の下部にはメンテナンス可能な様に設けられた開口部としての正面メンテナンス口4が開設され、該正面メンテナンス口4は正面メンテナンス扉5によって開閉される。
【0017】
前記筐体2の前記正面壁3にはポッド搬入搬出口6が前記筐体2の内外を連通する様に開設されており、前記ポッド搬入搬出口6はフロントシャッタ(搬入搬出口開閉機構)7によって開閉され、前記ポッド搬入搬出口6の正面前方側にはロードポート(基板搬送容器受渡し台)8が設置されており、該ロードポート8は載置されたポッド9を位置合せする様に構成されている。
【0018】
該ポッド9は、密閉式の基板搬送容器であり、図示しない工程内搬送装置によって前記ロードポート8上に搬入され、又、該ロードポート8上から搬出される様になっている。
【0019】
前記筐体2内の前後方向の略中央部に於ける上部には、回転式ポッド棚(基板搬送容器格納棚)11が設置されており、該回転式ポッド棚11は複数個のポッド9を格納する様に構成されている。
【0020】
前記回転式ポッド棚11は垂直に立設されて間欠回転される支柱12と、該支柱12に上中下段の各位置に於いて放射状に支持された複数段の棚板(基板搬送容器載置棚)13とを備えており、該棚板13は前記ポッド9を複数個宛載置した状態で格納する様に構成されている。
【0021】
前記回転式ポッド棚11の下方には、ポッドオープナ(基板搬送容器蓋体開閉機構)14が設けられ、該ポッドオープナ14は前記ポッド9を載置し、又該ポッド9の蓋を開閉可能な構成を有している。
【0022】
前記ロードポート8と前記回転式ポッド棚11、前記ポッドオープナ14との間には、ポッド搬送装置(容器搬送装置)15が設置されており、該ポッド搬送装置15は、前記ポッド9を保持して昇降可能、水平方向に進退可能となっており、前記ロードポート8、前記回転式ポッド棚11、前記ポッドオープナ14との間で前記ポッド9を搬送する様に構成されている。
【0023】
前記筐体2内の前後方向の略中央部に於ける下部には、サブ筐体16が後端に亘って設けられている。該サブ筐体16の正面壁17にはウェーハ(基板)18を前記サブ筐体16内に対して搬入搬出する為のウェーハ搬入搬出口(基板搬入搬出口)19が一対、垂直方向に上下2段に並べられて開設されており、上下段のウェーハ搬入搬出口19,19に対して前記ポッドオープナ14がそれぞれ設けられている。
【0024】
該ポッドオープナ14は前記ポッド9を載置する載置台21と、前記ポッド9の蓋を開閉する開閉機構22とを備えている。前記ポッドオープナ14は前記載置台21に載置された前記ポッド9の蓋を前記開閉機構22によって開閉することにより、前記ポッド9のウェーハ出入口を開閉する様に構成されている。
【0025】
前記サブ筐体16は前記ポッド搬送装置15や前記回転式ポッド棚11が配設されている空間(ポッド搬送空間)から気密となっている移載室23を構成している。該移載室23の前側領域にはウェーハ移載機構(基板移載機構)24が設置されており、該ウェーハ移載機構24は、ウェーハを載置する所要枚数(図示では5枚)のウェーハ載置プレート25を具備し、該ウェーハ載置プレート25は水平方向に直動可能、水平方向に回転可能、又昇降可能となっている。前記ウェーハ移載機構24はボート(基板保持具)26に対してウェーハ18を装填及び払出しする様に構成されている。
【0026】
前記移載室23の後側領域には、前記ボート26を収容して待機させる待機部27が構成され、該待機部27の上方には縦型の処理炉28が設けられている。該処理炉28は内部に処理室30を形成し、該処理室30の下端部は、炉口部となっており、該炉口部は炉口シャッタ(炉口開閉機構)29により開閉される様になっている。
【0027】
前記筐体2の右側端部と前記サブ筐体16の前記待機部27の右側端部との間には前記ボート26を昇降させる為のボートエレベータ(基板保持具昇降機構)31が設置されている。該ボートエレベータ31の昇降台に連結されたアーム32には蓋体としてのシールキャップ33が水平に取付けられており、該シールキャップ33は前記ボート26を垂直に支持し、該ボート26を前記処理室30に装入した状態で、前記炉口部を気密に閉塞可能となっている。
【0028】
前記ボート26は、複数枚(例えば、50枚〜125枚程度)のウェーハ18を、その中心を揃えて水平姿勢で多段に保持する様に構成されている。
【0029】
前記ボートエレベータ31側と対向した位置にはクリーンユニット34が配設され、該クリーンユニット34は、清浄化した雰囲気若しくは不活性ガスであるクリーンエア35を供給する様供給ファン及び防塵フィルタで構成されている。前記ウェーハ移載機構24と前記クリーンユニット34との間には、ウェーハの円周方向の位置を整合させる基板整合装置としてのノッチ合せ装置(図示せず)が設置されている。
【0030】
前記クリーンユニット34から吹出されたクリーンエア35は、ノッチ合せ装置(図示せず)及び前記ウェーハ移載機構24、前記ボート26に流通された後に、図示しないダクトにより吸込まれて、前記筐体2の外部に排気がなされるか、若しくは前記クリーンユニット34の吸込み側である一次側(供給側)に迄循環され、再び該クリーンユニット34によって、前記移載室23内に吹出される様に構成されている。
【0031】
前記半導体製造装置1の作動について説明する。
【0032】
前記ポッド9が前記ロードポート8に供給されると、前記ポッド搬入搬出口6が前記フロントシャッタ7によって開放される。前記ロードポート8上の前記ポッド9は前記ポッド搬送装置15によって前記筐体2の内部へ前記ポッド搬入搬出口6を通して搬入され、前記回転式ポッド棚11の指定された前記棚板13へ載置される。前記ポッド9は前記回転式ポッド棚11で一時的に保管された後、前記ポッド搬送装置15により前記棚板13からいずれか一方のポッドオープナ14に搬送されて前記載置台21に移載されるか、若しくは前記ロードポート8から直接前記載置台21に移載される。
【0033】
この際、前記ウェーハ搬入搬出口19は前記開閉機構22によって閉じられており、前記移載室23には前記クリーンエア35が流通され、充満している。例えば、前記移載室23には前記クリーンエア35として窒素ガスが充満することにより、酸素濃度が20ppm以下と、前記筐体2の内部(大気雰囲気)の酸素濃度よりも遥かに低く設定されている。
【0034】
前記載置台21に載置された前記ポッド9はその開口側端面が前記サブ筐体16の前記正面壁17に於ける前記ウェーハ搬入搬出口19の開口縁辺部に押付けられると共に、蓋が前記開閉機構22によって取外され、ウェーハ出入口が開放される。
【0035】
前記ポッド9が前記ポッドオープナ14によって開放されると、ウェーハ18は前記ポッド9から前記ウェーハ移載機構24によって取出され、ノッチ合せ装置(図示せず)に移送され、該ノッチ合せ装置にてウェーハ18を整合した後、前記ウェーハ移載機構24はウェーハ18を前記移載室23の後方にある前記待機部27へ搬入し、前記ボート26に装填(チャージング)する。
【0036】
該ボート26にウェーハ18を受渡した前記ウェーハ移載機構24は前記ポッド9に戻り、次のウェーハ18を前記ボート26に装填する。
【0037】
一方(上段又は下段)のポッドオープナ14に於ける前記ウェーハ移載機構24によるウェーハ18の前記ボート26への装填作業中に、他方(下段又は上段)のポッドオープナ14には前記回転式ポッド棚11から別のポッド9が前記ポッド搬送装置15によって搬送されて移載され、前記他方のポッドオープナ14によるポッド9の開放作業が同時進行される。
【0038】
予め指定された枚数のウェーハ18が前記ボート26に装填されると、前記炉口シャッタ29によって閉じられていた前記処理炉28の炉口部が、前記炉口シャッタ29によって開放される。続いて、前記ボート26は前記ボートエレベータ31によって上昇され、前記処理室30に搬入(ローディング)される。
【0039】
ローディング後は、前記シールキャップ33によって炉口部が気密に閉塞される。
【0040】
前記処理室30が所望の圧力(真空度)となる様にガス排気機構(図示せず)によって真空排気される。又、前記処理室30が所望の温度分布となる様にヒータ駆動部(図示せず)によって所定温度に加熱される。
【0041】
又、ガス供給機構(図示せず)により、所定の流量に制御された処理ガスが供給され、処理ガスが前記処理室30を流通する過程で、ウェーハ18の表面と接触し、この際に熱CVD反応によってウェーハ18の表面上に薄膜が成膜される。更に、反応後の処理ガスは、前記ガス排気機構により前記処理室30から排気される。
【0042】
予め設定された処理時間が経過すると、前記ガス供給機構により不活性ガス供給源(図示せず)から不活性ガスが供給され、前記処理室30が不活性ガスに置換されると共に、前記処理室30の圧力が常圧に復帰される。
【0043】
前記ボートエレベータ31により前記シールキャップ33を介して前記ボート26が降下される。
【0044】
処理後の処理済みウェーハ18の搬出については、上記説明と逆の手順で、ウェーハ18及びポッド9は前記筐体2の外部へ払出される。未処理のウェーハ18が、更に前記ボート26に装填され、ウェーハ18のバッチ処理が繰返される。
【0045】
前記処理炉28、基板を搬送する搬送機構、前記処理炉28に処理ガス等を供給するガス供給機構、前記処理炉28内を排気するガス排気機構、前記処理炉28を所定温度に加熱するヒータ駆動部、及び前記処理炉28、前記搬送機構、前記ガス供給機構、前記ガス排気機構、前記ヒータ駆動部をそれぞれ制御する制御装置38について、図3を参照して説明する。
【0046】
図3中、40はプロセス制御部、41は搬送制御部、42は制御装置を示しており、前記プロセス制御部40は記憶部48を具備し、該記憶部48にはプロセスを実行する為に必要なプロセス実行プログラムが格納され、前記搬送制御部41は記憶部49を具備し、該記憶部49にはウェーハの搬送を実行する為の搬送プログラムが格納され、前記制御装置42は第1データ格納手段43を具備し、該第1データ格納手段43は、例えばHDD等の外部記憶装置から成る。
【0047】
又、44はリード/ライト装置、45はUSBフラッシュメモリ、メモリカード、MOディスク等可搬可能な記録媒体である第2データ格納手段、46はキーボード、操作パネル等の操作部、47はモニタを示す。尚、前記第2データ格納手段45としては、半導体製造装置が具備するインタフェース、取扱い性の点から、USBフラッシュメモリを使用することが好ましい。又、前記リード/ライト装置44は、半導体製造装置が具備するインタフェースを利用するものであってもよい。
【0048】
又、51,52,53はサブコントローラを例示しており、例えば51は処理炉の加熱制御を行う第1サブコントローラ、52はバルブの開閉、流量制御器等の作動を制御して前記処理炉28への処理ガスの供給流量を制御する第2サブコントローラ、53は前記処理炉28からのガスの排気を制御し、或は前記処理炉28の圧力制御する第3サブコントローラを示している。又、54,55,56はアクチュエータを例示しており、例えば54は前記第1サブコントローラ51によって制御されるヒータ(以下第1アクチュエータ54)であり、55は前記第2サブコントローラ52によって制御される流量制御器(以下第2アクチュエータ55)であり、56は前記第3サブコントローラ53によって制御される圧力制御バルブ(以下第3アクチュエータ56)である。
【0049】
又、57,58,59は前記アクチュエータの状態を検出して、検出結果を前記第1サブコントローラ51、前記第2サブコントローラ52、前記第3サブコントローラ53にフィードバックするセンサを例示しており、例えば57は温度検出器(以下第1センサ)、58は流量検出器(以下第2センサ)、59は圧力センサ(以下第3センサ)である。
【0050】
前記第1サブコントローラ51、前記第2サブコントローラ52、前記第3サブコントローラ53には前記プロセス制御部40から設定値の指示、或は処理シーケンスに従った指令信号が入力され、前記プロセス制御部40は前記第1センサ57、前記第2センサ58、前記第3センサ59が検出した検出結果を基に、前記第1サブコントローラ51、前記第2サブコントローラ52、前記第3サブコントローラ53を統括して制御する。
【0051】
又、前記プロセス制御部40は前記制御装置42からの指令により、基板処理を実行し、又基板処理の実行は前記プロセス制御部40が、前記記憶部48に格納されたプログラムに従って、他の制御系とは独立して実行する。従って、前記搬送制御部41、前記制御装置42に問題が発生しても、基板処理は中断されることなく、完遂される。
【0052】
前記搬送制御部41は、前記制御装置42からの指令によって前記ポッド搬送装置15、前記ウェーハ移載機構24、前記ボートエレベータ31を駆動して、ウェーハの搬送を実行する。ウェーハの搬送は、前記記憶部49に格納された搬送プログラムによって他の制御系とは独立して実行する。従って、前記プロセス制御部40、前記制御装置42に問題が発生しても、ウェーハの搬送は中断されることなく、完遂される。
【0053】
前記第1データ格納手段43には、基板処理進行を統括するプログラム、処理内容、処理条件を設定する為の設定プログラム、基板処理の為のレシピ、前記プロセス制御部40、前記搬送制御部41とLAN等の通信手段を介してデータの送受信を行う通信プログラム、前記第1アクチュエータ54、前記第2アクチュエータ55、前記第3アクチュエータ56の状態を前記モニタ47に表示する為のプログラム、又前記第1アクチュエータ54、前記第2アクチュエータ55、前記第3アクチュエータ56を駆動制御する為に必要なパラメータの編集を行う操作プログラム61等の各種プログラムが格納されている。又、該操作プログラム61は、パラメータ編集プログラムの1つであるコピー処理プログラム62を具備している。
【0054】
該コピー処理プログラム62、前記制御装置42は、前記第1データ格納手段43、前記第2データ格納手段45間でのデータの移動を制御する制御手段を構成する。
【0055】
前記第1データ格納手段43はデータ格納領域63を具備し、該データ格納領域63には基板処理に必要とされるパラメータが格納され、又前記第1センサ57、前記第2センサ58、前記第3センサ59の設定値、検出結果、処理の状態等の情報が経時的に格納される。
【0056】
前記操作部46より、基板に生成する膜種、ガス種、処理温度、処理圧、処理枚数、基板の搬送条件等、基板の処理条件が入力され、前記操作プログラム61によってパラメータの編集が行われる。
【0057】
編集されたパラメータ(以下編集済パラメータ)は、前記データ格納領域に格納される。同一膜種の装置では同じパラメータとなるので、半導体製造装置が複数ある場合は、編集済パラメータをコピー又は移動させ、各半導体製造装置での入力、編集作業を省略する。
【0058】
前記第2データ格納手段45を前記リード/ライト装置44に実装し、前記コピー処理プログラム62を起動して、前記データ格納領域63に格納された編集済パラメータを前記第2データ格納手段45にコピーし、該第2データ格納手段45に編集済パラメータを格納する。
【0059】
該第2データ格納手段45を前記リード/ライト装置44から取外して、他の半導体製造装置のリード/ライト装置44に実装し、他の半導体製造装置のコピー処理プログラム62を起動し、前記第2データ格納手段45の編集済パラメータを他の半導体製造装置の第1データ格納手段43にコピー又は移動する。
【0060】
前記コピー処理プログラム62は、前記データ格納領域63から前記第2データ格納手段45にデータをコピー又は移動する際、又前記第2データ格納手段45から前記データ格納領域63にデータをコピー又は移動する際にエラーが発生したかどうかを監視する機能を具備しており、エラーが発生した場合は、エラーの状態を前記モニタ47に表示する様になっている。
【0061】
以下、前記コピー処理プログラム62によるデータのコピー、移動について、図4〜図7を参照して説明する。
【0062】
先ず、図4に於いて、前記第2データ格納手段(例えば、USBフラッシュメモリ)45から前記第1データ格納手段(例えばHDD)43にデータ(編集済パラメータ)をコピーする場合を説明する。
【0063】
前記第2データ格納手段45を前記リード/ライト装置44に実装し、前記コピー処理プログラム62を起動し、コピー処理を開始する。
【0064】
STEP:01 前記第2データ格納手段45のコピー元ファイルを、前記第1データ格納手段43のテンポラリフォルダに1時ファイルとしてコピーする。
【0065】
STEP:02、STEP:03 前記第2データ格納手段45の前記コピー元ファイル及び前記テンポラリフォルダにコピーされた前記1時ファイルを4Kバイト単位でファイルリードし、作業用メモリに展開する。尚、前記作業用メモリは、前記制御装置42が具備するCPUに内蔵されたメモリ、或は前記CPUに付属して実装される半導体メモリのいずれであってもよい。
【0066】
STEP:04 前記作業用メモリに展開された各々のデータを比較し、差異があるかどうかをチェックする。差異がなければSTEP:05に進み、差異があればSTEP:08に進む。
【0067】
STEP:05 更に、ファイル全てのデータを、4Kバイト単位で比較し、前記コピー元ファイルと前記1時ファイルとの間で差異があるかどうかをチェックする。差異がある場合は、STEP:02に戻り、STEP:02、STEP:03、STEP:04が実行される。
【0068】
STEP:06 ファイル全てで、前記コピー元ファイルと前記1時ファイルとの間で差異がなければ、前記テンポラリフォルダの前記1時ファイルを前記第1データ格納手段43のコピー先フォルダにコピーする。
【0069】
STEP:07 テンポラリフォルダの1時ファイルを削除して、コピー処理が完了する。
【0070】
STEP:08 STEP:04で差異があれば、ファイル異常として前記モニタ47にエラー表示を行い、前記1時ファイルを除去してコピー処理を終了する。
【0071】
尚、データのチェックを4Kバイト単位で行っているのは、半導体製造装置の制御システムが保有しているファイルが「4Kバイト」程度のものが大半であり、4Kバイト単位で処理した場合、一度のアクセスでファイルチェックが完了するという処理効率上からの理由による。又、チェックの単位は、4Kバイトに限られるものではなく、ファイルの大きさに応じて多くしてもよく、或は更に分割した単位でチェックを実行してもよい。
【0072】
図5に於いて、前記第1データ格納手段(例えばHDD)43から前記第2データ格納手段(例えば、USBフラッシュメモリ)45にデータ(編集済パラメータ)をコピーする場合を説明する。
【0073】
STEP:11 前記コピー処理プログラム62が起動され、前記第1データ格納手段43のデータが、該第1データ格納手段43内のテンポラリフォルダに1時ファイルとしてコピーされる。
【0074】
STEP:12 前記第1データ格納手段43からコピー元ファイルが前記第2データ格納手段45のコピー先フォルダにコピーされる。
【0075】
STEP:13、STEP:14 前記テンポラリフォルダにコピーされた前記1時ファイル及び前記第2データ格納手段45にコピーされたコピー先ファイルが4Kバイト単位でファイルリードし、作業用メモリに展開する。
【0076】
STEP:15 前記作業用メモリに展開された各々のデータを比較し、差異があるかどうかをチェックする。差異がない場合は、STEP:16に進み、差異がある場合は、STEP:18に進む。
【0077】
STEP:16 ファイル全てのデータを、4Kバイト単位で比較し、前記コピー先ファイルと前記1時ファイルとの間で差異があるかどうかがチェックされる。
【0078】
STEP:17 ファイル全てのデータに差異がない場合、前記テンポラリフォルダの前記1時ファイルを削除して、コピー処理を終了する。差異がある場合は、STEP:13に戻り、STEP:13、STEP:14、STEP:15が実行される。
【0079】
STEP:18 STEP:15で作業用メモリに展開された各々のデータを比較し、前記コピー先ファイルと前記1時ファイルとの間で差異があった場合、ファイル異常として前記モニタ47にエラー表示を行う。
【0080】
STEP:19 前記第2データ格納手段45の前記コピー先ファイルを削除、前記第1データ格納手段43の前記テンポラリフォルダの前記1時ファイルを削除し、コピー処理を終了する。
【0081】
図6に於いて、前記第2データ格納手段(USBフラッシュメモリ)45から前記第1データ格納手段(HDD)43にデータ(編集済パラメータ)を移動する場合を説明する。
【0082】
前記第2データ格納手段45から前記第1データ格納手段43へのデータ(編集済パラメータ)の移動は、前記第2データ格納手段45から前記第1データ格納手段43へデータをコピーする場合と略同様であり、データ移動の場合は、編集済パラメータを前記第1データ格納手段43にコピーした後、移動元(第2データ格納手段45)のファイルを削除する工程(STEP:27)が追加される。
【0083】
前記第2データ格納手段45を前記リード/ライト装置44に実装し、前記コピー処理プログラム62を起動し、コピー処理を開始する。
【0084】
STEP:21 前記第2データ格納手段45の移動元ファイルを、前記第1データ格納手段43の前記テンポラリフォルダに1時ファイルとしてコピーする。
【0085】
STEP:22、STEP:23 前記第2データ格納手段45の前記移動元ファイル及び前記テンポラリフォルダにコピーされた前記1時ファイルを4Kバイト単位でファイルリードし、4Kバイトの作業用メモリに展開する。
【0086】
STEP:24 前記作業用メモリに展開された各々のデータを比較し、差異があるかどうかをチェックする。差異がない場合は、STEP:25に進み、差異がある場合は、STEP:29に進む。
【0087】
STEP:25 ファイル全てのデータを、4Kバイト単位で比較し、前記移動元ファイルと前記1時ファイルとの間で差異があるかどうかをチェックする。差異がある場合は、STEP:22に戻り、STEP:22、STEP:23、STEP:24が実行される。
【0088】
STEP:26 前記移動元ファイルと前記1時ファイルとの間で差異がなければ、前記テンポラリフォルダの前記1時ファイルを前記第1データ格納手段43の移動先フォルダに移動する。
【0089】
STEP:27 移動が完了すると前記第2データ格納手段45の前記移動元ファイルを削除して、移動処理を終了する。
【0090】
STEP:28 STEP:25で前記移動元ファイルと前記1時ファイルとの間で差異があれば、ファイル異常として前記モニタ47にエラー表示を行い、前記テンポラリフォルダにコピーされた前記1時ファイルを削除してコピー処理を終了する。
【0091】
図7は、前記第1データ格納手段(HDD)43から前記第2データ格納手段(USBフラッシュメモリ)45にデータ(編集済パラメータ)を移動する場合を示している。
【0092】
STEP:31 前記コピー処理プログラム62が起動され、前記第1データ格納手段43の移動元データが、該第1データ格納手段43内の前記テンポラリフォルダに1時ファイルとしてコピーされる。
【0093】
STEP:32 前記第1データ格納手段43から移動元ファイルが前記第2データ格納手段45の移動先フォルダに移動される。
【0094】
STEP:33、STEP:34 前記テンポラリフォルダにコピーされた前記1時ファイル及び前記第2データ格納手段45に移動された移動先ファイルが4Kバイト単位でファイルリードされ、作業用メモリに展開する。
【0095】
STEP:35 作業用メモリに展開された各々のデータを比較し、差異があるかどうかをチェックする。
【0096】
STEP:36 ファイル全てのデータを、4Kバイト単位で比較し、前記移動先ファイルと前記1時ファイルとの間で差異があるかどうかをチェックする。
【0097】
STEP:37 ファイル全てのデータに差異がない場合、前記テンポラリフォルダの前記1時ファイルを削除して、移動処理を終了する。
【0098】
STEP:38 STEP:35で差異がある場合は、ファイル異常として前記モニタ47にエラー表示を行う。又、前記第2データ格納手段45の前記移動先ファイルを除去し、前記テンポラリフォルダの前記1時ファイルを前記第1データ格納手段43の前記移動元フォルダに戻して移動処理を終了する。
【0099】
STEP:39 ファイル全てのデータに差異があった場合、STEP:33に戻り、STEP:33、STEP:34、STEP:35が実行される。
【0100】
尚、上記説明は、縦型のバッチ式半導体製造装置に関するが、本発明は、横型の処理炉を有する横型半導体製造装置、或は一枚ずつ基板を処理する枚葉式の半導体製造装置にも実施可能であることは言う迄もない。更に、上記した基板処理を行う半導体製造装置、或は基板処理装置に限らず、他の基板処理、例えば露光、リソグラフィを行う装置についても実施可能であることは言う迄もない。
【0101】
(付記)
又、本発明は以下の実施の態様を含む。
【0102】
(付記1)基板処理を実行する為に必要なデータを格納する第1格納手段と、前記データを他の半導体製造装置に移動する際に一時的に格納する第2格納手段と、前記第1格納手段と前記第2格納手段間でデータの移動を制御する制御手段を具備する半導体製造装置に於いて、前記第1格納手段から前記第2格納手段に前記データをコピーする際に前記第1格納手段からコピー元ファイルをテンポラリフォルダに1時ファイルとしてコピーし、前記コピー元ファイルを前記第2格納手段のコピー先フォルダにコピー先ファイルとしてコピーし、前記1時ファイル及び前記コピー先ファイルを所定バイト単位で各々比較し、差異があればファイル異常として前記第2格納手段の前記コピー先ファイル及び前記テンポラリフォルダの前記1時ファイルを削除し、ファイル全ての比較で差異がない場合は、前記テンポラリフォルダの前記1時ファイルを削除することを特徴とする半導体製造装置に於けるデータ移動方法。
【図面の簡単な説明】
【0103】
【図1】本発明の実施の形態に係る半導体製造装置の斜視図である。
【図2】該半導体製造装置の側断面図である。
【図3】該半導体製造装置の制御系を示すブロック図である。
【図4】可搬第2データ格納手段から前記制御系の第1データ格納手段にデータをコピーする場合のフローチャートである。
【図5】前記制御系の第1データ格納手段から可搬第2データ格納手段にデータをコピーする場合のフローチャートである。
【図6】前記可搬第2データ格納手段から前記制御系の前記第1データ格納手段にデータを移動する場合のフローチャートである。
【図7】前記制御系の前記第1データ格納手段から前記可搬第2データ格納手段にデータを移動する場合のフローチャートである。
【符号の説明】
【0104】
1 半導体製造装置
24 ウェーハ移載機構
26 ボート
28 処理炉
40 プロセス制御部
41 搬送制御部
42 制御装置
43 第1データ格納手段
44 リード/ライト装置
45 第2データ格納手段
46 操作部
47 モニタ
61 操作プログラム
62 コピー処理プログラム
63 データ格納領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板処理を実行する為に必要なデータを格納する第1格納手段と、前記データを他の半導体製造装置に移動する際に一時的に格納する第2格納手段と、前記第1格納手段と前記第2格納手段間でデータの移動を制御する制御手段を具備し、該制御手段は前記第1格納手段から前記第2格納手段に前記データをコピーする際に前記第1格納手段からコピー元ファイルをテンポラリフォルダに1時ファイルとしてコピーし、前記コピー元ファイルを前記第2格納手段のコピー先フォルダにコピー先ファイルとしてコピーし、前記1時ファイル及び前記コピー先ファイルを所定バイト単位で各々比較し、差異があればファイル異常として前記第2格納手段の前記コピー先ファイル及び前記テンポラリフォルダの前記1時ファイルを削除し、ファイル全ての比較で差異がない場合は、前記テンポラリフォルダの前記1時ファイルを削除することを特徴とする半導体製造装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−140954(P2009−140954A)
【公開日】平成21年6月25日(2009.6.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−312430(P2007−312430)
【出願日】平成19年12月3日(2007.12.3)
【出願人】(000001122)株式会社日立国際電気 (5,007)
【Fターム(参考)】