説明

半導体記憶装置

【課題】微細化が進展しても、データ書き込み時には閾値が低く、“1”データ保持時には閾値が高くすることができ、良好なデータ書き込み特性および良好なデータ保持特性の両立を図ることが可能な半導体記憶装置を提供する。
【解決手段】ゲート電極G1の側壁には側壁絶縁膜35が形成される。n型拡散層36の表面にはビット線コンタクト51が形成され、n型拡散層27は、埋め込みストラップ41、及びポリシリコン電極22Aを介してストレージノード電極22に接続されている。側壁絶縁膜35は、トレンチキャパシタ側、即ちストレージノード電極22側の厚さが、ビット線コンタクト51側の厚さよりも大きくされている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体記憶装置に係わり、特にDRAM(Dynamic Random Access Memory)又はDRAM機能を搭載したDRAM混載装置に適用して好適なものに関する。
【背景技術】
【0002】
DRAMの微細化の進展により、DRAMのメモリセルを構成するトランジスタのゲート長及び素子幅はますます狭くなっている。これに伴い、トランジスタの短チャネル特性が劣化し、トランジスタの閾値の低下によるサブスレショルド・リークが問題となる。
【0003】
これを抑制するためには、チャネルの不純物ドーズを増大し閾値を高く補正することが必要となるが、チャネル不純物の増大は、拡散層リーク電流の増大を招き、結果としてメモリセルのデータ保持特性を劣化させるという問題がある。
【0004】
この改善方法として、ビット線コンタクトのホール開口後、コンタクトホールを通してP型不純物をイオン注入し、ビット線コンタクト側の不純物濃度を高くし、閾値を高くする方法が考案されている(例えば、特許文献1参照)。この場合、データ保持時に問題となるストレージノード側の拡散層近傍でのチャネル濃度は増大しないため、データ保持特性の劣化を防ぎつつ、ビット線コンタクト側の拡散層深さを浅くすることで短チャネル効果を抑制し閾値の低下を防ぐことができる。
【0005】
但しこの場合、ビット線コンタクト直下の拡散層のウエル濃度を上昇させることになり、基板バイアス効果が増大する。その結果、1データ書き込み時に基板バイアス効果の影響によりトランジスタの3極管領域での電流の低下が著しくなり、結果として書き込み不良を引き起こすという問題がある。
【0006】
以上の問題を解決する手段としてシリコン面に対して斜めにゲート電極のエッジ近傍の直下に向けてイオン注入するHaloイオン注入法が提案されている(例えば、特許文献2参照)。この場合、斜めにイオン注入することで、拡散層直下のウエル濃度の上昇を抑えつつ、ゲート電極エッジの直下近傍のチャネル濃度を上昇させることが可能となる。ビット線コンタクト側のみにHaloイオン注入を行うことで、ビット線コンタクト側のチャネル濃度が高く、ストレージノード側のチャネル濃度が低いという濃度勾配を形成することが可能となる。このチャネル濃度勾配により、ビット線コンタクト側の拡散層がドレインとなる場合、すなわち、データ書き込み時にはドレイン側の高濃度領域はドレイン電界の影響を受けやすいのに対して、ストレージノード側がドレインとなる1データの保持時には、逆に、チャネル濃度の高い領域はドレインの電界の影響を受けにくい。その結果として、ビット線コンタクトをドレインとしたときの閾値がストレージノード電極をドレインとしたときの閾値より低くなる。結局、サブスレショルド・リークの問題とならないデータ書き込み時には閾値が低く、サブスレショルド・リークの問題となる“1”データ保持時には閾値が高くなり、データ書き込み特性およびデータ保持特性を同時に改善することが可能になる。
【0007】
ここで、DRAMメモリセルアレイが、1つのビット線コンタクトを隣り合う2つのメモリセルで共有する構造を有する場合、ビット線コンタクト側にのみHaloイオン注入をする必要がある(図1)。ストレージノード電極側にHaloイオン注入が行われると、ストレージノード側の拡散層リークを増大させてしまうので、レジストなどでカバーをする必要がある。このとき、Haloイオン注入の角度はこのレジスト高さと、隣り合うゲートとゲートの間隔により制限されることになり、DRAMセルサイズのシュリンクに伴いゲート間隔が狭くなり、イオン注入の角度はシリコン基板に対してより垂直に近い角度にする必要が生じる。このため、ゲートエッジ直下へのイオン注入がますます困難となり、ビット線コンタクト側をドレインとする閾値特性とストレージノード側の閾値特性の差を十分に大きくすることが困難になる。
【特許文献1】米国特許第6967133号公報
【特許文献1】米国特許第6444548号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、微細化が進展しても、データ書き込み時には閾値が低く、“1”データ保持時には閾値が高くすることができ、良好なデータ書き込み特性および良好なデータ保持特性の両立を図ることが可能な半導体記憶装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の第1の態様に係る半導体記憶装置は、半導体基板の表面に形成されるMOSFETと、 半導体基板の表面に形成されたトレンチ内に設けられるトレンチキャパシタとを備え、前記MOSFETは、前記半導体基板の表面にゲート絶縁膜を介して形成されるゲート電極と、前記ゲート電極の側壁に形成される側壁絶縁膜と、前記ゲート電極を挟むようにして前記半導体基板の表面に形成される第1及び第2拡散層と、前記第1拡散層と前記トレンチキャパシタとを接続するトレンチキャパシタコンタクトと、前記第2拡散層とビット線とを接続する前ビット線コンタクトとを備え、前記第1拡散層側の前記側壁絶縁膜は、前記第2拡散層側の側壁絶縁膜よりも厚くなるように形成されていることを特徴とする。
【0010】
本発明の第2の態様に係る半導体記憶装置は、半導体基板の表面に形成されるMOSFETと、半導体基板の表面に形成されたトレンチ内に設けられるトレンチキャパシタとを備え、前記MOSFETは前記半導体基板の表面にゲート絶縁膜を介して形成されるゲート電極と、前記ゲート電極の側壁に形成される側壁絶縁膜と、前記ゲート電極を挟むようにして前記半導体基板の表面に形成される第1及び第2拡散層と、前記第1拡散層と前記トレンチキャパシタとを接続するトレンチキャパシタコンタクトと、前記第2拡散層とビット線とを接続するビット線コンタクトとを備え、前記ゲート電極は、ポリシリコンにより形成され、前記第2拡散層側の一部が第1導電型とされ、その他の部分が第2導電型とされていることを特徴とする。
【0011】
本発明の第3の態様に係る半導体記憶装置は、前記半導体基板の表面に形成されるMOSFETと、半導体基板の表面に形成されたトレンチ内に設けられるトレンチキャパシタとを備え、前記MOSFETは、前記半導体基板の表面にゲート絶縁膜を介して形成されるゲート電極と、前記ゲート電極の側壁に形成される側壁絶縁膜と、前記ゲート電極を挟むようにして前記半導体基板の表面に形成される第1及び第2拡散層と、前記半導体基板の表面に形成されて前記第1拡散層と前記トレンチキャパシタとを接続するトレンチキャパシタコンタクトと、前記第2拡散層に接続されるビット線コンタクトとを備え、前記ビット線コンタクトを形成するポリシリコンの不純物濃度が、前記トレンチキャパシタコンタクトを形成するポリシリコンの不純物濃度より高くされたことを特徴とする。
【0012】
本発明の第4の態様に係る半導体記憶装置は、半導体基板の表面に形成されるMOSFETと、半導体基板の表面に形成されたトレンチ内に設けられるトレンチキャパシタとを備え、前記MOSFETは、前記半導体基板の表面にゲート絶縁膜を介して形成されるゲート電極と、前記ゲート電極の側壁に形成される側壁絶縁膜と、前記ゲート電極を挟むようにして前記半導体基板の表面に形成される第1及び第2拡散層と、前記半導体基板の表面に形成されて前記第1拡散層と前記トレンチキャパシタとを接続するトレンチキャパシタコンタクトと、前記第2拡散層に接続されるビット線コンタクトとを備え、前記ビット線コンタクトを形成するポリシリコンの高さが、前記トレンチキャパシタコンタクトを形成するポリシリコンの高さより高いことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
この発明によれば、微細化が進展しても、データ書き込み時には閾値が低く、“1”データ保持時には閾値が高くすることができ、良好なデータ書き込み特性および良好なデータ保持特性の両立を図ることが可能な半導体記憶装置を提供することが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
次に、本発明の実施の形態を、図面を参照して詳細に説明する。
【0015】
[第1の実施の形態]
まず、本発明の第1の実施の形態に係るDRAMを図1を参照して説明する。
図1は、本実施の形態に係るDRAMのメモリセルの断面図を示している。図1に示すように、この実施の形態のメモリセルは、p型半導体基板11にトレンチが形成され、このトレンチ内にデータ保持のためのキャパシタ(トレンチキャパシタ)が形成されたトレンチキャパシタ方式のものである。このトレンチキャパシタに対し、1つのセルトランジスタ(後述)が接続され、1つのメモリセルが形成されている。
【0016】
トレンチキャパシタは、プレート拡散層20、ノード絶縁膜21、ストレージノード電極22及びポリシリコン電極22Aとから構成されている。
【0017】
プレート拡散層20は、トレンチキャパシタ形成のために半導体基板11に形成されたトレンチから砒素(As)又はリン(P)を半導体基板11中にイオン注入した後熱拡散することにより形成される。
【0018】
ノード絶縁膜21は、このトレンチ側壁にNO膜又はAl等の高誘電体膜を堆積させることにより形成される。
【0019】
ストレージノード電極22は、ノード絶縁膜21の形成後、例えばポリシリコンをトレンチ内部に埋め込むことにより形成される。ポリシリコン電極22Aは、このストレージノード電極22の上のトレンチ内部にポリシリコンを埋め込むことにより形成される。ポリシリコン電極22Aは、後述する埋め込みストラップ41(トレンチキャパシタコンタクト)によりセルトランジスタと接続される。
【0020】
また、トレンチ側壁には、例えばシリコン酸化膜からなるカラー絶縁膜23が形成されている。このカラー絶縁膜23は、前述のプレート拡散層20とセルトランジスタの拡散層とを絶縁分離する機能を有する。なお、各メモリセルは、半導体基板11の表面に形成された素子分離絶縁膜25により絶縁分離されている。この実施の形態では、後述するように2つのメモリセルがビット線コンタクトを共有しており、素子分離絶縁膜25はこの1対の2つのメモリセル毎に設けられている。素子分離絶縁膜25は、半導体基板11の表面にトレンチを形成し、ここにプラズマCVD法等を用いてシリコン酸化膜を埋め込むことにより形成される。
【0021】
このトレンチキャパシタと共に1つのメモリセルを構成するセルトランジスタは、半導体基板11表面に形成されたゲート絶縁膜31と、ゲート絶縁膜31を介して形成されたゲート電極G1とにより構成される。
【0022】
ゲート電極G1は、ポリシリコン層32、DRAMのワード線として機能するWSi層33、及びシリコン窒化膜34を積層させて構成される。また、このゲート電極G1の側壁にはシリコン酸化膜等からなる側壁絶縁膜35が形成される。
【0023】
このゲート電極G1の両側の半導体基板11の表面上には、n型拡散層36(第2拡散層)、n型拡散層37(第1拡散層)が形成されており、セルトランジスタのソース・ドレイン拡散層とされている。n型拡散層36は、2つのセルトランジスタ間で共有され、その表面にはビット線BLと接続されるビット線コンタクト51が形成されている。
【0024】
一方n型拡散層37は、埋め込みストラップ41、及びポリシリコン電極22Aを介してトレンチキャパシタのストレージノード電極22に接続されている。なお、ゲート電極G1は層間絶縁膜45で覆われ、その表面にはビット線コンタクト51と接続されるビット線BLが形成されている。
【0025】
この実施の形態においては、側壁絶縁膜35は、トレンチキャパシタ側、即ちストレージノード電極22側の厚さが、ビット線コンタクト51側の厚さよりも大きくされている。すなわち、側壁絶縁膜35は、ストレージノード電極22の側において、反対側のビット線コンタクト51側におけるよりも肉厚とされた肉厚部35Aを有している。この肉厚部35Aは、例えば他の部分の側壁絶縁膜35の厚さが40Åである場合140Å程度の厚さを有するように形成することができる。このような側壁絶縁膜35の厚さの差がゲート電極G1の左右に与えられることにより、データ書き込み時にはセルトランジスタの閾値が低く、“1”データ保持時にセルトランジスタの閾値が高くなり、データ書き込み特性およびデータ保持特性を同時に改善することが可能になる。
【0026】
次に、このような側壁絶縁膜35の形成手順を、図2及び図3を参照して説明する。
【0027】
まず、図2(a)に示すように、ゲート電極G1の加工後、低圧力下での水素と酸素の混合気体を用いたWet RTO(Rapid Thermal Oxidation)によりゲート電極G1の側壁を40Åの厚さに酸化させて、側壁絶縁膜35を形成する。
【0028】
続いて図2(b)に示すように、この側壁絶縁膜35、及びゲート絶縁膜31の表面上に減圧CVD法によりシリコン窒化膜からなるマスクM1を約80Åの厚さに堆積させる。さらにこのマスクM1上にポリシリコンからなるマスクM2を約150Åの厚さに堆積させる。
【0029】
次に、図2(c)に示すように、マスクM2に対し、BF2を照射角度10度(ストレージノード電極22側からビット線コンタクト51側へ向かう方向)にて、1E×1015cm−2の不純物ドーズ量でイオン注入する。続いて、図2(d)に示すように、アルカリ溶液にてBF2のイオン注入がされていない領域のマスクM2を選択エッチングする。
【0030】
その後、図3(e)に示すように、残ったマスクM2をマスク材としてホット燐酸によりマスクM1をエッチングする。次に図3(f)に示すように、ケミカル・ドライ・エッチング(CDE)にてマスクM2を等方性エッチングにより除去する。
【0031】
次に図3(g)に示すように、ドライRTOにて100Åの酸化を行うことで、シリコン窒化膜からなるマスクM1に覆われていない領域を選択酸化して、肉厚部35Aを形成する。最後に図3(h)に示すようにホット燐酸にてマスクM1を剥離して、図1に示すような側壁絶縁膜35が形成される。なお、図1では図示を省略するが、側壁絶縁膜35の上には、スペーサ膜としてのシリコン窒化膜、更にはバリア層としてのシリコン窒化膜が堆積されている。
【0032】
以上、ストレージノード電極22側の側壁絶縁膜35の厚さを厚くする工程を説明したが、本発明はこの工程により製造される半導体装置に限定されるものではない。例えばビット線コンタクト51側の側壁絶縁膜35の厚さを薄くする工程により、同様の構造を得る場合にも、本発明は適用可能である。
【0033】
[第2の実施の形態]
次に、本発明の第2の実施の形態に係るDRAMを図4を参照して説明する。
図4は、本実施の形態に係るDRAMのメモリセルの断面図を示している。この実施の形態のメモリセルも、第1の実施の形態と同様にトレンチキャパシタ方式のものである。第1の実施の形態と同一の構成要素については図4において同一の符号を付し、以下においてはその詳細な説明は省略する。
【0034】
第2の実施の形態は、第1の実施の形態と異なり、側壁絶縁膜35はビット線コンタクト51側、及びストレージノード電極22側において同じ厚さとされている。ただし、ゲート電極G1を形成するポリシリコン層32のうち、ビット線コンタクト51に近い側がp型層32pとされ、それ以外の部分はn型とされている点で、第1の実施の形態と異なっている。この形態によれば、第1の実施の形態と同様に、データ書き込み時にはセルトランジスタの閾値が低く、“1”データ保持時にはセルトランジスタの閾値が高くなり、データ書き込み特性およびデータ保持特性を同時に改善することが可能になる。
【0035】
次に、このようなポリシリコン層35の形成手順を、図5及び図6を参照して説明する。
【0036】
まず、図5(a)に示すようにゲート電極G1を加工した後、図5(b)に示すように、低圧力下での水素と酸素の混合気体を用いたWet RTO(Rapid Thermal Oxidation)によりゲート電極GIの側壁を40Åの厚さに酸化させて側壁絶縁膜35を形成する。
【0037】
続いて図5(c)に示すように、この側壁絶縁膜35、及びゲート絶縁膜31上に減圧CVD法によりポリシリコン膜からなるマスクM3を約300Åの厚さに堆積させる。
【0038】
次に、図5(d)に示すように、BF2を照射角度0度(垂直)で、加速電圧5keV、不純物ドーズ量1×1015cm−2の条件でイオン注入する。照射角度が0度のため、マスクM3のうち、ゲート電極G1の側壁に沿った部分にはイオン注入がなされない。
【0039】
その後、図6(e)に示すように、マスクM3のうち、アルカリ溶液にてBF2のイオン注入されていない領域を選択的にエッチング除去する。すなわち、ゲート電極G1の側壁に沿ったマスクM3のみが除去される。
【0040】
次に図6(f)に示すように、残ったポリシリコンのマスクM3をマスクとして、斜め方向(ビット線コンタクト51側からストレージノード電極22側へ向かう方向)よりゲート電極G1のポリシリコン層32にBF2を不純物ドーズ量1×1015cm−2でイオン注入する。これにより、図6(g)に示すように、ポリシリコン層32のうち、ビット線コンタクト51に近い側をp型層32Pに変えることが可能になる。
【0041】
以上、n型のポリシリコン層32に斜め方向からp型イオンを注入してp型層32Pに変化させる例を説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、p型のポリシリコン層32にn型イオンを注入して一部をn型層に変化させ、残りをp型層とする工程でも、同様の構成、効果を実現することが可能である。
【0042】
[第3の実施の形態]
次に、本発明の第3の実施の形態に係るDRAMを図7を参照して説明する。
図7は、本実施の形態に係るDRAMのメモリセルの断面図を示している。この実施の形態のメモリセルも、第1の実施の形態と同様にトレンチキャパシタ方式のものである。第1、第2の実施の形態と同一の構成要素については図7において同一の符号を付し、以下においてはその詳細な説明は省略する。
【0043】
第3の実施の形態は、第2の実施の形態と同様、側壁絶縁膜35はビット線コンタクト51側、及びストレージノード電極22側において同じ厚さとされている。また、ポリシリコン層32も全体に亘ってn型とされている。ただしこの実施の形態では、セルトランジスタのn型拡散層37とストレージノード電極22とは、ポリシリコン電極22A、及び半導体基板11の表面に形成されたトレンチキャパシタコンタクト42とにより互いに接続されている。トレンチキャパシタコンタクト42は、半導体基板11の表面からの高さがH1に設定されている。
【0044】
一方、ビット線コンタクト51は、半導体基板11の表面からの高さH2がH1よりも十分に大きくされている(H2>>H1)。一例として、H2を1500Å、H1を1000Åとするなど、前者を後者の1.5倍程度の大きさに設定することが可能である。これにより、本実施の形態では、上記の実施の形態と同様に、データ書き込み時にはセルトランジスタの閾値が低く、“1”データ保持時にはセルトランジスタの閾値が高くなり、データ書き込み特性およびデータ保持特性を同時に改善することが可能になる。なお、この実施の形態の側壁絶縁膜35は、シリコン窒化膜から形成される。
【0045】
次に、このようなトレンチキャパシタコンタクト42、及びビット線コンタクト51の形成手順を、図8及び図9を参照して説明する。
【0046】
ゲート電極G1の加工後、RTOによりゲート電極G1を後酸化し、次に、シリコン窒化膜を半導体基板11の全面に堆積し、ドライエッチングでエッチバックすることで、シリコン窒化膜からなる側壁絶縁膜35を形成する(図8(a))。
【0047】
次に図8(b)に示すように、層間絶縁膜45としてBPSG膜を全面に堆積した後、化学機械研磨(CMP)にて層間絶縁膜45を平坦化する。次に図8(c)に示すように、フォトリソグラフィにより、ストレージノード電極22側のコンタクトであるトレンチキャパシタコンタクト42の形成のためのコンタクトホールパターンを形成し、レジストをマスクに層間絶縁膜45をドライエッチングにより加工しコンタクトホールT1を形成する。コンタクトホールT1の形成後、露出したゲート絶縁膜31はRIE等の方法により剥離される。
【0048】
次に、減圧CVD法によりポリシリコン膜42´を200Åの厚さまで堆積した後PH3を減圧CVD装置に流すことによりP(リン)をポリシリコン膜51´に吸着させる。次に、再度ポリシリコン膜42´を2000Å堆積させる(図9(d))。
【0049】
次に図9(e)に示すように、ケミカル・ドライ・エッチングによりポリシリコン膜42´をエッチバックして、コンタクトホールT1中にのみポリシリコン膜42´を1000Åの厚さとなるよう残す。次に、図9(f)に示すように、再度層間絶縁膜45を堆積し、CMP法により平坦化する。
【0050】
続いて次に図10(g)に示すように、フォトリソグラフィにより、ビット線コンタクト51を形成するためのコンタクトホールパターンを形成し、レジストをマスクに層間絶縁膜45をドライエッチングにより加工しコンタクトホールT2を形成する。コンタクトホールT2の形成後、露出したゲート絶縁膜31はRIE等の方法により剥離される。
【0051】
次に、減圧CVD法によりポリシリコン膜51´を100Åの厚さに堆積した後PH3を減圧CVD装置に流すことによりP(リン)をポリシリコン膜51´に吸着させる。続いてに、再度ポリシリコン膜51´の堆積を開始し、2000Åの厚さまで堆積させる。
【0052】
次に図10(h)に示すように、ケミカル・ドライ・エッチングによりポリシリコン膜51´をエッチングし、コンタクトホールT2中にのみポリシリコン膜51´を1500Åの厚さだけ残す。最後にRTAにより950度、10秒の熱工程を印加することでP(リン)をポリシリコン膜51´中に拡散し且つ活性化する。引き続き、ビット線コンタクト51及びビット線BLの配線形成を行って、図7に示すようなDRAMが形成される。
【0053】
以上により、ストレージノード電極22側のトレンチキャパシタコンタクト42中の不純物濃度を、ビット線コンタクト51中の不純物濃度より低く設定することができ、また、リン吸着層から半導体基板11までの距離を変えることで、ビット線コンタクト51側とトレンチキャパシタコンタクト42とでリン(P)の拡散量を異ならせ、結果として、拡散層深さをトレンチキャパシタコンタクト42側で浅く、ビット線コンタクト51側で深い構造を形成することが可能となる。これにより、データ書き込み時にはセルトランジスタの閾値が低く、“1”データ保持時にセルトランジスタの閾値が高くなり、データ書き込み特性およびデータ保持特性を同時に改善することが可能になる。
【0054】
以上、第3の実施の形態の製造工程を説明したが、図7の構造はこの工程のみによって得られるものではなく、様々に変更が可能である。
【0055】
[第4の実施の形態]
次に、本発明の第4の実施の形態に係るDRAMを図11を参照して説明する。
図11は、本実施の形態に係るDRAMのメモリセルの断面図を示している。この実施の形態のメモリセルも、第1の実施の形態と同様にトレンチキャパシタ方式のものである。第1、第2の実施の形態と同一の構成要素については図11において同一の符号を付し、以下においてはその詳細な説明は省略する。
【0056】
この実施の形態では、ビット線コンタクト51は、半導体基板11の表面からの高さH2がH1と略同一とされている一方、ビット線コンタクト51の不純物濃度Dbが、トレンチキャパシタコンタクト42の不純物濃度Daよりも高くされている点で、第3の実施の形態と異なっている。一例として、DbはDaの1.5倍程度の大きさに設定され得る。これによっても、第3の実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0057】
[その他]
以上、発明の実施の形態を説明したが、本発明はこれらに限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲内において、種々の変更、追加等が可能である。例えば、上記実施の形態では、第1導電型がn型、第2導電型がp型である例を示したが、これを逆にして第1導電型がp型、第2導電型がn型である例にも本発明は適用可能である。また、上記の各実施の形態の特徴を併せ持つ装置も、本発明の範囲に含まれることは言うまでもない。また、上記の実施の形態では、2つのメモリセルがビット線コンタクトを共有する形式のDRAMを説明したが、本発明はこれに限らずビット線コンタクトがメモリセル毎に設けられるDRAMにも適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係るDRAMのメモリセルの断面図を示している。
【図2】第1の実施の形態に係るDRAMの製造工程を説明する工程図である。
【図3】第1の実施の形態に係るDRAMの製造工程を説明する工程図である。
【図4】本発明の第2の実施の形態に係るDRAMのメモリセルの断面図を示している。
【図5】第2の実施の形態に係るDRAMの製造工程を説明する工程図である。
【図6】第2の実施の形態に係るDRAMの製造工程を説明する工程図である。
【図7】本発明の第3の実施の形態に係るDRAMのメモリセルの断面図を示している。
【図8】第3の実施の形態に係るDRAMの製造工程を説明する工程図である。
【図9】第3の実施の形態に係るDRAMの製造工程を説明する工程図である。
【図10】第3の実施の形態に係るDRAMの製造工程を説明する工程図である。
【図11】本発明の第4の実施の形態に係るDRAMのメモリセルの断面図を示している。
【符号の説明】
【0059】
11・・・p型半導体基板、 20・・・プレート拡散層、 21・・・ノード絶縁膜、 22・・・ストレージノード電極、 22A・・・埋め込みストラップ、 25・・・素子分離絶縁膜、 31・・・ゲート絶縁膜 、G1・・・ゲート電極、 32・・・ポリシリコン層、 33・・・WSi層、 34・・・シリコン窒化膜、 BL・・・ビット線、 41・・・埋め込みストラップ、 42・・・トレンチキャパシタコンタクト、 51・・・ビット線コンタクト、 M1,M2,M3・・・マスク。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体基板の表面に形成されるMOSFETと、
半導体基板の表面に形成されたトレンチ内に設けられるトレンチキャパシタと
を備え、
前記MOSFETは、
前記半導体基板の表面にゲート絶縁膜を介して形成されるゲート電極と、
前記ゲート電極の側壁に形成される側壁絶縁膜と、
前記ゲート電極を挟むようにして前記半導体基板の表面に形成される第1及び第2拡散層と、
前記第1拡散層と前記トレンチキャパシタとを接続するトレンチキャパシタコンタクトと、
前記第2拡散層とビット線とを接続するビット線コンタクトと
を備え、
前記第1拡散層側の前記側壁絶縁膜は、前記第2拡散層側の側壁絶縁膜よりも厚くなるように形成されている
ことを特徴とする半導体記憶装置。
【請求項2】
半導体基板の表面に形成されるMOSFETと、
半導体基板の表面に形成されたトレンチ内に設けられるトレンチキャパシタと
を備え、
前記MOSFETは、
前記半導体基板の表面にゲート絶縁膜を介して形成されるゲート電極と、
前記ゲート電極の側壁に形成される側壁絶縁膜と、
前記ゲート電極を挟むようにして前記半導体基板の表面に形成される第1及び第2拡散層と、
前記第1拡散層と前記トレンチキャパシタとを接続するトレンチキャパシタコンタクトと、
前記第2拡散層とビット線とを接続するビット線コンタクトと
を備え、
前記ゲート電極は、ポリシリコンにより形成され、前記第2拡散層側の一部が第1導電型とされ、その他の部分が第2導電型とされている
ことを特徴とする半導体記憶装置。
【請求項3】
半導体基板の表面に形成されるMOSFETと、
半導体基板の表面に形成されたトレンチ内に設けられるトレンチキャパシタと
を備え、
前記MOSFETは、
前記半導体基板の表面にゲート絶縁膜を介して形成されるゲート電極と、
前記ゲート電極の側壁に形成される側壁絶縁膜と、
前記ゲート電極を挟むようにして前記半導体基板の表面に形成される第1及び第2拡散層と、
前記半導体基板の表面に形成されて前記第1拡散層と前記トレンチキャパシタとを接続するトレンチキャパシタコンタクトと、
前記第2拡散層に接続されるビット線コンタクトと
を備え、
前記ビット線コンタクトを形成するポリシリコンの不純物濃度が、前記トレンチキャパシタコンタクトを形成するポリシリコンの不純物濃度より高くされた
ことを特徴とする半導体記憶装置。
【請求項4】
半導体基板の表面に形成されるMOSFETと、
半導体基板の表面に形成されたトレンチ内に設けられるトレンチキャパシタと、
を備え、
前記MOSFETは、
前記半導体基板の表面にゲート絶縁膜を介して形成されるゲート電極と、
前記ゲート電極の側壁に形成される側壁絶縁膜と、
前記ゲート電極を挟むようにして前記半導体基板の表面に形成される第1及び第2拡散層と、
前記半導体基板の表面に形成されて前記第1拡散層と前記トレンチキャパシタとを接続するトレンチキャパシタコンタクトと、
前記第2拡散層に接続されるビット線コンタクトと
を備え、
前記ビット線コンタクトを形成するポリシリコンの高さが、前記トレンチキャパシタコンタクトを形成するポリシリコンの高さより高くされた
ことを特徴とする半導体記憶装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2008−117938(P2008−117938A)
【公開日】平成20年5月22日(2008.5.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−299791(P2006−299791)
【出願日】平成18年11月6日(2006.11.6)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】